説明

通信装置及びパス確立方法

【課題】データが伝送できないように電源をオフにしている区間を含むパスの設定要求を受信した場合における、該設定要求を受信してからパス開通までの間のサービス断を低減し得る技術を提供する。
【解決手段】データ伝送用のパスを確立する通信装置は、パスの設定要求を受信し、データ伝送ができないように電源をオフにしている区間を前記パスが含む場合に、記憶された前記区間に対応する迂回経路情報を用いて、前記区間を迂回する迂回パスを設定する設定回路と、前記区間に対する電源をオンにする電源駆動回路とを含み、前記設定回路は、前記電源のオンによって前記区間を用いたデータ伝送が可能になった場合に、前記迂回パスを、前記区間を含むパスに切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置及びパス確立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークの規模拡大により、ネットワーク上のデータ量及びネットワーク機器数が増加している。これに伴い、ネットワーク機器の消費電力が年々増加している。このネットワーク機器の消費電力を削減するための技術、すなわち、ネットワーク機器の省電力化を図る技術としては、様々な技術が知られている。例えば、サーバは制御下のクライアントに次の処理開始時刻を問合わせ、これを受けたクライアントは次の処理開始時刻を通知し、ウェイクアップ機能を残して電源切断し、サーバは、電源切断中のクライアントへの送信データを蓄積して、次の処理開始時刻になると、蓄積したデータをクライアントへ送信する技術がある(例えば、特許文献1)。また、ホーム・ゲートウェイ装置において、通電ユニット毎の電力制御を可能にして低消費電力を実現する技術がある(例えば、特許文献2)。また、ネットワークの通信量が減少したとき、ネットワークに要求される能力を維持しつつ、必要としないリソースの電源をオフとする技術がある(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−157053号公報
【特許文献2】特開2002−319956号公報
【特許文献3】特開2010−34792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ネットワーク機器の省電力化を図る技術を採用するネットワークでは、例えば、通信データが流れていない経路やリンクに係るノードが備える通信装置(「ノード装置」又は「ノード」と呼ばれる)上の機器の電源をOFFにすることで、省電力化を図ることが考えられる。以下、対応するポートへの電力供給がOFFにされることにより、データ送受信機能が停止したリンクを、「電源OFFリンク」とよぶ。なお、経路に含まれるすべてのリンクの機能が停止した経路を、「電源OFF経路」とよぶ。また、電源OFFリンクと電源OFF経路を総称し、「電源OFF区間」とよぶこととする。電源OFF区間は、対応するポートへの電力供給がOFFにされているため、通信データを伝送できない状態である。
【0005】
一方、近年のネットワークの規模拡大に伴い、パス開通までの負荷軽減が可能となる、Generalized Multi-Protocol Label Switching(GMPLS)技術の導入が考えられている。GMPLS及びGMPLSのベースとなったMulti-Protocol Label Switching(MPLS)では、複数のノード間を結ぶLabel Switched Path(LSP)と呼ばれる通信経路
(パス)が予め確立される。この予め確立されたLSPを用いたラベルスイッチングにより、データ(パケット)がイニシエータに相当する始点ノードからターミネータに相当する終点ノードまで転送される。また、GMPLSやMPLSでは、パスを確立する際に、パス確立のためのシグナリングプロトコルである、Resource Reservation Protocol - Traffic Engineering(RSVP−TE)が使用される。RSVP−TEでは、パス確立を
要求する始点ノードが、終点ノードまで、パス設定要求(Path Messageと呼ばれる)をホップバイホップ(Hop-By-Hop)で送信することによりパス設定を行う。
【0006】
このGMPLS網やMPLS網では、新たなパスについてのパス開通要求の発生を契機にパスが確立される。また、予め確立したパスにおいて障害が発生したことを契機として、迂回経路のパスが確立されることもある。パスを設定すべきルート上に上述した電源OFF区間が存在すると、電源OFF区間に係る電力供給を再開して、電源OFF区間においてデータ転送が正常に行われる状態にすることが要求される。
【0007】
しかしながら、通常、電源がOFFされたポートが給電された後、電源OFF区間に通信データを正常に送信することができるようになるまでには、ハードウェアのウォームアップ時間やField-Programmable Gate Array(FPGA)へのコンフィグレーション時間
等が経過することを要する。このように、電源OFF区間の復旧には所定の時間を要するため、電源OFF区間を含むパス設定要求時において、パス設定要求からパスが開通するまでに遅延が発生してしまうおそれがある。特に、障害を契機に電源OFF区間を含む迂回パスを確立する場合には、サービス断が生じてしまうおそれがあった。
【0008】
そこで、開示の技術は、パスの設定要求を受信し、データ伝送ができないように電源をオフにしている区間を該パスが含む場合において、該設定要求を受信してからパス開通までの間のサービス断を低減し得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示の技術の一側面によれば、データ伝送用のパスを確立する通信装置であって、パスの設定要求を受信し、データ伝送ができないように電源をオフにしている区間を前記パスが含む場合に、記憶された前記区間に対応する迂回経路情報を用いて、前記区間を迂回する迂回パスを設定する設定回路と、前記区間に対する電源をオンにする電源駆動回路とを含み、前記設定回路は、前記電源のオンによって前記区間を用いたデータ伝送が可能になった場合に、前記迂回パスを、前記区間を含むパスに切り替える通信装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術によれば、パスの設定要求を受信し、データ伝送ができないように電源をオフにしている区間を該パスが含む場合において、該設定要求を受信してからパス開通までの間のサービス断を低減し得る技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施形態1に係るネットワークシステムの構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、実施形態1に係るノードのハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3A】図3Aは、実施形態1に係るノードの詳細なハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3B】図3Bは、実施形態1に係るノードの詳細なハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】図4は、実施形態1に係るLSDBに格納されるネットワークトポロジのデータ構造例を示す図である。
【図5】図5は、実施形態1に係るノードの機能ブロック図の一例を示す図である。
【図6】図6は、実施形態1に係る迂回経路生成及び経路の機能停止フローの一例を示す図である。
【図7】図7は、動作例1−1に係るネットワークの一部を例示する図である。
【図8】図8は、図7に示したネットワークにおけるパスの設定状態例を示す図である。
【図9】図9は、図8に示したネットワークの未使用リンク(リンクB−D)に係るパス設定パターンを示す図である。
【図10】図10は、ノードBの迂回経路情報DBに格納される迂回経路情報のデータ構造例を示す図である。
【図11】図11は、実施形態1に係る電源OFFリンク起動フローの一例を示す図である。
【図12】図12は、動作例1−2の説明図である。
【図13】図13は、動作例1−2の説明図である。
【図14】図14は、実施形態1に係る要求経路情報DBに格納される要求経路情報のデータ構造例を示す図である。
【図15】図15は、実施形態1に係るIFカード・ポートの電源電圧と時間の関係の一例を示す図である。
【図16】図16は、パス切替え及び迂回経路削除の説明図である。
【図17】図17は、パス切替え及び迂回経路削除の説明図である。
【図18】図18は、実施形態1に係る経路障害発生時フローの一例を示す図である。
【図19】図19は、経路障害の一例を示す図である。
【図20】図20は、MPLSにおけるパケット中継方法の一例を示す図である。
【図21】図21は、パス確立シグナリングプロトコル(RSVP−TE)の動作例を示す図である。
【図22】図22は、Inband通信及びOutband通信の例を示す図である。
【図23】図23は、OSPFにおける最短経路の算出例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、一実施形態に係るネットワークシステム及びノード装置について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明に係るネットワークシステム及びノード装置は実施形態の構成には限定されない。
【0013】
<実施形態1>
実施形態1に係るネットワークシステム及びノードには、Multi-Protocol Label Switching(MPLS)又はGeneralized Multi-Protocol Label Switching(GMPLS)が適用されることとする。本実施形態1に係るネットワーク及びノードについて説明する前に、MPLS/GMPLS、及び、MPLS/GMPLSで用いられるネットワーク・プロトコルについて簡単に説明する。
【0014】
[MPLS]
MPLSは、複数のノード間を結ぶLabel Switched Path(LSP)と呼ばれる通信経
路(パス)が予め確立される。パス上を伝送されるデータには、固定長のラベルが付与される。ノードは、ラベルに記載されたラベル情報に従ってデータ伝送を行う。これによって、通信の高速化等を図る。ラベル情報は、フレームやパケットの先頭に添付された固定長ラベル(以下、「ラベル」という)により表される情報である。
【0015】
図20は、MPLSにおけるパケット中継方法の一例を示す図である。MPLSでは、複数のLabel Switched Router(LSR)と呼ばれる通信機器(例えば、ルータやL3ス
イッチ)が所定のトポロジで接続された、MPLS網が形成される。MPLS網を用いて通信を行う端末(ホスト)は、アクセス網を介してMPLS網に接続される。アクセス網とMPLS網との境界に配置されるLSRは、特にLabel Edge Router(LER)と呼ば
れる。図20は、複数のLSR(LSR1〜LSR4)が直列に接続されたMPLS網を示しており、データ(パケット)がLSR1からLSR2、LSR3を介してLSR4へ転送される。図20において、データを中継するLSR2,LSR3は、データ中継の際に使用するラベルテーブルLT1,LT2を不図示のメモリに記憶する。ラベルテーブルは、入力ラベル及び入力Interface(IF)と、出力ラベル及び出力IFとの関係を示す

【0016】
また、図20に示すように、矩形で示されるパケットのうち、斜線部分が、転送される実データであり、その先頭にラベルa、b、又はcを含んだヘッダが付与される。
【0017】
各LSRは、パケット中継時に、受信したパケットに含まれるアドレスではなく、当該パケットに添付されているラベルに従って、中継先を決定する。具体的には、LSRは、処理対象のパケットが入力された際の入力IF及び入力ラベルに対応する出力IF及び出力ラベルを、ラベルテーブルを参照することにより決定する。そして、LSRは、パケットに添付されているラベルを、決定された出力ラベルに書き換え、このパケットを、決定された出力IFから中継する。
【0018】
このような処理が繰り返されることにより、送信元から宛先までパケットが送信される。なお、MPLS網の入口のLSRは、MPLS網に入力されたパケットに対し最初にラベルを添付する。
【0019】
次に、図20を用いてLSR1からLSR4へのパケット中継について具体的に説明する。まず、LSR1は、パケットにラベルaを添付し、LSR2へ送信する。LSR2は、ラベルaを持つパケットを所定の入力インタフェース(IF#1)から受信すると、ラベルテーブルLT1を検索し、所定の出力IF(IF#2)及び出力ラベルbを獲得する。そして、LSR2は、受信されたパケットのラベルをaからbに書き換え、このパケットをIF#2に出力する。これと同様の処理がLSR3においても実施され、パケットが終点ノードであるLSR4まで転送される。MPLSでは、このように固定長のラベルに従い転送が実現されるため、パケット中継の高速化を図ることができる。
【0020】
さらに、MPLSでは、LSRにおいて帯域制御と各ラベルとがさらに関連付けて記憶されることにより、各パケットフローに対する帯域保証を行うことが可能である。
【0021】
[GMPLS]
GMPLSでは、ラベル情報として、固定長ラベルのみならず、時分割伝送のタイムスロットや、光多重伝送における光波長なども使用される。例えば光波長がラベル情報として使用される場合は、光信号を電気信号へ変換する必要がない。このため、GMPLSではより高速な転送処理を実現することが可能となる。
【0022】
時分割伝送では、各LSRは、入力タイムスロット及び入力IFと、出力タイムスロット及び出力IFとの関係を示すラベルテーブルを記憶する。そして、各LSRは、入力IFと入力タイムスロットに従って、出力IFと出力タイムスロットを決定し、決定された条件でパケットを出力する。この処理の繰り返しにより、パケットが送信元から宛先まで転送される。
【0023】
光多重伝送では、各ノードが入力光波長及び入力IFと、出力光波長及び出力IFとの関係を示すラベルテーブルを記憶する。そして、各LSRは、入力IFと入力光波長とに従って、出力IFと出力光波長を決定し、入力光波長を出力光波長に変換し、出力IFに出力する。この処理の繰り返しにより、送信元から宛先までデータが送信される。
【0024】
[RSVP−TE]
上述の通り、MPLSやGMPLSでは、各LSR(ノード)においてラベルテーブルを構築しパスを確立することが要求される。ラベルテーブルを構築しパスを確立する際には、パス確立のためのシグナリングプロトコルが用いられる。MPLS/GMPLSでは、パス確立のためのシグナリングプロトコルとして、Resource Reservation Protocol -
Traffic Engineering(RSVP−TE)が使用される。
【0025】
図21は、パス確立シグナリングプロトコル(RSVP−TE)の動作例を示す図である。パス確立を要求する始点ノード(LSR1)は、パスの終点ノード(LSR4)まで、パス確立要求メッセージ(Path Messageと呼ばれる)をホップバイホップ(Hop-By-Hop)で送信する。パス設定要求(Path Message)には、パス設定されるパスの始点から終点までの経路情報を含めることができる。例えば、Path Messageには、パス設定されるパスが経由するノード情報、例えば、LSR2→LSR3→LSR4の情報が含まれる(LSR1の情報は図示を省略)。図21の例では、明示的に経路を指定するため、Path Message中に、経由するLSRの情報が挿入される。Path Messageを受信した終点ノードは、ラベルの割り当てを行うためのパス確立応答メッセージ(Reserve Message)を始点ノード
へ送信する。このとき、終点ノードは、Path Messageが経由してきたのと同じ経路で、Reserve Messageを始点ノードへ返信する。このとき、Reserve Messageに格納されているラベルが、各LSRにおいてラベルテーブルに登録されることにより、各LSRにおけるラベルテーブルが構築される。Path Message及びReserve Messageには、パスのIdentification(ID)が格納されており、各ラベルテーブルには、このパスIDもあわせて登録さ
れる。
【0026】
なお、制御メッセージであるPath Message及びReserve Messageは、ネットワーク上を
移動する音声や文書等のデジタルデータであるトラフィックが流れる経路を用いて伝達することが可能であり、これをInBand通信と呼ぶ。これに対し、制御メッセージの伝送が実際のトラフィックからの影響を受けないように、Local Area Network(LAN)回線などの、データトラフィックと異なる別回線を準備し、当該別回線で制御メッセージを伝達する場合もある。これをOutBand通信と呼ぶ。
【0027】
図22は、Inband通信及びOutband通信の例を示す図である。図22において実線で示
された、ノードE1、E2、E3を通る経路(以下、「経路E1−E2−E3」という)は、トラフィックが流れる経路である。そのため、実線で示された経路E1−E2−E3は、InBand通信経路である。また、図22において点線で示された経路は、トラフィックが流れない経路であり、イーサネット(登録商標)に例示されるLAN回線等の別回線である。そのため、点線で示された経路は、OutBand通信経路である。
【0028】
[OSPF]
ネットワークにおける経路情報を管理する方法として、“スタティック・ルーティング”と“ダイナミック・ルーティング”がある。スタティック・ルーティングは、経路情報を各ルータ内に手動で設定する方法である。ダイナミック・ルーティングは、ルーティングプロトコルを用いてルータが経路情報を自動的に学習する方法である。このルーティングプロトコルとしては、Routing Information Protocol(RIP)、Open Shortest Path
First(OSPF)及びBorder Gateway Protocol(BGP)等が例示される。以下では
、このような経路情報を管理する方法としてのルーティングプロトコルの具体例として、OSPFについて説明する。
【0029】
OSPFは、現在のネットワーク構成を知るために、ルータ等の各ノードから情報を集めるリンクステート型ルーティングプロトコルである。OSPFは、始点と終点の情報が与えられることにより、始点から終点までの最短経路をコスト(値)に基づき算出する。コスト(値)とは、OSPFにおける経路の重みであり、帯域幅や信頼性等により自動的に算出されるが、手動で設定することも可能である。具体的には、OSPFは、宛先(終点)までに経由するリンクに設定されたコストの合計を算出し、最小のコストで到達可能な経路、すなわち、コストの合計が最小となる経路を最短経路と判断する。OSPFを利用するネットワークでは、各ノードに接続されたリンクに予めコストが設定される。なお
最短経路の算出にあたり、特定のノードやリンクを通らないという算出条件を付与することが可能である。OSPFが最短経路を算出するアルゴリズムを以下に説明する。
【0030】
OSPFではノード間で、Link-State Advertisement(LSA)と呼ばれる情報を交換する。LSAには、IFのコストやノードに接続されたネットワークの情報等が含まれる。各ノードは、交換されたLSAに基づき、Link State Database(LSDB)を作成す
る。LSDBは、各ノードから集めた情報である、全てのOSPFノード及びネットワークのリンクに関する情報、すなわち、ネットワーク全体の接続状態に関する情報を記憶する。LSDBは、トポロジテーブル、トポロジデータベース及びネットワークトポロジとも呼ばれる。LSDBを参照することにより、どのノードからどのノードまでが幾つのコスト値で接続されているかを知ることができる。なお、OSPFネットワークでは、小さなネットワークを1つのエリアとして設定しており、同一エリア内のノード同士のみがL
SAを交換することで、同一のLSDBを記憶する。各ノードは、当該LSDBを参照し、自身のノードから宛先までのコストが最小となる最短経路を算出する。
【0031】
図23は、OSPFにおける最短経路の算出例を示す図である。F1〜F5は、それぞれノードを示す。図23の例では、ノードF1から宛先ネットワークN2へは、経路F1−F2−F3−F5と、経路F1−F4−F5の2つの経路が存在する。前者の経路のコ
スト値の合計は、Cost=5+5+10=20となり、後者の経路のコスト値の合計は、Cost=15+15=30となる。これより、前者の方が経路のコスト値の合計が小さいため、ノードF1は、前
者の経路を最短経路として算出(選択)する。
【0032】
[システム構成]
図1は、実施形態1に係るネットワークシステムの構成の一例を示す図である。実施形態1に係るネットワークシステム12は、ネットワーク(コア網)10と、コア網の監視制御装置18とを備える。コア網10は、複数のノード1を備えている。コア網10には、アクセス回線乃至アクセス網を介して複数の端末装置(ホスト)が接続される。図1に示す例では、アクセス回線を介してコア網10に接続された端末装置14及び15が図示されている。
【0033】
コア網10を構成するノード1は、コア網10がMPLS網であれば、例えば、Label Switched Router(LSR)と呼ばれるInternet Protocol(IP)レイヤでのスイッチングを行う通信機器(ルータ,L3スイッチ)である。これに対し、GMPLS網では、IP網だけでなく、L2スイッチ網,TDM網,波長スイッチ網,ファイバスイッチ網などでパス制御が実現される。パス制御(ラベルスイッチング)を行う網に応じて、ノードを構成する通信機器が異なる。IP網であれば、ノード1として、ルータ又はL3スイッチが適用される。L2スイッチ網であれば、ノード1としてL2スイッチやスイッチングHUBが適用される。TDM網であれば、ノード1としてTDM交換機(TDMスイッチ,クロスコネクト)が適用される。波長スイッチ網であれば、ノード1として波長スイッチ(光クロスコネクト)が適用される。ファイバスイッチ網であれば、ノード1として光ファイバスイッチが適用される。以下、説明を簡単にするため、コア網10は、IP網であると仮定し、コア網10の各ノード1は、IPスイッチングを行うと仮定する。
【0034】
コア網10では、端末装置間のデータ伝送(例えば、端末装置14を通信の始点とし、端末装置15を通信の終点とするデータ転送)を行うにあたって、Label Switched Path
(LSP)と呼ばれるデータ(パケット)の転送経路が確立される。LSPの確立は、LSPが通過する各ノード1に対し、入力ラベル及び出力ラベルの設定が行われることによって実行される。本実施形態に係るネットワークシステム12では、LSPの確立に対し、RSVP−TEと呼ばれるシグナリングプロトコルと、OSPF(OSPF−TE)と呼ばれるルーティングプロトコルが適用される。但し、シグナリングプロトコル及びルー
ティングプロトコルは、これらに限定されない。
【0035】
LSPの適用にあたり、監視制御装置18は、LSPの始点(イニシエータ(Initiator)と呼ばれる)に相当するノード1(図1では、ノード1a)に対し、LSPの設定指
示を与える。LSPの設定指示は、少なくともLSPの始点(イニシエータ)と、LSPの終点(ターミネータ(Terminator)と呼ばれる)に相当するノード1(図1では、ノード1d)とを指定する情報を含む。設定指示は、ノード1aにて自律的に生成されるようにしても良い。
【0036】
ノード1aは、設定指示を受け取ると、RSVP−TEに従って、ターミネータに相当するノード1d宛てのパス設定要求メッセージ(Path Messageと呼ばれる)を生成する。このとき、ノード1aは、OSPFを用いた最短経路探索の結果を適用する。例えば、ノード1aからノード1dまでの最短経路がノード1a→ノード1b→ノード1c→ノード1dであるならば、パス設定要求メッセージをノード1bへ送信する。なお、ノード1b,ノード1cのような、イニシエータとターミネータとの間に挟まれた中継点に位置するノードは、トランジットノード(Transit node)と呼ばれる。
【0037】
パス設定要求メッセージは、ノード1b,ノード1cを経て宛先であるノード1dへ到達する。ノード1bからノード1cへ至る経路は、ノード1aにおけるOSPFの計算結果を基に、ノード1aが決定してパス設定要求に格納しても良く、ノード1bにてOSPFの計算が行われ、ノード1cがパス設定要求の転送先として決定されても良い。
【0038】
ノード1b,ノード1c,ノード1dのそれぞれは、パス設定要求メッセージの受信を契機に、上流側のノードから到達するデータに付与すべきラベル情報(入側ラベル)を決定し、登録する。パス設定要求メッセージを受信したノード1dは、パス設定要求メッセージの宛先情報より、自ノードがターミネータであると判定すると、パス設定要求メッセージの応答メッセージ(Reserve Messageと呼ばれる)を生成する。ノード1dは、ノー
ド1dの識別子(ID)とノード1dが決定した入側ラベルの情報を応答メッセージに含める。
【0039】
応答メッセージは、パス設定要求メッセージが通過した経路を逆方向に辿り、最終的にイニシエータであるノード1aに到達する。ノード1c,ノード1bでは、下流側のノード(ノード1d,ノード1c)から受信された応答メッセージ中の入側ラベルを、出側ラベルとして決定し登録する。また、ノード1c及びノード1bは、自ノードの識別子(ID)と自身が決定した入側ラベルとを応答メッセージに含める。
【0040】
応答メッセージを受信したノード1aは、ノード1bの入側ラベルをノード1aの出側ラベルとして登録する。このようにして、LSPがコア網10上に確立される。その後、端末装置14から端末装置15宛のパケットを受信したノード1aは、パケットの宛先アドレスを参照し、宛先アドレスに対応するノード1b宛のラベル(出側ラベル)を含むヘッダをパケットに付与し、ノード1bへ転送する。
【0041】
パケットを受信したノード1bは、パケットに付与されたラベルを参照し、対応する出側ラベル(ノード1cから応答メッセージにより通知されたラベル)に付け替えて、ノード1cへ転送する。ノード1cは、ノード1bと同様の動作を行い、パケットのラベルをノード1d宛のラベルに付け替えてパケットをノード1dへ転送する。ノード1dは、ラベルを含むヘッダをパケットから除去し、パケットの宛先アドレスに従って、パケットを端末装置15へ転送する。
【0042】
このように、コア網10では、予め確立されたLSPを用いたラベルスイッチングによ
って、データ(パケット)がイニシエータ(ノード1a)からターミネータ(ノード1d)まで転送される。なお、LSPの始点及び終点の指定のみで、経路上の全拠点(ノード)におけるラベルの登録設定が自動設定される仕組みは、“GMPLS AtoZプロビショニング”と呼ばれている。
【0043】
なお、図1に例示するコア網では、複数のノードがメッシュ状に接続されている。但し、複数のノード1のトポロジは、リング型やフルコネクタ型等であってもよい。
【0044】
図1に示すように、ネットワークシステム12は、メッシュ型に接続された複数のノード1の集合であるネットワーク10(コア網)と、コア網の監視制御装置18とを備える。監視制御装置18は、ネットワーク10全体の状態を監視制御する情報処理装置、すなわち、コンピュータである。監視制御装置18は、ネットワーク10に含まれる全てのノード1と接続されており、全ノード1の状態を監視することで、ネットワーク10の構成やネットワーク10の使用状況を監視することができる。また、監視制御装置18は、ネットワーク10を監視することにより、ネットワーク10内の通信データが流れていない未使用区間を特定し、未使用区間に係るノード1に対して電源OFF要求を送信する。また、監視制御装置18は、パス開通要求をイニシエータに相当するノード1に対して送信する。
【0045】
ネットワーク10の外の始点14(端末装置:ホスト)から送信された通信データは、各ノードを経由し、目的の終点15まで伝送される。なお、ノードの数及び各ノードにおける隣接ノードの数は、図1に示された数に限定するものではない。
【0046】
ネットワーク10は、上述した省電力化の技術を適用するネットワークである。そのため、上述の通り、未使用区間に係る未使用ポートへの給電はOFFに設定される。本実施形態1では、未使用ポートの電源がOFFされる前に、予め、未使用区間を迂回する迂回経路を算出しておき、その後未使用区間に対応するポートの電源をOFFする。これより、当該電源OFF区間を通るパスの設定要求が生じた場合に、迂回経路を含むパス(迂回パス)へパスを開通させ、電源OFF区間が正常に起動した際に電源OFF区間を通るパスを設定することができる。すなわち、電源OFF区間が正常に起動するまでの間、迂回パスへ通信データを送信することができるため、電源OFF区間(ポート)の起動に時間を要することによるサービス断を回避することができる。また、本実施形態1では、当該ノードは、電源OFF区間に対応する迂回経路の状態を常時監視し、迂回経路の障害を検出すると、他の迂回経路を算出し、迂回経路を更新する。なお、他の迂回経路が存在しない場合は、電源OFF区間に対応する代替経路が存在しなくなるため、サービス断が生じる恐れがある。従って、この場合、当該ノードは電源OFF区間の電源OFF状態を維持できないと判断し、当該電気OFF区間に係るポートの電源をONにする。以下、本実施形態1に係るノードについて説明する。
【0047】
[ノードのハードウェア構成]
図2は、実施形態1に係るノード1のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、ノード1は、制御カード2、インタフェースカード3、4(以下、「IFカード」という)、スイッチングカード5(以下、「SWカード」という)を備える。各カード2,3,4,5は、ノード1の筐体(シャーシ)9内に備えられている。なお、図2に示された実線の矢印は、通信データの流れを示しており、点線の矢印は、制御データの流れを示す。
【0048】
<制御カード>
制御カード2は、監視制御装置18や隣接するノード1A、1Bから制御データを受信し、当該制御データに含まれる、監視制御装置18や隣接ノード1A、1Bからの要求に
応じて各カードのハードウェア設定や処理等を行う。
【0049】
<IFカード>
IFカード3は、外部(ネットワーク)との回線を収容するポート回路7A、7Bを備える。また、IFカード4は、外部(ネットワーク)との回線を収容するポート回路8A、8Bを備える。ポート回路は、外部機器との情報の入出力に使用するためのインタフェースである。本実施形態1では、1つのポート回路に、隣接ノードとの1つのリンクのみが接続されている例を示す。但し、これに限定するものではなく、複数のリンクが1つのポート回路に接続されるようにしてもよい。
【0050】
また、図2では、各IFカードは2つのポート回路を備えているが、本実施形態1では、IFカードはポート回路を1つのみ備えるものとする。なお、図2に示すように、IFカードは複数のポート回路を備えるようにしてもよい。すなわち、本実施形態1では、1つのIFカードには、隣接ノードとの1つのリンクのみが接続されるポート回路を1つのみ備えることとする。よって、本実施形態1では、ノードが備えるポート回路の数は、ノードに接続されるリンクの数と等しくなる。
【0051】
IFカード3は、ポート回路7Aにより回線を通じて接続された隣接ノード1Aと通信データの送受を行う。また、IFカード3は、ポート回路7Bにより回線を通じて接続された隣接ノード1Aと制御データの送受を行う。同様に、IFカード4は、ポート回路8Aにより回線を通じて隣接ノード1Bと接続することで、隣接ノード1Bと通信データの送受を行う。また、IFカード4は、ポート回路8Bにより回線を通じて隣接ノード1Bと接続することで、隣接ノード1Bと制御データの送受を行う。なお、上述の通り、IFカードがポート回路を1つのみ備える場合は、1つのポート回路で、隣接ノードとの通信データ及び制御データの両者の送受を行う。
【0052】
<SWカード>
SWカード5は、各IFカード3,4で受信されたデータが入力される。SWカード5は、入力されたデータに付与されたラベルを参照して、データの宛先に対応するIFカード3又は4へデータを送り出す。例えば、SWカード5は、IFカード3で受信された隣接ノード1Aからのデータ(隣接ノード1B向けのラベルを有する)を、隣接ノード1Bと接続するIFカード4へ転送する。また、SWカード5は、隣接ノード1Bからのデータ(隣接ノード1A向けのラベルを有する)を、隣接ノード1Aと接続するIFカード3へ転送する。これより、隣接ノードからの通信データが、ラベルに従った転送先(例えば、他の隣接ノード)へ伝送される。
【0053】
なお、制御カード2、IFカード3、4、SWカード5はそれぞれ、制御回路、インタフェース回路、スイッチング回路であってもよい。
【0054】
<シャーシ>
シャーシ9は、図示しない複数のスロットを有し、各スロットはカードコネクタ(図示せず)を備えている。各カード2〜5は、対応するスロットに挿入されてコネクタと接続されることによって、カード間が電気的に接続された状態となる。
【0055】
<電源駆動回路>
ノード1は、電源駆動回路6を備える。電源駆動回路6は、各カード3、4に対する、外部電源16から供給される電力の給電に対するON/OFFを制御する。電源駆動回路6は、各カード3、4におけるポート回路毎の給電のON/OFFを行うこともできる。なお、電源駆動回路6は、「電源駆動回路」の一例である。外部電源16は、ノード1内部に搭載された内部電源(例えば、二次電池)であっても良い。
【0056】
本実施形態1では、LSPの確立、削除に関する制御メッセージ(例えば、パスメッセージ、リザーブメッセージ)は、ユーザデータと同一の経路を流れるインバンド(Inband)通信により実施可能である。また、制御メッセージがユーザデータの転送経路と異なる回線(例えばLAN)を通じて送受信されるアウトバンド(Outband)通信が実施されても
良い。図1には、インバンド通信とアウトバンド通信の双方の経路を図示しているが、両者の一方が存在していればよい。以下、本実施形態1に係るノード1の詳細な構成を説明する。
【0057】
[ノードの詳細ハードウェア構成1]
図3Aは、実施形態1に係るノードの詳細なハードウェア構成の一例を示す図である。図3Aにおいて上述した図2と同一の符号を付した部分は同一物を表しているため、詳細な説明は省略する。また、図3Aの説明において、図2で示した隣接ノード1Bの説明は省略し、ノード1と隣接ノード1Aとの関係についてのみ説明を行うこととする。また、IFカード4は、IFカード3と同様の構成を備えるため、IFカード4の詳細説明は省略する。
【0058】
図3Aに示すように、ノード1は、制御カード2、IFカード3、4、SWカード5、シャーシ9を備える。シャーシ9には各カード及び電源駆動回路6が実装される。電源駆動回路6は、各カードへの給電及びポート回路への給電のON/OFFを行う。
【0059】
<IFカード>
IFカード3は、ポート回路7、ポート回路7へ電力を供給するポート電源7C、及びIFカード3に電力を供給するカード電源3Aを備える。なお、電源駆動回路6は、IFカード3への給電をON/OFFするために、カード電源3Aへの給電のON/OFFを行う。また、電源駆動回路6は、ポート回路7への給電をON/OFFするために、ポート電源7Cへの給電のON/OFFを行う。なお、IFカードが1つのポート回路のみを備える場合は、ポート電源は必須でない。
【0060】
<制御カード>
以下、制御カード2の詳細な構成について説明する。
【0061】
制御カード2は、図3Aに示すように、Central Processing Unit(CPU、中央処理
装置)20、コマンド解析回路21、カード設定回路22、カード監視回路23、メモリ24を備える。また、本実施形態1に係る制御カード2は、図3Aに示すように、迂回経路生成回路31、迂回経路判定回路32、迂回障害帯域監視回路33、メモリ34を備える。なお、ノード1は、CPU20を1つのみ備えることとしたが、CPU20によって実現される機能が、複数のCPU(プロセッサ)によって分散処理されるようにしても良い。
【0062】
<CPU>
CPU20は、監視制御装置18や隣接ノード1A、1Bからの制御データを受信し、ノード1全体の制御を行う。すなわち、CPU20は、各カードや回路等の動作の制御を行う。具体的には、CPU20は、メモリ24やその他のメモリに実行可能に展開されたプログラムを実行し、ノード1の機能を提供する。なお、CPU20は、カード設定回路22および電源駆動回路6等を制御する。
【0063】
<コマンド解析回路>
コマンド解析回路21は、制御データを受信すると、受信した制御データに含まれるコマンド、すなわち、要求内容を解析し、要求内容に応じた処理を各部位へ依頼する。
【0064】
<カード設定回路>
カード設定回路22は、コマンド解析回路21により解析された制御データの要求内容に基づき、各カードのハードウェア設定を行う。なお、カード設定回路22は、「設定回路」の一例である。
【0065】
<カード監視回路>
カード監視回路23は、IFカード3、4やSWカード5の状態を監視する。
【0066】
<メモリ>
メモリ24は、処理対象のデータやCPU20が実行するプログラム(ソフトウェア)等を記憶する。メモリ24としては、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)が例示される。メモリ24には、RSVPプログラム25、OSPFプログラム26、リンクステートデータベース(LSDB)27が格納される。
【0067】
<RSVPプログラム>
RSVPプログラム25は、パス確立シグナリングプロトコルであるRSVP−TEを実装したプログラム(ソフトウェア)である。CPU20が、メモリ24に記憶されたRSVPプログラム25を呼び出して実行することにより、RSVP−TE手順が実行される。具体的には、RSVPプログラム25が実行されると、パス設定要求の制御データであるPath Messageから自ノード用の制御データが抽出され、自ノード用の制御データを除く他の部分の制御データが隣接ノードへ転送される。また、RSVPプログラム25が実行されることで、パス設定要求に対するReserve Messageに格納されているラベルが抽出
され、図示しないラベルテーブルに登録される。また、RSVPプログラム25が実行されることにより、Reserve Messageが他の隣接ノードへ転送される。
【0068】
<OSPFプログラム>
OSPFプログラム26は、ルーティングプロトコルであるOSPFを実装したプログラム(ソフトウェア)である。CPU20が、メモリ24に記憶されたOSPFプログラム26を呼び出して実行することにより、OSPF手順が実行される。具体的には、OSPFプログラム26が実行されると、ノード1内の経路の状態、すなわち、IFカード3,4の状態がLSDB27内のネットワークトポロジに反映される。
【0069】
例えば、障害や設定によって、該当経路が使用不可能となった場合は、該当経路の使用可能帯域が0となるようLSDB27が更新される。また、OSPFプログラム26が実
行されることで、ノード1内の経路状態が隣接ノード1A、1Bへ知らされる。すなわち、LSAが隣接ノード1A、1Bへ送信される。なお、IFカードの状態としては、使用可能帯域等が例示される。また、OSPFプログラム26が実行されることにより、パス開通を行うための最短経路が算出される。
【0070】
<LSDB>
LSDB27は、ノードが接続されたネットワークトポロジの情報を格納する。すなわち、LSDB27には、ノードが接続されたネットワークにおける各隣接ノードの接続状態、ポートの正常/異常を示す情報が格納される。例えば、リンク障害が生じると、隣接ノードとの通信が実行不能となるため、OSPFにおいてこのようなリンク障害が検出された場合には、当該リンクを迂回するような最短経路探索が行われる。
【0071】
図4は、実施形態1に係るLSDB27に格納されるネットワークトポロジのデータ構造例を示す図である。図4に示すように、LSDB27の各行には、ノードID、リンクID、コスト、帯域、使用可能帯域、対向ノードID、対向リンクIDの項目が含まれる
。ノードIDは、ノードを識別する識別子であり、リンクIDはノードにおいて、対向する他の隣接ノードとの間のリンク、すなわちポートを識別する識別子である。帯域は、リンクにおいて使用される帯域であり、使用可能帯域とは前記帯域中の使用可能な帯域を示す。障害や設定により使用できないリンクについては、該当するレコードの使用可能帯域が0となる。また、対向ノードID及び対向リンクIDは、前記ノードID及びリンクIDで示されたリンクにおいて、前記ノードと対向するノードのID及びリンクIDを示す。
【0072】
なお、LSDBの各行には、これらの項目以外にも、各行のレコードを識別する情報、例えば、行番号等を示す番号や障害情報等の項目が含まれるようにしてもよい。図4の各行は、各ノードにおける各リンクに関する情報を表す。
【0073】
<迂回経路生成回路>
迂回経路生成回路31は、ある未使用リンクについて電源OFF要求の制御データを受信すると、当該未使用リンクについての迂回経路を算出する。なお、迂回経路の算出には、OSPFプログラム26が用いられる。迂回経路生成回路31は、迂回経路算出後、電源駆動回路6へ、当該未使用リンクに係るポートへの給電をOFFするよう指示する。迂回経路生成回路31は、「算出回路」の一例である。
【0074】
<迂回経路判定回路>
迂回経路判定回路32は、パス設定要求の制御データを受信すると、当該制御データに基づき、パス設定が要求されているパスが電源OFFリンクを通るか否かを判定する。判定した結果、パス設定が要求されているパスに電源OFFリンクが含まれる場合、迂回経路判定回路32は、パス設定要求を迂回経路へ迂回させる。一方、パス設定が要求されているパスに電源OFFリンクが含まれない場合、迂回経路判定回路32は、パス設定要求を迂回させず、パス設定が要求されているパスに送信する。
【0075】
<迂回障害帯域監視回路>
迂回障害帯域監視回路33は、後述する迂回経路情報データベース35に登録されている迂回経路について、当該迂回経路の状態をLSDB27から抽出し、当該迂回経路が正常であるか否かを常時監視する。例えば、迂回障害帯域監視回路33は、迂回経路上の障害の発生や迂回経路の帯域の枯渇等を検出する。迂回障害帯域監視回路33は、例えば、自ノードに接続されたリンクにおける障害を検出した自ノード内のカード監視回路23からその旨を通知されることにより、障害検出が可能となる、また、迂回障害帯域監視回路33は、例えば、自ノードに接続されていないリンクにおける障害発生を、LSDB27から抽出することが可能である。
【0076】
<メモリ>
メモリ34は、処理対象のデータやCPU20が実行するプログラム(ソフトウェア)等を記憶する。メモリ34としては、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)が例示される。メモリ34には、迂回経路情報データベース(以下「DB」という)35及び要求経路情報DB36が格納される。なお、メモリ34は、「メモリ」の一例である。
【0077】
<迂回経路情報DB>
迂回経路情報DB35は、電源OFFリンクを通るパス毎に算出される、電源OFFリンクを迂回する経路、すなわち、電源OFFリンクの代替となる経路である迂回経路が登録されるデータベースである。迂回経路情報DB35のデータベース構成は、動作例1の説明において詳細を説明する。
【0078】
<要求経路情報DB>
要求経路情報DB36は、パス設定要求に含まれる、パス設定が要求された経路の情報が記録されるデータベースである。要求経路情報は、パス設定要求の制御メッセージを迂回経路に迂回させて送信する際に、要求経路情報DB36へ一時的に格納される。要求経路情報DB36のデータベース構成は、動作例1の説明において詳細を説明する。
【0079】
なお、図3Aでは、RSVPプログラム25、OSPFプログラム26、及びLSDB27を格納するメモリ24と、迂回経路情報DB35及び要求経路情報DB36を格納するメモリ34とは、別のメモリとしたが、同一メモリであってもよい。また、本実施形態1は、図3Aのようにメモリが複数ある場合に、メモリとそのメモリに格納されるプログラム又はデータベースとの組み合わせを限定するものではなく、どのような組合せであってもよいものとする。
【0080】
また、本実施形態1では、RSVP及びOSPFはプログラムに実装されることとしたが、これに限定されるものではなく、RSVP及びOSPFはハードウェア回路に実装されるようにしてもよい。また、RSVPプログラム25及びOSPFプログラム26は、CPU20により実行されることとしたが、図示しない他のプロセッサにより実行されるようにしてもよい。
【0081】
なお、図3Aで示した上述のハードウェア回路は、一つのIntegrated Circuit(IC、集積回路)に集積されてもよいし、複数のICに分けて集積されるようにしてもよい。例えば、上述したハードウェア回路は、Large Scale Integration(LSI)であってもよ
い。
【0082】
図3Aで示したハードウェア回路である、コマンド解析回路21、カード設定回路22、カード監視回路23、迂回経路生成回路31、迂回経路判定回路32、迂回障害帯域監視回路33の処理をプログラムにより実装してもよい。以下、これらのハードウェア回路の処理をプログラムにより実装した場合について、図3Bを用いて説明する。
【0083】
[ノードの詳細ハードウェア構成2]
図3Bは、実施形態1に係るノードの詳細なハードウェア構成の一例を示す図である。図3Bにおいて上述した図21と同一の符号を付した部分は同一物を表しているため、詳細な説明は省略する。また、図3Bの説明において、図2で示した隣接ノード1Bの説明は省略し、ノード1と隣接ノード1Aとの関係についてのみ説明を行うこととする。また、IFカード4は、IFカード3と同様の構成を備えるため、IFカード4の詳細説明は省略する。なお、以下の説明では、図3Aと異なる構成についてのみ、説明を行うこととする。
【0084】
図3Bに示すように、制御カード2は、CPU20、RAMメモリ37、ROMメモリ38、カード監視制御用回路39を備える。カード監視制御用回路39は、カード間でアクセスを行うために、各カードについて監視及び制御を行うハードウェア回路である。
【0085】
<RAMメモリ>
RAMメモリ37は、処理対象のデータやCPU20が実行するプログラムを記憶するメインメモリである。RAMメモリ37には、迂回経路情報DB35、要求経路情報DB36、及びLSDB27が格納される。
【0086】
<ROMメモリ>
ROMメモリ38は、処理対象のデータやCPU20が実行するプログラムを記憶するメインメモリである。ROMメモリ38には、RSVPプログラム25、OSPFプログ
ラム26、コマンド解析処理プログラム21A、カード設定処理プログラム22A、カード監視処理プログラム23Aが記憶される。ROMメモリ38には、さらに、迂回経路生成処理プログラム31A、迂回経路判定処理プログラム32A、迂回障害帯域監視処理プログラム33Aが記憶される。
【0087】
<プログラム>
コマンド解析処理プログラム21Aは、図3Aにおけるコマンド解析回路21で行われる処理が実装されたプログラムである。カード設定処理プログラム22Aは、図3Aにおけるカード設定回路22で行われる処理が実装されたプログラムである。カード監視処理プログラム23Aは、図3Aにおけるカード監視回路23で行われる処理が実装されたプログラムである。迂回経路生成処理プログラム31Aは、図3Aにおける迂回経路生成回路31で行われる処理が実装されたプログラムである。迂回経路判定処理プログラム32Aは、図3Aにおける迂回経路判定回路32で行われる処理が実装されたプログラムである。迂回障害帯域監視処理プログラム33Aは、図3Aにおける迂回障害帯域監視回路33で行われる処理が実装されたプログラムである。
【0088】
なお、上述したプログラム21A〜23A、25、26、31A〜33Aは、それぞれ別のプログラムとしたが、これに限るものではない。例えば、プログラム21A〜23A、25、26、31A〜33Aは1つのプログラムであってもよいし、これらプログラムのうちの一部のみをまとめて1つのプログラムとしてもよい。なお、CPU20が、これらのプログラムをそれぞれ呼び出して実行することにより、各処理が実行される。なお、これらのプログラムは、CPU20ではなく、図示しない他のプロセッサにより実行されるようにしてもよい。
【0089】
また、図3A及び図3Bのノードの詳細ハードウェア構成1、2において、電源駆動回路6はハードウェア回路としたが、これに限るものではなく、当該ハードウェア回路の処理をプログラムに実装するようにしてもよい。
【0090】
以下、図3A及び図3Bに示された本実施形態1に係るノード1が実現する機能について、図5を用いて説明する。
【0091】
[機能ブロック]
図5は、実施形態1に係るノード1の機能ブロック図の一例を示す図である。図5に示すように、図3Bに示したノード1の制御カード2におけるCPU20は、ROMメモリ38に格納された各種のプログラムを実行することによって、コマンド解析処理51、カード設定処理52、カード監視処理53、RSVP処理54、OSPF処理55、迂回経路生成処理56、迂回経路判定処理57、迂回障害帯域監視処理58としての機能を実現する。また、ノード1は、電源駆動回路59を備える。
【0092】
<コマンド解析処理>
コマンド解析処理51では、受信した制御データに含まれるコマンド、すなわち、要求内容を解析し、要求内容に応じた処理を各処理へ依頼する。
【0093】
<カード設定処理>
カード設定処理52では、受信した制御データの要求内容に基づき、各カードのハードウェア設定を行う。具体的には、カード設定処理52では、経路が通る自ノードのポートに対応するIFカード及びSWカードに対して、当該迂回経路が開通するようハードウェア設定を行う。
【0094】
<カード監視処理>
カード監視処理53では、IFカード3、4やSWカード5の状態を監視する。カード監視処理53では、例えば、IFカード内に設けられたハード障害レジスタをポーリングすることで、HWに障害が発生しているか否かを確認する。なお、ハード障害レジスタとは、IFカードのハードウェアの障害状態の有無を示す情報を格納するレジスタであり、電源OFFは、ハード障害の1種として扱われる。ハード障害レジスタには、ハード障害の有無を示す情報として、例えば、障害有り“1”/障害無し“0”を示すフラグが格納される。また、ポーリングとは、カード監視処理53において、IFカード3、4等から定期的にIFカード3、4等の情報を抜き出すことで、IFカード3、4等の状態の推移等を知ることをいう。
【0095】
<RSVP処理>
RSVP処理54では、パス確立シグナリングプロトコルであるRSVP−TEの手順を実行する。具体的には、RSVP処理54では、パス設定要求の制御データであるPath
Messageから自ノード用の制御データを抽出し、自ノード用の制御データを除く他の部分の制御データを隣接ノードへ転送する。また、RSVP処理54では、パス設定要求に対するReserve Messageを隣接ノードから受信し、当該Reserve Messageに格納されているラベルを抽出した後、図示しないラベルテーブルに登録する。また、RSVP処理54では、Reserve Messageを他の隣接ノードへ転送する。
【0096】
<OSPF処理>
OSPF処理55では、ルーティングプロトコルであるOSPFの手順を実行する。具体的には、OSPF処理55では、ノード1内の経路の状態、すなわち、IFカード3、4の状態をLSDB27に反映する。例えば、障害や設定によって、該当経路が使用不可能となった場合は、該当経路の使用可能帯域が0となるようLSDB27を更新する。ま
た、OSPF処理55では、ノード1内の経路状態を隣接ノード1A、1Bへ知らせる。すなわち、OSPF処理55では、LSAを隣接ノード1A、1Bへ送信する。また、OSPF処理55では、パス開通を行うための最短経路を算出する。例えば、OSPF処理55では、未使用リンクを迂回する最短経路を算出する。
【0097】
<迂回経路生成処理>
迂回経路生成処理56では、ある未使用リンクについて電源OFF要求の制御データを受信すると、当該未使用リンクについての迂回経路を算出する。具体的には、迂回経路生成処理56では、自ノードから当該未使用リンクを通るすべてのパスについての迂回経路を算出する。ここで、「未使用リンクを通るすべてのパス」とは、未使用リンクに流入するすべてのパスをいう。なお、迂回経路の算出にあたり、迂回経路生成処理56では、OSPF処理55において最短経路となる迂回経路を算出するよう指示する。迂回経路生成処理56では、迂回経路算出後、迂回経路情報を迂回経路情報DB35に迂回経路情報を記憶する。また、迂回経路生成処理56では、電源駆動回路59へ、当該未使用リンクに係るポートへの給電をOFFするよう指示する。
【0098】
<迂回経路判定処理>
迂回経路判定処理57では、パス設定要求の制御データを受信すると、当該制御データに基づき、パス設定が要求されているパスが、自ノードに接続された電源OFFリンクを通るか否かを判定する。すなわち、パス設定が要求されているパスに、自ノードに接続された電源OFFリンクが含まれるか否かを判定する。判定した結果、パス設定が要求されているパスに電源OFFリンクが含まれる場合、迂回経路判定処理57では、パス設定要求を迂回経路へ迂回させる。一方、パス設定が要求されているパスに電源OFFリンクが含まれない場合、迂回経路判定処理57では、パス設定要求を迂回させず、パス設定が要求されているパスに送信する。
【0099】
<迂回障害帯域監視処理>
迂回障害帯域監視処理58では、迂回経路情報DB35に登録されている迂回経路について、当該迂回経路の状態をLSDB27から抽出し、当該迂回経路が正常であるか否かを常時監視する。例えば、迂回障害帯域監視処理58では、迂回経路上の障害の発生や迂回経路の帯域の枯渇等を検出する。迂回障害帯域監視処理58では、例えば、自ノードに接続されたリンクにおける障害を検出した自ノード内のカード監視処理53の結果、その旨が通知されることにより、障害検出が可能となる、また、迂回障害帯域監視処理58では、例えば、自ノードに接続されていないリンクにおける障害発生を、LSDB27から抽出することが可能である。また、迂回障害帯域監視処理58では、迂回経路情報DB35を参照することで、カード監視処理53により障害と判断されたIFカード・ポートが電源OFFリンクに対応するものであると判断することが可能である。この場合、迂回障害帯域監視処理58では、OSPF処理55を行うにあたり、当該IFカード・ポートがOFF状態であることを通知しない。
【0100】
<電源駆動回路>
電源駆動回路59は、各カードへの給電及びポート回路への給電のON/OFFを行う。
【0101】
[動作例]
本実施形態1に係るノード1の動作例を、以下に説明する。
【0102】
[動作例1−1 迂回経路作成、経路の機能停止]
ネットワーク10において、未使用リンクについて機能停止を要求されたノードが、該当するIFカード又はポート回路(以下、「カード・ポート」とよぶ)の電源をOFFするまでの動作を、図6のフローを用いて以下説明する。以下、リンクに係るIFカード・ポートの電源ON/OFFとは、リンクに対応するポートへの給電ON/OFFをいう。具体的には、IFカード・ポートの電源をON/OFFするとは、図3A、図4に示されたIFカードのカード電源3A及びポート電源7Cの少なくとも一方への給電をON/OFFすることを意味する。例えば、IFカードが1つのポート回路のみを備える場合、カード電源3A及びポート電源7Cの両者について給電をON/OFFにする。一方、IFカードが複数のポート回路を備える場合、電源をON/OFFするポート回路のポート電源についてのみ給電をON/OFFにする。また、リンクの機能停止とは、リンクの両端ノードにおいて、当該リンクに対応するIFカード・ポートの電源をOFFにすることで、当該リンクにデータが流れない状態をいう。
【0103】
図6は、実施形態1に係る迂回経路生成及び経路の機能停止フローの一例を示す図である。監視制御装置18は、ネットワーク10全体を監視することで、通信データが流れていない未使用区間を特定することが可能である。監視制御装置18は、未使用区間を特定すると、未使用区間に含まれる未使用リンクに接続されているノードに対してのみ、当該未使用リンクについての電源OFF要求を指示する。
【0104】
図7は、動作例1−1に係るネットワーク10の一部を例示する図である。図7には、図1に示したノード1に相当する、ノードA、ノードB、ノードC、ノードDが図示されている。
【0105】
図8は、図7に示したネットワークにおけるパスの設定状態例を示す図である。図8に示す例では、パスP1(→ノードA→ノードB→)と、パスP2(→ノードA→ノードC→ノードD→)と、パスP3(→ノードB→ノードC→)が確立されている。監視制御装置18は、確立中のパスを管理及び監視しており、ノードBとノードDとの間の区間(リンク)が未使用であり、当該区間(リンクB−Dと称する)に係る電源をOFFできると判定する。
【0106】
このとき、監視制御装置18は、ノードB及びノードDへ、リンクB−Dに係る電源をオフにする制御データ(制御メッセージ:“電源OFF要求”と称する)を送信する。ノードB及びノードDは、図2及び図3A又は図2及び図3Bに示した構成要素を備える。ノードA,Cは、ノードB、Dと同様の構成を備えてもよいし、電源OFFに係る迂回経路情報の記憶機能等を有しないノード(便宜上、従来ノードと称する)の構成を備えていても良い。例えば、ノードA,Cは、図3の迂回経路生成回路31、迂回経路判定回路32、迂回障害帯域監視回路33、迂回経路情報DB35、要求経路情報DB36等を有しないノード(従来ノード)であってもよい。
【0107】
図6に示すフローチャートは、各ノードB,Dにおいて、電源OFF要求の受信を契機に開始される。ノードBにおけるコマンド解析処理51(図5)(コマンド解析回路21(図3A))では、監視制御装置18より、当該電源OFF要求である制御データを受信する(ステップ1、以下S1のように表記する)。コマンド解析処理51では、当該制御データに含まれる要求内容を解析する(S1)。その後、コマンド解析処理51では、迂回経路生成処理56(図5)(迂回経路生成回路31(図3A))において、電源OFFが要求された未使用リンクであるリンクB−Dについて、迂回経路の算出を行うよう指示する。
【0108】
迂回経路生成処理56では、未使用リンクB−Dについて迂回経路の算出を指示されると、当該未使用リンクB−Dに対応する自ノード内のIFカード・ポートが既に電源OFFであるか否かを確認する(S2)。既に当該未使用リンクB−Dに対応する自ノード内のIFカード・ポートが電源OFFである場合(S2;Yes)、図6に示す処理を終了す
る。一方、未使用リンクB−Dに対応する自ノード内のIFカード・ポートが電源ONである場合(S2;No)、迂回経路生成処理56では、自ノードから当該未使用リンクB−Dを通るすべてのパス設定パターンについての迂回経路を算出する(S3)。すなわち、迂回経路生成処理56では、自ノードにおける、未使用リンクに対応するポート以外のポートから未使用リンクに対応するポートへ流入する全てのパス設定パターンについて迂回経路を算出する。なお、迂回経路生成処理56では、迂回経路算出にあたり、OSPF処理55(図5)(OSPF処理を行うCPU20(図3A))において最短経路となる迂回経路の算出を行うよう指示する。迂回経路生成処理56における具体的な処理について、以下に説明する。
【0109】
図9は、図8に示したネットワークの未使用リンク(リンクB−D)に係るパス設定パターンを示す図である。図9に示すように、各ノードA〜Dは、それぞれポートa、b、c、dを備えている。ノードBからリンクB−Dを通るパス設定パターンとして、ノードBのポートB-aから入ってポートB-dから出るパス設定パターン、ポートB-bから入ってポー
トB-dから出るパス設定パターン、ポートB-cから入ってポートB-dから出るパス設定パタ
ーンを有している。また、対向ノードDからリンクB−Dを通るパスとして、ポートD-b
から入ってポートD-aから出るパス設定パターン、ポートD-cから入ってポートD-aから出
るパス設定パターン、ポートD-dから入ってポートD-aにから出るパス設定パターンを有している。
【0110】
ノードBの迂回経路生成処理56では、自ノードにおける各ポートB-a、B-b、B-cから
、未使用リンクB−Dに対応するポートB-dへ流入する各パスそれぞれについて、未使用
リンクB−Dを迂回する迂回経路をそれぞれ算出することを決定する。迂回経路生成処理56では、各ポートB-a、B-b、B-cを始点、ポートD-dを終点とすること、及び、未使用リンクB−Dに対応するポートB-dを通らない条件をOSPF処理55に入力する。これよ
り、OSPF処理55において迂回経路を算出する。
【0111】
なお、上記では、ポートD-dを終点としたが、これに限るものではない。終点は、未使
用リンクにおいて自ノードと対向するノードのポートであり、当該未使用リンクに対応するポートでなければよい。図9の例では、終点は、未使用リンクに対応するポートD-a以
外のポートD-b、D-c、D-dのいずれであってもよい。また、終点をポートD-dのみとして迂回経路を算出したが、これに限るものではなく、始点と同様に終点を複数設定し、始点と終点の全ての組み合わせに対して迂回経路が算出されるようにしてもよい。
【0112】
OSPF処理55では、迂回経路生成処理56の結果指示されたポートB-a、B-b、B-c
を夫々始点とし、ポートD-dを終点とし、且つポートB-dを通らないという条件より、各始点から終点までの迂回経路を算出する。OSPF処理55では、例えば、ポートB-aから
ポートB-dへ流入するパス設定パターンについての迂回経路、すなわち、ポートB-aを始点とする迂回経路として、ポートB-c、C-a、C-d、D-cを通る迂回経路を算出する。OSPF処理55では、同様に、ポートB-bからポートB-dに流入するパス設定パターン、ポートB-cからポートB-dに流入するパス設定パターンについて、それぞれ迂回経路を算出する。
【0113】
図6に戻り、迂回経路生成処理56では、OSPF処理55により、自ノードBから未使用リンクを通りうるすべてのパス設定パターンについて迂回経路が算出されたか否かを確認する(S4)。自ノードBにおいて、自ノードから未使用リンクを通りうるすべてのパス設定パターンについて迂回経路が算出されなかった場合(S4;No)、本迂回経路生成及び経路の機能停止フローを終了する。自ノードBから未使用リンクを通りうるすべてのパスについて迂回経路が算出された場合(S4;Yes)、迂回経路生成処理56では、
当該未使用リンクB−Dに係る対向ノードDへ全迂回経路を算出したことを示す制御データを通知する。
【0114】
未使用リンクB−Dに係る対向ノードDにおいても、監視制御装置18から電源OFF要求を受信すると、ノードBと同様に、未使用リンクB−Dについて迂回経路の算出が行われる。ノードB内の迂回経路生成処理56では、当該未使用リンクB−Dにおける対向ノードDから、対向ノードDにおける迂回経路算出結果を示す制御データを受信する。ノードB内の迂回経路生成処理56では、受信した制御データにより、当該対向ノードDにおいて当該未使用リンクB−Dに対する全ての迂回経路が算出されたかを確認する(S5)。対向ノードDにおいて、ノードDから当該未使用リンクを通るすべてのパス設定パターンについて迂回経路が算出されなかった場合(S5;No)、本迂回経路生成及び経路の機能停止フローを終了する。対向ノードDにおいて、ノードDから当該未使用リンクを通るすべてのパス設定パターンについて迂回経路が算出された場合(S5;Yes)、ノード
B内の迂回経路生成処理56では、S3で算出した迂回経路情報を格納する(S6)。具体的には、迂回経路生成処理56では、S3でOSPF処理55において算出された迂回経路情報を、迂回経路情報DB35に格納する。
【0115】
図10は、ノードBの迂回経路情報DB35(図3A、図3B)に格納される迂回経路情報のデータ構造例を示す図である。図10に示すように、迂回経路情報DB35には、パス設定パターンに対応する迂回経路を示す1以上のレコードからなるテーブルが格納される。
【0116】
パス設定パターンは、上流ポート及び下流ポートを示すポート識別子(ポートID)で特定される。上流ポートは、迂回経路を算出する際の、迂回経路の始点となるポートであり、電源OFFが要求された未使用リンクに接続されたポートと同一のノードにおける他のポートである。下流ポートは、電源OFFが要求された未使用リンクに接続されたポートであり、迂回経路を算出する際に迂回経路が通らないポートとして条件付けられたポートである。迂回経路には、上流ポートを始点として算出された迂回経路が終点までに通るポートの識別子(ID)が通過順で格納される。図10の各行は、ノードBの未使用リンクに係るパス設定パターンの夫々に対する迂回経路情報を表す。
【0117】
なお、迂回経路ポートは、図7に例示したノードA〜Dがメッシュ接続されているとの前提から4点となったが、ノード数及び接続形態によって、迂回経路に含まれるポート数は変動する。また、迂回経路情報DB35の各エントリには、図10に示した項目以外にも、各行のレコードを識別する情報、例えば、行番号等を示す番号や迂回経路のコスト等の項目が含まれるようにしてもよい。
【0118】
図6に戻り、S6では、迂回経路生成処理56において、図10に示すように、各始点及び終点に対する迂回経路の情報、すなわち、迂回経路が通る各ポートの情報を、迂回経路情報DB35に格納する。例えば、迂回経路生成処理56では、始点B-a、終点B-dに対する迂回経路情報として、迂回経路ポート1:B-c、迂回経路ポート2:C-a、迂回経路ポート3:C-d、迂回経路ポート4:D-cを迂回経路情報DB35に記憶する。
【0119】
迂回経路生成処理56では、迂回経路情報を格納した後、自ノードの電源駆動回路59に対して、未使用リンクB−Dに対応するIFカード・ポートの電源OFFを指示する(S7)。これより、電源駆動回路59がリンクB−Dに対応するIFカード・ポートへの電力供給をOFFにする(S7)。S3〜S7で示したとおり、電源OFFされるリンクの両端ノードは、両ノードにおいて迂回経路情報が作成できたことを確認した後、IFカード・ポートへの給電をOFFにする。
【0120】
S7で未使用リンクに対応するIFカード・ポートへの給電がOFFにされると、図6に示した迂回経路生成及び経路の機能停止フローが終了する。
【0121】
S7で電源OFFにされたIFカード・ポートは、カード監視処理53により障害と判断され、迂回障害帯域監視処理58(図5)(迂回障害帯域監視回路33(図3A))を行う際にその旨が通知される。迂回障害帯域監視処理58では、迂回経路情報DB35を参照することで、カード監視処理53により障害と判断されたIFカード・ポートが電源OFFリンクに対応するものであると判断する。すなわち、迂回障害帯域監視処理58では、当該IFカード・ポートは障害が発生したことが原因で電源がOFFされているものではない、と判断することができる。これより、迂回障害帯域監視処理58では、OSPF処理55を行う際に、当該IFカード・ポートに障害が発生している旨の通知を行わない。すなわち、迂回障害帯域監視処理58では、OSPF処理55を行う際に、当該IFカード・ポートの電源OFF状態を通知しない。OSPF処理55においてLSDB27に反映する障害状態がないため、未使用リンクに対応するIFカード・ポートの電源がOFFにされたとしても、LSDB27には、電源をOFFする前と同一の情報が記憶されることとなる。これより、未使用リンクに対応するIFカード・ポートが電源OFFされたことは、ネットワーク10上の他のノードに知らされない。
【0122】
これより、ネットワーク10に従来ノードが混在していた場合でも、従来ノードは電源OFFリンクを意識することなく従来通り動作することができる。例えば、本実施形態1に係るノード1から従来ノードへの制御データや、従来ノードからノード1への制御データは従来通りとなる。よって、本実施形態1に係るノード1は、ネットワーク10(MPLS/GMPLS網)の一部分に導入可能である。このため、ネットワークへの省電力化の技術の導入が容易である。ただし、ネットワーク10の一部にノード1を導入する場合には、電源OFF制御を意図する区間にノード1を対向配置することが要求される。従来ノードとノード1とを対向配置した場合には、図6に示したような、迂回経路確認後の電源OFF制御ができない。
【0123】
なお、動作例1−1では、図6のS5で、ノードB内の迂回経路生成処理56では、未使用リンクに係る対向ノードDにおいて、ノードDから未使用リンクを通り得る全てのパ
ス設定パターンについて迂回経路が算出されているか否かを確認する。確認した結果、ノードDにおいて、ノードDから未使用リンクを通り得る全てのパス設定パターンについて迂回経路が算出されない場合、未使用リンクの機能を停止させないこととした(S5;No
)。しかしながら、本実施形態はこれに限定するものではなく、S5の確認処理を行わないようにしてもよい。すなわち、自ノードBにおいて、自ノードBから未使用リンクを通り得る全てのパス設定パターンについて迂回経路が算出されると(S4;Yes)、S6、
7へ進み、迂回経路を記憶し、未使用リンクに係る未使用ポートへの給電をOFFするようにしてもよい。
【0124】
以上、監視制御装置18により電源OFF要求を受信したノード1(ノードB)についての動作例を説明したが、電源OFF要求を受信したノードDにおいても、上述したノードBと同様の処理が行われる。また、動作例1では、ノードに対する電源OFF要求は、監視制御装置18により指示されることとしたが、これに限るものではなく、ネットワーク10を統括する処理が組み込まれたノードが、自律的に電源OFF経路を指定するようにしてもよい。
【0125】
また、図6に示したS4、S5は順不同である。さらに、ノード間の制御データによる相互通信には、InBand通信及びOutBand通信のどちらが使用されてもよい。
【0126】
このように、対象区間に関連する少なくとも全てのパス設定パターンに対する迂回経路が得られたことを条件として、当該区間に対する電源をオフにすることにより、データ伝送の代替経路がないために電源をオフにできない区間が、誤って電源がオフされることによってデータ伝送ができなくなることを防ぐことができる。
【0127】
[動作例1−2 電源OFFリンクの起動]
次に、ネットワーク10において、電源OFFリンク(図6の処理によって電源がOFFになった区間(リンク))を含む新たなパスを設定するためのパス開通要求が発生した際のノードの動作を説明する。
【0128】
図11は、実施形態1に係る電源OFFリンク起動フローの一例を示す図である。図11は、電源OFFリンクが接続されたノード1が、電源OFFリンクを含む新たなパスについてのパス設定要求を受信した際の動作を示す。当該フローを説明する前に、ネットワーク10のノード1が新たなパス開通要求を受信し、電源OFFリンクが接続されたノードが対応するパス設定要求を受信するまでの動作について、以下説明を行う。
【0129】
図12、図13は、動作例1−2の説明図である。図12には、図7に示したネットワーク10の一部が図示されており、リンクB−Dに係る電源OFFが実施されていると仮定する。ノードAが、監視制御装置18から新たなパス開通要求である制御データを受信する。パス開通要求は、パスの始点(ノードA)と終点(ノードD)との指定を含む。パス開通要求を受信したノードA内のコマンド解析処理51(図5)(コマンド解析回路21(図3A))では、パス開通要求を解析する。コマンド解析処理51では、解析の実施後、パス開通要求に設定された始点(ノードA)から終点(ノードD)までの最短経路の算出をOSPF処理55(図5)(OSPF処理を行うCPU20(図3A))に指示する。これより、OSPF処理55により最短経路が算出される。
【0130】
本動作例1−2では、OSPF処理55により算出される最短経路が、省電力化のために機能が停止された電源OFFリンク(リンクB−D)を含んでいる。ここで、OSPF処理55では、図12に示すように、例えば、ポートA-a、ポートB-b、ポートB-d、ポー
トD-aを通る経路、すなわち、経路A−B−Dを最短経路として算出したと仮定する。な
お、始点Aから終点Dへ向かう経路A−B−Dの場合、電源OFFリンクB−Dについて
は、ノードBを上流ノード、ノードDを下流ノードと呼んでもよい。
【0131】
ノードA内のOSPF処理55により新たなパス開通要求に対する最短経路が算出されると、ノードA内のRSVP処理54(図5)(RSVP処理を行うCPU20(図3A))により、当該最短経路を設定するための新たなパス設定要求(Path Message)が、最短経路上の隣接ノードであるノードBへ送信される。すると、ノードBは、図11に示した処理を開始する。
【0132】
ノードBの迂回経路判定処理57(図5)(迂回経路判定回路32(図3A))では、ノードAより、新たなパス開通要求に対する最短経路を設定するための新たなパス設定要求(Path Message)である制御データを受信する(S21)。ノードB内の迂回経路判定処理57では、迂回経路情報DB35を参照することで、パス設定要求で示された新たなパスの経路が、電源OFFリンクを含むか否かを判定する(S22)。迂回経路情報DB35(図10)には、パス設定要求で指定された経路(B-b, B-d)を含むパス設定パターンのエントリが登録されている。このため、迂回経路情報DB35を参照することで、電源OFFリンクの情報を取得することができる。例えば、迂回経路判定処理57では、迂回経路情報DB35に格納されたパス設定パターン(上流ポート及び下流ポートの組合せ)が、パス設定要求に含まれる新たなパスのポートA-a、B-b、B-d、D-aに含まれるかを確認する。パス設定要求で指定された経路は、迂回経路情報DB35に登録されたパス設定パターンに対応する。これより、迂回経路判定処理57では、パス設定要求に電源OFFリンクが含まれることを判定することができる。
【0133】
S22で判定を行った結果、パス設定要求に電源OFFリンクが含まれない場合(S22;No)は、図11に示す電源OFFリンク起動フローを終了し、ノードBは、従来通りのパス設定手順を行う。一方、電源OFFリンクが含まれる場合(S22;Yes)、迂回
経路判定処理57では、当該電源OFFリンクを迂回する迂回経路を含むパス(迂回パス)を開通させる(S23)。迂回経路判定処理57では、迂回経路情報DB35から引き出された迂回経路情報をRSVP処理54に渡す(S23)。RSVP処理54では、パス設定要求中の要求経路の一部を、迂回経路情報に従って書き換え、迂回経路に相当するポート(ポートB-c)からパス設定要求(Path Message)を送出する(S23)。これに
よって、パス設定要求は、電源OFFリンクを迂回してノードCへ転送される。
【0134】
図13に示すように、パス設定要求は、迂回経路情報に従って、ノードCを経由してノードDに到達する。その後、ノードDによって応答メッセージが生成され、応答メッセージが逆の経路、すなわち、ノードC,ノードBを辿って、ノードAに到達する。このようにして、電源OFF区間を迂回するパスが確立される。
【0135】
また、ノードBの迂回経路判定処理57では、パスを開通させるために、自ノード内のカードのハードウェア設定をカード設定処理52(図5)(カード設定回路22(図3A))に指示する。カード設定処理52では、迂回経路が通る自ノードのポートに対応するIFカード及びSWカードに対して、当該迂回経路が開通するようハードウェア設定を行う。図13の例では、ノードB内のカード設定処理52では、迂回経路が通る自ノードのポートB-b、B-cに対応するIFカード及びSWカードに対して、ハードウェア設定を行う。
【0136】
また、迂回経路判定処理57では、新たなパス開通要求に対応する新たなパス設定要求に含まれる新たなパスの情報、すなわち、元々の要求経路の情報を、要求経路情報DB36に記憶する(S24)。
【0137】
図14は、実施形態1に係る要求経路情報DB36(図3A,図3B)に格納される要求
経路情報のデータ構造例を示す図である。図14の各行は、各要求経路情報を表す。図14に示すように、要求経路情報DB36の各行には、要求経路ポート1〜4の項目が含まれる。要求経路ポート1〜4は、新たなパス設定要求に含まれる元の要求経路が通るポートを順に示している。
【0138】
なお、図14の例では、図7に示したネットワーク構成に鑑み、4つのポートのポート識別子が登録される例を示したが、設定すべきパスが通過する全てのポートの識別子が登録される。従って、パスが通過するノード数に応じて、登録されるポート識別子の数も変動する。
【0139】
図11に戻り、S24では、迂回経路判定処理57において、図14に示したように、新たなパス設定要求に含まれる元々の要求経路が通る各ポートの情報を、要求経路情報DB36に格納する。例えば、迂回経路判定処理57では、新たなパス設定要求に含まれる要求経路情報として、要求経路ポート1:A-a、要求経路ポート2:B-b、要求経路ポート3
:B-d、要求経路ポート4:D-aを要求経路情報DB36に記憶する。
【0140】
さらに、ノードB内の迂回経路判定処理57では、自ノード内の電源OFFリンクB−Dに対応するIFカード・ポート、すなわち、ポートB-dに対応するIFカード・ポート
の電源ONを電源駆動回路59(図5)(電源駆動回路6(図3A))に指示する(S25)。これより、電源駆動回路59によりポートB-dに対応するIFカード・ポートの電
源がONにされる(S25)。ノードB内の迂回経路判定処理57では、ポートB-dに対
応するIFカード・ポートの電源がONにされたことを示す制御データをインバンド又はアウトバンド通信によりノードDに通知する。
【0141】
当該制御データを受信したノードDのコマンド解析処理51では、当該制御データを解析し、ポートB-dに対応するIFカード・ポートの電源がONにされたことを迂回経路判
定処理57へ通知する。迂回経路判定処理57では、LSDB27に格納された情報を参照することで、ポートB-dに接続された自ノードのポートがポートD-aであると判断する。具体的には、ノードDの迂回経路判定処理57では、LSDB27のノードID及びリンクIDがポートB-dとなるレコードの対向ノードID及び対向リンクIDがポートD-aであることにより、ポートB-dに接続されたポートがポートD-aであることを判断する。ノードDの迂回経路判定処理57では、判断されたポートD-aに対応するIFカード・ポートの
電源ONを電源駆動回路59に指示する。電源駆動回路59は、ポートD-aに対応するI
Fカード・ポートの電源をONにする。ノードD内の迂回経路判定処理57では、ポートD-aに対応するIFカード・ポートの電源がONにされたことを示す制御データをノード
Bへ送信する。
【0142】
ノードB内の迂回障害帯域監視処理58(図5)(迂回障害帯域監視回路33(図3A))では、電源OFFリンクB−Dが正常に起動したことを確認する(S26)。なお、「電源OFFリンクが正常に起動する」とは、電源OFFリンクに対応するポートへの電力供給が開始されたことにより、「電源OFFリンクが通信データを正常に送信することができる状態になること」をいう。すなわち、「電源OFFリンクが正常に起動する」とは、「電源OFFリンクにおいてデータ転送が正常に行われる状態になること」をいう。
【0143】
S26において、ノードB内の迂回障害帯域監視処理58では、電源OFFリンクB−Dに対応するIFカード・ポートのハードウェアの障害状態からの復旧を検出した時点で、電源OFFリンクB−Dが正常に起動したと判断する。具体的には、迂回障害帯域監視処理58では、電源OFFリンクB−Dに係る自ノードB内のポートB-d及び電源OFF
リンクB−Dに係る対向ノードD内のポートD-aが電源OFF状態(障害状態)から復旧
したことを検出する。迂回障害帯域監視処理58では、ポートB-d及びポートD-aが障害状
態から復旧したことを確認した時点で、電源OFFリンクB−Dが正常に起動したと判断する。
【0144】
なお、迂回障害帯域監視処理58では、IFカードを監視するノードB内のカード監視処理53(図5)(カード監視回路23(図3A))によって、ポートB-dに対応するI
Fカード・ポートが障害状態から復旧したことを通知されることで、当該復旧の検出が可能である。
【0145】
図15は、実施形態1に係るIFカード・ポートの電源電圧と時間の関係の一例を示す図である。図15は、縦軸をIFカード・ポートの電源電圧、横軸を時間とするグラフであり、IFカード・ポートが電源ONにされた際のIFカード・ポートの電源電圧の時間変化を示す。時間t=0の時点で、IFカード・ポートの電源がONにされる。時間t1では
、IFカードのハードウェア(以下、「HW」という)が全て起動された状態(以下、「HW
Ready」という)となる。これより、IFカードのソフトウェア(以下、「SW」という)が起動する。時間t2では、SWが起動されたことにより、HWの設定が完了した状態となり、データを送信することが可能な状態となる(以下、「traffic ready」という)。traffic
readyの状態になると、時間t3で、IFカードのハードウェアについての監視が開始される。なお、時間t3が経過するまでに、IFカードのハードウェアのウォームアップ時間及びコンフィグレーション時間が経過することとなる。
【0146】
図15に示した例では、カード監視処理53では、時間t3でIFカードのHWの監視を開始し、HWに障害が発生していないこと、例えば、ハード障害レジスタに格納された情報が“障害無し”を示すことを確認することにより、IFカード・ポートの復旧を確認する。なお、例えば、カード監視処理53では、IFカード内のハード障害レジスタの値(“0”/“1”)をポーリングすることでIFカードのHWの監視を行い、HWに障害が発生しているか否かを確認する。この場合、カード監視処理53では、例えば、ハード障害レジスタの値が障害有り“1”から障害無し“0”に変化したことを検出すると、IFカード・ポートが復旧したと判断する。
【0147】
このように、迂回障害帯域監視処理58では、カード監視処理53による通知によってポートB-dが障害状態から復旧したことを確認すると、ポートB-dが復旧したことを、迂回経路生成処理56へ通知する。迂回経路生成処理56では、復旧したポートB-dの対向ノ
ードDに対して、ポートB-dが復旧したことを制御データで通知する。
【0148】
なお、対向ノードDにおいてもノードBと同様の手順で、ポートD-aの復旧を確認する
。対向ノードDにおいてポートD-aに対応するIFカード・ポートが障害状態から復旧し
た場合、すなわち、ポートD-aが復旧した場合、ポートD-aの復旧がノードBへ制御データで通知される。ノードB内の迂回障害帯域監視処理58では、当該制御データを受信することにより、ポートD-aに対応するIFカード・ポートが障害状態から復旧したこと、す
なわち、ポートD-aの復旧を確認することができる。なお、ノードB内の迂回障害帯域監
視処理58では、当該制御データを、コマンド解析処理51を介して受信するようにしてもよい。このように、ノードB内の迂回障害帯域監視処理58では、電源OFFリンクに対応するIFカード・ポートが復旧することにより、電源OFFリンクB−Dが正常に起動したと判断する。
【0149】
迂回障害帯域監視処理58では、電源OFFリンクB−Dが正常に起動したことを確認できるまで待つ。迂回障害帯域監視処理58では、電源OFFリンクB−Dが正常に起動したことを確認できた場合(S26;Yes)、S27の処理へ進む。
【0150】
S27では、迂回経路生成処理56(図5)(迂回経路生成回路31(図3A))にお
いて、要求経路情報DB36から、S24において記録された要求経路情報(図14)を読み出し、当該要求経路についてパス設定要求を行う(S27)。具体的には、迂回経路生成処理56では、読み出した要求経路情報をRSVP処理54に出力し、RSVP処理54において、当該要求経路情報を含むパス設定要求を要求経路上の次ノード(ノードD)へ送信させる。当該パス設定要求は、電源OFFリンクであったリンクB−Dを通じてノードDへ到達する。
【0151】
迂回経路生成処理56では、パス設定要求に対応する応答メッセージの受信を待機する(S28)。迂回経路生成処理56では、応答メッセージを受信することで、要求経路のパス設定の完了を確認すると(S28;Yes)、S29の処理へ進む。
【0152】
S29では、迂回経路生成処理56において、カード設定処理52に、通信データを送信するパスを、迂回経路から要求経路へ切り替えるよう指示する。すなわち、迂回経路生成処理56では、迂回パスからパス設定要求で設定が要求された、電源OFFリンクを含むパスへ切り替えるよう指示する。これより、カード設定処理52では、通信データを送信するパスを、迂回経路から要求経路へ切り替える(S29)。すなわち、カード設定処理52では、ポートB-bから受信されるデータが、迂回経路であるポートB-cではなく、要求経路であるポートB-dから出力されるように、入側ラベルと出側ラベルとの対応関係を
変更する。
【0153】
図16及び図17は、パス切替え及び迂回経路削除の説明図である。図16では、迂回経路を点線で、要求経路を実線で示している。図16の例では、カード設定処理52では、通信データが転送されるパスを、ポートA-a、B-b、B-c、C-a、C-d、D-cを通る迂回経路から、ポートA-a、B-b、B-d、D-aを通る要求経路へ切替える。
【0154】
S29で通信データを送信するパスの切替えが完了すると、ノードB内の迂回経路生成処理56では、不要となった迂回経路であるポートB-c、C-a、D-cを通る経路を削除する
(S2A)。具体的には、迂回経路生成処理56では、RSVP処理54へ、不要となった迂回経路の各ポートB-c、C-a、D-cの情報を出力し、迂回経路を削除するパス設定要求
を迂回経路の次ノード(ノードC)へ送信するよう指示する。当該パス設定要求が順に迂回経路上のノードC,ノードDへ送信されることにより、当該迂回経路が削除される。
【0155】
図17に示すように、ノードB内の迂回経路生成処理56により、不要となった迂回経路であるB-c、C-a、D-cを通る経路は削除される。これより、要求経路であるポートA-a、B-b、B-d、D-aを通る経路のみが開通されている状態となる。
【0156】
また、図11に示すS2Aの処理では、要求経路に含まれる当該電源OFFリンクについて図6のS6で記憶された迂回経路情報が、迂回経路情報DB35から削除される。
【0157】
なお、図11のフローにおけるS29、S2Aの動作は、従来技術であるmake before breakの動作と同様である。Make before breakは、既存の開通(設定)しているパスを削除(切断)する前にパスのルートを変更するための新規パスを設定し、当該新規パス設定後に、パスの始点ノードで既存パスから新規パスにトラフィックを移行する方法である。なお、Make before breakでは、さらに、トラフィック移行後、既存パスを削除(切断)
する。これより、サービス断を伴わずにパスのルートを変更することができる。
【0158】
なお、図11に示したS23、S24、S25は順不同である。例えば、IFカードポートの電源をONにした後に、迂回経路でパス設定を行うこともできる。この方法によれば、パス設定を行ってから要求経路のデータ伝送が可能になるまでの時間を短縮することができるため、迂回経路を用いてデータを伝送する時間帯の短縮化を図ることができる。
この方法は、特に迂回経路と要求経路との距離差が大きいほど有効である。また、ノード間の制御データによる相互通信には、InBand通信及びOutBand通信のどちらが使用されて
もよい。
【0159】
動作例1−2では、図11のS24において、要求経路情報を要求経路情報DB36へ記憶することとした。しかしながら、S27で当該要求経路情報を用いて要求経路についてのパス設定を行った後は、当該要求経路情報は不要であるため、S27の後のステップで、当該要求経路情報は要求経路情報DB36から削除されるようにしてもよい。なお、当該要求経路情報の削除は、迂回経路生成処理56または迂回経路判定処理57のどちらで行ってもよい。
【0160】
[動作例1−3 経路障害発生時]
ネットワーク10において、経路障害が発生した際のノードの動作を、図18のフローチャート、図19の動作例1−3の説明図を用いて以下に説明する。
【0161】
図18は、実施形態1に係る経路障害発生時フローの一例を示す図である。図19は、図7に示したネットワーク10の一部と同様のものである。図19に示すリンクB−Dは、図6に示した処理の実行によって、電源OFFリンクとなっている。
【0162】
図18に示す処理は、周期的に実行される。図18の処理が開始されると、ノードB内の迂回障害帯域監視処理58(図5)(迂回障害帯域監視回路33(図3A))において、迂回経路情報DB35に格納された迂回経路情報(図10)を取得する(S31)。迂回経路情報を取得した迂回障害帯域監視処理58では、当該迂回経路情報で示されたすべての迂回経路の状態、すなわち、当該迂回経路に対応するIFカードの状態を監視する(S32)。迂回障害帯域監視処理58では、自ノード内の迂回経路に障害が発生しているか否かを確認する(S33)。ノード内の障害は、カード監視処理53(図5)(カード監視回路23(図3A))により検知可能である。そのため、迂回障害帯域監視処理58では、カード監視処理53の結果、自ノードに接続されたリンクに障害が発生した旨を通知されることで、当該リンクに障害が発生したことを確認できる。
【0163】
迂回障害帯域監視処理58では、ノード内の障害発生を確認した場合(S33;Yes)
、迂回経路生成処理56(図5)(迂回経路生成回路31(図3A))へ迂回経路の障害を通知し、S35の迂回経路の再計算処理へ進む。迂回障害帯域監視処理58では、ノード内の障害発生を確認しない場合(S33;No)、S34の処理へ進む。S34では、迂回障害帯域監視処理58では、自ノード外の迂回経路(リンク)に障害が発生しているか否かを確認する(S34)。ここで、自ノードに接続されていないリンクにおける障害は、自ノード内のカード監視処理53により検知することはできない。そのため、迂回障害帯域監視処理58では、自ノードに接続されていないリンクにおける障害発生状況については、LSDB27を参照することで確認する。具体的には、迂回障害帯域監視処理58では、自ノードに接続されていないリンクに該当するLSDB27のレコードを確認し、使用可能帯域が0であるか否かを確認する。
【0164】
迂回障害帯域監視処理58では、迂回経路の障害発生を確認しない場合(S34;No)、本経路障害発生時フローを終了する。迂回障害帯域監視処理58で、障害発生を確認した場合(S34;Yes)、迂回障害帯域監視処理58において、迂回経路生成処理56へ
迂回経路の障害を通知する。このように、迂回障害帯域監視処理58では、自ノードに接続された未使用リンクを迂回する全ての迂回経路の状態を監視し、自ノードに接続されたリンク及び接続されていないリンクの少なくとも一方に障害がある場合、迂回経路生成処理56へ通知する。
【0165】
図19は、経路障害の一例を示す図である。図19のように、リンクB−Cに障害が発生した場合、ノードBの迂回障害帯域監視処理58では、S33で、自ノードに接続されたリンクにおける障害が発生したことを確認する。これより、迂回障害帯域監視処理58では、迂回経路生成処理56へ迂回経路に含まれるリンクB−C、すなわち、ポートB-c
とポートC-aの間のリンクにおいて障害が発生している旨を通知する。
【0166】
迂回経路の障害が通知された迂回経路生成処理56では、当該電源OFFリンクについて、障害が発生したリンクB−Cを通らない迂回経路を算出する(S35)。なお、S35で行われる迂回経路の算出方法は、図6のS3における迂回経路の算出方法と同様であるため、詳細説明を省略する。なお、迂回経路生成処理56では、S35で、電源OFFリンクに対応するポートB-dに加え、障害が発生したリンクに対応するポートB-cを迂回経路が通らないことを条件に、迂回経路を算出する。
【0167】
迂回経路生成処理56では、迂回経路を再計算した結果、自ノードBにおいて、自ノードBから当該電源OFFリンクを通りうるすべてのパス設定パターンについて、障害が発生したリンクB−Cを通らない迂回経路が算出されたか否かを確認する(S36)。図19の例では、迂回経路生成処理56において、上流ポートB-a、B-b、B-cから下流ポートB-dへ流入する各パスについて迂回経路を算出する。上流ポートB-a及び上流ポートB-cの場合、ポートB-d及びポートB-cを通らない迂回経路として、ポートB-b、A-a、A-d、D-bを通る迂回経路が算出される。しかしながら、上流ポートB-bの場合、ポートB-d及びポートB-cを通らない迂回経路が存在しないため、迂回経路が算出されない。
【0168】
このように、自ノードBから電源OFFリンクを通りうるすべてのパス設定パターンについて、障害が発生したリンクB−Cを通らない迂回経路が算出されない場合(S36;No)、迂回経路生成処理56では、電源OFFリンクに係る給電停止状態を維持できないと判断する。電源OFFリンクを含むパス設定要求に対して、一旦迂回させておくための迂回経路が存在しないため、電源OFFリンクを復旧させる際にサービス断が生じる可能性があるからである。これより、迂回経路生成処理56では、電源駆動回路59(図5)(電源駆動回路6(図3A))へ、電源OFFリンクB−DのポートB-dに対応するIF
カード・ポートの電源ONを指示する(S37)。また、迂回経路生成処理56では、ポートB-dに対応するIFカード・ポートが電源ONされたことを、電源OFFリンクの対
向ノードDに制御データで通知する。なお、当該制御データを受信した、ノードDの迂回経路生成処理56では、ポートB-dに接続するポートD-aに対応するIFカード・ポートの電源ONを、自ノードの電源駆動回路59へ指示する。
【0169】
また、ノードB内の迂回経路生成処理56では、S37で電源ONにされたIFカード・ポートに対応する電源OFFリンクについて、当該電源OFFリンクに対して格納された迂回経路情報を、迂回経路情報DB35から削除する(S38)。S38で当該迂回経路情報が削除されると、図18の経路障害発生時フローを終了する。S36の処理の説明に戻る。
【0170】
自ノードBから電源OFFリンクを通りうるすべてのパス設定パターンについて、障害が発生したリンクB−Cを通らない迂回経路が算出された場合(S36;Yes)、迂回経
路生成処理56では、S35で新たに算出された迂回経路情報により、迂回経路情報DB35を更新する(S39)。すなわち、迂回経路生成処理56では、図6のS6で記憶された迂回経路情報を、図18のS35で再計算された迂回経路情報で上書きする。S39で迂回経路情報DB35が更新されると、図18の経路障害発生時フローを終了する。
【0171】
このように、迂回経路の障害が発生した場合に他の迂回経路の算出を行い、他の迂回経路が算出されない場合に、迂回経路の代替区間に対する電源をオンにすることにより、迂回
経路に障害が発生した場合でもデータ伝送経路を確保することが可能となるため、サービス断の影響を低減させることができる。
【0172】
以上、電源OFFリンクに接続されたノードBについての動作例を説明したが、電源OFFリンクに接続されたノードDにおいても、ノードBと同様の処理が行われる。図19のように、ポートB-cとポートC-a間のリンクに障害が発生した場合、当該リンクはノードDに接続されていないため、ノードDは、S34においてLSDB27を参照することにより、当該障害を検知することとなる。
【0173】
なお、図18に示したS33、S34は順不同である。なお、ノード間の制御データによる相互通信には、InBand通信及びOutBand通信のどちらが使用されてもよい。
【0174】
また、上記動作例1では、迂回障害帯域監視処理58において、迂回経路における障害発生状況を監視することとしたが、これに限るものではなく、迂回経路における帯域の枯渇状況(使用状況)を監視するようにしてもよい。迂回障害帯域監視処理58では、迂回経路における帯域の使用状況を監視し、当該帯域が輻輳していると判断すると、当該迂回経路は使用不可能であると判断する。これより、障害発生時と同様に、S35の迂回経路の再計算処理が行われる。迂回障害帯域監視処理58では、例えば、未使用帯域(使用可能帯域)が所定の閾値以下である場合や使用帯域が所定の閾値以上である場合に、当該帯域が輻輳していると判断するようにしてもよい。また、未使用帯域とリンクにおいて使用される帯域(全使用可能帯域)との比率が所定の閾値以下である場合や使用帯域と全使用可能帯域との比率が所定の閾値以上である場合に、輻輳と判断されるようにしてもよい。なお、迂回障害帯域監視処理58において迂回経路の帯域使用状況を監視する際は、帯域の使用状況(情報)をLSDB27から取得することで監視可能である。また、自ノードに接続されたリンクにおける帯域の使用状況については、カード監視処理53において取得することが可能である。なお、迂回障害帯域監視処理58では、迂回経路における障害発生状況及び帯域の枯渇情報の両者を監視するようにしてもよい。
【0175】
<実施形態の効果>
実施形態によると、ノード1は、迂回経路生成処理56において、未使用リンクに係る未使用ポートの電源をオフする前に、予め未使用リンクを通過しうる全てのパス設定パターンに対応する迂回経路を算出、記憶する。そのため、当該未使用リンクを迂回する迂回経路の情報を記憶しておくことができる。これより、電源オフにされたポートを起動する際に、記憶しておいた迂回経路情報に基づき、電源OFFリンクを含むパスの代わりに迂回経路を含むパス(迂回パス)を開通させることが可能となる。よって、実施形態によれば、電源OFF区間を含むパス設定要求時における、パス設定要求からパス開通までの遅延を回避することができる。これより、サービス断の発生を回避することも可能となる。ノード1は、パス設定要求からパス開通までの遅延を回避することができることから、任意の経路について機能停止、すなわち、当該経路に対応するポートの電源をOFFにすることが可能である。
【0176】
また、実施形態によると、ノード1は、迂回経路生成処理56において、未使用リンクの両端ノードにおいて迂回経路が存在したことを確認できた場合に限り、迂回経路情報を記憶し、未使用リンクの機能停止を行う。これより、両端ノードの少なくとも一方において、未使用リンクを迂回する迂回経路が算出できない場合は、当該未使用リンクの機能停止が行われないようにすることができる。よって、機能停止された当該未使用リンク(電源OFFリンク)を起動する際に、電源OFFリンクの両端ノードにおいて、記憶しておいた迂回経路情報に基づき、当該電源OFFリンクを通るパスの代わりに迂回経路を含むパス(迂回パス)を開通させることが可能となる。これより、電源OFF区間を含むパス設定要求時における、パス設定要求からパス開通までの遅延を回避することができる。
【0177】
また、実施形態によると、ノード1は、迂回経路判定処理57において、新たなパス設定要求に係る新たなパスに電源OFFリンクが含まれるか否かを判定することで、迂回経路へパスを開通させるべきか否かを判定することができる。また、ノード1は、迂回経路判定処理57において、電源OFFリンクを含むと判定された新たなパスについてパスを開通させる前に、迂回パスを開通させる。これより、電源OFF区間を含むパス設定要求時における、パス設定要求からパス開通までの遅延を回避することができる。また、ノード1は、迂回経路生成処理57において、電源OFFリンクが復旧した後に、電源OFFリンクを含む新たなパスを開通させ、迂回経路を流れるデータを新たなパスへ送信するようパス切替えを行う。これより、パス切替えを行う際に発生するサービス断を回避することが可能となる。
【0178】
また、実施形態によると、ノード1は、迂回障害帯域監視処理58において、電源OFFリンクを迂回する迂回経路の状態を監視することで、電源OFFリンクを迂回する迂回経路が正常であるか否かを把握することが可能である。迂回障害帯域監視処理58により迂回経路内の障害等が検出されると、迂回経路生成処理56において、他の迂回経路を算出することで、データを送信することが可能である正常な迂回経路を記憶することができる。
【0179】
また、ノード1は、電源OFFリンクについて障害等が検出された区間を通らない迂回経路が存在しない場合、迂回経路生成処理56において、電源OFFリンクを起動することで、迂回経路が存在しない電源OFFリンクの機能停止状態を維持させないようにすることができる。すなわち、迂回経路が存在したため、機能が停止された未使用リンクであっても、その後に、当該迂回経路上に障害等が発生することで迂回経路が存在しなくなった場合は、当該未使用リンクの機能停止状態を維持せず、当該未使用リンクが起動される。これより、電源OFF区間を含むパス設定要求時における、パス設定要求からパス開通までの遅延を回避することができる。
【0180】
また、ノード1は、前記迂回障害帯域監視処理58において、未使用リンクに係るIFカード・ポートの電源をOFFにした場合、当該IFカード・ポートは電源OFFリンクに対応するものと判断し、当該IFカード・ポートの電源OFF状態を他のノードへ通知させない。これより、未使用リンクが機能停止にされた場合であっても、他のノードは当該未使用リンクが機能停止状態であることを意識する必要がない。よって、ネットワークに従来ノードと実施形態に係るノードが混在していた場合でも、従来ノードは電源OFFリンクを意識することなく従来通り動作することができる。従って、実施形態に係るノード1は、ネットワークの一部分に導入可能であり、ネットワークへの省電力化の技術の導入が容易となる。
【0181】
<変形例1>
本実施形態(動作例1−2)では、図11のS26において、ノードB内の迂回障害帯域監視処理58において電源OFFリンクB−Dが正常に起動したことを確認する方法として、IFカード・ポートの障害状態からの復旧を検出する方法を例示した。しかしながら、本実施形態はこの方法に限るものではなく、以下の方法1又は方法2を用いることで、電源OFFリンクB−Dが正常に起動したことを確認するようにしてもよい。
【0182】
(方法1:正常に起動するまでの時間待機する)
方法1は、IFカード・ポートが正常に起動するまでの時間が経過した時点で、電源OFFリンクB−Dが正常に起動したと判断(確認)する方法である。ここで、「IFカード・ポートが正常に起動する」とは、IFカード・ポートの電源がONにされ、当該IFカード・ポートのHWの設定が完了していることをいう。ノードB内の迂回障害帯域監視処
理58において、電源OFFリンクB−Dに対応するIFカード・ポートの電源がONされてから、当該IFカード・ポートが正常に起動するまでの時間待機する。図15の例では、迂回障害帯域監視処理58において、HWの設定が完了する時間t2+αの時間だけ待機
する。αは、時間t2に対するマージンである。すなわち、迂回障害帯域監視処理58では、IFカード・ポートのHWの設定が完了するまでにかかる時間t2が経過した後、時間α分がさらに経過した時点で、IFカード・ポートが正常に起動したと判断することができる。
【0183】
なお、電源OFFリンクの対向ノードDにおいても、ノードBと同様にIFカード・ポートが正常に起動したことが確認される。これより、ノードB内の迂回障害帯域監視処理58では、対向ノードDから、対向ノードD内の電源OFFリンクに対応するIFカード・ポートが正常に起動した旨の制御データを受信する。これより、ノードB内の迂回障害帯域監視処理58では、電源OFFリンクに接続された自ノード及び対向ノードに対応するIFカード・ポートがそれぞれ正常に起動したことを確認することができる。このように、迂回障害帯域監視処理58において、電源OFFリンクに対応するIFカード・ポートが正常に起動したことを確認することで、電源OFFリンクB−Dが正常に起動したと判断することができる。なお、迂回障害帯域監視処理58では、対向ノードDにおけるIFカード・ポートの正常起動を確認することなく、自ノードBにおけるIFカード・ポートの正常起動のみを確認することで、電源OFFリンクB−Dが正常に起動したと判断することもできる。
【0184】
(方法2:制御データの送信)
方法2は、電源OFFリンクB−Dを用いて、制御データが対向ノードへ正常に送信されることにより、電源OFFリンクB−Dが正常に起動したと判断(確認)する方法である。ノードB内の迂回障害帯域監視処理58では、電源OFFリンクに係る対向ノードDに対して制御データを送信する。ノードB内の迂回障害帯域監視処理58では、当該制御データを正常に送信できたことを確認した時点で、電源OFFリンクB−Dが正常に起動したと判断することができる。また、これに限らず、ノードB内の迂回障害帯域監視処理58では、制御データを受信したノードDから、正常に当該制御データを受信した旨の応答データを制御データで受信した時点で、電源OFFリンクB−Dが正常に起動したと判断することもできる。図15の例では、迂回障害帯域監視処理58において、時間t2でHW設定が完了した後に、制御データが正常に送信されたこと又は受信されたことを確認することとなる。なお、電源OFFリンクB−Dの両端ノードがそれぞれ対向ノードへ制御データを送信し、各制御データが対向ノードで正常に受信されることにより、電源OFFリンクB−Dが正常に起動したと判断することもできる。また、迂回障害帯域監視処理58では、対向ノードDに対する制御データの送信を、他の処理へ指示するようにしてもよい。このように、迂回障害帯域監視処理58では、電源OFFリンクを経由する制御データが正常に送受信できたことにより、電源OFFリンクB−Dが正常に起動したと判断することができる。
【0185】
<変形例2>
本実施形態(動作例1−2)では、ノードBのポートB-dに対応するIFカード・ポー
トの電源をONにしたことを、制御データによりノードDへ通知することとしたが、これに限定するものではない。例えば、ポートB-dに対応するIFカード・ポートの電源がO
Nにされたことを示す情報を、ポートBからポートDへ送信される、迂回経路についてのパス設定要求に含めることができる。
【0186】
この場合、図11のフローにおいて、S23とS25が行われる順番が入れ替わることとなる。具体的には、図11のS22でパス設定要求に電源OFFリンクが含まれると判断されると(S22;Yes)、S25の処理が行われる。S25では、動作例1−2で示
したとおり、電源駆動回路59により、ポートB-dに対応するIFカード・ポートの電源
がONにされる。S25でポートB-dに対応するIFカード・ポートの電源がONになる
と、S24で要求経路情報が記録される。S24で要求経路情報が記録されると、S23で、RSVP処理54では、迂回経路についてノードBからノードDへパス設定要求を送出する。なお、RSVP処理54では、S25でポートB-dに対応するIFカード・ポー
トの電源がONにされたことを、電源駆動回路59から直接、又は、迂回経路判定処理57を介して通知される。これより、RSVP処理54では、S23において、ポートB-d
に対応するIFカード・ポートの電源がONにされたことを示す情報が含まれるパス設定要求を送出する。
【0187】
パス設定要求を受信したノードDでは、RSVP処理54、コマンド解析処理51、又は迂回経路判定処理57において、パス設定要求に含まれる前記情報を抽出することで、ノードBのポートB-dに対応するIFカード・ポートの電源がONにされたことを認識す
ることができる。なお、変形例2において、図11のS24は、S25の前に実行されてもよいし、S23の後に実行されるようにしてもよい。また、S25は、S23の前に実行されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0188】
1 ノード
1A、1B 隣接ノード
2 制御カード(回路)
3、4 IFカード(回路)
3A カード電源
5 SWカード(回路)
6 電源駆動回路
7 ポート回路
7A、7B ポート回路
7C ポート電源
8A、8B ポート回路
9 シャーシ
10 ネットワーク
12 ネットワークシステム
14、15 端末装置
16 外部電源
18 監視制御装置
20 CPU
21 コマンド解析回路
21A コマンド解析処理プログラム
22 カード設定回路
22A カード設定処理プログラム
23 カード監視回路
23A カード監視処理プログラム
24 メモリ
25 RSVPプログラム
26 OSPFプログラム
27 LSDB(トポロジテーブル)
31 迂回経路生成回路
31A 迂回経路生成処理プログラム
32 迂回経路判定回路
32A 迂回経路判定処理プログラム
33 迂回障害帯域監視回路
33A 迂回障害帯域監視プログラム
34 メモリ
35 迂回経路情報DB
36 要求経路情報DB
37 RAMメモリ
38 ROMメモリ
51 コマンド解析処理
52 カード設定処理
53 カード監視処理
54 RSVP処理
55 OSPF処理
56 迂回経路生成処理
57 迂回経路判定処理
58 迂回障害帯域監視処理
59 電源駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ伝送用のパスを確立する通信装置であって、
パスの設定要求を受信し、データ伝送ができないように電源をオフにしている区間を前記パスが含む場合に、記憶された前記区間に対応する迂回経路情報を用いて、前記区間を迂回する迂回パスを設定する設定回路と、
前記区間に対する電源をオンにする電源駆動回路と
を含み、
前記設定回路は、前記電源のオンによって前記区間を用いたデータ伝送が可能になった場合に、前記迂回パスを、前記区間を含むパスに切り替える
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
自装置を経て前記区間に至る全てのパス設定パターンに対してそれぞれ前記迂回経路の算出処理を行う算出回路と、
前記算出回路により算出された全てのパス設定パターンに対応する前記迂回経路についての迂回経路情報を記憶するメモリと
をさらに含み、
前記電源駆動回路は、少なくとも前記全てのパス設定パターンに対する前記迂回経路が得られたことを条件として、前記区間に対する電源をオフにする
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記電源駆動回路は、自装置とともに前記区間を形成する他の通信装置から、前記他の通信装置から前記区間へ至る全てのパス設定パターンに対応する迂回経路情報が得られたことを示す通知を受信したことをさらなる条件として、前記区間に対する電源をオフにする
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記算出回路は、前記迂回経路の障害が発生した場合に、他の迂回経路の算出を行い、
前記電源駆動回路は、他の迂回経路が算出されない場合に、前記区間に対する電源をオンにする
請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記算出回路は、前記迂回経路の未使用帯域が閾値以下の場合に他の迂回経路の算出を行い、
前記電源駆動回路は、他の迂回経路が算出されない場合に、前記区間に対する電源をオンにする
請求項2に記載の通信装置。
【請求項6】
メモリと、
前記メモリに格納されているプログラムを実行するプロセッサと、
を有し、
前記プロセッサは、
パスの設定要求を受信し、データ伝送ができないように電源をオフにしている区間を前記パスが含む場合に、前記メモリに記憶された前記区間に対応する迂回経路情報を用いて、前記区間を迂回する迂回パスを設定し、
前記区間に対する電源をオンにし、
前記電源のオンによって前記区間を用いたデータ伝送が可能になった場合に、前記迂回パスを、前記区間を含むパスに切り替える
ことを特徴とする通信装置。
【請求項7】
通信装置がデータ伝送用のパスを確立する方法であって、
パスの設定要求を受信し、データ伝送ができないように電源をオフにしている区間を前記パスが含む場合に、記憶された前記区間に対応する迂回経路情報を用いて、前記区間を迂回する迂回パスを設定し、
前記区間に対する電源をオンにし、
前記電源のオンによって前記区間を用いたデータ伝送が可能になった場合に、前記迂回パスを、前記区間を含むパスに切り替える
ことを含むパス確立方法。
【請求項8】
自装置を経て前記区間に至る全てのパス設定パターンに対してそれぞれ前記迂回経路の算出処理を行い、
前記算出された全てのパス設定パターンに対応する前記迂回経路についての迂回経路情報を記憶し、
少なくとも前記全てのパス設定パターンに対する前記迂回経路が得られたことを条件として、前記区間に対する電源をオフにする
ことを含む、請求項7に記載のパス確立方法。
【請求項9】
自装置とともに前記区間を形成する他の通信装置から、前記他の通信装置から前記区間へ至る全てのパス設定パターンに対応する迂回経路情報が得られたことを示す通知を受信したことをさらなる条件として、前記区間に対する電源をオフにする
ことを含む、請求項8に記載のパス確立方法。
【請求項10】
前記迂回経路の障害が発生した場合に、他の迂回経路の算出を行い、
他の迂回経路が算出されない場合に、前記区間に対する電源をオンにする
ことを含む、請求項8に記載のパス確立方法。
【請求項11】
前記迂回経路の未使用帯域が閾値以下の場合に他の迂回経路の算出を行い、
他の迂回経路が算出されない場合に、前記区間に対する電源をオンにする
ことを含む、請求項8に記載のパス確立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−70200(P2013−70200A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206740(P2011−206740)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】