通信装置、通信制御方法
【課題】近距離無線通信を行う機器において接続待受けにかかる電力を削減する。
【解決手段】位置検出部を備え、また近距離無線通信の実行時の位置情報が登録された通信位置リストを記憶する記憶部とを備える。制御部は、位置検出部から現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報と通信位置リストの照合結果に応じて、近距離無線通信部からの待受け電波の発生状態を制御する。例えば登録された位置であるときは、待受け電波の発生を密状態にし、登録されている位置ではないときは、待受け電波の発生を粗状態とする。
【解決手段】位置検出部を備え、また近距離無線通信の実行時の位置情報が登録された通信位置リストを記憶する記憶部とを備える。制御部は、位置検出部から現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報と通信位置リストの照合結果に応じて、近距離無線通信部からの待受け電波の発生状態を制御する。例えば登録された位置であるときは、待受け電波の発生を密状態にし、登録されている位置ではないときは、待受け電波の発生を粗状態とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は近距離無線通信を行う通信装置、及びその通信制御方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2011−29892
【特許文献2】特開2008−252212
【背景技術】
【0003】
例えばブルートゥース(Bluetooth)やトランスファージェット(TransferJet)等の近距離無線通信技術が知られている。
近距離無線通信では、無線通信が可能な通信相手を検出するために、検出用の電波を発信する必要がある。
【0004】
上記特許文献1では、近距離無線通信の一例としてのトランスファージェットについての記載がなされている。当該説明においては、通信相手機器を検出するための電波をポーリング信号と称し、通信を行う一方の機器がポーリング信号を発信し、そのポーリング信号に応じて他方の機器から応答信号を返信する動作が記載されている。このポーリングは、通信を行う両機器間でデータの送受信を開始する際に互いの準備状況を判断したり、処理の同期を取るために行われる。また、ポーリング信号は、所定のポーリング周期で間欠的に発信される。
【0005】
すなわち、近距離無線通信においては、通信相手を検出するために電波信号(本明細書では「待受け電波」と称する)を周期的に発信するということが行われる。これは、当該通信機器を通信相手に近接することで自動的に通信相手を検出し、通信を開始させることを意図したものであり、近距離無線通信に特有の直感的な操作感を実現するための技術である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近距離無線通信においては、近距離という特性ゆえ、ユーザーが近距離無線通信機器を通信相手に近接させたときにのみ通信が行われるが、近接させていないときは通信は行われない。従って、上記した待受け電波を常時発信することは、無駄な電力を消費することになる。
【0007】
これを解決する方法として、通信を開始するにあたり、ユーザーが近距離無線通信機器にメニュー操作などで通信機能を有効とさせた上で、通信相手に近接させて通信を開始する方法が考えられる。この場合、ユーザーが通信をさせる意思がある場合のみ待受け電波を発信するという目的は達せられるが、ユーザーに煩雑なメニュー操作を実施させることになり、使い勝手が悪くなり操作性を損ねる。
【0008】
煩雑なメニュー操作等を行うことなく、通信にかかる電力を抑える方法として、特許文献2に以下のような方法が挙げられている。
特許文献2によれば、近距離無線通信機器が、第一の無線通信機能である近距離無線通信に加えて第二の無線通信機能(無線LAN)を備える。ユーザーがある特定の動作(シャッターキーリリース)をすると、第二の無線通信機能を介して、通信相手の近距離無線通信機器へ、近距離無線通信機能を有効にする指令を出す。その後、必要な近距離無線通信が行われた後に、お互いの近距離無線通信機能は停止される。これにより、通信相手の近距離無線通信機器は、ユーザーの操作負担なく、近距離無線通信機能を有効にできるので、消費電力を抑えることができる。
【0009】
このような特許文献2で示される消費電力を抑える方法は、シャッターキーリリースというユーザー操作に付随するデータ通信を行うことが前提であり、特定のユーザー操作が行われるユースケースに限定される。このため、シャッターキーリリースという場合以外での近距離無線通信を想定した場合に消費電力を抑えるということは解決されていない。
また、特許文献2で示される消費電力を抑える方法は、無線LANという第2の無線通信機能を用いて、近距離無線通信の機能の有効化を行っているが、通信相手の近距離無線通信機器の無線LANについて常に通信機能が使えなければならず、無線LANの通信機能にかかる消費電力がかかってしまう。
【0010】
そこで本開示では、近距離無線通信を行う機器においてユーザーの利便性を維持しつつ、接続待受けにかかる電力を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の通信装置は、外部通信機器との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、現在位置情報を検出する位置検出部と、近距離無線通信の実行時の位置情報が登録された通信位置リストを記憶する記憶部と、上記位置検出部から現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果に応じて、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生状態を制御する制御部とを備える。
【0012】
本開示の通信制御方法は、外部通信機器との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、現在位置情報を検出する位置検出部と、近距離無線通信の実行時の位置情報が登録された通信位置リストを記憶する記憶部とを備えた通信装置の通信制御方法として、上記位置検出部から現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果に応じて、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生状態を制御する。
【0013】
このような本開示では、過去に近距離無線通信を実行した場所の位置情報(緯度・経度情報)の履歴を通信位置リストとして保持することにより、その場所に通信相手としての近距離無線通信機器がある可能性を判断するものとなる。即ち現在位置情報と、通信位置リストに登録されている位置情報を照合して、現在位置が過去に近距離無線通信を行った位置であるか否かを判断する。そしてその判断結果に応じて待受け電波の発生状態を制御することで、現在位置に応じた適切な待受け電波発生を実現する。
例えば過去に近距離無線通信を行った位置であれば、通信相手の機器が存在するであろうから、待受け電波を密状態とし、近距離無線通信を行ったことのない位置であれば通信相手の機器が存在する可能性は低いから、待受け電波を粗状態とするなどである。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、現在位置情報と通信位置リストの照合結果に応じて、待受け電波の発生状態を制御することで、接続待ち受けにかかる電力を削減できる。また、特にユーザーに特別な操作負担をかけるものでもないため、ユーザの利便性を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本開示の実施の形態のデジタルスチルカメラの外観の説明図である。
【図2】実施の形態のデジタルスチルカメラの内部構成のブロック図である。
【図3】実施の形態の近接操作の説明図である。
【図4】第1の実施の形態の通信位置リストの説明図である。
【図5】第1の実施の形態のリスト管理処理のフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態の通信制御処理のフローチャートである。
【図7】ポーリング周期と消費電力の説明図である。
【図8】第2の実施の形態の通信位置リストの説明図である。
【図9】第2の実施の形態のリスト管理処理のフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態の通信制御処理のフローチャートである。
【図11】本開示の通信装置の要部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態を次の順序で説明する。なお実施の形態では、通信装置の例として、外部通信機器と近距離無線通信を行うデジタルスチルカメラ(以下、「DSC」という)を挙げて説明する。
<1.DSC(デジタルスチルカメラ)の構成>
<2.第1の実施の形態の通信制御処理>
<3.第2の実施の形態の通信制御処理>
<4.変形例>
【0017】
<1.DSC(デジタルスチルカメラ)の構成>
本開示の通信装置の実施の形態としてのDSCの構成を説明する。
図1Aは実施の形態のDSC1の正面側の外観を示す斜視図、図1BはそのDSC1の背面側(操作面側)の外観を示す背面図である。
【0018】
DSC1は、図1Aに示すように、例えば正面の下部に、近距離無線通信アンテナ2を有する。本例ではDSC1が近距離無線通信アンテナ2を具備しているが、近距離無線通信アンテナ2を含む通信モジュール(後述する近距離無線通信コントローラ10や通信用の記憶領域などを含むモジュール)がDSC1から取り外し可能なものであっても良い。
【0019】
またDSC1は、図1Bに示すように、背面に、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイデバイスによる表示部3を有する。
また各部に操作入力部4としての操作子を有する。操作子としては、再生メニュー起動ボタン41、決定ボタン42、十字キー43、キャンセルボタン44、ズームキー45、スライドキー46、シャッターボタン47等が設けられる。
【0020】
図2はDSC1の内部構成と、他の電子機器(無線通信機器50)との近距離無線を用いた接続の様子を示すブロック図である。
図示するように、DSC1と、外部の無線通信機器5とは、近距離無線通信を用いて互いに接続・通信する事ができる。近距離無線通信の実施形態として例えばブルートゥースやトランスファージェットが挙げられるが、これら以外の近距離無線通信が用いられても一向に構わない。
【0021】
DSC1は、図1に示した近距離無線通信アンテナ2、表示部3、操作入力部4に加え、撮像部5、撮像信号処理部6、CPU(Central Processing Unit)7、メインメモリ8、記憶領域9、近距離無線通信コントローラ10、フラッシュメモリ11、位置検出部20を有する。また各部は、それぞれシステムバス14を介して、内部的に相互に制御信号や撮像画像データ等の送受信が行われる。
上述のように、近距離無線通信アンテナ2、記憶領域9、近距離無線通信コントローラ10は、DSC1に備えつけのものではなく、着脱可能なモジュールとしてまとめられていてもよい。
【0022】
撮像部5は、被写体光を受光し電気信号に変換する撮像素子、被写体からの光を撮像素子に集光するためのレンズ系、レンズを移動させてフォーカス合わせやズーミングを行うための駆動機構、絞り機構などを有している。
撮像部5内のこれらの駆動機構は、全体の制御部であるCPU7からの制御信号に応じて駆動される。
撮像素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)型、CMOS(Complementary Metal OxideSemiconductor)型などの撮像素子とされる。
【0023】
撮像信号処理部6は、撮像部5の撮像素子で得られた電気信号についてA/D変換、ISOゲイン調整、その他の各種信号処理を行い、撮像画像信号を生成する。
さらに撮像信号処理部6は、撮像画像信号について圧縮処理等を行って静止画や動画としての画像ファイルとしたり、表示部3で表示させるスルー画として表示部3に転送する等の処理を行う。
【0024】
表示部3は、CPU7からの制御信号に応じて、たとえば被写体の撮像前の画像(スルー画)や、撮像した静止画像ファイルまたは動画像ファイル等のコンテンツや、操作用のメニュー(GUI;Graphical User Interface)などを表示する。
【0025】
操作入力部4は、ユーザーの操作を入力する入力手段として機能し、当該入力された操作に応じた信号をCPU7等へ送る。
なお、図1では操作入力部4として各種操作子を示したが、操作入力部4として表示部3と一体になったタッチパネルを設けても良い。
【0026】
メインメモリ8は、例えばRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリからなり、CPU7の各種データ処理の際の作業領域として、データやプログラム等を一時的に格納する。例えば、シャッターボタン47が押されたタイミングで撮像信号処理部で処理された画像データは、一旦メインメモリ8に読み出され、その後、記憶領域9に書き込まれる。
【0027】
フラッシュメモリ11(不揮発性メモリ)は、CPU7が各部を制御するためのOS(Operating System)や、画像ファイル等のコンテンツファイルの他、近距離無線通信を用いた通信に必要なアプリケーション等を記憶する。
【0028】
記録領域9は、例えば不揮発性メモリ等からなり、画像ファイル等のコンテンツファイル、その画像ファイルの属性情報及びサムネイル画像等を記憶する記憶手段として機能する。画像ファイルは、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)、GIF(Graphics Interchange Format)等の形式で記憶される。
記録領域メディア9は、DSC1に着脱できるメモリカードの形態でもよいし、DSC1に内蔵されている形態としてもよい。例えば記録領域メディア9は、可搬型のフラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)などとして実現される。
また、実施の形態では後述する通信位置リストが記憶され、CPU7によって更新管理されたり、通信制御処理の際に参照されるが、この通信位置リストは記憶領域9に記憶されるようにすればよい。
なお、通信位置リストの記憶にはフラッシュメモリ11が用いられてもよい。
【0029】
近距離無線通信アンテナ2は、他の電子機器等から発せられた無線電波を受信し、信号に変換する。また待受け電波や他の電子機器へのデータ送信のための無線電波送信を行う。
近距離無線通信コントローラ10は、CPU7と協働して、近距離無線通信アンテナ2による、近距離無線通信の接続プロトコルに基づく信号の送受信を制御する。
【0030】
位置検出部20は、DSC1が存在する現在位置としての緯度・経度の情報を取得することができる。位置検出部20は例えばGPS(Global Positioning System)受信デバイスとして構成される。例えばCPU7が、GPS受信デバイス内のレジスタ若しくはメモリを読むことで緯度・経度情報の取得が可能であり、さまざまな用途で情報を利用できるものとする。
【0031】
CPU7は、例えばフラッシュメモリ11等に記憶されたプログラムを実行することで、このDSC1全体を統括的に制御する。
例えばCPU7は、ユーザの操作に応じた撮像動作や撮像した画像ファイルの再生動作、さらに外部機器との近距離無線通信動作等について、必要各部の動作を制御する。
システムバス14は、CPU7などの各ブロックを相互に接続し、それぞれのブロック間での信号の授受を可能とする。
【0032】
DSC1との間で近距離無線通信を行う無線通信機器50は、近距離無線通信アンテナ51と、たとえば、CPU、ROM、RAM、表示部、操作入力部等の、図示しない、情報処理が可能な構成要素を有する。
無線通信機器5が受信した信号は近距離無線通信アンテナ51等を介して、変換され、CPUによる演算処理等が行われる。これらにより無線通信機器50は、近距離無線通信によって後述の待受け状態であるDSC1と接続され、通信を確立できる。通信が確立された状態では、DSC1は、DSC1内に含まれるコンテンツデータ等を無線通信機器5へ送信する事が可能となる。
【0033】
<2.第1の実施の形態の通信制御処理>
DSC1による近距離無線通信動作について第1の実施の形態としての通信制御処理を説明する。
【0034】
図3にはDSC1と無線通信機器50を模式的に示している。ここでは無線通信機器50は、DSC1を上部に置くことが可能な機器とし、DSC1が置かれた状態で、DSC1と無線通信機器50の間の近距離無線通信が実行されるものとしている。
【0035】
ユーザーがDSC1を通信相手の無線通信機器50と通信させる場合、DSC1は図3に示すように、無線通信機器5の上に置かれ、無線通信機器5と近接することにより通信が開始される。
近距離無線通信においては通信機器同士は近接していなければ通信が維持できないので、ユーザーがDSC1を保持し続けるとは考えにくく、図示のように無線通信機器50の上に置かれて通信が開始されるという使われ方が一般的である。
以下、ユーザーが手に持ったDSC1を無線通信機器50の上に置いて通信させる操作を「近接操作」と呼ぶ。
なお、近距離無線通信においては、機器どうしが近接する必要があるが、より具体的にはアンテナどうしが近接する必要がある。DSC1においては、近距離無線通信アンテナ2の筐体内での配置位置をアンテナ位置2Pとし、さらに無線通信機器50における近距離無線通信アンテナ51の配置位置を、アンテナ位置51Pとして示しているが、図示のようにアンテナどうしが近接されることで通信が実行される。
【0036】
また、図示のように、無線通信機器50は、なんらかの通信手段(たとえばUSB:Universal Serial Bus)により、パーソナルコンピュータ60に接続されている。
ユーザーはDSC1内に記憶されたコンテンツデータをバックアップしたい場合、近接操作を行って近距離無線通信を実行させる。これによりDSC1内のコンテンツデータが無線通信機器50に送信され、パーソナルコンピュータ60は無線通信機器50が受信したコンテンツデータを、図示しないパーソナルコンピュータ60内の記憶装置(たとえばHDD等)に保存する。これによりユーザーはDSC1内のコンテンツデータをパーソナルコンピュータ60にバックアップ保存させることができる。
ここでコンテンツデータとは、DSC1内の、たとえば記憶領域9に保存された、静止画データファイルや動画データファイルなどのことである。即ち主には、DSC1を用いてユーザーが撮像した写真(静止画)や動画のこととなる。
【0037】
また、パーソナルコンピュータ60は、DSC1から送信されたコンテンツデータをバックアップ目的などで保存する機器としての一例に過ぎない。無線通信機器50と接続される機器は、機能としてDSC1が送信したコンテンツデータを保存するための記憶装置が含まれていればよく、パーソナルコンピュータ60以外にも、記憶装置機能及び無線通信機器5との通信手段とを備えていれば、別の形態であってもなんら構わない。
さらには、無線通信機器50がパーソナルコンピュータ60等の機器に内蔵されているものでもよい。例えばタブレット型パーソナルコンピュータなどであって、それ自体に対してDSC1を近接させることで無線通信が行われ、DSC1から送信されてくるコンテンツデータを記憶するような機器であってもよい。
【0038】
本実施の形態においては、一例として、ユーザーがDSC1で撮りためた静止画等のコンテンツデータのバックアップのために、近距離無線通信によって、パーソナルコンピュータ60等に送信して保存させるようなユースケースを想定する。
即ちDSC1のように写真や動画などのコンテンツデータをもった携帯機器が、無線通信機器50およびパーソナルコンピュータ60のように、ユーザーの自宅や勤務先等に据え置きされている情報機器と、近距離無線通信を行うことを想定している。
【0039】
第1の実施の形態の動作は次のようになる。
第1の実施の形態では、ユーザーがDSC1と無線通信機器50との間で近距離無線通信を行ったときに、位置検出部20によって緯度・経度情報を取得し、DSC1内の例えば記憶領域9に保存する。これにより、過去に近距離無線通信を行ったひとつあるいは複数の位置の緯度・経度情報が、通信位置リストに登録されるようにする。
通信位置リストの例を図4に示す。この図では、過去に近距離無線通信を行った位置として、3カ所の緯度・経度が登録されている状態を例示している。
【0040】
このように通信位置リストに登録された緯度・経度情報は、将来的に近距離無線通信が実施されるであろうと推定される場所の情報であるといえる。
なぜならば、近距離無線通信機能をもった携帯機器としてのDSC1が無線通信機器50と通信する場所は、DSC1のデータコンテンツをバックアップするようなユースケースにおいて、バックアップ先の機器が存在する場所であるからである。通常、ユーザーは特定の1つ又は数個のバックアップ機器を対象としてバックアップを行う。従って、過去に近距離無線通信を行った場所は、次のバックアップ機会において通信を行う蓋然性が高い場所と言える。
【0041】
このため、過去に取得して通信位置リストに登録した緯度・経度情報から、ユーザーが近距離無線通信をするかどうかを予測することが可能である。
すなわち、DSC1が現在において測定した緯度・経度情報が、過去に通信位置リストに登録された緯度・経度情報の履歴のうち一致するものがあるならば、ユーザーは近距離無線通信を実行する可能性が高い。従ってこの場合はCPU7は近距離無線通信機器10を制御して待受け電波を密状態に発信し、無線通信機器5と近距離無線通信を行うことに備える。
一方、DSC1が現在において測定した緯度・経度情報が、通信位置リストに登録された過去の緯度・経度情報の履歴のうち一致するものがない場合は、近距離無線通信を実行する可能性が低い。この場合はCPU7は近距離無線通信機器10を制御して待ちうけ電波を疎状態にする。
【0042】
なお、待受け電波を密状態とするとは、待受け電波を発信する周期間隔(ポーリング周期)を短くすることを意味している。
また待受け電波を粗状態とするとは、待受け電波を発信する周期間隔を長くすることを意味している。
【0043】
近距離無線通信機器においては、周期的に通信相手を検出するための待受け電波を発信するが、その発信される周期(ポーリング周期)は、通信相手の検出のしやすさと、電波発信による消費電力とで相反関係になる。
図7Aは、さまざまな周期で通信相手を検出するための電波を発信している様子を示している。図中のポーリング周期Pが短い場合は、一定期間に電波が発信される回数が多いので、通信相手を検出できる確率が高くなるが、ポーリング周期Pが長い場合は、一定期間に電波が発信される回数が少なく、通信相手を検出できる確率が低くなる。
一方、図7Bでは、ポーリング周期と消費電力の関係を図示している。ポーリング周期が短い場合は、一定期間に電波が発信される回数が多いので、電力を多く消費するが、ポーリング周期が長い場合は、一定期間に電波が発信される回数が少ないので、消費する電力を少なくできる。
すなわち、ポーリング周期が短い「密状態」の場合、通信相手とのつながりやすさは向上するが、消費電力が大きくなり、ポーリング周期が長い「粗状態」の場合は、通信相手とつながりにくくなるが、消費電力は小さくなる。
【0044】
なお、実施の形態において、密状態と粗状態における具体的なポーリング周期Pの値は、機器の特性や性格に応じて設定されるべきである。以下で述べる密状態、粗状態とは、本例のDSC1として、ポーリング周期Pを短くする状態と、長くする状態とを示すものであり、具体的な周期の値が限定されるものではない。
【0045】
第1の実施の形態の動作をCPU7の処理例として具体的に説明する。
まず図5A、図5Bは、近距離無線通信の実行に応じて行う通信位置リストの管理処理例を示している。
尚、図5及び後述する図6に示すフローチャートはCPU7によって実行されるプログラムに基づくCPU7の制御処理として説明するが、同様の処理がハードウエアで実施されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアの両方で実施されてもよい。
【0046】
まず図5Aの例について述べる。ステップF10は、CPU7が近距離無線通信コントローラ10を制御して、実際に近距離無線通信が実行されていることを示している。
ステップF10で近距離無線通信が実行された場合、その後(もしくは通信実行中でもかまわない)、CPU7はステップF11で、位置検出部20で検出される現在の緯度・経度情報を取得する。
そしてCPU7はステップF12で、記憶領域9に記憶されている通信位置リストを参照し、現在の緯度・経度情報が、既に通信位置リストに登録されているか否かを確認する。
既に登録されていれば、特に通信位置リストの更新は必要はないため、通信位置リストの管理処理を終える。一方、登録されていなければステップF13に進み、現在の緯度・経度情報が通信位置リストに追加登録されるように、通信位置リストの更新処理を行う。
この処理により、近距離無線通信の実行に応じて、その場所の位置情報(緯度・経度情報)が登録されていき、図4のような通信位置リストとして、過去の通信場所履歴が保存されることになる。
【0047】
図5Bの例は次のような処理となる。ステップF20は、CPU7が近距離無線通信コントローラ10を制御して、実際に近距離無線通信が実行されていることを示している。
ステップF20で近距離無線通信が実行された場合、その後(もしくは通信実行中でもかまわない)、CPU7はステップF21で、ステップF20で実行した(実行している)通信は、コンテンツデータのバックアップを目的とする通信であるか否かを判断する。即ちコンテンツデータを送信しているか否かの判断である。
コンテンツデータの送信を伴わない近距離無線通信を実行しているのであれば、ステップF21から通信位置リストの管理処理を終える。
一方、コンテンツデータの送信を伴う近距離無線通信を実行しているのであれば、CPU7はステップF22で、位置検出部20で検出される現在の緯度・経度情報を取得する。
そしてCPU7はステップF23で、記憶領域9に記憶されている通信位置リストを参照し、現在の緯度・経度情報が、既に通信位置リストに登録されているか否かを確認する。
既に登録されていれば、特に通信位置リストの更新は必要はないため、通信位置リストの管理処理を終える。一方、登録されていなければステップF24に進み、現在の緯度・経度情報が通信位置リストに追加登録されるように、通信位置リストの更新処理を行う。
この処理により、コンテンツデータのバックアップ目的の近距離無線通信の実行に応じて、その場所の位置情報(緯度・経度情報)が登録されていき、図4のような通信位置リストとして、過去の通信場所(バックアップ場所)の履歴が保存されることになる。
【0048】
次に図6でCPU7による近距離無線通信の制御処理を説明する。
DSC1が電源オンとされている場合、CPU7は、ステップF101として、位置検出部20からの位置情報を逐次取得する。即ち図6の処理は、CPU7が所定間隔で逐次実行するものとしてもよいし、或いは位置検出部20から割り込み等によって位置情報を通知することで実行されるものとしてもよい。
【0049】
CPU7はステップF101で現在の位置情報(緯度・経度情報)を取得したら、ステップF102で、例えば記憶領域9に保存されている通信位置リストを参照する。
そしてステップF103で、現在の緯度・経度情報が、通信位置リストに登録された緯度・経度情報のいずれかと一致するか否かを確認する。
【0050】
もし、現在の緯度・経度情報が、通信位置リストに登録されている緯度・経度情報に一致する場合、現在の場所は過去に近距離無線通信を行った場所であるので、今回も通信を実行する可能性が高い。
そこでCPU7はステップF104に進み、待受け電波を密状態に制御する。具体的にはCPU7は、近距離無線通信コントローラ10に、密状態での待受け電波の発生を指示する。近距離無線通信コントローラ10は、これに応じて近距離無線通信アンテナ2からポーリング周期を短くして待受け電波を発生させる動作を行う。
このように通信の開始に備える。ユーザーが近接操作を行うことで、通信が開始されることとなる。
【0051】
一方、現在の緯度・経度情報が、通信位置リストに登録されていない場合、現在のDSC1の近傍に通信相手として過去通信したことのある近距離無線通信機器がある可能性が低いため、待受け電波を密状態に発信しても通信が行われる可能性が低い。従ってCPU7はステップF105に進み、待受け電波を粗状態に制御する。具体的にはCPU7は、近距離無線通信コントローラ10に、粗状態での待受け電波の発生を指示する。近距離無線通信コントローラ10は、これに応じて近距離無線通信アンテナ2からポーリング周期を長くして待受け電波を発生させる動作を行う。
【0052】
CPU7は以上の図6の処理を逐次実行する。
このような第1の実施の形態では、次のような効果が得られる。
即ち近距離無線通信の実行の可能性の高い場所では待受け電波が密状態とされることで、通信相手を検出しやすくなり、スムースに近距離無線通信が開始される。
一方で、過去に近距離無線通信が実行されていない場所では、通信実行の可能性は低いため、待受け電波が粗状態とされる。これによって待受け電波に係る消費電力は効果的に抑えられることになる。
また、特に場所に応じてユーザーに操作負担をかけるものでもない。つまりユーザーが待受け電波の発生態様を選択操作する必要もない。このため、ユーザーの利便性は維持される。
【0053】
なお、待受け電波を粗状態としていても、通信相手の検出ができないわけではない。例えばユーザーが今まで通信したことのない場所で、近距離無線通信を実行させたいと思った場合、待受け電波を停止状態ではなく粗状態としておくことで、通信相手の機器を検出でき、通信を開始できる。また実際に通信を行った場合は、図5の処理で新たにその場所の緯度・経度情報が通信位置リストに登録されることで、次回からは、その場所で、待受け電波を密状態で発生させることとなる。
【0054】
また、ユーザーがバックアップ通信を行う可能性が低い場所では待受け電波を粗状態としておくことは、むやみに通信開始されることを低くするという効果もある。
例えば近距離無線通信によってユーザーが意図しないのにコンテンツデータ等が送信されてしまうこともあるが、ユーザーが通常、通信を実行する場所以外では、そのような通信が実行されにくくなる。
【0055】
<3.第2の実施の形態の通信制御処理>
DSC1による第2の実施の形態の動作を説明する。
第2の実施の形態においては、ユーザーがDSC1と無線通信機器50との間で近距離無線通信を行ったときに、位置検出部20によって得られる緯度・経度情報を通信位置リストに登録することは第1の実施の形態と同様である。
但し、第2の実施の形態では、通信位置リストには、各コンテンツデータに対して、近距離無線通信によるコンテンツデータ送信の実行の際の位置情報が関連づけられる状態で、位置情報が登録されるものとする。
つまり、記憶領域9に保存される通信位置リストには、コンテンツデータ毎に過去近距離無線通信を行ったひとつあるいは複数の緯度・経度情報が登録される。
【0056】
この、コンテンツデータ毎に紐付けされた緯度・経度情報のリストとしての通信位置リストの例を図8に示す。
図示のように通信位置リストでは、DSC1内で例えば記憶領域9に保存されているコンテンツデータCT1,CT2・・・毎に、過去にバックアップ通信を行った場所の緯度・経度情報が登録される。なお、CT1,CT2・・・・は、それぞれ特定のコンテンツデータを示す識別子(例えばファイル名等)と考えればよい。通信位置リストではコンテンツデータの識別子に位置情報が関連づけられる。
【0057】
図8の例では、例えばコンテンツデータCT1は、過去に緯度「AAA」、経度「BBB」の場所でバックアップ通信が行われ、またコンテンツデータCT3は、過去に緯度「AAA」、経度「BBB」の場所と、緯度「CCC」、経度「DDD」の場所の2カ所でバックアップ通信が行われたという履歴が登録されている。
またコンテンツデータCT2については位置情報が関連づけられていないが、これは過去にコンテンツデータCT2についてはバックアップ通信が行われていないということを示すものとなる。
【0058】
この図8に示すような通信位置リストを用いると、DSC1(CPU7)は、ある緯度・経度の位置において、通信相手としての近距離無線通信機器に対して、過去にコンテンツデータを送信したかどうかを判別できる。
従って、現在位置において近傍に存在する無線通信機器50に対して、DSC1が保持するコンテンツデータのうち、近距離無線通信によって過去に送信されたかどうかを予測することが可能である。
【0059】
これにより、現在位置において近傍に存在する無線通信機器50に対して、過去に送信されたことのないコンテンツデータをDSC1が保持する場合は、近距離無線通信を実行する可能性が高いので、待受け電波を密に発信し、通信の開始に備える。
一方、現在位置において近傍に存在する無線通信機器50に対して、過去に送信されたことのないコンテンツデータをDSC1が保持しない場合は、送信すべきコンテンツデータがないので近距離無線通信を実施する可能性が低いため、待受け電波を密に発信しても通信が行われる可能性が低い。従って、待受け電波を疎らにして、消費電力を抑える。
【0060】
なお、この通信位置リストは、コンテンツデータ毎に過去の通信場所が登録されるものとなるが、この通信位置リストによれば、単に「過去に通信が行われた場所」の情報も得られる。従って、先に図4で示したような「過去に通信が行われた場所」をのみを示す通信位置リストを別途備えることは必ずしも必要ではない。
但し、図4で示したような「過去に通信が行われた場所」を示す通信位置リストを別途備えるようにしてもよい。
【0061】
第2の実施の形態の動作をCPU7の処理例として具体的に説明する。
図9は、CPU7によるコンテンツデータ毎の過去の通信位置を登録する図8のような通信位置リストの管理処理例を示している。
尚、図9及び後述する図10に示すフローチャートはCPU7によって実行されるプログラムに基づくCPU7の制御処理として説明するが、同様の処理がハードウエアで実施されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアの両方で実施されてもよい。
【0062】
図9の通信位置リスト管理処理では、CPU7はステップF30、F32、F34の判断を常時行っており、その判断に応じて必要な処理を行う。
ステップF30は、DSC1においてコンテンツデータが新たに記憶されたか否かを判断している。
例えばユーザーがDSC1を用いて静止画や動画の撮像を行った場合、静止画データファイル又は動画データファイルが記憶領域9に新たに記憶される。これらがステップF30でいうコンテンツ新規記憶の場合である。
また図2には示していない有線又は無線での他の機器との通信や、ネットワークダウンロード、或いは装填されたメモリカードや光ディスク等の記録媒体からの読み込みにより、静止画データファイル等のコンテンツデータがDSC1に取り込まれ、記憶領域9に保存された場合も、コンテンツ新規記憶に相当する。
例えばこれらのようにCPU7は、DSC1内に、近距離無線通信によるバックアップ通信の対象となるコンテンツデータが新たに記憶されることをステップF30で監視している。
【0063】
コンテンツ新規記憶の場合、CPU7のリスト管理処理としてはステップF30からF31に進み、通信位置リストの更新を行う。即ち新たに記憶したコンテンツデータの識別子(CTx)を、通信位置リストに新たにエントリする。
この時点では、まだ当該コンテンツデータのバックアップ通信は行われていないので、例えば図8のコンテンツデータCT2のように、位置情報は関連づけられず、識別子のみが通信位置リストに追加される状態となる。
【0064】
また、例えば記憶領域9に記憶されているコンテンツデータは、ユーザーの削除操作などに応じて削除されることもある。
削除されたコンテンツデータは、当然、その後のバックアップ通信の対象とはならないため、通信位置リストに登録しておく必要はない。
そこで或るコンテンツデータの削除が行われた場合は、CPU7のリスト管理処理としては、ステップF32からF33に進み、当該削除されたコンテンツデータのエントリーを通信位置リストから抹消する。
【0065】
近距離無線通信として1又は複数のコンテンツデータのバックアップのための送信が行われた場合は、CPU7のリスト管理処理はステップF34からF35に進む。
ここでCPU7は位置検出部20で検出される現在の緯度・経度情報を取得する。
そしてCPU7はステップF36で、必要に応じて通信位置リストの更新を行う。即ち、通信位置リストに、バックアップ通信の対象となったコンテンツデータのそれぞれについて、現在の位置情報が登録されているか否かを確認する。そして送信したコンテンツデータのうちで、現在の位置情報が関連づけられていないコンテンツデータがあれば、そのコンテンツデータに関連づけて現在の位置情報を追加登録するという処理を行う
【0066】
この図9の処理により、図8のような通信位置リストが、各コンテンツデータについて、過去に近距離無線通信でバックアップを行った位置が登録されているように、更新管理されることになる。
【0067】
次に図10でCPU7による近距離無線通信の制御処理を説明する。
DSC1が電源オンとされている場合、CPU7は、ステップF201として、位置検出部20からの位置情報を逐次取得する。即ち図10の処理は、CPU7が所定間隔で逐次実行するものとしてもよいし、或いは位置検出部20から割り込み等によって位置情報を通知することで実行されるものとしてもよい。
【0068】
CPU7はステップF201で現在の位置情報(緯度・経度情報)を取得したら、ステップF202、F203で、記憶領域9に保存されている通信位置リストを参照する。
なお、ステップF202で参照するのは図4のような単に過去の通信場所を登録した通信位置リストであり、ステップF203で参照するのは、図8のようにコンテンツデータ毎に過去のバックアップ通信位置を登録した通信位置リストである。
上記したように図8の通信位置リストによれば、過去の通信場所の情報も得られることから、図4のような通信位置リストは設けないようにし、ステップF202を無くして、ステップF203で図8の通信位置リストを参照するという処理としても良い。
但し、図8の通信位置リストは、図9の処理のように管理され、コンテンツデータの消去に応じて登録内容が抹消されるものとした場合、過去の或る通信場所の情報が失われる可能性もある。そのため図4のような通信場所のみを登録した通信位置リストも備えるようにすることには意味がある。
【0069】
CPU7はステップF204では、現在の緯度・経度情報が、通信位置リストに登録された緯度・経度情報のいずれかと一致するか否かを確認する。
例えば現在の緯度・経度情報が、図4の通信位置リストに登録されているか否かを確認する。或いは現在の緯度・経度情報が、図8の通信位置リストにおいて、いずれかのコンテンツデータに関連づけられている緯度・経度情報の1つと一致するか否かを確認する。
【0070】
もし、現在の緯度・経度情報が、通信位置リストに登録されている緯度・経度情報に一致する場合、現在の場所は過去に近距離無線通信を行った場所である。その場合CPU7はステップF205に進む。
ここでは、図8に示した通信位置リスト、即ちコンテンツデータ毎の過去の近距離無線通信実施時の緯度・経度情報のリストを用いる。この通信位置リストの中で、現在の緯度・経度に対して、過去に近距離無線通信した緯度・経度情報と一致しないコンテンツがあるかどうかを判断する。
つまりこれは、過去に、現在の場所ではバックアップ通信をしたことのないコンテンツデータが存在するか否かを判断するものとなる。
【0071】
これに該当するコンテンツデータがひとつでもある場合は、近い将来に、近傍に存在するであろう無線通信機器50にたいして近距離無線通信をする可能性が高い。例えばユーザーが、まだバックアップしていないコンテンツデータをバックアップしようとするような機会が発生する可能性が高い。
そこでCPU7はステップF206に進み、待受け電波を密状態に制御する。具体的にはCPU7は、近距離無線通信コントローラ10に、密状態での待受け電波の発生を指示する。近距離無線通信コントローラ10は、これに応じて近距離無線通信アンテナ2からポーリング周期を短くして待受け電波を発生させる動作を行う。
これにより通信の開始に備える。ユーザーが近接操作を行うことで、通信が開始されることとなる。
【0072】
一方、現在の緯度・経度情報が、通信位置リストに登録されていない場合、又は現在の緯度・経度に対して、過去に近距離無線通信した緯度・経度情報と一致しないコンテンツが存在しない場合(現在の場所ではバックアップ通信をしたことのないコンテンツデータが存在しない場合)は、CPU7はステップF207に進む。
この場合とは、現在のDSC1の近傍に通信相手として過去通信したことのある近距離無線通信機器がある可能性が低いか(F204→F207)、或いは近傍に存在するであろう無線通信機器50に対して、現存する全てのコンテンツデータを送信したことがある(F205→F207)という場合である。
従って通信する場所でないか、或いは通信可能な場所であってもコンテンツデータを送信する必要性が少ない場合である。このため待受け電波を密状態で発信しても、ユーザーが近接操作を行って通信が行われる場合は少ないと考えることができる。従って、待受け電波を疎状態にして、消費電力を抑える。
具体的にはCPU7は、近距離無線通信コントローラ10に、粗状態での待受け電波の発生を指示する。近距離無線通信コントローラ10は、これに応じて近距離無線通信アンテナ2からポーリング周期を長くして待受け電波を発生させる動作を行う。
【0073】
CPU7は以上の図10の処理を逐次実行する。
このような第2の実施の形態では、コンテンツデータのバックアップ送信のための近距離無線通信において、過去のコンテンツデータ毎の通信場所の履歴を用いて、通信実行の可能性を判断し、待受け電波を制御する。
そしてコンテンツデータのバックアップ通信が行われる可能性が高い場合は待受け電波が密状態とされることで、通信相手を検出しやすくなり、スムースに近距離無線通信が開始される。
一方で、コンテンツデータのバックアップ通信が行われる可能性が低い場合は、待受け電波が粗状態とされる。これによって待受け電波に係る消費電力は効果的に抑えられることになる。
特にコンテンツデータ毎の過去の送信場所履歴を判定要素に加えることで、通信可能性の判断を第1の実施の形態よりも正確に行うことができる。このため、通信の実行と消費電力の低減をより的確に実行できる。
また、これも待受け電波の調整にユーザーに操作負担をかけるものでもないためユーザーの利便性は維持される。
【0074】
なお、この第2の実施の形態でも、通信実行の可能性が低くても、待受け電波を粗状態としているため、全く通信ができなくなるわけではない。従って通信が行われるべき場合は、通信は実行されうる。
一方で、通信相手の検出がしにくいことで、むやみに近距離無線通信によるコンテンツデータの送信等が実行されないという利点も得られる。
【0075】
<4.変形例>
以上、実施の形態について説明してきたが、本開示の通信装置の構成や通信制御処理は実施の形態に限らず、多様な変形例が考えられる。
【0076】
実施の形態では、近距離無線通信の可能性が低いと判断したときには、待受け電波を粗状態とすることとしたが、粗状態ではなく停止状態とすることも考えられる。
停止状態とは、待受け電波の発生を完全に停止した状態であり、この場合は、通信相手の検出が行われないが、消費電力の低減という観点では、一層効果的である。
但し、その場合は、通信位置リストに登録されてない場所では、近距離無線通信が行われないということになる。そこで、例えば予めユーザーが自宅など、コンテンツデータのバックアップを行う場所を通信位置リストに登録するようにし、その場所でしか通信は行わないというユースケースの場合等において好適な動作となる。
なお、そのように登録した場所以外では待受け電波を停止状態とすることによれば、登録場所以外での意図しない通信は完全に防止でき、むやみなデータ流出等を避けたい場合には有効となる。
【0077】
また図4や図8のような通信位置リストの管理処理も多様に考えられる。
例えば図4のような通信位置リストには、各位置情報について、最新の通信実行日時を記憶するようにしてもよい。そしてある程度長期間、通信が行われない位置情報については、リストから抹消するような処理を行っても良い。
【0078】
また、各位置情報での日時や通信回数を記憶するようにし、これらに応じて待受け電波のポーリング周期を調整してもよい。
例えば密状態としても、最もポーリング周期が短い第1の密状態や、粗状態ほどではないが、多少ポーリング周期を長くした第2の密状態などを設定し、通信回数が多い場所や近い過去に通信を行った場所などでは第1の密状態、それ以外では第2の密状態とするなど待受け電波の制御をより多段階に行うことも考えられる。
【0079】
実施の形態では、通信装置の例としてDSC1を挙げたが、もちろんDSC1に限られず、多様な機器において、本開示の通信装置を実現できる。
例えば携帯電話機、ビデオカメラ機器、モバイル端末機器、携帯型ゲーム機器、情報処理装置、携帯型音楽再生機、携帯型テレビジョン受像器、その他各種の機器が考えられる。現在位置を判断して待受け電波を制御するという観点からは、ユーザーが手に持つことのできる小型の機器が適しているが、必ずしもそれに限らない。
【0080】
これらの各種の機器を本開示の通信装置100として実現する場合、それらの機器が図11の構成を備えていれば良い。
図11では制御部101、位置検出部102、近距離無線通信コントローラ103、近距離無線通信アンテナ104、記憶部105を示している。
外部通信機器との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信部として、近距離無線通信コントローラ103と近距離無線通信アンテナ104が設けられる。
また現在位置を検出する位置検出部102が設けられる。
記憶部105には通信位置リストが保持される。
制御部101は、位置検出部102からの情報によって現在位置の検出や、近距離無線通信コントローラ103に対して待受け動作制御を行う。即ち制御部101は、位置検出部102から現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報と記憶部105に記憶された通信位置リストの照合結果に応じて、近距離無線通信部(103,104)からの待受け電波の発生状態を制御する。
また制御部101は、近距離無線通信を実行した場合に、その通信時の位置情報が、通信位置リストに登録されるようにリスト管理処理を行う。
上述の携帯電話機、ビデオカメラ機器、モバイル端末機器等が、その主たる機能のための構成に加え、この図11の構成を備えることで、本開示の通信装置に該当するものとなる。
【0081】
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)外部通信機器との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、
現在位置情報を検出する位置検出部と、
近距離無線通信の実行時の位置情報が登録された通信位置リストを記憶する記憶部と、
上記位置検出部から現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果に応じて、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生状態を制御する制御部と、
を備えた通信装置。
(2)上記制御部は、現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果として、
現在位置情報が上記通信位置リストに登録されている位置であるときは、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を密状態に制御し、
現在位置情報が上記通信位置リストに登録されている位置ではないときは、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を粗状態又は停止状態に制御する上記(1)に記載の通信装置。
(3)上記制御部は、上記近距離無線通信部により外部機器との間で近距離無線通信を実行した場合に、その通信時の位置情報が、上記通信位置リストに登録されるようにリスト管理処理を行う上記(1)又は(2)に記載の通信装置。
(4)上記制御部は、上記近距離無線通信部により外部機器との間で、コンテンツデータ送信のための近距離無線通信を実行した場合に、その通信時の位置情報が、上記通信位置リストに登録されるようにリスト管理処理を行う上記(1)又は(2)に記載の通信装置。
(5)上記通信位置リストには、各コンテンツデータに対して、上記近距離無線通信部によるコンテンツデータ送信の実行の際の位置情報が関連づけられる状態で、位置情報が登録されており、
上記制御部は、現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果として、
上記通信位置リストに、関連づけられた位置情報が現在位置情報と一致しないコンテンツデータが存在する場合は、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を密状態に制御し、
上記通信位置リストに、関連づけられた位置情報が現在位置情報と一致しないコンテンツデータが存在しない場合は、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を粗状態又は停止状態に制御する上記(1)に記載の通信装置。
(6)上記制御部は、上記近距離無線通信部により外部機器との間で、コンテンツデータ送信のための近距離無線通信を実行した場合に、その通信時の位置情報が、送信したコンテンツデータに関連づけられた位置情報として上記通信位置リストに登録されるようにリスト管理処理を行う上記(1)又は(5)に記載の通信装置。
【符号の説明】
【0082】
1 DSC、2,104 近距離無線通信アンテナ、3 表示部、4 操作入力部、5 撮像部、6 撮像信号処理部、7 CPU、8 メインメモリ、9 記憶領域、10,103 近距離無線通信コントローラ、11 フラッシュメモリ、20,102 位置検出部、50 無線通信機器、51 近距離無線通信アンテナ、100 通信装置、101 制御部、105 記憶部
【技術分野】
【0001】
本開示は近距離無線通信を行う通信装置、及びその通信制御方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2011−29892
【特許文献2】特開2008−252212
【背景技術】
【0003】
例えばブルートゥース(Bluetooth)やトランスファージェット(TransferJet)等の近距離無線通信技術が知られている。
近距離無線通信では、無線通信が可能な通信相手を検出するために、検出用の電波を発信する必要がある。
【0004】
上記特許文献1では、近距離無線通信の一例としてのトランスファージェットについての記載がなされている。当該説明においては、通信相手機器を検出するための電波をポーリング信号と称し、通信を行う一方の機器がポーリング信号を発信し、そのポーリング信号に応じて他方の機器から応答信号を返信する動作が記載されている。このポーリングは、通信を行う両機器間でデータの送受信を開始する際に互いの準備状況を判断したり、処理の同期を取るために行われる。また、ポーリング信号は、所定のポーリング周期で間欠的に発信される。
【0005】
すなわち、近距離無線通信においては、通信相手を検出するために電波信号(本明細書では「待受け電波」と称する)を周期的に発信するということが行われる。これは、当該通信機器を通信相手に近接することで自動的に通信相手を検出し、通信を開始させることを意図したものであり、近距離無線通信に特有の直感的な操作感を実現するための技術である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近距離無線通信においては、近距離という特性ゆえ、ユーザーが近距離無線通信機器を通信相手に近接させたときにのみ通信が行われるが、近接させていないときは通信は行われない。従って、上記した待受け電波を常時発信することは、無駄な電力を消費することになる。
【0007】
これを解決する方法として、通信を開始するにあたり、ユーザーが近距離無線通信機器にメニュー操作などで通信機能を有効とさせた上で、通信相手に近接させて通信を開始する方法が考えられる。この場合、ユーザーが通信をさせる意思がある場合のみ待受け電波を発信するという目的は達せられるが、ユーザーに煩雑なメニュー操作を実施させることになり、使い勝手が悪くなり操作性を損ねる。
【0008】
煩雑なメニュー操作等を行うことなく、通信にかかる電力を抑える方法として、特許文献2に以下のような方法が挙げられている。
特許文献2によれば、近距離無線通信機器が、第一の無線通信機能である近距離無線通信に加えて第二の無線通信機能(無線LAN)を備える。ユーザーがある特定の動作(シャッターキーリリース)をすると、第二の無線通信機能を介して、通信相手の近距離無線通信機器へ、近距離無線通信機能を有効にする指令を出す。その後、必要な近距離無線通信が行われた後に、お互いの近距離無線通信機能は停止される。これにより、通信相手の近距離無線通信機器は、ユーザーの操作負担なく、近距離無線通信機能を有効にできるので、消費電力を抑えることができる。
【0009】
このような特許文献2で示される消費電力を抑える方法は、シャッターキーリリースというユーザー操作に付随するデータ通信を行うことが前提であり、特定のユーザー操作が行われるユースケースに限定される。このため、シャッターキーリリースという場合以外での近距離無線通信を想定した場合に消費電力を抑えるということは解決されていない。
また、特許文献2で示される消費電力を抑える方法は、無線LANという第2の無線通信機能を用いて、近距離無線通信の機能の有効化を行っているが、通信相手の近距離無線通信機器の無線LANについて常に通信機能が使えなければならず、無線LANの通信機能にかかる消費電力がかかってしまう。
【0010】
そこで本開示では、近距離無線通信を行う機器においてユーザーの利便性を維持しつつ、接続待受けにかかる電力を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の通信装置は、外部通信機器との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、現在位置情報を検出する位置検出部と、近距離無線通信の実行時の位置情報が登録された通信位置リストを記憶する記憶部と、上記位置検出部から現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果に応じて、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生状態を制御する制御部とを備える。
【0012】
本開示の通信制御方法は、外部通信機器との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、現在位置情報を検出する位置検出部と、近距離無線通信の実行時の位置情報が登録された通信位置リストを記憶する記憶部とを備えた通信装置の通信制御方法として、上記位置検出部から現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果に応じて、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生状態を制御する。
【0013】
このような本開示では、過去に近距離無線通信を実行した場所の位置情報(緯度・経度情報)の履歴を通信位置リストとして保持することにより、その場所に通信相手としての近距離無線通信機器がある可能性を判断するものとなる。即ち現在位置情報と、通信位置リストに登録されている位置情報を照合して、現在位置が過去に近距離無線通信を行った位置であるか否かを判断する。そしてその判断結果に応じて待受け電波の発生状態を制御することで、現在位置に応じた適切な待受け電波発生を実現する。
例えば過去に近距離無線通信を行った位置であれば、通信相手の機器が存在するであろうから、待受け電波を密状態とし、近距離無線通信を行ったことのない位置であれば通信相手の機器が存在する可能性は低いから、待受け電波を粗状態とするなどである。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、現在位置情報と通信位置リストの照合結果に応じて、待受け電波の発生状態を制御することで、接続待ち受けにかかる電力を削減できる。また、特にユーザーに特別な操作負担をかけるものでもないため、ユーザの利便性を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本開示の実施の形態のデジタルスチルカメラの外観の説明図である。
【図2】実施の形態のデジタルスチルカメラの内部構成のブロック図である。
【図3】実施の形態の近接操作の説明図である。
【図4】第1の実施の形態の通信位置リストの説明図である。
【図5】第1の実施の形態のリスト管理処理のフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態の通信制御処理のフローチャートである。
【図7】ポーリング周期と消費電力の説明図である。
【図8】第2の実施の形態の通信位置リストの説明図である。
【図9】第2の実施の形態のリスト管理処理のフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態の通信制御処理のフローチャートである。
【図11】本開示の通信装置の要部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態を次の順序で説明する。なお実施の形態では、通信装置の例として、外部通信機器と近距離無線通信を行うデジタルスチルカメラ(以下、「DSC」という)を挙げて説明する。
<1.DSC(デジタルスチルカメラ)の構成>
<2.第1の実施の形態の通信制御処理>
<3.第2の実施の形態の通信制御処理>
<4.変形例>
【0017】
<1.DSC(デジタルスチルカメラ)の構成>
本開示の通信装置の実施の形態としてのDSCの構成を説明する。
図1Aは実施の形態のDSC1の正面側の外観を示す斜視図、図1BはそのDSC1の背面側(操作面側)の外観を示す背面図である。
【0018】
DSC1は、図1Aに示すように、例えば正面の下部に、近距離無線通信アンテナ2を有する。本例ではDSC1が近距離無線通信アンテナ2を具備しているが、近距離無線通信アンテナ2を含む通信モジュール(後述する近距離無線通信コントローラ10や通信用の記憶領域などを含むモジュール)がDSC1から取り外し可能なものであっても良い。
【0019】
またDSC1は、図1Bに示すように、背面に、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイデバイスによる表示部3を有する。
また各部に操作入力部4としての操作子を有する。操作子としては、再生メニュー起動ボタン41、決定ボタン42、十字キー43、キャンセルボタン44、ズームキー45、スライドキー46、シャッターボタン47等が設けられる。
【0020】
図2はDSC1の内部構成と、他の電子機器(無線通信機器50)との近距離無線を用いた接続の様子を示すブロック図である。
図示するように、DSC1と、外部の無線通信機器5とは、近距離無線通信を用いて互いに接続・通信する事ができる。近距離無線通信の実施形態として例えばブルートゥースやトランスファージェットが挙げられるが、これら以外の近距離無線通信が用いられても一向に構わない。
【0021】
DSC1は、図1に示した近距離無線通信アンテナ2、表示部3、操作入力部4に加え、撮像部5、撮像信号処理部6、CPU(Central Processing Unit)7、メインメモリ8、記憶領域9、近距離無線通信コントローラ10、フラッシュメモリ11、位置検出部20を有する。また各部は、それぞれシステムバス14を介して、内部的に相互に制御信号や撮像画像データ等の送受信が行われる。
上述のように、近距離無線通信アンテナ2、記憶領域9、近距離無線通信コントローラ10は、DSC1に備えつけのものではなく、着脱可能なモジュールとしてまとめられていてもよい。
【0022】
撮像部5は、被写体光を受光し電気信号に変換する撮像素子、被写体からの光を撮像素子に集光するためのレンズ系、レンズを移動させてフォーカス合わせやズーミングを行うための駆動機構、絞り機構などを有している。
撮像部5内のこれらの駆動機構は、全体の制御部であるCPU7からの制御信号に応じて駆動される。
撮像素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)型、CMOS(Complementary Metal OxideSemiconductor)型などの撮像素子とされる。
【0023】
撮像信号処理部6は、撮像部5の撮像素子で得られた電気信号についてA/D変換、ISOゲイン調整、その他の各種信号処理を行い、撮像画像信号を生成する。
さらに撮像信号処理部6は、撮像画像信号について圧縮処理等を行って静止画や動画としての画像ファイルとしたり、表示部3で表示させるスルー画として表示部3に転送する等の処理を行う。
【0024】
表示部3は、CPU7からの制御信号に応じて、たとえば被写体の撮像前の画像(スルー画)や、撮像した静止画像ファイルまたは動画像ファイル等のコンテンツや、操作用のメニュー(GUI;Graphical User Interface)などを表示する。
【0025】
操作入力部4は、ユーザーの操作を入力する入力手段として機能し、当該入力された操作に応じた信号をCPU7等へ送る。
なお、図1では操作入力部4として各種操作子を示したが、操作入力部4として表示部3と一体になったタッチパネルを設けても良い。
【0026】
メインメモリ8は、例えばRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリからなり、CPU7の各種データ処理の際の作業領域として、データやプログラム等を一時的に格納する。例えば、シャッターボタン47が押されたタイミングで撮像信号処理部で処理された画像データは、一旦メインメモリ8に読み出され、その後、記憶領域9に書き込まれる。
【0027】
フラッシュメモリ11(不揮発性メモリ)は、CPU7が各部を制御するためのOS(Operating System)や、画像ファイル等のコンテンツファイルの他、近距離無線通信を用いた通信に必要なアプリケーション等を記憶する。
【0028】
記録領域9は、例えば不揮発性メモリ等からなり、画像ファイル等のコンテンツファイル、その画像ファイルの属性情報及びサムネイル画像等を記憶する記憶手段として機能する。画像ファイルは、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)、GIF(Graphics Interchange Format)等の形式で記憶される。
記録領域メディア9は、DSC1に着脱できるメモリカードの形態でもよいし、DSC1に内蔵されている形態としてもよい。例えば記録領域メディア9は、可搬型のフラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)などとして実現される。
また、実施の形態では後述する通信位置リストが記憶され、CPU7によって更新管理されたり、通信制御処理の際に参照されるが、この通信位置リストは記憶領域9に記憶されるようにすればよい。
なお、通信位置リストの記憶にはフラッシュメモリ11が用いられてもよい。
【0029】
近距離無線通信アンテナ2は、他の電子機器等から発せられた無線電波を受信し、信号に変換する。また待受け電波や他の電子機器へのデータ送信のための無線電波送信を行う。
近距離無線通信コントローラ10は、CPU7と協働して、近距離無線通信アンテナ2による、近距離無線通信の接続プロトコルに基づく信号の送受信を制御する。
【0030】
位置検出部20は、DSC1が存在する現在位置としての緯度・経度の情報を取得することができる。位置検出部20は例えばGPS(Global Positioning System)受信デバイスとして構成される。例えばCPU7が、GPS受信デバイス内のレジスタ若しくはメモリを読むことで緯度・経度情報の取得が可能であり、さまざまな用途で情報を利用できるものとする。
【0031】
CPU7は、例えばフラッシュメモリ11等に記憶されたプログラムを実行することで、このDSC1全体を統括的に制御する。
例えばCPU7は、ユーザの操作に応じた撮像動作や撮像した画像ファイルの再生動作、さらに外部機器との近距離無線通信動作等について、必要各部の動作を制御する。
システムバス14は、CPU7などの各ブロックを相互に接続し、それぞれのブロック間での信号の授受を可能とする。
【0032】
DSC1との間で近距離無線通信を行う無線通信機器50は、近距離無線通信アンテナ51と、たとえば、CPU、ROM、RAM、表示部、操作入力部等の、図示しない、情報処理が可能な構成要素を有する。
無線通信機器5が受信した信号は近距離無線通信アンテナ51等を介して、変換され、CPUによる演算処理等が行われる。これらにより無線通信機器50は、近距離無線通信によって後述の待受け状態であるDSC1と接続され、通信を確立できる。通信が確立された状態では、DSC1は、DSC1内に含まれるコンテンツデータ等を無線通信機器5へ送信する事が可能となる。
【0033】
<2.第1の実施の形態の通信制御処理>
DSC1による近距離無線通信動作について第1の実施の形態としての通信制御処理を説明する。
【0034】
図3にはDSC1と無線通信機器50を模式的に示している。ここでは無線通信機器50は、DSC1を上部に置くことが可能な機器とし、DSC1が置かれた状態で、DSC1と無線通信機器50の間の近距離無線通信が実行されるものとしている。
【0035】
ユーザーがDSC1を通信相手の無線通信機器50と通信させる場合、DSC1は図3に示すように、無線通信機器5の上に置かれ、無線通信機器5と近接することにより通信が開始される。
近距離無線通信においては通信機器同士は近接していなければ通信が維持できないので、ユーザーがDSC1を保持し続けるとは考えにくく、図示のように無線通信機器50の上に置かれて通信が開始されるという使われ方が一般的である。
以下、ユーザーが手に持ったDSC1を無線通信機器50の上に置いて通信させる操作を「近接操作」と呼ぶ。
なお、近距離無線通信においては、機器どうしが近接する必要があるが、より具体的にはアンテナどうしが近接する必要がある。DSC1においては、近距離無線通信アンテナ2の筐体内での配置位置をアンテナ位置2Pとし、さらに無線通信機器50における近距離無線通信アンテナ51の配置位置を、アンテナ位置51Pとして示しているが、図示のようにアンテナどうしが近接されることで通信が実行される。
【0036】
また、図示のように、無線通信機器50は、なんらかの通信手段(たとえばUSB:Universal Serial Bus)により、パーソナルコンピュータ60に接続されている。
ユーザーはDSC1内に記憶されたコンテンツデータをバックアップしたい場合、近接操作を行って近距離無線通信を実行させる。これによりDSC1内のコンテンツデータが無線通信機器50に送信され、パーソナルコンピュータ60は無線通信機器50が受信したコンテンツデータを、図示しないパーソナルコンピュータ60内の記憶装置(たとえばHDD等)に保存する。これによりユーザーはDSC1内のコンテンツデータをパーソナルコンピュータ60にバックアップ保存させることができる。
ここでコンテンツデータとは、DSC1内の、たとえば記憶領域9に保存された、静止画データファイルや動画データファイルなどのことである。即ち主には、DSC1を用いてユーザーが撮像した写真(静止画)や動画のこととなる。
【0037】
また、パーソナルコンピュータ60は、DSC1から送信されたコンテンツデータをバックアップ目的などで保存する機器としての一例に過ぎない。無線通信機器50と接続される機器は、機能としてDSC1が送信したコンテンツデータを保存するための記憶装置が含まれていればよく、パーソナルコンピュータ60以外にも、記憶装置機能及び無線通信機器5との通信手段とを備えていれば、別の形態であってもなんら構わない。
さらには、無線通信機器50がパーソナルコンピュータ60等の機器に内蔵されているものでもよい。例えばタブレット型パーソナルコンピュータなどであって、それ自体に対してDSC1を近接させることで無線通信が行われ、DSC1から送信されてくるコンテンツデータを記憶するような機器であってもよい。
【0038】
本実施の形態においては、一例として、ユーザーがDSC1で撮りためた静止画等のコンテンツデータのバックアップのために、近距離無線通信によって、パーソナルコンピュータ60等に送信して保存させるようなユースケースを想定する。
即ちDSC1のように写真や動画などのコンテンツデータをもった携帯機器が、無線通信機器50およびパーソナルコンピュータ60のように、ユーザーの自宅や勤務先等に据え置きされている情報機器と、近距離無線通信を行うことを想定している。
【0039】
第1の実施の形態の動作は次のようになる。
第1の実施の形態では、ユーザーがDSC1と無線通信機器50との間で近距離無線通信を行ったときに、位置検出部20によって緯度・経度情報を取得し、DSC1内の例えば記憶領域9に保存する。これにより、過去に近距離無線通信を行ったひとつあるいは複数の位置の緯度・経度情報が、通信位置リストに登録されるようにする。
通信位置リストの例を図4に示す。この図では、過去に近距離無線通信を行った位置として、3カ所の緯度・経度が登録されている状態を例示している。
【0040】
このように通信位置リストに登録された緯度・経度情報は、将来的に近距離無線通信が実施されるであろうと推定される場所の情報であるといえる。
なぜならば、近距離無線通信機能をもった携帯機器としてのDSC1が無線通信機器50と通信する場所は、DSC1のデータコンテンツをバックアップするようなユースケースにおいて、バックアップ先の機器が存在する場所であるからである。通常、ユーザーは特定の1つ又は数個のバックアップ機器を対象としてバックアップを行う。従って、過去に近距離無線通信を行った場所は、次のバックアップ機会において通信を行う蓋然性が高い場所と言える。
【0041】
このため、過去に取得して通信位置リストに登録した緯度・経度情報から、ユーザーが近距離無線通信をするかどうかを予測することが可能である。
すなわち、DSC1が現在において測定した緯度・経度情報が、過去に通信位置リストに登録された緯度・経度情報の履歴のうち一致するものがあるならば、ユーザーは近距離無線通信を実行する可能性が高い。従ってこの場合はCPU7は近距離無線通信機器10を制御して待受け電波を密状態に発信し、無線通信機器5と近距離無線通信を行うことに備える。
一方、DSC1が現在において測定した緯度・経度情報が、通信位置リストに登録された過去の緯度・経度情報の履歴のうち一致するものがない場合は、近距離無線通信を実行する可能性が低い。この場合はCPU7は近距離無線通信機器10を制御して待ちうけ電波を疎状態にする。
【0042】
なお、待受け電波を密状態とするとは、待受け電波を発信する周期間隔(ポーリング周期)を短くすることを意味している。
また待受け電波を粗状態とするとは、待受け電波を発信する周期間隔を長くすることを意味している。
【0043】
近距離無線通信機器においては、周期的に通信相手を検出するための待受け電波を発信するが、その発信される周期(ポーリング周期)は、通信相手の検出のしやすさと、電波発信による消費電力とで相反関係になる。
図7Aは、さまざまな周期で通信相手を検出するための電波を発信している様子を示している。図中のポーリング周期Pが短い場合は、一定期間に電波が発信される回数が多いので、通信相手を検出できる確率が高くなるが、ポーリング周期Pが長い場合は、一定期間に電波が発信される回数が少なく、通信相手を検出できる確率が低くなる。
一方、図7Bでは、ポーリング周期と消費電力の関係を図示している。ポーリング周期が短い場合は、一定期間に電波が発信される回数が多いので、電力を多く消費するが、ポーリング周期が長い場合は、一定期間に電波が発信される回数が少ないので、消費する電力を少なくできる。
すなわち、ポーリング周期が短い「密状態」の場合、通信相手とのつながりやすさは向上するが、消費電力が大きくなり、ポーリング周期が長い「粗状態」の場合は、通信相手とつながりにくくなるが、消費電力は小さくなる。
【0044】
なお、実施の形態において、密状態と粗状態における具体的なポーリング周期Pの値は、機器の特性や性格に応じて設定されるべきである。以下で述べる密状態、粗状態とは、本例のDSC1として、ポーリング周期Pを短くする状態と、長くする状態とを示すものであり、具体的な周期の値が限定されるものではない。
【0045】
第1の実施の形態の動作をCPU7の処理例として具体的に説明する。
まず図5A、図5Bは、近距離無線通信の実行に応じて行う通信位置リストの管理処理例を示している。
尚、図5及び後述する図6に示すフローチャートはCPU7によって実行されるプログラムに基づくCPU7の制御処理として説明するが、同様の処理がハードウエアで実施されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアの両方で実施されてもよい。
【0046】
まず図5Aの例について述べる。ステップF10は、CPU7が近距離無線通信コントローラ10を制御して、実際に近距離無線通信が実行されていることを示している。
ステップF10で近距離無線通信が実行された場合、その後(もしくは通信実行中でもかまわない)、CPU7はステップF11で、位置検出部20で検出される現在の緯度・経度情報を取得する。
そしてCPU7はステップF12で、記憶領域9に記憶されている通信位置リストを参照し、現在の緯度・経度情報が、既に通信位置リストに登録されているか否かを確認する。
既に登録されていれば、特に通信位置リストの更新は必要はないため、通信位置リストの管理処理を終える。一方、登録されていなければステップF13に進み、現在の緯度・経度情報が通信位置リストに追加登録されるように、通信位置リストの更新処理を行う。
この処理により、近距離無線通信の実行に応じて、その場所の位置情報(緯度・経度情報)が登録されていき、図4のような通信位置リストとして、過去の通信場所履歴が保存されることになる。
【0047】
図5Bの例は次のような処理となる。ステップF20は、CPU7が近距離無線通信コントローラ10を制御して、実際に近距離無線通信が実行されていることを示している。
ステップF20で近距離無線通信が実行された場合、その後(もしくは通信実行中でもかまわない)、CPU7はステップF21で、ステップF20で実行した(実行している)通信は、コンテンツデータのバックアップを目的とする通信であるか否かを判断する。即ちコンテンツデータを送信しているか否かの判断である。
コンテンツデータの送信を伴わない近距離無線通信を実行しているのであれば、ステップF21から通信位置リストの管理処理を終える。
一方、コンテンツデータの送信を伴う近距離無線通信を実行しているのであれば、CPU7はステップF22で、位置検出部20で検出される現在の緯度・経度情報を取得する。
そしてCPU7はステップF23で、記憶領域9に記憶されている通信位置リストを参照し、現在の緯度・経度情報が、既に通信位置リストに登録されているか否かを確認する。
既に登録されていれば、特に通信位置リストの更新は必要はないため、通信位置リストの管理処理を終える。一方、登録されていなければステップF24に進み、現在の緯度・経度情報が通信位置リストに追加登録されるように、通信位置リストの更新処理を行う。
この処理により、コンテンツデータのバックアップ目的の近距離無線通信の実行に応じて、その場所の位置情報(緯度・経度情報)が登録されていき、図4のような通信位置リストとして、過去の通信場所(バックアップ場所)の履歴が保存されることになる。
【0048】
次に図6でCPU7による近距離無線通信の制御処理を説明する。
DSC1が電源オンとされている場合、CPU7は、ステップF101として、位置検出部20からの位置情報を逐次取得する。即ち図6の処理は、CPU7が所定間隔で逐次実行するものとしてもよいし、或いは位置検出部20から割り込み等によって位置情報を通知することで実行されるものとしてもよい。
【0049】
CPU7はステップF101で現在の位置情報(緯度・経度情報)を取得したら、ステップF102で、例えば記憶領域9に保存されている通信位置リストを参照する。
そしてステップF103で、現在の緯度・経度情報が、通信位置リストに登録された緯度・経度情報のいずれかと一致するか否かを確認する。
【0050】
もし、現在の緯度・経度情報が、通信位置リストに登録されている緯度・経度情報に一致する場合、現在の場所は過去に近距離無線通信を行った場所であるので、今回も通信を実行する可能性が高い。
そこでCPU7はステップF104に進み、待受け電波を密状態に制御する。具体的にはCPU7は、近距離無線通信コントローラ10に、密状態での待受け電波の発生を指示する。近距離無線通信コントローラ10は、これに応じて近距離無線通信アンテナ2からポーリング周期を短くして待受け電波を発生させる動作を行う。
このように通信の開始に備える。ユーザーが近接操作を行うことで、通信が開始されることとなる。
【0051】
一方、現在の緯度・経度情報が、通信位置リストに登録されていない場合、現在のDSC1の近傍に通信相手として過去通信したことのある近距離無線通信機器がある可能性が低いため、待受け電波を密状態に発信しても通信が行われる可能性が低い。従ってCPU7はステップF105に進み、待受け電波を粗状態に制御する。具体的にはCPU7は、近距離無線通信コントローラ10に、粗状態での待受け電波の発生を指示する。近距離無線通信コントローラ10は、これに応じて近距離無線通信アンテナ2からポーリング周期を長くして待受け電波を発生させる動作を行う。
【0052】
CPU7は以上の図6の処理を逐次実行する。
このような第1の実施の形態では、次のような効果が得られる。
即ち近距離無線通信の実行の可能性の高い場所では待受け電波が密状態とされることで、通信相手を検出しやすくなり、スムースに近距離無線通信が開始される。
一方で、過去に近距離無線通信が実行されていない場所では、通信実行の可能性は低いため、待受け電波が粗状態とされる。これによって待受け電波に係る消費電力は効果的に抑えられることになる。
また、特に場所に応じてユーザーに操作負担をかけるものでもない。つまりユーザーが待受け電波の発生態様を選択操作する必要もない。このため、ユーザーの利便性は維持される。
【0053】
なお、待受け電波を粗状態としていても、通信相手の検出ができないわけではない。例えばユーザーが今まで通信したことのない場所で、近距離無線通信を実行させたいと思った場合、待受け電波を停止状態ではなく粗状態としておくことで、通信相手の機器を検出でき、通信を開始できる。また実際に通信を行った場合は、図5の処理で新たにその場所の緯度・経度情報が通信位置リストに登録されることで、次回からは、その場所で、待受け電波を密状態で発生させることとなる。
【0054】
また、ユーザーがバックアップ通信を行う可能性が低い場所では待受け電波を粗状態としておくことは、むやみに通信開始されることを低くするという効果もある。
例えば近距離無線通信によってユーザーが意図しないのにコンテンツデータ等が送信されてしまうこともあるが、ユーザーが通常、通信を実行する場所以外では、そのような通信が実行されにくくなる。
【0055】
<3.第2の実施の形態の通信制御処理>
DSC1による第2の実施の形態の動作を説明する。
第2の実施の形態においては、ユーザーがDSC1と無線通信機器50との間で近距離無線通信を行ったときに、位置検出部20によって得られる緯度・経度情報を通信位置リストに登録することは第1の実施の形態と同様である。
但し、第2の実施の形態では、通信位置リストには、各コンテンツデータに対して、近距離無線通信によるコンテンツデータ送信の実行の際の位置情報が関連づけられる状態で、位置情報が登録されるものとする。
つまり、記憶領域9に保存される通信位置リストには、コンテンツデータ毎に過去近距離無線通信を行ったひとつあるいは複数の緯度・経度情報が登録される。
【0056】
この、コンテンツデータ毎に紐付けされた緯度・経度情報のリストとしての通信位置リストの例を図8に示す。
図示のように通信位置リストでは、DSC1内で例えば記憶領域9に保存されているコンテンツデータCT1,CT2・・・毎に、過去にバックアップ通信を行った場所の緯度・経度情報が登録される。なお、CT1,CT2・・・・は、それぞれ特定のコンテンツデータを示す識別子(例えばファイル名等)と考えればよい。通信位置リストではコンテンツデータの識別子に位置情報が関連づけられる。
【0057】
図8の例では、例えばコンテンツデータCT1は、過去に緯度「AAA」、経度「BBB」の場所でバックアップ通信が行われ、またコンテンツデータCT3は、過去に緯度「AAA」、経度「BBB」の場所と、緯度「CCC」、経度「DDD」の場所の2カ所でバックアップ通信が行われたという履歴が登録されている。
またコンテンツデータCT2については位置情報が関連づけられていないが、これは過去にコンテンツデータCT2についてはバックアップ通信が行われていないということを示すものとなる。
【0058】
この図8に示すような通信位置リストを用いると、DSC1(CPU7)は、ある緯度・経度の位置において、通信相手としての近距離無線通信機器に対して、過去にコンテンツデータを送信したかどうかを判別できる。
従って、現在位置において近傍に存在する無線通信機器50に対して、DSC1が保持するコンテンツデータのうち、近距離無線通信によって過去に送信されたかどうかを予測することが可能である。
【0059】
これにより、現在位置において近傍に存在する無線通信機器50に対して、過去に送信されたことのないコンテンツデータをDSC1が保持する場合は、近距離無線通信を実行する可能性が高いので、待受け電波を密に発信し、通信の開始に備える。
一方、現在位置において近傍に存在する無線通信機器50に対して、過去に送信されたことのないコンテンツデータをDSC1が保持しない場合は、送信すべきコンテンツデータがないので近距離無線通信を実施する可能性が低いため、待受け電波を密に発信しても通信が行われる可能性が低い。従って、待受け電波を疎らにして、消費電力を抑える。
【0060】
なお、この通信位置リストは、コンテンツデータ毎に過去の通信場所が登録されるものとなるが、この通信位置リストによれば、単に「過去に通信が行われた場所」の情報も得られる。従って、先に図4で示したような「過去に通信が行われた場所」をのみを示す通信位置リストを別途備えることは必ずしも必要ではない。
但し、図4で示したような「過去に通信が行われた場所」を示す通信位置リストを別途備えるようにしてもよい。
【0061】
第2の実施の形態の動作をCPU7の処理例として具体的に説明する。
図9は、CPU7によるコンテンツデータ毎の過去の通信位置を登録する図8のような通信位置リストの管理処理例を示している。
尚、図9及び後述する図10に示すフローチャートはCPU7によって実行されるプログラムに基づくCPU7の制御処理として説明するが、同様の処理がハードウエアで実施されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアの両方で実施されてもよい。
【0062】
図9の通信位置リスト管理処理では、CPU7はステップF30、F32、F34の判断を常時行っており、その判断に応じて必要な処理を行う。
ステップF30は、DSC1においてコンテンツデータが新たに記憶されたか否かを判断している。
例えばユーザーがDSC1を用いて静止画や動画の撮像を行った場合、静止画データファイル又は動画データファイルが記憶領域9に新たに記憶される。これらがステップF30でいうコンテンツ新規記憶の場合である。
また図2には示していない有線又は無線での他の機器との通信や、ネットワークダウンロード、或いは装填されたメモリカードや光ディスク等の記録媒体からの読み込みにより、静止画データファイル等のコンテンツデータがDSC1に取り込まれ、記憶領域9に保存された場合も、コンテンツ新規記憶に相当する。
例えばこれらのようにCPU7は、DSC1内に、近距離無線通信によるバックアップ通信の対象となるコンテンツデータが新たに記憶されることをステップF30で監視している。
【0063】
コンテンツ新規記憶の場合、CPU7のリスト管理処理としてはステップF30からF31に進み、通信位置リストの更新を行う。即ち新たに記憶したコンテンツデータの識別子(CTx)を、通信位置リストに新たにエントリする。
この時点では、まだ当該コンテンツデータのバックアップ通信は行われていないので、例えば図8のコンテンツデータCT2のように、位置情報は関連づけられず、識別子のみが通信位置リストに追加される状態となる。
【0064】
また、例えば記憶領域9に記憶されているコンテンツデータは、ユーザーの削除操作などに応じて削除されることもある。
削除されたコンテンツデータは、当然、その後のバックアップ通信の対象とはならないため、通信位置リストに登録しておく必要はない。
そこで或るコンテンツデータの削除が行われた場合は、CPU7のリスト管理処理としては、ステップF32からF33に進み、当該削除されたコンテンツデータのエントリーを通信位置リストから抹消する。
【0065】
近距離無線通信として1又は複数のコンテンツデータのバックアップのための送信が行われた場合は、CPU7のリスト管理処理はステップF34からF35に進む。
ここでCPU7は位置検出部20で検出される現在の緯度・経度情報を取得する。
そしてCPU7はステップF36で、必要に応じて通信位置リストの更新を行う。即ち、通信位置リストに、バックアップ通信の対象となったコンテンツデータのそれぞれについて、現在の位置情報が登録されているか否かを確認する。そして送信したコンテンツデータのうちで、現在の位置情報が関連づけられていないコンテンツデータがあれば、そのコンテンツデータに関連づけて現在の位置情報を追加登録するという処理を行う
【0066】
この図9の処理により、図8のような通信位置リストが、各コンテンツデータについて、過去に近距離無線通信でバックアップを行った位置が登録されているように、更新管理されることになる。
【0067】
次に図10でCPU7による近距離無線通信の制御処理を説明する。
DSC1が電源オンとされている場合、CPU7は、ステップF201として、位置検出部20からの位置情報を逐次取得する。即ち図10の処理は、CPU7が所定間隔で逐次実行するものとしてもよいし、或いは位置検出部20から割り込み等によって位置情報を通知することで実行されるものとしてもよい。
【0068】
CPU7はステップF201で現在の位置情報(緯度・経度情報)を取得したら、ステップF202、F203で、記憶領域9に保存されている通信位置リストを参照する。
なお、ステップF202で参照するのは図4のような単に過去の通信場所を登録した通信位置リストであり、ステップF203で参照するのは、図8のようにコンテンツデータ毎に過去のバックアップ通信位置を登録した通信位置リストである。
上記したように図8の通信位置リストによれば、過去の通信場所の情報も得られることから、図4のような通信位置リストは設けないようにし、ステップF202を無くして、ステップF203で図8の通信位置リストを参照するという処理としても良い。
但し、図8の通信位置リストは、図9の処理のように管理され、コンテンツデータの消去に応じて登録内容が抹消されるものとした場合、過去の或る通信場所の情報が失われる可能性もある。そのため図4のような通信場所のみを登録した通信位置リストも備えるようにすることには意味がある。
【0069】
CPU7はステップF204では、現在の緯度・経度情報が、通信位置リストに登録された緯度・経度情報のいずれかと一致するか否かを確認する。
例えば現在の緯度・経度情報が、図4の通信位置リストに登録されているか否かを確認する。或いは現在の緯度・経度情報が、図8の通信位置リストにおいて、いずれかのコンテンツデータに関連づけられている緯度・経度情報の1つと一致するか否かを確認する。
【0070】
もし、現在の緯度・経度情報が、通信位置リストに登録されている緯度・経度情報に一致する場合、現在の場所は過去に近距離無線通信を行った場所である。その場合CPU7はステップF205に進む。
ここでは、図8に示した通信位置リスト、即ちコンテンツデータ毎の過去の近距離無線通信実施時の緯度・経度情報のリストを用いる。この通信位置リストの中で、現在の緯度・経度に対して、過去に近距離無線通信した緯度・経度情報と一致しないコンテンツがあるかどうかを判断する。
つまりこれは、過去に、現在の場所ではバックアップ通信をしたことのないコンテンツデータが存在するか否かを判断するものとなる。
【0071】
これに該当するコンテンツデータがひとつでもある場合は、近い将来に、近傍に存在するであろう無線通信機器50にたいして近距離無線通信をする可能性が高い。例えばユーザーが、まだバックアップしていないコンテンツデータをバックアップしようとするような機会が発生する可能性が高い。
そこでCPU7はステップF206に進み、待受け電波を密状態に制御する。具体的にはCPU7は、近距離無線通信コントローラ10に、密状態での待受け電波の発生を指示する。近距離無線通信コントローラ10は、これに応じて近距離無線通信アンテナ2からポーリング周期を短くして待受け電波を発生させる動作を行う。
これにより通信の開始に備える。ユーザーが近接操作を行うことで、通信が開始されることとなる。
【0072】
一方、現在の緯度・経度情報が、通信位置リストに登録されていない場合、又は現在の緯度・経度に対して、過去に近距離無線通信した緯度・経度情報と一致しないコンテンツが存在しない場合(現在の場所ではバックアップ通信をしたことのないコンテンツデータが存在しない場合)は、CPU7はステップF207に進む。
この場合とは、現在のDSC1の近傍に通信相手として過去通信したことのある近距離無線通信機器がある可能性が低いか(F204→F207)、或いは近傍に存在するであろう無線通信機器50に対して、現存する全てのコンテンツデータを送信したことがある(F205→F207)という場合である。
従って通信する場所でないか、或いは通信可能な場所であってもコンテンツデータを送信する必要性が少ない場合である。このため待受け電波を密状態で発信しても、ユーザーが近接操作を行って通信が行われる場合は少ないと考えることができる。従って、待受け電波を疎状態にして、消費電力を抑える。
具体的にはCPU7は、近距離無線通信コントローラ10に、粗状態での待受け電波の発生を指示する。近距離無線通信コントローラ10は、これに応じて近距離無線通信アンテナ2からポーリング周期を長くして待受け電波を発生させる動作を行う。
【0073】
CPU7は以上の図10の処理を逐次実行する。
このような第2の実施の形態では、コンテンツデータのバックアップ送信のための近距離無線通信において、過去のコンテンツデータ毎の通信場所の履歴を用いて、通信実行の可能性を判断し、待受け電波を制御する。
そしてコンテンツデータのバックアップ通信が行われる可能性が高い場合は待受け電波が密状態とされることで、通信相手を検出しやすくなり、スムースに近距離無線通信が開始される。
一方で、コンテンツデータのバックアップ通信が行われる可能性が低い場合は、待受け電波が粗状態とされる。これによって待受け電波に係る消費電力は効果的に抑えられることになる。
特にコンテンツデータ毎の過去の送信場所履歴を判定要素に加えることで、通信可能性の判断を第1の実施の形態よりも正確に行うことができる。このため、通信の実行と消費電力の低減をより的確に実行できる。
また、これも待受け電波の調整にユーザーに操作負担をかけるものでもないためユーザーの利便性は維持される。
【0074】
なお、この第2の実施の形態でも、通信実行の可能性が低くても、待受け電波を粗状態としているため、全く通信ができなくなるわけではない。従って通信が行われるべき場合は、通信は実行されうる。
一方で、通信相手の検出がしにくいことで、むやみに近距離無線通信によるコンテンツデータの送信等が実行されないという利点も得られる。
【0075】
<4.変形例>
以上、実施の形態について説明してきたが、本開示の通信装置の構成や通信制御処理は実施の形態に限らず、多様な変形例が考えられる。
【0076】
実施の形態では、近距離無線通信の可能性が低いと判断したときには、待受け電波を粗状態とすることとしたが、粗状態ではなく停止状態とすることも考えられる。
停止状態とは、待受け電波の発生を完全に停止した状態であり、この場合は、通信相手の検出が行われないが、消費電力の低減という観点では、一層効果的である。
但し、その場合は、通信位置リストに登録されてない場所では、近距離無線通信が行われないということになる。そこで、例えば予めユーザーが自宅など、コンテンツデータのバックアップを行う場所を通信位置リストに登録するようにし、その場所でしか通信は行わないというユースケースの場合等において好適な動作となる。
なお、そのように登録した場所以外では待受け電波を停止状態とすることによれば、登録場所以外での意図しない通信は完全に防止でき、むやみなデータ流出等を避けたい場合には有効となる。
【0077】
また図4や図8のような通信位置リストの管理処理も多様に考えられる。
例えば図4のような通信位置リストには、各位置情報について、最新の通信実行日時を記憶するようにしてもよい。そしてある程度長期間、通信が行われない位置情報については、リストから抹消するような処理を行っても良い。
【0078】
また、各位置情報での日時や通信回数を記憶するようにし、これらに応じて待受け電波のポーリング周期を調整してもよい。
例えば密状態としても、最もポーリング周期が短い第1の密状態や、粗状態ほどではないが、多少ポーリング周期を長くした第2の密状態などを設定し、通信回数が多い場所や近い過去に通信を行った場所などでは第1の密状態、それ以外では第2の密状態とするなど待受け電波の制御をより多段階に行うことも考えられる。
【0079】
実施の形態では、通信装置の例としてDSC1を挙げたが、もちろんDSC1に限られず、多様な機器において、本開示の通信装置を実現できる。
例えば携帯電話機、ビデオカメラ機器、モバイル端末機器、携帯型ゲーム機器、情報処理装置、携帯型音楽再生機、携帯型テレビジョン受像器、その他各種の機器が考えられる。現在位置を判断して待受け電波を制御するという観点からは、ユーザーが手に持つことのできる小型の機器が適しているが、必ずしもそれに限らない。
【0080】
これらの各種の機器を本開示の通信装置100として実現する場合、それらの機器が図11の構成を備えていれば良い。
図11では制御部101、位置検出部102、近距離無線通信コントローラ103、近距離無線通信アンテナ104、記憶部105を示している。
外部通信機器との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信部として、近距離無線通信コントローラ103と近距離無線通信アンテナ104が設けられる。
また現在位置を検出する位置検出部102が設けられる。
記憶部105には通信位置リストが保持される。
制御部101は、位置検出部102からの情報によって現在位置の検出や、近距離無線通信コントローラ103に対して待受け動作制御を行う。即ち制御部101は、位置検出部102から現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報と記憶部105に記憶された通信位置リストの照合結果に応じて、近距離無線通信部(103,104)からの待受け電波の発生状態を制御する。
また制御部101は、近距離無線通信を実行した場合に、その通信時の位置情報が、通信位置リストに登録されるようにリスト管理処理を行う。
上述の携帯電話機、ビデオカメラ機器、モバイル端末機器等が、その主たる機能のための構成に加え、この図11の構成を備えることで、本開示の通信装置に該当するものとなる。
【0081】
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)外部通信機器との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、
現在位置情報を検出する位置検出部と、
近距離無線通信の実行時の位置情報が登録された通信位置リストを記憶する記憶部と、
上記位置検出部から現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果に応じて、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生状態を制御する制御部と、
を備えた通信装置。
(2)上記制御部は、現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果として、
現在位置情報が上記通信位置リストに登録されている位置であるときは、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を密状態に制御し、
現在位置情報が上記通信位置リストに登録されている位置ではないときは、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を粗状態又は停止状態に制御する上記(1)に記載の通信装置。
(3)上記制御部は、上記近距離無線通信部により外部機器との間で近距離無線通信を実行した場合に、その通信時の位置情報が、上記通信位置リストに登録されるようにリスト管理処理を行う上記(1)又は(2)に記載の通信装置。
(4)上記制御部は、上記近距離無線通信部により外部機器との間で、コンテンツデータ送信のための近距離無線通信を実行した場合に、その通信時の位置情報が、上記通信位置リストに登録されるようにリスト管理処理を行う上記(1)又は(2)に記載の通信装置。
(5)上記通信位置リストには、各コンテンツデータに対して、上記近距離無線通信部によるコンテンツデータ送信の実行の際の位置情報が関連づけられる状態で、位置情報が登録されており、
上記制御部は、現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果として、
上記通信位置リストに、関連づけられた位置情報が現在位置情報と一致しないコンテンツデータが存在する場合は、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を密状態に制御し、
上記通信位置リストに、関連づけられた位置情報が現在位置情報と一致しないコンテンツデータが存在しない場合は、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を粗状態又は停止状態に制御する上記(1)に記載の通信装置。
(6)上記制御部は、上記近距離無線通信部により外部機器との間で、コンテンツデータ送信のための近距離無線通信を実行した場合に、その通信時の位置情報が、送信したコンテンツデータに関連づけられた位置情報として上記通信位置リストに登録されるようにリスト管理処理を行う上記(1)又は(5)に記載の通信装置。
【符号の説明】
【0082】
1 DSC、2,104 近距離無線通信アンテナ、3 表示部、4 操作入力部、5 撮像部、6 撮像信号処理部、7 CPU、8 メインメモリ、9 記憶領域、10,103 近距離無線通信コントローラ、11 フラッシュメモリ、20,102 位置検出部、50 無線通信機器、51 近距離無線通信アンテナ、100 通信装置、101 制御部、105 記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部通信機器との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、
現在位置情報を検出する位置検出部と、
近距離無線通信の実行時の位置情報が登録された通信位置リストを記憶する記憶部と、
上記位置検出部から現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果に応じて、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生状態を制御する制御部と、
を備えた通信装置。
【請求項2】
上記制御部は、現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果として、
現在位置情報が上記通信位置リストに登録されている位置であるときは、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を密状態に制御し、
現在位置情報が上記通信位置リストに登録されている位置ではないときは、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を粗状態又は停止状態に制御する請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
上記制御部は、上記近距離無線通信部により外部機器との間で近距離無線通信を実行した場合に、その通信時の位置情報が、上記通信位置リストに登録されるようにリスト管理処理を行う請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
上記制御部は、上記近距離無線通信部により外部機器との間で、コンテンツデータ送信のための近距離無線通信を実行した場合に、その通信時の位置情報が、上記通信位置リストに登録されるようにリスト管理処理を行う請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
上記通信位置リストには、各コンテンツデータに対して、上記近距離無線通信部によるコンテンツデータ送信の実行の際の位置情報が関連づけられる状態で、位置情報が登録されており、
上記制御部は、現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果として、
上記通信位置リストに、関連づけられた位置情報が現在位置情報と一致しないコンテンツデータが存在する場合は、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を密状態に制御し、
上記通信位置リストに、関連づけられた位置情報が現在位置情報と一致しないコンテンツデータが存在しない場合は、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を粗状態又は停止状態に制御する請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
上記制御部は、上記近距離無線通信部により外部機器との間で、コンテンツデータ送信のための近距離無線通信を実行した場合に、その通信時の位置情報が、送信したコンテンツデータに関連づけられた位置情報として上記通信位置リストに登録されるようにリスト管理処理を行う請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
外部通信機器との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、現在位置情報を検出する位置検出部と、近距離無線通信の実行時の位置情報が登録された通信位置リストを記憶する記憶部とを備えた通信装置の通信制御方法として、
上記位置検出部から現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果に応じて、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生状態を制御する通信制御方法。
【請求項1】
外部通信機器との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、
現在位置情報を検出する位置検出部と、
近距離無線通信の実行時の位置情報が登録された通信位置リストを記憶する記憶部と、
上記位置検出部から現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果に応じて、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生状態を制御する制御部と、
を備えた通信装置。
【請求項2】
上記制御部は、現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果として、
現在位置情報が上記通信位置リストに登録されている位置であるときは、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を密状態に制御し、
現在位置情報が上記通信位置リストに登録されている位置ではないときは、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を粗状態又は停止状態に制御する請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
上記制御部は、上記近距離無線通信部により外部機器との間で近距離無線通信を実行した場合に、その通信時の位置情報が、上記通信位置リストに登録されるようにリスト管理処理を行う請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
上記制御部は、上記近距離無線通信部により外部機器との間で、コンテンツデータ送信のための近距離無線通信を実行した場合に、その通信時の位置情報が、上記通信位置リストに登録されるようにリスト管理処理を行う請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
上記通信位置リストには、各コンテンツデータに対して、上記近距離無線通信部によるコンテンツデータ送信の実行の際の位置情報が関連づけられる状態で、位置情報が登録されており、
上記制御部は、現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果として、
上記通信位置リストに、関連づけられた位置情報が現在位置情報と一致しないコンテンツデータが存在する場合は、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を密状態に制御し、
上記通信位置リストに、関連づけられた位置情報が現在位置情報と一致しないコンテンツデータが存在しない場合は、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生を粗状態又は停止状態に制御する請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
上記制御部は、上記近距離無線通信部により外部機器との間で、コンテンツデータ送信のための近距離無線通信を実行した場合に、その通信時の位置情報が、送信したコンテンツデータに関連づけられた位置情報として上記通信位置リストに登録されるようにリスト管理処理を行う請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
外部通信機器との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、現在位置情報を検出する位置検出部と、近距離無線通信の実行時の位置情報が登録された通信位置リストを記憶する記憶部とを備えた通信装置の通信制御方法として、
上記位置検出部から現在位置情報を取得し、取得した現在位置情報と上記通信位置リストの照合結果に応じて、上記近距離無線通信部からの待受け電波の発生状態を制御する通信制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−21476(P2013−21476A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152747(P2011−152747)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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