説明

通信装置、通信方法及び遠隔監視システム

【課題】遠隔監視システムにおいて無線通信のような変動が大きなネットワークを用いる場合においても低遅延を要求するパケットの遅延を安定して低下させる。
【解決手段】監視センタと測定情報集約局とひとつ又は複数の測定端末を有する遠隔監視システムにおいて、測定情報集約局は測定端末での測定結果を集約して集約した測定結果を優先情報と一般情報とに分類し、測定情報集約局は優先情報及び一般情報を監視センタに対して送信する。監視センタは優先情報の受信に対して応答情報を測定情報集約局に対して送信する。測定情報集約局は応答情報をもとに遅延時間からネットワーク状況を推定し、推定したネットワーク状況が混雑しているほど一般情報の送信レートを低下させる。これにより、ネットワーク状況が変動する場合でも測定結果の統計情報や所定の条件を満たす測定結果など所望の情報は安定して低遅延で通信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法及び遠隔監視システムに係り、特に、無線通信等の通信環境が変動するネットワークを利用する通信装置、通信方法及び遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々のセンサ測定結果をネットワークを通じて監視センタにて監視する遠隔監視システムが広がりを見せている。遠隔監視を行うためには、大きなデータ量となりうるセンサ測定結果の通信が必要とされるだけではなく、監視対象で発生したイベントに対して監視センタが瞬時に反応できるように通信遅延を安定して低減する必要がある。
【0003】
通信遅延を低減するために、例えば低遅延を要求する通信にかかわるパケットの優先度が高くなるように通信パケットごとに優先度を設定し、ネットワークノード内で優先度順に並び替える優先度制御方式が知られ、さまざまな方式が提案されている。例えば特許文献1では、ルータ装置においてパケットの優先度及び廃棄許容度に基づいて処理の優先度と輻輳時の廃棄パケットとを決定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−135512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ある装置におけるネットワークの輻輳は、当該装置に対する入力信号速度が当該装置からの出力信号速度を上回った時に生じる。装置がバッファを持つ場合、出力信号速度と入力信号速度との差分の速度でバッファに信号が蓄積され、バッファに蓄積された信号量に比例して信号が遅延する。特許文献1をはじめとする優先度制御は、低遅延を要求するパケットを優先して処理することでこのバッファによる遅延の影響を緩和する。
【0006】
ところで特許文献1記載の技術はルータ装置における技術であるため、IPパケットの単位にてパケットの優先度及び廃棄パケット決定を行う。このため当該技術では、IPレイヤのバッファの影響を緩和することは出来ても、より低いレイヤのバッファの影響を緩和することは出来ない。
【0007】
一方でネットワークの物理層に無線通信を用いる場合、一般的に大きなバッファを用いて無線通信特有の通信速度の大きな変動を吸収する。しかしこの大きなバッファは信号を蓄積するため、場合によっては大きな遅延の原因となり、またこの遅延は例えば特許文献1記載の技術による優先度制御では緩和することが出来ないという課題がある。
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、遠隔監視システムにおいて変動が大きなネットワークを用いる場合においても、低遅延を要求するパケットの遅延を安定して低下させる通信装置、通信方法及び遠隔監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した種々の課題を解決するために、本発明の遠隔監視システムは、監視センタと、監視センタとネットワークで接続された測定情報収集局と、測定情報収集局とネットワークで接続されたひとつ又は複数の測定端末を備え、前記測定情報収集局は前記ひとつ又は複数の測定端末の測定結果を集約して集約した測定結果を優先情報と一般情報とに分類し、前記測定情報収集局は前記優先情報及び前記一般情報を前記監視センタに対して送信し、前記監視センタは前記優先情報の受信に対して応答情報を前記測定情報収集局に対して送信し、前記測定情報収集局は前記応答情報をもとにネットワーク状況を推定し、前記推定したネットワーク状況が混雑しているほど前記一般情報の送信レートを低下させることを特徴のひとつとする。
【0010】
本発明の第1の解決手段によると、
測定端末で測定された測定情報及び/又は該測定情報に基づく統計情報を、ネットワークを介して監視装置へ送信する通信装置であって、
前記測定端末で測定された測定情報及び/又は該測定情報に基づく統計情報を、第1情報と第2情報とに分類する分類部と、
第1情報を前記監視装置に送信する第1情報送信部と、
第1情報が前記監視装置まで伝送される全部又は一部の遅延時間を測定し、又は、他の装置で測定された該遅延時間を受信する遅延時間取得部と、
該遅延時間に応じて、遅延時間が大きいほど第2情報の送信データレートが小さくなるように、第2情報の送信データレートを決定するレート制御部と、
該レート制御部により決定された送信データレートに応じて第2情報を送信する第2情報送信部と
を有する通信装置が提供される。
【0011】
本発明の第2の解決手段によると、
測定端末で測定された測定情報及び/又は該測定情報に基づく統計情報を、ネットワークを介して監視装置へ送信するシステムにおける通信方法であって、
測定端末で測定された測定情報及び/又は該測定情報に基づく統計情報を、第1情報と第2情報とに分類するステップと、
第1情報を監視装置に送信するステップと、
第1情報が監視装置まで伝送される全部又は一部の遅延時間を測定し、又は、他の装置で測定された該遅延時間を受信するステップと、
該遅延時間に応じて、遅延時間が大きいほど第2情報の送信データレートが小さくなるように、第2情報の送信データレートを決定するステップと、
決定された送信データレートに応じて第2情報を送信するステップと
を含む通信方法が提供される。
【0012】
本発明の第3の解決手段によると、
測定端末で測定された測定情報を収集して送信するネットワーク通信装置と、
該測定情報及び/又は測定情報に基づく統計情報を、前記ネットワーク通信装置からネットワークを介して受信する監視装置と
を備え、
前記ネットワーク通信装置は、
前記測定端末からの測定情報及び/又は該測定情報に基づく統計情報を、第1情報と第2情報とに分類する分類部と、
第1情報を前記監視装置に送信する第1情報送信部と、
第1情報が自ネットワーク通信装置から前記監視装置まで伝送される全部又は一部の遅延時間を測定し、又は、他の装置で測定された該遅延時間を受信する遅延時間取得部と、
該遅延時間に応じて、遅延時間が大きいほど第2情報の送信データレートが小さくなるように、第2情報の送信データレートを決定するレート制御部と、
該レート制御部により決定された送信データレートに応じて第2情報を送信する第2情報送信部と
を有する遠隔監視システムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、例えば遠隔監視システムのネットワーク物理層に無線通信を用いる場合など、通信速度が大きく変動する環境においても、低遅延を要求するパケットの遅延を安定して低下することが出来る通信装置、通信方法及び遠隔監視システムを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態における遠隔監視システムの全体構成図である。
【図2】第1の実施例における遠隔監視システムのシーケンスの一例である。
【図3】本実施の形態における送信信号情報の一例である。
【図4】第1の実施例の測定情報集約局の機能ブロック図の一例である。
【図5】本実施の形態における遅延時間と一般情報送信レートとの関係の一例を示すグラフである。
【図6】第2の実施例における遠隔監視システムのシーケンスの一例である。
【図7】第2の実施例の測定情報集約局の機能ブロック図の一例である。
【図8】第3の実施例における遠隔監視システムのシーケンスの一例である。
【図9】第3の実施例のルータの機能ブロック図の一例である。
【図10】第4の実施例における遠隔監視システムのシーケンスの一例である。
【図11】第4の実施例のルータの機能ブロック図の一例である。
【図12】本実施の形態における送信制御信号の一例である。
【図13】本実施の形態における信号送信部からネットワークインタフェース部への情報信号の様子を示す模式図である。
【図14】第2の実施例の監視センタの機能ブロック図の一例である。
【図15】DSPやCPUを主体とした各実施例の構成装置の構成図の一例を示す図である。
【図16】測定情報集約局のハード構成の一例を示す図である。
【図17】監視センタのハード構成の一例を示す図である。
【図18】ルータのハード構成の一例を示す図である。
【図19】第4の実施例におけるルータのハード構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の種々の実施形態を図面に従い説明する。
1.第1の実施例
図1に、遠隔監視システムの全体構成図を示す。
本実施例における遠隔監視システムは、例えば、広域ネットワーク130を介して接続される測定情報集約局(ネットワーク通信装置、通信装置、測定情報収集局)110と、監視センタ(監視装置)120と、ローカルネットワーク140を介して測定情報集約局110に接続されるひとつ又は複数の測定端末111とを含む。また広域ネットワーク130は、ひとつ又は複数のルータ(転送装置、通信装置)131を含む。
【0016】
測定端末111はセンサ機能及びローカルネットワーク通信機能を有する。測定端末111はセンサ機能を用いて測定を行い、測定の結果得たセンサ測定情報をローカルネットワーク140を介して測定情報集約局110へ通知する。ここでセンサ機能とは例えば温度センサや湿度センサ、加速度センサといった独立動作可能なセンサであり、またはGPSを用いた位置センサ等の外部からの信号入力を利用するセンサであり、または音声や静止画、動画を取得する監視装置のいずれか又はこれらの組み合わせを指す。また、測定端末111は、測定情報集約局110からの制御に応じて、センサ機能及びローカルネットワーク通信機能のいずれかもしくは両方の動作を変更する機能を持ってもよい。ここで変更される機能とは、例えばセンサ機能における測定に用いるセンサの種類であり、またはセンサ機能における測定の頻度であり、またはローカルネットワーク通信機能における通信の頻度である。
【0017】
測定情報集約局110は、ネットワーク130を介した監視センタ120との通信機能及びローカルネットワーク140を介したひとつ又は複数の測定端末111との通信機能を有する。測定情報集約局110は、ローカルネットワーク140を介してひとつ又は複数の測定端末111から通知されたセンサ測定情報を集約し、広域ネットワーク130を通じて監視センタ120に対して通知する機能を持つ。また測定情報集約局110は、監視センタ120に対する通知を監視センタ120から通知された応答情報に基づいて制御する機能を持つ。あるいは測定情報集約局110は、監視センタ120に対する通知を監視センタ120またはルータ131から通知された遅延時間情報に基づいて制御する機能を持つ。また、測定情報集約局110は、ルータ131または監視センタ120からの通知に基づいて広域ネットワーク通信機能を制御する機能を持つ。また測定情報集約局110は広域ネットワーク130を通じた監視センタ120からの制御に応じて、ローカルネットワーク140を通じて測定端末111の動作を変更する機能を持ってもよい。
【0018】
監視センタ120は、広域ネットワーク通信機能を有し、広域ネットワーク130を通じて測定情報集約局110にて集約されたセンサ測定情報を受け取る。また、監視センタ120は広域ネットワーク130を通じて受け取った情報に基づいて、応答情報及び遅延時間情報を送信する機能を持ってもよい。監視センタ120は受け取ったセンサ測定情報を記憶する記憶装置、センサ測定情報を解析する解析装置、センサ測定情報を表示する表示装置のいずれかもしくは複数を持っても良い。また、監視センタ120は測定情報集約局110及び通信端末111の一方もしくは両方の動作を制御する機能を持っても良い。
【0019】
広域ネットワーク130は、例えば物理層にIEEE802.11やIEEE802.3を用いたLANであり、または例えば物理層にIEEE802.16を用いたMAN(Metropolitan Area Network)であり、またはセルラ網であり、或いはそれらの組み合わせからなる無線ないしは有線のネットワークである。ルータ131は広域ネットワーク130内において通信データの転送及び異なるネットワーク間の接続を行う。またルータ131は転送を行った通信データに基づいて遅延時間情報を送信してもよい。またルータ131は受け取った遅延時間情報に基づいて転送する通信を制御してもよい。
【0020】
ローカルネットワーク140は、例えば物理層にIEEE802.15.4を用いたPAN(Personal Area Network)であり、または例えば物理層にIEEE802.11やIEEE802.3を用いたLAN(Local Area Network)であり、またはセルラ網であり、或いはそれらの組み合わせからなる無線ないしは有線のネットワークである。
【0021】
図2に、第1の実施例における遠隔監視システムのシーケンスの一例を示す。なお、図2及び以下の例では広域ネットワーク130に2つのルータ131が存在する場合を例示しているが、ルータ131の数は他の値であっても構わない。また説明の簡略化のために以下のシーケンスではひとつの処理の流れのみについて記述するが、複数の処理の流れをパイプライン的に実行してもよい。
測定情報集約局110はまず測定情報集約処理1101において、ひとつ又は複数の測定端末111から通知されたセンサ測定情報を取得・集約し、保存する。次いで測定情報集約局110は、送信信号生成処理1102において、保存されたセンサ測定情報をもとに送信信号情報を作成する。
【0022】
図3に、本実施の形態における送信信号情報の一例を示す。送信信号情報は、優先フラグ情報501と、データ数情報502と、データ種別情報503及びデータ値情報504とのひとつ又は複数のペアとを含む。
優先フラグ情報501は、当該送信信号情報が優先情報(第1情報)であるか一般情報(第2情報)であるかを区別する符号である。例えば当該送信信号情報が優先情報である場合には1、当該送信信号情報が一般情報である場合には0といった値を取る。データ数情報502は、当該送信信号情報に含まれるデータ種別情報503とデータ値情報504とのペアの数を示す情報である。例えばデータ数情報502がデータ数=3を表す時、当該送信信号情報にはデータ種別情報503とデータ値情報504がそれぞれ3ずつ含まれる。
【0023】
データ種別情報503は対応するデータ値情報504にどのような値が含まれているかを示す情報である。例えば温度センサや位置センサといったセンサの種別、単一のセンサの測定結果であるか複数のセンサの測定結果から求めた代表値であるかの区別、センサ番号あるいはセンサ番号の組み合わせを示すインデックス、センサの測定時刻を示す時刻情報等である。データ値情報504にはデータ種別情報503にて示された値が含まれる。
測定情報集約局110は、送信信号生成処理1102に次いで優先情報送信処理及び一般情報送信処理1103において、送信信号生成処理1102にて生成した送信信号情報にシーケンス番号を付与して、あるいはシーケンス番号及び送信時刻情報を付与して作成した優先情報信号及び一般情報信号を監視センタ120宛に広域ネットワーク130に送信し、送信時刻及びシーケンス番号を記憶する。広域ネットワーク130内において、ルータ131はそれぞれ受信した優先情報信号及び一般情報信号を転送する。
【0024】
監視センタ120は、優先情報受信処理及び一般情報受信処理1201において、優先情報信号及び一般情報信号それぞれを受信し、監視センタ120内の記憶装置に受信情報を記憶し、また監視センタ120内の出力装置に出力する。
監視センタ120は、優先情報受信処理及び一般情報受信処理1201に続いて、あるいは優先情報及び一般情報受信処理1201と同時に、優先情報応答信号送信処理1202において優先情報応答信号を広域ネットワーク130に送信する。優先情報応答信号は、監視センタ120にて優先情報の受信に成功したこと、あるいは監視センタ120にて優先情報の受信に失敗したことを示す情報であり、対応する優先情報のシーケンス番号を含む。広域ネットワーク130内において、ルータ131はそれぞれ受信した優先情報応答信号を転送する。
【0025】
測定情報集約局110は、広域ネットワーク130を通じて優先情報応答信号受信処理1104にて優先情報応答信号を受信する。次いで測定情報集約局110は、優先情報遅延時間判定処理1105において、受信した優先情報応答信号の受信時刻と、対応する優先情報の送信時刻との差から遅延時間の判定を行う。ついで測定情報集約局110は一般情報レート制御処理1105において、送信信号生成処理1102において生成し優先情報及び一般情報送信処理1103において送信する一般情報信号の送信レートを決定する。ここで一般情報信号の送信レートは、遅延時間が大きいほど送信レートが小さくなるように、あるいは遅延時間が小さいほど送信レートが大きくなるよう、あるいは遅延時間と送信レートが負の相関を持つように選択される。
【0026】
第1の実施例における遠隔監視システムは、以上の処理を繰り返し行うことで優先情報信号を用いてネットワークの変動を推定して一般情報信号のレートを制御することにより、低遅延を必要とする優先情報を安定的に通信しつつ、ネットワークの品質変動に適応して他の一般的な測定情報を通信することが出来る。
【0027】
なお、測定情報集約局110と監視センタ120は、広域ネットワーク130内に配置された、優先制御を行う少なくともひとつのルータ131を介して通信し、測定情報集約局110から送信される優先情報と一般情報は、例えばルータ131における優先クラスが同じクラスでもよい。このような構成によると、広域ネットワークの優先設定をそのままにして、優先情報の遅延を防ぐことができる。特に広域ネットワークの優先設定は、ネットワーク事業者により設定されるのに対し、ネットワーク通信装置と監視装置など遠隔監視システムを用いるユーザにより設定できる。
【0028】
図4に、第1の実施例の遠隔監視システムにおける測定情報集約局110の構成を示す機能ブロック図の一例を示す。
本実施例における測定情報集約局110は、測定情報集約部201、送信信号生成部202、優先情報抽出部(分類部)211、一般情報蓄積部212、一般情報信号送信部(非優先情報送信部)213、優先情報蓄積部214、優先情報信号送信部215、送信制御部216、ネットワークインタフェース部221、制御情報抽出部231、応答情報抽出部(遅延時間取得部)232、レート制御部241及びパラメータ制御部251を有する。各部は、後述するように、CPU/DSPモジュールとメモリにより実現されることができる。
【0029】
パラメータ制御部251は、測定情報集約局110内の各部動作に関わるパラメータを保持し、また各部に対して動作パラメータの設定及び変更を行う。ここで動作パラメータとは、例えば送信信号生成部202における優先送信条件及び一般送信条件である。また動作パラメータの別の例としては例えば送信制御部216やレート制御部241における優先情報送信間隔Tpや優先情報送信レートRp、一般情報最大送信レートRgmax、一般情報最小送信レートRgminがある。
【0030】
パラメータ制御部251はまた、制御情報抽出部231から入力された制御情報に基づいて保持するパラメータの更新を行う。パラメータ制御部251はまた、ローカルネットワーック140を通じて測定端末111に対して測定に関わるパラメータの通知を行う。ここで、測定に関わるパラメータとは例えば測定端末111において測定に使用するセンサの種別であり、また例えば測定端末111において測定を行う頻度であり、また例えば測定端末111がローカルネットワーク140を通じて測定情報集約局110に対して測定情報を報告する頻度であり、また例えば通信端末111がローカルネットワーク140を通じて通信を行う際のチャネル等の通信パラメータ等である。
【0031】
測定情報集約部201は、ひとつ又は複数の測定端末111から通知されたセンサ測定情報を取得・集約し、保存する測定情報集約処理を行う。
送信信号生成部202は、測定情報集約部201において保存されたセンサ測定情報及びパラメータ制御部251から設定される優先送信条件及び一般送信条件を基に図3の送信信号を作成する送信信号生成処理を行う。優先送信条件とは優先フラグ501に優先情報であることを示す符号を付与して送信信号生成部202から出力する送信信号を示す条件である。例えば、優先送信条件は、センサの種別や、センサ番号(又は識別情報)やその組み合わせ、送信すべき値は測定値そのものであるか平均値や標準偏差といった統計情報であるか、あるいは所定時間内の又は複数のセンサの測定値の最大値や最小値、95%値といった順位値であるかの情報や、これらの値が一定値以上の場合のみ条件を満たすような範囲条件を含むことができる。例えば優先送信条件として、センサの種別として温度センサ、センサ番号として1番から5番、値として平均値といった条件が指定されていた場合、送信信号生成部202は優先フラグ501に優先情報であることを示す符号を付与した送信信号として、センサ番号1番から5番の温度センサの測定情報の平均値を出力する。一般送信条件とは優先フラグ501に優先情報ではないこと(又は一般情報であること)を示す符号を付与して送信信号生成部から出力する送信信号を示す条件であり、優先フラグ501に優先情報ではないことを示す符号が付与されている点を除いて優先送信条件と同様の条件である。なお、優先送信条件と一般送信条件の一方を指定し、それ以外を他方の条件としてもよい。
【0032】
また、例えば一般送信条件としては全ての測定端末の測定情報を送信し、優先送信条件としては測定情報値が一定以上の値となる場合のみ測定情報を送信するように条件を設定することができる。この場合、監視センタ120では対応が必要となるような測定情報は優先情報として低遅延で受信し、他の測定情報については一般情報として別途受信することで、迅速な個別の異常値検出等に活用できる。また例えば一般送信条件としては個々の測定端末の測定情報を送信し、優先送信条件としては複数の測定端末の測定情報の平均値等の統計情報を送信するように条件を設定することができる。この場合、監視センタ120では全体的な傾向については優先情報として低遅延で受信し、個々の測定情報については一般情報として別途受信することで迅速な全体的な傾向の異常検出等に活用出来る。
【0033】
優先情報抽出部211は、送信信号生成部202から入力された送信信号情報のうち、優先フラグ501に基づいて優先情報を抽出して優先情報蓄積部214に対して出力する。優先情報抽出部211はまた、送信信号生成部202から出力された送信信号情報のうち、優先フラグ501に基づいて優先情報ではない情報を一般情報蓄積部212に出力する。
一般情報蓄積部212は、優先情報抽出部211から入力された送信信号情報を蓄積する。一般情報蓄積部212はまた、一般情報信号送信部213からの指示に応じて蓄積している送信信号情報を一般情報信号送信部213に対して出力する。
【0034】
一般情報信号送信部213は、送信制御部216から通知された送信制御信号に従って、一般情報蓄積部212から得た送信信号にシーケンス番号と現在の時刻を表す時刻情報とを付加しネットワークインタフェース部221に対して出力する一般情報送信処理を行う。
優先情報蓄積部214は、優先情報抽出部211から入力された送信信号情報を蓄積する。優先情報蓄積部214はまた、優先情報信号送信部215からの指示に応じて蓄積している送信信号情報を優先情報信号送信部215に対して出力する。
優先情報信号送信部215は、送信制御部216から通知された送信制御信号に従って、優先情報蓄積部214から得た送信信号にシーケンス番号と現在の時刻を表す時刻情報とを付加しネットワークインタフェース部221に対して出力する優先情報送信処理を行う。
【0035】
送信制御部216は、レート制御部241から通知された一般情報送信レートRnと動作パラメータとに基づいて、一般情報信号送信部213及び優先情報信号送信部215に対して送信制御信号を通知する。図12は送信制御部216から一般情報信号送信部213及び優先情報信号送信部215に対して通知される送信制御信号の一例である。送信制御部216から一般情報信号送信部213に対して通知される送信制御信号(図12(a))は一般情報送信時刻601及び一般情報送信予定データ量602を含む。一般情報信号送信部213では、一般情報送信時刻601にて指定された時刻に一般情報送信予定データ量602にて指定された量のデータをネットワークインタフェース部221に対して出力する。送信制御部216から優先情報信号送信部215に対して通知される送信制御信号(図12(b))は優先情報送信時刻611及び優先情報送信予定データ量612を含む。優先情報信号送信部215では、優先情報送信時刻611にて指定された時刻に優先情報送信予定データ量612にて指定された量のデータをネットワークインタフェース部221に対して出力する。なお、一般情報信号送信部213及び優先情報信号送信部215において、送信可能なデータ量が指定された送信予定データ量よりも下回る場合には、送信可能なデータ量のみをネットワークインタフェース部221に出力してもよいし、差分以下のデータ量に相当するパディングを付与してもよい。また、優先情報信号送信部215にてネットワークインタフェース部221に対して出力するデータ量は固定量とし、予めパラメータとして設定しておき、送信制御部216から優先情報信号送信部215に通知される送信制御信号には優先情報送信予定データ量612は含まなくてもよい。また、一般情報送信時刻601及び優先情報送信時刻611には時刻を示す値そのものは含まず、一般情報信号送信部213及び優先情報信号送信部215では例えば送信制御部316からの送信制御信号の通知を受けた時刻、あるいは通知を受けてから所定時間の経過後を送信時刻として認識しても良い。
【0036】
送信制御部216がパラメータ制御部251から受け取る動作パラメータは、例えば優先情報送信レートRp及び優先情報送信間隔Tpを含む。これらの各情報は、例えば、監視センタ120からの制御情報に含まれることができる。この場合、送信制御部216が優先情報信号送信部215に対して通知する優先情報送信時刻611は、1回前に通知した送信予定時刻とパラメータとして受け取った優先情報送信間隔Tpとの和になる。また優先情報送信予定データ量612は優先情報送信間隔Tpと優先情報送信レートRpとの積になるように選択される。また送信制御部215が一般情報信号送信部213に対して通知する一般情報送信時刻601は、1回前に通知した送信予定時刻とパラメータとして受け取った優先情報送信間隔Tpとの和になる。また一般情報送信予定データ量602は優先情報送信間隔Tpと一般情報送信レートRgとの積になるように選択される。
【0037】
図13は一般情報信号送信部213及び優先情報信号送信部215からネットワークインタフェース部221に入力される情報信号の様子を表す模式図である。例えば、優先情報信号710は優先情報送信間隔Tp毎に周期的に同量ずつネットワークインタフェース部221に入力され、一般情報信号700は優先情報710と優先情報710との間に挟まれて送信制御部216に指定されたデータ量ずつネットワークインタフェース部221に入力される。
【0038】
ネットワークインタフェース部221は、一般情報信号送信部213及び優先情報信号送信部215から入力された送信信号を広域ネットワーク130に送信する。ネットワークインタフェース部221はまた、広域ネットワーク130を通じて受信した信号を制御情報抽出部231及び応答情報抽出部232に出力する。
制御情報抽出部231は、ネットワークインタフェース部221が受信した信号から、監視センタ120が送信した制御情報を抽出し、パラメータ制御部251に出力する。
【0039】
応答情報抽出部232は、ネットワークインタフェース部221が受信した信号から、監視センタ120が送信した応答情報を抽出し、応答情報からシーケンス番号を取得する。応答情報抽出部232はまた、応答情報の受信時刻と取得したシーケンス番号に対応する送信信号の送信時刻との差分から遅延時間を判定する優先情報遅延時間判定処理を行い、結果として得た遅延時間をレート制御部241に通知する。
レート制御部241は、通知された遅延時間をもとにネットワークの状況を推定して一般情報送信レートRgを決定し、送信制御部216に対して一般情報送信レートRgを通知する。
【0040】
図15は、DSPやCPUを主体とした本遠隔監視システムの構成装置のハード構成の概略図である。
本遠隔監視システムの構成装置とは、例えば測定情報集約局110、ルータ131及び監視センタ120である。より具体的には、図4の機能ブロック図に示される本実施例の測定情報集約局や、後述する各実施例において図7の機能ブロック図に示される測定情報集約局、図9や図11の機能ブロック図に示されるルータ、図14の機能ブロック図に示される監視センタである。図15に示す構成装置は、CPU及びDSPモジュール801、メモリ802、論理回路モジュール803及びインタフェース805を有し、それぞれがバス806を介して接続される。
【0041】
各装置におけるそれぞれの機能ブロック図における各機能部(例えば図4に示す各部)の処理は、CPU/DSPモジュール801におけるプログラムと論理回路803における演算回路との一方もしくは両方及び必要であればメモリ802を用いて行われる。また各機能ブロック図における各モジュールが必要とする情報、たとえばパラメータ制御部251(又は後述するパラメータ制御部351)に蓄積される動作パラメータや、測定情報集約部201に蓄積される測定情報などがメモリ802に保持される。また、ルータ131においては、転送信号などがメモリ802に保持される。
インタフェース805は、各機能ブロック図におけるネットワークインタフェース部221(又は後述するネットワークインタフェース部321、322、421)と、無線通信や有線通信の物理層との接続を行う。
【0042】
なお、図15は、各モジュール及びバスはそれぞれ必ずしも単一である必要は無い。例えば複数のCPU/DSPモジュール801があっても良く、また複数のバス806があっても良い。またバス806が複数ある場合には、必ずしもすべてのバスが全てのモジュールと接続している必要は無く、例えば全てのモジュールと接続しているバスの他に、メモリ802と論理回路803とのみを接続するバスがあっても良い。
【0043】
また例えば全ての機能における信号処理演算及び信号処理の制御それぞれをCPU/DSPモジュール801において実行可能であれば論理演算モジュール803は無くても良い。逆に例えば全ての機能における信号処理演算及び信号処理の制御それぞれを論理演算モジュール803において実行可能であればCPU/DSPモジュール801は無くても良い。
【0044】
図16は、測定情報集約局110のハード構成の一例を示す図である。
測定情報集約局110のメモリ802−Aは、優先情報蓄積バッファ2140と一般情報蓄積バッファ2120を有する。それぞれ、図4に示す優先情報蓄積部214と一般情報蓄積部212に相当する。メモリ802−Aは、これ以外にも受信した測定情報を蓄積する測定情報蓄積バッファを有してもよい。また、メモリ802−Aには、設定される各種パラメータ等が記憶される。
測定情報集約局110のCPU及びDSPモジュール801−Aは、所定のプログラムを実行し、図4に示す各機能部を実現する。プログラムはメモリ802−Aに記憶され、適宜読み出されることができる。他の構成は、図15と同様である。
【0045】
図5は通知された遅延時間と決定する一般情報送信レートRgとの関係の一例を示すグラフである。遅延時間が大きいほどネットワークは混雑した状況にあると推定されるため、図5の関係では遅延時間が大きいほど一般情報送信レートRgが小さくなるように、遅延時間が小さいほど一般情報送信レートRgが大きくなる傾向を持つように決定する。例えば、関数が予め定められていてもよいし、遅延時間を所定範囲毎に区切って、対応する一般情報送信レートが記憶されたテーブルを参照するようにしてもよい。ただし、Rgは最大で一般情報最大送信レートRgmax、最小で一般情報最小送信レートRgminになるように値の範囲に制約を設けることができる。なお、遅延時間から一般情報送信レートRgを求める際には、通知された遅延時間を直接使用してもよいし、過去の遅延時間情報と併せて平均化した後に用いてもよい。また、送信制御部216に通知する一般情報送信レートRgは、図5のような関係を用いて得た値をそのまま通知してもよいし、変動が急峻にならないように過去の一般情報送信レートRgと平均化した値を通知してもよい。
【0046】
一般にネットワークの混雑状況の変化や、特に無線通信の場合には通信環境の変化に対応して、各々のデータ通信に割り当てられるデータ通信速度は変動する。またデータ通信を行う際には、データ量を当該データ通信に割り当てられたデータ通信速度で割った値に相当する通信遅延が発生する。このため図5のような遅延時間と一般情報送信レートRgとの関係を用いることにより、ネットワークの混雑等により遅延時間が増加すると、一般情報送信レートRgが小さくなるように制御された結果、全体として送信されるデータ量が減少するので遅延時間が減少する。また逆にネットワークの混雑解消等により遅延時間が減少すると、一般情報送信レートRgが大きくなるように制御された結果、遅延時間が増加する。

【0047】
2.第2の実施例
上述の第1の実施例は、測定情報集約局110が監視センタ120へ送信した優先情報に対する応答信号をもとに、測定情報集約局110がネットワークの遅延時間を判定し、また測定情報集約局110が一般情報レート制御を行う場合の例を記載した。一方、ネットワークの遅延時間の判定に応答信号を用いず、監視センタ120がネットワークの遅延時間を判定して測定情報集約局110に通知し、測定情報集約局110が一般情報レート制御を行うことも可能である。
【0048】
図6は、第2の実施例における遠隔監視システムのシーケンスの一例である。
測定情報集約局110はまず測定情報集約処理1101において、ひとつ又は複数の測定端末111から通知されたセンサ測定情報を取得・集約し、保存する。次いで測定情報集約局110は送信信号生成処理1102において、保存されたセンサ測定情報をもとに送信信号情報を作成する。ここで、送信信号情報は第1の実施例における送信信号情報と同様である。
【0049】
測定情報集約局110は送信信号生成処理1102に次いで、優先情報送信処理及び一般情報送信処理1103において、送信信号生成処理1102にて生成した送信信号情報に送信時刻及びシーケンス番号を付与して作成した優先情報信号及び一般情報信号を監視センタ120宛に広域ネットワーク130に送信し、送信時刻及びシーケンス番号を記憶する。広域ネットワーク130内において、ルータ131はそれぞれ受信した優先情報信号及び一般情報信号を転送する。
【0050】
監視センタ120は、優先情報受信処理及び一般情報受信処理1201において、優先情報信号及び一般情報信号それぞれを受信し、監視センタ120内の記憶装置に受信情報を記憶し、また監視センタ120内の出力装置に出力する。
監視センタ120はまた、優先情報遅延時間判定処理1203において、管理センタ120における優先情報受信時刻と当該優先情報の送信時に優先情報及び一般情報送信処理1103において付与された時刻情報との差分から、当該優先情報の遅延時間を判定する。なお、測定情報集約局110と監視センタ120は適宜の手法で時刻の同期を取ることができる。次いで監視センタ120では優先情報遅延時間送信処理1204において、優先情報遅延時間判定処理1203において判定した優先情報の遅延時間と当該優先情報のシーケンス番号とを含む優先情報遅延時間信号を測定情報集約局110宛に広域ネットワーク130に送信する。広域ネットワーク130内において、ルータ131はそれぞれ受信した優先情報遅延時間信号を転送する。
【0051】
測定情報集約局110は広域ネットワーク130を通じて優先情報遅延時間信号受信処理1107にて優先情報遅延時間信号を受信する。次いで測定情報集約局110は一般情報レート制御処理1106において、受信された遅延時間に基づき、送信信号生成処理1102において生成し優先情報及び一般情報送信処理1103において送信する一般情報信号の送信レートを決定する。ここで一般情報信号の送信レートは、第1の実施例と同様に、遅延時間が大きいほど送信レートが小さく、あるいは遅延時間が小さいほど送信レートが大きく、あるいは遅延時間と送信レートが負の相関を持つように選択される。
【0052】
第2の実施例における遠隔監視システムは、以上の処理を繰り返し行うことで優先情報信号を用いてネットワークの変動を推定して一般情報信号のレートを制御することにより、低遅延を必要とする優先情報を安定的に通信しつつ、ネットワークの品質変動に適応して他の一般的な測定情報を通信することが出来る。
【0053】
図7は、第2の実施例の測定情報集約局110の機能ブロック図の一例である。図4に示す第1の実施例の測定情報集約局における応答情報抽出部232に替わって、遅延情報抽出部(遅延時間取得部)233を有する点を除いて他は同様である。
すなわち、本実施例における測定情報集約局110は、測定情報集約部201、送信信号生成部202、優先情報抽出部211、一般情報蓄積部212、一般情報信号送信部213、優先情報蓄積部214、優先情報信号送信部215、送信制御部216、ネットワークインタフェース部221、制御情報抽出部231、遅延情報抽出部233、レート制御部241及びパラメータ制御部251を有する。本実施例における測定情報集約局110は、測定情報集約部201、送信信号生成部202、優先情報抽出部211、一般情報蓄積部212、一般情報信号送信部213、優先情報蓄積部214、優先情報信号送信部215、送信制御部216、ネットワークインタフェース部221、制御情報抽出部231、レート制御部241、パラメータ制御部251の各部の動作については、上述の第1の実施例における同名の部位と同様の動作を行う。
【0054】
遅延情報抽出部233は、ネットワークインタフェース部221が受信した信号から、遅延時間情報を抽出する優先情報遅延時間受信処理を行い、抽出した遅延時間をレート制御部241に通知する。
測定情報集約局110のハード構成は第1の実施例と同様であり、例えば、CPU及びDSPモジュール801−Aはプログラムを実行して図7に示す各機能部を実現する。
【0055】
図14は、第2の実施例の監視センタ120の機能ブロック図の一例である。
第2の実施例の監視センタは、ネットワークインタフェース部421、データ受信部401、応答信号送信部402、遅延時間判定部405及び遅延時間情報送信部406を有する。
ネットワークインタフェース部421は測定情報集約局110からネットワーク130を経由して監視センタ120へ送信された信号を受信し、遅延時間判定処理405に出力する。またネットワークインタフェース部421は、応答信号送信部402及び遅延時間情報送信部406から入力された信号をネットワーク130を経由して測定情報集約局110に送信する。
【0056】
遅延時間判定部405はネットワークインタフェース421から入力された信号をそのままデータ受信部401に出力する。遅延時間判定部405はまた、ネットワークインタフェース421から入力された信号のうち優先フラグ501のフィールドを確認し、優先フラグ501の内容が優先情報を表す符号であった場合には信号送信時に付加された時刻情報と現在時刻との差分を遅延時間として求め、当該信号送信時に付加されたシーケンス番号と遅延時間とを遅延時間情報送信部406に通知する。
遅延時間情報送信部406は通知されたシーケンス番号と遅延時間とを遅延時間情報としてネットワークインタフェース421に出力する。
【0057】
データ受信部401は測定情報集約局110から送信された優先情報及び一般情報を受信し、受信データの蓄積や解析、表示等を行う。データ受信部401はまた、データ信号を正しく受信する毎に当該信号送信時に付加されたシーケンス番号を応答信号送信部402に通知する。
応答信号送信部402では、シーケンス番号に対応する信号を正しく受信したことを示す応答信号を作成し、ネットワークインタフェース421に出力する。
【0058】
図17は、監視センタ120のハード構成の一例を示す図である。
監視センタ120のメモリ802−Bは、受信信号蓄積バッファ4010を有する。
監視センタ120のCPU及びDSPモジュール801−Bは、所定のプログラムを実行し、図14に示す各機能部を実現する。プログラムはメモリ802−Bに記憶され、適宜読み出されることができる。他の構成は、図15と同様である。

【0059】
3.第3の実施例
上述の第2の実施例では、監視センタ120がネットワークの遅延時間を判定し、測定情報集約局110が一般情報レート制御を行う例を記載した。これは測定情報集約局110から監視センタ120までのネットワーク全体の遅延時間をネットワークの遅延時間として判定する例である。一方でネットワークの遅延時間の変動が一部区間において支配的である場合には、優先情報及び一般情報が当該区間を通過した後にネットワークの遅延時間を判定し、優先情報及び一般情報が当該区間を通過する前に一般情報レート制御を行うこともできる。例えばいずれかの機器にてネットワークの遅延時間を判定し、また一般情報レート制御を行っても同様の効果を得ることが出来る。
【0060】
図8は、第3の実施例における遠隔監視システムのシーケンスの一例である。
第3の実施例における遠隔監視システムのシーケンスは、第2の実施例と比べると監視センタ120での優先情報遅延時間判定処理1203及び優先情報遅延時間送信処理1203がなくなり、ルータ131において優先情報遅延時間判定処理1301及び優先情報遅延時間送信処理1302が追加される。他の処理は図6に示す第2の実施例における遠隔監視システムのシーケンスと同様である。
【0061】
優先情報遅延時間判定処理1301及び優先情報遅延時間送信処理1302を行うルータ131は、広域ネットワーク130内のいずれのルータ131でも良いが、一例として、ネットワークの遅延時間の変動が支配的な区間を通過した後のルータとすることが出来る。例えば、測定情報集約局110からの通信データが無線区間を通過した後のルータとすることが出来る。
【0062】
ルータ131は、優先情報遅延時間判定処理1301において、ルータ131において転送する優先情報の受信時刻と当該優先情報の送信時に優先情報及び一般情報送信処理1103において付与された時刻情報との差分から、当該優先情報の遅延時間を判定する。次いでルータ131では優先情報遅延時間送信処理1302において、優先情報遅延時間判定処理1301において判定した優先情報の遅延時間と当該優先情報のシーケンス番号とを含む優先情報遅延時間信号を測定情報集約局110宛に広域ネットワーク130に送信する。広域ネットワーク130内において、ルータ131はそれぞれ受信した優先情報遅延時間信号を転送する。
【0063】
第3の実施例における遠隔監視システムは、以上の処理を繰り返し行うことで優先情報信号を用いてネットワークの変動を推定して一般情報信号のレートを制御することにより、低遅延を必要とする優先情報を安定的に通信しつつ、ネットワークの品質変動に適応して他の一般的な測定情報を通信することが出来る。
【0064】
図9は、第3の実施例のルータ131の機能ブロック図の一例である。
第3の実施例のルータは、ネットワークインタフェース部321及び322、転送信号蓄積部301及び302、遅延時間判定部305及び遅延時間情報送信部306を有する。
ネットワークインタフェース部321はネットワーク130内において監視センタ120から測定情報集約局110へ向かう方向の信号を受信し、転送信号蓄積部302に出力する。またネットワークインタフェース部321は転送信号蓄積部301から入力された信号をネットワーク130内において監視センタ120方向に送信する。
【0065】
ネットワークインタフェース部322はネットワーク130内において測定情報集約局110から監視センタ120へ向かう方向の信号を受信し、遅延時間判定処理305に出力する。またネットワークインタフェース部322は転送信号蓄積部302及び遅延時間情報送信部306から入力された信号をネットワーク130内において測定情報集約局110方向に送信する。
転送信号蓄積部301は遅延時間判定部305から入力された信号を一旦蓄積し、ネットワークインタフェース部321に出力する。転送信号蓄積部302はネットワークインタフェース部321から入力された信号を一旦蓄積し、ネットワークインタフェース部322に出力する。
【0066】
遅延時間判定部305はネットワークインタフェース部322から入力された信号をそのまま転送信号蓄積部301に出力する。遅延時間判定部305はまた、ネットワークインタフェース部322から入力された信号のうち優先フラグ501のフィールドを確認し、優先フラグ501の内容が優先情報を表す符号であった場合には信号送信時に付加された時刻情報と現在時刻との差分を遅延時間として求め、当該信号送信時に付加されたシーケンス番号と遅延情報とを遅延時間情報送信部306に通知する。
遅延時間情報送信部306は通知されたシーケンス番号と遅延情報とを遅延時間情報としてネットワークインタフェース部322に出力する。
【0067】
図18は、ルータ131のハード構成の一例を示す図である。
ルータ131のメモリ802−Cは、転送信号蓄積バッファ3010を有する。転送信号蓄積バッファ3010は、例えば図9に示す転送信号蓄積部301、302に相当する。
ルータ131のCPU及びDSPモジュール801−Cは、所定のプログラムを実行し、図9に示す各機能部を実現する。プログラムはメモリ802−Cに記憶され、適宜読み出されることができる。他の構成は、図15と同様である。
なお、測定情報集約局110の構成は第2の実施例と同様である。

【0068】
4.第4の実施例
図10は、第4の実施例における遠隔監視システムのシーケンスの一例である。第4の実施例における遠隔監視システムのシーケンスは、ルータ131−1において優先情報遅延時間受信処理1315及び一般情報レート制御処理1316が追加される点を除き、図8に示す第3の実施例における遠隔監視システムのシーケンスと同様である。
ルータ131−1は、広域ネットワーク130を通じて優先情報遅延時間信号受信処理1315にて優先情報遅延時間信号をルータ131−2から受信する。次いでルータ131−1は、一般情報レート制御処理1316において、転送する一般情報信号の送信レートを決定する。ここで一般情報信号の送信レートは、上述と同様に遅延時間が大きいほど送信レートが小さく、あるいは遅延時間が小さいほど送信レートが大きく、あるいは遅延時間と送信レートが負の相関を持つように選択される。なお、処理1311、1312は、図8に示す処理1301、1302と同様である。
【0069】
第4の実施例における遠隔監視システムは、以上の処理を繰り返し行うことで優先情報信号を用いてネットワークの変動を推定して一般情報信号のレートを制御することにより、低遅延を必要とする優先情報を安定的に通信しつつ、ネットワークの品質変動に適応して他の一般的な測定情報を通信することが出来る。
なお、測定情報集約局110における処理1107及び処理1106と、ルータ131−1における処理1315及び処理1316は、双方の装置で実行されてもよいし、本実施例ではルータ131−1でのみ実行されてもよい。また、遅延時間の判定は、上述のようにルータ131−2が行う以外にも、第2の実施例のように監視センタ120が遅延時間を判定してもよい。例えば、遅延時間の変動が支配的な区間を挟むように遅延時間を求めるようにすることもできる。測定情報集約局110及び監視センタ120の構成は、上述の各実施例の構成をとることができる。
【0070】
図11は、第4の実施例のルータ131−1の機能ブロック図の一例である。
第4の実施例のルータ131−1は、ネットワークインタフェース部321及び322、転送信号蓄積部302、優先情報抽出部311、一般情報蓄積部312、一般情報信号送信部313、優先情報蓄積部314、優先情報信号送信部315、送信制御部316、制御情報抽出部331、遅延情報抽出部333、レート制御部341及びパラメータ制御部351を有する。
【0071】
第4の実施例のルータ131−1の優先情報抽出部311、一般情報蓄積部312、一般情報信号送信部313、優先情報蓄積部314、優先情報信号送信部315、送信制御部316、制御情報抽出部331、遅延情報抽出部333、レート制御部341、パラメータ制御部351の動作は、それぞれ上述の第1の実施例における測定情報集約局110の優先情報抽出部211、一般情報蓄積部212、一般情報信号送信部213、優先情報蓄積部214、優先情報信号送信部215、送信制御部216、制御情報抽出部231、遅延情報抽出部233、レート制御部241及びパラメータ制御部251と同様である。また、転送信号蓄積部302の動作は、第3の実施例のルータ131の転送信号蓄積部302の動作と同様である。
【0072】
ネットワークインタフェース部321はネットワーク130内において監視センタ120から測定情報集約局110へ向かう方向の信号を受信し、転送信号蓄積部302等に出力する。またネットワークインタフェース部321は一般情報信号送信部313及び優先情報信号送信部315から入力された信号をネットワーク130内において監視センタ120方向に送信する。
ネットワークインタフェース部322はネットワーク130内において測定情報集約局110から監視センタ120へ向かう方向の信号を受信し、優先情報抽出部311に出力する。またネットワークインタフェース部322は、転送信号蓄積部302から入力された信号をネットワーク130内において測定情報集約局110方向に送信する。
【0073】
図19は、第4の実施例におけるルータ131−1のハード構成の一例を示す図である。
ルータ131−1のメモリ802−Dは、転送信号蓄積バッファ3020と優先情報蓄積バッファ3140と一般情報蓄積バッファ3120を有する。それぞれ、図11に示す転送信号蓄積部302、優先情報蓄積部314、一般情報蓄積部312に相当する。
ルータ131−1のCPU及びDSPモジュール801−Dは、所定のプログラムを実行し、図11に示す各機能部を実現する。プログラムはメモリ802−Dに記憶され、適宜読み出されることができる。他の構成は、図15と同様である。

【0074】
5.その他
なお上記実施例に示した機能の切り分けについてはあくまで一例であり、遠隔監視システム、測定情報集約局、ルータの各実施例全体として同等の機能を実現できるのであれば他の構成であってもよい。
また、上述の各実施例では、優先情報/一般情報として説明したが、優先/一般に限らず、適宜の分け方でもよい。例えば、上述の優先情報は固定送信レートで送信される第1情報であり、一般情報は、第1情報の遅延時間に基づく可変レートで送信される第2情報でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、例えば、センサ等の測定情報を監視センタにて監視する遠隔監視システム、及び無線通信などの通信環境が変動するネットワークを利用する際の通信装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0076】
110 測定情報集約局、 111 測定端末、 120 監視センタ、 130 広域ネットワーク、 131 ルータ、 140 ローカルネットワーク、
201 測定情報集約部、 202 送信信号生成部、 211 優先情報抽出部、 212 一般情報蓄積部、 213 一般情報信号送信部、 214 優先情報蓄積部、 215 優先情報信号送信部、 216 送信制御部、 221 ネットワークインタフェース、 231 制御情報抽出部、 232 応答情報抽出部、 233 遅延情報抽出部、 241 レート制御部、 251 パラメータ制御部、
301,302 転送信号蓄積部、 305 遅延時間判定部、 306 遅延時間情報送信部、 311 優先情報抽出部、 312 一般情報蓄積部、 313 一般情報信号送信部、 314 優先情報蓄積部、 315 優先情報信号送信部、 316 送信制御部、 321,322 ネットワークインタフェース、 331 制御情報抽出部、 333 遅延情報抽出部、 341 レート制御部、 351 パラメータ制御部、
401 データ受信部、 402 応答信号送信部、 405 遅延時間判定部、 406 遅延時間情報送信部、 421 ネットワークインタフェース、
501 優先フラグフィールド、 502 データ数フィールド、 503 データ種別フィールド、 504 データ値フィールド、
601 一般情報送信時刻フィールド、 602 一般情報送信予定データ量フィールド、 611 優先情報送信時刻フィールド、 612 優先情報送信予定データ量フィールド、
700 一般情報信号、 710 優先情報信号、
801 CPU/DSPモジュール、 802 メモリモジュール、 803 論理回路モジュール、 805 インタフェースモジュール、 806 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定端末で測定された測定情報及び/又は該測定情報に基づく統計情報を、ネットワークを介して監視装置へ送信する通信装置であって、
前記測定端末で測定された測定情報及び/又は該測定情報に基づく統計情報を、第1情報と第2情報とに分類する分類部と、
第1情報を前記監視装置に送信する第1情報送信部と、
第1情報が前記監視装置まで伝送される全部又は一部の遅延時間を測定し、又は、他の装置で測定された該遅延時間を受信する遅延時間取得部と、
該遅延時間に応じて、遅延時間が大きいほど第2情報の送信データレートが小さくなるように、第2情報の送信データレートを決定するレート制御部と、
該レート制御部により決定された送信データレートに応じて第2情報を送信する第2情報送信部と
を有する通信装置。
【請求項2】
前記通信装置は、ひとつ又は複数の前記測定端末からの測定情報を取得して該測定情報及び/又はその統計情報を前記監視装置へ送信する測定情報集約局である請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信装置は、ひとつ又は複数の前記測定端末からの測定情報を取得して該測定情報及び/又はその統計情報を前記監視装置へ送信する測定情報集約局から、該測定情報及び/又は統計情報を受信して転送する転送装置である請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1情報は所望の優先送信条件に合致する優先情報であり、前記第2情報は非優先情報である請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記測定端末からの測定情報の値が予め定められた範囲である場合には、該測定情報が優先情報に分類されることを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記測定端末からの測定情報の統計情報が優先情報に分類され、前記測定端末からの測定情報が非優先情報に分類されることを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項7】
前記ネットワークの輻輳による優先情報の遅延時間の増加に対し、非優先情報の送信レートを低下させることで優先情報の遅延時間を減少させることを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項8】
前記ネットワークは無線ネットワークを含み、該無線ネットワークでの電波環境の変化による帯域幅変動による優先情報の遅延時間の増加に対し、非優先情報の送信レートを低下させることで優先情報の遅延時間を減少させる請求項4に記載の通信装置。
【請求項9】
前記遅延時間取得部は、
前記第1情報送信部により送信された第1情報に対する応答信号を前記監視装置から受信し、該第1情報を送信してから該応答信号を受信するまでの遅延時間を測定する請求項2に記載の通信装置。
【請求項10】
前記応答信号の受信時刻と前記第1情報の送信時刻との差分が大きいほどネットワーク状況が混雑していると判断する請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記第1情報送信部は、第1情報に送信時刻情報を付加して前記監視装置に送信し、
前記遅延時間取得部は、前記監視装置又はネットワーク内の転送装置により該送信時刻情報と第1情報を受信した時刻とに基づき測定され送信された遅延時間を受信する請求項1に記載の通信装置。
【請求項12】
測定端末で測定された測定情報及び/又は該測定情報に基づく統計情報を、ネットワークを介して監視装置へ送信するシステムにおける通信方法であって、
測定端末で測定された測定情報及び/又は該測定情報に基づく統計情報を、第1情報と第2情報とに分類するステップと、
第1情報を監視装置に送信するステップと、
第1情報が監視装置まで伝送される全部又は一部の遅延時間を測定し、又は、他の装置で測定された該遅延時間を受信するステップと、
該遅延時間に応じて、遅延時間が大きいほど第2情報の送信データレートが小さくなるように、第2情報の送信データレートを決定するステップと、
決定された送信データレートに応じて第2情報を送信するステップと
を含む通信方法。
【請求項13】
測定端末で測定された測定情報を収集して送信するネットワーク通信装置と、
該測定情報及び/又は測定情報に基づく統計情報を、前記ネットワーク通信装置からネットワークを介して受信する監視装置と
を備え、
前記ネットワーク通信装置は、
前記測定端末からの測定情報及び/又は該測定情報に基づく統計情報を、第1情報と第2情報とに分類する分類部と、
第1情報を前記監視装置に送信する第1情報送信部と、
第1情報が自ネットワーク通信装置から前記監視装置まで伝送される全部又は一部の遅延時間を測定し、又は、他の装置で測定された該遅延時間を受信する遅延時間取得部と、
該遅延時間に応じて、遅延時間が大きいほど第2情報の送信データレートが小さくなるように、第2情報の送信データレートを決定するレート制御部と、
該レート制御部により決定された送信データレートに応じて第2情報を送信する第2情報送信部と
を有する遠隔監視システム。
【請求項14】
前記第1情報は優先情報であり、前記第2情報は非優先情報であり、
前記ネットワーク通信装置と前記監視装置は、前記ネットワーク内に配置された、優先制御を行う少なくともひとつの転送装置を介して通信し、前記優先情報と前記非優先情報は、該転送装置における優先クラスが同じクラスである請求項13に記載の遠隔監視システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−257010(P2012−257010A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128012(P2011−128012)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】