説明

通信装置、通信方法、及びプログラム

【課題】ビット誤りを低減させることができる通信装置を提供する。
【解決手段】空き周波数帯域を用いて通信する通信装置1は、通信データを、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により、複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割して送信する送信部11、通信データを受信する受信部12、複数の空き周波数帯域を取得する取得部13、伝搬路の遅延プロファイルを測定する測定部14、遅延プロファイルを用いて、周波数領域におけるノッチ特性を算出するノッチ特性算出部15、ノッチ特性を用いて、通信で用いられる少なくとも2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置とならないように、取得部13が取得した複数の周波数帯域から、通信で用いる複数の周波数帯域を選択する選択部16、通信データを、選択された複数の周波数帯域を用いて通信させる制御部17を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空き周波数帯域を用いて通信を行う通信装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ISM(Industry−Science−Medical)帯などにおいて、断片化した空き周波数帯域を集積し、一つの無線チャネルとして用いるダイナミックスペクトラムアクセス(DSA:Dynamic Spectrum Access)のコンセプトが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。また、そのDSAに適したスペクトラム制御方式として、シングルキャリア変調のスペクトラムをバンドパスフィルタにより複数の帯域に分割し、それぞれを周波数変換して伝送するスペクトラム分割シングルキャリア変調方式も提案されている(例えば、特許文献1,非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−232857号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】太郎丸真、矢野一人、塚本悟司、上羽正純、「ISMバンドにおける高効率周波数共用に向けたダイナミックスペクトラムアクセスシステムのコンセプト提案」、信学技報,vol.108,no.446,SR2008−97,p.53−57,2009年3月
【非特許文献2】鈴木康夫、太郎丸真、矢野一人、上羽正純、「DSAのための帯域制限付きスペクトラム分割シングルキャリア伝送方式の基本性能」、信学技報,vol.109,no.164,RCS2009−81,p.19−23,2009年8月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のDSAにおけるスペクトラム分割シングルキャリア変調方式では、複数の空き周波数帯域を用いて通信を行うが、伝搬路特性のよくない周波数帯域を通信に割り当てた場合には、ビット誤りが多くなる。特に、伝搬路の遅延特性によっては、バースト誤りが発生してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、バースト誤りを軽減することができる通信装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明による通信装置は、空き周波数帯域を用いて通信を行う通信装置であって、通信データを、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により、複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割して送信する送信部と、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により、複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割されて送信された通信データを受信する受信部と、通信に用いられていない周波数帯域である複数の空き周波数帯域を取得する取得部と、伝搬路の遅延プロファイルを測定する測定部と、測定部が測定した遅延プロファイルを用いて、周波数領域におけるノッチ特性を算出するノッチ特性算出部と、ノッチ特性算出部が算出したノッチ特性を用いて、通信で用いられる少なくとも2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置とならないように、取得部が取得した複数の周波数帯域から、通信で用いる複数の周波数帯域を選択する選択部と、通信データを、選択部が選択した複数の周波数帯域を用いて通信させる制御部と、を備えたものである。
このような構成により、2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置になることを回避することができ、バースト誤りの発生を抑えることができる。その結果、ビット誤り率特性が改善されることになる。
【0008】
また、本発明による通信装置では、ノッチ特性算出部は、繰り返される複数のノッチの単位長さであるノッチ間隔を含むノッチ特性を算出し、選択部は、2個のサブスペクトラムの間隔がノッチ間隔のN倍(Nは1以上の整数である)とならないように通信で用いる複数の周波数帯域を選択してもよい。
このような構成により、2個のサブスペクトラムの間隔と、ノッチの周期とがあわないようにすることができ、その2個のサブスペクトラムのうち、少なくとも一方がノッチの位置とならないようにすることができる。
【0009】
また、本発明による通信装置では、ノッチ特性は、一のノッチの落ち込みの幅であるノッチ幅を含んでおり、選択部は、隣接する2個のサブスペクトラムがノッチ幅より小さい間隔とならないように通信で用いる複数の周波数帯域を選択してもよい。
このような構成により、隣接する2個のサブスペクトラムが同時に一のノッチの位置となることを回避することができる。
【0010】
また、本発明による通信方法は、空き周波数帯域を用いて通信を行う通信方法であって、伝搬路の遅延プロファイルを測定する測定ステップと、測定ステップで測定した遅延プロファイルを用いて、周波数領域におけるノッチ特性を算出するノッチ特性算出ステップと、通信に用いられていない周波数帯域である複数の空き周波数帯域を取得する取得ステップと、ノッチ特性算出ステップで算出したノッチ特性を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により複数の周波数帯域を用いて通信される少なくとも2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置とならないように、取得ステップで取得した複数の周波数帯域から、通信で用いる複数の周波数帯域を選択する選択ステップと、通信データを、選択ステップで選択した複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により通信させる制御ステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明による通信装置等によれば、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式による通信において、バースト誤りを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1による通信装置の構成を示すブロック図
【図2】同実施の形態による送信部及び受信部の構成を示すブロック図
【図3】同実施の形態による通信装置の動作を示すフローチャート
【図4】同実施の形態におけるスペクトラムの分割及びノッチ等について説明するための図
【図5】同実施の形態におけるノッチの一例を示す図
【図6】同実施の形態におけるノッチの一例を示す図
【図7】同実施の形態におけるスペクトラム分割の具体例について説明するための図
【図8】同実施の形態におけるコンピュータシステムの外観一例を示す模式図
【図9】同実施の形態におけるコンピュータシステムの構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による通信装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0014】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による通信装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による通信装置は、測定された遅延プロファイルを用いてノッチ特性を算出し、そのノッチ特性を用いて、2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置とならないように、通信で用いる周波数帯域を割り当てるものである。
【0015】
図1は、本実施の形態による通信装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態による通信装置1は、アンテナ2を介して無線通信を行うものであり、送信部11と、受信部12と、取得部13と、測定部14と、ノッチ特性算出部15と、選択部16と、制御部17とを備える。なお、本実施の形態では、通信装置1がモバイルステーション(MS:Mobile Station)であり、通信装置1の通信先の装置であるアクセスポイント(AP:Access Point)が存在する場合について主に説明するが、そうでなくてもよいことは言うまでもない。通信装置1がAPであってもよい。
【0016】
送信部11は、通信データを、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により、複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割して送信する。その複数の周波数帯域は、使用されていない空き周波数帯域であり、後述するように、制御部17によって指定されるものである。
【0017】
図2(a)は、送信部11の詳細な構成を示すブロック図である。図2(a)において、送信部11は、変調部31と、S/P(シリアル/パラレル)変換部32と、フーリエ変換部33と、スペクトラムマッピング部34と、逆フーリエ変換部35と、P/S(パラレル/シリアル)変換部36と、DA変換部37と、局部発信部38と、周波数変換部39と、電力増幅部40とを備える。
【0018】
変調部31は、デジタル信号である通信データを受け付け、その通信データによりデジタル変調する。なお、PAPR(Peak to Average Power Ratio)特性をよくするためなどの目的で、スペクトラム分割前の変調波形をロールオフフィルタにより整形してもよい(そのことについては、例えば、次の文献を参照されたい)。S/P変換部32は、デジタル変調された通信データを、複数の並列配列の信号に変換する。なお、デジタル変調時にロールオフフィルタを用いた場合には、IFFTフレーム境界付近の出力信号が歪んでしまうため、S/P変換部32及びP/S変換部36において、重複S/P変換及び重複P/S変換を行ってもよい。その重複率は、例えば、1/8であってもよい。
文献:鈴木康夫、矢野一人、上羽正純、「スペクトラム分割シングルキャリア伝送の波形整形効果」、2010年電子情報通信学会ソサイエティ大会,B−5−137,p.491,2010年9月
【0019】
フーリエ変換部33は、S/P変換後の複数の並列配列の信号を受け付け、それらの信号を並列に高速フーリエ変換することによって、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する。スペクトラムマッピング部34は、高速フーリエ変換後の信号を受け付け、その信号に対してスペクトラムマッピングを行う。具体的には、スペクトラムマッピング部34は、高速フーリエ変換後の信号をバンドパスフィルタによってA1個に分割し、分割後のA1個の信号に対して、通信で用いる複数の周波数帯域に応じた周波数変換を行う。なお、スペクトラムマッピング部34は、高速フーリエ変換後の並列配列の信号である、複数の分割送信スペクトラムブロックに含まれる複数の周波数成分を、後述する制御部17によって設定される複数の周波数帯域に分割するためのマッピング行列を生成し、そのマッピング行列を用いて、複数の分割送信スペクトラムブロックに含まれる複数の周波数成分を複数の周波数帯域に分割してもよい。このスペクトラムマッピング部34の詳細な処理については、例えば、前述の特許文献1を参照されたい。なお、S/P変換時に重複S/P変換を行っている場合には、周波数変換後の信号位相が不連続となるため、位相補正も行う(上記文献参照)。このA1は、通信で用いられるサブスペクトラムの個数であり、1以上の整数である。複数のサブスペクトラムを用いて通信を行う場合には、A1は2以上である。逆フーリエ変換部35は、スペクトラムマッピング後の信号に対して、逆高速フーリエ変換を行い、時間領域の信号に戻す。P/S変換部36は、逆高速フーリエ変換後の信号を受け付け、並列配列の信号を直列配列に変換する。なお、前述のように、P/S変換部36は、重複P/S変換を行ってもよい。DA変換部37は、P/S変換後の直列配列のデジタル信号を受け付け、そのデジタル信号をアナログ信号に変換する。局部発信部38は、周波数変換のための信号を生成する。周波数変換部39は、局部発信部38が生成した周波数変換のための信号を用いて、DA変換部37で生成された等価ベースバンド帯域送信信号を、送信周波数帯に変換する。電力増幅部40は、周波数変換部39により周波数変換された送信信号を、所望の電力まで増幅する。その送信信号が、アンテナ2を介して送信される。
【0020】
なお、送信部11の各構成要素が受け渡しを行う信号を、単に通信データと呼ぶこともある。また、送信部11の構成は、これに限定されるものではなく、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式による送信を行うことができるのであれば、他の構成であってもよい。例えば、S/P変換やP/S変換を行わなくてもよく、あるいは、高速フーリエ変換や逆高速フーリエ変換に代えて、離散フーリエ変換や逆離散フーリエ変換を用いてもよい。このように、送信部11の構成には任意性が存在する。また、送信部11は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な部分については、送信デバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0021】
受信部12は、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により、複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割されて送信された通信データを受信する。
図2(b)は、受信部12の詳細な構成を示すブロック図である。図2(b)において、受信部12は、低雑音増幅部41と、周波数変換部42と、局部発信部43と、AD変換部44と、S/P変換部45と、フーリエ変換部46と、スペクトラムデマッピング部47と、逆フーリエ変換部48と、P/S変換部49と、復調部50とを備える。
【0022】
低雑音増幅部41は、アンテナ2で受信された通信データのアナログ信号を受信し、その受信したアナログ信号(受信信号)を増幅する。周波数変換部42は、局部発信部43によって生成された信号を用いて、受信信号を周波数変換し、AD変換部44で変換できる等価ベースバンド帯域受信信号に変換する。局部発信部43は、その周波数変換部42での周波数変換のための信号を生成する。AD変換部44は、等価ベースバンド帯域受信信号であるアナログ信号をデジタル信号に変換する。S/P変換部45は、AD変換後のデジタル信号を受け付け、そのデジタル信号を複数の並列配列の信号に変換する。フーリエ変換部46は、S/P変換後の複数の並列配列の信号を受け付け、それらの信号を並列に高速フーリエ変換することによって、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する。スペクトラムデマッピング部47は、高速フーリエ変換後の信号を受け付け、その信号に対してスペクトラムデマッピングを行う。具体的には、スペクトラムデマッピング部47は、高速フーリエ変換後の信号をバンドパスフィルタによって通信で用いられた複数の周波数帯域に応じたA2個の周波数帯域の信号に分割し、分割後のA2個の周波数帯域に応じた信号に対して周波数変換を行うことによって一つの周波数帯域の信号に結合する。なお、スペクトラムデマッピング部47は、スペクトラムマッピング部34と同様の手法によって、通信データの通信で用いられた複数の周波数帯域に応じたマッピング行列を生成し、そのマッピング行列の転置行列であるデマッピング行列を算出し、そのデマッピング行列を用いて、高速フーリエ変換後の並列配列の信号を一つの周波数帯域に結合してもよい。このスペクトラムデマッピング部47の詳細な処理については、例えば、前述の特許文献1を参照されたい。なお、A2は、通信で用いられるサブスペクトラムの個数であり、1以上の整数である。複数のサブスペクトラムを用いて通信が行われる場合には、A2は2以上である。また、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により通信を行う場合には、通常、送信する通信データのサブスペクトラムの個数と、受信する通信データのサブスペクトラムの個数とは等しいため、A1=A2となるが、場合によっては異なっていてもよい。逆フーリエ変換部48は、スペクトラムデマッピング後の信号に対して、逆高速フーリエ変換を行い、時間領域の信号に戻す。P/S変換部49は、逆高速フーリエ変換後の信号を受け付け、並列配列の信号を直列配列に変換する。復調部50は、P/S変換後の直列配列のデジタル信号を受け付け、そのデジタル信号をデジタル復調する。
【0023】
ここで、受信部12においても、スペクトラムデマッピング部47の後段においてロールオフフィルタを用いてもよい。その場合には、逆フーリエ変換部48は、ロールオフフィルタから受け取った信号に対して逆フーリエ変換を行うことになる。また、ロールオフフィルタを用いる場合には、S/P変換部45及びP/S変換部49において、重複S/P変換及び重複P/S変換を行ってもよい。また、S/P変換時に重複変換を行っている場合には、信号位相が不連続とならないように、スペクトラムデマッピング部47において位相補正も行う。
【0024】
なお、受信部12の各構成要素が受け渡しを行う信号を、単に通信データと呼ぶこともある。また、受信部12の構成は、これに限定されるものではなく、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式による受信を行うことができるのであれば、他の構成であってもよい。例えば、S/P変換やP/S変換を行わなくてもよく、あるいは、高速フーリエ変換や逆高速フーリエ変換に代えて、離散フーリエ変換や逆離散フーリエ変換を用いてもよい。また、受信部12において、フーリエ変換部46とスペクトラムデマッピング部47との間において等化器(イコライザ)による等化処理を行ってもよい。このように、受信部12の構成には任意性が存在する。また、受信部12は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な部分については、受信デバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0025】
また、送信部11における局部発信部38と、受信部12における局部発信部43とは、同一のものであってもよい。すなわち、同一の局部発信部を用いて、周波数変換部39,42における周波数変換が行われてもよい。また、例えば、局部発信部38,43が生成する周波数が2.4GHzであり、周波数変換部39による周波数変換後の送信信号の周波数と、アンテナ2で受信された受信信号の周波数とが2.4GHzであり、等価ベースバンド帯域の送信信号、受信信号の周波数が0GHzであってもよい。なお、これらの周波数は一例であり、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0026】
取得部13は、通信に用いられていない周波数帯域である複数の空き周波数帯域を取得する。取得部13は、その複数の空き周波数帯域を検出(センシング)することにより取得してもよく、あるいは、他の装置(例えば、APなど)が送信した通信データに空き周波数帯域を示す情報が含まれる場合には、受信部12が受信した通信データから取得してもよい。複数の空き周波数帯域を検出する場合には、取得部13は、受信部12の高速フーリエ変換後の信号を用いて、その検出を行ってもよい。すなわち、取得部13は、高速フーリエ変換後の周波数領域の信号から得たパワースペクトルを、あらかじめ設定されているしきい値と比較し、そのしきい値よりも振幅の大きい周波数帯域は使用されていると判断し、そのしきい値よりも振幅の小さい周波数帯域は使用されていないと判断してもよい。本実施の形態では、このように取得部13が複数の空き周波数帯域を検出する場合について説明する。また、複数の空き周波数帯域を受信された通信データから取得する場合には、他の装置から送信された通信データに空き周波数帯域を示す情報が含まれており、取得部13は、デジタル復調後の通信データから、その空き周波数帯域を示す情報を取得してもよい。なお、空き周波数帯域は、例えば、周波数帯域の上限の周波数と下限の周波数とによって示されてもよく、あるいは、あらかじめ周波数帯域ごとにインデックスが付与されており、そのインデックスによって示されてもよい。本実施の形態では、後者の場合について主に説明する。そして、そのインデックスのことを周波数インデックスと呼ぶこともある。また、取得部13は、例えば、取得した複数の空き周波数帯域を特定可能な情報(例えば、周波数そのものでもよく、周波数インデックス等でもよい)を図示しない記録媒体に蓄積してもよい。また、結果として、空き周波数帯域を知ることができるのであれば、取得部13が行う処理内容は問わない。例えば、取得部13は、使用中の周波数帯域を取得してもよい。その場合でも、結果として、空き周波数帯域を知ることができるからである。
【0027】
測定部14は、受信部12を介して、伝搬路の遅延プロファイル(遅延特性)を測定する。遅延プロファイルは、異なる伝搬路を介して通信装置1で受信された電波の到達タイミングと強度とを含む波形に関する情報である。例えば、2個の伝搬路を介して受信した電波の場合、図4(b)の上段で示される2個の相関波形が得られる。その波形に関する情報が遅延プロファイルである。測定部14が測定する遅延プロファイルは、例えば、図4(b)の上段で示される波形そのものであってもよく、遅延間隔(2個の相関波形の時間方向の間隔)と、各相関波形の強度及び位相(すなわち、複素数の振幅)とであってもよく、あるいは、それらの一部の情報であってもよい。例えば、後述するノッチ特性の算出において、遅延間隔のみを用いる場合には、遅延プロファイルは、遅延時間のみであってもよい。測定部14は、例えば、図2(b)で示される受信部12のAD変換部44によってデジタル信号に変換された受信電波によって、遅延プロファイルを測定してもよい。また、測定部14は、例えば、図2(b)で示される受信部12のフーリエ変換部46によって高速フーリエ変換された周波数領域における信号を取得し、その信号に対して逆高速フーリエ変換を行うことによって、遅延プロファイルを得てもよい。測定部14は、通信装置1と通信を行う他の装置(例えば、APであってもよく、あるいは、そうでなくてもよい)が送信したパイロット信号の遅延プロファイルを測定する。そのパイロット信号は、例えば、通信装置1と通信を行う他の装置が定期的に送信している信号(例えば、ビーコン等)であってもよく、あるいは、通信装置1がその装置に送信要求を送信し、その送信要求の受信に応じて送信された信号であってもよい。パイロット信号は、通常、あらかじめ決められている信号である。測定部14は、受信したパイロット信号と、参照用のパイロット信号(例えば、このパイロット信号は、通信装置1で保持されていてもよい)とを用いて、遅延プロファイルを測定してもよい。そのパイロット信号は、例えば、Zadoff−Chu系列のものであってもよく、あるいは、他のものであってもよい。また、測定部14は、通常、2個のパスの遅延プロファイルを測定するものとする。3個以上のパスの遅延プロファイルに応じたノッチは、通常、複雑になるため、2個以上のサブスペクトラムがノッチの位置とならないように複数の周波数帯域を割り当てることが困難になると考えられるからである。そのため、測定部14は、2個のパスまでの遅延プロファイルを測定するものであってもよい。具体的には、測定部14は、強度の大きい方から2個までのピークを含む遅延プロファイルを測定してもよく、時間方向で2番目のピークまでを含む遅延プロファイルを測定してもよく、あるいは、2番目の強度のピークまでが残るように、適宜設定されたしきい値以下の信号をカットするようにしてもよい。また、2個のパスの遅延プロファイルを測定するのであれば、測定部14は、これら以外の方法によってその測定を行ってもよいことは言うまでもない。なお、測定部14が測定した遅延プロファイルは、図示しない記録媒体に蓄積されてもよい。
【0028】
ノッチ特性算出部15は、測定部14が測定した遅延プロファイルを用いて、周波数領域におけるノッチ特性を算出する。ノッチ特性は、ノッチ間隔を含んでいてもよく、ノッチ幅を含んでいてもよい。本実施の形態では、ノッチ特性がノッチ間隔とノッチ幅との両方を含む場合について説明する。ノッチ間隔は、周波数領域において繰り返される複数のノッチの単位長さである。ノッチ幅は、一のノッチの落ち込みの幅である。その幅は、例えば、−3dBにおける幅であってもよく、その他の幅であってもよい。ノッチ幅が−3dBにおける幅である場合には、強度が約半分の位置における幅となる。例えば、パイロット信号の相関波形が図4(b)の上段で示される場合に、その波形をフーリエ変換すると、図4(b)の下段で示される波形が得られる。その波形の周期がノッチ間隔であり、ノッチの落ち込みの幅がノッチ幅である。なお、ノッチ特性算出部15は、遅延プロファイルに遅延間隔が含まれる場合に、その遅延間隔の逆数を算出することによってノッチ間隔を算出することができる。例えば、図5,図6で示されるように、遅延間隔が短い場合には、ノッチ幅が大きくなり、ノッチ間隔も大きくなる。一方、遅延間隔が長い場合には、ノッチ幅は小さくなり、ノッチ間隔も小さくなる。また、ノッチ特性算出部15は、遅延プロファイルが遅延波形そのものである場合や、その波形の遅延間隔と振幅及び位相とを含む場合に、遅延波形を離散フーリエ変換し、得られた波形の周期や、ノッチの幅を測定することによって、ノッチ間隔やノッチ幅を取得してもよい。ノッチ間隔は、例えば、隣接する極大点の間隔の平均や、隣接する極小点の間隔の平均を計算することによって求めてもよい。また、ノッチ幅も、複数のノッチについて−3dB等の幅を算出し、それらの平均を算出することによって、ノッチ幅を算出してもよい。なお、ノッチ特性算出部15が算出したノッチ特性は、図示しない記録媒体に蓄積されてもよい。
【0029】
選択部16は、ノッチ特性算出部15が算出したノッチ特性を用いて、通信で用いられる少なくとも2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置とならないように、取得部13が取得した複数の周波数帯域から、通信で用いる複数の周波数帯域を選択する。本実施の形態による通信装置1は、通信データを、空き周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割して送信するものである(図4(a)参照)。そのサブスペクトラムが、ちょうどノッチの位置に該当すると、いわゆるマルチパスフェージングによる受信強度の落ち込みが発生する。そのため、ビットエラーが発生し、情報を適切に伝送することができなくなる。なお、複数のサブスペクトラムがノッチの位置に該当するとバースト誤りとなり、誤り訂正によって回復することができなくなりうる。したがって、本実施の形態では、サブスペクトラムの間隔を適切に設定することによって、少なくとも2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置とならないようにするものである。また、選択部16は、通信で用いる複数の周波数帯域を選択する際に、スペクトラムの分割数が少なくなるように選択してもよい。なお、選択部16が選択した複数の周波数帯域を用いて通信データの通信が行われるため、選択された周波数帯域が、サブスペクトラムの周波数帯域となる。したがって、選択部16によって行われる複数の周波数帯域の選択は、通信で用いられる複数のサブスペクトラムの周波数帯域の選択であると言うこともできる。また、以下の説明で、2個のサブスペクトラムの間隔(周波数領域における間隔である)をLとし、隣接する2個のサブスペクトラムの間隔(周波数領域における間隔である)をNLとし、ノッチ幅をWとし、ノッチ間隔をDとし、サブスペクトラムの幅(周波数領域における間隔である)をBとすることがある。なお、サブスペクトラムの間隔は、サブスペクトラムの中心周波数の間隔であるとする。
【0030】
選択部16は、ノッチ特性にノッチ幅が含まれる場合に、隣接する2個のサブスペクトラムが、そのノッチ幅より小さい間隔とならないように通信で用いる複数の周波数帯域を選択してもよい。すなわち、選択部16は、
NL>W (不等式1)
となるように、隣接する2個の周波数帯域を選択してもよい。なお、不等号「>」は、等号付のもの「≧」であってもよい。隣接する2個のサブスペクトラムの間隔を、ノッチ幅よりも大きくすることにより、その2個のサブスペクトラムが同時に同じノッチに含まれることを回避することができる。すなわち、NL<Wであれば、図5で示されるように、隣接する2個のサブスペクトラムが両方とも一のノッチの位置となることもあるが、不等式1のようにすることによって、2個のサブスペクトラムが同時に一のノッチの位置となることを回避することができる。3個以上のサブスペクトラムを用いて通信が行われる場合には、選択部16は、その3個以上のサブスペクトラムのすべての隣接する2個のサブスペクトラムが、ノッチ幅より小さい間隔とならないように複数の周波数帯域を選択することが好適である。なお、隣接する2個のサブスペクトラムの間隔NLを、例えば、各サブスペクトラムの幅を含まないサブスペクトラムの間隔(図4(a)のL1)とすることにより、一方のサブスペクトラムの少なくとも一部がノッチの位置にあった場合に、他方のサブスペクトラムが完全にノッチの位置から外れるようにすることができる。そのため、NL=L1とすることによって、よりビット誤りを低減することができることになる。一方、NL=L2とすると、たとえ不等式1を満たしていたとしても、一方のサブスペクトラムがノッチの位置であった場合に、他方のサブスペクトラムの一部もノッチの位置となる可能性がある。そのため、NL=L2とすると、条件は緩くなるが、ビット誤りは多くなる可能性がある。
【0031】
選択部16は、ノッチ特性にノッチ間隔が含まれる場合に、2個のサブスペクトラムの間隔がノッチ間隔のN倍(Nは1以上の整数である)とならないように通信で用いる複数の周波数帯域を選択してもよい。すなわち、選択部16は、
N×D+ε1<L<(N+1)×D−ε2 (不等式2)
となるように、2個の周波数帯域を選択してもよい。なお、不等号「<」のうちの一方または両方は、等号付のもの「≦」であってもよい。そのε1,ε2は、ε1+ε2<Dを満たす値である。また、ε1,ε2は、あらかじめ決められている値であってもよく、あるいは、ノッチ幅に応じて決められる値であってもよい。ノッチには周期が存在するため、2個のサブスペクトラムの間隔を、その周期の整数倍でないようにすることにより、その2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置となることを回避することができる。その場合に、ノッチには幅が存在するため、L≠N×Dだけでは十分ではないため、ε1,ε2の幅を持たせている。例えば、L=N×Dであれば、図6で示されるように、2個のサブスペクトラムが両方ともノッチの位置となることもあるが、不等式2のようにすることによって、2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置となることを回避することができうる。なお、3個以上のサブスペクトラムを用いて通信が行われる場合には、選択部16は、その3個以上のサブスペクトラムから選択されるすべての2個のサブスペクトラムが、上述の不等式2を満たすようにすることが好適である。
ここで、ε1,ε2について説明する。上記不等式2は、次のように書き換えることができる。
ε1<L−N×D<D−ε2 (不等式3)
【0032】
この不等式3は、ノッチ間隔の整数倍を無視したサブスペクトラムの間隔が、ε1よりも大きく、D−ε2よりも小さいことを意味している。ここで、2個のサブスペクトラムがノッチの位置とならないようにしたいという観点からは、ノッチ間隔の整数倍を無視したサブスペクトラムの間隔は、ノッチ幅Wよりも大きく、ノッチ間隔Dからノッチ幅Wを引いた間隔(D−W)よりも小さいことが好適である。そのようにすることで、一方のサブスペクトラムがノッチの位置となったとしても、少なくとも他方のサブスペクトラムはノッチでない位置となるからである。したがって、上記不等式3において、ε1=ε2=Wとすることが好適である。すなわち、選択部16は、2個のサブスペクトラムの間隔(但し、ノッチ間隔だけ離れた位置を同一視した場合におけるノッチ間隔以下の間隔である)が、ノッチ幅よりも小さくならないように、かつ、ノッチ間隔からノッチ幅を減算した間隔よりも大きくならないように、複数の周波数帯域を選択してもよい。具体的には、選択部16は、
N×D+W<L<(N+1)×D−W (不等式4)
となるように、2個の周波数帯域を選択することが好適である。なお、上記不等式2では、Nを1以上の整数としたが、この不等式4は、N=0とすることによって、上記不等式1を含むことになる。したがって、選択部16は、不等式4のみを満たすように、周波数帯域の選択を行ってもよい(但し、この場合にはNは0以上の整数となる)。
なお、上述の不等式4は、次の2つの不等式に分かれる。
N×D+W<L (不等式4−1)
L<(N+1)×D−W (不等式4−2)
【0033】
不等式4−1においては、Lを図4(a)のL1とすることによって、ビット誤りをより低減できることになる。また、不等式4−2においては、Lを図4(a)のL2とすることによって、ビット誤りをより低減できることになる。但し、不等式4−1においてLをL1とし、不等式4−2においてLをL2とする場合には、2W+2B<Dでなければならない。ここで、L1=L−Bとし、L2=L+Bとした。また、不等式4−1においてLをL1とするか、または、不等式4−2においてLをL2とする場合には、2W+B<Dでなければならない。また、不等式4−1においてLをL1とせず、不等式4−2においてLをL2としない場合であっても、前述のように、2W<Dを満たす必要がある。なお、説明の便宜上、サブスペクトラムの幅Bは、すべて等しいと考えている。その結果、選択部16は、次のように、(1)の条件を満たす場合には、不等式5を満たすように選択を行い、(2)の条件を満たす場合には、不等式6または不等式7を満たすように選択を行い、(3)の条件を満たす場合には、不等式8を満たすように選択を行ってもよい。(2)の条件を満たす場合に、不等式6,7のいずれを用いるのかは、あらかじめ決まっていてもよく、あるいは、選択時に満足しやすい方の不等式を用いるようにしてもよい。これらの条件や不等式は、図示しない記録媒体で記憶されており、選択部16は、適宜、それらを読み出して用いるようにしてもよい。
【0034】
(1)2W+2B<Dを満たす場合
N×D+W+B≦L≦(N+1)×D−W−B (不等式5)
(2)2W+B<D≦2W+2Bを満たす場合
N×D+W<L≦(N+1)×D−W−B (不等式6)
または
N×D+W+B≦L<(N+1)×D−W (不等式7)
(3)2W<D≦2W+Bを満たす場合
N×D+W<L<(N+1)×D−W (不等式8)
ここで、L1=L−B、L2=L+Bとしている。また、2W<Dを満たさない場合には、選択部16は、有効な選択はできないことになる。その場合、選択部16は、選択を行わなくてもよく、あるいは、従来通りの選択を行ってもよい。このように、条件(1)〜(3)に応じた不等式を用いて周波数帯域の選択を行うことによって、不等式4を用いて周波数帯域の割り当てを行った場合よりも、ビット誤りをより少なくすることができうる。
【0035】
なお、不等式4−1においては、LをL2とすることによって、ビット誤りは増加しうるが、よりゆるい条件で周波数帯域の選択を行うことができる。また、その場合であっても、2個のサブスペクトラムの少なくとも一部がノッチの位置とならないようにすることができる。また、不等式4−2において、LをL1とした場合も同様である。すなわち、2W<Dを満たさない場合であっても、2個のサブスペクトラムが完全にノッチの位置となるよりはビット誤りを低減できる周波数帯域の割り当てを行うことができる。但し、不等式4−1においてLをL2とするか、または、不等式4−2においてLをL1とする場合には、2W−B<Dでなければならない。また、不等式4−1においてLをL2とし、不等式4−2においてLをL1とする場合には、2W−2B<Dでなければならない。その結果、選択部16は、上記(1)〜(3)の条件に加えて、次のように、(4)の条件を満たす場合には、不等式9または不等式10を満たすように選択を行い、(5)の条件を満たす場合には、不等式11を満たすように選択を行ってもよい。(4)の条件を満たす場合に、不等式9,10のいずれを用いるのかは、あらかじめ決まっていてもよく、あるいは、選択時に満足しやすい方の不等式を用いるようにしてもよい。
【0036】
(4)2W−B<D≦2Wを満たす場合
N×D+W−B<L<(N+1)×D−W (不等式9)
または
N×D+W<L<(N+1)×D−W+B (不等式10)
(5)2W−2B<D≦2W−Bを満たす場合
N×D+W−B<L<(N+1)×D−W+B (不等式11)
また、2W−2B<Dを満たさない場合には、選択部16は、選択を行わなくてもよく、あるいは、従来通りの選択を行ってもよい。なお、前述のように、(4)や(5)の条件に応じた選択を行わなくてもよい。
【0037】
また、例えば、サブスペクトラムの幅Bがノッチ間隔Dよりも大きい場合、すなわち、B>Dの場合には、サブスペクトラムの周波数帯域をずらすことに意味がないことになる。その場合には、サブスペクトラムの周波数帯域をどこにしたとしても、サブスペクトラムが必ずノッチの位置を含むことになってしまうからである。その場合には、選択部16は、上述のような選択を行わず、単に従来通りの選択を行ってもよい。
【0038】
また、3個以上のサブスペクトラムを用いて通信が行われる場合に、選択部16が、その3個以上のサブスペクトラムから選択されるすべての2個の隣接するサブスペクトラム、あるいは、その3個以上のサブスペクトラムから選択されるすべての2個のサブスペクトラムについて、上述したような条件を満たすように選択を行うと説明したが、そのような場合には、条件が厳しすぎるため、選択を行うことができないこともあり得る。その場合には、選択部16は、条件をゆるめて、3個以上のサブスペクトラムのうち、一部のサブスペクトラムについてのみ、上述したような条件を満たすように選択を行ってもよい。例えば、選択部16は、3個以上のサブスペクトラムからランダムに選択された2個の隣接したサブスペクトラム、あるいは、3個以上のサブスペクトラムからランダムに選択された2個のサブスペクトラムについてのみ、上述したような条件を満たすように選択を行うようにしてもよい。その場合であっても、そのような選択を行わない場合よりも、よい品質の高い伝送を行うことができるようになると考えられる。
【0039】
また、選択部16は、上述したような条件が満たされるように複数の周波数帯域を選択してもよく、あるいは、複数の空き周波数帯域に対して複数の仮の選択を行い、その仮の選択の結果である複数の選択候補について、上述したような条件が満たされているかどうかを判断し、満たされているものを最終的に選択してもよい。このように、結果として、上述したような条件の満たされる選択が行われるのであれば、その過程は問わないものとする。また、選択部16は、複数の空き周波数帯域に対して複数の仮の選択を行い、その仮の選択の結果である複数の選択候補について、上述したような条件が満たされているかどうかに応じたポイント付けを行い、条件がより満たされていることが示されるポイントに応じた選択候補を最終的に選択してもよい。
【0040】
制御部17は、通信データを、選択部16が選択した複数の周波数帯域を用いて通信させる。その通信は、受信であってもよく、あるいは、送信であってもよい。その通信が受信である場合には、制御部17は、例えば、通信先の装置に対して、選択部16が選択した複数の周波数帯域を示す情報を送信部11に送信させてもよい。その結果、その通信先の装置から、その選択された複数の周波数帯域を用いた通信データが送信され、受信部12によってその通信データの受信が行われるようになる。なお、その送信部11による送信は、例えば、制御チャネルを用いて行われてもよい。また、その選択部16が選択した複数の周波数帯域を用いて行われる通信が送信である場合には、制御部17は、例えば、送信部11に、選択部16が選択した複数の周波数帯域を用いて送信させてもよい。その結果、その選択された複数の周波数帯域を用いた送信が行われるようになる。
【0041】
次に、通信装置1の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)受信部12は、遅延プロファイルを測定する用のパイロット信号を受信したかどうか判断する。そして、受信した場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、受信するまでステップS101の処理を繰り返す。なお、そのパイロット信号は、前述のように、一方的に送信されてくるものであってもよく、あるいは、通信装置1からの送信要求に応じて送信されてくるものであってもよい。
【0042】
(ステップS102)測定部14は、遅延プロファイルを測定する。その測定結果は、図示しない記録媒体に蓄積されてもよい。
【0043】
(ステップS103)ノッチ特性算出部15は、測定部14が測定した遅延プロファイルを用いて、ノッチ特性を算出する。その算出されたノッチ特性は、図示しない記録媒体に蓄積されてもよい。
【0044】
(ステップS104)取得部13は、複数の空き周波数帯域を取得する。
【0045】
(ステップS105)選択部16は、算出されたノッチ特性を用いて、2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置となることがないように、複数の空き周波数帯域から、通信で用いる複数の周波数帯域を選択する。その選択結果は、図示しない記録媒体に蓄積されてもよい。
【0046】
(ステップS106)制御部17は、選択部16が選択した複数の周波数帯域を用いて通信が行われるように制御する。前述のように、その通信は、他の装置からの通信データの受信であってもよく、他の装置への通信データの送信であってもよく、その両方であってもよい。そして、通信が終了するとステップS101に戻る。
なお、図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0047】
次に、本実施の形態による通信装置1の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例では、通信装置1がMSであり、APから遅延プロファイルの測定用のパイロット信号が送信されてくるものとする。また、この具体例では、周波数インデックスを用いて、周波数帯域の割り当てが行われるものとする。すなわち、通信データの送信で用いる複数の周波数インデックスを選択することが、周波数帯域を選択することになる。一の周波数インデックスに応じた周波数の幅、すなわち、サブスペクトラムの幅は「B」であるとする。
【0048】
まず、制御部17が、通信データの送信を行うため、その通信データのサブスペクトラムの割り当てを行うと判断する。そして、制御部17は、制御チャネルを介して、パイロット信号の送信を要求する通信データを送信するように送信部11を制御する。その結果、送信部11は、制御チャネルを介して、その通信データを送信する。その通信データは、APで受信され、その受信に応じてパイロット信号が送信される。
【0049】
受信部12は、そのパイロット信号を受信し(ステップS101)、測定部14は、遅延プロファイルを算出して記録する(ステップS102)。また、ノッチ特性算出部15は、その記録された受信波形を離散フーリエ変換することによって、周波数領域の信号に変換し、ノッチ間隔と、ノッチ幅とを取得する(ステップS103)。そのノッチ間隔は、「10B」であり、ノッチ幅は「B」であったとする。
【0050】
次に、制御部17は、取得部13に空き周波数帯域を取得する旨を指示する。すると、取得部13は、その時点でのセンシングを行う。すなわち、受信部12がその時点で受信した電波の高速フーリエ変換の結果を用いて、周波数インデックスごとに、周波数帯域が使用されているかどうか判断する。この場合には、センシングの結果、図7(a)で示されるように、周波数インデックス#3,#5,#6,#8に応じた周波数帯域の使用されていることが検出されたとする(ステップS104)。
【0051】
次に、選択部16は、ノッチ幅W=B,ノッチ間隔D=10Bであるため、(1)の条件「2W+2B<D」が満たされるため、上述の不等式5を用いて、周波数の割り当てを行うものとする。なお、不等式5は、次のようになる。
2B+10B×N≦L≦8B+10B×N 但し、N=0,1,2,…
なお、周波数インデックスのペアの距離Lは、N=0,1,2,…のうち、いずれかのNの値において上記の不等式を満たせばよい。
【0052】
まず、選択部16は、送信対象の通信データを、何個の周波数インデックスに割り当てるのかを判断する。ここでは、分割前のスペクトラムの幅に応じて、3個の周波数インデックスに割り当てることに決まったとする。すると、選択部16は、割り当て可能な周波数インデックスの組の候補を、例えば、次のように特定する。
【0053】
周波数インデックスの組の候補
#1,#2,#4
#1,#2,#7
#1,#4,#7


【0054】
次に、選択部16は、各周波数インデックスの組の候補に含まれるすべての2個の周波数インデックスのペアが、上記の不等式を満たすかどうか判断する。1個目の組「#1,#2,#4」の場合には、周波数インデックス#1,#2のペアが、2B≦Lを満足しないため、1個目の組は選択されないことになる。2個目の組も同様である。3個目の組は、すべての2個の周波数インデックスのペアが、
2B≦L≦8B
を満足するため、選択部16は、通信で用いる複数の周波数帯域として、周波数インデックス#1,#4,#7を選択し、その周波数インデックスを制御部17に渡す(ステップS105)。
【0055】
すると、制御部17は、周波数インデックス#1,#4,#7に応じた周波数帯域を通信データの送信で用いる周波数帯域に設定する。その結果、送信部11は、図7(b)で示されるように、通信データを、その周波数インデックス#1,#4,#7の周波数帯域に分割して送信する(ステップS106)。その結果、たとえいずれかの周波数インデックスに応じた周波数帯域がノッチの位置となったとしても、他の2個の周波数インデックスは、ノッチの位置から外れることになり、バースト誤りを回避することができうる。
【0056】
なお、この具体例では、通信装置1が送信を行うために周波数帯域の割り当てを行う場合について説明したが、前述のように、通信装置1が受信を行うために周波数帯域の割り当てを行ってもよい。その場合には、例えば、通信先の装置から、周波数帯域の割り当てを行う旨の通信データ(この通信データが、遅延プロファイル測定用のパイロット信号を兼ねていてもよい)を受信し、その通信データの受信に応じて、上述のように、周波数帯域の割り当てを行い、その結果を、例えば、制御チャネル等を介して、通信先の装置に送信してもよい。
また、この具体例では、通信装置1がMSである場合について説明したが、通信装置1は、APであってもよいことは言うまでもない。
【0057】
以上のように、本実施の形態による通信装置1によれば、通信データをサブスペクトラムに分割する際に、2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置となることがないように複数の周波数帯域を割り当てることができる。そのため、バースト誤りを軽減することができる。その結果、信頼性の低いフレーム送信を減らすことができ、システムのスループットを向上させることができる。なお、前述したように、本実施の形態による通信装置1では、遅延パス数が2個である遅延プロファイルを用いた処理を行う。したがって、本実施の形態による通信装置1は、例えば、屋内のような遅延量と遅延パス数の少ない伝送路について、バースト誤りを軽減することができる。
【0058】
なお、本実施の形態では、周波数帯域の選択時にノッチ幅とノッチ間隔との両方を用いるため、測定部14がマルチパスの波形そのものを測定する場合について主に説明した。一方、例えば、ノッチ間隔のみを用いて周波数帯域の選択を行う場合(例えば、前述のε1,ε2としてあらかじめ設定されている値を用いる場合等)には、前述のように、測定部14は、遅延間隔のみを測定してもよい。
【0059】
また、選択部16は、2個のサブスペクトラムの間隔がノッチ間隔のN倍とならないように複数の周波数帯域を選択するだけであってもよい。また、選択部16は、2個の隣接するサブスペクトラムがノッチ幅より小さい間隔とならないように複数の周波数帯域を選択するだけであってもよい。これらの選択を行った場合にも、従来の選択よりは、2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置となる確率を下げることができ、その結果、ビット誤りを低減させることができうることになる。
また、本実施の形態による通信は、例えば、ISM帯において行われてもよく、あるいは、それ以外の帯域において行われてもよい。
【0060】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、あるいは、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いるしきい値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していない場合であっても、図示しない記録媒体において、一時的に、あるいは長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、あるいは、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、あるいは、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0063】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いるしきい値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していない場合であっても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0064】
また、上記実施の形態において、通信装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、あるいは、別々のデバイスを有してもよい。
【0065】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。なお、上記実施の形態における通信装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、空き周波数帯域を用いて通信を行う通信装置として機能させるためのプログラムであって、通信に用いられていない周波数帯域である複数の空き周波数帯域を取得する取得部、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により、複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割されて送信された通信データを受信する受信部を介して、伝搬路の遅延プロファイルを測定する測定部、測定部が測定した遅延プロファイルを用いて、周波数領域におけるノッチ特性を算出するノッチ特性算出部、ノッチ特性算出部が算出したノッチ特性を用いて、通信で用いられる少なくとも2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置とならないように、取得部が取得した複数の周波数帯域から、通信で用いる複数の周波数帯域を選択する選択部、通信データを、選択部が選択した複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により、複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割して送信する送信部に通信させる制御部として機能させるためのプログラムである。
【0066】
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。すなわち、ハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には少なくとも含まれないものとする。
【0067】
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
【0068】
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0069】
図8は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による通信装置1を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
【0070】
図8において、コンピュータシステム900は、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ905、FD(Floppy(登録商標) Disk)ドライブ906を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
【0071】
図9は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図9において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905、FDドライブ906に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM(Random Access Memory)913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、前述の送信や受信の処理を行うためのハードウェア、例えば、DA変換器やAD変換器、変調器や復調器等を含んでいてもよく、あるいは、それらのハードウェアに接続されていてもよい。また、コンピュータ901は、LANへの接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
【0072】
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による通信装置1の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921、またはFD922に記憶されて、CD−ROMドライブ905、またはFDドライブ906に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921やFD922、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
【0073】
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による通信装置1の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
【0074】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上より、本発明による通信装置等によれば、通信時のビット誤りを低減させることができるという効果が得られ、空き周波数帯域を用いて通信を行う通信装置等として有用である。
【符号の説明】
【0076】
1 通信装置
2 アンテナ
11 送信部
12 受信部
13 取得部
14 測定部
15 ノッチ特性算出部
16 選択部
17 制御部
31 変調部
32、45 S/P変換部
33、46 フーリエ変換部
34 スペクトラムマッピング部
35、48 逆フーリエ変換部
36、49 P/S変換部
37 DA変換部
38、43 局部発信部
39、42 周波数変換部
40 電力増幅部
41 低雑音増幅部
44 AD変換部
47 スペクトラムデマッピング部
50 復調部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空き周波数帯域を用いて通信を行う通信装置であって、
通信データを、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により、複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割して送信する送信部と、
スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により、複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割されて送信された通信データを受信する受信部と、
通信に用いられていない周波数帯域である複数の空き周波数帯域を取得する取得部と、
伝搬路の遅延プロファイルを測定する測定部と、
前記測定部が測定した遅延プロファイルを用いて、周波数領域におけるノッチ特性を算出するノッチ特性算出部と、
前記ノッチ特性算出部が算出したノッチ特性を用いて、通信で用いられる少なくとも2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置とならないように、前記取得部が取得した複数の周波数帯域から、通信で用いる複数の周波数帯域を選択する選択部と、
通信データを、前記選択部が選択した複数の周波数帯域を用いて通信させる制御部と、を備えた通信装置。
【請求項2】
前記ノッチ特性算出部は、繰り返される複数のノッチの単位長さであるノッチ間隔を含むノッチ特性を算出し、
前記選択部は、2個のサブスペクトラムの間隔がノッチ間隔のN倍(Nは1以上の整数である)とならないように通信で用いる複数の周波数帯域を選択する、請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記ノッチ特性は、一のノッチの落ち込みの幅であるノッチ幅を含んでおり、
前記選択部は、隣接する2個のサブスペクトラムがノッチ幅より小さい間隔とならないように通信で用いる複数の周波数帯域を選択する、請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
空き周波数帯域を用いて通信を行う通信方法であって、
伝搬路の遅延プロファイルを測定する測定ステップと、
前記測定ステップで測定した遅延プロファイルを用いて、周波数領域におけるノッチ特性を算出するノッチ特性算出ステップと、
通信に用いられていない周波数帯域である複数の空き周波数帯域を取得する取得ステップと、
前記ノッチ特性算出ステップで算出したノッチ特性を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により複数の周波数帯域を用いて通信される少なくとも2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置とならないように、前記取得ステップで取得した複数の周波数帯域から、通信で用いる複数の周波数帯域を選択する選択ステップと、
通信データを、前記選択ステップで選択した複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により通信させる制御ステップと、を備えた通信方法。
【請求項5】
コンピュータを、
空き周波数帯域を用いて通信を行う通信装置として機能させるためのプログラムであって、
通信に用いられていない周波数帯域である複数の空き周波数帯域を取得する取得部、
スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により、複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割されて送信された通信データを受信する受信部を介して、伝搬路の遅延プロファイルを測定する測定部、
前記測定部が測定した遅延プロファイルを用いて、周波数領域におけるノッチ特性を算出するノッチ特性算出部、
前記ノッチ特性算出部が算出したノッチ特性を用いて、通信で用いられる少なくとも2個のサブスペクトラムが同時にノッチの位置とならないように、前記取得部が取得した複数の周波数帯域から、通信で用いる複数の周波数帯域を選択する選択部、
通信データを、前記選択部が選択した複数の周波数帯域を用いて、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により、複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割して送信する送信部に通信させる制御部として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−175268(P2012−175268A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33614(P2011−33614)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「同一周波数帯における複数無線システム間無線リソース制御技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】