説明

通信端末装置、プログラム、情報処理システム、および、メタデータ提供サーバ

【課題】移動速度に応じて取得する位置メタデータの領域サイズを調整し、効率よく位置メタデータを取得することが可能な通信端末装置を提供する。
【解決手段】通信端末装置10は、現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部118と、位置情報取得部により取得された位置情報の変化量と変化時間とから移動速度を算出する速度算出部120と、位置情報と移動速度とに基づいて位置メタデータの取得領域の基準となる基準点を決定し、取得領域の大きさを示す領域サイズを移動速度に応じて決定し、基準点と領域サイズとに基づいて特定される取得領域内の位置メタデータを、位置メタデータを提供するメタデータ提供サーバから取得するメタデータ取得部116とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末装置、プログラム、情報処理システム、および、メタデータ提供サーバに関し、特に、位置メタデータをメタデータ提供サーバから取得する通信端末装置が位置メタデータを効率よく取得するための通信端末装置、プログラム、情報処理システム、および、メタデータ提供サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばGPS(Global Positioning System)などの位置情報を取得するための装置により取得されたユーザの現在位置を利用したサービスが普及している。このようなサービスは、従来、車両に搭載されたカーナビゲーションシステムとして地図上にユーザの現在位置と目的地までの経路を提供するものが主流であった。ところが、現在、位置情報を取得するための装置は、携帯電話、携帯ゲーム機器、PDA、PC、カメラなどあらゆる携帯可能な装置に搭載されるようになってきている。
【0003】
このような装置の中には、地図情報や地図上の地点に関する情報であるPOI(Point Of Interest)情報を含む位置メタデータをネットワークを介してインターネット上のメタデータ提供サーバからダウンロードしてユーザに提供するものがある。ところが、かかる装置が位置メタデータを記憶する記憶装置の容量やダウンロードに用いるネットワークの帯域は必ずしも十分確保できるとは限らず、さらに、位置に対応づけられた情報は年々増加している。このため、位置メタデータを効率よく取得する方法が望まれている。
【0004】
そこで、例えば特許文献1は、地図データを領域毎のファイルとし、さらに道路データを別レイヤのデータとすることによって、ファイル毎、レイヤ毎のデータ更新を可能にすることにより必要最小限のデータのみ更新することが可能な装置を開示している。また特許文献1は、さらに、装置の進行方向、或いは、走行中の道路がつながっている先の地図情報を優先的にダウンロードする方法も提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−105882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ユーザの移動速度に応じて、必要とされる位置メタデータの領域の広さは異なるはずだが、この点は考慮されておらず、ユーザが徒歩で移動している場合であっても、電車に乗って移動している場合であっても取得される位置メタデータの大きさは同じであり、移動速度が遅い場合には不要に広範囲の位置メタデータを取得している可能性が高いという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、通信端末装置が効率的に位置メタデータを取得することが可能な、新規かつ改良された、通信端末装置、プログラム、情報処理システム、および、メタデータ提供サーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、上記位置情報取得部により取得された上記位置情報の変化量と変化時間とから移動速度を算出する速度算出部と、上記位置情報と上記移動速度とに基づいて位置メタデータの取得領域の基準となる基準点を決定し、上記取得領域の大きさを示す領域サイズを上記移動速度に応じて決定し、上記基準点と上記領域サイズとに基づいて特定される取得領域内の位置メタデータを、位置メタデータを提供するメタデータ提供サーバから取得するメタデータ取得部とを有する通信端末装置が提供される。
【0009】
かかる構成によれば、通信端末装置の移動速度に応じて位置メタデータを取得する領域のサイズをその都度変更することができるようになる。このため、効率的に位置メタデータを取得することができるようになり、ユーザに提供する画面の応答性も向上する。
【0010】
また、上記位置メタデータは、地図情報と上記地図上の地点に関する情報であるスポット情報とを少なくとも含み、上記メタデータ取得部は、上記位置情報および予め登録されたユーザ情報のうち少なくともいずれかに基づいて上記スポット情報を上記取得領域内のスポット情報から選択的に取得してもよい。
【0011】
また、上記メタデータ取得部は、上記位置情報取得部により取得された位置情報により特定される地域の属性に基づいて必要なカテゴリの上記スポット情報を上記取得領域内のスポット情報から選択的に取得してもよい。
【0012】
また、上記位置メタデータは、位置および上記ユーザ情報に対応づけられた情報であるユーザメタ情報をさらに含み、上記メタデータ取得部は、上記速度算出部により算出された移動速度と、上記位置情報取得部により取得された位置情報とに基づいて上記ユーザの移動手段を推定し、推定された上記移動手段に応じて上記取得領域内から位置メタデータを選択的に取得してもよい。
【0013】
また、上記メタデータ取得部は、予め登録された上記ユーザ情報または上記ユーザの行動履歴情報に基づいた嗜好情報に従って上記取得領域内から上記位置メタデータを選択的に取得してもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、上記位置情報取得部により取得された上記位置情報の変化量と変化時間とから移動速度を算出する速度算出部と、上記位置情報と上記移動速度とに基づいて位置メタデータの取得領域の基準となる基準点を決定し、上記取得領域の大きさを示す領域サイズを上記移動速度に応じて決定し、上記基準点と上記領域サイズとに基づいて特定される取得領域内の位置メタデータを、位置メタデータを提供するメタデータ提供サーバから取得するメタデータ取得部として機能させるためのプログラムが提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、上記位置情報取得部により取得された上記位置情報の変化量と変化時間とから移動速度を算出する速度算出部と、上記位置情報と上記移動速度とに基づいて位置メタデータの取得領域の基準となる基準点を決定し、上記取得領域の大きさを示す領域サイズを上記移動速度に応じて決定し、上記基準点と上記領域サイズとに基づいて特定される取得領域内の位置メタデータを、位置メタデータを提供するメタデータ提供サーバから取得するメタデータ取得部とを有する通信端末装置と、上記メタデータ取得部の要求に応じて位置メタデータを検索するメタデータ検索部と、上記メタデータ検索部による検索結果である位置メタデータを上記通信端末装置に提供するメタデータ提供部とを有するメタデータ提供サーバと、を有する情報処理システムが提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、通信端末装置から受信した上記通信端末装置の移動速度に応じて位置メタデータの取得領域の大きさを示す領域サイズを決定し、上記通信端末装置から受信した基準点と上記領域サイズとに基づいて特定される取得領域内の位置メタデータを検索するメタデータ検索部と、上記メタデータ検索部による検索結果である位置メタデータを上記通信端末装置に提供するメタデータ提供部とを有するメタデータ提供サーバが提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、移動速度に応じて取得する位置メタデータの領域サイズを調整し、効率よく位置メタデータを取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成図である。
【図2】位置メタデータの一例を説明するための説明図である。
【図3】位置メタデータの一例を説明するための説明図である。
【図4】位置メタデータの他の一例を説明するための説明図である。
【図5】情報処理システムの機能ブロック図である。
【図6】通信端末装置の移動速度が一定である場合の位置メタデータ取得方法を説明するための説明図である。
【図7】通信端末装置の移動速度が漸増する場合の位置メタデータ取得方法を説明するための説明図である。
【図8】通信端末装置の移動速度と位置メタデータを取得する領域サイズとの関係を示す表である。
【図9】位置メタデータ取得処理の具体例を示す説明図である。
【図10】位置メタデータ取得処理の具体例を示す説明図である。
【図11】位置メタデータ取得処理の具体例を示す説明図である。
【図12】位置メタデータ取得処理の具体例を示す説明図である。
【図13】位置メタデータ取得処理の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.システム構成
2.位置メタデータについて
3.システム機能構成
4.メタデータ取得方法の概要
4−1.メタデータ取得領域の領域サイズを可変とする例
4−2.メタデータの情報密度を可変とする例
5.位置メタデータ取得処理の動作例
6.効果の例
【0021】
<1.システム構成>
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成図である。
【0022】
本発明の一実施形態に係る情報処理システム1は、通信機能を有し、位置に関するメタデータ(以下、位置メタデータという)に基づいた情報をユーザに提供する通信端末装置10と、通信端末装置10に位置メタデータを提供するメタデータ提供サーバ20と、通信端末装置10の位置情報を提供するための位置情報提供装置である基地局31またはGPS衛星32とを主に有する。
【0023】
通信端末装置10は、図示しないネットワークを介してメタデータ提供サーバ20、基地局31、及びGPS衛星32と接続可能である。そして通信端末装置10は、例えば、基地局31またはGPS衛星32から取得した位置情報に基づいて自装置の現在位置を取得することができ、取得した現在位置周辺の地図情報を含む位置メタデータをメタデータ取得サーバ20から取得して、ユーザに現在位置周辺の地図情報と当該地図上でのユーザの位置を提供することができる。
【0024】
メタデータ提供サーバ20は、通信端末装置10の現在位置に基づいた位置メタデータの取得要求に応じて位置メタデータを検索し、周辺の領域の位置メタデータを提供する機能を有する。メタデータ提供サーバ20は、自装置内部に有する記憶領域に記憶された位置メタデータの中から条件に合った位置メタデータを抽出して通信端末装置10に送信してもよい。また、メタデータ
提供サーバ20は、他の外部サービス(Webサービスを含む)と連携して位置メタデータを取得し、通信端末装置10に提供する位置メタデータを生成してもよい。
【0025】
<2.位置メタデータについて>
ここで、図2〜図4を参照して、通信端末装置10が取得してユーザに提供する位置メタデータについて、通信端末装置10がユーザに提供するサービスの一例を示しながら説明する。図2〜図4は、位置メタデータについて説明するための説明図である。
【0026】
通信端末装置10が提供する位置メタデータは、主に、地図情報、POI(Point Of Interest)情報、及び、ユーザメタ情報を含む。ここでPOI情報は、例えば、レストランや行楽施設などの関心地点を表すスポット情報である。POI情報を構成する要素としては、例えば、名称、緯度経度、住所、ジャンル、電話番号、URI(Uniform Resource Identifier)が挙げられる。
【0027】
そしてユーザメタ情報は、ユーザおよび位置に対応づけられた情報である。通信端末装置10がユーザに提供するサービスは、予めユーザが会員登録をし、登録されたユーザ情報に基づいた情報をユーザに提供してもよい。このとき登録されたユーザ情報に基づいてユーザメタデータが生成されてもよい。ここで図2および図3を参照してユーザメタ情報の一例について説明する。図2は、ユーザメタデータの設定画面200の一例を示す説明図である。
【0028】
ユーザメタデータの設定画面200は、ユーザが、位置に対応づいて通知させたい情報を設定するための画面である。ここで設定される情報は、イメージとしては、従来のto doリスト(すなわち、やるべきこと)に「場所」を設定したものである。通信端末装置10は、このユーザメタデータに基づいて、設定された「場所」をトリガにして、設定された内容を通知する機能を有する。
【0029】
設定画面200は、例えば、通知時期設定領域202、通知ユーザ設定領域204、通知場所設定領域206、通知内容設定領域208を主に含む。通知時期設定領域202は、設定されたユーザが「いつ」設定された場所に近づくと設定された内容を通知するかといった通知時期を設定するための領域である。通知ユーザ設定領域204は、「だれが」設定された場所に近づくと設定された内容を通知するかといった通知のトリガとなるユーザを設定するための領域である。ここで設定されたユーザは、通知のトリガとなるだけでなく、通知の対象でもある。事前にユーザ情報として家族などを通知対象のユーザとして登録しておけば、自分自身だけでなく家族など他の人に対して通知するよう設定することも可能である。通知場所設定領域206は、「どこに」設定されたユーザが近づくと設定された内容を通知するかといった通知のトリガとなる場所を設定するための領域である。通知場所は、本実施形態のように不特定のスーパーが設定されてもよいし、特定の場所が設定されてもよい。通知内容設定領域208は、設定されたユーザが設定された時期に設定された場所に近づいた場合に通知する内容を設定するための領域である。通知内容は、所謂To Doリストのように、やるべきことを設定してもよい。
【0030】
本実施形態においては、以下のように通知条件が設定された場合について説明する。例えば、通知時期は「帰りに」、通知ユーザは「旦那が」、通知場所は「スーパーで」、通知内容は「牛乳を買う」である。かかる内容が通知された画面の一例が図3に示される。図3の左図上では、ユーザの現在位置付近の地図情報とユーザの現在位置Mが示されている。ユーザの進行方向の先には、スーパー302があることがわかる。ここで、現在位置Mで示された位置にいるユーザは、図2において「旦那」と表現されていたユーザであるとする。この後、ユーザがスーパー302に近づくと、通知内容がポップアップP1で表示される。通知内容が通知されるタイミングは、例えば、通知条件で通知場所として設定された場所とユーザの現在位置Mとの距離が所定の閾値以内となった場合である。
【0031】
以上説明したような通知条件と通知内容とを含む情報も、ユーザメタデータの一種である。この他にも、例えば次のような情報もユーザメタデータの一種である。図4の左図は、ユーザの現在位置周辺の地図情報とユーザの現在位置Mとが示されている。ユーザは、SBY駅方面に歩いているとする。ユーザがSBY駅に近づくと、図4の中図に示されるように、SBY駅の電車の時刻表へのリンクを示すポップアップP2が画面上に表示される。ユーザは、画面の表示を見てポップアップP2をクリックすると、図4の右図に示されたように、SBY駅の時刻表が表示される。かかるサービスを提供するために、ユーザが事前に登録しておいたユーザ情報(例えば、駅に近づくと時刻表を表示するサービスの利用登録情報)はユーザメタデータの他の一例である。
【0032】
<3.システム機能構成>
次に、図5を参照して、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの機能構成について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの機能構成図である。
【0033】
(通信端末装置の機能構成)
まず、通信端末装置10は、表示部102、メタデータ記憶部104、ユーザ情報記憶部106、操作部108、制御部110を主に含む。制御部110は、さらに、表示制御部112、メタデータ検索部114、メタデータ取得部116、位置情報取得部118、速度算出部120を主に含む。
【0034】
表示部102は、表示制御部112の制御に従ってユーザに情報を表示するための表示装置である。表示部102は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置で構成される。
【0035】
メタデータ記憶部104は、位置メタデータを記憶する記憶装置である。通信端末装置10内部のメタデータ記憶部104は、例えば、ユーザの住居や会社など予め設定された場所の周辺の位置メタデータを記憶している。そして、メタデータ取得部116がメタデータ提供サーバから位置メタデータを取得すると、取得された位置メタデータを記憶する。
【0036】
ユーザ情報記憶部106は、通信端末装置10のユーザに関する情報を記憶する記憶装置である。ここで記憶されるユーザ情報は、例えば、ユーザの嗜好情報、ユーザが設定した設定情報などを含むことができる。上述の通り、本情報処理システムにおいて提供されるサービスは、予めユーザ登録することによって設定された情報に基づいて提供されるが、例えば、ユーザ登録していないユーザも利用できるようにしてもよい。この場合、登録済みのユーザに関するユーザ情報は、メタデータ提供サーバ20のユーザ情報記憶部208に記憶される。そして、通信端末装置10のユーザ情報記憶部106は、主に未登録のユーザに関するユーザ情報を記憶する。
【0037】
メタデータ記憶部104とユーザ情報記憶部106とは、本実施形態においては別の記憶装置として示したが、これに限られない。例えば、メタデータ記憶部104とユーザ情報記憶部106とは、同一の記憶装置として実装されてもよい。ここで、メタデータ記憶部104とユーザ情報記憶部106とは、例えばHDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。
【0038】
表示制御部112は、表示部102の表示を制御する機能を有し、表示部102に表示される画面を生成する。例えば、表示制御部112は、メタデータ検索部114から入力された位置メタデータから表示する地図データを生成し、位置情報取得部118が取得した通信端末装置10の位置情報に基づいて、生成した地図データ上に通信端末装置10の現在位置を示すアイコンを重ねた画面を生成する。或いは、表示制御部112は、メタデータ検索部114から入力された位置メタデータがユーザメタデータを含む場合には、通信端末装置10の現在位置が、通知のトリガとなる場所に近づいた場合には、ユーザメタデータ中から通知内容を取り出して、表示部102に表示させる機能をも有する。また、表示制御部112は、操作部108を用いてユーザが入力した操作情報に従って、表示部102に表示させる地図の縮尺や範囲を変更することもできる。
【0039】
メタデータ検索部114は、表示制御部112からの指示に従って、通信端末装置10の内部のメタデータ記憶部104に記憶された位置メタデータを検索する機能を有する。例えば、メタデータ検索部114は、位置情報取得部118により取得された現在位置に基づいて表示制御部112が表示部102に表示させるための位置メタデータを内部のメタデータ記憶部104から検索する。メタデータ検索部114は、所望のデータがメタデータ記憶部104内に存在する場合には、メタデータ記憶部104から抽出した位置メタデータを表示制御部112に入力する。一方、所望のデータがメタデータ記憶部104に存在しない場合には、メタデータ検索部114は、メタデータ取得部116に、位置メタデータを外部のメタデータ提供サーバ20から取得させる。
【0040】
メタデータ取得部116は、メタデータ提供サーバから位置メタデータを取得して取得した位置メタデータを通信端末装置10内のメタデータ記憶部104に記憶する機能を有する。このときメタデータ取得部116は位置メタデータを取得するための取得条件を含む取得要求をメタデータ提供サーバ20に送信する。ここで送信する取得条件は、位置メタデータの取得領域の範囲を特定するための情報、例えば、位置メタデータの取得領域の基準となる基準点(例えば取得領域の中心点)と取得領域の大きさを示す領域サイズとを含む。領域サイズは、メタデータ取得部116により、通信端末装置10の移動速度に応じて決定される。また、メタデータ取得部116は、位置情報取得部118により取得された現在の位置情報に基づいて基準点を決定する。例えば、メタデータ取得部116は、位置メタデータ取得処理を開始した時点の現在位置を基準点としてもよいし、位置メタデータ取得処理を開始した時点の現在位置と移動速度(移動方向を含む)から推定される地点を基準点としてもよい。
【0041】
メタデータ取得部116は、取得条件に加えて、ユーザを識別するための情報をメタデータ提供サーバ20に送信してもよい。或いは、メタデータ取得部116は、通信端末装置10自身が保有するユーザ情報に基づいて、位置メタデータの取得条件を生成する場合には、生成した取得条件をメタデータ提供サーバ20に送信してもよい。
【0042】
また、後に詳述するが、メタデータ取得部116は、必要に応じて選択的に位置メタデータを取得する。例えば、メタデータ取得部は、位置情報取得部118により取得された位置情報および予めユーザ情報記憶部106に記憶されたユーザ情報のうち少なくともいずれかに基づいて位置メタデータを取得領域内から選択的に取得する。
【0043】
また例えば、メタデータ取得部116は、位置情報取得部118により取得された位置情報により特定された地域の属性に基づいて必要なカテゴリの位置メタデータを取得領域内から選択的に取得する。
【0044】
さらに例えば、メタデータ取得部116は、通信端末装置10の移動速度と位置情報取得部118により取得された位置情報とに基づいてユーザの移動手段を推定し、推定された移動手段に応じて取得領域内から位置メタデータを選択的に取得する。
【0045】
また、例えば、メタデータ取得部116は、予め登録されたユーザ情報またはユーザの行動履歴情報に基づいた嗜好情報に従って取得領域内から位置メタデータを選択的に取得する。
【0046】
位置情報取得部118は、現在位置を示す位置情報を取得する機能部である。例えば、位置情報取得部118は、地球上空を旋回するGPS衛星から送信されたGPS信号を受信するGPS受信機と、受信したGPS信号に含まれる軌道情報から各GPS衛星の位置を算出し、算出した各GPS衛星の位置、および、GPS信号の送信時刻と受信時刻の差分に基づいて現在位置を算出する現在位置算出部とから構成されてもよい。または、位置情報取得部118は、複数の基地局からのWiFi電波を受信する受信機と、受信したWiFi電波の受信強度から各基地局との距離を推定し、各基地局との距離および各基地局の位置を利用して三角測量の原理に基づいて現在位置を算出する現在位置算出部とから構成されてもよい。さらに、位置情報取得部118は、各種センサを用いて得られた測位データから現在位置を算出してもよい。
【0047】
速度算出部120は、位置情報取得部118により取得された位置情報の変化量と変化時間とから移動速度を算出する機能を有する。位置情報の履歴は、図示しないメモリ部などに一時記憶されている。かかる履歴情報から速度算出部120は、移動速度に加えて進行方向も算出することができる。
【0048】
(メタデータ提供サーバの機能構成)
次に、メタデータ提供サーバ20は、メタデータ提供部202、メタデータ検索部204、メタデータ記憶部206、ユーザ情報記憶部208を主に含む。
【0049】
メタデータ提供部202は、通信端末装置10からの位置メタデータの取得要求を受信するとともに、当該取得要求に応じてメタデータ検索部204に位置メタデータを検索させ、取得した位置メタデータを通信端末装置10に送信する機能を有する。
【0050】
メタデータ検索部204は、メタデータ提供部202から入力された位置メタデータの取得要求に基づいて、位置メタデータを検索する。このときメタデータ検索部204は、取得要求にユーザの識別情報が含まれる場合には、必要に応じてユーザ情報記憶部208に記憶されたユーザ情報を参照する。また、メタデータ検索部204は、図示しないがメタデータ提供サーバ20内部のメタデータ記憶部206に限らず、他の装置に記憶されたメタデータを併せて検索してもよい。
【0051】
メタデータ記憶部206は、位置メタデータを記憶する記憶装置である。各通信端末装置10からの要求に応じて提供するための位置メタデータが記憶される。各通信端末装置10内部にそれぞれ全ての位置メタデータを保有する場合と比較して、その都度メタデータ提供サーバ20から位置メタデータを取得する場合には、位置メタデータの内容に更新がある場合にはメタデータ提供サーバ内の情報を更新するだけで即座に反映することができるため好適である。
【0052】
ユーザ情報記憶部208は、各通信端末装置10のユーザに関する情報を記憶する記憶装置である。ここで記憶されるユーザ情報は、例えば、ユーザが設定した設定情報、ユーザの履歴情報及び嗜好情報などが含まれてもよい。上述の通り、本情報処理システムにおいて提供されるサービスは、予めユーザ登録することによって設定された情報に基づいて提供される。ユーザ情報記憶部208に記憶されたユーザ情報は、ユーザ登録したユーザに対して、よりキメ細やかなサービスを提供するために用いられる。
【0053】
メタデータ記憶部206とユーザ情報記憶部208とは、本実施形態においては別の記憶装置として示したが、これに限られない。例えば、メタデータ記憶部206とユーザ情報記憶部208とは、同一の記憶装置として実装されてもよい。ここで、メタデータ記憶部206とユーザ情報記憶部208とは、例えばHDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。
【0054】
<4.メタデータ取得方法の概要>
本実施形態に係る通信端末装置10は、その位置メタデータの取得方法に特徴を有している。この点について、さらに具体的に説明をする。
【0055】
通信端末装置10は、ユーザに情報を提供するための位置メタデータのうち、ある地点(例えば、デフォルト地点として登録された地点)周辺の位置メタデータを内部の記憶領域に記憶している。そして、記憶された位置メタデータの領域以外の位置メタデータは、ネットワークを介して接続されるメタデータ提供サーバ20からその都度取得する。例えば、ナビゲーション装置のように、その用途が限られた装置においては、全ての位置メタデータを内部に記憶しているものもあるが、例えば携帯電話のように、多くの機能を有する端末装置は、位置メタデータのために記憶領域の容量を取れない場合が多い。また、ネットワーク帯域が十分である場合にはその都度大量の位置メタデータを取得することもできるが、現状必ずしも十分なネットワーク帯域を確保できるとはいえない状況である。
【0056】
そこで、位置メタデータを効率的に取得する方法が望まれている。このため、通信端末装置10は、2つのアプローチによる位置メタデータ取得の効率化を提案する。1つめのアプローチは、位置メタデータの取得する領域のサイズを通信端末装置10の移動速度に応じて調整することである。例えば通信端末装置10のユーザが徒歩により移動している場合には、ユーザは詳細な地図情報を必要とする可能性が高いため、車や電車などの移動手段により移動する場合と比較して、1度に取得する位置メタデータの領域の範囲は狭くてもよい。一方、車や電車などの移動手段によりユーザが移動している場合には、ユーザは広域な地図情報を必要とする可能性が高いため、ユーザが徒歩により移動する場合と比較して、1度に取得する位置メタデータの領域の範囲は広い方が好ましい。このため、通信端末装置10は自装置の移動速度が速いほど1度に取得する位置メタデータの取得領域の大きさを大きくする。
【0057】
さらに、2つめのアプローチは、取得する位置メタデータの粒度を調整することである。位置メタデータは、必ずしもその全ての情報が必要であるとは限らない。ユーザ毎、或いは、ユーザの状況に応じて必要とされる情報は異なる。または、通信端末装置10を有するユーザの移動手段に応じて必要とされる位置メタデータの密度は異なる。そこで、メタデータ取得部116は、通信端末装置10の位置情報および予め登録されたユーザ情報のうち少なくともいずれかに基づいて選択的に位置メタデータを取得する。
【0058】
〔4−1.メタデータ取得領域の領域サイズを可変とする例〕
ここで、効率的に位置メタデータを取得するための2つのアプローチについて、その具体例を用いて以下に説明する。まず、メタデータ取得部116によって決定される領域サイズについて図6〜図8を用いて説明する。図6は、通信端末装置10が等速で移動している場合に取得される位置メタデータを示した説明図である。
【0059】
まず、通信端末装置10は、内部のメタデータ記憶部104に予め位置メタデータ501で示される情報を保持しているとする。そして、ユーザが移動することにより表示する位置メタデータが内部のメタデータ記憶部104に存在しなくなった場合に、メタデータ取得部116は、メタデータ提供サーバ20から位置メタデータ502を取得する。このとき、メタデータ取得部116は、メタデータ提供サーバに対して取得する位置メタデータ502の範囲を特定するための取得条件を送信する。取得条件は、例えば取得する位置メタデータの領域の基準点52と取得領域の大きさを示す領域サイズDとを含む。取得領域は、例えば基準点52を中心として一辺が2Dとなる正方形の領域である。図6に示されるように、通信端末装置10の移動速度が等速である場合には、領域サイズは各取得領域において同じである。
【0060】
一方、通信端末装置10の移動速度が漸増する場合に取得される位置メタデータが図7に示される。メタデータ取得部116は、位置メタデータの取得処理時における移動速度に基づいて位置メタデータの取得領域の領域サイズを決定する。図7の例においては、位置メタデータ504の基準点54から、例えば車にのったユーザの持つ通信端末装置10の移動速度が車の加速に合わせて漸増するため、メタデータ取得部116は、この移動速度に応じて取得する位置メタデータの領域サイズを拡大する。
【0061】
ここで実際に用いられる領域サイズDの一例を図8に示す。図8は、通信端末装置の移動速度と位置メタデータを取得する領域サイズとの関係を示す表である。例えば、通信端末装置10を有するユーザが徒歩により移動している場合であってその移動速度が4km/hである場合には、領域サイズDの値は2kmとする。また、通信端末装置10を有するユーザが車により移動している場合、或いは、通信端末装置10を取り付けられた車が動いている場合であって、通信端末装置10の移動速度が60km/hである場合には、領域サイズDの値は30kmとする。また、通信端末装置10を有するユーザが新幹線に乗って移動している場合であって、その移動速度が200km/hである場合には、領域サイズDの値は100kmとする。
【0062】
以上説明したように、取得する位置メタデータの領域サイズを、通信端末装置10の移動速度に応じて可変とすることにより、効率のよいメタデータ取得が達成される。しかし、ただ単純にサイズを変更するのみでは、領域サイズが大きい場合、すなわち移動速度が速い場合に取得するデータ量が大きくなりすぎてしまう。そこで、2つめのアプローチとして、取得する位置メタデータの情報密度を可変とすることが考えられる。以下に、具体例を用いて説明する。
【0063】
〔4−2.メタデータの情報密度を可変とする例〕
次に、図9〜図12を参照しながら、位置メタデータの情報密度を可変として効率のよい位置メタデータの取得を達成するための方法について説明する。
【0064】
まず図9を参照すると、左図には、取得領域内の全てのコンビニエンスストアのPOI情報が含まれている。しかし、例えば、ユーザがコンビニエンスストアAとコンビニエンスストアBとコンビニエンスストアCとのうち、コンビニエンスストアBはほとんど利用しない場合には、ユーザにとってコンビニエンスストアBの位置に関する情報は不要な情報である。この場合には、通信端末装置10のメタデータ取得部116は、コンビニエンスストアAとコンビニエンスストアCとのPOI情報を選択的に取得する。これにより、取得するPOI情報のデータ量を削減することができるため、効率が上がるというメリットがある。
【0065】
かかる取得方法は、例えば、通信端末装置10のユーザ情報記憶部106に記憶されたユーザ情報の嗜好情報からメタデータ取得部116が自動的に判断してメタデータ提供サーバ20に対して送信する取得条件に選択条件を加えて送信し、メタデータ提供サーバ20のメタデータ検索部206がかかる条件に従って検索を実行することにより達成されてもよい。或いは、メタデータ提供サーバ20内のユーザ情報記憶部208に記憶されたユーザ情報に、選択的に位置メタデータを取得する設定がなされている場合には、かかるユーザ情報を参照することによりメタデータ検索部204が選択的に位置メタデータを取得することにより実現される。
【0066】
次に、図10を参照すると、同様に左図には、取得領域内の全てのコンビニエンスストアのPOI情報が含まれている。しかし、あまりにもコンビニエンスストアが密集している場合には、全ての情報が必要とは限らない。そこで、通信端末装置10のメタデータ取得部116は、コンビニエンスストアが一定間隔となるように選択的にPOI情報を取得してもよい。このときメタデータ検索部204は、コンビニエンスストアの位置情報を取得して既存のアルゴリズムを適用することによりコンビニエンスストアの位置が概ね一定間隔おきとなるようにPOI情報を取得する。
【0067】
次に、図11を参照すると、左図には取得領域内の全ての飲食店のPOI情報が含まれている。ここで、星の中に記述された数字は、口コミサイトにおける該飲食店の評価を示す。評価点の示された口コミサイトを参照するユーザは、口コミ評価の良い飲食店を探していると考えられる。すなわち、評価点の低い情報はユーザにとって不要な情報である可能性が高い。従って、通信端末装置10のメタデータ取得部116は、評価点が所定の閾値以上の飲食店に対応するPOI情報のみを取得してもよい。例として、評価点が3以上の飲食店のみ示した図が右図に示される。このように、必要な情報のみを表示する方がユーザにとって所望の情報にたどり着くことができる可能性が高く、見やすいため好適である。
【0068】
また、図12を参照すると、取得領域内のPOI情報のうち、取得領域の地域の属性に基づいて必要なカテゴリのPOI情報を選択的に表示した図が示される。例えば、DKY駅周辺がインテリアショップやブティックが立ち並び、買い物など遊びに訪れる人が多いことで有名な場所であるとする。この場合、インテリアショップ、レストラン、カフェ、ブティックに関するPOI情報が選択的に取得され、学校や病院の情報は取得されない。このようにメタデータ取得部116は、地域の属性に基づいてユーザが必要とするであろう情報のカテゴリを推定して必要な情報のみを選択的に取得してもよい。メタデータ提供サーバ20のメタデータ検索部204は、例えば場所の属性と必要とされるカテゴリとを対応付けたデータベースを参照することにより必要とされるカテゴリを判断してもよい。さらに、例えばユーザがDKY駅周辺に勤めている場合には、必要とされるカテゴリは通常と異なる場合がある。メタデータ検索部204は、このようにユーザ固有の情報をユーザ情報記憶部208から参照することによりユーザがその場所にいる目的を推定することにより必要なカテゴリを判断してもよい。
【0069】
具体的には、メタデータ提供サーバ20は、予め場所に対して対応づけられたタグ情報を参照することができるように構成されている。このタグ情報は、人間が手動で付与したものであってもよいし、CGM(Consumer Generated Media)を利用して集合知的に付与されたものであってもよい。例えば、上記のDKY駅に対して、「週末、ファッション、雑貨、ランチ、カフェ、美容院」というタグが付与されているとする。一方、職場に対して、「平日(9時〜17時30分)、ランチ、コンビニ、ATM、郵便局、銀行、ドラッグストア」というタグが付与されているとする。ここで、DKY駅近辺に勤めるユーザAさんが、メタデータ提供サーバ20に職場の場所(住所または緯度経度)を登録したとする。この場合、Aさんが平日(9時〜17時30分)の間にDKY駅周辺を歩いている場合には、メタデータ提供サーバ20のメタデータ検索部204は、その時間と場所とから、後者の職場に対応付けられたタグを参照して、「ランチ、コンビニ、ATM、郵便局、銀行、ドラッグストア」に関連するPOI情報を優先的に取得する。一方、Aさんが週末もしくは会社帰り(17時半以降で、会社からある一定の距離を離れたら、通信端末装置10は、メタデータ提供サーバ20にNotifyを投げることにより、会社帰りと判定する。)にDKY駅周辺を歩いている場合には、メタデータ検索部204は、その時間と場所とから、前者のDKY駅に対応づけられたタグを参照して、「ファッション、雑貨、ランチ、カフェ、美容院」に関連するPOI情報を優先的に取得する。
【0070】
さらに、メタデータ取得部116は、通信端末装置10の移動速度や位置情報からユーザの現在の状態、例えば、歩いているか、走っているか、電車に乗っているか、新幹線に乗っているか、車に乗っているか、などの移動手段を推定することにより、移動手段に応じて必要とされる位置メタデータを選択的に取得してもよい。例えば、ユーザが走行中の電車に乗っている場合には、現在位置の近くにコンビニやスーパーの情報があったとしても立寄ることは不可能であるため、メタデータ取得部116は、かかるPOI情報を取得しなくてもよい。
【0071】
以上説明してきた2つ目のアプローチである位置メタデータの情報密度を可変とする方法は、いずれも通信端末装置10のメタデータ取得部116がユーザ情報記憶部106に記憶されたユーザ情報を参照することにより、または、操作部108から入力された操作情報に基づいて取得条件を生成し、生成した取得条件をメタデータ提供サーバに送信して、メタデータ提供サーバ20のメタデータ検索部204がかかる取得条件に基づいて位置メタデータを検索することにより達成される。或いは、通信端末装置10がユーザ登録したユーザのものである場合には、メタデータ提供サーバ20のメタデータ検索部204がユーザ情報記憶部208に記憶されたユーザ情報を参照することにより取得条件を追加し、かかる取得条件に基づいて位置メタデータを検索することにより達成されてもよい。
【0072】
また、位置メタデータを選択的に取得する場合に、例えば位置メタデータの中でもユーザメタデータに対応づけられたPOI情報は必ず取得するようにしてもよい。例えば、「帰りにスーパーで牛乳を買う」と、スーパーに対応づけられたユーザメタデータがある場合には、スーパーのPOI情報は必ず取得するようにする。
【0073】
<5.位置メタデータ取得処理の動作例>
次に、これまで説明してきた位置メタデータ取得処理についてその動作例を図13のフローチャートを用いて説明する。図13は、位置メタデータ取得処理の動作例を示すフローチャートである。
【0074】
まず、通信端末装置10の位置情報取得部118は、自身の現在位置を取得する(S102)。そして、メタデータ検索部114は、現在位置周辺の位置メタデータを内部のメタデータ記憶部104内から検索する(S104)。そして、該当するメタデータがあるか否かを判定する(S106)。かかる判定において、該当する位置メタデータが存在する場合には、メタデータ検索部114は該当する位置メタデータを表示制御部112に入力し、表示制御部112は、入力された位置メタデータに基づいて情報を生成して表示部102に表示させることにより、ユーザに情報を提供する(S108)。
【0075】
一方、内部のメタデータ記憶部104に該当するメタデータが無かった場合には、メタデータ検索部114は、メタデータ取得部116に該当する位置メタデータを外部のメタデータ提供サーバ20から取得させる。このとき、メタデータ検索部114は、位置情報取得部118から取得した位置情報と速度算出部120により算出された移動速度とをメタデータ取得部116に入力する。
【0076】
メタデータ取得部116は、さらにユーザ情報記憶部からユーザ情報を取得し(S110)、取得したユーザ情報から位置メタデータの取得条件を生成する。そして、生成した取得条件を含むメタデータ取得要求をメタデータ提供サーバ20に送信する(S112)。
【0077】
ここで、通信端末装置10から送信された位置メタデータ取得要求を受信した(S202)メタデータ提供サーバ20は、メタデータ検索部204において、メタデータ提供サーバ20内に記憶されたユーザ情報を取得し(S204)、取得要求内に含まれる取得条件と、ユーザ情報とから取得条件を必要に応じて再生成する。そして、メタデータ検索部204は、ここで生成された取得条件に基づいて位置メタデータを検索する(S206)。そして、メタデータ検索部204は検索して得られた位置メタデータをメタデータ提供部202に入力し、メタデータ提供部202は、入力された位置メタデータを通信端末装置10に送信する(S208)。
【0078】
メタデータ提供サーバ20から送信された位置メタデータを受信した(S114)通信端末装置10のメタデータ取得部116は、受信した位置メタデータをメタデータ記憶部104に記憶する(S116)。そして、記憶された位置メタデータの中からメタデータ検索部114は必要な位置メタデータを取得して表示制御部112に入力する。そして、表示制御部112は、入力された位置メタデータに基づいて情報を生成して表示部102に表示させることにより、ユーザに情報を提供する(S108)。
【0079】
<6.効果の例>
以上説明してきたように本実施形態に係る情報処理システムによれば、通信端末装置は、移動速度に応じた領域サイズを有する取得領域内の位置メタデータを取得するため、不要に広域な位置メタデータを取得することを抑制することができ、効率のよい位置メタデータの取得が実現できる。さらに、位置メタデータを効率よく取得することができるため、取得した位置メタデータに基づいてユーザに提供する画面の応答性も向上する。
【0080】
また、取得領域内の情報密度をユーザに応じて、或いはユーザの状況に応じて可変とすることにより、通信端末装置のユーザにとって必要な情報を優先的に取得することができ、取得するデータ量を低減することができる。このように、取得するデータ量が低減されることにより、位置メタデータ取得処理の負荷が軽減され、サービスの軽快な動作が実現されるという効果もある。
【0081】
なお、上記実施形態において説明した通信端末装置10の各部の機能は、実際には、図示しないCPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより達成される。例えば、上記実施形態に係る通信端末装置10においては、表示制御部112、メタデータ検索部114、メタデータ取得部116、速度算出部120、及び位置情報取得部118の一部の各機能は、実際には、CPUがこれらの機能を実現する処理手順を記述したプログラムを実行することにより達成される。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
例えば、上記実施形態では、通信端末装置は携帯電話である場合について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、通信端末装置は、携帯ゲーム機器、携帯用音楽再生装置、PDA、PC、カメラ、ナビゲーション装置など、自装置の位置情報を取得する機能を有する装置であればよい。
【0084】
また、例えば、上記実施形態では、通信端末装置が移動速度に応じた領域サイズを決定する構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、通信端末装置は移動速度をメタデータ提供サーバに送信し、メタデータ提供サーバが領域サイズを決定する構成としてもよい。また或いは、通信端末装置は自装置の位置情報をメタデータ提供サーバに送信し、メタデータ提供サーバが移動速度を算出して領域サイズを決定する構成であってもよい。
【0085】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0086】
10 通信端末装置
20 メタデータ提供サーバ
102 表示部
104 メタデータ記憶部
106 ユーザ情報記憶部
108 操作部
110 制御部
112 表示制御部
114 メタデータ検索部
116 メタデータ取得部
118 位置情報取得部
120 速度算出部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部により取得された前記位置情報の変化量と変化時間とから移動速度を算出する速度算出部と、
前記位置情報と前記移動速度とに基づいて位置メタデータの取得領域の基準となる基準点を決定し、前記取得領域の大きさを示す領域サイズを前記移動速度に応じて決定し、前記基準点と前記領域サイズとに基づいて特定される取得領域内の位置メタデータを、位置メタデータを提供するメタデータ提供サーバから取得するメタデータ取得部と、
を備える通信端末装置。
【請求項2】
前記位置メタデータは、地図情報と前記地図上の地点に関する情報であるスポット情報とを少なくとも含み、
前記メタデータ取得部は、前記位置情報および予め登録されたユーザ情報のうち少なくともいずれかに基づいて前記スポット情報を前記取得領域内のスポット情報から選択的に取得する、請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記メタデータ取得部は、前記位置情報取得部により取得された位置情報により特定される地域の属性に基づいて必要なカテゴリの前記スポット情報を前記取得領域内のスポット情報から選択的に取得する、請求項2に記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記位置メタデータは、位置および前記ユーザ情報に対応づけられた情報であるユーザメタ情報をさらに含み、
前記メタデータ取得部は、前記速度算出部により算出された移動速度と、前記位置情報取得部により取得された位置情報とに基づいて前記ユーザの移動手段を推定し、推定された前記移動手段に応じて前記取得領域内から位置メタデータを選択的に取得する、請求項2または3のいずれかに記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記メタデータ取得部は、予め登録された前記ユーザ情報または前記ユーザの行動履歴情報に基づいた嗜好情報に従って前記取得領域内から前記位置メタデータを選択的に取得する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信端末装置。
【請求項6】
コンピュータを、
現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部により取得された前記位置情報の変化量と変化時間とから移動速度を算出する速度算出部と、
前記位置情報と前記移動速度とに基づいて位置メタデータの取得領域の基準となる基準点を決定し、前記取得領域の大きさを示す領域サイズを前記移動速度に応じて決定し、前記基準点と前記領域サイズとに基づいて特定される取得領域内の位置メタデータを、位置メタデータを提供するメタデータ提供サーバから取得するメタデータ取得部と、
して機能させるためのプログラム。
【請求項7】
現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部により取得された前記位置情報の変化量と変化時間とから移動速度を算出する速度算出部と、
前記位置情報と前記移動速度とに基づいて位置メタデータの取得領域の基準となる基準点を決定し、前記取得領域の大きさを示す領域サイズを前記移動速度に応じて決定し、前記基準点と前記領域サイズとに基づいて特定される取得領域内の位置メタデータを、位置メタデータを提供するメタデータ提供サーバから取得するメタデータ取得部と、
を有する通信端末装置と、
前記メタデータ取得部の要求に応じて位置メタデータを検索するメタデータ検索部と、
前記メタデータ検索部による検索結果である位置メタデータを前記通信端末装置に提供するメタデータ提供部と、
を有するメタデータ提供サーバと、
を備える情報処理システム。
【請求項8】
通信端末装置から受信した前記通信端末装置の移動速度に応じて位置メタデータの取得領域の大きさを示す領域サイズを決定し、前記通信端末装置から受信した基準点と前記領域サイズとに基づいて特定される取得領域内の位置メタデータを検索するメタデータ検索部と、
前記メタデータ検索部による検索結果である位置メタデータを前記通信端末装置に提供するメタデータ提供部と、
を備えるメタデータ提供サーバ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−141130(P2011−141130A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−604(P2010−604)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】