説明

通信装置

【課題】 単一のUSBコネクタによりUSB規格とその他の規格に従う通信が可能であり、装置故障を有効に防止し得る通信装置を提供する。
【解決手段】 第1の信号処理部13は、USB規格に従うUSB信号を入力、または出力する1以上の第1端子130を有し、USB信号を処理する。第2の信号処理部14は、他の規格に従う信号を入力、または出力する1以上の第2端子140を有し、他の規格に従う信号を処理する。接続切り替え部11は、1以上の第1端子130の1つと1以上の第2端子140の1つとからなる組の各々について、第1端子130、または第2端子140を選択し、USBコネクタ10の1以上の端子100の1つと電気的に接続する。ここで、この組は、第1端子130のうち、入力、及び出力の一方のみを行う端子と、第2端子140のうち、入力、及び出力の他方のみを行う端子との組み合わせを含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USB(Universal Serial Bus)コネクタを備えた通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
USBは、シリアル通信の標準規格として広く普及しているが、プリンタなどの組込み機器では、USBだけでなく、RS−232C(Recommended Standard 232C)などの他の規格のシリアル通信も用いられることがある。USB規格には、コネクタ形状に関する規定があるのに対して、RS−232C規格には、これに該当する規定が存在しない。もっとも、パーソナルコンピュータに使用されるRS−232C通信用コネクタとしては、Dサブ9ピンが広く普及しているが、小型化には不向きであるため、小型の組み込み機器では、他の様々な小型コネクタが使用されることがある。
【0003】
RS−232C通信機能は、開発が容易であるため、USB通信機能とともに組み込み機器に実装されることが多い。この場合、RS−232C用のコネクタとUSBコネクタの両方を、同時に使用することがないにも関わらず、ともに設ける必要がある。また、各々の通信規格に対応する制御回路基板を個別に開発する負担も生ずる。しかも、上述したように、RS−232C用のコネクタは、規定が存在せず、多種のものが使用されるから、そのコネクタの供給が停止した場合、代わりに他の形状のコネクタを採用せざるを得ず、配線などの設計変更の負担も生ずる。
【0004】
このような問題に関し、特許文献1には、外部装置との接続にあたり、スイッチを用いた切り替え制御によって、単一のUSBコネクタを、USB信号の信号処理回路、またはUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)信号の信号処理回路の何れかと、選択的に接続する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−241994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、係る技術によると、外部装置が準拠する通信規格に対応していない信号処理回路が選択されることによって、誤った信号が処理回路に入力される場合が想定されていないため、故障を有効に防止することができない。
【0007】
本発明の課題は、単一のUSBコネクタによりUSB規格とその他の規格に従う通信が可能であり、故障を有効に防止し得る通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明に係る通信装置は、USBコネクタと、第1の信号処理部と、第2の信号処理部と、接続切り替え部とを含む。
【0009】
前記USBコネクタは、1以上の端子を有し、外部装置と通信可能に接続する。
【0010】
前記第1の信号処理部は、USB規格に従うUSB信号を入力、または出力する1以上の第1端子を有し、前記USB信号を処理する。前記第2の信号処理部は、他の規格に従う信号を入力、または出力する1以上の第2端子を有し、前記他の規格に従う信号を処理する。
【0011】
前記接続切り替え部は、前記1以上の第1端子の1つと前記1以上の第2端子の1つとからなる組の各々について、前記第1端子、または前記第2端子を選択し、前記USBコネクタの前記1以上の端子の1つと電気的に接続する。ここで、前記組は、前記第1端子のうち、入力、及び出力の一方のみを行う端子と、前記第2端子のうち、入力、及び出力の他方のみを行う端子との組み合わせを含まない。
【0012】
本発明に係る通信装置は、外部装置を通信可能に接続するUSBコネクタを含み、また、接続切り替え部によって、USB規格に従うUSB信号を処理する第1の信号処理部が有する1以上の第1端子の1つと、他の規格の信号を処理する第2の信号処理部が有する第2端子の1つとからなる組の各々について、第1端子、または第2端子を選択し、USBコネクタの端子と接続するから、単一のUSBコネクタを介して、外部装置と何れの規格にも準拠する通信を行うことができる。
【0013】
また、当該選択に係る組は、第1端子のうち、入力、及び出力の一方のみを行う端子と、第2端子のうち、入力、及び出力の他方のみを行う端子との組み合わせを含まないから、第1の信号処理部の入力端子と第2の信号処理部の出力端子、及び第1の信号処理部の出力端子と第2の信号処理部の入力端子が、それぞれ、選択的にUSBコネクタの端子と接続されることはない。
【0014】
このため、接続切り替え部によって、第1、または第2の信号処理部のうち、外部装置が準拠する規格と異なる方が誤って選択された場合、もしくは、第1、または第2の信号処理部のうち、接続切り替え部によって選択された方が準拠する規格と異なる規格の外部装置が誤って接続された場合に、第1の信号処理部と外部装置の端子間接続、及び第2の信号処理部と外部装置の端子間接続の組み合わせが、出力端子同士となることはない。
【0015】
したがって、上記の場合に、第1の信号処理部、第2の信号処理部、及び外部装置の各出力端子に信号が入力されることはなく、出力信号同士の衝突による装置の故障、あるいは当該外部装置の故障を防止することができる。
【0016】
また、本発明に係る通信装置は、前記接続切り替え部と前記第1の信号処理部、及び/または前記第2の信号処理部の間に、前記第1端子、及び/または前記第2端子への過電圧の入力を防止する保護回路を含むと好ましい。
【0017】
この保護回路によると、USB規格の信号と当該他の規格の信号の電圧レベルが異なる場合に、第1、または第2の信号処理部に異なる規格の信号が入力されても、信号の電圧差による故障を防止することができる。
【0018】
さらに、本発明に係る通信装置は、前記第1の信号処理部、及び/または前記第2の信号処理部に入力される信号に基づいて、前記外部装置が、USB規格と前記他の規格の何れに従って通信しているのかを判定する判定部を含み、前記判定部は、該判定結果に基づいて、前記接続切り替え部に接続を切り替えるための制御信号を出力すると好ましい。
【0019】
この判定部によると、外部装置が接続されたときに、使用される通信の規格を自動的に判別して、第1の信号処理部と第2の信号処理部のうち、対応するものを自動的に選択することができるから、人為的な選択の誤りによる故障を防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上述べたように、本発明によれば、単一のUSBコネクタによりUSB規格とその他の規格に従う通信が可能であり、装置故障を有効に防止し得る通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】通信装置のブロック図である。
【図2】USBコネクタ、接続切り替え部、第1の信号処理部、及び第2の信号処理部の間の接続構成図である。
【図3】他の実施形態における、USBコネクタ、接続切り替え部、第1の信号処理部、及び第2の信号処理部の間の接続構成図である。
【図4】RxD信号の波形図である。
【図5】他の実施形態における、通信制御部、USBコネクタ、接続切り替え部、第1の信号処理部、第2の信号処理部、及び通信制御部の間の接続構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、通信装置のブロック図である。通信装置1は、USB規格に従うUSBコネクタ10と、第1の信号処理部13と、第2の信号処理部14と、通信制御部15と、接続切り替え部11と、スイッチ12とを含み、USBコネクタ10を介して外部装置2と通信可能に接続される。
【0023】
この通信装置1は、外部装置2に応じて、USB規格に従った通信と、USB規格とは異なる他の通信規格に従った通信の2種類の通信を行うことができる。本実施形態では、上記の他の通信規格として、典型的なシリアル通信の規格であるRS−232Cを挙げるが、本発明は、これに限定されず、IEEE1394、PS/2、あるいはSPI(Serial Peripheral Interface:シリアル・ペリフェラル・インターフェース)を採用することもできる。もっとも、USBコネクタ10の端子数は、標準コネクタでは4、またミニコネクタとマイクロコネクタでは5と定められているため、信号線の数が少ない通信規格がよい。
【0024】
通信装置1は、USBケーブル3を介して、USB規格、またはRS−232C規格に準拠した通信インターフェースを備えた外部装置2に接続される。後者の場合、USBケーブル3の外部装置2側のコネクタ形状を、外部装置2に設けられたコネクタ形状にあわせて、USBコネクタからDサブ9ピンコネクタなどに変更し、さらに、ケーブル3内の配線も、後述するUSBコネクタ10の各端子への信号割り当てに基づいて変更するとよい。なお、上記の他の通信規格として、RS−232C規格とは異なる規格を採用する場合、通信装置1は、上述したIEEE1394などに準拠した外部機器2と接続することができる。
【0025】
通信装置1は、ホスト端末である外部装置2から送信される指令に従って所定の動作を行い、動作が完了すると完了通知を外部装置2に送信する。具体例としては、通信装置1をプリンタ装置に適用し、外部装置2としてパソコンを用いる場合が挙げられる。以下に通信装置1の詳細な構成を述べる。
【0026】
通信装置1は、外部装置2と、単一のUSBコネクタ10を介して、USB規格に従うUSB信号S1、あるいはRS−232C規格に従う信号S2の何れかを送受信する。第1の信号処理部13は、USB信号S1を処理し、一方、第2の信号処理部14は、RS−232C規格に従う信号S2を処理する。第1、及び第2の信号処理部13,14は、例えば、それぞれの通信規格に従った処理を行うIC(Integrated Circuit)により構成されている。
【0027】
第1、及び第2の信号処理部13,14は、例えば、UARTインターフェースを介して通信制御部15と接続され、データ信号S11,S21をそれぞれ送受信する。
【0028】
通信制御部15は、例えば、MPU(Micro Computer Unit)などの演算処理回路により構成され、USB規格の通信とRS−232C規格の通信とを制御し、状態情報などを含む送信データの生成、及び、動作指令などの情報を含む受信データの処理などを行う。通信制御部15は、このようなデータを記録しておくための揮発性メモリと、プログラムを記録するための不揮発性メモリとを内部、または外部に有してもよい。なお、本実施形態では、通信制御部15、第1の信号処理部13、及び第2の信号処理部14は、互いに独立して構成されているが、これらを単一の処理回路に含めた構成としてもよい。
【0029】
USBコネクタ10は、接続切り替え部11を介して、信号配線が、第1の信号処理部13と第2の信号処理部14の一方と接続される。このUSBコネクタ3の種別は、4ピンの標準コネクタ、5ピンのミニコネクタ、またはマイクロコネクタの何れであってもよいが、本実施形態では、装置の小型化の観点から好ましいミニコネクタ、またはマイクロコネクタを挙げている。
【0030】
接続切り替え部11は、スイッチ12のモード設定の制御信号MDに応じて、USBコネクタ10の信号配線の接続先を切り替える。具体的には、モード設定がUSB通信モードである場合、USBコネクタ10と第1の信号処理部13が互いに接続され、USB規格に準拠した外部装置2との通信が可能となる。一方、モード設定がRS−232C通信モードである場合、USBコネクタ10と第2の信号処理部14が互いに接続され、RS−232C規格に準拠した外部装置2との通信が可能となる。
【0031】
このように、通信装置1は、接続切り替え部11によって、USB信号S1を処理する第1の信号処理部13と、RS−232C信号S2を処理する第2の信号処理部14の何れかを、選択的にUSBコネクタ10と接続する。
【0032】
接続切り替え部11としては、リレーなどの機械的なスイッチ手段を採用することもできるが、装置の小型化の観点からはFET(Field Effect Transistor)などを採用すると好ましい。さらに、接続切り替え部11のモード設定を任意に切り替えるスイッチ12としては、ディップスイッチなどを採用することができる。
【0033】
次に、図2を参照して、USBコネクタ10、接続切り替え部11、第1の信号処理部13、及び第2の信号処理部14の間の接続構成を説明する。USBコネクタ10は、信号を入力、または出力するための1以上の端子100を有している。また、第1の信号処理部13は、USB信号S1を入力、または出力する1以上の第1端子130を有し、他方、第2の信号処理部14は、RS−232C信号S2を入力、または出力する1以上の第2端子140を有している。なお、端子数は、通信規格などに応じて決定されるべきものであるため、限定されるものではない。
【0034】
接続切り替え部11は、1以上のスイッチ素子110を有している。各スイッチ素子110は、第1の信号処理部13の第1端子130の1つと第2の信号処理部14の第2端子140の1つとからなる組について、第1端子130、または第2端子140を選択し、USBコネクタ10の端子100と電気的に接続する。なお、スイッチ素子110の数は、使用される通信規格に応じて決定されるべきであり、限定されるものではない。
【0035】
各スイッチ素子110は、一端がUSBコネクタ10の端子100に接続されるとともに、他端が、第1の信号処理部13の端子130と第2の信号処理部14の端子140の一方と選択的に接続され、スイッチ素子110のそれぞれは、同一の信号処理部13,14を選択するように、同時に切り替わる(図中の実線と点線の間の矢印を参照)。
【0036】
このように、USBコネクタ10の各端子100は、一組のUSB信号S1とRS−232C信号S2が割り当てられ、何れかが選択的に入出力されることとなる。
【0037】
【表1】

【0038】
表1は、図2に示された接続構成に基づいて、USBコネクタ10の各端子100の信号S1,S2の割り当てを、通信装置1の端子130,140と外部装置2の端子のそれぞれに対応させて示したものである。ここで、表中のUSBコネクタ10の端子番号は、図中の端子100に隣接して記された番号に対応している。また、表中に記載のない、USB信号であるID信号、及び、RS−232C信号であるDCD信号、DTR信号、DSR信号、並びにRI信号は、一般的に、この種の通信装置において不要であるため、本実施形態では未使用とし、割り当てていない。さらに、USBコネクタの4番の端子は、該当するUSB信号S1がないために、無接続となっている。
【0039】
各信号の内容を述べると、USB信号S1について、VBUS信号はバス電源信号、D−信号とD+信号はデータ信号、GND信号は接地電位(グランド)であり、他方、RS−232C信号S2について、RTS信号は送信要求、CTS信号は送信可能通知、TxD信号は送信データ、RxD信号は受信データ、GND信号は接地電位(グランド)である。
【0040】
また、表中の信号名の隣には、当該信号S1,S2が入出力される通信装置1の第1端子130、第2端子140、及び外部装置2の端子の入出力方向が記載されている。「I」は信号の入力のみを行う入力端子、「O」は信号の出力のみを行う出力端子、「IO」は信号の入力、または出力を行う入出力端子であることを示している。
【0041】
例えば、VBUS信号は、USB規格に準拠する外部装置2の出力端子(O)から出力され、USBコネクタ10の1番の端子100を介して、第1の信号処理部13の入力端子(I)130に入力される。また、RTS信号は、第2の信号処理部14の出力端子(O)140から出力され、USBコネクタ10の2番の端子100を介して、RS−232C規格に準拠する外部装置2の入力端子(I)に入力される。
【0042】
このように、外部装置2の通信規格と接続切り替え部11の選択が一致している場合、外部装置2の端子は、信号S1,S2の入出力方向が第1、及び第2の信号処理部13,14の該当する端子130,140とは正反対の関係にある。もっとも、入出力端子(IO)は、同じ入出力端子(IO)に対応する。
【0043】
表1から理解されるように、接続切り替え部11の選択に係る端子130,140の組は、第1端子130のうち、入力、及び出力の一方のみを行う端子(I,O)と、第2端子140のうち、入力、及び出力の他方のみを行う端子(I,O)との組み合わせを含まない。
【0044】
具体的には、USBコネクタ10の1番の端子100の接続先は、VBUS信号の入力端子(I)とCTS信号の入力端子(I)の組から選択され、USBコネクタ10の2番の端子100の接続先は、D−信号の入出力端子(IO)とRTS信号の出力端子(O)の組から選択される。また、USBコネクタ10の3番の端子100の接続先は、D+信号の入力端子(I)とTxD信号の出力端子(O)の組から選択され、USBコネクタ10の4番の端子100の接続先は、開放端(無接続)とRxD信号の入力端子(I)の組から選択される。さらにUSBコネクタ10の5番の端子の接続先は、GND信号の入出力端子(IO)同士の組から選択される。
【0045】
このように、表1には、出力端子(O)と入力端子(I)の組み合わせが含まれていないから、第1の信号処理部13の入力端子(I)と第2の信号処理部14の出力端子(O)、及び第1の信号処理部13の出力端子(O)と第2の信号処理部14の入力端子(I)が、それぞれ、選択的にUSBコネクタ10の端子100と接続されることはない。
【0046】
したがって、接続切り替え部11によって、第1、または第2の信号処理部13,14のうち、外部装置2が準拠する規格と異なる方が誤って選択された場合、もしくは、第1、または第2の信号処理部13,14のうち、接続切り替え部11によって選択された方が準拠する規格と異なる規格の外部装置2が誤って接続された場合に、第1の信号処理部13と外部装置2の端子間接続、及び第2の信号処理部14と外部装置2の端子間接続の組み合わせが、出力端子同士(O)となることはない。
【0047】
この接続構成によると、スイッチ2により選択された通信モードが外部装置2の通信規格と不一致となる場合であっても、第1の信号処理部13、第2の信号処理部14、及び外部装置2の出力端子(O)に信号が入力されることはなく、出力信号同士の衝突による装置1の故障、あるいは外部装置2の故障を防止することができる。
【0048】
具体的に述べると、仮に、USBコネクタ10の1番の端子100に、ともに出力信号(O)であるVBUS信号とRTS信号を割り当てた場合、USB規格に準拠する外部装置2と接続されているにも関わらず、RS−232C通信モードが誤って選択されたとき、外部装置2からのVBUS信号と通信装置1からのRTS信号が衝突してしまい、互いの出力端子に信号が入力されることによって故障を引き起こしてしまう。これを回避するため、本実施形態における通信装置1は、上述した接続構成を備えている。なお、出力信号同士が衝突しても、少なくとも一方の端子が入出力端子(IO)であれば、信号電圧が増幅されることはないから、故障には至らない。
【0049】
さらに、本実施形態の通信装置1は、上述した通信モードの不一致の場合に備えて、接続切り替え部11と第1の信号処理部13の間に保護回路40が設けられている。この保護回路40によると、USB信号S1とRS−232C信号S2の電圧レベルが異なる場合に、第1、または第2の信号処理部13,14に異なる規格の信号が入力されても、係る電圧差による故障を防止することができる。
【0050】
具体的に述べると、RS−232C規格に準拠する外部装置2と接続されたにも関わらず、USB通信モードが誤って選択されたとき、本来、VBUS信号が入力されるべき第1の信号処理部13の端子130に、CTS信号が入力されてしまう。ここで、VBUS信号の電圧はおよそ5(V)であるのに対して、CTS信号の電圧はおよそ±15(V)であるから、仮に保護回路40がなければ、第1の信号処理部13は故障する。これを回避するため、本実施形態における通信装置1は、上述した保護回路40を備えている。
【0051】
保護回路40は、図2に示されるように、VBUS信号の配線に接続されたツェナーダイオードを採用することができるが、これに限定されることはなく、他の形態の過電圧保護回路であってもよい。保護回路40は、必要に応じて、接続切り替え部11と第1の信号処理部13の間のみでなく、接続切り替え部11と第2の信号処理部14の間にも設けてもよいし、あるいは、何れか一方に設けてもよい。
【0052】
さらに、このような保護回路40に代えて、あるいは保護回路40とともに、図3に示される判定部16を設けてもよい。判定部16は、第2の信号処理部14に入力されるRxD信号に基づいて、外部装置2が、USB規格とRS−232C規格の何れに従って通信しているのかを判定する。そして、判定部16は、スイッチ12からの制御信号MDと該判定結果とに基づいて、接続切り替え部11の接続を切り替えるための制御信号R_MDを出力する。
【0053】
【表2】

【0054】
表2は、モード設定MDとRxD信号の組み合わせに対する制御信号R_MDの設定内容を示している。ここで、RxD信号に関し、「有」は、該信号の電圧がHighレベル、またはLowレベルの何れかであることを表わしており、この場合、通信装置1に、RS−232C規格に準拠した外部機器2が接続されていることになる。一方、「無」は、該信号の電圧が検出されない状態、つまり無入力状態であることを表わしており、この場合、通信装置1に、USB規格に準拠した外部機器2が接続されていることになる。
【0055】
表2から理解されるように、判定部16は、通信モードの設定MDとしてUSBが選択され、RS−232C規格に準拠した外部機器2が接続された場合に限って、接続切り替え部11を、通信モード設定MDとは異なるRS−232C通信モードの接続に切り替える。これは、既に述べたように、本来、VBUS信号が入力されるべき第1の信号処理部13の端子130に、CTS信号が入力されてしまうと、両信号の電圧差のために第1の信号処理部13が故障するからである。
【0056】
判定部16は、例えば、ラッチ回路を含む周知の論理回路から構成することができる。図4は、RS−232C通信の開始直後に外部機器2から入力されるRxD信号のレベルを示している。判定部16は、RxD信号がスタートビットSBの出力前にHighレベルとなる一定時間Th内に、これをラッチして判定するとよい。なお、本実施形態では、判定部16は、RxD信号のみに基づいて、外部機器2の規格を判定するようにしたが、他の1以上の信号S1,S2に基づいて判定してもよい。
【0057】
図5には、係る判定を、第1の信号処理部13に入力されたVBUS信号と、第2の信号処理部14に入力されたRxD信号とに基づいて行う場合の実施形態が示されている。さらに、本実施形態では、RS−232C通信にTxD信号、RxD信号、及び接地電位GNDのみを使用する例を挙げているため、これまで述べた実施形態とは接続構成が異なっている。なお、本実施形態において、先の実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
【表3】

【0059】
表3は、図5に示された接続構成に基づいて、USBコネクタ10の各端子100の信号S1,S2の割り当てを、通信装置1の端子130,140と外部装置2の端子のそれぞれに対応させて示したものである。ここで、割り当てる信号がないものは、「−」で示されている。なお、接地電位GNDに関しては、先の実施形態も含め、USBコネクタ10から、スイッチ素子110を介して、第1の信号処理部13、または第2の信号処理部14とに選択的に接続されているが、スイッチ素子110を介さずに直接的に接続されてもよい。
【0060】
本実施形態において、判定部16は、通信制御部15に含まれている。通信制御部15は、第1の信号処理部13からVBUS信号を変換して得たVBUS_S信号が入力され、他方、第2の信号処理部14からRxD信号を変換して得たRxD_S信号が入力される。
【0061】
【表4】

【0062】
第1の信号処理部13は、表4に示されるように、VBUS信号の有無に応じて、VBUS_S信号を出力する。なお、上述したように、「有」は、該信号の電圧がHighレベル、またはLowレベルの何れかであることを表わしており、一方、「無」は、該信号の電圧が検出されない状態、つまり無入力状態であることを表わしている。
【0063】
【表5】

【0064】
他方、第2の信号処理部14は、表5に示されるように、RxD信号の有無に応じて、RxD_S信号を出力する。もっとも、通信制御部15が、VBUS信号、及びRxD信号の信号電圧を正常に受信できる構成を備えていれば、このような変換を行わずに、両信号が直接的に通信制御部15に入力されてもよい。
【0065】
判定部16は、VBUS_S信号とRxD_S信号とに基づいて、外部装置2が、USB規格とRS−232C規格の何れに従って通信しているのかを判定し、該判定結果に基づいて、接続切り替え部11に接続を切り替えるための制御信号MD_Sを出力する。
【0066】
【表6】

【0067】
表6は、VBUS_S信号とRxD_S信号の組み合わせに対する制御信号MD_Sの設定内容を示している。なお、制御信号MD_Sの「−」は、外部装置2が未接続状態、あるいは異常状態である場合であって、この場合、判定部16は、制御信号MD_Sを出力しないことを表わす。
【0068】
また、このように細かく状態を判断しないのであれば、VBUS_S信号とRxD_S信号の何れか一方のみで判定を行ってもよい。例えば、VBUS_S信号がHighレベルであれば、制御信号MD_SをUSB通信モードとし、VBUS_S信号がLowレベルであれば、制御信号MD_SをRS−232C通信モードとすることもできる。また、RxD_S信号のみの判定に関しても同様に、RxD_S信号がHighレベルであれば、制御信号MD_SをRS−232C通信モードとし、RxD_S信号がLowレベルであれば、制御信号MD_SをUSB通信モードとすることができる。
【0069】
この判定部16によると、外部装置2が接続されたときに、使用される通信の規格を自動的に判別して、第1の信号処理部13と第2の信号処理部14のうち、該当するものを自動的に選択することができるから、人為的な選択の誤りによる装置の故障を防止することができる。
【0070】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0071】
1 通信装置
2 外部装置
10 USBコネクタ
100 端子
11 接続切り替え部
13 第1の信号処理部
130 第1端子
14 第2の信号処理部
140 第2端子
16 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の端子を有し、外部装置を通信可能に接続するUSBコネクタと、
USB規格に従うUSB信号を入力、または出力する1以上の第1端子を有し、前記USB信号を処理する第1の信号処理部と、
他の規格に従う信号を入力、または出力する1以上の第2端子を有し、前記他の規格に従う信号を処理する第2の信号処理部と、
前記1以上の第1端子の1つと前記1以上の第2端子の1つとからなる組の各々について、前記第1端子、または前記第2端子を選択し、前記USBコネクタの前記1以上の端子の1つと電気的に接続する接続切り替え部とを備え、
前記組は、前記第1端子のうち、入力、及び出力の一方のみを行う端子と、前記第2端子のうち、入力、及び出力の他方のみを行う端子との組み合わせを含まないことを特徴とする、通信装置。
【請求項2】
前記接続切り替え部と前記第1の信号処理部、及び/または前記第2の信号処理部の間に、前記第1端子、及び/または前記第2端子への過電圧の入力を防止する保護回路を備えることを特徴とする、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1の信号処理部、及び/または前記第2の信号処理部に入力される信号に基づいて、前記外部装置が、USB規格と前記他の規格の何れに従って通信しているのかを判定する判定部を含むことを特徴とする、
請求項1、または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記判定部は、該判定結果に基づいて、前記接続切り替え部に接続を切り替えるための制御信号を出力することを特徴とする、
請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記USB信号のうち、VBUS信号に基づいて判定を行うことを特徴とする、
請求項3、または4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記他の規格は、RS−232C規格であり、
前記判定部は、RS−232C規格に従う信号のうち、RxD信号に基づいて判定を行うことを特徴とする、
請求項3、または4に記載の通信装置。
【請求項7】
前記組は、VBUS信号とCTS信号の組み合わせを含み、
前記判定部は、前記USBコネクタの端子が前記第1の端子に接続されている場合にRxD信号を検出すると、前記USBコネクタの端子が前記第2の端子に接続されるように、前記接続切り替え部に前記制御信号を出力することを特徴とする、
請求項6に記載の通信装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−11989(P2013−11989A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143451(P2011−143451)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)