説明

通信装置

【課題】通信システムの運用・保守業務において、通信装置とその対向装置との電気的な接続状態を確認するだけでは、実際の接続状況を十分に把握できないことがある。
【解決手段】実施の1形態のL2SW10は、通信ケーブルの先端に固着されたコネクタが、ポート12に嵌合された状態にあるかを検出する物理接続検出部20と、コネクタがポート12に嵌合された場合に、コネクタとポート12間のピンの接触によって本装置と他の装置とが電気的に接続された状態にあるかを検出する電気接続検出部18と、接続情報保持部22においてコネクタがポート12に嵌合された状態にあることが検出された場合に、本装置と通信ケーブルとが物理的に接続された状態にあることを外部へ提示する接続状況提示部24とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信ケーブルを介して他の装置と通信可能な通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レイヤ2スイッチ等の通信装置と、通信ケーブルを介してその通信装置と接続されたサーバやPC等の対向装置は、リンクパルスを互いに送受し、双方で電気的な接続状態を確認する。例えば、レイヤ2スイッチに設けられたLEDランプの点灯状態により、通信装置と対向装置との電気的な接続状態が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−111600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、通信システムの保守・運用業務において、通信装置とその対向装置との電気的な接続状態を確認するだけでは、保守・運用業務に影響を及ぼす実際の接続状況を十分に把握できないことがあり、その結果、保守・運用業務の担当者に大きな負担を強いる場合があることを認識した。
【0005】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、通信装置とその対向装置との接続状態の確認精度を向上させて、通信システムの保守・運用業務を支援するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の通信装置は、通信ケーブルを介して他の装置と通信可能な通信装置であって、通信ケーブルの先端に固着されたコネクタであり、かつ、ピンを凹設したコネクタが、ポートに嵌合された状態にあるかを検出する第1検出部と、コネクタがポートに嵌合された場合に、コネクタのピンとポートのピンとの接触によって本通信装置と他の装置とが電気的に接続された状態にあるかを検出する第2検出部と、第1検出部においてコネクタがポートに嵌合された状態にあることが検出された場合に、本通信装置と通信ケーブルとが物理的に接続された状態にあることを外部へ提示する接続状況提示部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様もまた、通信装置である。この装置は、通信ケーブルの先端に固着されたコネクタであり、かつ、ピンを凹設したコネクタを嵌合可能なポート部と、ポート部の内壁に設けられ、コネクタがポート部に嵌合された場合に、コネクタに凹設されたピンと接触するピンであるポート側ピンと、ポート部の内壁において、ポート側ピンとは異なった位置に設けられ、コネクタがポート部に嵌合された場合に押し込まれる被押し込み部材と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、通信装置とその対向装置との接続状態の確認精度を向上させて、通信システムの保守・運用業務を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態の情報処理システムの構成を示す図である。
【図2】図1のL2SWの機能構成を示すブロック図である。
【図3】ポートおよびコネクタの外観を示す図である。
【図4】図3のポートおよびコネクタの断面を模式的に示す図である。
【図5】物理接続検出部が嵌合状態を検出する仕組みを模式的に示す図である。
【図6】L2SWの正面図である。
【図7】L2SWの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施の形態の構成を説明する前に、まず概要を説明する。
レイヤ2スイッチ(以下、「L2SW」とも呼ぶ。)等のネットワーク機器に接続されるサーバやPC等の情報処理装置(以下、「対向装置」とも呼ぶ。)における通信トラブルの原因の1つに、ネットワーク機器に対するLANケーブルの接続不良がある。例えば、一端に対向装置を接続すべきLANケーブルの他端をL2SWに接続する場合に、そのLANケーブルのコネクタがL2SWのポートに挿入されたものの、十分に差し込まれていなかった(すなわちコネクタがポートに嵌合した状態となっていなかった)ことに起因して、対向装置が外部と通信不可となるトラブルが発生することがある。
【0012】
これまでも、ネットワーク機器と対向装置との電気的な接続状態については双方の機器において確認可能であったが、そのためにはネットワーク機器はもちろんのこと対向装置も起動される必要があった。したがって、対向装置を起動しない状態のまま、LANケーブルの接続不良を把握することは困難であった。例えば、サーバ設定作業では、LANケーブルの敷設およびネットワーク機器へのLANケーブルの接続は、サーバの設定前に行われることが多く、ネットワーク機器に対するLANケーブルの接続不良が看過されることがあった。そして、後日のサーバ設定時に、通信トラブルが発生して再度のネットワーク作業が必要になる結果、サーバの設定作業の完了までに長時間を要することがあった。
【0013】
また、ネットワーク機器やサーバが設置されたデータセンタは、通信システムの保守担当者が保守作業を行う場所から離れた遠隔地に建設されることもある。そのため、ネットワーク機器とサーバとの接続状態を随時目視確認することは困難であり、以下のような問題が生じることがあった。すなわち、データセンタに新規サーバを設置する際に、リモートからの確認ではリンクダウンしており、かつ、台帳上でも空きになっていたL2SWのポートをその新規サーバに割り当てた。しかし、LANケーブルの接続作業のために実際にデータセンタに赴くと、新規サーバに割り当てたポートにLANケーブルが差し込まれており、再度別のポートを割り当てる必要が生じた。リモートからの確認時には、LANケーブルの他端の対向装置が未起動であったため、ポートがリンクダウン状態と確認され、また、最新のポートの占有状況が台帳に未反映であったために生じた事例である。
【0014】
さらにまた、ユーザ宅内に設置されたネットワーク機器を介して、ユーザ宅内のサーバに対する監視サービスを行っている場合に、そのサーバのダウン(すなわちネットワーク機器におけるサーバ接続ポートのリンクダウン)がアラームとして検出された事例を考える。このときに障害対応を始めて、ネットワーク機器のベンダや通信キャリアへ調査を依頼したところ、ユーザからLANケーブルを誤って抜いてしまっていたという連絡が入り、調査の取消手続等の繁雑な作業が保守担当者に発生することがある。
【0015】
本発明者は、これらのトラブルにおいて、ネットワーク機器に対するLANケーブルの接続不良を予め検出できれば、原因の切り分けが容易になり、保守担当者の負担を低減できると考えた。そこで、本実施の形態では、ネットワーク機器と、LANケーブルを介してそのネットワーク機器と接続されるサーバとの電気的な接続状態(リンクアップ・リンクダウン)にかかわらず、ネットワーク機器とLANケーブルとが物理的に接続された状態、すなわちネットワーク機器のポートとLANケーブルのコネクタとが嵌合した状態にあるかを検出可能なL2SWを提案する。
【0016】
図1は、実施の形態の情報処理システムの構成を示す。情報処理システム100では、L2SW10と、サーバ42で総称されるサーバ42a、サーバ42b、サーバ42cがデータセンタに設置される。
【0017】
L2SW10は、サーバ42と、LAN・WAN・インターネット等を含む通信網44や通信網47との間でデータを中継するレイヤ2スイッチであり、ポート12で総称されるポート12a、ポート12b、ポート12c、ポート12dを含む。後述するように、L2SW10は、ポート12a〜ポート12dのそれぞれについて、LANケーブル40を介したサーバ42との電気的な接続状態(言い換えればリンクアップもしくはリンクダウン)を示す情報(以下、「電気接続情報」)を管理する。それに加えて、LANケーブル40との物理的な接続状態(言い換えれば嵌合有無)を示す情報(以下、「物理接続情報」とも呼ぶ。)も管理する。
【0018】
サーバ42a〜サーバ42cは、通信網47を介して接続されたクライアント端末48に対して各種情報処理サービスを提供するサーバであり、LANケーブル40を介して、L2SW10のポート12a〜ポート12cへ接続される。サーバ42は、ウェブサーバ・アプリケーションサーバ・データベースサーバ等であってもよい。クライアント端末48は、ウェブブラウザ等のクライアントソフトウェアがインストールされた一般的なPCであってもよい。
【0019】
保守端末46は、データセンタとは異なるロケーションの監視センタに設置される。保守端末46は、通信網44を介してL2SW10と接続される。典型的には、データセンタと監視センタとは互いに離れた地域に建設されるため、保守担当者はデータセンタの機器の状態を通信網44を介して監視する。例えば、保守担当者は保守端末46を操作してTelnetクライアントを起動し、L2SW10へリモートログインして各ポート12についての電気接続情報および物理接続情報を取得する。
【0020】
図2は、図1のL2SW10の機能構成を示すブロック図である。L2SW10は、ポート12と、転送部14と、接続状況検出部16と、接続情報保持部22と、接続状況提示部24と、LEDランプ30とを含む。接続状況検出部16は、電気接続検出部18と物理接続検出部20とを含む。接続状況提示部24は、接続状況表示制御部26と接続情報提供部28とを含む。なお図2では、便宜的に、図1における複数のポートのうち1つをポート12として示している。また、接続状況検出部16を1つ示しているが、図1のポート12a〜ポート12dのそれぞれに対応する接続状況検出部16が設けられてもよいことはもちろんである。
【0021】
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0022】
接続情報保持部22は、ポート12a〜ポート12dのそれぞれについての電気接続情報と物理接続情報を保持する記憶領域である。
【0023】
ポート12は、LANケーブル40のコネクタが挿入される通信ポートである。ポート12は、コネクタに嵌合した状態になると、LANケーブル40を介して、LANケーブル40の他端の対向装置(すなわちサーバ42)へパルス信号を送出する。また、その対向装置から送出されたパルス信号をLANケーブル40を介して受信する。このパルス信号には、FLP(Fast Link Pulse)バーストや、NLP(Normal Link Pulse)、MACフレームが含まれる。
【0024】
図3は、ポートおよびコネクタの外観を示す。コネクタ50は、LANケーブル40の先端に固着され、ピン(以下、「コネクタ側ピン52」と呼ぶ。)が凹設される。コネクタ側ピン52を覆うプラスチック部材の一部であり、後述する被押し込み部材62を押し込む部分、すなわち被押し込み部材62と接触する部分を、特に「押し込み部材54」と呼ぶこととする。押し込み部材54は、被押し込み部材62を押圧するための押圧部材とも言える。なお、コネクタ50は一般的なRJ−45コネクタであってもよい。ポート12は、コネクタ50が挿入されてコネクタ50と嵌合した状態となった場合にコネクタ側ピン52と接触するピン(以下、「ポート側ピン60」と呼ぶ。)と、コネクタ50の押し込み部材54により押し込まれる被押し込み部材62とが凸設される。
【0025】
図4は、図3のポート12およびコネクタ50の断面を模式的に示す。また図5は、物理接続検出部20が嵌合状態を検出する仕組みを模式的に示す。図4において、コネクタ50がポート12へ挿入されると、コネクタ50の押し込み部材54に押し込まれて、ポート12の被押し込み部材62はポート12の内側へ漸次収納される(スライドする)。コネクタ50がポート12へ十分に挿入され、ポート側ピン60とコネクタ側ピン52とが接触し、ポート12とコネクタ50とが嵌合された状態となると、被押し込み部材62と連動して図5のスイッチ64がオンとなる。すなわち、被押し込み部材62は、コネクタ50がポート12と嵌合する位置まで差し込まれた場合にスイッチ64をオンにするよう設置位置およびサイズが設計される。図5のスイッチ64がオンになると、電源と物理接続検出部20が導通する。物理接続検出部20は、電源と導通した場合、ポート12とコネクタ50とが嵌合された状態であると判定する。
【0026】
図2に戻り、転送部14は、MACフレームのスイッチング処理を実行する。具体的には、ポート12において受信されたMACフレームを受け付け、そのMACフレームに設定された宛先MACアドレスに応じて、そのMACフレームを送出すべきポート12を決定する。そして、その送出すべきポートへMACフレームを転送して外部へ送出させる。
【0027】
電気接続検出部18は、ポート12におけるサーバ42からのリンクパルスの受信状況を常時監視する。電気接続検出部18は、ポート12においてサーバ42からのリンクパルスが受信されたことを検出した場合、L2SW10とサーバ42とが電気的に接続された状態(リンクアップ状態)にあると判定する。その一方、ポート12においてサーバ42からのリンクパルスが受信されない間は、L2SW10とサーバ42とが電気的に非接続の状態(リンクダウン状態)にあると判定する。なお電気接続検出部18は、ポート12とサーバ42とのオートネゴシエーションが正常に完了したことをもって、リンクアップ状態にあると判定してもよい。この判定を行うたびに、電気接続検出部18は、ポート12a〜ポート12dのそれぞれについて、L2SW10とサーバ42とが電気的に接続された状態か否かを示す、接続情報保持部22に保持された電気接続情報を更新する。
【0028】
物理接続検出部20は、ポート12とコネクタ50との嵌合状態に応じた電源との導通状況を常時監視する。すなわち図4および図5にて既述したように、ポート12に対してコネクタ50が挿入されて被押し込み部材62が押し込まれ、スイッチ64がオンになることにより、物理接続検出部20は電源からの信号を検出する。この場合、物理接続検出部20は、ポート12とコネクタ50とが物理的に接続された状態(嵌合した状態)にあると判定する。この判定を行うたびに、物理接続検出部20は、ポート12a〜ポート12dのそれぞれについて、ポート12とコネクタ50とが物理的に接続された状態か否かを示す、接続情報保持部22に保持された物理接続情報を更新する。
【0029】
すなわち、物理接続検出部20は、電気接続検出部18による検出結果にかかわらず、言い換えればポート側ピン60とコネクタ側ピン52との接触によらずに、さらに言い換えればポート12とコネクタ50との電気的な接続状態に依存することなく、ポート12とコネクタ50とが物理的に接続された状態か否かを検出する。
【0030】
LEDランプ30は、ポート12とコネクタ50とが物理的に接続されているか否かを示す物理接続ランプと、L2SW10とサーバ42とが電気的に接続されているか否かを示す電気接続ランプを含む。図6は、L2SW10の正面図である。同図で示すようにL2SW10には、ポート12a〜ポート12dのそれぞれに対応する物理接続ランプ70a〜70dと、電気接続ランプ72a〜72dが設けられている。例えば、物理接続ランプ70aの点灯有無により、ポート12aとコネクタ50とが物理的に接続されているか否かが示される。また、電気接続ランプ72aの点灯有無により、ポート12aとサーバ42とが電気的に接続されているか否かが示される。
【0031】
接続状況表示制御部26は、接続情報保持部22に保持されたポート12a〜ポート12dのそれぞれについての物理接続情報を参照して、コネクタ50と物理的に接続されているポートについては、そのポートに対応する物理接続ランプを点灯状態にさせる。その一方、コネクタ50と物理的に未接続のポートについては、そのポートに対応する物理接続ランプを消灯状態にさせる。
【0032】
また接続状況表示制御部26は、接続情報保持部22に保持されたポート12a〜ポート12dのそれぞれについての電気接続情報を参照して、サーバ42と電気的に接続されているポートについては、そのポートに対応する電気接続ランプを点灯状態にさせる。その一方、サーバ42と電気的に未接続のポートについては、そのポートに対応する電気接続ランプを消灯状態にさせる。
【0033】
接続情報提供部28は、ポート12a〜ポート12dの少なくとも1つを指定した物理接続情報および/または電気接続情報の提供要求を保守端末46から受け付ける。図2に不図示のTelnetサーバを介して、保守端末46のTelnetクライアントからの提供要求を受け付けてもよい。その提供要求に応じて、接続情報提供部28は、指定されたポートについての物理接続情報および/または電気接続情報を接続情報保持部22から取得して保守端末46へ送信する。
【0034】
以上の構成による動作を以下説明する。
図7は、L2SW10の動作を示すフローチャートである。データセンタにおける保守・運用業務の中でL2SW10のポート12にLANケーブル40のコネクタ50が挿入されて嵌合状態となり、もしくは、ポート12からコネクタ50が脱着されて非嵌合状態となる。物理接続検出部20は、ポート12とコネクタ50が嵌合状態にあることを検出すると(S10のY)、ポート12とコネクタ50が物理的に接続状態である旨を接続情報保持部22の物理接続情報へ記録する(S12)。接続状況表示制御部26は、その物理接続情報にしたがって、ポート12に対応する物理接続ランプを点灯状態へ制御する(S14)。ポート12とコネクタ50が非嵌合状態であれば(S10のN)、ポート12とコネクタ50が物理的に非接続状態である旨を接続情報保持部22の物理接続情報へ記録する(S16)。接続状況表示制御部26は、その物理接続情報にしたがって、ポート12に対応する物理接続ランプを消灯状態へ制御する(S18)。
【0035】
ポート12とコネクタ50とが嵌合状態になると、ポート側ピン60とコネクタ側ピン52との接触により、L2SW10とサーバ42との間でリンクパルスの送受が開始されて両装置の電気的な接続が確立される。電気接続検出部18は、ポート12においてサーバ42からのリンクパルスを受け付けていることを検出すると(S20のY)、ポート12とサーバ42が電気的に接続状態である旨を接続情報保持部22の電気接続情報へ記録する(S22)。接続状況表示制御部26は、その電気接続情報にしたがって、ポート12に対応する電気接続ランプを点灯状態へ制御する(S24)。ポート12においてサーバ42からのリンクパルスを受け付けていなければ(S20のN)、ポート12とサーバ42が電気的に非接続状態である旨を接続情報保持部22の電気接続情報へ記録する(S26)。接続状況表示制御部26は、その電気接続情報にしたがって、ポート12に対応する電気接続ランプを消灯状態へ制御する(S28)。
【0036】
接続情報提供部28は、リモートの監視センタに設置された保守端末46から、各ポートの接続状況の問い合わせを通信網44を介して受け付けると(S30のY)、各ポートについての物理接続情報および電気接続情報を互いに区別可能な別情報として、通信網44を介して保守端末46へ提供する(S32)。接続状況の問い合わせを受け付けなければ(S30のN)、S32はスキップされる。
【0037】
本実施の形態のL2SW10によれば、ポートと対向装置との電気的な接続状況だけでなく、ポートとLANケーブルのコネクタとの物理的な接続状況を検出して保守・運用担当者へ提示できる。これにより、通信システムの保守・運用業務において、通信システムの対向装置の起動状態にかかわらず、LANケーブルの接続不良を予め把握でき、効率的な保守・運用業務を実現できる。
【0038】
例えば、対向装置において発生した通信トラブルの原因切り分けが容易になる。通信トラブルが発生した際に、その対向装置が接続されたポートについて、
(ケース1)物理接続YES、電気接続YESが提示された場合:
対向装置におけるソフトウェア等の設定に問題がある可能性が高いと考えられる。
(ケース2)物理接続YES、電気接続NOが提示された場合:
LANケーブルの不良や、ポートの不良である可能性が高いと考えられる。
(ケース3)物理接続NO、電気接続NOが提示された場合:
LANケーブルの接続不良、すなわちポートとコネクタとが嵌合していない可能性が高いと考えられる。
【0039】
またL2SW10によれば、各ポートと通信ケーブルの物理的な接続状況を遠隔地の保守・運用担当者へ通知することができ、担当者の効率的な業務遂行を支援できる。
【0040】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0041】
第1の変形例を説明する。上記実施の形態では、ポート12とコネクタ50とが嵌合した状態にあるか否かを被押し込み部材62が押し込まれることにより検出した。変形例としては、被押し込み部材62に代えて、コネクタ50のプラスチック部材の所定部分との接触を検知するタッチセンサや、コネクタ50のプラスチック部材の所定部分からの押圧を検知する圧力センサがポート12に設けられてもよい。物理接続検出部20は、それらのセンサからの検知信号を受け付ける場合に、ポート12とコネクタ50とが嵌合した状態にあると判定してもよい。
【0042】
第2の変形例を説明する。上記実施の形態では言及していないが、L2SW10にはSNMP(Simple Network Management Protocol)エージェントが実装されてもよい。接続情報提供部28は、外部のSNMPマネージャ装置からの問い合わせに対する応答として、各ポートの物理接続情報および電気接続情報をSNMPのレスポンスメッセージとして提供してもよい。また、各ポートの接続状況が変化するたび、例えば物理接続情報または電気接続情報が書き換えられることを検出した際に、更新後の最新の接続情報をSNMPのTrapメッセージとしてSNMPマネージャ装置へ提供してもよい。
【0043】
第3の変形例を説明する。上記実施の形態では言及していないが、接続状況提示部24は、判定部をさらに含んでもよい。この判定部は、各ポートについての物理接続情報および電気接続情報を参照して、物理的な接続状態と電気的な接続状態との組み合わせ(既述のケース1〜ケース3)を特定し、仮に通信トラブルが発生している場合の原因を保守担当者へ示唆するための、所定の記憶領域に予め格納されたメッセージを選択してもよい。例えば、接続情報提供部28があるポートを指定した接続情報の提供要求を受け付け、そのポートの物理的な接続状態と電気的な接続状態との組み合わせが既述のケース3の場合、判定部は、LANケーブルの接続不良の可能性が高い旨のメッセージを選択してもよい。接続情報提供部28は、指定ポートの物理接続情報・電気接続情報に加えて、判定部により選択されたメッセージを保守端末46へさらに提供する。
【0044】
第4の変形例を説明する。上記実施の形態では本発明の技術思想をレイヤ2スイッチに適用した例を示したが、これに限らず、ポートに接続された通信ケーブルを介して他の装置と通信可能な各種の通信装置に適用可能であることはもちろんである。例えば、リピータハブや、レイヤ3スイッチ、ルータ、レイヤ4スイッチにも適用可能である。
【0045】
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0046】
10 L2SW、 12 ポート、 16 接続状況検出部、 18 電気接続検出部、 20 物理接続検出部、 22 接続情報保持部、 24 接続状況提示部、 26 接続状況表示制御部、 28 接続情報提供部、 50 コネクタ、 54 押し込み部材、 60 ポート側ピン、 62 被押し込み部材、 100 情報処理システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ケーブルを介して他の装置と通信可能な通信装置であって、
前記通信ケーブルの先端に固着されたコネクタであり、かつ、ピンを凹設したコネクタが、ポートに嵌合された状態にあるかを検出する第1検出部と、
前記コネクタが前記ポートに嵌合された場合に、前記コネクタのピンと前記ポートのピンとの接触によって本通信装置と前記他の装置とが電気的に接続された状態にあるかを検出する第2検出部と、
前記第1検出部において前記コネクタが前記ポートに嵌合された状態にあることが検出された場合に、本通信装置と前記通信ケーブルとが物理的に接続された状態にあることを外部へ提示する接続状況提示部と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第1検出部は、前記第2検出部の検出結果にかかわらず、前記コネクタが前記ポートに嵌合された状態にあるかを検出し、
前記接続状況提示部は、前記第1検出部の検出結果と前記第2検出部の検出結果とを個別に提示することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1検出部は、前記第2検出部の検出結果にかかわらず、前記コネクタが前記ポートに嵌合された状態にあるかを検出し、
前記接続状況提示部は、前記第1検出部の検出結果を、通信網を介して、遠隔地に設置された監視装置へ通知することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
通信ケーブルの先端に固着されたコネクタであり、かつ、ピンを凹設したコネクタを嵌合可能なポート部と、
前記ポート部の内壁に設けられ、前記コネクタが前記ポート部に嵌合された場合に、前記コネクタに凹設されたピンと接触するピンであるポート側ピンと、
前記ポート部の内壁において、前記ポート側ピンとは異なった位置に設けられ、前記コネクタが前記ポート部に嵌合された場合に押し込まれる被押し込み部材と、
を備えることを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−142833(P2012−142833A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−474(P2011−474)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】