説明

通信装置、通信装置の制御方法、およびプログラム

【課題】複数のネットワークから接続先となるネットワークを効率的に探索することを目的とする。
【解決手段】通信装置であって、通信可能なネットワークを検出する検出部と、検出部により複数のネットワークが検出された場合、検出されたネットワークを構築している基地局を判定する判定部と、判定部による判定結果に応じて接続処理を行う接続部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のネットワークの中から接続するネットワークを選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE802.11規格シリーズに準拠した無線LANに代表される無線通信では、設定しなければならない通信パラメータが数多く存在する。通信パラメータは、例えば、ネットワーク識別子としてのESSID、暗号方式、暗号鍵、認証方式、認証鍵等であり、これらをユーザが手入力するのは非常に煩雑である。
【0003】
そこで、通信パラメータを簡単に無線機器に設定するための自動設定方法(以下、単に「自動設定」と称する)が多数考案されている。これらの自動設定では、接続する機器間で予め定められた手順、及びメッセージにより、一方の機器から他方の機器に通信パラメータを提供することで、通信パラメータの設定を自動的に行うこととしている。
【0004】
非特許文献1には、アクセスポイント(以下、「AP」と称する)とステーション(以下、「STA」と称する)との間における通信パラメータの自動設定の業界標準規格であるWi−Fi Protected Setup(以下、「WPS」と称する)が開示されている。
【0005】
STAはこれらの自動設定で通信パラメータを取得すると、周囲のネットワークを検索し、取得した通信パラメータに該当するネットワークに接続する。
【0006】
一方、近年、APには様々な機能が搭載されており、その中の一つに“マルチBSSID(Multi Basic Service Set Identifier)”と呼ばれる機能がある。マルチBSSIDは、一台のAPで複数の無線ネットワークを構築可能な機能であり、AV機器用のネットワーク、ゲーム機用のネットワーク等、用途に応じたネットワークの構築を容易に実現することができる。
【0007】
また、マルチBSSIDを利用して、通信用ネットワークとは別に自動設定用ネットワークを構築して自動設定を実行するAPも存在する。
【0008】
非特許文献2には、無線通信接続における暗号方式、暗号鍵、認証方式、認証鍵等の業界標準規格であるWi−Fi Protected Access(以下、「WPA」と称する)が開示されている。
【0009】
WPAにはWPA1とWPA2が存在し、WPA1とWPA2を同時に動作可能なMixedモードを備えたAPも存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Wi-Fi CERTIFIED for Wi-Fi Protected Setup: Easing the User Experience for Home and Small Office Wi-Fi Networks, http:/www.wi-fi.org/wp/wifi-protected-setup.
【非特許文献2】IEEE Computer Society,“IEEE Standard for Information technology for Information technology - Telecommunication and information exchange between systems - Local and metropolitan area networks - Specific requirements, Part 11: Wireless LAN Medium Access Control(MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications”, IEEE Std 802.11-2007, Revision of IEEE Std 802.11-1999.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
STAは、自動設定でESSID、認証方式、暗号方式、暗号鍵等を取得することができる。一方、STAは、取得したパラメータを用いて接続するネットワークを検索する段階では、ESSID、認証方式、暗号方式等の情報を取得できるが、暗号鍵の情報を取得することができない。
【0012】
よって、STAは、ネットワークを検索する段階では、ESSID、認証方式、暗号方式の一致を確認できるが、暗号鍵の一致を確認することができない。
【0013】
そのため、STAの周囲にESSID、認証方式、暗号方式は同一であるが、暗号鍵が異なるネットワークが混在する環境においては、どのネットワークが所望のネットワークであるか判断することが困難である。その結果、接続処理の段階で暗号鍵の不一致により接続処理が失敗してしまうことがある。このため、トライアンドエラーによって接続完了までの時間が余計にかかるという課題がある。
【0014】
また、自動設定の際に、通信パラメータを提供可能なネットワークが複数検出された場合、これら複数のネットワークが同一の基地局により構築されたものなのか、異なる基地局により構築されたものなのかを判断するのが困難であった。このため、1台の基地局が複数のネットワークを構築している場合であっても、例えばユーザにネットワークを選択させたり、自動設定自体を終了させたりしており、接続処理に時間を要してしまう要因となっていた。
【0015】
上記の課題に鑑み、本発明は、複数のネットワークから接続先となるネットワークを効率的に探索することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成する本発明に係る通信装置は、
通信可能なネットワークを検出する検出手段と、
前記検出手段により複数のネットワークが検出された場合、該検出されたネットワークを構築している基地局を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて接続処理を行う接続手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数のネットワークから接続先となるネットワークを効率的に探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ネットワーク構成図。
【図2】通信装置を構成するブロック図。
【図3】通信装置内のソフトウェア機能ブロック図。
【図4】第1実施形態に係る通信装置の処理手順を示すフローチャート。
【図5】MACアドレスの概念図。
【図6】第1実施形態に係る通信装置のBSSIDフィルタのフローチャート。
【図7】第1実施形態に係る通信装置の第1フィルタのフローチャート。
【図8】第1実施形態に係る通信装置の第2フィルタのフローチャート。
【図9】第1実施形態に係る通信装置間の処理シーケンス図。
【図10】第1実施形態に係るネットワーク構成表。
【図11】第2実施形態に係る通信装置の処理手順を示すフローチャート。
【図12】第3実施形態に係る通信装置の処理手順を示すフローチャート。
【図13】第3実施形態に係る通信装置間の処理シーケンス図。
【図14】第4実施形態に係る通信装置の処理手順を示すフローチャート。
【図15】第4実施形態に係る通信装置の第1フィルタのフローチャート。
【図16】第4実施形態に係る通信装置の第2フィルタのフローチャート。
【図17】第4実施形態に係る通信装置間の処理シーケンス図。
【図18】第4実施形態に係るネットワーク構成表。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本実施形態に係る通信装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、IEEE802.11シリーズに準拠した無線LANシステムを用いた例について説明するが、通信形態は必ずしもIEEE802.11準拠の無線LANには限らない。
【0020】
図1は、本実施形態に係る通信装置(以下、「STA」と称する)、第1の基地局装置(以下、「AP1」と称する)、および第2の基地局装置(以下、「AP2」と称する)を含むネットワークシステムの構成を示す。
【0021】
楕円11は、NW1(Network1)を示しており、AP1により構築可能であり、AP1により管理される無線ネットワークである。NW1は、主にデータ通信用に用いられるネットワークである。楕円12は、NW2(Network2)を示しており、NW1と同様に、AP1により構築可能であり、AP1により管理される無線ネットワークである。NW2は、主に通信パラメータ自動設定に用いられるネットワークである。楕円13は、NW3(Network3)を示しており、AP2が管理する無線ネットワークである。立方体14は、AP1を示しており、AP1は、マルチBSSID機能によりNW1とNW2とを同時に管理している。立方体15はAP2を示しており、NW3を管理している。STA16は、AP1、AP2のいずれの基地局からも電波が伝達可能なエリアに位置している。
【0022】
図2は、通信装置201の構成の一例を表す機能ブロック図である。通信装置201は、表示部202と、制御部203と、記憶部204と、入力部205と、無線部206と、アンテナ制御部207と、アンテナ208とを備える。
【0023】
表示部202は、各種表示を行う表示部であり、LCDやLEDのように視覚で認知可能な情報の出力、あるいはスピーカなどの音出力が可能な機能を有する。制御部203は、記憶部204に記憶される制御プログラムを実行することにより通信装置全体を制御する。記憶部204は、制御部203が実行する制御プログラムを記憶する。後述する各種動作は、記憶部204に記憶された制御プログラムを制御部203が実行することにより行われる。入力部205は、通信パラメータ自動設定の開始をユーザが指示するために使用される。無線部206は、無線通信を行う。アンテナ制御部207は、アンテナ208の動作を制御する。また、アンテナ208は、アンテナ制御部207により制御される。
【0024】
図3は、制御部203が実行するソフトウェア機能ブロックの構成の一例を示す。制御部203が実行するソフトウェア機能ブロックは、無線制御部301と、通信パラメータ自動設定部302とを備える。
【0025】
無線制御部301は、検索部303と、フィルタ処理部304と、チャネル情報取得部305と、セキュリティ選択部306と、データ送信部307と、データ受信部308とを備え、無線部206を制御する。
【0026】
通信パラメータ自動設定部302は、プロトコル処理部309と、識別子取得部310と、モード情報取得部311とを備え、通信パラメータ自動設定を制御する。検索部303は、周囲の通信可能な無線ネットワークを検索する。フィルタ処理部304は、IEEE802.11シリーズで規定されたBSSIDに基づいて、検索部303により検索された1以上の無線ネットワークの中から接続先候補となる無線ネットワークを限定する。チャネル情報取得部305は、接続中のネットワークの無線チャネルの情報を取得する。
【0027】
セキュリティ選択部306は、通信パラメータ自動設定により取得したパラメータと無線ネットワークの検索結果とに基づいてセキュリティ方式を決定する。データ送信部307は、データの送信処理を行う。データ受信部308は、データの受信処理を行う。
【0028】
プロトコル処理部309は、通信パラメータ自動設定のプロトコル処理を実施する。識別子取得部310は、通信パラメータ自動設定のプロトコル処理の過程においてBSSIDを取得する。モード情報取得部311は、通信パラメータ自動設定のプロトコル処理の過程において通信パラメータ自動設定のモード情報を取得する。
【0029】
次に、図4のフローチャートを参照して、STAの通信パラメータ自動設定から接続完了までの処理手順を説明する。
【0030】
S401において、通信パラメータ自動設定部302は、入力部205に入力されたユーザからの指示などをトリガに通信パラメータ自動設定処理を行い、通信パラメータを取得する。通信パラメータは、ESSID(Extended Service Set Identifier)を含んでいる。ESSIDは、無線ネットワークを識別するネットワーク識別子として機能する。また、通信パラメータ自動設定でESSIDを取得する際に、BSSID(Basic Service Set Identifier)も取得する。BSSIDは、無線基地局を識別する基地局識別子(基地局が有する通信部の識別情報)として機能する。例えば、通信パラメータ自動設定に用いられるネットワークであるNW2で、通信用ネットワークであるNW1のESSID、セキュリティ方式などの無線パラメータを取得する。その際に、NW2のBSSIDを併せて取得する。なお、NW2のBSSIDは、AP1を識別する。AP1はマルチBSSID機能を有するので、AP1に関するBSSIDは複数存在する可能性があるが、何れのBSSIDもAP1を識別可能である。
【0031】
S402において、検索部303は、通信パラメータを取得すると周囲の無線ネットワークを検索する。当該検索の際には、取得した通信パラメータに含まれるESSIDを用いて、検索する無線ネットワークを限定してもよい。その場合、取得した通信パラメータに含まれるESSIDと同一のESSIDを有するネットワークが検索され、検索されたネットワークについてBSSIDが取得される。そして検索されたネットワークを構築している基地局を判定する。
【0032】
S403において、検索部303は、検索が完了すると検索により発見できたネットワーク数(以下、「検出数」と称する)が0であるか否かを判定する。検出数が0であると判定された場合(S403;YES)、S402に戻る。一方、検出数が0でないと判定された場合(S403;NO)、S404へ進む。
【0033】
S404において、検索部303は、検出数が1よりも多いか否かを判定する。検出数が1よりも多いと判定された場合(S404;YES)、S405へ進む。一方、検出数が1であると判定された場合(S404;NO)、S407へ進む。
【0034】
S405において、フィルタ処理部304は、BSSIDに基づいて無線ネットワークの検索結果から接続先候補を限定するBSSIDフィルタ処理を行う。BSSIDフィルタ処理の詳細については後述する。
【0035】
S406において、検索部303は、フィルタ処理部304により接続先候補が限定されると、接続候補数が0より多いか否かを判定する(S406)。接続候補数が0より多いと判定された場合(S406;YES)、S407へ進む。一方、接続候補数が0であると判定された場合(S406;NO)、S402に戻る。
【0036】
S407において、制御部203は、上記の判定結果に従って、通信パラメータを利用して接続処理を行う。S408において、制御部203は、接続処理が成功したか否かを判定する。接続処理が成功したと判定された場合(S408;YES)、処理を終了する。一方、接続処理が失敗したと判定された場合(S408;NO)、S402へ戻る。
【0037】
次に図5、図6、図7、および図8を参照して、フィルタ処理部304によるBSSIDフィルタ処理について説明する。図5は、BSSIDに用いられるハードウェアアドレス(以下、「MACアドレス」と称する)のフォーマットを示した概念図である。
【0038】
MACアドレスは48bit長で定義されており、第1乃至第6オクテットにより構成される。第1乃至第3オクテットは、OUI(Organizationally Unique Identifier)部501であり、ベンダ毎に固有の値が割り当てられている。第4乃至第6オクテットはベンダ管理部502であり、ベンダ管理部502に割り当てる値は各ベンダが管理することになっている。
【0039】
第1オクテットの第1ビット(所定のビット)はI/Gビットと呼ばれる。また、第1オクテットの第2ビット(特定のビット)はG/Lビットと呼ばれ、G/Lビットが0であればそのMACアドレスはGlobalアドレスであることを示し、1であればLocalアドレスであることを示す。Localアドレスの場合は、適当なアドレスを割り当てることが可能であるが、アドレスが衝突する可能性があるため、注意が必要となる。
【0040】
マルチBSSID機能では、複数の無線ネットワークを識別するために1台のアクセスポイントが複数のBSSIDを持つ必要がある。また、マルチBSSIDにおけるBSSIDの割り当て方はベンダによって異なっており、以下に2つのBSSIDの割り当て方法を示す。
【0041】
<第1のBSSID割り当て方法>
第1のネットワークのBSSIDを00:11:22:33:44:55とした場合、第2のネットワークのBSSIDには第1のネットワークのBSSIDに以下の処理を行う。第1のネットワークのBSSIDのG/Lビットを1に変更し、同時に第1オクテットのG/L、I/Gビット以外を変化させる。例えば、02:11:22:33:44:55や0A:11:22:33:44:55などが副次的なネットワークのBSSIDとして使用される。
【0042】
<第2のBSSID割り当て方法>
第1のネットワークのBSSIDを00:11:22:33:44:55とした場合、第2のネットワークのBSSIDには第1のネットワークのBSSIDに以下の処理を行う。第1のネットワークのBSSIDの第6オクテットの数値を1加算する。第3のネットワークを構成する場合は第2のネットワークのBSSIDからさらに1加算する。第2のネットワークのBSSIDは00:11:22:33:44:56、第3のネットワークのBSSIDは00:11:22:33:44:57という様になる。これらのマルチBSSIDの仕様を踏まえて、以下にBSSIDフィルタ処理を説明する。
【0043】
図6のフローチャートは、BSSIDフィルタ処理手順を示す。S601において、フィルタ処理部304は、初めに第1フィルタ処理により第1のBSSID割り当て方法に該当する無線ネットワークを接続候補として限定する。S602において、フィルタ処理部304は、次に第2フィルタ処理により第2のBSSID割り当て方法に該当する無線ネットワークを接続候補として限定する。その後、処理を終了する。
【0044】
本実施形態では、第1フィルタと第2フィルタとの双方を用いる方法を例示するが、一方のフィルタのみを用いることも可能である。また、例示したフィルタ以外の方式のフィルタと組み合わせてフィルタリングすることも可能である。
【0045】
図7のフローチャートは、S601における第1フィルタ処理の処理手順を示す。
【0046】
S701において、フィルタ処理部304は、G/Lビットを参照する。S702において、フィルタ処理部304は、初めに通信パラメータ自動設定で取得したBSSIDと、ネットワーク検索で検出されたネットワークのBSSIDと、の何れかのG/Lビットが1であるか否かを判定する。G/Lビットが1のBSSIDがあると判定された場合(S702;YES)、S703へ進む。一方、G/Lビットが1のBSSIDが無いと判定された場合(S702;NO)、処理を終了する。
【0047】
S703において、フィルタ処理部304は、通信パラメータ自動設定で取得したBSSIDの第1オクテット以外と、ネットワーク検索で検出されたネットワークのBSSIDの第1オクテット以外と、を比較する。より具体的には、例えば、通信パラメータ自動設定で取得したBSSIDと、ネットワーク検索で検出されたネットワークのBSSIDとの、G/LビットおよびI/Gビットを除いたBSSIDのビット同士が同一であるかどうかを比較する。
【0048】
S704において、フィルタ処理部304は、第1オクテット以外が同一であるか否かを判定する。第1オクテット以外が同一であると判定された場合(S704;YES)、S705進む。一方、第1オクテット以外が同一でないと判定された場合(S704;NO)、処理を終了する。S705において、フィルタ処理部304は、第1オクテット以外が同一であるネットワークを接続候補として設定する。以上で処理を終了する。
【0049】
図8のフローチャートは、S602における第2フィルタ処理の処理手順を示す。S801において、フィルタ処理部304は、初めに通信パラメータ自動設定で取得したBSSIDのOUI部と、ネットワーク検索で検出されたネットワークのBSSIDのOUI部とを比較する。
【0050】
S802において、フィルタ処理部304は、OUI部同士が同一であるか否かを判定する。OUI部同士が同一であると判定された場合(S802;YES)、S803へ進む。一方、OUI部同士が同一でないと判定された場合(S802;NO)、処理を終了する。
【0051】
S803において、フィルタ処理部304は、ネットワーク検索で検出されたネットワークのBSSIDのベンダ管理部(OUI部以外)を参照する。S804において、フィルタ処理部304は、通信パラメータ自動設定で取得したBSSIDのベンダ管理部を所定の数だけ増減した数値を有効範囲として、ネットワーク検索で検出されたネットワークのBSSIDのベンダ管理部が当該有効範囲内であるか否かを判定する。
【0052】
例えば、通信パラメータ自動設定で取得したBSSIDを00:11:22:33:44:55、所定の値を3とすると、有効範囲は00:11:22:33:44:52〜00:11:22:33:44:58となる。
【0053】
ネットワーク検索で検出されたネットワークのBSSIDのベンダ管理部が当該有効範囲内であると判定された場合(S804;YES)、S805へ進む。一方、ベンダ管理部が当該有効範囲内でないと判定された場合(S804;NO)、処理を終了する。
【0054】
S805において、フィルタ処理部304は、ネットワーク検索で検出されたネットワークを接続候補として設定する。以上で処理を終了する。
【0055】
図9は、STAがAP1のNW2と通信パラメータ自動設定を行い、AP1のNW1に接続する際の処理を示したシーケンス図である。AP1はマルチBSSID機能により、NW1とNW2とを同時に構築しており、NW1を通信用ネットワーク、NW2を通信パラメータ自動設定用ネットワークとしている。AP2はNW3のみを構築している。
【0056】
ここで図10を参照して、各無線ネットワーク(NW1、NW2、およびNW3)の通信パラメータを説明する。NW1はESSIDがAAA、BSSIDが00:11:22:33:44:55である。また、セキュリティ方式はMixedモードにより、WPA1−TKIPとWPA2−TKIPとが同時に動作しており、暗号鍵は両セキュリティ方式共通でXXXとなっている。
【0057】
NW2はESSIDがBBB、BSSIDが02:11:22:33:44:55である。また、セキュリティ方式はOPEN−WEP64であり、暗号鍵はYYYとなっている。NW3はESSIDがAAA、BSSIDが00:AA:BB:CC:DD:EEである。また、セキュリティ方式はMixedモードにより、WPA1−TKIPとWPA2−AESとが同時に動作しており、暗号鍵は両セキュリティ方式共通でZZZとなっている。
【0058】
以上の様にNW1とNW3とはESSIDが同一であり、セキュリティ方式もWPA1−TKIPが共通して使用可能となっている。しかし、暗号鍵は異なる設定となっている。
【0059】
図9において、STAはAP1とNW2とにより、通信パラメータ自動設定を実施する(F901)。また、STAは通信パラメータ自動設定の過程で、NW2のBSSIDを取得する。STAは通信パラメータ自動設定により、ESSID:AAA、セキュリティ方式:WPA1−TKIP、暗号鍵:XXXという通信パラメータを取得する。
【0060】
STAは通信パラメータ自動設定が終わると、取得した通信パラメータに含まれるESSIDと同一の無線ネットワークを検索するため、Probe Requestをブロードキャスト送信する(F902)。Probe RequestにはESSIDを指定することが可能であり、指定された内容と同じESSIDの無線ネットワークのみから応答を受信することが可能である。この例では、Probe RequestにESSIDを指定した際の動作を示すが、ESSIDを指定せずに取得した全ての検索結果から同一のESSIDを検索する方法を用いてもよい。
【0061】
AP1はNW1がProbe Requestに指定されたESSIDと同一であるため、Probe ResponseをSTAに送信する(F903)。AP2もNW1がProbe Requestに指定されたESSIDと同一であるため、同様にProbe ResponseをSTAに送信する(F904)。
【0062】
STAはネットワーク検索が終わると、BSSIDフィルタ処理を実施する(F905)。通信パラメータ自動設定の過程で取得したNW2のBSSIDは02:11:22:33:44:55であり、ネットワーク検索で取得したNW1のBSSIDは00:11:22:33:44:55である。ここで、第1の識別情報(NW2のBSSID)および第2の識別情報(NW1のBSSID)のそれぞれの第1オクテットとは異なる部分である所定の一部同士を比較する。NW2のBSSIDはG/Lビットが1であり、第1オクテット以外の両BSSIDが同一であるため、第1フィルタにおいてNW1が接続候補となる。すなわち、1以上の無線ネットワークのうち、取得されたBSSIDと、検索された際に取得されたBSSIDとの差異が所定の範囲内となる無線ネットワークを接続先候補として限定することになる。
【0063】
一方、NW3は第1フィルタ処理、第2フィルタ処理のいずれによっても、接続候補とはならない。その結果、STAは接続先をNW1に限定し、取得した通信パラメータを用いてNW1と接続処理を実施する(F906)。接続処理が完了するとデータ通信が可能となる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態では、第1の無線ネットワークを構成する基地局の識別情報を示す第1の識別情報(BSSID)を通信パラメータ自動設定処理により取得し(第1の取得処理)、第2の無線ネットワークを構成する基地局の識別情報を示す第2の識別情報(BSSID)をネットワーク検索により取得する(第2の取得処理)。そして、第1の識別情報と第2の識別情報との差異が所定の範囲内であるか否かを判定し、当該差異が所定の範囲内であると判定された場合に、第2の無線ネットワークへの接続処理を実行する。
【0065】
なお本実施形態では、通信パラメータ自動設定直後にBSSIDフィルタを用いた接続処理を例示したが、通信パラメータ自動設定直後は従来の接続処理を実行し、処理の失敗や一定時間の経過をトリガとして処理を切り換えるように構成することも可能である。ここで従来の接続処理としては、ネットワーク検索の結果から電波強度の高いネットワークに優先して接続する方法やチャネルの数値が小さいネットワークから接続する方法などがある。
【0066】
第1実施形態によれば、BSSIDに基づいて接続するネットワークを限定できるため、パラメータ自動設定後の接続処理において意図しないネットワークへの接続を抑止することが可能となる。その結果、接続処理の効率性を向上させることが可能となり、パラメータ自動設定開始から接続完了までの時間を短縮することが可能となる。
【0067】
(第2実施形態)
次に、図面を参照しながら本発明に係る第2実施形態を詳細に説明する。尚、第2実施形態におけるネットワークシステムの構成、通信装置の構成は図1乃至図3を参照して説明した第1実施形態における構成と同じであるため、説明を省略する。
【0068】
図11のフローチャートを参照して、第2実施形態に係るSTAの通信パラメータ自動設定から接続完了までの処理手順を説明する。STAは通信パラメータ自動設定の処理の過程において、通信パラメータ自動設定のモード情報および無線チャネル情報(以下、「チャネル情報」と称する)を取得する能力を有している。
【0069】
S1101において、通信パラメータ自動設定部302は、通信パラメータ自動設定処理を行い、通信パラメータを取得する。チャネル情報取得部305は、通信パラメータ自動設定の過程において、BSSID,通信パラメータ自動設定のモード情報(自動設定方式の種類を示す情報)、およびチャネル情報を取得する。
【0070】
通信パラメータ自動設定処理は、プッシュボタン方式(以下、「プッシュ式」と称する)と認証コード方式など複数のモードを備えている場合があり、通信パラメータ自動設定部302は、いずれのモードにより通信パラメータ自動設定処理を実施したかを記憶しておく。また、無線LANネットワークでは通信に用いるチャネルは固定されており、通信パラメータ自動設定部302は、通信パラメータ自動設定処理を実施した際に使用したチャネル情報を記憶しておく。
【0071】
S1102、S1103の各処理は、S402、S403の各処理と同様であるため説明を省略する。S1104において、検索部303は、ネットワーク検索の結果、検出数が複数であり且つ通信パラメータ自動設定がプッシュ式で実施されたか否かを判定する。検出数が複数であり且つ通信パラメータ自動設定がプッシュ式で実施されたと判定された場合(S1104;YES)、S1105へ進む。一方、検出数が単数であり、または通信パラメータ自動設定がプッシュ式で実施されていない、と判定された場合(S1104;NO)、S1102に戻る。
【0072】
S1105において、フィルタ処理部304は、BSSIDに基づいて無線ネットワークの検索結果から接続先候補を限定するBSSIDフィルタ処理を行う。BSSIDフィルタ処理においては、通信パラメータ自動設定の際に取得したチャネル情報をフィルタの条件として追加する。
【0073】
第1フィルタは、第1のBSSID割り当て方法に該当し、かつ、チャネル情報と同一チャネルである無線ネットワークのみを接続候補とする。第2フィルタも同様に、第2のBSSID割り当て方法に該当し、かつ、チャネル情報と同一チャネルである無線ネットワークのみを接続候補とする。
【0074】
また、チャネル情報によるフィルタの条件追加を第1フィルタ、第2フィルタのどちらか一方のみに適用することも可能であるし、例示した様に双方に適用することも可能である。S1106乃至S1108の各処理は、S406乃至S408の各処理と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
以上、モード情報によるBSSIDフィルタ実施の可否判断の追加と、BSSIDフィルタへのチャネル情報による限定条件の追加とを同時に実施する例について説明したが、どちらか一方のみを適用してもよい。
【0076】
第2実施形態によれば、通信パラメータ自動設定の際に取得したモード情報とチャネル情報とを用いることにより、ネットワーク限定の精度をより向上することが可能となる。その結果、パラメータ自動設定開始から接続完了までの時間を短縮することが可能となる。
【0077】
(第3実施形態)
次に、図面を参照しながら本発明に係る第3実施形態を詳細に説明する。尚、第3実施形態におけるネットワークシステムの構成、通信装置の構成は図1乃至図3を参照して説明した第1実施形態における構成と同じであるため、説明は省略する。
【0078】
図12のフローチャートを参照して、STAの通信パラメータ自動設定から接続完了までの処理手順を説明する。
【0079】
STAは、通信パラメータ自動設定で取得したセキュリティ方式と、ネットワーク検索の結果から判定可能なセキュリティ方式とを比較し、より強固なセキュリティ方式への置き換えが可能であるかを判断する能力を有している。また、複数の接続候補が存在した場合には、その中からセキュリティ方式の情報に基づいて接続先を選択する能力も有している。
【0080】
S1201乃至S1206の各処理はS401乃至S406の各処理と同様であるため、説明を省略する。
【0081】
S1207において、セキュリティ選択部306は、通信パラメータ自動設定で取得したセキュリティ方式と接続候補の無線ネットワークのセキュリティ方式とを比較し、より強固なセキュリティ方式への置き換えが可能であれば、強固なセキュリティ方式を選択する。無線ネットワークのセキュリティ方式はネットワーク検索の結果を用いることで判別することが可能である。また、より強固なセキュリティ方式が存在しなければ通信パラメータ自動設定で取得したセキュリティ方式を用いる。
【0082】
S1208において、制御部203は、通信パラメータ自動設定で取得した通信パラメータと、S1207で選択されたセキュリティ方式とを用いて接続処理を実施する。S1209の処理はS408の処理と同様であるため、説明を省略する。以上で処理が終了する。
【0083】
図13は、第3実施形態におけるSTAがAP1のNW2と通信パラメータ自動設定を行い、AP1のNW1に接続する際の処理を示したシーケンス図である。
【0084】
F1301乃至F1305の各処理は図9におけるF901乃至F905の各処理と同様であるため、説明を省略する。
【0085】
F1305の処理の後、セキュリティ選択部306は、STAは通信パラメータ自動設定で取得したセキュリティ方式と、F1303のProbe Responseから判別したNW1のセキュリティ方式とを比較し、セキュリティ方式を選択する(F1306)。NW1のセキュリティ方式はWPA1−TKIPおよびWPA2−TKIPであり、取得したセキュリティ方式はWPA1−TKIPであるため、よりセキュリティ強度の高いWPA2−TKIPへの置き換えが可能である。そのため、STAはWPA2−TKIPを接続処理に用いるセキュリティ方式として選択する。
【0086】
そして、STAはF1306で選択したセキュリティ方式を用いてNW1へ接続処理を行う(F1307)。接続処理が完了するとデータ通信が可能となる。
【0087】
本実施形態では、第1実施形態にセキュリティ選択処理を追加することにより、より高いセキュリティでデータ通信を実施する方法を例示した。また、第2実施形態で例示した処理にも同様にセキュリティ選択を追加することが可能であり、本実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0088】
以上説明したように、本実施形態では、ネットワーク識別子と、第1のセキュリティ方式の情報と、当該第1のセキュリティ方式に対応する暗号鍵と、を取得する。そして、取得されたネットワーク識別子に対応するネットワークを検索し、検索されたネットワークが、第1のセキュリティ方式よりもセキュリティ強度の高い第2のセキュリティ方式に対応している場合に、取得した暗号鍵を第2のセキュリティ方式に適用してネットワークへの接続処理を実行する。
【0089】
第3実施形態によれば、BSSIDフィルタによりネットワークを限定した上でセキュリティ方式の置換が可能であるかを判断するため、選択されるセキュリティ方式を間違える可能性を低減することができる。よって、セキュリティの向上及びパラメータ自動設定開始から接続完了までの時間の短縮化を実現するこが可能となる。
【0090】
(第4実施形態)
次に、図面を参照しながら本発明に係る第4実施形態を詳細に説明する。尚、第4実施形態におけるネットワークシステムの構成、通信装置の構成は図1乃至図3を参照して説明した第1実施形態における構成と同じであるため、説明は省略する。本実施形態では通信パラメータ自動設定を実施する際に通信パラメータ自動設定の方式選択の処理手順、及び通信パラメータ自動設定を実施するために接続するネットワークを選択する処理手順を説明する。
【0091】
図14のフローチャートを参照して、STAが実行可能な通信パラメータ自動設定をネットワーク検索から判定して、通信パラメータ自動設定を実施するために接続するまでの処理手順を説明する。
【0092】
S1401において、検索部303は、図4のS402と同様に周囲の無線ネットワークを検索する。無線ネットワークの検索は、Probe Requestを送信したことに対する返信として、Probe Responseを受信することにより実施可能である。また、Beaconを受信することにより無線ネットワーク情報を取得することも可能である。
【0093】
S1402において、通信パラメータ自動設定部302は、S1401で取得した無線ネットワーク情報により、各無線ネットワークで実施可能な通信パラメータ自動設定の設定方式を判定する。判定の結果、実施可能と判断された無線ネットワークのみを検索結果として残し、それ以外は破棄しても良い。
【0094】
無線ネットワーク情報から実施可能な通信パラメータ自動設定を判別する方法は複数存在する。一例として、Probe Requestに含まれるIE(Information Elements)の特定の値を参照することにより判別可能な通信パラメータ自動設定方法が存在する。また、Probe Requestに含まれるESSIDが所定の識別子であるか否かにより判別可能な通信パラメータ自動設定方法も存在する。なおここではIEとESSIDにより判別する方法を例示したが、これ以外の方法を用いてもよい。S1402では、各判別方法を適用して周囲の無線ネットワークから通信パラメータ自動設定が実施可能なネットワークを特定することが可能である。
【0095】
S1403において、検索部303は、S1402の処理の結果、実施可能なネットワークの検索数が1以上であるか否かを判定する。検索数が1以上であると判定された場合(S1403;YES)、S1404へ進む。一方、検索数が0であると判定された場合(S1403;NO)、S1401へ戻る。
【0096】
S1404において、フィルタ処理部304は、BSSIDフィルタ処理を実施する。BSSIDフィルタ処理は、図6のS601−S602と同様である。また、第1実施形態と同様に図6に例示した一方のフィルタのみを用いることも可能である。また、例示したフィルタ以外の方式のフィルタと組み合わせてフィルタリングすることも可能である。なお、S601の第1フィルタ処理、S602の第2フィルタ処理の詳細については、それぞれ図15および図16の各フローチャートを参照して後述する。
【0097】
S1405において、通信パラメータ自動設定部302は、S1404のBSSIDフィルタ処理の結果、単一の無線ネットワークのみが通信パラメータ自動設定を実施可能であるか否か、または、複数の無線ネットワークが実施可能であるが全てのネットワークが単一の基地局により構築されたネットワークであるか否か、を判定する。S1405の判定の結果、複数の基地局で通信パラメータ自動設定が実施可能である場合(S1405;NO)、ユーザが希望する通信パラメータ自動設定を一意に判定することができないため、処理を終了する。この理由は、複数の基地局において通信パラメータ自動設定が実施可能である場合は、ユーザがどの基地局との通信パラメータ自動設定実施を意図しているかをネットワーク検索からは判断できないためである。一方、S1405の判定の結果、単一の基地局のみで通信パラメータ自動設定が実施可能である場合(S1405;YES)、S1406へ進む。
【0098】
S1406において、通信パラメータ自動設定部302は、通信パラメータ自動設定の設定方式を選択する。基地局で実施可能な設定方式が単一の場合は、その設定方式を選択する。また、該基地局で実施可能な設定方式が複数の場合は、複数の設定方式の中から所定のポリシーに従って設定方式を選択する。ポリシーとしては、通信パラメータ自動設定のセキュリティ性が高い設定方式を優先して選択する方法や、複数の通信パラメータが取得可能な接続性が高い設定方式を優先して選択する方法を用いてもよいし、これら以外の方法を用いることも可能である。
【0099】
S1407において、制御部203は、設定方式を決定すると通信パラメータ自動設定を実行するために無線ネットワークへ接続する。この際に接続する無線ネットワークは、S1406で選択された設定方式が実施可能な無線ネットワークである。
【0100】
S1408において、通信パラメータ自動設定部302は、接続が完了すると各設定方式のプロトコルに従い、通信パラメータ自動設定処理を実行する。以上で図14のフローチャートの処理が終了する。 ここで図15のフローチャートは、第4実施形態における第1フィルタ処理の処理手順を示す。S1501−S1504の各処理は、図7のS701−S704の各処理と同様である。ただし、S1501−S1504ではネットワーク検索で検出された各無線ネットワーク同士を比較する点が異なる。
【0101】
S1505において、フィルタ処理部304は、S1504で第1オクテット以外が同一であると判断された場合、比較した2つのネットワークが単一の基地局により構築された無線ネットワークであると判定する。なお図15では、図7と同様にG/Lビットが1の場合に第1オクテット以外のBSSIDを比較する方法を例示したが、G/Lビットの値に関わらず第1オクテット以外のBSSIDを比較してもよく、所定の一部を除くBSSIDが同一であることを確認可能な他の方法を用いてもよい。
【0102】
また図16のフローチャートは、第4実施形態における第2フィルタ処理の処理手順を示す。図16のS1601−S1604の各処理は図8のS801−S804と同様である。但し、S1601−S1604ではネットワーク検索で検出された各無線ネットワーク同士を比較する点が異なる。
【0103】
S1605において、フィルタ処理部304は、S1604でBSSIDのベンダ管理部が当該有効範囲内であると判定された場合、比較した2つのネットワークが単一の基地局により構築された無線ネットワークであると判定する。なお図16では、OUI部が同一である場合にベンダ管理部を比較する方法を例示したが、BSSIDの第6オクテットの下位数ビット以外を比較してもよく、有効範囲内であることを確認可能な他の方法を用いてもよい。
【0104】
図17は、STAがネットワーク検索によりAP1がNW1及びNW2で通信パラメータ自動設定を実施可能であると判断し、NW2に接続する際の処理を示したシーケンス図である。AP1はマルチBSSID機能により、NW1とNW2とを同時に構築しており、NW1とNW2共に通信パラメータ自動設定を実施可能であるものとする。一方、AP2はNW3のみを構築しており、通信パラメータ自動設定は実施不可であるものとする。図17の処理の詳細は後述する。
【0105】
ここで図18を参照して、各無線ネットワーク(NW1、NW2、およびNW3)の通信パラメータおよび通信パラメータ自動設定の状態を説明する。NW1はESSIDがAAA、BSSIDが00:11:22:33:44:55である。また、通信パラメータ自動設定の設定方式はType−Aが実施可能となっており、Type−Aの設定方式をネットワーク検索から判別する方法はIEとなっている。IEから通信パラメータ自動設定が実施可能か否かを判定可能なプロトコルの例としては、WPSが存在する。
【0106】
さらにNW2はESSIDがtypeB、BSSIDが02:11:22:33:44:55である。また、通信パラメータ自動設定の設定方式はType−Bが実施可能となっており、Type−Bの設定方式をネットワーク検索から判別する方法はESSIDとなっている。この例ではESSIDがtypeBであることによりType−Bの設定方式が実施可能であることを判別可能である。
【0107】
一方、NW3はESSIDがAAA、BSSIDが00:AA:BB:CC:DD:EEである。また、通信パラメータ自動設定は実施不可な状態となっている。したがって、識別情報も無しになっている。
【0108】
以上説明したようにAP1がNW1とNW2を構築しており、NW1でType−Aの設定方式、NW2でType−Bの設定方式が実施可能な状態となっている。また、Type−AはType−Bと比較してセキュリティ性が高く、Type−BはType−Aと比較して接続性が高いものとする。
【0109】
次に図17のシーケンス処理の詳細を説明する。STAは無線ネットワークを検索するため、Probe Requestをブロードキャスト送信する(F1701)。AP1はNW1のProbe ResponseをSTAに送信し(F1702)、さらにNW2のProbe ResponseもSTAに送信する(F1703)。AP2もNW3のProbe ResponseをSTAに送信する(F1704)。
【0110】
F1702のProbe Responseには、ESSIDやセキュリティ方式の情報に加え、Type−A設定方式のIEが付与されている。また、F1703のProbe Responseには、ESSIDとしてtypeBが設定される。STAは各APからProbe Responseを受信すると各NWで通信パラメータ自動設定が実施可能であるかを判断する(F1705)。この例では、NW1から受信したProbe ResponseのIEを参照することで、NW1においてType−Aの設定方式が実行可能であると判断する。そして、NW2から受信したProbe ResponseのESSIDを参照することで、NW2においてType−Bの設定方式が実行可能であることを判断する。また、NW3から受信したProbe Responseを参照することで、NW3においては通信パラメータ自動設定が実行できないことを判断する。
【0111】
設定方式の判定処理が終わると、BSSIDフィルタ処理を実施する(F1706)。NW2のBSSIDは02:11:22:33:44:55であり、NW1のBSSIDは00:11:22:33:44:55である。NW1およびNW2のBSSIDはG/Lビットが1であり、第1オクテット以外の両BSSIDが同一であるため、第1フィルタにおいてNW1とNW2は同一の基地局(この例ではAP1)により構築された無線ネットワークであると判断する。すなわち、1以上の無線ネットワークのうち、検索で取得した各ネットワークのBSSIDとの差異が所定の範囲内となる無線ネットワークを同一の基地局により構築された無線ネットワークであると判断することになる。
【0112】
BSSIDフィルタの処理が終わると、通信パラメータ自動設定の多重起動判定処理を行う(F1707)。BSSIDフィルタにより、NW1とNW2は同一のAPにより構築されたネットワークであると認識されているため、通信パラメータ自動設定処理では単一のAPのみが実施していると判定する。仮にNW2ではなくNW3がType−Bの設定方式が実施可能な状況では、通信パラメータ自動設定が複数のAPで実施可能であると判断し、処理を終了する。この際に複数のAPにより通信パラメータ自動設定が実行されているために失敗したことをユーザに通知することで、一定時間経過してから再度実行するようにユーザを促すことも可能である。
【0113】
多重起動判定処理が終了すると、通信パラメータ自動設定の設定方式が選択される(F1708)。STAは所定のポリシーに従い、接続性を優先してType−Bを選択する。STAは設定方式としてType−Bを選択すると、通信パラメータ自動設定を実施するためにNW2への接続処理を実施する(F1709)。接続処理が完了するとType−Bの設定方式プロトコルに従い、ネットワークに接続するための通信パラメータの共有処理を行い、通信パラメータ自動設定の処理を実行する(F1710)。
【0114】
以上説明したように、本実施形態では、S401に示されるように、第1の無線ネットワークを構成する基地局の識別情報を示す第1の識別情報(BSSID)をネットワーク検索により取得し(第1の取得処理)、第2の無線ネットワークを構成する基地局の識別情報を示す第2の識別情報(BSSID)もネットワーク検索により取得する(第2の取得処理)。そして、S405に示されるように、第1の識別情報と第2の識別情報との差異が所定の範囲内であるか否かを判定し、当該差異が所定の範囲内であると判定された場合に、S407に示されるように、第2の無線ネットワークへの接続処理を実行する。このように第4実施形態では、通信パラメータ自動設定が実施可能な複数の無線ネットワークが同一での基地局で構成されているか否かを判断する方法を例示した。
【0115】
第4実施形態によれば、BSSIDフィルタにより通信パラメータ自動設定が実行可能な複数の無線ネットワークが同一の基地局で構築されたネットワークであるかを判定することができる。すなわち、ネットワーク検索された複数の無線ネットワークを、BSSIDフィルタにより限定することができるため、通信パラメータ自動設定を実施する基地局をより正確に限定することが可能となる。これにより接続に要する時間を短縮することができる。
【0116】
以上説明してきたように、本発明によれば、接続するネットワークを、自動設定を実施したAPが構築するネットワークに限定することが可能となるため、接続処理に要する時間を短縮することが可能となる。さらに、通信パラメータ自動設定の設定方式をネットワーク検索により限定する際に通信パラメータ自動設定を実施する基地局をより正確に限定することが可能となる。そのため、接続に要する時間を短縮することができる。
【0117】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信可能なネットワークを検出する検出手段と、
前記検出手段により複数のネットワークが検出された場合、該検出されたネットワークを構築している基地局を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて接続処理を行う接続手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
ネットワークに接続するための通信パラメータを所定の基地局から取得する取得手段を更に有し、
前記判定手段は、前記検出手段により検出されたネットワークを構築している基地局が前記所定の基地局であるか否かを判定し、
前記接続手段は、前記判定手段による判定結果に応じて、前記通信パラメータを利用して接続処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記検出手段により検出されたネットワークを構築している基地局が前記所定の基地局であると前記判定手段により判定され、前記所定の基地局が第1のネットワークと該第1のネットワークよりもセキュリティ強度の高い第2のネットワークを構築している場合、前記接続手段は前記第2のネットワークに接続する
ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記検出手段により検出されたネットワークを構築している基地局が有する通信部の第1の識別情報と、前記所定の基地局が有する通信部の第2の識別情報とを比較し、前記第1の識別情報と前記第2の識別情報の差異が所定の範囲内である場合に、前記検出手段により検出されたネットワークを構築している基地局が前記所定の基地局であると判定する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記検出手段により検出された複数のネットワークを構築している基地局が同一であると前記判定手段により判定された場合に前記接続手段は接続処理を行い、
当該複数のネットワークを構築している基地局が同一でないと前記判定手段により判定された場合には前記接続処理は接続処理を行わない
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記接続手段による接続処理が行われた後に、ネットワークに接続するための通信パラメータの共有処理を行う共有処理手段を更に有することを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記検出手段により検出された第1のネットワークを構築している基地局が有する通信部の第1の識別情報と、前記検出手段により検出された第2のネットワークを構築している基地局が有する通信部の第2の識別情報とを比較し、前記第1の識別情報と前記第2の識別情報の差異が所定の範囲内である場合に、前記第1のネットワークを構築している基地局と前記第2のネットワークを構築している基地局が同一であると判定する
ことを特徴とする請求項5または6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記第1の識別情報および前記第2の識別情報は、IEEE802.11シリーズで規定されたBSSIDであることを特徴とする請求項4または7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記判定手段は、前記第1の識別情報および第2の識別情報の所定の一部が同一である場合に、前記差異が所定の範囲内であると判定することを特徴とする請求項4、7および8の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記所定の一部は、前記第1の識別情報および第2の識別情報のそれぞれの第1オクテットとは異なる部分であることを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記所定の一部は、前記第1の識別情報および第2の識別情報のそれぞれのOUI部であることを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項12】
検出手段と、判定手段と、接続手段とを備える通信装置の制御方法であって、
前記検出手段が、通信可能なネットワークを検出する検出工程と、
前記判定手段が、前記検出工程により複数のネットワークが検出された場合、該検出されたネットワークを構築している基地局を判定する判定工程と、
前記接続手段が、前記判定工程による判定結果に応じて接続処理を行う接続工程と、
を有することを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の通信装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−199906(P2012−199906A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−17271(P2012−17271)
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】