説明

通信端末及びコンテンツ転送方法

【課題】携帯端末に保存されているコンテンツが1つ以上の機器との間で共有される場合において、携帯端末からのコンテンツの不要な転送を防止すること。
【解決手段】携帯端末は、コンテンツを記憶する記憶部と、1つ以上の機器が通信可能に接続されているネットワークにおいて通信を行う通信部と、コンテンツに含まれているメタデータと通信部が前記1つ以上の機器から取得した機器情報とを照合することで、コンテンツの転送先となる機器を決定する通信制御部とを有し、通信部は、転送先である機器へコンテンツを転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信端末及びコンテンツ転送方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
通信端末及びネットワーク技術の進歩により通信端末のユーザは様々なコンテンツを送受信することができるようになり、例えば通信端末に保存されているコンテンツを他の機器と共有することもできる。複数の機器の間でコンテンツを共有する際の1つの方法は、非接触高速無線技術を用いるものである。例えば、携帯電話をクレードル又はクレイドル(cradle)のような通信拡張器にかざし、携帯電話が保存しているコンテンツ(例えば、動画データ)を、通信拡張器に接続されているコンピュータ等と共有することができる。コンテンツを共有する従来の方法については例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-171229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯端末に保存されているコンテンツを1つ以上の機器との間で共有する従来の技術の場合、コンテンツは、携帯端末からネットワークを通じて通信可能な機器へ一斉に提供される。この場合、コンテンツの内容、機器のユーザ(利用者)にとっての必要性、機器の機能(例えば、データ容量や解像度)等は考慮されず、コンテンツは一律に提供される。従って、コンテンツを受信した機器にとって、それは必ずしも必要ではないという問題がある。また、ユーザのニーズに合致しない転送が行われることも懸念される。例えば、特定の機器に限ってコンテンツを提供したい場合でも、他の機器にそのコンテンツが提供されてしまう問題が生じる。更に、コンテンツの提供元及び提供先の間で製品仕様が異なっている場合、転送されたコンテンツが転送先の機器で有意義に利用できないかもしれない。例えば、オーバースペックの例として、メモリ容量の足りない機器へコンテンツを送信してしまうことが挙げられる。このように従来の技術の場合、コンテンツを無駄に送信してしまうことが懸念される。
【0005】
本発明の課題は、携帯端末に保存されているコンテンツが1つ以上の機器との間で共有される場合において、携帯端末からのコンテンツの不要な転送を防止する携帯端末及びコンテンツ転送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態による通信端末は、
コンテンツを記憶する記憶部と、
1つ以上の機器が通信可能に接続されているネットワークにおいて通信を行う通信部と、
前記コンテンツに含まれているメタデータと前記通信部が前記1つ以上の機器から取得した機器情報とを照合することで、前記コンテンツの転送先となる機器を決定する通信制御部と
を有し、前記通信部は、前記転送先である機器へ前記コンテンツを転送する、通信端末である。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態によれば、携帯端末に保存されているコンテンツが1つ以上の機器との間で共有される場合において、携帯端末からのコンテンツの不要な転送を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態において使用可能なシステムの概要を示す図。
【図2A】携帯端末、クレードル及び機器の機能ブロック図。
【図2B】携帯端末及び機器の機能ブロック図。
【図3】動作例を説明するための図。
【図4】コンテンツの転送先を決定する動作例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態では、携帯端末と通信拡張器とが近距離通信方式で通信可能になったこと(例えば、携帯電話をクレードルにかざしたこと)をトリガとして、通信拡張器が接続されているローカルエリアネットワーク(LAN)内の機器が起動される。ディジタルリビングネットワークアライアンス(DLNA)方式で機器が接続されている場合、携帯端末はコンテンツを提供するディジタルメディアサーバ(DMS)として機能し、LAN内の機器はディジタルメディアプレーヤ(DMP)(すなわち、クライアント)として機能する。一般に、コンテンツとは、映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメーション、コンピュータゲームその他の文字、図形、色彩、音声、動作若しくは映像又はこれらの組み合わせであって、人間の創造活動により生み出され、教養又は娯楽の範囲に属するものである。従ってコンテンツは例えば静止画像、動画像、音声、ビデオ、文書、音楽、書籍等として表現される。携帯端末と機器は、通信セッションを確立するためにネゴシエーション手順を実行する。本実施形態の場合、このネゴシエーション手順において、携帯端末は、1つ以上の機器各々から機器情報を取得する。機器情報は例えば名称、型番、仕様(スペック)、製造元等の情報を含む。一方、携帯端末は転送対象のコンテンツからメタデータを抽出する。一般にメタデータはコンテンツに付随する任意の情報を含むが、本実施形態の場合、特に、コンテンツを再生できる機器の情報を含む。コンテンツを再生できる機器の情報は、具体的には、機器情報に含まれる情報であり、例えば機器の名称、機器の型番、機器の仕様(スペック)、機器の製造元等である。携帯端末は、メタデータと機器情報とを照合(比較、対比、確認等)し、コンテンツの転送先となる機器を決定する。そして、携帯端末は、転送先として決定された機器へコンテンツを転送し、転送先として決定されなかった機器へはコンテンツを転送しない。コンテンツのメタデータは、一般的には提供者(プロバイダ)により作成された情報を含むが、本実施形態の場合、ユーザが作成した情報を含んでいてもよい。ユーザが作成した情報を含ませることで、例えば特定のコンテンツがユーザにより指定された条件に合致する機器に限って転送されるようにすることができる。
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図中、同様な要素には同じ参照番号又は参照符号が付されている。
【0011】
<1.システム>
図1は本発明の実施形態において使用可能なシステムの概要を示す。概してシステムは外部機器11と、携帯端末13と、LAN15とを含む。
【0012】
外部機器11は、コンテンツを携帯端末13に提供する何らかの装置である。外部機器11は、有線又は無線のネットワークを介して接続された携帯端末に対してコンテンツを提供することができる。無線の場合、外部機器11から携帯端末13へ近距離高速無線通信により又は他の無線通信によりコンテンツが転送されてもよい。コンテンツは有料でも無料でもよい。また、コンテンツはディジタル著作権管理(DRM)方式により使用が制限されていてもよいし、制限されていなくてもよい。
【0013】
携帯端末13は、コンテンツを提供する上記の外部機器11及びその他の機器と通信することが可能な通信端末である。その他の機器の具体例は図示のLAN15に接続されている機器である。通信端末は、典型的には携帯端末13であるが、固定端末でもよい。通信端末は、具体的には、ユーザ装置、情報端末、高機能携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、パーソナルディジタルアシスタント、携帯用パーソナルコンピュータ、パームトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ等であるが、これらに限定されない。携帯端末13は、外部機器11からコンテンツを取得できることに加えて、自らコンテンツを作成することも可能である。例えば、携帯端末13を用いて、写真の撮影、動画の撮影、番組の録画、音声の録音、文書の作成等を行うことによりコンテンツを作成することができる。携帯端末13は、外部機器11から有線又は無線によりコンテンツを取得できることに加えて、他のサイトから有線又は無線により(図示の例では無線により)コンテンツを取得することができる。
【0014】
LAN15はローカルエリアネットワークを示し、例えば携帯端末13のユーザの家庭にあるホームネットワークである。ユーザの家庭内にある様々な装置又は機器の内、通信機能を備えた1つ以上の機器によりネットワークが形成されている。ネットワークは例えばイーサーネット(登録商標)により構築することができるが、他の形式で構築されてもよい。LAN15に接続されている機器の具体例は、パーソナルコンピュータやテレビジョン等であるが、これらに限定されない。図示の例の場合、LAN15に接続されている機器は、ディジタルリビングネットワークアライアンス(DLNA)方式により接続されているが、他の方式で接続されていてもよい。ただし、家庭内の複数の機器を簡易に相互接続する観点からは、DLNA方式で接続することが好ましい。説明の便宜上、LAN15においてコンテンツを送信する装置は「DLNAサーバ」と言及され、コンテンツを受信する装置は「DLNAクライアント」と言及される。従って、図示の例の場合、携帯端末13が「DLNAサーバ」に該当し、大型ディスプレイ、PC、テレビジョン等の機器は「DLNAクライアント」に該当する。LAN15と携帯端末13との接続は、当該技術分野において既知の有線又は無線による適切な如何なる方法で確立されてもよい。一実施形態においては、LAN15にクレードル(図1では示されていない)が設けられている。クレードル(cradle)は、携帯端末13と非接触方式の高速通信を実行するための通信インタフェースである。クレードルのような通信インタフェースは、LAN内の機器の外部に設けられていてもよいし、LAN内の機器に内蔵されていてもよい。
【0015】
詳細な動作例については後述するが、コンテンツを有する携帯端末13がクレードルに接近又は接触(タッチ)すると、携帯端末13とLAN15との間の通信セッションを確立するネゴシエーション手順が開始される。このネゴシエーション手順の際に携帯端末13は、個々の機器から機器情報を取得する。携帯端末13は、コンテンツに含まれているメタデータと取得した機器情報とを照合することで、コンテンツの転送先として相応しい機器を決定する。そして、携帯端末13は、転送先として決定された機器へコンテンツを転送する。本実施形態の場合、コンテンツを転送する際に、適切な如何なる通信プロトコルが使用されてもよい。例えば、トランスファージェット(登録商標)のような非接触高速無線方式が使用されてもよいが、これに限定されない。
【0016】
<2.機能>
図2Aは、図1に示されている携帯端末13及びLAN15内の装置(クレードル及び機器)に関する機能ブロック図を示す。図2Bも携帯端末13及びLAN15内の装置を示すが、クレードルの機能が装置に内蔵されている場合を示す。図2A及び図2Bには携帯端末13及びLAN15内の装置に備わる様々な機能要素や処理部の内、本発明の実施形態の説明に特に関連するものが示されている。
【0017】
<<携帯端末>>
携帯端末13は、記憶部131、暗号/復号部132、情報処理部133、認証部134、通信制御部135及び通信部136を有する。
【0018】
記憶部131は、携帯端末が外部機器から取得したコンテンツ又は自ら作成したコンテンツを格納(保存)する。記憶部131は、携帯端末13に内蔵された内蔵メモリでもよいし、外付けの外部メモリでもよい。外部メモリは例えばマイクロSDカードであるが、これに限定されない。コンテンツは、コンテンツに付随する情報としてメタデータを含む。一般的には、メタデータはコンテンツのタイトル、説明文、作成日等を含むが、本実施形態におけるメタデータは、コンテンツを再生することが「可能」な機器の情報(コンテンツを再生することが可能な機器の条件を示す情報)も含んでいる。「可能」は技術的に可能である意味に加えて、ユーザが許可したことで可能になっている意味をも含む場合がある。この機器の情報(機器の条件を示す情報)は、コンテンツのプロバイダが作成してもよいし、ユーザが作成してもよい。プロバイダが作成する場合、機器の情報(機器の条件を示す情報)は、機器の名称、機器の型番、機器の仕様及び機器の製造元等を示す情報を含む。機器の仕様は、例えば、表示に適した画面のサイズである。ユーザが作成する場合、機器の情報(機器の条件を示す情報)は、コンテンツの内容に応じた分類又は種別を示す情報を含む。例えば、あるコンテンツが子供向けの番組であることや、大人向けの番組であること等を示す分類又は種別の識別子が、コンテンツのメタデータに含まれていてもよい。なお、機器の情報にユーザが作成した情報が含まれることは必須ではないが、コンテンツの内容に応じて転送先を適宜決定できるようにする観点からは、そのような情報を機器の情報に含めることが好ましい。
【0019】
暗号/復号部132は、コンテンツを暗号化(エンコード)する機能及び暗号化されているコンテンツを復号(デコード)する機能を有する。暗号化及び復号化は当該技術分野における適切な如何なる方式で行われてもよい。暗号/復号部132は、ディジタルコンテンツの安全な通信を行うために、ディジタル著作権管理(DRM)方式に従って暗号化及び復号化を行うことができる。更に、暗号/復号部132は、DLNA方式で接続された機器との通信に相応しい方式(具体的には、DTCP-IP方式)で暗号化及び復号化を行うこともできる。
【0020】
情報処理部133は、コンテンツのやりとりに必要な処理及びその他の携帯端末において必要な処理を実行する。DLNA方式で携帯端末13とLAN15とが接続される場合、携帯端末13はDLNAサーバとして機能する。情報処理部133は携帯端末13がDLNAサーバとして機能するのに必要な情報処理を行う。
【0021】
認証部134は、通信を確立する際に行われる認証処理を実行する。具体的には、クライアント、サーバ及びアドレスの確認等が行われる。認証部134は、例えば、インターネットプロトコル(IP)や、ポイントツーポイントプロトコル(PPP)等を使用することが可能であるが、これらに限定されない。
【0022】
通信制御部135は、コンテンツに含まれているメタデータと1つ以上の機器から取得した機器情報とを照合することで、コンテンツの転送先となる機器を決定し、通信部136に通知する。転送先を決定する動作については後述する。
【0023】
通信部136は、携帯端末13と他の装置との間の有線又は無線による通信インタフェースとして機能する。例えば、通信部136は、基地局又はアクセスポイントとの間で無線通信を行う機能に加えて、クレードル等を介する近距離高速無線通信を行う機能も有する。近距離高速無線通信は、例えば、トランスファージェット(TransferJet)(登録商標)、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)、及びNFC(Near Field Communication)(登録商標)等の方式により実行可能であるが、これらに限定されない。
【0024】
<<クレードル>>
図2Aに示されているクレードルは、端末側通信部141及び機器側通信部142を有する。端末側通信部141は携帯端末13との通信を可能にする通信インタフェースである。機器側通信部142はLANで接続されている機器との通信を可能にする通信インタフェースである。クレードルのような通信インタフェースは、LAN内の機器の外部に設けられていてもよいし、図2Bに示すようにLAN内の機器に内蔵されていてもよい。
【0025】
<<機器>>
機器は、通信部151、認証部152、暗号/復号部153、情報処理部154及び記憶部155を有する。
【0026】
通信部151は、携帯端末13と間でクレードル14を介して近距離高速無線通信を行う機能を有する。上述したように、クレードルは図2Aに示すように機器の外部に設けられていてもよいし、独立して設けられていなくてもよい。後者の場合、図2Bに示すように、通信部151が、携帯端末13と通信を実行できるように、上記のクレードルの機能も有する。
【0027】
認証部152、通信を確立する際に行われる認証処理を実行する。具体的には、クライアント、サーバ及びアドレスの確認等が行われる。認証部134は、例えば、インターネットプロトコル(IP)や、ポイントツーポイントプロトコル(PPP)等を使用することが可能であるが、これらに限定されない。
【0028】
暗号/復号部153は、コンテンツを暗号化(エンコード)する機能及び暗号化されているコンテンツを復号(デコード)する機能を有する。暗号化及び復号化は当該技術分野における適切な如何なる方式で行われてもよい。暗号/復号部153は、ディジタルコンテンツの安全な通信を行うために、ディジタル著作権管理(DRM)方式に従って暗号化及び復号化を行うことができる。更に、暗号/復号部153は、DLNA方式で接続された機器との通信に相応しい方式(具体的には、DTCP-IP方式)で暗号化及び復号化を行うこともできる。
【0029】
情報処理部154は、コンテンツのやりとりに必要な処理及びその他の機器において必要な処理を実行する。DLNA方式で携帯端末13とLAN15とが接続される場合、機器はDLNAクライアントとして機能する。情報処理部154は機器がDLNAクライアントとして機能するのに必要な情報処理を行う。
【0030】
記憶部155は、携帯端末から取得したコンテンツを格納(保存)する。記憶部155は、機器に内蔵された内蔵メモリでもよいし、外付けの外部メモリでもよい。上述したように、コンテンツは、コンテンツに付随する情報としてメタデータを含む。一般的には、メタデータはコンテンツのタイトル、説明文、作成日等を含むが、本実施形態におけるメタデータは、コンテンツを再生することが可能な機器の情報(機器の条件を示す情報)も含んでいる。この機器の情報(機器の条件を示す情報)は、コンテンツのプロバイダが作成してもよいし、ユーザが作成してもよい。プロバイダが作成する場合、機器の情報(機器の条件を示す情報)は、機器の名称、機器の型番、機器の仕様及び機器の製造元等を示す情報を含む。機器の仕様は、例えば、表示に適した画面のサイズである。ユーザが作成する場合、機器の情報(機器の条件を示す情報)は、コンテンツの内容に応じた分類又は種別を示す情報を含む。例えば、あるコンテンツが子供向けの番組であることや、大人向けの番組であること等を示す分類又は種別の識別子が、コンテンツのメタデータに含まれていてもよい。なお、機器の情報にユーザが作成した情報が含まれることは必須ではないが、コンテンツの内容に応じて転送先を適宜決定できるようにする観点からは、そのような情報を機器の情報に含めることが好ましい。
【0031】
記憶部155は、機器情報も格納(保存)している。機器情報も、コンテンツのメタデータと同様に、機器の製造元が作成した情報に加えて、ユーザが作成した情報を含んでもよい。製造元が作成した情報は、機器の名称、機器の型番、機器の仕様及び機器の製造元等を示す情報を含む。機器の仕様は、例えば、表示に適した画面のサイズである。ユーザが作成した情報は、コンテンツの内容に応じた分類又は種別を示す情報を含む。例えば、機器が子供部屋に設置されている場合、その機器は子供向けのコンテンツを再生することに適している。この場合、その機器の機器情報として、「子供向番組」を示す識別子が含められる。また、機器が祖父母の部屋に設置されている場合、その機器は大人向けのコンテンツを再生することに適している。この場合、その機器の機器情報として、「大人向番組」を示す識別子が含められる。更に、機器がリビングに設置されている場合、その機器は、特定の種類のコンテンツを再生することに特化されるべきではない。この場合、その機器の機器情報として、特定の分類を示す識別子は含められない。なお、機器情報にユーザが作成した情報が含まれることは必須ではないが、コンテンツの内容に応じて転送先を適宜決定できるようにする観点からは、そのような情報を機器情報に含めることが好ましい。
【0032】
<3.動作例>
以下、図1及び図2A(又は図2B)に示されている携帯端末13に関して行われる動作例を説明する。図3は携帯端末13及び機器の間のやりとりを概念的に示し、図4は携帯端末13が転送先を決定する際のフローチャートを示す。携帯端末13は、3つのコンテンツC#1、C#2、C#3を記憶部131に既に保存している。各コンテンツC#1-3のメタデータは、コンテンツを再生することが可能な機器の情報(名称、型番、仕様及び製造元等)を含み、コンテンツC#1、C#3の場合は更に、ユーザが設定した情報を含む。具体的には、「子供向番組」及び「大人向番組」という分類を示す情報が、ユーザによりコンテンツC#1、C#3のメタデータにそれぞれ加えられている。すなわち、コンテンツC#1は子供が視聴するのに適している、とユーザは考えている。また、コンテンツC#3は大人が視聴するのに適している、とユーザは考えている。携帯端末13のユーザは、これらのコンテンツを自身の家庭LAN15内の機器と共用することを希望している。家庭内LAN15には、リビングの大型テレビジョン、祖父母の部屋のテレビジョン、及び子供部屋のパーソナルコンピュータが接続されている。
【0033】
図3のステップS1において、ユーザは携帯端末13をクレードル14に接近又は接触させる。図示の例の形式のクレードルの場合、ユーザは、携帯端末13をクレードル14の上に置く。携帯端末13がクレードル14と通信可能になったことに起因して(それをトリガとして)、ステップS2において、LAN15に接続されている個々の機器が各自の機器情報を送信し、携帯端末13がそれらを受信する。
【0034】
ステップS3において、携帯端末13は、コンテンツの転送先を決定する。
【0035】
図4は、図3のステップS3において行われる動作例のフローチャートを示す。フローはステップS40から始まり、ステップS41に進む。
【0036】
ステップS41において、機器を指定するパラメータnが1に初期化される(n=1)。目下の例の場合、LAN15に3台の機器が接続されているので、nは1、2又は3の値をとる。
【0037】
ステップS42において、携帯端末13は、n番目の機器から機器情報を取得する。ステップS42における機器情報の取得は、携帯端末13と機器各々との間の通信セッションを確立するネゴシエーション手順において行われる。
【0038】
ステップS43において、通信端末は、コンテンツに含まれているメタデータと、機器から取得した機器情報とを照合することで、その機器がコンテンツの転送先として相応しいか否かを判断する。上述したように、コンテンツのメタデータは、プロバイダが作成した情報と、ユーザが作成した情報とを含む。
【0039】
先ず、メタデータの内プロバイダが作成した情報とn番目の機器から取得した機器情報とを照合することで、そのコンテンツをその機器に送信することが技術的に可能であるか否かが判断される。すなわち、コンテンツのメタデータとしてプロバイダが作成した情報により指定されている機器の名称、型番、仕様、製造元等と、n番目の機器の機器情報が示す名称、型番、仕様、製造元等とが、照合される。例えば、コンテンツのメタデータが示すメモリ容量(仕様として規定される)が、n番目の機器で再生可能な容量を上回っていた場合、n番目の機器は、そのコンテンツの転送先として相応しくないと判断される。説明の便宜上、目下の例における上記の3つのコンテンツC#1、C#2、C#3は、技術的には、何れの機器に転送することも可能であるとする。
【0040】
次に、コンテンツを転送することが技術的には可能な機器が、ユーザにより設定された転送先の条件に合致するか否かが判断される。説明の便宜上、プロバイダが作成した情報と機器情報とを照合した後に、ユーザにより設定された転送先の条件と機器情報とを照合するように説明しているが、実際の処理は必ずしもこの順序で行われなくてよい。全ての条件が同時に判断されてもよい。転送先の条件は、ユーザがコンテンツのメタデータとして指定することができる。目下の例の場合、携帯端末13のユーザは、コンテンツC#1を「子供向番組」として分類し、その分類の識別子をコンテンツのメタデータに加えている。また、このユーザは、コンテンツC#3を「子供向番組」として分類し、その分類の識別子をコンテンツのメタデータに加えている。携帯端末13は、メタデータの内ユーザが作成した情報とn番目の機器から取得した機器情報とを照合することで、そのコンテンツをその機器に送信することがユーザの意向に沿っているか否かが判断される。すなわち、コンテンツのメタデータとしてユーザが作成した情報により指定されている分類の識別子と、n番目の機器が再生するのに適した番組の識別子(機器情報に含まれている)とが、照合される。例えば、コンテンツのメタデータが「子供向番組」という分類の識別子を有していた場合、n番目の機器の機器情報に「子供向番組」の分類の識別子が含まれているか否かが判定され、n番目の機器がそのコンテンツの転送先として相応しいか否かが判断される。
【0041】
目下の例の場合において、コンテンツC#1のようにメタデータが「子供向番組」という分類の識別子を有していた場合、子供部屋のパーソナルコンピュータの機器情報には「子供向番組」の分類の識別子が含まれているので、このパーソナルコンピュータはコンテンツC#1の転送先として相応しいと判断される。しかしながら、祖父母の部屋のテレビジョンの機器情報には「子供向番組」の分類の識別子が含まれていないので、このテレビジョンはコンテンツC#1の転送先として相応しくないと判断される。
【0042】
また、コンテンツC#3のようにメタデータが「大人向番組」という分類の識別子を有していた場合、祖父母の部屋のテレビジョンの機器情報には「大人向番組」の分類の識別子が含まれているので、このテレビジョンはコンテンツC#3の転送先として相応しいと判断される。しかしながら、子供部屋のパーソナルコンピュータの機器情報には「大人向番組」の分類の識別子が含まれていないので、このパーソナルコンピュータはコンテンツC#3の転送先として相応しくないと判断される。
【0043】
なお、コンテンツC#2のようにメタデータが特定の分類の識別子を有していなかった場合、技術的に転送が可能であれば、その機器は転送先として相応しいと判断される。目下の例の場合、子供部屋のパーソナルコンピュータ、リビングの大型テレビジョン及び祖父母の部屋のテレビジョンは、何れもコンテンツC#2の転送先として相応しいと判断される。
【0044】
ステップS43においてコンテンツの転送先が判定されると、フローはステップS44に進む。
【0045】
ステップS44において、機器を指定するパラメータnが1つインクリメントされる。
【0046】
ステップS45において、機器を指定するパラメータnが最大値MAXを超えたか否かが判定される。目下の例の場合、MAX=3である。機器を指定するパラメータnが最大値MAXを超えていなかった場合、フローはステップS42に戻り、別の機器(n+1)についてそれが転送先として相応しいか否かが判定される。機器を指定するパラメータnが最大値MAXを超えていた場合、フローはステップS46に進み、転送先を決定する処理は終了する。
【0047】
図3のステップS4において、携帯端末13は、転送先として相応しいと判断された1つ以上の機器にコンテンツを転送する。言い換えれば、ステップS43において転送先として相応しいと判断された機器のアドレス宛に、コンテンツが転送される。目下の例の場合、コンテンツC#1が子供部屋のパーソナルコンピュータに転送され、コンテンツC#2が全ての機器に転送され、コンテンツC#3が祖父母のテレビジョンに転送される。これにより、転送先として相応しくない機器へコンテンツが無駄に転送されてしまうことは効果的に回避される。また、ユーザが意図した転送先に限ってコンテンツを転送することも可能になる。
【0048】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、それらは単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。例えば、本発明は、携帯端末から1つ以上の機器へコンテンツを転送する適切な如何なる通信システムに適用されてもよい。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。実施例又は項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。機能ブロック図における機能部又は処理部の境界は必ずしも物理的な部品の境界に対応するとは限らない。複数の機能部の動作が物理的には1つの部品で行われてもよいし、あるいは1つの機能部の動作が物理的には複数の部品により行われてもよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に用意されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【符号の説明】
【0049】
11 外部機器
13 携帯端末
15 LAN
131 記憶部
132 暗号/復号部
133 情報処理部
134 認証部
135 通信制御部
136 通信部
141 端末側通信部
142 機器側通信部
151 通信部
152 認証部
153 暗号/復号部
154 情報処理部
155 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを記憶する記憶部と、
1つ以上の機器が通信可能に接続されているネットワークにおいて通信を行う通信部と、
前記コンテンツに含まれているメタデータと前記通信部が前記1つ以上の機器から取得した機器情報とを照合することで、前記コンテンツの転送先となる機器を決定する通信制御部と
を有し、前記通信部は、前記転送先である機器へ前記コンテンツを転送する、通信端末。
【請求項2】
前記通信部は、前記ネットワークにおいて前記1つ以上の機器との間で通信セッションを確立するネゴシエーション手順により、前記1つ以上の機器から前記機器情報を取得する、請求項1記載の通信端末。
【請求項3】
前記機器情報は、名称、型番、仕様及び製造元の内の1つ以上の情報を含み、前記メタデータは、コンテンツを再生することが可能な機器の情報として前記機器情報に含まれている情報を含む、請求項1又は2に記載の通信端末。
【請求項4】
前記メタデータは、コンテンツのプロバイダが作成した情報に加えて、ユーザが作成した情報も含む、請求項1ないし3の何れか1項に記載の通信端末。
【請求項5】
コンテンツを記憶部に記憶し、
ネットワークを介して1つ以上の機器から機器情報を取得し、
前記コンテンツに含まれているメタデータと前記1つ以上の機器から取得した機器情報とを照合することで、前記コンテンツの転送先となる機器を決定し、
前記転送先である機器へ前記コンテンツを転送するステップ
を有するコンテンツ転送方法。


【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−110654(P2013−110654A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255541(P2011−255541)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】