説明

通信装置、通信システム、送信方法および受信フレーム整列方法

【課題】通信システムにおいて、複数の回線を用いて優先度の高いデータをより高速に通信でき、かつ、受信側で、データを送信側と同様の順序に並べられるようにする。
【解決手段】通信装置10aにおいて、シーケンス情報挿入部12aが、通信対象であるフレームの各々に対して、当該フレームに設定された優先度を示す優先度情報と、フレームの優先度毎にフレームの並び順を示す情報であるシーケンス情報(シーケンス番号)とを付与する。そして、振分け制御部13aは、優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、当該優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームの優先度に応じて、優先度の高いフレームほど優先的に、複数の回線のいずれかに振り分ける。さらに、変調・送信部15a−1および15a−2は、優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、振分け制御部13aが振り分けた回線を用いて送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システム、通信装置の送信方法および通信装置の受信フレーム整列方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IPパケットを伝送するポイントツーポイント(P−P)無線通信システムなどの無線通信において、音声や映像などリアルタイム性の要求されるデータを、低遅延かつ少ない揺らぎで通信しつつ、通信容量を大きくすることが求められる場合がある。そこで、2台の通信装置が、複数の回線を集約して仮想的な1本の論理回線を構築して通信を行うことで、通信容量の向上を図る技術が知られている。
ここで、複数の回線を用いてフレーム通信ないしパケット通信を行う場合、1つのデータを、送信側では通信フレーム単位ないしバケット単位で複数の回線に分配して送信し、受信側では複数の回線から受信される通信フレームないしパケットを収集し、元のデータを再構成する。送信側における分配前のフレーム順序ないしパケット順序と、受信側における収集後のフレーム順序ないしパケット順序との不一致による通信不良を防ぐために、送信側と受信側とでフレーム順序ないしパケット順序を保障する機構が必要になる。このように、受信側で、フレームやパケットを送信側と同様の順序に並べられるようにするために、フレームないしパケットに順序情報を付して送信する方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のフレーム分配方法では、回線集約通信における回線へのフレーム分配方法において、各回線の送信待ちキューに積まれたフレームのデータ量を均等にするようにフレームを各回線へ分配する。また、送信するフレームにそのフレームの順序情報を挿入し、受信側システムで受信したフレームから抽出した順序情報に基づいて受信フレームの順序を訂正する。
このような分配方法と順序情報挿入抽出機能を備える事で、集約した回線の通信帯域を有効に利用できかつ通信フレームの順序を保障することができるとされている。
【0004】
また、特許文献2に記載のパケット順序制御方法は、種類や特性の異なる複数の通信回線を使用して広帯域化した通信回線を実現する通信システムにおけるパケット順序制御方法であって、複数の通信回線にそれぞれ対応する受信インタフェース毎にパケットを受信し、各判定部が、受信パケットに含まれる一連SEQNOおよびIF毎SEQNOに基づいて、受信パケットの順序制御を行う。
これにより、広帯域化による効果が得られるとともに、通信回線の種類や特性の影響を受けることなくパケットを再組立て可能なパケット順序制御方法を得ることができるとされている。
【0005】
また、サービスのリアルタイム性を重視して優先的に伝送したいデータ(例えば、ストリーミング配信される映像データや音声データ)と低優先データ(例えば、電子メールデータ)とが混在したネットワークでは、送信データのタイプに基づいてクラス分けを行い、優先データと低優先データとを区別して通信を行い、所定の品質を保障する方法がある。このようにデータの優先度に応じて通信を行う方法を実現する制御は、優先制御ないしQoS(Quality Of Service)制御と呼ばれている。
【0006】
この優先制御に関連して、特許文献3に記載のマルチアンテナ伝送システムは、送信側においてユーザパケット毎にそのユーザトラヒック系列のQoSクラスを識別するパケット種別識別回路、ユーザパケットが遅延高優先クラスでありかつ1個の送信アンテナで転送可能な帯域の場合に、送信アンテナ毎の平均SIR情報が最良のアンテナや、再送制御回路中の遅延高優先クラス用メモリのキュー長からキュー長最短のものを選択することで、何れの送信アンテナより送信するか決定する振り分け制御回路、および振り分け制御回路からのアンテナ選択信号に基づいて送信アンテナを振り分ける振り分け回路を備える。
これにより、複数のQoSクラスのユーザパケットを混在して伝送する通信網に適用する場合に、遅延高優先クラスのユーザパケットの伝送遅延が改善され、遅延高優先クラスのユーザトラヒックの瞬断等による品質が改善されるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−9866号公報
【特許文献2】特開2009−239444号公報
【特許文献3】特開2006−229588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のフレーム分配方法は、各回線に流れるデータ量を均等にするものである。このため、回線毎に伝送容量が異なる場合には、特許文献1に記載のフレーム分配方法をそのまま適用することは出来ない。
また、特許文献1や特許文献2には、通信データの優先度に応じた処理を行うことは示されていない。従って、特許文献1に記載のフレーム分配方法や、特許文献2に記載のパケット順序制御方法を用いても、優先制御を実現することは出来ない。
【0009】
また、特許文献3に記載のマルチアンテナ伝送システムは、遅延高優先クラスのユーザパケットを1個の送信アンテナに振り分けるものである。このため、他の無線回線(遅延高優先クラスを割り当てられた送信アンテナ以外のアンテナによる無線回線)に空きがある場合でも、当該他の無線回線を用いて遅延高優先クラスのパケットを送受信することは出来ない。すなわち、複数の回線を用いて、優先度の高いデータをより高速に通信することはできない。
【0010】
本発明は、上述の課題を解決することのできる通信装置、通信システム、送信方法および受信フレーム整列方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による通信装置は、通信対象であるフレームの各々に対して、当該フレームに設定された優先度を示す優先度情報と、フレームの優先度毎にフレームの並び順を示す情報であるシーケンス情報とを付与するシーケンス情報付与部と、前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、当該優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームの優先度に応じて、優先度の高いフレームほど優先的に、複数の回線のいずれかに振り分ける振分け制御部と、前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、前記振分け制御部が振り分けた回線を用いて送信する送信部と、を具備することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様による通信装置は、フレームの優先度を示す優先度情報と、フレームの優先度毎にフレームの並び順を示す情報であるシーケンス情報を付与され、複数の回線に振り分けて送信されるフレームを受信する受信部と、前記受信部が受信した、前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、当該シーケンス情報が示す並び順に従って前記優先度毎に並べる集約制御部と、を具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様による通信システムは、第1通信装置と、第2通信装置とを具備する通信システムであって、前記第1通信装置は、通信対象であるフレームの各々に対して、当該フレームに設定された優先度を示す優先度情報と、フレームの優先度毎にフレームの並び順を示す情報であるシーケンス情報とを付与するシーケンス情報付与部と、前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、当該優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームの優先度に応じて、優先度の高いフレームほど優先的に、複数の回線のいずれかに振り分ける振分け制御部と、前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、前記振分け制御部が振り分けた回線を用いて送信する送信部と、を具備し、前記第2通信装置は、前記複数の回線に振り分けて前記第1通信装置から送信される、前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを受信する受信部と、前記受信部が受信した、前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、当該シーケンス情報が示す並び順に従って前記優先度毎に並べる集約制御部と、を具備することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様による送信方法は、通信装置の送信方法であって、通信対象であるフレームの各々に対して、当該フレームに設定された優先度を示す優先度情報と、フレームの優先度毎にフレームの並び順を示す情報であるシーケンス情報とを付与するシーケンス情報付与ステップと、前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、当該優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームの優先度に応じて、優先度の高いフレームほど優先的に、複数の回線のいずれかに振り分ける振分け制御ステップと、前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、前記振分け制御部が振り分けた回線を用いて送信する送信ステップと、を具備することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様による受信フレーム整列方法は、通信対象としてフレームを受信する通信装置の受信フレーム整列方法であって、フレームの優先度を示す優先度情報と、フレームの優先度毎にフレームの並び順を示す情報であるシーケンス情報とを付与され、複数の回線に振り分けて送信されるフレームを受信する受信ステップと、前記受信部が受信した、前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、当該シーケンス情報が示す並び順に従って前記優先度毎に並べる集約制御ステップと、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の回線を用いて、優先度の高いデータをより高速に通信でき、かつ、受信側で、受信したデータを送信側と同様の順序に並べることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態における通信システムの機能構成を示す概略ブロック図である。
【図2】同実施形態におけるシーケンス情報挿入部および振分け制御部の機能構成を示す概略ブロック図である。
【図3】同実施形態における集約制御部の機能構成を示す概略ブロック図である。
【図4】同実施形態における優先度情報付き送信フレームの概略構造を示すデータ構造図である。
【図5】同実施形態において、回線選択制御部が受信フレームをバッファから取り出す例を示す説明図である。
【図6】同実施形態において、シーケンス情報挿入部が、送信フレームに優先度情報とシーケンス番号とを挿入し、振分け制御部が、当該フレームをキューに格納する処理手順を示すフローチャートである。
【図7】同実施形態において、高優先フレームカウンタ部および低優先フレームカウンタ部がカウンタ値を更新する処理手順を示すフローチャートである。
【図8】同実施形態において、振分け制御部が、シーケンス情報付き送信フレームを無線回線に振り分ける処理手順を示すフローチャートである。
【図9】同実施形態において、集約制御部が、受信フレームの集約を行う処理手順を示すフローチャートである。
【図10】同実施形態において、高優先フレーム期待値照合部が、受信バッファ部から出力された優先度情報とシーケンス番号とが、高優先期待値カウンタの示す期待値と合致するか否かを判定する処理手順を示すフローチャートである。
【図11】同実施形態において、回線選択制御部が抽出データを取得して出力する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態における通信システムの機能構成を示す概略ブロック図である。同図において、通信システム1は、通信装置10aと、通信装置10bとを具備する。通信装置10aは、プロトコロル処理部11aと、シーケンス情報挿入部(シーケンス情報付与部)12aと、振分け制御部13aと、多重部14a−1および14a−2と、変調・送信部15a−1および15a−2と、受信・復調部16a−1および16a−2と、抽出部17a−1および17a−2と、集約制御部18aと、シーケンス情報削除部19aとを具備する。通信装置10bは、プロトコロル処理部11bと、シーケンス情報挿入部12bと、振分け制御部13bと、多重部14b−1および14b−2と、変調・送信部15b−1および15b−2と、受信・復調部16b−1および16b−2と、抽出部17b−1および17b−2と、集約制御部18bと、シーケンス情報削除部19bとを具備する。
【0019】
通信装置10aと通信装置10bとは、複数の無線回線(図1では無線回線#1および#2)を介して通信を行う。以下では、通信装置10aから通信装置10bに伝送する方向を「上り」と称し、通信装置10bから通信装置10aに伝送する方向を「下り」と称する。
本実施形態では、通信装置10bの構成および動作は、通信装置10aの構成および動作と同様であり、以下では、通信装置10aの構成および動作について説明する。
ただし、本発明の適用範囲は、同様の通信装置を複数具備する通信システムに限らない。例えば、通信システムにおける上り回線について本発明を適用し、下り回線については他の通信方式を適用するようにしてもよい。この場合、上り回線の送信側と受信側とで、通信装置の構成が異なるが、このような場合にも本発明を適用し得る。
【0020】
なお、図中に示す「#1」、「#2」は、それぞれ、回線#1に関連する部分、回線#2に関連する部分を示す。
ただし、本発明の適用範囲は、通信装置間の回線数が2つの場合に限らず、2つ以上であればよい。
【0021】
なお、以下では、多重部14a−1と14a−2とを総称して「多重部14a」と表記する。同様に、変調・送信部15a−1と15a−2とを総称して「変調・送信部15a」と表記し、受信・復調部16a−1と16a−2とを総称して「受信・復調部16a」と表記し、抽出部17a−1と17a−2とを総称して「抽出部17a」と表記する。
【0022】
プロトコロル処理部11aは、OSI(Open System Interconnection)参照モデルのデータリンク層(または、データリンク層およびネットワーク層)の機能を実現する。例えば、プロトコロル処理部11aは、通信装置10aの外部から入力されるパケットデータを、IEEE802.3で規定されるMACフレームの形式に変換し、送信フレームとして、シーケンス情報挿入部12aに出力する。また、プロトコロル処理部11aは、シーケンス情報削除部19aから出力される受信フレームを、通信装置10aの外部のインタフェースに合わせたデータ形式に変換し、出力データとして、通信装置10aの外部に出力する。
【0023】
なお、ここでいうフレームは、通信装置10aがデータを送信する際に、1まとまりとして扱うデータである。ここで、本発明は、特定のフレームに依存しない。すなわち、プロトコロル処理部11aが生成するフレームとして様々な形式のものを採用することができる。
また、ここでいう送信フレームは、通信装置10aが送信対象とするフレームであり、ここでいう受信フレームは、通信装置10aが受信したフレームである。
【0024】
シーケンス情報挿入部12aは、プロトコロル処理部11aから出力された送信フレームの優先度を判定する。ここでいう優先度は、通信装置10aがフレームを送信する際の優先度である。シーケンス情報挿入部12aは、送信フレームの各々の優先度を、「高」または「低」のいずれかに決定し、通信装置10aは、優先度「高」の送信フレームを優先的に(すなわち、優先度「低」の送信フレームより先に)送信する。
【0025】
そして、シーケンス情報挿入部12aは、プロトコロル処理部11aから出力された送信フレームに、判定結果の優先度を示す情報(以下では、「優先度情報」と称する)と、シーケンス情報とを挿入する。
ここでいうシーケンス情報は、フレームの優先度毎に設定される、フレームの並び順を示す情報である。このシーケンス情報は、受信側においてフレームを送信側と同順に並べるために用いられる。
【0026】
本実施形態では、シーケンス情報挿入部12aが、優先度毎にカウンタ(シーケンス番号カウンタ)を具備する。そして、シーケンス情報挿入部12aは、このシーケンス番号カウンタによって保持される値(シーケンス番号)をシーケンス情報として、プロトコロル処理部11aから出力された送信フレームの先頭に、優先度情報と共に挿入する。そして、シーケンス情報挿入部12aは、優先度情報とシーケンス番号とを挿入した送信フレームを、振分け制御部13aに出力する。
【0027】
このように、シーケンス情報挿入部12aは、通信対象であるフレームの各々に対して、当該フレームに設定された優先度を示す優先度情報と、フレームの優先度毎にフレームの並び順を示す情報であるシーケンス情報を付与する。
なお、以下では、優先度情報とシーケンス番号とを挿入したフレームを、送信側においては「シーケンス情報付き送信フレーム」と称し、受信側においては「シーケンス情報付き受信フレーム」と称する。
【0028】
振分け制御部13aは、シーケンス情報を付与されたフレームを、複数の回線のいずれかに振り分ける。すなわち、振分け制御部13aは、抽出部17aから出力された変調方式指定情報に基づいて、シーケンス情報挿入部12aから出力されたシーケンス情報付き送信フレームを、無線回線#1、#2のいずれの回線に送出するかを決定する。そして、振分け制御部13aは、決定した無線回線の多重部14a(すなわち、無線回線#1に決定した場合は、多重部14a−1、無線回線#2に決定した場合は、多重部14a−2)に、シーケンス情報付き送信フレームを、多重対象データ(多重される元となるデータ)として出力する。
【0029】
ここでいう変調方式指定情報は、変調・送信部15aが無線信号を送信する際に用いる変調方式を示す情報である。すなわち、変調・送信部15a−1および15a−2は、無線回線の状態(品質)に応じて変調方式を選択する適応変調方式にて無線信号を送信しており、変調方式指定情報は、変調・送信部15a−1および15a−2の各々について、無線信号を送信する際に用いる変調方式を示す。
【0030】
この変調方式指定情報は、対向の通信装置(ここでは通信装置10b)が具備する受信・復調部(ここでは受信・復調部16b−1および16b−2)によって生成され、送信側の通信装置(ここでは通信装置10a)に送信される。
受信・復調部16b−1は、無線回線#1の状態を示す情報(例えば、伝搬路状態情報(Channel State Information:CSI)、あるいは受信エラー率の情報など)を取得し、取得した情報に基づいて、変調・送信部15a−1の用いる変調方式を決定する。
具体的には、受信・復調部16b−1は、無線回線#1の状態が良好なときは、比較的伝送容量が大きい通信方式(例えば8PSK(Phase−Shift Keying)のように、多値数の大きい通信方式)に決定する。一方、降雨減衰など、無線回線#1の状態が悪化しているときは、受信・復調部16b−1は、伝送容量は比較的小さいが、無線回線の状態悪化に対する耐力が比較的大きい通信方式(例えば4PSKのように、多値数の小さい通信方式)に決定する。
そして、受信・復調部16b−1は、決定した通信方式を示す変調方式判定結果を生成する。この変調方式判定結果は、多重部14b−1、変調・送信部15b−1および受信・復調部16a−1を介して抽出部17a−1に伝達される。そして、抽出部17a−1は、取得した変調方式判定結果を、変調・送信部15a−1に対する変調方式指定情報として、振分け制御部13aと、多重部14a−1と、変調・送信部15a−1とに出力する。
同様に、受信・復調部16b−2は、無線回線#2の状態を示す情報に基づいて、変調・送信部15a−2が用いる変調方式を決定し、決定した変調方式を示す変調方式判定結果を生成する。そして、抽出部17a−2が、当該変調方式判定結果を取得し、変調・送信部15a−2に対する変調方式指定情報として、振分け制御部13aと、多重部14a−2と、変調・送信部15a−2とに出力する。
【0031】
このように、振分け制御部13aは、変調・送信部15aが、優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレーム(シーケンス情報付き送信フレーム)を送信する無線回線の状態に応じて、優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームの各無線回線への振分を制御する。
【0032】
また、振分け制御部13aは、優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームの優先度に応じて、優先度の高いフレームほど優先的に、複数の回線のいずれかに振り分ける。例えば、振分け制御部13aは、フレームを一時保存するバッファを備え、シーケンス情報挿入部12aから出力されるシーケンス付き送信フレームを、バッファに蓄える(書き込む)。そして、シーケンス情報挿入部12aは、バッファに蓄えたフレームのうち、優先度の高いフレームの振分けを行って、振分け先の多重部14aに出力する。そして、振分け制御部13aは、バッファに蓄えた優先度の高いフレームを全て振り分けた後に、バッファに蓄えた優先度の低いフレームの振分けを行って、振分け先の多重部14aに出力する。
振分け制御部13aが、優先度の高いフレームほど優先的に処理(振分けおよび多重部14aへの出力)することで、優先度の高いフレームの通信速度を確保(例えば、QoSにおいて保証する通信速度を確保)し得る。
【0033】
多重部14a−1は、振分け制御部13aから出力された多重対象データと、受信・復調部16a−1から出力された変調方式判定結果とを無線フレームフォーマットに多重して、送信ベースバンド信号として、変調・送信部15aに出力する。
その際、多重部14a−1は、抽出部17a−1から出力された変調方式指定情報(上記のように、受信・復調部16b−1が生成した変調方式判定結果)に応じた多重方式で多重を行う。例えば、変調・送信部15a−1の送信速度に応じて、多重部14a−1が用いるコンテナの容量が異なる場合、多重部14a−1は、変調方式指定情報によって指定される送信速度に応じたコンテナ容量に収まる多重対象データおよび変調方式判定結果を多重する。
なお、ここで多重部14a−1が多重する変調方式判定結果は、通信装置10bの変調・送信部15b−1が用いる変調方式を指定する変調方式指定情報として使用される。
【0034】
多重部14a−1と同様に、多重部14a−2は、振分け制御部13aから出力された多重対象データと、受信・復調部16a−1から出力された変調方式判定結果とを無線フレームフォーマットに多重して、送信ベースバンド信号として、変調・送信部15aに出力する。
【0035】
変調・送信部15aは、優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、振分け制御部13aが振り分けた回線を用いて送信(無線送信)する。
具体的には、変調・送信部15a−1は、抽出部17a−1から出力された変調方式指定情報に従って、多重部14a−1から出力された送信ベースバンド信号(多重対象データと変調方式判定結果とを無線フレームフォーマットに多重したデータ)に変調を施し、さらに送信周波数帯の信号に変換して送信信号を生成する。そして、変調・送信部15a−1は、生成した送信信号を、無線通信信号として、無線回線を介して、対向の通信装置(通信装置10b)に送信する。
同様に、変調・送信部15a−2は、抽出部17a−2から出力された変調方式指定情報に従って、多重部14a−2から出力された送信ベースバンド信号に変調を施し、さらに送信周波数帯の信号に変換して送信信号を生成する。そして、変調・送信部15a−2は、生成した送信信号を、無線通信信号として、無線回線を介して、対向の通信装置(通信装置10b)に送信する。
【0036】
受信・復調部16aは、フレームの優先度毎にフレームの並び順を示す情報であるシーケンス情報を付与され、複数の回線に振り分けて送信されるフレームを受信する。具体的には、受信・復調部16aは、対向の通信装置(通信装置10b)から、無線回線を介して送信された無線通信信号を、ベースバンド周波数の信号に変換し、さらに復調して得られる、受信ベースバンド信号を、抽出部17aに出力する。ここで、受信・復調部16aが受信する無線通信信号は、変調・送信部15aが送信する無線通信信号と同様、シーケンス情報を付与(挿入)されたフレームを含む。また、受信・復調部16aが無線通信信号にて受信するフレームは、変調・送信部15aが送信する無線通信信号と同様、複数の回線(#1および#2)に振り分けて送信される。
また、受信・復調部16aは、対向の通信装置(通信装置10b)から送信された受信無線信号から、無線回線の状態を判定して、下り方向の伝送に最適な変調方式を決定し、変調方式判定結果として、多重部14aに出力する。
【0037】
抽出部17aは、受信・復調部16aから出力された受信ベースバンド信号から、シーケンス情報付き受信フレームを抽出し、抽出データとして集約制御部18aに出力する。また、抽出部17aは、受信ベースバンド信号から変調方式指定情報を抽出して、振分け制御部13aと多重部14aと変調・送信部15aとに出力する。
【0038】
集約制御部18aは、抽出部17a−1、抽出部17a−2の各々から抽出データが出力されると、当該抽出データに含まれるシーケンス情報を基に、抽出部17a−1から出力された抽出データと、抽出部17a−2から出力された抽出データとの並べ替えを行い、シーケンス情報付き受信フレームとして、シーケンス情報削除部19aに出力する。
このように、集約制御部18aは、受信・復調部16aが受信した、優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、当該シーケンス情報が示す並び順に従って優先度毎に並べる。
【0039】
シーケンス情報削除部19aは、集約制御部18aから出力されたシーケンス情報付き受信フレームからシーケンス情報を削除し、受信フレームとしてプロトコロル処理部11aに出力する。
【0040】
次に、図2を参照して、シーケンス情報挿入部12aと、振分け制御部13aとについて、より詳細に説明する。
図2は、シーケンス情報挿入部12aおよび振分け制御部13aの機能構成を示す概略ブロック図である。同図において、シーケンス情報挿入部12aは、優先度判定部121aと、高優先フレームカウンタ部122aと、低優先フレームカウンタ部123aと、シーケンス番号挿入部124aとを具備する。また、振分け制御部13aは、高優先キュー部131aと、低優先キュー部132aと、振分け比率決定部133aと、回線選択制御部134aとを具備する。
【0041】
優先度判定部121aは、プロトコロル処理部11aから出力された送信フレームの伝送の優先度(高または低)を、所定の判定基準に基づいて判定し、優先度判定結果として、高優先フレームカウンタ部122aと、低優先フレームカウンタ部123aと、シーケンス番号挿入部124aに出力する。
高優先フレームカウンタ部122aは、高優先フレームのシーケンス番号を生成するためのカウンタを有し、優先度判定部121aから出力された優先度判定結果を基に、カウントアップ動作、または、値の保持動作を行い、結果を高優先フレーム・シーケンス番号として、シーケンス番号挿入部124aに出力する。
低優先フレームカウンタ部123aは、低優先フレームのシーケンス番号を生成するためのカウンタを有し、優先度判定部121aから出力された優先度判定結果を基に、カウントアップ動作、または、値の保持動作を行い、結果を低優先フレーム・シーケンス番号として、シーケンス番号挿入部124aに出力する。
【0042】
シーケンス番号挿入部124aは、優先度判定部121aから出力された優先度判定結果と、高優先フレームカウンタ部122aまたは低優先フレームカウンタ部123aから出力されたシーケンス番号とを、プロトコロル処理部11aから出力された送信フレームの先頭に挿入する。より具体的には、シーケンス番号挿入部124aは、優先度判定部121aから出力された優先度判定結果が高優先(すなわち、優先度「高」)を示すときは、当該優先度判定結果と、高優先フレームカウンタ部122aから出力された高優先フレーム・シーケンス番号とを、送信フレームの先頭に挿入する。一方、優先度判定部121aから出力された優先度判定結果が低優先(すなわち、優先度「低」)を示すときは、シーケンス番号挿入部124aは、当該優先度判定結果と、低優先フレームカウンタ部123aから出力された低優先フレーム・シーケンス番号とを、送信フレームの先頭に挿入する。そして、シーケンス番号挿入部124aは、優先度判定結果とシーケンス番号とを挿入した送信フレームを、シーケンス情報付き送信フレームとして、振分け制御部13aに出力する。
【0043】
高優先キュー部131aは、FIFO(First In First Out)方式のメモリを有し、シーケンス情報挿入部12a(シーケンス番号挿入部124a)から出力されたシーケンス情報付き送信フレームのうち、高優先のフレームを格納する。なお、以下では、高優先キュー部131aの有するメモリを「高優先キュー」と称する。
低優先キュー部132aも、高優先キューと同様にFIFO方式のメモリであり、シーケンス情報挿入部12a(シーケンス番号挿入部124a)から出力されたシーケンス情報付き送信フレームのうち、低優先のフレームを格納する。なお、以下では、低優先キュー部132aの有するメモリを「低優先キュー」と称する。
【0044】
振分け比率決定部133aは、無線回線#1の抽出部17a−1から出力された変調方式指定情報と、無線回線#2の抽出部17a−2から出力された変調方式指定情報とを基に、各回線に振り分けるフレームの個数比率を決定し、振分け個数比率として、回線選択制御部134aに出力する。その際、振分け比率決定部133aは、無線回線#1の伝送容量と、無線回線#2の伝送容量との比と同様の振分け個数比率に決定する。これによって、一方の無線回線に送信フレームが集中することを防止して、各回線を効率的に使用し得る。
【0045】
回線選択制御部134aは、高優先キュー部131aまたは低優先キュー部132aからシーケンス情報付き送信フレームを取り出す(読み出して、キューから削除する)。また、回線選択制御部134aは、振分け比率決定部133aから出力された振分け比率を基に、無線回線#1、#2のいずれの回線に送出するかを決定し、決定した無線回線の多重部14aに、高優先キュー部131aまたは低優先キュー部132aから取り出したシーケンス情報付き送信フレームを、多重対象データとして出力する。
ここで、回線選択制御部134aは、高優先キュー部131aから優先的にシーケンス情報付き送信フレームを取り出す。例えば、回線選択制御部134aは、高優先キュー部131aがシーケンス情報付き送信フレームを格納しているときは、必ず高優先キュー部131aからシーケンス情報付き送信フレームを取り出し、高優先キュー部131aに格納されているシーケンス情報付き送信フレームが無く、かつ、低優先キュー部132aがシーケンス情報付き送信フレームを格納しているときは、低優先キュー部132aからシーケンス情報付き送信フレームを取り出す。
このように、回線選択制御部134aが、高優先キュー部131aから優先的にシーケンス情報付き送信フレームを取り出すことで、通信装置10aが優先度の高いフレームを優先的に(優先度の低いフレームより先に)送信するようにして、優先度の高いフレームの伝送速度の確保を図ることができる。
【0046】
次に、図3を参照して、集約制御部18aについて、より詳細に説明する。
図3は、集約制御部18aの機能構成を示す概略ブロック図である。同図において、集約制御部18aは、受信バッファ部181a−1および181a−2と、高優先フレーム期待値照合部182aと、低優先フレーム期待値照合部183aと、回線選択制御部184aとを具備する。
なお、以下では、受信バッファ部181a−1と181a−2とを総称して「受信バッファ部181a」と表記する。
【0047】
受信バッファ部181aは、無線回線毎に配置される。回線#1の受信バッファ部181a−1は、回線#1の抽出部17a−1から出力された抽出データを、自らの有するバッファに格納するとともに、抽出データに含まれるシーケンス情報を、高優先フレーム期待値照合部182aと、低優先フレーム期待値照合部183aと、回線選択制御部184aとに出力する。同様に、回線#2の受信バッファ部181a−2は、回線#2の抽出部17a−2から出力された抽出データを、自らの有するバッファに格納するとともに、抽出データに含まれるシーケンス情報を、高優先フレーム期待値照合部182aと、低優先フレーム期待値照合部183aと、回線選択制御部184aとに出力する。
【0048】
高優先フレーム期待値照合部182aは、期待値を生成するためのカウンタ(以下、「高優先期待値カウンタ」と称する)を有し、当該カウンタの示す期待値と、受信バッファ部181aから出力されたシーケンス情報とを照合し、照合結果を高優先フレーム期待値照合結果として、回線選択制御部184aに出力する。ここでいう期待値は、優先度毎に、回線選択制御部184aが次に取得すべきフレームのシーケンス番号を示す値である。すなわち、高優先フレーム期待値は、回線選択制御部184aが次に取得すべき高優先フレームのシーケンス番号を示し、低優先フレーム期待値は、回線選択制御部184aが次に取得すべき低優先フレームのシーケンス番号を示す。
低優先フレーム期待値照合部183aは、高優先フレーム期待値照合部182aと同様に、期待値を生成するためのカウンタ(以下、「低優先期待値カウンタ」と称する)を有し、当該カウンタの示す期待値と、受信バッファ部181aから出力されたシーケンス情報とを照合し、照合結果を低優先フレーム期待値照合結果として、回線選択制御部184aに出力する。
【0049】
回線選択制御部184aは、高優先フレーム期待値照合結果と、低優先フレーム期待値照合結果とを基に、回線#1の受信バッファ部181a−1から出力された抽出フレーム、または回線#2の受信バッファ部181a−2から出力された抽出フレームのどちらかを選択し、シーケンス情報付き受信フレームとして、シーケンス情報削除部19aに出力する。
【0050】
次に、図4および図5を参照して、シーケンス番号挿入部124aによる、送信フレームへの優先度情報およびシーケンス番号の挿入、および、回線選択制御部184aによる受信フレームの並べ替えについて説明する。
図4は、優先度情報付き送信フレームの概略構造を示すデータ構造図である。同図に示すように、優先動情報付き送信フレームでは、プロトコロル処理部11aから出力される送信フレームの先頭に優先度情報とシーケンス番号とが挿入されている。
上述したように、ここでのシーケンス番号は、優先度毎にフレームの並び順を示す番号である。この優先度情報と、シーケンス番号とを用いて、受信側の通信装置では、優先度毎に、送信側と同様のフレームの並び順を再現することができる。
【0051】
なお、シーケンス番号挿入部124aが、送信フレームに優先度情報およびシーケンス番号を付与する方法は、図4に示すように送信フレームの先頭に挿入する方法に限らず、受信側においてフレームと優先度情報とシーケンス番号とを対応付けて取得可能な様々な方法を用いることができる。例えば、送信フレームのヘッダに未使用領域がある場合、シーケンス番号挿入部124aが、当該未使用領域に、優先度情報とシーケンス番号とを書き込むようにしてもよい。
【0052】
図5は、回線選択制御部184aが受信フレームをバッファから取り出す例を示す説明図である。
同図(a)では、回線#1の受信バッファ部181a−1の先頭には、シーケンス番号152の高優先フレームが格納されている。また、回線#2の受信バッファ部181a−2の先頭には、シーケンス番号153の高優先フレームが格納されている。また、回線選択制御部184aは、シーケンス番号151までの高優先フレームと、シーケンス番号75までの低優先フレームとを、バッファから取り出し済みである。
【0053】
この場合、高優先フレーム期待値照合部182aは、回線選択制御部184aが取り出し済みの高優先フレームの次のシーケンス番号である152を、期待値としてカウンタに記憶している。そして、高優先フレーム期待値照合部182aは、受信バッファ部181a−1、受信バッファ部181a−2の各々について、先頭に格納されているフレームが、期待値と同一のシーケンス番号の高優先フレームか否か判定する。そして、高優先フレーム期待値照合部182aは、受信バッファ部181a−1の先頭のフレームが、期待値と同一のシーケンス番号の高優先フレームであることを検出し、期待値照合結果(高優先フレーム期待値照合結果)として回線番号#1を示す情報を回線選択制御部184aに出力する。
【0054】
一方、低優先フレーム期待値照合部183aは、回線選択制御部184aが取り出し済みの低優先フレームの次のシーケンス番号である76を、期待値としてカウンタに記憶している。そして、低優先フレーム期待値照合部183aは、受信バッファ部181a−1、受信バッファ部181a−2の各々について、先頭に格納されているフレームが、期待値と同一のシーケンス番号の低優先フレームか否か判定する。そして、低優先フレーム期待値照合部183aは、期待値と同一のシーケンス番号の低優先フレームが無いことを検出し、期待値照合結果(低優先フレーム期待値照合結果)として回線無しを示す情報を回線選択制御部184aに出力する。
【0055】
高優先フレーム期待値照合部182aと低優先フレーム期待値照合部183aとから期待値照合結果を取得した回線選択制御部184aは、高優先フレーム期待値照合部182aからの期待値照合結果を優先して、受信バッファ部からフレームを取得する。すなわち、高優先フレーム期待値照合部182aから出力された期待値照合結果がいずれかの受信バッファ部を示す場合、回線選択制御部184aは、当該受信バッファ部から高優先フレームを取得する。
図5(a)の例の場合、回線選択制御部184aは、高優先フレーム期待値照合部182aから出力された期待値照合結果に従って、回線#1の受信バッファ部181a−1から、シーケンス番号152の高優先フレームを取り出す。これにより、受信バッファ部181a−1および181a−2に格納されるフレームは、図5(b)のようになる。
【0056】
図5(b)では、回線#1の受信バッファ部181a−1の先頭には、シーケンス番号76の低優先フレームが格納されている。また、回線#2の受信バッファ部181a−2の先頭には、シーケンス番号153の高優先フレームが格納されている。また、回線選択制御部184aは、シーケンス番号152までの高優先フレームと、シーケンス番号75までの低優先フレームとを、バッファから取り出し済みである。
【0057】
この場合、高優先フレーム期待値照合部182aは、回線選択制御部184aが取り出し済みの高優先フレームの次のシーケンス番号である153を、期待値としてカウンタに記憶している。そして、高優先フレーム期待値照合部182aは、受信バッファ部181a−2の先頭のフレームが、期待値と同一のシーケンス番号の高優先フレームであることを検出し、期待値照合結果として回線番号#2を示す情報を回線選択制御部184aに出力する。
【0058】
一方、低優先フレーム期待値照合部183aは、回線選択制御部184aが取り出し済みの低優先フレームの次のシーケンス番号である76を、期待値としてカウンタに記憶している。そして、低優先フレーム期待値照合部183aは、受信バッファ部181a−1の先頭のフレームが、期待値と同一のシーケンス番号の低優先フレームであることを検出し、期待値照合結果として回線番号#1を示す情報を回線選択制御部184aに出力する。
【0059】
高優先フレーム期待値照合部182aと低優先フレーム期待値照合部183aとから期待値照合結果を取得した回線選択制御部184aは、高優先フレーム期待値照合部182aからの期待値照合結果を優先して、受信バッファ部からフレームを取得する。
図5(b)の例の場合、回線選択制御部184aは、高優先フレーム期待値照合部182aから出力された期待値照合結果に従って、回線#2の受信バッファ部181a−1から、シーケンス番号153の高優先フレームを取り出す。これにより、受信バッファ部181a−1および181a−2に格納されるフレームは、図5(c)のようになる。
【0060】
図5(c)では、回線#1の受信バッファ部181a−1の先頭には、シーケンス番号76の低優先フレームが格納されている。また、回線#2の受信バッファ部181a−2の先頭には、シーケンス番号77の低優先フレームが格納されている。また、回線選択制御部184aは、シーケンス番号153までの高優先フレームと、シーケンス番号75までの低優先フレームとを、バッファから取り出し済みである。
【0061】
この場合、高優先フレーム期待値照合部182aは、回線選択制御部184aが取り出し済みの高優先フレームの次のシーケンス番号である154を、期待値としてカウンタに記憶している。そして、高優先フレーム期待値照合部182aは、期待値と同一のシーケンス番号の高優先フレームが無いことを検出し、期待値照合結果として回線無しを示す情報を回線選択制御部184aに出力する。
【0062】
一方、低優先フレーム期待値照合部183aは、回線選択制御部184aが取り出し済みの低優先フレームの次のシーケンス番号である76を、期待値としてカウンタに記憶している。そして、低優先フレーム期待値照合部183aは、受信バッファ部181a−1の先頭のフレームが、期待値と同一のシーケンス番号の低優先フレームであることを検出し、期待値照合結果として回線番号#1を示す情報を回線選択制御部184aに出力する。
【0063】
高優先フレーム期待値照合部182aと低優先フレーム期待値照合部183aとから期待値照合結果を取得した回線選択制御部184aは、高優先フレーム期待値照合部182aからの期待値照合結果を優先して、受信バッファ部からフレームを取得する。しかし、図5(c)の例では、高優先フレーム期待値照合部182aは、回線無しを示す期待値照合結果を出力している。
そこで、回線選択制御部184aは、低優先フレーム期待値照合部183aから出力された期待値照合結果に従って、回線#1の受信バッファ部181a−1から、シーケンス番号76の低優先フレームを取り出す。これにより、受信バッファ部181a−1および181a−2に格納されるフレームは、図5(d)のようになる。
【0064】
このように、回線選択制御部184aが、高優先フレーム期待値照合部182aと低優先フレーム期待値照合部183aとから期待値照合結果に基づいて、受信バッファ部からフレームを取得することで、回線選択制御部184aは、優先度毎に、送信側と同じ並び順でフレームを取り出すことが出来る。図5の例では、回線選択制御部184aは、シーケンス番号152の高優先フレームを取り出した後、シーケンス番号153の高優先フレームを取り出している。
【0065】
また、回線選択制御部184aが、高優先フレーム期待値照合部182aからの期待値照合結果を優先して、受信バッファ部からフレームを取得することで、回線選択制御部184aは、高優先フレームを優先的に取り出すことができる。従って、通信装置10aは、高優先フレームを優先的に処理することができ、高優先フレームの通信速度の確保を図ることができる。
【0066】
次に、図6および図7を参照して、シーケンス情報挿入部12aおよび振分け制御部13aの動作について説明する。
図6は、シーケンス情報挿入部12aが、送信フレームに優先度情報とシーケンス番号とを挿入し、振分け制御部13aが、当該フレームをキューに格納する処理手順を示すフローチャートである。シーケンス情報挿入部12aは、プロトコロル処理部11aから送信フレームが出力されたことを検出すると、同図の処理を開始する。
【0067】
同図の処理において、まず、優先度判定部121aは、所定の判定基準(例えば、VLAN CoS値等)に基づいて、プロトコロル処理部11aから出力された送信フレームの優先度(高または低)を判定する。そして、優先度判定部121aは、優先度判定結果を、高優先フレームカウンタ部122a、低優先フレームカウンタ部123a、およびシーケンス番号挿入部124aに出力する(ステップS101)。
【0068】
次に、高優先フレームカウンタ部122aおよび低優先フレームカウンタ部123aは、優先度判定部121aから出力された優先度判定結果に基づいて、各々が有するカウンタの値を更新し、それぞれのカウンタ値をシーケンス番号挿入部124aに出力する(ステップS102)。
【0069】
ここで、図7は、高優先フレームカウンタ部122aおよび低優先フレームカウンタ部123aがカウンタ値を更新する処理手順を示すフローチャートである。高優先フレームカウンタ部122aおよび低優先フレームカウンタ部123aは、図6のステップS102において、図7の処理を実行する。
図7の処理において、高優先フレームカウンタ部122aは、優先度判定部121aから出力された優先度判定結果が「高」か否かを判定する(ステップS201)。優先度判定結果が「高」であると判定した場合(ステップS201:YES)、高優先フレームカウンタ部122aは、自らの有するカウンタを+1カウントアップする、すなわちカウンタ値に1を加える(ステップS202)。そして、高優先フレームカウンタ部122aは、カウンタ値を、高優先フレーム・シーケンス番号としてシーケンス番号挿入部124aに出力する(ステップS211)。
一方、優先度判定結果が「低」であると判定した場合(ステップS201:NO)、高優先フレームカウンタ部122aは、カウンタ値を保持して(すなわち、何も行わずに)、ステップS211に進む。
【0070】
また、低優先フレームカウンタ部123aは、優先度判定部121aから出力された優先度判定結果が「低」か否かを判定する(ステップS221)。優先度判定結果が「低」であると判定した場合(ステップS221:YES)、低優先フレームカウンタ部123aは、自らの有するカウンタを+1カウントアップする(ステップS222)。そして、低優先フレームカウンタ部123aは、カウンタ値を、低優先フレーム・シーケンス番号としてシーケンス番号挿入部124aに出力する(ステップS231)。
一方、優先度判定結果が「高」であると判定した場合(ステップS221:NO)、低優先フレームカウンタ部123aは、カウンタ値を保持して(すなわち、何も行わずに)、ステップS231に進む。
そして、ステップS211およびS231の処理を終了した後、同図の処理を終了する。
【0071】
図6に戻って、シーケンス番号挿入部124aは、優先度判定部121aから出力された優先度判定結果に基づいて、高優先フレームカウンタ部122aから出力された高優先フレーム・シーケンス番号と、低優先フレームカウンタ部123aから出力された低優先フレーム・シーケンス番号とのいずれかを、優先度判定結果とセットで、プロトコロル処理部11aから出力された送信フレームの先頭に挿入する(ステップS103)。具体的には、シーケンス番号挿入部124aは、優先度判定結果が「高」であれば高優先フレーム・シーケンス番号を挿入し、優先度判定結果が「低」であれば低優先フレーム・シーケンス番号を挿入する。
そして、シーケンス番号挿入部124aは、優先度判定結果とシーケンス番号とを挿入した送信フレームを、シーケンス情報付き送信フレームとして、振分け制御部13aに出力する(ステップS104)。
【0072】
シーケンス番号挿入部124aからシーケンス情報付き送信フレームが出力されると、高優先キュー部131aまたは低優先キュー部132aが、当該シーケンス情報付き送信フレームを、その優先度に応じて、自らの有するFIFO方式のメモリに格納する(ステップS105)。
【0073】
具体的には、高優先キュー部131aは、シーケンス番号挿入部124aから出力されたシーケンス情報付き送信フレームの優先度が高か否かを判定し、優先度が高であると判定した場合、当該シーケンス情報付き送信フレームを高優先キューに格納する。一方、優先度が低であると判定した場合、高優先キュー部131aは、当該シーケンス情報付き送信フレームの格納を行わない(何もしない)。このように、高優先キュー部131aは、シーケンス番号挿入部124aから出力されたシーケンス情報付き送信フレームのうち、高優先送信フレームを高優先キューに格納する。
【0074】
また、低優先キュー部132aは、シーケンス番号挿入部124aから出力されたシーケンス情報付き送信フレームの優先度が低か否かを判定し、優先度が低であると判定した場合、当該シーケンス情報付き送信フレームを低優先キューに格納する。一方、優先度が高であると判定した場合、低優先キュー部132aは、当該シーケンス情報付き送信フレームの格納を行わない(何もしない)。このように、低優先キュー部132aは、シーケンス番号挿入部124aから出力されたシーケンス情報付き送信フレームのうち、低優先送信フレームを低優先キューに格納する。
その後、同図の処理を終了する。
【0075】
次に、図8を参照して、振分け制御部13aの動作について説明する。
図8は、振分け制御部13aが、シーケンス情報付き送信フレームを無線回線に振り分ける処理手順を示すフローチャートである。振分け制御部13aは、通信装置10aの動作中において、繰り返し同図の処理を行う。
同図の処理において、まず、回線選択制御部134aは、高優先キューにシーケンス情報付き送信フレームが格納されているか否かを判定する(ステップS301)。格納されていると判定した場合(ステップS301:YES)、回線選択制御部134aは、高優先キューからシーケンス情報付き送信フレームを読み出す(ステップS311)。
【0076】
また、振分け比率決定部133aは、回線#1の抽出部17a−1から出力された変調方式指定情報と、回線#2の抽出部17a−2から出力された変調方式指定情報とを基に、回線の容量使用率が均等になるように、各回線に振り分けるフレームの個数比率を決定し、決定した個数比率を振分け個数比率として、回線選択制御部134aに出力する(ステップS341)。
次に、回線選択制御部134aは、振分け比率決定部133aから出力された振分け比率を基に、無線回線#1、#2のいずれかを決定(選択)する(ステップS342)。
【0077】
ただし、振分け比率決定部133aが振分け個数比率を決定するタイミングは、回線選択制御部134aがシーケンス情報付き送信フレームをキューから読み出す毎に限らない。例えば、変調・送信部15a−1または変調・送信部15a−2の変調方式が変更される毎に、振分け比率決定部133aが振分け個数比率を決定するようにしてもよい。この場合、例えば、回線選択制御部134aは、振分け比率決定部133aから出力される振分け個数比率を記憶し、振分け比率決定部133aから振分け個数比率が出力される毎に更新する。そして、回線選択制御部134aは、自らの記憶している振分け個数比率に基づいて、無線回線#1、#2のいずれかを決定する。
このように、変調・送信部15a−1または変調・送信部15a−2の変調方式が変更される毎に、振分け比率決定部133aが振分け個数比率を決定することで、振分け比率決定部133aが振分け個数比率を決定する回数を削減することができ、振分け比率決定部133aの負荷を軽減することができる。
【0078】
ステップS342の後、回線選択制御部134aは、ステップS311または後述するステップS332でキューから読み出したシーケンス情報付き送信フレームを、多重対象データとしてステップS332で決定した無線回線の多重部14aに出力する(ステップS343)。
その後、同図の処理を終了する。
【0079】
一方、ステップS301において、高優先キューにシーケンス情報付き送信フレームが格納されていないと判定した場合(ステップS301:NO)、回線選択制御部134aは、低優先キューにシーケンス情報付き送信フレームが格納されているか否かを判定する(ステップS321)。格納されていると判定した場合(ステップS321:YES)、回線選択制御部134aは、低優先キューからシーケンス情報付き送信フレームを読み出す(ステップS332)。
その後、ステップS341に進む。
一方、ステップS321において、低優先キューにシーケンス情報付き送信フレームが格納されていないと判定した場合(ステップS321:NO)、同図の処理を終了する。
【0080】
次に、図9〜図11を参照して、集約制御部18aの動作について説明する。
図9は、集約制御部18aが、受信フレームの集約を行う処理手順を示すフローチャートである。集約制御部18aは、通信装置10aの動作中において、繰り返し同図の処理を行う。
同図の処理において、まず、回線#1の受信バッファ部181a−1は、自らの有するバッファの先頭に格納されている抽出データ(抽出部17aから出力されたシーケンス情報付き受信フレーム)から優先度情報とシーケンス番号とを読み出して、高優先フレーム期待値照合部182aと、低優先フレーム期待値照合部183aとに出力する。
また、回線#2の受信バッファ部181a−2は、自らの有するバッファの先頭に格納されている抽出データから優先度情報とシーケンス番号とを読み出して、高優先フレーム期待値照合部182aと、低優先フレーム期待値照合部183aとに出力する。
【0081】
次に、高優先フレーム期待値照合部182aと低優先フレーム期待値照合部183aとは、それぞれ、受信バッファ部181a−1と受信バッファ部181a−2とから出力される優先度情報およびシーケンス番号に基づいて、自らの記憶する期待値と合致するか否かを判定し、判定結果を回線選択制御部184aに出力する(ステップS602)。
【0082】
ここで、図10は、高優先フレーム期待値照合部182aが、受信バッファ部181a−1および受信バッファ部181a−2から出力された優先度情報とシーケンス番号とが、高優先期待値カウンタの示す期待値と合致するか否かを判定する処理手順を示すフローチャートである。高優先フレーム期待値照合部182aは、図9のステップS602において、同図の処理を開始する。
図10の処理において、高優先フレーム期待値照合部182aは、無線回線の番号を示すカウンタiの値を1に初期設定する(ステップS701)。
【0083】
次に、高優先フレーム期待値照合部182aは、無線回線#iの受信バッファ部から出力された優先度情報が高優先を示すか否かを判定する(ステップS702)。高優先を示すと判定した場合(ステップS702:YES)、高優先フレーム期待値照合部182aは、無線回線#iの受信バッファ部から出力されたシーケンス番号と、高優先期待値カウンタの示す期待値とが一致するか否かを判定する(ステップS711)。一致すると判定した場合(ステップS711:YES)、高優先フレーム期待値照合部182aは、無線回線#iを示す照合結果を生成し、高優先フレーム期待値照合結果として、回線選択制御部184aに出力する(ステップS721)。
【0084】
その後、高優先フレーム期待値照合部182aは、無線回線#iの先頭に格納された抽出データ(シーケンス情報付き受信フレーム)が、読み出されたか否かを判定する(ステップS722)。なお、この抽出データの読出は、図9のステップS604において回線選択制御部184aによって行われる。
抽出データが読み出されていないと判定した場合(ステップS722:NO)、ステップS722に戻り、抽出データが読み出されるのを待ち受ける。
一方、抽出データが読み出されたと判定した場合(ステップS722:YES)、高優先フレーム期待値照合部182aは、高優先期待値カウンタの値(期待値)を+1カウントアップする(ステップS723)。その後、同図の処理を終了する。
【0085】
一方、ステップS702において、優先度情報が高優先を示さないと判定した場合(ステップS702:NO)、および、ステップS711において、シーケンス番号と期待値とが一致しないと判定した場合(ステップS711:NO)、高優先フレーム期待値照合部182aは、無線回線の番号を示すカウンタiの値を+1カウントアップする(ステップS732)。
【0086】
次に、高優先フレーム期待値照合部182aは、カウンタiの値が回線数(本実施形態では2)より大きいか否かを判定する(ステップS732)。カウンタiの値が回線数以下であると判定した場合(ステップS732:NO)、ステップS702に戻る。
一方、カウンタiの値が回線数より大きいと判定した場合(ステップS732:YES)、高優先フレーム期待値照合部182aは、該当する無線回線が無いことを示す照合結果を生成し、高優先フレーム期待値照合結果として、回線選択制御部184aに出力する(ステップS741)。
その後、同図の処理を終了する。
【0087】
このように、高優先フレーム期待値照合部182aは、シーケンス番号が高優先フレーム期待値照合部182a自らの記憶する期待値と合致する抽出データを格納する無線回線の番号、あるいは、該当する無線回線が無いことを示す情報を、高優先フレーム期待値照合結果として、回線選択制御部184aに出力する。
同様に、低優先フレーム期待値照合部183aは、シーケンス番号が低優先フレーム期待値照合部183a自らの記憶する期待値と合致する抽出データを格納する無線回線の番号、あるいは、該当する無線回線が無いことを示す情報を、低優先フレーム期待値照合結果として、回線選択制御部184aに出力する。
【0088】
図9に戻って、高優先フレーム期待値照合部182aから高優先フレーム期待値照合結果を取得し、低優先フレーム期待値照合部183aから低優先期待値フレーム照合結果を取得した回線選択制御部184aは、これらの照合結果を基に、回線#1の受信バッファ部181a−1、または回線#2の受信バッファ部181a−2のいずれかを選択し、選択した受信バッファから抽出データを取得して、シーケンス情報付き受信フレームとしてシーケンス情報削除部19aに出力する(ステップS604)。その際、図5で説明したように、回線選択制御部184aは、高優先フレーム期待値照合部182aからの期待値照合結果を優先して、受信バッファ部を選択する。
【0089】
ここで、図11は、回線選択制御部184aが抽出データを取得して出力する処理手順を示すフローチャートである。回線選択制御部184aは、図9のステップS603において同図の処理を開始する。
図11の処理において、回線選択制御部184aは、高優先フレーム期待値照合結果が、無線回線の番号を示すか否かを判定する(ステップS801)。無線回線の番号を示すと判定した場合(ステップS801:YES)、回線選択制御部184aは、この高優先フレーム期待値照合結果が示す無線回線の受信バッファから抽出データを読み出す(ステップS811)。
そして、回線選択制御部184aは、ステップS811または後述するステップS831で読み出した抽出データを、シーケンス情報付き受信フレームとしてシーケンス情報削除部19aに出力する(ステップS841)。
その後、同図の処理を終了する。
【0090】
一方、ステップS801において、高優先フレーム期待値照合結果が、該当する無線回線無しを示すと判定した場合(ステップS801:NO)、回線選択制御部184aは、低優先フレーム期待値照合結果が、無線回線の番号を示すか否かを判定する(ステップS821)。無線回線の番号を示すと判定した場合(ステップS821:YES)、回線選択制御部184aは、この低優先フレーム期待値照合結果が示す無線回線の受信バッファから抽出データを読み出す(ステップS831)。
その後、ステップS841に進む。
一方、ステップS821において、低優先フレーム期待値照合結果が、該当する無線回線無しを示すと判定した場合(ステップS821:NO)、同図の処理を終了する。
【0091】
以上のように、シーケンス情報挿入部12aが、当該フレームに設定された優先度を示す優先度情報と、フレームの優先度毎にフレームの並び順を示す情報であるシーケンス情報とを付与する。そして、振分け制御部13aが、優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、当該優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームの優先度に応じて、優先度の高いフレームほど優先的に複数の回線のいずれかに振り分ける。そして、変調・送信部15aが、優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、振分け制御部13aが振り分けた回線を用いて送信する。
これにより、複数の回線を用いてフレームを送信しても、フレームの優先度に応じたフレーム振分け制御が可能となるため、低優先フレームの順序制御に要する時間に影響されず、高優先フレームの順序制御を行うことができ、順序制御に伴う遅延時間および遅延時間の揺らぎを低減することが可能であり、かつ、受信側では、フレームに付与されたシーケンス情報を用いて、送信側と同様の順序にフレームを並べることができる。
すなわち、複数の回線を用いて、優先度の高いデータをより高速に通信でき、かつ、受信側で、受信したデータを送信側と同様の順序に並べることができる。
【0092】
さらに、変調・送信部15aが、優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを無線送信し、振分け制御部13aは、変調・送信部15aが優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを送信する無線回線の状態に応じて、シーケンス情報を付与されたフレームの各無線回線への振分を制御する。これにより、無線回線の伝送容量に応じたフレーム振分け制御が可能となるため、回線毎に伝送容量が異なる場合においても、効率的に回線を使用することが可能である。
すなわち、複数の回線を用いて、かつ、各々の回線の伝送容量に応じてフレームを振り分けて、優先度の高いデータをより高速に通信でき、かつ、受信側で、受信したデータを送信側と同様の順序に並べることができる。
【0093】
なお、以上では、通信システムが2本の無線回線#1および#2を使用して通信を行う場合について説明したが、本発明の適用範囲は、2本の無線回線を使用する場合に限らない。通信システムが、n(nは、n≧2の整数)本の無線回線を用いて通信を行う場合にも、本発明を適用し得る。
【0094】
また、以上では、通信システムが2種類の優先度(高または低)を使用して通信を行う場合について説明したが、本発明の適用範囲は、2種類の優先度を使用する場合に限らない。通信システムが、n(nは、n≧2の整数)種類の優先度を用いて通信を行う場合にも、本発明を適用し得る。
【0095】
また、以上では、通信システムが無線通信を行う場合について説明したが、本発明の適用範囲は、無線通信に限らない。例えば、通信システムが、複数の有線による通信回路を用いて通信を行い、時間帯に応じて当該通信システムに割り当てられる通信容量が変化する場合など、複数の通信回路を用いて通信を行い、各通信回路の通信容量を知り得る様々な通信システムに、本発明を適用し得る。
【0096】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1 通信システム
10a、10b 通信装置
11a、11b プロトコル処理部
12a、12b シーケンス情報挿入部
121a 優先度判定部
122a 高優先フレームカウンタ部
123a 低優先フレームカウンタ部
124a シーケンス番号挿入部
13a、13b 振分け制御部
131a 高優先キュー部
132a 低優先キュー部
133a 振分け比率決定部
134a 回線選択制御部
14a−1、14a−2、14b−1、14b−2 多重部
15a−1、15a−2、15b−1、15b−2 変調・送信部
16a−1、16a−2、16b−1、16b−2 受信・復調部
17a−1、17a−2、17b−1、17b−2 抽出部
18a、18b 集約制御部
181a−1、181a−2 受信バッファ部
182a 高優先フレーム期待値照合部
183a 低優先フレーム期待値照合部
184a 回線選択制御部
19a、19b シーケンス情報削除部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信対象であるフレームの各々に対して、当該フレームに設定された優先度を示す優先度情報と、フレームの優先度毎にフレームの並び順を示す情報であるシーケンス情報とを付与するシーケンス情報付与部と、
前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、当該優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームの優先度に応じて、優先度の高いフレームほど優先的に、複数の回線のいずれかに振り分ける振分け制御部と、
前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、前記振分け制御部が振り分けた回線を用いて送信する送信部と、
を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記送信部は、前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを無線送信し、
前記振分け制御部は、前記送信部が前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを送信する無線回線の状態に応じて、前記シーケンス情報を付与されたフレームの各無線回線への振分を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
フレームの優先度を示す優先度情報と、フレームの優先度毎にフレームの並び順を示す情報であるシーケンス情報を付与され、複数の回線に振り分けて送信されるフレームを受信する受信部と、
前記受信部が受信した、前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、当該シーケンス情報が示す並び順に従って前記優先度毎に並べる集約制御部と、
を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項4】
第1通信装置と、第2通信装置とを具備する通信システムであって、
前記第1通信装置は、
通信対象であるフレームの各々に対して、当該フレームに設定された優先度を示す優先度情報と、フレームの優先度毎にフレームの並び順を示す情報であるシーケンス情報とを付与するシーケンス情報付与部と、
前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、当該優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームの優先度に応じて、優先度の高いフレームほど優先的に、複数の回線のいずれかに振り分ける振分け制御部と、
前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、前記振分け制御部が振り分けた回線を用いて送信する送信部と、
を具備し、
前記第2通信装置は、
前記複数の回線に振り分けて前記第1通信装置から送信される、前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを受信する受信部と、
前記受信部が受信した、前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、当該シーケンス情報が示す並び順に従って前記優先度毎に並べる集約制御部と、
を具備することを特徴とする通信システム。
【請求項5】
通信装置の送信方法であって、
通信対象であるフレームの各々に対して、当該フレームに設定された優先度を示す優先度情報と、フレームの優先度毎にフレームの並び順を示す情報であるシーケンス情報とを付与するシーケンス情報付与ステップと、
前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、当該優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームの優先度に応じて、優先度の高いフレームほど優先的に、複数の回線のいずれかに振り分ける振分け制御ステップと、
前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、前記振分け制御部が振り分けた回線を用いて送信する送信ステップと、
を具備することを特徴とする送信方法。
【請求項6】
通信対象としてフレームを受信する通信装置の受信フレーム整列方法であって、
フレームの優先度を示す優先度情報と、フレームの優先度毎にフレームの並び順を示す情報であるシーケンス情報とを付与され、複数の回線に振り分けて送信されるフレームを受信する受信ステップと、
前記受信部が受信した、前記優先度情報およびシーケンス情報を付与されたフレームを、当該シーケンス情報が示す並び順に従って前記優先度毎に並べる集約制御ステップと、
を具備することを特徴とする受信フレーム整列方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−30955(P2013−30955A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165232(P2011−165232)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】