説明

通信端末装置

【課題】 多くの交換機に対応する為に連続信号と断続信号の同時検出を行いメンテナンスフリーのダイヤルトーン検出方式を行っている通信端末装置がある。
連続信号と断続信号をダイヤルトーン信号として同時検出しているために、接続されている交換機が現在使用不可な場合に端末側に送出する断続信号であるビジートーン信号と区別ができないという問題点があった。
【解決手段】 ダイヤルトーン信号が連続信号または断続信号であるかを判定する手段を持ち、回線のダイヤルトーンが連続信号の場合に、ダイヤル前の信号検知で断続信号が検出された場合にはその断続信号をビジートーン信号として扱う手段をもつ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換機から送出されるダイヤルトーン信号が連続信号でも断続信号でも検出可能な自動発信方式の通信端末装置において、ダイヤルトーン信号検出中のビジートーン検知に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、通信装置の誤送信防止のために、自機が着信ではなく発信であることを確定するために送信の回線捕捉時に交換機からのダイヤルトーン信号検知を行うことを初期値としている通信装置が一般的となってきている。
【0003】
交換機から送出されるダイヤルトーン信号には、交換機の仕様/規格/運用形態から複数種類のダイヤルトーン信号が存在する。交換機が送出する信号は、連続して信号が送出される連続信号と一定周期のオン/オフを繰り返す断続信号に分類される。ダイヤルトーン信号に関しては連続信号と断続信号の両方のケーデンスがある。
【0004】
多くの交換機に対応する為に連続信号と断続信号の同時検出を行いメンテナンスフリーのダイヤルトーン検出方式を行っている通信端末装置も存在する。
【0005】
交換機からのトーン信号検出の学習機能の従来例としては、特許文献1がある。これは断続信号の周波数、レベル、信号オフ/オン時間の検出を行い検出した断続信号の再検出を行うものである。
【0006】
これに対し本発明は、ダイヤルトーン信号のケーデンス(連続信号/断続信号)の検出を行い。検出されたダイヤルトーン信号のケーデンスから同時に検出しなければならないビジートーン信号のケーデンスを確定し、ビジートーン信号の検出方法を規定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−032192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上述した従来の技術では、連続信号と断続信号をダイヤルトーン信号として同時検出しているために、接続されている交換機が現在使用不可な場合に端末側に送出する断続信号であるビジートーン信号と区別ができないという問題点があった。
【0009】
ダイヤル前のビジートーン信号検知を任意規格として扱っている国があることや無駄な回線捕捉時間の削減の点からも、連続信号/断続信号をダイヤルトーン信号として検知できる通信端末装置においても同時のビジートーン検知が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題・問題点を解決するために、本発明は、
(1)連続信号および断続信号の検出条件を平行して監視する信号検知手段を持ち、連続信号または断続信号のダイヤルトーン信号を検知した場合にダイヤル発信する自動発信方式の通信端末装置において、
接続されている回線のダイヤルトーン信号が連続信号または断続信号であるかを判定する手段を持ち、前記回線のダイヤルトーンが連続信号の場合には、ダイヤル前の信号検知で断続信号が検出された場合にはその断続信号をビジートーン信号として扱う手段をもつことを特徴とする。
【0011】
(2)前記(1)の通信端末装置は、前記回線のダイヤルトーンが断続信号の場合には、ダイヤルトーンとして検出された断続信号以外のケーデンスの断続信号をビジートーン信号として判定することを特徴とする。
【0012】
(3)前記(1)の通信端末装置は、前記ダイヤルトーン検知処理によりダイヤルトーン検知後に発信処理を開始し、相手先と接続できれば検出された信号をダイヤルトーン信号として認識しダイヤルトーン信号が連続信号か断続信号かを記憶することを特徴とする。
【0013】
(4)前記(1)の通信端末装置は、接続された回線がトーン回線かダイヤル回線かを設置時に判別する回線種別自動判別処理時にダイヤルトーンのケーデンスを判定し、接続回線のダイヤルトーンが連続信号か断続信号かを判定し記憶することを特徴とする。
【0014】
(5)前記(1)の通信端末装置に、内線接続設定などのダイヤルトーン信号のケーデンスを確定するような設定がされている場合には、前記設定内容を優先して判断することを特徴する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって、
(1)接続されている交換機のダイヤルトーン信号のパターン(連続信号/断続信号)の区別をユーザ/サービスマンが設定する際に確認することなく、発信前のダイヤルトーン信号及びビジー信号の検知ができる。
【0016】
(2)ダイヤル前ビジートーン検知の各国規格に対応することができる。
【0017】
(3)交換機が接続できない場合に送出されるダイヤル前ビジートーンを検知することにより、端末側の無駄な回線捕捉時間を削除できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に係わる通信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】回線を接続した際に交換機から送出されるダイヤルトーン信号のケーデンスを表す図である
【図3】本発明の実施例における、通信装置の設置から送信までを表した全体的なフローチャート図である。
【図4】本発明の実施例における、設置時に装置が信号パターン(連続信号/断続信号)の区別を行うためのフローチャート図である。
【図5】本発明の実施例における、通信時にダイヤルトーン信号かビジートーン信号かの判断し通信を行うフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1,図2,図3,図4,図5に示す実施例に基づき、本発明を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明における通信装置のブロック図である。
【0021】
図1において、
101:CPUは、システム制御部であり、装置全体を制御する。
【0022】
102:ROMは、CPUの制御プログラムを格納するものである。
【0023】
103:RAMは、SRAM等で構成され、画像データを蓄積する為のものである。
【0024】
104:蓄積メモリは、DRAM等で構成され、画像データを蓄積する為のものである。
【0025】
105:解像度変換処理部は、ラスタデータのミリ−インチ解像度変換等の解像度変換制御を行うものである。
【0026】
106:読取・記録用符号化復号化処理部(読取・記録用コーデック)は、通信装置で扱う画像データの符号化復号化処理を行う。
【0027】
107:時計部は、動作間隔等を計測し、IC等で構成される。
【0028】
108,109:モデムは、回線からの変調された信号を復調したり、逆に装置からの信号を変調し回線に送出するものである。
【0029】
110,111:回線i/f部は、NCU等で構成される制御部である。電話機の接続端子が2個の場合には、夫々の端子でオフフック/オンフック検知をするために接続端子毎にフック検知回路を有する。
【0030】
112:電話機は、回線i/f部(NCU)を通して電話回線に接続されるハンドセット(ダイヤラを持たない電話機)や外付け電話機(留守番電話機等)である。
【0031】
113,114:電話回線である。
【0032】
115:画像処理部は、スキャナによって読み込まれた画像データに補正処理を施して高精細な画像データを出力するものである。
【0033】
116,117:シートスキャナ、ブックスキャナは、CSイメージセンサ、原稿搬送機構などで構成され、原稿を光学的に読み取って電気的な画像データに変換するものである。両面原稿の読み取りを行う。
【0034】
118:操作部は、キーボード、表示部等で構成され、オペレータが各種入力操作を行うためのものである。ハンドセットがオフフック時に即時ダイヤル操作可能を示し。また、外付け電話機がオフフック時には、通信中であることの表示及び通信予約受け付け可能なことを表示する。
【0035】
119:ラインバッファは。画像データの転送制御を行う場合に使用するするラインバッファである。
【0036】
120:プリントバッファは、印字用文字コードを格納する為の1ページ分のバッファメモリである。
【0037】
121:プリンタは、受信画像やファイルデータを普通紙に記録するLBP等のプリンタであり、両面記録を行うことができる。
【0038】
図2は、回線を接続した際に交換機から送出されるダイヤルトーン信号のケーデンスを表す図である(縦軸は信号レベル、横軸は時間軸)。ダイヤルトーン信号は連続信号または断続信号のどちらかのタイプに分類される。連続信号は回線接続後、一定レベルの単一トーン信号が連続して送出される。また、断続信号は一定レベルの単一トーン信号と無音を一定周期で繰り返し送出される。
【0039】
断続信号は通常の交換機ではビジートーン信号として扱われるのが一般的であり、構内交換機や特定用途のネットワークに接続する場合のダイヤルトーン信号としても使用されている。
【0040】
図3は、通信装置の設置から送信までを表した全体的なフローチャート図である。
【0041】
(S1)で接続された交換機の回線種別(トーンダイヤル/パルスダイヤル)の判定を行い、その際に交換機から送出されるダイヤルトーン信号の信号パターン(連続信号/断続信号)の区別を行う回線種別自動判別処理を実行する。
【0042】
(S2)では、接続されている回線が予め操作者にわかっている場合などに、ダイヤルトーン信号の信号パターンを手動で設定を行う場合には、(S3)で入力された信号パターンを記憶する。(S4)では送信対象原稿があるかを判定していて、送信対象原稿が有る場合には(S5)の送信処理を行う。送信対象原稿が無い場合には(S2)に戻り待機状態になる。
【0043】
図4は、設置時に回線種別(トーンダイヤル/パルスダイヤル)の自動判定を行い、その際に交換機から送出されるダイヤルトーン信号の検知を行ってダイヤルトーン信号の信号パターン(連続信号/断続信号)の区別を行うためのフローチャート図である。
【0044】
回線種別自動判別処理を開始すると、(S101)で回線i/f部(NCU)を操作して回線を介して交換機と接続する。(S102)では交換機からダイヤルトーン信号の検知処理を行う。ダイヤルトーン信号が検知されなければ、初期値であるDTMF(トーンダイヤル)回線と判断する(S103)。この場合、ダイヤルトーンの信号パターンが記憶されないが、図5の(S209)でダ信号パターンが確定し記憶される。ダイヤルトーン信号が検知されれば、検知されたダイヤルトーン信号の信号パターン(連続信号/断続信号)を確定し記憶する。次に、(S105)でDTMF(トーンダイヤル)で“0”ダイヤルする。(S106)でダイヤルトーンが停止したかどうかを判断する、ダイヤルトーンが停止した場合には、DTMF(トーンダイヤル)が交換機に認識されたことになり、接続回線はDTMF(トーンダイヤル)回線となる。ダイヤルトーンが停止しなければ、DTMF(トーンダイヤル)は交換機には認識されていないので判定処理を継続する。(S107)で装置が設置される国設定が日本であるかどうかの確認を行う。日本設定で無い場合には、(S108)で回線種別は10PPSのパルス回線と判断される。日本設定の場合には、20PPSのパルスで“0”ダイヤル(S109)し、ダイヤル後にダイヤルトーン信号が停止した場合には、20PPSのパルスダイヤルが交換機に認識されたことになり、接続回線は20PPSのパルス回線となる(S111)。ダイヤルトーン信号が停止しなければ、接続回線は10PPSのパルス回線となる(S108)。
【0045】
図5は、既に検出/記憶されているダイヤルトーンの信号パターン(DTタイプ)から送信の為にダイヤル前に検知された信号を、ダイヤルトーン信号かビジートーン信号かの判断を行うためのフローチャート図である。
【0046】
(S201)で回線i/f部(NCU)を操作して回線を介して交換機と接続する。(S202)でダイヤルトーンまたはビジートーンの検出処理を開始する。
【0047】
次に、(S203)で交換機から送出されている信号がダイヤルトーン信号かビジートーン信号かの判断を行う。以下、図5の表の説明。
【0048】
・ 記憶されているDTタイプが連続で、検知された信号が連続信号の場合には、DT(ダイヤルトーン信号)と判断する。
【0049】
・ 記憶されているDTタイプが連続で、検知された信号が断続の場合には、BT(ビジートーン信号)と判断する。
【0050】
・ 記憶されているDTタイプが断続で、検知された信号が断続信号の場合には、DT(ダイヤルトーン信号)と判断する。
【0051】
・ DTタイプが未だ確定していない場合には、連続信号も断続信号もDT(ダイヤルトーン信号)と判断してダイヤルし相手先と接続すればDTと確定される。
【0052】
(S203)でがyes(BTを検出)ならば、回線を開放し(S204)、リダイヤル待機状態(S205)となる。(S203)がno(DTを検出)ならば、(S207)でダイヤルを開始し、ダイヤル後に送信相手先と接続できたかを判断する(S207)、相手先と接続できなければ(S211)で回線開放し終了する。相手先と接続できた場合には、(S209)でダイヤルトーン信号の信号パターン(DTタイプ)を確定し記憶し、FAX送信手順(S210)を行い、回線開放(S211)して終了する。
【符号の説明】
【0053】
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 蓄積メモリ(画像メモリ)
105 解像度変換処理部
016 読取記録用符号化複
【0054】
107 時計部
108,109 モデム
110,111 NCU(回線if部)
112 電話機
113,114 回線
115 画像処理部
116 シートスキャナ
117 ブックスキャナ
118 操作部
119 ラインバッファ
120 プリントバッファ
121 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続信号および断続信号の検出条件を平行して監視する信号検知手段を持ち、連続信号または断続信号のダイヤルトーン信号を検知した場合にダイヤル発信する自動発信方式の通信端末装置において、
接続されている回線(113,114)のダイヤルトーン信号が連続信号または断続信号であるかを判定する手段(S104,S209)を持ち、
前記回線のダイヤルトーンが連続信号の場合には、ダイヤル前の信号検知(S202)で断続信号が検出された場合(S204)にはその断続信号をビジートーン信号として扱う(S205,S206)手段をもつことを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
前記回線のダイヤルトーンが断続信号の場合には、ダイヤルトーンとして検出された断続信号以外のケーデンスの断続信号をビジートーン信号として判定する(S204)ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記ダイヤルトーン検知処理によりダイヤルトーン検知後(S204)に発信処理(S207)を開始し、相手先と接続(S208)できれば検出された信号をダイヤルトーン信号として認識しダイヤルトーン信号が連続信号か断続信号かを記憶する(S209)ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項4】
接続された回線がトーン回線かダイヤル回線かを設置時に判別する回線種別自動判別処理時にダイヤルトーンのケーデンスを判定し、接続回線のダイヤルトーンが連続信号か断続信号かを判定し記憶する(S104)ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記通信端末装置に、ダイヤルトーン信号のケーデンスを確定する設定がされている場合には、前記設定内容を優先して判断することを特徴する請求項1に記載の通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−226653(P2010−226653A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74294(P2009−74294)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】