説明

通信装置及び通信システム制御装置

【課題】遠隔操作によって擬似電源オフ状態から通常の電源オン状態に移行させることができる通信装置を提供する。
【解決手段】電源キーが操作されると、電源オフ状態(状態102)と、位置情報を取得し取得した位置情報を所定の宛先へ送信する電源オン状態(状態104)と、の繰り返しで構成される擬似電源オフ状態となり、前記擬似電源オフ状態における電源オン状態(状態014)であるときに遠隔操作フラグ付き情報を受信すると、前記擬似電源オフ状態から通常の電源オン状態(待ち受け状態100)に移行することを特徴とする通信装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報を送信可能な通信装置及び前記通信装置と他の通信装置との通信を制御する通信システム制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では子供の誘拐事件が多発しており、このような事件に巻き込まれた場合に子供が容易に助けを求められるようにする為に、携帯電話に防犯ブザーを搭載したものが実際に製品化されている。
【0003】
又、ユーザが携帯電話の所定のボタンを操作することにより、ブザーが鳴動すると共に現在位置の情報を受信し、所定の宛先へ送信する技術が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
ところで、特許文献1に記載の携帯電話装置は、ユーザが所定のボタン操作を行うと、ブザーが鳴動すると共に位置情報を送信するものであるが、ブザーの鳴動中或いはブザー鳴動停止後に犯人が電源キーを操作することにより電源をオフされてしまうと、位置情報の送信を行うことができず、携帯電話装置のせっかくの防犯機能を十分に活用することができない。
【0005】
このような課題を解決することができる通信装置が本出願人によって既に特許出願(特願2006−150759号)されている。特願2006−150759号の通信装置は、所定のキーが操作されると、電源オフ状態と、位置情報を取得し取得した位置情報を所定の宛先へ送信する電源オン状態と、の繰り返しで構成される擬似電源オフ状態となることを特徴としており、ユーザが襲われた際に、犯人により電源オフの操作が行われても、犯人に気づかれずに位置情報の取得と位置情報の送信を行うので、緊急時に所定の宛先に現在位置を知らせ、助けを呼ぶことが可能である。
【特許文献1】特開2000−322678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特願2006−150759号の通信装置は擬似電源オフ状態において所定の宛先へ現在位置の情報を送信するので、所定の宛先側で特願2006−150759号の通信装置の位置を確認することができる。しかしながら、所定の宛先側が発呼しても擬似電源オフ状態である特願2006−150759号の通信装置とは通話することができなかった。
【0007】
本発明は、上記の状況に鑑み、遠隔操作によって擬似電源オフ状態から通常の電源オン状態に移行させることができる通信装置及び前記遠隔操作の内容を前記通信装置に伝える通信システム制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る通信装置は、所定のキーが操作されると、電源オフ状態と、位置情報を取得し取得した位置情報を所定の宛先へ送信する電源オン状態と、の繰り返しで構成される擬似電源オフ状態となり、前記擬似電源オフ状態における電源オン状態であるときに所定のフラグ付き情報を受信すると、前記擬似電源オフ状態から通常の電源オン状態に移行する構成(以下、第1の構成と称す)とする。
【0009】
このような構成によると、遠隔操作によって擬似電源オフ状態から通常の電源オン状態に移行させることができる。
【0010】
また、上記構成の通信装置において、前記擬似電源オフ状態における電源オン状態であるときに所定のフラグ付き情報を受信すると、前記擬似電源オフ状態から通常の電源オン状態に移行するとともに、前記所定のフラグ付き情報の受信が完了したことを前記所定のフラグ付き情報の送信元に通知する構成(以下、第2の構成と称す)にしてもよい。
【0011】
また、上記目的を達成するために本発明に係る通信システム制御装置は、上記第1の構成の通信装置とは異なる通信装置から上記第1の構成の通信装置に向けて所定のフラグ付き発呼または所定のフラグ付きメール送信が有ったかを判定する判定部と、前記判定部が、上記第1の構成の通信装置とは異なる通信装置から上記第1の構成の通信装置に向けて所定のフラグ付き発呼または所定のフラグ付きメール送信が有ったと判定した場合、所定のフラグ付き情報を上記第1の構成の通信装置に送信する送信部とを備えるようにする。
【0012】
このような構成によると、上記第1の構成の通信装置とは異なる通信装置からの遠隔操作によって上記第1の構成の通信装置の状態を擬似電源オフ状態から通常の電源オン状態に移行させることができる。
【0013】
また、上記目的を達成するために本発明に係る通信システム制御装置は、上記第2の構成の通信装置とは異なる通信装置から上記第2の構成の通信装置に向けて所定のフラグ付き発呼または所定のフラグ付きメール送信が有ったかを判定する判定部と、前記判定部が、上記第2の構成の通信装置とは異なる通信装置から上記第2の構成の通信装置に向けて所定のフラグ付き発呼または所定のフラグ付きメール送信が有ったと判定した場合、所定のフラグ付き情報を上記第2の構成の通信装置に送信する送信部とを備え、前記送信部が前記所定のフラグ付き情報を送信した後、上記第2の構成の通信装置から前記所定のフラグ付き情報の受信が完了した旨の通知が無い場合、それ以後前記通知があるまで所定の時間毎に前記送信部が前記所定のフラグ付き情報を再送信するようにしてもよい。
【0014】
このような構成によると、上記第2の構成の通信装置が擬似電源オフ状態におけるオフ状態であるときに前記所定のフラグ付き情報が送信され、上記第2の構成の通信装置での受信が失敗した場合でも、上記第2の構成の通信装置での受信が成功するまで所定の時間毎に前記送信部が前記所定のフラグ付き情報を再送信するので、遠隔操作によって擬似電源オフ状態から通常の電源オン状態に確実に移行させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、遠隔操作によって擬似電源オフ状態から通常の電源オン状態に移行させることができる通信装置及び前記遠隔操作の内容を前記通信装置に伝える通信システム制御装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明に係る通信装置として、ここでは、携帯電話装置を例に挙げて説明する。本発明に係る携帯電話装置の回路ブロック図を図1に示す。
【0017】
図1に示すように、携帯電話装置10は、アンテナ16と接続された電話通信部12を備えている。この電話通信部12は、後述のベースバンド部14からの信号をアンテナ16を介して基地局へ発信し、あるいはアンテナ16を介して基地局からの電波を受信する。
【0018】
また、電話通信部12は、ベースバンド部14と接続されている。ベースバンド部14は、CDMA処理回路18と、音声コーデック20と、を有している。ここで、CDMA処理回路18は、符号分割多元接続、スクランブル、誤り制御、タイミング検出を行う。また、音声コーデック20は、音声を圧縮(符号化)、伸張(復号化)したり、アナログとデジタルの変換を行ったり、内部の増幅回路(図示省略)により受話音量やマイクロホンの感度を変更する。
【0019】
また、ベースバンド部14には、切替回路22が接続されている。この切替回路22には、増幅回路24を介して第1スピーカ26が接続されている。この第1スピーカ26は、増幅回路24で増幅されたベースバンド部14の電気信号を音声に変換する。この第1スピーカ26は、ユーザの耳にあてられ通話に使用される。
【0020】
また、切替回路22には、増幅回路28を介してマイクロホン30が接続されている。このマイクロホン30は、通話に使用され、音声を電気信号に変換する。マイクロホン30により出力された電気信号は、増幅回路28で増幅されてベースバンド部14に出力される。
【0021】
また、切替回路22には、増幅回路32を介して第2スピーカ34が接続されている。この第2スピーカ34は、増幅回路32で増幅されたベースバンド部14の電気信号を音声に変換する。この第2スピーカ34は、受話音を周囲の人にも聞かせるための拡声用のスピーカとして使用可能であり、又、着信報知の鳴動用としても使用可能であり、更には、約100dBといった高音量のブザー音を鳴動する為にも使用可能である。このブザー音は例えば防犯ブザーとして使用される。
【0022】
切替回路22は、ベースバンド部14との接続を、第1スピーカ26用の増幅回路24とマイクロホン30用の増幅回路28側にするか、あるいは拡声用の第2スピーカ34用の増幅回路32とマイクロホン30用の増幅回路28側にするかを切り替える。
【0023】
また、携帯電話装置10は、GPSアンテナ56と接続されたGPS通信部58を備えている。GPS通信部58では、GPSアンテナ56がとらえたGPS衛星からのGPSデータ(例えば、GPS衛星の航行スケジュールであるアルマナックデータや、GPS衛星の詳細軌道のデータであるエフェメリスデータ等)を受信し、制御回路36に出力する。制御回路36では、受信したGPSデータに基づいて携帯電話装置10の現在の位置情報(以下、位置情報と称す)が算出される。なお、制御回路36により算出された携帯電話装置10の位置情報は、RAM40に記憶されることもあれば、電子メールに添付して送信されることもある。
【0024】
又、位置情報を取得する為に他の方法も考えられる。例えば、携帯電話装置10で受信したGPS衛星からのGPSデータを通信事業者のサーバへ送り、サーバ側で経度や緯度等の位置情報を計算し、計算された位置情報を携帯電話装置10が受信する構成等が考えられる。
【0025】
このように、携帯電話装置10がGPS衛星からGPS情報を受信し、受信したGPS情報に基づいて位置情報を携帯電話装置10が内部で計算するというような位置情報の取得方法もあれば、サーバで計算された位置情報を受信するというような位置情報の取得方法もある。
【0026】
位置情報の取得方法はGPS衛星からのデータに基づいてでも良いし、携帯電話装置10の周囲に存在する基地局の位置(具体的には、ID等)に基づいて、携帯電話装置10のおおよその位置を算出しても良い。
【0027】
また、電話通信部12、ベースバンド部14、切替回路22及びGPS通信部58には、制御回路(制御部)36がそれぞれ接続されている。この制御回路36の制御により上述した切替回路22による切り替えが行われる。また、制御回路36によりベースバンド部14の音声コーデック20が制御され、音声コーデック20により第1スピーカ26及び第2スピーカ34の音量やマイクロホン30の感度が変更される。制御回路36は、ROM38と接続されており、ROM38に格納されているシステムプログラムに基づき各部を制御する。また、制御回路36は、制御回路36の動作に必要な所定の情報が記憶されているRAM40と接続されている。また、制御回路36によりGPS通信部58又は電話通信部12を介して外部の通信機(例えば、携帯電話装置)に対して位置情報を添付した電子メールを送信することができるようになっている。また、制御回路36にはタイマー(図示省略)が内蔵されており、外部の通信機(例えば、携帯電話装置)に対して位置情報を添付した電子メールを所定のタイミングで定期的に送信することができるようになっている。
【0028】
次に、RAM40に格納される情報について説明する。ROM40には、位置情報送信設定フラグ、通信時間設定、ペア情報、第1ロックナンバー、第2ロックナンバー、等が格納される。
【0029】
位置情報送信設定フラグであるが、これは、電源オフの操作がされたら自動的に位置情報送信を行うか否かの設定フラグであり、このフラグがオンである状態では、電源オフ操作がされたら自動的に位置情報送信を行う、一方、このフラグがオフである状態では、電源オフ操作がされても自動的に位置情報送信を行わず、電源オフとなる。
【0030】
次に、通知時間設定であるが、これは位置情報を送信する間隔の情報を示している。ユーザは例えば、15分、30分、60分のいずれかの間隔を選択可能である。尚、言うまでもなく、この通知時間間隔をユーザが直接数値入力することにより設定可能としても良い。
【0031】
次にペア情報であるが、これは、所定の操作(例えば、#キー押下)が行われた際や、位置情報送信設定フラグオン時に電源オフ操作が行われた際に、位置情報を送信する相手先の情報(例えば、メールアドレス)である。尚、このメールアドレスはユーザのキー操作により入力可能である。
【0032】
第1ロックナンバーは、位置情報送信設定フラグのオン/オフを変更する際に入力する暗証番号である。即ち、正確な第1ロックナンバーが入力されなければ、位置情報送信設定フラグのオン/オフ変更は許可されない。又、この第1ロックナンバーは、第2ロックナンバーを変更する際に入力される暗証番号であり、正しい第1ロックナンバーが入力されて始めて第2ロックナンバーの変更が許可される。
【0033】
第2ロックナンバーは、位置情報送信設定フラグがオンの状態であるときに電源を完全にオフするために必要となるものである。
【0034】
尚、これら第1ロックナンバーと第2ロックナンバーは工場出荷時のデェフォルト値(初期値)は「1234」の4桁の数字となっており、ユーザのキー操作によりこの値は変更可能である。
【0035】
また、制御回路36には、入力部44が接続されている。この入力部44は、電話番号等の入力を行うテンキー48と、通話の開始を操作する通話キー50と、通話の終了を操作する切キー52と、各種機能の設定を行う機能キー54と、電源のオンオフを行う為の電源キー64と、を有している。なお、通常はこの電源キーを押下することにより電源オンオフすることが可能であるが、位置情報送信設定フラグがオンの状態で、電源キーが操作されると、後述する擬似電源オフ状態になる。
【0036】
また、制御回路36には、ディスプレイ42のバックライトである照明部46が接続されている。
【0037】
次に携帯電話装置10の動作について説明する。携帯電話装置10は、所定の操作(例えば、#キーを2秒以上連続押下)を行うと、スピーカ34からブザー音が鳴動し、更に、GPS通信部58を介してGPS衛星と通信を行うことによりGPS衛星からデータ(以下GPSデータと称す)を受信し、受信したGPSデータから位置情報を計算し、計算した位置情報を予め設定した相手先(RAM40に格納されたペア情報に応じた相手先)にメール添付し送信する。
【0038】
又、位置情報送信設定フラグがオンの状態であるときには電源キー64の操作による電源オフを無効としており、正しい第2ロックナンバーを入力すると電源がオフする構成となっている。尚、位置情報送信設定フラグがオフの状態であるときには電源キー64の操作による電源オフが可能である。
【0039】
更に、位置情報送信設定フラグがオンの状態であるときに電源キーが操作(例えば2秒以上連続押下)されると、電源オフとはならず、擬似電源オフ状態になり、あたかも電源オフとなった状態になるが、位置情報の取得と送信は行う。従って、ブザー音鳴動中(或いは位置情報送信中)に犯人により電源キーが操作(例えば2秒以上連続押下)されると、電源オフとはならず、擬似電源オフ状態になり、防犯ブザーの鳴動は停止すると共にディスプレイ42には何も表示されず、あたかも電源オフとなった状態になるが、位置情報の取得と送信は行う。
【0040】
図2は、犯人により電源キーが操作されてからの携帯電話装置10の状態を示す遷移図である。この遷移図に基づいて、位置情報送信設定フラグがオンの状態である場合に、電源キーが操作されてから携帯電話装置10がどのような状態になるかについて説明する。
【0041】
先ず、図2の状態100は、電話の発呼および着呼が可能な待ち受け状態である。この状態で、電源キーが2秒以上連続押下されると、状態101に移る。なお、状態100において防犯ブザーが鳴動していた場合、状態101に移る際に防犯ブザーの鳴動を停止する。
【0042】
状態101では、ディスプレイ42に電源オフ時のアニメーション表示がなされる(実際には、通常の電源オフ時のアニメーションとこの状態101とのアニメーションとは表示を異ならせている。このような構成としたのは、犯人が電源オフした際に、ユーザがこの表示を見て、本当に電源オフとなったのか、或いは擬似電源オフ状態となったかを知るためである。)。
【0043】
続いて状態102では、ディスプレイ42に電源オフ時と同じように何も表示されない状態となっている。
【0044】
状態102の状態で、電源キーが2秒以上連続押下されると、電源がオンされ、ディスプレイ42に電源オン時のアニメーション表示がなされる状態103に移行し、その後、待ち受け状態である状態100に移行する。
【0045】
一方、状態102の状態で電源キーの操作がされなければ、所定時間経過後に状態104に移り、GPS通信部58を介して衛星と通信を行い、GPSデータを受信する。受信したGPSデータに基づいて位置情報を計算し、計算した位置情報は例えば、経度緯度の情報であり、この情報をRAM40に格納されたペア情報に応じた相手先へメール送信する。尚、状態104の状態では、GPS情報を取得する際に、GPS情報を取得中である旨の表示を行い、位置情報を送信する際には、位置情報を送信中である旨の表示を行う。これにより、ユーザはGPS情報を取得中であることや位置情報を送信中であることを認識することが可能である。
【0046】
また、状態104では、遠隔操作フラグ付き情報の受信を試み、遠隔操作フラグ付き情報を受信することができた場合は待ち受け状態である状態100に移行する。遠隔操作フラグ付き情報の一例としては、遠隔操作対象の携帯電話装置のメールアドレスを送信先とし、遠隔操作フラグである「111」の3桁の数字を件名とし、本文を空にしたメールが挙げられる。
【0047】
更に、ユーザが擬似電源オフ状態であることをより明確に知る為に、照明部46(バックライト)から少し照明を行っている。ユーザは、ディスプレイ42がぼんやりと明るくなっていることを認識することにより、擬似電源オフ状態であること知ることができる。尚、このようにディスプレイ42がぼんやりと明るくなる構成は、状態104だけに限らず、電源キーが操作されてからの状態101、102でも明るくしても良い。
【0048】
位置情報の送信が終了すると、状態102に戻る。このように、状態102の状態で電源キーが操作されない限り、状態102と状態104を所定時間毎繰り返し行う。
【0049】
次に擬似電源オフ状態について説明する。図3は、擬似電源オフ状態を詳細に説明するための図である。擬似電源オフ状態は少なくとも2つの状態からなり、電源オフ状態と電源オン状態からなる。この電源オフ状態は、通常の待ち受け状態における電源オフと同じ状態であり、通話やメールの送受信ができない、制御回路が電源キーの操作を監視している状態である。一方、電源オン状態は、位置情報の測定と位置情報の送信を行う状態である。図2で説明すると、状態102が電源オフ状態であり、状態104が電源オン状態となる。
【0050】
この擬似電源オフ状態では、図3に示すように、電源オフ状態と電源オン状態とが繰り返し実行される。
【0051】
次に、擬似電源オフ動作について、図4を用いて説明する。図4のS100ステップでは、制御回路36は、ディスプレイ42に電源オフアニメーションを表示させる。尚、ここで電源オフアニメーションを表示するのは、犯人に電源キー64が操作された際に実際には電源がオフとなっていないが、あたかも電源オフとなったと犯人に思わせる為である。また、ここで表示される電源オフアニメーションは、本当に電源オフとなる際の電源オフアニメーションと異ならせても良い。このような表示とすることにより、ユーザに、擬似電源オフ状態となったことを認識させることが可能である。又、このようなアニメーションはユーザが設定可能としても良いし、工場出荷時から予め設定されている構成としても良い。尚、防犯ブザーが鳴動している場合、このS100ステップにおいて防犯ブザーの鳴動は停止される。
【0052】
S110ステップでは、制御回路36は、電源オフ状態を開始する。尚、ここでいう電源オフ状態とは通常の電源オフ状態ではなく、図3に示すように、擬似電源オフ状態中における電源オフ状態である。
【0053】
S120ステップでは、制御回路36は、内蔵されているタイマー(図示せず)により所定時間のカウントを開始し、S130ステップへ処理を進める。
【0054】
S130ステップでは、制御回路36は、電源キー64が操作されたと判定するとS140ステップへ処理を進め、そうでなければ、S150ステップへ処理を進める。
【0055】
S140ステップでは、制御回路36は、電源オン状態とし、その後、疑似電源オフ状態を終了し待ち受け状態に移行する。尚、S140ステップにおいて電源オン状態とする際に、電源オンのアニメーションがディスプレイ42に表示される。
【0056】
S150ステップでは、制御回路36は、S120ステップにおいてカウント開始したタイマーが所定の時間をカウントしたと判定するとS160ステップへ処理を進め、そうでなければ、S130ステップへ処理を戻す。
【0057】
S160ステップでは、制御回路36は、電源オン状態にし、S170ステップへ処理を進める。尚、ここでいう電源オン状態とは、通常の電源オン状態ではなく、図3に示す擬似電源オフ状態における電源オン状態である。
【0058】
続くS170ステップでは、制御回路36は、位置確認可能であると判定するとS190ステップへ処理を進め、そうでなければ、S180ステップへ処理を進める。尚、ここで位置確認可能であるか否かは、例えば衛星からの信号を受信できる状態であるか否かを判定することである。又、サーバで計算した位置情報を受信する構成であれば、基地局からの電波の届く範囲内にいるか否かが判定される。
【0059】
S180ステップでは、制御回路36は、位置確認失敗と判定すると共にディスプレイ42に例えば「位置確認失敗」と表示させ、タイマーをクリアしS250ステップへ処理を進める。
【0060】
S190ステップでは、制御回路36は、位置確認動作を開始する。具体的には、GPS衛星からの信号を受信し位置を計算する、或いは位置情報を事業者のサーバから受信するようにしても良い。
【0061】
続くS200ステップでは、制御回路36は、位置確認が成功したと判定するとS210ステップへ処理を進め、そうでなければ、S180ステップへ処理を進める。具体的には、制御回路36は、GPS情報からの信号を正確に受信できなかったか否かを判定する。尚、サーバで計算した位置情報を受信する構成であれば、基地局を介してサーバから位置情報を正確に受信できなかったか否かを判定する。
【0062】
S210ステップでは、制御回路36は、GPS衛星との通信により計算した位置情報を電子メールに添付しRAM40に格納されたペア情報に応じた相手先へ送信する。尚、メールを送信する際に、メールタイトルは予め設定したタイトル(例えば、「緊急です。助けてください」)を自動的に付加すると共に、メール本文には、予め設定した本文(例えば、「緊急事態発生、助けてください。警察にも連絡してください。」が自動的に付加される。このメールタイトルやメール本文はユーザが自由に作成し設定可能としても良いし、工場出荷時から予め通信装置に格納されているものをユーザが選択して設定可能としても良い。
【0063】
続くS220ステップでは、制御回路36は、メールの送信が成功したと判定するとS240ステップへ処理を進め、そうでなければ、S230ステップへ処理を進める。
【0064】
S230ステップでは、制御回路36は、ディスプレイ42に例えば「位置送信失敗」と表示させ、タイマーをクリアしS250ステップへ処理を進める。
【0065】
S240ステップでは、制御回路36は、ディスプレイ42に例えば「位置送信成功」と表示させ、タイマーをクリアしS250ステップへ処理を進める。
【0066】
S250ステップでは、制御回路36は、遠隔操作フラグ付き情報を受信したと判定するとS260ステップへ処理を進め、そうでなければ、S270ステップへ処理を進める。
【0067】
S260ステップでは、制御回路36は、遠隔操作フラグ付き情報を受信旨の通知を基地局に対して送信し、その後、疑似電源オフ状態を終了し待ち受け状態に移行する。
【0068】
S270ステップでは、制御回路36は、ディスプレイ42の表示をクリアし、S110ステップへ処理を戻す。
【0069】
このように、図4の擬似電源オフ動作では、所定時間毎にGPSデータに基づいて計算された位置情報をメールに添付し所定の宛先に送っている。このように、待ち受け時に電源キーが操作されると、電源オフのアニメーションを表示し表示が消えるため、犯人は携帯電話の電源がオフになったと思い込む。しかしながら、実際には所定時間毎に位置情報を受信(或いは計算)し、その位置情報を自動的にメールに添付し所定の宛先へ送信している。この為、ユーザが犯人に気づかれずに現在の位置情報を所定の宛先へ送ることができ、位置情報を受信した側は、受信した位置情報に基づいてユーザを追跡することができる。
【0070】
また、図4の擬似電源オフ動作では、遠隔操作フラグ付き情報を受信すると、疑似電源オフを終了し待ち受け状態に移行するので、遠隔操作によって擬似電源オフ状態から待ち受け状態に移行させることができる。
【0071】
尚、携帯電話装置10を以下の構成とすることも考えられる。例えば、上述した実施形態では、擬似電源オフ状態で位置情報を取得する際と位置情報を送信する際に、ディスプレイ42に位置情報取得中である旨と位置情報送信中である旨の表示を行っているが、この時にディスプレイ42には何も表示しない構成としても良い。このような構成とすることにより、たまたま犯人が位置情報送信中の表示をしている際にディスプレイ42を見て、携帯電話装置が動いていることが認識してしまうといった事態を回避することができる。又、この場合、携帯電話装置が擬似電源オフ状態であるか否かをユーザが知ることができないので、位置情報取得中と位置情報送信中には着信ランプを点滅(或いは点灯)させる構成や、バイブレータを振動させたり、ディスプレイ42のバックライトを点灯させる構成としても良い。
【0072】
又、ユーザが所望の時にのみ、位置情報取得中であるか位置情報送信中であるかを知ることができるようにする為に、ユーザが所定のキー操作を行うと、位置情報取得中であるか位置情報送信中であるかを表示させたり、着信ランプを点滅(或いは点灯)させたり、バイブレータを振動させたり、バックライトを点灯させる構成としても良い。
【0073】
又、上述した実施形態では、「#」キー押下に応じてブザーを鳴動する構成としているが、1つのキーを押下しただけでブザーを鳴動する構成としては誤って押下される可能性もある為、複数のキーを同時に押下したり、特定のヒモや部材を引っ張ることによりブザーを鳴動する構成としても良い。更に、特定のモードに設定した際にのみ、「#」キーを押下するとブザーが鳴動し位置情報の送受信を行う構成としても良い。
【0074】
更に、上述した実施形態では、ブザー鳴動中に電源キー64の入力を受付け、電源キー64の操作が行われると擬似電源オフ動作を開始するが、ブザー鳴動中に電源キー64の操作が行われても擬似電源オフ動作を開始しない構成としても良い。
【0075】
更に、遠隔操作フラグ付き情報を受信することによって、疑似電源オフを終了し待ち受け状態に移行した場合、通常の待ち受け表示を行わず、ディスプレイ42には何も表示しないようにして、あたかも電源オフの状態であるかのように装っても良い。また、遠隔操作フラグ付き情報を受信することによって、疑似電源オフを終了し待ち受け状態に移行した場合、その移行から予め設定した時間が経過すると、自動的に疑似電源オフの状態に戻るようにしても良い。
【0076】
次に、携帯電話装置10を含む通信システムの構成について図5を用いて説明する。ここでは、上述した携帯電話装置10を子供が所有し、その親が携帯電話装置240を所有しているものとする。携帯電話装置10が待ち受け状態であるならば、携帯電話装置240は、基地局230、ネットワーク210、交換機の機能を有する通信システム制御装置200、及び基地局220を介して携帯電話装置10との通話が可能である。これに対して、携帯電話装置10が疑似電源オフ状態であるならば、携帯電話装置240は、携帯電話装置10との通話ができない。したがって、親が子にすぐに連絡を取りたい場合に対応できるように、遠隔操作によって携帯電話装置10を疑似電源オフ状態から待ち受け状態に移行させることができるようにすることが望ましい。
【0077】
次に、携帯電話装置10を遠隔操作するための通信システム制御装置の動作について図6を用いて説明する。
【0078】
S300ステップでは、通信システム制御装置200は、遠隔操作フラグ付き発呼が有ったと判定するとS320ステップへ処理を進め、そうでなければ、S310ステップへ処理を進める。本実施形態では、遠隔操作フラグを「111」の3桁の数字としている。例えば、親が携帯電話装置240を操作して、遠隔操作フラグ「111」を頭につけて携帯電話装置10の電話番号を入力した後オフフック状態にすることで、遠隔操作フラグ付き発呼が有ったことになる。
【0079】
S310ステップでは、通信システム制御装置200は、遠隔操作フラグ付きメール送信が有ったと判定するとS320ステップへ処理を進め、そうでなければ、S300ステップへ処理を戻す。本実施形態では、上述のとおり遠隔操作フラグを「111」の3桁の数字としている。例えば、親が携帯電話装置240を操作して、携帯電話装置10のメールアドレスを送信先とし、遠隔操作フラグ「111」を件名とし、本文を空にしたメールを送信することで、遠隔操作フラグ付きメール送信が有ったことになる。
【0080】
通信システム制御装置200において携帯電話装置からの発呼と携帯電話装置からのメール送信とでは、発呼の方が優先して処理されるため、発呼による遠隔操作を行う方が好ましい。また、通信システム制御装置200が行うメールの処理において、フラグ付きメールは、フラグ無しメールによりも優先して処理されるようにしておくことが望ましい。
【0081】
S320ステップでは、通信システム制御装置200は、遠隔操作対象の携帯電話装置(携帯電話装置10)に向けて、遠隔操作フラグ付き情報を送信し、S330ステップへ処理を進める。遠隔操作フラグ付き情報の一例としては、遠隔操作対象の携帯電話装置のメールアドレスを送信先とし、遠隔操作フラグである「111」の3桁の数字を件名とし、本文を空にしたメールが挙げられる。
【0082】
続くS330ステップでは、通信システム制御装置200は、遠隔操作対象の携帯電話装置から遠隔操作フラグ付き情報の受信を完了した旨の通知(図4のS260ステップを参照)が有ったと判定すると、S300ステップへ処理を戻し、そうでなければ、S340ステップへ処理を進める。
【0083】
S340ステップでは、通信システム制御装置200は、内蔵されているタイマー(図示せず)により所定時間のカウントを開始し、S350ステップへ処理を進める。
【0084】
S350ステップでは、通信システム制御装置200は、S340ステップにおいてカウント開始したタイマーが所定の時間をカウントしたと判定するとS320ステップへ処理を戻す。これにより、遠隔操作フラグ付き情報の送信が失敗した場合は、それ以後成功するまで所定の時間毎に遠隔操作フラグ付き情報が再送信される。
【0085】
尚、S320ステップ乃至S350ステップの処理中に、通信システム制御装置200は、遠隔操作取消フラグ付き発呼又は遠隔操作取消フラグ付きメール送信が有るかを監視しており、いずれかが有れば直ちにS320ステップ乃至S350ステップの処理を終了して初期状態に戻した上で、S300ステップへ処理を戻す。これにより、一旦遠隔操作を行った後もその取り消しが可能となる。遠隔操作取消フラグとしては、例えば「123」の3桁の数字が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】は、本発明に係る携帯電話装置の回路ブロック図である。
【図2】は、本発明に係る携帯電話装置の状態遷移図である。
【図3】は、擬似電源オフ状態の説明図である。
【図4】は、擬似電源オフ動作を示すフロー図である。
【図5】は、本発明に係る携帯電話装置を含む通信システムの構成を示す図である。
【図6】は、本発明に係る携帯電話装置を遠隔操作するための通信システム制御装置の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0087】
10 携帯電話装置
12 電話通信部
34 スピーカ
36 制御回路
40 RAM
58 GPS通信部
200 通信システム制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のキーが操作されると、電源オフ状態と、位置情報を取得し取得した位置情報を所定の宛先へ送信する電源オン状態と、の繰り返しで構成される擬似電源オフ状態となり、
前記擬似電源オフ状態における電源オン状態であるときに所定のフラグ付き情報を受信すると、前記擬似電源オフ状態から通常の電源オン状態に移行することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記擬似電源オフ状態における電源オン状態であるときに所定のフラグ付き情報を受信すると、前記擬似電源オフ状態から通常の電源オン状態に移行するとともに、前記所定のフラグ付き情報の受信が完了したことを前記所定のフラグ付き情報の送信元に通知する請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の通信装置とは異なる通信装置から請求項1に記載の通信装置に向けて所定のフラグ付き発呼または所定のフラグ付きメール送信が有ったかを判定する判定部と、
前記判定部が、請求項1に記載の通信装置とは異なる通信装置から請求項1に記載の通信装置に向けて所定のフラグ付き発呼または所定のフラグ付きメール送信が有ったと判定した場合、所定のフラグ付き情報を請求項1に記載の通信装置に送信する送信部とを備えることを特徴とする通信システム制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の通信装置とは異なる通信装置から請求項2に記載の通信装置に向けて所定のフラグ付き発呼または所定のフラグ付きメール送信が有ったかを判定する判定部と、
前記判定部が、請求項2に記載の通信装置とは異なる通信装置から請求項2に記載の通信装置に向けて所定のフラグ付き発呼または所定のフラグ付きメール送信が有ったと判定した場合、所定のフラグ付き情報を請求項2に記載の通信装置に送信する送信部とを備え、
前記送信部が前記所定のフラグ付き情報を送信した後、請求項2に記載の通信装置から前記所定のフラグ付き情報の受信が完了した旨の通知が無い場合、それ以後前記通知があるまで所定の時間毎に前記送信部が前記所定のフラグ付き情報を再送信することを特徴とする通信システム制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−61153(P2008−61153A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238465(P2006−238465)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】