説明

通信端末装置

【課題】パーソナルコンピュータ(PC)などに記憶したサービスデータを、利用者に負担をかけず通信端末装置に出力すること。
【解決手段】利用者は通信端末装置100を操作して、PC200に対しPC200が提供可能なデータのアドレスと認証情報との送信を要求する。PC200はその画像表示部207に、該当通信端末装置100に対し提供可能なデータのアドレスと認証情報とをQRコードで、複数組を表示する。利用者の操作により通信端末装置100は、QRコードを撮像し認識し、データのアドレスと認証情報とを取得し、PC200に利用者所望データの送信を要求する。これにより、通信端末装置100の利用者は、提供を受けたいサービスのデータのアドレスと認証情報をマニュアルで入力することなく取得し、PC200から認証制御されているデータを簡便、確実に取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上の記憶装置からデータを受信する通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信端末装置を用いてパーソナルコンピュータからデータをダウンロードするシステムにおいて、データに関連するアドレス情報や認証情報の入力を簡略化するためバーコードを利用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1においては通信端末装置に、商品情報やサービス情報を受信する受信部を設けると共に受信した情報に基づいたバーコードを形成するバーコード形成部を設け、バーコード形成部により形成したバーコードを表示部に表示し、このバーコードを店舗側装置に設けられたバーコード読取装置で読み取ることで電子商取引を行うようにしている。
【特許文献1】特開2002−271281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の電子商取引システムの場合、通信端末装置の画面にバーコードを表示し、バーコードは電子商取引を開始するための認証情報を示すために使用しているだけである。したがって、バーコードで表示するデータを受信するためには、使用者がデータのアドレスを入力する必要があり、とくに、固有のアドレスへアクセスするためには長いアドレスをマニュアルで入力する必要があった。
【0005】
また、従来の携帯端末の場合、受信したいデータを多くのデータ中から選択し、そのデータとアドレスとの対応を確認するためには、使用者側で多くの操作が必要であり、アドレスの入力でも誤りが生じやすいという問題があった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであって、ネットワーク上のデータを、受信する場合に認証を簡便にすると同時にデータの選択を簡便にし、データのアドレスなどの入力時に起こりやすい誤りをなくすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の通信端末装置は、提供を受けるサービスに関するサービスデータのアドレス情報並びに認証情報を示す画像情報の表示を要求するアドレス・認証情報表示要求手段と、前記画像情報を撮像して、アドレスおよび認証情報を抽出するアドレス・認証情報抽出手段と、前記アドレス・認証情報抽出手段が抽出したアドレス情報および認証情報を出力して、サービスの提供を要求するサービス提供要求手段と、を具備する構成を採る。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ネットワーク上のデータを、受信する場合に認証を簡便にすると同時にデータの選択を簡便にし、利用者がデータのアドレスなどの入力時に起こりやすい誤りをなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る通信端末装置100の構成を示すブロック図である。利用者は、通信端末装置100を利用して、ネットワーク上のデータを入手する。
【0011】
通信端末装置100は、制御部101と、WLANインタフェース部102と、W−CDMAインタフェース部103と、画像取り込み部104と、QRコード認識部105と、認証制御部106と、接続制御部107と、データ保持部108とから主に構成される。
【0012】
制御部101は、通信端末装置100の全体の制御を行う。WLANインタフェース部102は、無線LANに通信端末装置100を接続する。W−CDMAインタフェース部103は、通信端末装置100を携帯電話回線に接続する。これによって、通信端末装置100は、無線LAN、携帯電話回線のいずれからも外部のネットワークに接続できる。
【0013】
画像取り込み部104は、通信端末装置100のカメラ撮像部を含み、本実施の形態においては、QRコードを撮像し、撮像結果を、制御部101の制御に基づきQRコード認識部105に出力する。QRコード認識部105は、入力したQRコードの内容を認識し、認識結果を認証制御部106および接続制御部107に出力する。
【0014】
認証制御部106は、認証結果を保持する。認証制御部106が記憶した認証結果は、通信端末装置100が、WLANインタフェース部102またはW−CDMAインタフェース部103を介して外部のネットワーク上の例えばパーソナルコンピュータ(以下、PCという。)にアクセスした際、そのアクセスを許可若しくは不許可とするアクセス制御で使用される。
【0015】
接続制御部107は、入力した認証結果に基づきWLANインタフェース部102あるいはW−CDMAインタフェース部103を介して通信端末装置100を外部のネットワークに接続し、ネットワーク上のデータを受信し、データ保持部108に出力する。データ保持部108は、入力したデータを記憶する。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態1に係るPC200の構成を示すブロック図である。
【0017】
PC200は、制御部201と、ネットワークインタフェース部202と、データ保持部203と、認証制御部204と、接続制御部205と、QRコード生成部206と、画像表示部207とから主に構成される。
【0018】
制御部201は、PC200の全体の制御を行う。ネットワークインタフェース部202は、本実施の形態の場合図2のPC200をネットワークに接続する。
【0019】
データ保持部203は、通信端末装置が要求するデータを、アドレス毎に記憶する。
【0020】
認証制御部204は、データ保持部203が記憶する各データの認証情報を記憶する。ここで、認証情報とは、データにアクセスするために必要な情報をいう。また、認証制御部204は、入力した認証情報に基づきデータ保持部203をアクセスして取得したデータを接続制御部205に出力する。
【0021】
接続制御部205は、データ保持部203のデータのアドレスと、該当データの認証情報をQRコード生成部206に出力する。また、接続制御部205は、認証制御部204からデータ保持部203のデータを入力すると、該当データを外部に送信するため制御部201に出力する。
【0022】
QRコード生成部206は、接続制御部205から入力したアドレスと認証情報を内容とするQRコードを生成し、制御部201に出力する。制御部201は、QRコード生成部206が生成したQRコードを、ファイル名など関連情報とともに、画像表示部207に出力する。
【0023】
画像表示部207は、制御部201からのQRコードなどを入力し、表示する。図3に、画像表示部207の表示の一例を示す。画像表示部207は、その画面の左側にQRコードを表示し、対応してその右側にファイル名およびディレクトリ名を表示する。
【0024】
ここで、図4を用いて、QRコードを表示する仕組みを説明する。通信端末装置が受信を要求するデータは、図2のデータ保持部203のユーザ情報ディレクトリ401に記憶されている。ユーザ情報ディレクトリ401の各ディレクトリに記憶されたデータのアドレスおよび認証情報402を含むQRコード403が生成されると、図3に示した画像表示部207の画面左側に表示される。
【0025】
図5は、本実施の形態に係るサービス提供システム500の構成を示す模式図である。サービス提供システム500は、通信端末装置100と、PC200と、ネットワーク501とからなっている。通信端末装置100は、図1に示した通信端末装置である。PC200は、図2に示したPCである。通信端末装置100とPC200は、ネットワーク501で接続される。502は、PC200の表示部の表示内容を拡大して示すもので、内容的には、図3に示したものと同一である。
【0026】
次に、図5を中心として、図1ないし4を用いて本実施の形態に係るサービス提供システムの動作を説明する。
【0027】
図5において、利用者が通信端末装置100を操作して、ネットワーク501に対しデータの受信要求を出力すると、PC200の表示部502にQRコードなどが表示される。
【0028】
具体的には、利用者がデータの受信を要する操作すると、通信端末装置100は、図1のWLANインタフェース部102若しくはW−CDMAインタフェース部103を介して、ネットワーク501に接続する。これによって、通信端末装置100は、図2のネットワークインタフェース部202によって、PC200に接続される。
【0029】
これに対応して図2のPC200の接続制御部205は、データ保持部203のデータのアドレスと、該当データの認証情報をQRコード生成部206に出力し、QRコード生成部206は生成したQRコードを制御部201に出力する。
【0030】
これに対応して、制御部201は、QRコード生成部206が生成したQRコードとファイル名などとを、画像表示部207に出力し、画像表示部207には図3に示すように、QRコードなどが表示される。
【0031】
次に利用者は、ファイル名(図3ではファイル1から4)あるいはディレクトリ名(同様にディレクトリ1から4)を参考にして、自己が受信要求するデータを選定し、該当するQRコードを、通信端末装置100の画像取り込み部104で撮像し、QRコードが示すデータを取得する。
【0032】
具体的には、画像取り込み部104で撮像したQRコードを認証制御部106に出力する。認証制御部106は、QRコードに含まれたアドレスと認証情報とを抽出し、接続制御部107に出力する。
【0033】
接続制御部107は、入力したアドレスおよび認証情報を、WLANインタフェース部102あるいはW−CDMAインタフェース部103を介して、ネットワーク501に出力する。ネットワーク501に出力されたアドレス及び認証情報は、PC200にて受信される。これによって、通信端末装置100のデータ送信要求がPC200にて受信される。
【0034】
これに伴いPC200は、入力したアドレスに基づき通信端末装置100が要求するデータの送信を開始する。具体的には、PC200の認証制御部204は、受信したアドレスと認証情報とを比較し、アクセス許可をする場合は、データ保持部203をアクセスする。この結果、該当するデータがデータ保持部203から接続制御部205に出力され、さらに制御部201、ネットワークインタフェース部202を介して、図5のネットワーク501に送信される。
【0035】
これに伴い、通信端末装置100は、PC200が送信したデータを、WLANインタフェース部102あるいはW−CDMAインタフェース部103で受信し、制御部101を介して、データ保持部108に記憶する。
【0036】
通信端末装置100の利用者は、データ保持部108に記憶したデータを適宜再生あるいは表示して利用する。
【0037】
以上のように、本実施の形態によれば、通信端末装置100の利用者は、認証制御されているデータ保持部203中のデータを、QRコードを撮像するだけの簡単な操作で、取得することができる。この場合、QRコードはPC200の大型な表示画面を利用して表示することができるので、利用者は確実にQRコードを選定することができ、誤操作することはない。
【0038】
なお、本実施の形態においては、PC200のデータ保持部203の一部に認証制御されるデータが記憶される構成を採ったが、認証制御されるデータは、PC200とは別のサーバ装置に記憶する構成としてもよい。この場合には、サーバ装置を大型装置にして、大量のデータを記憶し、多数の利用者に対しサービスを提供する大型システムを容易かつ信頼性高く構築することができる。
【0039】
また、本実施の形態においては、図3に示すように、ファイル名およびディレクトリ名を参考として利用者がQRコードを選定するものとしたが、これは、図6に示すようにしてもよい。すなわち、図6に示すPC200の表示画面では、QRコードとファイル名との間に、アイコンを配置している。このアイコンは、F1自動車やパリのエッフェル塔など、利用者の趣味や関心事に訴求する内容としている。これによってファイル名を厳格に記憶していない利用者が、所望のデータへアクセスし易いようにしてもよい。従って、この場合は、図3や図6に示す表示画面を階層構造のものにして、利用者をより的確な所望データに誘導するようにしてもよい。
【0040】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係るサービス提供システムの動作を示すフロー図である。本実施の形態で用いる通信端末装置やPCは、実施の形態1の場合と同様であるので、図1ないし5を流用して説明する。ただし、実施の形態1に係るシステムが図3、図6で示したファイル名などが複数回利用されることを忌避しないものであったのに対し、本実施の形態に係るサービス提供システムは、複数回利用を忌避するものである。
【0041】
PC200は、制御部201で過去に使用していないランダムなディレクトリ名を生成し(S701)、ディレクトリ名が過去に使用されたものでないことを確認し(S702:NO)、ディレクトリへアクセスするために使用する認証情報を生成する(S703)。次にPC200は、作成したディレクトリ名でデータ保持部203にディレクトリを生成し、生成されたディレクトリに公開するファイルをデータ保持部203の公開しない領域からコピーする(S704)。次に、QRコード生成部206は、ディレクトリ名と認証情報からQRコードを生成する。これに応じて制御部201は、生成されたQRコードとディレクトリ名または公開するファイル名を、画像表示部207に表示される(S705)。次に制御部201は、生成されたディレクトリへの通信端末装置100によるアクセスを監視し、通信端末装置100がファイルのコピーなどのアクセスが完了したことを検出する(S706:YES)と、公開したディレクトリとコピーしたファイルを削除する(S707)。
【0042】
本実施の形態では、データを収納するディレクトリを使用する度やユーザ毎に変更する。また、複数の利用者で共有するディレクトリを一時的にのみ生成し、そこにファイルを置いて公開する。該当するディレクトリがアクセスされ利用が終わると使用されたディレクトリは、削除され、2度と同じディレクトリ名は使用されない(S702:YES)。これにより、たとえ、ディレクトリ名が他者に知られたとしても、他のデータを交換する場合は、その名前のディレクトリは使用されないので安全性を高めることができる。
【0043】
また、本実施の形態では、認証情報もディレクトリ名と連動して一度だけ使用するようにすることで、安全性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、大型画面に表示されたバーコードなどから、データのアドレスと認証情報を取得することができるので、データ取得手段の簡便化の用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態1に係る通信端末装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1に係るPCの構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1に係るPCの表示画面の一例を示す図
【図4】本発明の実施の形態1に係るQRコードを表示する仕組みを説明する図
【図5】本発明の実施の形態1に係るサービス提供システムの構成を示す模式図
【図6】本発明の実施の形態1に係るPCの表示画面の他の一例を示す図
【図7】本発明の実施の形態2に係るサービス提供システムの動作を示すフロー図
【符号の説明】
【0046】
100 通信端末装置
101 制御部
102 WLANインタフェース部
103 W−CDMAインタフェース部
104 画像取り込み部
105 QRコード認識部
106 認証制御部
107 接続制御部
108 データ保持部
200 PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
提供を受けるサービスに関するサービスデータのアドレス情報並びに認証情報を示す画像情報の表示を要求するアドレス・認証情報表示要求手段と、
前記画像情報を撮像して、アドレスおよび認証情報を抽出するアドレス・認証情報抽出手段と、
前記アドレス・認証情報抽出手段が抽出したアドレス情報および認証情報を出力して、サービスの提供を要求するサービス提供要求手段と、
を具備する通信端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアドレス・認証情報表示要求手段が出力する要求を受けて、前記アドレス情報並びに認証情報を示す画像情報を表示画面に表示するアドレス・認証情報表示手段と、請求項1記載のサービス提供要求手段が出力する要求を受けて、サービスデータを出力するサービスデータ出力手段と、を具備するサービス提供システム。
【請求項3】
請求項1に記載のアドレス・認証情報表示要求手段が出力する要求を受ける毎に、前記表示画面への表示する画像情報を一時的にのみ生成するアドレス・認証情報表示生成手段を具備し、前記アドレス・認証情報表示手段は前記アドレス・認証情報表示生成手段が生成する画像情報を表示する請求項2記載のサービス提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−286913(P2007−286913A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113770(P2006−113770)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】