説明

通信装置及び通信システム

【課題】ストリーミング中とストリーミング停止中の双方において、ボリュームなどの制御情報を遅滞なく送信する。
【解決手段】本開示に係る通信装置は、ストリーミングパケットを送信するストリーミングパケット送信部と、前記ストリーミングパケットに関する制御情報を取得する制御情報取得部と、前記制御情報を含む制御パケットを送信する制御パケット送信部と、前記制御情報を前記ストリーミングパケットに付加する制御情報付加部と、所定の条件に応じて、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信するか、又は前記制御情報が付加された前記ストリーミングパケットを送信するかを選択する送信経路選択部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時においては、無線通信を使用して動画データ、オーディオデータなどの伝送を行う技術が知られている。例えば、下記の特許文献1には、動画像ストリーミングファイルを利用してビデオデータ及びオーディオデータを共に符号化及び復号化することを想定して技術が記載されている。また、特許文献2には、既存のスピーカに取り付けることで、無線音声送信経路を提供することを想定した技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−176352号公報
【特許文献2】特表2008−514046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オーディオデータの伝送においては、ストリーミングデータの伝送中、または伝送停止中に音声のボリュームを指定するための制御情報、音声のミュートを指定するための制御情報等を送信することが想定される。この際、ストリーミングデータとは別の制御パケットを用いてこれらの制御情報を送ると、ストリーミング中においては、制御パケットの送信後に送信権を他の装置に譲り渡す必要がある。このため、ストリーミングデータの送信に遅延が生じてしまう。
【0005】
また、ストリーミングデータに付加してこれらの制御情報を送ることも想定できるが、この方法では、ストリーミング中以外はボリュームやミュートなどを指定できないことになる。このため、音声を再生していない時間帯には、ボリュームやミュートを変更できないことになり、ユーザに不便が生じてしまう。
【0006】
そこで、ストリーミング中とストリーミング停止中の双方において、ボリュームなどの制御情報を遅滞なく送信する仕組みが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、ストリーミングパケットを送信するストリーミングパケット送信部と、前記ストリーミングパケットに関する制御情報を取得する制御情報取得部と、前記制御情報を含む制御パケットを送信する制御パケット送信部と、前記制御情報を前記ストリーミングパケットに付加する制御情報付加部と、所定の条件に応じて、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信するか、又は前記制御情報が付加された前記ストリーミングパケットを送信するかを選択する送信経路選択部と、を備える、通信装置が提供される。
【0008】
上記構成によれば、所定の条件に応じて、制御情報を含む制御パケットを送信するか、又は制御情報が付加されたストリーミングパケットを送信するかが選択されるため、ストリーミング中とストリーミング停止中の双方において、遅延を生じさせることなく、制御情報を送信することが可能となる。
【0009】
また、本開示によれば、ストリーミングパケット及び前記ストリーミングパケットに付加された前記ストリーミングパケットに関する制御情報を受信するストリーミングパケット受信部と、前記ストリーミングパケットに関する制御情報を含む制御パケットを受信する制御パケット受信部と、前記ストリーミングパケット又は前記制御パケットから前記制御情報を取得する制御情報取得部と、前記制御情報に基づいて前記ストリーミングパケットによる情報を制御する制御部と、を備える、通信装置が提供される。
【0010】
上記構成によれば、ストリーミングパケット又は制御パケットから制御情報を取得し、制御情報に基づいてストリーミングパケットによる情報を制御するため、ストリーミング中とストリーミング停止中の双方において、遅延を生じさせることなく、ストリーミングパケットによる情報を制御することができる。
【0011】
また、本開示によれば、ストリーミングパケットを受信するストリーミングパケット受信部と、前記ストリーミングパケットを受信した場合に、受信確認情報(ACK)を送信する受信確認情報送信部と、前記ストリーミングパケットに関する制御情報を取得する制御情報取得部と、前記制御情報を含む制御パケットを送信する制御パケット送信部と、前記制御情報を前記受信確認情報(ACK)に付加する制御情報付加部と、所定の条件に応じて、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信するか、又は前記制御情報が付加された前記受信確認情報(ACK)を送信するかを選択する送信経路選択部と、を備える、通信装置が提供される。
【0012】
上記構成によれば、所定の条件に応じて、制御情報を含む制御パケットを送信するか、又は制御情報が付加された受信確認情報(ACK)を送信するかが選択されるため、ストリーミング中とストリーミング停止中の双方において、遅延を生じさせることなく、制御情報を送信することが可能となる。
【0013】
また、本開示によれば、ストリーミングパケットを送信するストリーミングパケット送信部と、前記ストリーミングパケットに関する制御情報を含む制御パケットを受信する制御パケット受信部と、前記ストリーミングパケットに対する受信確認情報(ACK)と前記受信確認情報(ACK)に付加された前記ストリーミングパケットに関する制御情報を受信する受信確認情報(ACK)受信部と、前記受信確認情報(ACK)又は前記制御パケットから前記制御情報を取得する制御情報取得部と、前記制御情報に基づいて前記ストリーミングパケットによる情報を制御する制御部と、を備える、通信装置が提供される。
【0014】
上記構成によれば、前記受信確認情報(ACK)又は前記制御パケットから制御情報を取得し、制御情報に基づいてストリーミングパケットによる情報を制御するため、ストリーミング中とストリーミング停止中の双方において、遅延を生じさせることなく、ストリーミングパケットによる情報を制御することができる。
【0015】
また、本開示によれば、ストリーミングパケットを送信するストリーミングパケット送信部と、前記ストリーミングパケットに関する制御情報を取得する制御情報取得部と、前記制御情報を含む制御パケットを送信する制御パケット送信部と、前記制御情報を前記ストリーミングパケットに付加する制御情報付加部と、所定の条件に応じて、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信するか、又は前記制御情報が付加された前記ストリーミングパケットを送信するかを選択する送信経路選択部と、を有する第1の通信装置と、前記ストリーミングパケットを受信するストリーミングパケット受信部と、前記制御パケットを受信する制御パケット受信部と、前記ストリーミングパケット又は前記制御パケットから前記制御情報を取得する制御情報取得部と、前記制御情報に基づいて前記ストリーミングパケットによる情報を制御する制御部と、を有する第2の通信装置と、を備える、通信システムが提供される。
【0016】
上記構成によれば、所定の条件に応じて、制御情報を含む制御パケットを送信するか、又は制御情報が付加されたストリーミングパケットを送信するかが選択されるため、ストリーミング中とストリーミング停止中の双方において、遅延を生じさせることなく、制御情報を送信することが可能となる。
【0017】
また、本開示によれば、ストリーミングパケットを受信するストリーミングパケット受信部と、前記ストリーミングパケットを受信した場合に、受信確認情報(ACK)を送信する受信確認情報送信部と、前記ストリーミングパケットに関する制御情報を取得する制御情報取得部と、前記制御情報を含む制御パケットを送信する制御パケット送信部と、前記制御情報を前記受信確認情報(ACK)に付加する制御情報付加部と、所定の条件に応じて、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信するか、又は前記制御情報が付加された前記受信確認情報(ACK)を送信するかを選択する送信経路選択部と、を有する、第1の通信装置と、前記ストリーミングパケットを送信するストリーミングパケット送信部と、前記制御パケットを受信する制御パケット受信部と、前記ストリーミングパケットに対する受信確認情報(ACK)と前記受信確認情報(ACK)に付加された前記ストリーミングパケットに関する制御情報を受信する受信確認情報(ACK)受信部と、前記受信確認情報(ACK)又は前記制御パケットから前記制御情報を取得する制御情報取得部と、前記制御情報に基づいて前記ストリーミングパケットによる情報を制御する制御部と、を有する、第2の通信装置と、を備える、通信システムが提供される。
【0018】
上記構成によれば、所定の条件に応じて、制御情報を含む制御パケットを送信するか、又は制御情報が付加された受信確認情報(ACK)を送信するかが選択されるため、ストリーミング中とストリーミング停止中の双方において、遅延を生じさせることなく、制御情報を送信することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本開示によれば、ストリーミング中とストリーミング停止中の双方において、遅延を生じさせることなく、ボリュームなどの制御情報を送信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本開示の第1の実施形態に係るシステムの概略構成を示す模式図である。
【図2】ボリュー制御情報の送信経路を切り換える処理を示すフローチャートである
【図3】親機と子機との間でパケットが送受信される様子を示す模式図である。
【図4】制御パケットのみでボリューム制御情報を送信する場合を、本実施形態に対する比較例として示したタイミングチャートである。
【図5】図4の比較例のシステムにおける親機と子機の構成を示す模式図である。
【図6】ボリューム制御情報が常にストリーミングパケットに付加されて子機に送られる構成を比較例として示す模式図である。
【図7】第2の実施形態に係るシステムの構成を示す模式図である。
【図8】第2の実施形態において、親機と子機との間でパケットが送受信される様子を示す模式図である。
【図9】第3の実施形態に係るシステムの構成を示す模式図である。
【図10】第3の実施形態に係るシステムの構成を示す模式図である。
【図11】第4の実施形態に係るシステムの構成を示す模式図である。
【図12】親機と子機との間でパケットが送受信される様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
1.1.前提となる技術について
1.2.第1の実施形態の構成
2.第2の実施形態
2.1.第2の実施形態の概要
2.2.第2の実施形態の構成
3.第3の実施形態
3.1.第3の実施形態の概要
3.2.第3の実施形態の構成
4.第4の実施形態
4.1.第4の実施形態の概要
4.2.第4の実施形態の構成
【0023】
1.第1の実施形態
1.1.前提となる技術について
無線通信を使ったオーディオ伝送において、ボリュームやミュートを制御する方法としては、ストリーミングとは別の制御パケットを送付する方法と、ストリーミングデータパケットの一部、例えばヘッダ領域に制御情報を載せる方法が考えられる。前者の方法の場合、無線LAN等で使用されているCSMA方式でアクセスすると、データ量が少ない制御パケットであっても、その送信後はバックオフをとる必要があり、次のストリーミングデータ送信までの待ち時間が増大してしまう、という問題がある。ホームシアターシステムのように映像と音声が同期を取って再生する場合、オーディオのストリーミングデータは通常30msec程度以内の遅延で伝送する必要があり、大きなバッファリングを行うことができない。このため、制御パケット送信後に次のストリーミングデータ送信までの待ち時間が生じると、音が途切れてしまう原因となる。制御データを送信する頻度を下げれば、このような問題が生じる確率をある程度は低下できるが、何らかの理由で子機側(制御情報の受信側)で制御パケットを受信し損なうと、親機からの制御が子機に反映されるまでの時間が増大してしまう。このため、制御パケットを大幅に間引いて送信頻度を下げることは困難である。
【0024】
一方、後者の例では、制御データがヘッダとしてストリーミングデータに付加され、1つのパケットとして伝送されるので、前者の例で問題となったようなバックオフによる送信待ち時間により、ストリーミングデータの送信に遅延が生じるという問題は少なくなる。しかしながら、この方法では、ストリーミング伝送が行われていない場合は、制御データも伝送できない。従って、例えばメディアプレーヤが停止している間にユーザーがボリューム操作を行っても、ボリューム操作に関する情報は子機には伝送されない。すなわち制御の自由度が制限されてしまう。
【0025】
そこで、本開示では、ストリーミングの状態に従って、ボリュームなどの制御情報をストリーミングデータパケットの一部として付加して送信するか、あるいは独立した制御データパケットとして送信するかを切り換える。これにより、制御の自由度を確保しながら、無線帯域が混み合っている状態においてもストリーミングデータの送信待ち時間を最小にすることが可能である。
【0026】
1.2.第1の実施形態の構成
まず、図1を参照して、本開示の第1の実施形態に係るシステムの概略構成について説明する。図1では、親機から子機へのオーディオデータのストリーミングを想定し、子機側でのボリューム(Volume)やミュート(Mute)の制御を親機側から行うシステムを例示する。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係るシステムは、通信装置として、親機100と子機200とを有して構成される。親機100は、ユーザーインターフェース102、ボリューム制御情報取得部104、送信経路選択出力部106、制御パケット生成部107、制御パケット送信部108、メディアプレーヤ110、ヘッダ情報付加部112、ストリームパケット送信部114、MUX116、無線システム118を有する。
【0028】
また、子機200は、無線システム202、DEMUX204、制御パケット受信部206、ボリューム制御情報取得部208、ストリームパケット受信部210、ヘッダ情報分離部212、データバッファ214、オーディオアンプ216、スピーカ218を有する。
【0029】
先ず、親機100で行われる処理について説明する。ユーザーによるボリューム操作は、ユーザーインターフェース102に入力されて、ボリューム制御情報としてボリューム制御情報取得部104にて取得される。メディアプレーヤ110は、ストリーミング状態に関する情報(ストリーミングが行われているか否かを示す情報)を送信経路選択出力部106へ送る。送信経路選択出力部106は、メディアプレーヤ110でストリーミングが行われていない場合は、ボリューム制御情報を制御パケット生成部107へ送る。制御パケット生成部107は、ボリューム制御情報を含む制御パケットを生成し、制御パケット送信部108へ送る。制御パケット送信部108は、制御パケットをMUX116に送る。MUX116は、制御パケットを無線システム118へ送り、制御パケットが子機200へ無線通信により送られる。
【0030】
一方、送信経路選択出力部106は、メディアプレーヤ110でストリーミングが行われている場合は、ボリューム制御情報をヘッダ情報付加部112へ送る。ヘッダ情報付加部112は、ボリューム制御情報をストリーミングデータパケットの一部、例えばヘッダ情報等に挿入する。ストリームパケット送信部114は、ボリューム制御情報を含むストリーミングデータパケットをMUX116に送る。MUX116は、ボリューム制御情報を含むストリーミングデータパケットを無線システム118へ送り、ボリューム制御情報を含むストリーミングデータパケットが子機200へ無線通信により送られる。
【0031】
次に、子機200側で行われる処理について説明する。親機100からボリューム制御情報を含む制御パケットが送られた場合、この制御パケットは子機200側の無線システム202で受信され、DEMUX204から制御パケット受信部206へ送られる。制御パケット受信部206は、受信した制御パケットをボリューム制御情報取得部208に送る。ボリューム制御情報取得部208は、制御パケットからボリューム制御情報を取得する。ボリューム制御情報は、オーディオアンプ216に送られ、音声のボリュームがボリューム制御情報に従って調整される。
【0032】
また、親機100から、ボリューム制御情報を含むストリーミングデータパケットが送られた場合、このストリーミングデータパケットは子機200側の無線システム202で受信され、DEMUX204からストリームパケット受信部210へ送られる。ストリームパケット受信部210は、受信したストリーミングデータパケットをヘッダ情報分離部212へ送る。ヘッダ情報分離部212は、ストリーミングデータパケットのヘッダの情報を分離して、ボリューム制御情報取得部208に送る。ボリューム制御情報取得部208は、ヘッダの情報からボリューム制御情報を取得する。ボリューム制御情報は、オーディオアンプ216に送られ、音声のボリュームがボリューム制御情報に従って調整される。また、ストリーミングデータパケットは、ヘッダ情報分離部212にてヘッダの情報が分離された後、データバッファ214へ送られる。データバッファ214は、ストリーミングデータパケットをオーディオアンプ216に送る。そして、オーディオアンプ216にて音量が調整された音声は、スピーカ218から外部へ出力される。
【0033】
以上のように、本実施形態のシステムでは、親機100側の送信経路選択出力部106でボリューム制御情報を流す経路を1つだけ選択するため、子機200側では、送付された経路によらずに、受け取ったボリューム制御情報を最新の情報として扱うことができる。
【0034】
図2は、ボリュー制御情報の送信経路を切り換える処理を示すフローチャートである。先ず、ステップS10では、ユーザがユーザーインターフェース102を操作することにより、ボリューム制御情報の送信処理が開始される。次のステップS12では、メディアプレーヤ110により、ストリーミング中であるか否かが判定される。判定の結果は、上述したストリーミングに関する情報として、送信経路選択出力部106へ送られる。
【0035】
ストリーミング中の場合は、ステップS14へ進む。ステップS14では、送信経路選択出力部106は、ボリューム制御情報をヘッダ情報付加部112へ送る。これにより、ボリューム制御情報がストリーミングパケットのヘッダに付加されて、子機200へ送られる。
【0036】
また、ストリーミング中でない場合は、ステップS16へ進む。ステップS16では、ボリューム制御情報を制御パケット生成部117へ送る。これにより、ボリューム制御情報を含む独立した制御パケットが子機へ送られる。ステップS14,S16の後は、ステップS18へ進み、制御データの送信処理が終了する。
【0037】
図3は、親機100と子機200との間でパケットが送受信される様子を示す模式図である。図3では、ストリーミング停止中とストリーミング中の双方について、パケットの送受信を時系列に示している。また、図3では、上段に本実施形態のシステムの親機100と子機200とによるパケットの送受信を示しており、下段には本実施形態のシステム以外の他のシステムの親機と子機との間のパケットの送受信が並行して行われている様子を示している。
【0038】
先ず、ストリーミング停止中において、本実施形態のシステムでは、ユーザのボリューム操作に応じて制御パケット500が親機100から子機200へ送信される。この際、制御パケット500は、他のシステムでパケットの送受信が行われていないタイミングで行われる。より詳細には、他のシステムにおいて、親機から子機へデータパケット600が送信され、データパケット600に対するACK602が子機から親機へ送信されると、本実施形態のシステムにおいて、制御パケット500が親機100から子機200へ送信される。子機200は、制御パケット500を受信すると、制御パケット500への受信ACK502を親機100へ送信する。
【0039】
また、ストリーミング中においては、ユーザのボリューム操作に応じて、ボリューム制御情報が付加されたストリーミングパケット510が親機100から子機200へ送られる。子機200は、ストリーミングパケット510を受信すると、ストリーミングパケット510への受信ACK512を親機100へ送信する。この場合も、他のシステムにおいて、親機から子機へデータパケット600が送信され、データパケット600に対するACK602が子機から親機へ送信されると、本実施形態のシステムにおいて、ストリーミングパケット510が親機100から子機200へ送信される。
【0040】
従って、本実施形態のシステムによれば、ストリーミング中とストリーミング停止中のいずれの場合においても、他のシステムのデータパケット送信後に、時間のロスを生じさせることなく、制御パケット500または制御情報を含むストリーミングパケット510を親機100から子機200へ送信することができる。
【0041】
図4は、制御パケットのみでボリューム制御情報を送信する場合を、本実施形態に対する比較例として示したタイミングチャートである。図4に示す比較例では、ストリーミング停止中は本実施形態のシステムと同様であるが、ストリーミング中に制御パケット500を送信した場合は、制御パケット500の送信後にデータの送信権が他のシステムに移ってしまうため、ストリーミングパケットの送信に遅延が生じてしまう。一方、図3に示す本実施形態のシステムによれば、ストリーミングパケット510にボリューム制御情報が付加されているため、ストリーミングパケット510の送信に遅延が生じることがなく、迅速にストリーミングパケット510を送信することが可能である。
【0042】
また、図5は、図4の比較例のシステムにおける親機と子機の構成を示す模式図である。図5に示す親機の構成では、図1における送信経路選択出力部106、ヘッダ情報付加部112は設けられておらず、ボリューム制御情報は常に制御パケットによって送られる。従って、子機には、ヘッダ情報分離部212は設けられていない。このため、親機側でボリューム制御情報を含む制御パケットが生成されると、ストリーミングパケットの送信の合間に制御パケット500が送信され、図4で説明したような遅延が生じてしまう。
【0043】
また、図6は、ボリューム制御情報が常にストリーミングパケットに付加されて子機に送られる構成を比較例として示す模式図である。図6に示す比較例では、ボリューム制御情報は常にヘッダ情報付加部112によりストリーミングパケットに付加されるため、制御パケットを独立して送ることができず、ストリーミング停止中にボリュームを変更することが困難となる。
【0044】
以上のように、図1に示す本実施形態の構成例によれば、ストリーミング中とストリーミング停止中のいずれの場合においても、時間のロスを生じさせることなく、制御パケット500または制御情報を含むストリーミングパケット510を親機100から子機200へ送信することができる。
【0045】
なお、上述した例では、親機100から子機200へ送る制御情報の一例としてボリューム制御情報を挙げたが、制御情報はこれに限定されるものではなく、本実施形態は、親機100から子機200へ送信される各種制御情報に適用することができる。
【0046】
また、上述した例では、制御パケットとしてボリューム制御情報など比較的データ量が少ない情報を送る場合を挙げたが、制御情報としてよりデータ量が大きな情報を送る場合は、分割してストリーミングデータのヘッダに付加して伝送することが可能である。また、データ量が大きい場合は、1または複数の独立した制御パケットとして伝送するようにしても良い。例えば、親機100から子機200へ再生中のオーディオのジャケット写真を送る場合、一例としてデータを100個に分けて、1回当たり20kByte〜30kByteのデータを子機200へ送信する。この場合、曲名は、ジャケット写真に比べて小さいデータであるため、独立した制御パケットで送ることができる。子機200は、受信したジャケット写真及び曲名をディスプレイ上に表示したり、音声でユーザに伝えるなどの処理が可能である。
【0047】
また、上述した例では、送信経路選択出力部106は、ストリーミング中か否かに応じて、制御情報を独立した制御パケットで送るか、またはストリーミングパケットのヘッダに付加しておくるかを切り換えることとしたが、他の要因をトリガーとして切り換えても良い。例えば、送信経路選択出力部106は、ボリューム制御情報などの制御情報を送信する際の送信継続時間に応じて、制御情報をストリーミングパケットのヘッダに付加するか、または独立した制御パケットとして送るかを決定しても良い。例えば、ボリューム制御情報などの制御情報を送信する際の送信継続時間が所定の時間よりも長い場合、ストリーミングパケットのヘッダに載せて制御情報を子機200へ送信し、送信継続時間が所定の時間以下の場合は、独立した制御パケットとして制御情報を送信しても良い。
【0048】
以上説明したように第1の実施形態によれば、ストリーミング停止中には、ボリューム制御情報を含む制御パケットを独立して送り、ストリーミング中には、ボリューム制御情報を含むストリーミングパケットを送るようにした。これにより、ストリーミング中とストリーミング停止中の双方において、遅滞なくボリューム制御情報を子機へ送ることが可能となる。
【0049】
2.第2の実施形態
2.1.第2の実施形態の概要
次に、本開示の第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実施形態に係るシステムの構成を示す模式図である。第2の実施形態では、子機200から親機100へストリーミングデータを送信している。例えば、子機200がワイヤレスのマイクロフォンであり、マイクロフォンで録音した音声データをストリーミングデータとして親機100へ送信する。この場合に、親機100から子機200へマイクロフォンのボリューム、すなわち録音感度の制御を行なう。
【0050】
このため、第2の実施形態では、親機100から子機200にストリーミング中に送信される制御データは、ストリーミングパケットではなく、ストリーミングパケットに対する受信ACK応答に付加されて子機200側に送信される。以下、詳細に説明する。
【0051】
2.2.第2の実施形態の構成
図7は、第2の実施形態に係るシステムの構成を示す模式図である。図7に示すように、親機100は、ユーザーインターフェース102、マイク感度制御情報取得部120、送信経路選択出力部122、制御パケット生成部107、制御パケット送信部108、メディアプロセッサ123、ヘッダ情報付加部112、ストリームパケット受信部124、MUX/DEMUX126、ストリームパケットACK送信部128、無線システム118を有する。
【0052】
また、子機200は、無線システム202、MUX/DEMUX220、制御パケット受信部206、マイク感度制御情報取得部222、ストリームパケットACK受信部224、ヘッダ情報分離部226、ストリームパケット送信部228、データバッファ230、マイクアンプ232、マイクロフォン234を有する。
【0053】
図7に示す構成において、子機200のマイクロフォン234は、外部の音声を取得する。マイクアンプ232は、マイクロフォン234が取得した音声信号を増幅する。増幅された音声信号のデータは、データバッファ230に蓄積され、ストリーミングパケットとしてストリームパケット送信部228からMUX/DEMUX220に送られて、無線システム202から親機100に送られる。
【0054】
親機100では、無線システム118が子機200から送られたストリーミングパケットを受信すると、ストリーミングパケットはMUX/DEMUX126からストリームパケット受信部124に送られ、ストリームパケット受信部124にて受信される。ストリーミングパケットは、メディアプロセッサ123で再生処理、記録処理等が行われる。
【0055】
また、ストリームパケット受信部124は、ストリーミング状態に関する情報(ストリーミングが行われているか否かを示す情報)を送信経路選択出力部122へ送る。
【0056】
親機100では、ユーザによるマイク感度の操作は、ユーザーインターフェース102に入力されて、マイク感度制御情報としてマイク感度制御情報取得部120にて取得される。マイク感度制御情報は、送信経路選択出力部122へ送られる。送信経路選択出力部122は、ストリームパケット受信部124がストリーミングパケットを受信していない場合は、マイク感度制御情報を制御パケット生成部107へ送る。制御パケット生成部107は、マイク感度制御情報を含む制御パケットを生成し、制御パケット送信部108へ送る。制御パケット送信部108は、制御パケットMUX/DEMUX126に送る。MUX/DEMUX126は、制御パケットを無線システム118へ送り、制御パケットが子機200へ無線通信により送られる。
【0057】
一方、ストリームパケット受信部124がストリーミングパケットを受信している場合は、パケット受信の度にストリーミングデータパケットのACKが親機100から子機200へ送られる。この場合、送信経路選択出力部122は、マイク感度制御情報をヘッダ情報付加部112へ送る。ヘッダ情報付加部112は、マイク感度制御情報をストリーミングデータパケットのACKの一部(例えばヘッダ情報等)に挿入する。ストリームパケットACK送信部128は、マイク感度制御情報を含むストリーミングデータパケットのACKをMUX/DEMUX126に送る。MUX/DEMUX126は、マイク感度制御情報を含むストリーミングデータパケットのACKを無線システム118へ送り、マイク感度制御情報を含むストリーミングデータパケットのACKが子機200へ無線通信により送られる。
【0058】
このように、第2の実施形態においては、子機200側からのストリーミングをモニタして、ストリーミングが行われているか否かに基づいて、マイク感度制御情報を含む制御パケットを生成するか、またはマイク感度制御情報を含むACKを生成するかを切り換える。また、マイク感度制御情報取得部120から送られたマイク感度制御情報が送信経路選択出力部122に到達してから、一定時間以内に子機200からのストリーミングパケット受信がなければ、マイク感度制御情報を含む制御パケットを制御パケット生成部107で生成し、制御パケットを独立したパケットとして送信する。
【0059】
図8は、第2の実施形態において、親機100と子機200との間でパケットが送受信される様子を示す模式図である。図8では、ストリーミング停止中とストリーミング中の双方について、パケットの送受信を時系列に示している。
【0060】
先ず、ストリーミング停止中において、ユーザが親機100を操作してマイクロフォンの感度を調整すると、この操作に応じて制御パケット550が親機100から子機200へ送信される。この際、制御パケット550は、他のシステムでパケットの送受信が行われていないタイミングで行われる。より詳細には、他のシステムにおいて、親機から子機へデータパケット600が送信され、データパケット600に対するACK602が子機から親機へ送信されると、本実施形態のシステムにおいて、制御パケット550が親機100から子機200へ送信される。子機200は、制御パケット550を受信すると、制御パケット550への受信ACK552を親機100へ送信する。
【0061】
また、ストリーミング中においては、ストリーミングパケット560が子機200から親機100へ送られる。親機100は、ストリーミングパケット560を受信すると、ストリーミングパケット560への受信ACK562を子機200へ送信する。ユーザがマイクロフォンの感度を調整すると、マイクロフォンの感度情報が付加された受信ACK562が親機100から子機200へ送られる。この場合も、他のシステムにおいて、親機から子機へデータパケット600が送信され、データパケット600に対するACK602が子機から親機へ送信されると、本実施形態のシステムにおいて、ストリーミングパケット560が子機200から親機100へ送信される。
【0062】
従って、本実施形態のシステムによれば、ストリーミング中とストリーミング停止中のいずれの場合においても、他のシステムの送信完了後に、時間のロスを生じさせることなく、制御パケット550またはマイクロフォンの感度情報が付加された受信ACK562を親機100から子機200へ送信することができる。
【0063】
なお、子機200側から親機100側に制御データや子機200のステータス情報を送信する必要がある場合、第1の実施形態と同様に、これらの情報を独立した制御パケットとして送る場合と、ストリーミングデータパケットへ付加して送る場合を切り換えて行うことが可能である。
【0064】
なお、第2の実施形態においても、親機100から子機200へ送る制御情報としてマイクロフォンの感度情報を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、親機100から子機200へ送られる各種の制御情報に適用することができる。
【0065】
以上説明したように第2の実施形態によれば、ストリーミング停止中には、マイクロフォンの感度情報を含む制御パケットを独立して送り、ストリーミング中には、マイクロフォンの感度情報を含む受信ACKを送るようにした。これにより、ストリーミング中とストリーミング停止中の双方において、遅滞なくマイクロフォンの感度情報を子機200へ送ることが可能となる。
【0066】
3.第3の実施形態
3.1.第3の実施形態の概要
次に、本開示の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、第1の実施形態と同様のシステムにおいて、子機200側から制御データやステータス情報を親機100側に送信する場合を示している。親機100から子機200へのストリーミングが行われている間は、制御データはストリーミングパケットに対する受信ACK応答に付加されて親機100側に伝送される。
【0067】
3.2.第3の実施形態の構成
図9及び図10は、第3の実施形態に係るシステムの構成を示す模式図である。ここで、図9は親機100を示しており、図10は子機200を示している。図9に示すように、親機100は、ユーザーインターフェース102、ボリューム制御情報取得部104、送信経路選択出力部106、制御パケット生成部107、制御パケット送信部108、メディアプレーヤ110、ヘッダ情報付加部112、ストリームパケット送信部114、ストリームパケットACK受信部130、ヘッダ情報分離部132、制御パケット受信部134、子機ステータス情報取得部136、MUX/DEMUX138、無線システム118を有する。
【0068】
また、図10に示すように、子機200は、無線システム202、MUX/DEMUX240、制御パケット受信部206、ボリューム制御情報取得部208、ストリームパケット受信部210、ヘッダ情報分離部212、データバッファ214、オーディオアンプ216、スピーカ218、ユーザインターフェース250、子機ステータス情報取得部251、送信経路選択出力部252、ヘッダ情報付加部254、ストリームパケットACK送信部256、制御パケット生成部258、制御パケット送信部260を有する。
【0069】
親機100からボリューム制御情報を送る場合は、ストリーミング中とストリーミング停止中の双方において、第1の実施形態と同様に処理が行われる。
【0070】
また、子機200から親機100へステータス情報などの制御情報を送る場合、ストリームパケット受信部210から送信経路選択出力部252へストリーミングが行われているか否かを示す情報が送られる。ストリーミングが行われている場合、送信経路選択出力部252は、ユーザインターフェース250から入力されて子機ステータス情報取得部251で取得された制御情報を、ヘッダ情報付加部254へ送る。ヘッダ情報付加部254は、ストリーミングパケットの受信ACKに制御情報を付加する。ストリームパケットACK送信部256は、制御情報が付加された受信ACKを送信する。受信ACKは、MUX/DEMUX240に送られ、無線システム202から親機100へ送信される。
【0071】
また、ストリーミングの停止中は、送信経路選択出力部252は、ユーザインターフェース250から入力されて子機ステータス情報取得部251で取得された制御情報を、制御パケット生成部258へ送る。制御パケット生成部258は、制御情報を含む制御パケットを生成する。制御パケット送信部260は、制御パケットを送信する処理を行う。制御パケットは、MUX/DEMUX240に送られ、無線システム202から親機100へ送信される。
【0072】
以上説明したように第3の実施形態によれば、ストリーミング停止中には、子機200のステータス情報などの制御情報をを含む制御パケットを独立して送り、ストリーミング中には、制御情報を含む受信ACKを送るようにした。これにより、ストリーミング中とストリーミング停止中の双方において、遅滞なく子機200のステータスなどの制御情報を親機100へ送ることが可能となる。
4.第4の実施形態
4.1.第4の実施形態の概要
次に、本開示の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、複数のオーディオチャネルの伝送が行われている場合を示す。これは、例えばホームシアターシステムにおいて、フロントとリアのスピーカにそれぞれ無線伝送によりオーディオストリーミングを行う場合などに相当する。この場合、再生するオーディオの種類や再生モードによって、各スピーカへのストリーミングの状態が変わる。すなわち、CD等の音楽再生の場合は、通常はフロントのL/Rのスピーカのみにオーディオ伝送が行われるが、DVDやBDなどの映画コンテンツ再生時には、リアスピーカも含めてオーディオ伝送が行われる。
【0073】
このようなマルチチャネルオーディオでは、オーディオチャネルごとにストリーミング状態が変化する。そこで、第4の実施形態では、制御データの宛て先ごとに対応するオーディオチャネルのストリーミング状態を参照する。この結果、同じボリューム情報を送信する場合でも、あるオーディオチャネルが送信される子機に対しては、ストリーミング停止中であれば独立の制御パケットとしてボリューム情報が送信される。また、別のオーディオチャネルが送信される子機に対しては、ストリーミング中であれば、ボリューム情報はストリーミングデータパケットに組みこまれて伝送される。
【0074】
4.2.第4の実施形態の構成
図11は、第4の実施形態に係るシステムの構成を示す模式図である。図11に示す親機100の基本的な構成は、図1に示した第1の実施形態と同様である。一方、図1のボリューム制御情報取得部104、送信経路選択出力部106、制御パケット生成部107、制御パケット送信部108、ヘッダ情報付加部112、ストリームパケット送信部114は、各チャンネルに対応して複数設けられている。図11に示す例では、親機100から2つの子機200a,200bへストリーミングを行うものとする。例えば、子機200aはフロントスピーカに対応し、子機200bはリアスピーカに対応する。このため、親機100には、2つの子機200a,200bに対応して、ボリューム制御情報取得部104a,104b、送信経路選択出力部106a,106b、制御パケット生成部107a,107b、制御パケット送信部108a,108b、ヘッダ情報付加部112a,112b、ストリームパケット送信部114a,114bを有する。子機200a,200bの構成は、第1の実施形態と同様である。
【0075】
図11に示す構成では、ボリューム制御情報取得部104a、送信経路選択出力部106a、制御パケット生成部107a、制御パケット送信部108a、ヘッダ情報付加部112a、ストリームパケット送信部114aは、子機200aにボリューム制御情報を送るために機能する。また、ボリューム制御情報取得部104b、送信経路選択出力部106b、制御パケット生成部107b、制御パケット送信部108b、ヘッダ情報付加部112b、ストリームパケット送信部114bは、子機200bにボリューム制御情報を送るために機能する。このような構成により、例えば子機200aへのストリーミング中には、子機200aに対しては制御パケットによりボリューム制御情報を送り、例えば子機200bへのストリーミング停止中には、子機200bに対してはストリーミングパケットのヘッダーにボリューム制御情報を付加して送るなど、子機200aと子機200bのそれぞれに独立してボリューム制御情報を送ることができる。
【0076】
図12は、親機100と子機200a,200bとの間でパケットが送受信される様子を示す模式図である。図12では、ストリーミング停止中とストリーミング中の双方について、パケットの送受信を時系列に示している。また、図12では、上段に本実施形態のシステム400の親機100と子機200a,200bとによるパケットの送受信を示しており、下段には本実施形態のシステム400以外の他のシステムの親機と子機との間のパケットの送受信が並行して行われている様子を示している。また、図12では、子機200aを子機1として示し、子機200bを子機2として示している。
【0077】
先ず、子機200aに対してのみストリーミングをしている場合、ユーザのボリューム操作に応じて、ボリューム制御情報が付加されたストリーミングパケット570が子機200aへ送られる。子機200bに対してはストリーミングをしていないため、ボリューム制御情報を含む制御パケット580が親機100から子機200bへ送信される。子機200aはストリーミングパケット570を受信すると、ストリーミングパケット570のACK572を親機100へ送信する。また、子機200bは、制御パケット580を受信すると、制御パケット580のACK582を親機100へ送信する。この際、ボリューム制御情報が付加されたストリーミングパケット570、ボリューム制御情報を含む制御パケット580、ACK572,582は、他のシステムでパケット600、ACK602の送受信が行われていないタイミングで行われる。
【0078】
また、子機200a,200bの双方に対してストリーミングをしている場合は、ユーザのボリューム操作に応じて、ボリューム制御情報が付加されたストリーミングパケット570,590が子機200a,200bの双方へ送られる。この際、ボリューム制御情報が付加されたストリーミングパケットは、他のシステムでパケット600、ACK602の送受信が行われていないタイミングで行われる。
【0079】
また、子機200a,200bの双方に対してストリーミングをしていない場合は、ユーザのボリューム操作に応じて、ボリューム制御情報を含む制御パケットが親機100から子機200a,200bへ送信される。この場合も、ボリューム制御情報を含む制御パケットは、他のシステムでパケットの送受信が行われていないタイミングで行われる。
【0080】
第4の実施形態においても、送信経路選択出力部106a,106bは、ストリーミング中か否かを示す情報以外をトリガーとして、ストリーミングパケットに制御情報を付加するか、または制御情報を独立した制御パケットとして送るかを切り換えても良い。例えば、送信経路選択出力部106a,106bは、制御情報等の送信対象(子機200の数)が所定の数よりも多い場合は制御情報をストリーミングデータパケットのヘッダに載せて各子機200へ送り、送信対象(子機200の数)が所定の数以下の場合は制御情報を独立した制御パケットとして送るようにしても良い。
【0081】
以上説明したように第4の実施形態によれば、複数の子機200a,200bにボリューム制御情報を送る場合においても、ストリーミング停止中には、ボリューム制御情報を含む制御パケットを独立して送り、ストリーミング中には、ボリューム制御情報を含むストリーミングパケットを送るようにした。これにより、ストリーミング中とストリーミング停止中の双方において、遅滞なくボリューム情報を子機へ送ることが可能となる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本技術はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)ストリーミングパケットを送信するストリーミングパケット送信部と、
前記ストリーミングパケットに関する制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報を含む制御パケットを送信する制御パケット送信部と、
前記制御情報を前記ストリーミングパケットに付加する制御情報付加部と、
所定の条件に応じて、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信するか、又は前記制御情報が付加された前記ストリーミングパケットを送信するかを選択する送信経路選択部と、
を備える、通信装置。
(2)前記ストリーミングパケットを出力するストリーミングパケット出力部を備え、
前記送信経路選択部は、前記ストリーミングパケット出力部が前記ストリーミングパケットを出力している場合は、前記制御情報が付加された前記ストリーミングパケットを送信させ、前記ストリーミングパケット出力部が前記ストリーミングパケットを出力していない場合は、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信させる、(1)に記載の通信装置。
(3)前記送信経路選択部は、前記制御情報の送信継続時間が所定時間よりも短い場合は、前記制御情報が付加された前記ストリーミングパケットを送信させ、前記制御情報の送信継続時間が所定時間以上の場合は、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信させる、(1)に記載の通信装置。
(4)前記ストリーミングパケット送信部及び制御パケット送信部は、複数の装置に対して、前記ストリーミングパケット及び当該ストリーミングパケットに関する制御情報を個別に送信する、(1)記載の通信装置。
(5)前記送信経路選択部は、前記制御情報パケット及び前記ストリーミングパケットの送信対象の装置が所定数よりも多い場合は、前記制御情報が付加された前記ストリーミングパケットを送信させ、前記制御情報パケット及び前記ストリーミングパケットの送信対象の装置が所定数以下の場合は、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信させる、(4)に記載の通信装置。
(6)ストリーミングパケット及び前記ストリーミングパケットに付加された前記ストリーミングパケットに関する制御情報を受信するストリーミングパケット受信部と、
前記ストリーミングパケットに関する制御情報を含む制御パケットを受信する制御パケット受信部と、
前記ストリーミングパケット又は前記制御パケットから前記制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報に基づいて前記ストリーミングパケットによる情報を制御する制御部と、
を備える、通信装置。
(7)前記制御情報取得部は、前記ストリーミングパケット受信部が前記ストリーミングパケットを受信している場合は、前記制御情報を前記ストリーミングパケットから取得し、前記ストリーミングパケット受信部が前記ストリーミングパケットを受信していない場合は、前記制御情報を前記制御パケットから取得する、(6)に記載の通信装置。
(8)ストリーミングパケットを受信するストリーミングパケット受信部と、
前記ストリーミングパケットを受信した場合に、受信確認情報(ACK)を送信する受信確認情報送信部と、
前記ストリーミングパケットに関する制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報を含む制御パケットを送信する制御パケット送信部と、
前記制御情報を前記受信確認情報(ACK)に付加する制御情報付加部と、
所定の条件に応じて、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信するか、又は前記制御情報が付加された前記受信確認情報(ACK)を送信するかを選択する送信経路選択部と、
を備える、通信装置。
(9)前記送信経路選択部は、前記ストリーミングパケット受信部が前記ストリーミングパケットを受信している場合は、前記制御情報が付加された前記受信確認情報(ACK)を送信させ、前記ストリーミングパケット受信部が前記ストリーミングパケットを受信していない場合は、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信させる、(8)に記載の通信装置。
(10)ストリーミングパケットを送信するストリーミングパケット送信部と、
前記ストリーミングパケットに関する制御情報を含む制御パケットを受信する制御パケット受信部と、
前記ストリーミングパケットに対する受信確認情報(ACK)と前記受信確認情報(ACK)に付加された前記ストリーミングパケットに関する制御情報を受信する受信確認情報(ACK)受信部と、
前記受信確認情報(ACK)又は前記制御パケットから前記制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報に基づいて前記ストリーミングパケットによる情報を制御する制御部と、
を備える、通信装置。
(11)ストリーミングパケットを送信するストリーミングパケット送信部と、
前記ストリーミングパケットに関する制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報を含む制御パケットを送信する制御パケット送信部と、
前記制御情報を前記ストリーミングパケットに付加する制御情報付加部と、
所定の条件に応じて、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信するか、又は前記制御情報が付加された前記ストリーミングパケットを送信するかを選択する送信経路選択部と、を有する第1の通信装置と、
前記ストリーミングパケットを受信するストリーミングパケット受信部と、
前記制御パケットを受信する制御パケット受信部と、
前記ストリーミングパケット又は前記制御パケットから前記制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報に基づいて前記ストリーミングパケットによる情報を制御する制御部と、を有する第2の通信装置と、
を備える、通信システム。
(12)ストリーミングパケットを受信するストリーミングパケット受信部と、
前記ストリーミングパケットを受信した場合に、受信確認情報(ACK)を送信する受信確認情報送信部と、
前記ストリーミングパケットに関する制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報を含む制御パケットを送信する制御パケット送信部と、
前記制御情報を前記受信確認情報(ACK)に付加する制御情報付加部と、
所定の条件に応じて、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信するか、又は前記制御情報が付加された前記受信確認情報(ACK)を送信するかを選択する送信経路選択部と、を有する、第1の通信装置と、
前記ストリーミングパケットを送信するストリーミングパケット送信部と、
前記制御パケットを受信する制御パケット受信部と、
前記ストリーミングパケットに対する受信確認情報(ACK)と前記受信確認情報(ACK)に付加された前記ストリーミングパケットに関する制御情報を受信する受信確認情報(ACK)受信部と、
前記受信確認情報(ACK)又は前記制御パケットから前記制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報に基づいて前記ストリーミングパケットによる情報を制御する制御部と、を有する、第2の通信装置と、
を備える、通信システム。
【符号の説明】
【0084】
100 親機
104 ボリューム制御情報取得部
106 送信経路選択出力部
108 制御パケット送信部
110 メディアプレーヤ
112 ヘッダ情報負荷部
114 ストリーミングパケット送信部
120 マイク感度制御情報取得部
122 送信経路選択出力部
124 ストリーミングパケット受信部
128 ストリームパケットACK送信部
130 ストリームパケットACK受信部
134 制御パケット受信部
136 子機ステータス情報取得部
200 子機
206 制御パケット受信部
208 ボリューム制御情報取得部
210 ストリーミングパケット受信部
216 オーディオアンプ
222 マイク感度制御情報取得部
228 ストリーミングパケット送信部
224 ストリームパケットACK受信部
232 マイクアンプ
251 子機ステータス情報取得部
252 送信経路選択出力部
254 ヘッダ情報付加部
256 ストリームパケットACK送信部
260 制御パケット送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリーミングパケットを送信するストリーミングパケット送信部と、
前記ストリーミングパケットに関する制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報を含む制御パケットを送信する制御パケット送信部と、
前記制御情報を前記ストリーミングパケットに付加する制御情報付加部と、
所定の条件に応じて、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信するか、又は前記制御情報が付加された前記ストリーミングパケットを送信するかを選択する送信経路選択部と、
を備える、通信装置。
【請求項2】
前記ストリーミングパケットを出力するストリーミングパケット出力部を備え、
前記送信経路選択部は、前記ストリーミングパケット出力部が前記ストリーミングパケットを出力している場合は、前記制御情報が付加された前記ストリーミングパケットを送信させ、前記ストリーミングパケット出力部が前記ストリーミングパケットを出力していない場合は、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信させる、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記送信経路選択部は、前記制御情報の送信継続時間が所定時間よりも短い場合は、前記制御情報が付加された前記ストリーミングパケットを送信させ、前記制御情報の送信継続時間が所定時間以上の場合は、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信させる、請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記ストリーミングパケット送信部及び制御パケット送信部は、複数の装置に対して、前記ストリーミングパケット及び当該ストリーミングパケットに関する制御情報を個別に送信する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記送信経路選択部は、前記制御情報パケット及び前記ストリーミングパケットの送信対象の装置が所定数よりも多い場合は、前記制御情報が付加された前記ストリーミングパケットを送信させ、前記制御情報パケット及び前記ストリーミングパケットの送信対象の装置が所定数以下の場合は、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信させる、請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
ストリーミングパケット及び前記ストリーミングパケットに付加された前記ストリーミングパケットに関する制御情報を受信するストリーミングパケット受信部と、
前記ストリーミングパケットに関する制御情報を含む制御パケットを受信する制御パケット受信部と、
前記ストリーミングパケット又は前記制御パケットから前記制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報に基づいて前記ストリーミングパケットによる情報を制御する制御部と、
を備える、通信装置。
【請求項7】
前記制御情報取得部は、前記ストリーミングパケット受信部が前記ストリーミングパケットを受信している場合は、前記制御情報を前記ストリーミングパケットから取得し、前記ストリーミングパケット受信部が前記ストリーミングパケットを受信していない場合は、前記制御情報を前記制御パケットから取得する、請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
ストリーミングパケットを受信するストリーミングパケット受信部と、
前記ストリーミングパケットを受信した場合に、受信確認情報を送信する受信確認情報送信部と、
前記ストリーミングパケットに関する制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報を含む制御パケットを送信する制御パケット送信部と、
前記制御情報を前記受信確認情報に付加する制御情報付加部と、
所定の条件に応じて、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信するか、又は前記制御情報が付加された前記受信確認情報を送信するかを選択する送信経路選択部と、
を備える、通信装置。
【請求項9】
前記送信経路選択部は、前記ストリーミングパケット受信部が前記ストリーミングパケットを受信している場合は、前記制御情報が付加された前記受信確認情報を送信させ、前記ストリーミングパケット受信部が前記ストリーミングパケットを受信していない場合は、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信させる、請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
ストリーミングパケットを送信するストリーミングパケット送信部と、
前記ストリーミングパケットに関する制御情報を含む制御パケットを受信する制御パケット受信部と、
前記ストリーミングパケットに対する受信確認情報と前記受信確認情報に付加された前記ストリーミングパケットに関する制御情報を受信する受信確認情報受信部と、
前記受信確認情報又は前記制御パケットから前記制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報に基づいて前記ストリーミングパケットによる情報を制御する制御部と、
を備える、通信装置。
【請求項11】
ストリーミングパケットを送信するストリーミングパケット送信部と、
前記ストリーミングパケットに関する制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報を含む制御パケットを送信する制御パケット送信部と、
前記制御情報を前記ストリーミングパケットに付加する制御情報付加部と、
所定の条件に応じて、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信するか、又は前記制御情報が付加された前記ストリーミングパケットを送信するかを選択する送信経路選択部と、を有する第1の通信装置と、
前記ストリーミングパケットを受信するストリーミングパケット受信部と、
前記制御パケットを受信する制御パケット受信部と、
前記ストリーミングパケット又は前記制御パケットから前記制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報に基づいて前記ストリーミングパケットによる情報を制御する制御部と、を有する第2の通信装置と、
を備える、通信システム。
【請求項12】
ストリーミングパケットを受信するストリーミングパケット受信部と、
前記ストリーミングパケットを受信した場合に、受信確認情報を送信する受信確認情報送信部と、
前記ストリーミングパケットに関する制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報を含む制御パケットを送信する制御パケット送信部と、
前記制御情報を前記受信確認情報に付加する制御情報付加部と、
所定の条件に応じて、前記制御情報を含む前記制御パケットを送信するか、又は前記制御情報が付加された前記受信確認情報を送信するかを選択する送信経路選択部と、を有する、第1の通信装置と、
前記ストリーミングパケットを送信するストリーミングパケット送信部と、
前記制御パケットを受信する制御パケット受信部と、
前記ストリーミングパケットに対する受信確認情報と前記受信確認情報に付加された前記ストリーミングパケットに関する制御情報を受信する受信確認情報受信部と、
前記受信確認情報又は前記制御パケットから前記制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報に基づいて前記ストリーミングパケットによる情報を制御する制御部と、を有する、第2の通信装置と、
を備える、通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−209880(P2012−209880A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75767(P2011−75767)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】