説明

通信装置、通信方法及びプログラム

【課題】マルチホップ通信の遮断を極力防止できる通信装置、通信方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】スレイブ・インタフェース部24aはCPRI200を確立して無線制御装置1と通信する。マスタ・インタフェース部24bはCPRI300を確立して無線装置3と通信する。クロック信号出力部22はCPRIリンク300を介する通信に用いられるクロック信号を出力する。異常検出部25はクロック信号出力部22によるクロック信号の出力異常を検出する。抽出部26は異常検出部25で出力異常が検出された場合、無線制御装置1からCPRIリンク200を介して送信されるクロック信号を抽出する。通信制御部27は異常検出部25で出力異常が検出された場合、抽出部26によって抽出されたクロック信号を用いて無線装置3との間でCPRIリンク300を介して通信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマルチホップ通信を行う通信装置、通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話システム等の基地局における無線制御装置と無線装置との接続には、CPRI(Common Public Radio Interface)規格のインタフェースが採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
CPRI規格のインタフェースを介して無線制御装置(上位ノード)に接続される無線装置がさらにCPRI規格のインタフェースを介して他の装置(下位ノード)と接続されるシステムがある。このシステムでは、上位ノードは無線装置を介して下位ノードとマルチホップ通信を行う。このマルチホップ通信は無線装置によって出力されるクロック信号を用いて行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−166531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、故障等の異常により無線装置がクロック信号を出力できない場合、マルチホップ通信が遮断されることがある。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、マルチホップ通信の遮断を極力防止できる通信装置、通信方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る通信装置は、
第1の通信リンクを確立して上位ノードと通信する第1の通信部と、
第2の通信リンクを確立して下位ノードと通信する第2の通信部と、
前記第2の通信リンクを介する通信に用いられるクロック信号を出力するクロック信号出力部と、
前記クロック信号出力部によるクロック信号の出力異常を検出する異常検出部と、
前記異常検出部で出力異常が検出された場合、前記上位ノードから前記第1の通信リンクを介して送信されるクロック信号を抽出する抽出部と、
前記異常検出部で出力異常が検出された場合、前記抽出部によって抽出されたクロック信号を用いて前記第2の通信リンクを介して前記下位ノードと通信する通信制御部と、
を備える。
【0008】
また、本発明の第2の観点に係る通信方法は、
第1の通信リンクを確立して上位ノードと通信するとともに、第2の通信リンクを確立して自機内で出力されるクロック信号を用いて下位ノードと通信する通信装置の通信方法であって、
前記クロック信号の出力異常を検出する異常検出工程と、
前記異常検出工程で出力異常が検出された場合、前記上位ノードから前記第1の通信リンクを介して送信されるクロック信号を抽出する抽出工程と、
前記異常検出工程で出力異常が検出された場合、前記抽出工程において抽出されたクロック信号を用いて前記第2の通信リンクを介して前記下位ノードと通信する通信制御工程と、
を備える。
【0009】
また、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
第1の通信リンクを確立して上位ノードと通信するとともに、第2の通信リンクを確立して自機内で出力されるクロック信号を用いて下位ノードと通信する通信装置を制御するコンピュータに、
前記クロック信号の出力異常を検出する異常検出手順、
前記異常検出手順で出力異常が検出された場合、前記上位ノードから前記第1の通信リンクを介して送信されるクロック信号を抽出する抽出手順、
前記異常検出手順で出力異常が検出された場合、前記抽出手順において抽出されたクロック信号を用いて前記第2の通信リンクを介して前記下位ノードと通信する通信制御手順、
を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通信装置はクロック信号出力部の異常を検出すると、上位ノードから送信されたクロック信号を抽出して、抽出されたクロック信号を用いて下位ノードと通信する。こうすることで、通信装置はクロック信号出力部の状態に依存することなく下位ノードと通信可能であるため、マルチホップ通信の遮断を極力防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1に係る基地局装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の無線制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の無線装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4(A)は無線装置がクロック信号を出力する場合の装置間の通信を説明する図である。図4(B)は無線装置がクロック信号を出力しない場合の装置間の通信を説明する図である。
【図5】無線装置によるクロック信号の選択処理のフローチャートである。
【図6】無線装置による通信制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態1について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(実施形態1)
図1に示すように、基地局装置100は移動局装置4との間で通信する。移動局装置100は無線制御装置1と、無線装置2と、無線装置3とを備える。これら各装置はCPRI規格の通信機能を備える。無線装置2は無線制御装置1(上位ノード)と光ファイバ202で接続されて、CPRI規格のインタフェース200(以下、単に「CPRIリンク200」とする)を介して通信可能である。また、無線装置2は無線装置3(下位ノード)と光ファイバ302で接続されて、CPRI規格のインタフェース300(以下、単に「CPRIリンク300」とする)を介して通信可能である。
【0014】
第1の通信リンクとしてのCPRI200は、無線装置2と無線制御装置1との間の通信インタフェースである。CPRIリンク200は無線制御装置1から無線装置2にデータを送信するダウンリンクと、無線装置2から無線制御装置1にデータを送信するアップリンクとを構成する。
【0015】
また、第2の通信リンクとしてのCPRI300は、無線装置2と無線装置3との間の通信インタフェースである。CPRIリンク300は無線装置2から無線装置3にデータを送信するダウンリンクと、無線装置2から無線制御装置1にデータを送信するアップリンクとを構成する。
【0016】
CPRIリンク200及びCPRIリンク300を介して送受信されるデータは、具体的には、無線装置2及び無線装置3の制御用のControl & Managementプレーンデータ及び移動局装置4との間で送受信されるUserプレーンデータ(以下、これらを単に「メッセージ」とする)である。
【0017】
CPRIリンク200では、無線制御装置1は無線装置2に対するマスタである。一方、無線装置2は無線制御装置1に対するスレイブである。無線制御装置1はCPRIリンク200を介して無線装置2にメッセージを送信する。このメッセージを受信した無線装置2はCPRIリンク200を介して無線制御装置1に応答メッセージを送信する。
【0018】
CPRIリンク300では、無線装置2は無線装置3に対するマスタである。一方、無線装置3は無線装置2に対するスレイブである。無線装置2はCPRIリンク300を介して無線装置3にメッセージを送信する。メッセージを受信した無線装置3はCPRIリンク300を介して無線装置2に応答メッセージを送信する。
【0019】
無線制御装置1は無線装置2にメッセージを送信することによって、無線装置2を制御する。また、無線制御装置1は無線装置2を介して無線装置3にメッセージを送信することによって無線装置3を制御する。
【0020】
CPRIリンク200について、さらに詳細に説明する。CPRIリンク200は第1層である物理層と、第2層であるデータリンク層とから構成される。CPRIリンク200では、複数の状態各々において所定の処理が実行されることで、通信機能が順次確立される。CPRIリンク200の状態には、状態Aと、状態Bと、状態Cと、状態Dと、状態Eと、状態Fとがある。
【0021】
状態AはCPRIリンク200の確立のための設定を待つスタンバイの状態である。状態Bでは通信インタフェースの回線ビットレートが決定され、マスタ側とスレイブ側とが物理層を同調する。状態Cではマスタ側とスレイブ側との共通プロトコルが決定される。状態Dではメッセージのビットレートが決定され、データリンク層が確立される。状態Eでは、マスタ側とスレイブ側とのアプリケーションが調整される。状態Fでは、CPRIリンク200が確立され、メッセージの送受信が可能となる。なお、CPRIリンク200及びCPRIリンク300の状態はそれぞれ独立に管理される。
【0022】
CPRIリンク200とCPRIリンク300は構成が同じであるため、CPRIリンク300の詳細な説明は省略する。
【0023】
図2に示すように、無線制御装置1は信号処理部11と、クロック信号出力部12と、記憶部13と、制御部14と、インタフェース部15とを備える。
【0024】
信号処理部11は無線装置2及び無線装置3を介して受信される無線信号に対して復調、デフレーム化、復号化等を行う。また、信号処理部11は無線装置2及び無線装置3を介して送信される無線信号を生成するためにベースバンド信号に対して変調、フレーム化、符号化等を行う。
【0025】
クロック信号出力部12はCPRIリンク200を介する無線装置2との通信に用いられるクロック信号を出力する。クロック信号出力部12は出力されたクロック信号をインタフェース部15に出力する。
【0026】
記憶部13は、例えば、フラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性の半導体メモリを備える。記憶部13は無線制御装置1の動作に必要な各種プログラムやデータ等を記憶する。
【0027】
制御部14はCPU(Central Processing Unit、不図示)を備え、CPUが記憶部13に格納された各種プログラムを実行することにより、制御部14は無線制御装置1の各部を統括的に制御するとともに下記の各処理を実行する。
【0028】
また、制御部14はメッセージを生成する。制御部14は生成されたメッセージをインタフェース部15に出力する。
【0029】
インタフェース部15は、無線装置2との間で確立されるCPRIリンク200を介して信号処理部11及び制御部14から出力されたメッセージ、クロック信号出力部12から出力されたクロック信号を無線装置2に送信する。インタフェース部15は、無線装置2から送信されたメッセージを制御部14及び信号処理部11に出力する。
【0030】
次に無線装置2の構成を説明する。図3に示すように、無線装置2は通信部20と、記憶部21と、クロック信号出力部22と、制御部23と、インタフェース部24とを備える。
【0031】
通信部20はアンテナ201に接続される。通信部20はインタフェース部24から出力されたベースバンド信号を無線信号に変換して、アンテナ201を介して移動局装置4に送信する。また、通信部20はアンテナ201を介して移動局装置4によって送信された無線信号をベースバンド信号に変換してインタフェース部24に出力する。
【0032】
記憶部21は、例えばフラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性の半導体メモリを備える。記憶部21は無線装置2の動作に必要な各種プログラムやデータ等を記憶する。
【0033】
クロック信号出力部22はCPRIリンク300を介する無線装置3との通信に用いられるクロック信号を生成して、出力する。クロック信号出力部22は出力されたクロック信号を制御部23及びインタフェース部24に出力する。
【0034】
制御部23はCPU(Central Processing Unit、不図示)と、異常検出部25と、抽出部26と、通信制御部27とを備える。CPUが記憶部21に格納された各種プログラムを実行することにより、異常検出部25と、抽出部26と、通信制御部27の機能等を実現して、制御部23は無線装置2の各部を統括的に制御するとともに、下記の各処理を実行する。
【0035】
また、制御部23はメッセージを生成する。制御部23は生成されたメッセージをインタフェース部24に出力する。
【0036】
異常検出部25はクロック信号出力部22によるクロック信号の出力異常を検出する。
【0037】
抽出部26は異常検出部25によって出力異常が検出された場合、無線制御装置1からCPRIリンク200を介して送信されるクロック信号を抽出する。
【0038】
通信制御部27は異常検出部25で出力異常が検出された場合、抽出部26によって抽出されたクロック信号を用いて無線装置3との間でCPRIリンク300を介してメッセージを送受信する。
【0039】
インタフェース部24はスレイブ・インタフェース部24aとマスタ・インタフェース部24bとを備える。スレイブ・インタフェース部24aは第1の通信部として機能し、無線制御装置1から送信されるクロック信号、メッセージ等を受信する。また、スレイブ・インタフェース部24aは無線制御装置1から送信されたメッセージに対する応答メッセージを無線制御装置1に送信する。
【0040】
無線装置2はPLL(Phase Locked Loop)回路(不図示)を備える。無線装置2は無線制御装置1から送信されたクロック信号の位相とPLL回路より出力される動作クロック信号の位相との同期をとる(PLLロック)ことによって、CPRIリンク200を介する通信を確立する。これにより無線制御装置1と無線装置2との間のメッセージの送受信が可能となる。
【0041】
マスタ・インタフェース部24bは第2の通信部として機能し、無線制御装置1から送信されたクロック信号及びメッセージ、クロック信号出力部22から出力されるクロック信号、制御部23から出力されるメッセージを無線装置3に送信する。また、マスタ・インタフェース部24bは無線装置3に送信される応答メッセージを受信する。
【0042】
無線装置3では、無線装置2より送信されたクロック信号がPLLロックされることによって、CPRIリンク300を介する通信が確立される。これにより無線装置2と無線装置3との間のメッセージの送受信が可能となる。
【0043】
無線装置3の構成は無線装置2の構成と同じである。ただし、本実施形態では、無線装置3はマスタとして動作しないため、インタフェース部24にマスタ・インタフェース部24bを備えなくてもよい。
【0044】
ここで、無線制御装置1、無線装置2及び無線装置3におけるマルチホップ通信について説明する。
【0045】
図4(A)に示すように、無線装置2は無線制御装置1から送信されたクロック信号を用いて無線制御装置1との間でメッセージを送受信する。また、無線装置2はクロック信号出力部22から出力されたクロック信号を用いて無線装置3との間でメッセージを送受信する。
【0046】
ところが、例えば、クロック信号出力部22が、故障等の異常によりクロック信号を出力できない場合、図4(B)に示すように、無線装置2は抽出部26によって抽出されたクロック信号を用いて無線装置3との間でメッセージを送受信する。
【0047】
次に図5を参照して、実施形態1におけるクロック信号の選択処理のフローを説明する。
【0048】
前提として、CPRIリンク200及びCPRIリンク300の状態はいずれも状態Fであって、無線制御装置1、無線装置2及び3はメッセージの送受信が可能となっているものとする。
【0049】
異常検出部25によって出力異常が検出されていない場合(ステップS1;No)、通信制御部27はCPRIリンク300を介する通信に用いるクロック信号としてクロック信号出力部22から出力されたクロック信号を選択する(ステップS2)。通信制御部27はクロック信号出力部22から出力されたクロック信号を用いて無線装置3にメッセージを送信する(ステップS5)。
【0050】
一方、異常検出部25によって出力異常が検出された場合(ステップS1;Yes)、抽出部26は無線制御装置1から送信されるクロック信号の抽出を開始する(ステップS3)。そして、通信制御部27はCPRIリンク300を介する通信に用いるクロック信号として抽出されたクロック信号を選択する(ステップS4)。通信制御部27は抽出されたクロック信号を用いて無線装置3にメッセージを送信する(ステップS5)。
【0051】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。
【0052】
上述のように、異常検出部25で出力異常が検出されると、抽出部26によって抽出されたクロック信号を用いて無線装置3にメッセージが送信される。これにより、無線制御装置1、無線装置2及び無線装置3におけるマルチホップ通信は継続される。しかしながら、この状態で、無線制御装置1がリセットされると、無線制御装置1からのクロック信号の送信が停止されるため、抽出部26はクロック信号を抽出できなくなる。そうすると、抽出部26によってクロック信号が抽出されて、無線装置3によってPLLロックされるまで、CPRIリンク300の状態がB→C→D→E→F→B→C→D→E→F→B・・・とばたついて、メッセージの送受信が可能な状態Fが一定時間維持されなくなる。このため、無線装置2によって無線装置3に送信されたメッセージに対する応答メッセージが無線装置2に未達となり、無線装置2は無線装置3にメッセージを繰り返し送信する。
【0053】
この状態が継続されると、メッセージを繰り返し送信しても応答メッセージを受信できないため、無線装置2はメッセージの送信を強制停止する。メッセージの送信が強制停止されると、無線装置2と無線装置3との間でのメッセージの送受信は、無線装置2がリセットされるまで復旧できない。
【0054】
この強制停止を防ぐために、通信制御部27は、異常検出部25で異常が検出された場合、抽出部26によってクロック信号が抽出されなければ、CPRIリンク300を介する無線装置3との通信を一時停止する。そして、通信制御部27は、抽出部26によってクロック信号が抽出されれば、抽出部26によって抽出されたクロック信号を用いてCPRIリンク300を介して無線装置3と通信する。
【0055】
より具体的には、通信制御部27は、異常検出部25で異常が検出された場合、抽出部26によってクロック信号が抽出されなければ、CPRIリンク300の状態を状態E以下に制限する。そして、通信制御部27は、抽出部26によってクロック信号が抽出されてから一定時間経過後に状態E以下への制限を解除する。
【0056】
なぜなら、一定時間経過後には無線制御装置1から送信されるクロック信号が無線装置2によってPLLロックされることでCPRIリンク200が確立し、無線装置2が無線制御装置1から送信されるクロック信号を受信していると考えられるからである。
【0057】
なお、この場合、通信制御部27はCPRIリンク200の状態が状態Fになってから一定時間経過後に状態E以下への制限を解除するようにしてもよい。
【0058】
次に、図6を参照して通信制御処理のフローを説明する。
【0059】
異常検出部25によって異常が検出されていない場合(ステップS11;No)、通信制御部27はCPRIリンク300を介する通信に用いるクロック信号としてクロック信号出力部22によって出力されたクロック信号を選択する(ステップS12)。通信制御部27はクロック信号出力部22によって出力されたクロック信号を用いて無線装置3にメッセージを送信する(ステップS19)。
【0060】
異常検出部25によって異常が検出された場合(ステップS11;Yes)、抽出部26は無線制御装置1から送信されるクロック信号の抽出を開始する(ステップS13)。抽出部26によってクロック信号が抽出されれば(ステップS14;Yes)、通信制御部27は抽出されたクロック信号を選択する(ステップS18)。そして、通信制御部27は抽出されたクロック信号を用いて無線装置3にメッセージを送信する(ステップS19)。
【0061】
一方、抽出部26によってクロック信号が抽出されなければ(ステップS14;No)、通信制御部27はCPRIリンク300の状態を状態E以下に制限する(ステップS15)。
【0062】
通信制御部27は抽出部26によってクロック信号が抽出されてから一定時間経過するまで待つ(ステップS16;No)。抽出部26によってクロック信号が抽出されてから一定時間経過すると(ステップS16;Yes)、通信制御部27は状態E以下への制限を解除する(ステップS17)。
【0063】
次に、通信制御部27は抽出部26によって抽出されたクロック信号を選択する(ステップS18)。そして、通信制御部27は抽出されたクロック信号を用いて無線装置3にメッセージを送信する(ステップS19)。
【0064】
以上説明したように、上記各実施形態によれば、無線装置2はクロック信号出力部22の異常を検出すると、無線制御装置1から送信されたクロック信号を抽出して、抽出されたクロック信号を用いて無線装置3にメッセージを送信する。こうすることで、無線装置2はクロック信号出力部22の状態に依存せずに無線装置3にメッセージを送信できるため、マルチホップ通信の遮断を極力防止できる。
【0065】
また、上記実施形態2によれば、クロック信号が抽出されなければ、CPRIリンク300の状態が状態E以下に制限され、クロック信号が抽出されると、状態E以下への制限が解除される。こうすることで、無線装置Bの応答不能によるメッセージ送信の強制停止が回避され、クロック信号が抽出されると、メッセージの送信が再開される。このため、クロック信号出力部22の異常中に、無線制御装置1がリセットされても、マルチホップ通信の遮断を極力防止できる。
【0066】
また、上記各実施形態では、無線制御装置1、無線装置2及び無線装置3はCPRI規格にしたがって確立されるようにした。CPRI規格は標準化されたプロトコルインタフェースであるため、異なる事業者によって提供される装置間の相互接続が可能となる。
【0067】
なお、上記各実施形態では、無線制御装置1に接続される無線装置は2つであるが、3つ以上の無線装置が接続されてもよい。また、上記各実施形態では、無線制御装置1に無線装置が直列に接続(chain topology)されるが、無線制御装置1に接続される無線装置2以降が並列分配されて複数の無線装置が接続(tree topology)されてもよく、また、直列に接続される無線装置の終端が無線制御装置1に接続(ring topology)されてもよい。
【0068】
なお、本実施形態では、無線制御装置1がリセットされる場合を例示したが、例えば、無線装置2のクロック信号出力部22に異常がある状態で無線制御装置1、無線装置2及び無線装置3が起動しても、通信制御部28はクロック信号が抽出されてから一定時間経過するまでCPRIリンク300の状態を状態E以下に制限することによって、メッセージの送信が強制停止されることなく、無線装置2は抽出されたクロック信号を用いて無線装置3との間でメッセージの送受信が可能となる。
【0069】
なお、本実施形態において、通信制御部27が状態E以下への制限が解除される条件である所定の時間は、基地局装置100に応じて事業者が決定することができるようにしてもよい。
【0070】
なお、上記実施形態において、実行されるプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する基地局装置100を構成することとしてもよい。
【0071】
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、ダウンロード等するようにしてもよい。
【0072】
また、上述の機能をOS(Operating System)が分担して実現する場合又は上述の機能をOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、ダウンロード等してもよい。
【0073】
なお、本発明は上記実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態及び図面に変更を加えることができるのはもちろんである。
【0074】
(付記1)第1の通信リンクを確立して上位ノードと通信する第1の通信部と、
第2の通信リンクを確立して下位ノードと通信する第2の通信部と、
前記第2の通信リンクを介する通信に用いられるクロック信号を出力するクロック信号出力部と、
前記クロック信号出力部によるクロック信号の出力異常を検出する異常検出部と、
前記異常検出部で出力異常が検出された場合、前記上位ノードから前記第1の通信リンクを介して送信されるクロック信号を抽出する抽出部と、
前記異常検出部で出力異常が検出された場合、前記抽出部によって抽出されたクロック信号を用いて前記第2の通信リンクを介して前記下位ノードと通信する通信制御部と、
を備える通信装置。
【0075】
(付記2)前記通信制御部は、
前記異常検出部で異常が検出された場合、前記抽出部によってクロック信号が抽出されなければ、前記第2の通信リンクを介する前記下位ノードとの通信を一時停止し、
前記抽出部によってクロック信号が抽出されれば、前記抽出部によって抽出されたクロック信号を用いて前記第2の通信リンクを介して前記下位ノードと通信する、
ことを特徴とする付記1に記載の通信装置。
【0076】
(付記3)前記第1の通信リンク及び前記第2の通信リンクは、
それぞれCPRI規格にしたがって確立され、
前記通信制御部は、
前記異常検出部で異常が検出された場合、前記抽出部によってクロック信号が抽出されなければ、前記第2の通信リンクの状態をCPRI規格における状態E以下に制限し、前記抽出部によってクロック信号が抽出されてから一定時間経過後に状態E以下への制限を解除する、
ことを特徴とする付記2に記載の通信装置。
【0077】
(付記4)前記第1の通信リンク及び前記第2の通信リンクは、
それぞれCPRI規格にしたがって確立され、
前記通信制御部は、
前記異常検出部で異常が検出された場合、前記抽出部によってクロック信号が抽出されなければ、前記第2の通信リンクの状態をCPRI規格における状態E以下に制御し、前記第1の通信リンクがCPRI規格における状態Fになってから一定時間経過後に状態E以下への制限を解除する、
ことを特徴とする付記2に記載の通信装置。
【0078】
(付記5)第1の通信リンクを確立して上位ノードと通信するとともに、第2の通信リンクを確立して自機内で出力されるクロック信号を用いて下位ノードと通信する通信装置の通信方法であって、
前記クロック信号の出力異常を検出する異常検出工程と、
前記異常検出工程で出力異常が検出された場合、前記上位ノードから前記第1の通信リンクを介して送信されるクロック信号を抽出する抽出工程と、
前記異常検出工程で出力異常が検出された場合、前記抽出工程において抽出されたクロック信号を用いて前記第2の通信リンクを介して前記下位ノードと通信する通信制御工程と、
を備える通信方法。
【0079】
(付記6)第1の通信リンクを確立して上位ノードと通信するとともに、第2の通信リンクを確立して自機内で出力されるクロック信号を用いて下位ノードと通信する通信装置を制御するコンピュータに、
前記クロック信号の出力異常を検出する異常検出手順、
前記異常検出手順で出力異常が検出された場合、前記上位ノードから前記第1の通信リンクを介して送信されるクロック信号を抽出する抽出手順、
前記異常検出手順で出力異常が検出された場合、前記抽出手順において抽出されたクロック信号を用いて前記第2の通信リンクを介して前記下位ノードと通信する通信制御手順、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0080】
1 無線制御装置
2、3 無線装置
4 移動局装置
11 信号処理部
12、22 クロック信号出力部
13、21 記憶部
14、23 制御部
15、24 インタフェース部
20 通信部
24a スレイブ・インタフェース部
24b マスタ・インタフェース部
25 異常検出部
26 抽出部
27 通信制御部
100 基地局装置
200、300 CPRIリンク
201、301 アンテナ
202、302 光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信リンクを確立して上位ノードと通信する第1の通信部と、
第2の通信リンクを確立して下位ノードと通信する第2の通信部と、
前記第2の通信リンクを介する通信に用いられるクロック信号を出力するクロック信号出力部と、
前記クロック信号出力部によるクロック信号の出力異常を検出する異常検出部と、
前記異常検出部で出力異常が検出された場合、前記上位ノードから前記第1の通信リンクを介して送信されるクロック信号を抽出する抽出部と、
前記異常検出部で出力異常が検出された場合、前記抽出部によって抽出されたクロック信号を用いて前記第2の通信リンクを介して前記下位ノードと通信する通信制御部と、
を備える通信装置。
【請求項2】
前記通信制御部は、
前記異常検出部で異常が検出された場合、前記抽出部によってクロック信号が抽出されなければ、前記第2の通信リンクを介する前記下位ノードとの通信を一時停止し、
前記抽出部によってクロック信号が抽出されれば、前記抽出部によって抽出されたクロック信号を用いて前記第2の通信リンクを介して前記下位ノードと通信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1の通信リンク及び前記第2の通信リンクは、
それぞれCPRI規格にしたがって確立され、
前記通信制御部は、
前記異常検出部で異常が検出された場合、前記抽出部によってクロック信号が抽出されなければ、前記第2の通信リンクの状態をCPRI規格における状態E以下に制限し、前記抽出部によってクロック信号が抽出されてから一定時間経過後に状態E以下への制限を解除する、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1の通信リンク及び前記第2の通信リンクは、
それぞれCPRI規格にしたがって確立され、
前記通信制御部は、
前記異常検出部で異常が検出された場合、前記抽出部によってクロック信号が抽出されなければ、前記第2の通信リンクの状態をCPRI規格における状態E以下に制御し、前記第1の通信リンクがCPRI規格における状態Fになってから一定時間経過後に状態E以下への制限を解除する、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
第1の通信リンクを確立して上位ノードと通信するとともに、第2の通信リンクを確立して自機内で出力されるクロック信号を用いて下位ノードと通信する通信装置の通信方法であって、
前記クロック信号の出力異常を検出する異常検出工程と、
前記異常検出工程で出力異常が検出された場合、前記上位ノードから前記第1の通信リンクを介して送信されるクロック信号を抽出する抽出工程と、
前記異常検出工程で出力異常が検出された場合、前記抽出工程において抽出されたクロック信号を用いて前記第2の通信リンクを介して前記下位ノードと通信する通信制御工程と、
を備える通信方法。
【請求項6】
第1の通信リンクを確立して上位ノードと通信するとともに、第2の通信リンクを確立して自機内で出力されるクロック信号を用いて下位ノードと通信する通信装置を制御するコンピュータに、
前記クロック信号の出力異常を検出する異常検出手順、
前記異常検出手順で出力異常が検出された場合、前記上位ノードから前記第1の通信リンクを介して送信されるクロック信号を抽出する抽出手順、
前記異常検出手順で出力異常が検出された場合、前記抽出手順において抽出されたクロック信号を用いて前記第2の通信リンクを介して前記下位ノードと通信する通信制御手順、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−134649(P2012−134649A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283458(P2010−283458)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】