説明

通信端末装置及びそのデータバックアップ方法

【課題】ユーザによる暗号化の作業負担を軽減しつつ所要のデータを安全に保存できる通信端末装置を提供する。
【解決手段】通信端末装置に、外部へ送信したデータの送信履歴を内蔵メモリに記録しておく。そして、外部メモリへデータをバックアップする場合、送信履歴に基づいてバックアップ対象のデータが外部へ送信されたことがあるか否かを判定し、バックアップ対象のデータが外部に送信されたことがある場合は、該データを暗号化して外部メモリへ保存する。また、バックアップ対象のデータが外部に送信されたことがない場合は、該データをそのまま外部メモリへ保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部とデータの送受信が可能な通信端末装置及び該通信端末装置によるデータバックアップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話機は、保存しているデータが暗号化されない構成、または内蔵メモリの内容を外部メモリにバックアップする際に全てのデータが一括して暗号化される構成である。そのため、暗号化が必要なデータを暗号化できない場合や暗号化が不要なデータも暗号化されてしまう場合がある。
【0003】
また、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置では、暗号化するデータをユーザが個別に指定して暗号化する方法、あるいは暗号化するデータを含む、メモリに格納する全てのデータを暗号化する方法がある。
【0004】
しかしながら、暗号化するデータをユーザが個別に指定する方法は、ユーザの作業負担が大きいという問題がある。また、メモリに格納する全てのデータを暗号化する方法は、暗号化が不要なデータも暗号化されることがあり、次に該データを閲覧するときに暗号化された全てのデータを復号しなければならないため、ユーザの作業負担が大きく、また情報処理装置の処理負荷も増大する問題がある。
【0005】
なお、携帯電話機によるデータの暗号化及び復号化方式については、例えば特許文献1で提案されている。特許文献1では送信側の電話番号と受信側の電話番号とを用いて、電子メール本文の暗号化及び復号化を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−191385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように携帯電話機や情報処理装置等の通信端末装置では、暗号化が必要なデータを暗号化できない場合や暗号化が不要なデータも暗号化されてしまう場合がある。また、データを暗号化する場合でも、ユーザによる作業負担が大きくなったり、通信端末装置の処理負荷が増大したりする問題がある。
【0008】
本発明は上述したような背景技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、ユーザによる暗号化の作業負担を軽減しつつ所要のデータを安全に保存できる通信端末装置及びそのデータバックアップ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明の通信端末装置は、内蔵メモリに保存されたデータを外部メモリにバックアップ可能な通信端末装置であって、
外部とデータを送受信するための通信部と、
外部へ送信したデータの送信履歴を前記内蔵メモリに記録しておき、前記外部メモリへバックアップするデータが選択されると、前記送信履歴に基づいてバックアップ対象のデータが外部へ送信されたことがあるか否かを判定し、バックアップ対象のデータが外部に送信されたことがある場合、該データを暗号化して前記外部メモリへ保存し、バックアップ対象のデータが外部に送信されたことがない場合は、該データをそのまま前記外部メモリへ保存する中央制御部と、
を有する。
【0010】
一方、本発明のデータバックアップ方法は、内蔵メモリに保存されたデータを外部メモリにバックアップするための通信端末装置によるデータバックアップ方法であって、
外部へ送信したデータの送信履歴を前記内蔵メモリに記録しておき、
前記外部メモリへバックアップするデータが選択されると、前記送信履歴に基づいてバックアップ対象のデータが外部へ送信されたことがあるか否かを判定し、
バックアップ対象のデータが外部に送信されたことがある場合、該データを暗号化して前記外部メモリへ保存し、バックアップ対象のデータが外部に送信されたことがない場合は、該データをそのまま前記外部メモリへ保存する方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザによる暗号化の作業負担を軽減しつつ所要のデータを安全に保存できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の通信端末装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の通信端末装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の通信端末装置の処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明について図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の通信端末装置の一構成例を示すブロック図である。図1は、通信端末装置の一例として、携帯電話機の構成例を示している。
【0015】
図1に示すように、携帯電話機は、中央制御部11、無線通信部14、テレビ放送受信部16、音声信号処理部15、撮像部17、視差バリア制御部19、表示部18、操作部20、RTC(Real Time Clock)21、報知部22、記憶部13、電池部12及び外部メモリスロット部31を有する構成である。
【0016】
無線通信部14は、アンテナAN1を介して電波を送受信し、例えば周知の無線基地局やネットワークを介して通信相手の端末装置やサーバ装置と、音声、電子メール及び各種のデータを送受信する。
【0017】
テレビ放送受信部16は、アンテナAN2を介してテレビジョン放送を受信するチューナである。
【0018】
音声信号処理部15は、マイクMCから入力された音声及びスピーカSPから出力する音声に対する各種の信号処理(A/D変換、D/A変換、信号増幅、エコーキャンセル等)を実行する。
【0019】
撮像部17は、画像を撮影して画像データに変換する周知のカメラである。
【0020】
表示部18は、携帯電話機のユーザの指示にしたがって画像や文字等を表示するためのディスプレイである。
【0021】
視差バリア制御部19は、表示部18上に貼付された視差バリア(フィルター)による光の遮断・透過を制御する。視差バリア制御部19は、例えば3D画像を表示する場合に用いられる。
【0022】
操作部20は、携帯電話機のユーザによる各種の指示や文字を入力するための入力装置である。
【0023】
RTC21は、例えば電源が切られている間も内蔵電池から電源供給を受けて動作する、時刻を計測する部位である。
【0024】
報知部22は、サウンドスピーカ22A、LED22B、振動モータ22C等を備え、ユーザに着信や電子メールの受信等のイベント発生を通知する。
【0025】
記憶部13は、プログラム記憶部M1、各種情報一時記憶部M2、画像記憶部M3、オブジェクト記憶部M4等を備え、携帯電話機の動作に必要なプログラムやオブジェクト、撮像部17で撮影された画像データ、無線通信部14を介して送受信した電子メールや各種のデータが保存される内蔵メモリである。
【0026】
電池部12は、例えば携帯電話機に所要の電力を供給する二次電池及び該二次電池による充放電を制御する充放電制御部を含む電源である。
【0027】
外部メモリスロット部31は、外部メモリ41が挿入され、該外部メモリ41に対する情報の書き込み、及び外部メモリ41からの情報の読み出しを可能にするインタフェースである。外部メモリとしては、周知のUSB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カード等の半導体メモリ、あるいは磁気ディスクや光ディスク等の記録メディア等がある。これらの外部メモリ41には、中央制御部11の制御により、記憶部13に保存されているデータをバックアップすることが可能である。例えば、撮像部17で撮影された画像データ、無線通信部14を通じて送受信した電子メール、周知のアプリケーションソフトウェアを利用して作成されたテキストや画像データ等、各種情報一時記憶部M2や画像記憶部M3に格納されているデータを、外部メモリスロット部31を介して外部メモリ41にバックアップできる。
【0028】
中央制御部11は、中央演算処理装置やメモリ(不図示)等を備え、記憶部13に格納された各種のプログラムにしたがって携帯電話機1の全体動作を制御する。
【0029】
なお、本実施形態の通信端末装置は、図1に示した携帯電話機に限定されるものではなく、例えば図1に示す電池部12、テレビ放送受信部16、撮像部17、視差バリア制御部19等が無い構成でもよい。また、本実施形態の通信端末装置は、外部とデータの送受信が可能であり、外部メモリにデータを保存することができればどのような構成でもよく、例えばPDAやパーソナルコンピュータ等、電話機としての機能が無い、各種の情報処理装置にも適用できる。
【0030】
このような構成において、本実施形態の通信端末装置では、電子メールの本文や添付ファイルとして外部へ送信したことがあるデータ、あるいは外部から取得した後に編集したデータを秘密性が高い重要な文書と考え、それらのデータを外部メモリ41へ保存(バックアップ)する際に、ユーザに特別な操作を要求することなく、中央制御部11の処理により暗号化する。暗号化方式及び復号化方式は、周知のどのような方式を用いてもよい。
【0031】
外部へ送信したことがあるデータ、あるいは外部から取得した後に編集したデータは、例えば業務報告書、営業上の見積もり書、提案資料等のように重要な文書であり、守秘すべきデータであることが多い。このようなデータを外部メモリにバックアップする際に中央制御部11により暗号化することで、ユーザは、秘密性について何ら配慮することなく、そのデータを安全に保存することができる。そのため、ユーザによる暗号化の作業負担を軽減しつつ、所要のデータを安全に保存できる。
【0032】
次に本発明の通信端末装置の動作について図2及び図3を用いて説明する。
【0033】
図2は、本発明の通信端末装置の処理手順の一例を示すフローチャートであり、図3は、本発明の通信端末装置の処理手順の他の例を示すフローチャートである。図2は、各種情報一時記憶部M2内のデータを外部メモリ41にバックアップする場合の処理手順を示し、図3は外部から取得したデータを編集した後、外部メモリ41にバックアップする場合の処理手順を示している。
【0034】
なお、中央制御部11は、ユーザの指示にしたがって外部へデータ(電子メール本文、添付ファイル)を送信した場合、それらのデータと共にその送信履歴を、例えば各種情報一時記憶部M2に記録しておくものとする。また、中央制御部11は、外部からデータを受信した場合、あるいは外部メモリ41を用いて外部からデータを取得した場合、それらのデータと共にその受信履歴や取得履歴を、例えば各種情報一時記憶部M2に記録しておくものとする。
【0035】
図2において、中央制御部11は、まずユーザが操作部20を操作することで、各種情報一時記憶部M2からバックアップするデータが選択されたか否かを判定する(ステップA1)。バックアップするデータが選択されていない場合はステップA1の処理を繰り返す。バックアップするデータが選択されると、中央制御部11は、送信履歴に基づいて、該データを電子メールの添付データとして送信したことがあるか否かを判定する(ステップA2)。
【0036】
電子メールで送信したことがある場合、中央制御部11は、バックアップ対象のデータを暗号化し(ステップA3)、暗号化後のデータを外部メモリ41に保存する(ステップA4)。
【0037】
バックアップ対象のデータが電子メールで外部へ送信されたことが無い場合、中央制御部11は、該データを暗号化することなく、そのまま外部メモリ41に保存する(ステップA5)。
【0038】
このように一度送信したデータを外部メモリ41にバックアップする際に、中央制御部11により該データを暗号化して外部メモリ41に保存するため、ユーザに特別な操作を要求することなく、例えば電子メールで送信した、一度完成している文書等を安全に保存できる。
【0039】
図3において、中央制御部11は、まずユーザが操作部20を操作することで、各種情報一時記憶部M2内のバックアップするデータを選択したか否かを判定する(ステップB1)。バックアップするデータが選択されていない場合はステップB1の処理を繰り返す。バックアップするデータが選択されると、中央制御部11は、受信履歴や取得履歴に基づいて、記憶部13に該データの編集前の元データが各種情報一時記憶部M2に保存されているか否かを判定する(ステップB2)。
【0040】
編集前の元データがある場合、中央制御部11は、バックアップ対象のデータを電子メールの添付データとして送信したことがあるか否かを判定する(ステップB3)。電子メールで送信したことがある場合、中央制御部11は、バックアップ対象のデータを暗号化し(ステップB4)、暗号化後のデータを外部メモリ41に保存する(ステップB5)。このとき、中央制御部11は、電子メールや添付データの送信元に応じて暗号化するか否かを判定してもよい。
【0041】
編集前の元データが無い場合、あるいはバックアップ対象のデータが電子メールで送信されたことが無い場合、中央制御部11は、該データを暗号化することなく、そのまま外部メモリ41に保存する(ステップB6)。
【0042】
このように、編集前の元データが外部から入手したものである場合、外部メモリ41へバックアップする際に、中央制御部11により編集後のデータを暗号化することで、外部から入手したデータをより安全に保存できる。
【符号の説明】
【0043】
11 中央制御部
12 電池部
13 記憶部
14 無線通信部
15 音声信号処理部
16 テレビ放送受信部
17 撮像部
18 表示部
19 視差バリア制御部
20 操作部
21 RTC
22 報知部
22A サウンドスピーカ
22B LED
22C 振動モータ
31 外部メモリスロット部
41 外部メモリ
AN1、AN2 アンテナ
M1 プログラム記憶部
M2 各種情報一時記憶部
M3 画像記憶部
M4 オブジェクト記憶部
MC マイク
SP スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵メモリに保存されたデータを外部メモリにバックアップ可能な通信端末装置であって、
外部とデータを送受信するための通信部と、
外部へ送信したデータの送信履歴を前記内蔵メモリに記録しておき、前記外部メモリへバックアップするデータが選択されると、前記送信履歴に基づいてバックアップ対象のデータが外部へ送信されたことがあるか否かを判定し、バックアップ対象のデータが外部に送信されたことがある場合、該データを暗号化して前記外部メモリへ保存し、バックアップ対象のデータが外部に送信されたことがない場合は、該データをそのまま前記外部メモリへ保存する中央制御部と、
を有する通信端末装置。
【請求項2】
前記中央制御部は、
外部から受信したデータの受信履歴及び前記外部メモリを用いて外部から取得したデータの取得履歴を記録しておき、前記外部メモリへバックアップするデータが選択されると、前記受信履歴及び前記取得履歴に基づいて前記内蔵メモリにバックアップ対象のデータの編集前の元データがあるか否かを判定し、前記元データがあり、バックアップ対象のデータが外部に送信されたことがある場合、該データを暗号化して前記外部メモリへ保存し、前記元データがない場合またはバックアップ対象のデータが外部に送信されたことがない場合は、該データをそのまま前記外部メモリへ保存する請求項1記載の通信端末装置。
【請求項3】
内蔵メモリに保存されたデータを外部メモリにバックアップするための通信端末装置によるデータバックアップ方法であって、
外部へ送信したデータの送信履歴を前記内蔵メモリに記録しておき、
前記外部メモリへバックアップするデータが選択されると、前記送信履歴に基づいてバックアップ対象のデータが外部へ送信されたことがあるか否かを判定し、
バックアップ対象のデータが外部に送信されたことがある場合、該データを暗号化して前記外部メモリへ保存し、バックアップ対象のデータが外部に送信されたことがない場合は、該データをそのまま前記外部メモリへ保存するデータバックアップ方法。
【請求項4】
外部から受信したデータの受信履歴及び前記外部メモリを用いて外部から取得したデータの取得履歴を記録しておき、
前記外部メモリへバックアップするデータが選択されると、前記受信履歴及び前記取得履歴に基づいて前記内蔵メモリにバックアップ対象のデータの編集前の元データがあるか否かを判定し、
前記元データがあり、バックアップ対象のデータが外部に送信されたことがある場合、該データを暗号化して前記外部メモリへ保存し、
前記元データがない場合またはバックアップ対象のデータが外部に送信されたことがない場合は、該データをそのまま前記外部メモリへ保存する請求項3記載のデータバックアップ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−141559(P2012−141559A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1326(P2011−1326)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】