説明

通信端末及び通信制御端末、プログラム、及び通信方法

【課題】 他の装置により供給される電力を用いた通信端末間におけるデータ通信の確実性を高めるようにした通信端末及び通信制御端末、プログラム、及び通信方法を提供する。
【解決手段】 通信装置は、他の通信装置から無線により供給される電力を受電する受電機能と、当該他の通信装置と通信する第1の通信機能と、他の通信装置と通信する第2の通信機能とを有し、受電機能により受電された電力を用いて第2の通信機能による通信を行うよう制御し、第1の通信機能により、第2の通信機能による通信のための第1の通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接非接触通信を用いて通信を行なう通信端末及び通信制御端末、プログラム、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近接非接触通信方式を用いて通信を行なう通信端末が知られている。特許文献1には、RFIDシステムにおいて、ストレージ(タグ)側の電源部の電源残量を検出し、その残量が少ない場合にはリーダ側に警告を通知し、リーダ側でタグの電源残量についての警告表示を行なう技術について言及されている。ここで、例えば、誘導起電力を用いて電源残量の検出とその結果の通知とを行なえば、タグ内の電源の電力を消費せずに電源残量の検出及び警告通知が行なえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−323264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された技術では、タグ側で電源残量を検出することはできるが、例えば、アプリケーションを新たに起動させることはできない。また、例えば、タグ側で電源残量が十分であると判断しても、アプリケーションが新たに起動された場合、電力不足に陥ってしまう場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、他の装置により供給される電力を用いた通信端末間におけるデータ通信の確実性を高めるようにした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による通信端末は、他の通信装置から無線により供給される電力を受電する受電機能と、当該他の通信装置と通信する第1の通信機能とを有する第1の通信手段と、他の通信装置と通信する第2の通信機能を有する第2の通信手段と、前記第1の通信手段の前記受電機能により受電された電力を用いて前記第2の通信手段による通信を行うよう制御する制御手段と、を有し、前記第1の通信手段は前記第1の通信機能により、前記第2の通信手段による通信のための第1の通信を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、他の装置により供給される電力を用いた通信端末間におけるデータ通信の確実性を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の一形態に係わる通信端末を配して構成した通信システムの構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示す通信端末10の構成の一例を示す図である。
【図3】図2に示す第1の通信部13及び第2の通信部14の構成の一例を示す図である。
【図4】図1に示す通信端末10における動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】図1に示す通信端末10が通信制御局40との間でデータ通信を行なう場合の処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。
【図6】図5に示すS208における電力供給処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。
【図7】図6に示すS301における電力供給要求シーケンスの処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。
【図8】実施形態2に係わる電力供給処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。
【図9】実施形態3に係わる電力供給要求シーケンスの処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。
【図10】実施形態4に係わる通信制御局40の構成の一例を示す図である。
【図11】図10に示す第1の通信部43及び第2の通信部44の構成の一例を示す図である。
【図12】実施形態4に係わる通信制御局40における動作の一例を示すフローチャートである。
【図13】図10に示す通信制御局40が通信端末10との間でデータ通信を行なう場合の処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。
【図14】図13に示すS1009における電力供給処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。
【図15】図14に示すS1100における電力供給要求シーケンスの処理の流れの一例を示す第1のシーケンスチャートである。
【図16】図14に示すS1100における電力供給要求シーケンスの処理の流れの一例を示す第2のシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係わる通信端末及び通信制御端末、プログラム、及び通信方法の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施の一形態に係わる通信端末を配して構成した通信システムの構成の一例を示す図である。
【0011】
通信制御局40は、通信端末10との通信に際して、その通信を制御する通信制御端末として機能する。ここで、通信制御局40及び通信端末10は、互いに近接非接触通信(Near Field Communication:NFC)インターフェースを複数(本実施形態においては2つ)有し、このインターフェースを利用してデータ通信を行なう。また、場合によっては、通信制御局40は、通信端末10に対して電力供給を行なう。これは、電磁誘導による給電機能を有する近接非接触通信インターフェースを用いて行なわれる。
【0012】
図2は、図1に示す通信端末10の構成の一例を示す図である。
【0013】
通信端末10は、制御部11と、記憶部12と、第1の通信部13と、第2の通信部14と、電力管理部15と、電源部16とを具備して構成される。
【0014】
制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、通信端末10全体を統括制御(例えば、通信制御)する。記憶部12は、例えば、メモリ等から構成され、プログラムやデータを記憶する。第1の通信部13は、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)リーダライタ等から構成され、電磁誘導による給電機能を有する近接非接触通信インターフェースである。第2の通信部14は、第1の通信部13とは異なる通信方式を採る近接非接触通信インターフェースである。なお、第2の通信部14は、第1の通信部13よりも高い通信能力(大容量データ通信可、高速データ通信可の少なくとも一方を満たす)を有する通信インターフェースであればよい。例えば、USB(Universal Serial Bus)等の通信方式であってもよい。
【0015】
また、電力管理部15は、電源残量の監視や電源出力を管理する。電源部16は、電力管理部15を通じて各ブロックに電力を供給する。電力管理部15は、電源部16からの電力と、第1の通信部13を用いて他の端末(例えば、通信相手先端末)から給電される電力とを切り替えて各ブロックへ電力を供給する。
【0016】
以上が、通信端末10の構成の一例についての説明であるが、通信端末10は、上述した構成に限定されず、必要に応じて記憶装置、入力装置、出力装置などの機能を追加して構成されてもよい。なお、本実施形態では、説明を省略するが、通信制御局40も上述した通信端末10と同様の構成を採る。
【0017】
ここで、図3を用いて、図2に示す第1の通信部13及び第2の通信部14について説明する。
【0018】
20及び30は、メディアアクセス層を管理するMAC(Medium Access Controller)である。21及び31は、エラー訂正符号化、復号化、変復調などの通信信号処理機能を持つBBP(Base Band Processor)である。22及び32は、ベースバンド帯の信号を搬送波周波数帯で処理するためのRF(Radio Frequency)ブロックである。23及び33は、搬送波周波数帯の変調信号を無線区間で送受信するためのアンテナである。
【0019】
第1の通信部13は、外部(例えば、通信制御局40)からの電磁誘導により給電される電力、又は自装置(電源部16)から給電される電力により動作する。電磁誘導は、アンテナ23を用いて行なわれる。なお、電磁誘導により給電される電力のみで動作する場合、通信速度の低下が見込まれるため、場合によっては、自装置から給電される電力をも用いて動作してもよい。また、第1の通信部13は、MAC20により給電出力が管理される電源スイッチ24を持つ。第1の通信部13では、逆流電流防止回路(不図示)により逆電流の防止が管理される。この管理は、MAC20が受け取るコマンドと電源スイッチ24とにより行なわれる。
【0020】
次に、図4を用いて、図1に示す通信端末10における動作の一例について説明する。ここでは、通信端末10が通信制御局40(通信相手先端末)と通信を行なう場合について説明する。
【0021】
通信制御局40からの電磁誘導による電力供給により通信端末10の第1の通信部13が起動される。すると、通信端末10は、第1の通信部13を用いて通信制御局40と接続を行なう(S100)。通信端末10は、第1の通信部13を用いて接続される通信制御局40と通信データ量の交換を行なう(S101)。この通信データ量の交換は、第2の通信部14を用いて行なわれる。なお、通信データが、通信制御局40への上りであるか、下りであるかは任意である。
【0022】
通信端末10は、制御部11において、通信データ量などを電力管理部15に通知する。これを受けた電力管理部15は、当該通信データ量に基づいて通信に必要となる電力量を演算し予測する(S102)。そして、電力管理部15は、この予測された電力量を所定の値とし、この所定の値と電源部16の電源残量とを比較する。これにより、電力管理部15は、電源部16の電源残量が十分であるか否かを判定する(S103)。
【0023】
この結果、電源残量が十分にあれば(S103でYES)、制御部11は、第2の通信部14を用いてデータ通信を行なう(S104)。データ通信が完了すれば(S109でYES)、制御部11は、通信制御局40から第1の通信部13を用いた電力供給を受けているか否かを判定する。電力供給を受けていれば(S110でYES)、電力供給の停止要求を行なう。すなわち、第1の通信部13を介して通信制御局40に電力供給停止を通知する(S111)。その後、この処理を終了する。電力供給を受けていなければ(S110でNO)、そのままこの処理を終了する。
【0024】
一方、S103における判定の結果、電源残量が十分でなければ(S103でNO)、制御部11は、通信制御局40から既に第1の通信部13を用いた電力供給を受けているか否かを判定する。既に電力供給を受けていれば(S105でYES)、制御部11は、通信制御局40に更なる電力供給を要求する(S107)。一方、電力供給を受けていなければ(S105でNO)、制御部11は、第1の通信部13を用いて通信制御局40に電力供給を要求する(S106)。通信端末10は、この要求により通信制御局40から第1の通信部13を用いた電力供給を受ける(S108)。その後、通信端末10は、再度、S103の処理に戻る。
【0025】
ここで、図5を用いて、図1に示す通信端末10が通信制御局40との間でデータ通信を行なう場合の処理の流れの一例について説明する。
【0026】
通信制御局40は、まず、通信端末10の第1の通信部13と通信するために、自身の第1の通信部を起動する(S200)。これにより、通信端末10の第1の通信部13は、電磁誘導により電力が供給される(S201)。このとき、通信端末10の第1の通信部13は、ストレージとして起動する(S202)。通信端末10の第1の通信部13は、通信制御局40に対してストレージとして起動した旨の応答を返信し、通信制御局40との間の接続を確立する(S203)。
【0027】
ここで、通信端末10の第1の通信部13は、第2の通信部14に起動を要求し、また、ストレージとして起動していることを制御部11に通知する(S204)。この起動要求により、通信端末10における第2の通信部14が起動する(S205)。続いて、通信制御局40は、自身の第2の通信部を起動させる(S206)。その後、通信端末10と通信制御局40との間で通信データ量の交換が行なわれる(S207)。
【0028】
ここで、通信端末10には、当該交換された通信データ量に相当するデータ通信を行なうだけの電源残量がなかったとする。この場合、通信端末10は、制御部11において、データ通信を行なうための電力供給を通信制御局40に要求する(S208)。この要求により第1の通信部13を介した通信端末10への電力供給が開始される。そして、通信端末10は、その電力を用いて通信制御局40との間でデータ通信を開始する(S209)。通信端末10は、このデータ通信が終われば、通信制御局40へ電力供給の停止を要求する(S210)。
【0029】
次に、図6を用いて、上記図5に示すS208における電力供給処理の流れの一例について説明する。
【0030】
通信端末10は、電力管理部15において、電源部16の電圧レベルVpsがデータ通信に必要となる電圧レベルVtf以下であるか否かを判定する(S300)。この結果、電源部16の電圧レベルVpsがVtf以下であれば、通信端末10は、電力供給要求シーケンスを実行する(S301)。これにより、通信制御局40から第1の通信部13介して通信端末10の各ブロックに電力が供給される(S302)。なお、電源部16による電力供給は、電圧レベルがVtfを上回らない限り行なわれない(S303)。これは、逆電流防止回路において制御される。
【0031】
次に、図7を用いて、上記図6に示すS301における電力供給要求シーケンスの処理の流れの一例について説明する。
【0032】
電力管理部15は、S300の判定結果を制御部11に通知する。これを受けた制御部11は、第1の通信部13を介して通信制御局40に向けて電力供給要求を送信する(S400)。
【0033】
以上説明したように通信端末10は、電源残量とデータ通信に必要となる電力との関係に基づいて通信制御局40に電磁誘導による電力供給を要求する。そのため、例えば、電源残量が少ない場合にも、データ通信を行なうアプリケーションを新たに起動させることができる。また、例えば、アプリケーションの実行中に電源残量が不足し、処理が途中で中断されることもない。これにより、データ通信の確実性を高められることになる。
【0034】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。実施形態2においては、外部から給電される電力を蓄電するようにした場合について説明する。なお、実施形態2に係わる通信システム及び通信端末の構成は、実施形態1を説明した図1、図2及び図3と同様となるため、ここでは、その説明については省略する。但し、通信端末10における電源部16の構成において多少異なる。その相違点としては、実施形態2に係わる電源部16は、二次電池としての蓄電機能を有するところである。
【0035】
ここで、実施形態2に係わる通信端末10の動作について説明する。なお、実施形態2に係わる通信端末10の動作は、実施形態1を説明した図4、図5と同様となる。ここでは、実施形態1と異なる点のみを挙げて説明する。その相違点としては、実施形態1を説明した図5におけるS208の処理にある。
【0036】
図8を用いて、実施形態2に係わるS208(図5参照)における電力供給処理の流れの一例について説明する。
【0037】
通信端末10は、電力管理部15において、電源部16の電圧レベルVpsがデータ通信に必要となる電圧レベルVtf以下であるか否かを判定する(S500)。この結果、電源部16の電圧レベルVpsがVtf以下であれば、通信端末10は、電力供給要求シーケンスを実行する(S501)。これにより、通信制御局40から第1の通信部13介して通信端末10の各ブロックに電力が供給される(S502)。このとき、通信制御局40から供給される電力は、電源部16にも供給され、電源部16はこの電力を蓄電する(S503)。
【0038】
この蓄電により、電源部16の電圧レベルVpsが、データ通信に必要となる電圧レベルVtfを上回ったとする。すると、通信端末10の制御部11は、電力供給停止を第1の通信部13を介して通信制御局40に通知する(S505)。その後、電源部16は、通信端末10の各ブロックに対して電力供給を開始する(S506)。そして、通信端末10は、供給される電力により第2の通信部14によるデータ通信を行なう。
【0039】
(実施形態3)
次に、実施形態3について説明する。実施形態3においては、外部から給電される電力に対して料金を支払う(課金)ようにした場合について説明する。なお、実施形態3に係わる通信システム及び通信端末の構成は、実施形態1を説明した図1、図2及び図3と同様となるため、ここでは、その説明については省略する。但し、第1の通信部13が、電子決済の機能を有する点では相違する。なお、実施形態2同様に、電源部16が二次電池としての蓄電機能を有していてもよい。
【0040】
ここで、実施形態3に係わる通信端末10の動作について説明する。なお、実施形態3に係わる通信端末10の動作は、実施形態1を説明した図4、図5と同様となる。ここでは、実施形態1と異なる点のみを挙げて説明する。その相違点としては、電力供給要求シーケンスにある(図6のS301参照)。
【0041】
図9を用いて、実施形態3に係わる電力供給要求シーケンスの処理の流れの一例について説明する。
【0042】
電力管理部15は、S300の判定結果を制御部11に通知する。これを受けた制御部11は、第1の通信部13を介して通信制御局40に向けて電力供給要求を送信する(S600)。
【0043】
ここで、通信制御局40は、供給する電力量に応じた料金を通信端末10に要求する(S601)。これを受けた通信端末10の制御部11は、第1の通信部13を介して要求された料金に対する決済を行なう(S602)。この場合、通信端末10においては、給電される電力量に応じた料金を支払う必要があるため、ユーザにより既に払い込まれた支払額に対応する金銭情報が保持されている。なお、通信制御局40と通信端末との間における料金の要求や料金の決済は、従来行なわれている課金処理又は決済処理等を採用すればよいため、その詳細についての説明は省略する。
【0044】
(実施形態4)
次に、実施形態4について説明する。実施形態4においては、通信制御局40の構成、動作について説明する。なお、実施形態4に係わる通信システムの構成は、実施形態1を説明した図1、図2及び図3と同様となるため、ここでは、その説明については省略する。
【0045】
まず、図10を用いて、実施形態4に係わる通信制御局40の構成の一例について説明する。
【0046】
通信制御局40は、制御部41と、記憶部42と、第1の通信部43と、第2の通信部44とを具備して構成される。なお、ここでは、説明を省略するが、勿論、通信制御局40にも電源部等が設けられる。
【0047】
ここで、制御部41は、通信端末10における制御部11と同様の機能を果たし、記憶部42は、通信端末10における記憶部12と同様の機能を果たす。第1の通信部43は、通信端末10における第1の通信部13と同様の機能を果たし、第2の通信部44は、通信端末10における第1の通信部14と同様の機能を果たす。
【0048】
以上が、通信制御局40の構成の一例についての説明であるが、上述した通信端末10同様に、通信制御局40もここに示す構成に限定されず、必要に応じて記憶装置、入力装置、出力装置などの機能を追加して構成されてもよい。
【0049】
次に、図11を用いて、図10に示す第1の通信部43及び第2の通信部44について説明する。
【0050】
MAC50及びMAC60は、(上記図3で説明した)MAC20及びMAC30と同様の機能を果たし、BBP51及びBBP61は、BBP21及びBBP31と同様の機能を果たす。RF52及びRF62は、RF22及びRF32と同様の機能を果たし、アンテナ53及びアンテナ63は、アンテナ23及びアンテナ33と同様の機能を果たす。
【0051】
ここで、通信制御局40における第1の通信部43には、アンテナ53を介して電力供給を行なう電源部54が設けられる。すなわち、通信制御局40は、この電源部54を用いて、通信端末10における第1の通信部13を介して通信端末10に電力供給を行なう。なお、電源部54は、MAC50により制御される。
【0052】
次に、図12を用いて、実施形態4に係わる通信制御局40における動作の一例について説明する。
【0053】
通信制御局40は、第1の通信部43を用いて通信端末10の第1の通信部13に対して給電する。これにより、通信制御局40は通信端末10と接続される(S900)。通信制御局40は、第2の通信部44を用いて通信端末10と通信データ量の交換を行なう(S901)。なお、通信データが、通信端末10への下りであるか、上りであるかは任意である。
【0054】
通信制御局40は、制御部41において、通信端末10から電力供給要求を受信したか否かを判定する。なお、電力供給要求の受信は、第1の通信部43を用いて行なわれる。この結果、電力供給要求を受信した場合(902でYES)、通信制御局40は、第1の通信部43を用いて当該受信した必要電力量に相当する電力を通信端末10に供給する(S905)。
【0055】
その後、通信制御局40の制御部41は、第2の通信部44を用いてデータ通信を行なう(S903)。データ通信が完了すれば(S904でYES)、制御部41は、第1の通信部43を介して通信端末10から電力供給停止を受信したか否かを判定する。ここで、電力供給停止を受信した場合(S906でYES)、通信制御局40は、制御部41において、第1の通信部43を用いた電力供給を停止した後(S908)、この処理を終了する。一方、電力供給停止を受信していない場合には(S906でNO)、通信制御局40は、制御部41において、電力供給を行なっているか否かを判定する。電力供給していれば(S907でYES)、再度、S906の処理に戻るが、電力供給していなければ(S907でNO)、この処理を終了する。
【0056】
ここで、図13を用いて、図10に示す通信制御局40が通信端末10との間でデータ通信を行なう場合の処理の流れの一例について説明する。
【0057】
通信制御局40は、制御部41において、第1の通信部43の起動を要求するためのコマンドを発行する(S1000)。これを受けた第1の通信部43のMAC50は、電源部54を起動させる。これにより、通信制御局40の第1の通信部43は起動する(S1001)。
【0058】
ここで、通信制御局40の第1の通信部43からの電力供給により(S1002)、通信端末10の第1の通信部13が起動する(S1003)。通信端末10の第1の通信部13は、通信制御局40に対してストレージとして起動した旨の応答を返信し、通信制御局40との間の接続を確立する(S1004)。
【0059】
続いて、通信制御局40は、制御部41において、第2の通信部44の起動を要求するためのコマンドを発行する(S1005)。これにより、通信制御局40における第2の通信部44は起動する(S1006)。また、通信端末10においても第2の通信部14が起動する(S1007)。その後、通信制御局40と通信端末10との間で通信データ量の交換が行なわれる(S1008)。
【0060】
ここで、通信端末10には、当該交換された通信データ量に相当するデータ通信を行なうだけの電源残量がなかったとする。この場合、通信端末10は、データ通信を行なうための給電を第1の通信部13を介して通信制御局40に要求する(S1009)。この要求により通信制御局40における第1の通信部43を介した通信端末10への電力供給が開始される。
【0061】
そして、通信制御局40は、通信端末10との間でデータ通信を開始する(S1010)。通信端末10は、このデータ通信が終われば、通信制御局40へ電力供給停止を要求する(S1011)。
【0062】
次に、図14を用いて、上記図13に示すS1009における電力供給処理の流れの一例について説明する。
【0063】
通信端末10は、電力供給要求シーケンスを実行する(S1100)。これにより、通信制御局40は、第1の通信部43を用いた通信端末10への電力供給を開始する(S1101)。
【0064】
次に、図15を用いて、上記図14に示すS1100における電力供給要求シーケンスの処理の流れの一例について説明する。
【0065】
通信端末10は、通信制御局40に向けて電力供給要求を送信する(S1200)。通信制御局40は、制御部41において、この電力供給要求を第1の通信部43を介して受信する。
【0066】
ここで、図16を用いて、実施形態2のように、供給する電力に対して料金の支払いを求めるようにした場合の電力供給要求シーケンスの処理の流れの一例について説明する。
【0067】
通信端末10は、通信制御局40に向けて電力供給要求を送信する。通信制御局40は、第1の通信部43を介してこの電力供給要求を受信する(S1300)。通信制御局40は、制御部41において、供給する電力量に応じた料金を通信端末10に要求する(S1301)。通信端末10が当該料金に対する決済を行なうと、通信制御局40は、制御部41において、この支払いを第1の通信部43を介して受信する(S1302)。
【0068】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0069】
なお、本発明は、ソフトウェアのプログラムをシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置に内蔵されたコンピュータが当該供給されたプログラムコードを読み出して実行することにより実施形態の機能が達成される場合をも含む。この場合、供給されるプログラムは、実施形態で図に示したフローチャート、シーケンスチャートに対応したコンピュータプログラムである。
【0070】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、当該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OS(Operating System)に供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0071】
コンピュータプログラムを供給するためのコンピュータ読み取り可能な記録媒体としては以下が挙げられる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0072】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、当該ホームページから本発明のコンピュータプログラムをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることが挙げられる。この場合、ダウンロードされるプログラムは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0073】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記録媒体に格納してユーザに配布するという形態をとることもできる。この場合、所定の条件をクリアしたユーザに、インターネットを介してホームページから暗号を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用して暗号化されたプログラムを実行し、プログラムをコンピュータにインストールさせるようにもできる。
【0074】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどとの協働で実施形態の機能が実現されてもよい。この場合、OSなどが、実際の処理の一部又は全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0075】
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれて前述の実施形態の機能の一部或いは全てが実現されてもよい。この場合、機能拡張ボードや機能拡張ユニットにプログラムが書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行なう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
他の通信装置から無線により供給される電力を受電する受電機能と、当該他の通信装置と通信する第1の通信機能とを有する第1の通信手段と、
他の通信装置と通信する第2の通信機能を有する第2の通信手段と、
前記第1の通信手段の前記受電機能により受電された電力を用いて前記第2の通信手段による通信を行うよう制御する制御手段と、を有し、
前記第1の通信手段は前記第1の通信機能により、前記第2の通信手段による通信のための第1の通信を行う、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第1の通信は、電力供給を要求するための通信である、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1の通信は、前記受電機能により前記他の通信装置から供給される電力量に応じた料金を決済するための通信である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第2の通信機能は、前記第1の通信に応じて、第2の通信を開始する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第2の通信機能は、前記第1の通信機能より高い通信能力を有する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第2の通信機能は、前記第1の通信機能より通信速度が速い、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記受電機能により受電した電力を蓄電する蓄電手段を更に有する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記受電機能は、前記他の通信装置により供給される電磁界に基づいて受電を行う、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記第1の通信機能は、前記他の通信装置により供給される電磁界に基づいて通信を行う、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記第1の通信手段は、NFC(Near Field Communication)により受電および通信を行う、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項11】
前記第2の通信手段による通信中に、前記受電機能により受電する、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記受電機能により受電を行わず、前記第2の通信手段による通信を行う、
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
起動されたアプリケーション基づいて、前記第1の通信を行う、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
通信装置であって、
他の通信装置から無線により供給される電力を受電する受電機能と、当該他の通信装置と通信する第1の通信機能とを有する第1の通信手段と、
他の通信装置と通信する第2の通信機能を有する第2の通信手段と、
前記第1の通信機能による通信と、前記第2の通信機能による通信と、を前記受電機能により受電された電力を用いて行うよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項15】
前記第1の通信手段は前記通信機能により、前記第2の通信手段による通信のための第1の通信を行う、
ことを特徴とする請求項14に記載の通信装置。
【請求項16】
前記第1の通信は、電力供給を要求するための通信である、
ことを特徴とする請求項15に記載の通信装置。
【請求項17】
前記第1の通信は、前記受電機能により前記他の通信装置から供給される電力量に応じた料金を決済するための通信である、
ことを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項18】
前記第2の通信機能は、前記第1の通信に応じて、第2の通信を開始する、
ことを特徴とする請求項14から17のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項19】
前記第2の通信機能は、前記第1の通信機能より高い通信能力を有する、
ことを特徴とする請求項14から18のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項20】
前記第2の通信機能は、前記第1の通信機能より通信速度が速い、
ことを特徴とする請求項14から19のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項21】
前記受電機能により受電した電力を蓄電する蓄電手段を更に有する、
ことを特徴とする請求項14から20のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項22】
前記受電機能は、前記他の通信装置により供給される電磁界に基づいて受電を行う、
ことを特徴とする請求項14から21のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項23】
前記第1の通信機能は、前記他の通信装置により供給される電磁界に基づいて通信を行う、
ことを特徴とする請求項14から22のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項24】
前記第1の通信手段は、NFC(Near Field Communication)により受電および通信を行う、
ことを特徴とする請求項14から23のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項25】
前記第2の通信手段による通信中に、前記受電機能により受電する、
ことを特徴とする請求項14から24のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項26】
前記受電機能により受電を行わず、前記第2の通信手段による通信を行う、
ことを特徴とする請求項14から25のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項27】
通信装置であって、
他の通信装置から無線により供給される電力を受電する受電機能と、当該他の通信装置と通信する第1の通信機能とを有する第1の通信手段と、
前記受電機能により受電された電力を用いて他の通信装置と通信する第2の通信機能を有する第2の通信手段と、を有し、
前記第1の通信手段は、前記第1の通信機能により、前記第2の通信手段による通信のための第1の通信を行う、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項28】
他の通信装置から無線により供給される電力を受電する受電機能と、当該他の通信装置と通信する第1の通信機能とを有する第1の通信手段と、他の通信装置と通信する第2の通信機能を有する第2の通信手段とを有する通信装置の制御方法であって、
制御手段が、前記第1の通信手段の前記受電機能により受電された電力を用いて前記第2の通信手段による通信を行うよう制御する制御工程と、
前記第1の通信手段が、前記第1の通信機能により、前記第2の通信手段による通信のための第1の通信を行う通信工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項29】
他の通信装置から無線により供給される電力を受電する受電機能と、当該他の通信装置と通信する第1の通信機能とを有する第1の通信手段と、他の通信装置と通信する第2の通信機能を有する第2の通信手段とを有する通信装置の制御方法であって、
制御手段が、前記第1の通信機能による通信と、前記第2の通信機能による通信とを、前記受電機能により受電された電力を用いて行うよう制御する制御工程を有する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項30】
他の通信装置から無線により供給される電力を受電する受電機能と、当該他の通信装置と通信する第1の通信機能とを有する第1の通信手段と、前記受電機能により受電された電力を用いて他の通信装置と通信する第2の通信機能を有する第2の通信手段とを有する通信装置の制御方法であって、
前記第1の通信手段が、前記第1の通信機能により、前記第2の通信手段による通信のための第1の通信を行う通信工程、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項31】
他の通信装置から無線により供給される電力を受電する受電機能と、当該他の通信装置と通信する第1の通信機能とを有する第1の通信手段と、他の通信装置と通信する第2の通信機能を有する第2の通信手段とを有する通信装置に備えられたコンピュータに、
前記第1の通信手段の前記受電機能により受電された電力を用いて前記第2の通信手段による通信を行うよう制御する制御工程と、
前記第1の通信手段が、前記第1の通信機能により、前記第2の通信手段による通信のための第1の通信を行う通信工程と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項32】
他の通信装置から無線により供給される電力を受電する受電機能と、当該他の通信装置と通信する第1の通信機能とを有する第1の通信手段と、他の通信装置と通信する第2の通信機能を有する第2の通信手段とを有する通信装置に備えられたコンピュータに、
前記第1の通信機能による通信と、前記第2の通信機能による通信とを、前記受電機能により受電された電力を用いて行うよう制御する制御工程を実行させるためのプログラム。
【請求項33】
他の通信装置から無線により供給される電力を受電する受電機能と、当該他の通信装置と通信する第1の通信機能とを有する第1の通信手段と、前記受電機能により受電された電力を用いて他の通信装置と通信する第2の通信機能を有する第2の通信手段とを有する通信装置に備えられたコンピュータに、
前記第1の通信手段が、前記第1の通信機能により、前記第2の通信手段による通信のための第1の通信を行う通信工程を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−51717(P2013−51717A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−234023(P2012−234023)
【出願日】平成24年10月23日(2012.10.23)
【分割の表示】特願2008−97481(P2008−97481)の分割
【原出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】