通信装置
【課題】路車間通信や車車間通信を行う車両が、無線局からの電波が受信できない場合に、受信できない理由を、その車両に乗車している人物に通知するための技術を提供する。
【解決手段】通信装置1は自車両2に備えられている。通信装置1は、通信部10、判断部11、及び、通知部12を備えており、通信部10は路側機3や他端末との間で無線通信を行う。通信部10が路側機3から発信されている電波を受信できない場合には、周囲の車両5に備えられている、無線通信装置6の受信状況を受信する。そして、判断部11が、その受信状況に基づいて、路側機3から発信されている電波がなぜ受信できないのかを判断し、通知部12が自車両2に乗車している人物4に通知する。
【解決手段】通信装置1は自車両2に備えられている。通信装置1は、通信部10、判断部11、及び、通知部12を備えており、通信部10は路側機3や他端末との間で無線通信を行う。通信部10が路側機3から発信されている電波を受信できない場合には、周囲の車両5に備えられている、無線通信装置6の受信状況を受信する。そして、判断部11が、その受信状況に基づいて、路側機3から発信されている電波がなぜ受信できないのかを判断し、通知部12が自車両2に乗車している人物4に通知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路車間通信又は車車間通信を行うための通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、路車間通信や車車間通信を利用して、安全運転を支援するためのシステムを構築しようとする試みがなされている。そのようなシステムの一例としては、特許文献1〜4に開示されている技術が挙げられる。
【0003】
上記システムは、無線局が予め定められた領域(通信エリア)内に情報を発信しており、車両は当該領域内に入ればその情報を受信できる、ということを前提としている。しかし実際には、無線局から発信された電波が障害物にブロッキングされ、距離的には十分に届くはずの電波が届かない、ということがある。
【0004】
従来、「無線局からの電波が届いているか否か」という判断だけがなされていたが、車両に乗車している人物が、「なぜ受信できないのか」ということを把握できれば、具体的には、「電波が障害物に遮断されている」ということが把握できれば、その人物に「本来ならば何か情報を受信していたはず」という意識を持たせることができる。さらに、その人物に、障害物が無いような場所へ車両を移動させるように促せば、その人物は受信できていなかった情報が受信できるようになる。すなわち、路車間通信や車車間通信を利用したシステムにおいて、車両に乗車している人物に、なぜ情報が受信できないのかを把握させることは非常に重要なことである。
【特許文献1】特開2004−133660号公報
【特許文献2】特開2005−78265号公報
【特許文献3】特開2005−149231号公報
【特許文献4】特開2006−275770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、路車間通信や車車間通信を行う車両が、無線局からの電波が受信できない場合に、受信できない理由を、その車両に乗車している人物に通知するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用する。
【0007】
本発明に係る通信装置は、路車間通信又は車車間通信を行うために車両に搭載された通信装置であって、無線通信を行う通信手段と、無線局との通信状態を判断する判断手段と、前記判断された通信状態を、当該車両に乗車している人物に通知する通知手段と、を備え、前記通信手段は、他端末の受信状況を受信可能であり、前記無線局から送信される電波が受信できない場合に、前記判断手段は、前記他端末の受信状況に基づいて、前記無線局との通信状態を判断する。
【0008】
本発明に係る通信装置では、「無線局からの電波が届いているか否か」という判断だけでなく、無線局から送信される電波が受信できない場合に、他端末の受信状況に基づいて、無線局との通信状態を判断する。換言すれば、無線局から送信される電波が受信できない場合に、「なぜ受信できないのか」ということを判断する。判断された通信状態は、通知手段により自車両(本発明に係る通信装置が搭載されている車両)に乗車している人物
に通知される。これにより、自車両に乗車している人物は、「なぜ受信できないのか」ということを把握できる。その結果、その人物が、自車両が通信エリア内にいるにもかかわらず無線局からの電波を受信できない、ということを把握できれば、その人物に「本来ならば何か情報を受信していたはず」という意識を持たせることができる。また、車両に乗車している人物にそのような意識を持たせることにより、どうすれば情報が受信できるのかを考えさせ、受信するための行動を促すことができると考えられる。それにより、その人物は受信できていなかった情報を受信できるようになる。
【0009】
前記判断手段は、前記他端末が前記無線局からの電波を受信できている場合に、障害物によって電波が遮断されている、と判断し、前記他端末が前記無線局からの電波を受信できていない場合に、前記無線局から送信される電波の届く範囲外にいる、と判断することが好ましい。自車両が通信エリア外にいる場合には、周囲の端末も通信エリア外にいる可能性が高い。一方、障害物による電波の遮断は、周囲の車両、建物などによって局所的に生じるため、自車両への電波が障害物によって遮断されていたとしても、周囲の端末には電波が届いていることが多い。そのため、他端末が無線局からの電波を受信できている場合には、「電波が障害物に遮断されている」と判断することができ、他端末が無線局からの電波を受信できていない場合には、「通信エリア外」と判断することができる。また、車両に乗車している人物に、「電波が障害物に遮断されている」ということを把握させれば、その人物に「本来ならば何か情報を受信していたはず」という意識を持たせることができる。さらに、その人物に、障害物が無いような場所へ車両を移動させるように促せば、その人物は受信できていなかった情報が受信できるようになる。
【0010】
前記他端末は複数あり、前記無線局から送信される電波が受信できない場合に、前記通信手段は、前記複数の他端末のそれぞれから送信される、各端末の受信状況を受信し、前記判断手段は、前記複数の他端末の受信状況に基づいて、前記無線局との通信状態を判断することが好ましい。複数の端末の受信状況に基づいて判断することにより、1つの他端末の受信状況に基づいて判断するよりも信頼性の高い判断結果を得ることができる。
【0011】
前記判断手段は、前記複数の他端末のうち、前記無線局からの電波を受信できている他端末の数が所定の数よりも多い場合に、障害物によって電波が遮断されている、と判断し、前記複数の他端末のうち、前記無線局からの電波を受信できていない他端末の数が所定の数よりも多い場合に、前記無線局から送信される電波の届く範囲外にいる、と判断することが好ましい。これにより、自車両の通信状態が「通信エリア外」なのか「電波が障害物に遮断されている」なのかの判断結果が、1つの他端末の受信状況に基づいて判断するよりも信頼性の高いものになる。なお、上記所定の数は、他端末の数によらない一定の値であってもよいし、他端末の数に応じて決定される値であってもよいし、複数の他端末のうちの何パーセントという割合でもよい。さらに、「電波が障害物に遮断されている」と判断された場合に、各他端末と自車両との位置関係が把握できていれば、どの方向で電波の遮断が起きているのかも把握することができ、自車両に乗車している人物はより確実に無線局からの電波を受信できる位置に車両を移動させることができる。
【0012】
また、本発明は、上記手段の少なくとも一部を有する通信装置として捉えてもよいし、上記処理の少なくとも一部を含む通信方法、または、かかる方法を実現するための通信プログラムやそのプログラムを記憶した記憶媒体として捉えることもできる。なお、上記手段及び処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る通信装置では、路車間通信や車車間通信を行う車両が、無線局からの電波が受信できない場合に、受信できない理由を、その車両に乗車している人物に通知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
本実施形態に係る通信装置は、路車間通信又は車車間通信を行うために車両(自車両)に搭載された通信装置である。当該通信装置は無線局から発信される情報を受信し、受信できない場合には他端末の受信状況に基づいて通信状態を判断する。本実施形態では、無線局を路側機とし、他端末を他の車両に搭載されている通信装置とする場合について説明する。
【0016】
路側機としては、ビーコン(電波ビーコン、光ビーコン)やFM放送局など無線通信により情報を発信することができればどのようなものであってもよい。例えば、電波ビーコンは、主に高速道路上に設置されており、ビーコンの設置位置から約70mの範囲にいる車両に対して、その設置位置から約200km前方までの高速道路情報を提供する。光ビーコンは、主に主要幹線道路上に設置されており、ビーコンの設置位置から約3.5mの範囲にいる車両に対して、その設置位置から約10〜30km前方までの一般道路情報を提供する。FM放送局は、使用する周波数帯が76〜90MHz(地域によって異なる)で、放送局の設置位置からおよそ一都道府県の広さの範囲にいる車両に対して(電波ビーコン及び光ビーコンに比べて発信範囲が非常に広い)、高速道路と一般道路を網羅する情報を提供する。道路情報としては、具体的には、「この先に急カーブがある」、「○○道路が△kmの渋滞」、「駐車場満車」などの情報である。なお、上記情報及びその発信範囲(送信エリア)は適宜変更可能である。また、本実施形態では、無線局として、情報を発信する機能のみを有する路側機を考えているが、当然、情報を受信する機能を有していてもよい。
【0017】
(装置構成)
図1は、第1の実施形態に係る通信装置1の機能構成を示すブロック図である。この通信装置1は、無線局(路側機3)との通信状態を自車両2に乗車している人物4に通知する機能を備えている。
【0018】
通信状態として、通信ができる状態とできない状態とがあるが、本実施形態では、通信ができない場合(路側機から発信されている電波(情報)が受信できない場合)において、更に詳細な理由をその車両に乗車している人物に知らせる。
【0019】
路側機から発信されている電波が受信できない理由として、具体的には、「自車両が通信エリア内にいない場合(路側機からの電波の発信範囲外に自車両がいる場合)」(図2)と、「障害物によって電波が遮断(ブロッキング)されている場合」(図3)の2つが考えられる。
【0020】
「通信エリア内にいない場合」は、路側機からの情報がその車両にとって不必要な情報であることが多いため、そのような理由で電波が受信できないことは、大きな問題ではない。
【0021】
一方、「障害物によって電波が遮断されている場合」は、路側機からの情報がその車両にとって必要な情報であることが多いため、そのような理由で電波が受信できないことは、大きな問題である。本実施形態では、自車両2が路側機3から発信されている電波を受信できない場合に、人物4に対して、電波が受信できない理由を上記2つから選択し、通知することができるため、当該人物4はそのような状況から脱するために自車両2を移動させることができるようになる。
【0022】
本実施形態に係る通信装置1は、図1に示す複数の機能要素、すなわち、通信部10、判断部11、通知部12を備えている。本実施形態では、これらの機能要素は、演算処理装置がソフトウエア(プログラム)を実行し、必要に応じて記憶装置などのハードウエア資源を制御することで実現される。ただし、これらの機能要素を専用のチップで構成しても構わない。
【0023】
通信部10は、無線通信を行う機能であり、上記無線局や、他端末との通信を行ったりする。本実施形態では、通信部10は、路側機3との間で無線通信を行う。但し、通信部10は路側機3から発信されている電波のみを受信するわけではなく、無線通信を行うことのできる他端末から、その端末の受信状況(他端末と路側機3との通信状態)を受信することもできる。無線通信の通信方式としてはどのようなものであってもよく、IEEE802.11などの既存の技術を用いればよい。また、単方向通信、双方向通信のどちらであってもよい。
【0024】
上記他端末は、無線通信を行うことのできるものであれば、どのようなものであってもよい。本実施形態では、当該他端末として、周囲の車両5に搭載されている無線通信装置6を考える。無線通信装置6も通信部10と同様に無線通信を行う機能であり、上記無線局や、他端末との通信を行ったりする。本実施形態では、無線通信装置6は、外部に受信状況を発信する。当該受信状況は、定期的に発信されていてもよいし、自車両2などの他の端末からの要求があったときに発信すものであってもよい。具体的には、周囲の車両5が通信を行うとき、その通信相手にACKを返すのであれば、当該ACKを受信状況として受信してもよい。なお、受信状況は、通信部10が受信した受信状況のうち、最後に受信したものであってもよいし、自車両が自身の位置を把握できており、且つ、受信状況に位置情報が含まれているのであれば、自車両との位置関係から選択されたものであってもよいし、(例えば、最も近い他端末から送信された受信状況を選択するなど)、受信状況を決定することができればどのようなものであってもよい。
【0025】
判断部11は、無線局との通信状態を判断する機能である。本実施形態では、路側機3との通信中には「サービス中」と判断する。路側機3から発信されている電波が受信できない場合には、その理由を、上記周囲の車両5の受信状況(無線通信装置6の受信状況)に基づいて、判断する。
【0026】
路側機3から発信されている電波が受信できない理由としては、上述したように、「自車両が通信エリア内にいない場合(路側機からの電波の発信範囲外に自車両がいる場合)」(図2)と、「障害物によって電波が遮断(ブロッキング)されている場合」(図3)の2つを考える。
【0027】
「自車両が通信エリア内にいない場合」には、図2に示すように周囲の車両5も通信エリア21外にいる確率が高い。一方、「障害物によって電波が遮断されている場合」は、図3に示すように、電波の遮断が周囲の大型車両31、建物などによって局所的に生じるため、周囲の車両には電波が届いている確率が高い。
【0028】
そこで、本実施形態における判断部11は、周囲の車両5が路側機3から発信されている電波を受信できている場合に、障害物によって電波が遮断されている、と判断し、周囲の車両5が路側機3から発信されている電波を受信できていない場合に、自車両が通信エリア外にいる、と判断する。
【0029】
通知部12は、判断部11で判断された通信状態を自車両に乗車している人物に通知する機能である。具体的には、車両に備わっているカーナビのモニタやスピーカーなどを利
用し、モニタに通信状態を表示したり、スピーカーから音声によって通信状態を通知したりすればよい。本実施形態では、通知する事項として「サービス中」、「路車間通信に障害有り」、「通信エリア外」の3つから選択・通知される。
【0030】
(通信機能)
図4のフローチャートに沿って通信機能の構成と処理の流れを説明する。
【0031】
通信機能が起動すると、通信部10が路側機からの電波を受信できるか否かを判定する(ステップS10)。
【0032】
路側機からの電波を受信した場合には(ステップS10;YES)、通信部10が、路側機との間で通信を開始する(ステップS11)。そして、判断部11が路側機との通信状態を「サービス中」と判断し(ステップS12)、通知部12が自車両に乗車している人物に当該通信状態を通知する(ステップS13)。
【0033】
路側機からの電波を受信できなかった場合には(ステップS10;NO)、判断部11が、周囲の車両の受信状況に基づいて、自車両と路側機との間の通信状態を判断する。当該受信状況は、通信部10が受信した受信状況のうち、最後に受信したものとする。
【0034】
周囲の車両が路側機からの電波を受信できている場合(ステップS14;YES)、判断部11が路側機との通信状態を「路車間通信に障害有り」と判断し(ステップS15)、通知部12が自車両に乗車している人物に当該通信状態を通知する(ステップS13)
【0035】
周囲の車両が路側機からの電波を受信できていない場合(ステップS14;NO)、判断部11が路側機との通信状態を「通信エリア外」と判断し(ステップS16)、通知部12が自車両に乗車している人物に当該通信状態を通知する(ステップS13)
【0036】
<第2の実施形態>
本実施形態に係る通信装置及び他端末は第1の実施形態のものと同様とする。但し、本実施形態では、無線局を車両とする。ここで、無線局としての車両は、無線通信により情報を発信している車両であればどのようなものであってもよい。例えば、第1の実施形態で述べたような道路情報を発信しているような車両であってもよいし、娯楽情報を発信・宣伝しているような車両であってもよい(例えば、音楽を配信しているような車両を想定してもよい)。なお、車両から情報が送信される場合、その車両を放送車両と判断してもよいが、放送車両と他の車両とで発信される情報に違いを設けてもよい。例えば、送信される情報のヘッダに放送用の情報か否かを表す情報や、情報の送信元が無線局であるか否かを表す情報などが含まれていてもよい。また、本実施形態では、無線局として、情報を発信する機能のみを有する車両を考えているが、当然、情報を受信する機能を有していてもよい。
【0037】
(装置構成)
図5は、第2の実施形態に係る通信装置1の機能構成を示すブロック図である。この通信装置1は、無線局(車両51)との通信状態を自車両2に乗車している人物4に通知する機能を備えている。
【0038】
本実施形態に係る通信装置1は、図5に示す複数の機能要素、すなわち、通信部10、判断部11、通知部12を備えている。これらの機能要素は、その機能が第1の実施形態と略同様であるため、本実施形態では異なる箇所についてのみ説明する。
【0039】
本実施形態における通信部10は、車両51との間で無線通信を行う。但し、通信部1
0は、車両51から発信されている電波のみを受信するわけではなく、無線通信を行うことのできる他端末から、その端末の受信状況(他端末と車両51との通信状態)を受信することもできる。
【0040】
本実施形態でも第1の実施形態と同様に、他端末として周囲の車両5に搭載されている無線通信装置6を考える。但し、車両5には無線局である車両51が含まれていないものとする(以後、車両5と車両51を区別するために、車両51を放送車両51とする)。
【0041】
本実施形態における判断部11は、放送車両51との通信中には「サービス中」と判断する。放送車両51から発信されている電波が受信できない場合には、その理由を、上記周囲の車両5の受信状況に基づいて、判断する。
【0042】
放送車両51から発信されている電波が受信できない理由も第1の実施形態と同様であり、「自車両が通信エリア内にいない場合(放送車両からの電波の発信範囲外に自車両がいる場合)」(図6)と、「障害物によって電波が遮断(ブロッキング)されている場合」(図7)の2つを考える。
【0043】
そして、第1の実施形態と同様に、「自車両が通信エリア内にいない場合」には、図6に示すように周囲の車両5も通信エリア61外にいる確率が高く、「障害物によって電波が遮断されている場合」には、図7に示すように、周囲の車両5に電波が届いている確率が高い。
【0044】
そこで、本実施形態における判断部11は、周囲の車両5が放送車両51から発信されている電波を受信できている場合に、障害物によって電波が遮断されている、と判断し、周囲の車両5が送信車両51から発信されている電波を受信できていない場合に、自車両2が通信エリア外にいる、と判断する。
【0045】
本実施形態における通知部12は、通知する事項として「サービス中」、「車車間通信に障害有り」、「通信エリア外」の3つから選択・通知される。
【0046】
(通信機能)
図8のフローチャートに沿って通信機能の構成と処理の流れを説明する。
【0047】
通信機能が起動すると、通信部10が放送車両から発信されている電波を受信できるか否かを判定する(ステップS20)。
【0048】
放送車両からの電波を受信した場合には(ステップS20;YES)、通信部10が、放送車両との間で通信を開始する(ステップS21)。そして、判断部11が放送車両との通信状態を「サービス中」と判断し(ステップS22)、通知部12が自車両に乗車している人物に当該通信状態を通知する(ステップS23)。
【0049】
放送車両からの電波を受信できなかった場合には(ステップS20;NO)、判断部11が、周囲の車両が放送車両からの電波を受信できているか否かに応じて、自車両と放送車両との間の通信状態を判断する。本実施形態における受信状況も、第1の実施形態と同様に、通信部10が受信した受信状況のうち、最後に受信したものとする。
【0050】
周囲の車両が放送車両からの電波を受信できている場合(ステップS24;YES)、判断部11が放送車両との通信状態を「車車間通信に障害有り」と判断し(ステップS25)、通知部12が自車両に乗車している人物に当該通信状態を通知する(ステップS23)
【0051】
周囲の車両が放送車両からの電波を受信できていない場合(ステップS24;NO)、判断部11が放送車両との通信状態を「通信エリア外」と判断し(ステップS26)、通知部12が自車両に乗車している人物に当該通信状態を通知する(ステップS23)
【0052】
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、上記第1の実施形態の変形例である。本実施形態における判断部11は、路側機3から発信されている電波が受信できない場合に、その理由を、周囲の複数の車両5の受信状況に基づいて判断することにより、より信頼性の高い判断結果を導き出す。なお、装置構成や処理の流れなどは夫々の実施形態と共通しているため、本実施形態では異なる項目についてのみ説明する。
【0053】
以下に図9,10を用いて第3の実施形態について詳しく説明する。
【0054】
図9の例は、自車両2が通信エリア91のすぐ外にいる場合である。更に、図9の例では、周囲にいる複数の車両のうち、一部の車両92は通信エリア91内におり、路側機からの電波が受信できている。図10の例は、自車両2が通信エリア101内にいるものの、周囲の障害物(図10の例では大型車両102)によってブロッキングされているため、路側機からの電波を受信できない場合である。更に、図10の例では、周囲の一部の車両103も大型車両102によってブロッキングされており、路側機からの電波を受信できていない。
【0055】
このような状況はごく稀であるが、このような場合に、判断部11が車両92や車両103の受信状況に基づいて通信状態を判断すると、誤った判断結果が導かれる。具体的には、判断部11が車両92の受信状況に基づいて判断すると、車両92には電波が届いているため「路車間通信に障害有り」という判断結果が導かれる。一方、判断部11が車両103の受信状況に基づいて判断すると、車両103にも電波が届いていないため「通信エリア外」という判断結果が導かれる。正確な判断結果を導くためには、車両5(図9においては通信エリア外にいる車両、図10においては路側機からの電波が受信できている車両)の受信状況に基づいて判断しなくてはならないが、自車両はどの車両の受信状況に基づいて判断すれば正しい判断結果を導けるのかを知ることができない。
【0056】
そこで、本実施形態では、判断部11が周囲の複数の車両の受信状況に基づいて判断する(周囲の全ての車両の受信状況に基づいて判断しなくてもよい)。複数の車両の受信状況に基づいて判断することにより、より信頼性の高い判断結果を得ることができる。
【0057】
例えば、予め基準となる閾値を設定しておき、路側機からの電波を受信できている車両の数で判断してもよいし(勿論、路側機からの電波を受信できていない車両の数に基づいて判断してもよい)、周囲の車両のうち、路側機と通信している車両が何パーセントか、等の割合に基づいて判断してもよい。例えば、路側機からの電波を受信できている車両の数や割合が予め定められた閾値を超える場合に「路車間通信に障害有り」と判断すればよい。なお、当該閾値は適宜設定すればよい。
【0058】
具体的には、レーザ、レーダ、ソナーなどの従来技術を用いて周囲の車両を検出し、それらの車両のうちの何台が路側機に対してACKを返しているのか、などの割合に基づいて判断すればよい。また、周囲の車両を検出しなくとも、路側機に対してACKを返しているの車両の台数のみに基づいて判断してもよい。そして、当該ACKを返している車両の割合や台数が予め定められた閾値を超える場合に「路車間通信に障害有り」と判断すればよい。
【0059】
上記第3の実施形態は、第1の実施形態の変形例として紹介したが、第2の実施形態に適用してもよい。それにより、第2の実施形態における判断結果の信頼性を高くすることができる。
【0060】
以上第1〜第3の実施形態で述べたように、本発明に係る通信装置では、無線局から発信されている情報が受信できない場合に「なぜ受信できないのか」ということを判断し、自車両に乗車している人物に通知する。これにより、自車両に乗車している人物は、「なぜ受信できないのか」ということを把握できる。
【0061】
その結果、通信エリア内にいるにもかかわらず受信できない場合(上記実施形態では、電波が障害物に遮蔽されている場合)には、自車両に乗車している人物に「本来ならば何か情報を受信していたはず」という意識を持たせることができる。また、車両に乗車している人物にそのような意識を持たせることにより、どうすれば情報が受信できるのかを考えさせ、受信するための行動を促すことができると考えられる。それにより、その人物は受信できていなかった情報を受信できるようになる。
【0062】
なお、上記実施形態において、自車両は自身の位置情報を把握し、周囲の車両は自身の位置情報を受信情報と共に発信していることが好ましい。そうすることにより、自車両は周囲の車両の位置関係を把握することができ、更には、障害物がどの方向にあるのかを把握することができる。そのため、無線局から発信されている情報を受信するためにはどの方向に移動すればよいかを的確に判断することができる。
【0063】
なお、第3の実施形態のように複数の車両の受信状況に基づいて自車両の通信状態を判断する場合には、判断結果と共にその信頼度を算出してもよい。例えば、周囲の車両のうち路側機と通信している車両の割合を、信頼度としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る通信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施形態において、自車両が無線通信できない場合の一例を示す図である。
【図3】図3は、第1の実施形態において、自車両が無線通信できない場合の一例を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る通信装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、第2の実施形態に係る通信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、第2の実施形態において、自車両が無線通信できない場合の一例を示す図である。
【図7】図7は、第2の実施形態において、自車両が無線通信できない場合の一例を示す図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係る通信装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は、誤った判断結果を導く状況の一例を示す図である。
【図10】図10は、誤った判断結果を導く状況の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 通信装置
2 自車両
3 路側機
4 人物
5,92,103 車両
6 無線通信装置
10 通信部
11 判断部
12 通知部
21,61,91,101 通信エリア
31,71,102 大型車両
51 放送車両
【技術分野】
【0001】
本発明は、路車間通信又は車車間通信を行うための通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、路車間通信や車車間通信を利用して、安全運転を支援するためのシステムを構築しようとする試みがなされている。そのようなシステムの一例としては、特許文献1〜4に開示されている技術が挙げられる。
【0003】
上記システムは、無線局が予め定められた領域(通信エリア)内に情報を発信しており、車両は当該領域内に入ればその情報を受信できる、ということを前提としている。しかし実際には、無線局から発信された電波が障害物にブロッキングされ、距離的には十分に届くはずの電波が届かない、ということがある。
【0004】
従来、「無線局からの電波が届いているか否か」という判断だけがなされていたが、車両に乗車している人物が、「なぜ受信できないのか」ということを把握できれば、具体的には、「電波が障害物に遮断されている」ということが把握できれば、その人物に「本来ならば何か情報を受信していたはず」という意識を持たせることができる。さらに、その人物に、障害物が無いような場所へ車両を移動させるように促せば、その人物は受信できていなかった情報が受信できるようになる。すなわち、路車間通信や車車間通信を利用したシステムにおいて、車両に乗車している人物に、なぜ情報が受信できないのかを把握させることは非常に重要なことである。
【特許文献1】特開2004−133660号公報
【特許文献2】特開2005−78265号公報
【特許文献3】特開2005−149231号公報
【特許文献4】特開2006−275770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、路車間通信や車車間通信を行う車両が、無線局からの電波が受信できない場合に、受信できない理由を、その車両に乗車している人物に通知するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用する。
【0007】
本発明に係る通信装置は、路車間通信又は車車間通信を行うために車両に搭載された通信装置であって、無線通信を行う通信手段と、無線局との通信状態を判断する判断手段と、前記判断された通信状態を、当該車両に乗車している人物に通知する通知手段と、を備え、前記通信手段は、他端末の受信状況を受信可能であり、前記無線局から送信される電波が受信できない場合に、前記判断手段は、前記他端末の受信状況に基づいて、前記無線局との通信状態を判断する。
【0008】
本発明に係る通信装置では、「無線局からの電波が届いているか否か」という判断だけでなく、無線局から送信される電波が受信できない場合に、他端末の受信状況に基づいて、無線局との通信状態を判断する。換言すれば、無線局から送信される電波が受信できない場合に、「なぜ受信できないのか」ということを判断する。判断された通信状態は、通知手段により自車両(本発明に係る通信装置が搭載されている車両)に乗車している人物
に通知される。これにより、自車両に乗車している人物は、「なぜ受信できないのか」ということを把握できる。その結果、その人物が、自車両が通信エリア内にいるにもかかわらず無線局からの電波を受信できない、ということを把握できれば、その人物に「本来ならば何か情報を受信していたはず」という意識を持たせることができる。また、車両に乗車している人物にそのような意識を持たせることにより、どうすれば情報が受信できるのかを考えさせ、受信するための行動を促すことができると考えられる。それにより、その人物は受信できていなかった情報を受信できるようになる。
【0009】
前記判断手段は、前記他端末が前記無線局からの電波を受信できている場合に、障害物によって電波が遮断されている、と判断し、前記他端末が前記無線局からの電波を受信できていない場合に、前記無線局から送信される電波の届く範囲外にいる、と判断することが好ましい。自車両が通信エリア外にいる場合には、周囲の端末も通信エリア外にいる可能性が高い。一方、障害物による電波の遮断は、周囲の車両、建物などによって局所的に生じるため、自車両への電波が障害物によって遮断されていたとしても、周囲の端末には電波が届いていることが多い。そのため、他端末が無線局からの電波を受信できている場合には、「電波が障害物に遮断されている」と判断することができ、他端末が無線局からの電波を受信できていない場合には、「通信エリア外」と判断することができる。また、車両に乗車している人物に、「電波が障害物に遮断されている」ということを把握させれば、その人物に「本来ならば何か情報を受信していたはず」という意識を持たせることができる。さらに、その人物に、障害物が無いような場所へ車両を移動させるように促せば、その人物は受信できていなかった情報が受信できるようになる。
【0010】
前記他端末は複数あり、前記無線局から送信される電波が受信できない場合に、前記通信手段は、前記複数の他端末のそれぞれから送信される、各端末の受信状況を受信し、前記判断手段は、前記複数の他端末の受信状況に基づいて、前記無線局との通信状態を判断することが好ましい。複数の端末の受信状況に基づいて判断することにより、1つの他端末の受信状況に基づいて判断するよりも信頼性の高い判断結果を得ることができる。
【0011】
前記判断手段は、前記複数の他端末のうち、前記無線局からの電波を受信できている他端末の数が所定の数よりも多い場合に、障害物によって電波が遮断されている、と判断し、前記複数の他端末のうち、前記無線局からの電波を受信できていない他端末の数が所定の数よりも多い場合に、前記無線局から送信される電波の届く範囲外にいる、と判断することが好ましい。これにより、自車両の通信状態が「通信エリア外」なのか「電波が障害物に遮断されている」なのかの判断結果が、1つの他端末の受信状況に基づいて判断するよりも信頼性の高いものになる。なお、上記所定の数は、他端末の数によらない一定の値であってもよいし、他端末の数に応じて決定される値であってもよいし、複数の他端末のうちの何パーセントという割合でもよい。さらに、「電波が障害物に遮断されている」と判断された場合に、各他端末と自車両との位置関係が把握できていれば、どの方向で電波の遮断が起きているのかも把握することができ、自車両に乗車している人物はより確実に無線局からの電波を受信できる位置に車両を移動させることができる。
【0012】
また、本発明は、上記手段の少なくとも一部を有する通信装置として捉えてもよいし、上記処理の少なくとも一部を含む通信方法、または、かかる方法を実現するための通信プログラムやそのプログラムを記憶した記憶媒体として捉えることもできる。なお、上記手段及び処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る通信装置では、路車間通信や車車間通信を行う車両が、無線局からの電波が受信できない場合に、受信できない理由を、その車両に乗車している人物に通知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
本実施形態に係る通信装置は、路車間通信又は車車間通信を行うために車両(自車両)に搭載された通信装置である。当該通信装置は無線局から発信される情報を受信し、受信できない場合には他端末の受信状況に基づいて通信状態を判断する。本実施形態では、無線局を路側機とし、他端末を他の車両に搭載されている通信装置とする場合について説明する。
【0016】
路側機としては、ビーコン(電波ビーコン、光ビーコン)やFM放送局など無線通信により情報を発信することができればどのようなものであってもよい。例えば、電波ビーコンは、主に高速道路上に設置されており、ビーコンの設置位置から約70mの範囲にいる車両に対して、その設置位置から約200km前方までの高速道路情報を提供する。光ビーコンは、主に主要幹線道路上に設置されており、ビーコンの設置位置から約3.5mの範囲にいる車両に対して、その設置位置から約10〜30km前方までの一般道路情報を提供する。FM放送局は、使用する周波数帯が76〜90MHz(地域によって異なる)で、放送局の設置位置からおよそ一都道府県の広さの範囲にいる車両に対して(電波ビーコン及び光ビーコンに比べて発信範囲が非常に広い)、高速道路と一般道路を網羅する情報を提供する。道路情報としては、具体的には、「この先に急カーブがある」、「○○道路が△kmの渋滞」、「駐車場満車」などの情報である。なお、上記情報及びその発信範囲(送信エリア)は適宜変更可能である。また、本実施形態では、無線局として、情報を発信する機能のみを有する路側機を考えているが、当然、情報を受信する機能を有していてもよい。
【0017】
(装置構成)
図1は、第1の実施形態に係る通信装置1の機能構成を示すブロック図である。この通信装置1は、無線局(路側機3)との通信状態を自車両2に乗車している人物4に通知する機能を備えている。
【0018】
通信状態として、通信ができる状態とできない状態とがあるが、本実施形態では、通信ができない場合(路側機から発信されている電波(情報)が受信できない場合)において、更に詳細な理由をその車両に乗車している人物に知らせる。
【0019】
路側機から発信されている電波が受信できない理由として、具体的には、「自車両が通信エリア内にいない場合(路側機からの電波の発信範囲外に自車両がいる場合)」(図2)と、「障害物によって電波が遮断(ブロッキング)されている場合」(図3)の2つが考えられる。
【0020】
「通信エリア内にいない場合」は、路側機からの情報がその車両にとって不必要な情報であることが多いため、そのような理由で電波が受信できないことは、大きな問題ではない。
【0021】
一方、「障害物によって電波が遮断されている場合」は、路側機からの情報がその車両にとって必要な情報であることが多いため、そのような理由で電波が受信できないことは、大きな問題である。本実施形態では、自車両2が路側機3から発信されている電波を受信できない場合に、人物4に対して、電波が受信できない理由を上記2つから選択し、通知することができるため、当該人物4はそのような状況から脱するために自車両2を移動させることができるようになる。
【0022】
本実施形態に係る通信装置1は、図1に示す複数の機能要素、すなわち、通信部10、判断部11、通知部12を備えている。本実施形態では、これらの機能要素は、演算処理装置がソフトウエア(プログラム)を実行し、必要に応じて記憶装置などのハードウエア資源を制御することで実現される。ただし、これらの機能要素を専用のチップで構成しても構わない。
【0023】
通信部10は、無線通信を行う機能であり、上記無線局や、他端末との通信を行ったりする。本実施形態では、通信部10は、路側機3との間で無線通信を行う。但し、通信部10は路側機3から発信されている電波のみを受信するわけではなく、無線通信を行うことのできる他端末から、その端末の受信状況(他端末と路側機3との通信状態)を受信することもできる。無線通信の通信方式としてはどのようなものであってもよく、IEEE802.11などの既存の技術を用いればよい。また、単方向通信、双方向通信のどちらであってもよい。
【0024】
上記他端末は、無線通信を行うことのできるものであれば、どのようなものであってもよい。本実施形態では、当該他端末として、周囲の車両5に搭載されている無線通信装置6を考える。無線通信装置6も通信部10と同様に無線通信を行う機能であり、上記無線局や、他端末との通信を行ったりする。本実施形態では、無線通信装置6は、外部に受信状況を発信する。当該受信状況は、定期的に発信されていてもよいし、自車両2などの他の端末からの要求があったときに発信すものであってもよい。具体的には、周囲の車両5が通信を行うとき、その通信相手にACKを返すのであれば、当該ACKを受信状況として受信してもよい。なお、受信状況は、通信部10が受信した受信状況のうち、最後に受信したものであってもよいし、自車両が自身の位置を把握できており、且つ、受信状況に位置情報が含まれているのであれば、自車両との位置関係から選択されたものであってもよいし、(例えば、最も近い他端末から送信された受信状況を選択するなど)、受信状況を決定することができればどのようなものであってもよい。
【0025】
判断部11は、無線局との通信状態を判断する機能である。本実施形態では、路側機3との通信中には「サービス中」と判断する。路側機3から発信されている電波が受信できない場合には、その理由を、上記周囲の車両5の受信状況(無線通信装置6の受信状況)に基づいて、判断する。
【0026】
路側機3から発信されている電波が受信できない理由としては、上述したように、「自車両が通信エリア内にいない場合(路側機からの電波の発信範囲外に自車両がいる場合)」(図2)と、「障害物によって電波が遮断(ブロッキング)されている場合」(図3)の2つを考える。
【0027】
「自車両が通信エリア内にいない場合」には、図2に示すように周囲の車両5も通信エリア21外にいる確率が高い。一方、「障害物によって電波が遮断されている場合」は、図3に示すように、電波の遮断が周囲の大型車両31、建物などによって局所的に生じるため、周囲の車両には電波が届いている確率が高い。
【0028】
そこで、本実施形態における判断部11は、周囲の車両5が路側機3から発信されている電波を受信できている場合に、障害物によって電波が遮断されている、と判断し、周囲の車両5が路側機3から発信されている電波を受信できていない場合に、自車両が通信エリア外にいる、と判断する。
【0029】
通知部12は、判断部11で判断された通信状態を自車両に乗車している人物に通知する機能である。具体的には、車両に備わっているカーナビのモニタやスピーカーなどを利
用し、モニタに通信状態を表示したり、スピーカーから音声によって通信状態を通知したりすればよい。本実施形態では、通知する事項として「サービス中」、「路車間通信に障害有り」、「通信エリア外」の3つから選択・通知される。
【0030】
(通信機能)
図4のフローチャートに沿って通信機能の構成と処理の流れを説明する。
【0031】
通信機能が起動すると、通信部10が路側機からの電波を受信できるか否かを判定する(ステップS10)。
【0032】
路側機からの電波を受信した場合には(ステップS10;YES)、通信部10が、路側機との間で通信を開始する(ステップS11)。そして、判断部11が路側機との通信状態を「サービス中」と判断し(ステップS12)、通知部12が自車両に乗車している人物に当該通信状態を通知する(ステップS13)。
【0033】
路側機からの電波を受信できなかった場合には(ステップS10;NO)、判断部11が、周囲の車両の受信状況に基づいて、自車両と路側機との間の通信状態を判断する。当該受信状況は、通信部10が受信した受信状況のうち、最後に受信したものとする。
【0034】
周囲の車両が路側機からの電波を受信できている場合(ステップS14;YES)、判断部11が路側機との通信状態を「路車間通信に障害有り」と判断し(ステップS15)、通知部12が自車両に乗車している人物に当該通信状態を通知する(ステップS13)
【0035】
周囲の車両が路側機からの電波を受信できていない場合(ステップS14;NO)、判断部11が路側機との通信状態を「通信エリア外」と判断し(ステップS16)、通知部12が自車両に乗車している人物に当該通信状態を通知する(ステップS13)
【0036】
<第2の実施形態>
本実施形態に係る通信装置及び他端末は第1の実施形態のものと同様とする。但し、本実施形態では、無線局を車両とする。ここで、無線局としての車両は、無線通信により情報を発信している車両であればどのようなものであってもよい。例えば、第1の実施形態で述べたような道路情報を発信しているような車両であってもよいし、娯楽情報を発信・宣伝しているような車両であってもよい(例えば、音楽を配信しているような車両を想定してもよい)。なお、車両から情報が送信される場合、その車両を放送車両と判断してもよいが、放送車両と他の車両とで発信される情報に違いを設けてもよい。例えば、送信される情報のヘッダに放送用の情報か否かを表す情報や、情報の送信元が無線局であるか否かを表す情報などが含まれていてもよい。また、本実施形態では、無線局として、情報を発信する機能のみを有する車両を考えているが、当然、情報を受信する機能を有していてもよい。
【0037】
(装置構成)
図5は、第2の実施形態に係る通信装置1の機能構成を示すブロック図である。この通信装置1は、無線局(車両51)との通信状態を自車両2に乗車している人物4に通知する機能を備えている。
【0038】
本実施形態に係る通信装置1は、図5に示す複数の機能要素、すなわち、通信部10、判断部11、通知部12を備えている。これらの機能要素は、その機能が第1の実施形態と略同様であるため、本実施形態では異なる箇所についてのみ説明する。
【0039】
本実施形態における通信部10は、車両51との間で無線通信を行う。但し、通信部1
0は、車両51から発信されている電波のみを受信するわけではなく、無線通信を行うことのできる他端末から、その端末の受信状況(他端末と車両51との通信状態)を受信することもできる。
【0040】
本実施形態でも第1の実施形態と同様に、他端末として周囲の車両5に搭載されている無線通信装置6を考える。但し、車両5には無線局である車両51が含まれていないものとする(以後、車両5と車両51を区別するために、車両51を放送車両51とする)。
【0041】
本実施形態における判断部11は、放送車両51との通信中には「サービス中」と判断する。放送車両51から発信されている電波が受信できない場合には、その理由を、上記周囲の車両5の受信状況に基づいて、判断する。
【0042】
放送車両51から発信されている電波が受信できない理由も第1の実施形態と同様であり、「自車両が通信エリア内にいない場合(放送車両からの電波の発信範囲外に自車両がいる場合)」(図6)と、「障害物によって電波が遮断(ブロッキング)されている場合」(図7)の2つを考える。
【0043】
そして、第1の実施形態と同様に、「自車両が通信エリア内にいない場合」には、図6に示すように周囲の車両5も通信エリア61外にいる確率が高く、「障害物によって電波が遮断されている場合」には、図7に示すように、周囲の車両5に電波が届いている確率が高い。
【0044】
そこで、本実施形態における判断部11は、周囲の車両5が放送車両51から発信されている電波を受信できている場合に、障害物によって電波が遮断されている、と判断し、周囲の車両5が送信車両51から発信されている電波を受信できていない場合に、自車両2が通信エリア外にいる、と判断する。
【0045】
本実施形態における通知部12は、通知する事項として「サービス中」、「車車間通信に障害有り」、「通信エリア外」の3つから選択・通知される。
【0046】
(通信機能)
図8のフローチャートに沿って通信機能の構成と処理の流れを説明する。
【0047】
通信機能が起動すると、通信部10が放送車両から発信されている電波を受信できるか否かを判定する(ステップS20)。
【0048】
放送車両からの電波を受信した場合には(ステップS20;YES)、通信部10が、放送車両との間で通信を開始する(ステップS21)。そして、判断部11が放送車両との通信状態を「サービス中」と判断し(ステップS22)、通知部12が自車両に乗車している人物に当該通信状態を通知する(ステップS23)。
【0049】
放送車両からの電波を受信できなかった場合には(ステップS20;NO)、判断部11が、周囲の車両が放送車両からの電波を受信できているか否かに応じて、自車両と放送車両との間の通信状態を判断する。本実施形態における受信状況も、第1の実施形態と同様に、通信部10が受信した受信状況のうち、最後に受信したものとする。
【0050】
周囲の車両が放送車両からの電波を受信できている場合(ステップS24;YES)、判断部11が放送車両との通信状態を「車車間通信に障害有り」と判断し(ステップS25)、通知部12が自車両に乗車している人物に当該通信状態を通知する(ステップS23)
【0051】
周囲の車両が放送車両からの電波を受信できていない場合(ステップS24;NO)、判断部11が放送車両との通信状態を「通信エリア外」と判断し(ステップS26)、通知部12が自車両に乗車している人物に当該通信状態を通知する(ステップS23)
【0052】
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、上記第1の実施形態の変形例である。本実施形態における判断部11は、路側機3から発信されている電波が受信できない場合に、その理由を、周囲の複数の車両5の受信状況に基づいて判断することにより、より信頼性の高い判断結果を導き出す。なお、装置構成や処理の流れなどは夫々の実施形態と共通しているため、本実施形態では異なる項目についてのみ説明する。
【0053】
以下に図9,10を用いて第3の実施形態について詳しく説明する。
【0054】
図9の例は、自車両2が通信エリア91のすぐ外にいる場合である。更に、図9の例では、周囲にいる複数の車両のうち、一部の車両92は通信エリア91内におり、路側機からの電波が受信できている。図10の例は、自車両2が通信エリア101内にいるものの、周囲の障害物(図10の例では大型車両102)によってブロッキングされているため、路側機からの電波を受信できない場合である。更に、図10の例では、周囲の一部の車両103も大型車両102によってブロッキングされており、路側機からの電波を受信できていない。
【0055】
このような状況はごく稀であるが、このような場合に、判断部11が車両92や車両103の受信状況に基づいて通信状態を判断すると、誤った判断結果が導かれる。具体的には、判断部11が車両92の受信状況に基づいて判断すると、車両92には電波が届いているため「路車間通信に障害有り」という判断結果が導かれる。一方、判断部11が車両103の受信状況に基づいて判断すると、車両103にも電波が届いていないため「通信エリア外」という判断結果が導かれる。正確な判断結果を導くためには、車両5(図9においては通信エリア外にいる車両、図10においては路側機からの電波が受信できている車両)の受信状況に基づいて判断しなくてはならないが、自車両はどの車両の受信状況に基づいて判断すれば正しい判断結果を導けるのかを知ることができない。
【0056】
そこで、本実施形態では、判断部11が周囲の複数の車両の受信状況に基づいて判断する(周囲の全ての車両の受信状況に基づいて判断しなくてもよい)。複数の車両の受信状況に基づいて判断することにより、より信頼性の高い判断結果を得ることができる。
【0057】
例えば、予め基準となる閾値を設定しておき、路側機からの電波を受信できている車両の数で判断してもよいし(勿論、路側機からの電波を受信できていない車両の数に基づいて判断してもよい)、周囲の車両のうち、路側機と通信している車両が何パーセントか、等の割合に基づいて判断してもよい。例えば、路側機からの電波を受信できている車両の数や割合が予め定められた閾値を超える場合に「路車間通信に障害有り」と判断すればよい。なお、当該閾値は適宜設定すればよい。
【0058】
具体的には、レーザ、レーダ、ソナーなどの従来技術を用いて周囲の車両を検出し、それらの車両のうちの何台が路側機に対してACKを返しているのか、などの割合に基づいて判断すればよい。また、周囲の車両を検出しなくとも、路側機に対してACKを返しているの車両の台数のみに基づいて判断してもよい。そして、当該ACKを返している車両の割合や台数が予め定められた閾値を超える場合に「路車間通信に障害有り」と判断すればよい。
【0059】
上記第3の実施形態は、第1の実施形態の変形例として紹介したが、第2の実施形態に適用してもよい。それにより、第2の実施形態における判断結果の信頼性を高くすることができる。
【0060】
以上第1〜第3の実施形態で述べたように、本発明に係る通信装置では、無線局から発信されている情報が受信できない場合に「なぜ受信できないのか」ということを判断し、自車両に乗車している人物に通知する。これにより、自車両に乗車している人物は、「なぜ受信できないのか」ということを把握できる。
【0061】
その結果、通信エリア内にいるにもかかわらず受信できない場合(上記実施形態では、電波が障害物に遮蔽されている場合)には、自車両に乗車している人物に「本来ならば何か情報を受信していたはず」という意識を持たせることができる。また、車両に乗車している人物にそのような意識を持たせることにより、どうすれば情報が受信できるのかを考えさせ、受信するための行動を促すことができると考えられる。それにより、その人物は受信できていなかった情報を受信できるようになる。
【0062】
なお、上記実施形態において、自車両は自身の位置情報を把握し、周囲の車両は自身の位置情報を受信情報と共に発信していることが好ましい。そうすることにより、自車両は周囲の車両の位置関係を把握することができ、更には、障害物がどの方向にあるのかを把握することができる。そのため、無線局から発信されている情報を受信するためにはどの方向に移動すればよいかを的確に判断することができる。
【0063】
なお、第3の実施形態のように複数の車両の受信状況に基づいて自車両の通信状態を判断する場合には、判断結果と共にその信頼度を算出してもよい。例えば、周囲の車両のうち路側機と通信している車両の割合を、信頼度としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る通信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施形態において、自車両が無線通信できない場合の一例を示す図である。
【図3】図3は、第1の実施形態において、自車両が無線通信できない場合の一例を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る通信装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、第2の実施形態に係る通信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、第2の実施形態において、自車両が無線通信できない場合の一例を示す図である。
【図7】図7は、第2の実施形態において、自車両が無線通信できない場合の一例を示す図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係る通信装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は、誤った判断結果を導く状況の一例を示す図である。
【図10】図10は、誤った判断結果を導く状況の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 通信装置
2 自車両
3 路側機
4 人物
5,92,103 車両
6 無線通信装置
10 通信部
11 判断部
12 通知部
21,61,91,101 通信エリア
31,71,102 大型車両
51 放送車両
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路車間通信又は車車間通信を行うために車両に搭載された通信装置であって、
無線通信を行う通信手段と、
無線局との通信状態を判断する判断手段と、
前記判断された通信状態を、当該車両に乗車している人物に通知する通知手段と、
を備え、
前記通信手段は、他端末の受信状況を受信可能であり、
前記無線局から送信される電波が受信できない場合に、前記判断手段は、前記他端末の受信状況に基づいて、前記無線局との通信状態を判断する
通信装置。
【請求項2】
前記判断手段は、
前記他端末が前記無線局からの電波を受信できている場合に、障害物によって電波が遮断されている、と判断し、
前記他端末が前記無線局からの電波を受信できていない場合に、前記無線局から送信される電波の届く範囲外にいる、と判断する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記他端末は複数あり、
前記無線局から送信される電波が受信できない場合に、
前記通信手段は、前記複数の他端末のそれぞれから送信される、各端末の受信状況を受信し、
前記判断手段は、前記複数の他端末の受信状況に基づいて、前記無線局との通信状態を判断する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記判断手段は、
前記複数の他端末のうち、前記無線局からの電波を受信できている他端末の数が所定の数よりも多い場合に、障害物によって電波が遮断されている、と判断し、
前記複数の他端末のうち、前記無線局からの電波を受信できていない他端末の数が所定の数よりも多い場合に、前記無線局から送信される電波の届く範囲外にいる、と判断する請求項3に記載の通信装置
【請求項5】
路車間通信又は車車間通信を行うために車両に搭載された通信装置が、
無線通信を行い、
無線局との通信状態を判断し、
前記判断された通信状態を、当該車両に乗車している人物に通知する
通信方法であって、
前記通信装置は、他端末の受信状況を受信可能であり、
前記無線局から送信される電波が受信できない場合に、前記他端末の受信状況に基づいて、前記無線局との通信状態を判断する
通信方法。
【請求項6】
路車間通信又は車車間通信を行うために車両に搭載された通信装置に、
無線通信を行う通信ステップと、
無線局との通信状態を判断する判断ステップと、
前記判断された通信状態を、当該車両に乗車している人物に通知する通知ステップと、を実行させる通信プログラムであって、
前記通信ステップは、他端末の受信状況を受信可能であり、
前記無線局から送信される電波が受信できない場合に、前記判断ステップは、前記他端末の受信状況に基づいて、前記無線局との通信状態を判断する
通信プログラム。
【請求項1】
路車間通信又は車車間通信を行うために車両に搭載された通信装置であって、
無線通信を行う通信手段と、
無線局との通信状態を判断する判断手段と、
前記判断された通信状態を、当該車両に乗車している人物に通知する通知手段と、
を備え、
前記通信手段は、他端末の受信状況を受信可能であり、
前記無線局から送信される電波が受信できない場合に、前記判断手段は、前記他端末の受信状況に基づいて、前記無線局との通信状態を判断する
通信装置。
【請求項2】
前記判断手段は、
前記他端末が前記無線局からの電波を受信できている場合に、障害物によって電波が遮断されている、と判断し、
前記他端末が前記無線局からの電波を受信できていない場合に、前記無線局から送信される電波の届く範囲外にいる、と判断する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記他端末は複数あり、
前記無線局から送信される電波が受信できない場合に、
前記通信手段は、前記複数の他端末のそれぞれから送信される、各端末の受信状況を受信し、
前記判断手段は、前記複数の他端末の受信状況に基づいて、前記無線局との通信状態を判断する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記判断手段は、
前記複数の他端末のうち、前記無線局からの電波を受信できている他端末の数が所定の数よりも多い場合に、障害物によって電波が遮断されている、と判断し、
前記複数の他端末のうち、前記無線局からの電波を受信できていない他端末の数が所定の数よりも多い場合に、前記無線局から送信される電波の届く範囲外にいる、と判断する請求項3に記載の通信装置
【請求項5】
路車間通信又は車車間通信を行うために車両に搭載された通信装置が、
無線通信を行い、
無線局との通信状態を判断し、
前記判断された通信状態を、当該車両に乗車している人物に通知する
通信方法であって、
前記通信装置は、他端末の受信状況を受信可能であり、
前記無線局から送信される電波が受信できない場合に、前記他端末の受信状況に基づいて、前記無線局との通信状態を判断する
通信方法。
【請求項6】
路車間通信又は車車間通信を行うために車両に搭載された通信装置に、
無線通信を行う通信ステップと、
無線局との通信状態を判断する判断ステップと、
前記判断された通信状態を、当該車両に乗車している人物に通知する通知ステップと、を実行させる通信プログラムであって、
前記通信ステップは、他端末の受信状況を受信可能であり、
前記無線局から送信される電波が受信できない場合に、前記判断ステップは、前記他端末の受信状況に基づいて、前記無線局との通信状態を判断する
通信プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−111585(P2009−111585A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280231(P2007−280231)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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