説明

通信装置、通信方法及びプログラム

【課題】正確な装置間損失量を求める。
【解決手段】通信装置1は、損失量計数部100と、光モジュール200と、変換部300と、信号処理部400と、コネクタ500と、から構成される。光モジュール200は、相手装置からコネクタ500を介して光信号を受信し、受信した光信号のレベル(強度)をモニタリングし、損失量計数部100に出力する。また、光モジュール200内の温度を求め、求めた温度を基に補正値を求めて損失量計数部100に出力する。損失量計数部100は、受信した光信号のレベルと補正値を基に装置間損失量を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバケーブルで相互に接続された通信装置では、装置規格として装置間の光損失量(光ロスバジェットdB)があり、その規格を超過した光ファイバケーブルは、使用不可、又は運用保証不可、という扱いになっている。
【0003】
通常、通信装置に搭載される光モジュールの送信レベル(dBm)には、装置毎にばらつきがあり、数dBもの差が出る場合もある。装置間損失量の規格では、送信レベルの最小値を基準に設定することが一般的であるため、通信装置によっては、余裕で使用できる場合でも規格超過となる場合がある。このため、大きな送信レベルを持つ高額な通信装置を使用せざるを得なくなる場合や、損失量の少ない光ファイバケーブルに置き換える必要がある場合等があり、コストや品質の面で問題がある。
【0004】
特許文献1は、高レート動作光ファイバリンクにおいて、安価な低レート動作の条件で安価な光学部品(送信機受信機等)を選択し、低コスト化を図る方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−188978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1が開示する方法では、光学部品の選択条件として送受信間のパワーバジェット8dB(ロスバジェット)があり、特定の光学部品を使用するに当たるパラメータ(コネクタ損失量、RIN、等化割当分、等)のロス量を積み上げた結果が、決められたパワーバジェットに対して問題ないか判断している。すなわち、特許文献1が開示する方法では、実際にロス量を測定するものではないため、正確な装置間損失量を求めることができない。
【0007】
また、従来の技術においても、装置間損失量を測定する場合、装置間の光ファイバケーブルや、通信装置内部の光ファイバケーブル等を考慮して装置間損失量を測定する必要があるため、正確な装置間損失量を測定することができない。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、正確な装置間損失量を求めることができる通信装置、通信方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る通信装置は、
ネットワークを介して外部装置に接続され、前記外部装置と光信号を送受信する光モジュールを有する通信装置であって、
前記光モジュールの温度情報を基に補正値を求め、求めた前記補正値を出力する補正手段と、
前記外部装置から受信した光信号の光信号レベルをモニタし、モニタした前記光信号レベルを出力するモニタ手段と、
前記補正手段が出力した前記補正値と前記モニタ手段が出力した前記光信号レベルを受信し、受信した前記補正値と前記光信号レベルを基に、自装置と前記外部装置間の装置間損失量を求める損失量計数手段と、を備える、
ことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る通信方法は、
ネットワークを介して外部装置に接続され、前記外部装置と光信号を送受信する光モジュールを有する通信装置で通信する方法であって、
前記光モジュールの温度情報を基に補正値を求め、求めた前記補正値を出力する補正ステップと、
前記外部装置から受信した光信号の光信号レベルをモニタし、モニタした前記光信号レベルを出力するモニタステップと、
前記補正ステップで出力した前記補正値と前記モニタステップで出力した前記光信号レベルを受信し、受信した前記補正値と前記光信号レベルを基に、自装置と前記外部装置間の装置間損失量を求める損失量計数ステップと、を備える、
ことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
ネットワークを介して外部装置に接続され、前記外部装置と光信号を送受信する光モジュールを有するコンピュータに、
前記光モジュールの温度情報を基に補正値を求め、求めた前記補正値を出力する補正ステップと、
前記外部装置から受信した光信号の光信号レベルをモニタし、モニタした前記光信号レベルを出力するモニタステップと、
前記補正ステップで出力した前記補正値と前記モニタステップで出力した前記光信号レベルを受信し、受信した前記補正値と前記光信号レベルを基に、自装置と前記外部装置間の装置間損失量を求める損失量計数ステップと、を実行させる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、正確な装置間損失量を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る通信装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る通信装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る通信装置の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る装置間損失量を説明するための図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る装置間損失量測定処理の一例を示すフロー図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る通信装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る通信装置について、図面を参照して説明する。
【0015】
[第1実施形態]
本実施形態に係る通信装置1A、1Bは、図1に示すように、それぞれ損失量計数部100と、光モジュール200と、変換部300と、信号処理部400と、コネクタ500と、から構成される。
【0016】
通信装置1Aと通信装置1Bは、ネットワーク600を介して相互に接続されており、それぞれの構成は同等である。そのため、以下の説明で通信装置1A、1Bについて説明する場合、「通信装置1」と称する。なお、本実施形態では、通信装置1Aと通信装置1Bは、1芯双方向型の光ファイバケーブルで接続されているものとする。
【0017】
損失量計数部100は、受信した光信号のレベル(強度)を基に装置間損失量(装置間ロスバジェット)を求める。また、損失量計数部100は、求めた装置間損失量を相手装置(ネットワーク600を介して接続されている通信装置1)に通知することもできる。さらに、損失量計数部100は、外部装置700に求めた装置間損失量を通知することもできる。
【0018】
光モジュール200は、相手装置からコネクタ500を介して光信号を受信し、受信した光信号のレベルをモニタリングし、損失量計数部100に出力する。また、光モジュール200は、光信号を受信した場合、受信した光信号を電気信号に変換して変換部300に出力し、光信号を送信する場合、変換部300が出力した電気信号を光信号に変換してコネクタ500を介して相手装置に送信する。
【0019】
変換部300は、光モジュール200から受信した電気信号をシリアル/パラレル変換し、信号処理部400に出力する。また、変換部300は、信号処理部400から受信した信号をパラレル/シリアル変換し、光モジュール200に出力する。
【0020】
信号処理部400は、受信した信号を多重分離する等信号に対する処理を行う。
【0021】
コネクタ500は、物理的に光ファイバケーブル等に接続される入出力インタフェースであり、光ファイバケーブルを介して相手装置と光信号を送受信する。
【0022】
例えば、通信装置1Aから通信装置1Bに信号を送信する場合、通信装置1Aの信号処理部400から、変換部300、光モジュール200、コネクタ500を介し信号が送信され、通信装置1Bのコネクタ500、光モジュール200、変換部300を介して信号処理部400で信号が受信される。このとき、通信装置1Bでは、損失量計数部100によって装置間損失量が求められる。
【0023】
外部装置700は、通信装置1Aに接続される情報処理装置であり、管理者等が操作する装置である。なお、外部装置700は、通信装置1Bに接続されていても良い。
【0024】
以上が、通信装置1の構成である。
【0025】
続いて、通信装置1のハードウェア構成の一例について説明する。
【0026】
通信装置1は、図2に示すように、制御部11と、主記憶部12と、外部記憶部13と、操作部14と、表示部15と、送受信部16と、から構成される。主記憶部12と、外部記憶部13と、操作部14と、表示部15と、送受信部16とは、いずれも内部バス10を介して制御部11と接続している。
【0027】
送受信部16は、シリアルインタフェースまたはLAN(Local Area Network)インタフェース等から構成されている。送受信部16は、シリアルインタフェースやネットワークを介して送信された情報等を受信する。また、送受信部16は、受信した情報等を、制御部11に供給する。
【0028】
外部記憶部13は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random−Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、後述する各処理を制御部11に行わせるためのプログラム19を予め記憶し、また、制御部11の指示に従って、外部記憶部13が記憶するデータを制御部11に供給し、制御部11から供給されたデータを記憶する。
【0029】
主記憶部12は、RAM(Random−Access Memory)等から構成され、外部記憶部13に記憶されているプログラム19を読み込み、さらに制御部11の作業領域としても使用される。
【0030】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部13に記憶されているプログラム19に従って、後述する各処理を実行する。
【0031】
操作部14は、キーボードやマウス、操作キーやタッチパネルなどの入力デバイス等と、入力デバイス等を内部バス10に接続するインタフェース装置から構成されている。操作部14は、例えばユーザの指示を処理する機能を備え、ユーザの操作によって入力されたデータを制御部11に供給する。
【0032】
表示部15は、LCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro Luminescence)等から構成されている。表示部15は、各データや情報等を表示する。
【0033】
上述の説明は一般的な情報処理装置に関するものであり、本実施形態に係る通信装置1は、必ずしも上述の構成要素を全て備えている必要はない。例えば、操作部14や表示部15は必ずしも備えている必要は無く、後述する各処理を実現できれば任意である。なお、外部装置700も上述と同様の構成である。
【0034】
また、光モジュール200は、SFP(Small form Factor Pluggable)等の入出力インタフェースとして独自に制御部11や主記憶部12等を備えていても良く、後述する各処理を実現できれば任意である。
【0035】
以上が、通信装置1のハードウェア構成の一例である。
【0036】
続いて、通信装置1の詳細な構成の一例について説明する。
【0037】
損失量計数部100は、図3に示すように、コントローラ110と、結果送信部120と、結果取得部130と、から構成される。
【0038】
コントローラ110は、光モジュール200から受信した光信号レベルと温度情報を基に装置間損失量を求め、求めた装置間損失量を結果送信部120又は外部装置700に出力する。また、コントローラ110は、結果取得部130が取得した相手装置の装置間損失量を受信し、自装置で求めた装置間損失量と受信した相手装置で求められた装置間損失量を比較する。
【0039】
結果送信部120は、コントローラ110が求めた装置間損失量を信号処理部400に出力する。
【0040】
結果取得部130は、信号処理部400から受信した相手装置の装置間損失量をコントローラ110に出力する。
【0041】
通信装置1は、結果送信部120と結果取得部130とを共に備えていても良く、どちらか一方のみ備えていても良い。どちらか一方のみを備える場合、結果送信部120を備える通信装置1は、求めた装置間損失量を相手装置に送信し、結果取得部130を備える通信装置1は、相手装置から装置間損失量を受信し、自装置で求めた装置間損失量と相手装置で求められた装置間損失量を比較し、値が小さい方の装置間損失量を外部装置700に出力する。すなわち、外部装置700は、装置間損失量を受信するために、結果取得部130を備える通信装置1に接続されている必要がある。
【0042】
なお、コントローラ110、結果送信部120及び結果取得部130は、プログラム19により提供され、制御部11及び主記憶部12が協働して動作することで実現される機能部である。
【0043】
光モジュール200は、WDM(Wavelength Division Multiplexing)フィルタ210と、光受信部220と、光送信部221と、O/E変換部230と、E/O変換部231と、モニタ部240と、温度センサ250と、から構成される。
【0044】
WDMフィルタ210は、コネクタ500又は光送信部221からから光信号を受信し、光信号をフィルタして光受信部220又はコネクタ500に光信号を出力する。
【0045】
光受信部220は、WDMフィルタ210から光信号を受信し、O/E変換部230とモニタ部240に光信号を出力する。光送信部221は、E/O変換部231から光信号を受信し、WDMフィルタ210に光信号を出力する。
【0046】
O/E変換部230は、光受信部220から受信した光信号を電気信号に変換して変換部300に出力する。E/O変換部231は、変換部300から受信した電気信号を光信号に変換して光送信部221に出力する。
【0047】
モニタ部240は、光受信部220から光信号を受信し、受信した光信号レベルを損失量計数部100に出力する。
【0048】
温度センサ250は、光モジュール200の温度情報を求め、求めた温度情報を損失量計数部100に出力する。なお、ここでの温度情報とは、光モジュール200内の温度に従った補正値である。低温環境下における光ファイバケーブルでは、常温の環境下と比較して数dBの損失が生じる傾向ある。よって、光モジュール200内の温度に従った補正値を装置間損失量に含めることで、温度環境に従った装置間損失量を求めることができる。
【0049】
例えば、温度センサ250は、光モジュール200が高温又は常温(−10度以上)である場合、低温環境を想定し、補正値を1.5dBm等とし、光モジュール200が低温(−20度〜−10度)である場合、より厳しい低温環境を想定し、補正値を0.5dBm等とし、光モジュール200がさらに低温(−20度以下)である場合、既に厳しい環境下にあるため、補正をしない。
【0050】
なお、WDMフィルタ210、光受信部220、光送信部221、O/E変換部230、E/O変換部231、モニタ部240及び温度センサ250は、プログラム19により提供され、制御部11及び主記憶部12が協働して動作することで実現される機能部である。
【0051】
変換部300は、シリアル/パラレル変換部310と、パラレル/シリアル変換部311と、から構成される。
【0052】
シリアル/パラレル変換部310は、光モジュール200から電気信号を受信し、受信した電気信号をシリアル/パラレル変換して信号処理部400に出力する。
【0053】
パラレル/シリアル変換部311は、信号処理部400から電気信号を受信し、受信した電気信号をパラレル/シリアル変換して光モジュール200に出力する。
【0054】
なお、シリアル/パラレル変換部310、パラレル/シリアル変換部311は、プログラム19により提供され、制御部11及び主記憶部12が協働して動作することで実現される機能部である。
【0055】
以上が、通信装置1の詳細な構成の一例である。
【0056】
続いて、装置間損失量について説明する。
【0057】
図4に示すように、通信装置1Aから通信装置1Bにデータを送信する場合、通信装置1Aの光送信部221の送信レベルは、一般的に仕様が決まっている。例えば、ポイントAでの光信号送信レベルの仕様が−6dBm〜0dBmであった場合、通信装置1A、1B間では、最大6dBのばらつきが発生する。この場合、装置間損失量は、仕様の最低値を条件に見積もることが一般的であるため、装置間損失量のマージン(余裕)は最大6dBあることになる。
【0058】
実際に、装置間光ファイバケーブル610等の装置間損失量を測定する場合、通信装置1Bのコネクタ500側(ポイントB)にて光信号レベルを測定するが、通信装置1A、1Bの内部光ファイバケーブル510における損失や、内部光ファイバケーブル510による接続ロス等にばらつきがある。よって、ポイントBで測定する装置間損失量と通信装置1Bの光受信部220側(ポイントC)から見た装置間損失量に差異が発生する。
【0059】
すなわち、通信装置1A、1B間のコネクタ500端で光信号レベルを測定して装置間損失量を求めても、実質的な装置間損失量とはならず、不正確な値となる。このため、一般的には、実質的な装置間損失量を見積もるために、机上設計や装置間光ファイバケーブル610の仕様等からある程度のマージンを求めておく。
【0060】
これに対して本実施形態では、ポイントC側、すなわち光受信部220側でモニタ部240が光信号レベルをモニタリングするため、実質的な装置間損失量を正確に求めることができる。
【0061】
以上が、装置間損失量についての説明である。
【0062】
続いて、通信装置1の動作の一例について説明する。ここでは、通信装置1A、1Bが接続する場合の動作について説明する。通信装置1Aは、損失量計数部100に結果取得部130を備え、通信装置1Bは、損失量計数部100に結果送信部120を備えているものとする。
【0063】
なお、各装置で処理を開始させる前に、装置間光ファイバケーブルの光損失量を測定し、装置間損失量の規格内であるかを確認しておく。
【0064】
図5に示すように、通信装置1Aは、起動すると(ステップS100)装置間損失量測定処理Aを開始し、通信装置1Bは、起動すると(ステップS110)装置間損失量測定処理Bを開始する。
【0065】
通信装置1A、1Bは、処理を開始すると、互いにリンクを確立する(ステップS101、S111)。リンクの確立に失敗すると(ステップS101、S111;NO)、通信装置1A、1Bは再試行するが、所定の回数失敗した場合、処理を終了しても良い。
【0066】
リンクの確立に成功すると(ステップS101、S111;YES)、通信装置1Aのモニタ部240は、光信号レベルのモニタリングを開始し(ステップS102)、通信装置1Bのモニタ部240も、光信号レベルのモニタリングを開始する(ステップS112)。
【0067】
モニタ部240は、所定の時間毎にモニタされたか否かを判別し(ステップS103、S113)、モニタされてない場合(ステップS103、S113;NO)、再度モニタリングする。
【0068】
リンクが確立されると、通信装置1A、1B間のネゴシエーションに伴い、光信号が送受信される。このため、モニタ部240では相手装置が送信した光信号レベルをモニタすることができる。
【0069】
モニタ部240が光信号レベルをモニタすると(ステップS103、S113;YES)、モニタされた光信号レベル(X1、X2)をコントローラ110に出力する。このとき、温度センサ250は、光モジュール200の温度情報(P1、P2)を取得し(ステップS104、S114)、コントローラ110に出力する。なお、ここでの温度情報は、上述の通り光モジュール200の温度に従った補正値である。
【0070】
コントローラ110は、受信した光信号レベル、温度情報を基に装置間損失量(Y1、Y2)を求める(ステップS105、S115)。装置間損失量は、以下の式で求めることができる。なお、「受信感度仕様値」とは、光モジュール200単体仕様の受信感度値である。
Y=(X[dBm]−受信感度仕様値[dBm])−P[dB]
【0071】
通信装置1Bのコントローラ110が装置間損失量Y2を求めると、結果送信部120は、求めた値を通信装置1Aに通知する(ステップS116)。そして、通信装置1Bは通常処理を実行する(ステップS117)。
【0072】
通信装置1Aのコントローラ110は、相手装置から装置間損失量Y2が通知されるのを待機する(ステップS106)。通信装置1Bから装置間損失量Y2が通知されると(ステップS106;YES)、結果取得部130は、装置間損失量Y2を取得し、コントローラ110に出力する。
【0073】
通信装置1Aのコントローラ110は、自装置で求めた装置間損失量Y1と相手装置で求めた装置間損失量Y2を取得すると、どちらかの装置間損失量を選択する(ステップS107)。本実施形態では、値が小さい方の装置間損失量を選択する。すなわち、Y1>Y2の場合、コントローラ110はY2を選択し、Y1<Y2の場合、コントローラ110はY1を選択する。
【0074】
通信装置1Aのコントローラ110は、選択した装置間損失量を外部装置700に出力し(ステップS108)、通信装置1Aは、通常処理を実行する(ステップS109)。
【0075】
ここで、選択された装置間損失量が1dBm以下であった場合、通信装置1Aと通信装置1Bは、ほぼ直結していると考えて良く、装置間損失量の規格に対してより正確なマージンを見積もることが可能となる。よって、装置間損失量の規格を超えた場合や、光ファイバケーブルを交換する場合等、様々な条件に適用可能となる。
【0076】
また、選択された装置間損失量が1dBm以上、装置間規格内であった場合、どの程度装置間損失量のマージンがあるかを見積もることができ、装置間損失量の規格を超過した条件であっても適用可能である。
【0077】
また、選択された装置間損失量が装置間損失量の規格を超えていた場合でも、装置間損失量のマージンを見積もることで、適用可能となる可能性がある。
【0078】
すなわち、装置間光ファイバケーブルが2km未満等の短い場合、求めた装置間損失量は、純粋な装置間損失量と考えられる。装置間光ファイバケーブルが2km以上等の長い場合、あとどの程度マージンがあるか、すなわち、どの程度装置間損失量を増やしても問題無いか、等が通信装置1設置の判断基準となる。
【0079】
以上が、通信装置1の動作の一例である。
【0080】
以上説明したように、本実施形態に係る通信装置1は、光モジュール200内でモニタした光信号レベルを基に装置間損失量を求めるため、正確な装置間損失量を測定することができる。
【0081】
本実施形態では、正確な装置間損失量を求めることができるため、正確なマージンを求めることもでき、装置毎に最適なシステムを構築することが可能となる。
【0082】
[第2実施形態]
本実施形態に係る通信装置2A、2Bは、図6に示すように、第1実施形態に係る通信装置1と同様である。第1実施形態と異なる点は、通信装置2Aと通信装置2Bが2芯双方向型の光ファイバケーブルで接続されている点である。
【0083】
通信装置2A、2Bの詳細な構成は、第1実施形態に係る通信装置1と同様であるが、本実施形態に係るコントローラ110は、求めた装置間損失量を選択せず、2つの装置間損失量を外部装置700に出力する。
【0084】
第1実施形態では、1芯双方向型の光ファイバケーブルで接続されていたため、光ファイバケーブルを1本としてどちらかの装置間損失量を選択したが、本実施形態では、2芯双方向型の光ファイバケーブルで接続されているため、光ファイバケーブルを2本として両方の装置間損失量を出力する。
【0085】
その他の構成や動作は、上述の第1実施形態に係る通信装置1と同様である。
【0086】
以上説明したように、本実施形態に係る通信装置2は、第1実施形態に係る通信装置1の効果に加え、2芯双方向型の光ファイバケーブルを適用するシステムの場合でも、正確な装置間損失量を求めることができる。
【0087】
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形例及び応用が可能である。上記実施形態では、同一の構成である通信装置1、2を相互に接続する場合について説明したが、どちらか一方の通信装置1、2を上述の実施形態に係る構成としても良い。この構成の場合であっても、片方向のみであるが、装置間損失量を求めることができる。
【0088】
また、上記実施形態で説明した光モジュール200の構成は上述のものに限られず、光モジュール200内の光信号受信部分で光信号レベルをモニタでき、光モジュール200内の温度を測定できれば任意である。
【0089】
また、上記実施形態では、コントローラ110が求めた装置間損失量を外部装置700が受信することで管理者等が値を確認する構成について説明したが、これに限られず、通信装置1、2が備える表示部15に装置間損失量を表示する構成にしても良い。
【0090】
また、上記実施形態では、温度センサ250が補正値を求めてコントローラ110に出力する構成について説明したが、これに限られず、温度センサ250がコントローラ110に温度の値(例えば、30度)を出力し、コントローラ110が受信した温度の値を基に補正値を求めても良い。
【0091】
なお、本発明は、本発明の広義の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【0092】
上記実施形態の一部又は全ては、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0093】
(付記1)
ネットワークを介して外部装置に接続され、前記外部装置と光信号を送受信する光モジュールを有する通信装置であって、
前記光モジュールの温度情報を基に補正値を求め、求めた前記補正値を出力する補正手段と、
前記外部装置から受信した光信号の光信号レベルをモニタし、モニタした前記光信号レベルを出力するモニタ手段と、
前記補正手段が出力した前記補正値と前記モニタ手段が出力した前記光信号レベルを受信し、受信した前記補正値と前記光信号レベルを基に、自装置と前記外部装置間の装置間損失量を求める損失量計数手段と、を備える、
ことを特徴とする通信装置。
【0094】
(付記2)
コネクタ及び光ファイバケーブルを介して他の通信装置と接続されており、
前記光モジュールは、前記コネクタ及び光ファイバケーブルを介して前記他の通信装置から前記光信号を受信し、受信した前記光信号を前記モニタ手段に出力する光受信手段を備える、
ことを特徴とする付記1に記載の通信装置。
【0095】
(付記3)
前記損失量計数手段は、求めた前記装置間損失量を前記他の通信装置に通知する結果送信手段を備える、
ことを特徴とする付記2に記載の通信装置。
【0096】
(付記4)
前記損失量計数手段は、前記他の通信装置が通知した前記装置間損失量を受信する結果取得手段を備える、
ことを特徴とする付記2に記載の通信装置。
【0097】
(付記5)
前記損失量計数手段は、自装置で求めた前記装置間損失量と前記結果取得手段が出力した前記他の通信装置の前記装置間損失量を比較し、一つの前記装置間損失量を選択して出力する、
ことを特徴とする付記4に記載の通信装置。
【0098】
(付記6)
前記損失量計数手段は、自装置で求めた前記装置間損失量と前記結果取得手段が出力した前記他の通信装置の前記装置間損失量を出力する、
ことを特徴とする付記4に記載の通信装置。
【0099】
(付記7)
前記損失量計数手段は、前記光信号レベルから前記ネットワーク毎に定義される受信感度仕様値を引いた値に、さらに前記補正値を引いた値を、前記装置間損失量とする、
ことを特徴とする付記1乃至6のいずれか1つに記載の通信装置。
【0100】
(付記8)
前記補正手段は、前記光モジュールが低温になるに従って前記補正値を小さくし、前記光モジュールが高温になるに従って前記補正値を大きくする、
ことを特徴とする付記1乃至7のいずれか1つに記載の通信装置。
【0101】
(付記9)
ネットワークを介して外部装置に接続され、前記外部装置と光信号を送受信する光モジュールを有する通信装置で通信する方法であって、
前記光モジュールの温度情報を基に補正値を求め、求めた前記補正値を出力する補正ステップと、
前記外部装置から受信した光信号の光信号レベルをモニタし、モニタした前記光信号レベルを出力するモニタステップと、
前記補正ステップで出力した前記補正値と前記モニタステップで出力した前記光信号レベルを受信し、受信した前記補正値と前記光信号レベルを基に、自装置と前記外部装置間の装置間損失量を求める損失量計数ステップと、を備える、
ことを特徴とする通信方法。
【0102】
(付記10)
ネットワークを介して外部装置に接続され、前記外部装置と光信号を送受信する光モジュールを有するコンピュータに、
前記光モジュールの温度情報を基に補正値を求め、求めた前記補正値を出力する補正ステップと、
前記外部装置から受信した光信号の光信号レベルをモニタし、モニタした前記光信号レベルを出力するモニタステップと、
前記補正ステップで出力した前記補正値と前記モニタステップで出力した前記光信号レベルを受信し、受信した前記補正値と前記光信号レベルを基に、自装置と前記外部装置間の装置間損失量を求める損失量計数ステップと、を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0103】
1、1A、1B、2、2A、2B 通信装置
100 損失量計数部
200 光モジュール
300 変換部
400 信号処理部
500 コネクタ
600 ネットワーク
110 コントローラ
120 結果送信部
130 結果取得部
210 WDMフィルタ
220 光受信部
221 光送信部
230 O/E変換部
231 E/O変換部
240 モニタ部
250 温度センサ
310 シリアル/パラレル変換部
311 パラレル/シリアル変換部
510 内部光ファイバケーブル
610 装置間光ファイバケーブル
10 内部バス
11 制御部
12 主記憶部
13 外部記憶部
14 操作部
15 表示部
16 送受信部
19 プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して外部装置に接続され、前記外部装置と光信号を送受信する光モジュールを有する通信装置であって、
前記光モジュールの温度情報を基に補正値を求め、求めた前記補正値を出力する補正手段と、
前記外部装置から受信した光信号の光信号レベルをモニタし、モニタした前記光信号レベルを出力するモニタ手段と、
前記補正手段が出力した前記補正値と前記モニタ手段が出力した前記光信号レベルを受信し、受信した前記補正値と前記光信号レベルを基に、自装置と前記外部装置間の装置間損失量を求める損失量計数手段と、を備える、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
コネクタ及び光ファイバケーブルを介して他の通信装置と接続されており、
前記光モジュールは、前記コネクタ及び光ファイバケーブルを介して前記他の通信装置から前記光信号を受信し、受信した前記光信号を前記モニタ手段に出力する光受信手段を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記損失量計数手段は、求めた前記装置間損失量を前記他の通信装置に通知する結果送信手段を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記損失量計数手段は、前記他の通信装置が通知した前記装置間損失量を受信する結果取得手段を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記損失量計数手段は、自装置で求めた前記装置間損失量と前記結果取得手段が出力した前記他の通信装置の前記装置間損失量を比較し、一つの前記装置間損失量を選択して出力する、
ことを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記損失量計数手段は、自装置で求めた前記装置間損失量と前記結果取得手段が出力した前記他の通信装置の前記装置間損失量を出力する、
ことを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項7】
前記損失量計数手段は、前記光信号レベルから前記ネットワーク毎に定義される受信感度仕様値を引いた値に、さらに前記補正値を引いた値を、前記装置間損失量とする、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記補正手段は、前記光モジュールが低温になるに従って前記補正値を小さくし、前記光モジュールが高温になるに従って前記補正値を大きくする、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
ネットワークを介して外部装置に接続され、前記外部装置と光信号を送受信する光モジュールを有する通信装置で通信する方法であって、
前記光モジュールの温度情報を基に補正値を求め、求めた前記補正値を出力する補正ステップと、
前記外部装置から受信した光信号の光信号レベルをモニタし、モニタした前記光信号レベルを出力するモニタステップと、
前記補正ステップで出力した前記補正値と前記モニタステップで出力した前記光信号レベルを受信し、受信した前記補正値と前記光信号レベルを基に、自装置と前記外部装置間の装置間損失量を求める損失量計数ステップと、を備える、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項10】
ネットワークを介して外部装置に接続され、前記外部装置と光信号を送受信する光モジュールを有するコンピュータに、
前記光モジュールの温度情報を基に補正値を求め、求めた前記補正値を出力する補正ステップと、
前記外部装置から受信した光信号の光信号レベルをモニタし、モニタした前記光信号レベルを出力するモニタステップと、
前記補正ステップで出力した前記補正値と前記モニタステップで出力した前記光信号レベルを受信し、受信した前記補正値と前記光信号レベルを基に、自装置と前記外部装置間の装置間損失量を求める損失量計数ステップと、を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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