説明

通信装置、プログラム及びタグシステム

【課題】タグ装置の表示データ間での連続性が失われた場合に、操作者側の作業負担を軽減しつつ、連続性のある表示データを自動的に付与することのできる利便性の高い通信装置、プログラム及びタグシステムを提供すること。
【解決手段】受信した表示データに基づいた表示を行うタグ装置と通信可能に構成された通信装置において、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データのそれぞれが表示された複数のタグ装置のうち配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置を除く一部の既存タグ装置の表示データに対して所定の規則に従った配列で連続する表示データを挿入表示データとして特定する挿入データ特定手段と、複数のタグ装置の表示データが挿入表示データと重複した表示データとならず挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する表示データである更新用表示データを複数の既存タグ装置の一部又は全部へ送信する送信手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、プログラム、及びタグシステムに関し、特に、タグ装置の表示データ間での連続性が失われた場合に、連続性のある表示データを再度付与することのできる通信装置、プログラム、及びタグシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、受信した表示データに基づいた表示を行う複数のタグ装置と、この複数のタグ装置と通信可能に構成された通信装置とを有するタグシステムが種々考案されている。これらのタグシステムでは、タグ装置に表示させる文字又は記号等の表示データを通信装置に入力し、その入力された文字又は記号等の表示データを通信装置からタグ装置に送信し、その送信された表示データに基づいて文字又は記号等をタグ装置に表示している。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のカードシステムでは、表面に電子ペーパ(タグ装置に相当)を具備したカードと、当該カードと通信可能な通信装置とを備え、通信装置へ入力された文字又は記号等の表示データをカードへ送信し、当該表示データを用いて電子ペーパの表示を書き換えるようにしている。
【0004】
また、特許文献2には、カードに代えてブックカバーやバインダの背表紙に電子ペーパを設けたものが開示されている。
【特許文献1】特開2004−30406号公報
【特許文献2】特開2004−98322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の従来技術では、電子ペーパが複数ある場合にこれら複数の電子ペーパに対して連続する複数の表示データのそれぞれを表示することは可能であるものの、これら複数の電子ペーパに対して、電子ペーパを新たに挿入する際に表示データ間の連続性が失われる事態を想定しておらず、その表示データ間の連続性を再び確保する場合に不都合が生じていた。
【0006】
すなわち、表示データ間での連続性を再び確保するためには、操作者側で表示データ間での連続性を再検討すると共に、その再検討した表示データを通信装置へ再入力する作業を行う必要があり、操作者側の作業が煩雑となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、タグ装置の表示データ間での連続性が失われた場合に、操作者側の作業負担を軽減しつつ、連続性のある表示データを自動的に付与することのできる利便性の高い通信装置、プログラム、及びタグシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、受信した表示データに基づいた表示を行うタグ装置と通信可能に構成された通信装置において、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置のうち前記配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置を除く一部の既存タグ装置の表示データに対して前記所定の規則に従った配列で連続する表示データを挿入表示データとして特定する挿入データ特定手段と、前記複数の既存タグ装置の表示データが前記挿入表示データと重複した表示データとならず前記挿入表示データと共に前記所定の規則に従った連続性を確保する表示データである更新用表示データを前記複数の既存タグ装置の一部又は全部へ送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記送信手段は、前記複数の既存タグ装置のうち前記配列の先頭からN番目の表示データを表示している既存タグ装置にアクセスした際に、その既存タグ装置に、前記連続性を確保する複数の前記更新用表示データを前記配列順に並べたときに前記配列順の先頭側から数えてN個目となる更新用表示データを送信することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記挿入データ特定手段は、前記複数の既存タグ装置のうち一の既存タグ装置へのアクセス操作を検出したときに、当該アクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置の表示データに基づいて前記挿入表示データを特定することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記挿入データ特定手段は、前記複数の既存タグ装置のうち同一の既存タグ装置へのアクセス操作を複数回検出したときに、当該アクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置の表示データを含み当該表示データに対して所定の規則に従って連続する複数個の表示データ、又は、前記アクセスされた既存タグ装置の表示データに対して前記所定の規則に従って連続する複数個の表示データを前記挿入表示データとして特定することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置のうち前記配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置を除く一部の既存タグ装置の表示データと前記所定の規則に従った配列で連続する表示データの情報を入力する挿入情報入力手段を有し、前記挿入データ特定手段は、前記挿入情報入力手段によって入力された表示データを挿入表示データとして特定することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記複数の既存タグ装置のうち一の既存タグ装置へアクセスして、当該既存タグ装置に表示されている表示データを取得する表示データ取得手段と、前記表示データ取得手段によって取得した表示データの一部を変更するデータ変更手段と、を備え、前記挿入データ特定手段は、前記データ変更手段によって変更された表示データを挿入表示データとして特定することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記送信手段は、前記複数の既存タグ装置のうち一の既存タグ装置へのアクセス操作を検出したときに、当該アクセス操作された既存タグ装置の表示データを変更する必要がないとき、当該タグ装置への前記更新用表示データの送信を行わないことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記所定の規則は、前記表示データを、設定された文字配列の先頭から順次配列された文字又は文字列の中から配列順に選択される文字又は文字列のデータを含む表示データとする規則であることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の発明において、前記挿入表示データを表示させるタグ装置の全てに対する前記挿入表示データの送信が終了するまで、送信すべき挿入表示データがある旨の情報を表示手段に表示する表示制御手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、コンピュータを、請求項1〜9のいずれか1項に記載の通信装置の前記各手段として機能させるプログラムである。
【0018】
請求項11に記載の発明は、受信した表示データに基づいた表示を行う複数のタグ装置と当該複数のタグ装置と通信可能に構成された通信装置とを有するタグシステムにおいて、前記通信装置は、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置のうち前記配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置を除く一部の既存タグ装置の表示データに対して前記所定の規則に従った配列で連続する表示データを挿入表示データとして特定する挿入データ特定手段と、前記複数の既存タグ装置の表示データが前記挿入表示データと重複した表示データとならず前記挿入表示データと共に前記所定の規則に従った連続性を確保する表示データである更新用表示データを前記複数の既存タグ装置の一部又は全部へ送信する送信手段と、を備え、前記タグ装置は、 前記通信装置から送信される更新用表示データを受信する受信手段と、前記受信した更新用表示データに基づいた表示を行う表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、前記送信手段は、前記複数の既存タグ装置のうち前記配列の先頭からN番目の表示データを表示している既存タグ装置にアクセスした際に、その既存タグ装置に、前記連続性を確保する複数の前記更新用表示データを前記配列順に並べたときに前記配列順の先頭側から数えてN個目となる更新用表示データを送信することを特徴とする。
【0020】
請求項13に記載の発明は、請求項11又は12に記載の発明において、前記既存タグ装置の前記表示手段は、前記受信した表示データに基づいた表示を、前記受信手段で次の表示データを受信するまで継続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1、10に記載の発明によれば、受信した表示データに基づいた表示を行うタグ装置と通信可能に構成された通信装置において、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置のうち配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置を除く一部の既存タグ装置の表示データに対して所定の規則に従った配列で連続する表示データを挿入表示データとして特定する挿入データ特定手段と、複数の既存タグ装置の表示データが前記挿入表示データと重複した表示データとならず挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する表示データである更新用表示データを複数の既存タグ装置の一部又は全部へ送信する送信手段と、を備えたので、複数の既存タグ装置に対して挿入表示データを表示する新たなタグ装置を挿入する場合であっても、表示データ間の連続性を再検討し、その再検討した表示データを通信装置へ再入力する操作者側の作業を省略しつつ、連続性のある表示データを自動的に付与することのできる利便性の高い通信装置を提供することができる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、送信手段は、複数の既存タグ装置のうち配列の先頭からN番目の表示データを表示している既存タグ装置にアクセスした際に、その既存タグ装置に、連続性を確保する複数の更新用表示データを配列順に並べたときに配列順の先頭側から数えてN個目となる表示データを送信するので、複数の既存タグ装置に対してランダムにアクセスした場合であっても、そのアクセスした既存タグ装置に対して、連続性を確保する更新用表示データを確実に送信することができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、挿入データ特定手段は、複数の既存タグ装置のうち一の既存タグ装置へのアクセス操作を検出したときに、当該アクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置の表示データに基づいて挿入表示データを特定するので、タグ装置へのアクセス操作という簡易な操作によって、挿入表示データを表示する新たなタグ装置を複数の既存タグ装置へ挿入する位置を容易に指定することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、挿入データ特定手段は、複数の既存タグ装置のうち同一の既存タグ装置へのアクセス操作を複数回検出したときに、当該アクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置の表示データを含み当該表示データに対して所定の規則に従って連続する複数個の表示データ、又は、アクセスされた既存タグ装置の表示データに対して所定の規則に従って連続する複数個の表示データを挿入表示データとして特定するので、挿入表示データを表示する新たなタグ装置を同一の位置に複数挿入することができ、利便性を一層向上することができる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置のうちの配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置を除く一部の既存タグ装置の表示データに対して所定の規則に従った配列で連続する表示データの情報を入力する挿入情報入力手段を有し、挿入データ特定手段は、挿入情報入力手段によって入力された表示データを挿入表示データとして特定するので、表示データの入力作業だけで挿入表示データの特定を容易に行うことができる。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、複数の既存タグ装置のうち一の既存タグ装置へアクセスして、当該既存タグ装置に表示されている表示データを取得する表示データ取得手段と、表示データ取得手段によって取得した表示データの一部を変更するデータ変更手段と、を備え、挿入データ特定手段は、データ変更手段によって変更された表示データを挿入表示データとして特定するので、既存タグ装置にアクセスするだけで、そのアクセスした既存タグ装置から変更する表示データを容易に取得することができ、挿入表示データを特定する際に、挿入表示データをいちいち入力する必要がなく、便利である。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、送信手段は、複数の既存タグ装置のうち一の既存タグ装置へのアクセス操作を検出したときに、当該アクセス操作された既存タグ装置の表示データを変更する必要がないとき、当該既存タグ装置への更新用表示データの送信を行わないので、アクセスした既存タグ装置へ意図しない表示データを誤送信することを回避できる。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、所定の規則は、表示データを、設定された文字配列の先頭から順次配列された文字又は文字列の中から配列順に選択される文字又は文字列のデータを含む表示データとする規則であるので、タグ装置の表示データ間での連続性を容易に確保することができる。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、挿入表示データを表示させるタグ装置の全てに対する挿入表示データの送信手段による送信が終了するまで、送信すべき挿入表示データがある旨の情報を表示手段に表示する表示制御手段を備えたので、複数の既存タグ装置に対して挿入表示データを表示する新たなタグ装置を挿入する場合に、新たなタグ装置に対する挿入表示データの送信漏れを防止することができる。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、受信した表示データに基づいた表示を行う複数のタグ装置と当該複数のタグ装置と通信可能に構成された通信装置とを有するタグシステムにおいて、通信装置は、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置のうち配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置を除く一部の既存タグ装置の表示データに対して所定の規則に従った配列で連続する表示データを挿入表示データとして特定する挿入データ特定手段と、複数の既存タグ装置の表示データが挿入表示データと重複した表示データとならず挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する表示データである更新用表示データを複数の既存タグ装置の一部又は全部へ送信する送信手段と、を備え、タグ装置は、通信装置から送信される更新用表示データを受信する受信手段と、受信した更新用表示データに基づいた表示を行う表示手段と、を備えたので、タグ装置の表示データ間での連続性が失われた場合に、表示データ間の連続性を再検討し、その再検討した表示データを通信装置へ再入力する操作者側の作業を省略しつつ、連続性のある表示データを自動的に付与することのできる利便性の高いタグシステムを提供することができる。
【0031】
請求項12に記載の発明によれば、送信手段は、複数の既存タグ装置のうち配列の先頭からN番目の表示データを表示している既存タグ装置にアクセスした際に、その既存タグ装置に、連続性を確保する複数の更新用表示データを配列順に並べたときに配列順の先頭側から数えてN個目となる更新用表示データを送信するので、複数のタグ装置に対してランダムにアクセスした場合であっても、そのアクセスしたタグ装置に対して、所定の規則に従った連続性を確保する表示データを確実に送信することができ、利便性を向上することができる。
【0032】
請求項13に記載の発明によれば、既存タグ装置の表示手段は、受信した表示データに基づいた表示を、受信手段で次の表示データを受信するまで継続するので、表示手段の表示をバインダ等の整理番号として有効に活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0034】
(タグシステムの概要説明)
図1は、本発明の第1実施形態におけるタグシステム1の構成を示した概略図である。図1に示すように、タグシステム1は、複数のタグ装置10と通信装置50とより構成されており、これら複数のタグ装置10と通信装置50とはそれぞれ通信可能に構成されている。なお、タグ装置10と通信装置50との間の通信方式として、例えば、国際規格ISO/IEC18000で知られるRFID無線通信システムを用いることができる。これにより、複数のタグ装置10は、それぞれユニークな識別子(ID)を持つことができ、通信装置50から複数のタグ装置10をそれぞれ識別して通信が可能となる。
【0035】
タグ装置10は、バインダ2の背表紙に装着されており、このバインダ2は、互いに隣接した状態で本棚3に複数収納されている。なお、タグ装置10は、バインダ2の背表紙に装着したが、CD、DVDやボックスなどに装着したり、本棚3に装着したり、如何なるものに装着する構成としても良い。
【0036】
タグ装置10は、タグ装置用アンテナ11と、タグ装置用ディスプレイ12と、タグ装置用制御回路13とを有している。
【0037】
タグ装置用アンテナ11は、通信装置50から送信されたデータを受信し、受信したデータをタグ装置用制御回路13へ出力すると共に、タグ装置用制御回路13から出力されたデータを通信装置50へ送信するアンテナである。
【0038】
タグ装置用ディスプレイ12は、タグ装置用制御回路13から出力される制御信号によって、表示を変更することができる電気泳動方式を採用した不揮発性の表示装置である。このタグ装置用ディスプレイ12は、公知の原理である電気泳動現象を用いた表示画像保持機能を有しており、電界の印加により一度表示された画像を保持することが可能である。
【0039】
タグ装置用制御回路13は、タグ装置用ディスプレイ12に表示するバインダ2の名称等のデータの設定、及びタグ装置用ディスプレイ12の動作制御を行う制御部である。なお、タグ装置10には、図示しない電池が備えられており、この電池によりタグ装置の各デバイスに電源が供給される。
【0040】
そして、本実施形態のタグシステム1では、タグ装置10は、タグ装置用制御回路13の制御により、タグ装置用アンテナ11を介して通信装置50から受信した表示データに基づいた表示をタグ装置用ディスプレイ12に行うようにしている。なお、表示データには、文字、数字、記号、及びこれらの結合(以下、文字等と指称)より構成されるデータが含まれる。
【0041】
また、通信装置50は、タグ装置10と通信可能に構成された装置であり、アンテナ51と、ディスプレイ52と、キーボード53とを有している。
【0042】
アンテナ51は、タグ装置10から送信されたデータを受信すると共に、通信装置50から出力されるデータをタグ装置10へ送信するものである。
【0043】
ディスプレイ52は、液晶表示装置である。
【0044】
キーボード53は、タグ装置10に送信するデータの入力や、通信装置の実行する機能を変更する場合に操作される十字ボタン54、機能ボタン55、決定ボタン56、及び複数の丸ボタン57等を有している。
【0045】
十字ボタン54は、ディスプレイ52に表示される項目(通信装置50の実行する処理のメニューなど)を選択する場合に操作されるボタンである。例えば、ディスプレイ52に複数の項目が表示されている場合に、十字ボタン54を上方向に操作すると、ディスプレイ52に表示されているカーソルが一つ上に移動して選択される項目が変更される。
【0046】
機能ボタン55は、通信装置50が有する機能を変更する場合に操作されるボタンである。機能ボタン55の操作と実行される処理についての説明は後述する。
【0047】
決定ボタン56は、ディスプレイ52に表示された項目の決定や、操作者に対する問い合わせの回答を決定する場合等に操作されるボタンである。この決定ボタン56を操作することにより、通信装置50への入力が確定(決定)される。
【0048】
丸ボタン57は、文字等を入力するために操作されるボタンである。丸ボタン57には、それぞれに各種の文字等が割り当てられているので、丸ボタン57を操作することにより、所望の文字等が入力される。そして、入力された文字等はディスプレイ52に表示される。
【0049】
(タグシステムの使用方法の概要)
次に、図2を参照して、本実施形態のタグ装置10及び通信装置50の使用方法について簡単に説明する。図2は、バインダ2の背表紙に装着された各タグ装置10のタグ装置用ディスプレイ12における表示態様を示す図である。
【0050】
図2(a)は、タグ装置用制御回路13から出力される制御信号によって、タグ装置用アンテナ11を介して通信装置50から受信した表示データに基づいた表示を、複数のタグ装置10の各タグ装置用ディスプレイ12に行った態様を示している。図2(a)の例では、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データとして、「設計図1」、「設計図2」、「設計図3」、「設計図4」、「設計図5」のそれぞれが複数のタグ装置10の各タグ装置用ディスプレイ12に表示されている。以下、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データを表示している複数のタグ装置10のことを、既存タグ装置10とも称し、既存タグ装置10に表示されている表示データを既存表示データとも称する。
【0051】
ここで、所定の規則としては、表示データを、設定された文字配列で先頭から順次配列された文字又は文字列(以下、単に「文字」ともいう。)の中から配列順に選択される文字のデータを含む表示データとする規則が用いられている。なお、ここで言う文字には、仮名文字、ローマ文字、数字等が含まれる。
【0052】
例えば、図2(a)に示すように、表示データ「設計図1」、「設計図2」、「設計図3」、「設計図4」、「設計図5」は、所定の規則に従って、文字間隔「1」で先頭の数字「1」から順次配列された数字の中から配列順に選択される数字のデータ「1」、「2」、「3」、「4」、「5」のそれぞれを含む表示データであり、これら複数の表示データは、所定の規則に従った配列で連続している。
【0053】
なお、文字間隔「1」ではなく、文字間隔「2」や文字間隔「3」としてもよく、文字配列として「1」、「2」、「3」、「4」、「5」ではなく、その逆配列としてもよい。例えば、表示データ「設計図1」、「設計図3」、「設計図5」、「設計図7」、「設計図9」・・・というように、所定の規則に従って、文字間隔「2」で先頭の数字「1」から順次配列された数字の中から配列順に選択される数字のデータ「1」、「3」、「5」、「7」、「9」・・・のそれぞれを含む表示データとすることができる。また、表示データ「設計図5」、「設計図4」、「設計図3」、「設計図2」、「設計図1」というように、所定の規則に従って、文字間隔「1」で先頭の数字「5」から数字が減少するように順次配列された数字の中から配列順に選択される数字のデータ「5」、「4」、「3」、「2」、「1」のそれぞれを含む表示データとすることができる。
【0054】
また、仮名文字を文字配列にするときには、例えば「イ」、「ロ」、「ハ」、・・・などの文字配列を用いられ、ローマ字を文字配列にするときには、例えば「A」、「B」、「C」、・・・などの文字配列を用いられる。
【0055】
なお、この所定の規則に従った配列は通信装置50において予め設定されているものであるが、操作者の通信装置50への操作により変更することも可能である。例えば、文字間隔パラメータと文字順序パラメータとをキーボード53の操作により設定できるようにしている。文字間隔パラメータとは、文字を配列する際の文字間隔(文字の変化量)を設定するパラメータである。文字順序パラメータとは、文字順序を設定するパラメータである。これら文字間隔パラメータと文字順序パラメータを設定することにより、文字間隔の設定や、文字順序の選択を容易に行うことができる。
【0056】
また、文字順序パラメータについて更に詳しく説明すると、文字順序パラメータとは、所定の規則として、所定の文字配列の昇順を文字順序として選択し、その選択した文字順序の文字のデータにより一部又は全部のデータを変更する規則、及び所定の文字配列の降順を文字順序として選択し、その選択した文字順序の文字のデータにより一部又は全部のデータを変更する規則を含む複数の規則の中からいずれか一つを選択するパラメータである。なお、昇順とは、例えば、文字が数字である場合には、数字が増加する文字順序を意味し、文字がローマ文字である場合には、AからZへ向かう文字順序を意味する。一方、降順とは、例えば、文字が数字である場合には、数字が減少する文字順序を意味し、文字がローマ文字である場合には、ZからAへ向かう文字順序を意味する。
【0057】
図2(a)の例では、表示データを構成するデータのうち所定の規則に従って変更するデータが数字のデータであり、文字間隔が「1」に設定されている場合を示している。この場合、数字のデータを順次配列した文字配列は、「1」,「2」,「3」,「4」、・・・となり、この文字配列の昇順を文字順序として選択すると、その選択した文字順序の文字のデータは、数字1の次に数字2、数字2の次に数字3、数字3の次に数字4、・・・となる。一方、この文字の降順を文字順序として選択すると、その選択した文字順序の文字のデータは、数字4の次に数字3、数字3の次に数字2、数字2の次に数字1となる。そして、選択した文字順序の文字のデータにより、表示データの一部又は全部のデータが変更される。
【0058】
このように、複数のタグ装置10の各タグ装置用ディスプレイ12に、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データのそれぞれを表示することにより、複数のタグ装置10をバインダ2(図1参照)等の背表紙として用いる場合に、連続する複数の表示データをバインダ2等の整理番号として有効に活用できる。
【0059】
そして、本実施形態の通信装置50は、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置10のうち配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置10を除く一部の既存タグ装置10の表示データに対して所定の規則に従った配列で連続する表示データを挿入表示データとして特定する機能を有している。
【0060】
ここで、挿入表示データとは、複数の既存タグ装置10に対して、新たなタグ装置10を挿入する際に、その挿入する新たなタグ装置10に表示される表示データである。
【0061】
また、挿入表示データを特定することには、挿入表示データの個数、及び、挿入表示データを表示する新たなタグ装置10(以下、「挿入タグ装置10」と言う。)を複数の既存タグ装置10へ挿入する位置を特定することが含まれる。
【0062】
図2(b)は、通信装置50によって、図2(a)に示す複数の既存タグ装置10のうち、既存表示データ「設計図1」と連続する「設計図2」、「設計図3」の挿入表示データ、及び、既存表示データ「設計図4」と連続する「設計図5」の挿入表示データ、即ち「設計図2」、「設計図3」、「設計図5」のそれぞれを挿入表示データとして特定した場合を示している。なお、説明の便宜を図るため、図2(b)では、挿入タグ装置10を複数の既存タグ装置10へ挿入する位置に、矢印を付して示している。
【0063】
本実施形態では、挿入表示データが特定されることによって、図2(b)に示すように、既存表示データ「設計図2」を表示する既存タグ装置10の直前の位置に、挿入表示データ「設計図2」及び「設計図3」のそれぞれを表示する2つの挿入タグ装置10が挿入されると共に、既存表示データ「設計図3」を表示する既存タグ装置10の直前の位置に、挿入表示データ「設計図5」を表示する1つの挿入タグ装置10が挿入されることが特定される。従って、複数の既存タグ装置10の既存表示データのうち配列の最後の既存表示データ(図2(a)に示す例では「設計図5」)を除く既存表示データに対して所定の規則に従った配列で連続する表示データ(図2(a)に示す例では、例えば、既存表示データ「設計図4」に対して「設計図5」、「設計図6」)が挿入表示データとして特定されることになる。
【0064】
このように挿入表示データが特定されると、複数の既存タグ装置10の既存表示データのうち、表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」が、挿入表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」と重複する。
【0065】
複数の既存タグ装置10の既存表示データが挿入タグ装置10の挿入表示データと重複した状態を図2(d)に示す。図2(d)は、特定された挿入表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」のそれぞれを表示する挿入タグ装置10(図中、太字枠線で示すタグ装置10)が、複数の既存タグ装置10における図2(b)の矢印で示す位置へ挿入された場合を示している。
【0066】
図2(d)に示すように、複数の既存タグ装置10の既存表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」が挿入表示データと重複しているため、複数の既存タグ装置10の既存表示データと挿入表示データとを合せた複数の表示データ間で所定の規則に従った連続性が失われる。このため、これら複数の表示データをバインダ2等の整理番号として活用することが困難となる。
【0067】
そこで、上述した複数の表示データ間での連続性を確保すべく、特に、本実施形態の通信装置50は、複数の既存タグ装置10の表示データが挿入表示データと重複した表示データとならず挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する更新用表示データを複数の既存タグ装置10の一部又は全部へ送信する機能を有している。
【0068】
このようにして、通信装置50から送信される更新用表示データを受信した既存タグ装置10は、その受信した更新用表示データに基づいた表示をタグ装置用ディスプレイ12でそれぞれ行う。
【0069】
したがって、複数の既存タグ装置10の表示データと挿入表示データとを合せた複数の表示データ間で所定の規則に従った連続性が確保される。
【0070】
例えば、図2(b)に示すように、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データのそれぞれが表示されている複数の既存タグ装置10に挿入タグ装置10を挿入することにより、重複することとなる既存表示データ「設計図2」、「設計図3」、「設計図5」が所定の規則に従った配列で再配列され、更新用表示データ「設計図4」、「設計図6」、「設計図7」、「設計図8」が送信される。
【0071】
そして、通信装置50から更新用表示データ「設計図4」、「設計図6」、「設計図7」、「設計図8」のそれぞれを受信した既存タグ装置10は、図2(c)に示すように、その受信した更新用表示データに基づいた表示をそれぞれ行う。
【0072】
この結果、複数の既存タグ装置10の表示データは、挿入表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」と重複しない表示データ「設計図4」、「設計図6」、「設計図7」、「設計図8」に変更される。
【0073】
このように表示データを変更した複数の既存タグ装置10に対して、挿入表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」のそれぞれを表示する挿入タグ装置10を挿入した状態を図2(e)に示す。
【0074】
図2(e)に示すように、複数の既存タグ装置10の表示データと挿入表示データとを合せた複数の表示データは、「設計図1」、「設計図2」、「設計図3」、・・・となる。これら複数の表示データ「設計図1」、「設計図2」、「設計図3」、・・・は、所定の規則に従って、文字配列「1」で先頭の数字「1」から順次配列された数字の中から配列順に選択される数字のデータ「1」、「2」、「3」、・・・のそれぞれを含む表示データに該当する。つまり、複数の既存タグ装置10の表示データと挿入表示データとを合せた複数の表示データ間で所定の規則に従った連続性が確保されることとなる。
【0075】
このように、通信装置50は、複数の既存タグ装置10の表示データが挿入表示データと重複した表示データとならないように、挿入表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」と共に所定の規則に従った連続性を確保する更新用表示データ「設計図4」、「設計図6」、「設計図7」、「設計図8」を、既存表示データ「設計図2」、「設計図3」、「設計図4」、「設計図5」のそれぞれを表示する複数の既存タグ装置10へそれぞれ送信するようにしている。
【0076】
これにより、複数の既存タグ装置10に対して挿入タグ装置10を挿入する場合であっても、複数の既存タグ装置10の表示データと挿入表示データとを合せた複数の表示データ間で所定の規則に従った連続性が確保される。したがって、表示データ間の連続性を再検討し、その再検討した表示データを通信装置50へ再入力する操作者側の作業を省略することができる。
【0077】
また、本実施形態の通信装置50は、複数の既存タグ装置10のうち所定の規則に従った配列の先頭からN番目の既存表示データを表示している既存タグ装置10にアクセスした際に、その既存タグ装置10に、所定の規則に従った連続性を確保する複数の更新用表示データを配列順に並べたときにその配列順の先頭側から数えてN個目となる更新用表示データを送信するようにしている。
【0078】
ここで、既存タグ装置10へアクセスするとは、更新用表示データの送信対象(以下、書込対象とも言う。)の既存タグ装置10の電界強度が、所定値、すなわち、書込対象のタグ装置10と通信装置50とが十分に近づき正常に通信を行うことができる値を満たしている状態を意味する。
【0079】
なお、書込対象の既存タグ装置10の電界強度が所定値であるか否かは、書込対象の既存タグ装置10に受信した電波の電界強度を測定する電界センサ(図示せず)を設け、その電界センサにより測定した電波の電界強度が通信装置50へ送信されるように構成することにより判定することができる。上記電界センサを設けた既存タグ装置10は、いわゆる非接触タグ装置として用いることができる。
【0080】
また、通信装置50のアクセス中に書込対象の既存タグ装置10と隣接する他のタグ装置10から通信装置50へ送信される電波の電界強度は、通信装置50と正常に通信を行うことのできる値を満たさないようになっている。言い換えると、書込対象の既存タグ装置10から通信装置50へ送信される電波の電界強度のみが、通信装置50と正常に通信を行うことのできる値を満たすようになっている。
【0081】
このようにすることで、通信装置50を移動させて、既存タグ装置10に順次近接させることにより、複数の既存タグ装置10に順次アクセスして表示データの送受信を行うことができる。なお、タグ装置10として、国際規格ISO/IEC18000シリーズに代表される非接触タグを用いた場合にも、規格化されたプロトコルに従い、複数のタグ装置10に順次アクセスして表示データの送受信をすることができる。
【0082】
そして、図2(b)に示すように、通信装置50により挿入表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」が特定された後に、図2(c)に示すように、複数の既存タグ装置10のうち所定の規則に従った配列の先頭から「3」(N=3)番目の既存表示データ「設計図3」を表示した既存タグ装置10に通信装置50でアクセスすると、通信装置50からそのアクセスした既存タグ装置10に更新用表示データ「設計図6」が送信される。
【0083】
ここで、上記送信された更新用表示データ「設計図6」は、所定の規則に従った連続性を確保する複数の更新用表示データ「設計図4」、「設計図6」、「設計図7」、「設計図8」を配列順に並べたときにその配列順の先頭「設計図1」側から数えて3(N=3)個目となる更新用表示データである。
【0084】
このように、本実施形態の通信装置50は、N番目の既存表示データを表示した既存タグ装置10に、この既存タグ装置10へ送信する複数の更新用表示データを配列順に並べたときにその配列順の先頭側から数えてN個目となる更新用表示データを送信するので、複数の既存タグ装置10にランダムにアクセスした場合であっても、そのアクセスした既存タグ装置10に対して、連続性を確保する更新用表示データを確実に送信することができる。
【0085】
また、本実施形態の通信装置50は、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出したときに、そのアクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置10の既存表示データに基づいて挿入表示データを特定するようにしている。
【0086】
ここで、アクセス操作とは、通信装置50で既存タグ装置10にアクセスするためにタグ装置用アンテナ11及びアンテナ51を介して正常にデータの通信を行うことが可能な程度まで、通信装置50を既存タグ装置10へ近づける操作を意味する。
【0087】
例えば、図2(b)に示すように、アクセス操作により複数の既存タグ装置10のうち既存表示データ「設計図2」及び「設計図3」を表示する既存タグ装置10にアクセスすると、通信装置50は、そのアクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置10の既存表示データ「設計図2」及び「設計図3」に基づいて、挿入表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」を特定する。なお、図2(b)では、説明の便宜を図るため、通信装置50のアクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置10に、「*」を付して示している。
【0088】
このように、本実施形態の通信装置50は、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出したときに、このアクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置10の既存表示データに基づいて挿入表示データを特定するので、タグ装置10へのアクセス操作という簡易な操作によって、挿入タグ装置10を複数の既存タグ装置10へ挿入する位置を容易に指定することができる。
【0089】
特に、本実施形態の通信装置50は、複数の既存タグ装置10のうち同一の既存タグ装置10へのアクセス操作を複数回検出したときに、そのアクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置10の既存表示データに基づいて所定の規則に従って連続する複数個の表示データを挿入表示データとして特定するようにしている。
【0090】
例えば、図2(b)に示すように、通信装置50のアクセス操作により、複数の既存タグ装置10のうち既存表示データ「設計図2」を表示する既存タグ装置10へ2回アクセスすると、通信装置50は、そのアクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置10の既存表示データを含み当該既存表示データに対して所定の規則に従って連続する2個の表示データ「設計図2」及び「設計図3」を挿入表示データとして特定する。なお、図2(b)では、説明の便宜を図るため、通信装置50のアクセス操作により2回アクセスされた既存タグ装置10に、「*」を2つ付して示している。
【0091】
また、通信装置50の設定に応じて表示データの挿入位置を変えることもできる。例えば、通信装置50のアクセス操作により、複数の既存タグ装置10のうち表示データ「設計図2」を表示する既存タグ装置10へ2回アクセスしたとき、通信装置50は、そのアクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置10の表示データに対して所定の規則に従って連続する2個の表示データ「設計図3」及び「設計図4」を挿入表示データとして特定するようにしてもよい。
【0092】
このように、本実施形態の通信装置50は、複数の既存タグ装置10のうち同一の既存タグ装置10へのアクセス操作を複数回検出したときに、そのアクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置10の既存表示データを含み当該表示データに対して所定の規則に従って連続する複数個の表示データ、又は、アクセスされた既存タグ装置10の表示データに対して所定の規則に従って連続する複数個の表示データを挿入表示データとして特定するので、挿入表示データを表示する挿入タグ装置10を同一の位置に複数挿入することができ、利便性を一層向上することができる。
【0093】
(タグシステムの内部構成)
次に、図3を参照して、本実施形態のタグシステム1におけるタグ装置10、及び通信装置50の内部構成について説明する。図3は、タグ装置10、及び通信装置50の内部構成を示した図である。図3(a)は、タグ装置10の内部構成を示した図であり、図3(b)は、通信装置50の内部構成を示した図である。
【0094】
まず、図3(a)を参照して、タグ装置10の内部構成について説明する。タグ装置10は、上述したように、タグ装置用アンテナ11と、タグ装置用ディスプレイ12と、タグ装置用制御回路13と、を有している。
【0095】
タグ装置用制御回路13は、タグ装置用送受信機14と、タグ装置用CPU15と、タグ装置用ROM16と、タグ装置用RAM17と、タグ装置用フラッシュメモリ18と、タグ装置用入出力ポート19とを有している。
【0096】
タグ装置用送受信機14は、タグ装置用アンテナ11と接続されており、タグ装置10から通信装置50へ送信されるデータを高周波電流に変えてタグ装置用アンテナ11に送り出す送信装置と、タグ装置用アンテナ11が通信装置50から受信した高周波電流から必要なデータを取り出す受信装置とが一体化された装置である。また、タグ装置用送受信機14は、タグ装置用入出力ポート19と接続されており、受信された高周波電流から必要なデータを取り出した後に、その取り出したデータをタグ装置用入出力ポート19に出力する機能と、タグ装置用入出力ポート19から出力されたデータを受け取る入力機能とを有している。
【0097】
タグ装置用CPU15は、バスラインを介して接続された各部を制御する演算装置である。
【0098】
タグ装置用ROM16は、タグ装置用CPU15により実行される制御プログラムを格納した書き換え不能な不揮発性のメモリである。
【0099】
タグ装置用RAM17は、制御プログラムの実行時に各種のデータを一時的に記憶するメモリである。
【0100】
タグ装置用フラッシュメモリ18は、通信装置50から送信されたデータを記憶する書き換え可能な不揮発性のメモリである。タグ装置用フラッシュメモリ18に記憶された各種データは、タグ装置用入出力ポート19を介してタグ装置用ディスプレイ12に表示される。
【0101】
タグ装置用フラッシュメモリ18には、タグ装置用表示データメモリ18aが設けられている。
【0102】
タグ装置用表示データメモリ18aは、通信装置50から送信された表示データであってタグ装置用ディスプレイ12に表示するための表示データを記憶するメモリである。このタグ装置用表示データメモリ18aに記憶された表示データに基づいて、タグ装置10は、タグ装置用ディスプレイ12に文字等の表示を行う。
【0103】
タグ装置用表示データメモリ18aに記憶されている表示データは、通信装置50から送信される表示データによって書き換えることができる。例えば、通信装置50から表示データが信号に変換された電波が受信されると、その電波がタグ装置用アンテナ11に受信され、タグ装置用送受信機14により表示データが取り出され、その取り出した表示データは、タグ装置用入出力ポート19に出力される。
【0104】
そして、タグ装置用CPU15により取り出された表示データは、タグ装置用フラッシュメモリ18内のタグ装置用表示データメモリ18aに記憶される。これにより、タグ装置用表示データメモリ18aに記憶されている表示データは、通信装置50から送信されるデータによって書き換えられる。
【0105】
また、タグ装置用表示データメモリ18aに記憶されている表示データの送信を行う場合は、タグ装置用CPU15により、タグ装置用表示データメモリ18aから表示データの読み出し命令が行われ、タグ装置用入出力ポート19を介してタグ装置用送受信機14へ表示データ等が出力される。出力された表示データ等は、タグ装置用送受信機14により高周波電流信号に変換され、タグ装置用アンテナ11から送信される。
【0106】
また、タグ装置用表示データメモリ18aに記憶されている表示データに基づいて、タグ装置用ディスプレイ12に表示を行う場合には、タグ装置用CPU15により、タグ装置用表示データメモリ18aから表示データが読み出されてタグ装置用ディスプレイ12に表示される。
【0107】
次に、図3(b)を参照して、通信装置50の内部構成を説明する。通信装置50は、上述したように、アンテナ51と、ディスプレイ52と、キーボード53とを有している。
【0108】
さらに、通信装置50は、入出力ポート60と、CPU66と、RAM68と、フラッシュメモリ69と、送受信機70とを有している。
【0109】
送受信機70は、アンテナ51と接続されており、通信装置50からタグ装置10へ送信するデータを高周波電流に変えてアンテナ51に送り出す送信装置と、アンテナ51が通信装置50から受信した高周波電流から必要なデータを取り出す受信装置とが一体化された装置である。また、送受信機70は、入出力ポート60と接続されており、受信された高周波電流から必要なデータを取り出した後に、その取り出したデータを入出力ポート60に出力する機能と、入出力ポート60から出力されたデータを受け取る入力機能とを有している。
【0110】
CPU66は、バスラインを介して接続された各部を制御する演算処理装置であり、フラッシュメモリ69に記憶した制御プログラムを実行することにより、後述の挿入データ特定手段、送信手段、表示データ取得手段、データ変更手段、表示制御手段等として機能する。
【0111】
RAM68は、制御プログラムの実行時に利用するデータ、タグ装置10から送信された既存表示データ及びタグ装置10へ送信するための更新用表示データ及び挿入表示データを一時的に記憶するメモリであり、表示データを記憶する記憶手段として機能するものである。
【0112】
フラッシュメモリ69は、CPU66により実行される制御プログラムや各種テーブルなどを記憶すると共に、タグ装置10へ送信した表示データを記憶する書き換え可能な不揮発性のメモリである。フラッシュメモリ69に記憶される各種データは、入出力ポート60を介してディスプレイ52に表示される。
【0113】
なお、フラッシュメモリ69に記憶される制御プログラムは、例えば、ネットワークに接続されたサーバ等からフラッシュメモリ69にダウンロードされるようにしてもよく、また、CD−ROM等の記録媒体に記録されてから記録媒体のドライブを介して、フラッシュメモリ69に読み込まれるようにしてもよい。
【0114】
RAM68には、受信用表示データメモリ68aと、挿入用表示データメモリ68bと、更新用表示データメモリ68cとが設けられている。
【0115】
受信用表示データメモリ68aは、タグ装置10のタグ装置用表示データメモリ18aに記憶された表示データがタグ装置10から送信された場合に、その送信された表示データを一時的に記憶するメモリである。
【0116】
挿入用表示データメモリ68bは、CPU66により後述のように特定された挿入表示データを一時的に記憶するメモリである。
【0117】
更新用表示データメモリ68cは、複数の既存タグ装置10の表示データが挿入表示データと重複した表示データとならず挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する表示データとなるように、CPU66により後述のように生成された更新用表示データを一時的に記憶するメモリである。
【0118】
なお、フラッシュメモリ69には、機能カウンタ69aが設けられている。機能カウンタ69aは、通信装置50の実行する機能(図4参照)を変更する機能カウンタの値を記憶するメモリである。機能カウンタ69aは、操作者により選択された処理を実行するために、各処理に対応した所定の値が記憶され、後述する機能選択処理(図4参照)においてCPU66により参照される。
【0119】
以上のように構成されたタグ装置10と通信装置50とを有するタグシステム1において、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置10に対して挿入タグ装置10を挿入する際に、複数の既存タグ装置10の表示データと挿入表示データとを合せた複数の表示データ間で所定の規則に従った連続性を確保するための動作について図面を参照し、通信装置50のCPU66により実行される処理、タグ装置10のタグ装置用CPU15により実行される処理の順に具体的に説明する。
【0120】
(通信装置のCPUにより実行される処理の説明)
まず、図4〜図9を参照して、本実施形態における通信装置50のCPU66により実行される処理について説明する。図4は、通信装置50のCPU66により実行される機能選択処理を示したフローチャート、図5〜図7は、通信装置50のCPU66により実行される表示データ再配列処理を示したフローチャート、図8は、通信装置50のCPU66により実行される挿入表示データ送信処理を示したフローチャートを示した図である。図9は、通信装置50のRAM68内で作成される表示データ再配列表の一例を示した図である。
【0121】
なお、図4に示す機能選択処理は、通信装置50の機能ボタン55が操作されると実行される処理であり、通信装置50により実行する機能(処理)を選択するための処理である。
【0122】
操作者により機能ボタン55が操作されて機能選択処理が実行されると、図4に示すように、通信装置50のCPU66は、実行可能な機能(処理)の一覧をディスプレイ52に表示する(ステップS11)。実行可能な処理の一覧がディスプレイ52に表示されると、操作者は、キーボード53の十字ボタン54及び決定ボタン56の操作により、所望の機能を選択することができる。
【0123】
次に、CPU66は、操作者により選択された機能が表示データ再配列機能であるか否かを判定し(ステップS12)、操作者によって表示データ再配列機能が選択されたと判定すると(ステップS12:Yes)、表示データ再配列処理を実行する(ステップS13)。この表示データ再配列処理は、図5〜図7におけるステップS20〜ステップS44の処理であり、後述で詳説する。
【0124】
操作者によって表示データ再配列機能が選択されていないと判定すると(ステップS12:No)、CPU66は、挿入表示データ送信機能が選択されたか否かを判定する(ステップS14)。
【0125】
挿入表示データ送信機能が選択されたと判定すると(ステップS14:Yes)、CPU66は、挿入表示データ送信処理を実行する(ステップS15)。この送信表示データ送信処理は、図8におけるステップS50〜ステップS54の処理であり、後述で詳説する。
【0126】
一方、挿入表示データ送信機能が選択されていないと判定すると(ステップS14:No)、CPU66は、その他の機能の処理が選択されたか否かを判定する(ステップS16)。
【0127】
その他の機能の処理が選択されたと判定すると(ステップS16:Yes)、CPU66は、ディスプレイ52に選択された処理に関する画面を表示し、操作者に選択した機能に応じた操作を促し、対応する処理を行う(ステップS17)。例えば、複数の新たなタグ装置10に所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データを表示させるために、CPU66は、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データを複数の新たなタグ装置10に送受信機70及びアンテナ51を介して送信する。
【0128】
ステップS17の処理が終了したとき、又はステップS16の処理において、その他の機能の処理が選択されていないと判定したとき(ステップS16:No)、CPU66は、処理をステップS11に移行し、ステップS11からの処理を繰り返し行う。
【0129】
次に、ステップS13における表示データ再配列処理について、図5〜図7に示すフローチャートを参照して具体的に説明する。この表示データ再配列処理は、通信装置50を用いて、複数の既存タグ装置10のうち配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置10を除く一部の既存タグ装置10の表示データに対して所定の規則に従った配列で連続する表示データを挿入表示データとして特定した後、挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する更新用表示データを複数の既存タグ装置10の一部又は全部へ送信し、既存タグ装置10の表示データを変更して再配列するための処理である。
【0130】
図5に示すように、表示データ再配列処理を開始すると、ステップS20において、CPU66は、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10から表示データを取得する(ステップS20)。
【0131】
このステップS20の処理では、CPU66は、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出したとき、そのアクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置10の既存表示データを取得する。
【0132】
この場合、ディスプレイ52には「挿入タグ装置を挿入したい位置にある既存タグ装置10に通信装置50を近づけてください。」のメッセージを表示して、複数の既存タグ装置10のうち、挿入タグ装置10を挿入する基準となる位置(以下、「挿入タグ装置10の挿入基準位置」という。)にある既存タグ装置10(以下、「挿入基準位置の既存タグ装置10」という。)に通信装置50を近づけることを操作者に促す。なお、本実施形態では、複数の既存タグ装置10のうち挿入基準位置の既存タグ装置10の直前に、挿入タグ装置10を挿入する場合について説明する。
【0133】
挿入基準位置の既存タグ装置10に通信装置50を近づけて、その既存タグ装置10へアクセスすると、既存表示データを送信させる送信要求コマンドが通信装置50からアクセスした挿入基準位置の既存タグ装置10に送信される。
【0134】
送信要求コマンドを受信した挿入基準位置の既存タグ装置10から後述の応答処理により既存表示データが送信されると、CPU66は、その送信される既存表示データを取得する。
【0135】
次に、CPU66は、ステップS20で取得した既存表示データを記憶手段としてのRAM68内の受信用表示データメモリ68aに記憶する(ステップS21)。
【0136】
次に、CPU66は、次の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出したか否かを判定し(ステップS22)、次の既存タグ装置10へのアクセスがあったと判定すると(ステップS22:Yes)、ステップS20の処理に戻り、次の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出しなくなるまで、ステップS20〜ステップS22の処理を繰り返し実行する。
【0137】
このステップS20〜ステップS22の処理が繰り返し実行されている場合には、すなわち、次の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出している場合には(ステップS22:Yes)、既存タグ装置10に通信装置50を順次アクセスすることにより、挿入基準位置の既存タグ装置10を複数指定して、その挿入基準の既存タグ装置10から既存表示データを順次取得し、取得した既存表示データをRAM68内の受信用表示データメモリ68aに順次記憶することができる。なお、挿入基準位置の既存タグ装置10から取得された既存表示データは、その取得された順番でRAM68内の受信用表示データメモリ68aに記憶される。
【0138】
一方、次の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出していないと判定すると(ステップS22:No)、CPU66は、既存タグ装置10の表示データを再配列することが選択されたか否かを判定する(ステップS23)。このステップS23の判定では、CPU66は、ディスプレイ52に「既存タグ装置の既存表示データを再配列しますか?」の表示を行い、既存タグ装置10の既存表示データを再配列するステップS24以降の処理へ移行するか否かの問い合わせを操作者に対して行う。そして、この表示を見た操作者がキーボード53の十字ボタン54や決定ボタン56を用いて問い合わせに対する応答を入力することにより、ステップS23の判定が行われる。
【0139】
既存タグ装置10の既存表示データを再配列することが選択されたと判定すると(ステップS23:Yes)、CPU66は、ステップS24の処理へ移行する。一方、既存タグ装置10の既存表示データを再配列することが選択されていないと判定すると(ステップS23:No)、CPU66は、既存タグ装置10の既存表示データを再配列することが選択されるまで、ステップS22及びステップS23の処理を繰り返し実行する。
【0140】
ステップS24以降の処理において、CPU66は、挿入データ特定手段として機能することによって、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出したときに、そのアクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置10の既存表示データに基づき、すなわち、RAM68内の受信用表示データメモリ68aに記憶した既存表示データに基づき、挿入表示データを特定する。
【0141】
まず、CPU66は、ステップS20〜ステップS22の処理を繰り返すことによりアクセスされた挿入基準位置の既存タグ装置10から取得した既存表示データに変更対象の文字データが含まれるか否かを判定する(ステップS24)。ここで、変更対象の文字データとは、設定された文字配列で先頭から順次配列された文字の中から配列順に選択される文字のデータにより変更可能な文字のデータである。
【0142】
ステップS24の処理で、挿入基準位置の既存タグ装置10の既存表示データに変更対象の文字のデータが含まれると判定すると(ステップS24:Yes)、CPU66は、ステップS26の処理へ移行する。
【0143】
一方、ステップS20〜ステップS22の処理を繰り返すことによりアクセスされた既存タグ装置10から取得した既存表示データに変更対象の文字のデータが含まれないと判定すると(ステップS24:No)、CPU66は、複数の既存タグ装置10の既存表示データ間で再配列ができない旨をディスプレイ52に表示し(ステップS25)、表示データ再配列処理を終了する。
【0144】
ステップS26の処理において、CPU66は、RAM68内の受信用表示データメモリ68aに記憶された既存表示データを配列順に配列し、表示データ再配列表の作成を開始する。なお、表示データ再配列表は、複数の既存タグ装置10のうち配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置10を除く一部の既存タグ装置10の既存表示データに対して所定の規則に従った配列で連続する表示データを挿入表示データとして特定すると共に、複数の既存タグ装置10が現在表示している既存表示データと、複数の既存タグ装置10にこれから表示する表示データとを比較対照するための表である。
【0145】
ステップS26の処理で作成される表示データ再配列表の一例を図9(a),(b)に示す。なお、この例では、ステップS20〜ステップS22の処理において、複数の既存タグ装置10のうち既存表示データ「設計図2」を表示する既存タグ装置10へ2回アクセスした後に、既存表示データ「設計図5」を表示する既存タグ装置10へ1回アクセスすることによって、これらアクセスされた既存タグ装置10の既存表示データ「設計図2」、「設計図2」、及び「設計図5」がそれぞれこの順番で取得され、これら3つの既存表示データが、その取得された順番でRAM68内の受信用表示データメモリ68aに記憶されているものとする。
【0146】
図9(a)に示すように、まず、2列の空白列(一方の列を列L1、他方の列を列L2とする。)が作成され、その後、2列のうち一方の列L1に、RAM68内の受信用表示データメモリ68aに記憶された既存表示データ「設計図2」、「設計図2」、及び「設計図5」が、その取得された順番で縦1列に配列されると共に、2列のうち他方の列L2に、列L1に配列された各表示データの個数が設定される。
【0147】
これにより、表示データ再配列表における一方の列L1に、挿入基準位置の既存タグ装置10の既存表示データが、表示データ再配列表における他方の列L2に、列L1の既存表示データを表示する挿入基準位置の既存タグ装置10の直前の位置に挿入される挿入タグ装置10の個数がそれぞれ設定されることになる。
【0148】
次に、CPU66は、表示データ再配列表において重複する既存表示データがある場合に、その重複する既存表示データを1つにまとめる(ステップS27)。このステップS27の処理では、CPU66は、図9(a)に示すように、表示データ再配列表の一方の列L1に重複する既存表示データ「設計図2」が存在する場合に、図9(b)に示すように、列L1においてこれら重複する既存表示データを1つにまとめると共に、列L2にてこれら重複する既存表示データに対応する挿入タグ装置10の個数を加算する。
【0149】
これにより、表示データ再配列表の列L1における既存表示データ「設計図2」を表示する既存タグ装置10の直前の位置に、2つの挿入タグ装置10が挿入され、また、列L1における既存表示データ「設計図5」を表示する既存タグ装置10の直前の位置に、1つの挿入タグ装置10が挿入されることが設定される。
【0150】
次に、CPU66は、表示データ再配列表の列L1における既存表示データが所定の規則に従った連続性を有するか否かを判定する(ステップS28)。
【0151】
表示データ再配列表の列L1における既存表示データが所定の規則に従った連続性を有すると判定すると(ステップS28:Yes)、CPU66は、処理をステップS30へ移行する。
【0152】
一方、表示データ再配列表の列L1における既存表示データが所定の規則に従った連続性を有しないと判定すると(ステップS28:No)、CPU66は、表示データ再配列表の列L1における既存表示データ間で所定の規則に従った連続性を確保する表示データを表示データ再配列表の列L1に追加し(ステップS29)、処理をステップS30へ移行する。
【0153】
このステップS29の処理では、表示データ再配列表の列L1における既存表示データが、図9(b)に示す「設計図2」及び「設計図5」のように、所定の規則に従った連続性を有しないときに、図9(c)に示すように、表示データ再配列表の列L1における既存表示データ「設計図2」と「設計図5」との間に、所定の規則に従った連続性を確保する表示データとして、表示データ「設計図3」及び「設計図4」が追加される。このとき、表示データ再配列表における他方の列L2では、表示データ「設計図3」及び「設計図4」に対応する挿入タグ装置10の個数として、「0」が設定される。
【0154】
ステップS30の処理において、CPU66は、表示データ再配列表の列L1における各表示データの直前の位置に、その表示データに対応した列L2における挿入タグ装置10の個数分だけ、空白行を追加する。なお、このステップS30の処理後に、CPU66は、表示データ再配列表の列L2を消去し、列L1の隣に新たな列L3を追加する。
【0155】
例えば、図9(c)及び図9(d)に示すように、表示データ再配列表の列L1における表示データ「設計図2」の直前の位置に、その表示データに対応した列L2における挿入タグ装置10の個数である「2」個分だけ、空白行が追加される。同様に、表示データ再配列表の列L1における表示データ「設計図5」の直前の位置に、その表示データに対応した列L2における挿入タグ装置10の個数である「1」個分だけ、空白行が追加される。
【0156】
なお、本実施形態では、複数の既存タグ装置10のうち挿入基準位置の既存タグ装置10の直前に、挿入タグ装置10を挿入する場合について説明したが、挿入基準位置の既存タグ装置10の直後に、挿入タグ装置10を挿入するように構成することもできる。この場合、表示データ再配列表の列L1における各表示データの直後の位置に、その表示データに対応した列L2における挿入タグ装置10の個数分だけ、空白行を追加する。なお、このとき、複数の既存タグ装置10のうち配列の最後の既存表示データ(図2(a)に示す例では、既存表示データ「設計図5」)を表示している既存タグ装置10は、挿入基準位置の既存タグ装置10とはならない。このような既存タグ装置10の直後の表示データは、既存タグ装置10の既存表示データの連続性に影響を及ぼす表示データではないからである。
【0157】
次に、CPU66は、表示データ再配列表の列L3における先頭行に、列L1における表示データのうち配列の最も先頭側の表示データを設定する(ステップS31)。
【0158】
例えば、図9(e)に示すように、表示データ再配列表の列L3における先頭行に、列L1における表示データのうち配列の最も先頭側の表示データ「設計図2」が設定される。
【0159】
次に、CPU66は、表示データ再配列表の列L3において、ステップS31で設定した表示データを先頭として、文字間隔「1」で配列順に選択される文字のデータを含む表示データを順次配列することにより、表示データ再配列表を完成させ(ステップS32)、処理をステップS33に移行する。
【0160】
例えば、図9(f)に示すように、表示データ再配列表の列L3において、表示データ「設計図2」を先頭として、文字間隔「1」で配列順に選択される文字「3」、「4」、「5」、・・・のデータを含む表示データ「設計図3」、「設計図4」、「設計図5」、・・・がそれぞれ配列され、その結果、表示データ再配列表が完成する。
【0161】
このように完成した表示データ再配列表では、図9(f)に示すように、列L1に複数の既存タグ装置10が現在表示している既存表示データが配置されると共に、列L3に複数の既存タグ装置10にこれから表示する更新用表示データが配置されている。
【0162】
このようにして、上記ステップS24〜ステップS32の処理によって完成した表示データ再配列表を用いて、CPU66は、挿入表示データを特定するようにしている。このとき、CPU66は、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出したときに、当該アクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置10の既存表示データに基づいて挿入表示データを特定する挿入データ特定手段として機能する。
【0163】
すなわち、表示データ再配列表において、列L1に表示データが設定されておらず、かつ、列L3に表示データが設定されている場合には、列L3に設定された表示データが挿入表示データとして特定される。なお、特定された挿入表示データは、CPU66により、RAM68内の挿入用表示データメモリ68bに記憶される。
【0164】
また、表示データ再配列表において、列L1及び列L3に両方に表示データが設定されている場合には、列L3に設定された表示データが挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する更新用表示データとなる。なお、その連続性を確保する更新用表示データは、CPU66により、RAM68内の更新用表示データメモリ68cに記憶される。
【0165】
例えば、図9(f)に示す表示データ再配列表では、上から1、2、及び6行目が、列L1に表示データ設定されておらず、かつ、列L3に表示データが設定されている場合に該当するので、列L3に設定された表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図7」が挿入表示データとして特定される。
【0166】
また、列L3に設定された表示データのうち挿入表示データ以外の表示データ「設計図4」、「設計図5」、「設計図6」、及び「設計図8」が挿入表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図7」と重複せずこれら挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する更新用表示データとなる。
【0167】
ところで、図9(f)に示す表示データ再配列表では、列L1の表示データ「設計図2」に対応する列L3の表示データ「設計図4」の直前に、所定の規則に従って連続する2個の表示データ「設計図2」及び「設計図3」が設定されている。
【0168】
この列L1の表示データ「設計図2」は、上述したように、複数の既存タグ装置10のうち表示データ「設計図2」を表示する既存タグ装置10へ通信装置50で2回アクセスすることによって取得された既存表示データであるところ、CPU66は、この既存表示データ「設計図2」に基づいて、上述の所定の規則に従って連続する2個の表示データ「設計図2」及び「設計図3」を挿入表示データとして特定するようにしている。
【0169】
このとき、CPU66は、複数の既存タグ装置10のうち同一の既存タグ装置10へのアクセス操作を複数回検出したときに、当該アクセス操作によりアクセスされたタグ装置10の表示データを含み当該表示データに対して所定の規則に従って連続する複数個の表示データを、挿入表示データとして特定する挿入データ特定手段として機能する。なお、挿入基準位置の既存タグ装置10の直後に、挿入タグ装置10を挿入するようにした場合、アクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置10の表示データを含まず、この表示データに対して所定の規則に従って連続する複数個の表示データを、挿入表示データとして特定することになる。
【0170】
ステップS33以降の処理において、CPU66は、アンテナ51及び送受信機70と共に送信手段として機能することによって、複数の既存タグ装置10の既存表示データが挿入表示データと重複した表示データとならず挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する更新用表示データを複数の既存タグ装置10の一部又は全部へ送受信機70及びアンテナ51を介して送信する。
【0171】
まず、ステップS33の処理において、CPU66は、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出したか否かを判定する。このステップS33の判定では、ディスプレイ52には「挿入タグ装置を挿入する際に表示を変更する既存タグ装置に通信装置を近づけてください。」のメッセージを表示して、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10に通信装置50を近づけることを操作者に促す。
【0172】
複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へアクセスしたと判定すると(ステップS33:Yes)、CPU66は、そのアクセス操作によりアクセスされる既存タグ装置10から既存表示データを取得し(ステップS34)、処理をステップS35へ移行する。ステップS34の処理では、通信装置50を既存タグ装置10に近づけて、この既存タグ装置10へアクセスすると、既存表示データを送信させる送信要求コマンドが通信装置50から既存タグ装置10に送信され、この送信要求コマンドを受信した既存タグ装置10から後述の応答処理により既存表示データが送信されることにより、既存表示データが取得される。なお、取得された既存表示データは、RAM68内の受信用表示データメモリ68aに記憶される。
【0173】
一方、ステップS33の処理において、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へアクセスしていないと判定すると(ステップS33:No)、CPU66は、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へアクセスするまで、ステップS33の処理を繰り返す。
【0174】
ステップS35の処理において、CPU66は、ステップS34の処理において取得した既存表示データに含まれる変更対象の文字以外の文字データが更新用表示データメモリ68cに記憶した既存表示データに含まれる変更対象の文字以外の文字データと同一か否かを判定する。すなわち、同じ配列グループであるかどうかが判断される。ここで、変更対象の文字データとは、設定された文字配列で先頭から順次配列された文字の中から配列順に選択される文字のデータにより変更可能な文字のデータである。
【0175】
ステップS34において取得した既存表示データに含まれる変更対象の文字以外の文字データが更新用表示データメモリ68cに記憶した表示データに含まれる変更対象の文字以外の文字データと同一であると判定すると(ステップS35:Yes)、CPU66は、ステップS36の処理に移行する。
【0176】
一方、ステップS34において取得した既存表示データに含まれる変更対象の文字以外の文字データが更新用表示データメモリ68cに記憶した表示データに含まれる変更対象の文字以外の文字データと同一でないと判定すると(ステップS35:No)、CPU66は、ステップS43の処理に移行する。
【0177】
ステップS36の処理において、CPU66は、ステップS34において取得した既存表示データと表示データ再配列表とを比較対照し(ステップS36)、ステップS37の処理に移行して、ステップS34において取得した既存表示データが、表示データ再配列表の列L1における表示データのうち配列の最も先頭側の表示データよりも配列の先頭側の表示データであるか否かを判定する(ステップS37)。
【0178】
このステップS37の処理では、ステップS34において取得した既存表示データが、例えば、図9(f)で示す表示データ再配列表の列L1における表示データのうち配列の最も先頭側の表示データ「設計図2」よりも配列の先頭側の表示データ「設計図1」であるか否かが判定される。
【0179】
ステップS34において取得した既存表示データが、表示データ再配列表の列L1における表示データのうち配列の最も先頭側の表示データよりも配列の先頭側の表示データであると判定すると(ステップS37:Yes)、CPU66は、現在アクセスしている既存タグ装置10への更新用表示データの送信を行うことなく、処理をステップS43へ移行する。したがって、CPU66は、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出したときに、当該アクセス操作された既存タグ装置10の既存表示データを変更する必要がないとき、当該既存タグ装置10への更新用表示データの送信を行わない送信手段として機能する。
【0180】
一方、ステップS34において取得した既存表示データが、表示データ再配列表の列L1における表示データのうち配列の最も先頭側の表示データよりも配列の先頭側の表示データでないと判定すると(ステップS37:No)、CPU66は、ステップS34において取得した既存表示データが、表示データ再配列表の列L1内に含まれるか否かを判定する(ステップS38)。
【0181】
ステップS34において取得した既存表示データが、表示データ再配列表の列L1に含まれないと判定すると(ステップS38:No)、CPU66は、表示データ再配列表を、その取得した既存表示データまで拡張し(ステップS39)、ステップS40の処理に移行する。
【0182】
このステップS39の処理により、図9(f)に示す表示データ再配列表を拡張したものを図9(g)に示す。図9(f),(g)に示すように、例えば、表示データ再配列表の列L1に含まれない既存表示データ「設計図7」が取得されると、列L1における末尾の表示データ「設計図5」に対して「設計図5」に連続する2つの表示データ「設計図6」及び「設計図7」が追加されると共に、列L3における末尾の表示データ「設計図8」に対して「設計図8」に連続する2つの表示データ「設計図9」及び「設計図10」が追加されることによって、表示データ再配列表が、取得した既存表示データ「設計図7」まで拡張される。なお、図9(g)では、説明の便宜上、表示データ再配列表における拡張部分を太字枠で示している。
【0183】
一方、ステップS34において取得した既存表示データが、表示データ再配列表の列L1に含まれると判定すると(ステップS38:Yes)、CPU66は、表示データ再配列表を拡張することなく、ステップS40の処理に移行する。
【0184】
ステップS40の処理では、CPU66は、ステップS34において取得した既存表示データに対応する更新用表示データを表示データ再配列表から抽出する。すなわち、CPU66は、表示データ再配列表における列L1と列L3とを比較対照して、ステップS34において取得した既存表示データに対応する更新用表示データを列L3から抽出する。なお、抽出した表示データは、RAM68内の更新用表示データメモリ68cに記憶される。
【0185】
例えば、取得した既存表示データが「設計図3」である場合には、図9(f)に示す表示データ再配列表における列L1の表示データ「設計図3」に対応して、更新用表示データ「設計図5」が、列L3から抽出される。
【0186】
次に、CPU66は、表示データ再配列表の列L3から抽出した更新用表示データを書込コマンドと共に、ステップS33でアクセスした既存タグ装置10へ送受信機70及びアンテナ51を介して送信する(ステップS41)。
【0187】
次に、CPU66は、ステップS41において送信済みの更新用表示データを表示データ再配列表の列L3から削除する(ステップS42)。このステップS42では、送信済みの更新用表示データが表示データ再配列表から削除されると共に、RAM68内の更新用表示データメモリ68cに記憶された更新用表示データも削除される。
【0188】
次に、CPU66は、次の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出したか否かを判定し(ステップS43)、次の既存タグ装置10へのアクセスがあったと判定すると(ステップS43:Yes)、ステップS34の処理に戻り、次の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出しなくなるまで、ステップS34〜ステップS43の処理を繰り返し実行する。
【0189】
このステップS34〜ステップS43の処理が繰り返し実行されている場合には、すなわち、次の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出している場合には(ステップS43:Yes)、既存タグ装置10に通信装置50を順次アクセスすることにより、そのアクセスされる既存タグ装置10から既存表示データを順次取得し、表示データ再配列表から取得した表示データに対応する更新用表示データを抽出して、その抽出した更新用表示データをアクセスされる既存タグ装置10のそれぞれに送信することができる。
【0190】
この結果として、CPU66は、送信手段として、複数の既存タグ装置10のうち所定の規則に従った配列の先頭からN番目の表示データを表示した既存タグ装置10にアクセスした際に、その既存タグ装置10に、連続性を確保する複数の更新用表示データを配列順に並べたときに配列順の先頭側から数えてN個目となる更新用表示データを送受信機70及びアンテナ51を介して送信するようにしている。
【0191】
このようにすることで、複数の既存タグ装置10に対してランダムにアクセスした場合であっても、そのアクセスした既存タグ装置10に対して、連続性を確保する更新用表示データを確実に送信することができ、利便性を向上することができる。
【0192】
ステップS43の処理において、次の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出していないと判定すると(ステップS43:No)、CPU66は、終了が選択されたか否かを判定する(ステップS44)。このステップS44の判定では、CPU66は、ディスプレイ52に「終了?」の表示を行い、表示データ再配列処理を終了するか否かの問い合わせを操作者に対して行う。そして、この表示を見た操作者がキーボード53の十字ボタン54や決定ボタン56を用いて問い合わせに対する応答を入力することにより、ステップS43の判定が行われる。
【0193】
終了が選択されていれば(ステップS44:Yes)、CPU66は、表示データ再配列処理を終了し、一方、終了が選択されていなければ(ステップS44:No)、CPU66は、ステップS43及びステップS44の処理を繰り返し実行する。
【0194】
この表示データ再配列処理により、所定の規則に従った配列で連続する複数の既存表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置10に対して挿入タグ装置10を挿入することにより、複数の既存タグ装置10の既存表示データと挿入タグ装置10の挿入表示データとを合せた複数の表示データ間で所定の規則に従った連続性が失われた場合であっても、挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する更新用表示データを生成し、その生成した更新用表示データを複数の既存タグ装置10の一部又は全部へ送受信機70及びアンテナ51を介して送信することができる。
【0195】
次に、ステップS15における挿入表示データ送信処理について、図8に示すフローチャートを参照して具体的に説明する。この挿入表示データ送信処理は、通信装置50を用いて、上述した表示データ再配列処理により特定された挿入表示データを挿入タグ装置10へ送信する処理である。
【0196】
図8に示すように、挿入表示データ送信処理を開始すると、ステップS50において、CPU66は、表示データ再配列表をRAM68から読み出す。
【0197】
次に、CPU66は、表示データ再配列表の列L3に挿入表示データがあるか否かを判定する(ステップS51)。
【0198】
表示データ再配列表の列L3に挿入表示データがないと判定すると(ステップS51:No)、CPU66は、挿入表示データ送信処理を終了する。
【0199】
一方、表示データ再配列表の列L3に挿入表示データがあると判定すると(ステップS51:Yes)、CPU66は、挿入タグ装置10へのアクセス操作を検出したか否かを判定する(ステップS52)。
【0200】
このステップS52の判定では、「挿入タグ装置に通信装置を近づけてください。」のメッセージをディスプレイ52に表示して、挿入タグ装置10に通信装置50を近づけることを操作者に促す。このように、CPU66は、挿入表示データを表示させるタグ装置10の全てに対する挿入表示データの送信が終了するまで、送信すべき挿入表示データがある旨の情報をディスプレイ52(表示手段)に表示する表示制御手段として機能する。
【0201】
挿入タグ装置10へアクセスしたと判定すると(ステップS52:Yes)、CPU66は、処理をステップS53へ移行する。
【0202】
一方、挿入タグ装置10へアクセスしていないと判定すると(ステップS52:No)、CPU66は、挿入タグ装置10へアクセスするまで、ステップS52の処理を繰り返す。
【0203】
ステップS53の処理において、CPU66は、表示データ再配列表のL3に設定された挿入表示データを書込コマンドと共に、ステップS52でアクセスした挿入タグ装置10へタグ装置用アンテナ11を介して送信する。
【0204】
次に、CPU66は、ステップS53において送信済みの挿入表示データを表示データ再配列表の列L3から削除し(ステップS54)、処理をステップS51に戻して、表示データ再配列表の列L3に挿入表示データが存在しなくなるまで(ステップS51:No)、ステップS51〜ステップS54の処理を繰り返し実行する。
【0205】
このステップS51〜ステップS54の処理が繰り返し実行されている場合には、すなわち、表示データ再配列表の列L3に挿入表示データが存在している場合には(ステップS51:Yes)、挿入タグ装置10に通信装置50を順次アクセスすることにより、そのアクセスされる挿入タグ装置10のそれぞれに挿入表示データを送信することができる。
【0206】
この挿入表示データ送信処理により、挿入表示データを挿入タグ装置10へ送信することができる。
【0207】
(タグ装置のタグ用CPUにより実行される処理の説明)
次に、図10を参照して、タグ装置10のタグ装置用CPU15により実行される起動処理について説明する。
【0208】
図10は、タグ装置10のタグ装置用CPU15により実行される起動処理を示したフローチャートである。この起動処理は、タグ装置10に電池がセットされた場合に実行される処理である。
【0209】
図10に示すように、タグ装置10に電池がセットされて起動処理が実行されると、タグ装置10のタグ装置用CPU15は、タグ装置用RAM17のアクセス許可、作業領域確保のための初期化等の初期設定動作を実行し、タグ装置用ROM16に格納された制御プログラムをタグ装置用CPU15による実行状態とする(ステップS60)。
【0210】
次に、タグ装置用CPU15は、自タグ装置10の動作状態を受信スタンバイ状態に設定して(ステップS61)、起動処理を終了する。すなわち、タグ装置用CPU15は、タグ装置用送受信機14を動作状態とし、タグ装置用ディスプレイ12への電源供給等を停止して、電力消費を低減させた動作状態に移行する。このように受信スタンバイ状態に設定された後、通信装置50から送信されたデータがタグ装置用アンテナ11を介してタグ装置用送受信機14で受信されたとき、割り込み信号がタグ装置用CPU15に入力されて、次に説明する応答処理がタグ装置用CPU15により開始される。
【0211】
図11は、タグ装置10のタグ装置用CPU15により実行される応答処理を示したフローチャートである。
【0212】
図11に示すように、応答処理が実行されると、タグ装置用CPU15は、まず受信したデータの解析を行い(ステップS70)、受信したデータが送信要求コマンドであるか否かを判定する(ステップS71)。
【0213】
受信したデータが送信要求コマンドであると判定すると(ステップS71:Yes)、タグ装置用CPU15は、タグ装置用表示データメモリ18aに記憶された既存表示データを通信装置50へ送信し(ステップS72)、ステップS76の処理に移行する。
【0214】
一方、受信したデータが送信要求コマンドでないと判定すると(ステップS71:No)、タグ装置用CPU15は、受信したデータが書込コマンドであるか否かを判定する(ステップS73)。
【0215】
受信したデータが書込コマンドであると判定すると(ステップS73:Yes)、タグ装置用CPU15は、書込コマンドと共に受信した更新用表示データをタグ装置用表示データメモリ18aに記憶し、タグ装置用表示データメモリ18aに記憶された更新用表示データをタグ装置用ディスプレイ12に表示し(ステップS74)、ステップS76の処理に移行する。このように、タグ装置用アンテナ11及びタグ装置用送受信機14は、通信装置50から送信される更新用表示データを受信する受信手段として機能し、タグ装置用ディスプレイ12は、受信した表示更新用データに基づいた表示を行う表示手段として機能する。
【0216】
ここで、タグ装置10のタグ装置用ディスプレイ12は、受信した更新用表示データに基づいた表示を、タグ装置用アンテナ11で次の表示データを受信するまで継続するようにしている。すなわち、タグ装置10のタグ装置用ディスプレイ12は、電気泳動方式を採用した不揮発性の表示装置であり、受信スタンバイ状態に設定され電気の供給を受けない場合であっても、表示画像を保持できるようにしている。これにより、タグ装置用ディスプレイ12の表示をバインダ2等の整理番号として有効に活用することができる。
【0217】
一方、受信したデータが書込コマンドでないと判定すると(ステップS73:No)、タグ装置用CPU15は、その他の処理を実行する(ステップS75)。
【0218】
ステップS72の処理が終了したとき、ステップS74の処理が終了したとき、又は、ステップS75の処理が終了したときには、タグ装置用CPU15は、通信装置50から送信されるデータを受信する受信機能のみが起動され、その他の機能は起動しない状態である受信スタンバイ状態に設定し(ステップS76)、この応答処理を終了する。以降、同様に、通信装置50から送信されたデータがタグ装置用アンテナ11を介してタグ装置用送受信機14で受信される毎に、割り込み信号がタグ装置用CPU15に入力され、応答処理が実行される。
【0219】
この応答処理により、タグ装置10は、タグ装置用表示データメモリ18aに記憶された既存表示データを通信装置50に送信することができる。また、タグ装置10は、受信した更新用表示データをタグ装置用表示データメモリ18aに記憶し、タグ装置用表示データメモリ18aに記憶された更新用表示データをタグ装置用ディスプレイ12に表示することができる。
【0220】
以上説明したように、本実施形態のタグシステム1によれば、所定の規則に従って連続する複数の表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置10のうち配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置10を除く一部のタグ装置10の表示データに対して所定の規則に従った配列で連続する表示データを挿入表示データとして特定し、複数のタグ装置10の表示データが挿入表示データと重複した表示データとならず挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する更新用表示データを複数の既存タグ装置10の一部又は全部へ送信することができる。
【0221】
したがって、複数の既存タグ装置10に対して挿入タグ装置10を挿入する場合であっても、複数の既存タグ装置10の表示データと挿入タグ装置10の挿入表示データとを合せた複数の表示データ間で所定の規則に従った連続性を確保することができる。このため、表示データ間の連続性を再検討し、その再検討した更新用表示データを通信装置50へ再入力する操作者側の作業を省略しつつ、連続性のある表示データを自動的に付与することのできる利便性の高い通信装置50を提供することができる。
【0222】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。
【0223】
上述した第1実施形態のタグシステム1における通信装置50では、複数の既存タグ装置10の既存表示データを変更して再配列する際に、挿入表示データを特定する処理を行うように構成したが、第2実施形態のタグシステム1における通信装置50では、予め挿入表示データを特定する処理を行った後に、複数の既存タグ装置10の既存表示データを変更して再配列する処理を行うように構成している。その他の構成は、第1実施形態と同様であるので、その第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0224】
(タグシステムの使用方法の概要)
第2実施形態におけるタグ装置10及び通信装置50により行われる具体的な処理を説明する前に、まず、図12を参照して、第2実施形態におけるタグ装置10及び通信装置50の使用方法について簡単に説明する。図12は、バインダ2の背表紙に装着された各タグ装置10のタグ装置用ディスプレイ12における表示態様を示す図である。
【0225】
図12(a)は、タグ装置用制御回路13から出力される制御信号によって、タグ装置用アンテナ11を介して通信装置50から受信した表示データに基づいた表示を、複数のタグ装置10の各タグ装置用ディスプレイ12に行った態様を示している。図12(a)の例では、「設計図1」、「設計図2」、「設計図3」、・・・、「設計図5」からなる所定の規則に従って連続する5つの表示データのそれぞれが複数のタグ装置10の各タグ装置用ディスプレイ12に表示されている。以下、第1実施形態と同様に、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データを表示している複数のタグ装置10のことを、既存タグ装置10とも称し、既存タグ装置10に表示されている表示データを既存表示データとも称する。
【0226】
このように、複数のタグ装置10の各タグ装置用ディスプレイ12に、所定の規則に従って連続する複数の表示データのそれぞれを表示することにより、複数のタグ装置10をバインダ2(図1参照)等の背表紙として用いる場合に、連続する複数の表示データをバインダ2等の整理番号として有効に活用できる。
【0227】
そして、本実施形態の通信装置50では、キーボード53における十字ボタン54及び丸ボタン57の操作等によって、所定の規則に従った配列で連続する複数の既存表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置10のうち配列の最後の既存表示データを表示している既存タグ装置10を除く一部の既存タグ装置10の既存表示データに対して所定の規則に従った配列で連続する既存表示データの情報を通信装置50に入力できるようにしており、通信装置50はまた、キーボード53の操作によって入力された表示データを挿入表示データとして特定するようにしている。このとき、キーボード53は、挿入情報入力手段に相当する。
【0228】
例えば、図12(b)は、操作者によるキーボード53の操作によって、図12(a)に示す複数の既存タグ装置10のうち配列の最後の既存表示データ(ここでは、既存表示データ「設計図5」)を表示している既存タグ装置10を除く一部の既存タグ装置10の表示データ(ここでは、既存表示データ「設計図1」、「設計図4」)に対して所定の規則に従った配列で連続する表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」が入力され、その入力された表示データが通信装置50により挿入表示データとして特定され挿入用の挿入タグ装置10に予め表示された場合を示している。
【0229】
特定された挿入表示データは、通信装置50で挿入タグ装置10にアクセスすることによって、図12(b)に示すように、挿入タグ装置10のタグ装置用ディスプレイ12に表示される。なお、図12(b)では、説明の便宜を図るため、通信装置50のアクセス操作によりアクセスされ、挿入表示データが表示される挿入タグ装置10に、「*」を付して示している。
【0230】
このように挿入表示データが特定されると、複数の既存タグ装置10の表示データのうち、既存表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」が、挿入表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」と重複する。複数の既存タグ装置10の既存表示データが挿入表示データと重複すると、複数の既存タグ装置10の既存表示データと挿入表示データとを合せた複数の表示データ間で所定の規則に従った連続性が失われる。すると、これら複数の表示データをバインダ2等の整理番号として活用することが困難となる。
【0231】
そこで、上述した複数の表示データ間での連続性を確保すべく、特に、本実施形態の通信装置50は、複数の既存タグ装置10の既存表示データが挿入表示データと重複した表示データとならず挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する更新用表示データを複数の既存タグ装置10の一部又は全部へ送信する機能を有している。
【0232】
このようにして、通信装置50から送信される更新用表示データを受信した既存タグ装置10は、その受信した更新用表示データに基づいた表示をタグ装置用ディスプレイ12でそれぞれ行う。
【0233】
したがって、複数の既存タグ装置10の表示データと挿入表示データとを合せた複数の表示データ間で所定の規則に従った連続性が確保される。
【0234】
例えば、図12(a)に示すように、所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データ「設計図2」、「設計図3」、「設計図4」、「設計図5」のそれぞれが表示された複数の既存タグ装置10に対して、挿入表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」と重複しない更新用表示データ「設計図4」、「設計図6」、「設計図7」、「設計図8」が送信される。
【0235】
そして、通信装置50から更新用表示データ「設計図4」、「設計図6」、「設計図7」、「設計図8」のそれぞれを受信した既存タグ装置10は、図12(c)に示すように、その受信した更新用表示データに基づいた表示をそれぞれ行う。
【0236】
この結果、複数の既存タグ装置10の既存表示データは、挿入表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」と重複しない表示データ「設計図4」、「設計図6」、「設計図7」、「設計図8」に変更される。なお、表示データ「設計図1」は、挿入表示データと重複しないため変更されない。
【0237】
このように表示データを変更した複数の既存タグ装置10に対して、挿入表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」のそれぞれを表示する挿入タグ装置10を挿入した状態を図12(d)に示す。
【0238】
図12(d)に示すように、複数の既存タグ装置10の表示データと挿入表示データとを合せた複数の表示データは、「設計図1」、「設計図2」、「設計図3」、・・・、「設計図8」となる。これら複数の表示データ「設計図1」、「設計図2」、「設計図3」、・・・、「設計図8」は、所定の規則に従って、文字配列「1」で先頭の数字「1」から順次配列された数字の中から配列順に選択される数字のデータ「1」、「2」、「3」、・・・、「8」のそれぞれを含む表示データに該当する。つまり、複数の既存タグ装置10の表示データと挿入表示データとを合せた複数の表示データ間で所定の規則に従った連続性が確保されることとなる。
【0239】
このように、通信装置50は、複数の既存タグ装置10の表示データが挿入表示データと重複した表示データとならないように、挿入表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図5」と共に所定の規則に従った連続性を確保する更新用表示データ「設計図4」、「設計図6」、「設計図7」、「設計図8」を、既存表示データ「設計図2」、「設計図3」、「設計図4」、「設計図5」のそれぞれを表示している複数の既存タグ装置10へそれぞれ送信するようにしている。
【0240】
これにより、複数の既存タグ装置10に対して挿入タグ装置10を挿入する場合であっても、複数の既存タグ装置10の表示データと挿入表示データとを合せた複数の表示データ間で所定の規則に従った連続性が確保される。したがって、表示データ間の連続性を再検討し、その再検討した表示データを通信装置50へ再入力する操作者側の作業を省略することができる。
【0241】
ところで、本実施形態の通信装置50は、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へアクセスして、当該既存タグ装置10に表示されている既存表示データを取得し、その取得した既存表示データの一部を変更する機能を備えており、一部を変更した表示データを挿入表示データとして特定することもできる。
【0242】
したがって、本実施形態の通信装置50は、既存タグ装置10にアクセスするだけで、そのアクセスした既存タグ装置10から変更する表示データを容易に取得することができ、挿入表示データを特定する際に、表示データをいちいち入力する必要がなく、便利である。
【0243】
(通信装置のCPUにより実行される処理)
以上のように構成された第2実施形態におけるタグシステムにおいて、所定の規則に従った配列で連続する複数の既存表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置10に対して挿入タグ装置10を挿入する際に、複数の既存タグ装置10の表示データと挿入表示データとを合せた複数の表示データ間で所定の規則に従った連続性を確保するための動作について図面を参照して説明する。
【0244】
なお、タグ装置10のタグ装置用CPU15により実行される処理は、第1実施形態と同様であるので、以下では、通信装置50のCPU66により実行される処理のみ説明する。
【0245】
図13は、通信装置50のCPU66により実行される機能選択処理を示したフローチャート、図14は、通信装置50のCPU66により実行される挿入表示データ作成処理を示したフローチャート、図15〜図17は、通信装置50のCPU66により実行される表示データ再配列処理を示したフローチャートである。図18は、通信装置50のRAM68内で作成される表示データ再配列表の一例を示した図である。
【0246】
なお、図13に示す機能選択処理は、通信装置50の機能ボタン55が操作されると実行される処理であり、通信装置50により実行する機能(処理)を選択するための処理である。
【0247】
操作者により機能ボタン55が操作されて機能選択処理が実行されると、図13に示すように、通信装置50のCPU66は、RAM68のアクセス許可、作業領域確保のための初期化等の初期設定動作を実行し(ステップS80)、実行可能な機能(処理)の一覧をディスプレイ52に表示する(ステップS81)。実行可能な処理の一覧がディスプレイ52に表示されると、操作者は、キーボード53の十字ボタン54及び決定ボタン56の操作により、所望の機能を選択することができる。
【0248】
次に、CPU66は、操作者により選択された機能が挿入表示データ作成機能であるか否かを判定し(ステップS82)、操作者によって挿入表示データ作成機能が選択されたと判定すると(ステップS82:Yes)、挿入表示データ作成処理を実行する(ステップS83)。この挿入表示データ作成処理は、図14におけるステップS90〜ステップS95の処理であり、後述で詳説する。
【0249】
操作者によって挿入表示データ作成機能が選択されていないと判定すると(ステップS82:No)、CPU66は、操作者によって表示データ再配列機能が選択されたか否かを判定する(ステップS84)。
【0250】
操作者によって表示データ再配列処理が選択されたと判定すると(ステップS84:Yes)、表示データ再配列処理を実行する(ステップS85)。この表示データ再配列処理は、図15〜図17におけるステップS100〜ステップS119の処理であり、後述で詳説する。
【0251】
一方、操作者によって表示データ再配列処理が選択されていないと判定すると(ステップS84:No)、CPU66は、その他の機能の処理が選択されたか否かを判定する(ステップS86)。
【0252】
その他の機能の処理が選択されたと判定すると(ステップS86:Yes)、CPU66は、ディスプレイ52に選択された処理に関する画面を表示し、操作者に選択した機能に応じた操作を促し、対応する処理を行う(ステップS87)。
【0253】
ステップS87の処理が終了したとき、又はステップS86の処理において、その他の機能の処理が選択されていないと判定したとき(ステップS86:No)、CPU66は、処理をステップS81に移行し、ステップS81からの処理を繰り返し行う。
【0254】
次に、ステップS83における挿入表示データ作成処理について、図14に示すフローチャートを参照して具体的に説明する。この挿入表示データ作成処理は、複数の既存タグ装置10のうち配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置10を除く一部の既存タグ装置10の表示データに対して所定の規則に従った配列で連続する表示データを挿入表示データとして特定した後、その特定した挿入表示データを挿入タグ装置10へ送信する処理である。
【0255】
図14に示すように、挿入表示データ作成処理を開始すると、ステップS90において、CPU66は、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10から表示データを取得する(ステップS90)。
【0256】
このステップS90の処理では、CPU66は、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出したとき、そのアクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置10の既存表示データを取得する。
【0257】
この場合、ディスプレイ52には「挿入表示データを作成します。挿入表示データの元となる表示データを表示する既存タグ装置10に通信装置50を近づけてください。」のメッセージを表示して、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10に通信装置50を近づけることを操作者に促す。
【0258】
複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10に通信装置50を近づけて、その既存タグ装置10へアクセスすると、既存表示データを送信させる送信要求コマンドが通信装置50からアクセスした既存タグ装置10に送信される。
【0259】
送信要求コマンドを受信した既存タグ装置10から上述と同様の応答処理により既存表示データが送信されると、CPU66は、その送信される既存表示データを取得する。なお、取得された既存表示データは、RAM68内の受信用表示データメモリ68aに記憶される。
【0260】
次に、CPU66は、ステップS90で取得した既存表示データを編集するように操作者に指示する(ステップS91)。このステップS91の処理では、RAM68内の受信用表示データメモリ68aに記憶された既存表示データがディスプレイ52に表示されると共に、RAM68内の受信用表示データメモリ68aに記憶された既存表示データの一部をキーボード53の操作により変更すべき旨の指示が操作者に対して行われる。
【0261】
次に、CPU66は、編集された表示データを挿入表示データとして挿入用表示データメモリ68bに記憶する(ステップS92)。このステップS92の処理では、CPU66は、キーボード53を用いて操作者により入力(変更)された表示データを挿入表示データとして特定し、挿入用表示データメモリ68bに記憶する。このとき、CPU66は、キーボード53によって入力された表示データを挿入表示データとして特定する挿入データ特定手段として機能する。このとき、複数の既存タグ装置10のうち配列の最後の既存表示データ(図12(a)に示す例では「設計図5」)に対して所定の規則に従った配列で連続する表示データ(図12(a)に示す例では「設計図6」、「設計図7」・・・)へも変更することができるが、挿入表示データとはならない。このような表示データは、既存タグ装置10の既存表示データの連続性に影響を及ぼす表示データではないからである。但し、既存表示データ(図12(a)に示す例では「設計図4」)に対して所定の規則に従った配列で連続する表示データ(図12(a)に示す例では「設計図5」、「設計図6」・・・)は、既存タグ装置10の既存表示データの連続性に影響を及ぼすため、挿入表示データとなる。
【0262】
なお、本実施形態では、RAM68内の受信用表示データメモリ68aに記憶された表示データの一部を挿入情報入力手段であるキーボード53を用いて変更するようにしたが、これに代えて、RAM68内の受信用表示データメモリ68aに記憶された表示データの一部をCPU66によって自動的に変更するようにしてもよい。このとき、CPU66は、データ変更手段として機能する。この場合、CPU66は、変更された表示データを挿入表示データとして特定し、挿入用表示データメモリ68bに記憶する。
【0263】
次に、CPU66は、挿入タグ装置10へのアクセス操作を検出したか否かを判定する(ステップS93)。このステップS93の判定では、ディスプレイ52に「挿入タグ装置に通信装置を近づけてください。」のメッセージを表示して、挿入タグ装置10に通信装置50を近づけることを操作者に促す。このように、CPU66は、挿入表示データを表示させるタグ装置10の全てに対する挿入表示データの送信が終了するまで、送信すべき挿入表示データがある旨の情報をディスプレイ52(表示手段)に表示する表示制御手段として機能する。
【0264】
挿入タグ装置10へアクセスしたと判定すると(ステップS93:Yes)、CPU66は、そのアクセス操作によりアクセスされる挿入タグ装置10へ、RAM68内の挿入用表示データメモリ68bに記憶された挿入表示データを書込みコマンドと共に送信し(ステップS94)、処理をステップS95に移行する。
【0265】
一方、挿入タグ装置10へアクセスしていないと判定すると(ステップS93:No)、CPU66は、挿入タグ装置10へアクセスするまで、ステップS94の処理を繰り返す。
【0266】
ステップS95の処理において、CPU66は、終了が選択されたか否かを判定する(ステップS95)。
【0267】
終了が選択されていれば(ステップS95:Yes)、CPU66は、挿入表示データ作成処理を終了し、一方、終了が選択されていなければ(ステップS95:No)、CPU66は、ステップS91の処理に戻る。
【0268】
この挿入表示データ作成処理により、複数の既存タグ装置10のうち配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置10を除く一部の既存タグ装置10の表示データに対して所定の規則に従った配列で連続する表示データを挿入表示データとして特定し、その特定した挿入表示データを挿入タグ装置10へ送信することができる。
【0269】
次に、ステップS85における表示データ再配列処理について、図15〜図17に示すフローチャートを参照して具体的に説明する。この表示データ再配列処理は、上記した挿入表示データ作成処理により特定された挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する更新用表示データを複数の既存タグ装置10の一部又は全部へ送信し、複数の既存タグ装置10の既存表示データを変更して再配列するための処理である。
【0270】
図15に示すように、表示データ再配列処理を開始すると、ステップS100において、CPU66は、RAM68内の挿入用表示データメモリ68bに挿入表示データが記憶されているか否かを判定する。
【0271】
RAM68内の挿入用表示データメモリ68bに挿入表示データが記憶されていると判定すると(ステップS100:Yes)、CPU66は、処理をステップS101に移行する。
【0272】
一方、RAM68内の挿入用表示データメモリ68bに挿入表示データが記憶されていないと判定すると(ステップS100:No)、CPU66は、表示データ再配列処理を終了する。
【0273】
ステップS101の処理において、CPU66は、RAM68内の挿入用表示データメモリ68bに記憶された挿入表示データを配列順に配列し、表示データ再配列表の作成を開始する。なお、表示データ再配列表は、複数の既存タグ装置10が現在表示している表示データと、後述のようにCPU66により作成され複数の既存タグ装置10にこれから表示する更新用表示データとを比較対照するための表である。
【0274】
ステップS101の処理で作成される表示データ再配列表の一例を図18(a),(b)に示す。なお、この例では、上述の挿入表示データ作成処理において、挿入表示データとして3つの表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図7」がそれぞれこの順番で作成され、その作成された順番でRAM68内の挿入用表示データメモリ68bに記憶されているものとする。
【0275】
図18(a)に示すように、まず、RAM68内の挿入用表示データメモリ68bに記憶された挿入表示データ「設計図2」、「設計図3」、及び「設計図7」が、その記憶された順番で列L4に配列される。
【0276】
次に、CPU66は、表示データ再配列表のL4に配列された挿入表示データが所定の規則に従った配列で連続しているか否かを判定する(ステップS102)。このステップS102の判定では、例えば、挿入表示データが、所定の規則に従って、文字間隔「1」で順次配列された数字の中から配列順に選択される数字のデータ「1」、「2」、「3」、「4」、・・・のそれぞれを含む表示データであるか否かを判定する。
【0277】
挿入表示データが所定の規則に従った配列で連続していると判定すると(ステップS102:Yes)、処理をステップS104に移行する。
【0278】
一方、挿入表示データが所定の規則に従った配列で連続していないと判定すると(ステップS102:No)、CPU66は、表示データ再配列表の列L4のうち挿入表示データの連続していない部分に、その連続していない部分に対応する挿入表示データの個数分だけ空白行を追加し(ステップS103)、処理をステップS104に移行する。
【0279】
このステップS103の処理では、例えば、図18(b)に示すように、表示データ再配列表の列L4における挿入表示データ「設計図3」及び「設計図7」が、所定の規則に従った配列で連続していない場合に、その連続していない部分である3個の挿入表示データ「設計図4」、「設計図5」、及び「設計図6」に対応して、挿入表示データ「設計図3」と「設計図7」との間に、3個の空白行が追加される。
【0280】
ステップS104の処理において、CPU66は、表示データ再配列表の列L4の隣に新たな列L5を追加し、列L4の先頭行に設定された挿入表示データと同じ表示データを列L5の先頭行に設定する。
【0281】
次に、CPU66は、表示データ再配列表の列L5において、ステップS104で設定した表示データを先頭として、文字間隔「1」で配列順に選択される文字のデータを含む表示データを配列する(ステップS105)。
【0282】
このステップS105の処理では、例えば、図18(c),(d)に示すように、表示データ再配列表の列L5において、表示データ「設計図2」を先頭として、文字間隔「1」で配列順に選択される文字「3」、「4」、「5」、・・・のデータを含む表示データ「設計図3」、「設計図4」、「設計図5」、・・・がそれぞれ配列される。
【0283】
次に、CPU66は、表示データ再配列表において、列L4に設定された挿入表示データと重複しないように列L5に設定された表示データを列L5内で下方へ移動する(ステップS106)。
【0284】
このステップS106の処理では、例えば、図18(d)に示すように、表示データ再配列表の列L5に設定された表示データのうち2つの表示データ「設計図2」、及び「設計図3」が、列L4に設定された2つの挿入表示データと重複している場合、図18(e)に示すように、列L5に設定された表示データが2行下方へ移動される。そうすると、図18(e)に示すように、列L5に設定された表示データのうち1つの表示データ「設計図5」が、列L4に設定された1つの挿入表示データ「設計図7」と重複するので、列L5に設定された表示データが1行下方へ移動される。この結果、表示データ再配列表は図18(f)に示すものとなる。
【0285】
次に、CPU66は、表示データ再配列表に新たな列L6を追加し、列L4の先頭行に設定された挿入表示データと同じ表示データを列L6の先頭行に設定し、その設定した表示データを先頭として、文字間隔「1」で配列順に選択される文字のデータを含む表示データを列L6に配列し、最終的に表示データ再配列表を完成する(ステップS107)。
【0286】
このステップS107の処理では、例えば、図18(g)に示すように、表示データ再配列表に新たな列L6が追加され、列L4の先頭行に設定された挿入表示データ「設計図2」と同じ表示データ「設計図2」が列L6の先頭行に設定され、その設定された表示データ「設計図2」を先頭として、文字間隔「1」で配列順に選択される文字「3」、「4」、「5」、・・・のデータを含む表示データ「設計図3」、「設計図4」、「設計図5」、・・・がそれぞれ配列される。
【0287】
このようにして、ステップS107の処理で完成した表示データ再配列表では、図18(g)に示すように、列L5に複数の既存タグ装置10が現在表示している既存表示データが配置されると共に、列L6に複数の既存タグ装置10にこれから表示する更新用表示データ及び挿入表示データが配置されることになる。
【0288】
この表示データ再配列表において、列L5に表示データが設定されておらず、かつ、列L6に表示データが設定されている場合には、列L6に設定された表示データが挿入表示データとなる。
【0289】
また、表示データ再配列表において、列L5及び列L6の両方に表示データが設定されている場合には、列L6に設定された表示データが挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する更新用表示データとなる。なお、その連続性を確保する表示データは、CPU66により、RAM68内の更新用表示データメモリ68cに記憶される。
【0290】
ステップS108以降の処理において、CPU66は、送信手段として機能することによって、複数のタグ装置10の表示データが挿入表示データと重複した表示データとならず挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する更新用表示データを複数の既存タグ装置10の一部又は全部へ送信する。
【0291】
まず、ステップS108の処理において、CPU66は、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出したか否かを判定する。このステップS108の判定では、ディスプレイ52に「挿入タグ装置を挿入する際に表示を変更する既存タグ装置に通信装置を近づけてください。」のメッセージを表示して、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10に通信装置50を近づけることを操作者に促す。
【0292】
複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へアクセスしたと判定すると(ステップS108:Yes)、CPU66は、そのアクセス操作によりアクセスされる既存タグ装置10から既存表示データを取得し(ステップS109)、処理をステップS110へ移行する。ステップS109の処理では、通信装置50を既存タグ装置10に近づけて、既存タグ装置10へアクセスすると、既存表示データを送信させる送信要求コマンドが通信装置50から既存タグ装置10に送信され、この送信要求コマンドを受信した既存タグ装置10から応答処理により既存表示データが送信されることにより、既存表示データが取得される。なお、取得された既存表示データは、RAM68内の受信用表示データメモリ68aに記憶される。
【0293】
一方、ステップS108の処理において、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へアクセスしていないと判定すると(ステップS108:No)、CPU66は、複数の既存タグ装置10のうち一の既存タグ装置10へアクセスするまで、ステップS108の処理を繰り返す。
【0294】
ステップS110の処理において、CPU66は、ステップS109の処理において取得した既存表示データに含まれる変更対象の文字以外の文字データが更新用表示データメモリ68cに記憶した表示データに含まれる変更対象の文字以外の文字データと同一か否かを判定する。すなわち、同じ配列グループであるかどうかが判断される。ここで、変更対象の文字データとは、設定された文字配列で先頭から順次配列された文字の中から配列順に選択される文字のデータにより変更可能な文字のデータである。
【0295】
ステップS109の処理で取得した既存表示データに含まれる変更対象の文字以外の文字データが更新用表示データメモリ68cに記憶した表示データに含まれる変更対象の文字以外の文字データと同一であると判定すると(ステップS110:Yes)、CPU66は、ステップS111の処理に移行する。
【0296】
一方、ステップS109の処理で取得した既存表示データに含まれる変更対象の文字以外の文字データが更新用表示データメモリ68cに記憶した表示データに含まれる変更対象の文字以外の文字データと同一でないと判定すると(ステップS110:No)、CPU66は、ステップS118の処理に移行する。
【0297】
ステップS111の処理において、CPU66は、ステップS109において取得した既存表示データと表示データ再配列表とを比較対照し(ステップS111)、ステップS112の処理に移行して、ステップS109の処理で取得した既存表示データが、表示データ再配列表の列L5における表示データのうち配列の最も先頭側の表示データよりも配列の先頭側の表示データであるか否かを判定する(ステップS112)。
【0298】
このステップS112の処理では、ステップS109において取得した既存表示データが、例えば、図18(g)で示す表示データ再配列表の列L5における表示データのうち配列の先頭側の表示データ「設計図2」よりも配列の先頭側の表示データ「設計図1」であるか否かが判定される。
【0299】
ステップS109において取得した既存表示データが、表示データ再配列表の列L5における表示データのうち配列の最も先頭側の表示データよりも配列の先頭側の表示データでないと判定すると(ステップS112:No)、CPU66は、ステップS109において取得した既存表示データが、表示データ再配列表の列L5に含まれるか否かを判定する(ステップS113)。
【0300】
ステップS109において取得した既存表示データが、表示データ再配列表の列L5に含まれないと判定すると(ステップS113:No)、CPU66は、表示データ再配列表を、その取得した表示データまで拡張し(ステップS114)、ステップS115の処理に移行する。
【0301】
このステップS114の処理により、図18(g)に示す表示データ再配列表を拡張したものを図18(h)に示す。図18(h)に示すように、例えば、図18(g)に示す表示データ再配列表の列L5に含まれない表示データ「設計図9」が取得されると、列L5における末尾の表示データ「設計図7」に対して「設計図7」に連続する2つの表示データ「設計図8」及び「設計図9」が追加されると共に、列L6における末尾の表示データ「設計図10」に対して「設計図10」に連続する2つの表示データ「設計図11」及び「設計図12」が追加されることによって、表示データ再配列表が、取得した表示データ「設計図9」まで拡張される。なお、図18(h)では、説明の便宜上、表示データ再配列表における拡張部分を太字枠で示している。
【0302】
一方、ステップS109において取得した既存表示データが、表示データ再配列表における現在表示データの列L5に含まれると判定すると(ステップS113:Yes)、CPU66は、表示データ再配列表を拡張することなく、ステップS115の処理に移行する。
【0303】
ステップS115の処理では、CPU66は、ステップS109において取得した既存表示データに対応する更新用表示データを表示データ再配列表から抽出する。すなわち、CPU66は、表示データ再配列表における列L5と列L6とを比較対照して、取得した既存表示データに対応する更新用表示データを列L6から抽出する。なお、抽出した更新用表示データは、RAM68内の更新用表示データメモリ68cに記憶される。
【0304】
例えば、取得した既存表示データが「設計図4」である場合には、図18(g)に示す表示データ再配列表における列L5の表示データ「設計図4」に対応して、更新用表示データ「設計図6」が、列L6から抽出される。
【0305】
次に、CPU66は、表示データ再配列表の列L6から抽出した更新用表示データを書込コマンドと共に、ステップS109でアクセスした既存タグ装置10へ送信する(ステップS116)。
【0306】
次に、CPU66は、ステップS116において送信済みの更新用表示データを表示データ再配列表の列L6から削除する(ステップS117)。このステップS117では、送信済みの更新用表示データが表示データ再配列表から削除されると共に、RAM68内の更新用表示データメモリ68cに記憶された更新用表示データも削除される。
【0307】
次に、CPU66は、次の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出したか否かを判定し(ステップS118)、次の既存タグ装置10へのアクセスがあったと判定すると(ステップS118:Yes)、ステップS109の処理に戻り、次の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出しなくなるまで、ステップS109〜ステップS118の処理を繰り返し実行する。
【0308】
このステップS109〜ステップS118の処理が繰り返し実行されている場合には、すなわち、次の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出している場合には(ステップS118:Yes)、既存タグ装置10に通信装置50を順次アクセスすることにより、そのアクセスされる既存タグ装置10から表示データを順次取得し、表示データ再配列表から取得した表示データに対応する更新用表示データを抽出して、その抽出した更新用表示データをアクセスされる既存タグ装置10のそれぞれに送信することができる。
【0309】
この結果として、CPU66は、送信手段として、複数の既存タグ装置10のうち所定の規則に従った配列の先頭からN番目の既存表示データを表示している既存タグ装置10にアクセスした際に、その既存タグ装置10に、連続性を確保する複数の更新用表示データを配列順に並べたときに配列順の先頭側から数えてN個目となる更新用表示データを送信するようにしている。
【0310】
このようにすることで、複数の既存タグ装置10に対してランダムにアクセスした場合であっても、そのアクセスした既存タグ装置10に対して、連続性を確保する更新用表示データを確実に送信することができ、利便性を向上することができる。
【0311】
ステップS118の処理において、次の既存タグ装置10へのアクセス操作を検出していないと判定すると(ステップS118:No)、CPU66は、終了が選択されたか否かを判定する(ステップS119)。このステップS119の判定では、CPU66は、ディスプレイ52に「終了?」の表示を行い、表示データ再配列処理を終了するか否かの問い合わせを操作者に対して行う。そして、この表示を見た操作者がキーボード53の十字ボタン54や決定ボタン56を用いて問い合わせに対する応答を入力することにより、ステップS43の判定が行われる。
【0312】
終了が選択されていれば(ステップS119:Yes)、CPU66は、表示データ再配列処理を終了し、一方、終了が選択されていなければ(ステップS119:No)、CPU66は、ステップS118及びステップS119の処理を繰り返し実行する。
【0313】
この表示データ再配列処理により、所定の規則に従った配列で連続する複数の既存表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置10に対して挿入タグ装置10を挿入する際に、複数の既存タグ装置10の既存表示データと挿入表示データとを合せた複数の表示データ間で所定の規則に従った連続性が失われた場合であっても、挿入表示データと共に所定の規則に従った連続性を確保する更新用表示データを生成し、その生成した表示データを複数の既存タグ装置10の一部又は全部へ送信することができる。
【0314】
以上説明したように、第2実施形態のタグシステムによれば、通信装置50において、予め挿入表示データを特定した後に、複数の既存タグ装置10の既存表示データを変更して再配列するので、複数の既存タグ装置10の既存表示データを変更して再配列する際の通信装置50の制御負担を軽減することができる。
【0315】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0316】
例えば、上記実施形態における通信装置50をパーソナルコンピュータを用いて実現しても良い。
【0317】
また、上記実施形態では、タグ装置10のタグ装置用ディスプレイ12に電気泳動式を採用したが、タグ装置用ディスプレイ12として、バッテリを内蔵しない表示媒体であり、表示内容を消去して何回でも書き換え可能で、かつ、表示内容を長時間にわたり維持可能な不揮発性の表示装置であれば、電気泳動式以外の表示装置を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0318】
【図1】本発明の第1実施形態におけるタグシステムの構成を示した概略図である。
【図2】第1実施形態のタグ装置、及び通信装置の使用方法を説明するための図である。
【図3】第1実施形態のタグ装置、及び通信装置の内部構成を示した図である。
【図4】通信装置のCPUにより実行される機能選択処理を示したフローチャートである。
【図5】通信装置のCPUにより実行される表示データ再配列処理を示したフローチャートである。
【図6】通信装置のCPUにより実行される表示データ再配列処理を示したフローチャートである。
【図7】通信装置のCPUにより実行される表示データ再配列処理を示したフローチャートである。
【図8】通信装置のCPUにより実行される挿入表示データ送信処理を示したフローチャートである。
【図9】通信装置のRAM内で作成される表示データ再配列表の一例を示した図である。
【図10】タグ装置のタグ装置用CPUにより実行される起動処理を示したフローチャートである。
【図11】タグ装置のタグ装置用CPUにより実行される応答処理を示したフローチャートである。
【図12】第2実施形態のタグ装置、及び通信装置の使用方法を説明するための図である。
【図13】第2実施形態における通信装置のCPUにより実行される機能選択処理を示したフローチャートである。
【図14】第2実施形態における通信装置のCPUにより実行される挿入表示データ作成処理を示したフローチャートである。
【図15】第2実施形態における通信装置のCPUにより実行される表示データ再配列処理を示したフローチャートである。
【図16】第2実施形態における通信装置のCPUにより実行される表示データ再配列処理を示したフローチャートである。
【図17】第2実施形態における通信装置のCPUにより実行される表示データ再配列処理を示したフローチャートである。
【図18】第2実施形態における通信装置のRAM内で作成される表示データ再配列表の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0319】
1 タグシステム
10 タグ装置
11 タグ装置用アンテナ(受信手段)
12 タグ装置用ディスプレイ(表示手段)
50 通信装置
52 ディスプレイ
53 キーボード(設定手段)
66 CPU(挿入データ特定手段、送信手段、表示データ取得手段、データ変更手段、表示制御手段)
67 ROM
68 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した表示データに基づいた表示を行うタグ装置と通信可能に構成された通信装置において、
所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置のうち前記配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置を除く一部の既存タグ装置の表示データに対して前記所定の規則に従った配列で連続する表示データを挿入表示データとして特定する挿入データ特定手段と、
前記複数の既存タグ装置の表示データが前記挿入表示データと重複した表示データとならず前記挿入表示データと共に前記所定の規則に従った連続性を確保する表示データである更新用表示データを前記複数の既存タグ装置の一部又は全部へ送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記送信手段は、
前記複数の既存タグ装置のうち前記配列の先頭からN番目の表示データを表示している既存タグ装置にアクセスした際に、その既存タグ装置に、前記連続性を確保する複数の前記更新用表示データを前記配列順に並べたときに前記配列順の先頭側から数えてN個目となる更新用表示データを送信することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記挿入データ特定手段は、前記複数の既存タグ装置のうち一の既存タグ装置へのアクセス操作を検出したときに、当該アクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置の表示データに基づいて前記挿入表示データを特定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記挿入データ特定手段は、前記複数の既存タグ装置のうち同一の既存タグ装置へのアクセス操作を複数回検出したときに、当該アクセス操作によりアクセスされた既存タグ装置の表示データを含み当該表示データに対して所定の規則に従って連続する複数個の表示データ、又は、前記アクセスされた既存タグ装置の表示データに対して前記所定の規則に従って連続する複数個の表示データを前記挿入表示データとして特定する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置のうち前記配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置を除く一部の既存タグ装置の表示データに対して前記所定の規則に従った配列で連続する表示データの情報を入力する挿入情報入力手段を有し、
前記挿入データ特定手段は、前記挿入情報入力手段によって入力された表示データを挿入表示データとして特定する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記複数の既存タグ装置のうち一の既存タグ装置へアクセスして、当該既存タグ装置に表示されている表示データを取得する表示データ取得手段と、
前記表示データ取得手段によって取得した表示データの一部を変更するデータ変更手段と、を備え、
前記挿入データ特定手段は、前記データ変更手段によって変更された表示データを挿入表示データとして特定する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記送信手段は、前記複数の既存タグ装置のうち一の既存タグ装置へのアクセス操作を検出したときに、当該アクセス操作された既存タグ装置の表示データを変更する必要がないとき、当該タグ装置への前記更新用表示データの送信を行わないことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記所定の規則は、前記表示データを、設定された文字配列の先頭から順次配列された文字又は文字列の中から配列順に選択される文字又は文字列のデータを含む表示データとする規則であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記挿入表示データを表示させるタグ装置の全てに対する前記挿入表示データの送信が終了するまで、送信すべき挿入表示データがある旨の情報を表示手段に表示する表示制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1〜9のいずれか1項に記載の通信装置の前記各手段として機能させるプログラム。
【請求項11】
受信した表示データに基づいた表示を行う複数のタグ装置と当該複数のタグ装置と通信可能に構成された通信装置とを有するタグシステムにおいて、
前記通信装置は、
所定の規則に従った配列で連続する複数の表示データのそれぞれを表示している複数の既存タグ装置のうち前記配列の最後の表示データを表示している既存タグ装置を除く一部の既存タグ装置の表示データに対して前記所定の規則に従った配列で連続する表示データを挿入表示データとして特定する挿入データ特定手段と、
前記複数の既存タグ装置の表示データが前記挿入表示データと重複した表示データとならず前記挿入表示データと共に前記所定の規則に従った連続性を確保する表示データである更新用表示データを前記複数の既存タグ装置の一部又は全部へ送信する送信手段と、を備え、
前記タグ装置は、
前記通信装置から送信される更新用表示データを受信する受信手段と、
前記受信した更新用表示データに基づいた表示を行う表示手段と、を備えた
ことを特徴とするタグシステム。
【請求項12】
前記送信手段は、前記複数の既存タグ装置のうち前記配列の先頭からN番目の表示データを表示している既存タグ装置にアクセスした際に、その既存タグ装置に、前記連続性を確保する複数の前記更新用表示データを前記配列順に並べたときに前記配列順の先頭側から数えてN個目となる更新用表示データを送信することを特徴とする請求項11に記載のタグシステム。
【請求項13】
前記既存タグ装置の前記表示手段は、前記受信した表示データに基づいた表示を、前記受信手段で次の表示データを受信するまで継続する
ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載のタグシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−58900(P2010−58900A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225909(P2008−225909)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】