通信装置、送信方法および通信システム
【課題】シングルキャリア信号を時間周波数変換した周波数信号をサブキャリアに配置して送信する通信方式において、優れた伝送効率が得られる通信装置、送信方法および通信システムを提供する。
【解決手段】DFT−s−OFDM信号を送信する第1の通信装置であって、周波数信号を所定の数のセグメントにセグメント化し、そのセグメント毎にサブキャリアに割り当てるスペクトルマッピング部と、セグメント毎にサブキャリアに割り当てられ、生成されたDFT−s−OFDM信号を送信する送信部と、所定の数毎に、DFT−s−OFDM信号を送信する送信電力の低減量を決定する制御部とを備える。
【解決手段】DFT−s−OFDM信号を送信する第1の通信装置であって、周波数信号を所定の数のセグメントにセグメント化し、そのセグメント毎にサブキャリアに割り当てるスペクトルマッピング部と、セグメント毎にサブキャリアに割り当てられ、生成されたDFT−s−OFDM信号を送信する送信部と、所定の数毎に、DFT−s−OFDM信号を送信する送信電力の低減量を決定する制御部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、送信方法および通信システムに関する。
本願は、2008年4月28日に、日本に出願された特願2008−117759号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代移動体通信システムの研究が盛んに行われており、システムの周波数利用効率を高めるための方式として、各セルが同じ周波数帯域を使用することで各セルがシステムに割り当てられた帯域全体利用可能な1周波数繰り返しセルラシステムが提案されている。
下りリンク(基地局装置から移動局への通信)では、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)方式が最も有力な候補となっている。OFDMA方式は、情報データに対して64QAM(64-ary Quadrature Amplitude Modulation:64値直交振幅変調)やBPSK(Binary Phase Shift Keying:2相位相変調)など受信状況に応じて異なる変調方式をかけて通信を行うOFDM信号を用いて、時間軸と周波数軸で構成される無線リソースを複数の移動ユーザ装置で柔軟に割り当てて通信を行うシステムである。
【0003】
この場合、OFDM信号を使用するため、非常にPAPR(Peak to Average Power Ratio:ピーク対平均電力比)が大きくなり、ピーク電力が高くなることがある。高いピーク電力は、送信電力増幅機能に比較的余裕のある下りリンクの通信においては大きな問題とはならないが、送信電力増幅機能に余裕のない上りリンク(移動局から基地局装置への通信)では、増幅する際にピーク電力が増幅器(アンプ)の線形領域を超えるため、送信する信号に歪みが発生してしまい致命的な問題となってしまう。
そのため、上りリンク(移動局から基地局装置への通信)では、PAPRの低いシングルキャリア方式を基にした通信方式が望ましい。
【0004】
しかしながら、シングルキャリア方式を用いると、OFDMA方式のような時間軸と周波数軸を使った柔軟なリソースの割り当てが行えないという問題がある。これを解決する通信方式としてSC−ASA(Single Carrier - Adaptive Spectrum Allocation:シングルキャリア適応スペクトル割当、DFT−S−OFDM(Discrete Fourier Transform - Spread OFDM:離散フーリエ変換拡散直交周波数分割多重)とも称される)が提案されている(例えば、非特許文献1)。
【0005】
このような通信方法は、シングルキャリア通信方式と同様の手法を用いているため、ピーク対平均電力比PAPRは低くなる。また、OFDM信号のように、サイクリックプレフィックスCPを挿入することでブロック間干渉なくデータを処理することが可能となる(以下、サイクリックプレフィックスCPを挿入する間隔、即ち、離散フーリエ変換DFT(Discrete Fourier Transform)を行うデータ処理単位を「DFT−S−OFDMシンボル」という)。さらに、離散フーリエ変換DFTにより周波数波形を一旦作っているため、サブキャリア単位でのリソース制御が容易にできるといったメリットがある。
【0006】
図17A、図17Bは、SC−ASA方式の概念を説明する図である。図17Aは、送信スペクトルを表している。時間周波数変換により周波数信号に変換された元の送信データのスペクトルは、図17Aの左に示すグラフのように連続した周波数に配置されている。SC−ASA方式では、このスペクトルを、受信側での受信状況(受信品質)の良好なサブキャリアを選択して、図17Aの右に示すグラフのようにマッピングし直した後、送信する。図17Bの左に示すグラフは受信スペクトルを表しており、図17Bの右に示すグラフのように受信された周波数信号は元の送信データと同じ並びにデマッピングすることで元に戻すことができる。つまり、受信状況の良好な周波数を適応的に選択して伝送できるため、伝送特性が改善する。
【0007】
図18A、図18Bは、SC−ASA通信方式を適用して情報を伝送する送信局装置および受信局装置の構成を示す概略ブロック図である。図18Aの送信局装置では、送信ビット列は符号部1000により符号化され、符号化された送信ビットはインターリーブ部1001により並び替えられ、変調部1002により変調がなされる。変調部1002が変調した変調信号は、S/P(シリアル/パラレル)変換部1003において並列化された後にDFT部1004により周波数軸上の信号に変換される。その後、この周波数軸上の信号は、スペクトルマッピング部1005によりサブキャリアへマッピングされる。このとき、このサブキャリアへのマッピングは受信状況、例えば受信SNR(Signal to Noise Ratio;信号対雑音電力比)やSNIR(Signal to Noise Interference Ratio;信号対雑音干渉電力比)のよい周波数のサブキャリアが周波数に割り当てられるとともに、割り当てられないサブキャリアには0が入力される。
【0008】
次に、マッピングされた周波数軸上の送信信号はIDFT(逆離散フーリエ変換)部1006により時間軸の信号に変換され、P/S(パラレル/シリアル)変換部1007により時間軸の信号は直列化される。同時に、パイロット信号生成部1008により伝搬路の周波数特性を推定するためのパイロット信号が生成され、パイロット多重部1009においてP/S変換部1007により直列化されたデータ信号と多重される。多重された信号は、サイクリックプレフィックスCP(Cyclic Prefix)挿入部1010によりサイクリックプレフィックスCPを挿入される。サイクリックプレフィックスCPが挿入された信号は、D/A変換部1011によりアナログ信号に変換され、無線部1012により無線周波数にアップコンバートされ、各送信局の送信アンテナ1013から送信される。
【0009】
図18Bの受信局装置では、受信信号が、受信アンテナ1100により受信され、この受信信号は、無線部1101によりベースバンド信号にダウンコンバートされる。ダウンコンバートされた受信信号は、A/D変換部1102によりディジタル信号に変換される。次に、このディジタル信号は、CP除去部1103によりサイクリックプレフィックスCPを除去され、パイロット分離部1104により伝搬路特性を推定するためのパイロット信号とデータ信号が分離される。分離されたパイロット信号は伝搬路推定・雑音分散推定部1105により伝搬路の周波数特性と雑音の分散が計算される。
【0010】
推定された伝搬路の周波数特性は伝搬路特性デマッピング部1106により実際に伝送に使用した周波数特性のみを抽出する一方、離散周波数選択部1107により受信状況のよい離散周波数を選択する。このとき、スペクトル割当は各離散周波数の受信状況を計算し、利得の高いものから順番に使用する離散周波数を選択する。スペクトル割当情報生成部1108において決定されたスペクトル割当から次の伝送機会の割当情報信号が生成され、送信装置にフィードバックされる。
【0011】
一方で、分離されたデータ信号はS/P変換部1109により、サイクリックプレフィックスCPが除去されたディジタル信号は並列化される。並列化されたディジタル信号は、DFT部1110により、周波数軸の信号に変換され、スペクトルデマッピング部1111により、周波数軸の信号各々のサブキャリアを元の配置に戻すことで、スペクトルの並びを元の送信信号と同様にする。その後、等化部1112により伝搬路による歪みを補償する等化処理が施され、IDFT部1113により時間軸の信号に変換される。その後P/S変換部1114により直列化され、復調部1115により変調信号から符号ビット単位の信頼性(尤度)に復調される。最後に、符号ビット毎の尤度はデインターリーブ部1116により符号化された送信ビットの並びを元に戻し、復号部1117により送信局からの送られた信号の復号データがそれぞれ得られる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】眞嶋、三瓶、ダイナミックスペクトル制御を用いた広帯域シングルキャリア伝送方式に関する検討、RCS2006-233、2007年1月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述のSC−ASA通信方式においては、周波数信号のサブキャリアへの配置方法として、配置するサブキャリアが周波数方向に分散している分散配置と、周波数方向に連続している連続配置とがある。分散配置は、配置するサブキャリアを選択する際の自由度が高いため、伝送特性の良いサブキャリアを選択することができるが、ピーク対平均電力比PAPRが連続配置に比べて高くなるという特徴がある。連続配置は、配置するサブキャリアを選択する際に制限がかかるため、必ずしも最も伝送特性の良いサブキャリアを選択することができないが、ピーク対平均電力比PAPRは分散配置に比べて低くできるという特徴がある。このため、送信電力が大きいときには、連続配置を用い、送信電力が小さいときには、分散配置を用いるという方法があった。
【0014】
しかしながら、上述の送信電力により分散配置と連続配置とを切り替える方法においては、送信電力が大きいときに、ピーク対平均電力比PAPRの低い連続配置を用いることでピーク電力を下げるよりも、ピーク対平均電力比PAPRが高くてもサブキャリア選択の自由度が高い分散配置を用いながら平均送信電力を下げた方が伝送特性が良くなることがあるにもかかわらず、連続配置を用いてしまうというように、最も伝送効率が良好になるように周波数信号をサブキャリアへ配置することができないという問題があった。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、シングルキャリア信号を時間周波数変換した周波数信号をサブキャリアに配置して送信する通信方式において、優れた伝送効率が得られる通信装置、送信方法および通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1) この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の第1の態様は、DFT−s−OFDM信号を送信する第1の通信装置であって、周波数信号を所定の数のセグメントにセグメント化し、該セグメント毎にサブキャリアに割り当てるスペクトルマッピング部と、前記セグメント毎に前記サブキャリアに割り当てられ、生成されたDFT−s−OFDM信号を送信する送信部と、前記所定の数毎に、前記DFT−s−OFDM信号を送信する送信電力の低減量を決定する制御部とを備えることを特徴とする第1の通信装置である。
【0017】
(2) 本発明の第1の態様において、前記所定の数は、少なくとも1と2とを含むようにしても良い。
【0018】
(3) 本発明の第1の態様において、前記送信電力の低減量は、前記所定の数が1の場合よりも、前記所定の数が2以上の場合の方が大きくなるようにしても良い。
【0019】
(4) 本発明の第1の態様において、前記スペクトルマッピング部は、前記周波数信号を少なくとも2以上のセグメントにセグメント化した場合、少なくとも2つの前記セグメントをそれぞれ分散配置するようにしても良い。
【0020】
(5) 本発明の第1の態様において、前記制御部は、PAPR又はCMに基づいて、前記送信電力の低減量を決定するようにしても良い。
【0021】
(6) 本発明の第1の態様において、前記スペクトルマッピング部は、前記DFT−s−OFDM信号を受信する第2の通信装置から送信される割当情報に基づいて、前記周波数信号をサブキャリアに割り当てるようにしても良い。
【0022】
(7) 本発明の第2の態様は、周波数信号を所定の数のセグメントにセグメント化し、該セグメント毎にサブキャリアに割り当てるステップと、前記セグメント毎に前記サブキャリアに割り当てられ、生成されたDFT−s−OFDM信号を送信するステップと、
前記所定の数に基づいて、前記DFT−s−OFDM信号を送信する送信電力の低減量を決定するステップとを少なくとも含むことを特徴とする送信方法である。
【0023】
(8) 本発明の第3の態様は、第1の通信装置と第2の通信装置からなる通信システムであって、前記第2の通信装置は、周波数信号をサブキャリアに割り当てる割当情報を送信し、前記第1の通信装置は、前記第2の通信装置から送信された前記割当情報を受信し、前記周波数信号を所定の数のセグメントにセグメント化し、受信した前記割当情報に基づいて、該セグメント毎にサブキャリアに割り当て、DFT−s−OFDM信号を生成し、前記所定の数に基づいて前記DFT−s−OFDM信号を送信する送信電力の低減量を決定することを特徴とする通信システムである。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、所定のセグメントサイズと所定の平均送信電力との組合せである選択候補の各々について受信品質を算出し、この算出した受信品質を表す値に基づき、選択候補の中から送信の際に用いる選択候補を選択するので、優れた伝送効率が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の第1の実施形態による第1の通信装置100の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】同実施形態における第2の通信装置200の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】同実施形態におけるピーク対平均電力比PAPRの相補累積確率分布特性(C.C.D.F.:Complimentary Cumulative Distribution Function)を示す図である。
【図4A】同実施形態におけるセグメントサイズ1のセグメント化の概念を説明する図である。
【図4B】同実施形態におけるセグメントサイズ2のセグメント化の概念を説明する図である。
【図4C】同実施形態におけるセグメントサイズ4のセグメント化の概念を説明する図である。
【図4D】同実施形態におけるセグメントサイズ8のセグメント化の概念を説明する図である。
【図5】同実施形態における表1のセグメントサイズと、平均送信電力の低減量ΔPとの関係を説明する図である。
【図6】同実施形態における実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8の動作を説明するフローチャートである。
【図7】この発明の第2の実施形態によるユーザ数が「4」であり、セグメントサイズが「2」であるときの移動体通信システムの状態例を示す概念図である。
【図8】同実施形態における第2の通信装置200aの構成を示す概略ブロック図である。
【図9】同実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8aのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。
【図10】この発明の第3の実施形態による無線通信システムにおけるサブチャネルの概念を説明する図である。
【図11】同実施形態における第2の通信装置200bの構成を示す概略ブロック図である。
【図12】同実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8bのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。
【図13】この発明の第4の実施形態による第2の通信装置200cの構成を示す概略ブロック図である。
【図14】同実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8cのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。
【図15】この発明の第5の実施形態による実施形態における第2の通信装置200dの構成を示す概略ブロック図である。
【図16】同実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8dのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。
【図17A】従来のSC−ASA方式の送信スペクトルを表す図である。
【図17B】従来のSC−ASA方式の受信スペクトルを表す図である。
【図18A】従来のSC−ASA通信方式を適用して情報を伝送する送信局装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図18B】従来のSC−ASA通信方式を適用して情報を伝送する受信局装置の構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態における無線通信システムについて説明する。本実施形態における無線通信システムは、1つの第1の通信装置(他の無線通信装置)100と1つの第2の通信装置(無線通信装置)200とを有し、第1の通信装置100から第2の通信装置200への伝送方式がSC−ASA(Single Carrier - Adaptive Spectrum Allocation:シングルキャリア適応スペクトル割当)方式である。第1の通信装置100が送信に使用するサブキャリア数を使用サブキャリア数Nuとし、利用可能な帯域のサブキャリアの数を総サブキャリア数Ndとし、以降ではNd、Nuを用いて説明する。また、マルチキャリア方式としてOFDM方式を仮定するため、SC−ASA方式を本明細書中ではDFT−S−OFDM(Discrete Fourier Transform Spread Orthogonal Frequency Division Multiplex;離散フーリエ変換-拡散-直交周波数分割多重)と称する場合もある。以下に示す実施形態においては、特に断りのない限り、一般的にいわれる移動局(第1の通信装置)から基地局(第2の通信装置)への通信である上りリンクにSC−ASAを用いる場合について説明するが、本発明の対象とする通信は、これに限定されない。
【0027】
本実施形態は、1つのユーザ(第1の通信装置100)がSC−ASA方式で伝送する場合についての制御手法である。なお、本実施形態では、SC−ASA方式に送信する第1の通信装置100は一つなので、他の通信装置との競合を考慮せずに自由に使用する離散周波数を設定できる。このため、本実施形態では、第2の通信装置200がスペクトル割当(周波数信号のサブキャリアへの配置)を決定し、スペクトル割当情報を生成するが、スペクトル割当の決定およびスペクトル割当情報の生成は、第1の通信装置が行ってもよい。
【0028】
図1は、第1の通信装置100の構成を示す概略ブロック図である。第1の通信装置100は、符号部31、インターリーブ部32、変調部33、S/P(Serial/Parallel;シリアル/パラレル)変換部34、DFT(Discrete Fourier Transform;離散フーリエ変換)部35、スペクトルマッピング部36、IDFT(Inversed Discrete Fourier Transform;逆離散フーリエ変換)部37、P/S(Parallel/Serial;パラレル/シリアル)変換部38、パイロット多重部39、CP(Cyclic Prefix;サイクリックプレフィクス)挿入部40、D/A(Digital/Analogue)変換部41、無線部42、送信アンテナ43、パイロット信号生成部44、受信アンテナ45、受信部46、制御部47を具備する。
【0029】
符号部31は、第1の通信装置100に入力された送信ビット列を符号化する。インターリーブ部32は、この符号化された送信ビット列のビットの時間順を並び替える。変調部33は、並び替えられたビット列を変調して変調信号(シングルキャリア信号)を生成する。S/P変換部34は、変調部33が変調した変調信号を、並列化する。DFT部35は、並列化された変調信号を離散フーリエ変換(時間周波数変換)して、周波数軸上の信号である周波数信号に変換する。スペクトルマッピング部(マッピング部)36は、この周波数信号を、制御部47からのスペクトル割当情報に従い、サブキャリアへ配置(マッピング、スペクトル割り当て)する。このとき、スペクトルマッピング部36は、周波数信号を配置しないサブキャリアには0を入力する。
【0030】
IDFT部37は、マッピングされた周波数信号を、逆離散フーリエ変換して時間軸上の信号に変換する。P/S変換部38は、この時間軸上の信号を直列化する。パイロット信号生成部44は、伝搬路の周波数特性を推定するためのパイロット信号を生成する。パイロット多重部39は、P/S変換部38により直列化された時間軸上の信号に多重する。CP挿入部40は、多重された信号に、サイクリックプレフィックスCP(Cyclic Prefix)を挿入する。D/A変換部41は、サイクリックプレフィックスCPが挿入された信号を、アナログ信号に変換する。無線部(送信部)42は、このアナログ信号を、無線周波数にアップコンバートし、制御部47からの送信電力情報に基づき、該送信電力情報が表す平均送信電力に増幅し、送信アンテナ43を介して第2の通信装置200に送信する。
【0031】
受信部(選択結果受信部)46は、受信アンテナ45を介して、第2の通信装置200からの信号を受信し、受信した信号中のスペクトル割当情報および送信電力情報を含む制御データを制御部47に出力し、第2の通信装置200から伝送されたデータの復号ビット列を外部に出力する。制御部47は、受信部46から制御データを受けて、該制御データ内のスペクトル割当情報をスペクトルマッピング部36に出力し、送信電力情報を無線部42に出力する。
【0032】
図2は、本実施形態における第2の通信装置200の構成を示す概略ブロック図である。第2の通信装置200は、受信アンテナ1、無線部2、A/D変換部3、CP除去部4、パイロット分離部5、伝搬路特性・雑音分散推定部6、伝搬路特性デマッピング部7、送信電力・スペクトル割当決定部8、選択候補記憶部9、制御情報生成部10、S/P変換部11、DFT部12、スペクトルデマッピング部13、等化部14、IDFT部15、P/S変換部16、復調部17、デインターリーブ部18、復号部19、送信部20、送信アンテナ21を具備する。
【0033】
無線部2は、第1の通信装置からの受信信号を、受信アンテナ1を介して受信し、この受信信号をダウンコンバートしてベースバンド信号を生成する。A/D変換部3は、このベースバンド信号をディジタル信号に変換する。次に、CP除去部4は、このディジタル信号からサイクリックプレフィックスCPを除去する。パイロット分離部1104は、サイクリックプレフィックスCPが除去されたディジタル信号から、伝搬路特性を推定するためのパイロット信号とデータ信号を分離する。伝搬路推定・雑音分散推定部6は、分離されたパイロット信号から、伝搬路の周波数特性と雑音の分散を計算する。伝搬路特性デマッピング部7は、計算された伝搬路の周波数特性から、送信電力・スペクトル割当決定部8から指定されたサブキャリア、すなわち実際に伝送に使用したサブキャリアに関する伝搬路の周波数特性のみを抽出する。
【0034】
一方、S/P変換部11は、パイロット分離部5により分離されたデータ信号を、並列化する。DFT部12は、並列化されたデータ信号を離散フーリエ変換して、周波数信号を生成する。スペクトルデマッピング部13は、送信電力・スペクトル割当決定部8から指定されたサブキャリア、すなわち実際に伝送に使用したサブキャリアの周波数信号を抽出し、元の配置に戻すことで、スペクトルの並びを元の送信信号(第1の通信装置100のDFT部35の出力信号)と同様にする。等化部14は、スペクトルの並びを元に戻されたデータ信号に対する伝搬路による歪みを補償する等化処理を、伝搬路特性デマッピング部7から受けた実際に伝送に使用したサブキャリアの周波数特性と分散を用いて行う。
本実施形態では、等化処理として最小平均自乗誤差(MMSE:Minimum Mean Square Error)基準型の等化処理が施されるものとして説明する。
【0035】
IDFT部15は、等化部14により等化処理されたデータ信号を逆離散フーリエ変換して、時間軸上の信号に変換する。P/S変換部16は、この時間軸上の信号を直列化する。復調部17は、直列化された時間軸上の信号を復調して、符号ビット単位の尤度(信頼性)を算出する。デインターリーブ部18は、第1の通信装置100のインターリーブ部32の逆操作をして、符号ビット単位の尤度の時間順を元に戻す。復号部19は、時間順を戻された符号ビット単位の尤度を復号処理して、復号ビット列を生成し、外部に出力する。
【0036】
送信電力・スペクトル割当決定部(選択部)8は、所定のセグメントサイズと平均送信電力の低減量ΔPとの組合せである選択候補の各々について、その選択候補のセグメントサイズに周波数信号がセグメント化された配置と平均送信電力の低減量ΔPとを用いたときの第2の通信装置200における受信品質を表す値を算出する。ここでセグメントとは、周波数信号を所定の数であるセグメントサイズ毎にセグメント化したものであり、セグメントを構成する周波数信号は連続したサブキャリアに配置される。平均送信電力の低減量ΔPとは、選択候補の中で最も大きいセグメントサイズ、すなわち最も平均送信電力の大きいセグメントサイズで第1の通信装置100が送信する際の平均送信電力に対する低減量ΔPである。
【0037】
なお、送信電力・スペクトル割当決定部8は、選択候補の各々について受信品質を算出する際に用いる前記周波数信号のサブキャリアへの配置を、該選択候補のセグメントサイズにおける周波数信号の配置であって、配置可能なサブキャリアの中で最も受信状態の良好なサブキャリアへの配置とする。また、選択候補については、選択候補記憶部9により、予め決められた選択候補が記憶されている。
【0038】
送信電力・スペクトル割当決定部8は、上述の算出した受信品質を表す値に基づき、選択候補の中から前記第1の通信装置による送信の際に用いる選択候補を選択する。本実施形態では、送信電力・スペクトル割当決定部8は、算出した受信品質が最も良い選択候補を、送信の際に用いる選択候補として選択する。なお、最も受信品質が良い選択候補ではなく、予め決められた受信品質を満たす選択候補のうちのいずれかを選択するようにしてもよい。
【0039】
選択候補記憶部9は、後述する所定のセグメントサイズと所定の平均送信電力を表す情報である平均送信電力の低減量ΔPとの組合せである選択候補を記憶している。制御情報生成部10は、送信電力・スペクトル割当決定部9が選択した選択候補の受信品質算出の際に用いた配置を表すスペクトル割当情報と、選択した選択候補の平均送信電力の低減量ΔP(平均送信電力)を表す送信電力情報とを含む制御情報を生成する。送信部(選択結果送信部)20は、制御情報生成部10が生成した制御情報および外部から入力された伝送データである送信ビット列とを、送信アンテナ21を介して、第1の通信装置100に送信する。
【0040】
図3は、ピーク対平均電力比PAPRの相補累積確率分布特性(C.C.D.F.:Complimentary Cumulative Distribution Function)を示す図である。同図において、横軸はピーク対平均電力比PAPRをデシベルでしめす。縦軸は、相補累積確率C.C.D.F.であり、累積確率分布特性(C.D.F.:Cumulative Distribution Function)の値を1から減算したものであり、ピーク対平均電力比PAPRが横軸の値より大きくなる確率を表している。即ち、同図において左に特性が現れるほどピーク対平均電力比PAPRが低く、ピーク対平均電力比PAPR特性としては良好であることを意味している。なお、図3は、使用サブキャリア数Nu=32、総サブキャリア数Nd=64としたときのPAPRの相補累積確率分布特性を示す。
【0041】
図3にセグメントサイズ1のときのC.C.D.F特性であるグラフL1、セグメントサイズ2のときのC.C.D.F特性であるグラフL2、セグメントサイズ4のときのC.C.D.F特性であるグラフL3、セグメントサイズ8のときのC.C.D.F特性であるグラフL4、セグメントサイズ16のときのC.C.D.F特性であるグラフL5、セグメントサイズ32のときのC.C.D.F特性であるグラフL6を示すように、セグメントサイズが大きくなるほど、グラフは左に寄っており、ピーク対平均電力比PAPR特性が良好であることがわかる。
【0042】
図4A、図4B、図4C、図4Dは、セグメント化の概念を説明する図である。同図では、簡単のため使用サブキャリア数を8とし、セグメントサイズが1、2、4、8の場合をそれぞれ図4A、図4B、図4C、図4Dに示している。例えば、図4Cに示されているセグメントサイズ4の場合、4サブキャリア毎にセグメント化することにより生成される2セグメントを受信状況の良好な離散周波数帯にセグメント内のサブキャリアのみを連続配置し、セグメント単位に分散配置している。
【0043】
【表1】
【0044】
表1は、選択候補記憶部9が記憶する選択候補であるセグメントサイズと送信電力の差分との組合せの例を示す表である。ここで、選択候補の数は、取り得るセグメントサイズの数となるので、膨大な数とはなりにくいため、選択候補記憶部9が全ての選択候補を記憶しておき、送信電力・スペクトル割当決定部8は選択候補記憶部9からこれらの情報を取得する。表1に示す選択候補は、図3に示すピーク対平均電力比PAPR特性に基づき決められた、第1の通信装置100が信号を送信する際の送信電力のピーク電力が予め決められた閾値を越えない確率が所定の値であるセグメントサイズと平均送信電力の低減量ΔPとの組合せである。ここで、予め決められた閾値は、第1の通信装置100における送信信号を送信電力に増幅する増幅器(アンプ)の線形領域の限界電力である。
【0045】
例えば、上述のピーク電力が閾値を越えない確率が99%のときは、ピーク対平均電力比PAPRの相補累積確率分布特性C.C.D.F.が0.01、すなわち99%の確率で発生するピーク対平均電力比PAPRを考慮し、セグメントサイズ32を基準とする送信電力に対して、その他のセグメントサイズではどの程度電力を低減すれば、ピーク電力が同じになるかを示す値である平均送信電力の低減量ΔPが各セグメントサイズに対応付けて格納されている。すなわち、セグメントサイズが「16」のときは、セグメントサイズが「32」のときよりも平均送信電力を「0.3dB」低減し、セグメントサイズが「8」のどきは、セグメントサイズが「32」のときよりも平均送信電力を「1.1dB」低減することを示している。なお、表1に示す例は、使用サブキャリアNu=32の場合のセグメントサイズに対する平均送信電力の低減量ΔPである。また、同表は図3のC.C.D.F.=0.01即ち99%値のピーク対平均電力比PAPRを用いて算出されている。
【0046】
図5は、表1のセグメントサイズと、平均送信電力の低減量ΔPとの関係を説明する図である。図5に示す2つのグラフは、横軸が時間[s]、縦軸が送信電力[dBm]である。そして、左のグラフG1は、セグメントサイズ32かつ平均送信電力AVG1のときのグラフであり、右のグラフG2は、セグメントサイズ16かつ平均送信電力AVG2のときのグラフである。また、ピーク電力P1は、予め決められた閾値であり、第1の通信装置100における送信信号を送信電力に増幅する増幅器の線形領域の限界電力である。
図5に示すように左のグラフG1および右のグラフG2の最大点は、ピーク電力P1となっているので、平均送信電力AVG1は、セグメントサイズ32のときにピーク電力がP1となる平均送信電力の値であり、平均送信電力AVG2は、セグメントサイズ16のときにピーク電力がP1となる平均送信電力の値である。そして、表1においてセグメントサイズ「16」と対応付けられている送信電力の低減量ΔP「0.3」は、図5に示すΔP、すなわち平均送信電力AVG1から平均送信電力AVG2への低減量である。
【0047】
なお、本実施形態では、選択候補記憶部9は、セグメントサイズと、平均送信電力の低減量ΔPとを対応付けて記憶するとして説明したが、セグメントサイズと対応づけて記憶する値は、ピーク電力が予め決められた閾値を越えないようにするための平均送信電力を表す値であればよく、平均送信電力そのものの値であってもよいし、平均送信電力の信号とするための増幅器の増幅率であってもよいし、増幅率の低減量(差分)あるいは比であってもよい。
また、本実施形態では、送信電力のピーク電力を示す指標としてピーク対平均電力比PAPRを用いるとして説明したが、CM(Cubic Metric)などピーク電力を示す他の指標を用いてもよい。
【0048】
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8によるセグメントサイズの決定とスペクトル割当の決定法について説明する。まず、セグメントサイズの各々について、該セグメントサイズのセグメント単位で受信状況の良好な周波数を選択し、割当を暫定的に選択する。
次に、各セグメントサイズの暫定的な割当について式(1)で表される等化後の受信品質Qを計算する。
【0049】
【数1】
【0050】
式(1)において、受信品質Qは送信電力の低減量を考慮したMMSE基準型の周波数領域等化処理の後の受信信号雑音比、ΔPは表1で設定されるセグメントサイズ毎の送信電力の低減量である。また、μは暫定的に選択した離散周波数における伝搬路の周波数特性と雑音の分散を用いて式(2)で表される値である。
【0051】
【数2】
【0052】
ただし、Ξ(k)は第1の通信装置100のスペクトルマッピング部36(図1)によるマッピング前のk番目の周波数信号が割り当てられる周波数(サブキャリア)の伝搬路利得(複素数)であり、σ2は伝搬路特性・雑音分散推定部6で推定された雑音の分散値(実数)であり、これは受信信号雑音比の逆数と置き換えてもよい。例えば伝搬路特性に関して、マッピング前の2番目の周波数信号が5番目のサブキャリアにマッピングされる場合、Ξ(2)は割当可能な伝搬路の5番目の伝搬路(サブキャリア)の利得を表している。
【0053】
式(1)、(2)により全てのセグメントサイズで受信品質Qを計算し、最も受信品質Qの値が高いセグメントサイズとスペクトル割当の組み合わせを次の伝送機会におけるスペクトル割当情報とし、該セグメントサイズと対応付けて選択候補記憶部9が記憶する送信電力の低減量ΔPを送信電力情報とする。
このように、ピーク電力が第1の通信装置100における増幅器の線形領域を超えないような、セグメントサイズと平均電力を表す情報との組合せを選択候補として選択候補記憶部9が予め記憶しており、送信電力・スペクトル割当決定部8は、これらの選択候補の中から受信品質Qが良好なものを選択するので、セグメントサイズを大きくすることによるピーク対平均電力比PAPR特性の改善効果による送信電力の増大と、セグメントサイズを小さくすることによる伝送特性の改善量のトレードオフを最適化して、優れた伝送効率を得ることができる。
【0054】
なお、本実施形態では、上述のように、第2の通信装置200の等化部14(図2)は、最小平均自乗誤差MMSE基準型の等化処理を行い、送信電力・スペクトル割当決定部8は、最小平均自乗誤差MMSE基準型の等化処理を前提として、式(1)を用いて受信品質Qを算出するとして説明した。しかし、等化部14がターボ等化技術に代表される繰り返しによる等化を行う第2の通信装置200については、次式(3)を用いることで受信品質Qが得られる。
【0055】
【数3】
【0056】
図6は、本実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8の動作を説明するフローチャートである。まず、ステップS1において、送信電力・スペクトル割当決定部8は、初期値として使用サブキャリアNuをセグメントサイズとし、ステップS2においてそのセグメントサイズの制限下で最も伝搬路利得の良いサブキャリアに周波数信号を配置するスペクトル割り当てを暫定的に行う。次に、ステップS3において、送信電力・スペクトル割当決定部8は、式(1)に基づいて、ステップS2において暫定的に行ったスペクトル割り当てにおける受信品質Qを計算する。次に、ステップS4において、送信電力・スペクトル割当決定部8は、セグメントサイズが1かどうかを判定し、セグメントサイズが1でないと判定したときは、ステップS5において現在のセグメントサイズとスペクトル割当情報と受信品質Qの値を保存する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8は、ステップS6においてセグメントサイズを半分にし、再びステップS2に戻り、これをステップS4においてセグメントサイズが1であると判定するまで繰り返す。
【0057】
一方、ステップS4においてセグメントサイズが1であると判定したときは、送信電力・スペクトル割当決定部8は、ステップS5で保存した各セグメントサイズに対する受信品質Qの値をセグメントサイズ1の受信品質Qの値まで含めて比較し、最も受信品質Qの値が大きいセグメントサイズとそれに対応する送信電力、スペクトル割当を制御情報生成部10に出力し、終了する。
【0058】
なお、ここでは第2の通信装置200でセグメントサイズ、送信電力、スペクトル割当を決定したが、伝搬路特性の情報をフィードバックする場合には、第1の通信装置100が選択候補記憶部9を備え、第1の通信装置100が割り当てを決定しても本質的には同じであるので、第1の通信装置100が行っても構わない。また、本実施形態ではMMSE基準型の周波数領域等化を適用する例を示したが、ZF(Zero Forcing)など他の周波数領域等化においても受信品質は計算可能である。例えば、ZFの場合には、式(1)で表される受信品質Qの算出には次の式(4)を用いる。
【0059】
【数4】
【0060】
[第2の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態における無線通信システムである移動体通信システムについて説明する。第1の実施形態では第1の通信装置100の数(以下、「ユーザ数」という)が1であったが、本実施形態ではユーザ数が複数、すなわち移動局装置である第1の通信装置100が複数存在し、基地局装置である第2の通信装置200aと通信する移動体通信システムの場合について説明する。なお、本実施形態の移動体通信システムは、セルラシステムである。
【0061】
第2の通信装置200aは、第2の通信装置200aからより遠い(減衰の大きい)第1の通信装置100から順にサブキャリアの割り当てを行う。なお、第1の実施形態では、スペクトル割当を決定するのは第1の通信装置100でも第2の通信装置200でも良かったが、本実施形態のようにマルチユーザの場合は、基地局である第2の通信装置200aがスペクトル割当を制御するため、第2の通信装置200aが全ての第1の通信装置100のスペクトル割当を決定する。なお、第2の通信装置200aがスペクトル割当情報を送信する代わりに、全ての第1の通信装置100の伝搬路特性に関する情報を各第1の通信装置100に送信し、全ての第1の通信装置100がスペクトル割当を同一の規則で行うようにすることで、第1の通信装置100において、スペクトル割当を行うようにしてもよい。
【0062】
図7は、本実施形態において、ユーザ数が「4」であり、セグメントサイズが「2」であるときの移動体通信システムの状態例を示す概念図である。同図において、T101は基地局である第2の通信装置200a、T102〜T105は同時に信号を送信しており、移動局である第1の通信装置100を表している。この場合、各第1の通信装置100が送信する信号は、第2の通信装置200aのスペクトル割当により、周波数軸上で重ならないように配置されており、空間多重される。このとき最も送信電力が高くなるT102の第1の通信装置100のセグメントサイズとスペクトル割当を、第2の通信装置200aは、最初に決定する。以降順に送信電力の高い順にスペクトル割当を決定する。これは、セグメントサイズが小さいほど伝送特性の良いサブキャリアを選択することが可能であり、また、送信電力の最も高いユーザと同じセグメントサイズ、すなわち同じピーク対平均電力比PAPRであっても送信電力が低ければ、ピーク電力は最も送信電力の高いユーザより低くなるためである。
【0063】
図8は、本実施形態における第2の通信装置200aの構成を示す概略ブロック図である。第2の通信装置200aは、受信アンテナ1、無線部2、A/D変換部3、CP除去部4、パイロット分離部5、伝搬路特性・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8a、選択候補記憶部9、制御情報生成部10a、S/P変換部11、DFT部12、スペクトルデマッピング部13a、複数のユーザ毎信号処理部22a、送信部20、送信アンテナ21を具備する。ユーザ毎信号処理部22aは、等化部14、IDFT部15、P/S変換部16、復調部17、デインターリーブ部18、復号部19を具備する。
【0064】
図8において図2の各部に対応する部分には同一の符号(1〜5、9、11、12、14〜21)を付け、その説明を省略する。伝搬路特性・雑音分散推定部(測定部)6aは、各第1の通信装置100から送信された信号からパイロット分離部5により分離されたパイロット信号に基づき、全ての第1の通信装置100について、伝搬路の周波数特性と雑音の分散を算出する、また、全ての第1の通信装置100について伝搬路の周波数特性あるいは距離減衰から減衰量を算出する。伝搬路特性デマッピング部7aは、計算された伝搬路の周波数特性から、第1の通信装置100の各々について送信電力・スペクトル割当決定部8aから指定されたサブキャリア、すなわち実際に伝送に使用したサブキャリアに関する伝搬路の周波数特性のみを抽出する。伝搬路特性デマッピング部7aは、抽出した第1の通信装置100の各々についての伝搬路の周波数特性を、ユーザ毎信号処理部22aのうち、信号処理を担当している第1の通信装置100が一致するユーザ毎信号処理部22aの等化部14に、伝搬路の周波数特性を出力する。
【0065】
スペクトルデマッピング部13aは、送信電力・スペクトル割当決定部8aから第1の通信装置100の各々について指定されたサブキャリア、すなわち実際に伝送に使用したサブキャリアの周波数信号を抽出し、元の配置に戻すことで、スペクトルの並びを元の送信信号と同様にする。そして、スペクトルデマッピング部13aは、スペクトルの並びを元の送信信号と同様にした第1の通信装置100の各々の周波数信号を、信号処理を担当している第1の通信装置100が一致するユーザ毎信号処理部22aの等化部14に出力する。ユーザ毎信号処理部22aの各々は、それぞれ担当する第1の通信装置100の周波数信号と、伝搬路の周波数特性とを、スペクトルデマッピング部13aと伝搬路特性デマッピング部7aとから入力され、周波数信号を伝搬路の周波数特性に基づき等化処理し、さらに逆フーリエ変換、パラレル/シリアル変換、復調、デインターリーブ、復号して、復号ビット列を外部に出力する。
【0066】
送信電力・スペクトル割当決定部8a(選択部)は、伝搬路特性・雑音分散推定部6aから受けた減衰量が最も大きい第1の通信装置100の平均送信電力が第1の通信装置100の予め決められた最大送信電力となり、かつ、第2の通信装置200aにおける受信電力が全ての第1の通信装置100について同じになるように、算出した減衰量に基づき、第1の通信装置100の各々の送信電力を決定し、送信電力が高い順に第1の通信装置100をソートする。
【0067】
このとき、伝搬路の周波数特性と距離減衰の推定法としては、先に伝搬路特性・雑音分散推定部6aにて説明したようにしてもよいし、例えば、伝搬路の周波数特性における利得を伝搬路推定用のパイロット信号から測定し、距離減衰に関しては従来のセルラシステムなどで用いられている第1の通信装置100から第2の通信装置200aへの信号の受信電力から計算する方法を用いてもよい。
【0068】
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、送信電力が最も高い第1の通信装置100に対しては実施形態1における送信電力・スペクトル割当決定部8と同様の手法によりセグメントサイズとスペクトル割当を決定する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、2番目に送信電力の高い第1の通信装置100を選択し、この選択した第1の通信装置100に対して、すでにスペクトル割当がなされている第1の通信装置100が使用しているサブキャリア(離散周波数)を選択可能なサブキャリアから外した上で、選択可能なサブキャリアから最初にスペクトル割当が設定された第1の通信装置100と同じセグメントサイズでスペクトル割当を行う。
【0069】
以下同様にして、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、送信電力の高い第1の通信装置100から順に、スペクトル割り当てを行う。なお、このとき最大送信電力の第1の通信装置100と同じセグメントサイズを確保できない場合には、セグメントサイズを小さくしてスペクトル割り当てを行っても良い。また、セグメントサイズを小さくしたくない場合には割当可能な離散周波数帯域を最初に設定されたセグメントサイズ毎にサブチャネル化し、サブチャネルに各セグメントを割り当てるという制限を設けることで、セグメントサイズと同じまたは小さい空き離散周波数帯域が発生しないようにしてもよい。このように選択された第1の通信装置100の各々について、制御情報生成部10aは、スペクトル割当情報を通知する信号を生成し、生成した信号を、送信部20により第1の通信装置100に通知する。
【0070】
図9は、本実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8aのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。まず、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、ステップS11において、推定された伝搬路特性あるいは距離減衰などから、第1の通信装置100の各々について減衰量を算出し、該減衰量に応じて決めた平均送信電力の高い順番に第1の通信装置100をソートしたリストを生成する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、ステップS12において、スペクトル未割当の第1の通信装置100の中から最も平均送信電力が大きい第1の通信装置100のセグメントサイズ(および送信電力の低減量)とスペクトル割当を決定する。このステップS12におけるセグメントサイズとスペクトル割当は、第1の実施形態における図6のステップS1〜ステップS7と同様の処理により行われる。そして、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、スペクトル割当を決定した第1の通信装置100を、ステップS11にて生成したリストから除く。
【0071】
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、ステップS13において、上述のリストの最上位の第1の通信装置100、すなわちスペクトル未割当の第1の通信装置100の中で最も送信電力が高い第1の通信装置100を選択する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、ステップS14において、割当可能な離散周波数から現在のセグメントサイズで最良の受信品質Qが得られるような割当を、ステップS13にて選択した第1の通信装置100に対して行う。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、ステップS15において、ステップS14でのセグメント単位でのスペクトル割当が正常に実施できたか否か判定する。
【0072】
スペクトル割当が正常にできなかったとステップS15にて判定したときは、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、ステップS16に遷移して、セグメントサイズを半分にして再びステップS14に戻り、ステップS13にて選択した第1の通信装置100に対して、ステップS16にて半分にしたセグメントサイズでスペクトル割当を行なう。
【0073】
一方、スペクトル割当が正常にできたとステップS15にて判定したときは、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、ステップS17に遷移して、ステップS14の処理結果のスペクトル割当に決定する。次に、ステップS18において、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、スペクトル割当された離散周波数を選択可能な離散周波数から外し、スペクトル割当された第1の通信装置100をスペクトル未割当のリストから外す。その後、ステップS19において、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、スペクトル未割当の第1の通信装置100がリストに残っているか否かを判定する。残っているとステップS19にて判定したときは、ステップS13に遷移して、以降の処理を繰り返す。一方、残っていないとステップS19にて判定したとき、すなわち全ての第1の通信装置100についてスペクトル割当が完了したときは、スペクトル割当処理を終了する。
【0074】
このように、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、複数の第1の通信装置100のうち、もっとも減衰量が多く、最大の平均送信電力で送信する第1の通信装置100については、第1の実施形態と同様にして、平均送信電力、セグメントサイズおよびスペクトル割当を決定し、その他の第1の通信装置100については、減衰量に応じた平均送信電力にするとともに、セグメントサイズが同じか小さくなるようにして、セグメントサイズおよびスペクトル割当を決定するようにしたので、第1の通信装置100を複数有する無線通信システムにおいても、第1の実施形態と同様に。優れた伝送効率を得ることができる。
【0075】
[第3の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第3の実施形態における無線通信システムである移動体通信システムについて説明する。第3の実施形態における無線通信システムは、複数の移動局装置である第1の通信装置100と、基地局装置である第2の通信装置200bとを有する移動体通信システムである。本実施形態の無線通信システムは、最も平均送信電力の大きい第1の通信装置100からセグメントサイズを決定する点は、第2の実施形態における無線通信システムと同じだが、送信電力・スペクトル割当決定部8bが、第1の通信装置100の各々についてスペクトル割当を行う際に、スペクトル割当可能な周波数帯域をセグメントサイズ毎にサブチャネル化し、セグメントをこのサブチャネルに配置する点が異なる。
【0076】
図10は、本実施形態の無線通信システムにおけるサブチャネルの概念を説明する図である。同図は4サブキャリアを1セグメントとする場合のサブチャネルの概念を示している。同図に示されるように、割当可能な帯域全体をセグメントサイズ(4サブキャリア)毎に分割したサブチャネル(Sub1〜Sub8)に、セグメント化されたサブキャリアを配置する(Sub2、Sub4、Sub7)。この処理をセグメント化されうる全てのセグメントサイズで行い、最も受信品質Qが大きいセグメントサイズとスペクトル割当を選択する。
【0077】
図11は、本実施形態における第2の通信装置200bの構成を示す概略ブロック図である。第2の通信装置200bは、受信アンテナ1、無線部2、A/D変換部3、CP除去部4、パイロット分離部5、伝搬路特性・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8b、選択候補記憶部9、制御情報生成部10a、S/P変換部11、DFT部12、スペクトルデマッピング部13a、複数のユーザ毎信号処理部22a、送信部20、送信アンテナ21を具備する。ユーザ毎信号処理部22aは、等化部14、IDFT部15、P/S変換部16、復調部17、デインターリーブ部18、復号部19を具備する。図11において図8の各部に対応する部分には同一の符号(1〜5、6a、7a、9、10a、11、12、13a、14〜21、22a)を付け、その説明を省略する。
【0078】
送信電力・スペクトル割当決定部8bは、第1の通信装置100の各々についてスペクトル割当を行う際に、割当可能な周波数帯域全体をセグメントサイズ毎に分割したサブチャネルを単位とし、このサブチャネルに対してセグメント化されたサブキャリアを配置させる点のみが、第2の実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8a(図8)と異なる。ここで用いるセグメントサイズは、平均送信電力が最大の第1の通信装置100に対して決めたセグメントサイズである。
【0079】
図12は、本実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8bのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。第2の実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8aとの違いは、セグメントをサブキャリアに割り当てるスペクトル割当の際に、セグメントを配置する位置をサブキャリア単位からサブチャネル単位に変更した点と、セグメントサイズを小さくするステップがない点である。
【0080】
まず、送信電力・スペクトル割当決定部8bは、ステップS21において、推定された伝搬路特性あるいは距離減衰などから、第1の通信装置100の各々について減衰量を算出し、該減衰量に応じて決めた平均送信電力の高い順番に第1の通信装置100をソートしたスペクトル未割当のリストを生成する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8bは、ステップS22において、スペクトル未割当のリストの最上位の第1の通信装置100、すなわち平均送信電力が最も大きい第1の通信装置100のセグメントサイズ(および送信電力の低減量)とスペクトル割当を決定する。このステップS22におけるセグメントサイズとスペクトル割当は、第1の実施形態における図6のステップS1〜ステップS7と同様の処理により行われる。ただし、本実施形態のステップS22は、ステップS1〜S7と異なり、スペクトル割当の際に、セグメントを配置する位置がサブキャリア単位に限定されている。そして、送信電力・スペクトル割当決定部8bは、セグメントが配置されたサブチャネル、すなわち選択されたサブチャネルを選択可能なサブチャネルから外すとともに、スペクトル割当を決定した第1の通信装置100を、ステップS21にて生成したスペクトル未割当のリストから除く。
【0081】
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8bは、ステップS23において、上述のスペクトル未割当のリストの最上位の第1の通信装置100、すなわちスペクトル未割当の第1の通信装置100の中で最も送信電力が高い第1の通信装置100を選択する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8bは、ステップS24において、ステップS22にて決定したスペクトルサイズを用いて、選択可能なサブチャネルの中から最良の受信品質Qが得られるようなサブチャネルへのスペクトル割当を、ステップS23にて選択した第1の通信装置100に対して行う。
【0082】
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8bは、ステップS25において、ステップS21で生成したスペクトル未割当のリストから最上位の第1の通信装置100、すなわちステップS24にてスペクトル割当を行った第1の通信装置100を外し、選択されたサブチャネルも選択可能なサブチャネルから外す。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8bは、ステップS26において、スペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っているか否かにより、全ての第1の通信装置100のスペクトル割当が完了しているかどうかを判定し、完了していない、すなわちスペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っていると判定したときは、ステップS23に戻って、以降の処理を繰り返す。一方、ステップS26にて全ての第1の通信装置100の割当が完了している、すなわちスペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っていないと判定したときは、スペクトル割当処理を終了する。
【0083】
なお、本実施形態では、全ての第1の通信装置100に対して、セグメントサイズを同一にしてスペクトル割当(スケジューリング)がなされるため、スケジューリングの公平性の観点から、サブチャネル単位で順番にサブキャリアを第1の通信装置100に割り当ててもよい。例えば、使用サブキャリア数Nu=16、セグメントサイズS=4の場合、各第1の通信装置100に対して1サブチャネルの割当を順番に行うことを使用サブキャリア数NuをセグメントサイズSで割った4回繰り返して各第1の通信装置100に、使用サブキャリア数Nu=16のサブキャリアを割当てるようにしてもよく、本質的には同一である。
【0084】
このように、第2の通信装置200bは、送信電力・スペクトル割当決定部8bが、各第1の通信装置100についてスペクトル割当を行う際に、割当可能な周波数帯域全体をセグメントサイズ毎に分割したサブチャネルを単位とし、このサブチャネルに対してセグメント化されたサブキャリアを配置させるので、未割当のサブキャリアがセグメントサイズより細かくなり、スペクトル割当の処理が複雑になることを防ぎ、優れた伝送効率を得つつ、処理量を抑制することができる。
【0085】
[第4の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第4の実施形態における無線通信システムである移動体通信システムについて説明する。本実施形態における無線通信システムは、複数の移動局装置である第1の通信装置100と、基地局装置である第2の通信装置200cとを有する移動体通信システムである。
【0086】
第4の実施形態として、第1の通信装置100毎にセグメントサイズを決定する手法について説明する。この手法では、各第1の通信装置100のスペクトル割当を行う際に、第3の実施形態で述べたサブチャネルの概念を導入して、空き帯域の周波数方向の大きさが、前にスペクトル割当を行った第1の通信装置100におけるセグメントサイズよりも大きくなるようにする。これにより、サブチャネルのサイズと同じまたは小さいセグメントサイズであれば任意のセグメントサイズでの割当を可能とする。
【0087】
図13は、本実施形態における第2の通信装置200cの構成を示す概略ブロック図である。第2の通信装置200cは、受信アンテナ1、無線部2、A/D変換部3、CP除去部4、パイロット分離部5、伝搬路特性・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8c、選択候補記憶部9、制御情報生成部10a、S/P変換部11、DFT部12、スペクトルデマッピング部13a、複数のユーザ毎信号処理部22a、送信部20、送信アンテナ21を具備する。ユーザ毎信号処理部22aは、等化部14、IDFT部15、P/S変換部16、復調部17、デインターリーブ部18、復号部19を具備する。図13において図8の各部に対応する部分には同一の符号(1〜5、6a、7a、9、10a、11、12、13a、14〜21、22a)を付け、その説明を省略する。
【0088】
送信電力・スペクトル割当決定部8cは、第1の通信装置100の各々についてスペクトル割当を行う際に、割当可能な周波数帯域全体をセグメントサイズ毎に分割したサブチャネルを単位とし、このサブチャネルに対してセグメント化されたサブキャリアを配置させる点は、第3の実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8b(図11)と同じであるが、サブキャリアを配置する際のセグメントサイズを、前にスペクトル割当をした第1の通信装置100のセグメントサイズと同じか小さい値とする点が異なる。
【0089】
図14は、本実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8cのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。まず、送信電力・スペクトル割当決定部8cは、ステップS31において、推定された伝搬路特性あるいは距離減衰などから、第1の通信装置100の各々について減衰量を算出し、該減衰量に応じて決めた平均送信電力の高い順番に第1の通信装置100をソートしたスペクトル未割当のリストを生成する。
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8cは、ステップS32において、スペクトル未割当のリストの最上位の第1の通信装置100、すなわちスペクトル未割当の第1の通信装置100の中で平均送信電力が最も大きい第1の通信装置100のセグメントサイズ(および送信電力の低減量)とスペクトル割当を決定する。
【0090】
このステップS32におけるセグメントサイズとスペクトル割当は、第1の実施形態における図6のステップS1〜ステップS7と同様の処理により行われる。ただし、本実施形態のステップS32は、ステップS1〜S7と異なり、スペクトル割当の際に、セグメントを配置する位置が最初に決定されたセグメントサイズに基づくサブキャリア単位に限定されている。
【0091】
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8cは、ステップS33において、ステップS32にて決定されたセグメントサイズが、スペクトル未割当リスト上で1つ前にあった第1の通信装置100について決定されたセグメントサイズより大きいか否かを判定する。
送信電力・スペクトル割当決定部8cは、大きくないと判定したときは、ステップS32にて決定されたセグメントサイズおよびスペクトル割当を用いることとし、ステップS36に遷移する。一方、送信電力・スペクトル割当決定部8cは、ステップS33にて大きいと判定したときは、ステップS34に遷移して、スペクトル未割当リスト上で1つ前にあった第1の通信装置100について決定されたセグメントサイズをスペクトル未割当リストの最上位の第1の通信装置100のセグメントサイズに決定する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8cは、ステップS35において、ステップS34にて決定されたセグメントサイズで最良の受信品質Qが得られるような、選択可能なサブチャネルに対するスペクトル割当を行い、ステップS36に遷移する。
【0092】
そして、送信電力・スペクトル割当決定部8cは、ステップS36において、スペクトル未割当リストの最上位の第1の通信装置100に割当てられたサブチャネルを選択可能なサブチャネルから外し、割り当てられた第1の通信装置100をスペクトル未割当のリストから外す。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8cは、ステップS37において、スペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っているか否かにより、全ての第1の通信装置100のスペクトル割当が完了しているかどうかを判定し、完了していない、すなわちスペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っていると判定したときは、ステップS32に戻って、以降の処理を繰り返す。一方、ステップS37にて全ての第1の通信装置100の割当が完了している、すなわちスペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っていないと判定したときは、スペクトル割当処理を終了する。
【0093】
このように、第2の通信装置200cは、平均送信電力が大きい順に第1の通信装置100のスペクトル割当を行ない、平均送信電力が最大の第1の通信装置100のセグメントサイズをサブチャネルの大きさとし、その他の第1の通信装置100については、1つ前に決めた第1の通信装置100のセグメントサイズと同じか、小さいセグメントサイズのみを用いるようにしてスペクトル割当を決めるので、第3の実施形態と同様にサブチャネルを用いることでスペクトル割当の処理が複雑になることを防ぎ、処理量を抑制しつつ、サブチャネルの大きさと同じまたは小さいセグメントサイズを用いて優れた伝送効率を得ることができる。
【0094】
[第5の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第5の実施形態における無線通信システムである移動体通信システムについて説明する。本実施形態における無線通信システムは、複数の移動局装置である第1の通信装置100と、基地局装置である第2の通信装置200dとを有する移動体通信システムである。
【0095】
図15は、本実施形態における第2の通信装置200dの構成を示す概略ブロック図である。第2の通信装置200dは、受信アンテナ1、無線部2、A/D変換部3、CP除去部4、パイロット分離部5、伝搬路特性・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8d、選択候補記憶部9、制御情報生成部10a、S/P変換部11、DFT部12、スペクトルデマッピング部13a、複数のユーザ毎信号処理部22a、送信部20、送信アンテナ21を具備する。ユーザ毎信号処理部22aは、等化部14、IDFT部15、P/S変換部16、復調部17、デインターリーブ部18、復号部19を具備する。図15において図8の各部に対応する部分には同一の符号(1〜5、6a、7a、9、10a、11、12、13a、14〜21、22a)を付け、その説明を省略する。
【0096】
送信電力・スペクトル割当決定部8dは、前にセグメントサイズを決定した第1の通信装置100の平均送信電力と現在のセグメントサイズを決定する第1の通信装置100の減衰量に基づき決定された平均送信電力との差を、前に決定したセグメントサイズに対応付けて選択候補記憶部9が記憶している平均送信電力の低減量ΔPに加えた値よりも、小さい平均送信電力の低減量ΔPに対応付けて選択候補記憶部9が記憶しているセグメントサイズのうち、最も小さいセグメントサイズを、現在の第1の通信装置100のセグメントサイズとして決定する。
【0097】
例えば、前に決定されたセグメントサイズが「4」の場合について考える。まず、セグメントサイズ「4」に対応付けて選択候補記憶部9(表1)が記憶する平均送信電力の低減量ΔPは、「1.6dB」であり、セグメントサイズ「1」に対応付けて選択候補記憶部9(表1)が記憶する平均送信電力の低減量ΔPは、「2.9dB」である。このため、前に決定されたセグメントサイズが「4」のときにセグメントサイズ「1」を許容できる平均送信電力の差は「2.9dB」と「1.6dB」の差である「1.3dB」である。
【0098】
すなわち、セグメントサイズ4のk番目の第1の通信装置100に対し、次に平均送信電力が高いk’番目の第1の通信装置100のセグメントサイズを決定する際には、k番目の第1の通信装置100の平均送信電力よりもk’番目の第1の通信装置100の平均送信電力が「1.3dB」以上低い場合にはセグメントサイズを1に設定する。このとき、スペクトル未割当の残りの全ての第1の通信装置100のセグメントサイズは「1」となるため、交互にサブキャリアを割り当てるようにしてもよい。
また、同様に、セグメントサイズが「32」の場合、k’番目の第1の通信装置100の平均送信電力差が「1.7dB」であった場合には、「1.7dB」以下の平均送信電力の低減量ΔPが対応付けられているセグメントサイズの中で、最も小さいセグメントサイズの「4」を選択する。
【0099】
このように、平均送信電力の高い順にソートされた各第1の通信装置100の平均送信電力の差を計算してセグメントサイズを決定することで、送信電力の制限のある中で最もセルスループットを最大とするセグメントサイズを、各第1の通信装置100について決定することができる。
【0100】
なお、上述の送信電力・スペクトル割当決定部8dは、最も減衰量の大きな第1の通信装置100以外の第1の通信装置100については、該第1の通信装置100の減衰量に基づき平均送信電力を決定し、該平均送信電力よりも大きな平均送信電力を表す選択候補の中から選択した選択候補のセグメントサイズを用いることで、減衰量に基づき決定された平均送信電力を用いた時のピーク電力が、予め決められた閾値を(例えば99%の確率で)越えないセグメントサイズを用いるようにしている。したがって、上述のように前にセグメントサイズを決定した第1の通信装置100を基準にしてピーク電力が閾値を越えないセグメントの条件を決めるようにしてもよいし、最初にセグメントサイズを決定した第1の通信装置100を基準にして条件を決めるようにしてもよい。
【0101】
この場合は、最初にセグメントサイズを決定した第1の通信装置100の平均送信電力と現在のセグメントサイズを決定する第1の通信装置100の減衰量に基づき決定された平均送信電力との差を、最初に決定したセグメントサイズに対応付けて選択候補記憶部9が記憶している平均送信電力の低減量ΔPに加えた値よりも、小さい平均送信電力の低減量ΔPに対応付けて、選択候補記憶部9が記憶しているセグメントサイズのうち、最も小さいセグメントサイズを、現在の第1の通信装置100のセグメントサイズとして決定する。
【0102】
図16は、本実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8dのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。まず、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、ステップS41において、推定された伝搬路特性あるいは距離減衰などから、第1の通信装置100の各々について減衰量を算出し、該減衰量に応じて決めた平均送信電力の高い順番に第1の通信装置100をソートしたスペクトル未割当のリストを生成する。
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、ステップS42において、スペクトル未割当のリストの最上位の第1の通信装置100、すなわち平均送信電力が最も大きい第1の通信装置100のセグメントサイズ(および送信電力の低減量)とスペクトル割当を決定する。このステップS42におけるセグメントサイズとスペクトル割当は、第1の実施形態における図6のステップS1〜ステップS7と同様の処理により行われる。
【0103】
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、ステップS43において、割当てられたサブキャリアを他の第1の通信装置100に対して割当てる際に選択可能なサブキャリアから外し、さらに、割当てられた第1の通信装置100をステップS41にて生成したスペクトル未割当のリストから外す。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、ステップS44において、スペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っているか否かにより、全ての第1の通信装置100のスペクトル割当が完了しているかどうかを判定し、完了していない、すなわちスペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っていると判定したときは、ステップS45に遷移する。
【0104】
ステップS45では、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、スペクトル未割当のリストで最上位の第1の通信装置100の平均送信電力と、前にスペクトル割当を行った第1の通信装置100の平均送信電力との差を算出する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、ステップS46において、前にスペクトル割当を行った第1の通信装置100の平均送信電力の低減量ΔPとの差が、ステップS45にて算出した差よりも小さい低減量ΔPと対応付けて選択候補記憶部9が記憶するセグメントサイズのうち、最も小さいセグメントサイズを選択する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、ステップS46において、選択可能なサブキャリアに対して、スペクトル未割当のリストの最上位の第1の通信装置100のスペクトル割当を、ステップS46にて選択したセグメントサイズに従い行った後、ステップS43に戻って、以降の処理を繰り返すことで、全ての第1の通信装置100のスペクトル割当を行う。
【0105】
そして、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、ステップS44において、スペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っていないと判定したとき、すなわちスペクトル割当を行っていない第1の通信装置100がなくなったときは、処理を終了する。
このように本実施形態では、全ての第1の通信装置100において、ピーク電力が増幅器の線形領域の限界電力を越えないセグメントサイズのうち、スペクトル割当の自由度が最も高いセグメントサイズである最も小さなセグメントサイズを選択するので、無線通信システム全体の伝送効率、すなわちセルスループットを向上させることができる。
【0106】
なお、この処理部30は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、この処理部30はメモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、処理部30の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0107】
また、図1におけるスペクトルマッピング部36、制御部47、および図2における伝搬路特性・雑音分散推定部6、伝搬路特性デマッピング部7、送信電力・スペクトル割当決定部8、制御情報生成部10、スペクトルデマッピング部13、および図8における伝搬路特定・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8a、制御情報生成部10a、スペクトルデマッピング部13a、および図11における伝搬路特定・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8b、制御情報生成部10a、スペクトルデマッピング部13a、および図13における伝搬路特定・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8c、制御情報生成部10a、スペクトルデマッピング部13a、および図15における伝搬路特定・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8d、制御情報生成部10a、スペクトルデマッピング部13aの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0108】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0109】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、移動体通信システムに用いて好適であるが、これに限定されない。
【符号の説明】
【0111】
1・・・受信アンテナ
2・・・無線部
3・・・A/D変換部
4・・・CP除去部
5・・・パイロット分離部
6、6a・・・伝搬路特性・雑音分散推進部
7、7a・・・伝搬路特性デマッピング部
8、8a、8b、8c、8d・・・送信電力・スペクトル割当決定部
9・・・選択候補記憶部
10、10a・・・制御情報生成部
11・・・S/P変換部
12・・・DFT部
13、13a・・・スペクトルデマッピング部
14・・・等化部
15・・・IDFT部
16・・・P/S変換部
17・・・復調部
18・・・デインターリーブ部
19・・・復号部
20・・・送信部
21・・・送信アンテナ
22a・・・ユーザ毎信号処理部
31・・・符号部
32・・・インターリーブ部
33・・・変調部
34・・・S/P変換部
35・・・DFT部
36・・・スペクトルマッピング部
37・・・IDFT部
38・・・P/S変換部
39・・・パイロット多重部
40・・・CP挿入部
41・・・D/A変換部
42・・・無線部
43・・・送信アンテナ
44・・・パイロット信号生成部
45・・・受信アンテナ
46・・・受信部
47・・・制御部
100・・・第1の通信装置
200、200a、200b、200c、200d・・・第2の通信装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、送信方法および通信システムに関する。
本願は、2008年4月28日に、日本に出願された特願2008−117759号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代移動体通信システムの研究が盛んに行われており、システムの周波数利用効率を高めるための方式として、各セルが同じ周波数帯域を使用することで各セルがシステムに割り当てられた帯域全体利用可能な1周波数繰り返しセルラシステムが提案されている。
下りリンク(基地局装置から移動局への通信)では、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)方式が最も有力な候補となっている。OFDMA方式は、情報データに対して64QAM(64-ary Quadrature Amplitude Modulation:64値直交振幅変調)やBPSK(Binary Phase Shift Keying:2相位相変調)など受信状況に応じて異なる変調方式をかけて通信を行うOFDM信号を用いて、時間軸と周波数軸で構成される無線リソースを複数の移動ユーザ装置で柔軟に割り当てて通信を行うシステムである。
【0003】
この場合、OFDM信号を使用するため、非常にPAPR(Peak to Average Power Ratio:ピーク対平均電力比)が大きくなり、ピーク電力が高くなることがある。高いピーク電力は、送信電力増幅機能に比較的余裕のある下りリンクの通信においては大きな問題とはならないが、送信電力増幅機能に余裕のない上りリンク(移動局から基地局装置への通信)では、増幅する際にピーク電力が増幅器(アンプ)の線形領域を超えるため、送信する信号に歪みが発生してしまい致命的な問題となってしまう。
そのため、上りリンク(移動局から基地局装置への通信)では、PAPRの低いシングルキャリア方式を基にした通信方式が望ましい。
【0004】
しかしながら、シングルキャリア方式を用いると、OFDMA方式のような時間軸と周波数軸を使った柔軟なリソースの割り当てが行えないという問題がある。これを解決する通信方式としてSC−ASA(Single Carrier - Adaptive Spectrum Allocation:シングルキャリア適応スペクトル割当、DFT−S−OFDM(Discrete Fourier Transform - Spread OFDM:離散フーリエ変換拡散直交周波数分割多重)とも称される)が提案されている(例えば、非特許文献1)。
【0005】
このような通信方法は、シングルキャリア通信方式と同様の手法を用いているため、ピーク対平均電力比PAPRは低くなる。また、OFDM信号のように、サイクリックプレフィックスCPを挿入することでブロック間干渉なくデータを処理することが可能となる(以下、サイクリックプレフィックスCPを挿入する間隔、即ち、離散フーリエ変換DFT(Discrete Fourier Transform)を行うデータ処理単位を「DFT−S−OFDMシンボル」という)。さらに、離散フーリエ変換DFTにより周波数波形を一旦作っているため、サブキャリア単位でのリソース制御が容易にできるといったメリットがある。
【0006】
図17A、図17Bは、SC−ASA方式の概念を説明する図である。図17Aは、送信スペクトルを表している。時間周波数変換により周波数信号に変換された元の送信データのスペクトルは、図17Aの左に示すグラフのように連続した周波数に配置されている。SC−ASA方式では、このスペクトルを、受信側での受信状況(受信品質)の良好なサブキャリアを選択して、図17Aの右に示すグラフのようにマッピングし直した後、送信する。図17Bの左に示すグラフは受信スペクトルを表しており、図17Bの右に示すグラフのように受信された周波数信号は元の送信データと同じ並びにデマッピングすることで元に戻すことができる。つまり、受信状況の良好な周波数を適応的に選択して伝送できるため、伝送特性が改善する。
【0007】
図18A、図18Bは、SC−ASA通信方式を適用して情報を伝送する送信局装置および受信局装置の構成を示す概略ブロック図である。図18Aの送信局装置では、送信ビット列は符号部1000により符号化され、符号化された送信ビットはインターリーブ部1001により並び替えられ、変調部1002により変調がなされる。変調部1002が変調した変調信号は、S/P(シリアル/パラレル)変換部1003において並列化された後にDFT部1004により周波数軸上の信号に変換される。その後、この周波数軸上の信号は、スペクトルマッピング部1005によりサブキャリアへマッピングされる。このとき、このサブキャリアへのマッピングは受信状況、例えば受信SNR(Signal to Noise Ratio;信号対雑音電力比)やSNIR(Signal to Noise Interference Ratio;信号対雑音干渉電力比)のよい周波数のサブキャリアが周波数に割り当てられるとともに、割り当てられないサブキャリアには0が入力される。
【0008】
次に、マッピングされた周波数軸上の送信信号はIDFT(逆離散フーリエ変換)部1006により時間軸の信号に変換され、P/S(パラレル/シリアル)変換部1007により時間軸の信号は直列化される。同時に、パイロット信号生成部1008により伝搬路の周波数特性を推定するためのパイロット信号が生成され、パイロット多重部1009においてP/S変換部1007により直列化されたデータ信号と多重される。多重された信号は、サイクリックプレフィックスCP(Cyclic Prefix)挿入部1010によりサイクリックプレフィックスCPを挿入される。サイクリックプレフィックスCPが挿入された信号は、D/A変換部1011によりアナログ信号に変換され、無線部1012により無線周波数にアップコンバートされ、各送信局の送信アンテナ1013から送信される。
【0009】
図18Bの受信局装置では、受信信号が、受信アンテナ1100により受信され、この受信信号は、無線部1101によりベースバンド信号にダウンコンバートされる。ダウンコンバートされた受信信号は、A/D変換部1102によりディジタル信号に変換される。次に、このディジタル信号は、CP除去部1103によりサイクリックプレフィックスCPを除去され、パイロット分離部1104により伝搬路特性を推定するためのパイロット信号とデータ信号が分離される。分離されたパイロット信号は伝搬路推定・雑音分散推定部1105により伝搬路の周波数特性と雑音の分散が計算される。
【0010】
推定された伝搬路の周波数特性は伝搬路特性デマッピング部1106により実際に伝送に使用した周波数特性のみを抽出する一方、離散周波数選択部1107により受信状況のよい離散周波数を選択する。このとき、スペクトル割当は各離散周波数の受信状況を計算し、利得の高いものから順番に使用する離散周波数を選択する。スペクトル割当情報生成部1108において決定されたスペクトル割当から次の伝送機会の割当情報信号が生成され、送信装置にフィードバックされる。
【0011】
一方で、分離されたデータ信号はS/P変換部1109により、サイクリックプレフィックスCPが除去されたディジタル信号は並列化される。並列化されたディジタル信号は、DFT部1110により、周波数軸の信号に変換され、スペクトルデマッピング部1111により、周波数軸の信号各々のサブキャリアを元の配置に戻すことで、スペクトルの並びを元の送信信号と同様にする。その後、等化部1112により伝搬路による歪みを補償する等化処理が施され、IDFT部1113により時間軸の信号に変換される。その後P/S変換部1114により直列化され、復調部1115により変調信号から符号ビット単位の信頼性(尤度)に復調される。最後に、符号ビット毎の尤度はデインターリーブ部1116により符号化された送信ビットの並びを元に戻し、復号部1117により送信局からの送られた信号の復号データがそれぞれ得られる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】眞嶋、三瓶、ダイナミックスペクトル制御を用いた広帯域シングルキャリア伝送方式に関する検討、RCS2006-233、2007年1月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述のSC−ASA通信方式においては、周波数信号のサブキャリアへの配置方法として、配置するサブキャリアが周波数方向に分散している分散配置と、周波数方向に連続している連続配置とがある。分散配置は、配置するサブキャリアを選択する際の自由度が高いため、伝送特性の良いサブキャリアを選択することができるが、ピーク対平均電力比PAPRが連続配置に比べて高くなるという特徴がある。連続配置は、配置するサブキャリアを選択する際に制限がかかるため、必ずしも最も伝送特性の良いサブキャリアを選択することができないが、ピーク対平均電力比PAPRは分散配置に比べて低くできるという特徴がある。このため、送信電力が大きいときには、連続配置を用い、送信電力が小さいときには、分散配置を用いるという方法があった。
【0014】
しかしながら、上述の送信電力により分散配置と連続配置とを切り替える方法においては、送信電力が大きいときに、ピーク対平均電力比PAPRの低い連続配置を用いることでピーク電力を下げるよりも、ピーク対平均電力比PAPRが高くてもサブキャリア選択の自由度が高い分散配置を用いながら平均送信電力を下げた方が伝送特性が良くなることがあるにもかかわらず、連続配置を用いてしまうというように、最も伝送効率が良好になるように周波数信号をサブキャリアへ配置することができないという問題があった。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、シングルキャリア信号を時間周波数変換した周波数信号をサブキャリアに配置して送信する通信方式において、優れた伝送効率が得られる通信装置、送信方法および通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1) この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の第1の態様は、DFT−s−OFDM信号を送信する第1の通信装置であって、周波数信号を所定の数のセグメントにセグメント化し、該セグメント毎にサブキャリアに割り当てるスペクトルマッピング部と、前記セグメント毎に前記サブキャリアに割り当てられ、生成されたDFT−s−OFDM信号を送信する送信部と、前記所定の数毎に、前記DFT−s−OFDM信号を送信する送信電力の低減量を決定する制御部とを備えることを特徴とする第1の通信装置である。
【0017】
(2) 本発明の第1の態様において、前記所定の数は、少なくとも1と2とを含むようにしても良い。
【0018】
(3) 本発明の第1の態様において、前記送信電力の低減量は、前記所定の数が1の場合よりも、前記所定の数が2以上の場合の方が大きくなるようにしても良い。
【0019】
(4) 本発明の第1の態様において、前記スペクトルマッピング部は、前記周波数信号を少なくとも2以上のセグメントにセグメント化した場合、少なくとも2つの前記セグメントをそれぞれ分散配置するようにしても良い。
【0020】
(5) 本発明の第1の態様において、前記制御部は、PAPR又はCMに基づいて、前記送信電力の低減量を決定するようにしても良い。
【0021】
(6) 本発明の第1の態様において、前記スペクトルマッピング部は、前記DFT−s−OFDM信号を受信する第2の通信装置から送信される割当情報に基づいて、前記周波数信号をサブキャリアに割り当てるようにしても良い。
【0022】
(7) 本発明の第2の態様は、周波数信号を所定の数のセグメントにセグメント化し、該セグメント毎にサブキャリアに割り当てるステップと、前記セグメント毎に前記サブキャリアに割り当てられ、生成されたDFT−s−OFDM信号を送信するステップと、
前記所定の数に基づいて、前記DFT−s−OFDM信号を送信する送信電力の低減量を決定するステップとを少なくとも含むことを特徴とする送信方法である。
【0023】
(8) 本発明の第3の態様は、第1の通信装置と第2の通信装置からなる通信システムであって、前記第2の通信装置は、周波数信号をサブキャリアに割り当てる割当情報を送信し、前記第1の通信装置は、前記第2の通信装置から送信された前記割当情報を受信し、前記周波数信号を所定の数のセグメントにセグメント化し、受信した前記割当情報に基づいて、該セグメント毎にサブキャリアに割り当て、DFT−s−OFDM信号を生成し、前記所定の数に基づいて前記DFT−s−OFDM信号を送信する送信電力の低減量を決定することを特徴とする通信システムである。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、所定のセグメントサイズと所定の平均送信電力との組合せである選択候補の各々について受信品質を算出し、この算出した受信品質を表す値に基づき、選択候補の中から送信の際に用いる選択候補を選択するので、優れた伝送効率が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の第1の実施形態による第1の通信装置100の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】同実施形態における第2の通信装置200の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】同実施形態におけるピーク対平均電力比PAPRの相補累積確率分布特性(C.C.D.F.:Complimentary Cumulative Distribution Function)を示す図である。
【図4A】同実施形態におけるセグメントサイズ1のセグメント化の概念を説明する図である。
【図4B】同実施形態におけるセグメントサイズ2のセグメント化の概念を説明する図である。
【図4C】同実施形態におけるセグメントサイズ4のセグメント化の概念を説明する図である。
【図4D】同実施形態におけるセグメントサイズ8のセグメント化の概念を説明する図である。
【図5】同実施形態における表1のセグメントサイズと、平均送信電力の低減量ΔPとの関係を説明する図である。
【図6】同実施形態における実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8の動作を説明するフローチャートである。
【図7】この発明の第2の実施形態によるユーザ数が「4」であり、セグメントサイズが「2」であるときの移動体通信システムの状態例を示す概念図である。
【図8】同実施形態における第2の通信装置200aの構成を示す概略ブロック図である。
【図9】同実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8aのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。
【図10】この発明の第3の実施形態による無線通信システムにおけるサブチャネルの概念を説明する図である。
【図11】同実施形態における第2の通信装置200bの構成を示す概略ブロック図である。
【図12】同実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8bのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。
【図13】この発明の第4の実施形態による第2の通信装置200cの構成を示す概略ブロック図である。
【図14】同実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8cのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。
【図15】この発明の第5の実施形態による実施形態における第2の通信装置200dの構成を示す概略ブロック図である。
【図16】同実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8dのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。
【図17A】従来のSC−ASA方式の送信スペクトルを表す図である。
【図17B】従来のSC−ASA方式の受信スペクトルを表す図である。
【図18A】従来のSC−ASA通信方式を適用して情報を伝送する送信局装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図18B】従来のSC−ASA通信方式を適用して情報を伝送する受信局装置の構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態における無線通信システムについて説明する。本実施形態における無線通信システムは、1つの第1の通信装置(他の無線通信装置)100と1つの第2の通信装置(無線通信装置)200とを有し、第1の通信装置100から第2の通信装置200への伝送方式がSC−ASA(Single Carrier - Adaptive Spectrum Allocation:シングルキャリア適応スペクトル割当)方式である。第1の通信装置100が送信に使用するサブキャリア数を使用サブキャリア数Nuとし、利用可能な帯域のサブキャリアの数を総サブキャリア数Ndとし、以降ではNd、Nuを用いて説明する。また、マルチキャリア方式としてOFDM方式を仮定するため、SC−ASA方式を本明細書中ではDFT−S−OFDM(Discrete Fourier Transform Spread Orthogonal Frequency Division Multiplex;離散フーリエ変換-拡散-直交周波数分割多重)と称する場合もある。以下に示す実施形態においては、特に断りのない限り、一般的にいわれる移動局(第1の通信装置)から基地局(第2の通信装置)への通信である上りリンクにSC−ASAを用いる場合について説明するが、本発明の対象とする通信は、これに限定されない。
【0027】
本実施形態は、1つのユーザ(第1の通信装置100)がSC−ASA方式で伝送する場合についての制御手法である。なお、本実施形態では、SC−ASA方式に送信する第1の通信装置100は一つなので、他の通信装置との競合を考慮せずに自由に使用する離散周波数を設定できる。このため、本実施形態では、第2の通信装置200がスペクトル割当(周波数信号のサブキャリアへの配置)を決定し、スペクトル割当情報を生成するが、スペクトル割当の決定およびスペクトル割当情報の生成は、第1の通信装置が行ってもよい。
【0028】
図1は、第1の通信装置100の構成を示す概略ブロック図である。第1の通信装置100は、符号部31、インターリーブ部32、変調部33、S/P(Serial/Parallel;シリアル/パラレル)変換部34、DFT(Discrete Fourier Transform;離散フーリエ変換)部35、スペクトルマッピング部36、IDFT(Inversed Discrete Fourier Transform;逆離散フーリエ変換)部37、P/S(Parallel/Serial;パラレル/シリアル)変換部38、パイロット多重部39、CP(Cyclic Prefix;サイクリックプレフィクス)挿入部40、D/A(Digital/Analogue)変換部41、無線部42、送信アンテナ43、パイロット信号生成部44、受信アンテナ45、受信部46、制御部47を具備する。
【0029】
符号部31は、第1の通信装置100に入力された送信ビット列を符号化する。インターリーブ部32は、この符号化された送信ビット列のビットの時間順を並び替える。変調部33は、並び替えられたビット列を変調して変調信号(シングルキャリア信号)を生成する。S/P変換部34は、変調部33が変調した変調信号を、並列化する。DFT部35は、並列化された変調信号を離散フーリエ変換(時間周波数変換)して、周波数軸上の信号である周波数信号に変換する。スペクトルマッピング部(マッピング部)36は、この周波数信号を、制御部47からのスペクトル割当情報に従い、サブキャリアへ配置(マッピング、スペクトル割り当て)する。このとき、スペクトルマッピング部36は、周波数信号を配置しないサブキャリアには0を入力する。
【0030】
IDFT部37は、マッピングされた周波数信号を、逆離散フーリエ変換して時間軸上の信号に変換する。P/S変換部38は、この時間軸上の信号を直列化する。パイロット信号生成部44は、伝搬路の周波数特性を推定するためのパイロット信号を生成する。パイロット多重部39は、P/S変換部38により直列化された時間軸上の信号に多重する。CP挿入部40は、多重された信号に、サイクリックプレフィックスCP(Cyclic Prefix)を挿入する。D/A変換部41は、サイクリックプレフィックスCPが挿入された信号を、アナログ信号に変換する。無線部(送信部)42は、このアナログ信号を、無線周波数にアップコンバートし、制御部47からの送信電力情報に基づき、該送信電力情報が表す平均送信電力に増幅し、送信アンテナ43を介して第2の通信装置200に送信する。
【0031】
受信部(選択結果受信部)46は、受信アンテナ45を介して、第2の通信装置200からの信号を受信し、受信した信号中のスペクトル割当情報および送信電力情報を含む制御データを制御部47に出力し、第2の通信装置200から伝送されたデータの復号ビット列を外部に出力する。制御部47は、受信部46から制御データを受けて、該制御データ内のスペクトル割当情報をスペクトルマッピング部36に出力し、送信電力情報を無線部42に出力する。
【0032】
図2は、本実施形態における第2の通信装置200の構成を示す概略ブロック図である。第2の通信装置200は、受信アンテナ1、無線部2、A/D変換部3、CP除去部4、パイロット分離部5、伝搬路特性・雑音分散推定部6、伝搬路特性デマッピング部7、送信電力・スペクトル割当決定部8、選択候補記憶部9、制御情報生成部10、S/P変換部11、DFT部12、スペクトルデマッピング部13、等化部14、IDFT部15、P/S変換部16、復調部17、デインターリーブ部18、復号部19、送信部20、送信アンテナ21を具備する。
【0033】
無線部2は、第1の通信装置からの受信信号を、受信アンテナ1を介して受信し、この受信信号をダウンコンバートしてベースバンド信号を生成する。A/D変換部3は、このベースバンド信号をディジタル信号に変換する。次に、CP除去部4は、このディジタル信号からサイクリックプレフィックスCPを除去する。パイロット分離部1104は、サイクリックプレフィックスCPが除去されたディジタル信号から、伝搬路特性を推定するためのパイロット信号とデータ信号を分離する。伝搬路推定・雑音分散推定部6は、分離されたパイロット信号から、伝搬路の周波数特性と雑音の分散を計算する。伝搬路特性デマッピング部7は、計算された伝搬路の周波数特性から、送信電力・スペクトル割当決定部8から指定されたサブキャリア、すなわち実際に伝送に使用したサブキャリアに関する伝搬路の周波数特性のみを抽出する。
【0034】
一方、S/P変換部11は、パイロット分離部5により分離されたデータ信号を、並列化する。DFT部12は、並列化されたデータ信号を離散フーリエ変換して、周波数信号を生成する。スペクトルデマッピング部13は、送信電力・スペクトル割当決定部8から指定されたサブキャリア、すなわち実際に伝送に使用したサブキャリアの周波数信号を抽出し、元の配置に戻すことで、スペクトルの並びを元の送信信号(第1の通信装置100のDFT部35の出力信号)と同様にする。等化部14は、スペクトルの並びを元に戻されたデータ信号に対する伝搬路による歪みを補償する等化処理を、伝搬路特性デマッピング部7から受けた実際に伝送に使用したサブキャリアの周波数特性と分散を用いて行う。
本実施形態では、等化処理として最小平均自乗誤差(MMSE:Minimum Mean Square Error)基準型の等化処理が施されるものとして説明する。
【0035】
IDFT部15は、等化部14により等化処理されたデータ信号を逆離散フーリエ変換して、時間軸上の信号に変換する。P/S変換部16は、この時間軸上の信号を直列化する。復調部17は、直列化された時間軸上の信号を復調して、符号ビット単位の尤度(信頼性)を算出する。デインターリーブ部18は、第1の通信装置100のインターリーブ部32の逆操作をして、符号ビット単位の尤度の時間順を元に戻す。復号部19は、時間順を戻された符号ビット単位の尤度を復号処理して、復号ビット列を生成し、外部に出力する。
【0036】
送信電力・スペクトル割当決定部(選択部)8は、所定のセグメントサイズと平均送信電力の低減量ΔPとの組合せである選択候補の各々について、その選択候補のセグメントサイズに周波数信号がセグメント化された配置と平均送信電力の低減量ΔPとを用いたときの第2の通信装置200における受信品質を表す値を算出する。ここでセグメントとは、周波数信号を所定の数であるセグメントサイズ毎にセグメント化したものであり、セグメントを構成する周波数信号は連続したサブキャリアに配置される。平均送信電力の低減量ΔPとは、選択候補の中で最も大きいセグメントサイズ、すなわち最も平均送信電力の大きいセグメントサイズで第1の通信装置100が送信する際の平均送信電力に対する低減量ΔPである。
【0037】
なお、送信電力・スペクトル割当決定部8は、選択候補の各々について受信品質を算出する際に用いる前記周波数信号のサブキャリアへの配置を、該選択候補のセグメントサイズにおける周波数信号の配置であって、配置可能なサブキャリアの中で最も受信状態の良好なサブキャリアへの配置とする。また、選択候補については、選択候補記憶部9により、予め決められた選択候補が記憶されている。
【0038】
送信電力・スペクトル割当決定部8は、上述の算出した受信品質を表す値に基づき、選択候補の中から前記第1の通信装置による送信の際に用いる選択候補を選択する。本実施形態では、送信電力・スペクトル割当決定部8は、算出した受信品質が最も良い選択候補を、送信の際に用いる選択候補として選択する。なお、最も受信品質が良い選択候補ではなく、予め決められた受信品質を満たす選択候補のうちのいずれかを選択するようにしてもよい。
【0039】
選択候補記憶部9は、後述する所定のセグメントサイズと所定の平均送信電力を表す情報である平均送信電力の低減量ΔPとの組合せである選択候補を記憶している。制御情報生成部10は、送信電力・スペクトル割当決定部9が選択した選択候補の受信品質算出の際に用いた配置を表すスペクトル割当情報と、選択した選択候補の平均送信電力の低減量ΔP(平均送信電力)を表す送信電力情報とを含む制御情報を生成する。送信部(選択結果送信部)20は、制御情報生成部10が生成した制御情報および外部から入力された伝送データである送信ビット列とを、送信アンテナ21を介して、第1の通信装置100に送信する。
【0040】
図3は、ピーク対平均電力比PAPRの相補累積確率分布特性(C.C.D.F.:Complimentary Cumulative Distribution Function)を示す図である。同図において、横軸はピーク対平均電力比PAPRをデシベルでしめす。縦軸は、相補累積確率C.C.D.F.であり、累積確率分布特性(C.D.F.:Cumulative Distribution Function)の値を1から減算したものであり、ピーク対平均電力比PAPRが横軸の値より大きくなる確率を表している。即ち、同図において左に特性が現れるほどピーク対平均電力比PAPRが低く、ピーク対平均電力比PAPR特性としては良好であることを意味している。なお、図3は、使用サブキャリア数Nu=32、総サブキャリア数Nd=64としたときのPAPRの相補累積確率分布特性を示す。
【0041】
図3にセグメントサイズ1のときのC.C.D.F特性であるグラフL1、セグメントサイズ2のときのC.C.D.F特性であるグラフL2、セグメントサイズ4のときのC.C.D.F特性であるグラフL3、セグメントサイズ8のときのC.C.D.F特性であるグラフL4、セグメントサイズ16のときのC.C.D.F特性であるグラフL5、セグメントサイズ32のときのC.C.D.F特性であるグラフL6を示すように、セグメントサイズが大きくなるほど、グラフは左に寄っており、ピーク対平均電力比PAPR特性が良好であることがわかる。
【0042】
図4A、図4B、図4C、図4Dは、セグメント化の概念を説明する図である。同図では、簡単のため使用サブキャリア数を8とし、セグメントサイズが1、2、4、8の場合をそれぞれ図4A、図4B、図4C、図4Dに示している。例えば、図4Cに示されているセグメントサイズ4の場合、4サブキャリア毎にセグメント化することにより生成される2セグメントを受信状況の良好な離散周波数帯にセグメント内のサブキャリアのみを連続配置し、セグメント単位に分散配置している。
【0043】
【表1】
【0044】
表1は、選択候補記憶部9が記憶する選択候補であるセグメントサイズと送信電力の差分との組合せの例を示す表である。ここで、選択候補の数は、取り得るセグメントサイズの数となるので、膨大な数とはなりにくいため、選択候補記憶部9が全ての選択候補を記憶しておき、送信電力・スペクトル割当決定部8は選択候補記憶部9からこれらの情報を取得する。表1に示す選択候補は、図3に示すピーク対平均電力比PAPR特性に基づき決められた、第1の通信装置100が信号を送信する際の送信電力のピーク電力が予め決められた閾値を越えない確率が所定の値であるセグメントサイズと平均送信電力の低減量ΔPとの組合せである。ここで、予め決められた閾値は、第1の通信装置100における送信信号を送信電力に増幅する増幅器(アンプ)の線形領域の限界電力である。
【0045】
例えば、上述のピーク電力が閾値を越えない確率が99%のときは、ピーク対平均電力比PAPRの相補累積確率分布特性C.C.D.F.が0.01、すなわち99%の確率で発生するピーク対平均電力比PAPRを考慮し、セグメントサイズ32を基準とする送信電力に対して、その他のセグメントサイズではどの程度電力を低減すれば、ピーク電力が同じになるかを示す値である平均送信電力の低減量ΔPが各セグメントサイズに対応付けて格納されている。すなわち、セグメントサイズが「16」のときは、セグメントサイズが「32」のときよりも平均送信電力を「0.3dB」低減し、セグメントサイズが「8」のどきは、セグメントサイズが「32」のときよりも平均送信電力を「1.1dB」低減することを示している。なお、表1に示す例は、使用サブキャリアNu=32の場合のセグメントサイズに対する平均送信電力の低減量ΔPである。また、同表は図3のC.C.D.F.=0.01即ち99%値のピーク対平均電力比PAPRを用いて算出されている。
【0046】
図5は、表1のセグメントサイズと、平均送信電力の低減量ΔPとの関係を説明する図である。図5に示す2つのグラフは、横軸が時間[s]、縦軸が送信電力[dBm]である。そして、左のグラフG1は、セグメントサイズ32かつ平均送信電力AVG1のときのグラフであり、右のグラフG2は、セグメントサイズ16かつ平均送信電力AVG2のときのグラフである。また、ピーク電力P1は、予め決められた閾値であり、第1の通信装置100における送信信号を送信電力に増幅する増幅器の線形領域の限界電力である。
図5に示すように左のグラフG1および右のグラフG2の最大点は、ピーク電力P1となっているので、平均送信電力AVG1は、セグメントサイズ32のときにピーク電力がP1となる平均送信電力の値であり、平均送信電力AVG2は、セグメントサイズ16のときにピーク電力がP1となる平均送信電力の値である。そして、表1においてセグメントサイズ「16」と対応付けられている送信電力の低減量ΔP「0.3」は、図5に示すΔP、すなわち平均送信電力AVG1から平均送信電力AVG2への低減量である。
【0047】
なお、本実施形態では、選択候補記憶部9は、セグメントサイズと、平均送信電力の低減量ΔPとを対応付けて記憶するとして説明したが、セグメントサイズと対応づけて記憶する値は、ピーク電力が予め決められた閾値を越えないようにするための平均送信電力を表す値であればよく、平均送信電力そのものの値であってもよいし、平均送信電力の信号とするための増幅器の増幅率であってもよいし、増幅率の低減量(差分)あるいは比であってもよい。
また、本実施形態では、送信電力のピーク電力を示す指標としてピーク対平均電力比PAPRを用いるとして説明したが、CM(Cubic Metric)などピーク電力を示す他の指標を用いてもよい。
【0048】
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8によるセグメントサイズの決定とスペクトル割当の決定法について説明する。まず、セグメントサイズの各々について、該セグメントサイズのセグメント単位で受信状況の良好な周波数を選択し、割当を暫定的に選択する。
次に、各セグメントサイズの暫定的な割当について式(1)で表される等化後の受信品質Qを計算する。
【0049】
【数1】
【0050】
式(1)において、受信品質Qは送信電力の低減量を考慮したMMSE基準型の周波数領域等化処理の後の受信信号雑音比、ΔPは表1で設定されるセグメントサイズ毎の送信電力の低減量である。また、μは暫定的に選択した離散周波数における伝搬路の周波数特性と雑音の分散を用いて式(2)で表される値である。
【0051】
【数2】
【0052】
ただし、Ξ(k)は第1の通信装置100のスペクトルマッピング部36(図1)によるマッピング前のk番目の周波数信号が割り当てられる周波数(サブキャリア)の伝搬路利得(複素数)であり、σ2は伝搬路特性・雑音分散推定部6で推定された雑音の分散値(実数)であり、これは受信信号雑音比の逆数と置き換えてもよい。例えば伝搬路特性に関して、マッピング前の2番目の周波数信号が5番目のサブキャリアにマッピングされる場合、Ξ(2)は割当可能な伝搬路の5番目の伝搬路(サブキャリア)の利得を表している。
【0053】
式(1)、(2)により全てのセグメントサイズで受信品質Qを計算し、最も受信品質Qの値が高いセグメントサイズとスペクトル割当の組み合わせを次の伝送機会におけるスペクトル割当情報とし、該セグメントサイズと対応付けて選択候補記憶部9が記憶する送信電力の低減量ΔPを送信電力情報とする。
このように、ピーク電力が第1の通信装置100における増幅器の線形領域を超えないような、セグメントサイズと平均電力を表す情報との組合せを選択候補として選択候補記憶部9が予め記憶しており、送信電力・スペクトル割当決定部8は、これらの選択候補の中から受信品質Qが良好なものを選択するので、セグメントサイズを大きくすることによるピーク対平均電力比PAPR特性の改善効果による送信電力の増大と、セグメントサイズを小さくすることによる伝送特性の改善量のトレードオフを最適化して、優れた伝送効率を得ることができる。
【0054】
なお、本実施形態では、上述のように、第2の通信装置200の等化部14(図2)は、最小平均自乗誤差MMSE基準型の等化処理を行い、送信電力・スペクトル割当決定部8は、最小平均自乗誤差MMSE基準型の等化処理を前提として、式(1)を用いて受信品質Qを算出するとして説明した。しかし、等化部14がターボ等化技術に代表される繰り返しによる等化を行う第2の通信装置200については、次式(3)を用いることで受信品質Qが得られる。
【0055】
【数3】
【0056】
図6は、本実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8の動作を説明するフローチャートである。まず、ステップS1において、送信電力・スペクトル割当決定部8は、初期値として使用サブキャリアNuをセグメントサイズとし、ステップS2においてそのセグメントサイズの制限下で最も伝搬路利得の良いサブキャリアに周波数信号を配置するスペクトル割り当てを暫定的に行う。次に、ステップS3において、送信電力・スペクトル割当決定部8は、式(1)に基づいて、ステップS2において暫定的に行ったスペクトル割り当てにおける受信品質Qを計算する。次に、ステップS4において、送信電力・スペクトル割当決定部8は、セグメントサイズが1かどうかを判定し、セグメントサイズが1でないと判定したときは、ステップS5において現在のセグメントサイズとスペクトル割当情報と受信品質Qの値を保存する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8は、ステップS6においてセグメントサイズを半分にし、再びステップS2に戻り、これをステップS4においてセグメントサイズが1であると判定するまで繰り返す。
【0057】
一方、ステップS4においてセグメントサイズが1であると判定したときは、送信電力・スペクトル割当決定部8は、ステップS5で保存した各セグメントサイズに対する受信品質Qの値をセグメントサイズ1の受信品質Qの値まで含めて比較し、最も受信品質Qの値が大きいセグメントサイズとそれに対応する送信電力、スペクトル割当を制御情報生成部10に出力し、終了する。
【0058】
なお、ここでは第2の通信装置200でセグメントサイズ、送信電力、スペクトル割当を決定したが、伝搬路特性の情報をフィードバックする場合には、第1の通信装置100が選択候補記憶部9を備え、第1の通信装置100が割り当てを決定しても本質的には同じであるので、第1の通信装置100が行っても構わない。また、本実施形態ではMMSE基準型の周波数領域等化を適用する例を示したが、ZF(Zero Forcing)など他の周波数領域等化においても受信品質は計算可能である。例えば、ZFの場合には、式(1)で表される受信品質Qの算出には次の式(4)を用いる。
【0059】
【数4】
【0060】
[第2の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態における無線通信システムである移動体通信システムについて説明する。第1の実施形態では第1の通信装置100の数(以下、「ユーザ数」という)が1であったが、本実施形態ではユーザ数が複数、すなわち移動局装置である第1の通信装置100が複数存在し、基地局装置である第2の通信装置200aと通信する移動体通信システムの場合について説明する。なお、本実施形態の移動体通信システムは、セルラシステムである。
【0061】
第2の通信装置200aは、第2の通信装置200aからより遠い(減衰の大きい)第1の通信装置100から順にサブキャリアの割り当てを行う。なお、第1の実施形態では、スペクトル割当を決定するのは第1の通信装置100でも第2の通信装置200でも良かったが、本実施形態のようにマルチユーザの場合は、基地局である第2の通信装置200aがスペクトル割当を制御するため、第2の通信装置200aが全ての第1の通信装置100のスペクトル割当を決定する。なお、第2の通信装置200aがスペクトル割当情報を送信する代わりに、全ての第1の通信装置100の伝搬路特性に関する情報を各第1の通信装置100に送信し、全ての第1の通信装置100がスペクトル割当を同一の規則で行うようにすることで、第1の通信装置100において、スペクトル割当を行うようにしてもよい。
【0062】
図7は、本実施形態において、ユーザ数が「4」であり、セグメントサイズが「2」であるときの移動体通信システムの状態例を示す概念図である。同図において、T101は基地局である第2の通信装置200a、T102〜T105は同時に信号を送信しており、移動局である第1の通信装置100を表している。この場合、各第1の通信装置100が送信する信号は、第2の通信装置200aのスペクトル割当により、周波数軸上で重ならないように配置されており、空間多重される。このとき最も送信電力が高くなるT102の第1の通信装置100のセグメントサイズとスペクトル割当を、第2の通信装置200aは、最初に決定する。以降順に送信電力の高い順にスペクトル割当を決定する。これは、セグメントサイズが小さいほど伝送特性の良いサブキャリアを選択することが可能であり、また、送信電力の最も高いユーザと同じセグメントサイズ、すなわち同じピーク対平均電力比PAPRであっても送信電力が低ければ、ピーク電力は最も送信電力の高いユーザより低くなるためである。
【0063】
図8は、本実施形態における第2の通信装置200aの構成を示す概略ブロック図である。第2の通信装置200aは、受信アンテナ1、無線部2、A/D変換部3、CP除去部4、パイロット分離部5、伝搬路特性・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8a、選択候補記憶部9、制御情報生成部10a、S/P変換部11、DFT部12、スペクトルデマッピング部13a、複数のユーザ毎信号処理部22a、送信部20、送信アンテナ21を具備する。ユーザ毎信号処理部22aは、等化部14、IDFT部15、P/S変換部16、復調部17、デインターリーブ部18、復号部19を具備する。
【0064】
図8において図2の各部に対応する部分には同一の符号(1〜5、9、11、12、14〜21)を付け、その説明を省略する。伝搬路特性・雑音分散推定部(測定部)6aは、各第1の通信装置100から送信された信号からパイロット分離部5により分離されたパイロット信号に基づき、全ての第1の通信装置100について、伝搬路の周波数特性と雑音の分散を算出する、また、全ての第1の通信装置100について伝搬路の周波数特性あるいは距離減衰から減衰量を算出する。伝搬路特性デマッピング部7aは、計算された伝搬路の周波数特性から、第1の通信装置100の各々について送信電力・スペクトル割当決定部8aから指定されたサブキャリア、すなわち実際に伝送に使用したサブキャリアに関する伝搬路の周波数特性のみを抽出する。伝搬路特性デマッピング部7aは、抽出した第1の通信装置100の各々についての伝搬路の周波数特性を、ユーザ毎信号処理部22aのうち、信号処理を担当している第1の通信装置100が一致するユーザ毎信号処理部22aの等化部14に、伝搬路の周波数特性を出力する。
【0065】
スペクトルデマッピング部13aは、送信電力・スペクトル割当決定部8aから第1の通信装置100の各々について指定されたサブキャリア、すなわち実際に伝送に使用したサブキャリアの周波数信号を抽出し、元の配置に戻すことで、スペクトルの並びを元の送信信号と同様にする。そして、スペクトルデマッピング部13aは、スペクトルの並びを元の送信信号と同様にした第1の通信装置100の各々の周波数信号を、信号処理を担当している第1の通信装置100が一致するユーザ毎信号処理部22aの等化部14に出力する。ユーザ毎信号処理部22aの各々は、それぞれ担当する第1の通信装置100の周波数信号と、伝搬路の周波数特性とを、スペクトルデマッピング部13aと伝搬路特性デマッピング部7aとから入力され、周波数信号を伝搬路の周波数特性に基づき等化処理し、さらに逆フーリエ変換、パラレル/シリアル変換、復調、デインターリーブ、復号して、復号ビット列を外部に出力する。
【0066】
送信電力・スペクトル割当決定部8a(選択部)は、伝搬路特性・雑音分散推定部6aから受けた減衰量が最も大きい第1の通信装置100の平均送信電力が第1の通信装置100の予め決められた最大送信電力となり、かつ、第2の通信装置200aにおける受信電力が全ての第1の通信装置100について同じになるように、算出した減衰量に基づき、第1の通信装置100の各々の送信電力を決定し、送信電力が高い順に第1の通信装置100をソートする。
【0067】
このとき、伝搬路の周波数特性と距離減衰の推定法としては、先に伝搬路特性・雑音分散推定部6aにて説明したようにしてもよいし、例えば、伝搬路の周波数特性における利得を伝搬路推定用のパイロット信号から測定し、距離減衰に関しては従来のセルラシステムなどで用いられている第1の通信装置100から第2の通信装置200aへの信号の受信電力から計算する方法を用いてもよい。
【0068】
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、送信電力が最も高い第1の通信装置100に対しては実施形態1における送信電力・スペクトル割当決定部8と同様の手法によりセグメントサイズとスペクトル割当を決定する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、2番目に送信電力の高い第1の通信装置100を選択し、この選択した第1の通信装置100に対して、すでにスペクトル割当がなされている第1の通信装置100が使用しているサブキャリア(離散周波数)を選択可能なサブキャリアから外した上で、選択可能なサブキャリアから最初にスペクトル割当が設定された第1の通信装置100と同じセグメントサイズでスペクトル割当を行う。
【0069】
以下同様にして、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、送信電力の高い第1の通信装置100から順に、スペクトル割り当てを行う。なお、このとき最大送信電力の第1の通信装置100と同じセグメントサイズを確保できない場合には、セグメントサイズを小さくしてスペクトル割り当てを行っても良い。また、セグメントサイズを小さくしたくない場合には割当可能な離散周波数帯域を最初に設定されたセグメントサイズ毎にサブチャネル化し、サブチャネルに各セグメントを割り当てるという制限を設けることで、セグメントサイズと同じまたは小さい空き離散周波数帯域が発生しないようにしてもよい。このように選択された第1の通信装置100の各々について、制御情報生成部10aは、スペクトル割当情報を通知する信号を生成し、生成した信号を、送信部20により第1の通信装置100に通知する。
【0070】
図9は、本実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8aのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。まず、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、ステップS11において、推定された伝搬路特性あるいは距離減衰などから、第1の通信装置100の各々について減衰量を算出し、該減衰量に応じて決めた平均送信電力の高い順番に第1の通信装置100をソートしたリストを生成する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、ステップS12において、スペクトル未割当の第1の通信装置100の中から最も平均送信電力が大きい第1の通信装置100のセグメントサイズ(および送信電力の低減量)とスペクトル割当を決定する。このステップS12におけるセグメントサイズとスペクトル割当は、第1の実施形態における図6のステップS1〜ステップS7と同様の処理により行われる。そして、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、スペクトル割当を決定した第1の通信装置100を、ステップS11にて生成したリストから除く。
【0071】
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、ステップS13において、上述のリストの最上位の第1の通信装置100、すなわちスペクトル未割当の第1の通信装置100の中で最も送信電力が高い第1の通信装置100を選択する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、ステップS14において、割当可能な離散周波数から現在のセグメントサイズで最良の受信品質Qが得られるような割当を、ステップS13にて選択した第1の通信装置100に対して行う。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、ステップS15において、ステップS14でのセグメント単位でのスペクトル割当が正常に実施できたか否か判定する。
【0072】
スペクトル割当が正常にできなかったとステップS15にて判定したときは、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、ステップS16に遷移して、セグメントサイズを半分にして再びステップS14に戻り、ステップS13にて選択した第1の通信装置100に対して、ステップS16にて半分にしたセグメントサイズでスペクトル割当を行なう。
【0073】
一方、スペクトル割当が正常にできたとステップS15にて判定したときは、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、ステップS17に遷移して、ステップS14の処理結果のスペクトル割当に決定する。次に、ステップS18において、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、スペクトル割当された離散周波数を選択可能な離散周波数から外し、スペクトル割当された第1の通信装置100をスペクトル未割当のリストから外す。その後、ステップS19において、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、スペクトル未割当の第1の通信装置100がリストに残っているか否かを判定する。残っているとステップS19にて判定したときは、ステップS13に遷移して、以降の処理を繰り返す。一方、残っていないとステップS19にて判定したとき、すなわち全ての第1の通信装置100についてスペクトル割当が完了したときは、スペクトル割当処理を終了する。
【0074】
このように、送信電力・スペクトル割当決定部8aは、複数の第1の通信装置100のうち、もっとも減衰量が多く、最大の平均送信電力で送信する第1の通信装置100については、第1の実施形態と同様にして、平均送信電力、セグメントサイズおよびスペクトル割当を決定し、その他の第1の通信装置100については、減衰量に応じた平均送信電力にするとともに、セグメントサイズが同じか小さくなるようにして、セグメントサイズおよびスペクトル割当を決定するようにしたので、第1の通信装置100を複数有する無線通信システムにおいても、第1の実施形態と同様に。優れた伝送効率を得ることができる。
【0075】
[第3の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第3の実施形態における無線通信システムである移動体通信システムについて説明する。第3の実施形態における無線通信システムは、複数の移動局装置である第1の通信装置100と、基地局装置である第2の通信装置200bとを有する移動体通信システムである。本実施形態の無線通信システムは、最も平均送信電力の大きい第1の通信装置100からセグメントサイズを決定する点は、第2の実施形態における無線通信システムと同じだが、送信電力・スペクトル割当決定部8bが、第1の通信装置100の各々についてスペクトル割当を行う際に、スペクトル割当可能な周波数帯域をセグメントサイズ毎にサブチャネル化し、セグメントをこのサブチャネルに配置する点が異なる。
【0076】
図10は、本実施形態の無線通信システムにおけるサブチャネルの概念を説明する図である。同図は4サブキャリアを1セグメントとする場合のサブチャネルの概念を示している。同図に示されるように、割当可能な帯域全体をセグメントサイズ(4サブキャリア)毎に分割したサブチャネル(Sub1〜Sub8)に、セグメント化されたサブキャリアを配置する(Sub2、Sub4、Sub7)。この処理をセグメント化されうる全てのセグメントサイズで行い、最も受信品質Qが大きいセグメントサイズとスペクトル割当を選択する。
【0077】
図11は、本実施形態における第2の通信装置200bの構成を示す概略ブロック図である。第2の通信装置200bは、受信アンテナ1、無線部2、A/D変換部3、CP除去部4、パイロット分離部5、伝搬路特性・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8b、選択候補記憶部9、制御情報生成部10a、S/P変換部11、DFT部12、スペクトルデマッピング部13a、複数のユーザ毎信号処理部22a、送信部20、送信アンテナ21を具備する。ユーザ毎信号処理部22aは、等化部14、IDFT部15、P/S変換部16、復調部17、デインターリーブ部18、復号部19を具備する。図11において図8の各部に対応する部分には同一の符号(1〜5、6a、7a、9、10a、11、12、13a、14〜21、22a)を付け、その説明を省略する。
【0078】
送信電力・スペクトル割当決定部8bは、第1の通信装置100の各々についてスペクトル割当を行う際に、割当可能な周波数帯域全体をセグメントサイズ毎に分割したサブチャネルを単位とし、このサブチャネルに対してセグメント化されたサブキャリアを配置させる点のみが、第2の実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8a(図8)と異なる。ここで用いるセグメントサイズは、平均送信電力が最大の第1の通信装置100に対して決めたセグメントサイズである。
【0079】
図12は、本実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8bのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。第2の実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8aとの違いは、セグメントをサブキャリアに割り当てるスペクトル割当の際に、セグメントを配置する位置をサブキャリア単位からサブチャネル単位に変更した点と、セグメントサイズを小さくするステップがない点である。
【0080】
まず、送信電力・スペクトル割当決定部8bは、ステップS21において、推定された伝搬路特性あるいは距離減衰などから、第1の通信装置100の各々について減衰量を算出し、該減衰量に応じて決めた平均送信電力の高い順番に第1の通信装置100をソートしたスペクトル未割当のリストを生成する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8bは、ステップS22において、スペクトル未割当のリストの最上位の第1の通信装置100、すなわち平均送信電力が最も大きい第1の通信装置100のセグメントサイズ(および送信電力の低減量)とスペクトル割当を決定する。このステップS22におけるセグメントサイズとスペクトル割当は、第1の実施形態における図6のステップS1〜ステップS7と同様の処理により行われる。ただし、本実施形態のステップS22は、ステップS1〜S7と異なり、スペクトル割当の際に、セグメントを配置する位置がサブキャリア単位に限定されている。そして、送信電力・スペクトル割当決定部8bは、セグメントが配置されたサブチャネル、すなわち選択されたサブチャネルを選択可能なサブチャネルから外すとともに、スペクトル割当を決定した第1の通信装置100を、ステップS21にて生成したスペクトル未割当のリストから除く。
【0081】
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8bは、ステップS23において、上述のスペクトル未割当のリストの最上位の第1の通信装置100、すなわちスペクトル未割当の第1の通信装置100の中で最も送信電力が高い第1の通信装置100を選択する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8bは、ステップS24において、ステップS22にて決定したスペクトルサイズを用いて、選択可能なサブチャネルの中から最良の受信品質Qが得られるようなサブチャネルへのスペクトル割当を、ステップS23にて選択した第1の通信装置100に対して行う。
【0082】
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8bは、ステップS25において、ステップS21で生成したスペクトル未割当のリストから最上位の第1の通信装置100、すなわちステップS24にてスペクトル割当を行った第1の通信装置100を外し、選択されたサブチャネルも選択可能なサブチャネルから外す。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8bは、ステップS26において、スペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っているか否かにより、全ての第1の通信装置100のスペクトル割当が完了しているかどうかを判定し、完了していない、すなわちスペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っていると判定したときは、ステップS23に戻って、以降の処理を繰り返す。一方、ステップS26にて全ての第1の通信装置100の割当が完了している、すなわちスペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っていないと判定したときは、スペクトル割当処理を終了する。
【0083】
なお、本実施形態では、全ての第1の通信装置100に対して、セグメントサイズを同一にしてスペクトル割当(スケジューリング)がなされるため、スケジューリングの公平性の観点から、サブチャネル単位で順番にサブキャリアを第1の通信装置100に割り当ててもよい。例えば、使用サブキャリア数Nu=16、セグメントサイズS=4の場合、各第1の通信装置100に対して1サブチャネルの割当を順番に行うことを使用サブキャリア数NuをセグメントサイズSで割った4回繰り返して各第1の通信装置100に、使用サブキャリア数Nu=16のサブキャリアを割当てるようにしてもよく、本質的には同一である。
【0084】
このように、第2の通信装置200bは、送信電力・スペクトル割当決定部8bが、各第1の通信装置100についてスペクトル割当を行う際に、割当可能な周波数帯域全体をセグメントサイズ毎に分割したサブチャネルを単位とし、このサブチャネルに対してセグメント化されたサブキャリアを配置させるので、未割当のサブキャリアがセグメントサイズより細かくなり、スペクトル割当の処理が複雑になることを防ぎ、優れた伝送効率を得つつ、処理量を抑制することができる。
【0085】
[第4の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第4の実施形態における無線通信システムである移動体通信システムについて説明する。本実施形態における無線通信システムは、複数の移動局装置である第1の通信装置100と、基地局装置である第2の通信装置200cとを有する移動体通信システムである。
【0086】
第4の実施形態として、第1の通信装置100毎にセグメントサイズを決定する手法について説明する。この手法では、各第1の通信装置100のスペクトル割当を行う際に、第3の実施形態で述べたサブチャネルの概念を導入して、空き帯域の周波数方向の大きさが、前にスペクトル割当を行った第1の通信装置100におけるセグメントサイズよりも大きくなるようにする。これにより、サブチャネルのサイズと同じまたは小さいセグメントサイズであれば任意のセグメントサイズでの割当を可能とする。
【0087】
図13は、本実施形態における第2の通信装置200cの構成を示す概略ブロック図である。第2の通信装置200cは、受信アンテナ1、無線部2、A/D変換部3、CP除去部4、パイロット分離部5、伝搬路特性・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8c、選択候補記憶部9、制御情報生成部10a、S/P変換部11、DFT部12、スペクトルデマッピング部13a、複数のユーザ毎信号処理部22a、送信部20、送信アンテナ21を具備する。ユーザ毎信号処理部22aは、等化部14、IDFT部15、P/S変換部16、復調部17、デインターリーブ部18、復号部19を具備する。図13において図8の各部に対応する部分には同一の符号(1〜5、6a、7a、9、10a、11、12、13a、14〜21、22a)を付け、その説明を省略する。
【0088】
送信電力・スペクトル割当決定部8cは、第1の通信装置100の各々についてスペクトル割当を行う際に、割当可能な周波数帯域全体をセグメントサイズ毎に分割したサブチャネルを単位とし、このサブチャネルに対してセグメント化されたサブキャリアを配置させる点は、第3の実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8b(図11)と同じであるが、サブキャリアを配置する際のセグメントサイズを、前にスペクトル割当をした第1の通信装置100のセグメントサイズと同じか小さい値とする点が異なる。
【0089】
図14は、本実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8cのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。まず、送信電力・スペクトル割当決定部8cは、ステップS31において、推定された伝搬路特性あるいは距離減衰などから、第1の通信装置100の各々について減衰量を算出し、該減衰量に応じて決めた平均送信電力の高い順番に第1の通信装置100をソートしたスペクトル未割当のリストを生成する。
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8cは、ステップS32において、スペクトル未割当のリストの最上位の第1の通信装置100、すなわちスペクトル未割当の第1の通信装置100の中で平均送信電力が最も大きい第1の通信装置100のセグメントサイズ(および送信電力の低減量)とスペクトル割当を決定する。
【0090】
このステップS32におけるセグメントサイズとスペクトル割当は、第1の実施形態における図6のステップS1〜ステップS7と同様の処理により行われる。ただし、本実施形態のステップS32は、ステップS1〜S7と異なり、スペクトル割当の際に、セグメントを配置する位置が最初に決定されたセグメントサイズに基づくサブキャリア単位に限定されている。
【0091】
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8cは、ステップS33において、ステップS32にて決定されたセグメントサイズが、スペクトル未割当リスト上で1つ前にあった第1の通信装置100について決定されたセグメントサイズより大きいか否かを判定する。
送信電力・スペクトル割当決定部8cは、大きくないと判定したときは、ステップS32にて決定されたセグメントサイズおよびスペクトル割当を用いることとし、ステップS36に遷移する。一方、送信電力・スペクトル割当決定部8cは、ステップS33にて大きいと判定したときは、ステップS34に遷移して、スペクトル未割当リスト上で1つ前にあった第1の通信装置100について決定されたセグメントサイズをスペクトル未割当リストの最上位の第1の通信装置100のセグメントサイズに決定する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8cは、ステップS35において、ステップS34にて決定されたセグメントサイズで最良の受信品質Qが得られるような、選択可能なサブチャネルに対するスペクトル割当を行い、ステップS36に遷移する。
【0092】
そして、送信電力・スペクトル割当決定部8cは、ステップS36において、スペクトル未割当リストの最上位の第1の通信装置100に割当てられたサブチャネルを選択可能なサブチャネルから外し、割り当てられた第1の通信装置100をスペクトル未割当のリストから外す。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8cは、ステップS37において、スペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っているか否かにより、全ての第1の通信装置100のスペクトル割当が完了しているかどうかを判定し、完了していない、すなわちスペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っていると判定したときは、ステップS32に戻って、以降の処理を繰り返す。一方、ステップS37にて全ての第1の通信装置100の割当が完了している、すなわちスペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っていないと判定したときは、スペクトル割当処理を終了する。
【0093】
このように、第2の通信装置200cは、平均送信電力が大きい順に第1の通信装置100のスペクトル割当を行ない、平均送信電力が最大の第1の通信装置100のセグメントサイズをサブチャネルの大きさとし、その他の第1の通信装置100については、1つ前に決めた第1の通信装置100のセグメントサイズと同じか、小さいセグメントサイズのみを用いるようにしてスペクトル割当を決めるので、第3の実施形態と同様にサブチャネルを用いることでスペクトル割当の処理が複雑になることを防ぎ、処理量を抑制しつつ、サブチャネルの大きさと同じまたは小さいセグメントサイズを用いて優れた伝送効率を得ることができる。
【0094】
[第5の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第5の実施形態における無線通信システムである移動体通信システムについて説明する。本実施形態における無線通信システムは、複数の移動局装置である第1の通信装置100と、基地局装置である第2の通信装置200dとを有する移動体通信システムである。
【0095】
図15は、本実施形態における第2の通信装置200dの構成を示す概略ブロック図である。第2の通信装置200dは、受信アンテナ1、無線部2、A/D変換部3、CP除去部4、パイロット分離部5、伝搬路特性・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8d、選択候補記憶部9、制御情報生成部10a、S/P変換部11、DFT部12、スペクトルデマッピング部13a、複数のユーザ毎信号処理部22a、送信部20、送信アンテナ21を具備する。ユーザ毎信号処理部22aは、等化部14、IDFT部15、P/S変換部16、復調部17、デインターリーブ部18、復号部19を具備する。図15において図8の各部に対応する部分には同一の符号(1〜5、6a、7a、9、10a、11、12、13a、14〜21、22a)を付け、その説明を省略する。
【0096】
送信電力・スペクトル割当決定部8dは、前にセグメントサイズを決定した第1の通信装置100の平均送信電力と現在のセグメントサイズを決定する第1の通信装置100の減衰量に基づき決定された平均送信電力との差を、前に決定したセグメントサイズに対応付けて選択候補記憶部9が記憶している平均送信電力の低減量ΔPに加えた値よりも、小さい平均送信電力の低減量ΔPに対応付けて選択候補記憶部9が記憶しているセグメントサイズのうち、最も小さいセグメントサイズを、現在の第1の通信装置100のセグメントサイズとして決定する。
【0097】
例えば、前に決定されたセグメントサイズが「4」の場合について考える。まず、セグメントサイズ「4」に対応付けて選択候補記憶部9(表1)が記憶する平均送信電力の低減量ΔPは、「1.6dB」であり、セグメントサイズ「1」に対応付けて選択候補記憶部9(表1)が記憶する平均送信電力の低減量ΔPは、「2.9dB」である。このため、前に決定されたセグメントサイズが「4」のときにセグメントサイズ「1」を許容できる平均送信電力の差は「2.9dB」と「1.6dB」の差である「1.3dB」である。
【0098】
すなわち、セグメントサイズ4のk番目の第1の通信装置100に対し、次に平均送信電力が高いk’番目の第1の通信装置100のセグメントサイズを決定する際には、k番目の第1の通信装置100の平均送信電力よりもk’番目の第1の通信装置100の平均送信電力が「1.3dB」以上低い場合にはセグメントサイズを1に設定する。このとき、スペクトル未割当の残りの全ての第1の通信装置100のセグメントサイズは「1」となるため、交互にサブキャリアを割り当てるようにしてもよい。
また、同様に、セグメントサイズが「32」の場合、k’番目の第1の通信装置100の平均送信電力差が「1.7dB」であった場合には、「1.7dB」以下の平均送信電力の低減量ΔPが対応付けられているセグメントサイズの中で、最も小さいセグメントサイズの「4」を選択する。
【0099】
このように、平均送信電力の高い順にソートされた各第1の通信装置100の平均送信電力の差を計算してセグメントサイズを決定することで、送信電力の制限のある中で最もセルスループットを最大とするセグメントサイズを、各第1の通信装置100について決定することができる。
【0100】
なお、上述の送信電力・スペクトル割当決定部8dは、最も減衰量の大きな第1の通信装置100以外の第1の通信装置100については、該第1の通信装置100の減衰量に基づき平均送信電力を決定し、該平均送信電力よりも大きな平均送信電力を表す選択候補の中から選択した選択候補のセグメントサイズを用いることで、減衰量に基づき決定された平均送信電力を用いた時のピーク電力が、予め決められた閾値を(例えば99%の確率で)越えないセグメントサイズを用いるようにしている。したがって、上述のように前にセグメントサイズを決定した第1の通信装置100を基準にしてピーク電力が閾値を越えないセグメントの条件を決めるようにしてもよいし、最初にセグメントサイズを決定した第1の通信装置100を基準にして条件を決めるようにしてもよい。
【0101】
この場合は、最初にセグメントサイズを決定した第1の通信装置100の平均送信電力と現在のセグメントサイズを決定する第1の通信装置100の減衰量に基づき決定された平均送信電力との差を、最初に決定したセグメントサイズに対応付けて選択候補記憶部9が記憶している平均送信電力の低減量ΔPに加えた値よりも、小さい平均送信電力の低減量ΔPに対応付けて、選択候補記憶部9が記憶しているセグメントサイズのうち、最も小さいセグメントサイズを、現在の第1の通信装置100のセグメントサイズとして決定する。
【0102】
図16は、本実施形態における送信電力・スペクトル割当決定部8dのスペクトル割当処理の動作を説明するフローチャートである。まず、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、ステップS41において、推定された伝搬路特性あるいは距離減衰などから、第1の通信装置100の各々について減衰量を算出し、該減衰量に応じて決めた平均送信電力の高い順番に第1の通信装置100をソートしたスペクトル未割当のリストを生成する。
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、ステップS42において、スペクトル未割当のリストの最上位の第1の通信装置100、すなわち平均送信電力が最も大きい第1の通信装置100のセグメントサイズ(および送信電力の低減量)とスペクトル割当を決定する。このステップS42におけるセグメントサイズとスペクトル割当は、第1の実施形態における図6のステップS1〜ステップS7と同様の処理により行われる。
【0103】
次に、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、ステップS43において、割当てられたサブキャリアを他の第1の通信装置100に対して割当てる際に選択可能なサブキャリアから外し、さらに、割当てられた第1の通信装置100をステップS41にて生成したスペクトル未割当のリストから外す。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、ステップS44において、スペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っているか否かにより、全ての第1の通信装置100のスペクトル割当が完了しているかどうかを判定し、完了していない、すなわちスペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っていると判定したときは、ステップS45に遷移する。
【0104】
ステップS45では、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、スペクトル未割当のリストで最上位の第1の通信装置100の平均送信電力と、前にスペクトル割当を行った第1の通信装置100の平均送信電力との差を算出する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、ステップS46において、前にスペクトル割当を行った第1の通信装置100の平均送信電力の低減量ΔPとの差が、ステップS45にて算出した差よりも小さい低減量ΔPと対応付けて選択候補記憶部9が記憶するセグメントサイズのうち、最も小さいセグメントサイズを選択する。次に、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、ステップS46において、選択可能なサブキャリアに対して、スペクトル未割当のリストの最上位の第1の通信装置100のスペクトル割当を、ステップS46にて選択したセグメントサイズに従い行った後、ステップS43に戻って、以降の処理を繰り返すことで、全ての第1の通信装置100のスペクトル割当を行う。
【0105】
そして、送信電力・スペクトル割当決定部8dは、ステップS44において、スペクトル未割当のリストに第1の通信装置100が残っていないと判定したとき、すなわちスペクトル割当を行っていない第1の通信装置100がなくなったときは、処理を終了する。
このように本実施形態では、全ての第1の通信装置100において、ピーク電力が増幅器の線形領域の限界電力を越えないセグメントサイズのうち、スペクトル割当の自由度が最も高いセグメントサイズである最も小さなセグメントサイズを選択するので、無線通信システム全体の伝送効率、すなわちセルスループットを向上させることができる。
【0106】
なお、この処理部30は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、この処理部30はメモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、処理部30の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0107】
また、図1におけるスペクトルマッピング部36、制御部47、および図2における伝搬路特性・雑音分散推定部6、伝搬路特性デマッピング部7、送信電力・スペクトル割当決定部8、制御情報生成部10、スペクトルデマッピング部13、および図8における伝搬路特定・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8a、制御情報生成部10a、スペクトルデマッピング部13a、および図11における伝搬路特定・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8b、制御情報生成部10a、スペクトルデマッピング部13a、および図13における伝搬路特定・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8c、制御情報生成部10a、スペクトルデマッピング部13a、および図15における伝搬路特定・雑音分散推定部6a、伝搬路特性デマッピング部7a、送信電力・スペクトル割当決定部8d、制御情報生成部10a、スペクトルデマッピング部13aの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0108】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0109】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、移動体通信システムに用いて好適であるが、これに限定されない。
【符号の説明】
【0111】
1・・・受信アンテナ
2・・・無線部
3・・・A/D変換部
4・・・CP除去部
5・・・パイロット分離部
6、6a・・・伝搬路特性・雑音分散推進部
7、7a・・・伝搬路特性デマッピング部
8、8a、8b、8c、8d・・・送信電力・スペクトル割当決定部
9・・・選択候補記憶部
10、10a・・・制御情報生成部
11・・・S/P変換部
12・・・DFT部
13、13a・・・スペクトルデマッピング部
14・・・等化部
15・・・IDFT部
16・・・P/S変換部
17・・・復調部
18・・・デインターリーブ部
19・・・復号部
20・・・送信部
21・・・送信アンテナ
22a・・・ユーザ毎信号処理部
31・・・符号部
32・・・インターリーブ部
33・・・変調部
34・・・S/P変換部
35・・・DFT部
36・・・スペクトルマッピング部
37・・・IDFT部
38・・・P/S変換部
39・・・パイロット多重部
40・・・CP挿入部
41・・・D/A変換部
42・・・無線部
43・・・送信アンテナ
44・・・パイロット信号生成部
45・・・受信アンテナ
46・・・受信部
47・・・制御部
100・・・第1の通信装置
200、200a、200b、200c、200d・・・第2の通信装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DFT−s−OFDM信号を送信する第1の通信装置であって、
周波数信号を所定の数のセグメントにセグメント化し、該セグメント毎にサブキャリアに割り当てるスペクトルマッピング部と、
前記セグメント毎に前記サブキャリアに割り当てられ、生成されたDFT−s−OFDM信号を送信する送信部と、
前記所定の数毎に、前記DFT−s−OFDM信号を送信する送信電力の低減量を決定する制御部とを備えることを特徴とする第1の通信装置。
【請求項2】
前記所定の数は、少なくとも1と2とを含むことを特徴とする請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項3】
前記送信電力の低減量は、前記所定の数が1の場合よりも、前記所定の数が2以上の場合の方が大きくなることを特徴とする請求項1又は2に記載の第1の通信装置。
【請求項4】
前記スペクトルマッピング部は、前記周波数信号を少なくとも2以上のセグメントにセグメント化した場合、少なくとも2つの前記セグメントをそれぞれ分散配置することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の第1の通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、PAPR又はCMに基づいて、前記送信電力の低減量を決定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の第1の通信装置。
【請求項6】
前記スペクトルマッピング部は、前記DFT−s−OFDM信号を受信する第2の通信装置から送信される割当情報に基づいて、前記周波数信号をサブキャリアに割り当てることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の第1の通信装置。
【請求項7】
周波数信号を所定の数のセグメントにセグメント化し、該セグメント毎にサブキャリアに割り当てるステップと、
前記セグメント毎に前記サブキャリアに割り当てられ、生成されたDFT−s−OFDM信号を送信するステップと、
前記所定の数に基づいて、前記DFT−s−OFDM信号を送信する送信電力の低減量を決定するステップとを少なくとも含むことを特徴とする送信方法。
【請求項8】
第1の通信装置と第2の通信装置からなる通信システムであって、
前記第2の通信装置は、周波数信号をサブキャリアに割り当てる割当情報を送信し、
前記第1の通信装置は、前記第2の通信装置から送信された前記割当情報を受信し、前記周波数信号を所定の数のセグメントにセグメント化し、受信した前記割当情報に基づいて、該セグメント毎にサブキャリアに割り当て、DFT−s−OFDM信号を生成し、前記所定の数に基づいて前記DFT−s−OFDM信号を送信する送信電力の低減量を決定することを特徴とする通信システム。
【請求項1】
DFT−s−OFDM信号を送信する第1の通信装置であって、
周波数信号を所定の数のセグメントにセグメント化し、該セグメント毎にサブキャリアに割り当てるスペクトルマッピング部と、
前記セグメント毎に前記サブキャリアに割り当てられ、生成されたDFT−s−OFDM信号を送信する送信部と、
前記所定の数毎に、前記DFT−s−OFDM信号を送信する送信電力の低減量を決定する制御部とを備えることを特徴とする第1の通信装置。
【請求項2】
前記所定の数は、少なくとも1と2とを含むことを特徴とする請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項3】
前記送信電力の低減量は、前記所定の数が1の場合よりも、前記所定の数が2以上の場合の方が大きくなることを特徴とする請求項1又は2に記載の第1の通信装置。
【請求項4】
前記スペクトルマッピング部は、前記周波数信号を少なくとも2以上のセグメントにセグメント化した場合、少なくとも2つの前記セグメントをそれぞれ分散配置することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の第1の通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、PAPR又はCMに基づいて、前記送信電力の低減量を決定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の第1の通信装置。
【請求項6】
前記スペクトルマッピング部は、前記DFT−s−OFDM信号を受信する第2の通信装置から送信される割当情報に基づいて、前記周波数信号をサブキャリアに割り当てることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の第1の通信装置。
【請求項7】
周波数信号を所定の数のセグメントにセグメント化し、該セグメント毎にサブキャリアに割り当てるステップと、
前記セグメント毎に前記サブキャリアに割り当てられ、生成されたDFT−s−OFDM信号を送信するステップと、
前記所定の数に基づいて、前記DFT−s−OFDM信号を送信する送信電力の低減量を決定するステップとを少なくとも含むことを特徴とする送信方法。
【請求項8】
第1の通信装置と第2の通信装置からなる通信システムであって、
前記第2の通信装置は、周波数信号をサブキャリアに割り当てる割当情報を送信し、
前記第1の通信装置は、前記第2の通信装置から送信された前記割当情報を受信し、前記周波数信号を所定の数のセグメントにセグメント化し、受信した前記割当情報に基づいて、該セグメント毎にサブキャリアに割り当て、DFT−s−OFDM信号を生成し、前記所定の数に基づいて前記DFT−s−OFDM信号を送信する送信電力の低減量を決定することを特徴とする通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【公開番号】特開2012−235529(P2012−235529A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−178849(P2012−178849)
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【分割の表示】特願2010−510158(P2010−510158)の分割
【原出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【分割の表示】特願2010−510158(P2010−510158)の分割
【原出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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