説明

通信端末及び警報情報取得方法

【課題】1セグメント放送が複数の放送局により行われている場合において、ユーザが警報情報を見逃してしまうおそれを軽減すること。
【解決手段】通信端末は、地上ディジタル放送を行う複数の放送局のうちの何れかの放送局から1セグメント信号を受信する受信部と、受信部が受信した1セグメント信号をユーザに出力する出力部と、複数の放送局各々から送信される1セグメント信号のうち、警報情報を含む可能性がある付加情報信号が含まれている1セグメント信号を送信している特定の放送局を探すチャネルサーチ部と、ユーザが選択した放送局についての視聴が終了した後に、特定の放送局から受信部が受信した1セグメント信号中の付加情報信号が、警報情報を含んでいるか否かを判定する判定部とを有し、付加情報信号が前記警報情報を含んでいた場合、出力部は警報情報をユーザに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末及び警報情報取得方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末用の地上ディジタル放送として、いわゆる「ワンセグ」サービスが行われている。各放送局は、13個のセグメントを含む周波数リソース又はチャネルを用いて、各自の放送信号を送信する。この13個のセグメントの内の1つが携帯端末用に使用される。ワンセグで使用される1セグメントの放送信号(1セグメント信号)は、概して、音声や映像等を表す送信データと、制御情報(Transmission and Multiplexing Configuration Control: TMCC)と、パイロット信号(Scattered Pilot: SP)と、将来的な拡張用の付加情報信号(Auxiliary Channel: AC)とを含む。現在、このAC信号を利用して、地震動警報等のような警報情報を放送することが検討されている。この点については、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-239334号公報(段落[0004]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に地上ディジタル放送を行う放送局は多数存在し、それらの各々にチャネル又は周波数リソースが割り当てられている。各放送局が各自の1セグメント信号を放送する場合に、AC信号で警報情報を放送することは必須ではない。すなわち、ある放送局はAC信号で警報情報を放送するが、別の放送局はそのようなAC信号を送信しないことが予想される。放送局が警報情報をAC信号に含める運用を行っているか否かは、ユーザにとって既知の情報ではない。このため、警報情報をAC信号に含める運用を行っていない放送局の番組を視聴するユーザは警報情報を速やかには知ることができない、という問題が懸念される。
【0005】
本発明の課題は、地上ディジタルテレビジョン放送における1セグメント放送が複数の放送局により行われている場合において、ユーザが警報情報を見逃してしまうおそれを軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施例による通信端末は、
地上ディジタル放送を行う複数の放送局のうちの何れかの放送局から1セグメント信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した1セグメント信号をユーザに出力する出力部と、
前記複数の放送局各々から送信される1セグメント信号のうち、警報情報を含む可能性がある付加情報信号が含まれている1セグメント信号を送信している特定の放送局を探すチャネルサーチ部と、
前記ユーザが選択した放送局についての視聴が終了した後に、前記特定の放送局から前記受信部が受信した1セグメント信号中の付加情報信号が、前記警報情報を含んでいるか否かを判定する判定部と
を有し、前記付加情報信号が前記警報情報を含んでいた場合、前記出力部は該警報情報を前記ユーザに出力する、通信端末である。
【発明の効果】
【0007】
一実施例によれば、地上ディジタルテレビジョン放送における1セグメント放送が複数の放送局により行われている場合において、ユーザが警報情報を見逃してしまうおそれを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例で使用可能な通信システムの概略図。
【図2】第1の形態における通信端末の機能ブロック図。
【図3】第1の形態における動作例を示すフローチャート。
【図4】第2の形態における通信端末の機能ブロック図。
【図5】第2の形態における動作例を示すフローチャート。
【図6】第3の形態における通信端末の機能ブロック図。
【図7】第3の形態における動作例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施例によれば、ユーザが、警報情報をAC信号に含める運用を行っていない第1の放送局を選択したとしても、番組の視聴後に、通信端末はそのような運用を行っている第2の放送局を自動的に選局し、その第2の放送局からのAC信号を監視し、警報情報が検出されると速やかにそれをユーザに提示する。これにより、ユーザが警報情報を見逃してしまうおそれを大幅に軽減することができる。
【0010】
以下、添付図面を参照しながら実施例を説明する。図中、同様な要素には同じ参照番号又は参照符号が付されている。実施例は次の観点から説明される。
【0011】
1.通信システム
2.第1の形態
2.1 通信端末
2.2 動作例
3.第2の形態
3.1 通信端末
3.2 動作例
4.第3の形態
4.1 通信端末
4.2 動作例
【実施例1】
【0012】
<1.通信システム>
図1は、実施例で使用可能な通信システムの概略図を示す。図1には通信システムに備わる様々なノード、要素及び処理部の内、実施例に特に関連するものが示されている。図示されているように、地震のような緊急事態が発生した場合、気象庁は緊急地震速報の情報を複数の放送局の各々に配信する。図示の簡明化のため、第1及び第2の2つの放送局しか描かれていないが、実際には多数の放送局が存在する。気象庁に限らず、例えば自治体のような何らかの権限を有する組織や機関が情報を配信してもよい。また、緊急地震速報だけでなく、警報を促す任意の警報情報が配信されてもよい。例えば、津波警報、高潮警報、洪水警報、火山現象警報等の情報が配信されてもよい。更に、自然災害に起因する情報だけでなく、国際紛争等のような人災に起因する情報が配信されてもよい。
【0013】
第1及び第2の放送局は、それぞれ地上ディジタル放送を行っている放送局である。第1及び第2の放送局は、各自に割り当てられたチャネル又は周波数リソースを利用して、各自の番組を放送する。特に、各放送局は、13セグメントの内の1つを用いて1セグメント放送を行う。1セグメント放送の放送信号(1セグメント信号)は、音声や映像等を表す送信データと、制御情報(TMCC)と、パイロット信号(SP)と、将来的な拡張用の付加情報信号(Auxiliary Channel: AC)とを含む。第1の放送局は、1セグメント信号中のAC信号に、緊急地震速報のような警報情報を含める運用を行っていない放送局である。これに対して、第2の放送局は、1セグメント信号中のAC信号に、緊急地震速報のような警報情報を含める運用を行っている放送局である。
【0014】
各放送局が配信する1セグメント信号は、所定のエリア内のユーザに対して無線送信される。放送局とその放送局が使用するチャネル(周波数)との対応関係は、地域毎に予め決められている。その地域が「所定のエリア」に該当する。第1の放送局を選択しているユーザの通信端末は、第1の放送局からの1セグメント信号を受信する。第1の放送局は、警報情報をAC信号に含める運用を行っていないので、第1の放送局からの1セグメント信号を受信するユーザは、警報情報の存在に速やかには気付くことができない。第2の放送局は、警報情報をAC信号に含める運用を行っているので、第2の放送局からの1セグメント信号を受信するユーザは、警報情報の存在に速やかに気付くことができる。本実施例によれば、ユーザがどの放送局を選択していたとしても、ユーザは警報情報を適切に受信することができる。
【0015】
以下、本発明の実施例を3つの形態の観点から更に説明するが、各形態は単独に使用されてもよいし、2つ以上の形態が組み合わせられてもよい。
【0016】
<2.第1の形態>
<<2.1 通信端末>>
図2は、図1に示す通信システムにおいて使用可能な第1の形態における通信端末の機能ブロック図を示す。図2には通信端末に備わる様々な処理部又は機能部のうち実施例に特に関連するものが示されている。通信端末は、地上ディジタル放送を受信することが可能な適切な如何なる装置でもよい。通信端末は、具体的には、ユーザ装置、携帯電話、情報端末、高機能携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、パーソナルディジタルアシスタント、携帯用パーソナルコンピュータ、パームトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ等であるが、これらに限定されない。通信端末は、無線部201、第1の信号復号部203、第2の信号復号部205、ワンセグ操作部207、表示部209、スピーカ211、AC信号情報保存部213、AC信号間欠受信指示部215、AC信号判定部217、AC信号スキャン指示部219、警報情報判定部221及び提供情報生成部223を少なくとも有する。
【0017】
無線部201は、地上ディジタル放送の放送信号を受信し、それをベースバンド信号に変換する。特に、無線部201は、直交周波数分割多重(OFDM)方式により送信されている1セグメント放送の信号(1セグメント信号)を受信する。図示の簡明化のため詳細には図示されていないが、無線部201には、周波数フィルタ、増幅部、周波数変換部等の機能部が存在する。
【0018】
第1の信号復号部203は、第1の放送局のチャネルから受信した1セグメント信号を復調及び復号する。第1の放送局は、1セグメント信号中のAC信号に、緊急地震速報のような警報情報を含める運用を行っていない放送局である。
【0019】
第2の信号復号部205、第2の放送局のチャネルから受信した1セグメント信号を復調及び復号する。第2の放送局は、第1の放送局とは異なり、1セグメント信号中のAC信号に、緊急地震速報のような警報情報を含める運用を行っている放送局である。
【0020】
説明の便宜上、2つの放送局に対する信号復号部しか図示されていないが、任意の数の放送局に対する信号復号部が存在してもよい。図示の例の場合、AC信号に警報情報を含める運用を行っていない1つ以上の放送局からの信号は、第1の信号復号部203により処理され、そのような運用を行っている1つ以上の放送局からの信号は、第2の信号復号部205により処理されるものとする。
【0021】
ワンセグ操作部207は、ワンセグによるサービスのための操作を可能にするユーザインタフェースである。ワンセグ操作部207により、ユーザは、ワンセグ放送を受信する機能の起動及び終了(ON/OFF)、放送局の選択等を行うことができる。ワンセグ操作部207は、典型的には選択可能なボタンを含むが、キーボード、マウス、トラックボール等のような任意の機械的なインタフェースを備えていてもよい。更には、ワンセグ操作部207は、ユーザが喋った操作を実行できるように、マイクロフォンのような音声入力インタフェースとして機能してもよい。本実施例において、ワンセグ操作部207は、ユーザが選択した放送局の履歴、現在選択されている放送局のチャネル又はワンセグ機能をOFFにする直前に選択していた放送局のチャネルが何であるかを記録する。
【0022】
表示部209は、ユーザに情報を視覚的に出力する視覚的なインタフェースである。具体的には、表示部209は、ディスプレイ、キーパッドを備えた制御パネル、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELパネル、タッチスクリーン等であるが、これらに限定されない。本実施例において、表示部209は、接触感知式の透明パネルでカバーされており、通信端末の動作を制御するためのユーザの指の動きを検知することができる。表示部209及びワンセグ操作部207の区分けは厳密なものではなく、ワンセグのための操作に関し、表示部209もワンセグ操作部207もユーザが情報を入出力するためのユーザインタフェースとして機能する。
【0023】
スピーカ211は、ユーザに情報を音声で出力する聴覚的なインタフェースである。典型的には、スピーカ211は1セグメント信号に含まれている音声を出力するが、操作方法等を案内するガイダンスの音声が必要に応じて出力されてもよい。
【0024】
AC信号情報保存部213は、AC信号に関する情報を保存する。AC信号に関する情報は、具体的には、どの放送局が警報情報をAC信号に含める運用を行っているかを示す情報、AC信号を取得するための情報(例えば、1セグメント信号のフレーム構成、放送局がAC信号を間欠的に送信するタイミング)等であるが、これらに限定されない。後述するように、通信端末は、ユーザにより選択された放送局が、警報情報をAC信号に含める運用を行っていなかった場合、そのような運用を行っている放送局を探し出し、AC信号情報保存部にその情報を保存する。
【0025】
AC信号間欠受信指示部215は、ユーザによる1セグメント放送の視聴が終了した後に、特定の放送局からの1セグメント信号を間欠的に受信し、受信した1セグメント信号の部分からAC信号を抽出できるように、無線部201に指示を与える。特定の放送局は、原則として、警報情報をAC信号に含める運用を行っている放送局であるが、そのような放送局が未知である場合には、ユーザが最後に選択した放送局(視聴終了の直前に選択していた放送局)である。技術的には、1セグメント信号を常時受信していてもよいが、バッテリセービングの観点からはAC信号が含まれているタイミングで起動し、他の期間ではバッテリを節約することが望ましい。
【0026】
AC信号判定部217は、警報情報をAC信号に含める運用を行っている放送局から、AC信号を適切に受信できているか否かを判定する。目下の例の場合、第1の放送局はそのような運用を行っておらず、第2の放送局がそのような運用を行っている。従って、第1の信号復号部203で復号した1セグメント信号は、AC信号判定部217における判定の対象外であり、第2の信号復号部203で復号した1セグメント信号が、AC信号判定部217における判定の対象となる。警報情報をAC信号に含める運用を行っている放送局から、AC信号を適切に受信できているか否かは、適切な如何なる基準で判定されてもよい。一例として、そのようなAC信号を一定期間以上受信できなかった場合に、AC信号は適切に受信できていないと判定されてもよい。AC信号が適切に受信できていないと判断された場合、AC信号判定部217は、AC信号スキャン指示部219にチャネルのサーチ(走査又は探索)を開始すべきことを通知する。
【0027】
AC信号スキャン指示部219は、無線部201と協同して、1セグメント放送を行っている複数の放送局の内、警報情報をAC信号に含める運用を行っている放送局を発見する又は探し出す。発見された放送局は、1つであるとは限らず、複数個発見される場合もある。複数個発見された場合は、何らかの判断基準に従って何れか1つの放送局が選択される。一例として、受信レベル又は受信品質が相対的に良い放送局が選択されてもよい。何れにせよ、発見された放送局が何であるかの情報は、AC信号情報保存部に保存され、以後のAC信号の間欠受信に使用される。
【0028】
警報情報判定部221は、AC信号が適切に受信できていた場合に、受信したAC信号に警報情報が含まれているか否かを判定する。自然災害又は人災による緊急事態が生じていなかった場合、AC信号に警報情報は含まれていない。
【0029】
提供情報生成部223は、AC信号に警報情報が含まれていた場合に、その警報情報から、ユーザに提供又は出力する提供情報を生成する。提供情報は、表示部209を通じて視覚的に表示されてもよいし、スピーカ211を通じて聴覚的に出力されてもよいし、それら双方で出力されてもよい。更に、ユーザに提供情報を提供する際に、バイブレータを起動してユーザに注意を促してもよい。
【0030】
<<2.2 動作例>>
図3は、図2に示されている第1形態の通信端末における動作例を示す。動作の前提として、通信端末のユーザは、第1の放送局を選択し、1セグメント放送の放送信号(1セグメント信号)を視聴している。第1の放送局は、警報情報をAC信号に含める運用を行っていない放送局である。従って、第1の放送局からの1セグメント信号を受信している限り、緊急事態が発生した際に、ユーザは警報情報を受けることができない。
【0031】
ステップS301において、ユーザは、第1の放送局からの1セグメント信号の視聴を終了する。具体的には、ユーザは、図2のワンセグ操作部207又は表示部209を用いて、ワンセグ放送の視聴を終了する操作(例えば、OFFにする操作)を実行する。通信端末は、ユーザが第1の放送局の番組を視聴していたことを示す情報を保存する。そのような情報は番組の視聴の履歴情報として保存されてもよいし、最後に選択されていたチャネルのみを示す情報として保存されてもよい。
【0032】
ステップS303において、通信端末は、第2の放送局の1セグメント信号を間欠的に受信することで、AC信号を取得する。第2の放送局は、警報情報をAC信号に含める運用を行っている放送局である。すなわち、ステップS303において、通信端末は、ユーザによる視聴が終了したこと(ステップS301)に応じて、無線部201の同調周波数を第1の放送局のチャネルから第2の放送局のチャネルに変更し、第2の放送局からの1セグメント信号を間欠的に受信する。通信端末が、同調するチャネルを変更して第2の放送局からの1セグメント信号を間欠受信していることは、ユーザにとって意識されなくてよい。緊急事態の際に警報情報をAC信号に含める運用をどの放送局が行っているかを示す情報は、図2のAC信号情報保存部213に保存されている。警報情報をAC信号に含める運用を行っている放送局が何であるかが判明していない場合は、通信端末は、ステップS301において、ユーザが視聴し終わったばかりの放送局(この場合は、第1の放送局)からの1セグメント信号を間欠受信する。従って、ステップS301においてユーザがワンセグを視聴する機能をOFFにしたとしても、通信端末がAC信号を間欠受信する機能はディセーブルになっておらず、ユーザに意識されずにAC信号の間欠受信が実行される。ただし、ユーザに意識されないことは必須ではなく、同調周波数が変更されて第2の放送局からの1セグメント信号が間欠受信されていることがユーザに分かるように、何らかの表示がなされてもよい。
【0033】
ステップS305において、通信端末は、警報情報をAC信号に含める運用を行っている放送局から、適切にAC信号を取得できているか否かを判定する。この判定は適切な如何なる基準で行われてもよい。一例として、警報情報をAC信号に含める運用を行っている放送局から、一定期間以上AC信号を受信できなかった場合に、適切にAC信号が取得できていない、と判定されてもよい。例えば、ユーザが移動して第2の放送局からの信号を受信できなくなった場合、ステップS305における判断はNOになり、フローはステップS307に進む。上述したように、ステップS303において、警報情報をAC信号に含める運用を行っている放送局が何であるかが判明していなかった場合、ユーザが視聴し終わったばかりの放送局(この場合は、第1の放送局)からの1セグメント信号が間欠受信される。この場合も、適切なAC信号は受信されていないことになるので、ステップS305における判断はNOになり、フローはステップS307に進む。
【0034】
ステップS307において、通信端末は、受信可能な1セグメント信号の中から、警報情報をAC信号に含める運用を行っている放送局からの1セグメント信号を探し出す。通常、1つの受信エリアにおいて、1セグメント信号を放送している放送局は複数存在しているので、そのような運用を行っている放送局が、1つ以上発見される可能性がある。発見されない場合もあるが、その場合はステップS303、S305及びS307の処理が反覆される。複数の放送局が発見された場合、通信端末は、何らかの判断基準に基づいて、何れか1つの放送局を選択する。一例として、放送局A、B、Cが発見された場合に、通信端末にとって受信レベルが相対的に強い1セグメント信号を送信していた放送局(例えば、放送局A)が選択されてもよい。あるいは、受信レベルが所定値以上の複数の放送局(例えば、放送局A、B)の中からランダムに1つの放送局(例えば、放送局B)が選択されてもよいし、放送局の識別番号の小さいもの又は大きいものが選択されてもよい。放送局を探索する労力を軽減する観点からは、警報情報をAC信号に含める運用を行っている何れか1つの放送局が発見された時点で、探索が打ち切られてもよい。何れにせよ、何らかの1つの放送局が特定され、ステップS303に戻り、その放送局からのAC信号が間欠的に受信される。
【0035】
ステップS305においてAC信号が適切に受信されている、と判断された場合、フローはステップS309に進む。
【0036】
ステップS309において、通信端末は、間欠的に受信しているAC信号に警報情報が含まれているか否かを判定する。地震等のような緊急事態が生じていない場合、そのような警報情報はAC信号に含まれていない。地震等のような緊急事態が生じている場合に、そのような警報情報がAC信号に含まれる。警報情報がAC信号に含まれていた場合、フローはステップS311に進む。
【0037】
ステップS311において、通信端末は、受信した警報情報をユーザインタフェースを通じてユーザに出力する。一例として、警報情報が地震動警報であった場合、震源地、マグニチュード、各地の震度、津波のおそれ等を示す情報が、表示部209に表示される。
【0038】
ステップS309において、間欠受信しているAC信号が如何なる警報情報も含んでいなかった場合、フローはステップS313に進む。
【0039】
ステップS313において、通信端末は、ユーザがワンセグを視聴するための操作を行ったか否かを確認する。ユーザがそのような操作を行った場合、フローはステップS315に進む。
【0040】
ステップS315において、通信端末は、ワンセグを視聴する機能を起動する。この場合、通信端末は、無線部201の同調周波数を、ステップS301において記憶した放送局のチャネルに戻した後に、ワンセグを視聴する機能を起動する。例えば、ステップS301において第1の放送局を視聴し終わった後に、ステップS303において第2の放送局のAC信号が監視され、ステップS305、S309及びS313を経てステップS315に至ったとする。この場合、通信端末は、同調周波数を第1の放送局のチャネルに変更し、第1の放送局の1セグメント信号の受信し、表示部209及びスピーカ211を通じて番組の視聴を可能にする。このように放送局のチャネルを元に戻すことで、ユーザは違和感なく視聴を行うことができる。
【0041】
一方、ステップS313において、ワンセグを視聴するための操作を行わなかった場合、フローはステップS303に戻り、引き続きAC信号の間欠受信が行われる。以後、説明済みの処理が行われる。
【0042】
本動作例によれば、ユーザが、警報情報をAC信号に含める運用を行っていない第1の放送局を選択したとしても、その視聴後に、通信端末は、そのような運用を行っている第2の放送局を自動的に選局してAC信号を監視する。警報情報が検出されると速やかにそれをユーザに提示する。これにより、ユーザが警報情報を見逃してしまうおそれを大幅に軽減できる。
【0043】
<3.第2の形態>
<<3.1 通信端末>>
第1の形態では、AC信号を適切に受信できているか否かが判定され(図2の217及び図3のステップS305)、適切に受信できていなかった場合に、チャネルのサーチが行われていた(図2の219及び図3のS307)。しかしながら本発明はこの形態に限定されず、第2の形態は、別の観点からチャネルのサーチが行えるようにする。
【0044】
例えば、地域Rにおいて第2の放送局が警報情報をAC信号に含める運用を行っている放送局であり、別の地域Sにおいて第3の放送局がそのような運用を行っていない放送局であり、第2及び第3の放送局は共に同じチャネルCH-Xを使用していたとする。ユーザは、地域Rに在圏している限り、第2の放送局からの1セグメント信号を間欠受信することで、警報情報を含むAC信号を受信できる。しかしながら、このユーザが地域Sに在圏するようになると、チャネルCH-Xを通じて間欠受信する1セグメント信号は、第2の放送局ではなく第3の放送局になり、警報情報を含むAC信号を受信できなくなってしまう。第2の形態はこのような問題に対処する。
【0045】
図4は第2の形態において使用可能な通信端末の機能ブロック図を示す。この通信端末も図1に示すような通信システムで使用することができる。通信端末は、概して図3に示すものと同様であるが、図3のAC信号判定部217の代わりに、ネットワークID判定部401が備わっている点が主に異なる。ただし、図2のAC信号判定部217が備わっていないことは、第2の形態に必須ではなく図示の簡明化のためであるに過ぎない。図2のAC信号判定部217に加えて、図4のネットワークID判定部401が備わっていてもよい。
【0046】
一般に、放送局が1セグメント信号を放送する場合、その1セグメント信号には放送局に固有の識別子(ネットワーク識別子又はネットワークID)が含まれている。上記の例の場合、地域RにおいてチャネルCH-Xにより受信する1セグメント信号は、第2の放送局を示すネットワークID(ID-2)を含んでいる。地域SにおいてチャネルCH-Xにより受信する1セグメント信号は、第3の放送局を示すネットワークID(ID-3)を含んでいる。ネットワークID判定部401は、受信した1セグメント信号に含まれているネットワークIDを監視し、それが変化したか否かを判定する。ネットワークIDが変化した場合、受信エリアが変わっているので、ネットワークID判定部401はAC信号スキャン指示部に対してチャネルのサーチを促す。
【0047】
<<3.2 動作例>>
図5は図4に示されている第2形態の通信端末における動作例を示す。概して図3に示されている動作例と同様であるが、ステップS305の代わりにステップS501の処理が行われる点が主に相違する。ステップS501では、通信端末は、受信した1セグメント信号に含まれているネットワークIDを監視し、それが変化したか否かを判定する。変化していた場合、フローはステップS501からステップS307に進み、チャネルのサーチが行われる。これにより、受信エリアが変わったとしても、警報情報をAC信号に含める運用を行っている放送局を探し出し、その放送局からAC信号を適切に受信し続けることができる。
【0048】
なお、説明の簡明化のため、図5のフローでは第1形態の図3のステップS305の処理の代わりに、ステップS501の処理が行われているが、このことは必須ではない。図3のステップS305の処理と図5のステップS501の処理の双方が行われてもよい。双方が行われる場合には、AC信号が適切に受信できなかった場合(S305)又はネットワークIDが変化した場合(S501)に、フローがステップS307に進むようにしてもよい。あるいは、AC信号が適切に受信できなかった場合(S305)であって、ネットワークIDが変化した場合(S501)にのみ、フローがステップS307に進んでもよい。
【0049】
<4.第3の形態>
<<4.1 通信端末>>
第2の形態では、ネットワークIDの変化を監視することで、チャネルのサーチを行う契機を決定していた。しかしながら本発明はこの形態に限定されず、第3の形態は、別の観点からチャネルのサーチが行えるようにする。
【0050】
ユーザが在圏する受信エリアの変更は、ユーザ又は通信端末の位置情報から直接的に判定されてもよい。第3の形態は、このような観点からチャネルのサーチを行う。
【0051】
図6は第3の形態において使用可能な通信端末の機能ブロック図を示す。この通信端末も図1に示すような通信システムで使用することができる。通信端末は、概して図3及び5に示すものと同様であるが、図2のAC信号判定部217及び図4のネットワークID判定部401が備わっていない代わりに、第2の無線部601、位置情報算出部603及び受信エリア判定部605が備わっている点が、主に異なる。ただし、図2のAC信号判定部217及び図4のネットワークID判定部401が備わっていないことは、第3の形態に必須ではなく図示の簡明化のためであるに過ぎない。図2のAC信号判定部217及び図4のネットワークID判定部401の双方又は一方が追加的に備わっていてもよい。
【0052】
第2の無線部601は、位置情報を取得するための無線信号を受信する。そのような無線信号は、典型的には、グローバルポジショニングシステム(GPS)の人工衛星から受信する信号であるが、これに限定されない。例えば、テレビジョン放送の受信エリアは100kmにも及ぶ広範な地域であるが、セルラ電話のセルは数km程度であるので、セルラ基地局の位置が、テレビジョン放送の受信エリアの判定の際にユーザの位置として代用されてもよい。
【0053】
位置情報算出部603は、第2の無線部601により受信した無線信号から位置情報を取得する。無線信号がGPSの人工衛星からの信号であった場合、位置情報は、緯度及び経度により表現される。無線信号がセルラ基地局から得られたものであった場合、位置情報は、セルラ基地局の場所により表現される。
【0054】
受信エリア判定部605は、位置情報算出部603で求められた位置情報に基づいて、ユーザ又は通信端末が在圏しているテレビジョン放送の受信エリアを判定する。受信エリアの判定は、ユーザの現在地と受信エリアを地図上に示すことで判定されてもよい。受信エリアが変わっている、と判定された場合、受信エリア判定部605はAC信号スキャン指示部219に対してチャネルのサーチを促す。受信エリアは変わっていない、と判定された場合、受信エリア判定部605はAC信号スキャン指示部219に対してチャネルのサーチを要求しない。
【0055】
<<4.2 動作例>>
図7は図6に示されている第3形態の通信端末における動作例を示す。概して図3に示されている動作例と同様であるが、ステップS305の代わりにステップS701及びS703の処理が行われる点が主に相違する。ステップS701において、通信端末は、位置情報を取得する。ステップS703において、通信端末は、位置情報に基づいて、テレビジョン放送の受信エリアが変わっているか否かを判定する。受信エリアが変更されている、と判定された場合、フローはステップS703からステップS307に進む。受信エリアが変更されていない、と判定された場合、フローはステップS703からステップS309に進む。
【0056】
これにより、受信エリアが変わったとしても、警報情報をAC信号に含める運用を行っている放送局を探し出し、その放送局からAC信号を適切に受信し続けることができる。
【0057】
なお、第3形態のステップS701、S703の処理は、第1形態の図3のステップS305の処理、及び第2形態の図5のステップS501の処理を行わずになされてもよいし、それらとともに行われてもよい。例えば、ステップS303の後に、(1)AC信号が適切に受信できなかった場合、(2)ネットワークIDが変化した場合又は(3)受信エリアが変わったことが位置情報から判定された場合に、フローがステップS307に進んでもよい。あるいは、ステップS303の後に、(1)、(2)及び(3)の内の2つ以上が満たされた場合に、フローがステップS307に進んでもよい。
【0058】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、それらは単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。例えば、本発明は、いわゆるワンセグのサービスを行う適切な如何なる通信システムに適用されてもよい。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。実施例又は項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の実施例又は項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の実施例又は項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。機能ブロック図における機能部又は処理部の区分けは必ずしも物理的な部品の境界に対応するとは限らない。複数の機能部の動作が物理的には1つの部品で行われてもよいし、1つの機能部の動作が物理的には複数の部品により行われてもよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に用意されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【符号の説明】
【0059】
201 無線部
203 第1の信号復号部
205 第2の信号復号部
207 ワンセグ操作部
209 表示部
211 スピーカ
213 AC信号情報保存部
215 AC信号間欠受信指示部
217 AC信号判定部
219 AC信号スキャン指示部
221 警報情報判定部
223 提供情報生成部
401 ネットワークID判定部
601 第2の無線部
603 位置情報算出部
605 受信エリア判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上ディジタル放送を行う複数の放送局のうちの何れかの放送局から1セグメント信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した1セグメント信号をユーザに出力する出力部と、
前記複数の放送局各々から送信される1セグメント信号のうち、警報情報を含む可能性がある付加情報信号が含まれている1セグメント信号を送信している特定の放送局を探すチャネルサーチ部と、
前記ユーザが選択した放送局についての視聴が終了した後に、前記特定の放送局から前記受信部が受信した1セグメント信号中の付加情報信号が、前記警報情報を含んでいるか否かを判定する判定部と
を有し、前記付加情報信号が前記警報情報を含んでいた場合、前記出力部は該警報情報を前記ユーザに出力する、通信端末。
【請求項2】
警報情報を含む可能性がある付加情報信号が含まれている1セグメント信号を一定期間以上受信できなかった場合に、前記チャネルサーチ部は、警報情報を含む可能性がある付加情報信号が含まれている1セグメント信号を送信している特定の放送局を探す、請求項1記載の通信端末。
【請求項3】
前記判定部が前記警報情報の有無を判定する際に前記受信部が受信する1セグメント信号の放送局識別子が変わった場合に、前記チャネルサーチ部は、前記特定の放送局を探す、請求項1記載の通信端末。
【請求項4】
当該通信端末の位置情報を取得する位置情報取得部を更に有し、
当該通信端末が在圏する1セグメント信号の受信エリアが変わった場合に、前記チャネルサーチ部は、前記特定の放送局を探す、請求項1記載の通信端末。
【請求項5】
警報情報を含む可能性がある付加情報信号が含まれている1セグメント信号を送信している送信局が複数個発見された場合、前記チャネルサーチ部は、複数個の送信局のうち受信品質に基づいて選択された放送局を前記特定の放送局として前記判定部に通知する、請求項1ないし4の何れか1項に記載の通信端末。
【請求項6】
警報情報を含む可能性がある付加情報信号が含まれている1セグメント信号を送信している送信局が1つ発見された場合に、前記チャネルサーチ部は、該放送局を前記特定の放送局として前記判定部に通知する、請求項1ないし4の何れか1項に記載の通信端末。
【請求項7】
地上ディジタル放送を行う複数の放送局のうちの何れかの放送局から1セグメント信号を受信してユーザに出力し、
前記ユーザが選択した放送局についての視聴が終了した後に、前記複数の放送局各々から送信される1セグメント信号のうち、警報情報を含む可能性がある付加情報信号が含まれている1セグメント信号を送信している特定の放送局を探し、
前記特定の放送局から受信した1セグメント信号中の付加情報信号が、前記警報情報を含んでいるか否かを判定し、
前記付加情報信号が前記警報情報を含んでいた場合、該警報情報を前記ユーザに出力するステップ
を有する警報情報取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−21513(P2013−21513A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153293(P2011−153293)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】