説明

通信端末及び警報情報取得方法

【課題】第1の通信システムにおいて通信できなくなった場合に第2の通信システムから警報情報を取得する通信端末の電力消費量を削減すること。
【解決手段】通信端末は、第1の通信システムにおける通信信号を受信する第1の受信部と、第2の通信システムにおける通信信号を受信する第2の受信部と、ユーザの位置情報を取得する位置情報取得部と、第1の受信部が通信信号を受信できない場合において、位置情報取得部が前記ユーザの位置情報を取得できた場合に、第2の受信部を起動するモード判定部と、第2の受信部が受信した通信信号から抽出した警報情報を前記ユーザに提供するユーザインタフェース部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信端末及び警報情報取得方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
近年、国内外において未曾有の自然災害が発生しており、災害対策への関心が以前にも増して高まっている。そのような災害による被害を少しでも軽減するため、セルラ方式の多くの移動通信システムは、緊急地震速報等のような緊急警報情報を一斉に同報配信することで、多数のユーザに緊急事態を速やかに通知している。このような同報配信サービスについては、非特許文献1に記載されている。
【0003】
しかしながら、災害時において、セルラ方式の移動通信システムは、基地局の被害やネットワークの輻輳等に起因して通信サービスを提供することが困難になりやすい。これに対して、携帯端末用の地上ディジタル放送を行う通信システムは、そのような災害時においても比較的安定して通信サービスを提供することができる。従って、テレビジョン信号を受信可能な携帯端末のユーザは、災害時においても、テレビジョン信号から緊急警報情報を受信できる。しかしながら、地上ディジタル放送において緊急警報情報を受信するには、携帯端末が地上ディジタル放送の電波を受信している必要がある。すなわち地上ディジタル放送を受信できるように携帯端末が起動している必要があり、携帯端末の消費電力が極めて多くなってしまうことが懸念される。この点、単に待ち受け状態になっていさえすれば、緊急警報情報の同報配信を受信できるセルラ方式の移動通信システムと異なる。
【0004】
このような問題点に鑑み、特許文献1に記載の発明は、テレビ受信機能付きの携帯端末が電子メールを受信したこと又は通信圏外になったことに応じて、テレビ受信機能を起動し、緊急放送を受信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-142744号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】NTT DoCoMo テクニカル・ジャーナルVol.15,No.4,2008年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の発明のように、電子メールを受信した場合や通信圏外になった場合にテレビ受信機能を起動したとしても、必ずしも地上ディジタル放送を適切に受信できるとは限らない。地上ディジタル放送を受信できない場所でテレビジョン受信機能を起動し、電波を受信しようとすることは、携帯端末のような通信端末の電力を無駄に消費してしまうことになる。
【0008】
本発明の課題は、第1の通信システムにおいて通信できなくなった場合に第2の通信システムから警報情報を取得する通信端末の電力消費量を削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施例による通信端末は、
第1の通信システムにおける通信信号を受信する第1の受信部と、
第2の通信システムにおける通信信号を受信する第2の受信部と、
ユーザの位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記第1の受信部が通信信号を受信できない場合において、前記位置情報取得部が前記ユーザの位置情報を取得できた場合に、前記第2の受信部を起動するモード判定部と、
前記第2の受信部が受信した通信信号から抽出した警報情報を前記ユーザに提供するユーザインタフェース部と
を有する通信端末。
【発明の効果】
【0010】
一実施例によれば、第1の通信システムにおいて通信できなくなった場合に第2の通信システムから警報情報を取得する通信端末の電力消費量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例で使用可能な通信システムの概略図。
【図2】通信端末の機能ブロック図。
【図3】第1の動作例を示すフローチャート。
【図4】第2の動作例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施例による通信端末は、第1の通信システムにおいて通信することができない場合において、ユーザの位置情報を取得できた場合に、第1の通信システムによる通信を停止し、第2の通信システムにおける通信を行う。通信端末は、第2の通信システムにおける通信信号を受信し、警報情報を取得し、それをユーザに提供する。第2の通信システムにおける動作を起動する条件として、第1の通信システムで通信できないことだけでなく、ユーザの位置情報を取得できることも条件となっている点に留意を要する。ユーザの位置情報は例えばGPS方式により取得される。このような位置情報を取得できる場合、通信端末は、例えば屋外のような通信環境にあり、地上ディジタル放送の電波を適切に受信できることが予想される。これに対して、そのような位置情報を取得できない場合、通信端末は例えば屋内のような通信環境にあり、地上ディジタル放送の電波を適切に受信できないことが予想される。位置情報を取得できないような場合に通信端末が第2の通信システムの電波を受信しようとしても無駄に終わってしまうことが予想される。このため、第1の通信システムで通信できなくなったとしても、ユーザの位置情報を取得できるか否かに応じて、第2の通信システムにおける動作を起動するか否かが決定される。これにより、第2の通信システムにおける処理を無駄に行ってバッテリの電力を浪費してしまう従来の問題は、効果的に解決される。
【0013】
以下、添付図面を参照しながら実施例を説明する。図中、同様な要素には同じ参照番号又は参照符号が付されている。次の観点から実施例を説明する。
【0014】
1.通信システム
2.通信端末
3.動作例
3.1 第1の動作例
3.2 第2の動作例
【実施例1】
【0015】
<1.通信システム>
図1は、実施例で使用可能な通信システムの概略図を示す。図1には通信システムに備わる様々なノード、要素及び処理部の内、実施例に特に関連するものが示されている。図示されているように、地震のような緊急事態が発生した場合、気象庁は緊急地震速報の情報を、様々な通信システムに通知する。図示の簡明化のため、第1及び第2の通信システムしか描かれていないが、情報の通知を受けてそれを配信する通信システムの数は任意である。気象庁に限らず、例えば自治体のような何らかの権限を有する組織や機関が情報を配信してもよい。また、緊急地震速報だけでなく、警報を促す任意の警報情報が配信されてもよい。例えば、津波警報、高潮警報、洪水警報、火山現象警報等の情報が配信されてもよい。更に、自然災害に起因する情報だけでなく、国際紛争等のような人災に起因する情報が配信されてもよい。
【0016】
第1の通信システムは、図示の例ではセルラ方式の移動通信システムであり、音声通信サービスやデータ通信サービス等を提供する。例えば、気象庁のようなセルブロードキャストエンティティ(CBE)からの警報情報は、例えばセルブロードキャストサービス(CBS)として一定のエリア内のユーザに一斉に配信される。具体的には、CBEからの警報情報は、第1の通信システムのセルブロードキャストセンタ(CBC)により受信され、配信エリアが決定され、交換局及び基地局を通じてユーザに電子メールとして通知される。
【0017】
第2の通信システムは、図示の例では携帯端末用の地上ディジタル放送を行う通信システムである。例えば、気象庁からの警報情報は、複数の放送局の各々により受信される。図示の簡明化のため放送局が複数個存在する様子は明示されていない点に留意を要する。放送局は、各自に割り当てられたチャネル又は周波数リソースを利用して緊急警報を放送する。特に、各放送局は、13セグメントの内の1つを用いて、携帯端末用のワンセグメント放送(1セグメント放送)を行う。1セグメント放送の放送信号(1セグメント信号)は、音声や映像等を表す送信データと、制御情報(TMCC)と、パイロット信号(SP)と、将来的な拡張用の付加情報信号(Auxiliary Channel: AC)とを含む。このAC信号に緊急地震速報のような警報情報が含まれている。
【0018】
上述したように、災害時において、セルラ方式の移動通信システムのような第1の通信システムは、通信サービスを提供することが困難になりやすい。例えば、地震直後の津波に起因して、それほど高所には設置されていない基地局は適切に機能しなくなってしまうおそれがある。これに対して、携帯端末用の地上ディジタル放送を行う第2の通信システムは、そのような災害時においても比較的安定して通信サービスを提供することができる。通常、テレビジョン信号を放送する電波塔は津波の後でも適切に動作可能である場合が多い。ただし、地上ディジタル放送による緊急警報情報を受信するには、通信端末が起動している必要があり、通信端末の消費電力が極めて多くなってしまうことが懸念される。この点、単に待ち受け状態になっていさえすれば、緊急警報情報の同報配信を受信できるセルラ方式の移動通信システムと異なる。
【0019】
後述するように、本実施例では、第1の通信システムにおいて通信することができない場合において、ユーザの位置情報を取得できた場合に、第1の通信システムによる通信を停止し、第2の通信システムにおける通信を行う。通信端末は、第2の通信システムにおける通信信号を受信し、警報情報を取得し、それをユーザに提供する。
【0020】
<2.通信端末>
図2は、図1に示す通信システムにおいてユーザが使用可能な通信端末の機能ブロック図を示す。図2には通信端末に備わる様々な処理部又は機能部のうち実施例に特に関連するものが示されている。通信端末は、セルラ方式の移動通信システム及び地上ディジタル放送を行う通信システムの双方において動作可能な適切な如何なる装置でもよい。通信端末は、具体的には、ユーザ装置、携帯電話、情報端末、高機能携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、パーソナルディジタルアシスタント、携帯用パーソナルコンピュータ、パームトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ等であるが、これらに限定されない。通信端末は、第1の受信部201、第1の通信信号処理部203、ユーザインタフェース部205、第2の受信部207、第2の通信信号処理部209、位置情報取得部211及びモード判定部213を少なくとも有する。
【0021】
第1の受信部201は、セルラ方式の移動通信システムのような第1の通信システムにおける通信信号を受信する。そのような通信信号は、電話サービスにおける通信信号(例えば、発信信号、着信信号)や、データ通信サービスによる通信信号(例えば、電子メールメッセージ、ファイルその他のデータ信号)等を含むが、これらに限定されない。
【0022】
第1の通信信号処理部203は、第1の受信部201で受信した通信信号を復号し、分析し、必要に応じて復号後の信号をユーザインタフェース部205に提供する。特に本実施例では、第1の通信信号処理部203は、通信信号が、緊急地震速報等のような警報情報を含んでいるか否かを判定し、それが含まれていた場合、警報情報をユーザインタフェース部205に与える。具体的には、第1の通信信号処理部203は、通信信号が所定の電子メールメッセージを含んでいるか否かを判定する。所定の電子メールメッセージは、例えば、セルブロードキャストサービス(CBS)における電子メールメッセージ(例えば、エリアメッセージ(登録商標))である。概して、CBSは、簡単な文字情報を一斉に同報配信するサービスである。緊急地震速報のような警報情報がCBSにより配信される。警報情報は、ユーザインタフェース部205を通じて、視覚的又は聴覚的に出力されてもよいし、それら双方で出力されてもよい。更に、ユーザに警報情報を提供する際に、バイブレータを起動してユーザに注意を促してもよい。警報情報又は所定の電子メールメッセージを受信できたか否かの情報は、モード判定部213に通知される。
【0023】
ユーザインタフェース部205は、ユーザに情報を提供する機能及びユーザから入力された情報を取得する機能を発揮する。ユーザインタフェース部205は、視覚的、聴覚的又は機械的な任意のユーザインタフェースとして機能してもよい。例えば、ユーザインタフェース部205は、典型的には選択可能なボタンを含むが、キーボード、マウス、トラックボール等のような任意の機械的な操作部を備えていてもよい。また、ユーザインタフェース部205は、ユーザが喋った操作を実行できるように、マイクロフォンのような音声入力部を備えていてもよいし、何らかの情報を音声でユーザに提供するスピーカのような音声出力部を備えていてもよい。例えば、第1又は第2の受信部201、207により受信した通信信号の情報が音声で出力されてもよいし、通信端末の操作を案内するガイダンスが音声で出力されてもよい。更に、ユーザインタフェース部205は、情報を視覚的に出力する視覚的な表示部を備えていてもよい。そのような表示部は、例えば、ディスプレイ、キーパッドを備えた制御パネル、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELパネル、タッチスクリーン等であるが、これらに限定されない。本実施例において、ユーザインタフェース部205に備わる表示部は、接触感知式の透明パネルでカバーされており、通信端末の動作を制御するためのユーザの指の動きを検知することができる。
【0024】
第2の受信部207は、地上ディジタル放送を行っているような第2の通信システムの通信信号を受信する。地上ディジタル放送の場合、例えば直交周波数分割多重(OFDM)方式により送信されているワンセグメント放送の通信信号(1セグメント信号)を受信する。そのような通信信号は、音声や映像等を表す送信データと、制御情報(TMCC)と、パイロット信号(SP)と、将来的な拡張用の付加情報信号(Auxiliary Channel: AC)とを含む。このAC信号に緊急地震速報のような警報情報が含まれている。
【0025】
第2の通信信号処理部209は、第2の受信部207で受信した通信信号を復号し、分析し、必要に応じて復号後の信号をユーザインタフェース部205に提供する。本実施例では特に、第2の通信信号処理部203は、AC信号のような通信信号が、緊急地震速報等のような警報情報を含んでいるか否かを判定し、それが含まれていた場合、警報情報をユーザインタフェース部205に与える。自然災害又は人災による緊急事態が生じていた場合には、AC信号に警報情報が含まれているが、そのような緊急事態が生じていなかった場合、AC信号に警報情報は含まれていない。警報情報は、ユーザインタフェース部205を通じて、視覚的又は聴覚的に出力されてもよいし、それら双方で出力されてもよい。更に、ユーザに警報情報を提供する際に、バイブレータを起動してユーザに注意を促してもよい。警報情報を受信できたか否かの情報は、モード判定部213に通知される。
【0026】
位置情報取得部211は、通信端末又はユーザの位置情報を取得する。位置情報は、当該技術分野で既知の適切な如何なる方法で取得されてもよい。例えば、位置情報は、グローバルポジショニングシステム又は全地球測位システム(GPS)方式により取得されてもよい。GPS方式の場合、通信端末の緯度及び経度(又は緯度、経度及び海抜高度)の情報が位置情報として取得される。或いは、セルラ基地局の位置が通信端末の位置情報として使用されもよい。位置情報は、適切な如何なるタイミングで取得されてもよい。一例として、位置情報は、定期的に取得されてもよい。或いは、位置情報は、ユーザ又は通信システムからの要求に応じて取得されてもよい。位置情報取得部211で取得又は算出された位置情報は、モード判定部213に通知される。
【0027】
モード判定部213は、第1の通信システムの通信信号を処理する動作モードと、第2の通信システムの通信信号を処理する動作モードとを、第1及び第2の通信信号処理部203及び209からの情報並びに位置情報の取得状況に応じて切り替える。モード判定部213が行う詳細な動作については後述するが、概して、モード判定部213は、第1の通信システムにおいて通信することができない場合において、位置情報取得部211によりユーザの位置情報を取得できた場合に、第1の受信部201を停止し、第2の受信部207を起動する。そして、第2の受信部207により受信したAC信号が警報情報を含んでいなかった場合、モード判定部213は、第2の受信部207を停止し、第1の受信部201を起動し直す。一方、位置情報取得部211がユーザの位置情報を取得できなかった場合、モード判定部213は、第1の受信部201が起動している状態を維持し、この場合、第2の受信部207を起動しない。
【0028】
<3.動作例>
<<3.1 第1の動作例>>
図3は、図2に示すような通信端末における動作例のフローチャートを示す。フローはステップS301から始まり、ステップS303に進む。動作の前提として、通信端末は、セルラ方式の移動通信システムである第1の通信システムにおいて動作している。すなわち、通信端末は第1の受信部201(図2)を起動しており、通信信号を受信している。本実施例では、通信端末が所定のモード変更条件を満たした場合、通信端末は、地上ディジタル放送を行っている第2の通信システムの通信信号を受信するように動作モードを切り替える。所定のモード変更条件の1つ目(I)は、通信端末が第1の通信システムにおいて所定の信号を受信したことである。このため、ステップS303において、所望の信号が受信されたか否かが判定される。所望の信号は、例えば、セルブロードキャストサービス(CBS)による電子メールメッセージである。
【0029】
ステップS303において、通信端末が所定の信号を受信するまで(所定のモード変更条件の1つ目(I)を満たすまで)、フローはステップS303に留まる。通信端末が所定の信号を受信すると、フローはステップS305に進む。
【0030】
例えば、地震のような緊急事態が生じた場合、通信端末は、CBSによる電子メールメッセージを受信し、ユーザは緊急事態が生じたことを知ることができる。そのような緊急事態が生じた場合、緊急地震速報や津波警報等の各種の警報情報が、反復的に及び更新される毎に配信される。従って、警報情報を受信したユーザは、以後、次々に配信される警報情報を確実に取得して的確な行動をとる必要がある。
【0031】
しかしながら、そのような緊急事態が生じた際、セルラ方式の移動通信システムのような第1の通信システムでは、通信ができなくなってしまうことが懸念される。例えば、基地局や交換局の障害や輻輳等により、通信サービスが規制されてしまうかもしれない。あるいは、地震や津波等により基地局が適切に作動しなくなってしまうことも懸念される。このような観点から、所定のモード変更条件の2つ目(II)が決定されている。所定のモード変更条件の2つ目(II)は、通信端末が第1の通信システムで通信できなくなったことである。
【0032】
ステップS305において、通信端末が第1の通信システムの通信信号を受信できているか否かが判定される。通信端末が第1の通信システムの通信信号を受信できている場合、ユーザは、第1の通信システムにおいて警報情報を取得することができる。この場合、モード変更を行う必要はないので、フローはステップS303に戻り、説明済みの処理が行われる。通信端末が第1の通信システムの通信信号を受信できない場合(所定のモード変更条件の2つ目(II)を満たす場合)、フローはステップS307に進む。
【0033】
通信端末が所定のモード変更条件の1つ目及び2つ目(I&II)を満たしている場合、何らかの警報情報が以後配信される可能性があるが、そのままでは通信端末は第1の通信システムの通信信号を受信することができない。従って、第2の通信システムから通信信号を取得できるように、動作モードを変更すべきかもしれない。しかしながら、通信端末が所定のモード変更条件の1つ目及び2つ目(I&II)を満たしていたとしても、通信端末が第2の通信システムから通信信号を適切に受信できるとは限らない。通信端末が第2の受信部207を起動して通信信号を受信しようとしたとしても、有意の通信信号を受信できないかもしれない。その場合、通信端末は動作モードの変更により無駄な電力を消費してしまうことになる。
【0034】
このような観点から、本実施例では、所定のモード変更条件の3つ目(III)が規定されている。所定のモード変更条件の3つ目(III)は、ユーザの位置情報が取得されていることである。ユーザの位置情報は、典型的にはGPS方式により取得される。このような位置情報を取得できる場合、ユーザは屋外のような通信環境にいる可能性が高い。ユーザがこのような通信環境にいるならば、通信端末は地上ディジタル放送を行っている第2の通信システムの通信信号を適切に受信できる。しかしながら、通信端末がユーザの位置情報を取得できなかった場合、ユーザは屋内のような通信環境にいる可能性が高い。ユーザがこのような環境にいた場合、通信端末は地上ディジタル放送の電波を適切に受信できないことが懸念される。このため、ステップS307において、通信端末がユーザの位置情報を取得できているか否かが判定される。通信端末が位置情報を取得できていなかった場合、フローはステップS305に戻り、第1の通信システムから通信信号を受信できているか否かを確認し直す。通信端末が位置情報を取得できていた場合、フローはステップS309に進む。
【0035】
ステップS309において、通信端末は、第2の受信部207を起動する。第2の受信部207を起動する場合において、典型的には、第1の受信部201は停止されるが、第1及び第2の通信システム双方からの通信信号を同時に受信することが可能でありバッテリの消費を抑制する必要がなければ、第1の受信部201を停止しなくてもよい。第2の受信部207が起動されると、通信端末は第2の通信システムの通信信号を受信し、分析する。
【0036】
ステップS311において、第2の通信システムの通信信号に含まれているAC信号が、警報情報を含んでいるか否かが判定される。AC信号が警報情報を含んでいた場合、フローはステップS313に進む。
【0037】
ステップS313において、通信端末の第2の通信信号処理部209は、AC信号を復号し、警報情報を抽出する。
【0038】
ステップS315において、抽出された警報情報がユーザインタフェース部205によりユーザに提供される。例えば、地上ディジタル放送の待ち受け画面において、警報情報が表示されてもよい。或いは、地上ディジタル放送で放送されている番組の表示領域内に又は番組の表示領域の周辺において、警報情報が表示されてもよい。その後、フローはステップS311に戻り、次の警報情報を監視する。
【0039】
一方、ステップS311において、AC信号に警報情報は含まれていないことが判定された場合、フローはステップS317に進む。
【0040】
ステップS317において、通信端末は第1の受信部201を起動する。ステップS309の説明において言及したように、典型的には、第1及び第2の受信部201及び207は択一的に起動されるので、ステップS309において停止させられた第1の通信部201が、ステップS317において起動される。ステップS317の後、フローはステップS305に戻り、説明済みの処理が行われる。
【0041】
本動作例の場合、ステップS307において、位置情報が取得されている場合に限って、ステップS309において動作モードが変更され、第2の通信システムの通信信号が処理されるようになる。位置情報が取得されていない場合は、ステップS309による動作モードの変更は行われない。これにより、無駄な動作モードの変更を効果的に禁止することができる。
【0042】
<<3.2 第2の動作例>>
第1の動作例の場合、所定のモード変更条件の2つ目(II)を判定するステップS305の直後に、所定のモード変更条件の3つ目(III)を判定するステップS307が行われているが、このことは本実施例に必須ではない。例えば、図4に示すように、別の動作例が使用されてもよい。図4に示す動作例は概して図3に示す動作例と同様であるが、所定のモード変更条件の3つ目(III)を行うステップの位置が異なる。図4において、図3のフローチャートで説明済みのステップについては同一の参照番号が付されており、重複的な説明は省略する。
【0043】
ステップS309において第2の受信部207が起動され、ステップS311において警報情報の有無が判定され、警報情報がAC信号に含まれていなかった場合、フローはステップS317に進む。ステップS317において、第2の受信部207が停止され、第1の受信部201が起動された後、ステップS401において、通信端末がユーザの位置情報を取得できているか否かが判定される。通信端末が位置情報を取得できていなかった場合、フローはステップS305に戻り、第1の通信システムから通信信号を受信できているか否かを確認する。ステップS401において、通信端末が位置情報を取得できていた場合、フローはステップS309に進み、第1の受信部201が停止され、第2の受信部207が起動される。
【0044】
図3に示す例の場合、ステップS311においてAC信号が警報情報を含んでいなかった場合、必ずステップS305に戻り、第1の通信システムにおける通信の可否が判定される。この方法は、なるべく第1の通信システムで所望の信号(警報情報)を取得しようとするので、バッテリセービング等の観点から好ましい。これに対して図4に示す例の場合、ステップS311においてAC信号が警報情報を含んでいなかったとしても、ユーザの位置情報が適切に取得される限り、第1の通信システムにおける通信の可否は判定されず、第2の通信システムにおいて警報情報を監視する。この方法は、地上ディジタル放送を行う第2の通信システムにおいて、警報情報を監視する機会が多いので、警報情報を確実に取得する等の観点から好ましい。
【0045】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、それらは単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。例えば、本発明は、緊急地震速報のような警報情報を配信する適切な如何なる移動通信システムに適用されてもよい。例えば本発明は、W−CDMA方式のシステム、HSDPA/HSUPA方式のW−CDMAシステム、LTE方式のシステム、LTE−Advanced方式のシステム、IMT−Advanced方式のシステム、WiMAX、Wi−Fi方式のシステム等に適用されてもよい。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。実施例又は項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の実施例又は項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。機能ブロック図における機能部又は処理部の境界は必ずしも物理的な部品の境界に対応するとは限らない。複数の機能部の動作が物理的には1つの部品で行われてもよいし、あるいは1つの機能部の動作が物理的には複数の部品により行われてもよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に用意されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【符号の説明】
【0046】
201 第1の受信部
203 第1の通信信号処理部
205 ユーザインタフェース部
207 第2の受信部
209 第2の通信信号処理部
211 位置情報取得部
213 モード判定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信システムにおける通信信号を受信する第1の受信部と、
第2の通信システムにおける通信信号を受信する第2の受信部と、
ユーザの位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記第1の受信部が通信信号を受信できない場合において、前記位置情報取得部が前記ユーザの位置情報を取得できた場合に、前記第2の受信部を起動するモード判定部と、
前記第2の受信部が受信した通信信号から抽出した警報情報を前記ユーザに提供するユーザインタフェース部と
を有する通信端末。
【請求項2】
前記第1の通信システムはセルラ方式の移動通信システムであり、前記第2の通信システムは地上ディジタル放送を行う通信システムである、請求項1記載の通信端末。
【請求項3】
前記第2の受信部が受信した前記通信信号がAC信号を含む、請求項2記載の通信端末。
【請求項4】
前記AC信号が前記警報情報を含んでいなかった場合、前記モード判定部は、前記第2の受信部を停止し、前記第1の受信部を起動する、請求項3記載の通信端末。
【請求項5】
前記位置情報取得部が前記ユーザの位置情報を取得できなかった場合、前記モード判定部は、前記第1の受信部が起動している状態を維持する、請求項1ないし4の何れか1項に記載の通信端末。
【請求項6】
通信端末が、第1の通信システムにおける通信信号を受信できない場合において、前記通信端末の位置情報を取得できた場合に、第2の通信システムにおける通信信号を受信する受信部を起動し、
前記受信部が受信した通信信号から抽出した警報情報をユーザインタフェース部によりユーザに提供するステップ
を有する警報情報取得方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−42383(P2013−42383A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178294(P2011−178294)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】