説明

通信装置およびプログラム

【課題】無線音声通信と無線データ通信とに対応した通信装置を提供すること。
【解決手段】多機能機10は、通信先機器との間での音声信号の電話回線網100を介した通信を行うモデム部15を備える。また、AP51との間でのデータ信号の無線通信221を行う無線通信制御回路11を備える。また、無線通信制御回路11の動作を制御するCPU16を備える。CPU16は、無線通信制御回路11をWPAN201およびWLAN202として機能させる。WPAN201を使用することにより、子機2とモデム部15との間での音声信号の無線通信211が行われる。またWLAN202を使用することにより、AP51との間での前記データ信号の無線通信221が行われる。WPAN201およびWLAN202は、同時に使用可能とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、無線音声通信と無線データ通信とに対応した通信装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルコードレス電話の親機と、WLAN(Wireless Local Area Network)とを搭載した通信システムが知られている。このような通信システムでは、デジタルコードレス電話の通話処理と、WLANによるデータ通信処理とを同時に行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−249973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の通信システムでは、デジタルコードレス電話の親機とWLANとの両方を搭載しているため、製造コストが高くなる。
【0005】
また、音声通話用の子機の通信をWLANで行い、子機と通信装置との間でWLAN通信を直接行うアドホックモードでの構成にすることもできる。これにより、通信装置にデジタルコードレス電話の親機を備える必要がなくなる。しかしこの場合、子機の使用期間中は、WLAN回線が子機に専有される。よって、無線音声通話機器の通話処理と、WLANによるデータ通信処理(インフラストラクチャーモード)とを同時に行うことができなくなる。
【0006】
また、音声通話用の子機の通信をWLANで行い、子機と通信装置とがアクセスポイントを介してWLAN通信(インフラストラクチャーモード)を行う構成にすることもできる。これにより、通信装置にデジタルコードレス電話の親機を備える必要がなくなる。また、アクセスポイントを使用しているため、無線音声通話機器の通話処理と、WLANによるデータ通信処理とを同時に行うことができる。しかしこの場合、セキュリティ強度がアクセスポイントによって決定されてしまう。また、電話の通話内容が共有のアクセスポイントを経由することになるため、通話が傍受されるおそれが発生する。よって、通話のセキュリティを確保することが困難となる。本明細書では、このような不便性を解消することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の通信装置は、通信先機器との間での音声信号の通信回線を介した通信を行う通信部を備える。外部装置との間でのデータ信号の無線通信を行う無線通信部を備える。無線通信部の動作を制御する制御部を備える。制御部は、無線通信部を使用して音声通話機器と通信部との間での音声信号の無線通信を行うことで、無線通信部を第1の通信手段として機能させる。また、制御部は、無線通信部を使用して外部装置との間でのデータ信号の無線通信を行うことで、無線通信部を第2の通信手段として機能させる。また、第1の通信手段と第2の通信手段とが同時に使用される。
【発明の効果】
【0008】
音声信号は、通信エラー時に再送が行われない信号であり、リアルタイム性が必要なデータである。また、データ信号は、通信エラー時に再送が行われる信号である。通信装置の例としては、電話機能やFAX機能を備えた多機能機が挙げられる。また、通信装置の例としては、通信回線と多機能機との間での通信を制御する回線制御装置が挙げられる。音声通話機器は、音声信号の送受信を行う機器である。音声通話機器の例としては、無線電話子機が挙げられる。
【0009】
制御部は、無線通信部を、第1の通信手段および第2の通信手段の両方として機能させる。第1の通信手段では、無線通信部を使用して、音声通話機器と通信部との間での、音声信号の無線通信が行われる。なお、音声通話機器は複数あってもよい。無線通信部を第1の通信手段として機能させる方法としては、例えば、Intel(登録商標)が提唱する、My WiFi Technologyの機能を用いる方法が挙げられる。また、Wi-Fi Allianceが提唱する、Wi-Fi Directの機能を用いる方法が挙げられる。また第2の通信手段では、無線通信部を使用して、外部装置との間でのデータ信号の無線通信が行われる。外部装置の例としては、アクセスポイントや、パーソナルコンピュータ(PC)や、多機能機などが挙げられる。また、外部装置がアクセスポイントである場合には、さらにアクセスポイントを介して、他の無線端末と通信することが可能である。
【0010】
第1の通信手段と第2の通信手段とは、同時に使用される。同時に使用する方法の例としては、第1の通信手段と第2の通信手段との間で、同一周波数の電波を短時間ずつ交代で共有する方法が挙げられる。
【0011】
これにより、1の無線通信部によって、第1の通信手段による音声通信と、第2の通信手段によるデータ通信との2種類の通信を行うことが可能となる。よって、音声通信専用の通信部を備える必要がなくなるため、通信装置の製造コストを低減させることが可能となる。
【0012】
また第1の通信手段によって、アクセスポイントを経由することなく、無線通信部と音声通話機器との間で直接に音声信号の通信を行うことができる。よって、アクセスポイントのセキュリティ強度の設定に影響されることなく、第1の通信手段でのセキュリティ強度を独自に設定できる。これにより、通話のセキュリティを確実に確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】通信システムの構成の一例を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る動作を説明するフローチャート(その1)である。
【図3】第1実施形態に係る動作を説明するフローチャート(その2)である。
【図4】第2実施形態に係る動作を説明するフローチャートである。
【図5】PERの変動について説明する図である。
【図6】第3実施形態に係る動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に、本願に係る第1実施形態として例示される通信システム1のブロック図を示す。通信システム1は、多機能機10、アクセスポイント(以下「AP」と称す)51、PC52、子機2および子機3、モバイル機器4を備える。多機能機10によってWPAN(WirelessPersonal Area Network)201、WLAN(Wireless Local Area Network)202が形成されている。尚、WPAN201およびWLAN202の方式の例としては、例えばIEEE802.11a/b/gの規格で定められる通信方式が挙げられる。
【0015】
AP51は、WLAN202によりデータ信号の通信が可能に構成された、既知の中継装置である。データ信号は、通信エラー時に再送が行われる信号である。データ信号の例としては、多機能機10で印刷を行なうための印刷データが挙げられる。またAP51は、PC52との間でデータ信号の通信が可能とされている。よって、AP51を介して、多機能機10とPC52との間でデータ信号の通信が可能とされている。
【0016】
子機2は、WPAN201により、音声信号の無線通信211を行う装置である。また子機3も、WPAN201により、音声信号の無線通信212を行う装置である。音声信号は、音声通話を行うための信号である。音声信号は、通信エラー時に再送が行われない信号であり、リアルタイム性が必要な信号である。モバイル機器4は、WPAN201により、データ信号の無線通信213を行う既知の装置である。
【0017】
多機能機10の構成について説明する。多機能機10は、CPU16、記憶部32、無線通信制御回路11、音声IC14(CODEC)、モデム部15、内蔵受話器17、操作部22、表示部24、印刷部26、スキャナ部28、を備える。これらの構成要素は、互いに通信可能に接続されている。
【0018】
CPU16は、記憶部32に記憶されているプログラム42に従って、様々な処理を実行する。またCPU16は、記憶部32、無線通信制御回路11、音声IC14等に関する各種の制御を行う。
【0019】
記憶部32は、プログラム42を記憶する。プログラム42は、基本プログラム(図示省略)、ネットワーク構築プログラム44、通話セキュリティプログラム45等を含む。基本プログラムは、印刷部26に印刷を実行させるためのプログラム、スキャナ部28にスキャンを実行させるためのプログラム等を含む。またネットワーク構築プログラム44は、無線通信制御回路11を、WPAN201およびWLAN202を構築する回路として機能させるためのプログラムである。また通話セキュリティプログラム45は、子機2および3と多機能機10との間の音声データの盗聴等を防止するためのプログラムである。通話セキュリティの強度は、ユーザによって設定されるとしてもよい。
【0020】
また記憶部32は、バッファ領域36、カウンタ領域37、受信回数設定値記憶領域38、設定記憶領域39を備える。バッファ領域36は、PC52などの外部装置から受信したデータ信号を一時的に保持する領域である。カウンタ領域37は、受信回数Nを記憶する領域である。受信回数設定値記憶領域38は、受信回数設定値Xを記憶する領域である。設定記憶領域39は、上限閾値UTおよび下限閾値LTや、多機能機10の各種の設定を記憶する領域である。なお、記憶部32は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDDなどが組み合わされて構成されているとしてもよい。
【0021】
無線通信制御回路11は、ベースバンド処理部BP1、RF部18、アンテナANT1を備える。ベースバンド処理部BP1は、無線通信制御回路11全体を制御する回路である。RF部18は、アンテナANT1との間で信号の送受信を行う回路である。
【0022】
音声IC14(CODEC)は、データのエンコード(符号化)とデコード(復号)を行う。また音声IC14は、モデム部15または内蔵受話器17の何れを電話回線網100に接続するかを選択する。モデム部15は、電話回線網100との音声信号の送受信を制御する。操作部22は、ユーザの入力操作を受け付ける複数のボタンを備える。表示部24は、様々な情報を表示する。スキャナ部28は、文書等を読取ってスキャンデータを生成する。印刷部26は、外部装置(例えばPC52)から受信した印刷データや、スキャナ部28によって生成されたスキャンデータを印刷媒体に印刷する。
【0023】
子機2の構成について説明する。子機2は、CPU76、ベースバンド処理部BP2、RF部78、スピーカ部79、マイク部80、アンテナANT2を備える。スピーカ部79は、無線通信制御回路11から受信した音声データを出力する装置である。マイク部80は、音声データを取得する装置である。その他の構成は、多機能機10と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0024】
WPAN201およびWLAN202について説明する。CPU16がネットワーク構築プログラム44を実行すると、無線通信制御回路11によって、WPAN201およびWLAN202が構築される。
【0025】
WPAN201およびWLAN202は、同時に使用可能とされている。同時に使用する方法の例としては、時分割多元接続(TDMA: Time Division Multiple Access)を用いる方法が挙げられる。TDMAでは、伝送に用いる搬送周波数をタイムスロットと呼ばれる単位で分割して、同一周波数において複数の通信を可能にする。本願の例では、タイムスロットを、WPAN201およびWLAN202に割り当てることで、多元接続が行われる。なお、この場合の「同時に使用可能」とは、WPAN201の通信とWLAN202の通信が、同時期に並存して実行可能であるという意味である。WPAN201から送信されてくるパケットと、WLAN202から送信されてくるパケットとが、同一時間に受信可能であるという意味に限定されることはない。
【0026】
なお、WPAN201およびWLAN202を同時に使用する方法は、時分割多元接続に限られない。周波数を分割して多元接続を行ってもよい。また符号分割(それぞれの信号に異なった符号を乗算して送信する方式)によって多元接続を行ってもよい。また、時分割、周波数分割、符号分割のうちの少なくとも2つの組合せによって多元接続を行ってもよい。
【0027】
無線通信制御回路11を、WPAN201を構築する回路として機能させる方法としては、例えば、Wi-Fi Allianceが提唱する、Wi-Fi Directの機能を用いる方法が挙げられる。これにより、無線通信制御回路11がWiFi Directのサーバの役割を行う。また、Intel(登録商標)が提唱する、My WiFi Technologyの機能を用いる方法が挙げられる。
【0028】
WPAN201には、複数の通信端末(子機2、子機3、モバイル機器4)が接続されている。WPAN201により、無線通信制御回路11と子機2との間で、音声信号の無線通信211が行われる。また、無線通信制御回路11と子機3との間で、音声信号の無線通信212が行われる。また、無線通信制御回路11とモバイル機器4との間で、データ信号の無線通信213が行われる。無線通信211ないし213は、同時に通信可能とされている。
【0029】
またWPAN201では、WPAN201での通信が可能な通信エリア内に、接続可能な無線通信機器が存在するか否かが監視される。そして、接続可能な無線通信機器が新たに検出されると、無線通信を用いて接続を行うことで、動的にネットワークが構築される。なお、子機2および3については、常にWPAN201に接続される形態としてもよい。これにより、ユーザに動的なネットワークの存在を意識させることがない。よってユーザは、子機2および子機3を、通常のコードレス電話と同じ感覚で使用することが可能となる。
【0030】
WLAN202には、AP51が接続されている。WLAN202により、無線通信制御回路11とAP51との間で、データ信号の無線通信221が行われる。
【0031】
WPAN201のネットワークを構築するためのユーザインタフェース例について説明する。例として、子機2をWPAN201に接続する場合を説明する。ユーザによって操作部22が操作されると、表示部24に設定メニューが表示される。設定メニューには、WPAN201に関する設定と、子機2に関する設定とが区別して表示される。
【0032】
WPAN201に関する設定としては、例えば、TCP/IP、無線接続ウィザード、WPS(Wi-Fi Protected Setup)、AOSS(AirStation One-Touch Secure System)などの設定が挙げられる。また、子機2に関する設定としては、通信優先設定、新しい無線PANネットワークの構築、新しい子機の登録、などの設定が挙げられる。
【0033】
本願の実施例では、通信優先設定が「子機優先」、「子機とプリントが同レベル」、「プリント優先」の3段階に設定できる場合を説明する。通信優先設定は、後述する受信回数設定値Xの値を決定するための設定である。通信優先設定が「子機優先」に設定されると、受信回数設定値Xが大きくされ、WPAN201を用いた音声信号の通信の比重が高くされる。また、通信優先設定が「プリント優先」に設定されると、受信回数設定値Xが小さくされ、WLAN202を用いたデータ信号の通信の比重が高くされる。ユーザによって通信優先設定が設定されると、受信回数設定値Xが決定される。決定した受信回数設定値Xは、設定値記憶領域38に記憶される。なお、通信優先設定の設定段階は、3段階に限られない。段階を細かく設定するほど、より緻密に制御することが可能となる。
【0034】
なお、子機3のWPAN201への接続設定は、工場出荷時の時点で予め行っておくとしてもよい。これにより、ユーザがWPAN201への接続設定を行う必要がない。よってユーザは、子機3が何れのネットワークを用いて多機能機10と通信を行っているかを意識することなく、子機3を使用することができる。
【0035】
通信システム1の動作を説明する。例として、PC52からのデータ信号と、子機2からの音声信号とを受信する場合を説明する。図2のS11において、CPU16は、WLAN202を用いて、PC52からのプリント要求を受信したか否かを判断する。プリント要求は、多機能機10で印刷処理を行う旨の要求である。受信していない場合(S11:NO)にはS11へ戻って待機し、受信した場合(S11:YES)にはS13へ進む。S13において、CPU16は、カウンタ領域37に記憶されている受信回数Nに「0」を代入することで、カウンタリセットを行う。
【0036】
S15において、CPU16は、バッファ領域36の空き容量の確認要求信号をPC52から受信したか否かを判断する。確認要求信号は、バッファ領域36の空き容量をPC52へ報知する旨を要求する信号である。受信していない場合(S15:NO)にはS15へ戻って待機し、受信した場合(S15:YES)にはS17へ進む。
【0037】
S17において、CPU16は、子機2を使用してユーザが通話中であるか否かを判断する。通話中ではない場合(S17:NO)には、S18へ進む。S18においてCPU16は、空きバッファありの旨を、WLAN202を用いてPC52へ送信する。これにより、データ信号の受信を許可する旨がPC52へ報知される。PC52は、バッファ部に空き領域がある旨の報知を受けると、WLAN202を用いてデータ信号の送信を開始する。S19において、CPU16は、WLAN202を介して、PC52から全てのデータ信号を受信する。S20において、CPU16は、PC52にACK信号を返信する。これにより、全てのデータ信号を受信した旨がPC52へ報知される。PC52は、ACK信号を受信すると、データ信号の送信処理を終了する。そしてフローが終了する。
【0038】
一方、子機2を用いてユーザが通話中である場合(S17:YES)には、S22へ進む。S22において、CPU16は、カウンタ領域37の受信回数Nに1を加算する。これにより、カウンタ領域37では、PC52から送信されてくるデータの送信要求信号を、WLAN202を用いて受信した回数がカウントされる。S23において、CPU16は、現在の受信回数設定値Xの値を、受信回数設定値記憶領域38から取得する。
【0039】
S25において、CPU16は、受信回数Nが受信回数設定値X以下であるか否かを判断する。受信回数Nが受信回数設定値X以下である場合(S25:YES)には、S26へ進む。S26においてCPU16は、空きバッファなしの旨を、WLAN202を用いてPC52へ送信する。S26では、実際にはバッファ領域36が空いている場合においても、バッファが空いていない旨が送信される。これにより、データ信号の受信を許可しない旨がPC52へ報知される。そしてS15へ戻る。
【0040】
PC52は、バッファ部に空き領域がない旨の報知を受けると、データ信号の送信を待機する。これにより、PC52に対して、データ信号の送信を一定期間待機させることができる。
【0041】
一方、受信回数Nが受信回数設定値Xよりも大きい場合(S25:NO)には、S27(図3)へ進み、CPU16は、空きバッファありの旨を、WLAN202を用いてPC52へ送信する。これにより、データ信号の受信を許可する旨がPC52へ報知される。PC52は、バッファ部に空き領域がある旨の報知を受けると、WLAN202を用いてデータ信号のパケットの送信を開始する。S29において、CPU16は、PC52から送信されてくるデータ信号のパケットの一部を受信する。なお、パケットの一部を受信する動作は、複数送信されてくるパケットのうちから所定数のパケットのみを受信することで行われる。所定数は、ユーザ等によって予め設定され、設定記憶領域39に記憶されるとしてもよい。そしてパケットの受信時に、設定記憶領域39から所定数が読み出されるとしてもよい。
【0042】
S30において、CPU16は、受信回数Nを「0」にクリアする。S31において、CPU16は、PC52にACK信号を返信する。これにより、データ信号のパケットの一部を受信した旨が、PC52へ報知される。
【0043】
S33において、CPU16は、子機2を用いてユーザがまだ通話中であるか否かを判断する。通話中である場合(S33:YES)には、S23へ戻る。よって、受信回数Nが受信回数設定値Xを越えるとWLAN202を用いてデータ信号のパケットを送信してもらい、そのパケットの一部を受信する、という動作が繰り返される。一方、通話中ではない場合(S33:NO)には、子機2の通話が終了したと判断され、S35へ進む。S35において、CPU16は、残りの全てのデータ信号を送信する旨の命令をPC52に送信する。そして残りの全てのデータ信号を、WLAN202を用いてPC52から受信する。S37において、CPU16は、PC52にACK信号を返信する。PC52は、ACK信号を受信すると、データ信号の送信処理を終了する。そしてフローが終了する。
【0044】
また、PC52は、データ信号の受信を許可しない旨を受信すると、所定時間待機した後に送信要求信号を再送する。そして、送信要求信号を所定回数再送しても多機能機10で受信が許可されない場合には、PC52がタイムアウトエラーとなる。よって、タイムアウトエラーの発生を防止するために、受信回数設定値Xの値を所定回数よりも小さい値とすることが好ましい。なお、PC52の所定回数の値の決め方は様々な方法であってよい。例えば、ユーザ等によって所定回数の値が予め定められていてもよい。
【0045】
第1実施形態に係る多機能機10の効果を説明する。第1実施形態に係る多機能機10では、1つの無線通信制御回路11によって、WPAN201による音声データの通信と、WLAN202によるデータ信号の通信との2種類の通信を同時に行うことが可能となる。すなわち、子機2での音声通話と、PC52から多機能機10に印刷を行なわせる処理とを共存させることができる。よって、音声信号の通信専用の通信回路を多機能機10に備える必要がなくなるため、多機能機10の製造コストを低減させることが可能となる。
【0046】
また、第1実施形態に係る多機能機10では、繰り返し送信されてくる確認要求信号の受信回数Nが受信回数設定値Xに到達するまでは、PC52に対して、WLAN202を使用したデータ信号の送信を待機させることができる。よって、WPAN201の通信の比重を、WLAN202の通信の比重に比して高くすることができる。これにより、WPAN201と子機2の間での音声データのデータ転送が間に合わないために音声が途切れるなどの、通話エラーの発生を防止することができる。よって、音声通話の通話品質を高めることができる。
【0047】
また、AP51を介したWLAN202により、子機2と多機能機10とが音声信号の通信を行う構成では、通話セキュリティの強度がAP51のセキュリティ設定によって決定されてしまう。また、電話の通話内容が、共有のAP51を経由することになるため、通話が傍受されるおそれが発生する。しかし第1実施形態に係る多機能機10では、AP51を経由することなく、無線通信制御回路11と子機2との間でWPAN201を用いて直接に音声信号の通信を行うことができる。よって、AP51のセキュリティ設定とは無関係に、WPAN201でのセキュリティ強度を独自に設定できる。これにより、通話のセキュリティを確実に確保することが可能となる。
【0048】
第2実施形態を、図4および図5を用いて説明する。第2実施形態は、受信回数設定値Xを自動設定する形態である。図4のフローは、第1実施形態の図2および図3のフローと並行して実行されるフローである。なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0049】
S49において、CPU16は、子機2を使用してユーザが通話中であるか否かを判断する。通話中ではない場合(S49:NO)にはS49へ戻って待機し、通話中である場合(S49:YES)にはS51へ進む。
【0050】
S51において、CPU16は、受信回数設定値Xのユーザ設定値を設定値記憶領域38から取得する。ユーザ設定値は、操作部22を用いてユーザが設定した受信回数設定値Xの値である。
【0051】
S53において、CPU16は、WPAN201の現在のPER(Packet Error Rate)を取得する。PERは、WPAN201におけるパケット通信のエラー率である。通信状態が良くない場合にはPERが高くなり、通信状態が良い場合にはPERが低くなる。これにより、通信状態を監視することができる。
【0052】
また、図5を用いて、PERの変動について説明する。図5のグラフL1は、WPAN201のPERの時間変化例を示すグラフである。PERの値は、子機2と多機能機10との間の距離の変化等に応じて変化する。
【0053】
上限閾値UTは、通話品質を維持するためのPERの上限値である。PERが上限閾値UT以上となる期間T1では、通話に音切れ等の障害が発生しやすくなる。また、下限閾値LTは、電波効率を維持するためのPERの下限値である。PERが下限閾値LT以下となる期間T2では、過度にWPAN201の通信状態が良いにも係らず、WPAN201の通信の比重をWLAN202の通信の比重に比して高くしている状態である。よって、WLAN202によるデータ信号の通信速度が遅くなるため、電波効率が良くない状態である。
【0054】
S55において、CPU16は、PERの値が、上限閾値UT以上であるか否かを判断する。上限閾値UT以上である場合(S55:YES)には、WPAN201の通信状態が悪化していると判断され、S57に進む。S57において、CPU16は、受信回数設定値Xに1を加算することで、WPAN201の通信の比重をWLAN202の通信の比重に比して1段階高く設定する。そしてS63へ進む。一方、PERの値が上限閾値UTよりも小さい場合(S55:NO)には、通信状態が良好であると判断され、S59へ進む。
【0055】
S59において、CPU16は、PERの値が、下限閾値LT以下であるか否かを判断する。PERが下限閾値LT以下である場合(S59:YES)には、電波効率が良くない状態であると判断され、S61に進む。S61において、CPU16は、受信回数設定値Xから1を減算することで、WPAN201の通信の比重をWLAN202の通信の比重に比して1段階低く設定する。一方、PERの値が下限閾値LTよりも大きい場合(S59:NO)には、電波効率が悪い状態ではないと判断され、S63へ進む。
【0056】
S63において、CPU16は、調整後の受信回数設定値Xの値を、設定値記憶領域38に記憶する。S65において、CPU16は、子機2を用いてユーザがまだ通話中であるか否かを判断する。通話中である場合(S65:YES)には、S67へ進む。S67において、CPU16は、1分間ウェイトした上で、S53へ戻る。一方、通話中ではない場合(S65:NO)には、フローを終了する。
【0057】
第2実施形態に係る多機能機10の効果を説明する。第2実施形態に係る多機能機10では、通信状態が悪化した場合には、受信回数設定値を増加させることでWPAN201の通信の比重を高める。よって、音切れ等の障害が発生することが防止できる。また、通信状態が良化した場合には、受信回数設定値を減少させることでWLAN202の通信の比重を高める。よって、WLAN202によるデータ信号の通信速度を高めることができる。以上より、子機2の通話品質を維持しながら、電波効率を高めることが可能となる。
【0058】
第3実施形態を、図6を用いて説明する。第3実施形態は、音声信号のパケットをデータ信号のパケットよりも優先して通信する形態である。第3実施形態では、WMM(Wi-Fi Multimedia)の技術が用いられる形態を説明する。WMMは、Wi-Fi Allianceによって規定された、無線LANでのQoS(Quality of Service)制御を実現するための規格であり、ビデオや音声などのストリーミングデータを効率よく伝送するための規格である。WMMでは、無線LANでの特定の通信に対して優先度を設定することで、ビデオや音声のデータが途切れないように帯域が確保される。具体的には、WMMでは、パケットプライオリティの高い方から、「音声」、「ビデオ」、「ベストエフォート」、「バックグラウンド」の4つのカテゴリが定義されている。そして、パケットプライオリティの高いパケットが、優先的に通信される。
【0059】
第3実施形態では、WPAN201による音声信号のパケットプライオリティの初期値が「ベストエフォート」に設定されている場合を説明する。また、WLAN202によるデータ信号の通信のパケットプライオリティが、「ベストエフォート」で固定されている場合を説明する。
【0060】
S109において、CPU16は、WPAN201を介して、子機2から音声通話を着信したか否かを判断する。着信していない場合(S109:NO)にはS109へ戻って待機し、受信した場合(S109:YES)にはS111へ進む。
【0061】
S111において、CPU16は、多機能機10の内蔵受話器17で受信する設定であるか否かを判断する。当該判断は、設定記憶領域39に予め記憶された設定を読み出すことで行われても良いし、ユーザによる選択によって行われても良い。多機能機10で着信動作を行う設定でない場合(S111:NO)には、S125へ進む。一方、多機能機10で着信動作を行う設定である場合(S111:YES)にはS113へ進み、CPU16は、回線を閉結する。
【0062】
S115において、CPU16は、通信内容がFAX通信であるか否かを判断する。FAX通信である場合(S115:YES)にはS117へ進み、FAXデータを受信して、フローが終了する。一方、FAX通信ではない場合(S115:NO)には、通信内容が音声通信であると判断される。よってS119に進み、CPU16は、音声通信を子機2に転送するか否かを判断する。当該判断は、設定記憶領域39に予め記憶された設定を読み出すことで行われても良いし、ユーザによる選択によって行われても良い。転送しないと判断される場合(S119:NO)にはS121に進み、CPU16は、内蔵受話器17での通話処理を行う。一方、転送すると判断される場合(S119:YES)にはS125に進む。
【0063】
S125において、CPU16は、子機2の呼び出し動作を行う。S127において、CPU16は、子機2を用いてユーザが音声通話を開始したか否かを判断する。開始していない場合(S127:NO)にはS127へ戻って待機し、開始した場合(S127:YES)にはS129へ進む。S129において、CPU16は、回線を閉結する。
【0064】
S131において、子機2のCPU76は、通信内容がFAX通信であるか否かを判断する。FAX通信である場合(S131:YES)にはS135へ進み、多機能機10にFAX通信であることを報知する。そしてS117へ進み、多機能機10でFAXデータが受信され、フローが終了する。一方、通信内容がFAX通信ではない場合(S131:NO)には、S137へ進む。
【0065】
S137において、CPU16は、音声信号のパケットプライオリティを、「ベストエフォート」から「音声」へ格上げする。これにより、WPAN201で送受信される音声信号のパケットプライオリティが、WLAN202で送受信されるデータ信号のパケットプライオリティよりも高く設定される。そして、無線通信制御回路11では、音声信号のパケットが、データ信号のパケットよりも優先して送受信される。これにより、WPAN201の通信の比重を、WLAN202の通信の比重に比して高くすることができる。
【0066】
S139において、CPU16は、子機2での通話が終了したか否かを判断する。終了していない場合(S139:NO)にはS139へ戻って通信を続行し、終了した場合(S139:YES)にはS141へ進む。
【0067】
S141において、CPU16は、音声信号のパケットプライオリティを、「音声」から「ベストエフォート」へ戻す。これにより、WPAN201の通信の比重とWLAN202の通信の比重とが、同等とされる。そしてフローが終了する。
【0068】
以上説明したように、第3実施形態に係る多機能機10では、WPAN201が使用されていない期間においては、WPAN201で送受信される音声信号のパケットプライオリティとWLAN202で送受信されるデータ信号のパケットプライオリティが同等とされる。また、WPAN201が使用されている期間においては、WPAN201で送受信される音声信号のパケットプライオリティが格上げされる。よって、WPAN201の通信の比重を、WLAN202の通信の比重に比して高くすることができるため、音声通話の通話品質を高めることができる。
【0069】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0070】
PC52に対して、データ信号の送信を一定期間待機させる方法は、第1実施形態で説明した方法に限られない。例えば、RTS(Request to Send)信号およびCTS(Clear to Send)信号を用いることによっても、データ信号の送信を一定期間待機させることが可能である。RTS信号は、PC52から多機能機10へデータ信号を送信する旨の送信要求である。CTS信号は、多機能機10からPC52へデータの送信を許可する旨を報知する信号である。
【0071】
図2および図3のフローチャートにおける変更点を説明する。S15は、PC52からRTS信号を受信したか否かを判断する動作へ変更する。また、S18およびS27は、WLAN202を用いてCTS信号をPC52へ送信する動作へ変更する。また、S26は、CTS信号をPC52へ送信しない動作へ変更する。また、多機能機10は、RTS信号を受信した場合(S15:YES)においても、WPAN201を用いた通信を停止せずに続行するとする。
【0072】
これにより、PC52は、多機能機10から返信されるCTS信号を受信するまで、データ信号の送信を待機する動作を行う。よって、PC52に対して、データ信号の送信を一定期間待機させることができる。以上より、WPAN201の通信の比重を、WLAN202の通信の比重に比して高くすることができる。
【0073】
なお、多機能機10の構成を、通信部と多機能部とに物理的に分離した構成としてもよい。通信部は、多機能機10から、電話回線網100を使用した通信制御を行う部分を抜き出した構成を有する。また多機能部は、通信部以外のスキャナ機能や印刷機能を有する部分である。そして、通信部によってWPAN201およびWLAN202が形成されるとしてもよい。また、WLAN202を用いて通信部と多機能部とが通信を行うとしてもよい。これにより、通信部と多機能部とによって、分散構成多機能周辺装置が形成される。よって、電話回線網100のコネクタ部に体積の大きい多機能機10を直接に接続する必要がないため、レイアウト性を高めることができ、ユーザの利便性を高めることができる。
【0074】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0075】
なお、電話回線網100は通信回線の一例、音声IC(CODEC)14およびモデム部15は通信部の一例、AP51は外部装置の一例、無線通信制御回路11は無線通信部の一例、CPU16は制御部の一例、子機2は音声通話機器の一例、WPAN201は第1の通信手段の一例、WLAN202は第2の通信手段の一例、PERは通信状態の一例、バッファ領域36はバッファ部の一例、RTS信号は送信要求信号の一例、CTS信号は返答信号の一例、である。
【0076】
また、S22を実行する制御部はカウンタ手段の一例である。S55〜S63を実行する制御部は設定値記憶手段の一例である。S26を実行する制御部は第1の報知手段の一例である。S27を実行する制御部は第2の報知手段の一例である。S53を実行する制御部は通信監視手段の一例である。S139を実行する制御部は検出手段の一例である。S137、S141を実行する制御部は優先順位設定手段の一例である。
【符号の説明】
【0077】
2および3:子機、10:多機能機、11:無線通信制御回路、15:モデム部、16:CPU、32:記憶部、36:バッファ領域、44:ネットワーク構築プログラム、51:AP、52:PC、100:電話回線網、201:WPAN、202:WLAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信先機器との間での音声信号の通信回線を介した通信を行う通信部と、
外部装置との間でのデータ信号の無線通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部の動作を制御する制御部と、を備える通信装置であって、
前記制御部は、
前記無線通信部を使用して音声通話機器と前記通信部との間での前記音声信号の無線通信を行うことで、前記無線通信部を第1の通信手段として機能させ、
前記無線通信部を使用して前記外部装置との間での前記データ信号の無線通信を行うことで、前記無線通信部を第2の通信手段として機能させ、
前記第1の通信手段と第2の通信手段とが同時に使用されることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の通信手段と前記第2の通信手段とが同時に使用されている期間中においては、前記第1の通信手段の通信の比重を、前記第2の通信手段の通信の比重に比して高くする制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記外部装置から送信されてくるデータの送信要求信号を前記第2の通信手段で受信した回数を数えるカウンタ手段と、
受信回数設定値を記憶する設定値記憶手段とをさらに備え、
前記第2の通信手段は、
前記カウンタ手段の受信回数が前記受信回数設定値に到達していない場合には、前記外部装置から送信されてくる前記データ信号の受信を許可しない旨を前記外部装置に報知する第1の報知手段と、
前記受信回数が前記設定値に到達することに応じて、前記外部装置から送信されてくる前記データ信号の受信を許可する旨を前記外部装置に報知する第2の報知手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1の通信手段での通信状態を監視する通信監視手段をさらに備え、
前記設定値記憶手段は、前記通信状態が悪化したことが通信監視手段で検出された場合には前記受信回数設定値を増加させ、前記通信状態が良化したことが通信監視手段で検出された場合には前記受信回数設定値を減少させることを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記外部装置から受信した前記データ信号を保持するバッファ部をさらに備え、
前記第1の報知手段は、前記バッファ部に空き領域がない旨を報知することを特徴とする請求項3または4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第1の報知手段および前記第2の報知手段は、前記外部装置から前記送信要求信号を受信し、
前記第1の報知手段は、前記送信要求信号に対して返答信号を返信しないことにより前記データ信号の受信を許可しない旨を前記外部装置に報知し、
前記第2の報知手段は、前記送信要求信号に対して返答信号を返信することにより前記データ信号の受信を許可する旨を前記外部装置に報知することを特徴とする請求項3または4に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第1の通信手段で前記音声信号の通信が行われている通話期間を検出する検出手段と、
前記通話期間が検出されている間、前記音声信号の優先順位を前記データ信号の優先順位よりも高く設定する優先順位設定手段と、をさらに備え、
前記制御部は、前記音声信号と前記データ信号のうち、優先順位の高い方のデータを優先して送受信することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項8】
前記第1の通信手段は、該第1の通信手段の通信エリア内に存在する無線通信機器を検出して接続を行うことで、動的にネットワークを構築することを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
通信先機器との間での音声信号の通信回線を介した通信を行う通信部と、
外部装置との間でのデータ信号の無線通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部の動作を制御する制御部と、を備える通信装置を制御するプログラムであって、
前記無線通信部を使用して音声通話機器と前記通信部との間での前記音声信号の無線通信を行うことで、前記無線通信部を第1の通信手段として機能させ、
前記無線通信部を使用して前記外部装置との間での前記データ信号の無線通信を行うことで、前記無線通信部を第2の通信手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−181997(P2011−181997A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41315(P2010−41315)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】