説明

通信装置、通信システム、プログラム、及びデータ選択方法

【課題】通信装置間の距離に応じて送受信するデータを適宜選択すること。
【解決手段】複数のデータを記憶している記憶部と、無線通信装置との間の距離情報を取得する距離情報取得部と、前記距離情報取得部により取得された前記距離情報に基づいて前記記憶部に記憶されている前記複数のデータからのデータ選択を行うデータ選択部と、を備える、通信装置を提供する。前記距離情報取得部は、前記無線通信装置から受信する無線信号のうち雑音成分に関する所定の条件を満たすと判断される無線信号の電界強度に基づいて前記距離情報を推定して取得してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システム、プログラム、及びデータ選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近日、無線通信機能を備える通信装置を用いたサービスの一形態として、データ交換サービス、またはコンテンツ配信サービスが実用化されている。例えば、携帯ゲーム端末を用いた通信型ゲームにおいて、ある携帯ゲーム端末で取得したアイテムを無線通信により他の携帯ゲーム端末へ受け渡すことが行われている。また、例えば販売促進のための広告を目的として、特定の店舗等に設置した無線基地局から近傍に位置する通信端末へ広告コンテンツが配信されるといったサービスもある。
【0003】
こうしたデータ交換サービス、またはコンテンツ配信サービスにおいては、利用者の興味の度合い、あるいは利用者間の緊密さなどに応じて受け渡すデータを適宜選択することにより、サービス利用の促進や娯楽性の増加が期待される。そして、利用者の興味の度合い、あるいは利用者間の緊密さを測定するパラメータとして、無線通信を行う通信装置間の距離を使用することが考えられる。
【0004】
ここで、無線通信を行う通信装置が送信する無線信号の電界強度は、理想空間において、信号送信源である通信装置の近傍では距離の2乗または3乗に反比例し、非近傍では距離に反比例することが知られている。かかる無線信号の電界強度の特性は、例えばIEEE802.11bや11gなどの無線LAN(Local Area Network)規格においても成立する。かかる無線信号の電界強度の特性を利用して無線通信を行う通信装置間の距離を推定する技術が、例えば特許文献1に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−300918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、現実には、無線信号の電界強度は干渉フェージング、偏波性フェージング、及び跳躍性フェージングなどの影響を受ける。したがって、無線信号の電界強度は、一般的に、信号送信源である通信装置からの距離が一定であったとしても安定せずに変動し続ける。このため、従来の無線通信において通信装置間の距離を正確に推定することは困難であり、通信装置間の距離に応じたデータ交換サービス、またはコンテンツ配信サービスは実現されなかった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、通信装置間の距離に応じて送受信するデータを適宜選択することのできる、新規かつ改良された通信装置、通信システム、プログラム、及びデータ選択方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数のデータを記憶している記憶部と、他の無線通信装置との間の距離情報を取得する距離情報取得部と、前記距離情報取得部により取得された前記距離情報に基づいて前記記憶部に記憶されている前記複数のデータからのデータ選択を行うデータ選択部と、を備える通信装置が提供される。かかる構成によれば、距離情報取得部により取得された他の無線通信装置との間の距離情報に基づいて、記憶部に記憶されている複数のデータの中から、データ選択部がデータ選択を行う。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、通信装置を制御するコンピュータを、他の無線通信装置との間の距離情報を取得する距離情報取得部と、前記距離情報取得部により取得された前記距離情報に基づいて前記通信装置の記憶部に記憶されている複数のデータからのデータ選択を行うデータ選択部と、として機能させるためのプログラムが提供される。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、他の無線通信装置との間の距離情報を取得するステップと、取得された前記距離情報に基づいて前記通信装置の記憶部に記憶されている複数のデータからデータ選択を行うステップと、を含む通信装置におけるデータ選択方法が提供される。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数のデータを記憶している記憶部、無線通信装置との間の距離情報を取得する距離情報取得部、及び前記距離情報取得部により取得された前記距離情報に基づいて前記記憶部に記憶されている前記複数のデータからのデータ選択を行うデータ選択部、を備える通信装置と、前記通信装置との間で無線通信を行う前記無線通信装置と、を含む通信システムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明に係る通信装置、通信システム、プログラム、及びデータ選択方法によれば、通信装置間の距離に応じて送受信するデータを適宜選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
また、以下の順序にしたがって当該「発明を実施するための最良の形態」を説明する。
〔1〕通信システムの概要
〔2〕無線信号に基づく距離情報の推定
〔2−1〕無線通信装置のハードウェア構成
〔2−2〕無線通信装置の機能
〔2−3〕無線通信装置の動作
〔3〕距離情報に基づくデータ選択
〔3−1〕第1の実施形態
〔3−2〕第2の実施形態
〔3−3〕第3の実施形態
〔3−4〕第4の実施形態
〔4〕まとめ
【0015】
〔1〕通信システムの概要
まず、図1及び図2を参照して、本明細書にて説明する4つの実施形態に係る通信システムについて概略的に説明する。
【0016】
図1は、後述する第1、第2及び第3の実施形態に係る通信システム1の構成を示した説明図である。図1に示した通信システム1は、無線信号を介して相互に通信を行う通信装置として、無線通信装置20及び20’を含む。
【0017】
無線通信装置20及び20’は、互いに各種データを含む無線信号(テキストデータ、ストリーミングデータ、または測距パケットなど)を送受信することができる。各種データとしては、ゲーム内で使用されるアイテムやイベントなどのデータ、広告番組、音楽データ、映画、テレビジョン番組、ビデオプログラム、写真、文書、絵画及び図表などの映像データ、またはソフトフェアで用いる任意のデータなどが挙げられる。
【0018】
また、図1においては、無線通信装置20及び20’の一例として携帯型ゲーム機を示しているが、無線通信装置20及び20’は携帯型ゲーム機に限られない。例えば、無線通信装置20及び20’は、PC(Personal Computer)、家庭用映像処理装置(DVDレコーダ、ビデオデッキなど)、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)などであってもよい。さらに、無線通信装置20及び20’は、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、PDA(Personal Digital Assistants)、家庭用ゲーム機器、家電機器などの情報処理装置であってもよい。
【0019】
なお、無線通信装置20及び20’は、IEEE802.11bにおいて規定されている2.4GHz帯の周波数帯域を利用して無線通信を行っても、IEEE802.11a、g、及びnにおいて規定されている周波数帯域を利用して無線通信を行ってもよい。さらに、無線通信装置20及び20’は、IEEE802.15.4で規定されているようなZigBeeに則る動作をしてもよい。また、図1においては、通信システム1が、無線通信装置20及び20’が直接的に通信するアドホックモードである場合を示しているが、基地局を介して無線通信装置20及び20’通信を行うインフラストラクチャーモードであってもよい。さらに、通信システム1においては、1対1の無線通信のほか、1対多、多対多の無線通信を実現可能である。
【0020】
無線通信装置20または20’が送信する無線信号の電界強度は、干渉フェージング、偏波性フェージング、及び跳躍性フェージングなどの影響を受ける。干渉フェージングは、複数の経路を伝播して受信地点に到達した無線信号が受信地点において干渉を起こす現象である。また、偏波性フェージングは、無線信号の伝播の途中で偏波面の回転が起こり、受信地点で異なる偏波面の電波が干渉を起こす現象である。さらに、跳躍性フェージングは、地球をとりまく電離層の影響により干渉を起こす現象である。
【0021】
例えば、図1に示したように、無線通信装置20’が無線信号を送信する場合、無線通信装置20は、例えば直接波10A、反射波10B(物体11において反射)、及び回折波10Cとして無線信号を受信する。
【0022】
このため、無線通信装置20が無線通信装置20’から受信する無線信号の電界強度は常に変動する。特に、無線通信装置20及び20’の一例として示した携帯型ゲーム機の送信電力は低いため、フェージングの影響を受けやすい。したがって、ある無線通信装置は、所定期間中に受信した全ての無線信号の電界強度を利用しても、無線信号の送信元装置との距離を正確に推定することができなかった。
【0023】
次に、図2は、後述する第4の実施形態に係る通信システム2の構成を示した説明図である。図2に示した通信システム2は、無線通信装置30、中継装置32、及び通信装置34の3種類の通信装置を含む。
【0024】
無線通信装置30は、中継装置32との間で、各種データを含む無線信号(テキストデータ、ストリーミングデータ、または測距パケットなど)を送受信することができる。各種データとしては、ゲーム内で使用されるアイテムやイベントなどのデータ、広告番組、映画、テレビジョン番組、ビデオプログラム、写真、文書、絵画及び図表などの映像データ、またはソフトフェアで用いる任意のデータなどが挙げられる。
【0025】
無線通信装置30が中継装置32へ前述の各種データを送信すると、中継装置32はそれらデータを通信装置34へ中継する。また、通信装置34が各種データを中継装置32へ送信すると、中継装置32は同様にそれらデータを無線通信装置30へ中継する。
【0026】
ここで、図2においては、無線通信装置30の一例として携帯電話を示しているが、無線通信装置30は携帯電話に限られない。例えば、無線通信装置30は、無線通信装置20及び20’と同様、PC、家庭用映像処理装置、携帯型ゲーム機、PHS、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、PDA、家庭用ゲーム機器、または家電機器などの情報処理装置であってもよい。
【0027】
中継装置32は、無線通信装置の一形態であり、図2においては一例として無線通信用のアクセスポイントを示している。しかしながら、中継装置32は無線通信用のアクセスポイントに限られない。例えば、中継装置32は、無線基地局、または無線通信機能を有するルータなどの通信装置、若しくは無線通信装置30に関連して例示した情報処理装置などであってもよい。
【0028】
通信装置34は、無線通信装置30との間で中継装置32を介して通信を行う装置である。図2においては、一例として、通信装置34をPCなどの汎用コンピュータとして示している。しかしながら、通信装置34は汎用コンピュータに限られない。例えば、通信装置34は、例えばWEBサーバやアプリケーションサーバなどの情報処理装置、無線基地局の制御装置、または店舗や家庭内などに設置されるサーバ装置などであってもよい。
【0029】
中継装置32と通信装置34は、任意の通信ネットワークで接続される。両装置間を接続する通信ネットワークは、例えばインターネット、専用線、VPN(Virtual Private Network)、LAN(Local Area Network)、またはWAN(Wide Area Network)などであってもよい。また、両装置間を接続する通信ネットワークは、有線であっても無線であってもよい。
【0030】
無線通信装置30と中継装置32は、図1の無線通信装置20及び20’に関連して説明した任意の無線通信、例えばIEEE802.11bにおいて規定されている2.4GHz帯の周波数帯域を利用した無線通信を行う。このとき、無線通信装置30と中継装置32の間の無線信号の電界強度もまた、干渉フェージング、偏波性フェージング、及び跳躍性フェージングなどの影響を受けて常に変動する。したがって、例えば無線通信装置30が、所定期間中に受信した全ての無線信号の電界強度を利用しても、中継装置32との間の距離を当該無線信号を用いて正確に推定することができなかった。
【0031】
そこで、上記のような事情に鑑みて、次節で説明するような、無線信号に基づいて距離情報を推定する無線通信装置を創作するに至った。かかる無線通信装置によれば、無線信号の送信源との間の距離をより高い精度で推定することができる。以下、図1に示した無線通信装置20及び20’を例にとり、図3〜図16を参照しながら当該無線通信装置について説明する。なお、ここで説明する無線通信装置のハードウェア構成、機能、動作は、図2に示した通信システム2の各通信装置、及び他の形態の通信装置にも適用することができる。
【0032】
〔2〕無線信号に基づく距離情報の推定
〔2−1〕無線通信装置のハードウェア構成
図3は、無線通信装置20のハードウェア構成を示したブロック図である。無線通信装置20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ホストバス204と、ブリッジ205と、外部バス206と、インタフェース207と、入力装置208と、出力装置210と、ストレージ装置(HDD)211と、ドライブ212と、通信インタフェース215とを備える。
【0033】
CPU201は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って無線通信装置20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス204により相互に接続されている。
【0034】
ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。なお、必ずしもホストバス204、ブリッジ205及び外部バス206を分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0035】
入力装置208は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチ及びレバーなど利用者が情報を入力するための入力手段と、利用者による入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。無線通信装置20の利用者は、該入力装置208を操作することにより、無線通信装置20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0036】
出力装置210は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Display)装置及びランプなどの表示装置と、スピーカ及びヘッドホンなどの音声出力装置で構成される。出力装置210は、例えば、再生されたコンテンツを出力する。具体的には、表示装置は再生された映像データ等の各種情報をテキストまたはイメージで表示する。一方、音声出力装置は、再生された音声データ等を音声に変換して出力する。
【0037】
ストレージ装置211は、無線通信装置20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置及び記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置211は、ハードディスクを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。また、このストレージ装置211には、後述の、電界強度、ノイズフロアなどが利用者と関連付けて記録される。
【0038】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、無線通信装置20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203に出力する。
【0039】
通信インタフェース215は、例えば、通信網12に接続するための通信デバイス等で構成されたインタフェースである。また、通信インタフェース215は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。この通信インタフェース215は、他の無線通信装置20’との間で、無線信号を送受信する。
【0040】
なお、無線通信装置20’のハードウェア構成は、上述した無線通信装置20のハードウェア構成と実質的に同一にすることができるため、詳細な説明を省略する。
【0041】
〔2−2〕無線通信装置の機能
以上、図3を参照して無線通信装置20のハードウェア構成を説明した。続いて、無線通信装置20の機能を説明する。
【0042】
図4は、無線通信装置20の構成を示した機能ブロック図である。図4に示したように、無線通信装置20は、通信部216と、電界強度測定部220と、ノイズフロア測定部224と、記憶部228と、推定部232と、判断部236と、表示部240と、通信制御部244と、を備える。
【0043】
通信部216は、他の無線通信装置20’と、測距パケットやストリーミングデータなどの無線信号を送受信するインタフェースであって、送信部及び受信部としての機能を有する。
【0044】
他の無線通信装置20’は、測距パケットを生成し、定期的に無線通信装置20に送信する。測距パケットは、無線通信装置20が、無線通信装置20と無線通信装置20’との距離を測定するために利用するパケットである。他の無線通信装置20’が無線通信装置20に送信すべきデータがある場合には該データを測距パケットに含ませてもよい。また、かかる測距パケットは1Byte以上のデータ量を有する。なお、無線通信装置20は、測距パケットに限らず、テキストデータやストリーミングデータに基づいて無線通信装置20’との距離を推定することも可能である。
【0045】
また、通信部216は、測距パケットを受信する前に、無線通信装置20’の送信電力を示す装置情報を受信する。
【0046】
図5は、装置情報を含むパケットの構成例を示した説明図である。当該パケットは、図5に示したように、当該パケットのフォーマットバージョンの値である8Byteのバージョン41、当該パケットのデータ長42、及び装置情報32を含む。
【0047】
図6及び図7は、装置情報を含むパケットの具体例を示した説明図である。図6に示した例では、バージョン41が「1」であり、データ長42が「4」であり、装置情報32が「10mw」である。装置情報32として記載されている「10mw」は、無線通信装置20’が無線信号を送信する際の送信電力である。
【0048】
また、図7に示した例では、バージョン41が「1」であり、データ長42が「8」であり、装置情報32が「Model001」である。装置情報32として記載されている「Model001」は、無線通信装置20’または無線通信装置20’のアンテナの機種である。機種から無線通信装置20’の送信電力を特定することができる。
【0049】
このように、通信部216が無線通信装置20’の送信電力または機種などを含む装置情報を事前に受信することにより、推定部232が装置情報の内容に応じた方法で無線通信装置20’との距離を推定することが可能となる。なお、装置情報を含むパケットのフォーマットは、図5に示した例に限らず、無線通信装置20’のシリアルナンバーなど、無線通信装置20及び無線通信装置20’のアプリケーション(プログラム)の間で一意に認識できる形式であればよい。
【0050】
電界強度測定部220は、通信部216により受信された測距パケットの電界強度(受信強度)を測定する測定部としての機能を有する。電界強度測定部220は、API(Application Program Interface)、関数、無線ハードウェアに対応するドライバなどから電界強度を取得してもよい。
【0051】
ノイズフロア測定部224は、通信部216により受信された測距パケットに含まれるノイズレベルを示すノイズフロアを測定する。一般的に、ノイズフロアは、SN比と異なり、値が大きいほど電波環境が悪化し(雑音成分が大きい)、値が小さいほど電波環境が良好(雑音成分が小さい)であることを示す。ノイズフロア測定部224は、API(Application Program Interface)、関数、無線ハードウェアに対応するドライバなどからノイズフロアを取得してもよい。
【0052】
記憶部228は、電界強度測定部220により測定された測距パケットの電界強度、及びノイズフロア測定部224により測定された測距パケットのノイズフロア値を記憶する。また、記憶部228は、通信部216により事前に受信された装置情報と、後述の閾値N及び閾値F、または評価式などを対応付けて記憶している。
【0053】
なお、このような記憶部228は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリや、ハードディスク及び円盤型磁性体ディスクなどの磁気ディスクや、CD−R(Compact Disc Recordable)/RW(ReWritable)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)/RW/+R/+RW/RAM(Ramdam Access Memory)及びBD(Blu−Ray Disc(登録商標))―R/BD−REなどの光ディスクや、MO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。
【0054】
推定部232は、記憶部228に記憶されている電界強度及びノイズフロア値のうちで、判断部236により所定条件を満たすと判断された電界強度及びノイズフロア値を利用して無線通信装置20’との距離を推定する。以下、具体的に推定部232の機能を説明した後に、判断部236による判断について説明する。
【0055】
まず、推定部232は、判断部236により所定条件を満たすと判断された電界強度及びノイズフロア値の組を、測距データベースとして保持する。そして、以下の条件Aが成立した場合、測距評価値を算出する。
(条件A)
1.設定時間が経過
2.電界強度及びノイズフロア値の組が一定数増加
3.電界強度及びノイズフロア値の組の累積数が一定値を超過
上記1〜3のいずれか、または組合せ。
【0056】
ここで、測距評価値は、測距データベースに含まれる電界強度の平均値であっても、最新の電界強度であってもよい。推定部232は、例えば図8に示すように、測距評価値の大きさに応じて無線通信装置20及び20’間の距離を推定する。
【0057】
図8は、測距評価値と推定距離との関係を示した説明図である。図8に示したように、推定部232は、測距評価値が閾値Fより小さい場合に無線通信装置20及び20’間の距離が遠距離であると推定する。また、推定部232は、測距評価値が閾値Nより大きい場合に無線通信装置20及び20’間の距離が近距離であると推定する。さらに、推定部232は、測距評価値が閾値F以上、閾値N以下である場合に無線通信装置20及び20’間の距離が中距離であると推定する。
【0058】
なお、閾値N及び閾値Fは、装置情報と対応付けて記憶部228に記憶されていてもよい。この場合、推定部232は、無線通信装置20’から事前に受信されている装置情報に対応する閾値N及び閾値Fを記憶部228から抽出して利用してもよい。相対的に送信電力が高いことを示す装置情報に対応付けられている閾値N及び閾値Fは、相対的に大きな値であることが想定される。
【0059】
また、閾値N及び閾値Fでなく、図9に示すように、測距評価値を算出するための評価式が装置情報と対応付けて記憶部228に記憶されていてもよい。
【0060】
図9は、記憶部228に装置情報と評価式が対応付けて記憶されている例を示した説明図である。具体的には、装置情報「Model001」には評価式1が対応付けられ、装置情報「Model002」には評価式2が対応付けられている。装置情報「Model003」及び装置情報「Model004」についても同様に評価式が対応付けられている。
【0061】
例えば評価式1は、(直近3つの電界強度の加算値)/3、
評価式2は、(直近3つの電界強度の加算値)/4、
であってもよい。
【0062】
アンテナの形状、商品の形状、または送信電力などは無線通信装置20’ごとに異なるため、無線通信装置20における電界強度のみからでは無線通信装置20及び20’間の距離を正確に推定することが困難であった。そこで、上記のように装置情報と閾値N及びFや評価式などを対応付けて記憶部228に記憶させておくことにより、推定部232が無線通信装置20’に応じた距離推定を行なうことができる。
【0063】
判断部236は、記憶部228に記憶されている電界強度及びノイズフロア値の組が所定条件を満たすか否かを判断する。ここで、ノイズフロア値が上限設定値を上回っている場合、通信部216による測距パケットの受信環境が著しく悪化していると考えられる。また、ノイズフロア値が下限設定値を下回っている場合、通信部216による測距パケットの受信環境が一時的に過度に良好であると考えられる。したがって、ノイズフロア値が下限設定値を上回っており、かつ、上限設定値を下回っている場合、通信部216による測距パケットの受信環境が定常状態に近いと想定される。
【0064】
そこで、判断部236は、電界強度及びノイズフロア値の組のうちで、ノイズフロアの値が、下限設定値以上、上限設定値以下の範囲内である組が所定条件を満たすと判断し、推定部232が保持する測距用データベースに追加する。すなわち、判断部236は、記憶部228に記憶されている電界強度及びノイズフロア値の組から、推定部232に利用させる電界強度及びノイズフロア値の組をフィルタリングする。なお、判断部236は、記憶部228に電界強度及びノイズフロアの組が記録される際にフィルタリングを行ってもよい。図10及び図11を参照し、判断部236によるフィルタリングの様子を説明する。
【0065】
図10は、無線通信装置20及び20’間の距離と電界強度の判断部236によるフィルタリング前の具体例を示した説明図である。より詳細には、図10は、無線通信装置20及び20’間の距離を複数の距離に変更し、各距離に維持していた間に得られた電界強度を示している。図10に示したように、判断部236によるフィルタリング前は、無線通信装置20及び20’間の距離が同一であっても、得られる電界強度に幅があることが分かる。
【0066】
図11は、無線通信装置20及び20’間の距離と電界強度の判断部236によるフィルタリング後の具体例を示した説明図である。図11に示したように、判断部236によるフィルタリング後は、無線通信装置20及び20’間の距離が同一であるときに得られる電界強度の幅が、判断部236によるフィルタリング前より小さくなっていることが分かる。
【0067】
このように、推定部232が利用する電界強度を判断部236がノイズフロア値に基づいてフィルタリングすることにより、推定部232が信頼性の高い電界強度に基づいて無線通信装置20及び20’間の距離を推定することができる。その結果、推定部232による距離推定の精度の向上が期待される。以下、図12を参照して推定部232による距離推定の具体例を説明する。
【0068】
図12は、推定部232による距離推定の具体例を示した説明図である。ここで、条件Aを、電界強度及びノイズフロア値の組が3つ以上測距データベースに蓄積されたこととし、判断部236がフィルタリングに際して利用する下限設定値を50、上限設定値を70とする。推定部232は、過去3つの電界強度を平均して測距評価値を算出し、閾値F=10、閾値N=30であるとする。
【0069】
図12に示したように、まず、無線通信装置20は測距パケット51を受信する。そして、無線通信装置20は、測距パケット51の電界強度を10db/mと測定し、ノイズフロアを70と測定する。測距パケット51のノイズフロアは判断部236による所定条件を満たすため、測距パケット51の電界強度及びノイズフロアの組は推定部232に測距データベースとして保持される。しかし、推定部232に測距データベースとして保持されている電界強度及びノイズフロアの組が3つに達していないため、推定部232は、条件Aを満たさず無線通信装置20’との距離が不明であると結論付ける。
【0070】
続いて、無線通信装置20は測距パケット52を受信する。そして、無線通信装置20は、測距パケット52の電界強度を10db/mと測定し、ノイズフロアを70と測定する。測距パケット52のノイズフロアは判断部236による所定条件を満たすため、測距パケット52の電界強度及びノイズフロアの組は推定部232に測距データベースとして保持される。しかし、推定部232に測距データベースとして保持されている電界強度及びノイズフロアの組が3つに達していないため、推定部232は、条件Aを満たさず無線通信装置20’との距離が不明であると結論付ける。
【0071】
その後、無線通信装置20は測距パケット53を受信する。そして、無線通信装置20は、測距パケット53の電界強度を9db/mと測定し、ノイズフロアを70と測定する。測距パケット53のノイズフロアは判断部236による所定条件を満たすため、測距パケット53の電界強度及びノイズフロアの組は推定部232に測距データベースとして保持される。さらに、推定部232に測距データベースとして保持されている電界強度及びノイズフロアの組が3つに達したため、推定部232は、測距評価値=(10+10+9)/3=9.666・・・と算出する。この測距評価値は、閾値Fより小さいため、推定部232は無線通信装置20’との距離が遠距離であると推定する。
【0072】
さらに、無線通信装置20は測距パケット54を受信する。そして、無線通信装置20は、測距パケット54の電界強度を11db/mと測定し、ノイズフロアを90と測定する。測距パケット54のノイズフロアは判断部236による所定条件(上限設定値70を超える)を満たさないため、測距パケット54の電界強度及びノイズフロアの組は推定部232により利用されない。しかし、推定部232に測距データベースとして保持されている電界強度及びノイズフロアの組が3つに達しているため、推定部232は、測距評価値=(10+10+9)/3=9.666・・・と算出する。この測距評価値は、閾値Fより小さいため、推定部232は無線通信装置20’との距離が遠距離であると推定する。
【0073】
次に、無線通信装置20は測距パケット55を受信する。そして、無線通信装置20は、測距パケット55の電界強度を17db/mと測定し、ノイズフロアを65と測定する。測距パケット55のノイズフロアは判断部236による所定条件を満たすため、測距パケット55の電界強度及びノイズフロアの組は推定部232に測距データベースとして保持される。さらに、推定部232に測距データベースとして保持されている電界強度及びノイズフロアの組が3つに達しているため、推定部232は、測距評価値=(10+9+17)/3=12と算出する。この測距評価値は、閾値Fより大きく、閾値Nより小さいため、推定部232は無線通信装置20’との距離が中距離であると推定する。
【0074】
詳細な説明は省略するが、さらに測距パケット56〜58を受信すると、推定部232は同様にして動作し、無線通信装置20’との距離が近距離に近接したと推定することができる。推定部232により推定された無線通信装置20’との距離は、表示部240に表示されてもよい。また、推定部232により推定された無線通信装置20’との距離は、任意のアプリケーションに活用されてもよい。
【0075】
ここで、図4を参照して無線通信装置20の構成の説明に戻ると、通信制御部244は、通信部216による測距パケットの送信を制御する制御部としての機能を有する。以下、このような通信制御部244を設けた趣旨及び詳細な機能を説明する。
【0076】
図12を参照して説明したように、無線通信装置20は無線通信装置20’から測距パケットを受信することにより無線通信装置20’との距離を推定することができる。さらに、無線通信装置20’が無線通信装置20との距離を推定するためには、無線通信装置20から測距パケットを送信する方法が考えられる。
【0077】
しかし、無線通信装置20が、無線通信装置20’が電波到達範囲に存在しないにも拘らず単に所定周期で測距パケットを送信するとすれば、不要に帯域を消費してしまうことになる。
【0078】
ここで、無線通信装置20が無線通信装置20’から測距パケットを受信できたということは、無線通信装置20’が無線通信装置20の電波到達範囲内に存在する可能性が高い。一方、無線通信装置20が無線通信装置20’から測距パケットを受信できないということは、無線通信装置20’が無線通信装置20の電波到達範囲内に存在しない、または、電波状況悪化によるパケットの損失の可能性が高い。
【0079】
そこで、例えば無線通信装置20’をクライアントとして捉え、無線通信装置20をサーバとして捉え、通信制御部244は、無線通信装置20’から測距パケットが受信されると通信部216に測距パケットを送信させることとした。なお、無線通信装置20’は測距パケットを所定周期(例えば、100ms周期)で送信するものとする。
【0080】
かかる構成により、通信制御部244が、測距パケットの受信に応じて通信部216に無線信号を送信させることにより、無線通信装置20’に到達しない測距パケットの送信を控え、利用する通信帯域量を抑制することができる。このような通信制御部244により制御される無線通信の具体例を図13に示す。
【0081】
図13は、通信制御部244により制御される無線通信の具体例を示した説明図である。図13に示したように、無線通信装置20’は定期的に測距パケット61a、62a、63a、64aを送信する。無線通信装置20は、測距パケット61aの受信をトリガーに測距パケット61bを送信する。また、無線通信装置20は、測距パケット62aの受信をトリガーに測距パケット62bを送信する。
【0082】
一方、無線通信装置20’が送信した測距パケット63aは無線通信装置20に到達しなかったため、無線通信装置20は測距パケット63aに応じる測距パケットを送信しない。その後、無線通信装置20は、測距パケット64aの受信をトリガーに測距パケット64bを送信する。なお、無線通信装置20は、測距パケットの返信と、受信した測距パケットの電界強度及びノイズフロアの記憶部228への記録を先に行なってもよいし、並列的に行なってもよい。また、通信制御部244は、測距パケットを生成する機能を有してもよい。
【0083】
なお、無線通信装置20’にも、無線通信装置20と実質的に同一の機能を実装することができるため、無線通信装置20’の詳細な機能の説明を省略する。
【0084】
〔2−3〕無線通信装置の動作
以上、図3〜図13を参照して無線通信装置20の機能を説明した。続いて、図14〜図16を参照し、無線通信装置20及び無線通信装置20’において実行される距離推定方法を説明する。
【0085】
図14は、送信側の無線通信装置20’の動作の流れを示したフローチャートである。図14に示したように、まず、無線通信装置20’は、自装置の装置情報を取得すると(S304)、装置情報を受信先の無線通信装置20へ送信する(S308)。
【0086】
その後、無線通信装置20’は、測距パケットを生成し(S312)、測距パケットを受信先の無線通信装置20へ送信する(S316)。そして、無線通信装置20’は、送信した測距パケットに対する返信として無線通信装置20から測距パケットを受信した場合(S320)、受信した測距パケットの電界強度を測定する(S324)。また、無線通信装置20’は、受信した測距パケットのノイズフロアを取得する(S328)。そして、無線通信装置20’は、記憶部(図4の記憶部228に対応)に電界強度及びノイズフロアを記録する(S332)。
【0087】
また、無線通信装置20’は、測距パケットを受信先の無線通信装置20へ送信した後に(S316)、返信として無線通信装置20から測距パケットを受信しなかった場合(S320)、タイマーが終了したか否かを判断する(S336)。無線通信装置20’は、タイマーが終了していた場合にはS312からの処理を繰り返し、タイマーが終了していない場合にはS320からの処理を繰り返す。
【0088】
図15及び図16は、受信側の無線通信装置20の動作の流れを示したフローチャートである。図15に示したように、まず、無線通信装置20は無線通信装置20’から無線通信装置20’の装置情報を受信する(S404)。そして、推定部232は、受信された装置情報に記憶部228において対応付けて記憶されている閾値N及びF、または評価式に、閾値N及びF、または評価式を設定する(S408)。
【0089】
そして、無線通信装置20は、無線通信装置20’から測距パケットを受信した場合(S412)、通信制御部244が通信部216に返信パケットとして測距パケットを送信させる(S416)。また、電界強度測定部220は受信した測距パケットの電界強度を測定し(S420)、ノイズフロア測定部224は受信した測距パケットのノイズフロアを取得する(S424)。そして、記憶部228に電界強度及びノイズフロアが記録される(S428)。
【0090】
その後、図16に示したように、推定部232は、記憶部228に記憶されている電界強度及びノイズフロアの組を取得する(S450)。続いて、判断部236が、各電界強度及びノイズフロアの組に含まれるノイズフロアの値が下限設定値より大きく、上限設定値より小さいか否かを判断する(S454)。そして、判断部236は、上限設定値より小さいと判断されたノイズフロアと組になる電界強度を推定部232に利用させるデータとして抽出し、推定部232に測距用データベースとして保持させる。(S458)。
【0091】
さらに、推定部232は、上述した条件Aが満たされているか否かを判断し、条件Aが満たされている場合、測距用データベース及び設定されている評価式に従って測距評価値を算出する(S466)。そして、推定部232は、測距評価値が閾値Fより小さい場合(S470)、無線通信装置20’と遠距離の関係にあると推定する(S486)。
【0092】
一方、推定部232は、測距評価値が閾値Fより大きく(S470)、閾値Nより小さい場合(S474)、無線通信装置20’と中距離の関係にあると推定する(S482)。さらに、推定部232は、測距評価値が閾値Fより大きく(S470)、閾値Nより大きい場合(S474)、無線通信装置20’と近距離の関係にあると推定する(S478)。
【0093】
以上説明したように、一例として、判断部236は、記憶部228に記憶されている電界強度及びノイズフロア値の組が所定条件を満たすか否かを判断する。ここで、ノイズフロア値が上限設定値を上回っている場合、通信部216による測距パケットの受信環境が著しく悪化していると考えられる。また、ノイズフロア値が下限設定値を下回っている場合、通信部216による測距パケットの受信環境が一時的に過度に良好であると考えられる。したがって、ノイズフロア値が下限設定値を上回っており、かつ、上限設定値を下回っている場合、通信部216による測距パケットの受信環境が定常状態に近いと想定される。
【0094】
そこで、上記のように、ノイズフロア値が下限設定値を上回っており、かつ、上限設定値を下回っている場合に判断部236が上記所定条件を満たすと判断することにより、推定部232が定常状態に近いと想定される電界強度に基づいて無線通信装置20’との距離を推定することができる。その結果、当該無線通信装置20は、無線通信装置20’との距離をより高い精度でリアルタイムに推定することが可能である。
【0095】
また、通信制御部244が、測距パケットの受信に応じて通信部216に無線信号を送信させることにより、無線通信装置20’に到達しない測距パケットの送信を控え、利用する通信帯域量を抑制することができる。
【0096】
次に、ここまでの説明に従って無線信号に基づいて推定した距離情報に応じて、送受信するデータを適宜選択するための4つの実施形態を、図17〜図26を参照しながら説明する。
【0097】
〔3〕距離情報に基づくデータ選択
〔3−1〕第1の実施形態
まず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態に係る通信システム1は、図1に示したように、無線通信装置20及び20’により構成される。本実施形態では、無線通信装置20’からの無線信号を受信した無線通信装置20が無線通信装置20’との間の距離情報を推定し、当該距離情報に基づいて無線通信装置20がデータを選択する。
【0098】
図17は、本実施形態に係る無線通信装置20及び20’の論理的な機能配置を示した機能ブロック図である。図17に示したように、無線通信装置20は、通信部216と、記憶部228と、表示部240と、通信制御部244と、距離情報取得部250と、データ選択部260と、を備える。
【0099】
通信部216は、無線通信装置20’との間で測距パケットやデータなどの無線信号を送受信するインタフェースであって、送信部及び受信部としての機能を有する。
【0100】
記憶部228は、図12に関連して説明した距離推定のための電界強度、ノイズフロア値、閾値や評価式などと対応付けられた装置情報などを記憶するほか、データ選択部260が距離情報に基づいて選択する複数のデータを記憶している。記憶部228は、距離情報に基づいて選択する複数のデータを、各データの属性と距離情報とを関連付けて記憶していてもよい。また、記憶部228は、データ選択のための入力情報として用いる初期データごとに、距離情報に応じて選択すべきデータを記憶していてもよい。記憶部228におけるデータ記憶の例については、図18及び図25を用いて後に詳しく説明する。
【0101】
表示部240は、距離情報取得部250によって取得された距離情報、またはデータ選択部260によって選択されたデータなどを、出力装置210へ表示させる。
【0102】
通信制御部244は、前述したように、通信部216による測距パケットの送受信を制御する制御部としての機能を有する。
【0103】
距離情報取得部250は、本実施形態では、電界強度測定部220、ノイズフロア測定部224、推定部232、及び判断部236を備え、図3〜図16に関連して説明した手法を用いて無線信号に基づいて無線通信装置20’との間の距離情報を推定して取得する。なお、電界強度測定部220、ノイズフロア測定部224、推定部232、及び判断部236と他の構成要素は図4に示したようにそれぞれ接続されるが、図面の明瞭さの観点から、図17ではそうした接続関係を図示することを省略している。
【0104】
データ選択部260は、距離情報取得部250の取得した距離情報に基づいて、記憶部228に記憶されている複数のデータからデータを選択する。データ選択部260におけるデータ選択処理については、後に詳しく説明する。
【0105】
一方、図17に示したように、無線通信装置20’は、通信部216’と、記憶部228’と、通信制御部244’と、データ転送部270’と、を備える。
【0106】
通信部216’及び通信制御部244’は、前述した通信部216及び通信制御部244と同様の機能をそれぞれ有する。記憶部228’は、例えば無線通信装置20のデータ選択部260がデータを選択する際に入力情報として用いる初期データを記憶している。データ転送部270’は、例えば前述の初期データを記憶部228’から取得し、通信部216’を介して無線通信装置20へ転送する。
【0107】
図18は、一例として、無線通信装置20の記憶部228が複数のデータを記憶している様子を示している。図18を参照すると、記憶部228は、ゲーム内で使用されるアイテムを識別する識別子(“ITXX”という文字列。XXは数字。)を二次元の表形式でデータとして記憶している。表形式の左端の列には、データ選択の入力情報として用いられる初期データが記憶されている。また、左から2番目、3番目、4番目の各列にはそれぞれ、距離情報としての遠距離、中距離、近距離という区分に関連付けられたデータが記憶されている。
【0108】
より具体的には、図18では、初期データ“IT01”に対して、遠距離の区分に“IT01”、中距離の区分に“IT11”、近距離の区分に“IT21”というアイテム識別子が記憶されている。また、初期データ“IT02”に対しては、遠距離の区分に“IT02”、中距離の区分に“IT12”、近距離の区分に“IT22”
が記憶されている。初期データ“IT03”に対しては、遠距離の区分に“IT03”、中距離の区分に“IT13”、近距離の区分に“IT23”が記憶されている。
【0109】
ここで、距離の区分ごとに記憶されている各アイテム識別子に、説明の便宜上、アイテムの属性値を意味する括弧書きの文字を付している。例えば、アイテム識別子がゲーム内で用いられる武器アイテムを示している場合には、武器アイテムの攻撃力をアイテムの属性と考えることができる。図18では、アイテムの属性として攻撃力を例にとり、属性値を“強”、“中”、“弱”の3つの範囲に分けて表している。
【0110】
図18に示したようなデータの記憶形式を用いると、例えば無線通信装置間で初期データ“IT01”の武器アイテムを受け渡そうとしたときに、装置間の距離が遠距離であれば、攻撃力の弱い武器アイテム“IT01”を選択することができる。これに対し、装置間の距離が中距離であれば中程度の攻撃力を持つ武器アイテム“IT11”を、装置間の距離が近距離であれば強い攻撃力を持つ武器アイテム“IT21”を選択することができる。
【0111】
このように、各データの属性と距離情報とを関連付けて記憶しておくことにより、無線通信装置間の距離情報に応じて受け渡すデータを適宜選択することができる。また、距離情報が相対的に遠い距離を示している場合には第1の範囲に含まれる属性値(例えば弱い攻撃力)を有するデータを選択し、相対的に近い距離を示している場合には第2の範囲に含まれる属性値(例えば強い攻撃力)を有するデータを選択してもよい。そうした場合には、例えば利用者間の緊密さなどに応じて属性値の異なるデータが選択され、より娯楽性の高いゲームを提供することが可能となる。
【0112】
ここで、第4の実施形態に関連して後に説明するように、距離情報のみに基づいて選択するデータを決定できる場合には、記憶部228は初期データを記憶していなくてもよい。また、初期データは、例えば何らかの理由により距離情報が取得されなかったときに選択されるデータであってもよい。
【0113】
また、記憶部228に記憶されるデータは、図18に示したようなアイテムの識別子に限られない。例えば、データの保存場所を指し示すURL(Uniform Resource Locator)を記憶部228に記憶していてもよい。さらに、複数のデータと関連付ける距離情報は、図18に示したような3段階の距離の区分に限られない。例えば、2段階または4段階以上の距離の区分を用いてもよい。その代わりに、距離の区分ではなく、推定された距離情報から所定の計算式によって導かれる情報、または距離情報の経時的変化に関する情報などを複数のデータと関連付けてもよい。
【0114】
図19は、本実施形態においてデータ送信側となる無線通信装置20’、及びデータ受信側となる無線通信装置20の動作の流れを示したフローチャートである。
【0115】
図19に示したように、まず、無線通信装置20’のデータ転送部270’は、自装置の記憶部228’に記憶されている初期データを取得する(S504)。このようなデータ転送部270’による初期データ取得処理は、例えば無線通信装置20’の利用者による操作、または無線通信装置20からの所定の信号の受信などをきっかけとして開始することができる。
【0116】
次に、無線通信装置20’の通信制御部244’は、無線通信装置20へ向けて測距データを送信する(S508)。ここで、測距データとは、前節で説明した距離推定方法に用いられるデータであって、典型的には前述の測距パケットに該当する。また、測距データには、例えば無線信号の送信源の装置情報などを含んでもよい。測距データの送信処理は、図14に関連して詳細に説明した装置情報取得(S304)から測距パケット送信(S316)までの処理に該当する。測距データの送信処理については、ここでは説明を省略する。さらに、無線通信装置20’のデータ転送部270’は、S504で取得した初期データを無線通信装置20へ送信する(S512)。ここで、データ送信側の処理において、初期データ取得(S504)を測距データ送信(S508)の後に行ってもよい。また、初期データ送信(S512)を測距データ送信(S508)の前に行ってもよく、その代わりに測距データ送信処理の中で測距パケットに初期データを含めて同時に送信してもよい。
【0117】
図19に示したように、無線通信装置20’から送信された測距データは、無線通信装置20によって受信される(S554)。無線通信装置20における測距データの受信処理(S554)は、図15に関連して詳細に説明した装置情報受信(S404)から電界強度及びノイズフロア記録(S428)までの処理に該当する。測距データの受信処理については、ここでは説明を省略する。さらに、無線通信装置20’から送信された初期データは、無線通信装置20の通信部216に受信され、データ選択部260へと受け渡される(S558)。
【0118】
その後、無線通信装置20の距離情報取得部250が、無線通信装置20’から受信した測距データ、即ち測距パケット及び装置情報などを用いて、無線通信装置20’との間の距離情報を推定して取得する(S562)。無線通信装置20の距離情報取得部における距離情報の推定処理(S562)は、図16に関連して詳細に説明した電界強度及びノイズフロア取得(S450)から距離推定(S486)までの処理に該当する。距離情報の推定処理については、ここでは説明を省略する。距離情報取得部250にて推定された距離情報は、データ選択部260へと受け渡される。なお、データ受信側の処理において、測距データ受信(S554)を初期データ受信(S558)の後に行ってもよい。また、初期データ受信(S558)を距離情報推定(S562)の後に行ってもよい。
【0119】
初期データが受信され(S558)、距離情報が取得されると(S562)、データ選択部260は、受け渡された距離情報及び初期データに対応するデータを、記憶部228が記憶している複数のデータから選択する(S566)。例えば、図18に示したように記憶部228にデータが記憶されている場合には、初期データが“IT01”、無線通信装置20と無線通信装置20’との間の距離が近距離であると推定されると、データ選択部260は“IT21”を選択する。
【0120】
データ選択部260が距離情報及び初期データに基づいて選択したデータは、選択済みデータとして表示部240に出力され、または記憶部228により記憶される(S570)。
【0121】
以上説明したように、第1の実施形態では、データを受信する無線通信装置20に距離情報取得部250を設ける。そして、当該距離情報取得部250は、無線通信装置20’から受信する無線信号のうち雑音成分に関する所定の条件を満たすと判断される無線信号の電界強度に基づいて距離情報を推定して取得する。また、無線通信装置20の記憶部228には、複数のデータを距離情報と関連付けて記憶している。それにより、無線通信装置20は、距離情報と関連付けて記憶された複数のデータの中から、無線通信装置20’との間の推定された距離情報を用いて適宜データを選択することができる。
【0122】
また、無線通信装置20の記憶部228が複数のデータを初期データごとに距離情報と関連付けて記憶している場合には、データ選択部260は無線通信装置20’から受信する初期データと前記距離情報とに基づいて適宜データを選択することができる。
【0123】
〔3−2〕第2の実施形態
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る通信システム1は、第1の実施形態と同様、図1に示したような無線通信装置20及び20’により構成される。本実施形態では、無線通信装置20’からの無線信号を受信した無線通信装置20が無線通信装置20’との間の距離を推定し、当該距離情報に基づいて無線通信装置20がデータを選択し、さらに選択したデータを無線通信装置20’へ送信する。
【0124】
図20は、本実施形態に係る無線通信装置20及び20’の論理的な機能配置を示した機能ブロック図である。図20に示したように、無線通信装置20は、通信部216と、記憶部228と、通信制御部244と、距離情報取得部250と、データ選択部260と、を備える。
【0125】
通信部216及び通信制御部244は、第1の実施形態に関連して説明した内容と同様の機能を有する。記憶部228は、前述したように距離推定のための電界強度、ノイズフロア値、または閾値や評価式などと対応付けられた装置情報を記憶するほか、距離情報に基づいて選択される複数のデータ、及び必要に応じてデータ選択に用いられる初期データを記憶している。
【0126】
距離情報取得部250は、本実施形態では、電界強度測定部220、ノイズフロア測定部224、推定部232、及び判断部236を備え、図3〜図16に関連して説明した手法を用いて無線信号に基づいて無線通信装置20’との間の距離情報を推定して取得する。なお、電界強度測定部220、ノイズフロア測定部224、推定部232、及び判断部236と他の構成要素は図4に示したようにそれぞれ接続されるが、図面の明瞭さの観点から、図20ではそうした接続関係を図示することを省略している。
【0127】
データ選択部260は、距離情報取得部250の取得した距離情報に基づいて、記憶部228に記憶されている複数のデータからデータを選択する。
【0128】
一方、図20に示したように、無線通信装置20’は、通信部216’と、記憶部228’と、表示部240’と、通信制御部244’と、データ受信部280’と、を備える。
【0129】
無線通信装置20’の記憶部228’は、例えば無線通信装置20から受信した選択済みデータの記憶などを行う。データ受信部280’は、例えば前述の選択済みデータを通信部216’を介して無線通信装置20から受信し、表示部240’または記憶部228’へ出力する。無線通信装置20’のその他の構成要素は、第1の実施形態に関連して説明した内容と同様の機能を有する。
【0130】
図21は、本実施形態においてデータ送信側となる無線通信装置20、及びデータ受信側となる無線通信装置20’の動作の流れを示したフローチャートである。
【0131】
図21に示したように、まず、無線通信装置20’の通信制御部244’は、無線通信装置20へ向けて測距データを送信する(S654)。測距データの送信処理は、第1の実施形態と同様、図14に関連して詳細に説明した装置情報取得(S304)から測距パケット送信(S316)までの処理に該当する。
【0132】
無線通信装置20においては、まずデータ選択部260が、例えば事前に記憶部228に記憶されている初期データを読み込むことにより、初期データを取得する(S604)。さらに、無線通信装置20’から送信された測距データが、無線通信装置20の通信部216によって受信される(S608)。測距データの受信処理は、図15に関連して詳細に説明した装置情報受信(S404)から電界強度及びノイズフロア記録(S428)までの処理に該当する。なお、初期データ取得(S604)を測距データ受信(S608)と同時に、またはその後に行ってもよい。
【0133】
その後、無線通信装置20の距離情報取得部250が、無線通信装置20’から受信した測距データ、即ち測距パケット及び装置情報などを用いて、無線通信装置20’との間の距離情報を推定して取得する(S612)。無線通信装置20の距離情報取得部250における距離情報の推定処理は、図16に関連して詳細に説明した電界強度及びノイズフロア取得(S450)から距離推定(S486)までの処理に該当する。距離情報取得部250にて推定された距離情報は、データ選択部260へと受け渡される。
【0134】
初期データが取得され(S604)、距離情報が取得されると(S612)、データ選択部260は、受け渡された距離情報及び初期データに対応するデータを、記憶部228が記憶している複数のデータから選択する(S616)。
【0135】
データ選択部260によって距離情報及び初期データに基づいて選択されたデータは、通信部216から無線通信装置20’へと送信される(S620)。その後、選択済みデータは、無線通信装置20’の通信部216’を介してデータ受信部280’に受信される(S658)。そして、データ受信部280’から表示部240’または記憶部228’へ、選択済みデータは出力される(S662)。
【0136】
以上説明したように、第2の実施形態では、データ送信側となる無線通信装置20に距離情報取得部250を設ける。そして、当該距離情報取得部250は、無線通信装置20’から受信する無線信号のうち雑音成分に関する所定の条件を満たすと判断される無線信号の電界強度に基づいて距離情報を推定して取得する。また、無線通信装置20の記憶部228は、複数のデータを距離情報と関連付けて記憶している。それにより、無線通信装置20は、距離情報と関連付けて記憶された複数のデータの中から、無線通信装置20’との間の推定された距離情報を用いて適宜データを選択し、無線通信装置20’へと送信することができる。
【0137】
〔3−3〕第3の実施形態
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態に係る通信システム1は、第1及び第2の実施形態と同様、図1に示したような無線通信装置20及び20’により構成される。本実施形態では、無線通信装置20’からの無線信号を受信した無線通信装置20が無線通信装置20’との間の距離情報を推定し、当該距離情報を無線通信装置20’へと送信する。無線通信装置20’は、無線通信装置20から受信した距離情報に基づいてデータを選択し、さらに選択したデータを無線通信装置20へ送信する。
【0138】
図22は、本実施形態に係る無線通信装置20及び20’の論理的な機能配置を示した機能ブロック図である。図22に示したように、無線通信装置20は、通信部216と、記憶部228と、表示部240と、通信制御部244と、距離推定部252と、データ受信部280と、を備える。
【0139】
通信部216、表示部240、及び通信制御部244は、第1の実施形態に関連して説明した内容と同様の機能をそれぞれ有する。記憶部228は、前述したように距離推定のための電界強度、ノイズフロア値、または閾値や評価式などと対応付けられた装置情報のほか、他の無線通信装置20’から受信した選択済みデータなどを記憶する。
【0140】
距離推定部252は、本実施形態では、電界強度測定部220、ノイズフロア測定部224、推定部232、及び判断部236を備え、図3〜図16に関連して説明した手法を用いて無線信号に基づいて無線通信装置20’との間の距離情報を推定する。なお、電界強度測定部220、ノイズフロア測定部224、推定部232、及び判断部236と他の構成要素は図4に示したようにそれぞれ接続されるが、図面の明瞭さの観点から、図22ではそうした接続関係を図示することを省略している。なお、距離推定部252の構成は、図22に示した構成に限定されない。距離推定部252は、図3〜図16に関連して説明した手法とは異なる手法により無線通信装置20’との間の距離情報を推定してもよい。
【0141】
データ受信部280は、例えば前述の選択済みデータを通信部216を介して無線通信装置20’から受信し、表示部240または記憶部228へ出力する。
【0142】
一方、図22に示したように、無線通信装置20’は、通信部216’と、記憶部228’と、通信制御部244’と、距離情報取得部250’と、データ選択部260’と、を備える。
【0143】
無線通信装置20’の距離情報取得部250’は、通信部216’を介して無線通信装置20から受信した距離情報を取得し、データ選択部260’へ受け渡す。本実施形態における距離情報取得部250’は、電界強度測定部220、ノイズフロア測定部224、推定部232、及び判断部236を備えなくてもよい。
【0144】
データ選択部260’は、距離情報取得部250’の取得した距離情報に基づいて、記憶部228’に記憶されている複数のデータからデータを選択し、通信部216’を介して無線通信装置20へ選択済みデータを送信する。無線通信装置20’のその他の構成要素は、第1及び第2の実施形態に関連して説明した内容と同様の機能を有する。
【0145】
図23は、本実施形態においてデータ送信側となる無線通信装置20’、及びデータ受信側となる無線通信装置20の動作の流れを示したフローチャートである。
【0146】
図23に示したように、まず、無線通信装置20’の通信制御部244’は、無線通信装置20へ向けて測距データを送信する(S754)。測距データの送信処理は、図14に関連して詳細に説明した装置情報取得(S304)から測距パケット送信(S316)までの処理に該当する。
【0147】
無線通信装置20’から送信された測距データは、無線通信装置20の通信部216によって受信される(S704)。測距データの受信処理は、図15に関連して詳細に説明した装置情報受信(S404)から電界強度及びノイズフロア記録(S428)までの処理に該当する。
【0148】
その後、無線通信装置20の距離推定部252が、無線通信装置20’から受信した測距データ、即ち測距パケット及び装置情報などを用いて、無線通信装置20’との間の距離情報を推定する(S708)。無線通信装置20の距離推定部252における距離情報の推定処理は、図16に関連して詳細に説明した電界強度及びノイズフロア取得(S450)から距離推定(S486)までの処理に該当する。距離推定部252にて推定された距離情報は、通信部216を介して無線通信装置20’へ送信される(S712)。
【0149】
無線通信装置20から送信された距離情報は、無線通信装置20’の通信部216’により受信され、距離情報取得部250’により取得される(S758)。距離情報取得部250’は、取得した距離情報をデータ選択部260’に受け渡す。さらに、無線通信装置20’のデータ選択部260’が、例えば事前に記憶部228に記憶されている初期データを読み込むことにより、初期データを取得する(S762)。なお、初期データ取得(S762)を距離情報受信(S758)よりも前に行ってもよい。
【0150】
距離情報が受信され、初期データが取得されると、データ選択部260’は、例えば図18に関連して説明したように、受け渡された距離情報及び初期データに対応するデータを、記憶部228’が記憶している複数のデータから選択する(S766)。
【0151】
データ選択部260’によって距離情報及び初期データに基づいて選択されたデータは、通信部216’から無線通信装置20へと送信される(S770)。その後、選択済みデータは、無線通信装置20の通信部216を介してデータ受信部280に受信される(S716)。そして、データ受信部280から表示部240または記憶部228へ、選択済みデータは出力される(S720)。
【0152】
以上説明したように、第3の実施形態では、データ送信側となる無線通信装置20’に距離情報取得部250’を設ける。そして、当該距離情報取得部250’は、無線通信装置20から送信される距離情報を受信して取得する。また、無線通信装置20’の記憶部228’には、複数のデータを距離情報と関連付けて記憶している。それにより、無線通信装置20’は、距離情報と関連付けて記憶された複数のデータの中から、無線通信装置20との間の距離情報を用いて適宜データを選択し、無線通信装置20へと送信することができる。
【0153】
一方、データ受信側となる無線通信装置20には、距離推定部252を設け、距離推定部252は受信する無線信号のうち雑音成分に関する所定の条件を満たすと判断される無線信号の電界強度に基づいて距離情報を推定する。距離推定部252は、無線通信装置20’に推定した距離情報に基づいてデータを選択させるために、推定した距離情報を、通信部216を介して無線通信装置20’へと送信することができる。
【0154】
〔3−4〕第4の実施形態
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態に係る通信システム2は、図2に示したような無線通信装置30、中継装置32、及び通信装置34により構成される。本実施形態では、中継装置32からの無線信号を受信した無線通信装置30が中継装置32との間の距離を推定し、当該距離情報を通信装置34へと送信する。通信装置34は、無線通信装置30から受信した距離情報に基づいてデータを選択し、さらに選択したデータを無線通信装置30へと送信する。
【0155】
図24は、本実施形態に係る無線通信装置30、中継装置32、及び通信装置34の論理的な機能配置を示した機能ブロック図である。
【0156】
図24を参照すると、無線通信装置30は、図22に示した第3の実施形態の無線通信装置20と同様の機能配置を有する。また、通信装置34は、図22に示した第3の実施形態の無線通信装置20’と同様の機能配置を有する。そのため、無線通信装置30及び通信装置34の機能配置については、第3の実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0157】
本実施形態では、無線通信装置30の通信部216と通信装置34の通信部216’は、中継装置32を介して通信を行う。図2に関連して説明したように、無線通信装置30と中継装置32の間は、例えばIEEE802.11a、b、g、nなどの標準規格の無線LANなどにより無線接続される。本実施形態における無線通信装置30と中継装置32との間の無線接続は、典型的にはインフラストラクチャーモードによって行われる。中継装置32と通信装置34の間は、無線または有線による任意の通信ネットワークで接続される。
【0158】
無線通信装置30の距離推定部252は、本実施形態では、中継装置32から送信される無線信号を用いて、通信装置34ではなく中継装置32との間の距離を推定する。距離推定部252における距離の推定は、図3〜図16に関連して説明した手法により行われる。なお、距離推定部252の構成は、図24に示した構成に限定されない。距離推定部252は、図3〜図16に関連して説明した手法とは異なる手法により中継装置32との間の距離情報を推定してもよい。
【0159】
無線通信装置30の距離推定部252において推定された距離情報は、通信部216から中継装置32へ無線により送信され、さらに中継装置32は当該距離情報を通信装置34へ中継する。通信装置34の距離情報取得部250’は、中継された距離情報を取得し、データ選択部260’へ受け渡す。通信装置34のデータ選択部260’は、距離情報取得部250’から受け渡された距離情報に基づいて、記憶部228’に記憶されている複数のデータからデータを選択する。その後、選択されたデータは、通信部216’を介して中継装置32へ送信される。そして中継装置32は、当該選択済みデータを無線通信装置30へ中継する。
【0160】
図25は、一例として、本実施形態に係る記憶部228’が複数のデータを記憶している様子を示している。図25を参照すると、記憶部228’は、広告配信システムなどで配信される数種類の広告情報をデータとして記憶している。これら広告情報は、距離情報としての遠距離、中距離、近距離という区分に関連付けられている。
【0161】
図25に示しているように、記憶部228’において、初期データを用いることなく複数のデータを記憶することができる。また、各距離情報の区分ごとに記憶または選択されるデータの数は一定でなくてもよい。例えば、図25において、遠距離を示す距離情報には、広告の対象となる商品の商品名と商品画像(画像データ)が関連付けられている。同様に、中距離を示す距離情報には、商品の概要説明と動画広告(映像データ)が関連付けられている。近距離を示す距離情報には、商品の詳細説明と動画広告(映像データ)に加えて、商品を購入した場合の特典情報が関連付けられている。
【0162】
なお、これらデータは、データの本体、データを一意に特定する識別子、またはデータの保存場所を指し示すURLなどであってもよい。また、距離の区分ではなく、距離情報から所定の計算式によって導かれる情報、距離情報の経時的変化に関する情報、または例えば所定の範囲(近距離及び中距離など)に無線通信装置30が滞在した滞在時間情報などと複数のデータとを関連付けてもよい。
【0163】
図26は、本実施形態における無線通信装置30、中継装置32、及び通信装置34の動作の流れを示したフローチャートである。
【0164】
図26に示したように、まず、無線通信装置30は、自装置の周囲に接続先検索データを通信部216から送信し、接続可能な中継装置を検索する(S800)。中継装置32は、無線通信装置30から送信された接続先検索データを受信すると(S850)、無線通信装置30へ向けて測距データを送信する(S854)。
【0165】
中継装置32から送信された測距データは、無線通信装置30の通信部216によって受信される(S804)。その後、無線通信装置20の距離推定部252が、無線通信装置20’から受信した測距データを用いて、中継装置34との間の距離情報を推定する(S808)。距離推定部252にて推定された距離情報は、通信部216を介して通信装置34へ送信される(S812)。
【0166】
無線通信装置30から送信された距離情報は、通信装置34の通信部216’により受信され、距離情報取得部250’により取得される(S858)。距離情報取得部250’は、取得した距離情報をデータ選択部260’に受け渡す。そして、通信装置34のデータ選択部260’は、図25に関連して説明したように、受け渡された距離情報に基づいて記憶部228’が記憶している複数のデータからデータを選択する(S862)。例えば、無線通信装置30と中継装置32との間の距離が近距離の場合には、データ選択部260’は、商品に関する詳細説明、動画広告、及び特典情報を選択する。
【0167】
データ選択部260’によって距離情報に基づいて選択されたデータは、通信部216’から無線通信装置30へと送信される(S866)。その後、選択済みデータは、無線通信装置30の通信部216を介してデータ受信部280に受信される(S816)。そして、データ受信部280から表示部240または記憶部228へ、選択済みデータは出力される(S820)。
【0168】
以上説明したように、第4の実施形態では、通信装置34に距離情報取得部250’を設ける。そして、当該距離情報取得部250’は、無線通信装置30から送信される距離情報を受信して取得する。また、通信装置34の記憶部228’には、複数のデータを距離情報と関連付けて記憶している。それにより、通信装置34は、距離情報と関連付けて記憶された複数のデータの中から、無線通信装置30と中継装置34との間の距離情報を用いて適宜データを選択し、無線通信装置30へと送信することができる。
【0169】
一方、無線通信装置30には、距離推定部252を設ける。距離推定部252は、中継装置32から受信する無線信号のうち雑音成分に関する所定の条件を満たすと判断される無線信号の電界強度に基づいて、中継装置32との間の距離情報を推定する。そして、推定された中継装置32との間の距離情報は、通信装置34に当該距離情報に基づいてデータを選択させるために、通信装置34へと送信される。
【0170】
〔4〕まとめ
ここまで、無線通信装置との間の距離情報に基づいて適宜データを選択するための4つの実施形態について説明を行った。例えば図1に示した第1の実施形態(または第2、第3の実施形態)に係る通信システム1において、通信型のゲームを行う一対のゲーム端末機を無線通信装置20及び20’とすることができる。このとき、無線通信装置20及び20’の間で送受信される距離情報を、例えばゲームの中で相互に通信する利用者間の緊密さと捉えることもできる。そうした場合には、利用者間の緊密さに相当する距離情報に応じて受け渡すデータを適宜選択することで、より娯楽性の高いゲームを提供することが可能となる。
【0171】
また、図2に示した第4の実施形態に係る通信システム2において、例えば中継装置32を店舗に設置した固定の無線アクセスポイント、通信装置34をデータを集中的に管理する管理サーバなどとして実装することができる。また、利用者の保持する携帯端末を無線通信装置30として用いることができる。このとき、無線通信装置30が推定し通信装置34へ送信する距離情報は、携帯端末を保持する利用者と店舗に設置した無線アクセスポイントとの間の距離を意味する。そうした場合には、例えば遠距離に位置する利用者の端末へ商品名及び商品画像を広告情報として配信し、興味を持って近づいてきた利用者にはより詳細な広告を、さらに近距離まで近づいてきた利用者には商品購入を促す特典情報などを配信することが可能となる。
【0172】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0173】
例えば、無線信号に基づく距離情報の推定において、推定部232が無線通信装置20’との距離を、遠距離、中距離、あるいは近距離と推定する例を説明したが、例えば、推定部232は、m(メートル)単位で無線通信装置20’との距離を推定してもよい。また、判断部236は、ノイズフロアに基づくフィルタリングではなく、例えば測距パケットのSN比などの雑音成分の大きさに基づいてフィルタリングをしてもよい。
【0174】
また、本明細書の第1〜第4の実施形態の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、無線通信装置20、及び20’の処理における各ステップは、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)を含んでもよい。
【0175】
また、無線通信装置20、無線通信装置20’、無線通信装置30、中継装置32、または通信装置34に内蔵されるCPU201などのハードウェアを上述した各構成と同等に機能させるためのコンピュータプログラムを作成することも可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体を提供してもよい。また、図4、図17、図20、図22、及び図24の各機能ブロック図で示したそれぞれの機能ブロックをハードウェアで構成することで、一連の処理をハードウェアで実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】無線通信システムの1つの構成例を示した説明図である。
【図2】無線通信システムの他の構成例を示した説明図である。
【図3】無線通信装置のハードウェア構成例を示したブロック図である。
【図4】無線通信装置の距離推定のための機能配置例を示したブロック図である。
【図5】装置情報を含むパケットの構成例を示した説明図である。
【図6】装置情報を含むパケットの具体例を示した説明図である。
【図7】装置情報を含むパケットの具体例を示した説明図である。
【図8】測距評価値と推定距離との関係を示した説明図である。
【図9】記憶部に装置情報と評価式が対応付けて記憶されている例を示した説明図である。
【図10】複数の無線通信装置間の距離と電界強度の判断部によるフィルタリング前の具体例を示した説明図である。
【図11】複数の無線通信装置間の距離と電界強度の判断部によるフィルタリング後の具体例を示した説明図である。
【図12】推定部による距離推定の具体例を示した説明図である。
【図13】通信制御部により制御される無線通信の具体例を示した説明図である。
【図14】送信側の無線通信装置の動作の流れを例示したフローチャートである。
【図15】受信側の無線通信装置の動作の流れを例示したフローチャートである。
【図16】受信側の無線通信装置の動作の流れを例示したフローチャートである。
【図17】第1の実施形態に係るデータ選択のための機能配置例を示したブロック図である。
【図18】記憶部に記憶されている複数のデータの具体例を示した説明図である。
【図19】データ選択に係る動作の流れを例示したフローチャートである。
【図20】第2の実施形態に係るデータ選択のための機能配置例を示したブロック図である。
【図21】データ選択に係る動作の流れを例示したフローチャートである。
【図22】第3の実施形態に係るデータ選択のための機能配置例を示したブロック図である。
【図23】データ選択に係る動作の流れを例示したフローチャートである。
【図24】第4の実施形態に係るデータ選択のための機能配置例を示したブロック図である。
【図25】記憶部に記憶されている複数のデータの他の例を示した説明図である。
【図26】データ選択に係る動作の流れを例示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0177】
1、2 通信システム
20、30 無線通信装置(通信装置の一形態)
34 通信装置
228 記憶部
250 距離情報取得部
260 データ選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータを記憶している記憶部と;
他の無線通信装置との間の距離情報を取得する距離情報取得部と;
前記距離情報取得部により取得された前記距離情報に基づいて前記記憶部に記憶されている前記複数のデータからのデータ選択を行うデータ選択部と;
を備える、通信装置。
【請求項2】
前記距離情報取得部は、前記他の無線通信装置から受信する無線信号のうち雑音成分に関する所定の条件を満たすと判断される無線信号の電界強度に基づいて前記距離情報を推定して取得する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記複数のデータの所定の属性と距離情報とを関連付けて前記複数のデータを記憶している、請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記データ選択部は、前記距離情報が遠い距離を示している場合には第1の範囲に含まれる属性値を有するデータを選択し、前記距離情報が近い距離を示している場合には第2の範囲に含まれる属性値を有するデータを選択する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記複数のデータを初期データごとに距離情報と関連付けて記憶しており、
前記データ選択部は、前記他の無線通信装置から受信する初期データと前記距離情報とに基づいてデータを選択する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記距離情報は、前記他の無線通信装置と中継装置との間の距離情報である、請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記距離情報取得部は:
前記他の無線通信装置から送信された無線信号を受信する受信部と;
前記受信部により受信された無線信号の電界強度を測定する測定部と;
前記受信部により受信された無線信号が前記雑音成分に関する所定条件を満たすか否かを判断する判断部と;
前記判断部により前記雑音成分に関する所定条件を満たすと判断された無線信号の電界強度に基づいて、前記他の無線通信装置との間の距離を推定する推定部と;
を備え、
前記判断部は、無線信号の雑音成分が下限設定値を上回っており、かつ、上限設定値を下回っている場合に前記雑音成分に関する所定条件を満たすと判断する、
請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記受信部は、前記他の無線通信装置から事前に、前記他の無線通信装置の無線信号の送信電力を示す装置情報を受信し、
前記推定部は、前記装置情報を利用して前記他の無線通信装置との間の距離を推定する、請求項7に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記推定部は、
前記判断部により所定条件を満たすと判断された無線信号の電界強度の平均値を算出し、
前記平均値が区分されている平均値の範囲のいずれに含まれるかを判断し、
前記他の無線通信装置との間の距離を前記平均値が含まれると判断した平均値の範囲に対応する距離であると推定する、請求項8に記載の無線通信装置。
【請求項10】
通信装置を制御するコンピュータを:
他の無線通信装置との間の距離情報を取得する距離情報取得部と;
前記距離情報取得部により取得された前記距離情報に基づいて前記通信装置の記憶部に記憶されている複数のデータからのデータ選択を行うデータ選択部と;
として機能させるための、プログラム。
【請求項11】
他の無線通信装置との間の距離情報を取得するステップと;
取得された前記距離情報に基づいて記憶部に記憶されている複数のデータからデータ選択を行うステップと;
を含む、通信装置におけるデータ選択方法。
【請求項12】
複数のデータを記憶している記憶部、
無線通信装置との間の距離情報を取得する距離情報取得部、
及び前記距離情報取得部により取得された前記距離情報に基づいて前記記憶部に記憶されている前記複数のデータからのデータ選択を行うデータ選択部、
を備える通信装置と;
前記通信装置との間で無線通信を行う前記無線通信装置と;
を含む通信システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−141933(P2009−141933A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82884(P2008−82884)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】