説明

通信装置

【課題】使い勝手のよいリーダライタを実現する。
【解決手段】クリップ12は保管状態では、クリップ12をリーダライタの全長を伸ばす方向にスライドさせることによりUSBコネクタを覆うことができ、接続状態および使用状態では、クリップ12をUSBモジュール11と重なる方向にスライドさせることによりUSBコネクタを露出させることができる。また、クリップ12は、USBモジュール11の側面11A側、または側面11C側のどちらにもくるように取り付けることが可能である。さらに、その向きを180度回転させた状態でもUSBモジュール11に取付け可能である。例えば、非接触通信システムのリーダライタに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関し、特に、例えば、パーソナルコンピュータに設けられているUSB(universal serial bus)インタフェースに接続することにより、パーソナルコンピュータにICカードとのデータ通信機能を追加できるようにした通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、FeliCa(ソニー株式会社の登録商標)に代表される非接触通信システムが普及している。この非接触通信システムは、例えば、電車、バスなどの公共交通機関の改札システムや、各種店舗や自動販売機など使用できる電子マネーシステムなどに採用されている。例えば、この非接触通信システムが改札システムに採用される場合、改札機にリーダライタが設置され、Suica(商標)に代表されるICカード(ICカードと同等のICチップが内蔵されている携帯電話機なども含む)が乗車券として利用される。
【0003】
非接触通信システムにおいて、リーダライタからICカードに対して所定の送信情報を送信する場合、キャリア信号を当該所定の送信情報に従ってASK(amplitude shift keying)変調して送信する。反対に、ICカードからリーダライタに対して所定の返信情報を送信する場合、当該所定の返信情報に応じてキャリア信号の電圧に変化を生じさせる負荷変調が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに、非接触通信システムは、一般家庭におけるインタネットを用いた通信販売などの電子マネーによる決済や電子マネーのチャージ、各種手続の個人認証などにも利用されている。
【0005】
一般家庭において非接触通信システムを利用するためには、通常、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと称する)が用いられる。このパソコンには、ICカードとデータを通信するためのインタフェース(FeliCaポートなど)が予め搭載されているか、またはUSBポートを介して、ICカードとデータを通信するためのリーダライタを接続して利用する必要がある。
【0006】
そのような需要に応じ、既に様々なリーダライタが発売されており、その中には可搬性と省スペース化を目的とした小型のリーダライタが存在する。図1乃至図3は、そのような小型のリーダライタの一例を示している。
【0007】
図1は、リーダライタ1が保管状態(パソコンに接続していないときの状態)の外観図、図2は接続状態(パソコンに接続するときの状態)の外観図、図3は使用状態(ICカードとデータを通信するときの状態)の外観図を示している。
【0008】
リーダライタ1は、縦長の略直方体をなしており、縦長の本体に沿って、挿入されたICカードを保持するためのカードホルダ2が設けられ、本体の一端にUSBコネクタ3が設けられている。なお、保管状態などリーダライタ1をパソコンに接続しないときには、USBコネクタ3にコネクタキャップ4を装着してUSBコネクタ3を覆うようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−307031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図2および図3に示されるように、リーダライタ1をパソコンに接続するときには、コネクタキャップ4を取り外す必要があるので、取り外している間にコネクタキャップ4を紛失してしまうおそれがある。
【0011】
また、パソコンのUSBポートとリーダライタ1のUSBコネクタ3とは、その向きを合わせて接続する必要がある。換言すれば、パソコンのUSBポートに合わせるためにリーダライタ1の向き、すなわち、カードホルダ2の向きも一意に決定されてしまう。したがって、パソコンに設けられているUSBポートの位置や向きによっては、ICカードを保持させ難い状況などが生じ得る。
【0012】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、使い勝手のよいリーダライタを実現できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面である通信装置は、情報処理装置に接続された状態で通信対象とデータを通信する通信装置において、前記情報処理装置の接続ポートに接続するためのコネクタが設けられており、前記情報処理装置からの制御に従って前記通信対象とデータを通信する通信手段と、前記通信対象を保持する保持手段とを備え、前記保持手段は、保管時には前記コネクタを覆う位置に、使用時には前記コネクタを露出させる位置に、移動可能な状態で前記通信手段に取り付けられている。
【0014】
前記通信手段は、その筐体の対向する第1および第2の側面において前記通信対象とデータを通信することができる。
【0015】
前記通信手段は、その筐体の前記第1および第2の側面とは異なる対向する第3および第4の側面に、前記保持手段が取り付けられるガイド機構が設けられており、前記保持手段は、前記ガイド機構によりスライド可能な状態で前記通信手段に取り付けられているようにすることができる。
【0016】
前記保持手段は、前記通信対象を保持する部位が前記第1の側面側または前記第2の側面側になるよう取付け方向が変更可能に取り付けられており、前記取付け方向が変更されることにより、前記通信手段の筐体の対向する前記第1または第2の側面に前記通信対象を保持することができる。
【0017】
前記通信手段は、アンテナを有しており、前記情報処理装置からの制御に従って前記通信対象と非接触でデータを通信することができる。
【0018】
前記通信手段は、それぞれ通信方式の異なる2つのアンテナを有することができる。
【0019】
前記通信手段は、接触端子を有し、前記情報処理装置からの制御に従って前記通信対象と接触端子を介してデータを通信することができる。
【0020】
本発明の一側面によれば、保持手段は、保管時には通信手段のコネクタを覆う位置に、使用時には前記コネクタを露出させる位置に、移動可能な状態で前記通信手段に取り付けられている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一側面によれば、使い勝手のよいリーダライタを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来存在している小型のリーダライタの保管状態を示す外観図である。
【図2】従来存在している小型のリーダライタの接続状態を示す観図である。
【図3】従来存在している小型のリーダライタの利用状態を示す観図である。
【図4】本発明を適用したリーダライタの外観図である。
【図5】本発明を適用したリーダライタの外観図である。
【図6】本発明を適用したリーダライタの断面図である。
【図7】USBモジュールに対するクリップの取付け方向の可変性を示す図である。
【図8】USBモジュールに対するクリップの取付け方向の可変性を示す図である。
【図9】リーダライタをパソコンに接続したときの向きを示す外観図である。
【図10】リーダライタをパソコンに接続したときの向きを示す外観図である。
【図11】USBモジュールの内部の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態と称する)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
<1.実施の形態>
[リーダライタの構成例]
本発明の実施の形態としてパソコンなどのUSBポートに接続されるリーダライタを用いて説明する。
【0025】
リーダライタは、パソコンなどに設けられているUSBポートに接続され、パソコンからの制御に従ってICカード(ICカードと同等のICチップが内蔵されている携帯電話機なども含む)とデータを通信するものである。なお、ICカードとのデータの通信は、非接触通信または接触通信のいずれか限定されるものではない。
【0026】
図4および図5は、本発明の実施の形態であるリーダライタ10の外観図を示している。図示するように、リーダライタ10は、縦長の略立方体の形状を有しており、大別して、ICカードと通信を行うUSBモジュール11と、ICカードを挟みこんで保持するクリップ12から構成される。
【0027】
USBモジュール11の筐体とクリップ12は、その材料として例えばABS樹脂を用いることができる。ABS樹脂を用いれば、リーダライタ10を安価で、軽量に製造することができる。また、クリップ12の材料については、エラストマなどのゴム系高硬度材料を用いてもよい。クリップ12にゴム系高硬度材料を用いれば、クリップ12に挟み込むICカードにキズを付けてしまうような事態の発生を抑止することができる。
【0028】
USBモジュール11は、その側面11A,11CのいずれにおいてもICカードとデータを通信できるようになされている。USBモジュール11の長手方向の一端には、パソコンに設けられているUSBポートに接続するためのUSBコネクタ13が設けられている。
【0029】
ここで、リーダライタ10の断面図を図6に示す。
【0030】
同図Aに示されるように、USBモジュール11の側面11B,11Dには、クリップ12を長手方向にスライド可能な状態でUSBモジュール11に取り付けるための凹状のクリップガイド14が設けられている。一方、同図Bに示されるように、クリップ12はその内側が凸状に形成されており、同図Cに示されるように、この凹凸を合わせることにより、クリップ12がUSBモジュール11に取り付けられる。
【0031】
クリップ12は、リーダライタ10の長手方向にスライド可能であり、図7Bに示されるように使用状態(パソコンに接続された状態でICカードとデータを通信するときの状態)においてはICカードを挟みこんで保持する。また、クリップ12は、図7Aに示されるように、保管状態においてUSBコネクタ13を覆って保護するコネクタキャップとしても機能する。
【0032】
すなわち、保管状態では、クリップ12をリーダライタ10の全長を伸ばす方向にスライドさせることによりUSBコネクタ13を覆うことができ、接続状態および使用状態では、クリップ12をUSBモジュール11と重なる方向にスライドさせることによりUSBコネクタ13を露出させることができる。
【0033】
なお、図4と図5では、USBモジュール11の向きが同じであり、クリップ12の長手方向の向きが180度異なることから明らかなように、クリップ12はその向きを180度回転させた状態でもUSBモジュール11に取付け可能である。
【0034】
また、図8に示されるように、クリップ12は、そのICカードを挟む部位がUSBモジュール11の側面11A側、または側面11C側のどちらにもくるように取り付けることが可能である。
【0035】
したがって、パソコンにリーダライタ10を接続するに際しては、パソコンに設けられているUSPポートの向きに応じてUBSモジュール11に対するクリップ12の取付け方向を変化させることにより、通信相手となるICカードの位置を任意に設定することができる。
【0036】
例えば、図9に示されるように、クリップ12のICカードを挟む部位が下側に向く方向でUSBモジュール11に取り付けたり、反対に、図10に示されるように、クリップ12のICカードを挟む部位が上側に向く方向でUSBモジュール11に取り付けたりすることができる。
【0037】
上述したように、USBモジュール11は、側面11A,11Cの両面でICカードと通信可能なので、例えば、図9に示された状態のリーダライタ10に、ICカードと同等のICチップが搭載された携帯電話機を載置した状態でデータを通信することができる。
【0038】
次に、図11は、USBモジュール11の内部の構成例を示している。この構成例において、コネクタ(Connector)24がUSBコネクタ13に相当する。アンテナ(Antenna)27は、側面11A,11Cの両面で配置されている。
【0039】
ただし、アンテナ27を両面に配置せず、1つのアンテナのみを配置することで、側面11A,11Cの両面と非接触通信を行うことも可能である。また、側面11A,11Cの両面に配置した場合、それぞれ異なる通信方式に対応したアンテナを用意することで、それぞれの側面ごとに異なる通信方式に対応したリーダライタを実現することができる。
【0040】
USBモジュール11のその他の構成要素については、既存のリーダライトと大差ないのでその説明は省略する。
【0041】
以上説明したように、本発明の実施の形態であるリーダライタ10によれば、ホルダ12をスライドすることにより、USBコネクタ13を露出または保護することができる。また、USBモジュール11に対するホルダ12の取付け方向を変更することができる。したがって、パソコンに設けられているUSBポートの位置や向きに拘わらず、ICカードを配置すべき位置を、利用者が利用し易い任意の位置に設定することができる。
【0042】
本実施の形態では、接続ポートとしてUSBポートを例示して説明しているが、接続時に上下の区別のある形状をした接続ポートに対し、それに対応したコネクタを接続するシステムに対しては本発明を適用可能である。
【0043】
また、本実施の形態では、ICカードと非接触で通信を行う場合を例示して説明しているが、保持されるICカードの所定の位置と重なるUSBモジュール11の位置に、ICカードとの接触端子を備えることにより、当該接触端子を介してICカードとデータを通信するようにしてもよい。
【0044】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 リーダライタ, 11 USBモジュール, 11A,11B,11C,11D 側面, 12 クリップ, 13 USBコネクタ, 14 クリップガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置に接続された状態で通信対象とデータを通信する通信装置において、
前記情報処理装置の接続ポートに接続するためのコネクタが設けられており、前記情報処理装置からの制御に従って前記通信対象とデータを通信する通信手段と、
前記通信対象を保持する保持手段と
を備え、
前記保持手段は、
保管時には前記コネクタを覆う位置に、
使用時には前記コネクタを露出させる位置に、
移動可能な状態で前記通信手段に取り付けられている
通信装置。
【請求項2】
前記通信手段は、その筐体の対向する第1および第2の側面において前記通信対象とデータを通信する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信手段は、その筐体の前記第1および第2の側面とは異なる対向する第3および第4の側面に、前記保持手段が取り付けられるガイド機構が設けられており、
前記保持手段は、前記ガイド機構によりスライド可能な状態で前記通信手段に取り付けられている
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記保持手段は、前記通信対象を保持する部位が前記第1の側面側または前記第2の側面側になるよう取付け方向が変更可能に取り付けられており、前記取付け方向が変更されることにより、前記通信手段の筐体の対向する前記第1または第2の側面に前記通信対象を保持する
請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信手段は、アンテナを有しており、前記情報処理装置からの制御に従って前記通信対象と非接触でデータを通信する
請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信手段は、それぞれ通信方式の異なる2つのアンテナを有している
請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信手段は、接触端子を有し、前記情報処理装置からの制御に従って前記通信対象と接触端子を介してデータを通信する
請求項1または2に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−118585(P2012−118585A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264951(P2010−264951)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】