説明

通信装置、通信制御方法及びプログラム

【課題】
他装置が送信した通信インターフェース情報を利用して通信制御を行なうようにした通信装置、通信制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】
他装置と中継装置を介して通信する通信装置は、他装置が送信した通信インターフェース情報を受信し、自装置の通信速度に係わる情報を取得し、当該受信した通信インターフェース情報と当該取得した自装置の通信速度に係わる情報とを比較し、当該比較結果に基づいて接続先の中継装置を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業や官公庁、学校、又は家庭等においては、有線や無線による通信環境が構築されている。例えば、アクセスポイントを介して複数のステーション間で情報の授受を行なう通信環境が組まれることがある。このような通信に関しては、例えば、自律的に又は他装置からの要求に応じて隣接するアクセスポイントの情報を送信する技術が知られている(特許文献1、特許文献2)。また、例えば、通信装置が、自律的に又は他装置からの要求に応じて自身のNIC(Network Interface Card)情報を送信する技術も知られている(非特許文献1)。この技術は、有線、無線を問わず適用可能である。
【特許文献1】特開2001−094572号公報
【特許文献2】特開2005−086623号公報
【非特許文献1】Link Layer Topology Discovery Protocol Specification、Microsoft
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、他装置が送信した通信インターフェース情報を十分に活用できているとはいえなかった。
【0004】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、他装置が送信した通信インターフェース情報を利用して通信制御を行なうようにした通信装置、通信制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、他装置と中継装置を介して通信する通信装置であって、前記他装置が送信した通信インターフェース情報を受信する受信手段と、自装置の通信速度に係わる情報を取得する取得手段と、前記受信手段により受信した通信インターフェース情報と前記取得手段により取得した自装置の通信速度に係わる情報とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づいて接続先の中継装置を切り替える切替手段とを具備することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の一態様は、他装置と中継装置を介して通信する通信装置であって、前記他装置が送信した通信インターフェース情報を受信する受信手段と、データ送信前に該データのデータ送信速度を示す情報を取得する取得手段と、データ送信に際して前記受信手段により受信した該データの送信先となる他装置の通信インターフェース情報と前記取得手段により取得したデータ送信速度を示す情報とを比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果に基づいて前記データ送信先となる他装置へのデータ送信速度を変更する変更手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様は、他装置と中継装置を介して通信する通信装置の通信制御方法であって、前記他装置が送信した通信インターフェース情報を受信する受信工程と、自装置の通信速度に係わる情報を取得する取得工程と、前記受信工程で受信した通信インターフェース情報と前記取得工程で取得した自装置の通信速度に係わる情報とを比較する比較工程と、前記比較工程での比較結果に基づいて接続先の中継装置を切り替える切替工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、他装置と中継装置を介して通信する通信装置の通信制御方法であって、前記他装置が送信した通信インターフェース情報を受信する受信工程と、データ送信前に該データのデータ送信速度を示す情報を取得する取得工程と、データ送信に際して前記受信工程で受信した該データの送信先となる他装置の通信インターフェース情報と前記取得工程で取得したデータ送信速度を示す情報とを比較する比較工程と、前記比較工程での比較結果に基づいて前記データ送信先となる他装置へのデータ送信速度を変更する変更工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様によるプログラムは、他装置と中継装置を介して通信する通信装置に内蔵されたコンピュータを、前記他装置が送信した通信インターフェース情報を受信する受信手段、自装置の通信速度に係わる情報を取得する取得手段、前記受信手段により受信した通信インターフェース情報と前記取得手段により取得した自装置の通信速度に係わる情報とを比較する比較手段、前記比較手段による比較結果に基づいて接続先の中継装置を切り替える切替手段として機能させる。
【0010】
また、本発明の一態様によるプログラムは、他装置と中継装置を介して通信する通信装置に内蔵されたコンピュータを、前記他装置が送信した通信インターフェース情報を受信する受信手段、データ送信前に該データのデータ送信速度を示す情報を取得する取得手段、データ送信に際して前記受信手段により受信した該データの送信先となる他装置の通信インターフェース情報と前記取得手段により取得したデータ送信速度を示す情報とを比較する比較手段、前記比較手段の比較結果に基づいて前記データ送信先となる他装置へのデータ送信速度を変更する変更手段として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、他装置が送信した通信インターフェース情報を利用して通信制御を行なうため、本構成を有さない場合よりも、好適に通信を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係わる通信装置、通信制御方法及びプログラムの一実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下、実施形態においては、無線LAN(Local Area Network)ネットワークで構成された通信システムを例に挙げて説明するが、本発明は、有線で構成されたネットワークで構成された通信システムに適用しても構わない。
【0013】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係わる通信システムの全体構成の一例を示す図である。
【0014】
101〜104は、アクセスポイント(中継装置)として機能する通信装置(以下、APと呼ぶ)であり、111〜114は、ステーションとして機能する通信装置(以下、STAと呼ぶ)である。これら通信装置(101〜104、111〜114)各々は、例えば、IEEE802.11規格に対応した通信により他装置と情報の授受を行なう。
【0015】
図1においては、STA111はAP101に、STA112はAP102に、STA113はAP103に、STA114はAP104に、それぞれアソシエートしている。また、AP101〜AP103は、例えば、IEEE802.3規格に対応した有線通信により接続されている。図中破線で描かれた円弧は、STA111が無線通信可能な範囲を示している。例えば、AP102は、STA111の無線通信可能な範囲内に位置している。STA111及びAP102は、互いにプローブ要求やその応答によって互いを検出することができる。STA111は、AP102にアソシエートすることもできる。
【0016】
なお、本実施形態においては、STA111には、本実施形態に係わる特徴ある構成が実現されているものとし、それ以外のSTA112〜114は、従来同様の構成であるものとして説明する。
【0017】
以上が、本実施形態に係わる通信システムの全体構成についての説明である。なお、上述した通信装置(AP、STA)各々は、コンピュータを含んで構成される。コンピュータには、例えば、CPU等の主制御手段、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶手段が具備される。また、コンピュータには、ネットワークカード等の通信手段、ディスプレイ又はタッチパネル等の入出力手段等、が具備されていてもよい。なお、これら各構成手段は、バス等により接続され、主制御手段が記憶手段に記憶されたプログラムを実行することで制御される。
【0018】
図2は、従来のSTAの構成の一例を示す図である。すなわち、STA112〜114に共通する構成である。ここでは、代表してSTA112を例に挙げて説明する。
【0019】
200は、通信インターフェースであり、他装置との通信を制御する。すなわち、STA112における通信は、この通信インターフェース200を介して行なわれる。通信インターフェース200は、例えば、NIC(Network Interface Card)で構成される。
【0020】
201は、STA機能部であり、一般的なSTA機能を提供する。STA112〜114は、STA機能部201において、アソシエートしているAP及びこれに直接的又は間接的に接続している他装置と通信を行なうことができる。つまり、図1に示すネットワークの構成においては、STA112は、AP101〜103、STA111及びSTA113と通信を行なえる。
【0021】
202は、NIC情報送信部であり、自律的に又は他装置からの要求に応じて通信インターフェース情報(本実施形態においては、NIC情報と呼ぶ)を生成し送信する。ここで、NIC情報は、例えば、図3に示す構成から成る。301は、NIC情報全体を示す。NIC情報は、大別して、アドレス情報311、メディア情報312、速度情報313、の3つの情報要素を含んで構成される。
【0022】
アドレス情報311は、MAC(Media Access Control)アドレス情報を含んで構成される。なお、アドレス情報311は更に、IPアドレス情報を含んでいてもよい。
【0023】
メディア情報312は、メディア種別情報、メディア種別情報に応じたメディア詳細情報を含んで構成される。メディア種別情報とは、例えば、802.3や802.11等のメディア種別を特定するための情報である。メディア詳細情報とは、例えば、メディア種別が802.11の場合に、APであるかSTAであるかの情報、モード情報、BSSID情報など、メディアの詳細を特定するための情報である。
【0024】
速度情報313は、最大速度情報とリンク速度情報とを含んで構成される。最大速度情報とは、通信インターフェース(すなわち、NIC)の能力としてとり得る最大速度を示す情報である。リンク速度情報とは、通信インターフェースと、通信インターフェースが接続しているAPとの間の通信速度を示す情報である。
【0025】
図4は、STA111の構成の一例を示す図である。
【0026】
400は、通信インターフェースであり、他装置との通信を制御する。すなわち、STA111における通信は、この通信インターフェース400を介して行なわれる。通信インターフェース400は、例えば、NICで構成される。
【0027】
401は、STA機能部であり、一般的なSTA機能を提供する。すなわち、上述したSTA機能部201と同様の機能を果たす。STA111は、STA機能部401において、アソシエートしているAP及びこれに直接的又は間接的に接続している他装置と通信を行なうことができる。つまり、図1に示すネットワークの構成においては、STA111は、AP101〜103、STA112及びSTA113と通信を行なえる。
【0028】
402は、NIC情報受信部であり、NIC情報を受信する。すなわち、STA112〜114から送られてくるNIC情報を受信する。
【0029】
403は、ローミング制御部であり、NIC情報取得部411、速度比較部412、AP切替部413を具備して構成される。NIC情報取得部411は、自装置のNIC情報を取得する。この取得は、他装置(STA112〜114)から送られてきたNIC情報と、自装置のNIC情報とを比較するために行なう。なお、NIC情報取得部411は、NIC情報を生成する機能を有しており、これにより、自装置のNIC情報を取得する。
【0030】
速度比較部412は、他装置(STA112〜114)から送られてきたNIC情報内のリンク速度情報と、自装置のNIC情報内のリンク速度情報とを比較する。
【0031】
AP切替部413は、接続先のAP、すなわち、アソシエートするAPを切り替える。この処理は、速度比較部412の比較結果に基づいて行なわれる。具体的には、他装置(STA112〜114)から送られてきたNIC情報内のリンク速度情報(すなわち、リンク速度)が、自装置のリンク速度よりも速い場合に、アソシエートするAPを切り替える。なお、AP切替部413によるAPの切り替えは、STA機能部401を制御することにより行なわれる。
【0032】
ここで、図5を用いて、図1に示すSTA111においてデータを受信した際の処理の流れの一例について説明する。この処理は、例えば、STA111が既に何れかのAPとアソシエートしている状態で、他のSTAからデータが送られてくると開始する。
【0033】
この処理が開始すると、STA111は、NIC情報受信部402において、データを受信するとともに、その受信したデータのフォーマットを調査する。そして、受信したデータが、NIC情報であるか否かを確認する(S501)。
【0034】
この結果、受信したデータがNIC情報でなければ(S501でNO)、STA111は、この処理を終了する。NIC情報であれば(S501でYES)、STA111は、NIC情報受信部402において、NIC情報テーブルを読み込む(S502)。NIC情報テーブルには、他装置から送られてきたNIC情報が保持されている。このテーブルは、例えば、RAM等のメモリに格納されている。なお、NIC情報テーブルの詳細については後述する。
【0035】
NIC情報の読み込み後、STA111は、NIC情報受信部402において、受信したNIC情報内のアドレス情報と、NIC情報テーブルに保持されたNIC情報内のアドレス情報とを比較する(S503)。比較の結果、アドレス情報が不一致であれば(S503でYES)、STA111は、新規のNIC情報を受信したとし、NIC情報テーブルに受信したNIC情報を追加する(S504)。また、アドレス情報が一致した場合(S503でNO)、STA111は、格納済みのNIC情報を再度受信したとし、受信したNIC情報に従ってNIC情報テーブルを更新する(S505)。その後、STA111は、例えば、メモリ等にNIC情報テーブルを保存し(S506)、この処理を終了する。
【0036】
図6は、NIC情報テーブルの構成の一例を示す図である。なお、図6は、STA111が保持しているNIC情報テーブルの内容を示している。
【0037】
ここで、STA112のMACアドレスは、「00:00:85:00:01:12」であり、STA113のMACアドレスは、「00:00:85:00:01:13」であるとする。また、AP102のMACアドレスは、「00:00:85:00:01:02」であり、AP103のMACアドレスは、「00:00:85:00:01:03」であるとする。
【0038】
従って、図6に示すNIC情報テーブル601には、STA112の通信インターフェース200の最大速度が54Mbpsである旨保持されており、また、STA112は、AP102とリンク速度54Mbpsで接続されている旨保持される。また、NIC情報テーブル601には、STA113の通信インターフェースの最大速度が54Mbpsである旨保持されており、STA113は、AP103とリンク速度12Mbpsで接続されている旨保持される。
【0039】
次に、図7を用いて、図1に示すSTA111において接続先のAPを切り替える際の処理の流れの一例について説明する。
【0040】
この処理は、例えば、ユーザが、STA111において当該処理の開始を指示した場合に開始する。なお、これ以外の方法で処理を開始するようにしてもよい。例えば、NIC情報取得部411において、自装置のNIC情報を定期的に取得するようにした場合には、自装置のNIC情報のリンク速度が所定値より小さくなった場合に、処理を開始するようにしてもよい。
【0041】
この処理が開始されると、STA111は、ローミング制御部403において、まず、NIC情報テーブルを読み込み、リンク速度の大きい順に各NIC情報をソートする(S701)。ソートが済むと、STA111は、NIC情報取得部411において、自装置のNIC情報を取得する(S702)。
【0042】
続いて、STA111は、速度比較部412において、自装置のNIC情報のリンク速度と、最もリンク速度の速い、すなわち、S701によるソートにより先頭に並べられたNIC情報のリンク速度とを比較する(S703)。比較の結果、自装置のリンク速度の方が速ければ(S704でYES)、この処理を終了する。一方、自装置のリンク速度よりも該当のNIC情報内のリンク速度の方が速ければ(S704でNO)、STA111は、周辺のAPに対しプローブ要求を送信し、ローミング先候補となるAPを探索する(S705)。
【0043】
ここで、プローブ要求に対する応答が返ってこなければ(S706でNO)、STA111は、上記同様の手順で、NIC情報内の次に速いリンク速度と自装置のリンク速度とを比較した後(S708)、再度、S704の処理に進む。一方、応答を受信した場合には(S706でYES)、STA111は、ローミング制御部403において、該当のAPからの応答であるか否かを確認する。この確認は、応答のあったAPのメディア情報と、S703で比較対象となったNIC情報内のメディア情報とが一致するか否かに基づいて行なう。この処理では、自装置よりもリンク速度が速いと確認された他のSTAがアソシエートしているAPを発見できたか否かを確認することになる。
【0044】
確認の結果、該当のAPを発見できなかった場合には(S707でNO)、STA111は、上記同様の手順で、NIC情報内の次に速いリンク速度と自装置のリンク速度とを比較した後(S708)、再度、S704の処理に進む。一方、該当のAPを発見した場合には(S707でYES)、STA111は、AP切替部413において、そのAPにアソシエートを切り替えた後(S709)、この処理を終了する。
【0045】
ここで、上述した処理について具体例を挙げて説明する。例えば、STA111(自装置)のNIC情報の最大速度が54Mbps、リンク速度が36Mbpsであり、NIC情報テーブルが図6に示す状態にあると仮定する。また、STA111は、AP101にアソシエートしている。この場合、上述した処理を行なうと、STA111は、現在の接続されているAP101よりもリンク速度の速いAP102(MACアドレス「00:00:85:00:01:02」)に接続を切り替える。なお、より好ましくは、切り替え後、自装置のNIC情報を再取得し、リンク速度が切り替え前よりも速くなったか否かを確認し、速度が向上していなければ、切り替え前のAPにアソシエートし直すなどしてもよい。
【0046】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。実施形態2では、実施形態1で説明したSTAの構成(STA111の構成)におけるローミング制御部403の替わりに、トラフィック制御部803を設ける。なお、実施形態2に係わる全体構成は、実施形態1を説明した図1と同様となるため、その説明については省略する。
【0047】
図8は、実施形態2に係わるSTAの構成(STA111)の一例を示す図である。なお、実施形態1を説明した図4と同一のものには同一の符号を付し、その説明については省略する。
【0048】
803は、トラフィック制御部であり、データ送信速度取得部811、速度比較部812、データ送信速度変更部813を具備して構成される。データ送信速度取得部811は、自装置のデータ送信速度情報を取得する。この取得は、他装置(STA112〜114)から送られてくるNIC情報内のリンク速度情報と比較するために行なわれる。ここでは、データ送信速度取得部811によるデータ送信速度情報の取得は、例えば、データ送信前にデータ送信アプリケーションから取得することで行なわれる。なお、データ送信アプリケーションは、データ送信速度を通知する機能、データ送信速度の変更機能、等を有しているものとする。
【0049】
速度比較部812は、他装置(STA112〜114)から送られてきたNIC情報内のリンク速度情報と、自装置のデータ送信速度情報とを比較する。
【0050】
データ送信速度変更部813は、データ送信速度を変更する。具体的には、データ送信先装置から送られてきたNIC情報内のリンク速度情報(すなわち、リンク速度)が、自装置のデータ送信速度情報(すなわち、データ送信速度)よりも遅い場合に、その送信先へのデータ送信速度を低下させる。なお、データ送信速度の低下は、例えば、データ送信アプリケーションによるデータ送信時の送信速度を変更させることで実現できる。
【0051】
図9は、実施形態2に係わるSTA111においてデータを送信する際の処理の流れの一例について説明する。この処理は、STA111において、例えば、データ送信アプリケーションが起動した場合に開始される。
【0052】
この処理が開始されると、STA111は、トラフィック制御部803において、まず、NIC情報テーブルを読み込む(S901)。そして、データ送信が発生するまで待機する(S902でNO)。データ送信が発生すると(S902でYES)、STA111は、データ送信速度取得部811において、当該データを送信する際の送信速度を取得する(S903)。
【0053】
その後、STA111は、トラフィック制御部803において、データ送信先のアドレス情報と合致するアドレス情報が、NIC情報テーブルに保持されているか否かを確認する(S904)。
【0054】
確認の結果、合致するアドレス情報がなければ(S905でNO)、STA111は、そのままデータ送信を開始し(S909)、この処理を終了する。合致するアドレス情報があれば(S905でYES)、STA111は、速度比較部812において、合致したNIC情報内のリンク速度と、S903で取得したデータ送信速度とを比較する(S906)。
【0055】
比較の結果、合致したNIC情報内のリンク速度が、取得したデータ送信速度よりも低速であれば(S907でYES)、STA111は、データ送信速度変更部813において、データの送信速度をリンク速度以下に設定する(S908)。STA111は、その設定された速度でデータ送信を開始する(S909)。そして、この処理を終了する。
【0056】
ここで、上述した処理について具体例を挙げて説明する。例えば、データ送信アプリケーションの送信データが24Mbpsの高精彩映像であり、NIC情報テーブルが図6に示す状態にあると仮定する。また、STA111は、STA113を通信相手として起動したとする。この場合、上述した処理を行なうと、STA111は、例えば、データ送信速度を12Mbps等に低減した標準映像に変更して、データ送信アプリケーションによる送信処理を行なう。
【0057】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。例えば、上述した実施形態1及び実施形態2の一部又はその全てを組み合わせて実施しても勿論かまわない。
【0058】
なお、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記録媒体等としての実施態様を採ることもできる。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0059】
また、本発明は、ソフトウェアのプログラムをシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置に内蔵されたコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することにより実施形態の機能が達成される場合をも含む。この場合、供給されるプログラムは実施形態で図に示したフローチャートに対応したコンピュータプログラムである。
【0060】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OS(Operating System)に供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0061】
コンピュータプログラムを供給するためのコンピュータ読み取り可能な記録媒体としては以下が挙げられる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0062】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることが挙げられる。この場合、ダウンロードされるプログラムは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0063】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記録媒体に格納してユーザに配布するという形態をとることもできる。この場合、所定の条件をクリアしたユーザに、インターネットを介してホームページから暗号を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用して暗号化されたプログラムを実行し、プログラムをコンピュータにインストールさせるようにもできる。
【0064】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどとの協働で実施形態の機能が実現されてもよい。この場合、OSなどが、実際の処理の一部又は全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0065】
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれて前述の実施形態の機能の一部或いは全てが実現されてもよい。この場合、機能拡張ボードや機能拡張ユニットにプログラムが書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU(Central Processing Unit)などが実際の処理の一部又は全部を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる通信システムの全体構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示すSTA112の構成の一例を示す図である。
【図3】通信インターフェース情報(NIC情報)の一例を示す図である。
【図4】図1に示すSTA111の構成の一例を示す図である。
【図5】図1に示すSTA111においてデータを受信した際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】NIC情報テーブルの構成の一例を示す図である。
【図7】図1に示すSTA111において接続先のAPを切り替える際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】実施形態2に係わるSTA111の構成の一例を示す図である。
【図9】実施形態2に係わるSTA111においてデータを送信する際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
101、102、103、104 AP
111、112、113、114 STA
200、400 通信インターフェース
201、401 STA機能部
202 NIC情報送信部
402 NIC情報受信部
403 ローミング制御部
411 NIC情報取得部
412 速度比較部
413 AP切替部
811 データ送信速度取得部
812 速度比較部
813 データ送信速度変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他装置と中継装置を介して通信する通信装置であって、
前記他装置が送信した通信インターフェース情報を受信する受信手段と、
自装置の通信速度に係わる情報を取得する取得手段と、
前記受信手段により受信した通信インターフェース情報と前記取得手段により取得した自装置の通信速度に係わる情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づいて接続先の中継装置を切り替える切替手段と
を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記通信インターフェース情報は、
前記他装置のリンク速度を示す情報を含み、
前記取得手段は、
自装置のリンク速度を示す情報を取得し、
前記比較手段は、
前記他装置のリンク速度と前記取得手段により取得した自装置のリンク速度とを比較し、
前記切替手段は、
前記他装置のリンク速度が前記自装置のリンク速度よりも速い場合、該他装置が接続されている中継装置に自装置の接続先を切り替える
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
データ送信に際して、前記比較手段の比較結果に基づいてデータ送信速度を変更する変更手段
を更に具備することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信インターフェース情報は、
前記他装置のリンク速度を示す情報を含み、
前記取得手段は、
データ送信前に該データのデータ送信速度を示す情報を取得し、
前記比較手段は、
データ送信先となる前記他装置のリンク速度と前記取得手段により取得したデータ送信速度とを比較し、
前記変更手段は、
前記データ送信先となる他装置のリンク速度が前記データ送信速度よりも遅い場合、該他装置へのデータ送信速度を該リンク速度以下に変更する
ことを特徴とする請求項3記載の通信装置。
【請求項5】
他装置と中継装置を介して通信する通信装置であって、
前記他装置が送信した通信インターフェース情報を受信する受信手段と、
データ送信前に該データのデータ送信速度を示す情報を取得する取得手段と、
データ送信に際して前記受信手段により受信した該データの送信先となる他装置の通信インターフェース情報と前記取得手段により取得したデータ送信速度を示す情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づいて前記データ送信先となる他装置へのデータ送信速度を変更する変更手段と
を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項6】
他装置と中継装置を介して通信する通信装置の通信制御方法であって、
前記他装置が送信した通信インターフェース情報を受信する受信工程と、
自装置の通信速度に係わる情報を取得する取得工程と、
前記受信工程で受信した通信インターフェース情報と前記取得工程で取得した自装置の通信速度に係わる情報とを比較する比較工程と、
前記比較工程での比較結果に基づいて接続先の中継装置を切り替える切替工程と
を含むことを特徴とする通信装置の通信制御方法。
【請求項7】
他装置と中継装置を介して通信する通信装置の通信制御方法であって、
前記他装置が送信した通信インターフェース情報を受信する受信工程と、
データ送信前に該データのデータ送信速度を示す情報を取得する取得工程と、
データ送信に際して前記受信工程で受信した該データの送信先となる他装置の通信インターフェース情報と前記取得工程で取得したデータ送信速度を示す情報とを比較する比較工程と、
前記比較工程での比較結果に基づいて前記データ送信先となる他装置へのデータ送信速度を変更する変更工程と
を含むことを特徴とする通信装置の通信制御方法。
【請求項8】
他装置と中継装置を介して通信する通信装置に内蔵されたコンピュータを、
前記他装置が送信した通信インターフェース情報を受信する受信手段、
自装置の通信速度に係わる情報を取得する取得手段、
前記受信手段により受信した通信インターフェース情報と前記取得手段により取得した自装置の通信速度に係わる情報とを比較する比較手段、
前記比較手段による比較結果に基づいて接続先の中継装置を切り替える切替手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
他装置と中継装置を介して通信する通信装置に内蔵されたコンピュータを、
前記他装置が送信した通信インターフェース情報を受信する受信手段、
データ送信前に該データのデータ送信速度を示す情報を取得する取得手段、
データ送信に際して前記受信手段により受信した該データの送信先となる他装置の通信インターフェース情報と前記取得手段により取得したデータ送信速度を示す情報とを比較する比較手段、
前記比較手段の比較結果に基づいて前記データ送信先となる他装置へのデータ送信速度を変更する変更手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−109491(P2010−109491A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277374(P2008−277374)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】