説明

通信装置、通信装置の探索方法、及びプログラム

【課題】予め機能が通知されていない場合にも、条件に合致する通信装置を探索する。
【解決手段】探索要求受信部11が受信した探索要求が自装置を探索するものでない場合、探索要求転送部16は、当該探索要求を他の通信装置に転送する。他方、探索要求受信部16が受信した探索要求が自装置を探索するものである場合、応答送信部14は、当該探索要求に対する応答を探索要求の送信元に送信する。また、探索要求転送部が転送した探索要求に対する応答を受信した場合、応答転送部18は、当該応答を探索要求の送信元に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信装置の探索方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機器間を無線LAN(Local Area Network)で簡易に接続する方式として、Wi−Fi(登録商標) P2Pという方式がある。この方法は、アクセスポイントを用意しなくても、無線LAN機能を有する端末同士を接続し、通信を可能にするものである。類似の方法として、アドホックモードによる通信が挙げられるが、アドホックモードはWPA(Wi−Fi Protected Access)のようなセキュリティ機能の提供がないことや、省電力機能に対応した端末が少ないことなど、使い勝手の面に問題があった。
【0003】
Wi−Fi P2Pでは、従来のインフラストラクチャーモード機能を一部流用し、接続する機器のうち1つが疑似アクセスポイント機能を有することで、他の機器がクライアントとして接続することを可能としている。このとき、疑似アクセスポイントとして動作する端末はGO(Group Owner)と呼ばれ、そこに接続する機器はP2Pクライアントと呼ばれる。また、このネットワークをP2Pグループと呼ぶ。
【0004】
Wi−Fi P2Pに接続している機器を探索する場合、P2P機能を有する機器がお互いに探索するパケットを送信する。外部の機器からの探索要求があった場合、まずGOが当該外部の機器に対して機器探索に対する応答を行い、また探索対象となっている種類の端末に対して探索されている旨通知を送信する。
【0005】
なお、特許文献1には、外部の機器のコンテキスト情報をP2Pに接続されたピアノードに登録する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−260703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
GOが一括して機器探索に対応する場合、P2Pクライアント予め自装置の機能をGOに通知しておく必要がある。例えば、プリンタをGOとするP2Pグループにおいて、当該P2Pグループに接続するPCが、ルータ機能を有する装置を探索しようとする場合、プリンタが携帯電話を示す応答をPCに通知するためには、予め携帯電話等の装置がルータ機能を有することをプリンタに通知しておく必要がある。携帯電話のように複数の機能を有し、かつ利用者が後から機能を追加できたり機能を動的に切り替えることができる機器が多いため、予め全ての機器の全ての機能がGOに通知されているとは限らない。このような場合、GOによる機器探索機能によって応答が得られないため、外部の機器がsocial channelでの機器探索を定期的に行う必要があった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、予め機能が通知されていない場合にも、条件に合致する通信装置を探索することができる通信装置、通信装置の探索方法、及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、所定の条件に合致する通信装置の探索を要求する探索要求を受信する探索要求受信部と、前記探索要求受信部が受信した探索要求が自装置を探索するものでない場合、当該探索要求を他の通信装置に転送する探索要求転送部と、前記探索要求受信部が受信した探索要求が自装置を探索するものである場合、当該探索要求に対する応答を前記探索要求の送信元に送信する応答送信部と、前記探索要求転送部が前記探索要求を転送した転送先から前記探索要求に対する応答を受信した場合に、当該応答を、前記探索要求の送信元に転送する応答転送部とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、複数の通信装置の中から所定の条件に合致する通信装置を探索する通信装置の探索方法であって、前記通信装置の探索要求受信部は、所定の条件に合致する通信装置の探索を要求する探索要求を受信し、前記通信装置の探索要求転送部は、前記探索要求受信部が受信した探索要求が自装置を探索するものでない場合、当該探索要求を他の通信装置に転送し、前記通信装置の応答送信部は、前記探索要求受信部が受信した探索要求が自装置を探索するものである場合、当該探索要求に対する応答を前記探索要求の送信元に送信し、前記通信装置の応答転送部は、前記探索要求転送部が前記探索要求を転送した転送先から前記探索要求に対する応答を受信した場合に、当該応答を、前記探索要求の送信元に転送することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、通信装置を、所定の条件に合致する通信装置の探索を要求する探索要求を受信する探索要求受信部、前記探索要求受信部が受信した探索要求が自装置を探索するものでない場合、当該探索要求を他の通信装置に転送する探索要求転送部、前記探索要求受信部が受信した探索要求が自装置を探索するものである場合、当該探索要求に対する応答を前記探索要求の送信元に送信する応答送信部、前記探索要求転送部が前記探索要求を転送した転送先から前記探索要求に対する応答を受信した場合に、当該応答を、前記探索要求の送信元に転送する応答転送部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自装置が条件に合致しない場合は探索要求を他の装置に送信し、他の装置が合致する通信装置を見つけた場合に、当該他の端末から受信した応答を転送する。これにより、予め機能が通知されていない場合にも、条件に合致する通信装置を探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による通信システムの構成の一例を示す図である。
【図2】通信装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】通信装置の探索方法を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態による通信装置の探索要求処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による通信システムの構成の一例を示す図である。
本実施形態による通信システムは、複数の通信装置10−1〜10−6(以下、通信装置10−1〜10−6を総称する場合は通信装置10と表記する)を備える。通信装置10は、無線により他の通信装置10との通信を行う。
通信装置10−1〜10−4は、P2PグループであるグループAに属しており、通信装置10−1は、グループAのGOである。また、通信装置10−4〜10−6は、P2PグループであるグループBに属しており、通信装置10−4は、グループBのGOである。
【0015】
ここで、外部装置20がWi−Fi P2Pに接続している通信装置10のうち所望の機能を有する通信装置10を探索する場合、GOである通信装置10が、外部装置20から探索要求を受信し、当該探索要求に対する応答を外部装置20に送信する。これにより、外部装置20はWi−Fi P2Pに接続している所望の通信装置10を特定し、特定した通信装置10との通信を行うことができる。
【0016】
図2は、通信装置10の構成を示す概略ブロック図である。
通信装置10は、探索要求受信部11、特徴記憶部12、判定部13、応答送信部14、グループ記憶部15、探索要求転送部16、応答受信部17、応答転送部18を備える。
探索要求受信部11は、他の通信装置10または外部装置20から、所定の条件に合致する通信装置10の探索を要求する探索要求を受信する。探索要求には、探索の条件を示す情報が含まれる。
特徴記憶部12は、少なくとも自装置の特徴を示す特徴情報を、自装置の識別情報に関連付けて記憶する。なお、他の通信装置10の特徴情報を取得し得た場合は、当該他の通信装置10の識別情報に関連付けて特徴情報を記憶しても良い。
判定部13は、探索要求が示す探索の条件が、特徴記憶部12が記憶する自装置または他の通信装置10の特徴情報に合致するか否かを判定する。
応答送信部14は、判定部13によって探索要求が自装置または他の通信装置10の特徴情報に合致すると判定された場合、当該探索要求に対する応答として、合致した特徴情報に関連付けられた通信装置10の識別情報を探索要求の送信元に送信する。
グループ記憶部15は、自装置がGO(代表)であるグループに属する他の通信装置10の識別情報を記憶する。つまり、通信装置10−1は、グループ記憶部15に通信装置10−2〜10−4の識別情報を記憶し、通信装置10−4は、グループ記憶部15に通信装置10−5、10−6の識別情報を記憶する。
探索要求転送部16は、判定部13によって探索要求が自装置及び他の通信装置10の何れの特徴情報にも合致しないと判定された場合、当該探索要求をグループ記憶部15が記憶する識別情報が示す他の通信装置10に転送する。
応答受信部17は、他の通信装置10から、探索要求転送部16が転送した探索要求に対する応答を受信する。
応答転送部18は、応答受信部17が受信した応答を、探索要求受信部11が受信した探索要求の送信元に転送する。
【0017】
次に、通信システムにおける通信装置10の探索方法について説明する。
図3は、通信装置10の探索方法を示すフローチャートである。
通信装置10の探索要求受信部11が、他の通信装置10または外部装置20から探索要求を受信すると(ステップS1)、判定部13は、特徴記憶部12が記憶する特徴情報を読み出し、当該特徴情報の中に探索要求が示す条件に合致するものが存在するか否かを判定する(ステップS2)。
【0018】
判定部13が、読み出した特徴情報の中に探索要求が示す条件に合致するものが存在すると判定した場合(ステップS2:YES)、当該特徴情報に関連付けられた通信装置10の識別情報を応答送信部14に出力する。応答送信部14は、判定部13から受け付けた識別情報を含む応答を、探索要求受信部11が受信した探索要求の送信元に送信し(ステップS3)、処理を終了する。
【0019】
他方、判定部13が、読み出した特徴情報の中に探索要求が示す条件に合致するものが存在しないと判定した場合(ステップS2:NO)、探索要求転送部16は、グループ記憶部15が記憶する識別情報を読み出し、当該識別情報が示す通信装置10に、探索要求受信部11が受信した探索要求を転送する(ステップS4)。このとき、送信先の通信装置10が省電力動作状態にある場合は、当該通信装置10が探索要求を受信できるタイミングで探索要求を送信する。
探索要求転送部16が探索要求を転送すると、応答受信部17は、当該探索要求に対する応答の受信を待機する(ステップS5)。応答受信部17は、探索要求に対する応答を受信した場合(ステップS5:YES)、応答転送部18は、探索要求受信部11が受信した探索要求の送信元に受信した応答を転送し(ステップS6)、処理を終了する。他方、応答受信部17は、所定の時間が経過しても探索要求に対する応答を受信しなかった場合(ステップS5:NO)、通信装置10は、処理を終了する。
【0020】
図4は、本実施形態による通信装置10の探索要求処理の一例を示すシーケンス図である。
ここで、外部装置20が通信システムに対して通信装置10の探索要求を行う例について説明する。本例では、外部装置20が要求する条件に合致する通信装置10が通信装置10−6であるものとする。また、通信装置10−1は自装置の特徴情報に加えて他の通信装置10の特徴情報を記憶しており、通信装置10−4は自装置の特徴情報のみを記憶しているものとする。
外部装置20が探索要求を送信すると(ステップS11)、通信装置10−1の探索要求受信部11は、当該探索要求を受信する(ステップS12)。通信装置10−1の判定部13は、特徴記憶部12が記憶する特徴情報、すなわち通信装置10−1〜10−4の特徴情報と探索要求が示す条件とを比較する。通信装置10−1〜10−4は、条件に合致しないため(ステップS13)、通信装置10−1の探索要求転送部16は、通信装置10−2〜10−4に探索要求を転送する(ステップS14)。
【0021】
通信装置10−4の探索要求受信部11は、通信装置10−1から探索要求を受信すると(ステップS15)、通信装置10−4の判定部13は、特徴記憶部12が記憶する特徴情報、すなわち通信装置10−4の特徴情報と探索要求が示す条件とを比較する。通信装置10−4は、条件に合致しないため(ステップS16)、通信装置10−4の探索要求転送部16は、通信装置10−5、10−6に探索要求を転送する(ステップS17)。
【0022】
通信装置10−6の探索要求受信部11は、通信装置10−4から探索要求を受信すると(ステップS18)、通信装置10−6の判定部13は、特徴記憶部12が記憶する特徴情報、すなわち通信装置10−6の特徴情報と探索要求が示す条件とを比較する。通信装置10−6は、条件に合致するため(ステップS19)、通信装置10−6の応答送信部14は、通信装置10−6の識別情報を含む応答を、探索要求の送信元である通信装置10−4に送信する(ステップS20)。
【0023】
通信装置10−4の応答受信部17は、通信装置10−6から応答を受信すると(ステップS21)、探索要求受信部11が受信した探索要求の送信元である通信装置10−1に当該応答を転送する(ステップS22)。
通信装置10−1の応答受信部17は、通信装置10−4から応答を受信すると(ステップS23)、探索要求受信部11が受信した探索要求の送信元である外部装置20に当該応答を転送する(ステップS24)。そして、外部装置20はステップS11で送信した探索要求に対する応答を通信装置10−1から受信する(ステップS25)。
【0024】
このように、本実施形態による通信装置10は、自装置が条件に合致しない場合は探索要求を他の通信装置10に送信し、他の通信装置10が合致する通信装置10を見つけた場合に、当該他の端末から受信した応答を転送する。これにより、予め他の通信装置10の機能が通知されていない場合にも、条件に合致する通信装置10を探索することができる。
【0025】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、Wi−Fi P2Pに接続する全ての通信装置10が図3に示す処理を実行する場合について説明したが、これに限られず、探索要求を受信したときにsocial channelでの探索を行う通信装置を一部含んでいても良い。
【0026】
上述の通信装置10は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0027】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0028】
10…通信装置 11…探索要求受信部 12…特徴記憶部 13…判定部 14…応答送信部 15…グループ記憶部 16…探索要求転送部 17…応答受信部 18…応答転送部 20…外部装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の条件に合致する通信装置の探索を要求する探索要求を受信する探索要求受信部と、
前記探索要求受信部が受信した探索要求が自装置を探索するものでない場合、当該探索要求を他の通信装置に転送する探索要求転送部と、
前記探索要求受信部が受信した探索要求が自装置を探索するものである場合、当該探索要求に対する応答を前記探索要求の送信元に送信する応答送信部と、
前記探索要求転送部が前記探索要求を転送した転送先から前記探索要求に対する応答を受信した場合に、当該応答を、前記探索要求の送信元に転送する応答転送部と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
自装置が代表するグループに属する他の通信装置の識別情報を記憶するグループ記憶部を備え、
前記探索要求転送部は、前記探索要求受信部が受信した探索要求が自装置を探索するものでない場合、当該探索要求を前記グループ記憶部が記憶する識別情報が示す他の通信装置に転送する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
他の通信装置の識別情報に関連付けて当該通信装置の特徴を示す特徴情報を記憶する特徴記憶部を備え、
前記探索要求転送部は、前記探索要求受信部が受信した探索要求が自装置を探索するものでなく、かつ前記探索要求が示す条件と前記特徴記憶部が記憶する何れの特徴情報とも合致しない場合、当該探索要求を他の通信装置に転送し、
前記応答送信部は、前記探索要求受信部が受信した探索要求が自装置を探索するものである場合、当該探索要求に対する応答を前記探索要求の送信元に送信し、前記特徴記憶部が記憶する特徴情報の中に前記探索要求が示す条件と合致するものがある場合、当該特徴情報に関連付けられた通信装置を示す応答を前記探索要求の送信元に送信する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
複数の通信装置の中から所定の条件に合致する通信装置を探索する通信装置の探索方法であって、
前記通信装置の探索要求受信部は、所定の条件に合致する通信装置の探索を要求する探索要求を受信し、
前記通信装置の探索要求転送部は、前記探索要求受信部が受信した探索要求が自装置を探索するものでない場合、当該探索要求を他の通信装置に転送し、
前記通信装置の応答送信部は、前記探索要求受信部が受信した探索要求が自装置を探索するものである場合、当該探索要求に対する応答を前記探索要求の送信元に送信し、
前記通信装置の応答転送部は、前記探索要求転送部が前記探索要求を転送した転送先から前記探索要求に対する応答を受信した場合に、当該応答を、前記探索要求の送信元に転送する
ことを特徴とする通信装置の探索方法。
【請求項5】
通信装置を、
所定の条件に合致する通信装置の探索を要求する探索要求を受信する探索要求受信部、
前記探索要求受信部が受信した探索要求が自装置を探索するものでない場合、当該探索要求を他の通信装置に転送する探索要求転送部、
前記探索要求受信部が受信した探索要求が自装置を探索するものである場合、当該探索要求に対する応答を前記探索要求の送信元に送信する応答送信部、
前記探索要求転送部が前記探索要求を転送した転送先から前記探索要求に対する応答を受信した場合に、当該応答を、前記探索要求の送信元に転送する応答転送部
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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