説明

通信端末装置、及び、コンピュータプログラム

【課題】 ハードウェア量及びコストの増大、並びに、保守性の悪化を招くことなく、加速度を検出可能な携帯電話装置を提供する。
【解決手段】
携帯電話装置100は、通信基地局200から所定周波数の搬送波で送信される電波信号を受信するアンテナ104と、受信した電波信号に基づいて発振器156の発振信号と受信した電波信号との周波数オフセット量を算出し、算出した周波数オフセット量が小さくなるように発振器156を制御する発振器制御部154等を含む電話網通信部124とを含む通信端末装置であって、周波数オフセット量に基づいて携帯電話装置100の移動速度を算出する移動速度算出機能、及び、算出した移動速度に基づいて加速度を算出する加速度算出機能を有するCPU130を含むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AFC(Automatic frequency control)機能を有する通信端末装置における技術に関し、特に加速度を検出するための通信端末装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の運転手が、音声通話機能、メール機能及びワンセグ(1seg)機能等の携帯電話装置の各種機能を運転中に動作させるために生じる交通事故が多発している。このような交通事故を防止するために、携帯電話装置の移動速度を検知するための速度検知機能に関する技術が提案されている。
【0003】
例えば、後掲の特許文献1に開示されるCDMA(Code Division Multiple Access)方式の携帯電話装置は、AFC(Automatic frequency control)機能を実現するために算出される周波数オフセット量を利用して移動速度を算出する。ここで、AFC機能とは、受信した電波信号の周波数に合わせてローカルな発振信号の周波数を自動制御して安定化させるための機能である。
【0004】
また、後掲の特許文献2に開示される、無線装置に搭載された速度検出装置は、AFC装置によって復調され制御されたデジタル復調信号の単位時間あたりの位相差を、位相に比例して単調増加する関数又は単調減少する関数に変換して相関値を算出し、算出した相関値に基づいて速度を検出する。
【0005】
さらに、後掲の特許文献3に開示される通信端末装置は、専用の加速度検出部によってハードウェア的に検知された加速度データ、又は、受信部によって測定された受信電界強度の変化率データの値に基づいて、通信端末装置が高速移動中であるか否かの判断を行なう。
【0006】
特許文献1〜特許文献3に開示される技術によれば、上述した速度検知機能を利用して携帯電話装置が高速移動中であるか否かを判定し、判定結果に基づいて携帯電話装置の各種機能の動作制御を行なうことができる。これにより、運転中に携帯電話装置の各種機能を動作させるために生じる交通事故の発生数を低減することが可能になる。
【特許文献1】特開2001−157263号公報
【特許文献2】特開2007−208398号公報
【特許文献3】特開平10−243465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3に開示される技術において、加速度検出部は、例えば、圧電型加速度センサ及びインダクタンス型加速度センサ等の加速度センサからなり、慣性による反作用を測定することによって三次元の加速度データを検出する。このような加速度センサが搭載されると、携帯電話装置の部品点数が増加するため、ハードウェア量及びコストが増大するとともに、保守性が悪化するという問題がある。また、特許文献1及び特許文献2には、携帯電話装置の加速度を検出するための技術について開示されていない。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ハードウェア量及びコストの増大、並びに、保守性の悪化を招くことなく、加速度を検出可能な通信端末装置及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の局面に係る通信端末装置は、通信基地局から所定周波数の搬送波で送信される電波信号を受信する受信手段と、受信した電波信号に基づいて発振器の発振信号と受信した電波信号との周波数オフセット量を算出し、算出した周波数オフセット量が小さくなるように発振器を制御する自動周波数制御手段とを含む通信端末装置であって、周波数オフセット量に基づいて通信端末装置の移動速度を算出する移動速度算出手段と、算出した移動速度に基づいて加速度を算出する加速度算出手段とを含む。
【0010】
このように、従来の通信端末装置に備えられる、自動周波数制御手段によって算出された周波数オフセット量に基づいて通信端末装置の移動速度を算出し、算出した移動速度に基づいて加速度を算出するので、新たな部品を設けることなく通信端末装置の加速度を算出することができる。したがって、ハードウェア量及びコストの増大、並びに、保守性の悪化を招くことなく、加速度を検出可能な通信端末装置を提供することができる。
【0011】
好ましくは、通信端末装置は、加速度算出手段によって算出された加速度が予め定めるしきい値以上であるか否かを判定する判定手段と、判定手段によって加速度が予め定めるしきい値以上であると判定された回数に基づいて、当該通信端末装置の動作を切替える動作切替手段とをさらに含む。
【0012】
このように、加速度が予め定めるしきい値以上であると判定された回数に基づいて、当該通信端末装置の動作を切替えるので、通信端末装置の移動状態に応じて通信端末装置の動作を切替えることができる。したがって、通信端末装置の動作の切替えを容易に行なうことができる。
【0013】
より好ましくは、動作切替手段は、判定手段によって加速度が予め定めるしきい値以上ではないと判定された場合には、当該通信端末装置の動作を切替えない。
【0014】
このように、加速度が予め定めるしきい値より小さい場合には、当該通信端末装置の動作の切替えが行なわれないので、通信端末装置の移動状態に応じた通信端末装置の動作の切替を、より一層確実に行なうことができる。
【0015】
さらに好ましくは、移動速度算出手段は、周波数オフセット量に基づいてドップラー周波数を算出し、算出したドップラー周波数に基づいて移動速度を算出する。
【0016】
このように、ドップラー周波数に基づいて、通信端末装置の移動速度を算出するので、より一層正確な移動速度を算出することができる。
【0017】
本発明の第2の局面に係るコンピュータプログラムは、通信基地局から所定周波数の搬送波で送信される電波信号を受信する受信手段と、受信した電波信号に基づいて発振器の発振信号と受信した電波信号との周波数オフセット量を算出し、算出した周波数オフセット量が小さくなるように発振器を制御する自動周波数制御手段とを含む通信端末装置において、コンピュータを加速度検出装置として機能させるコンピュータプログラムであって、当該コンピュータを、周波数オフセット量に基づいて通信端末装置の移動速度を算出する移動速度算出手段と、算出した移動速度に基づいて加速度を算出する加速度算出手段として機能させる。
【0018】
このように、従来の通信端末装置に備えられる、自動周波数制御手段としての機能によって算出された周波数オフセット量に基づいて通信端末装置の移動速度を算出し、算出した移動速度に基づいて加速度を算出するので、新たな部品を設けることなく通信端末装置の加速度を算出することができる。したがって、ハードウェア量及びコストの増大、並びに、保守性の悪化を招くことなく、加速度を検出可能な通信端末装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来の通信端末装置に備えられる、自動周波数制御手段によって算出された周波数オフセット量に基づいて通信端末装置の移動速度を算出し、算出した移動速度に基づいて加速度を算出するので、新たな部品を設けることなく通信端末装置の加速度を算出することができる。したがって、ハードウェア量及びコストの増大、並びに、保守性の悪化を招くことなく、加速度を検出可能な通信端末装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下の説明及び図面においては、同一の部品には同一の参照符号及び名称を付してある。それらの機能も同様である。したがって、それらについての詳細な説明をその都度繰返すことはしない。
【0021】
図1は、本発明の一実施の形態に係る携帯電話装置100を含む無線通信システム300の構成を示す図である。図1を参照して、無線通信システム300は、携帯電話装置100と、通信基地局200とを含む。本実施の形態において、携帯電話装置100と通信基地局200とは、W−CDMA(WidebandCode Division Multiple Access)方式によって無線通信を行なう。
【0022】
−携帯電話装置100−
〈ハードウェア構成〉
図2は、本発明の一実施の形態に係る携帯電話装置100の構成を示すブロック図である。図2を参照して、携帯電話装置100は、上下方向の長さが左右方向の長さより長い略直方体形状の筺体(図示せず)の上部端面に設けられるアンテナ104と、筺体の正面に設けられる操作部106及び表示部108と、筺体の背面に設けられる電源部(図示せず)とを含む。筺体の正面において、上部には受話口が形成され、下部には送話口が形成される。
【0023】
携帯電話装置100はさらに、CPU(Central Processing Unit)130を含む。CPU130は、マスクROM(Read−Only Memory)132、RAM(Random Access Memory)134及びフラッシュROM136と電気的に接続される。
【0024】
マスクROM132は、携帯電話装置100の動作に必要な情報であって、書換えが行なわれないデータを記憶する読出専用メモリである。マスクROM132は、例えば、かな漢字変換用の辞書等を記憶する。
【0025】
RAM134は、CPU130が各種プログラムを実行する際に、フラッシュROM136内のコンピュータプログラム(以下「プログラム」と記す。)が展開されたり、ワーキングメモリとして使用されたりする、一時記憶用メモリである。すなわち、RAM134内には、画像データ及び携帯電話装置100の移動速度を示す移動速度データ等の各種データが一時的に保存され、時間的に古いデータは消去される、又は、最新のデータが上書きされることによって、各種データが一時的に記憶される。
【0026】
フラッシュROM136は、必要に応じてデータの読出又は書込が行なわれるメモリである。本実施の形態において、フラッシュROM136には、携帯電話装置100の各構成部の動作を実行し制御するためのプログラム、待受画面データ等の画像データ、電話番号情報、及び、メールアドレス情報等の各種データとともに、動作切替処理を実行するためのプログラムが記憶される。このプログラムにおける、動作切替処理を実現するためのプログラム構造については後述する。
【0027】
フラッシュROM136は、また、不在着信情報を記憶する。不在着信情報とは、着信信号の受信時にユーザによる応答操作が行なわれなかった場合に記憶される情報であって、着信信号に含まれる発信元番号等の発信元情報を含む。
【0028】
フラッシュROM136は、さらに、メール履歴情報を記憶する。メール履歴情報には、メールの差出人名及び差出人のメールアドレス等を含むメールの送信元情報、並びに、件名及び本文等を含むメールの内容情報等が、メールの受信順に、それぞれ関連付けて記憶される。
【0029】
フラッシュROM136は、さらに、音楽情報を記憶する。音楽情報には、楽曲データ、並びに、楽曲番号、楽曲名及び歌手名等の楽曲データに関する情報が、それぞれ関連付けて記憶される。
【0030】
フラッシュROM136は、さらに、後述する振り動作検出処理において使用するための、予め定めるしきい値が記憶する。本実施の形態において、このしきい値は、予め実験によって定めるものとする。ここで、振り動作とは、携帯電話装置100がユーザによって振られる動作を示し、例えば、1回のみ振られる動作、及び、振り続けられる動作等がある。
【0031】
CPU130は、操作部106等から出力されるユーザの指示に応じた制御信号に従って各種プログラムを実行することによって、携帯電話装置100の各構成部の動作、及び、通信基地局200との無線通信等の所望の処理を実行する。上記の各種プログラムは、予めフラッシュROM136に記憶されており、所望の処理の実行時において、当該フラッシュROM136から読出されてRAM134に転送される。CPU130は、CPU130内のプログラムカウンタと呼ばれるレジスタ(図示せず。)に格納された値によって指定される、RAM134内のアドレスからプログラムの命令を読出し、解釈する。CPU130はまた、読出された命令によって指定されるアドレスから演算に必要なデータを読出し、そのデータに対し命令に対応する演算を実行する。実行の結果も、RAM134、フラッシュROM136及びCPU130内のレジスタ等の、命令によって指定されるアドレスに格納される。
【0032】
CPU130には、さらに、操作部106、駆動回路138、電話網通信部124、音声入出力部126、バイブレータ部140、及び、撮像部142が電気的に接続される。
【0033】
操作部106は、ユーザからの各種指示等を入力するための入力装置として使用されるユーザインターフェイスであって、電話番号及びメールアドレス等の入力を行なうためのテンキー、電源を入れる又は切るための電源ボタン、並びに、不在着信情報、メール履歴情報及び音楽情報等の削除を行なうためのクリアキー等の複数のキーを含む。操作部106は、ユーザの入力操作によってなされる各種指示に応じた制御信号をCPU130に対して出力することで、ユーザの入力操作に応じた各種処理を実現する。
【0034】
駆動回路138は、表示部108と電気的に接続され、CPU130から入力される制御信号に従って、表示部108を駆動し、RAM134又はフラッシュROM136に記憶される画像データ等の画像を表示部108に表示させる。駆動回路138は、例えば、携帯電話装置100に電源が投入された状態であって、かつ、他の機能が動作されていない状態(以下「待受状態」と記す。)であるときに、表示部108に、フラッシュROM136に記憶される待受画面データに基づく待受画面を表示させる。なお、携帯電話装置100の他の機能としては、通信基地局200との無線通信を行なう機能、待受画面又は受信した電子メール(以下単に「メール」と記す。)の内容情報等を表示部108に表示させる機能、音楽情報に基づいて楽曲を再生する機能、撮像部142による撮影機能、電話網通信部124及び音声入出力部126による音声通話機能、通話音量を増大させる機能、並びに、通話を保留状態にする機能等がある。
【0035】
表示部108は、ユーザに対して各種情報を出力するための出力装置として使用されるユーザインターフェイスである。表示部108は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD(Liquid Crystal Display)、又は、EL(Electro Luminescence)パネル等から構成される。
【0036】
電話網通信部124には、アンテナ104が電気的に接続される。アンテナ104は、通信基地局200と無線通信を行なうために、通信基地局200から所定周波数の搬送波で送信される電波信号とアナログ信号とを相互に変換する。電話網通信部124は、アンテナ104を介して無線により電話通信及びデータ通信を行なうためのベースバンド回路であって、モデム機能を実現するための復調部(図2には図示せず。)及び変調部(図示せず。)を含む。通信基地局200からの電波信号受信時には、アンテナ104は、受信した電波信号に基づくアナログ信号を電話網通信部124に対して出力する。電話網通信部124は、入力されたアナログ信号を復調部においてデジタル信号に変換して復調する。復調後のデジタル信号は、音声入出力部126に対して出力される。通信基地局200に対する電波信号送信時には、電話網通信部124は、音声入出力部126から入力されるデジタル信号を変調部においてアナログ信号に変換して変調する。変調されたアナログ信号は、電話網通信部124からアンテナ104に対して出力され、アンテナ104は、入力されたアナログ信号に基づく電波信号を通信基地局200に対して送信する。電話網通信部124は、さらに、AFC機能を実現するための構成(図2には図示せず。)を含む。この構成については後述する。
【0037】
音声入出力部126には、スピーカ120及びマイク122が電気的に接続される。スピーカ120は、筺体内部において受話口に臨むように設けられ、通話の際に音声入出力部126から入力される電気信号(以下「音声信号」と記す。)を音声に変換して出力する。マイク122は、筺体内部において送話口に臨むように設けられ、通話の際にユーザの音声を音声信号に変換して音声入出力部126に与える。音声入出力部126は、チャネルコーデック機能を有する。通信基地局200からの電波信号受信時には、音声入出力部126は、電話網通信部124から入力される復調後のデジタル信号に対して所定のデジタル処理を施すとともに、デジタル信号を音声信号と制御信号とに分離する。分離された音声信号はスピーカ120に対して出力され、制御信号はCPU130に対して出力される。通信基地局200に対する電波信号送信時には、音声入出力部126は、CPU130から入力される制御信号と、マイク122から入力され、ノイズサプレッサ(図示せず。)によってノイズ信号が低減された音声信号とを結合するとともに、所定のデジタル処理を施す。デジタル処理後のデジタル信号は、電話網通信部124に対して出力される。
【0038】
バイブレータ部140は、バイブレータモータ及び重錘を含む。バイブレータ部140は、CPU130から入力される制御信号に従って、バイブレータモータを駆動して重錘を回転させることで振動を発生する。
【0039】
撮像部142は、撮像レンズ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子、カラーフィルタ、増幅部、アナログ/デジタル(A/D)変換部、及び、信号処理部(以上いずれも図示せず。)を含む。撮像部142は、被写体で反射されて撮像レンズに入射した光をRGB(R:レッド、G:グリーン、B:ブルー)の3色のカラーフィルタを通してRGBの3色光にし、RGBの3色光をそれぞれ撮像素子によってRGBに対応する電気信号に変換する。変換された電気信号は増幅部によって増幅された後、A/D変換部によってデジタル信号に変換されて画像データとして信号処理部に対して出力される。信号処理部は、入力された画像データに対して、画素の補間処理などの信号処理を行う。信号処理後の画像データは、フラッシュROM136に記憶される。
【0040】
撮像部142は、また、CPU130から入力される制御信号に従って設定される、マクロモード、遠景撮影モード、及び、動体撮影モード等の各撮影モードに従って撮影を行なう。ここで、マクロモードとは、至近距離にある被写体を撮影するモードのことであり、遠景撮影モードとは、風景など遠方にある被写体を撮影するモードのことであり、動体撮影モードとは、実際に動いている被写体を撮影するモードのことである。
【0041】
電源部(図示せず。)は、例えば、二次電池等のバッテリからなり、CPU130から入力される制御信号に従って、携帯電話装置100の各構成部に対して電力を供給する。なお、CPU130に対する電力供給は、ユーザ等による操作部106の電源ボタンからの入力操作によって開始される。
【0042】
図3は、電話網通信部124に設けられるAFC機能を実現するための構成を示す図である。図3を参照して、電話網通信部124は、AFC機能を実現するための構成として、周波数変換部150、復調部152、発振器制御部154、及び、発振器156を含む。周波数変換部150は、アンテナ104から入力されるアナログ信号と、発振器156から入力される所定の周波数の発振信号とをミキシングすることで周波数変換処理を行なう。この周波数変換処理によって、入力されたアナログ信号は所定の周波数のアナログ信号に変換される。復調部152は、周波数変換後のアナログ信号をデジタル信号に変換して復調する。復調後のデジタル信号は、音声入出力部126及び発振器制御部154に対して出力される。発振器制御部154は、所定の時間内における復調後のデジタル信号の周波数オフセット量(周波数誤差量)を検出し、検出した周波数オフセット量に基づいて、周波数オフセット量が小さくなるように、発振器156から出力される発振信号の周波数をフィードバック制御する。発振器制御部154は、また、検出した周波数オフセット量を示すオフセット情報信号をCPU130に対して出力する。発振器156は、発振器制御部154によるフィードバック制御に従った所定の周波数の発振信号を、周波数変換部150に対して出力する。
【0043】
〈ソフトウェア構成〉
(動作切替処理)
図4及び図5は、動作切替処理を実現するためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す図である。上述したように、フラッシュROM136に記憶されるプログラムは、動作切替処理を実行するようにプログラミングされている。このプログラムは、CPU130が、上記プログラムに従って、携帯電話装置100の各構成部の動作を制御することによって、ハードウェアとコンピュータプログラムとの協働により実現する、移動速度算出機能、加速度算出機能、判定機能、及び、動作切替機能等によって実行される。なお、移動速度算出機能とは、周波数オフセット量に基づいて、携帯電話装置100の移動速度を算出する機能のことであり、加速度算出機能とは、算出した移動速度に基づいて、携帯電話装置100の加速度を算出する機能のことであり、判定機能とは、携帯電話装置100の加速度が予め定めるしきい値以上であるか否かの判定等の各種判定を行なう機能のことであり、動作切替機能とは、携帯電話装置100の加速度が予め定めるしきい値以上であると判定された回数に基づいて、携帯電話装置100の動作を切替える機能のことである。
【0044】
動作切替処理を実現するためのプログラムは、携帯電話装置100の電源が投入されることによって起動され、電源が切られることによって終了される。
【0045】
図4を参照して、このプログラムは、後述する振り動作検出処理を実行するステップS100と、ステップS100の処理後に実行され、携帯電話装置100が待受状態であるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS101と、ステップS101において、待受状態であると判定された場合(YESの場合)に実行され、フラッシュROM136に記憶される不在着信情報に基づいて不在着信があったか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS102とを含む。
【0046】
このプログラムはさらに、ステップS102において、不在着信があったと判定された場合(YESの場合)に実行され、バイブレータ部140に対し、バイブレータモータを駆動させて重錘を回転させることで、携帯電話装置100を振動させるステップS103とを含む。ステップS102において、不在着信がないと判定された場合(NOの場合)には、制御はステップS100に戻る。
【0047】
このプログラムはさらに、ステップS101において、待受状態ではないと判定された場合(NOの場合)に実行され、表示部108に、メールの内容情報が表示されているか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS104と、ステップS104において、メールの内容情報が表示されていると判定された場合(YESの場合)に実行され、フラッシュROM136に記憶されるメール履歴情報に基づいて、表示部108に、現在内容情報が表示されているメールの次に受信したメールの内容情報を表示させるステップS105とを含む。
【0048】
このプログラムはさらに、ステップS104において、メールの内容情報が表示されていないと判定された場合(NOの場合)に実行され、楽曲が再生中であるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS106と、ステップS106において楽曲が再生中であると判定された場合(YESの場合)に実行され、フラッシュROM136に記憶される音楽情報に基づいて、現在再生中の楽曲に対応する楽曲番号の、次の楽曲番号に対応する楽曲の再生を開始するステップS107とを含む。
【0049】
このプログラムはさらに、ステップS106において、楽曲が再生中ではないと判定された場合(NOの場合)に実行され、撮像部142による撮影中であるか否かを判定し、判定結果に応じて制御を分岐させるステップS108と、ステップS108において、撮影中であると判定された場合(YESの場合)に実行され、撮影モードをマクロモードに設定するステップS109とを含む。
【0050】
図5を参照して、このプログラムはさらに、ステップS108において、撮影中ではないと判定された場合(NOの場合)に実行され、音声通話中であるか否かを判定し、判定結果に応じて制御を分岐させるステップS110と、ステップS110において、音声通話中であると判定された場合(YESの場合)に実行され、携帯電話装置100の振り動作の状態を示す振り状態フラグ(以下「Flag」と記す。)が1であるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS111とを含む。Flagが1であれば、携帯電話装置100が1回のみ振られた状態であることを示し、Flagが2であれば、携帯電話装置100が振り続けられている状態であることを示す。
【0051】
このプログラムはさらに、ステップS111において、Flagが1であると判定された場合(YESの場合)に実行され、スピーカ120から出力される音量を大きくすることで、通話音量を増大させるステップS112と、ステップS111において、Flagが1ではないと判定された場合(NOの場合)、すなわち、Flagが2である場合に実行され、通話を保留状態にするステップS113とを含む。
【0052】
(振り動作検出処理)
図6は、図4のステップS100における振り動作検出処理を実現するためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す図である。図6を参照して、振り動作検出処理を実現するためのプログラムは、変数iに0を代入するとともに、変数tに0を代入するステップS200を含む。ここで、変数iは、後述するステップS202において、携帯電話装置100の加速度が予め定めるしきい値以上であると判定された回数を示す値であり、変数tは、後述するステップS207において、変数iが1であると判定された回数を示す値である。
【0053】
このプログラムはさらに、後述する加速度検出処理を実行するステップS201と、加速度検出処理において算出された携帯電話装置100の加速度が、フラッシュROM136に記憶される予め定めるしきい値以上であるか否かを判定し、判定結果に応じて制御を分岐させるステップS202と、ステップS202において、加速度が予め定めるしきい値以上であると判定された場合(YESの場合)に実行され、変数iを1増加させるステップS203とを含む。
【0054】
このプログラムはさらに、ステップS203の処理後、又は、ステップS202において、加速度が予め定めるしきい値以上ではないと判定された場合(NOの場合)に実行され、変数iが2より小さいか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS204と、ステップS204において、変数iが2より小さくないと判定された場合(NOの場合)、すなわち、変数iが2である場合に実行され、Flagに2を代入するステップS205とを含む。
【0055】
このプログラムはさらに、ステップS204において、変数iが2より小さいと判定された場合(YESの場合)、すなわち、変数iが0又は1である場合に実行され、変数tが5より小さいか否かを判定し、判定結果に応じて制御を分岐させるステップS206と、ステップS206において、変数tが5より小さいと判定された場合(YESの場合)に実行され、変数iが1であるか否かを判定し、判定結果に応じて制御を分岐させるステップS207と、ステップS207において、変数iが1であると判定された場合(YESの場合)に実行され、変数tを1増加させるステップS208とを含む。ステップS207において、変数iが1ではないと判定された場合(NOの場合)、すなわち、変数iが0である場合、又は、ステップS208の処理後には、制御はステップS201に戻る。
【0056】
このプログラムはさらに、ステップS206において、変数tが5より小さくないと判定された場合(NOの場合)、すなわち、ステップS207において変数iが1であると判定された回数が5回である場合に実行され、Flagに1を代入するステップS209を含む。
【0057】
(加速度検出処理)
図7は、図6のステップS201における加速度検出処理を実現するためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す図である。図7を参照して、加速度検出処理を実現するためのプログラムは、何回目の移動速度の算出が行なわれているのかを示す値(以下「Num」と記す。)に0を代入するステップS300を含む。Numが0であれば、最初の、すなわち1回目の移動速度の算出が行なわれていることを示し、Numが1であれば、2回目の移動速度の算出が行なわれていることを示す。
【0058】
このプログラムはさらに、発振器制御部154からオフセット情報信号が入力されるまで待機するステップS301と、ステップS301において、オフセット情報信号が入力されたと判定された場合(YESの場合)に実行され、オフセット情報信号に含まれる周波数オフセット量に基づいて、携帯電話装置100の移動速度を算出するステップS302とを含む。ステップS302において使用される移動速度の算出方法としては、当該分野において一般的に使用される方法であれば特に限定されないが、例えば、周波数オフセット量に基づいてドップラー周波数を算出し、算出したドップラー周波数に基づいて移動速度を算出する方法等がある。このような算出方法を用いることによって、より一層正確な移動速度を算出することができる。
【0059】
このプログラムはさらに、算出した移動速度を示す移動速度データを、RAM134内の要素が2つの配列Speedのうち、Speed[Num]に記憶させるステップS303を含む。ステップS303において、移動速度データは、移動速度の算出が1回目である場合にはSpeed[0]に記憶され、移動速度の算出が2回目である場合にはSpeed[1]に記憶される。
【0060】
このプログラムはさらに、Numが0であるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS304と、ステップS304において、Numが0であると判定された場合(YESの場合)に実行され、Numに1を代入するステップS305と、100ミリ秒間待機するステップS306とを含む。ステップS306の処理後、制御はステップS301に戻る。
【0061】
このプログラムはさらに、ステップS304において、Numが0でないと判定された場合(NOの場合)、すなわち、Numが1である場合に実行され、Speed[1]に記憶される移動速度データと、Speed[0]に記憶される移動速度データとの差分値を算出し、算出した差分値に基づいて、携帯電話装置100の単位時間当たりの移動速度の変化率である加速度を算出するステップS307とを含む。
【0062】
〈動作〉
図1〜図7を参照して、本実施の形態に係る携帯電話装置100は、AFC処理時、加速度検出処理時、振り動作検出処理時、及び、動作切替処理時において、以下のように動作する。なお、上述の各処理時における動作を除く、携帯電話装置100の一般的な機能を実現するための動作は、従来の携帯電話装置における動作と同様である。
【0063】
ユーザは、まず、操作部106の電源ボタンからの入力操作によって、携帯電話装置100の電源を投入する。電源が投入されると、フラッシュROM136に記憶される待受画面データに基づく待受画面が表示部108に表示される。
【0064】
(AFC処理時における動作)
電話網通信部124は、常時、以下に示す動作を繰返す。すなわち、周波数変換部150は、アンテナ104から入力されるアナログ信号と、発振器156から入力される所定の周波数の発振信号とをミキシングすることで周波数変換処理を行ない、入力されたアナログ信号を所定の周波数のアナログ信号に変換する。復調部152は、周波数変換後のアナログ信号をデジタル信号に変換して復調し、復調後のデジタル信号を、音声入出力部126及び発振器制御部154に対して出力する。発振器制御部154は、所定の時間内における復調後のデジタル信号の周波数オフセット量を検出し、検出した周波数オフセット量に基づいて、周波数オフセット量が小さくなるように、発振器156から出力される発振信号の周波数をフィードバック制御する。このフィードバック制御によって、AFC機能が実現される。発振器制御部154は、上記フィードバック制御に同期して、検出した周波数オフセット量を示すオフセット情報信号をCPU130に対して出力する。発振器156は、発振器制御部154によるフィードバック制御に従った所定の周波数の発振信号を、周波数変換部150に対して出力する。
【0065】
(加速度検出処理時における動作(図7参照))
CPU130は、一定時間毎に、以下に示す動作を繰返す。すなわち、CPU130は、まず、Numに0を代入し(S300)、発振器制御部154からオフセット情報信号が入力されるまで待機する(S301)。オフセット情報信号が入力されると、CPU130は、オフセット情報信号に含まれる周波数オフセット量に基づいて、携帯電話装置100の移動速度を算出する(S302)。一回目に算出された移動速度を示す移動速度データは、RAM134内のSpeed[0]に記憶される(S303)。
【0066】
一回目の移動速度データが記憶されると、CPU130は、Numに1を代入し(S305)、100ミリ秒間待機する(S306)。CPU130は、100ミリ秒間待機後にオフセット情報信号が入力されると(S301)、再度、オフセット情報信号に含まれる周波数オフセット量に基づいて、携帯電話装置100の移動速度を算出する(S302)。2回目に算出された移動速度を示す移動速度データは、RAM134内のSpeed[1]に記憶される(S303)。
【0067】
CPU130は、Speed[1]に記憶される移動速度データと、Speed[0]に記憶される移動速度データとの差分値を算出し、算出した差分値に基づいて、携帯電話装置100の加速度を算出する(S307)。本実施の形態においては、携帯電話装置100の1ミリ秒あたりの移動速度の変化率が、加速度として算出される。
【0068】
(振り動作検出処理時における動作)
CPU130は、振り動作の状態に応じて、以下に示す動作を繰返す。以下、振り動作検出処理時において、携帯電話装置100が振られない場合に実行される動作、1回のみ振られた場合に実行される動作、及び、携帯電話装置100が振り続けられた場合に実行される動作について図6を参照して説明する。
【0069】
−携帯電話装置100が振られない場合−
CPU130は、図6に制御構造を示すプログラムを実施している。このプログラムが起動されると、S200で変数i及びtに0を代入する。携帯電話装置100が振られない場合、S201で検出された加速度の値はしきい値以下である。したがってS202の判定はNOとなる。変数iに値が加算されることはないので変数iの値は0のままである。変数iの値が0のままなので、S207の判定結果はNOとなる。その結果、S208の処理も実行されず、変数tの値は0のままである。したがってS204及びS206の判定結果はいずれもYES、S202及びS207の判定結果はいずれもNOとなって、この状態でS201〜S207の処理が繰返し実行されることになる。
【0070】
−携帯電話装置100が1回のみ振られた場合における動作−
この場合、上記した図6のプログラムの繰返しのうちで、S202での判定結果がYESとなることが一度だけ生ずる。S203の処理が実行され、変数iの値が1増加する。i=1なのでS204の判定結果は依然としてYESである。変数tは0であるので、S206の判定結果も依然としてYESである。しかしこの場合、S207の判定結果がYESとなり、S208が実行され、変数tの値が1増加する。
【0071】
携帯電話装置100が1回だけ振られるので、次にS201で検出される加速度の値はしきい値未満となる。この場合、S202の判定結果はNOとなる。このとき、変数iは1であり、変数tは1である。したがって、図6のS204、S206及びS207の判定結果はいずれもYESとなり、S208が実行され、変数tの値が1増加して2となる。以後、加速度の値がしきい値以上となることがなく上記したS201〜S208の処理が3回繰返されると、変数iの値は1のまま、変数tの値が5となる。その結果、次の繰返しではS204の判定結果はYES,S206の判定結果がNOとなってS209の処理が実行され、Flagに1が代入される。
【0072】
−携帯電話装置100が振り続けられた場合における動作−
この場合には、携帯電話装置100が1回だけ振られた場合と異なり、変数iの値が1、変数tの値が1となった後、さらにS202で加速度がしきい値以上と判定されることになる。したがってS203の処理が実行され変数iの値が2となる。S204での判定結果がNOとなって、S205の処理が実行され、Flagに2が代入される。
【0073】
(動作切替処理(図4及び図5参照))
表示部108に待受画面が表示されているときに、ユーザによって携帯電話装置100が一回振られると、CPU130は、上述した、振り動作検出処理時において携帯電話装置100が1回のみ振られた場合における動作を実行する(S100)。その後、CPU130は、携帯電話装置100が待受状態であると判定し(S101)、フラッシュROM136に記憶される不在着信情報に基づいて不在着信があったか否かを判定する(S102)。そして、不在着信があったと判定した場合には、バイブレータ部140に対し、バイブレータモータを駆動させて重錘を回転させることで、携帯電話装置100を振動させる(S103)。一方、不在着信がないと判定した場合には、バイブレータ部140に対する上記処理は行なわない。これにより、ユーザは、待受状態時に携帯電話装置100を一回振ることによって、不在着信があったか否かを知ることができる。
なお、表示部108に待受画面が表示されているときに、ユーザによって携帯電話装置100が振り続けられた場合においても、S100において携帯電話装置100が振り続けられた場合における動作が実行される点を除いて、上記と同様の動作が実行される。
【0074】
また、表示部108にメールの内容情報が表示されているときに、ユーザによって携帯電話装置100が一回振られると、CPU130は、上述した、振り動作検出処理時において携帯電話装置100が1回のみ振られた場合における動作を実行する(S100)。その後、CPU130は、表示部108にメールの内容情報が表示されていると判定し(S104)、フラッシュROM136に記憶されるメール履歴情報に基づいて、表示部108に、現在内容情報が表示されているメールの次に受信したメールの内容情報を表示させる(S105)。これにより、ユーザは、メールの内容の閲覧時に携帯電話装置100を一回振ることによって、次に受信したメールの内容を閲覧することができる。
なお、表示部108にメールの内容情報が表示されているときに、ユーザによって携帯電話装置100が振り続けられた場合においても、S100において携帯電話装置100が振り続けられた場合における動作が実行される点を除いて、上記と同様の動作が実行される。
【0075】
また、楽曲の再生中に、ユーザによって携帯電話装置100が一回振られると、CPU130は、上述した、振り動作検出処理時において携帯電話装置100が1回のみ振られた場合における動作を実行する(S100)。その後、CPU130は、楽曲が再生中であると判定し(S106)、フラッシュROM136に記憶される音楽情報に基づいて、現在再生中の楽曲に対応する楽曲番号の、次の楽曲番号に対応する楽曲の再生を開始する(S107)。これにより、ユーザは、楽曲の再生時に携帯電話装置100を一回振ることによって、次の楽曲番号に対応する楽曲を再生することができる。
なお、楽曲の再生中に、ユーザによって携帯電話装置100が振り続けられた場合においても、S100において携帯電話装置100が振り続けられた場合における動作が実行される点を除いて、上記と同様の動作が実行される。
【0076】
また、撮像部142による撮影中に、ユーザによって携帯電話装置100が一回振られると、CPU130は、上述した、振り動作検出処理時において携帯電話装置100が1回のみ振られた場合における動作を実行する(S100)。その後、CPU130は、撮像部142による撮影中であると判定し(S108)、撮影モードをマクロモードに設定する(S109)。これにより、ユーザは、撮像部142による撮影時に携帯電話装置100を一回振ることによって、撮影モードをマクロモードに設定することができる。
なお、撮像部142による撮影中に、ユーザによって携帯電話装置100が振り続けられた場合においても、S100において携帯電話装置100が振り続けられた場合における動作が実行される点を除いて、上記と同様の動作が実行される。
【0077】
また、音声通話中に、ユーザによって携帯電話装置100が一回振られると、CPU130は、上述した、振り動作検出処理時において携帯電話装置100が1回のみ振られた場合における動作を実行する(S100)。その後、CPU130は、音声通話中であると判定する(S110)とともにFlagが1であると判定し(S111)、スピーカ120から出力される音量を大きくすることで、通話音量を増大させる(S112)。これにより、ユーザは、音声通話中に携帯電話装置100を一回振ることによって、通話音量を増大させることができる。
【0078】
また、音声通話中に、ユーザによって携帯電話装置100が振り続けられると、CPU130は、上述した、振り動作検出処理時において携帯電話装置100が振り続けられた場合における動作を実行する(S100)。その後、CPU130は、音声通話中であると判定する(S110)とともに、Flagが2であると判定し(S111)、通話を保留状態にする(S113)。これにより、ユーザは、音声通話中に、携帯電話装置100を振り続けることによって、通話を保留状態にすることができる。
【0079】
ユーザは、操作部106の電源ボタンからの入力操作によって、携帯電話装置100の電源を切ることで、携帯電話装置100の使用を終了する。
【0080】
(作用・効果)
本実施の形態によれば、携帯電話装置100は、通信基地局200から所定周波数の搬送波で送信される電波信号を受信するアンテナ104と、受信した電波信号に基づいて発振器156の発振信号と受信した電波信号との周波数オフセット量を算出し、算出した周波数オフセット量が小さくなるように発振器156を制御する発振器制御部154等を含む電話網通信部124とを含む通信端末装置であって、周波数オフセット量に基づいて携帯電話装置100の移動速度を算出する移動速度算出機能、及び、算出した移動速度に基づいて加速度を算出する加速度算出機能を有するCPU130を含む。
【0081】
このように、従来の携帯電話装置に備えられる、AFC機能を実現するための構成によって算出された周波数オフセット量に基づいて携帯電話装置100の移動速度を算出し、算出した移動速度に基づいて加速度を算出するので、新たな部品を設けることなく携帯電話装置100の加速度を算出することができる。したがって、ハードウェア量及びコストの増大、並びに、保守性の悪化を招くことなく、加速度を検出可能な携帯電話装置100を提供することができる。
【0082】
また、本実施の形態によれば、CPU130は、加速度算出機能によって算出された加速度が予め定めるしきい値以上であるか否かを判定する判定機能と、判定機能によって加速度が予め定めるしきい値以上であると判定された回数に基づいて、当該携帯電話装置100の動作を切替える動作切替機能とをさらに有する。
【0083】
このように、CPU130は、加速度が予め定めるしきい値以上であると判定された回数に基づいて、携帯電話装置100の動作を切替えるので、携帯電話装置100の移動状態に応じて携帯電話装置100の動作を切替えることができる。したがって、携帯電話装置100の動作の切替えを容易に行なうことができる。
【0084】
また、本実施の形態によれば、CPU130の動作切替機能は、判定機能によって加速度が予め定めるしきい値以上ではないと判定された場合には、携帯電話装置100の動作を切替えないので、携帯電話装置100の移動状態に応じた携帯電話装置100の動作の切替を、より一層確実に行なうことができる。
【0085】
また、本実施の形態によれば、しきい値は、CPU130の加速度算出機能によって算出された加速度がしきい値以上となった場合に、携帯電話装置100の移動速度が、携帯電話装置100がユーザによって振られた速度となるように設定されるので、ユーザは携帯電話装置100を振ることによって、携帯電話装置100の動作を切替えることができる。したがって、携帯電話装置100の動作の切替えをより一層容易に行なうことができる。
【0086】
なお、上記実施の形態では、CDMA方式の携帯電話装置100を使用したが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、GSM(Global System for Mobile Communications)方式の携帯電話装置、HSPA(High−Speed Downlink Packet Access)方式の携帯電話装置、LTE(Long Term Evolution)方式の携帯電話装置等を使用してもよい。
【0087】
また、上記実施の形態では、通信端末装置の一例として携帯電話装置100を使用したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、携帯電話装置100に代えて、PHS(Personal Handyphone System)電話装置及びPDA装置(Personal Digital Assistant)、ノート型パーソナルコンピュータ等の通信端末装置を使用してもよい。
【0088】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、この発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。この発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施の形態に係る携帯電話装置を含む無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る携帯電話装置の構成を示すブロック図である。
【図3】電話網通信部に設けられるAFC機能を実現するための構成を示す図である。
【図4】動作切替処理を実現するためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す図である。
【図5】動作切替処理を実現するためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す図である。
【図6】図4のステップS100における振り動作検出処理を実現するためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す図である。
【図7】図6のステップS201における加速度検出処理を実現するためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す図である。
【符号の説明】
【0090】
100 携帯電話装置
104 アンテナ
106 操作部
108 表示部
120 スピーカ
122 マイク
124 電話網通信部
126 音声入出力部
130 CPU
132 マスクROM
134 RAM
136 フラッシュROM
138 駆動回路
140 バイブレータ部
142 撮像部
150 周波数変換部
152 復調部
154 発振器制御部
156 発振器
200 通信基地局
300 無線通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信基地局から所定周波数の搬送波で送信される電波信号を受信する受信手段と、
受信した前記電波信号に基づいて発振器の発振信号と受信した前記電波信号との周波数オフセット量を算出し、算出した前記周波数オフセット量が小さくなるように前記発振器を制御する自動周波数制御手段とを含む通信端末装置であって、
前記周波数オフセット量に基づいて前記通信端末装置の移動速度を算出する移動速度算出手段と、
算出した前記移動速度に基づいて加速度を算出する加速度算出手段とを含むことを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
前記加速度算出手段によって算出された前記加速度が予め定めるしきい値以上であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記加速度が予め定めるしきい値以上であると判定された回数に基づいて、当該通信端末装置の動作を切替える動作切替手段とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記動作切替手段は、前記判定手段によって前記加速度が予め定めるしきい値以上ではないと判定された場合には、当該通信端末装置の動作を切替えないことを特徴とする請求項2に記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記移動速度算出手段は、前記周波数オフセット量に基づいてドップラー周波数を算出し、算出した前記ドップラー周波数に基づいて前記移動速度を算出することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の通信端末装置。
【請求項5】
通信基地局から所定周波数の搬送波で送信される電波信号を受信する受信手段と、
受信した前記電波信号に基づいて発振器の発振信号と受信した前記電波信号との周波数オフセット量を算出し、算出した前記周波数オフセット量が小さくなるように前記発振器を制御する自動周波数制御手段とを含む通信端末装置において、コンピュータを加速度検出装置として機能させるコンピュータプログラムであって、当該コンピュータを、
前記周波数オフセット量に基づいて前記通信端末装置の移動速度を算出する移動速度算出手段と、
算出した前記移動速度に基づいて加速度を算出する加速度算出手段として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−145276(P2010−145276A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323845(P2008−323845)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】