説明

通信装置及びその制御方法

【課題】 本発明は、デジタルデータを、電話回線を通じて送信するファクシミリ装置などの通信装置及びその制御方法に関するものであり、デジタルデータを容易に送信する方法を提供する。
【解決手段】 外部メモリに存在するディレクトリ名を電話番号にすることで、そのディレクトリ以下のデジタルファイルを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部メモリからデータを読み出し、電話回線を使用して送信することが可能な通信装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙に記録されたデータを読み取って得た情報を、電話回線を通じて送信する装置として、ファクシミリ装置が知られている。この装置では一般に、データを読み取るスキャナ部分に原稿をセットし、相手の電話番号をダイヤルボタンで入力することにより、所望の相手に原稿を送信することが可能である。また近年では、メモリ領域にあらかじめ登録されている複数の電話番号から所望の相手を探し出し、容易に原稿を送信することが可能な装置も存在する。他にも、紙に記入された原稿だけでなく、メモリ領域に保存されたデジタルデータを、所望の相手に送信可能な装置も存在する。このような装置の場合、データを送信するときに電話番号をダイヤルボタンで入力するか、もしくはあらかじめ登録されている電話番号を探し出し、その番号に当てはまる任意のボタンである短縮ダイヤルを入力するという方法が、一般的な送信方法である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6-232941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような装置においては、電話番号を入力するもしくは短縮ダイヤルを入力するのは実際にデータを送信する直前である。この場合、ファクシミリ装置がある場所において相手先の電話番号を知っている必要がある。このため、例えばほかの装置を用いて作成したデータを送信したい場合、データを作成した段階でなく、データを送信する段階で、電話番号を知っている必要がある。しかしながら、この場合、データを作成する作業と電話番号を調べて送信する作業が2つの装置に分散されてしまい、作業が非常に煩雑になってしまう。このため、データを作成した後に改めて電話番号を調べるというような、面倒な作業を行わなければならないという問題があった。電話番号を登録し短縮ダイヤルを使用できる装置であった場合このような問題は減少するが、これらの電話番号を覚えるためのメモリ領域がファクシミリ装置内に必要なため、装置自体のコストが増えてしまう問題があった。
【0004】
他にもメモリカードなどに収められたデジタルデータを送信する場合、ファクシミリ装置を使用して、そのメモリの中のデータから、実際に送りたい所望のデータを探し出すという作業が必要になる。この作業は、メモリカードの中に多量のデータを保持する場合は所望のデータを探し出す作業が非常に難しいという問題があった。特に複数のデータを一度に送信したい場合、所望のデータを複数選択するのは非常に煩雑で、難しい作業を必要とするという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、煩雑な電話番号入力操作をすることなく、容易にデータを送信することが可能な通信装置及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明の請求項1の通信装置は、データを格納する記憶媒体を装着する装着部と、
前記装着部に装着された前記記憶媒体の中のデータを読み出すデータ読み出し部と、
前記データ読み出し部によって読み出されたデータを解析するデータ解析手段と、
データ構造によるファイルのディレクトリ形式と前記ディレクトリに保存されるデータファイルを認識するファイルシステム手段と、
前記記憶媒体に格納されている複数の前記ディレクトリの中から1つのディレクトリを選択するディレクトリ選択手段と、
前記ディレクトリにつけられた名前から文字列を認識して電話番号を取り出すことが可能な電話番号解析手段と、
前記電話番号解析手段により解析された電話番号で特定される送信先に送信する手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
同じ目的のために、本発明の請求項2の通信装置は、上記請求項1の通信装置の構成をもち、さらに前記ディレクトリの中に存在するファイルがファクシミリ送信可能なものかどうかを判断する、ファイル解析手段を備え、
送信可能なファイルのみに限って送信先に送信することを特徴とする。
【0008】
同じ目的のために、本発明の請求項3の通信装置は、上記請求項1の通信装置の構成をもち、さらに送信先の電話番号を複数記憶する電話番号記憶領域と、
前記電話番号記憶領域から所望の電話番号を選択する電話番号選択手段と、
前記電話番号選択手段で選択された電話番号と、ディレクトリ名から電話番号を解析する前記電話番号解析手段によって解析された電話番号を比較する電話番号比較手段を備え、
前記比較手段によって同じ番号だと判断されたときのみに限って送信先に送信することを特徴とする。
【0009】
同じ目的のために、本発明の請求項4の通信装置は、上記請求項1の通信装置の構成をもち、さらに前記電話番号記憶領域に記憶されているすべての電話番号に対し、前記電話番号解析手段によって解析された電話番号を比較し、1つでも同じ電話番号があると判断された場合にのみ限って送信先に送信することを特徴とする。
【0010】
同じ目的のために、本発明の請求項5の通信装置は、上記請求項1の通信装置の構成をもち、さらに前記電話番号解析手段によって取り出された電話番号を表示する電話番号表示手段と、ユーザーに対して前記表示手段によって表示された電話番号にデータを送信してよいか確認する確認手段とを備える事を特徴とする。
【0011】
同じ目的のために本発明の請求項6の通信方法は、データを格納する記憶媒体を装着する装着工程と、
前記装着部に装着された前記記憶媒体の中のデータを読み出すデータ読み出し工程と、
前記データ読み出し部によって読み出されたデータを解析するデータ解析工程と、
データ構造によるファイルのディレクトリ形式と前記ディレクトリに保存されるデータファイルを認識するファイルシステム工程と、
前記記憶媒体に格納されている複数の前記ディレクトリの中から1つのディレクトリを選択するディレクトリ選択工程と、
前記ディレクトリにつけられた名前から文字列を認識して電話番号を取り出すことが可能な電話番号解析工程と、
前記電話番号解析工程により解析された電話番号で特定される送信先に送信する工程を備えたことを特徴とする。
【0012】
同じ目的のために、本発明の請求項7の通信方法は、上記請求項6の通信方法の構成をもち、さらに前記ディレクトリの中に存在するファイルがファクシミリ送信可能なものかどうかを判断する、ファイル解析工程を備え、
送信可能なファイルのみに限って送信先に送信する事を特徴とする。
【0013】
同じ目的のために、本発明の請求項8の通信方法は、上記請求項6の通信方法の構成をもち、さらに送信先の電話番号を複数記憶する電話番号記憶工程と、
前記電話番号記憶工程から所望の電話番号を選択する電話番号選択工程と、
前記電話番号選択工程で選択された電話番号と、ディレクトリ名から電話番号を解析する前記電話番号解析工程によって解析された電話番号を比較する電話番号比較工程を備え、
前記比較工程によって同じ番号だと判断されたときのみに限って送信先に送信する事を特徴とする。
【0014】
同じ目的のために、本発明の請求項9の通信方法は、上記請求項6の通信方法の構成をもち、さらに前記電話番号記憶工程から1つの番号を取り出す電話番号取り出し工程をそなえ、
前記電話番号記憶工程に記憶されているすべての電話番号に対し、前記電話番号解析工程によって解析された電話番号を比較し、1つでも同じ電話番号があると判断された場合にのみ限って送信先に送信する事を特徴とする。
【0015】
同じ目的のために、本発明の請求項10の通信方法は、上記請求項6の通信方法の構成をもち、さらに前記電話番号解析工程によって取り出された電話番号を表示する電話番号表示工程と、ユーザーに対して前記表示工程によって表示された電話番号にデータを送信してよいか確認する確認工程とを備える事を特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上のような手段を用いた本発明によれば、メモリカードなどの記憶媒体上に送信データを保存する段階で電話番号を入力することで、通信機器にメモリカードを挿入するだけで容易に所望の相手にデータを送信することが出来、ユーザーの操作性、利便性の向上を図ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図2を参照しながら、図1を説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るファクシミリ装置1001を示した概略図である。このファクシミリ装置1001は、電話線接続部2012につながれた電話線2013を、一般に普及している電話回線のモジュラージャック(図不指示)に接続することにより、電話回線を通じて用紙にかかれた原稿1011や、デジタル化され、保存されたデータを所望の相手機器に送信、また相手機器から送られてきたデータの受信をする機能を備えている。
【0020】
図1において、本実施形態にかかるファクシミリ装置の外形をなす上方カバー1002は、同時にユーザーからの入力および、ユーザーに対する表示などを行うためのパネル機能も備えることになる。このパネル機能を備える上方カバーの上には、一般的にユーザーが操作可能な入力部が搭載されている。一般的な例として、電話番号や、その他の情報を入力するために使用されるプッシュボタン1003、さまざまな情報を表示する表示部1005、機能を選択するために使用するメニューボタン1013および選択ボタン1008、機能を決定するために使用する決定ボタン1007、機能選択や動作を中止するために使用する中止ボタン1006、データを送信するために使用する送信ボタン1004等が存在する。ただしこれらの種類は一般的な例を示しており、パネルに搭載される表示部や入力部の形態はこれに限ったものではない。
【0021】
一般的に用紙にかかれた原稿1011を所望の相手に送信する場合、ユーザーが原稿1011を給紙口(図不指示)に挿入し、プッシュボタン1003を使用して相手先の電話番号を入力、その番号が間違いないか表示部1005にて確認した上で、送信ボタン1004を押す。これによりファクシミリ装置1001は、内部に保持するスキャナ部2007によって読み取り送信する。読み取られた原稿1011は排紙口1012から排出される。
【0022】
また本発明においてはメモリカードからデジタルデータを入力するための装置が備えられており、図1においてはメモリカード挿入部1009および、メモリカード取り出しボタン1010を図示している。
【0023】
一般的にメモリカード2015などに記録されているデータを送信する場合、ユーザーがメモリカード2015をメモリカード挿入部1009に挿入し、所望のデータを表示部1005および選択ボタン1008などを使用して選択する。決定ボタン1007により所望のデータを決定した後、プッシュボタン1003を使用して相手先の電話番号を入力、その番号が間違いないか表示部1005にて確認した上で、送信ボタン1004を押す。これによりファクシミリ装置1001は送信をおこなう。
【0024】
図2において、本発明の実施形態に係るファクシミリ装置1001の制御に関する主要部の構成を説明する。尚、この図2において、前述の図面と共通する部分は同じ記号を付与して、それらの説明を省略する
図2において、2001は制御部(制御基板)を示している。2003は、ASIC(専用カスタムLSI)を示し、その構成図は図3のブロック図を参照して詳しく後述する。2002は中央演算装置(CPU)であり、後述する各種制御及び演算等を担当している。2004はメモリで、CPU2002の制御プログラムを記憶するプログラムメモリ2004a、及び実行時のプログラムを記憶するRAMエリア、データなどを記憶するワークメモリとして機能するメモリエリアを有している。2008は印刷部でありデータを用紙に印刷する際に使用されるが、本発明においては説明を省略する。また、2007はスキャナ部であり、用紙に書かれた原稿1011からデータを読み取るために使用されるが、これも、本発明においては説明を省略する。2005は前述したメモリカードであり、デジタルデータが保存されている。メモリカード2005は前述のメモリカード挿入部1009に挿入して使用される。2006は操作パネルであり、図1においては前述の上方カバー1002が操作パネル2006を兼ねている。2009は電源コネクタで、電源コード2011を家庭用コンセント(図不指示)に差し込むことで、電源2010により商用ACから変換された直流電圧を入力している。2012は電話線接続部であり、電話回線(図指示)のモジュラージャック(図不指示)と、電話線2013で接続することで、通信することが可能になる。
【0025】
図3は、ASIC2003の構成を示すブロック図で、この図3においても、前述の図面と共通する部分は同じ記号を付与して、それらの説明を省略する。
【0026】
3001は内部バス(ASICバス)であり内部の各モジュールを接続している。3002はCPUインターフェース部で、CUP2002との間でのデータのやり取りの制御を行っている。3003はメモリカードインターフェース部で、装着されたメモリカード2005に記憶されている画像データを読み取ったり、或いはメモリカード2005へのデータの書き込み等を行ったりする。3004は操作パネルインターフェース部で、操作パネル2006に存在する各種ボタンからの各種操作信号を入力したり、表示部1005への表示データの出力したりする。3005はスキャナ関連モジュールであり、スキャナ部2007を動作させるための各モジュールが存在する。3006は印刷関連モジュールであり、印刷部2008を動作させるための各モジュールが存在する。
【0027】
図4は、メモリカード2005に保存されるデータの概念図で、この図4においても、前述の図面と共通する部分は同じ記号を付与して、それらの説明を省略する。
【0028】
メモリカード2005に保存されるデータは、基本的にファイルシステムと呼ばれるデータ管理システムが認識可能なように記述されている。データ構造の基点はルートディレクトリ4001と呼ばれるデータ格納領域である。ルートディレクトリの中にはディレクトリ4002と呼ばれるデータ格納領域とファイル4009と呼ばれるデータが格納されており、これらの識別方法はファイル名もしくはディレクトリ名4004で行われている。
【0029】
本発明を説明するために図4においては複数のディレクトリ及び複数のファイルに対して任意の記号を付加しているが、4002,4003,4005,4007はディレクトリ、4010,4011,4012,4013は本発明により送信される送信ファイル、4009,4014は送信されない未送信ファイルファイル、4004,4006,4008は送信ディレクトリ名である。
【0030】
図5は、メモリカード2005に保存された送信ファイル4010,4011,4012,4013を送信するためのフローチャートである。詳細は実施例にて説明を行う。
【0031】
図6及び図7は、メモリカード2005に保存された送信ファイル4010,4011,4012,4013の中で、特定のファイルのみを送信するためのフローチャートである。詳細は実施例にて説明を行う。
【0032】
図8は、メモリカード2005に保存された送信ファイル4010,4011,4012,4013の中で、ユーザーが指定した相手先にのみファイルを送信するためのフローチャートである。詳細は実施例にて説明を行う。
【実施例1】
【0033】
本発明の請求項1に記載のシステムについて、具体的な動作手順を含めて実施例として説明を行う。本発明に記載のファクシミリ装置1001は電源コード2011を家庭用コンセントに挿入することで、起動を行う。通信装置1001は一連の初期動作を行った後、ユーザーからの入力待ち状態に遷移する。本発明は、ユーザーによってメモリカード挿入部1009にメモリカード2005が挿入された時点で開始される(S5001)。まず本発明におけるシステムは、データ読み出し部においてメモリカード2005からデータを読み出し、データ解析部においてルートディレクトリ4001を基点にメモリカード2005内のファイル構成の確認を行う。次に、各ディレクトリの検索を開始する(S5002)。本発明におけるシステムは、ディレクトリ選択手段によって、ルートディレクトリ4001を基に、複数のディレクトリの中から電話番号ディレクトリがあるかどうかの判定を開始する。電話番号をディレクトリ名4004にもつディレクトリ4003が見つかった場合(S5003)、電話番号解析手段によって、ディレクトリ名4004から電話番号を数値として取得する。次にそのディレクトリ4003の直下にあるファイル4010の検索を行う(S5004)。もしディレクトリ4003の直下にファイル4010がなかった場合、次のディレクトリ4005の検索を開始する(S5006)。ディレクトリ4003の直下にファイル4010があった場合、ファイル解析手段によって、このファイル4010がファクシミリ機器として解析可能なものかどうかの判定を行う(S5007)。もし解析不可能なファイルの場合、同じディレクトリ内に次のファイルがあるか、再び検索を開始する(S5008)。解析可能なファイルであった場合、前記電話番号解析手段によって取り出した、前記電話番号に対し、送信手段によって通信を開始し、ファイル4010の送信を行う(S5009)。同じディレクトリ内に複数のファイルがあった場合、1ファイルの送信が完了した後、次のファイルを送信し、同じディレクトリ4003内のすべてのファイルを送信するまで、S5005,S5007,S5009,S5008を繰り返す。ディレクトリ4003内のファイルについて、解析(S5007)、送信(S5009)がすべて終了した後に、次のディレクトリの検索を行う(S5006)。S5003からのすべての処理を繰り返し、メモリカード2005内の解析をすべて終了した後、本発明の動作は終了する(S5010)。
【実施例2】
【0034】
本発明の請求項2に記載のシステムについて、他の具体的な動作手順を含めて実施例として説明を行う。基本的な動作は実施例1に類似する。本発明に記載のファクシミリ装置1001は電源コード2011を家庭用コンセントに挿入することで、起動を行う。通信装置1001は一連の初期動作を行った後、ユーザーからの入力待ち状態に遷移する。本発明は、ユーザーによってメモリカード挿入部1009にメモリカード2005が挿入された時点で開始される(S5006)。まず本発明におけるシステムは、データ読み出し部においてメモリカード2005からデータを読み出し、データ解析部においてルートディレクトリ4001を基点にメモリカード2005内のファイル構成の確認を行う。次に、各ディレクトリの検索を開始する(S6002)。本発明におけるシステムは、ディレクトリ選択手段によって、ルートディレクトリ4001を基に、検索を開始し、送信のために特別に設けられたキーディレクトリ4002の検索を行う(6003)。電話番号検索は、このキーディレクトリ4002の直下だけで行い、このキーディレクトリ4002が存在しない場合は動作を終了する(S6012)。キーディレクトリ4002が存在した場合、その下にある複数のディレクトリの中から電話番号ディレクトリがあるかどうかの判定を開始する。電話番号をディレクトリ名4004にもつディレクトリ4003が見つかった場合(S6005)、電話番号解析手段によって、ディレクトリ名4004から電話番号を数値として取得する。次にそのディレクトリ4003の直下にあるファイル4010の検索を行う(S6006)。もしディレクトリ4003の直下にファイル4010がなかった場合、次のディレクトリ4005の検索を開始する(S6008)。ディレクトリ4003の直下にファイル4010があった場合、ファイル解析手段によって、このファイル4010がファクシミリ機器として解析可能なものかどうかの判定を行う(S6009)。もし解析不可能なファイルの場合、同じディレクトリ内に次のファイルがあるか、再び検索を開始する(S6010)。解析可能なファイルであった場合、前記電話番号解析手段によって取り出した、前記電話番号に対し、送信手段によって通信を開始し、ファイル4010の送信を行う(S6011)。同じディレクトリ内に複数のファイルがあった場合、1ファイルの送信が完了した後、次のファイルを送信し、同じディレクトリ4003内のすべてのファイルを送信するまで、S6007,S6009,S6010,S6011を繰り返す。ディレクトリ4003内のファイルについて、解析(S6009)、送信(S6011)がすべて終了した後に、次のディレクトリの検索を行う(S6008)。S6005からのすべての処理を繰り返し、キーディレクトリ4002内の解析をすべて終了した後、本発明の動作は終了する(S6012)。この実施例の場合、実施例1に比べて検索の範囲を狭めることで、ファイル検索に係る時間を節約できる上に、メモリカード2005のメモリ領域を、本システムの通信機器以外の用途にも有効利用可能である。
【実施例3】
【0035】
本発明の請求項4に記載のシステムについて、具体的な動作手順を含めて実施例として説明を行う。本発明に記載のファクシミリ装置1001は電源コード2011を家庭用コンセントに挿入することで、起動を行う。通信装置1001は一連の初期動作を行った後、ユーザーからの入力待ち状態に遷移する。本発明は、ユーザーによってメモリカード挿入部1009にメモリカード2005が挿入された時点で開始される(S7001)。まず本発明におけるシステムは、データ読み出し部においてメモリカード2005からデータを読み出し、データ解析部においてルートディレクトリ4001を基点にメモリカード2005内のファイル構成の確認を行う。次に、各ディレクトリの検索を開始する(S7002)。本発明におけるシステムは、ディレクトリ選択手段によって、ルートディレクトリ4001を基に、複数のディレクトリの中から電話番号ディレクトリがあるかどうかの判定を開始する。電話番号をディレクトリ名4004にもつディレクトリ4003が見つかった場合(S7003)、電話番号解析手段によって、ディレクトリ名4004から電話番号を数値として取得する。次にシステム上に存在する電話番号記憶領域に登録されている電話番号から、電話番号選択手段により1件の電話番号を取り出し、電話番号比較手段によって、電話番号解析手段によって取り出された電話番号との比較を行う(S7004)。電話番号記憶領域の登録されているすべての電話番号を検索し、もし電話番号が一致しなかった場合は次のディレクトリ検索に移る(S7004)。電話番号が一致した場合(S7005)、そのディレクトリ4003の直下にあるファイル4010の検索を行う(S7007)。もしディレクトリ4003の直下にファイル4010がなかった場合、次のディレクトリ4005の検索を開始する(S7006)。ディレクトリ4003の直下にファイル4010があった場合、ファイル解析手段によって、このファイル4010がファクシミリ機器として解析可能なものかどうかの判定を行う(S7009)。もし解析不可能なファイルの場合、同じディレクトリ内に次のファイルがあるか、再び検索を開始する(S7011)。解析可能なファイルであった場合、前記電話番号解析手段によって取り出した、前記電話番号に対し、送信手段によって通信を開始し、ファイル4010の送信を行う(S7010)。同じディレクトリ内に複数のファイルがあった場合、1ファイルの送信が完了した後、次のファイルを送信し、同じディレクトリ4003内のすべてのファイルを送信するまで、S7008,S7009,S7010,S7011を繰り返す。ディレクトリ4003内のファイルについて、解析(S7009)、送信(S7010)がすべて終了した後に、次のディレクトリの検索を行う(S7006)。S7003からのすべての処理を繰り返し、メモリカード2005内の解析をすべて終了した後、本発明の動作は終了する(S7012)。この実施例の場合、登録されている相手先にのみ、デジタルファイルを送ることが出来かつ、複数の相手に一度に送信することが可能な上、知らない相手先に誤ってファイルを送信すると言う危険を回避することが出来る。
【実施例4】
【0036】
本発明の請求項1に記載のシステムについて、具体的な動作手順を含めて実施例として説明を行う。本発明に記載のファクシミリ装置1001は電源コード2011を家庭用コンセントに挿入することで、起動を行う。通信装置1001は一連の初期動作を行った後、ユーザーからの入力待ち状態に遷移する。本発明は、ユーザーによってメモリカード挿入部1009にメモリカード2005が挿入された時点で開始される(S8001)。まず本発明におけるシステムは、データ読み出し部においてメモリカード2005からデータを読み出し、データ解析部においてルートディレクトリ4001を基点にメモリカード2005内のファイル構成の確認を行う。次に、各ディレクトリの検索を開始する(S8002)。本発明におけるシステムは、ディレクトリ選択手段によって、ルートディレクトリ4001を基に、複数のディレクトリの中から電話番号ディレクトリがあるかどうかの判定を開始する。電話番号をディレクトリ名4004にもつディレクトリ4003が見つかった場合(S8003)、電話番号解析手段によって、ディレクトリ名4004から電話番号を数値として取得する。電話番号解析手段に取り出された電話番号を、電話番号表示手段により表示部1005に表示する(S8004)。電話番号にデータを送信してよいか確認する確認手段は、これによりユーザーに対して表示されている相手にファイルを送ってよいかどうかの判断を促す。中止ボタン1006が押された場合、次のディレクトリ検索に移行する(S8009)。送信ボタン1004が押された場合(S8006)、そのディレクトリ4003の直下にあるファイル4010の検索を行う(S8007)。もしディレクトリ4003の直下にファイル4010がなかった場合、次のディレクトリ4005の検索を開始する(S8009)。ディレクトリ4003の直下にファイル4010があった場合、ファイル解析手段によって、このファイル4010がファクシミリ機器として解析可能なものかどうかの判定を行う(S8010)。もし解析不可能なファイルの場合、同じディレクトリ内に次のファイルがあるか、再び検索を開始する(S8012)。解析可能なファイルであった場合、前記電話番号解析手段によって取り出した、前記電話番号に対し、送信手段によって通信を開始し、ファイル4010の送信を行う(S8011)。同じディレクトリ内に複数のファイルがあった場合、1ファイルの送信が完了した後、次のファイルを送信し、同じディレクトリ4003内のすべてのファイルを送信するまで、S8008,S8010,S8011,S8012を繰り返す。ディレクトリ4003内のファイルについて、解析(S8010)、送信(S8011)がすべて終了した後に、次のディレクトリの検索を行う(S8009)。S8003からのすべての処理を繰り返し、メモリカード2005内の解析をすべて終了した後、本発明の動作は終了する(S8013)。この実施例の場合、複数ある送信先の中で、現在所望の相手先を選択することが可能になり、メモリカードに複数の相手先データを保存した場合においても、必要な相手にのみ容易にデジタルファイルのみを送信することが出来る。
【0037】
(その他の実施例)
実施例1から実施例4に記載の例にとどまらず、送信を希望するディレクトリの指定方法は他にも挙げられる。例えばメモリカード2005をメモリカード挿入部1009に挿入するより前に、電話番号記憶領域から所望の電話番号を選択しておき、メモリカード2005をメモリカード挿入部1009に挿入した時点でこの電話番号と同じ番号のディレクトリのみの送信を行うような方法をとっても良い。また、ディレクトリ確認やファイル確認の順序は実施例に限ったものではなく、例えば実施例5などでユーザーに対し電話番号を確認させる場合、ディレクトリ以下に送信可能なファイルがあるかどうかを検索した後、あった場合のみ送信確認を促す方法なども考えられる。
【0038】
なお本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インターフェース機器、スキャナ、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0039】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0040】
以上説明したように本実施の形態によれば、今までにない新しい通信方法を提案することで、ユーザーにとって、簡単でわかりやすいデータ通信法を提供することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、デジタルデータを、電話回線を通じて送信するファクシミリ装置などの通信装置及びその制御方法に関するものであり、本発明の請求項1に係る通信装置、請求項6に係る制御方法によれば、煩雑な電話番号入力の操作を行うことなく、電話回線を通じてデジタルデータを容易に送信することが出来かつ、一度に複数の相手先に対して、さまざまなデータを送ることが出来る。
【0042】
本発明の請求項2に係る通信装置、請求項7に係る制御方法によれば、認識不可能な形式のファイルを不要に送ることが防げるため、送信対象のディレクトリに誤って違うデータが混在した場合にも、無駄に通信を行うことなく、容易に解析可能なデジタルファイルのみを送信することが出来る。
【0043】
本発明の請求項3に係る通信装置、請求項8に係る制御方法によれば、電話番号の入力が誤っていた場合、相手先に不要にデジタルファイルを送信することなく、ユーザーが選択しているの相手先にのみファイル送信することが可能になり、容易にデジタルファイルのみを送信することが出来るだけでなく、知らない相手先に誤ってファイルを送信すると言う危険を回避することが出来る。
【0044】
本発明の請求項4に係る通信装置、請求項9に係る制御方法によれば、登録されている相手先にのみ、デジタルファイルを送ることが出来かつ、複数の相手に一度に送信することが可能な上、知らない相手先に誤ってファイルを送信すると言う危険を回避することが出来る。
【0045】
本発明の請求項5に係る通信装置、請求項10に係る制御方法によれば、複数ある送信先の中で、現在所望の相手先を選択することが可能になり、メモリカードに複数の相手先データを保存した場合においても、必要な相手にのみ容易にデジタルファイルのみを送信することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施の形態に係るファクシミリ装置を示した概略図である。
【図2】本実施の形態に係るファクシミリ装置の制御に係る主要部の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態に係るファクシミリ装置のASICの構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態に係るファクシミリ装置に挿入されるメモリカードなどの記憶媒体に記録されている保存データの概念図である。
【図5】本実施の形態に係るファクシミリ装置の動作フローの実施例である。
【図6】本実施の形態に係るファクシミリ装置の動作フローの実施例である。
【図7】本実施の形態に係るファクシミリ装置の動作フローの実施例である。
【図8】本実施の形態に係るファクシミリ装置の動作フローの実施例である。
【符号の説明】
【0047】
1001 本発明に記載のファクシミリ装置
1002 ファクシミリ装置の外形をなす上方カバー
1003 プッシュボタン
1004 送信ボタン
1005 表示部
1006 中止ボタン
1007 決定ボタン
1008 選択ボタン
1009 メモリカード挿入部
1010 メモリカード取り出しボタン
1011 用紙に書かれた原稿
1012 排紙口
1013 メニューボタン
2001 制御部(制御基板)
2002 中央演算装置(CPU)
2003 ASIC(専用カスタムLSI)
2004 メモリ
2004a プログラムメモリ
2005 メモリカード
2006 操作パネル
2007 スキャナ部
2008 印刷部
2009 電源コネクタ
2010 電源
2011 電源コード
2012 電話線接続部
2013 電話線
3001 内部バス(ASICバス)
3002 CPUインターフェース部
3003 メモリカードインターフェース部
3004 操作パネルインターフェース部
3005 スキャナ関連モジュール
3006 印刷関連モジュール
4001 ルートディレクトリ
4002 ディレクトリ
4003 ディレクトリ
4004 ディレクトリ名
4005 ディレクトリ
4006 ディレクトリ名
4007 ディレクトリ
4008 ディレクトリ名
4009 ファイル
4010 ファイル
4011 ファイル
4012 ファイル
4013 ファイル
4014 ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを送受信可能な通信装置であって、
データを格納する記憶媒体を装着する装着部と、
前記装着部に装着された前記記憶媒体の中のデータを読み出すデータ読み出し部と、
前記データ読み出し部によって読み出されたデータを解析するデータ解析手段と、
データ構造によるファイルのディレクトリ形式と前記ディレクトリに保存されるデータファイルを認識するファイルシステム手段と、
前記記憶媒体に格納されている複数の前記ディレクトリの中から1つのディレクトリを選択するディレクトリ選択手段と、
前記ディレクトリにつけられた名前から文字列を認識して電話番号を取り出すことが可能な電話番号解析手段と、
前記電話番号解析手段により解析された電話番号で特定される送信先に送信する手段を備えたことを特徴とする、通信装置。
【請求項2】
データを送受信可能な通信装置であって、
前記ディレクトリの中に存在するファイルがファクシミリ送信可能なものかどうかを判断する、ファイル解析手段を備え、
送信可能なファイルのみに限って送信先に送信する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
データを送受信可能な通信装置であって、
送信先の電話番号を複数記憶する電話番号記憶領域と、
前記電話番号記憶領域から所望の電話番号を選択する電話番号選択手段と、
前記電話番号選択手段で選択された電話番号と、ディレクトリ名から電話番号を解析する前記電話番号解析手段によって解析された電話番号を比較する電話番号比較手段を備え、
前記比較手段によって同じ番号だと判断されたときのみに限って送信先に送信する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
データを送受信可能な通信装置であって、
前記電話番号記憶領域から1つの番号を取り出す電話番号取り出し手段をそなえ、
前記電話番号記憶領域に記憶されているすべての電話番号に対し、前記電話番号解析手段によって解析された電話番号を比較し、1つでも同じ電話番号があると判断された場合にのみ限って送信先に送信する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
データを送受信可能な通信装置であって、
前記電話番号解析手段によって取り出された電話番号を表示する電話番号表示手段と、ユーザーに対して前記表示手段によって表示された電話番号にデータを送信してよいか確認する確認手段とを備える、請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
データを送受信可能な通信方法であって、
データを格納する記憶媒体を装着する装着工程と、
前記装着部に装着された前記記憶媒体の中のデータを読み出すデータ読み出し工程と、
前記データ読み出し部によって読み出されたデータを解析するデータ解析工程と、
データ構造によるファイルのディレクトリ形式と前記ディレクトリに保存されるデータファイルを認識するファイルシステム工程と、
前記記憶媒体に格納されている複数の前記ディレクトリの中から1つのディレクトリを選択するディレクトリ選択工程と、
前記ディレクトリにつけられた名前から文字列を認識して電話番号を取り出すことが可能な電話番号解析工程と、
前記電話番号解析工程により解析された電話番号で特定される送信先に送信する工程を備えたことを特徴とする、通信装置の制御方法。
【請求項7】
データを送受信可能な通信方法であって、
前記ディレクトリの中に存在するファイルがファクシミリ送信可能なものかどうかを判断する、ファイル解析工程を備え、
送信可能なファイルのみに限って送信先に送信する、請求項6に記載の通信装置の制御方法。
【請求項8】
データを送受信可能な通信方法であって、
送信先の電話番号を複数記憶する電話番号記憶工程と、
前記電話番号記憶工程から所望の電話番号を選択する電話番号選択工程と、
前記電話番号選択工程で選択された電話番号と、ディレクトリ名から電話番号を解析する前記電話番号解析工程によって解析された電話番号を比較する電話番号比較工程を備え、
前記比較工程によって同じ番号だと判断されたときのみに限って送信先に送信する、請求項6に記載の通信装置の制御方法。
【請求項9】
データを送受信可能な通信方法であって、
前記電話番号記憶工程から1つの番号を取り出す電話番号取り出し工程をそなえ、
前記電話番号記憶工程に記憶されているすべての電話番号に対し、前記電話番号解析工程によって解析された電話番号を比較し、1つでも同じ電話番号があると判断された場合にのみ限って送信先に送信する、請求項6に記載の通信装置の制御方法。
【請求項10】
データを送受信可能な通信装置であって、
前記電話番号解析工程によって取り出された電話番号を表示する電話番号表示工程と、ユーザーに対して前記表示工程によって表示された電話番号にデータを送信してよいか確認する確認工程とを備える、請求項6に記載の通信装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−121573(P2006−121573A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309500(P2004−309500)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】