説明

通信装置及び小型無線基地局

【課題】音声通話開始前に、音源機器のミュート操作可能な機器制御方法及び無線通信装置を提供する。
【解決手段】本発明は、小型無線基地局301と通信可能な範囲内において、音源機器にミュート信号を送信後、利用者の携帯端末に着呼信号を送信することにより、通話開始前に音源をミュートすることができる機器制御方法および無線通信装置を提供するものである。小型無線基地局301が有する着呼検知に加えて、音源機器を主導制御することにより、通信可能な範囲内で連携した制御を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型無線基地局と通信可能な範囲内の音源機器に対して、小型無線基地局が音声情報を検知すると、携帯端末へ音声通話を開始する信号を送信する前に、音源機器へミュート信号を送信し、自動的に音源をミュートできる通信装置及び小型無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の音量を自動的に調整する制御として、電話通話時にのみ音量を自動的に下げ、通話終了後は音量を自動的に元に戻すことが考えられている。(例えば、特許文献1参照)このものによれば、着信状態判定処理を設けて、通話終了後は自動的に音量を元に戻すことができる。
【0003】
また、無線通信機による電波の送受信信号に基づいて、音源機器の音量をミュートする音響制御装置が考えられている。(例えば、特許文献2参照)このものによれば、音響装置内部にノイズ検出手段を設けて無線通信機のノイズパターンを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−186587号公報
【特許文献2】特開2006−157786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたものでは、図1に示すように、音声着信の判定を行い(S101)着信があると、携帯端末のディスプレイに着信情報が表示され(S102)、通話開始の判定行う(S103)。通話開始後、音量の記憶、スピーカーの音量調整処理により音量調整を行い(S104)、通話終了の判定を行い(S105)、通話終了時にスピーカーの音量を元に戻す(S106)。すなわち、通話開始前に音量調整することができないという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載されたものでは、図2に示すように、ノイズ検出の判定を行い(S201)、ノイズが検出されると、ノイズ判定の処理を行い(S202)、ノイズパターンの照合を行い(S203)、ノイズパターン比較を行う(S204)。ノイズ源が携帯電話であるかノイズ判定を行い(S205)、携帯電話によるノイズであれば、ミュートモードの判定を行い(S206)、ミュートモードでない場合、ミュートモードの設定を行い(S207)、ミュート再生モード(S208)でミュート状態を継続する。また、携帯電話のノイズ判定(S205)で、携帯電話によるノイズでなければ、現在のミュートモードの状態の判定を行い(S209)、携帯電話がミュートモードであれば、ミュートモードをOFFにする(S210)。すなわちミュートモードを設定するのが、必ず電波の送受信後に発生するノイズを判定した後に行われるため、通話開始前に音量調整することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、通話開始前に小型無線基地局から音源機器へミュート信号を送信後、音声通話を開始する信号を送信する制御により、通話開始前に音量調整することができる通信装置及び小型無線基地局を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の小型無線基地局は、音声情報を検知する音声情報検出部と、音源機器の音声をミュートするミュート制御信号を生成し送信するミュート信号送信制御部と、前記ミュート制御信号を送受信する送受信部を備えた小型無線基地局と、前記小型無線基地局と通信可能な範囲内で前記ミュート制御信号を受信する送受信部と、前記ミュート制御信号による制御を行うミュート制御部を備えた音源機器とからなり、前記音声情報検出部が音声通話であることを検知すると、前記ミュート信号送信制御手段が携帯端末の通話開始前に前記ミュート制御信号を前記音源機器へ送信することを特徴とする。
【0009】
この構成により、本発明の小型無線基地局と音源機器は、音声情報検出時に相互通信による制御を自動的に実施することを特徴とし、音源機器がミュート制御された状態で、利用者の携帯端末に音声通話を開始する信号を送信することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の小型無線基地局と、音源機器の構成によれば、小型無線基地局が主導して周辺音源機器のミュート制御を行うことで、利用者がミュート操作を行う必要が無くなることに加えて、ミュート信号送信後に、音声通話開始信号を送信することで、ミュートされた状態で音声通話を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来技術における機器制御を説明するフロー図
【図2】従来技術における機器制御を説明するフロー図
【図3】本発明の実施の形態1における小型無線基地局、音源機器の概略構成図
【図4】本発明の実施の形態1における小型無線基地局の動作を説明するフロー図
【図5】本発明の実施の形態1における小型無線基地局、音源機器のシグナリングを説明する概念図
【図6】本発明の実施の形態1における小型無線基地局と音源機器の制御信号送信方法を説明する説明図
【図7】本発明の実施の形態2における小型無線基地局と音源機器の制御信号送信方法を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について説明する。
【0013】
図3は、本発明の実施の形態における小型無線基地局、音源機器の概略構成図である。
【0014】
本発明の実施の形態における小型無線基地局301は、図3に示すように、基地局が受信した例えば、コアネットワークからのユーザデータを、第3世代(3G)における基地局制御を行うRNCや、LTEにおけるユーザデータの中継機能を実現するS-GW等の上位装置(図示しない)からのデータが、音声情報であることを検出する音声情報検出部303と、音声情報を検出した場合に、音源機器302へ送信するミュート信号を送信するミュート信号送信制御部304と、無線信号の送受信制御を行う送受信部305と、アンテナ306とを備えている。
【0015】
そして、音源機器302は、アンテナ307と、無線信号の送受信制御を行う送受信部308と、ミュート信号受信時に、音源をミュート制御するミュート制御部309とを備えている。
【0016】
次に、本実施の形態について、その動作を、図4を用いて説明する。
【0017】
図4に示すように、小型無線基地局301では、音声情報検出部303が、基地局が受信した上位装置(図示しない)からのデータに含まれる音声情報とデータ情報を分離する音声情報とデータ情報に分離する(S401)。音声情報検出部303が、音声情報を検知する(S402)と、ミュート信号送信制御部304が、小型無線基地局301と通信可能な範囲内の音源機器302検索を行う(S403)。
【0018】
ミュート信号送信制御部304が音源機器を検知すると(S404)、ミュートON信号を生成する。送受信部305がミュートON信号を音源機器302へ送信する(S405)。ミュート信号送信制御部304が受信したデータの中から音声情報を検出しない場合は、ミュート信号送信制御部304はミュート制御信号を音源機器302に送信を行わない。音源機器302の送受信部308がミュートON信号を受信すると、ミュート制御部309が音源のミュートON処理を行う(S406)。音声情報検出部303が、利用者の携帯端末(図示しない)に音声通話着呼を通知する(S407)。利用者は、携帯端末の着信により音声通話を開始する(S408)。音声情報検出部303が、音声通話の終了判定を行い(S409)、通話が終了すると、ミュート信号送信制御部304がミュートOFF信号を生成する。送受信部305がミュートOFF信号を音源機器302へ送信する(S410)。音源機器302の送受信部308がミュートOFF信号を受信すると、ミュート制御部309が音源のミュートOFF処理を行う(S411)。
【0019】
なお、本実施の形態では、利用者の携帯端末から、小型無線基地局301へミュートON信号/ミュートOFF信号を送信させるための制御信号を送信するようにしてもよい。これにより、音声通話時以外においても、利用者が音源ミュートON/OFF操作を小型無線基地局301経由で行うことができる。
【0020】
次に、本実施の形態について、小型無線基地局301と、音源機器302と、利用者の携帯端末間のシグナリングを、図5を用いて説明する。
【0021】
図5に示すように、音声情報検知待ち状態(S501)では、音源機器302がミュートOFFである機器を例として示す。
【0022】
ミュートON信号送信状態(S502)では、小型無線基地局301で音声情報を検知すると、ミュートON信号が送信され、音源機器302は、ミュートON制御を行う。
【0023】
通話開始状態(S503)では、小型無線基地局301と、利用者の無線端末間で通話を行い、その間、音源機器302は、ミュートON状態を継続する。
【0024】
通話終了状態(S504)では、小型無線基地局301と、利用者の無線端末間で通話が終了し、その後、小型無線基地局301から、ミュートOFF信号が送信され、音源機器302は、ミュートOFF制御を行う。
【0025】
このようにすれば、音声情報を検知した小型無線基地局301が、音源機器302に自動的にミュートON信号を送信することが可能であるため、利用者がミュート操作を行わずに、しかも音声通話開始前に、ミュートすることができる。
【0026】
次に、本実施の形態1における、小型無線基地局301と音源機器302間の接続を、図6を用いて説明する。
【0027】
無線信号を用いて制御信号を送信する場合、図6(a)に示すように、小型無線基地局601から音源機器602へは、無線信号により直接通知してもよい。また、図6(b)に示すように、小型無線基地局603から無線中継機器604を経由して音源機器605へ無線信号を通知してもよい。
【0028】
有線ケーブルを用いて制御信号を送信する場合、図6(c)に示すように、小型無線基地局606から音源機器607へ信号を通知してもよい。
【0029】
赤外線を用いて制御信号を送信する場合、図6(d)に示すように、小型無線基地局608から音源機器609へは、赤外線信号により直接通知してもよい。また、図6(e)に示すように、小型無線基地局610から利用者の携帯端末611を経由して音源機器612へ通知してもよい。図6(f)に示すように、小型無線基地局613から赤外線発光機器614を経由して音源機器615へ通知してもよい。
【0030】
また、前記、無線信号、有線ケーブル、赤外線を組み合わせて通信を行うようにしてもよい。
【0031】
なお、本実施の形態では、ミュートON信号を、ミュート信号送信制御部304からの送信としているが、利用者の携帯端末からの送信としてもよい。
【0032】
また、本実施の形態では、小型無線基地局301が通信可能範囲内にある音源機器が存在するか確認しているが、小型無線基地局301が故障、無反応な状態には、携帯端末と音源機器302間で近距離無線通信により、音源機器302情報を収集することができるようにしてもよい。
【0033】
また、本実施の形態では、小型無線基地局301と音源機器302間の接続において、無線中継機器604を利用しているが、利用者の携帯端末を利用するようにしてもよい。
【0034】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について説明する。
【0035】
次に、本実施の形態について、その動作を、図7を用いて説明する。
【0036】
図7に示すように、小型無線基地局701は、音声情報を検知し、音源機器302へミュートON信号を送信する際に、発信元の電話番号情報が、着信側の利用者の携帯端末702のアドレス帳に登録されているかどうか確認情報を携帯端末702へ送信する。携帯端末702では、アドレス帳を確認し、発信元の電話番号情報が登録されているかどうかを判定し、判定情報を小型無線基地局701へ送信する。ミュート信号送信制御部304では、判定情報を解析し、発信元の情報が登録されている場合には、ミュートON信号を送信することができる。また、前記送信にミュートOFF信号を送信するようにしてもよい。
【0037】
このような構成により、アドレス帳に登録されていない発信元や非通知設定に対して、ミュート制御を防ぐことが可能である。
【0038】
なお、ミュート信号送信制御部304では、判定情報を解析し、発信元の情報が登録されていない場合には、ミュートON信号を送信することができるようにしてもよい。また、前記送信にミュートOFF信号を送信するようにしてもよい。
【0039】
また、本実施の形態では、利用者の携帯端末702が、アドレス帳情報を小型無線基地局701へ送信することができるようにしてもよい。小型無線基地局は、アドレス帳をミュート信号送信制御部304で管理することにより、音声情報検知時に都度、携帯端末702へ確認情報による問い合わせを行わないようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、小型無線基地局301と通信可能な範囲内において、利用者が携帯端末で音声通話開始前に、音源機器302を、利用者の操作なくミュートONにすることができる機器制御方法および無線通信装置を提供するものである。
【0041】
屋外の広い範囲で通信可能な無線基地局では、複数利用者の周辺機器が多いため、個別制御する信号送信は行えないが、小型無線基地局では、屋内の狭い範囲で通信を行うことが想定されるため、携帯端末制御と、周辺機器の制御を追加することにより、連携した処理を利用することができる。
【0042】
ただし、緊急地震速報など利用者へ通知必要な場合には、通話中においても、ミュートON信号を送信することが望ましい。
【符号の説明】
【0043】
301 小型無線基地局
302 音源機器
303 音声情報検出部
304 ミュート信号送信制御部
305 送受信部
306、307 アンテナ
308 送受信部
309 ミュート制御部
601、603、606、608、610、613 小型無線基地局
602、605、607、609、612、615 音源機器
604 無線中継機器
611 携帯端末
614 赤外線発光機器
701 小型無線基地局
702 携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声情報を検知する音声情報検出部と、音源機器の音声をミュートするミュート制御信号を生成し送信するミュート信号送信制御部と、前記ミュート制御信号を送受信する送受信部を備えた小型無線基地局と、
前記小型無線基地局と通信可能な範囲内で前記ミュート制御信号を受信する送受信部と、前記ミュート制御信号による制御を行うミュート制御部を備えた音源機器とからなり、
前記音声情報検出部が音声通話であることを検知すると、前記ミュート信号送信制御部が携帯端末の通話開始前に前記ミュート制御信号を前記音源機器へ送信することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
音声情報を検知する音声情報検出部と、音源機器の音声をミュートするミュート制御信号を生成し送信するミュート信号送信制御部と、前記ミュート制御信号を送受信する送受信部とを備え、
前記音声情報検出部が音声通話であることを検知すると、前記ミュート信号送信制御部が携帯端末の通話開始前に前記ミュート制御信号を前記音源機器へ送信することを特徴とする小型無線基地局。
【請求項3】
前記ミュート信号送信制御部が、前記音源機器の音声のミュートを解除するミュート制御解除信号を送信すると、音源機器を通話開始前の状態に戻すことを特徴とする請求項2記載の小型無線基地局。
【請求項4】
前記ミュート制御信号およびミュート制御解除信号を通知する手段として、無線信号、ケーブル、赤外線の少なくとも1つであることを特徴とする請求項2記載の小型無線基地局。
【請求項5】
前記音声情報検出部が、受信したデータの中から音声情報を検出しない場合、前記ミュート信号送信制御部はミュート制御信号を音源機器に送信を中止することを特徴とする請求項2記載の小型無線基地局。
【請求項6】
前記ミュート信号送信制御部が、前記小型無線基地局の周辺の音源機器を検出することが可能なことを特徴とする請求項2記載の小型無線基地局。
【請求項7】
前記ミュート信号送信制御部が、前記携帯端末からの制御信号を前記音源機器に送信することを特徴とする請求項2記載の小型無線基地局。
【請求項8】
前記ミュート信号送信制御部が、前記携帯端末のアドレス帳情報が登録されている場合は、登録されたアドレスへミュート制御信号を送信することを特徴とする請求項2から請求項7記載のいずれかに記載の小型無線基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−231364(P2012−231364A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99174(P2011−99174)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】