説明

通信装置および方法、並びに情報処理装置および方法

【課題】基地局において、携帯端末における現在の受信品質を精度良く認識すること等を可能とすることによって、伝送効率を向上させる。
【解決手段】携帯端末301は、基地局302から受信した受信信号に基づいて、チャンネルの品質を示すチャンネル品質情報を導出するとともに、基地局302から受信した受信信号に基づいて、基地局302の送信電力を制御する電力制御情報を導出する。チャンネル品質情報は、フレーム単位で、電力制御情報は、フレームを構成するスロット単位で、それぞれ基地局302に送信される。基地局302は、基地局制御局303の制御の下、第1の周期を指定する周期指定情報を携帯端末301に送信し、携帯端末301は、周期指定情報に応じて、第1の周期を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置および方法、並びに情報処理装置および方法に関し、特に、例えば、携帯電話システムにおいて、基地局で、携帯電話機における現在の受信品質を精度良く認識し、効率的な通信を行うことができるようにする通信装置および方法、並びに情報処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、適応変調符号化通信方式(以下、適宜、AMCS(Adaptive Modulation and Coding)通信方式ともいう)が注目されている。適応変調符号化通信方式は、実データ(ユーザデータ)と、その実データに対する誤り訂正符号との割合を表す符号化率、および多値変調度数を、伝送路の品質に応じて変化させるもので、伝送路の品質が良い場合には、雑音耐久特性を犠牲にして、データの高速通信を可能とする。一方、伝送路の品質が悪い場合には、データレートを犠牲にして、雑音耐久特性を向上させる。
【0003】
AMCS通信方式は、例えば、GSM(Global System for Mobile Communications)で用いられているEGPRS(Enhanced General Packet Radio Service)や、クアルコム(QUALCOMM)社が開発したHDR(High Data Rate)等の無線通信システムに導入されている。さらに、今後普及することが予測されるW-CDMA(Wide Band Code Division Multiple Access)方式においても、AMCS通信方式の導入が予定されている。
【0004】
ところで、AMCS通信方式は、例えば、移動局としての携帯端末と、固定局としての基地局との間の通信に適用することができるが、AMCS通信方式では、携帯端末が、その受信品質を表す受信品質メッセージを、基地局に送信し、基地局が、携帯端末1から送信されてくる受信品質メッセージに基づいて、変調符号化モードを決定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、携帯端末が、自身における受信品質を求めてから、基地局が、その受信品質を認識するまでには、基地局において、その受信品質を表す受信品質メッセージを受信し、さらに、復調、復号しなければならず、大きな遅延が存在する。
【0006】
従って、基地局において、受信品質メッセージが表す受信品質を認識したときには、既に、携帯端末における現在の受信品質が変化し、その結果、最適な変調符号化モードを選択することができず、伝送効率が劣化する課題があった。
【0007】
この問題は、特に、携帯端末のユーザが、電車等で高速に移動している場合など、伝送路の特性が急速に変化する場合に、顕著に現れる。
【0008】
一方、伝送効率向上の観点からは、携帯端末による受信品質メッセージの送信周期を長くするのが望ましいが、この場合、携帯端末における現在の受信品質が、受信品質メッセージが表す受信品質と大きくかけ離れたものとなることがあり、適応変調符号化による伝送効率の向上が妨げられることになる。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、例えば、基地局において、携帯端末における現在の受信品質を精度良く認識すること等を可能とすることによって、伝送効率を向上させること(伝送効率の劣化を防止すること)ができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面の通信装置は、通信相手の現在の受信品質を求める情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、所定のチャンネルの品質を示すチャンネル品質情報を生成するチャンネル品質情報生成手段と、前記情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、前記情報処理装置の送信電力を制御する送信電力制御情報を生成する送信電力制御情報生成手段と、前記チャンネル品質情報が、所定のフレームを単位とした第1の周期で送信されるように、前記チャンネル品質情報を、前記情報処理装置への送信信号に挿入するチャンネル品質情報挿入手段と、前記送信電力制御情報が、前記第1の周期よりも短い第2の周期で送信されるように、前記送信電力制御情報を、前記送信信号に挿入する送信電力制御情報挿入手段と、前記チャンネル品質情報および前記送信電力制御情報が挿入された前記送信信号がスペクトル拡散されたスペクトル拡散信号を増幅して、アンテナから電波として送信する送信手段と、前記情報処理装置から、前記第1の周期を指定する周期指定情報を受信する周期指定情報受信手段と、前記周期指定情報受信手段が受信した前記周期指定情報に応じて、前記第1の周期を更新する送信周期更新手段とを備える。
【0011】
前記送信周期更新手段には、ソフトハンドオフ状態である場合に、前記第1の周期を更新させることができる。
【0012】
前記チャンネル品質情報によって品質が示めされる第1のチャンネルと、前記送信電力制御情報によって送信電力が制御される第2のチャンネルとは、異なるチャンネルとすることができる。
【0013】
前記第1のチャンネルは、DSCH(Down Link Shared Channel)とすることができる。
【0014】
前記第2のチャンネルは、DPCH(Dedicated Physical Channel)とすることができる。
【0015】
前記情報処理装置との間で行われる通信は、CDMA方式による通信とすることができる。
【0016】
本発明の第1の側面の通信方法は、通信相手の現在の受信品質を求める情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、所定のチャンネルの品質を示すチャンネル品質情報を生成するチャンネル品質情報生成ステップと、前記情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、前記情報処理装置の送信電力を制御する送信電力制御情報を生成する送信電力制御情報生成ステップと、前記チャンネル品質情報が、所定のフレームを単位とした第1の周期で送信されるように、前記チャンネル品質情報を、前記情報処理装置への送信信号に挿入するチャンネル品質情報挿入ステップと、前記送信電力制御情報が、前記第1の周期よりも短い第2の周期で送信されるように、前記送信電力制御情報を、前記送信信号に挿入する送信電力制御情報挿入ステップと、前記チャンネル品質情報および前記送信電力制御情報が挿入された前記送信信号がスペクトル拡散されたスペクトル拡散信号を増幅して、アンテナから電波として送信する送信ステップと、前記情報処理装置から、前記第1の周期を指定する周期指定情報を受信する周期指定情報受信ステップと、前記周期指定情報受信ステップの処理により受信された前記周期指定情報に応じて、前記第1の周期を更新する送信周期更新ステップとを含む。
【0017】
本発明の第2の側面の情報処理装置は、前記通信装置から送信されてくる電波をアンテナが受信することで得られる受信信号であって、前記通信装置において生成された所定のチャンネルの品質を示すチャンネル品質情報が、所定のフレームを単位とした第1の周期で送信されてくるように挿入されるとともに、送信電力を制御する送信電力制御情報が、前記第1の周期よりも短い第2の周期で送信されてくるように挿入された受信信号としてのスペクトル拡散信号を増幅し、スペクトル逆拡散する受信手段と、前記受信信号から、前記チャンネル品質情報を抽出するチャンネル品質情報抽出手段と、前記受信信号から、前記送信電力制御情報を抽出する送信電力制御情報抽出手段と、前記チャンネル品質情報と送信電力制御情報の両方に基づいて、前記通信装置における現在の受信品質を推定する受信品質推定手段と、前記通信装置に対して、前記第1の周期を指定する周期指定情報を送信する周期指定情報送信手段とを備え、前記周期指定情報送信手段は、前記通信装置がソフトハンドオフ状態である場合に、前記通信装置に対して、前記周期指定情報を送信する。
【0018】
前記チャンネル品質情報によって品質が示される第1のチャンネルと、前記送信電力制御情報によって送信電力が制御される第2のチャンネルとは、異なるチャンネルとすることができる。
【0019】
前記第1のチャンネルは、DSCH(Down Link Shared Channel)とすることができる。
【0020】
前記第2のチャンネルは、DPCH(Dedicated Physical Channel)とすることができる。
【0021】
前記通信装置との間で行われる通信は、CDMA方式による通信とすることができる。
【0022】
本発明の第2の側面の情報処理方法は、前記通信装置から送信されてくる電波をアンテナが受信することで得られる受信信号であって、前記通信装置において生成された所定のチャンネルの品質を示すチャンネル品質情報が、所定のフレームを単位とした第1の周期で送信されてくるように挿入されるとともに、送信電力を制御する送信電力制御情報が、前記第1の周期よりも短い第2の周期で送信されてくるように挿入された受信信号としてのスペクトル拡散信号を増幅し、スペクトル逆拡散する受信ステップと、前記受信信号から、前記チャンネル品質情報を抽出するチャンネル品質情報抽出ステップと、前記受信信号から、前記送信電力制御情報を抽出する送信電力制御情報抽出ステップと、前記チャンネル品質情報と送信電力制御情報の両方に基づいて、前記通信装置における現在の受信品質を推定する受信品質推定ステップと、前記通信装置に対して、前記第1の周期を指定する周期指定情報を送信する周期指定情報送信ステップとを含み、前記周期指定情報送信ステップは、前記通信装置がソフトハンドオフ状態である場合に、前記通信装置に対して、前記周期指定情報を送信する。
【0023】
本発明の第1の側面においては、通信相手の現在の受信品質を求める情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、所定のチャンネルの品質を示すチャンネル品質情報が生成され、情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、情報処理装置の送信電力を制御する送信電力制御情報が生成され、チャンネル品質情報が、所定のフレームを単位とした第1の周期で送信されるように、チャンネル品質情報が、情報処理装置への送信信号に挿入され、送信電力制御情報が、第1の周期よりも短い第2の周期で送信されるように、送信電力制御情報が、送信信号に挿入され、チャンネル品質情報および送信電力制御情報が挿入された送信信号がスペクトル拡散されたスペクトル拡散信号が増幅されて、アンテナから電波として送信され、情報処理装置から、第1の周期を指定する周期指定情報が受信され、受信された周期指定情報に応じて、第1の周期が更新される。
【0024】
本発明の第2の側面においては、通信装置から送信されてくる電波をアンテナが受信することで得られる受信信号であって、通信装置において生成された所定のチャンネルの品質を示すチャンネル品質情報が、所定のフレームを単位とした第1の周期で送信されてくるように挿入されるとともに、送信電力を制御する送信電力制御情報が、第1の周期よりも短い第2の周期で送信されてくるように挿入された受信信号としてのスペクトル拡散信号が増幅され、スペクトル逆拡散され、受信信号から、チャンネル品質情報が抽出され、受信信号から、送信電力制御情報が抽出され、チャンネル品質情報と送信電力制御情報の両方に基づいて、通信装置における現在の受信品質が推定され、通信装置に対して、第1の周期を指定する周期指定情報が送信され、通信装置がソフトハンドオフ状態である場合に、通信装置に対して、周期指定情報が送信される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第1および第2の側面によれば、例えば、基地局において、携帯端末における現在の受信品質を精度良く認識すること等を可能とすることによって、伝送効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明が適用される通信システムの構成例を示す図である。
【図2】携帯端末1と基地局2との間でやりとりされるデータを示す図である。
【図3】基地局2の構成例を示すブロック図である。
【図4】QPSKと16QAMを説明する図である。
【図5】符号化変調モードを示す図である。
【図6】適応変調符号化部14の構成例を示すブロック図である。
【図7】通信資源が割り当てられている様子を示す図である。
【図8】携帯端末1の構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明を適用した通信システムの一実施の形態の構成例を示す図である。
【図10】上り回線と下り回線のデータフォーマットを示す図である。
【図11】携帯端末61の構成例を示すブロック図である。
【図12】DSCHチャンネルの受信品質推定処理を説明するフローチャートである。
【図13】DPCHチャンネルの電力制御情報生成処理を説明するフローチャートである。
【図14】基地局62の構成例を示すブロック図である。
【図15】受信品質判定部85の処理を説明する図である。
【図16】受信品質判定処理を説明するフローチャートである。
【図17】積算部84において電力制御情報を積算する期間を説明する図である。
【図18】受信品質判定部85の処理を説明する図である。
【図19】シミュレーション結果を示す図である。
【図20】制御部86の構成例を示すブロック図である。
【図21】リソース割り当て処理を説明するフローチャートである。
【図22】携帯端末から基地局に対して、モード要求メッセージが送信される通信システムの構成例を示す図である。
【図23】携帯端末101と基地局102との間でやりとりされるデータを説明する図である。
【図24】基地局102の構成例を示すブロック図である。
【図25】携帯端末101の構成例を示すブロック図である。
【図26】変調符号化モードごとの受信品質と誤り率(FER)との関係を示す図である。
【図27】本発明を適用した通信システムの他の実施の形態の構成例を示す図である。
【図28】基地局131の構成例を示すブロック図である。
【図29】モード設定部141の処理を説明する図である。
【図30】モード設定部141によるモード設定処理を説明するフローチャートである。
【図31】積算部84において電力制御情報を積算する期間を説明する図である。
【図32】ソフトハンドオフを説明するための図である。
【図33】ソフトハンドオフを説明するための図である。
【図34】ソフトハンドオフを説明するための図である。
【図35】ソフトハンドオフ状態となった場合の受信品質メッセージの報告頻度の設定を説明するための図である。
【図36】ソフトハンドオフを説明するための図である。
【図37】ソフトハンドオフを説明するための図である。
【図38】ソフトハンドオフ状態でなくなった場合の受信品質メッセージの報告頻度の設定を説明するための図である。
【図39】基地局制御局303の構成例を示すブロック図である。
【図40】基地局302から基地局制御局303への干渉量の送信の様子を示す図である。
【図41】報告頻度制御処理を説明するフローチャートである。
【図42】基地局131の他の構成例を示すブロック図である。
【図43】閾値制御部151による閾値制御処理を説明するフローチャートである。
【図44】閾値制御部151による閾値制御処理を説明するフローチャートである。
【図45】本発明を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明が適用されるAMCS通信方式を採用した通信システム(システムとは、複数の装置が論理的に集合した物をいい、各構成の装置が同一筐体中にあるか否かは問わない)の構成例を示している。
【0028】
携帯端末11乃至13は、例えば、携帯電話機その他のPDA(Personal Digital Assistance)で構成され、基地局2との間で、AMCS通信方式による無線通信を行う。
【0029】
ここで、以下、携帯端末11乃至13を、特に区別する必要がない限り、携帯端末1と記述する。
【0030】
基地局2は、自身がカバーしている範囲(サービスエリア)としてのセル内にある携帯端末1との間での、AMCS通信方式による無線通信の制御を行い、即ち、携帯端末1に対して、通信を行うための伝送帯域その他の通信資源(リリース)を割り当て、これにより、例えば、他の基地局(図示せず)から送信されてくる他の携帯端末(図示せず)からのデータや、インターネットのWWW(World Wide Web)サーバからのWebページのデータ、メールサーバからのメール等を受信して、携帯端末1に送信する。あるいは、また、基地局2は、例えば、携帯端末1から送信されてくるデータを受信して、他の基地局や、インターネット等の所定のネットワークに送信する。
【0031】
携帯端末1と基地局2との間のAMCS通信は、例えば、図2に示すようなやりとりが行われることで実現される。
【0032】
即ち、いま、携帯端末1から基地局2へのデータ伝送を、「上り」というとともに、基地局2から携帯端末1へのデータ伝送を、「下り」というものとする。
【0033】
基地局2は、携帯端末1に対して、図2(A)に示すように、例えば、所定のフレーム単位で、適応変調符号化を行い、下りのあるチャンネル(データチャンネル)によって、データを送信する。AMCS通信では、フレーム単位で、符号化率や多値変調度数が変化するので、基地局2は、携帯端末1に対して、図2(B)に示すように、固定の符号化率と多値変調度数によって変調と符号化が行われる他の下りのチャンネル(制御チャンネル)によって、データチャンネルにおける直前のフレームの符号化率と多値変調度数を表す送信パラメータを送信する。携帯端末1は、この送信パラメータを受信することによって、データチャンネルにおける次のフレームの符号化率と多値変調度数を認識し、基地局2からデータチャンネルで送信されてくる直後のフレームの復調および復号を行う。
【0034】
基地局2は、上述のように、適応変調符号化を行うが、この適応変調符号化は、携帯端末1における受信品質に基づいて行われる。
【0035】
このため、携帯端末1は、基地局2から送信されてくる信号の受信品質を求め、図2(C)に示すように、その受信品質を表す受信品質メッセージ(次データフレーム送信パラメータ要求メッセージ)を、上りのあるチャンネル(制御チャンネル)によって、基地局2に送信する。基地局2は、この受信品質メッセージに基づいて、携帯端末1の現在の受信品質を認識し、その受信品質に対応する符号化率と多値変調度数のモード(以下、適宜、変調符号化モードという)(送信モード)を決定する。そして、基地局2は、図2(B)に示したように、その変調符号化モードを表す送信パラメータを、携帯端末1に送信し、さらに、直後のフレームを、その変調符号化モードに対応する符号化率と多値変調度数によって、携帯端末1に送信する。
【0036】
図3は、図1の基地局2の構成例を示している。
【0037】
分配部11には、例えば、他の基地局から送信されてくる、他の携帯端末等からのパケットデータが供給される。分配部11は、パケットデータを、その宛先となる宛先ユーザごとに分配し、バッファ12nに供給する。即ち、分配部11は、最初は、パケットデータの宛先ユーザに対して、N個のバッファ121乃至12Nの中で、誰にも割り当てられていないものの1つを割り当てる。その後、分配部11は、各宛先ユーザ宛のパケットデータを、その宛先ユーザに割り当てたバッファ12nに供給する。
【0038】
なお、バッファ12nは、そのバッファ12nに割り当てられた宛先ユーザとの通信リンクが切断されると、空きバッファとして解放され、他の宛先ユーザに割り当て可能な状態とされる。
【0039】
バッファ12nは、いわゆるFIFO(First In First Out)構造のバッファで、分配部11から供給されるパケットデータを順次記憶する。そして、バッファ12nに記憶されたパケットデータは、選択部13によって順次読み出される。
【0040】
即ち、選択部13は、制御部22の制御にしたがい、宛先ユーザに割り当てられているいずれか1つのバッファ12nを選択し、そのバッファ12nに記憶されているパケットデータを読み出して、適応変調符号化部14に供給する。
【0041】
適応変調符号化部14は、制御部22から供給される変調符号化モードにしたがい、対応する符号化率の符号化方法によって、選択部13からのパケットデータを符号化し、さらに、その符号化データを、対応する多値変調度数の変調方法によって変調し、その結果得られる変調信号を、拡散部15に供給する。
【0042】
ここで、多値変調度数の異なる変調方法としては、例えば、図4に示すように、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)と16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)などがある。
【0043】
QPSKの場合、図4(A)に示すように、符号化データの2ビットが、同相成分成分(I信号)と直交成分(Q信号)とで規定される平面上の4シンボルのうちの1シンボルにマッピングされる。また、16QAMの場合、符号化データの4ビットが、I信号とQ信号とで規定される平面上の16シンボルのうちの1シンボルにマッピングされる。
【0044】
従って、シンボルを送信するシンボルレートを一定にすると、単位時間あたりの送信データ量は、QPSKよりも、16QAMの方が多くなる。しかしながら、16QAMにおけるシンボルどうしの距離は、QPSKにおけるシンボルどうしの距離よりも短く、このため、雑音特性は、16QAMよりも、QPSKの方が良くなる。
【0045】
つまり、QPSKによれば、送信データ量は少ないが、雑音に対する耐性を強固にすることができ、16QAMによれば、雑音に対する耐性が弱くなるが、送信データ量を多くする(データレートを高くする)ことができる。
【0046】
一方、符号化率の異なる符号化方法としては、例えば、R=1/2と3/4のターボ符号化等がある。
【0047】
ここで、Rは、符号化率を表し、R=x/yとは、xビットのデータが、それに、y−xビットの冗長ビットが付加されることにより、yビットのデータに符号化されることを意味する。従って、R=1/2の符号化では、1ビットのデータに1ビットの冗長ビットが付加され、R=3/4の符号化では、3ビットのデータに1ビットの冗長ビットが付加される。
【0048】
その結果、R=1/2の符号化によれば、R=3/4の符号化の場合に比較して、データに対する冗長ビットが多いため、送信データ量(実データの量)は少なくなるが、誤り訂正能力が高くなる。一方、R=3/4の符号化によれば、R=1/2の符号化の場合に比較して、データに対する冗長ビットが少ないため、誤り訂正能力は低くなるが、送信データ量は多くなる。
【0049】
適応変調符号化部14では、以上の2種類の変調方法と、2種類の符号化方法とを適宜組み合わせて、例えば、図5に示すような3つの変調符号化モード#0,#1,#2が用意されている。
【0050】
即ち、変調符号化モード#0では、R=1/2の符号化方法で符号化され、QPSKで変調される。変調符号化モード#1では、R=1/2の符号化方法で符号化され、16QAMで変調される。変調符号化モード#2では、R=3/4の符号化方法で符号化され、16QAMで変調される。
【0051】
この場合、送信データ量は、変調符号化モード#0,#1,#2の順で多くなるが、雑音耐久特性は、その逆に、変調符号化モード#2,#1,#0の順で強固になる。
【0052】
従って、図3の制御部22は、伝送路の品質が良い場合には、雑音耐久特性を犠牲にして、データの高速通信を可能とする変調符号化モード#0を設定する。また、制御部22は、伝送路の品質が悪い場合には、データレートを犠牲にして、雑音耐久特性を向上させる変調符号化モード#2を設定する。さらに、制御部22は、伝送路の品質が良くもなく、悪くもない場合には、変調符号化モード#1を設定する。
【0053】
図6は、図5に示した3つの変調符号化モード#0乃至#2を有する適応変調符号化部14の構成例を示している。
【0054】
スイッチ31には、選択部13が出力するパケットデータが供給されるようになっており、スイッチ31は、制御部22から供給される変調符号化モードにしたがって、端子31A乃至31Cのうちのいずれかを選択する。即ち、スイッチ31は、変調符号化モード#0乃至#2の場合、端子31A乃至31Cを、それぞれ選択する。
【0055】
端子31Aは、符号化器32Aに接続されており、従って、スイッチ31において、端子31Aが選択された場合には、選択部13が出力するパケットデータは、符号化器32Aにされる。符号化器32Aは、端子31Aから供給されるパケットデータを、R=1/2の符号化方法によって符号化し、その結果得られる符号化データを、変調器33Aに供給する。変調器33Aは、符号化器32Aからの符号化データをQPSK変調し、その結果得られる変調信号を、スイッチ34の端子34Aに供給する。従って、変調符号化モード#0の場合は、上述したように、パケットデータは、R=1/2の符号化方法で符号化され、QPSKで変調される。
【0056】
端子31Bは、符号化器32Bに接続されており、従って、スイッチ31において、端子31Bが選択された場合には、選択部13が出力するパケットデータは、符号化器32Bにされる。符号化器32Bは、端子31Bから供給されるパケットデータを、R=1/2の符号化方法によって符号化し、その結果得られる符号化データを、変調器33Bに供給する。変調器33Bは、符号化器32Bからの符号化データを16QAM変調し、その結果得られる変調信号を、スイッチ34の端子34Bに供給する。従って、変調符号化モード#1の場合は、上述したように、パケットデータは、R=1/2の符号化方法で符号化され、16QAMで変調される。
【0057】
端子31Cは、符号化器32Cに接続されており、従って、スイッチ31において、端子31Cが選択された場合には、選択部13が出力するパケットデータは、符号化器32Cにされる。符号化器32Cは、端子31Cから供給されるパケットデータを、R=3/4の符号化方法によって符号化し、その結果得られる符号化データを、変調器33Cに供給する。変調器33Cは、符号化器32Cからの符号化データを16QAM変調し、その結果得られる変調信号を、スイッチ34の端子34Cに供給する。従って、変調符号化モード#2の場合は、上述したように、パケットデータは、R=3/4の符号化方法で符号化され、16QAMで変調される。
【0058】
スイッチ34は、スイッチ31と同様に、制御部22から供給される変調符号化モードにしたがって、端子34A乃至34Cのうちのいずれかを選択する。即ち、スイッチ34は、変調符号化モード#0乃至#2の場合、端子34A乃至34Cを、それぞれ選択する。
【0059】
従って、スイッチ34においては、変調符号化モードに応じて、その変調符号化モードで符号化と変調が行われることにより得られた変調信号が出力される。
【0060】
このように、適応変調符号化によれば、パケットデータが、伝送路の品質に応じた符号化率と変調度数で処理されるので、パケットデータを、効率良く伝送することができる。
【0061】
なお、図6において、符号化器32Aと32Bは、1つの符号化器とすることができる。変調器33Bと33Cも、1つの変調器とすることができる。
【0062】
図3に戻り、以上のようにして、適応変調符号化部14が出力する変調信号は、拡散部15に供給される。
【0063】
拡散部15には、適応変調符号化部14が出力する変調信号の他、変調部27が出力する変調信号も供給される。
【0064】
即ち、他の基地局から、他の携帯端末等からの音声データが供給される場合には、その音声データは、符号化部25に供給され、符号化部25は、音声データを、固定の符号化率で符号化し、その結果得られる符号化データを、多重化部26に供給する。
【0065】
多重化部26は、符号化部25から供給される符号化データと、後述する符号化部24から供給される符号化データとを多重化し、その結果得られる多重化データを、変調部27に供給する。変調部27は、多重化部26からの多重化データを、固定の変調度数で変調し、その結果得られる変調信号を、拡散部15に供給する。
【0066】
拡散部15には、以上のようにして、適応変調符号化部14が出力する変調信号、および変調部27が出力する変調信号が供給されるとともに、パイロット信号も供給される。拡散部15は、適応変調符号化部14が出力する変調信号、変調部27が出力する変調信号、およびパイロット信号を、それぞれ、異なる拡散符号によって、同一周波数帯域内に、スペクトル拡散し、その結果得られるスペクトル拡散信号を、送受信部16に供給する。
【0067】
送受信部16は、拡散部15からのスペクトル拡散信号に対して、増幅その他の必要な処理を施し、アンテナ17から、電波として送信する。
【0068】
また、アンテナ17は、携帯端末1から送信されてくる電波を受信し、その結果得られる受信信号としてのスペクトル拡散信号を、送受信部16に供給する。送受信部16は、アンテナ17からのスペクトル拡散信号を増幅等し、逆拡散部18に供給する。逆拡散部18は、送受信部16からのスペクトル拡散信号をスペクトル逆拡散し、その結果得られる変調信号を、復調部19に供給する。
【0069】
復調部19は、逆拡散部18からの変調信号を復調し、パケットデータや音声データ等の各種のデータを得て出力する。復調部19において得られる各種のデータは、例えば、他の基地局等に送信される。
【0070】
また、復調部19が、復調を行うことにより得られるデータは、受信品質ビット抽出部20にも供給される。
【0071】
携帯端末1から送信されてくる信号には、図2で説明したように、受信品質メッセージが含まれており、受信品質ビット抽出部20は、復調部19からのデータに含まれる受信品質メッセージに対応するビットを抽出し、受信品質判定部21に供給する。
【0072】
受信品質判定部21は、受信品質ビット抽出部20からの受信品質メッセージに基づき、携帯端末1における、基地局2からの電波の受信品質、即ち、伝送路の品質を判定し、その判定結果を、制御部22に供給する。
【0073】
制御部22は、受信品質判定部21からの受信品質の判定結果に基づき、変調符号化モードを設定し、適応変調符号化部14と制御データ生成部23に供給する。
【0074】
適応変調符号化部14は、以上のようにして、制御部22から供給される変調符号化モードにしたがって、選択部13から供給されるパケットデータの適応変調符号化を行う。
【0075】
一方、制御データ生成部23は、制御部22からの変調符号化モードに対応する変調方法と符号化方法を表すメッセージ(上述の送信パラメータ)、その他の、携帯端末1の制御に必要な制御データを生成し、符号化部24に供給する。符号化部24は、制御データ生成部23からの制御データを、固定の符号化率で符号化し、その結果得られる符号化データを出力する。この符号化部24が出力する符号化データは、上述したように、多重化部26に供給され、符号化部25が出力する符号化データと多重化される。
【0076】
なお、制御部22は、選択部13の制御も行う。選択部13は、制御部22による制御にしたがい、図7に示すように、バッファ12nに記憶されているパケットデータを選択して読み出し、適応変調符号化部14に供給する。従って、選択部13において読み出されたパケットデータは、そのパケットデータの宛先ユーザの携帯端末に送信されることになる。従って、選択部13での選択は、パケットデータの宛先ユーザの携帯端末に対して、通信資源の割り当てることに対応するから、制御部22は、この通信資源の割り当て制御を行っているということができる。
【0077】
ここで、図7は、基地局2のパケットデータ伝送用の下り回線が、1チャンネルだけである場合に、携帯端末11乃至13のユーザ#1乃至#3それぞれ宛のパケットデータを送信するのに、携帯端末11乃至13(ユーザ#1乃至#3)それぞれに対して、通信資源が、時分割で割り当てられる様子を示している。
【0078】
次に、図8は、図1の携帯端末1の構成例を示している。
【0079】
基地局2からの電波は、アンテナ41で受信され、その受信信号は、送受信部42に供給される。送受信部42は、アンテナ41からの受信信号に対して、増幅その他の必要な処理を施し、逆拡散部43に供給する。逆拡散部43は、送受信部42からの受信信号としてのスペクトル拡散信号を、スペクトル逆拡散し、その結果得られるパイロット信号、適応変調符号化されたデータ(図3の適応変調符号化部14が出力するデータに対応する)、および固定の符号化率で、かつ固定の変調度数で変調されたデータ(図3の変調部27が出力するデータに対応する)を出力する。
【0080】
パイロット信号は、CPICH受信品質推定部50に供給され、適応変調符号化されたデータは、データ復調復号部49に供給される。また、固定の符号化率で、かつ固定の変調度数で変調されたデータは、復調部44に供給される。
【0081】
復調部44は、逆拡散部43が出力する、固定の符号化率で、かつ固定の変調度数で変調されたデータを復調し、その結果得られる符号化データを、制御データ分離部45に供給する。制御データ分離部45は、復調部44から供給される符号化データから、制御データの符号化データを分離し、制御データ復号部47に供給するとともに、残りの符号化データを、復号部46に供給する。復号部46は、制御データ分離部45からの符号化データを復号し、その結果得られる、例えば音声データを出力する。
【0082】
制御データ復号部47は、制御データ分離部45から供給される符号化データを、制御データに復号し、制御部48に出力する。制御部48は、制御データ復号部47からの制御データに含まれる変調方法と符号化方法を表すメッセージにしたがって、データ復調復号部49を制御する。
【0083】
即ち、データ復調復号部49は、制御部48からの制御にしたがった復調方法で、逆拡散部44が出力する適応変調符号化されたデータを復調し、さらに、その復調の結果得られるデータを、制御部48からの制御にしたがった復号方法で復号する。そして、データ復調復号部49は、その復号の結果得られるパケットデータを出力する。
【0084】
一方、CPICH受信品質推定部50は、逆拡散部43からのパイロット信号(後述するCPICHチャンネルのパイロット信号)に基づいて、適応変調符号化されたデータの受信品質を推定し、その受信品質を表す受信品質メッセージを、受信品質ビット挿入部51に供給する。
【0085】
受信品質ビット挿入部51には、CPICH受信品質推定部50が出力する受信品質メッセージの他、携帯電話機1から送信すべきパケットデータや音声データ等の送信データが供給されるようになっており、受信品質ビット挿入部51は、その送信データの所定の位置に、受信品質メッセージに対応するビット列を挿入し、必要に応じて符号化して、変調部52に供給する。
【0086】
変調部52は、受信品質ビット挿入部51からのデータを、固定の変調度数で変調する。そして、変調部52は、その変調の結果得られる変調信号を、拡散部53に供給する。
【0087】
拡散部53は、変調部52からの変調信号をスペクトル拡散することにより、スペクトル拡散信号とし、送受信部42に供給する。送受信部42は、拡散部53からのスペクトル拡散信号に対して、増幅その他の必要な処理を施し、アンテナ41から、電波として送信する。
【0088】
ところで、適応変調符号化による通信は、上述したように、基地局2が、携帯端末1から送信されてくる受信品質メッセージに基づいて、変調符号化モードを決定することによって実現される。
【0089】
しかしながら、携帯端末1が、自身における受信品質を求めてから、基地局2が、その受信品質を認識するまでには、基地局2において、その受信品質を表す受信品質メッセージを受信し、さらに、復調、復号しなけばならず、少なからず遅延が存在する。
【0090】
従って、基地局2において、受信品質メッセージが表す受信品質を認識したときには、既に、携帯端末1における現在の受信品質が変化し、その結果、最適な変調符号化モードを選択することができず、伝送効率が劣化することがある。
【0091】
この問題は、特に、携帯端末1のユーザが、電車等で高速に移動している場合など、伝送路の特性が急速に変化する場合に、顕著に現れる。
【0092】
一方、伝送効率向上の観点からは、携帯端末1による受信品質メッセージの送信周期を長くするのが望ましいが、この場合、携帯端末1における現在の受信品質が、受信品質メッセージが表す受信品質と大きくかけ離れたものとなることがあり、適応変調符号化による伝送効率の向上が妨げられることになる。
【0093】
そこで、図9は、本発明を適用した通信システムの一実施の形態の構成例を示している。
【0094】
図9の通信システムは、3台の携帯端末611乃至613と、基地局62とから構成されており、携帯端末611乃至613それぞれと、基地局62との間では、AMCS通信方式による通信が、例えば、W-CDMA方式によって行われるようになっている。
【0095】
携帯端末611乃至613は、例えば、図1の携帯端末1と同様に、携帯電話機その他のPDAで構成され、基地局62との間で、AMCS通信方式を採用したW-CDMA通信を行う。
【0096】
なお、図9では、3台の携帯端末611乃至613を示してあるが、携帯端末の数は、特に限定されるものではない。
【0097】
ここで、以下、携帯端末611乃至613を、特に区別する必要がない限り、携帯端末61と記述する。
【0098】
基地局62は、自身がカバーしている範囲(セル)内にある携帯端末61との間での、AMCS通信方式を採用したW-CDMA通信の制御を行い、即ち、携帯端末61に対して、通信を行うための伝送帯域その他の通信資源を割り当て、これにより、例えば、他の基地局(図示せず)から送信されてくる他の携帯端末(図示せず)からのデータや、インターネットのWWWサーバからのWebページのデータ、メールサーバからのメール等を受信して、携帯端末61に送信する。あるいは、また、基地局2は、例えば、携帯端末61から送信されてくるデータを受信して、他の基地局や、インターネット等の所定のネットワークに送信する。
【0099】
次に、図10は、携帯端末61と基地局62との間でやりとりされるデータフォーマットを示している。
【0100】
なお、ここでは、携帯端末61と基地局62との間で、W-CDMA方式による通信が行われるものとしており、図10は、W-CDMA方式について、3GPP(3rd Generation Partnership Project)で規定されているチャンネルのうちの一部だけを示している。
【0101】
携帯端末61から基地局62へのデータ伝送に用いられる上り回線は、図10(A)に示すように、DPDCH(Dedicated Physical Data Channel)チャンネルとDPCCH(Dedicated Physical Control Channel)チャンネルを有している。
【0102】
DPDCHチャンネルおよびDPCCHチャンネルは、約0.667msの長さ(時間)のスロットを最小単位として構成され、例えば、5または15スロット(約3.33msまたは10ms)で、1フレームが構成される。
【0103】
DPDCHチャンネルは、データ部を有し、そのデータ部には、携帯端末61から基地局62に送信されるパケットデータや音声データ等の実データが配置される。さらに、DPDCHチャンネルのデータ部には、受信品質メッセージも配置される。
【0104】
DPCCHチャンネルは、パイロット部やTPC部などを有し、そのパイロット部には、パイロット信号が配置され、TPC(Transmit Power Control)部には、後述する電力制御情報が配置される。
【0105】
ここで、DPDCHチャンネルに配置されるデータは、I信号に割り当てられ、DPCCHチャンネルに配置されるデータは、Q信号に割り当てられる。
【0106】
基地局62から携帯端末61へのデータ伝送に用いられる下り回線は、図10(B)に示すように、DPCH(Dedicated Physical Channel)チャンネル、DSCH(Downlink Shard Channel)チャンネル、CPICH(Common PIlot Channel)チャンネルを有している。そして、DPCHチャンネル、DSCHチャンネル、およびCPICHチャンネルも、図10(A)で説明したDPDCHチャンネルおよびDPCCHチャンネルと同様に、約0.667msの長さのスロットを最小単位として構成され、例えば、5または15スロットで、1フレームが構成される。
【0107】
なお、上り回線のチャンネルで送信されるフレームと、下り回線のチャンネルで送信されるフレームとは、同一の数のスロットで構成されている必要はないが、ここでは、説明を簡単にするために、上り回線と下り回線のチャンネルで送信されるフレームは、同一数のスロットで構成されるものとする。即ち、上り回線と下り回線のフレーム長は、同一であるとする。
【0108】
また、DPCHチャンネル、DSCHチャンネル、CPICHチャンネルは、それぞれ異なる拡散符号でスペクトル拡散されることにより並列して(同時に)送信される。
【0109】
DPCHチャンネルは、制御部とデータ部を有し、その制御部には、変調符号化モードその他の制御データが配置され、データ部には、音声データなどが配置される。なお、DPCHチャンネルの制御部には、制御データとして、パイロット信号も配置される。
【0110】
DSCHチャンネルは、データ部を有し、そのデータ部には、適応変調符号化されたデータが配置される。
【0111】
CPICHチャンネルは、パイロット部を有し、そのパイロット部には、パイロット信号が配置される。
【0112】
なお、CPICHチャンネルに配置されるパイロット信号は、DPCHチャンネルとは異なる拡散符号でスペクトル拡散されることにより、DPCHチャンネルのデータ部に配置されたデータと並列して送信される。これに対して、DPCHチャンネルの制御部に配置されるパイロット信号は、そのDPCHチャンネルのデータ部に配置されるデータと時間多重されて送信される。
【0113】
ここで、CPICHチャンネルに配置されるパイロット信号と、DPCHチャンネルの制御部に配置されるパイロット信号とを区別するために、以下、適宜、CPICHチャンネルに配置されるパイロット信号を、共通パイロット信号と、DPCHチャンネルの制御部に配置されるパイロット信号を、個別パイロット信号と、それぞれいう。前述の図3において(後述する図14、図24、図28、および図42においても同様)、拡散部15に入力されているパイロット信号が、共通パイロット信号である。
【0114】
次に、図11は、図9の携帯端末61の構成例を示している。なお、図中、図8の携帯端末1と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下、その説明は、適宜省略する。即ち、図11の携帯端末61は、図8の携帯端末1に、個別パイロット分離部71、DPCH受信品質推定部72、電力制御ビット生成部73、電力制御ビット挿入部74が新たに設けられて構成されている。
【0115】
個別パイロット分離部71には、逆拡散部43が出力するDPCHチャンネルの信号が供給されるようになっており、個別パイロット分離部71は、そのDPCHチャンネルの信号を、復調部44に供給するとともに、そのDPCHチャンネルの信号から、個別パイロット信号を分離して、DPCH受信品質推定部72に供給する。
【0116】
DPCH受信品質推定部72は、個別パイロット分離部71からの個別パイロット信号に基づいて、DPCHチャンネルの信号の受信品質を、例えば、1スロットごとに推定する。
【0117】
即ち、例えば、いま、DPCHチャンネルの1スロットに含まれる個別パイロット信号のシンボルを、p[1],p[2],・・・,p[N]とすると、DPCH受信品質推定部72は、例えば、次式にしたがって、信号成分Sと干渉成分Iを求め、さらに、DPCHチャンネルの信号の受信品質SIRDPCHを求める。
【0118】
S=Pave2
I=1/N×Σ(p[n]−Pave2
ave=1/N×Σp[n]
SIRDPCH=S/I
・・・(1)
【0119】
なお、式(1)におけるΣは、変数nを、1からNまでに変えてのサメーションを意味する。
【0120】
信号品質推定部72は、以上のようにして、DPCHチャンネルの信号の受信品質SIRDPCHを、1スロットごとに求めて、電力制御ビット生成部73に供給する。
【0121】
電力制御ビット生成部73は、DPCH受信品質推定部72からの受信品質SIRDPCHに基づき、基地局62のDPCHチャンネルの送信電力の調整を要求する電力制御情報を生成する。
【0122】
即ち、電力制御ビット生成部73は、受信品質SIRDPCHを、所定の閾値εと比較する。そして、電力制御ビット生成部73は、受信品質SIRDPCHが所定の閾値ε以上の場合(より大きい場合)、電力制御情報としての1ビットのフラグTPCに、DPCHチャンネルの送信電力を1dB下げることを要求する情報として、例えば0をセットする。また、電力制御ビット生成部73は、受信品質SIRDPCHが所定の閾値ε未満(以下)の場合、電力制御情報としての1ビットのフラグTPCに、DPCHチャンネルの送信電力を1dB上げることを要求する情報として、例えば1をセットする。
【0123】
電力制御ビット生成部73は、以上のようにして、電力制御情報TPCに値をセットすると、その電力制御情報TPCを、電力制御ビット挿入部74に供給する。
【0124】
電力制御ビット挿入部74には、電力制御ビット生成部73が出力する電力制御情報TPCの他、受信品質ビット挿入部51から送信データが供給されるようになっており、電力制御ビット挿入部74は、受信品質ビット挿入部51からの送信データの所定の位置に、電力制御情報TPCに対応する1ビットを挿入して、変調部52に供給する。即ち、電力制御ビット挿入部74は、図10(A)に示したDPDCHチャンネルおよびDPCCHチャンネルのうちのDPCCHチャンネルのTPC部に、電力制御情報TPCを配置して、変調部52に供給する。
【0125】
以上のように構成される携帯端末61では、基地局62からのデータを受信する受信処理と、基地局2にデータを送信する送信処理が行われる。
【0126】
即ち、受信処理では、アンテナ41において、基地局62からの電波が受信され、その受信信号が、送受信部42を介して、逆拡散部43に供給される。逆拡散部43は、そこに供給される受信信号に対して、スペクトル逆拡散処理を施し、これにより、DPCHチャンネル、DSCHチャンネル、およびCPICHチャンネルの信号を得る(図10(B))。
【0127】
そして、DPCHチャンネルの信号は、個別パイロット分離部71に供給され、DSCHチャンネルの信号は、データ復調復号部49に供給される。さらに、CPICHチャンネルの信号は、CPICH受信品質推定部50に供給される。
【0128】
個別パイロット分離部71は、逆拡散部43から供給されるDPCHチャンネルの信号から、個別パイロット信号を分離し、DPCH受信品質推定部72に供給する。また、個別パイロット分離部71は、逆拡散部43から供給されるDPCHチャンネルの信号を、復調部44に供給する。
【0129】
復調部44、制御データ分離部45、復号部46、制御データ復号部47、制御部48、データ復調復号部49では、図8の携帯端末1における場合と同様の処理が行われ、これにより、DSCHチャンネルの信号、即ち、適応変調符号化されたデータが、その変調符号化モードにしたがって復調および復号(適応変調復号)される。
【0130】
一方、送信処理では、携帯電話機61から送信すべきパケットデータや音声データ等の送信データが、受信品質ビット挿入部51に供給される。さらに、受信品質ビット挿入部51には、CPICH受信品質推定部50が、後述するDSCHチャンネルの信号の受信品質推定処理を行うことにより得られる受信品質を表す受信品質メッセージが、例えば、フレームごとに供給される。
【0131】
受信品質ビット挿入部51は、送信データに、受信品質メッセージを挿入し、即ち、送信データとしてのDPDCHチャンネルのデータ部(図10(A))に、受信品質メッセージを配置し、必要に応じて、フレーム単位で符号化して、電力制御ビット挿入部74に供給する。
【0132】
電力制御ビット挿入部74は、受信品質ビット挿入部51からの送信データに、後述するDPCHチャンネルの信号の電力制御情報生成処理が行われることにより、電力制御ビット生成部73から、例えば、スロットごとに供給される電力制御情報を挿入し、即ち、送信データとしてのDPCCHチャンネルのTPC部(図10(A))に、電力制御情報を配置し、変調部52に供給する。
【0133】
以下、変調部52、拡散部53、および送受信部42において、図8の携帯端末1における場合と同様の処理が行われることにより、送信データに対応する電波が、アンテナ41から基地局62に送信される。
【0134】
次に、図11の携帯端末61では、受信処理および送信処理の他、上述したように、DSCHチャンネルの信号の受信品質推定処理と、DPCHチャンネルの信号の電力制御情報生成処理が行われる。
【0135】
そこで、まず、図12のフローチャートを参照して、DSCHチャンネルの信号の受信品質推定処理について説明する。
【0136】
DSCHチャンネルの信号の受信品質推定処理では、まず最初に、ステップS1において、CPICH受信品質推定部50が、逆拡散部43から出力されるCPICHチャンネルに配置されている共通パイロット信号を取得する。そして、ステップS2に進み、CPICH受信品質推定部50は、共通パイロット信号に基づいて、DSCHチャンネルの信号の受信品質を推定する。
【0137】
即ち、例えば、いま、CPICHチャンネルの1フレームに含まれる共通パイロット信号のシンボルを、c[1],c[2],・・・,c[M]とすると、CPICH受信品質推定部50は、例えば、次式にしたがって、信号成分Sと干渉成分Iを求め、さらに、DSCHチャンネルの信号の受信品質SIRDSCHを求める。
【0138】
S=Cave2
I=1/M×Σ(c[m]−Cave2
ave=1/N×Σc[m]
SIRDSCH=S/I×Poffset
・・・(2)
【0139】
なお、式(2)におけるΣは、変数mを、1からMまでに変えてのサメーションを意味する。また、Poffsetは、DSCHチャンネルの送信電力PDSCHと、CPICHチャンネルの送信電力PCPICHとの比PDSCH/PCPICHを表す。このPoffsetは、例えば、固定の値として、携帯端末61にあらかじめ設定しておくことが可能である。また、Poffsetは、例えば、携帯端末61と基地局62との間の通信リンクが確立された直後に、基地局62から携帯端末61に送信するようにすることも可能である。
【0140】
CPICH受信品質推定部50は、以上のようにして、DSCHチャンネルの信号の受信品質(の推定値)SIRDSCHを求め、受信品質ビット挿入部51に供給して、処理を終了する。
【0141】
CPICH受信品質推定部50は、図12のDSCHチャンネルの信号の受信品質の推定処理を、フレームごとに行うようになっており、受信品質ビット挿入部51は、CPICH受信品質推定部50からのDSCHチャンネルの受信品質SIRDSCHを、DPDCHチャンネル(図10(A))のデータ部(の一部)に、受信品質メッセージとして配置する。従って、DSCHチャンネルの受信品質SIRDSCHを表す受信品質メッセージは、DPDCHチャンネルによって、フレームごとに、携帯端末61から基地局62に送信される。
【0142】
次に、図13のフローチャートを参照して、DPCHチャンネルの信号の電力制御情報生成処理について説明する。
【0143】
DPCHチャンネルの信号の電力制御情報生成処理では、まず最初に、ステップS11において、個別パイロット分離部71が、逆拡散部43から出力されるDPCHチャンネルのスロットから、個別パイロット信号を抽出し、DPCH受信品質推定部72に供給する。
【0144】
DPCH受信品質推定部72は、ステップS12において、個別パイロット分離部71から供給されるスロット単位の個別パイロット信号を用い、上述した式(1)にしたがって、DPCHチャンネルの受信品質SIRDPCHを求め、電力制御ビット生成部73に供給する。
【0145】
電力制御ビット生成部73は、ステップS13において、DPCH受信品質推定部72からの受信品質SIRDPCHを、所定の閾値εと比較し、その大小関係を判定する。
【0146】
ステップS13において、受信品質SIRDPCHが、所定の閾値ε未満であると判定された場合、ステップS14に進み、電力制御ビット生成部73は、電力制御情報TPCに、DPCHチャンネルの送信電力を1dB上げることを要求する情報としての1をセットし、電力制御ビット挿入部74に供給して、処理を終了する。
【0147】
また、ステップS13において、受信品質SIRDPCHが、所定の閾値ε未満でないと判定された場合、ステップS15に進み、電力制御ビット生成部73は、電力制御情報TPCに、DPCHチャンネルの送信電力を1dB下げることを要求する情報としての0をセットし、電力制御ビット挿入部74に供給して、処理を終了する。
【0148】
個別パイロット分離部71、DPCH受信品質推定部72、および電力制御ビット生成部73は、図13のDPCHチャンネルの信号の電力制御情報生成処理を、スロットごとに行うようになっており、従って、電力制御情報TPCは、スロットごとに、携帯端末61から基地局62に送信される。
【0149】
即ち、いまの場合、携帯端末61から基地局62に対して、DSCHチャンネルの受信品質SIRDSCHを表す受信品質メッセージは、フレーム周期で送信されるが、DPCHチャンネルの電力制御情報TPCは、フレーム周期より短いスロット周期で送信される。
【0150】
なお、例えば、受信品質メッセージは、上述したように、符号化されて送信されるが、電力制御情報TPCは、符号化されずに送信される。
【0151】
次に、図14は、図9の基地局62の構成例を示している。なお、図中、図3における場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。即ち、図14の基地局62は、電力制御ビット抽出部81、電力調整部82、電力制御ビットバッファ83、積算部84が新たに設けられているとともに、受信品質判定部21と制御部22に替えて、受信品質判定部85と制御部86がそれぞれ設けられている他は、基本的に、図3の基地局2と同様に構成されている。
【0152】
電力制御ビット抽出部81は、逆拡散部18が出力する信号を、復調部19に供給するとともに、その信号から、DPCCHチャンネルのTPC部(図10(A))に配置された電力制御情報TPCを抽出し、電力調整部82と電力制御ビットバッファ83に供給する。
【0153】
電力調整部82は、変調部27が出力する変調信号の送信電力を、電力制御ビット抽出部81が出力する電力制御情報TPCにしたがって調整し、拡散部15に供給する。即ち、電力調整部82は、電力制御情報TPCが1の場合、変調部27が出力する変調信号を、現在の増幅率より1dB高い値で電力増幅して、拡散部15に出力する。また、電力調整部82は、電力制御情報TPCが0の場合、変調部27が出力する変調信号を、現在の増幅率より1dB低い値で電力増幅して、拡散部15に出力する。
【0154】
ここで、基地局62において、電力調整部82において送信電力の調整された変調信号は、DPCHチャンネル(図10(B))で送信される。そして、携帯端末61は、上述したように、DPCHチャンネルの受信品質SIRDPCHに応じて、電力制御情報TPCを設定する。従って、基地局62では、DPCHチャンネルの信号は、携帯端末61で所定の受信品質SIRDPCHが得られるように、送信電力が調整されて送信される。
【0155】
電力制御ビットバッファ83は、電力制御ビット抽出部81が出力する1ビットの電力制御情報TPCを一時記憶する。ここで、電力制御ビットバッファ83は、少なくとも、後述する報告遅延時間の間に、携帯端末61から送信されてくる電力制御情報TPCを記憶することのできる記憶容量を有している。また、電力制御ビットバッファ83は、例えば、いわゆるリングバッファで構成されており、空き容量がなくなると、最新の電力制御情報を、最も古い電力制御情報に上書きする形で記憶する。
【0156】
積算部84は、受信品質判定部85の制御にしたがい、電力制御ビットバッファ83に記憶された電力制御情報の一部または全部について、後述するような積算を行い、その積算値を、受信品質判定部85に供給する。
【0157】
受信品質判定部85は、積算部84を制御し、電力制御情報の積算値を取得する。さらに、受信品質判定部85は、受信品質ビット抽出部20から供給される受信品質メッセージと、積算部84からの電力制御情報の積算値を用いて、携帯端末61における現在のDSCHチャンネル(図10(B))の受信品質を精度良く推定し、その推定値を、制御部86に供給する。
【0158】
制御部86は、受信品質判定部85からの受信品質に基づき、変調符号化モードを決定し、適応変調符号化部14および制御データ作成部23に供給する。さらに、制御部86は、受信品質判定部85からの受信品質に基づき、後述するリソース(通信資源)割り当て処理を行うことによって、選択部13に選択させるバッファ12nを決定し、その決定にしたがって、選択部13を制御する。なお、制御部86には、バッファ121乃至12Nそれぞれのデータ蓄積量が供給されるようになっており、制御部86は、受信品質判定部85からの受信品質の他、バッファ121乃至12Nそれぞれのデータ蓄積量その他にも基づいて、リソース割り当て処理を行うようになっている。
【0159】
以上のように構成される基地局62では、携帯端末61にデータを送信する送信処理と、携帯端末61からのデータを受信する受信処理が行われる。
【0160】
即ち、送信処理では、例えば、他の基地局から送信されてくる、他の携帯端末等からのパケットデータが、分配部11を介して、所定のバッファ12nに供給されて記憶される。そして、選択部13が、後述するような制御部86の制御にしたがい、バッファ121乃至12Nのうちのいずれか1つのバッファ12nを選択し、そのバッファ12nに記憶されているパケットデータを読み出して、適応変調符号化部14に供給する。適応変調符号化部14は、制御部86から供給される変調符号化モードにしたがい、選択部13からのパケットデータを適応変調符号化し、さらに、その結果得られる変調信号を、拡散部15に供給する。
【0161】
一方、他の基地局から送信されてくる、他の携帯端末等からの音声データは、符号化部25を介して、多重化部26に供給される。また、制御データ生成部23が生成する制御データは、符号化部24を介して、多重化部26に供給される。
【0162】
多重化部26および変調部27は、音声データと制御データを、図3における場合と同様に処理する。そして、その結果得られる変調信号は、変調部27から電力調整部82に供給される。
【0163】
電力調整部82は、上述したように、変調信号の送信電力を、電力制御ビット抽出部81からの最新の電力制御情報にしたがって調整し、拡散部15に供給する。
【0164】
拡散部15には、適応変調符号化部14が出力する変調信号、および電力調整部82が出力する変調信号とともに、共通パイロット信号も供給されるようになっており、拡散部15は、適応変調符号化部14からの変調信号、電力調整部82からの変調信号、および共通パイロット信号を、それぞれ異なる拡散符号によって、同一周波数帯域内に、スペクトル拡散し、スペクトル拡散信号を得る。このスペクトル拡散信号は、送受信部16に供給され、アンテナ17から、電波として送信される。
【0165】
なお、適応変調符号化部14からの変調信号は、DSCHチャンネル(図10(B))で、電力調整部82が出力する変調信号は、DPCHチャンネルで、共通パイロット信号は、CPICHチャンネルで、それぞれ送信される。
【0166】
一方、受信処理では、アンテナ17で、携帯端末61から送信されてくる電波が受信され、受信信号が、送受信部16および逆拡散部18を介して、電力制御ビット抽出部81に供給される。
【0167】
電力制御ビット抽出部81は、逆拡散部18を介して供給される信号を、復調部19に供給するとともに、その信号から、DPCCHチャンネルのTPC部(図10(A))に配置された電力制御情報TPCを抽出し、電力調整部82と電力制御ビットバッファ83に供給する。
【0168】
電力調整部82は、上述の送信処理で説明したように、変調部27が出力する、DPCHチャンネルで送信される変調信号の送信電力を、電力制御ビット抽出部81が出力する最新の電力制御情報TPCにしたがって調整し(1dBだけ上下させ)、拡散部15に供給する。電力制御情報TPCは、上述したように、携帯端末61から、スロットに配置されて送信されてくるから、DPCHチャンネルで送信される変調信号は、スロットごとに、その送信電力が調整されて送信されることになる。
【0169】
電力制御ビットバッファ83は、電力制御ビット抽出部81が出力する1ビットの電力制御情報TPCを順次記憶する。ここで、この電力制御ビットバッファ83に記憶された電力制御情報TPCを用いて、後述する受信品質判定処理が行われ、これにより、携帯端末61における、DSCHチャンネルの受信品質が、精度良く推定される。
【0170】
一方、復調部19は、電力制御ビット抽出部81からの信号を復調し、パケットデータや音声データ等の各種のデータを得て出力する。また、復調部19が、復調を行うことにより得られるデータのうち、DPDCHチャンネル(図10(A))に配置されたデータは、受信品質ビット抽出部20にも供給される。
【0171】
上述したように、DPDCHチャンネルには、DSCHチャンネルの受信品質SIRDSCHを表す受信品質メッセージが、フレームごとに配置され、携帯端末61から基地局62に送信される。
【0172】
受信品質ビット抽出部20は、復調部19からのDPDCHチャンネル(図10(A))に配置されたデータに含まれる受信品質メッセージを抽出し、受信品質判定部85に供給する。
【0173】
受信品質判定部85は、受信品質ビット抽出部20から供給される受信品質メッセージと、電力制御ビットバッファ83に記憶された電力制御情報との両方を用いて、受信品質判定処理を行うことにより、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIR(Signal to Interference Ratio)を、精度良く推定する。
【0174】
即ち、携帯端末61では、図15に示すように、CPICHチャンネル(図10(B))の1フレームを、DSCHチャンネルの受信品質を測定する区間(SIR測定区間)として、そのSIR測定区間における共通パイロット信号を観測することにより、式(2)にしたがい、DSCHチャンネルの受信品質SIRDSCHを求める。この受信品質SIRDSCHを表す受信品質メッセージは、携帯端末1において、DPDCHチャンネルのデータ部(図10(A))に配置され、フレームごとに送信されてくるが、受信品質メッセージは符号化されているため、その復号が必要であり、さらに、その復号は、受信品質メッセージが配置されたフレームすべての受信が完了してからでないと行うことができない。
【0175】
このため、基地局2において、携帯端末61から送信されてきた受信品質メッセージだけから、DSCHチャンネルの受信品質を認識し、その受信品質に応じた変調符号化モードを選択して、その変調符号化モードによる適応変調符号化を行うと、図15に示すように、携帯端末61においてDSCHチャンネルの受信品質が観測された時点から、かなりの時間が経過したタイミングで、基地局62において、その受信品質に応じた変調符号化モードによる適応変調符号化が行われることになる。
【0176】
なお、図15は、携帯端末61においてDSCHチャンネルの受信品質が観測された時点から、4フレームに対応する遅延時間が経過してから、基地局62において、その受信品質に応じた変調符号化モードによる適応変調符号化が行われることを表している。即ち、図15は、いま、適応変調符号化を行おうとしているDSCHチャンネルのフレームを、注目フレームということとすると、その注目フレームについての変調符号化モードを決定するのに用いることのできる最新の受信品質メッセージが表す受信品質が、携帯端末61において、4フレームに対応する遅延時間だけ過去に求められたものであることを表している。
【0177】
ここで、注目フレームのタイミングと、注目フレームについての変調符号化モードを決定するのに用いる受信品質メッセージが表す受信品質が、携帯端末61において求められたタイミングとの時間差を、以下、適宜、報告遅延時間TDという。
【0178】
基地局62において、受信品質メッセージだけから、DSCHチャンネルの受信品質を認識する場合、上述したように、注目フレームの適応変調符号化が、報告遅延時間TDだけ過去に、携帯端末61で求められた受信品質に基づいて行われることとなる。従って、その報告遅延時間TDの間に、携帯端末61における現在の受信品質が変わった場合には、注目フレームについて、最適な適応変調符号化を行うことができず、その結果、伝送効率が劣化することとなる。
【0179】
そこで、受信品質判定部85は、DSCHチャンネルの受信品質を表す受信品質メッセージだけでなく、DPCHチャンネルの送信電力制御のための電力制御情報TPCをも用いて、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRを、精度良く推定する。
【0180】
即ち、電力制御情報TPCは、上述したように、携帯端末61から、スロット単位、つまり、受信品質メッセージが送信されてくる周期よりも短い周期(図10に示したデータフォーマットによれば、受信品質メッセージが送信されてくる周期の1/5または1/15の周期)で送信されてくる。また、電力制御情報TPCは、符号化されずに送信されるので、スロットを受信すれば、そのスロットに配置されている電力制御情報TPCを即座に得ることができる。さらに、電力制御情報TPCは、携帯端末61におけるDPCHチャンネルの受信品質を維持するために、送信電力の調整を要求するものであるから、その値は、DPCHチャンネルの受信品質が、過去の受信品質に比較して、向上したのか、または低下したのかを表す。そして、DPCHチャンネルと、DSCHチャンネルとは、異なるチャンネルではあるが、同一周波数帯域にスペクトル拡散され、同時に伝送されるものであるから、DPCHチャンネルの受信品質の変化は、DSCHチャンネルの受信品質の変化として捉えても、基本的に問題はない。
【0181】
そこで、受信品質判定部85は、受信品質メッセージに基づいて、変調符号化モードを決定(設定)しようとしている注目フレームから、その受信品質メッセージに対応する報告遅延時間TDだけ遡った時点の間に受信した電力制御情報TPCの積算値を加味して、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRを、精度良く推定する受信品質判定処理を行う。
【0182】
即ち、図16は、受信品質判定処理を説明するフローチャートである。
【0183】
受信品質判定部85は、まず最初に、ステップS21において、注目フレームから、最新の受信品質メッセージに対応する報告遅延時間TDだけ遡った時点の間に受信した電力制御情報TPCの積算値を求めるように、積算部84を制御する。
【0184】
これにより、積算部84は、電力制御ビットバッファ83に記憶された電力制御情報TPCを用いて、例えば、次式にしたがい、積算値△SIR[dB]を求める。
【0185】
△SIR=Σ(1−2×TPC[k])
・・・(3)
【0186】
なお、式(3)において、TPC[k]は、注目フレームからkスロットだけ遡った時刻において受信された電力制御情報を表し、また、Σは、報告遅延時間TDに亘ってのサメーションを表す。
【0187】
そして、ステップS22に進み、受信品質判定部85は、次式にしたがって、最新の受信品質メッセージが表すDSCHチャンネルの受信品質SIRDSCHと、積算値△SIRとを加算することにより、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRを推定し、処理を終了する。
【0188】
SIR=SIRDSCH+α×△SIR
・・・(4)
【0189】
但し、式(4)において、αは、積算値△SIRに対する重み係数であり、0以上1以下の範囲内の実数値である。
【0190】
以上により、受信品質判定部85では、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRが、精度良く推定される。そして、この受信品質SIRは、制御部86に供給され、制御部86では、その精度の高い受信品質SIRに基づいて、注目フレームの変調符号化モードが決定される。従って、注目フレームについては、携帯端末61における、現在の受信品質に適した適応変調符号化が行われ、その結果、伝送効率を向上させることができる。
【0191】
ここで、報告遅延時間TDは、例えば、固定の時間として、あらかじめ設定しておくようにすることができる。また、報告遅延時間TDは、例えば、携帯端末61において、受信品質メッセージに、現在時刻を付加して送信するようにし、基地局62において、その受信品質メッセージに付加されている現在時刻に基づいて求めるようにすることも可能である。
【0192】
なお、上述の場合には、携帯端末61から、電力制御情報TPCを、スロット単位で送信するようにしたが、電力制御情報TPCは、数スロット単位で送信することも可能である。但し、この場合、電力制御情報TPCを、スロット単位で送信する場合に比較して、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRの推定精度が劣化することがある。
【0193】
また、電力制御情報TPCは、符号化されないから、誤りがある場合がある。そこで、受信品質判定部85では、例えば、次式にしたがい、ある程度のヒステリシスをもって、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRを推定するようにすることが可能である。
【0194】
SIR=SIRDSCH+α×△SIR (但し、|△SIR|>thの場合)
SIR=SIRDSCH (但し、|△SIR|≦thの場合)
・・・(5)
【0195】
式(5)によれば、積算値の絶対値|△SIR|が、所定の閾値th以下(未満)の場合には、そのような小さな絶対値の積算値△SIRは誤差であるとして、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRの推定に加味されないことになる。
【0196】
次に、上述の場合には、携帯端末61において、フレームごとに、受信品質メッセージを送信するようにしたが、受信品質メッセージは、例えば、図17に示すように、所定のフレーム数おきに送信するようにすることが可能である。即ち、例えば、携帯端末61から基地局62への上り回線のリソースが不足している場合等には、携帯端末61からの受信品質メッセージの送信頻度を少なくすることができる。ここで、図17は、携帯端末61から、受信品質メッセージが、3フレームごとに送信される様子を示している。
【0197】
但し、このように、受信品質メッセージが、数フレームごとに送信される場合、注目フレームによって、報告遅延時間が変化するので、その変化を考慮して、電力制御情報TPCを積算する区間を変更する必要がある。
【0198】
即ち、例えば、図17に示したように、受信品質メッセージが、3フレームごとに送信される場合、基地局62において、ある受信品質メッセージ#1が得られた後、次の受信品質メッセージ#2が得られるのは、その3フレーム分だけ後の時間である。従って、基地局62において、受信品質メッセージ#1が得られたタイミングの直後に送信されるのが、図17に示したように、第4フレームである場合には、受信品質メッセージ#2が得られるのは、第4フレームの3フレーム後の第7フレームが送信される直前である。
【0199】
以上から、第4フレームから、第7フレームの直前まで、即ち、第6フレームまでの3フレームについては、受信品質メッセージ#1を用いて、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRを推定する必要がある。
【0200】
この場合、第4フレームについての報告遅延時間TD1は、図15における場合と同様に、報告遅延時間TDに等しくなる。しかしながら、第5フレームについての報告遅延時間TD2と、第6フレームについての報告遅延時間TD3は、報告遅延時間TDに等しくならない。即ち、第5フレームについての報告遅延時間TD2は、報告遅延時間TDに、1フレーム分の時間を加算した時間となり、第6フレームについての報告遅延時間TD3は、報告遅延時間TDに、2フレーム分の時間を加算した時間となる。
【0201】
従って、受信品質メッセージが、数フレームごとに送信される場合には、積算部84において、上述のように、注目フレームごとに、報告遅延時間を変えて、電力制御情報TPCを積算する必要がある(電力制御情報TPCを積算する区間を変える必要がある)。
【0202】
以上のように、上り回線のリソースに応じて、携帯端末61からの受信品質メッセージの送信頻度を変更する場合には、上り回線がリソース不足となる頻度を低減することができる。
【0203】
なお、携帯端末61から、受信品質メッセージを送信する周期は、固定ではなく、可変にすることが可能である。
【0204】
また、本実施の形態では、上り回線のフレームを構成するスロット数と、下り回線のフレームを構成するスロット数が同一であるとしたが、上り回線と下り回線のスロット数が異なる場合には、上述した場合と同様に、報告遅延時間を変えることで、フレームを送信するときにおける携帯端末61の受信品質を、精度良く推定することができる。
【0205】
次に、上述の場合には、最新の受信品質メッセージが表す受信品質SIRDSCHと、電力制御情報TPCの積算値△SIRとを加算することによって、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRを推定するようにしたが、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRは、過去に受信された受信品質メッセージが表す受信品質SIRDSCHをも用いて、つまり、複数の受信品質メッセージを用いて推定することが可能である。
【0206】
即ち、例えば、図18に示すように、最新の受信品質メッセージ#0の他、その1フレーム前に受信された受信品質メッセージ#−1と、さらに、その1フレーム前に受信された受信品質メッセージ#−2を用いて、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRを推定することが可能である。
【0207】
この場合、受信品質メッセージごとに、報告遅延時間を変えて、電力制御情報TPCを積算すれば良い。
【0208】
即ち、図18の実施の形態においては、最新の受信品質メッセージ#0については、図15における場合と同様に、報告遅延時間TDの区間に亘って、電力制御情報TPCの積算を行い、その積算値と、受信品質メッセージ#0が表す受信品質とを加算して、現在のDSCHチャンネルの第1の受信品質SIR[1]を求める。
【0209】
また、1フレーム前の受信品質メッセージ#−1については、報告遅延時間TDに、1フレーム分の時間TFを加えた区間に亘って、電力制御情報TPCの積算を行い、その積算値と、受信品質メッセージ#−1が表す受信品質とを加算して、現在のDSCHチャンネルの第2の受信品質SIR[2]を求める。さらに、2フレーム前の受信品質メッセージ#−2については、報告遅延時間TDに、2フレーム分の時間2TFを加えた区間に亘って、電力制御情報TPCの積算を行い、その積算値と、受信品質メッセージ#−2が表す受信品質とを加算して、現在のDSCHチャンネルの第3の受信品質SIR[3]を求める。
【0210】
そして、第1乃至第3の受信品質SIR[1]乃至SIR[3]の、例えば、平均値等の重み付け加算値を求め、それを、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRの推定値とする。
【0211】
いま、最新の受信品質メッセージから、Nフレーム前までの受信品質メッセージを用いて、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの最終的な受信品質SIRを推定することとした場合、その推定は、次式によって行うことができる。
【0212】
SIR=Σ(w[i]×(SIRDSCH[i]+α[i]△SIR[i])
・・・(6)
【0213】
但し、式(6)において、SIRDSCH[i]は、最新の受信品質メッセージからiフレーム前の受信品質メッセージが表す受信品質を示し、△SIR[i]は、その受信品質メッセージについての報告遅延時間に亘って積算された電力制御情報TPCの積算値を表す。また、α[i]は、積算値△SIR[i]に対する重み係数である。さらに、w[i]は、最新の受信品質メッセージからiフレーム前の受信品質メッセージが表す受信品質SIRDSCH[i]と積算値△SIR[i]から求められる、現在のDSCHチャンネルの受信品質に対する重み係数である。さらに、Σは、iを、0からNに変えてのサメーションを表す。
【0214】
ここで、重み係数w[i]は、iについてサメーションをとった場合に1となるものであり、さらに、例えば、式w[i]≦w[i-1]を満たすものであることが望ましい。
【0215】
なお、式(6)によれば、最新の受信品質メッセージから、Nフレーム前までの受信品質メッセージのすべてが用いられることとなるが、携帯端末61における、現在のDSCHチャンネルの受信品質SIRは、そのような連続する複数フレームそれぞれの受信品質ではなく、いわば飛び飛びの複数フレームの受信品質メッセージを用いて推定することも可能である。
【0216】
また、図18で説明したような受信品質の推定方法は、図17に示したように、携帯端末61から、数フレームおきに、受信品質メッセージが送信されてくる場合にも適用可能である。
【0217】
次に、図19は、DSCHチャンネルの受信品質を、受信品質メッセージのみから推定した場合と、図15で説明したように、受信品質メッセージと電力制御情報とから推定した場合のシミュレーション結果を示している。
【0218】
図19において、横軸は、DSCHチャンネルの受信品質を表しており、縦軸は、基地局62のスループットを正規化したものを表している。
【0219】
また、図19では、●印が、DSCHチャンネルの受信品質を、受信品質メッセージのみから推定した場合のスループットを表しており、▲印が、DSCHチャンネルの受信品質を、受信品質メッセージと電力制御情報から推定した場合のスループットを表している。なお、報告遅延時間TDは、4フレーム分の時間としてある。
【0220】
図19から、DSCHチャンネルの受信品質を、受信品質メッセージと電力制御情報とから推定することにより、受信品質メッセージのみから推定した場合に比較して、スループットが向上していることが分かる。
【0221】
なお、携帯端末61が、基地局62だけでなく、他の基地局とも通信しているような、いわゆるソフトハンドオフ(ソフトハンドオーバ)状態となっている場合には、DSCHチャンネルの受信品質は、電力制御情報を用いずに、あるいは、電力制御情報に対する重みを非常に小さくして推定するのが望ましい。これは、次のような理由による。
【0222】
即ち、制御データが送信されるDPCHチャンネルについては、ユーザに対する割り当てを規則的に行う必要があるため、ソフトハンドオフ時には、携帯端末61において、複数の基地局からの信号を合成し(例えば、いわゆるフィンガ(finger)の出力を合成するRAKE受信を行い)、これにより、受信品質を改善することが行われる。しかしながら、適応変調符号化されたパケットデータが送信されるDSCHチャンネルについては、ユーザに対する割り当てが不規則に行われるため、携帯端末61に対して、複数の基地局からデータ送信が可能であっても、1つの基地局のみからデータ送信が行われることが多い。従って、ソフトハンドオフ時には、RAKE受信によって、DPCHチャンネルの受信品質は向上しても、DSCHチャンネルの受信品質は向上しない。
【0223】
また、携帯端末61において、DPCHチャンネルの信号が合成された場合(RAKE受信された場合)、電力制御情報TPCは、その合成された信号に基づいて生成される。
【0224】
従って、この場合、電力制御情報TPCが表すDPCHチャンネルの受信品質の変化は、DSCHチャンネルの受信品質の変化として捉えることはできない。その結果、DSCHチャンネルの受信品質を、電力制御情報TPCを加味して推定したのでは、その推定精度が、却って悪化することがある。
【0225】
そこで、携帯端末61が、複数の基地局と通信している場合には、DSCHチャンネルの受信品質は、電力制御情報を用いずに、あるいは、電力制御情報に対する重みを非常に小さくして推定するのが望ましい。なお、このような推定は、式(4)における重み係数αを0とするか、または0に近い値とすることによって行うことができる。
【0226】
次に、図20は、図14の制御部86の構成例を示している。
【0227】
制御部86は、図14のバッファ121乃至12Nと同一の数であるN個ずつの平均部921乃至92Nと演算器931乃至93N、並びに、1つずつのモード割り当て部91とリソース割り当て部94から構成されている。
【0228】
モード割り当て部91には、通信リンクが確立されているユーザの携帯端末61における、DSCHチャンネルの受信品質(の推定値)が、受信品質判定部85から供給される。さらに、モード割り当て部91には、リソース割り当て部94において、後述するリソース割り当て処理が行われることにより得られるユーザ選択情報も供給されるようになっている。
【0229】
ここで、ユーザ選択情報は、通信リンクが確立されているユーザの携帯端末61のいずれに、DSCHチャンネルを割り当てるかを表すものであり、具体的には、例えば、ここでは、バッファ121乃至12Nのうち、DSCHチャンネルを割り当てるユーザ宛のパケットデータが記憶されているものを表す。
【0230】
モード割り当て部91は、ユーザ選択情報が表すバッファ12nに記憶されたパケットデータを、そのパケットデータの宛先となっているユーザの携帯端末61に送信するときの変調符号化モードを、そのユーザの携帯端末61における、DSCHチャンネルの受信品質に基づいて決定し、その変調符号化モードを出力する。この変調符号化モードは、図14で説明したように、適応変調符号化部14と制御データ生成部23に供給される。
【0231】
通信リンクが確立されているユーザの携帯端末61における、DSCHチャンネルの受信品質は、モード割り当て部91に供給される他、そのユーザに割り当てられているバッファ12nに対応する平均部92nにも供給される。
【0232】
平均部92nは、バッファ12nに割り当てられたユーザの携帯端末61における受信品質について、例えば、その携帯端末61との通信リンクが確立されてからの平均値を、その携帯端末61における受信品質の代表値として計算し、演算器93nに供給する。
【0233】
なお、携帯端末61における受信品質は、受信品質判定部85から、例えば、フレーム単位で供給されるから、平均部92nは、そのようにフレーム単位で受信品質が供給されるごとに、新たに平均値を計算し直して、演算器93nに供給する。
【0234】
ここで、このように、平均部92nにおいて、携帯端末61における受信品質の、ある程度の期間に亘る平均値を計算することで、受信品質から、フェージング等の伝送路の品質の瞬時変動成分が除去されることになる。
【0235】
また、ここでは、携帯端末61における受信品質の代表値として、単純な平均値を計算することとしたが、その他、例えば、移動平均値や、重み付け平均値などを計算するようにすることも可能である。さらに、携帯端末61における受信品質の代表値として、重み付け平均値を計算する場合には、例えば、現在時刻に近い受信品質ほど、重みを大きくすることができる。
【0236】
演算器93nには、平均部92nから、対応するバッファ12nに割り当てられたユーザの携帯端末61における受信品質の平均値が供給される他、その携帯端末61における最新の受信品質も供給されるようになっている。そして、演算器93nは、最新の受信品質と、受信品質の平均値との差分(以下、適宜、受信品質差分という)を演算し、リソース割り当て部94に供給する。
【0237】
リソース割り当て部94には、平均部921乃至92Nそれぞれから、受信品質差分が供給される他、バッファ121乃至12Nそれぞれに割り当てられたユーザの携帯端末61における最新の受信品質も供給されるようになっている。さらに、リソース割り当て部94には、バッファ121乃至12Nそれぞれから、そのデータ蓄積量(バッファ蓄積量ともいう)も供給されるようになっている。
【0238】
リソース割り当て部94は、以上の受信品質差分、最新の受信品質、およびバッファ蓄積量等に基づき、リソース割り当て処理を行い、DSCHチャンネルを割り当てる携帯端末61のユーザを決定する。そして、リソース割り当て部94は、そのユーザに割り当てられたバッファ12nを表すユーザ選択情報を、モード割り当て部91に供給するとともに、図14の選択部13に供給する。
【0239】
図14の選択部13では、このようにして、リソース割り当て部94から供給されるユーザ選択情報が表すバッファ12nが選択され、そこに蓄積されたパケットデータが読み出されて、適応変調符号化部14に供給される。
【0240】
次に、図21のフローチャートを参照して、図20のリソース割り当て部94で行われるリソース割り当て処理について説明する。
【0241】
リソース割り当て処理では、まず最初に、リソース割り当て部94は、ステップS31において、バッファ12nのバッファ蓄積量num_byteが0バイトより大であるかどうか、即ち、バッファ12nに、パケットデータが記憶されているかどうかを判定する。
【0242】
ステップ31において、バッファ12nのバッファ蓄積量num_byteが0バイトより大でないと判定された場合、即ち、バッファ12nに割り当てられたユーザの携帯端末61に送信すべきパケットデータが存在しない場合、ステップS32に進み、リソース割り当て部94は、そのユーザに対してDSCHチャンネルを割り当てることを評価するための評価値evaに、0をセットし、ステップS38に進む。
【0243】
また、ステップS31において、バッファ12nのバッファ蓄積量num_byteが0バイトより大であると判定された場合、即ち、バッファ12nに割り当てられたユーザの携帯端末61に送信すべきパケットデータが存在する場合、ステップS33に進み、リソース割り当て部94は、そのバッファ蓄積量num_byteを、評価値evaを計算するための第1の引数byte_evaにセットし、ステップS34に進む。
【0244】
ステップS34では、リソース割り当て部94は、現在時刻tから、バッファ12nに割り当てられたユーザの携帯端末61に対してDSCHチャンネルを割り当てられた最新の時刻last_tを減算することにより、そのユーザに対するDSCHチャンネルの割り当て頻度として、DSCHチャンネルを使用するのに待っている待ち時間を求め、評価値evaを計算するための第2の引数t_evaにセットする。
【0245】
さらに、リソース割り当て部94は、ステップS35に進み、平均部92nからの受信品質差分delta_SIRを、評価値evaを計算するための第3の引数d_SIR_evaにセットして、ステップS36に進む。ステップS36では、リソース割り当て部94は、バッファ12nに割り当てられたユーザの携帯端末61における最新の受信品質SIRを、評価値evaを計算するための第4の引数SIR_evaにセットし、ステップS37に進む。
【0246】
ステップS37では、リソース割り当て部94は、例えば、次式にしたがって、評価値evaを演算し、ステップS38に進む。
【0247】
eva=w1×t_eva+w2×d_SIR_eva+w3×SIR_eva+w4×byte_eva
・・・(7)
【0248】
但し、式(7)において、w1,w2,w3,w4は、重み係数である。
【0249】
リソース割り当て部94は、ステップS31乃至38の処理を、バッファ121乃至12Nに割り当てられたユーザすべてについて行い、各ユーザについて、式(7)の評価値evaを求める。
【0250】
そして、ステップS38に進み、リソース割り当て部94は、評価値evaが最大のユーザを求め、そのユーザに対して、DSCHチャンネルを割り当てることを決定する。さらに、リソース割り当て部94は、そのユーザに割り当てられているバッファ12nを表すユーザ選択情報を生成して出力する。
【0251】
なお、ここでは、DSCHチャンネルが1チャンネルだけ存在すると仮定している。DSCHチャンネルが、複数であるLチャンネルだけ存在する場合、ステップS38では、例えば、評価値evaが、上位L位以内のユーザを求め、そのL人のユーザに対して、DSCHチャンネルを割り当てることが決定される。但し、DSCHチャンネルがLチャンネル存在する場合であっても、評価値evaが最大のユーザだけを求め、そのユーザに、Lチャンネルを割り当てて、L倍のデータ転送レートを提供することが可能である。また、DSCHチャンネルが複数存在する場合には、複数のユーザに対して、複数のDSCHチャンネルを割り当てたり、あるユーザに対して、1のDSCHチャンネルを割り当てるとともに、他のユーザに対して、複数のDSCHチャンネルを割り当てること等も可能である。
【0252】
その後、ステップS39に進み、リソース割り当て部94は、直前のステップS38において、DSCHチャンネルを割り当てることを決定したユーザ(選択ユーザ)についての、上述の変数last_tを、現在時刻に更新し、リソース割り当て処理を終了する。
【0253】
なお、リソース割り当て処理は、例えば、DSCHチャンネルのフレーム単位で行われる。
【0254】
以上のように、どのユーザに対して、DSCHチャンネルを割り当てるかが、受信品質差分に基づいて決定されるので、基地局62のサービスエリアとしてのセル内に存在する携帯端末62に対して、DSCHチャンネルを、なるべく公平に割り当てるとともに、基地局62のスループットを、なるべく高いレベルで維持することができる。
【0255】
即ち、DSCHチャンネルを、受信品質差分に基づいて割り当てる場合には、どの携帯端末61に注目しても、DSCHチャンネルは、その注目携帯端末61における受信品質が、その平均値よりも大のときだけ割り当てられる。従って、この場合、基地局62から近い位置に存在し、受信品質の平均値が高いユーザも、基地局62から遠い位置に存在し、受信品質の平均値が低いユーザも、平等に扱われることになる。
【0256】
さらに、受信品質の平均値が高いユーザに注目した場合には、最新の受信品質が、その平均値よりも大のときに、DSCHチャンネルが割り当てられるから、データ伝送効率を大きく向上させることができる。また、受信品質の平均値が低いユーザに注目した場合には、最新の受信品質が、その平均値よりも大のときに、DSCHチャンネルが割り当てられるから、即ち、受信品質が悪い中でも、比較的良くなっているときに、DSCHチャンネルが割り当てられるから、最新の受信品質が、その平均値よりも小のときに割り当てられるときよりは、伝送効率を向上させることができる。
【0257】
なお、図21の実施の形態においては、受信品質差分だけでなく、バッファ蓄積量、待ち時間、最新の受信品質をも用い、それぞれに重みを付して、評価値evaを求め、その評価値evaに基づいて、DSCHチャンネルの割り当てを決定するようにしているので、その重みの設定の仕方によって、各種の目的(用途)にあったDSCHチャンネルの割り当てが可能となる。
【0258】
即ち、例えば、基地局62のスループットの向上に重点をおく場合には、受信品質差分と最新の受信品質の重みを大きくし、他の重みを小さくすれば良い。また、例えば、基地局62のサービスエリアとしてのセル内に存在するユーザに、公平にサービスを提供することに重点をおく場合には、受信品質差分と待ち時間の重みを大きくし、他の重みを小さくすれば良い。さらに、例えば、バッファ12nのオーバーフローを防止することに重点をおく場合には、受信品質差分とバッファ蓄積量の重みを多くし、他の重みを小さくすれば良い。
【0259】
また、受信品質差分、バッファ蓄積量、待ち時間、最新の受信品質それぞれに対する重みは、固定の値ではなく、可変の値とすることが可能である。この場合、重みは、基地局62の運用者が任意に変更することも可能であるし、場合に応じて、自動的に変更することも可能である。即ち、例えば、リアルタイム性の高いパケットデータが、バッファ12nに存在する場合には、そのようなパケットデータがバッファ12nに存在する間だけ、バッファ蓄積量に対する重みを大きい値に変更するようにすること等が可能である。
【0260】
なお、図20の実施の形態では、リソース割り当て部94において、リソース割り当て処理に用いる受信品質として、受信品質判定部85において求められた精度の高い受信品質を採用することとしたが、リソース割り当て処理には、受信品質メッセージだけから得られる受信品質を採用することも可能である。
【0261】
次に、図9の実施の形態では、本発明を、携帯端末が、基地局に対して、受信品質を表す受信品質メッセージを送信する通信システムに適用した場合について説明したが、本発明は、その他、例えば、携帯端末が、基地局に対して、直接、所定の変調符号化モードを要求するモード要求メッセージを送信する通信システムに適用することも可能である。
【0262】
即ち、図22は、携帯端末が、基地局に対して、受信品質メッセージに替えて、要求する変調符号化モードを表すモード要求メッセージを送信する通信システムの構成例を示している。
【0263】
携帯端末1011乃至1013は、例えば、図1の携帯端末1や図9の携帯端末61と同様に、携帯電話機その他のPDA(Personal Digital Assistance)で構成され、基地局102との間で、AMCS通信方式を採用したW-CDMA通信を行う。
【0264】
なお、図22でも、図1や図9における場合と同様に、3台の携帯端末1011乃至1013を示してあるが、携帯端末の数は、特に限定されるものではない。
【0265】
ここで、以下、携帯端末1011乃至1013を、特に区別する必要がない限り、携帯端末101と記述する。
【0266】
基地局102は、自身がカバーしている範囲(セル)内にある携帯端末101との間での、AMCS通信方式を採用したW-CDMA通信の制御を行い、即ち、携帯端末101に対して、通信を行うための伝送帯域その他の通信資源を割り当て、これにより、例えば、他の基地局(図示せず)から送信されてくる他の携帯端末(図示せず)からのデータや、インターネットのWWWサーバからのWebページのデータ、メールサーバからのメール等を受信して、携帯端末101に送信する。あるいは、また、基地局102は、例えば、携帯端末101から送信されてくるデータを受信して、他の基地局や、インターネット等の所定のネットワークに送信する。
【0267】
携帯端末101と基地局102との間のAMCS通信は、例えば、図23に示すようなやりとりが行われることで実現される。
【0268】
即ち、基地局102は、携帯端末101に対して、図23(A)に示すように、例えば、所定のフレーム単位で、適応変調符号化を行い、下りのあるチャンネル(データチャンネル)によって、データを送信する。AMCS通信では、フレーム単位で、符号化率や多値変調度数が変化するので、基地局102は、携帯端末101に対して、前述の図2(B)と同様の図23(B)に示すように、固定の符号化率と多値変調度数によって変調と符号化が行われる他の下りのチャンネル(制御チャンネル)によって、直前のフレームの符号化率と多値変調度数を表す送信パラメータとしての変調符号化モードを送信する。携帯端末101は、この送信パラメータとしての変調符号化モードを受信することによって、直後のフレームの符号化率と多値変調度数を認識し、基地局102から送信されてくる直後のフレームの復調および復号を行う。
【0269】
基地局102は、上述のように、携帯端末101に対して、変調符号化モードを知らせるが、図22の通信システムにおける基地局102では、この変調符号化モードの設定(決定)は、携帯端末101から送信されてくるモード要求メッセージに基づいて行われる。
【0270】
即ち、携帯端末101は、基地局102から送信されてくる信号の受信品質を求め、さらに、その受信品質に基づき、自身に適切な変調符号化モードを認識し、その変調符号化モードを要求するモード要求メッセージを生成する。そして、携帯端末101は、図23(C)に示すように、そのモード要求メッセージを、上りのチャンネル(制御チャンネル)によって、基地局102に送信する。基地局102は、このモード要求メッセージに対応する変調符号化モード(送信モード)を設定し、図23(B)に示したように、その変調符号化モードを、携帯端末101に送信する。
【0271】
ここで、基地局102は、携帯端末101からのモード要求メッセージと、下りデータチャンネル(図23(A))のリソースに基づいて、携帯端末101に対する変調符号化モードを設定する。
【0272】
そして、基地局102は、図23(A)に示したように、直後のフレームを、設定した変調符号化モードに対応する符号化率と多値変調度数によって適応変調符号化し、携帯端末101に送信する。
【0273】
一方、携帯端末101では、上述のようにして、データチャンネルによって、基地局102から送信されてくるフレームに含まれるデータが受信される。そして、携帯端末101は、基地局102からのデータを正常受信することができた場合、次のデータを要求するメッセージを、必要なモード要求メッセージとともに、基地局102に送信する。また、携帯端末101は、基地局102からのデータを正常受信することができなかった場合、そのデータの再送を要求する再送要求メッセージを、基地局102に送信する(図23(C))。
【0274】
なお、図23の実施の形態では、モード要求メッセージの送信(図23(C))、そのモード要求メッセージに基づいて設定された変調符号化モードの送信(図23(B))、その変調符号化モードでのデータの送信(図23(A))が、フレーム周期で行われるようになっている。但し、モード要求メッセージの送信(図23(C))、変調符号化モードの送信(図23(B))、データの送信(図23(A))は、その他の周期で行うことも可能である。
【0275】
また、携帯端末101と基地局102との間でやりとりされるデータのフォーマットは、図10に示した場合と同一であるため、その説明は省略する。
【0276】
次に、図24は、図22の基地局102の構成例を示している。なお、図中、図3の基地局2または図14の基地局62における場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
【0277】
再送要求メッセージ抽出部111は、復調部19からの信号に、再送要求メッセージが含まれている場合に、その再送要求メッセージを抽出し、制御部114に供給するとともに、復調部19からの信号を、モード要求メッセージ抽出部112に供給する。
【0278】
モード要求メッセージ抽出部112は、再送要求メッセージ抽出部111から供給される信号から、モード要求メッセージを抽出し、モード設定部113に供給する。
【0279】
なお、再送要求メッセージおよびモード要求メッセージは、例えば、上述の受信品質メッセージと同様に、フレームごとに配置され、DPDCHチャンネル(図10(A))のデータ部に配置され、携帯端末101から基地局102に送信されるようになっており、従って、再送要求メッセージ抽出部111とモード要求メッセージ抽出部112は、DPDCHチャンネルに配置されたデータから、再送要求メッセージとモード要求メッセージを、それぞれ抽出する。
【0280】
モード設定部113は、モード要求メッセージ抽出部112からのモード要求メッセージと、基地局102のリソースに基づいて、携帯端末101に対する変調符号化モードを設定し、制御部113に供給する。
【0281】
即ち、モード設定部113は、例えば、リソースが十分な場合には、モード要求メッセージ抽出部112からのモード要求メッセージが表す変調符号化モードを設定する。また、モード設定部113は、例えばリソースが不十分な場合には、そのリソースの範囲内で設定可能な変調符号化モードを設定する。
【0282】
制御部114は、モード設定部113で設定された変調符号化モードを、適応変調符号化部14および制御データ作成部23に供給する。さらに、制御部114は、モード設定部113で設定された変調符号化モードで送信するパケットデータを記憶しているバッファ12nを、例えば、図3の制御部22における場合と同様にして、選択部13に選択させる。
【0283】
選択部13で選択されたバッファ12nに記憶されているパケットデータは、適応変調符号化部14に供給される。適応変調符号化部14では、制御部114から供給される変調符号化モードにしたがい、選択部13からのパケットデータが適応変調符号化され、さらに、その結果得られる変調信号が、再送バッファ115に供給される。
【0284】
再送バッファ115は、適応変調符号化部14から供給される変調信号を一時記憶して、拡散部15に供給し、以下、図14の基地局62における場合と同様の処理が行われる。
【0285】
なお、制御部114は、再送要求メッセージ抽出部111から再送要求メッセージを受信した場合、モード設定部113が出力する変調符号化モードを無視する。さらに、制御部114は、再送バッファ115を制御することにより、再送要求メッセージ抽出部111からの再送要求メッセージによって再送が要求されているパケットデータを含む変調信号を、再度、拡散部15に供給させる。これにより、再送要求メッセージによって再送が要求されたパケットデータの再送が行われる。
【0286】
また、制御部114は、再送要求メッセージを受信した場合、制御データ生成部23を制御することにより、前回と同一の変調符号化モードと、再送を表す再送フラグとを、制御データに含めさせる。以上のように、基地局102では、携帯端末101からデータの再送要求メッセージを受信した場合、そのデータが、前回送信したのと同一の変調符号化モードで送信される。
【0287】
なお、この場合、制御部114は、適応変調符号化部14を制御し、例えば、再送が要求されたデータの再送が完了するまで、携帯端末101に対する次のパケットデータの処理を停止させる。
【0288】
次に、図25は、図22の携帯端末101の構成例を示している。なお、図中、図8の携帯端末1または図11の携帯端末61における場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下、その説明は、適宜省略する。
【0289】
図25の実施の形態では、データ復調復号部49が出力するパケットデータが、誤り検出部121に供給される。
【0290】
誤り検出部121は、データ復調復号部49から供給されるパケットデータについて、例えば、CRC(Cyclic Redundancy Check)コードによる誤り検出を行う。
【0291】
即ち、パケットデータには、CRCコードが含まれており、誤り検出部121は、データ復調復号部49から供給されるパケットデータについて、CRCコードによるパリティ検出を行うことで、誤り検出を行う。そして、誤り検出部121は、パケットデータからの誤り検出結果を、再送要求メッセージ生成部122に供給する。
【0292】
再送要求メッセージ生成部122は、誤り検出部121からの誤り検出結果にしたがい、データ要求メッセージまたは再送要求メッセージを生成し、再送要求メッセージ挿入部123に供給する。
【0293】
即ち、再送要求メッセージ生成部122は、パケットデータから誤りが検出された旨の誤り検出結果を受信した場合、つまり、パケットデータを正常受信することができなかった場合、そのパケットデータの再送を要求する再送要求メッセージを生成し、再送要求メッセージ挿入部123に供給する。また、再送要求メッセージ生成部122は、パケットデータから誤りが検出されなかった旨の誤り検出結果を受信した場合、つまり、パケットデータを正常受信することができた場合、次のパケットデータの送信を要求するデータ要求メッセージを生成し、再送要求メッセージ挿入部123に供給する。
【0294】
ここで、再送要求メッセージおよびデータ要求メッセージとしては、例えば、1ビットのフラグを用いることができる。この場合、例えば、値が1となっているフラグは、再送要求メッセージを表し、値が0となっているフラグは、データ要求メッセージを表すものとすることができる。
【0295】
また、誤り検出部121は、パケットデータについての誤り検出を、フレーム単位で行うようになっており、従って、再送要求メッセージ生成部122は、再送要求メッセージまたはデータ要求メッセージを、フレーム単位で生成して出力する。
【0296】
再送要求メッセージ挿入部123には、再送要求メッセージ生成部122から再送要求メッセージまたはデータ要求メッセージが供給される他、送信データが供給される。
【0297】
再送要求メッセージ挿入部123は、送信データを、DPDCHチャンネルのデータ部(図10(A))に配置し、モード要求メッセージ124に出力するとともに、再送要求メッセージ生成部122からフレーム単位で供給される再送要求メッセージまたはデータ要求メッセージを、DPDCHチャンネルのフレームの所定の位置に配置して、モード要求メッセージ124に出力する。
【0298】
モード要求メッセージ挿入部124には、再送要求メッセージ挿入部123の出力の他、後述するモード選択部125から、例えば、フレーム周期のタイミングで、モード要求メッセージが供給される。
【0299】
モード要求メッセージ挿入部124は、モード選択部125からフレーム周期で供給されるモード要求メッセージを、再送要求メッセージ挿入部123から供給されるDPDCHチャンネルの、対応するフレームのデータ部(図10(A))に配置し、必要に応じて、フレーム単位で符号化して、電力制御ビット挿入部74に供給する。
【0300】
一方、モード選択部125は、CPICH受信品質推定部50の出力に基づき、携帯端末101にとって適切な変調符号化モードを選択し、その変調符号化モードでのデータの送信を要求するモード要求メッセージを生成して、モード要求メッセージ挿入部124に供給する。
【0301】
即ち、CPICH受信品質推定部50は、図12の受信品質推定処理で説明したように、DSCHチャンネルの信号の受信品質SIRDSCHを、フレーム周期で求め、モード選択部125に供給する。
【0302】
モード選択部125は、CPICH受信品質推定部50から供給される受信品質SIRDSCHに基づき、例えば、上述の3つの変調符号化モード#0乃至#2の中から、誤り率(FER(Frame Error Rate))が、所定値以下となり、かつ伝送効率の良いものを選択する。
【0303】
具体的には、モード選択部125は、例えば、図26に示すように、変調符号化モード#0乃至#2それぞれについて、各変調符号化モードにおける受信品質SIRDSCHと誤り率との関係を記憶しており、CPICH受信品質推定部50から供給される受信品質SIRDSCHに基づいて、例えば、誤り率が10%以下となる変調符号化モードのうち、伝送効率の良いものを選択する。
【0304】
従って、図26の実施の形態によれば、例えば、受信品質SIRDSCHが−8dB以下の場合には、変調符号化モード#0が選択される。また、受信品質SIRDSCHが−8dBより大きく、かつ−4dB未満の場合には、変調符号化モード#1が選択される。さらに、受信品質SIRDSCHが−4dB以上の場合には、変調符号化モード#2が選択される。
【0305】
ところで、上述のように、図22の通信システムのように、受信品質メッセージに替えて、モード要求メッセージを送信する通信システムにおいても、図1の通信システムにおける場合と同様に、携帯端末101が受信品質SIRDSCHを求めてから、その受信品質SIRDSCHに基づいて選択されたモード要求メッセージが、基地局102において認識されるまでには、少なからず遅延が存在する。
【0306】
従って、基地局102において、携帯端末101からのモード要求メッセージが認識され、そのモード要求メッセージに基づいて設定された変調符号化モードによるデータの送信が開始されたときには、既に、携帯端末101における受信品質SIRDSCHが大きく変化しており、その結果、最適な変調符号化モードでのデータの送信を行うことができず、伝送効率が劣化することになる。
【0307】
この問題は、前述の図1の通信システムにおける場合と同様に、特に、携帯端末101のユーザが、電車等で高速に移動している場合など、伝送路の特性が急速に変化する場合に、顕著に現れる。
【0308】
一方、伝送効率向上の観点からは、携帯端末101によるモード要求メッセージの送信周期を長くするのが望ましいが、この場合も、前述の図1の通信システムにおける場合と同様に、携帯端末101における現在の受信品質SIRDSCHが、モード要求メッセージが表す変調符号化モードが選択されたときの受信品質SIRDSCHと大きくかけ離れたものとなることがあり、適応変調符号化による伝送効率の向上が妨げられることになる。
【0309】
そこで、図27は、携帯端末から基地局に対して、モード要求メッセージを送信し、基地局において、そのモード要求メッセージに基づいて、変調符号化モードを設定する場合において、上述のような伝送効率の劣化等を防止(低減)する通信システムの一実施の形態の構成例を示している。
【0310】
なお、図中、図22における場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。即ち、図27の通信システムは、基地局102に替えて、基地局131が設けられている他は、基本的に、図22における場合と同様に構成されている。
【0311】
図28は、図27の基地局131の構成例を示している。なお、図中、図14の基地局62または図24の基地局102における場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。即ち、基地局131は、図24の基地局102におけるモード設定部113に替えて、モード設定部141が設けられて構成されている。さらに、基地局131は、図24の基地局102に対して、図14の基地局62における電力制御ビットバッファ83および積算部84が新たに設けられて構成されている。
【0312】
図28の実施の形態では、モード設定部141に対して、モード要求メッセージ抽出部112が出力するモード要求メッセージが供給される他、積算部84において、電力制御ビットバッファ83に記憶された電力制御情報TPCを用い、式(3)にしたがって求められる積算値△SIRも供給される。
【0313】
そして、モード設定部141は、モード要求メッセージ抽出部112から供給されるモード要求メッセージと、積算部84から供給される、電力制御情報TPCの積算値△SIRの両方に基づいて、携帯端末101における現在の受信品質SIRDSCHに対して適切な変調符号化モードを設定し、制御部114に供給する。
【0314】
即ち、携帯端末101では、図15と同様の図29に示すように、CPICHチャンネル(図10(B))の1フレームを、DSCHチャンネルの受信品質を測定する区間(SIR測定区間)として、そのSIR測定区間における共通パイロット信号を観測することにより、式(2)にしたがい、DSCHチャンネルの受信品質SIRDSCHが求められ、さらに、その受信品質SIRDSCHに対して適切な変調符号化モードが、図26で説明したようにして選択される。そして、その選択された変調符号化モードを表すモード要求メッセージは、携帯端末101において、DPDCHチャンネルのデータ部(図10(A))に配置され、フレームごとに送信されてくるが、モード要求メッセージは符号化されているため、その復号が必要であり、さらに、その復号は、基地局131において、モード要求メッセージが配置されたフレームすべての受信が完了してからでないと行うことができない。
【0315】
このため、基地局131において、携帯端末101から送信されてきたモード要求メッセージが表す変調符号化モードを設定し、その変調符号化モードによる適応変調符号化を行うと、図29に示すように、携帯端末101においてDSCHチャンネルの受信品質SIRDSCHが観測された時点から、かなりの時間が経過したタイミングで、基地局131において、その受信品質SIRDSCHに基づいて選択された変調符号化モードによる適応変調符号化が行われることになる。
【0316】
なお、図29も、図15における場合と同様に、携帯端末101においてDSCHチャンネルの受信品質SIRDSCHが観測された時点から、4フレームに対応する遅延時間が経過してから、基地局131において、その受信品質SIRDSCHに基づいて選択された変調符号化モードによる適応変調符号化が行われることを表している。即ち、図29は、いま、適応変調符号化を行おうとしているDSCHチャンネルのフレームである注目フレームについての変調符号化モードを設定するのに用いられる最新のモード要求メッセージが表す変調符号化モードが、携帯端末101において、4フレームに対応する遅延時間だけ過去に選択されたものであることを表している。
【0317】
ここで、注目フレームのタイミングと、注目フレームについての変調符号化モードを設定するためのモード要求メッセージを生成するのに用いられた受信品質SIRDSCHが携帯端末101において求められたタイミングとの時間差も、以下、適宜、報告遅延時間TDという。
【0318】
基地局131において、注目フレームについて、モード要求メッセージが表す変調符号化モードをそのまま設定すると、注目フレームの適応変調符号化が、報告遅延時間TDだけ過去に、携帯端末101で求められた受信品質SIRDSCHに基づいて選択された変調符号化モードで行われることとなる。従って、その報告遅延時間TDの間に、携帯端末101における受信品質SIRDSCHが変わった場合には、注目フレームについて適切な適応変調符号化を行うことができず、その結果、伝送効率が劣化することとなる。
【0319】
そこで、モード設定部141は、モード要求メッセージだけでなく、DPCHチャンネルの送信電力制御のための電力制御情報TPCをも用いて、注目フレームの変調符号化モードを設定する。
【0320】
即ち、電力制御情報TPCは、上述したように、携帯端末101から、スロット単位、つまり、モード要求メッセージが送信されてくる周期よりも短い周期(図10に示したデータフォーマットによれば、モード要求メッセージが送信されてくる周期の1/5または1/15の周期)で送信されてくる。また、電力制御情報TPCは、符号化されずに送信されるので、スロットを受信すれば、そのスロットに配置されている電力制御情報TPCを即座に得ることができる。さらに、電力制御情報TPCは、携帯端末101におけるDPCHチャンネルの受信品質を維持するために、送信電力の調整を要求するものであるから、その値は、DPCHチャンネルの受信品質が、過去の受信品質に比較して、向上したのか、または低下したのかを表す。そして、DPCHチャンネルと、DSCHチャンネルとは、異なるチャンネルではあるが、同一周波数帯域にスペクトル拡散され、同時に伝送されるものであるから、DPCHチャンネルの受信品質の変化は、DSCHチャンネルの受信品質の変化として捉えても、基本的に問題はない。
【0321】
そこで、モード設定部141は、モード要求メッセージに基づいて、変調符号化モードを設定しようとしている注目フレームから、そのモード要求メッセージに対応する報告遅延時間TDだけ遡った時点までの間に受信した電力制御情報TPCの積算値を加味して、注目フレームの変調符号化モードを設定するモード設定処理を行う。
【0322】
即ち、図30は、モード設定部141が行うモード設定処理を説明するフローチャートである。
【0323】
モード設定部141は、まず最初に、ステップS51において、注目フレームから、最新のモード要求メッセージに対応する報告遅延時間TDだけ遡った時点までの間に受信した電力制御情報TPCの積算値を求めるように、積算部84を制御する。
【0324】
これにより、積算部84は、電力制御ビットバッファ83に記憶された電力制御情報TPCを用いて、上述の式(3)にしたがい、積算値△SIR[dB]を求める。
【0325】
そして、ステップS52に進み、モード設定部141は、積算値△SIRが正の値であるかどうかを判定する。
【0326】
ステップS52において、積算値△SIRが正の値でないと判定された場合、即ち、携帯端末101と基地局131との間の伝送路の品質が、最新のモード要求メッセージに対応する報告遅延時間TDだけ遡った時点から劣化し、このため、携帯端末101における現在の受信品質SIRDSCH’が、最新のモード要求メッセージに対応する報告遅延時間TDだけ遡った時点における受信品質(以下、適宜、報告受信品質という)、つまり、携帯端末101において最新のモード要求メッセージを生成するのに用いられた受信品質SIRDSCHより悪くなっている場合、ステップS53に進み、モード設定部141は、積算値△SIRが、所定の負の閾値−THDOWN(THDOWN>0)未満であるかどうかを判定する。
【0327】
ステップS53において、積算値△SIRが、所定の負の閾値−THDOWN未満であると判定された場合、即ち、携帯端末101における現在の受信品質SIRDSCH’が、報告受信品質SIRDSCHに比較して、大きく劣化している場合、ステップS54に進み、モード設定部141は、最新のモード要求メッセージが表す変調符号化モード(以下、適宜、要求モードという)#iを、#i−1に補正し、その補正後の変調符号化モード#i−1を、注目フレームの変調符号化モードとして、最終的に設定して、処理を終了する。
【0328】
即ち、携帯端末101における現在の受信品質SIRDSCH’が、報告受信品質SIRDSCHに比較して、大きく劣化している場合には、要求モード#iで注目フレームを送信すると、誤り率FERが大になることによる再送回数の増大によって、伝送効率が劣化する。そこで、モード設定部141は、要求モード#iよりもデータレートは低いが、雑音耐久性が高い変調符号化モード#i−1を設定し、これにより、誤り率FERが大になることによる再送回数の増大によって、伝送効率が劣化することを防止する。
【0329】
また、ステップS53において、積算値△SIRが、所定の負の閾値−THDOWN未満でないと判定された場合、即ち、携帯端末101における現在の受信品質SIRDSCH’が、報告受信品質SIRDSCHに比較して劣化しているが、その劣化がそれほど大きくない場合、ステップS55に進み、モード設定部141は、要求モード#iを、そのまま注目フレームの変調符号化モードとして、最終的に設定し、処理を終了する。
【0330】
即ち、携帯端末101における現在の受信品質SIRDSCH’が、報告受信品質SIRDSCHに比較して、それほど大きく劣化していない場合には、要求モード#iで注目フレームを送信しても、誤り率FERにそれほど影響しないため、モード設定部141は、要求モード#iを、そのまま、注目フレームの変調符号化モードとして設定する。
【0331】
一方、ステップS52において、積算値△SIRが正の値であると判定された場合、即ち、携帯端末101と基地局131との間の伝送路の品質が、最新のモード要求メッセージに対応する報告遅延時間TDだけ遡った時点から劣化し、このため、携帯端末101における現在の受信品質SIRDSCH’が、報告受信品質SIRDSCHより向上している場合、ステップS56に進み、モード設定部141は、積算値△SIRが、所定の正の閾値THUP(THUP>0)より大であるかどうかを判定する。
【0332】
ステップS56において、積算値△SIRが、所定の正の閾値THUPより大でないと判定された場合、即ち、携帯端末101における現在の受信品質SIRDSCH’が、報告受信品質SIRDSCHに比較して向上しているが、それほど大きく向上していない場合、ステップS55に進み、モード設定部141は、上述したように、要求モード#iを、そのまま注目フレームの変調符号化モードとして、最終的に設定し、処理を終了する。
【0333】
即ち、携帯端末101における現在の受信品質SIRDSCH’が、報告受信品質SIRDSCHに比較して、それほど大きく向上していない場合には、要求モード#iで注目フレームを送信しても、誤り率FERにそれほど影響しないため、モード設定部141は、要求モード#iを、そのまま、注目フレームの変調符号化モードとして設定する。
【0334】
また、ステップS56において、積算値△SIRが、所定の正の閾値THUPより大であると判定された場合、即ち、携帯端末101における現在の受信品質SIRDSCH’が、報告受信品質SIRDSCHに比較して、大きく向上している場合、ステップS57に進み、モード設定部141は、要求モード#iを、#i+1に補正し、その補正後の変調符号化モード#i+1を、注目フレームの変調符号化モードとして、最終的に設定して、処理を終了する。
【0335】
即ち、携帯端末101における現在の受信品質SIRDSCH’が、報告受信品質SIRDSCHに比較して、大きく向上している場合には、要求モード#iよりもデータレートは高いが、雑音耐久性が低い変調符号化モードで、注目フレームを送信しても、誤り率FERを所定の低い値に抑制することができる。そこで、モード設定部141は、要求モード#iよりも雑音耐久性は低いが、データレートが高い変調符号化モード#i+1を設定し、これにより、誤り率FERを抑えながら、データレートを向上させることによって、伝送効率を向上させる。
【0336】
なお、図30のモード設定処理は、適応変調符号化部14において適応変調符号化される各フレームについて行われる。
【0337】
また、本実施の形態では、変調符号化モードが、#0,#1,#2の3種類だけであるため、図30において、要求モードが#0である場合に、ステップS54の処理が行われても、変調符号化モードには、要求モード#0がそのまま設定される。同様に、要求モードが#2である場合に、ステップS57の処理が行われても、変調符号化モードには、要求モード#2がそのまま設定される。
【0338】
以上のように、モード設定部141では、フレーム周期で得られるモード要求メッセージが表す変調符号化モード(要求モード)が、より短いスロット周期で得られる電力制御情報TPCに基づいて補正されることにより、最終的な変調符号化モードが設定されるので、注目フレームについて、携帯端末101における現在の受信品質に適した適応変調符号化が行われることになり、その結果、伝送効率の劣化を防止し、また、伝送効率を向上させることができる。
【0339】
なお、上述の場合には、#0,#1,#2の3つの変調符号化モードを用いることとしたが、その他、2つ、または4以上の変調符号化モードを採用することも可能である。
【0340】
また、図30の実施の形態では、電力制御情報TPCに基づいて、変調符号化モードを、1モード分だけ補正するようにしたが、要求モードの補正は、2モード分以上行うことも可能である。
【0341】
次に、上述の場合には、携帯端末101において、フレームごとに、モード要求メッセージを送信するようにしたが、モード要求メッセージは、例えば、図17に示した受信品質メッセージにおける場合と同様に、所定のフレーム数おきに送信するようにすることが可能である。即ち、例えば、携帯端末101から基地局102への上り回線のリソースが不足している場合には、携帯端末101からのモード要求メッセージの送信頻度を少なくすることができる。
【0342】
ここで、図31は、携帯端末101から、モード要求メッセージが、3フレームごとに送信される様子を示している。
【0343】
モード要求メッセージが、数フレームごとに送信される場合、注目フレームによって、報告遅延時間が変化するので、その変化を考慮して、電力制御情報TPCを積算する区間を変更する必要がある。
【0344】
即ち、例えば、図31に示したように、モード要求メッセージが、3フレームごとに送信される場合、基地局131において、あるモード要求メッセージ#1が得られた後、次のモード要求メッセージ#2が得られるのは、その3フレーム分だけ後の時間である。従って、モード要求メッセージ#1が得られたタイミングの直後に送信されるのが、図31に示したように、第4フレームである場合には、モード要求メッセージ#2が得られるのは、第4フレームの3フレーム後の第7フレームが送信される直前である。
【0345】
以上から、第4フレームから、第7フレームの直前まで、即ち、第6フレームまでの3フレームについては、モード要求メッセージ#1を用いて、携帯端末101に対する変調符号化モードを設定する必要がある。
【0346】
この場合、第4フレームについての報告遅延時間TD1は、図29における場合と同様に、報告遅延時間TDに等しくなる。しかしながら、第5フレームについての報告遅延時間TD2と、第6フレームについての報告遅延時間TD3は、報告遅延時間TDに等しくならない。即ち、第5フレームについての報告遅延時間TD2は、報告遅延時間TDに、1フレーム分の時間を加算した時間となり、第6フレームについての報告遅延時間TD3は、報告遅延時間TDに、2フレーム分の時間を加算した時間となる。
【0347】
従って、モード要求メッセージが、数フレームごとに送信される場合には、積算部84において、上述のように、注目フレームごとに、報告遅延時間を変えて、電力制御情報TPCを積算する必要がある。なお、いずれのフレームが注目フレームになっているかは、フレームに付されるパケットフレーム番号により認識することができる。
【0348】
以上のように、上り回線のリソースに応じて、携帯端末101からのモード要求メッセージの送信頻度を変更する場合には、上り回線がリソース不足となる頻度を低減し、他のユーザへの干渉を抑制することができる。さらに、上述のように、モード要求メッセージの送信頻度を減らしても、注目フレームに対する変調符号化モードは、携帯端末101からのモード要求メッセージが表す変調符号化モード(要求モード)を、注目フレームについての報告遅延時間の間に受信された電力制御情報TPCの積算値に基づいて補正されるので、伝送効率の劣化を防止することができる。
【0349】
なお、携帯端末101から、モード要求メッセージを送信する周期は、固定ではなく、可変にすることが可能である。
【0350】
また、ハンドオフが行われる場合において、携帯端末101が、基地局102だけでなく、他の基地局とも通信しているソフトハンドオフ状態となっているときには、上述したように、電力制御情報TPCが表すDPCHチャンネルの受信品質の変化を、DSCHチャンネルの受信品質の変化として捉えることはできない。このため、要求モードを、電力制御情報TPCに基づいて補正したのでは、伝送効率が悪化するおそれがある。
【0351】
そこで、携帯端末101が、複数の基地局と通信しているソフトハンドオフ状態となっている場合には、電力制御情報に基づく要求モードの補正を抑制するが望ましい。なお、電力制御情報に基づく要求モードの補正の抑制は、例えば、モード設定部141において、積算部84による電力制御情報TPCの積算値を参照しないようにすることや、図30の実施の形態における閾値−THDOWNおよびTHUPの絶対値を大に設定することで、容易に行うことが可能である。
【0352】
なお、ソフトハンドオフ状態では、基地局131において、上述のように、要求モードの補正が抑制されるため、携帯端末101では、モード要求メッセージを、リソースが許す範囲で、なるべく頻繁に(短い間隔で)、基地局131に送信するようにするのが望ましい。
【0353】
即ち、ソフトハンドオフ状態では、基地局131のモード設定部141において、電力制御情報による要求モードの補正、つまり、報告遅延時間の間の受信品質の変化に対応した変調符号化モードの補正が抑制されるため、モード要求メッセージの送信頻度が少ないと、携帯端末101の現在の受信品質が、基地局131のモード設定部141において参照されているモード要求メッセージを生成するのに用いられた携帯端末101の受信品質から大きく変化している可能性が高くなる。そして、そのようなモード要求メッセージが表す変調符号化モードで、適応変調符号化を行ったのでは、伝送効率が悪化することとなる。
【0354】
そこで、電力制御情報による要求モードの補正が抑制されている場合には、携帯端末101において、モード要求メッセージを、なるべく頻繁に、基地局131に送信し、即ち、報告遅延時間がなるべく短くなるように、モード要求メッセージを送信し、基地局131では、そのようなモード要求メッセージに基づいて、変調符号化モードを設定するのが望ましい。
【0355】
なお、モード設定部141でも、図23のモード設定部113における場合と同様に、変調符号化モードの設定は、使用可能なリソースも考慮して行われる。
【0356】
ここで、ハンドオフについて説明する。
【0357】
上述した図1の通信システムにおいては(図9、図22、および図27の通信システムにおいても同様)、携帯端末1と基地局2しか図示していないが、実際の通信システムでは、基地局を管理、制御する基地局制御局が存在する。
【0358】
図32は、そのような基地局制御局を含めた通信システムの構成例を示している。
【0359】
携帯端末301は、例えば、図8に示した携帯端末1と同様に構成されるもので、DSCHチャンネル(パケットチャンネル)やDPCHチャンネル(個別チャンネル)を介して、基地局302や302から送信されてくるデータを受信するなど、基地局302や302との間で通信を行う。
【0360】
なお、携帯端末301は、図8に示した携帯端末1と同様に構成する他、図11に示した携帯端末61や、図25に示した携帯端末101と同様に構成することも可能である。
【0361】
基地局302および302は、例えば、図3に示した基地局2と同様に構成されるもので、携帯端末301との間で、所定の信号強度の電波の送受信を行うことができる範囲を、自身がサービスを提供するサービスエリア(セル)として、そのサービスエリア内に存在する携帯端末101との間で通信を行う。
【0362】
なお、基地局302および302は、図3に示した基地局2と同様に構成する他、図14に示した基地局62や、図24に示した基地局102、図28や後述する図42に示す基地局131と同様に構成することも可能である。
【0363】
また、図32においては(後述する図33乃至図38においても同様)、基地局302と302がサービスを提供する範囲であるセルを、点線で囲んで示してある。
【0364】
基地局制御局303は、基地局302や302、さらには、図示していない他の基地局との間で、例えば有線による通信を行い、これにより、基地局302や302を制御し、さらには、基地局302や302を経由して、携帯端末301を制御する。
【0365】
図32の実施の形態においては、携帯端末301は、基地局302のみのセル内に存在し、このため、携帯端末301は、基地局302から、DSCHチャンネルやDPCHチャンネルを介して送信されてくるデータの受信等の通信サービスの提供を受ける。
【0366】
基地局制御局303は、基地局302および302と通信することにより、基地局302や302が通信サービスを提供している携帯端末を把握(認識)している。従って、図32の実施の形態では、基地局制御局303は、基地局302が携帯端末301に通信サービスを提供していることを認識している。
【0367】
その後、携帯端末301のユーザが移動し、これにより、図33に示すように、携帯端末301が、基地局302のセルと、基地局302のセルとの重複範囲内に位置するようになると、即ち、携帯端末301が、基地局302からの電波のみならず、基地局302からの電波も、通信可能な所定レベル以上の信号強度で受信可能となると、携帯端末301は、基地局302からの電波を検出した旨、およびその電波の信号強度を含むメッセージを、現在、通信サービスの提供を受けている基地局302に送信する。この場合、基地局302は、携帯端末301からのメッセージを、基地局制御局303に転送する。
【0368】
基地局制御局303は、基地局302から転送されてきたメッセージに含まれる、携帯端末301における基地局302からの電波の信号強度に基づき、ハンドオフ、即ち、携帯端末301への通信サービスを提供する基地局の切り換え(ここでは、基地局302から302への切り換え)の必要性を判定する。
【0369】
基地局制御局303は、ハンドオフの必要がないと判定した場合、即ち、例えば、携帯端末301における基地局302からの電波の信号強度が、所定の閾値以下の場合、基地局302に、携帯端末301に対する通信サービスの提供を続行させる。
【0370】
一方、基地局制御局303は、ハンドオフの必要があると判定した場合、即ち、例えば、携帯端末301における基地局302からの電波の信号強度が、所定の閾値より大の場合、図34に示すように、ハンドオフ先(切り換え先)の基地局302に対して、DPCHチャンネルの各種のパラメータの設定を指示する。基地局302は、基地局制御局303の指示にしたがい、DPCHチャンネルのパラメータの設定を行い、これにより、携帯端末301に対して、通信サービスの提供が可能な状態となる。
【0371】
ここで、DPCHチャンネルのパラメータとしては、例えば、携帯端末301に通信サービスを提供するのに用いるフレーム(タイミング)や、スペクトル拡散時の拡散率などがある。また、この場合、基地局制御局303は、ハンドオフ元(切り換え元)の基地局302におけるDPCHチャンネルのパラメータと同一のパラメータの設定を行うように、ハンドオフ先の基地局302を制御する。これは、携帯端末301において、基地局302からのDPCHチャンネルと、基地局302からのDPCHチャンネルを合成(RAKE受信)することによるソフトハンドオフを実現するためである。
【0372】
その後、基地局制御局303は、図34に示すように、ハンドオフ元の基地局302を経由して、携帯端末301に対して、ソフトハンドオフを指令するメッセージを送信する。携帯端末301は、基地局302を経由して、基地局制御局303からのメッセージを受信すると、ソフトハンドオフ状態に移行し、これにより、DPCHチャンネルについては、基地局302からのDPCHチャンネルと、基地局302からのDPCHチャンネルの両方を受信し、その受信出力を合成するRAKE受信を行うようになる。
【0373】
なお、ここでは、DPCHチャンネルをソフトハンドオフの対象としたが、その他、例えば、DSCHチャンネルもソフトハンドオフの対象とすることが可能である。
【0374】
ところで、基地局制御局303は、その他、携帯端末301による受信品質メッセージの報告頻度(報告周期)(携帯端末301から、その携帯端末301に通信サービスを提供している基地局への受信品質メッセージの送信の頻度)の制御も行うようになっている。この制御は、基地局制御局303から、携帯端末301に通信サービスを提供している基地局を経由して、携帯端末301に対して行われる。
【0375】
なお、受信品質メッセージの報告頻度の制御は、例えば、DPCHチャンネルを介して行われる。但し、DSCHチャンネルを介して行うことも可能である。
【0376】
携帯端末301がソフトハンドオフ状態にない場合、即ち、携帯端末301が、1つの基地局のみから通信サービスの提供を受けている場合、基地局制御局303は、基本的には、受信品質メッセージの報告周期を、所定の長い周期にするように、即ち、例えば、受信品質メッセージを、所定のフレーム数おきに送信するように、携帯端末301を制御する。
【0377】
この場合、携帯端末301は、例えば、図17に示したように、受信品質メッセージを、所定のフレーム数おきに、携帯端末301に通信サービスを提供している基地局に送信する。
【0378】
一方、携帯端末301がソフトハンドオフ状態となった場合、即ち、携帯端末301が、基地局302と302の両方から、通信サービスの提供を受ける状態となった場合、基地局制御局303は、図35に示すように、その基地局302と302それぞれを経由して、携帯端末301における受信品質メッセージの報告周期を設定する。
【0379】
即ち、この場合、基地局制御局303は、基本的には、受信品質メッセージの報告頻度を高頻度にするように、携帯端末301を制御する。これにより、携帯端末301は、図17に示したように、所定のフレーム数おきに送信していた受信品質メッセージを、例えば、図15に示したように、フレームごとに、携帯端末301に通信サービスを提供している基地局302と302に送信するようになる。
【0380】
携帯端末301がソフトハンドオフ状態となった後、携帯端末301がさらに移動することにより、携帯端末301における基地局302からの電波の信号強度が強まるとともに、基地局302からの電波の信号強度が弱まり、例えば、基地局302からの電波の信号強度が所定のレベル以下となると、基地局制御局303は、図36に示すように、ハンドオフ先の基地局302に対して、DSCHチャンネルの各種のパラメータの設定を指示する。基地局302は、基地局制御局303の指示にしたがい、DSCHチャンネルのパラメータの設定を行う。
【0381】
さらに、基地局制御局303は、図36に示すように、ハンドオフ元の基地局302と、ハンドオフ先の基地局302をそれぞれ経由して、携帯端末301に対して、DSCHチャンネルのハンドオフを指令する。携帯端末301は、その指令にしたがい、DSCHチャンネルの受信については、基地局302のDSCHチャンネルから、基地局302のDSCHチャンネルに切り換える(ハンドオフする)。
【0382】
その後、携帯端末301がさらに移動し、例えば、携帯端末301における基地局302からの電波の信号強度がさらに弱まると、基地局制御局303は、図37に示すように、基地局302および302に対して、基地局302から302へのハンドオフを指示するとともに、ハンドオフ元の基地局302に対して、携帯端末301に割り当てていたチャンネルその他のリソースの開放を指示する。これにより、基地局302は、携帯端末301に対する通信サービスの提供を停止し、携帯端末301に対しては、基地局302のみが通信サービスを提供する状態となる。
【0383】
このように、携帯端末301がソフトハンドオフ状態でなくなると、基地局制御局303は、図38に示すように、受信品質メッセージの報告周期を、所定の長い周期にするように(または、元の周期に戻すように)、携帯端末301を制御する。これにより、携帯端末301は、図15に示したようにフレームごとに送信していた受信品質メッセージを、例えば、図17に示したように、所定のフレーム数おきに、携帯端末301に通信サービスを提供している基地局302に送信するようになる。
【0384】
従って、携帯端末301がソフトハンドオフ状態となった場合には、例えば、図9の通信システムにおける場合のように、受信品質メッセージと電力制御情報を用いた受信品質の推定を行うことができなくても、フレームごとに、即ち、高頻度で送信される受信品質メッセージのみを用いて、携帯端末301における受信品質を、比較的精度良く推定することができる。
【0385】
一方、携帯端末301がソフトハンドオフ状態でない場合には、所定のフレーム数おきに、即ち、低頻度で送信される受信品質メッセージのみを用いて、即ち、受信品質メッセージの送信に要するリソースを少なく抑えて、携帯端末301における受信品質を推定することができる。さらに、この場合、図9の通信システムにおける場合のように、受信品質メッセージと電力制御情報を用いた受信品質の推定を行うときには、携帯端末301における受信品質を精度良く推定することができる。ここで、受信品質メッセージと電力制御情報を用いた受信品質の推定を行う場合には、受信品質メッセージのみを用いた受信品質の推定を行う場合に比較して、携帯端末301による受信品質メッセージの報告頻度を低くしても、同精度または高精度の受信品質の推定が可能である。
【0386】
次に、図39は、上述したような、携帯端末301による受信品質メッセージの報告頻度の設定等を行う基地局制御局303の構成例を示している。
【0387】
通信I/F311は、基地局302や302との間の通信を制御する通信インタフェースとしての機能を有し、基地局302や302から送信されてくるデータ等を受信し、ソフトハンドオフ制御部312、ハンドオフ認識部313、または基地局情報記憶部314に供給するとともに、ソフトハンドオフ制御部312または報告頻度制御部315からのデータ等を、基地局302や302に送信する。
【0388】
ソフトハンドオフ制御部312は、ハンドオフ認識部313から、携帯端末301にハンドオフの必要性がある旨の判定結果を受信すると、ソフトハンドオフのための、上述したようなDPCHチャンネルやDSCHチャンネルのパラメータの設定等、ソフトハンドオフのために必要な制御を、通信I/F311を介して、基地局302や302に対して行う。
【0389】
ハンドオフ認識部313は、携帯端末301から、基地局302や302を介して送信され、通信I/F311で受信された、携帯端末301における電波の信号強度を含むメッセージに基づき、上述したように、携帯端末301のハンドオフの必要性を判定し、その判定結果を、ソフトハンドオフ制御部312に供給する。また、ハンドオフ認識部313は、携帯端末301がソフトハンドオフ状態にあるかどうかを、例えば、携帯端末301における電波の信号強度を含むメッセージ等に基づいて認識(把握)し、その認識結果を、報告頻度制御部315に供給する。
【0390】
基地局情報記憶部314は、基地局302や302から送信され、通信I/F311で受信された、基地局302や302が通信サービスを提供している携帯端末に関する情報や、その他の基地局に関する基地局情報を記憶する。なお、基地局情報記憶部314に記憶された基地局情報は、ソフトハンドオフ制御部312、ハンドオフ認識部313、および報告頻度制御部315から参照することができるようになっており、ソフトハンドオフ制御部312、ハンドオフ認識部313、および報告頻度制御部315は、基地局情報記憶部314に記憶された基地局情報を、必要に応じて参照しながら、各種の処理を行う。
【0391】
報告頻度制御部315は、ハンドオフ認識部313からの、携帯端末301がソフトハンドオフ状態にあるか否かの認識結果に基づき、携帯端末301による受信品質メッセージの報告頻度(報告周期)を制御する報告頻度制御処理を行う。
【0392】
以上のように構成される基地局制御局303では、基地局302や302から送信されてくる基地局情報が、通信I/F311で受信され、基地局情報記憶部314に供給されて記憶される。
【0393】
また、通信I/F311では、携帯端末301から、基地局302や302を経由して送信されてくる、携帯端末301における電波の信号強度等が受信され、ハンドオフ認識部313に供給される。
【0394】
ハンドオフ認識部313は、通信I/F311からの、携帯端末301における電波の受信強度等から、ハンドオフの必要性を判定し、必要であると判定した場合、その旨の判定結果を、ソフトハンドオフ制御部312に供給する。
【0395】
ソフトハンドオフ制御部312は、ハンドオフ認識部313から、携帯端末301にハンドオフの必要性がある旨の判定結果を受信すると、ソフトハンドオフのために必要な制御を、通信I/F311を介して、基地局302や302に対して行う。
【0396】
また、ハンドオフ認識部313は、携帯端末301がソフトハンドオフ状態にあるかどうかを認識し、その認識結果を、報告頻度制御部315に供給する。
【0397】
報告頻度制御部314は、ハンドオフ認識部313から、携帯端末301がソフトハンドオフ状態にある旨の認識結果を受信すると、携帯端末301による受信品質メッセージの報告頻度を高頻度に設定し、その旨を指示する指示情報を、通信I/F311を介し、さらに、基地局302または302を経由して、携帯端末301に送信する。この場合、携帯端末301では、受信品質メッセージの生成頻度が高頻度にされ、そのような高頻度で、送信データに挿入される。その結果、携帯端末301は、受信品質メッセージを、ソフトハンドオフ状態にない場合に比較して、高頻度で送信するようになる。
【0398】
また、報告頻度制御部314は、ハンドオフ認識部313から、携帯端末301がソフトハンドオフ状態にない旨の認識結果を受信すると、携帯端末301による受信品質メッセージの報告頻度を低頻度に設定し、その旨を指示する指示情報を、通信I/F311を介し、さらに、基地局302または302を経由して、携帯端末301に送信する。この場合、携帯端末301では、受信品質メッセージの生成頻度が低頻度にされ、そのような低頻度で、送信データに挿入される。その結果、携帯端末301は、受信品質メッセージを、ソフトハンドオフ状態にある場合に比較して、低頻度で送信するようになる。
【0399】
なお、上述の場合には、基地局制御局303において、携帯端末301がソフトハンドオフ状態であるか否かによって、携帯端末301による受信品質メッセージの報告頻度を制御する報告頻度制御処理を行うようにしたが、その他、報告頻度制御処理は、例えば、基地局302や302のリソース(例えば、符号数や、電力、干渉量、基地局のハードウェア資源、ソフトウェア資源、その他の通信資源)の状態に応じて行うことも可能である。
【0400】
即ち、例えば、基地局が通信サービスを提供している携帯端末の数(基地局のセル内に存在する携帯端末の数)や、干渉量が少ない等、リソースに空きがある場合には、受信品質メッセージの報告頻度を、高頻度に設定することができる。また、例えば、基地局のセル内に存在する携帯端末の数や、干渉量が多い等、リソースが飽和状態にある場合、あるいは、干渉量を抑制したい場合には、受信品質メッセージの報告頻度を、低頻度に設定することができる。
【0401】
ここで、干渉量は、例えば、図40に示すように、各基地局302,302,302,・・・から、基地局制御局303に送信させるようにすることで、基地局制御局303において認識することができる。
【0402】
また、各基地局302,302,302,・・・のセル内に存在する携帯端末の数は、例えば、基地局制御局303が各基地局に割り当てたDPCHチャンネルのチャンネル数から認識することができ、この場合、基地局制御局303では、各基地局302,302,302,・・・から、特に情報を送信してもらわなくても、セル内に存在する携帯端末の数(ユーザ数)を認識することができる。
【0403】
次に、図41のフローチャートを参照して、干渉量と、セル内に存在するユーザ数の両方に応じて、携帯端末301による受信品質メッセージの報告頻度を制御する、図39の基地局制御局303による報告頻度制御処理について、さらに説明する。
【0404】
この場合、基地局制御局303(図39)の報告頻度制御部315では、図41Aと図41Bにそれぞれ示す報告頻度制御処理が並列して行われる。
【0405】
即ち、基地局制御局303(図39)の報告頻度制御部315は、基地局#iから、通信I/F311および基地局情報記憶部314を介して、干渉量を受信する。
【0406】
ここで、干渉量には、様々な定義があるが、例えば、3GPP Technical Specification 25.215には、基地局送受信電力や、信号対干渉比、信号対干渉比誤差等が記載されている。ここでは、干渉量として、例えば、信号対干渉比誤差を採用することとする。なお、信号対干渉比誤差は、基地局において推定された受信品質と、基地局が提供する通信サービスの質を保証するために設定されている所定のFERが得られる受信品質(以下、適宜、基準受信品質という)との差に相当を表し、その値が大きいほど、基地局において推定された受信品質が、基準受信品質より劣っているものとする。
【0407】
図41Aの報告頻度制御処理では、報告頻度制御部315は、ステップS101において、基地局#iからの送信されてきた、そのセル内に存在する携帯端末の信号対干渉比誤差の総和を、基地局#iのセル内に存在するユーザ数で除算することにより、基地局#iについて、信号対干渉比誤差の平均値AvgError[i]を求め、ステップS102に進む。
【0408】
ステップS102では、報告頻度制御部315は、基地局#iの信号対干渉比誤差の平均値AvgError[i]が、所定の閾値Th_SIR_Hより大(または以上)であるかどうかを判定する。
【0409】
ステップS102において、基地局#iの信号対干渉比誤差の平均値AvgError[i]が、所定の閾値Th_SIR_Hより大であると判定された場合、即ち、基地局#iにおける干渉量が大きく、そのままでは、基地局#iにおいて通信サービスの質を維持することが困難となるおそれがある場合、ステップS103に進み、報告頻度制御部45は、干渉量の大小を表す1ビットの干渉フラグs_flgに、干渉量が多いことを表す、例えば1をセットし、ステップS104に進む。
【0410】
ステップS104では、報告頻度制御部315は、基地局#iのセル内に存在する携帯端末による受信品質メッセージの報告頻度を、現在の頻度よりも低頻度にするように設定し、その旨を指示する指示情報を、通信I/F311に送信させる。通信I/F311は、報告頻度制御部315からの指示情報を、基地局#iを経由して、その基地局#iのセル内に存在する携帯端末に送信する。これにより、携帯端末による受信品質メッセージの報告頻度が低頻度になり、基地局#iのリソースの使用量が抑制され、さらには、干渉量が抑制される。
【0411】
そして、基地局#iから、新たな干渉量(ここでは、信号対干渉比誤差)が送信されてくるのを待って、ステップS101に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0412】
一方、ステップS102において、基地局#iの信号対干渉比誤差の平均値AvgError[i]が、所定の閾値Th_SIR_Hより大でないと判定された場合、ステップS105に進み、報告頻度制御部315は、干渉フラグs_flgが1であるかどうかを判定する。
【0413】
ステップS105において、干渉フラグs_flgが1でないと判定された場合、即ち、干渉フラグs_flgが、干渉量が小さいことを表す、例えば0である場合、基地局#iから、新たな干渉量が送信されてくるのを待って、ステップS101に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0414】
従って、この場合は、基地局#iのセル内に存在する携帯端末による受信品質メッセージの報告頻度は、現状のまま変更されない。
【0415】
また、ステップS105において、干渉フラグs_flgが1であると判定された場合、即ち、過去に行われたステップS103において干渉フラグs_flgが1とされ、その後、干渉フラグs_flgが1のままの場合、ステップS106に進み、報告頻度制御部315は、基地局#iの信号対干渉比誤差の平均値AvgError[i]が、ステップS102における閾値Th_SIR_Hよりも小さい閾値Th_SIR_Lより小さい(または以下である)かどうかを判定する。
【0416】
ステップS106において、基地局#iの信号対干渉比誤差の平均値AvgError[i]が、閾値Th_SIR_Lより小さくないと判定された場合、即ち、基地局#iの信号対干渉比誤差の平均値AvgError[i]が、ステップS102における閾値Th_SIR_Hよりも小さいが、閾値Th_SIR_Lよりは小さくなく、従って、基地局#iにおける干渉量が、それほど大きくはないが、それでも、ある程度大きい場合、基地局#iから、新たな干渉量が送信されてくるのを待って、ステップS101に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0417】
従って、この場合も、基地局#iのセル内に存在する携帯端末による受信品質メッセージの報告頻度は、現状のまま変更されない。
【0418】
また、ステップS106において、基地局#iの信号対干渉比誤差の平均値AvgError[i]が、閾値Th_SIR_Lより小さいと判定された場合、即ち、基地局#iにおける干渉量が少ない場合、ステップS107に進み、報告頻度制御部315は、干渉フラグs_flgに、干渉量が小さいことを表す0をセットし、ステップS108に進む。
【0419】
ステップS108では、報告頻度制御部315は、基地局#iのセル内に存在するユーザ数(携帯端末の数)の多少を表す1ビットのユーザ数フラグn_flgが、ユーザ数が少ないことを表す、例えば0であるかどうかを判定する。
【0420】
ここで、ユーザ数フラグn_flgが1の場合には、ユーザ数が多いことを表す。また、ユーザ数フラグn_flgへの0または1のセットは、後述する図41Bのフローチャートにしたがった報告頻度制御処理によって行われる。
【0421】
ステップS108において、ユーザ数フラグn_flgが0でないと判定された場合、即ち、ユーザ数フラグn_flgが1であり、従って、基地局#iのセル内に存在するユーザ数が少なくない場合(ユーザ数が多い場合か、またはそれほど多くはないが、それでもある程度多い場合)、基地局#iから、新たな干渉量が送信されてくるのを待って、ステップS101に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0422】
従って、この場合も、基地局#iのセル内に存在する携帯端末による受信品質メッセージの報告頻度は、現状のまま変更されない。
【0423】
また、ステップS108において、ユーザ数フラグn_flgが0であると判定された場合、即ち、基地局#iのセル内に存在するユーザ数が少ない場合、ステップS109に進み、報告頻度制御部315は、基地局#iのセル内に存在する携帯端末による受信品質メッセージの報告頻度を、現在の頻度よりも高頻度にするように設定し(例えば、過去に、ステップS104、または後述する図41BのステップS113において、報告頻度が低頻度にされた場合には、元の頻度に戻すように設定し)、その旨を指示する指示情報を、通信I/F311に送信させる。通信I/F311は、報告頻度制御部315からの指示情報を、基地局#iを経由して、その基地局#iのセル内に存在する携帯端末に送信する。これにより、携帯端末による受信品質メッセージの報告頻度が高頻度になる。
【0424】
そして、基地局#iから、新たな干渉量が送信されてくるのを待って、ステップS101に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0425】
次に、図41Bの報告頻度制御処理では、報告頻度制御部315は、ステップS111において、基地局#iのセル内に存在するユーザ数Num_usr[i]が、所定の閾値Th_N_Hより大(または以上)であるかどうかを判定する。
【0426】
ステップS111において、基地局#iのセル内に存在するユーザ数Num_usr[i]が、所定の閾値Th_N_Hより大であると判定された場合、即ち、基地局#iのセル内に存在するユーザ数が多く、そのままでは、基地局#iにおけるリソースが飽和し、通信サービスの質を維持することが困難となるおそれがある場合、ステップS112に進み、報告頻度制御部45は、ユーザ数フラグn_flgに、ユーザ数が多いことを表す1をセットし、ステップS113に進む。
【0427】
ステップS113では、報告頻度制御部315は、図41AのステップS104における場合と同様に、基地局#iのセル内に存在する携帯端末による受信品質メッセージの報告頻度を、現在の頻度よりも低頻度にするように設定し、その旨を指示する指示情報を、通信I/F311に送信させる。通信I/F311は、報告頻度制御部315からの指示情報を、基地局#iを経由して、その基地局#iのセル内に存在する携帯端末に送信する。これにより、携帯端末による受信品質メッセージの報告頻度が低頻度になり、基地局#iのリソースの使用量が抑制される。
【0428】
そして、ステップS111に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0429】
一方、ステップS111において、基地局#iのセル内に存在するユーザ数Num_usr[i]が、所定の閾値Th_N_Hより大でないと判定された場合、ステップS114に進み、報告頻度制御部315は、ユーザ数フラグn_flgが1であるかどうかを判定する。
【0430】
ステップS114において、ユーザ数フラグn_flgが1でないと判定された場合、即ち、ユーザ数フラグn_flgが、セル内のユーザ数が少ないことを表す0である場合、ステップS111に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0431】
従って、この場合は、基地局#iのセル内に存在する携帯端末による受信品質メッセージの報告頻度は、現状のまま変更されない。
【0432】
また、ステップS114において、ユーザ数フラグn_flgが1であると判定された場合、即ち、過去に行われたステップS112においてユーザ数フラグn_flgが1とされ、その後、ユーザ数フラグn_flgが1のままの場合、ステップS115に進み、報告頻度制御部315は、基地局#iのセル内に存在するユーザ数Num_usr[i]が、ステップS111における閾値Th_N_Hよりも小さい閾値Th_N_Lより小さい(または以下である)かどうかを判定する。
【0433】
ステップS115において、基地局#iのセル内に存在するユーザ数Num_usr[i]が、閾値Th_N_Lより小さくないと判定された場合、即ち、基地局#iのセル内に存在するユーザ数Num_usr[i]が、ステップS111における閾値Th_N_Hよりも少ないが、閾値Th_SIR_Lよりは少なくなく、従って、基地局#iのセル内のユーザ数が、それほど多くはないが、それでも、ある程度多い場合、ステップS111に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0434】
従って、この場合も、基地局#iのセル内に存在する携帯端末による受信品質メッセージの報告頻度は、現状のまま変更されない。
【0435】
また、ステップS115において、基地局#iのセル内に存在するユーザ数Num_usr[i]が、閾値Th_N_Lより小さいと判定された場合、即ち、基地局#iのセル内に存在するユーザ数が少ない場合、ステップS116に進み、報告頻度制御部315は、ユーザ数フラグn_flgに、ユーザ数が少ないことを表す0をセットし、ステップS117に進む。
【0436】
ステップS117では、報告頻度制御部315は、基地局#iにおける干渉量の大小を表す干渉フラグs_flgが、干渉量が小さいことを表す0であるかどうかを判定する。
【0437】
ステップS117において、干渉フラグs_flgが0でないと判定された場合、即ち、干渉フラグs_flgが1であり、従って、基地局#iにおける干渉量が小さくない場合(干渉量が大きい場合か、またはそれほど大きくはないが、それでもある程度大きい場合)、ステップS111に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0438】
従って、この場合も、基地局#iのセル内に存在する携帯端末による受信品質メッセージの報告頻度は、現状のまま変更されない。
【0439】
また、ステップS117において、干渉フラグs_flgが0であると判定された場合、即ち、基地局#iにおける干渉量が小さい場合、ステップS118に進み、報告頻度制御部315は、図41AのステップS109における場合と同様に、基地局#iのセル内に存在する携帯端末による受信品質メッセージの報告頻度を、現在の頻度よりも高頻度にするように設定し、その旨を指示する指示情報を、通信I/F311に送信させる。通信I/F311は、報告頻度制御部315からの指示情報を、基地局#iを経由して、その基地局#iのセル内に存在する携帯端末に送信する。これにより、携帯端末による受信品質メッセージの報告頻度が高頻度になる。
【0440】
そして、ステップS111に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0441】
図41の報告頻度制御処理によれば、干渉量が大きくなった場合や、セル内のユーザ数が多くなった場合には、受信品質メッセージの報告頻度が低頻度にされる。そして、干渉量が十分小さくなり、かつ、セル内のユーザ数が十分少なくなるまでは、受信品質メッセージの報告頻度が、現状のまま維持され、干渉量が十分小さくなり、かつ、セル内のユーザ数が十分少なくなると、受信品質メッセージの報告頻度が高頻度にされる(元に戻される)。
【0442】
なお、以上のような報告頻度制御処理は、例えば、フレームごとに、あるいは、数フレームおきに行うことが可能である。
【0443】
また、上述の場合には、受信品質メッセージの報告頻度を制御するようにしたが、モード要求メッセージの報告頻度についても、同様の制御を行うことが可能である。
【0444】
さらに、図41の実施の形態では、干渉量の平均値AvgError[i]が閾値Th_SIR_Hより下の場合、およびセル内のユーザ数Num_usr[i]が閾値Th_N_Hより大きい場合は、受信品質メッセージの報告頻度が段々低頻度にされることとなるが、この報告頻度の切り換えは、例えば、第1の頻度と、第1の頻度より低頻度の第2の頻度の2段階とすることが可能である。これは、図41の実施の形態において、ステップS104およびS113で、報告頻度を第2の頻度に設定し、ステップS109およびS118で、報告頻度を第1の頻度に設定することで実現可能である。
【0445】
次に、図42は、図27の基地局131の他の構成例を示している。なお、図中、図28における場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は適宜省略する。即ち、図42の基地局131は、閾値制御部151が新たに設けられている他は、図28における場合と基本的に同様に構成されている。
【0446】
閾値制御部151には、再送要求メッセージ抽出部111から、再送要求メッセージが供給されるようになっている。閾値制御部151は、再送要求メッセージ抽出部111から供給される再送要求メッセージに基づいて、モード設定部141が図30のモード設定処理において用いる閾値−THDOWNおよびTHUPを制御(補正)する。
【0447】
即ち、図28の基地局131では、モード設定部141が行う図30のモード設定処理において、閾値−THDOWNおよびTHUPとして、すべての携帯端末に対して、同一の値が用いられるようになっている。
【0448】
しかしながら、すべての携帯端末が同一の受信特性を有している場合には、すべての携帯端末に、同一の閾値−THDOWNおよびTHUPを用いても、効率的なデータ伝送が可能であるが、一般には、すべての携帯端末が同一の受信特性を有するとは限らない。従って、受信特性が異なる携帯端末すべてについて、効率的なデータ伝送を実現するには、各携帯端末の受信特性に対応した閾値−THDOWNおよびTHUPを用いて、図30のモード設定処理を行う必要がある。
【0449】
そこで、図42の基地局131では、閾値制御部151において、図30のモード設定処理で用いられる閾値−THDOWNおよびTHUPが、携帯端末131の受信特性に対応した値に制御されるようになっている。
【0450】
即ち、図43は、閾値制御部151が行う閾値制御処理を示すフローチャートである。
【0451】
この閾値制御処理は、復調部19から再送要求メッセージ抽出部111に対して、フレームが供給されるごとに行われる。
【0452】
即ち、閾値制御処理では、まず最初に、ステップS61において、閾値制御部151が、再送要求メッセージ抽出部111から、再送要求メッセージを受信したかどうかを判定する。
【0453】
ステップS61において、再送要求メッセージを受信したと判定された場合、閾値制御部151は、ステップS62,S63に順次進み、データレートが高い変調符号化モードが設定されにくくするために、閾値THUPを大きな値に補正するとともに、雑音耐久性が高い変調符号化モードが設定されやすくするために、閾値THDOWNを小さな値に補正する。
【0454】
即ち、基地局131において、再送要求メッセージが受信されたということは、基地局131から携帯端末101に送信されたデータに、十分な雑音耐久性がなかったことを表すから、閾値THUPおよびTHDOWNを、データレートが高い変調符号化モード、つまり、雑音耐久性が低い変調符号化モードが設定されにくく、かつ雑音耐久性が高い変調符号化モードが設定されやすくなるように補正するのが望ましい。
【0455】
そこで、ステップS62では、閾値制御部151が、閾値THUPおよびTHDOWNの補正量(以下、適宜、閾値補正量という)△THを、例えば、次式にしたがって求める。
【0456】
△TH=(1−α)×D
・・・(8)
【0457】
ここで、αは、目標とする誤り率FERに対応する値で、0<α<1の範囲内の値である。また、Dは、閾値THUPおよびTHDOWNを補正する補正量の基準となる値を表す。
【0458】
ステップS62において、閾値補正量△THが求められると、ステップS63に進み、閾値制御部151は、例えば、次式にしたがい、閾値THUPおよびTHDOWNを、閾値補正量△THによって補正し、処理を終了する。
【0459】
THUP=THUP+△TH
THDOWN=THDOWN−△TH
・・・(9)
【0460】
一方、ステップS61において、再送要求メッセージを受信していないと判定された場合、閾値制御部151は、ステップS64,S65に順次進み、データレートが高い変調符号化モードが設定されやすくするために、閾値THUPを小さな値に補正するとともに、雑音耐久性が高い変調符号化モードが設定されにくくするために、閾値THDOWNを大きな値に補正する。
【0461】
即ち、基地局131において、再送要求メッセージが受信されなかったということは、基地局131から携帯端末101に送信されたデータに、十分な雑音耐久性があり、より高いデータレートでの送信が可能であることを表すから、閾値THUPおよびTHDOWNを、雑音耐久性が高い変調符号化モード、つまり、データレートが低い変調符号化モードが設定されにくく、かつデータレートが高い変調符号化モードが設定されやすくなるように補正するのが望ましい。
【0462】
そこで、ステップS64では、閾値制御部151が、閾値THUPおよびTHDOWNの補正量(閾値補正量)△THを、例えば、次式にしたがって求める。
【0463】
△TH=α×D
・・・(10)
【0464】
ステップS64において、閾値補正量△THが求められると、ステップS65に進み、閾値制御部151は、例えば、次式にしたがい、閾値THUPおよびTHDOWNを、閾値補正量△THによって補正し、処理を終了する。
【0465】
THUP=THUP−△TH
THDOWN=THDOWN+△TH
・・・(11)
【0466】
なお、図43の閾値制御処理は、各携帯端末ごとについて行われ、各携帯端末についてのモード設定処理(図30)では、その携帯端末に対して、図43の閾値制御処理で求められた閾値THUPおよびTHDOWNが用いられる。
【0467】
次に、図44は、閾値制御部151による閾値制御処理の他の実施の形態を示すフローチャートである。
【0468】
図44の実施の形態では、まず最初に、ステップS71において、図43のステップS61における場合と同様に、再送要求メッセージが受信されたかどうかが判定される。
【0469】
ステップS71において、再送要求メッセージが受信されたと判定された場合、ステップS72に進み、閾値制御部151は、再送要求メッセージが連続して送信されてきた回数をカウントする変数countを1だけインクリメントし、ステップS73に進む。
【0470】
ステップS73では、閾値制御部151が、変数countがMより大であるかどうかを判定する。ステップS73において、変数countがMより大であると判定された場合、ステップS74,S75に順次進み、図43のステップS62,S63における場合とそれぞれ同様の処理が行われ、処理を終了する。
【0471】
また、ステップS73において、変数countがMより大でないと判定された場合、ステップS74およびS75をスキップして、処理を終了する。
【0472】
一方、ステップS71において、再送要求メッセージが受信されなかったと判定された場合、ステップS76に進み、閾値制御部151は、変数countを0にリセットする。そして、ステップS77,S78に順次進み、図43のステップS64,S65における場合とそれぞれ同様の処理が行われ、処理を終了する。
【0473】
従って、図44の実施の形態では、基地局131において、携帯端末131からの再送要求メッセージが受信されなかった場合には、図43における場合と同様の閾値THUPおよびTHDOWNの補正が行われる。
【0474】
一方、基地局131において、携帯端末131からの再送要求メッセージが受信された場合には、再送要求メッセージを、M回以上連続して受信したときのみ、図43における場合と同様の閾値THUPおよびTHDOWNの補正が行われる。
【0475】
即ち、図44の実施の形態では、雑音耐久性が高い変調符号化モードが設定されやすくなるような閾値THUPおよびTHDOWNの補正は、再送要求メッセージが、Mフレーム連続して携帯端末131から送信されてきた場合のみ行われる。
【0476】
なお、閾値THUPおよびTHDOWNの補正は、その他、例えば、再送要求メッセージの受信頻度等に基づき、携帯端末101における誤り率FERや、再送後の残余誤り率を計算し、この誤り率FERや残余誤り率に基づいて、携帯端末101において所定の受信品質が得られるように行うことが可能である。
【0477】
次に、上述した一連の処理は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
【0478】
そこで、図45は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
【0479】
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク205やROM203に予め記録しておくことができる。
【0480】
あるいはまた、プログラムは、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体211に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体211は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
【0481】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体211からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを、通信部208で受信し、内蔵するハードディスク205にインストールすることができる。
【0482】
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)202を内蔵している。CPU202には、バス201を介して、入出力インタフェース210が接続されており、CPU202は、入出力インタフェース210を介して、ユーザによって、キーボードや、マウス、マイク等で構成される入力部207が操作等されることにより指令が入力されると、それにしたがって、ROM(Read Only Memory)203に格納されているプログラムを実行する。あるいは、また、CPU202は、ハードディスク205に格納されているプログラム、衛星若しくはネットワークから転送され、通信部208で受信されてハードディスク205にインストールされたプログラム、またはドライブ209に装着されたリムーバブル記録媒体211から読み出されてハードディスク205にインストールされたプログラムを、RAM(Random Access Memory)204にロードして実行する。これにより、CPU202は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU202は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース210を介して、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される出力部206から出力、あるいは、通信部208から送信、さらには、ハードディスク205に記録等させる。
【0483】
ここで、本明細書において、コンピュータに各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
【0484】
また、プログラムは、1のコンピュータにより処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0485】
なお、本実施の形態においては、本発明を、W-CDMA方式による無線通信を行うシステムに適用した場合について説明したが、本発明は、W-CDMA方式以外の通信方式にも適用可能である。また、本発明は、無線通信の他、有線通信にも適用可能である。さらに、本発明が適用される端末は、携帯型のものに限定されるものではない。
【0486】
また、携帯端末に対して、DSCHチャンネル(図10(B))が割り当てられていない場合、即ち、携帯端末と基地局との間で交信が行われていない場合には、携帯端末から基地局への受信品質メッセージやモード要求メッセージの送信頻度を低くし、逆に、携帯端末に対して、DSCHチャンネルが割り当てられている場合、即ち、携帯端末と基地局との間で交信が行われている場合には、携帯端末から基地局の受信品質メッセージやモード要求メッセージの送信頻度を高くするようにすることが可能である。
【符号の説明】
【0487】
1,1,1,1 携帯端末, 2 基地局, 11 分配部, 12,12乃至12 バッファ, 13 選択部, 14 適応変調符号化部, 15 拡散部, 16 送受信部, 17 アンテナ, 18 逆拡散部, 19 復調部, 20 受信品質ビット抽出部, 21 受信品質判定部, 22 制御部, 31 スイッチ, 32A乃至32C 符号化器, 33A乃至33B 変調器, 34 スイッチ, 41 アンテナ, 42 送受信部, 43 逆拡散部, 44 復調部, 45 制御データ分離部, 46 復号部, 47 制御データ復号部, 48 制御部, 49 データ復調復号部, 50 受信品質推定部, 51 受信品質ビット挿入部,61,61,61,61 携帯端末, 62 基地局, 71 個別パイロット分離部, 72 受信品質推定部, 73 電力制御ビット生成部, 74 電力制御ビット挿入部, 81 電力制御ビット抽出部, 82 電力調整部, 83 電力制御ビットバッファ, 84 積算部, 85 受信品質判定部, 91 モード割り当て部, 921乃至92N 平均部, 931乃至93N 演算器, 94 リソース割り当て部, 101,101,101,101 携帯端末, 102 基地局, 111 再送要求メッセージ抽出部, 112 モード要求メッセージ抽出部, 113 モード設定部, 114 制御部, 115 再送バッファ, 121 誤り検出部, 122 再送要求メッセージ生成部, 123 再送要求メッセージ挿入部, 124 モード要求メッセージ挿入部, 125 モード選択部, 131 基地局, 141 モード設定部, 151 閾値制御部, 301 携帯端末, 302,302 基地局, 303 基地局制御局, 311 通信I/F, 312 ソフトハンドオフ制御部, 313 ハンドオフ認識部, 314 基地局情報記憶部, 315 報告頻度制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信相手の現在の受信品質を求める情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、所定のチャンネルの品質を示すチャンネル品質情報を生成するチャンネル品質情報生成手段と、
前記情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、前記情報処理装置の送信電力を制御する送信電力制御情報を生成する送信電力制御情報生成手段と、
前記チャンネル品質情報が、所定のフレームを単位とした第1の周期で送信されるように、前記チャンネル品質情報を、前記情報処理装置への送信信号に挿入するチャンネル品質情報挿入手段と、
前記送信電力制御情報が、前記第1の周期よりも短い第2の周期で送信されるように、前記送信電力制御情報を、前記送信信号に挿入する送信電力制御情報挿入手段と、
前記チャンネル品質情報および前記送信電力制御情報が挿入された前記送信信号がスペクトル拡散されたスペクトル拡散信号を増幅して、アンテナから電波として送信する送信手段と、
前記情報処理装置から、前記第1の周期を指定する周期指定情報を受信する周期指定情報受信手段と、
前記周期指定情報受信手段が受信した前記周期指定情報に応じて、前記第1の周期を更新する送信周期更新手段と
を備える通信装置。
【請求項2】
前記送信周期更新手段は、ソフトハンドオフ状態である場合に、前記第1の周期を更新する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記チャンネル品質情報によって品質が示される第1のチャンネルと、前記送信電力制御情報によって送信電力が制御される第2のチャンネルとは、異なるチャンネルである
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1のチャンネルは、DSCH(Down Link Shared Channel)である
請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第2のチャンネルは、DPCH(Dedicated Physical Channel)である
請求項3に記載の通信装置。
【請求項6】
前記情報処理装置との間で行われる通信は、CDMA方式による通信である
請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
通信相手の現在の受信品質を求める情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、所定のチャンネルの品質を示すチャンネル品質情報を生成するチャンネル品質情報生成ステップと、
前記情報処理装置から受信した受信信号に基づいて、前記情報処理装置の送信電力を制御する送信電力制御情報を生成する送信電力制御情報生成ステップと、
前記チャンネル品質情報が、所定のフレームを単位とした第1の周期で送信されるように、前記チャンネル品質情報を、前記情報処理装置への送信信号に挿入するチャンネル品質情報挿入ステップと、
前記送信電力制御情報が、前記第1の周期よりも短い第2の周期で送信されるように、前記送信電力制御情報を、前記送信信号に挿入する送信電力制御情報挿入ステップと、
前記チャンネル品質情報および前記送信電力制御情報が挿入された前記送信信号がスペクトル拡散されたスペクトル拡散信号を増幅して、アンテナから電波として送信する送信ステップと、
前記情報処理装置から、前記第1の周期を指定する周期指定情報を受信する周期指定情報受信ステップと、
前記周期指定情報受信ステップの処理により受信された前記周期指定情報に応じて、前記第1の周期を更新する送信周期更新ステップと
を含む通信方法。
【請求項8】
前記通信装置から送信されてくる電波をアンテナが受信することで得られる受信信号であって、前記通信装置において生成された所定のチャンネルの品質を示すチャンネル品質情報が、所定のフレームを単位とした第1の周期で送信されてくるように挿入されるとともに、送信電力を制御する送信電力制御情報が、前記第1の周期よりも短い第2の周期で送信されてくるように挿入された受信信号としてのスペクトル拡散信号を増幅し、スペクトル逆拡散する受信手段と、
前記受信信号から、前記チャンネル品質情報を抽出するチャンネル品質情報抽出手段と、
前記受信信号から、前記送信電力制御情報を抽出する送信電力制御情報抽出手段と、
前記チャンネル品質情報と送信電力制御情報の両方に基づいて、前記通信装置における現在の受信品質を推定する受信品質推定手段と、
前記通信装置に対して、前記第1の周期を指定する周期指定情報を送信する周期指定情報送信手段と
を備え、
前記周期指定情報送信手段は、前記通信装置がソフトハンドオフ状態である場合に、前記通信装置に対して、前記周期指定情報を送信する
情報処理装置。
【請求項9】
前記チャンネル品質情報によって品質が示される第1のチャンネルと、前記送信電力制御情報によって送信電力が制御される第2のチャンネルとは、異なるチャンネルである
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1のチャンネルは、DSCH(Down Link Shared Channel)である
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第2のチャンネルは、DPCH(Dedicated Physical Channel)である
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記通信装置との間で行われる通信は、CDMA方式による通信である
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記通信装置から送信されてくる電波をアンテナが受信することで得られる受信信号であって、前記通信装置において生成された所定のチャンネルの品質を示すチャンネル品質情報が、所定のフレームを単位とした第1の周期で送信されてくるように挿入されるとともに、送信電力を制御する送信電力制御情報が、前記第1の周期よりも短い第2の周期で送信されてくるように挿入された受信信号としてのスペクトル拡散信号を増幅し、スペクトル逆拡散する受信ステップと、
前記受信信号から、前記チャンネル品質情報を抽出するチャンネル品質情報抽出ステップと、
前記受信信号から、前記送信電力制御情報を抽出する送信電力制御情報抽出ステップと、
前記チャンネル品質情報と送信電力制御情報の両方に基づいて、前記通信装置における現在の受信品質を推定する受信品質推定ステップと、
前記通信装置に対して、前記第1の周期を指定する周期指定情報を送信する周期指定情報送信ステップと
を含み、
前記周期指定情報送信ステップは、前記通信装置がソフトハンドオフ状態である場合に、前記通信装置に対して、前記周期指定情報を送信する
情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2012−199926(P2012−199926A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87441(P2012−87441)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【分割の表示】特願2011−104193(P2011−104193)の分割
【原出願日】平成13年11月16日(2001.11.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.WCDMA
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】