通信装置
【課題】車車間通信における通信相手の検証の信頼性を向上できる通信装置を提供する。
【解決手段】他車両の車両ナンバーを取得する車両ナンバー取得部23と、車両ナンバーから車両IDを生成する車両ID生成部12,21と、車両ID生成部12,21が自車両の車両ナンバーから生成した車両IDを通信データに加えて送信する通信部13,22と、通信部13,22が受信した通信データにおける通信相手の車両IDと、車両ナンバー取得部23が取得した車両ナンバーから車両ID生成部12,21が生成した車両IDとを比較した結果に応じて、通信データの真偽を判断する受信データ判断部24とを備える。
【解決手段】他車両の車両ナンバーを取得する車両ナンバー取得部23と、車両ナンバーから車両IDを生成する車両ID生成部12,21と、車両ID生成部12,21が自車両の車両ナンバーから生成した車両IDを通信データに加えて送信する通信部13,22と、通信部13,22が受信した通信データにおける通信相手の車両IDと、車両ナンバー取得部23が取得した車両ナンバーから車両ID生成部12,21が生成した車両IDとを比較した結果に応じて、通信データの真偽を判断する受信データ判断部24とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載され、車両間での通信(以下、車車間通信と呼ぶ)を行う通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ITS(Intelligent Transportation System;高度道路交通システム)などの普及に伴い、周辺車両から事故防止に繋がる様々な交通安全情報を、車車間通信を介してやり取りする運転支援サービスが提案されている。例えば、周辺車両の位置や速度を交通安全情報として車車間通信でやり取りすることにより、前方車両に対する追突防止などの運転支援サービスを提供する。
【0003】
しかしながら、従来のシステムでは、交通安全情報の送信元を認証する手段が確立されていないため、改竄または偽造された交通安全情報が車車間通信の通信帯域で伝送されると、受信側で、実在する正規の車両から送信されたものと認識される場合があった。
この場合、受信側の車両において、受信した交通安全情報に基づいた不適切な運転支援が実施される可能性がある。例えば、実在しない前方車両が誤検知されて前方追突注意が誤って提示され、この前方追突注意に従って急ブレーキを掛けた場合、かえって後方車両との衝突事故を誘発する可能性がある。
【0004】
上記のような不具合を解決するために、従来では、車車間通信において、ETC(登録商標;以下記載を省略する)カードのIDを送信データに付加して送信し、このETCのIDに基づいて、受信側の通信装置が送信元の車両の通信装置を特定する(例えば、特許文献1参照)。このようにすれば、ユーザごとに固有なETCカードのIDを利用した検証を実施することにより、不正な送信元からの送信データを排除できる。
【0005】
また、特許文献2には、公開鍵暗号による証明書を用いて、送信元の車両の通信装置を特定することが記載されている。
さらに、特許文献3に記載の通信相手特定装置では、車両に設けた車載カメラを用いて周辺画像を撮影し、この周辺画像から抽出した他装置の外観形状を利用する。すなわち、特許文献3の発明を車車間通信に適用した場合に、送信元は、自装置を搭載する自車両の外観形状を送信データに付加して送信する。受信側は、車載カメラを用いて撮影した周辺画像から当該車両の外観形状を抽出し、受信したデータに含まれる外観形状と比較して、その比較結果から送信元の車両を特定することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−244928号公報
【特許文献2】特開2009−081524号公報
【特許文献3】特開2009−255600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、ETCカードに固有なIDを検証に利用するので、受信側においても相手のETCカードのIDを知っていなければ、仮に偽造IDを付加した送信データが受信された場合に送信元を検証することができない。従って、結果として不正な送信元からの送信データを排除できない可能性がある。なお、ETCカードのIDは、ユーザごとの個人情報であるため、複数のユーザ間で共有させることが困難である。
【0008】
また、特許文献2では、車車間通信において送信データにおける公開鍵証明書で公開鍵を検証し、さらに正しいと検証された公開鍵および署名による車両ID、車両位置、移動方向、シリアル番号、メッセージを検証しなければならず、さらに秘密鍵を用いた解読を行うことから、不可避的に演算量が多大になる。このため、車載機器の一つの機能として設けられた通信装置の演算能力では、通信遅延が増大して実用的な通信を行うことができない。
さらに、特許文献2には、車両IDが車両を識別するための情報と記載されているが、具体的にどのような情報であるかが記載されておらず、車両IDが改竄されたり、偽造される可能性が否めない。
【0009】
特許文献3では、送信元の通信装置を特定する際に、周辺画像から当該装置の外観形状を抽出する。この発明を車車間通信に適用した場合、車載カメラの向きにより様々なアングルで撮影される車両の外観形状を、周辺画像から比較検証に耐え得る精度で求める必要があり、実用的でない。
また、車両の外観形状に関する特徴点抽出や画像マッチングなどの画像解析が必要であるため、不可避的に演算量が多大となる。この他、車両の色などを外観形状として求める場合は、天候の影響によって正確な色を抽出できない可能性があり、信頼性の高い検証を行うことができない。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、車車間通信における通信相手の検証の信頼性を向上できる通信装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る通信装置は、車両に搭載され、他車両に搭載された通信装置と車車間通信を行う通信装置において、他車両の車両ナンバーを取得するナンバー取得部と、車両ナンバーから車両IDを生成する車両ID生成部と、車両ID生成部が自車両の車両ナンバーから生成した車両IDを通信データに加えて送信する通信部と、通信部が受信した通信データにおける通信相手の車両IDと、ナンバー取得部が取得した車両ナンバーから車両ID生成部が生成した車両IDとを比較した結果に応じて、通信データの真偽を判断する受信データ判断部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、車車間通信における通信相手の検証の信頼性を向上できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る通信装置を利用した車車間通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る通信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1に係る車車間通信を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2に係る通信装置(車両データの送信側)の構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態2に係る通信装置(車両データの受信側)の構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態2に係る通信装置の構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態2に係る車車間通信を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態3に係る通信装置(車両データの受信側)の構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態3に係る車車間通信を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態4に係る通信装置(車両データの受信側)の構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態4に係る車車間通信を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る通信装置を利用した車車間通信システムの構成を示すブロック図であり、車両3,4にそれぞれ搭載された実施の形態1に係る通信装置間で車車間通信を行う場合を示している。また、図2は、実施の形態1に係る通信装置の構成を示すブロック図である。なお、実際には、図1に示す通信装置1,2についても、図2に示す構成を有している。つまり、図1では、車両3に搭載された通信装置1から、車両4に搭載された通信装置2へ車車間通信で車両データを送信する場合を示しており、図1を用いた説明の簡単のため、通信装置1は、車車間通信でデータを送信する構成のみを示し、通信装置2は、車車間通信で通信装置1からのデータを受信する構成のみを示している。
【0015】
通信装置1は、自身を搭載する車両3の車両ナンバーからあらかじめ生成した車両IDを通信データに付随させて、車両3の車両データを車車間通信で送信する。データ送信を行う構成として、図1および図2に示すように、データ記憶部10、自車両ナンバー記憶部11、車両ID生成部12、通信部13および車両データ取得提供部14を備える。
【0016】
また、通信装置2は、車両3の通信装置1が送信した通信データを受信し、自身を搭載する車両4における運転支援に利用する。
なお、実施の形態1では、車載カメラ5が撮影した車両4の周辺画像から、車両4の周辺車両の車両ナンバーを抽出して通信装置1と同様の方法で車両IDを生成し、この車両IDと、受信した通信データに付随している車両IDとを比較して、当該通信データが、実在する車両から送信されたものであるか否かを検証する。
通信装置2は、上述のようなデータ受信および検証を行う構成として、図1および図2に示すように、データ記憶部20、車両ID生成部21、通信部22、車両ナンバー取得部23、受信データ判断部24および車両データ取得提供部25を備える。
【0017】
通信装置1におけるデータ記憶部10は、車両データ取得提供部14が取得した車両3の車両データを一時記憶する記憶部であり、車車間通信の際に、通信部13によって当該データが適宜読み出される。
自車両ナンバー記憶部11は、通信装置1を搭載する車両3の車両ナンバーおよびその車両IDを記憶する記憶部であり、車車間通信の際に、通信部13によって当該車両IDが適宜読み出される。
【0018】
車両ID生成部12は、自車両ナンバー記憶部11から自車(車両3)の車両ナンバーを読み出し、自車両の車両ナンバーを所定のハッシュ関数で処理して得られるハッシュ値を算出する。車両ID生成部12により自車両の車両ナンバーから生成されたハッシュ値は、自車両の車両IDとして自車両ナンバー記憶部11に記憶される。
なお、ハッシュ関数は、与えられたメッセージに対してハッシュ値を容易に算出でき、ハッシュ値から元のメッセージを得ることが事実上不可能であり、ハッシュ値を変えずにメッセージを改竄することが事実上不可能であり、同じハッシュ値を持つ2つのメッセージを求めることが事実上不可能であるので、車両ナンバーから車両IDを生成するために必要な演算量を低減しかつ信頼性の高い車両IDを得ることができる。
【0019】
通信部13は、データ記憶部10から読み出した車両データに対して、自車両ナンバー記憶部11から読み出した自車両の車両IDを付随させた通信データを生成し、当該通信データを無線通信で送信する。なお、通信部13における無線通信方式としては、DSRC(Dedicated Short Range Communication)(5.8GHz帯)や700MHz帯の無線通信方式が想定される。また、無線LAN(Local Area Network)通信や、携帯電話通信、Wimax(World Interoperability for Microwave Access)通信、あるいはテレマティクス通信などであってもよい。
【0020】
車両データ取得提供部14は、通信装置1を搭載する車両3の車両データを一定の周期ごとに取得してデータ記憶部10に記憶するデータ提供部である。車両データには、車速、ブレーキ信号、ウィンカ信号等のような、交通安全情報として利用可能なデータが含まれる。なお、車両データ取得提供部14は、車両3に搭載された車両制御装置や車速センサなどと接続して車両データを取得する。
【0021】
通信装置2におけるデータ記憶部20は、受信データ判断部24によって実在する車両に搭載された通信装置が送信した通信データであると判断されたデータを記憶する記憶部である。実在する車両に搭載された通信装置が送信した通信データではないと判断されたデータは破棄される。なお、データ記憶部10とデータ記憶部20は、図2に示すように1つの記憶部で兼用してもよい。例えば、実施の形態1に係るデータ記憶部では、データ記憶部10に相当する記憶領域とデータ記憶部20に相当する記憶領域を有する記憶部を有し、データ送信を行う場合にデータ記憶部10として車両データを一時記憶し、データ受信した場合にはデータ記憶部20として通信データを記憶する。
【0022】
車両ID生成部21は、車両ナンバー取得部23が取得した車両ナンバーを所定のハッシュ関数で処理して得られるハッシュ値を算出する。このハッシュ値は、周辺車両の車両IDとして受信データ判断部24に出力される。また、車両ID生成部21は、通信装置1における車両ID生成部12と同一のハッシュ関数を用いて、車両IDを生成する。
なお、車両ID生成部12と車両ID生成部21は、図2に示すように1つの車両ID生成部で兼用してもよい。例えば、実施の形態1に係る車両ID生成部は、データを送信する場合、車両ID生成部12として自車の車両ナンバーから車両IDを生成し、データを受信した場合には、車両ID生成部21として周辺画像から抽出された車両4の周辺車両の車両ナンバーから車両IDを生成する。
【0023】
通信部22は、通信装置1が送信した通信データを車車間通信で受信する通信部である。通信部22の無線通信方式としては、通信部13と同様に、DSRC(5.8GHz帯)や700MHz帯の無線通信方式が想定される。また、無線LAN通信や、携帯電話通信、Wimax通信、あるいはテレマティクス通信などであってもよい。通信部22に受信された通信データのうち、車両IDは、受信データ判断部24に出力され、残りのデータ(車両3の車両データ)は、データ記憶部20に記憶される。
なお、通信部13および通信部22についても、図2に示すように、1つの通信部で兼用してもよい。例えば、実施の形態1に係る通信部は、通信部13として通信データを送信し、通信部22としてデータを受信する。
【0024】
車両ナンバー取得部23は、車載カメラ5が撮影した周辺映像(周辺画像)から、周辺車両の車両ナンバーを取得するナンバー取得部である。なお、車載カメラ5は、車両3を含む車両4の周辺領域を撮影するカメラであり、車両4の前方に設けたフロントカメラや、後方部に設けたリアカメラなどが挙げられる。また、周辺映像(周辺画像)から車両ナンバーを特定する方法としては、例えば、下記のような方法が挙げられる。
まず、所定の輝度レベルを基準として、周辺映像(周辺画像)を二値化画像に変換し、二値化画像を水平方向に順に走査していき、車両ナンバープレートの画像領域に対応する濃淡変化を抽出する。抽出した画像領域に数字や文字のパターンとパターンマッチングを行って、車両ナンバーを特定する。特定された車両ナンバーは、車両ナンバー取得部23から車両ID生成部21へ出力される。
【0025】
受信データ判断部24は、通信部22が受信した通信データから抽出した車両IDと、車両ID生成部21が周辺車両の車両ナンバーから生成した車両IDとが一致したか否かに応じて、通信部22が受信した通信データが、実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータであるか否か、すなわち、通信部22が受信した通信データの真偽を判断する。受信データ判断部24により実在する車両に搭載された通信装置が送信した通信データであると判断されたデータ(真データ)は、データ記憶部20に記憶される。また、実在する車両に搭載された通信装置が送信した通信データではないと判断されたデータ(偽データ)は、受信データ判断部24によって破棄される。
【0026】
車両データ取得提供部25は、データ記憶部20に記憶された通信データ(車両3の車両データ)を外部の他機器へ提供するデータ提供部である。例えば、受信した車両3の車両データを、自車両(車両4)の車両制御装置(他機器)における運転支援機能への入力データとして利用することなどが考えられる。なお、車両データ取得提供部14および車両データ取得提供部25についても、図2に示すように1つの車両データ取得提供部で兼用してもよい。例えば、実施の形態1に係る車両データ取得提供部は、データを送信する場合、車両データ取得提供部14として自車の車両データを取得し、データを受信する場合は、車両データ取得提供部25として、データ記憶部20から読み出したデータ(車両データ)を他機器へ提供する。
【0027】
次に動作について説明する。
図3は、実施の形態1に係る車車間通信を示すフローチャートであり、図3に沿って通信装置1と通信装置2が車車間通信で車両データ(車両3の車両データ)をやり取りする動作について説明する。
まず、通信装置1の通信部13が、自車両(車両3)の車両データをデータ記憶部10から読み出し、自車両の車両IDを自車両ナンバー記憶部11から読み出す(ステップST1)。なお、この車両IDは、車両ID生成部12が所定のハッシュ関数を用いて自車両の車両ナンバーを処理して算出しておいたハッシュ値である。また、車両データは、車両データ取得提供部14が一定周期ごとに取得した車速、ブレーキ信号、ウィンカ信号等である。
次に、通信部13は、データ記憶部10から読み出された車両3の車両データに自車両の車両IDを付随させた通信データを通信装置2へ送信する(ステップST2)。
【0028】
一方、通信装置2では、車両ナンバー取得部23が、車載カメラ5が撮影した自車両(車両4)の周辺映像(周辺画像)から、周辺車両の車両ナンバーを特定して収集する(ステップST1a)。続いて、車両ID生成部21は、車両ナンバー取得部23が収集した周辺車両の車両ナンバーを所定のハッシュ関数で処理して得られるハッシュ値(車両ID)を算出する(ステップST2a)。算出されたハッシュ値は、受信データ判断部24に出力される。
次いで、通信部22が、通信装置1が送信した通信データを受信すると、当該通信データから車両IDを取り出して受信データ判断部24に出力し、当該通信データの残りのデータ(車両3の車両データ)をデータ記憶部20に記憶する(ステップST3a)。
【0029】
受信データ判断部24は、通信部22が受信した通信データから取り出された車両IDと、ステップST2aで車両ID生成部21が生成した車両IDとを比較し、双方の車両IDが一致するか否かを判定する(ステップST4a)。
双方の車両IDが一致した場合(ステップST4a;YES)、受信データ判断部24は、ステップST3aでデータ記憶部20に記憶した車両データが、実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータであると判断し、当該通信データから取得された車両IDを、当該車両データに対応付けてデータ記憶部20に記憶する(ステップST5a)。
次に、車両データ取得提供部25は、データ記憶部20に記憶された通信データ(車両3の車両データ)を外部の他機器へ提供する(ステップST6a)。例えば、自車両(車両4)の車両制御装置への入力データとして利用する。
【0030】
また、通信部22が受信した上記通信データから取り出された車両IDと、ステップST2aで車両ID生成部21が生成した車両IDとが一致しなかった場合(ステップST4a;NO)、受信データ判断部24は、ステップST3aでデータ記憶部20に記憶した車両データが実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータではないと判断し、当該車両IDを破棄するとともに、データ記憶部20に記憶しておいた車両データを破棄する(ステップST7a)。
【0031】
上述した図3の説明では、車両4が搭載する通信装置2の通信部22が通信装置1からの通信データを受信する前に、車両ナンバー取得部23が車両4の周辺画像から周辺車両の車両ナンバーを収集し、この車両ナンバーを基に車両ID生成部12が車両IDを生成する場合を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、通信部22が通信装置1からの通信データを受信した後に、車両ナンバー取得部23が周辺車両の車両ナンバーを収集し、車両ID生成部12が車両IDを生成するようにしてもよい。
【0032】
以上のように、この実施の形態1によれば、他車両の車両ナンバーを取得する車両ナンバー取得部23と、車両ナンバーから車両IDを生成する車両ID生成部12,21と、車両ID生成部12,21が自車両の車両ナンバーから生成した車両IDを通信データに加えて送信する通信部13,22と、通信部13,22が受信した通信データにおける通信相手の車両IDと、車両ナンバー取得部23が取得した車両ナンバーから車両ID生成部12,21が生成した車両IDとを比較した結果に応じて、通信データの真偽を判断する受信データ判断部24とを備える。
このように、車両ごとに固有な車両ナンバーを実際に取得して、この車両ナンバーから生成した車両IDを通信データの真偽判断に利用するので、特許文献1のように通信相手のIDを最初から持つ必要がない。また、車両ID同士の比較で検証することから、特許文献2のように解読処理を行う必要がなく、さらに車両に固有な情報(車両ナンバー)を使用するので、通信相手の検証に要する負荷が軽減され、かつその信頼性を向上できる。
【0033】
また、この実施の形態1によれば、車両ID生成部12,21が、車両ナンバーをハッシュ関数で処理して得られるハッシュ値を車両IDとして算出するので、車車間通信における通信相手の検証の信頼性を向上させ、かつ車両IDの生成に必要な演算負荷を低減することができる。
【0034】
さらに、この実施の形態1によれば、自車両周辺を撮影する車載カメラ5を備え、車両ナンバー取得部23が、車載カメラ5が撮影した画像から自車両周辺の車両の車両ナンバーを取得する。このように、特許文献3のように外観形状を特定せず、周辺画像から数字と文字の車両ナンバーを抽出するだけであるので、車両ナンバーの取得および車両IDの生成に要する演算負荷を軽減することができる。さらに画像の撮影環境に強く影響を受ける外観形状を用いて通信相手の検証を行う場合と比べて検証の信頼性を向上できる。
【0035】
さらに、この実施の形態1によれば、受信データ判断部24により真と判断された通信データを、当該通信データを利用する外部機器へ提供する車両データ取得提供部14,25を備えるので、受信データ判断部24によって真と判断された通信データのみを適切に提供することができる。
【0036】
実施の形態2.
実施の形態2は、上記実施の形態1の構成に、GPS(Global Positioning System)位置情報取得部およびテレマティクス通信部を追加した態様について述べる。
図4は、この発明の実施の形態2に係る通信装置(車両データの送信側)の構成を示すブロック図である。図5は、実施の形態2に係る通信装置(車両データの受信側)の構成を示すブロック図である。また、図6は、実施の形態2に係る通信装置の構成を示すブロック図である。なお、実際には、図4および図5に示す通信装置1A,2Aについても、図6に示す構成を有している。
つまり、図4では、車両3に搭載された通信装置1Aが、車車間通信で車両データを送信する場合を示しており、図5では、車両4に搭載された通信装置2Aが、車車間通信で車両データを受信する場合を示している。
そこで、図4および図5を用いた説明の簡単のために、通信装置1Aは、車車間通信でデータを送信する構成のみを示し、通信装置2Aは、車車間通信でデータを受信する構成のみを示している。なお、図4、図5および図6において、図1〜3と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
GPS位置情報取得部15は、GPS衛星から、自車両(車両3)の現在座標位置(GPS位置情報(緯度経度))を取得する位置情報取得部である。
また、GPS位置情報取得部26は、GPS衛星から、自車両(車両4)の現在座標位置(GPS位置情報)を取得する。なお、GPS位置情報取得部15,26は、通信装置1A,2Aと同一筐体ではなく、GPS受信機として別筐体で設けてもよい。
以降では、GPS位置情報で車両位置を特定する場合を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、車両の位置を特定することができる情報であれば、ジャイロなどの情報を利用してもかまわない。
【0038】
テレマティクス通信部16は、プローブ情報をテレマティクス通信でサーバ装置6にアップリンクする。アップリンクされるプローブ情報は、GPS位置情報取得部15が取得した車両3のGPS位置情報(緯度経度)および自車両ナンバー記憶部11に記憶されている車両3の車両ナンバーを併せたものである。
テレマティクス通信部27は、サーバ装置6から受信したプローブ情報(GPS位置情報と車両ナンバー)およびGPS位置情報取得部26が取得したGPS位置情報に基づいて、自車両(車両4)の周辺に存在する車両の車両ナンバーを取得する。
なお、テレマティクス通信部16およびテレマティクス通信部27は、図6に示すように、1つのテレマティクス通信部で兼用してもよい。
例えば、実施の形態2に係るテレマティクス通信部は、テレマティクス通信部16としてプローブ情報をサーバ装置6へアップリンクし、テレマティクス通信部27としてプローブ情報をサーバ装置6からダウンリンクする。
【0039】
サーバ装置6は、車両に搭載された通信装置(通信装置1A,2Aと同様の構成を有する通信装置)とテレマティクス通信を行うサーバであり、複数の車両にそれぞれ搭載された上記通信装置がアップリンクした車両のGPS位置情報をその車両ナンバーに対応付けて記憶している。また、サーバ装置6は、テレマティクス通信を介して車両のGPS位置情報を含む車両ナンバー要求を受信すると、この要求に含まれるGPS位置情報が示す地点の周辺に存在する車両の車両ナンバーを検索して、検索結果の車両ナンバーを要求元の通信装置へダウンリンクする。
【0040】
次に動作について説明する。
図7は、実施の形態2に係る車車間通信を示すフローチャートであり、図7に沿って通信装置1Aと通信装置2Aが車車間通信で車両データ(車両3の車両データ)をやり取りする動作について説明する。
まず、通信装置1AのGPS位置情報取得部15は、GPS衛星から、自車両(車両3)の現在座標位置(GPS位置情報)を取得する(ステップST1b)。
テレマティクス通信部16は、GPS位置情報取得部15が取得したGPS位置情報と、自車両ナンバー記憶部11から読み出した自車両(車両3)の車両ナンバーとをサーバ装置6へアップリンクする(ステップST2b)。
【0041】
通信部13が、車両3の車両データをデータ記憶部10から読み出して、自車両の車両IDを自車両ナンバー記憶部11から読み出す(ステップST3b)。車両IDは、車両ID生成部12が所定のハッシュ関数を用いて自車両の車両ナンバーを処理して算出したハッシュ値である。また、車両データは、車両データ取得提供部14が一定周期ごとに取得した車速、ブレーキ信号、ウィンカ信号等である。
次に、通信部13は、データ記憶部10から読み出された車両3の車両データに自車両の車両IDを付随させた通信データを、通信装置2Aへ送信する(ステップST4b)。
【0042】
サーバ装置6は、ステップST2bで通信装置1AからアップリンクされたGPS位置情報と車両3の車両ナンバーを受信すると、車両ナンバーに対応付けてGPS位置情報を記憶する(ステップST1c)。
次に、サーバ装置6は、GPS位置情報を含む周辺車両の車両ナンバー要求を受信すると、当該要求に含まれるGPS位置情報に基づいて、ステップST1cで記憶した車両ナンバーを検索し、当該要求に応じた車両ナンバーを抽出する(ステップST2c)。
例えば、検索要求に含まれるGPS位置情報が示す地点(緯度経度)を中心として所定の距離範囲内にある地点に対応する車両ナンバーを抽出する。なお、所定の距離範囲は、運転支援サービスの内容に依存する。
また、サーバ装置6が、逐次アップリンクされる車両のGPS位置情報およびその車両ナンバーと地図データを用いて、車両ごとの道路上での移動方向を把握することにより、車両4(要求元の通信装置2Aを搭載する車両)が走行可能な道のりに位置する車両の車両ナンバーを検索するようにしてもよい。
この後、サーバ装置6は、検索結果の車両ナンバーを要求元の通信装置へ送信する(ステップST3c)。
【0043】
一方、通信装置2AのGPS位置情報取得部26は、GPS衛星から、自車両(車両4)の現在座標位置(GPS位置情報)を取得する(ステップST1d)。
次に、テレマティクス通信部27は、GPS位置情報取得部26が取得したGPS位置情報に基づいて、自車両(車両4)の周辺に存在する車両の車両ナンバーを要求する(ステップST2d)。ここでは、テレマティクス通信部27が、車両4のGPS位置情報を含む車両ナンバー要求を生成してサーバ装置6へ送信する。
【0044】
テレマティクス通信部27は、ステップST2dの車両ナンバー要求に応じて、ステップST3cでサーバ装置6が送信した車両ナンバー(自車両周辺の車両ナンバー)をダウンリンクする。
車両ID生成部21は、テレマティクス通信部27にダウンリンクされた車両ナンバーを所定のハッシュ関数で処理してハッシュ値(車両ID)を算出する(ステップST3d)。算出されたハッシュ値は、受信データ判断部24に出力される。
次いで、通信部22が、ステップST4bで通信装置1Aが送信した通信データを受信すると、当該通信データから車両IDを取り出して受信データ判断部24に出力し、当該通信データの残りのデータ(車両3の車両データ)をデータ記憶部20に記憶する(ステップST4d)。
【0045】
受信データ判断部24は、通信部22が受信した通信データから取り出された車両IDと、ステップST3dで車両ID生成部21が生成した車両IDとを比較し、双方の車両IDが一致するか否かを判定する(ステップST5d)。
双方の車両IDが一致した場合(ステップST5d;YES)、受信データ判断部24は、ステップST4dでデータ記憶部20に記憶した車両データが、実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータであると判断し、当該通信データから取得された車両IDを、当該車両データに対応付けてデータ記憶部20に記憶する(ステップST6d)。
次に、車両データ取得提供部25は、データ記憶部20に記憶された通信データ(車両3の車両データ)を外部の他機器へ提供する(ステップST7d)。例えば、自車両(車両4)の車両制御装置への入力データとして利用する。
【0046】
また、通信部22が受信した通信データから取り出した車両IDと、ステップST3dで車両ID生成部21が生成した車両IDとが一致しなかった場合(ステップST5d;NO)、受信データ判断部24は、ステップST4dでデータ記憶部20に記憶した車両データが実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータではないと判断して、当該車両IDを破棄するとともに、データ記憶部20に記憶しておいた車両データを破棄する(ステップST8d)。
【0047】
以上のように、この実施の形態2によれば、他車両の車両ナンバーを取得するテレマティクス通信部16,27と、自車両のGPS位置情報を取得するGPS位置情報取得部15,26と、車両ナンバーから車両IDを生成する車両ID生成部12,21と、車両ID生成部12,21が自車両の車両ナンバーから生成した車両IDを通信データに加えて送信する通信部13,22と、通信部13,22が受信した通信データにおける通信相手の車両IDと、車両ナンバー取得部23が取得した車両ナンバーから車両ID生成部12,21が生成した車両IDとを比較した結果に応じて、通信データの真偽を判断する受信データ判断部24とを備え、テレマティクス通信部16,27が、車両のGPS位置情報を車両ナンバーに対応付けて記憶するサーバ装置6とテレマティクス通信を行う機能を有し、テレマティクス通信を介して、GPS位置情報取得部15,26が取得した自車両のGPS位置情報を含む車両ナンバー要求を行い、当該車両ナンバー要求に含まれる自車両のGPS位置情報に基づいてサーバ装置6により検索された自車両周辺の車両の車両ナンバーを取得する。このように構成することで、上記実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、通信データを送信した車両が、車載カメラ5の撮影範囲外である場合においても、車車間通信における通信相手の検証を行うことが可能である。
【0048】
実施の形態3.
この実施の形態3では、上記実施の形態1の構成に、電子ナンバープレートを追加した態様について述べる。
図8は、この発明の実施の形態3に係る通信装置(車両データの受信側)の構成を示すブロック図である。図8では、車両4に搭載された通信装置2Bが、車車間通信で通信装置1Bから車両データを受信する場合を示している。実際には、通信装置1Bおよび通信装置2Bも同一の構成を有している。すなわち、上記実施の形態1で示した図2における車両ナンバー取得部23の代わりに、電子ナンバー取得部28が設けられる。
以降では、図8を用いた説明の簡単のために、図8の通信装置2Bについては、車車間通信でデータを受信する構成のみを示している。なお、図8において、図1〜3と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
電子ナンバープレート7は、ICチップを搭載した車両ナンバープレートであり、例えばDSRC(5.8GHz帯)などの無線通信を行う。
電子ナンバー取得部28は、DSRC(5.8GHz帯)などの無線通信を介して電子ナンバープレート7からその車両ナンバーを取得する構成部である。電子ナンバー取得部28に取得された車両ナンバーは、車両ID生成部21に入力されて車両IDが生成される。
【0050】
次に動作について説明する。
図9は、実施の形態3に係る車車間通信を示すフローチャートであり、図9に沿って通信装置1Bと通信装置2Bが車車間通信で車両データ(車両3の車両データ)をやり取りする動作について説明する。
まず、車両3の電子ナンバープレート7が、無線通信を介して車両3の車両ナンバーを送信する(ステップST1e)。
次に、車両3が搭載する通信装置1Bの通信部13が、車両3の車両データをデータ記憶部10から読み出し、自車両の車両IDを自車両ナンバー記憶部11から読み出す(ステップST2e)。車両IDは、車両ID生成部12が自車両の車両ナンバーを所定のハッシュ関数で処理して算出したハッシュ値である。また、車両データは、車両データ取得提供部14が一定周期ごとに取得した車速、ブレーキ信号、ウィンカ信号等である。
続いて、通信部13は、データ記憶部10から読み出された車両3の車両データに自車両の車両IDを付随させた通信データを通信装置2Bへ送信する(ステップST3e)。
【0051】
一方、通信装置2Bの電子ナンバー取得部28は、車両3が搭載する電子ナンバープレート7から、車両3の車両ナンバーを取得する(ステップST1f)。
次に、車両ID生成部21が、電子ナンバー取得部28が取得した車両ナンバーを所定のハッシュ関数で処理して得られるハッシュ値(車両ID)を算出する(ステップST2f)。算出されたハッシュ値は、受信データ判断部24に出力される。
【0052】
次いで、通信部22が、ステップST3eで通信装置1Bが送信した通信データを受信すると、当該通信データから車両IDを取り出して受信データ判断部24に出力し、当該通信データの残りのデータ(車両3の車両データ)をデータ記憶部20に記憶する(ステップST3f)。
【0053】
受信データ判断部24は、通信部22が受信した通信データから取り出された車両IDと、ステップST2fで車両ID生成部21が生成した車両IDとを比較し、双方の車両IDが一致するか否かを判定する(ステップST4f)。
双方の車両IDが一致した場合(ステップST4f;YES)、受信データ判断部24は、ステップST3fでデータ記憶部20に記憶した車両データが、実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータであると判断し、当該通信データから取得された車両IDを、当該車両データに対応付けてデータ記憶部20に記憶する(ステップST5f)。
次に、車両データ取得提供部25は、データ記憶部20に記憶された通信データ(車両3の車両データ)を外部の他機器へ提供する(ステップST6f)。例えば、自車両(車両4)の車両制御装置への入力データとして利用する。
【0054】
また、通信部22が受信した通信データから取り出された車両IDと、ステップST2fで車両ID生成部21が生成した車両IDとが一致しなかった場合(ステップST4f;NO)、受信データ判断部24は、ステップST3fでデータ記憶部20に記憶した車両データが、実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータではないと判断して、当該車両IDを破棄するとともに、データ記憶部20に記憶しておいた車両データを破棄する(ステップST7f)。
【0055】
上述した図9の説明では、車両4が搭載する通信装置2Bの通信部22が通信装置1Bからの通信データを受信する前に、電子ナンバー取得部28が周辺車両の電子ナンバープレート7から車両ナンバーを取得し、この車両ナンバーを基に車両ID生成部12が車両IDを生成する場合を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、通信部22が通信装置1Bからの通信データを受信した後に、電子ナンバー取得部28が、周辺車両の電子ナンバープレート7から車両ナンバーを取得し、車両ID生成部12が車両IDを生成するようにしてもよい。
【0056】
以上のように、この実施の形態3によれば、他車両の車両ナンバーを取得する電子ナンバー取得部28と、車両ナンバーから車両IDを生成する車両ID生成部12,21と、車両ID生成部12,21が自車両の車両ナンバーから生成した車両IDを通信データに加えて送信する通信部13,22と、通信部13,22が受信した通信データにおける通信相手の車両IDと、車両ナンバー取得部23が取得した車両ナンバーから車両ID生成部12,21が生成した車両IDとを比較した結果に応じて、通信データの真偽を判断する受信データ判断部24とを備え、電子ナンバー取得部28が、無線通信を介して通信相手の車両に搭載された電子ナンバープレート7から通信相手の車両の車両ナンバーを取得する。このように構成することで、上記実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、通信データを送信した車両が車載カメラ5の撮影範囲外である場合や、自車両が車載カメラ5を有していない場合であっても、車車間通信における通信相手の検証を行うことが可能である。
【0057】
実施の形態4.
この実施の形態4では、上記実施の形態1および上記実施の形態2の構成を組み合わせた態様について述べる。
図10は、この発明の実施の形態4に係る通信装置(車両データの受信側)の構成を示すブロック図である。図10では、車両4に搭載された通信装置2Cが、車車間通信で通信装置1Cから車両データを受信する場合を示している。実際には、通信装置1Cおよび通信装置2Cも同一の構成を有している。すなわち、実施の形態4に係る通信装置1C,2Cは、上記実施の形態1で図2を用いて示した構成と上記実施の形態2で図6を用いて示した構成とを組み合わせている。
以降では、図10を用いた説明の簡単のため、図10の通信装置2Cについては、車車間通信でデータを受信する構成のみを示している。なお、図10において図1〜3と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
次に動作について説明する。
図11は、実施の形態4に係る車車間通信を示すフローチャートであり、図11に沿って通信装置1Cと通信装置2Cが車車間通信で車両データ(車両3の車両データ)をやり取りする動作について説明する。
まず、通信装置1CのGPS位置情報取得部15が、GPS衛星から、自車両(車両3)の現在座標位置(GPS位置情報)を取得する(ステップST1g)。
テレマティクス通信部16は、GPS位置情報取得部15が取得したGPS位置情報と自車両ナンバー記憶部11から読み出した自車両(車両3)の車両ナンバーとをサーバ装置6へアップリンクする(ステップST2g)。
【0059】
通信部13が、車両3の車両データをデータ記憶部10から読み出し、自車両の車両IDを自車両ナンバー記憶部11から読み出す(ステップST3g)。なお、車両IDは、車両ID生成部12が、自車両の車両ナンバーに対し所定のハッシュ関数を用いた演算を施してあらかじめ算出したハッシュ値である。また、車両データは、車両データ取得提供部14が一定周期ごとに取得した車速、ブレーキ信号、ウィンカ信号等である。
次に、通信部13は、データ記憶部10から読み出された車両3の車両データに自車両の車両IDを付随させた通信データを、通信装置2Cへ送信する(ステップST4g)。
【0060】
サーバ装置6は、ステップST2gで通信装置1CからアップリンクされたGPS位置情報と車両3の車両ナンバーを受信すると、車両ナンバーに対応付けてGPS位置情報を記憶する(ステップST1h)。
【0061】
次に、サーバ装置6は、GPS位置情報を含む周辺車両の車両ナンバー要求を受信すると、当該要求に含まれるGPS位置情報に基づいて、ステップST1hで記憶した車両ナンバーを検索し、当該要求に応じた車両ナンバーを抽出する(ステップST2h)。
例えば、検索要求に含まれるGPS位置情報が示す地点(緯度経度)を中心として所定の距離範囲内にある地点に対応する車両ナンバーを抽出する。なお、所定の距離範囲は、運転支援サービスの内容に依存する。また、サーバ装置6が、ナビゲーションシステムが使用する地図データとGPS位置情報に基づいて、車両4(要求元の通信装置2Cを搭載する車両)が走行可能な道のりに位置する車両の車両ナンバーを検索してもよい。
この後、サーバ装置6は、検索結果の車両ナンバーを要求元の通信装置へ送信する(ステップST3h)。
【0062】
一方、通信装置2CのGPS位置情報取得部26は、GPS衛星から、自車両(車両4)の現在座標位置(GPS位置情報)を取得する(ステップST1i)。
次に、テレマティクス通信部27は、GPS位置情報取得部26が取得したGPS位置情報に基づいて、車両4の周辺に存在する車両の車両ナンバーを要求する(ステップST2i)。ここでは、テレマティクス通信部27が、車両4のGPS位置情報を含む周辺車両の車両ナンバー要求を生成してサーバ装置6へ送信する。
【0063】
テレマティクス通信部27は、ステップST2iの車両ナンバー要求に応じて、ステップST3hでサーバ装置6が送信した車両ナンバーをダウンリンクする。
また、通信装置2Cの車両ナンバー取得部23は、車載カメラ5が撮影した自車両(車両4)の周辺映像(周辺画像)から、周辺車両の車両ナンバーを特定して収集する(ステップST3i)。
【0064】
次に、車両ID生成部21は、テレマティクス通信部27がダウンリンクした車両ナンバーおよび車両ナンバー取得部23が収集した周辺車両の車両ナンバーを所定のハッシュ関数でそれぞれ処理してハッシュ値(車両ID)を算出する(ステップST4i)。算出されたハッシュ値は、受信データ判断部24に出力される。
次いで、通信部22は、ステップST4gで通信装置1Cが送信した通信データを受信すると、当該通信データから車両IDを取り出して受信データ判断部24に出力し、当該通信データの残りのデータ(車両データ)をデータ記憶部20に記憶する(ステップST5i)。
【0065】
受信データ判断部24は、通信部22が受信した通信データから取り出された車両IDと、ステップST4iで車両ID生成部21が生成した車両IDとを比較し、双方の車両IDが一致するか否かを判定する(ステップST6i)。
車両IDが一致した場合(ステップST6i;YES)、受信データ判断部24は、ステップST5iでデータ記憶部20に記憶した車両データが、実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータであると判断し、当該通信データから取得された車両IDを、当該車両データに対応付けてデータ記憶部20に記憶する(ステップST7i)。
【0066】
続いて、受信データ判断部24は、通信部22が受信した通信データから取り出された車両IDと一致する車両IDが複数あるか否か、すなわち真データと判断した通信データが複数あるか否かを判定する(ステップST8i)。
通信データから取り出した車両IDと一致した車両IDが複数ある場合(ステップST8i;YES)、受信データ判断部24は、車両ID生成部21が当該車両IDを生成する際に利用した車両ナンバーが取得された情報ソースから想定される自車両と他車両との位置関係に応じて、通信データ(車両データ)の提供順序に関する優先度を付与する。
車両データ取得提供部25は、受信データ判断部24が付与した優先度に従ってデータ記憶部20から通信データ(車両データ)を読み出し、優先度の高い車両データから外部の他機器へ提供する(ステップST9i)。
ここでは、車両ナンバーを取得した情報ソースが、車載カメラ5に撮影された周辺画像であると、この周辺画像から車両ナンバー取得部23が取得した車両IDと一致する車両IDとともに送信されてきた通信データに対して最も高い優先度が付与され、車両データ取得提供部25は、この通信データを優先して他機器(例えば、自車両の安全運転支援を行う車両制御装置)へ提供する。
これは、車両ナンバーを取得した情報ソースが周辺画像である場合、当該通信データを送信してきた通信装置を搭載する車両が、自車両の車載カメラ5の撮影範囲内にあって、自車両の近辺に存在する確率が高いため、自車両の安全運転支援に有用な通信データ(車両データ)を提供していると考えられるからである。例えば、自車両と他車両との位置関係として当該他車両が自車両の車載カメラ5の撮影範囲内にあると、当該他車両が自車両にかなり接近しており、当該他車両の通信装置1Cが衝突の危険を示す車両データを送信している可能性がある。
また、もう一つの情報ソースであるサーバ装置6は、アップリンクされた車両ナンバーを、車両のGPS位置情報に対応付けて記憶している。GPS位置情報はその誤差を考慮すると、他車両と自車両との大まかな位置関係を判別できるが、上述のように自車両の車載カメラ5の撮影範囲に他車両があるかどうかを判別できるほどの精度を有していない。このため、確実に他車両が自車両の近傍に存在することを特定できる周辺画像を、最も優先度が高い情報ソースとする。
【0067】
上述のように、受信データ判断部24は、車両ナンバーを取得した情報ソースが自車両の近傍に関するものである場合に、この車両ナンバーから生成された車両IDと一致する車両IDとともに送信された通信データに高い優先度を付与する。
すなわち、実施の形態4のように車両ナンバーの取得手段が複数ある場合に、これらの取得手段が車両ナンバーをそれぞれ取得する情報ソースから想定される自車両と他車両との位置関係をあらかじめ判別しておき、他車両が自車両から近い順に高い優先度を設定しておく。
【0068】
なお、受信データ判断部24が、ナビゲーションシステムが使用する地図データおよびGPS位置情報に基づいて、データ記憶部20に記憶された通信データ(車両データ)に対して自車両との道のり距離に応じた優先度を与えるようにしてもよい。例えば、自車両との道のり距離が短い順に高い優先度を付与する。
【0069】
通信データから取り出された車両IDと一致した車両IDが1つである場合(ステップST8i;NO)、車両データ取得提供部25は、データ記憶部20から当該車両IDに対応する車両データを読み出して外部の他機器へ提供する(ステップST10i)。
また、通信部22が受信した通信データから取り出した車両IDと、ステップST4iで車両ID生成部21が生成した車両IDとが一致しなかった場合(ステップST6i;NO)、受信データ判断部24は、ステップST5iでデータ記憶部20に記憶した車両データが実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータではないと判断して、当該車両IDを破棄するとともに、データ記憶部20に記憶しておいた車両データを破棄する(ステップST11i)。
【0070】
図11の説明では、車両4が搭載する通信装置2Cの通信部22が通信装置1Cからの通信データを受信する前に、車両ナンバー取得部23が車両4の周辺画像から周辺車両の車両ナンバーを収集して、この車両ナンバーを基に車両ID生成部12が車両IDを生成する場合を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、通信部22が通信装置1Cからの通信データを受信した後に、車両ナンバー取得部23が周辺車両の車両ナンバーを収集し、車両ID生成部12が車両IDを生成するようにしてもよい。
【0071】
以上のように、この実施の形態4によれば、受信データ判断部24により真と判断された通信データを、当該通信データを利用する外部機器へ提供する車両データ取得提供部14,25を備え、ナンバー取得部である車両ナンバー取得部23およびテレマティクス通信部27が、複数の情報ソースから他車両の車両ナンバーをそれぞれ取得し、受信データ判断部24が、通信部13,22が受信した通信データにおける通信相手の車両IDが、ナンバー取得部が複数の情報ソースからそれぞれ取得した車両ナンバーを基に車両ID生成部12,21が生成した複数の車両IDと一致する場合、ナンバー取得部が当該車両ナンバーを取得した情報ソースから想定される自車両と他車両との位置関係に応じて、通信データを提供する順序に関する優先度を付与し、車両データ取得提供部14,25が、受信データ判断部24が付与した優先度に従って通信データを外部機器へ提供する。
このように構成することで、車車間通信で複数の実在する車両から通信データが送信された場合、自車両にとって優先すべきと予想される通信データを提供することができる。
【0072】
また、実施の形態4では、上記実施の形態1の構成および上記実施の形態2の構成の組み合わせについて説明したが、実施の形態1〜3の構成を組み合わせてもかまわない。
この場合も、受信データ判断部24が、周辺車両の車両ナンバーの取得手段(車両ナンバー取得部23、テレマティクス通信部27、電子ナンバー取得部28)のうち、これらの取得手段が車両ナンバーをそれぞれ取得する情報ソース(周辺画像、GPS位置情報、電子ナンバープレート7)が自車両の近傍に関するものであるか否かを判別して、自車両からの近さに応じて優先度を設定しておく。
例えば、安全運転支援を行う場合に、自車両からの近さに応じて、車載カメラ5の撮影範囲内で車両ナンバーを取得する車両ナンバー取得部23、電子ナンバープレート7との無線通信が可能な範囲内で車両ナンバーを取得する電子ナンバー取得部28、GPS位置情報で自車両との位置関係が特定される車両の車両ナンバーをサーバ装置6から取得するテレマティクス通信部27の順で、これらの取得手段が取得した車両ナンバーから生成した車両IDと一致する車両IDとともに送信されてきた通信データに優先度を付与する。
【0073】
上記実施の形態1〜4では、他車両の車両ナンバーを取得する手段として、車両ナンバー取得部23、テレマティクス通信部27および電子ナンバー取得部28を例示したが、本発明は、これらに限定されるものではない。自車両の周辺にある他車両の車両ナンバーを取得することができる手段であればよい。
【0074】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1,1A〜1C,2,2A〜2C 通信装置、3,4 車両、5 車載カメラ、6 サーバ装置、7 電子ナンバープレート、10,20 データ記憶部、11 自車両ナンバー記憶部、12,21 車両ID生成部、13,22 通信部、14,25 車両データ取得提供部、15,26 GPS位置情報取得部、16,27 テレマティクス通信部、28 電子ナンバー取得部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載され、車両間での通信(以下、車車間通信と呼ぶ)を行う通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ITS(Intelligent Transportation System;高度道路交通システム)などの普及に伴い、周辺車両から事故防止に繋がる様々な交通安全情報を、車車間通信を介してやり取りする運転支援サービスが提案されている。例えば、周辺車両の位置や速度を交通安全情報として車車間通信でやり取りすることにより、前方車両に対する追突防止などの運転支援サービスを提供する。
【0003】
しかしながら、従来のシステムでは、交通安全情報の送信元を認証する手段が確立されていないため、改竄または偽造された交通安全情報が車車間通信の通信帯域で伝送されると、受信側で、実在する正規の車両から送信されたものと認識される場合があった。
この場合、受信側の車両において、受信した交通安全情報に基づいた不適切な運転支援が実施される可能性がある。例えば、実在しない前方車両が誤検知されて前方追突注意が誤って提示され、この前方追突注意に従って急ブレーキを掛けた場合、かえって後方車両との衝突事故を誘発する可能性がある。
【0004】
上記のような不具合を解決するために、従来では、車車間通信において、ETC(登録商標;以下記載を省略する)カードのIDを送信データに付加して送信し、このETCのIDに基づいて、受信側の通信装置が送信元の車両の通信装置を特定する(例えば、特許文献1参照)。このようにすれば、ユーザごとに固有なETCカードのIDを利用した検証を実施することにより、不正な送信元からの送信データを排除できる。
【0005】
また、特許文献2には、公開鍵暗号による証明書を用いて、送信元の車両の通信装置を特定することが記載されている。
さらに、特許文献3に記載の通信相手特定装置では、車両に設けた車載カメラを用いて周辺画像を撮影し、この周辺画像から抽出した他装置の外観形状を利用する。すなわち、特許文献3の発明を車車間通信に適用した場合に、送信元は、自装置を搭載する自車両の外観形状を送信データに付加して送信する。受信側は、車載カメラを用いて撮影した周辺画像から当該車両の外観形状を抽出し、受信したデータに含まれる外観形状と比較して、その比較結果から送信元の車両を特定することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−244928号公報
【特許文献2】特開2009−081524号公報
【特許文献3】特開2009−255600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、ETCカードに固有なIDを検証に利用するので、受信側においても相手のETCカードのIDを知っていなければ、仮に偽造IDを付加した送信データが受信された場合に送信元を検証することができない。従って、結果として不正な送信元からの送信データを排除できない可能性がある。なお、ETCカードのIDは、ユーザごとの個人情報であるため、複数のユーザ間で共有させることが困難である。
【0008】
また、特許文献2では、車車間通信において送信データにおける公開鍵証明書で公開鍵を検証し、さらに正しいと検証された公開鍵および署名による車両ID、車両位置、移動方向、シリアル番号、メッセージを検証しなければならず、さらに秘密鍵を用いた解読を行うことから、不可避的に演算量が多大になる。このため、車載機器の一つの機能として設けられた通信装置の演算能力では、通信遅延が増大して実用的な通信を行うことができない。
さらに、特許文献2には、車両IDが車両を識別するための情報と記載されているが、具体的にどのような情報であるかが記載されておらず、車両IDが改竄されたり、偽造される可能性が否めない。
【0009】
特許文献3では、送信元の通信装置を特定する際に、周辺画像から当該装置の外観形状を抽出する。この発明を車車間通信に適用した場合、車載カメラの向きにより様々なアングルで撮影される車両の外観形状を、周辺画像から比較検証に耐え得る精度で求める必要があり、実用的でない。
また、車両の外観形状に関する特徴点抽出や画像マッチングなどの画像解析が必要であるため、不可避的に演算量が多大となる。この他、車両の色などを外観形状として求める場合は、天候の影響によって正確な色を抽出できない可能性があり、信頼性の高い検証を行うことができない。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、車車間通信における通信相手の検証の信頼性を向上できる通信装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る通信装置は、車両に搭載され、他車両に搭載された通信装置と車車間通信を行う通信装置において、他車両の車両ナンバーを取得するナンバー取得部と、車両ナンバーから車両IDを生成する車両ID生成部と、車両ID生成部が自車両の車両ナンバーから生成した車両IDを通信データに加えて送信する通信部と、通信部が受信した通信データにおける通信相手の車両IDと、ナンバー取得部が取得した車両ナンバーから車両ID生成部が生成した車両IDとを比較した結果に応じて、通信データの真偽を判断する受信データ判断部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、車車間通信における通信相手の検証の信頼性を向上できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る通信装置を利用した車車間通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る通信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1に係る車車間通信を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2に係る通信装置(車両データの送信側)の構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態2に係る通信装置(車両データの受信側)の構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態2に係る通信装置の構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態2に係る車車間通信を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態3に係る通信装置(車両データの受信側)の構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態3に係る車車間通信を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態4に係る通信装置(車両データの受信側)の構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態4に係る車車間通信を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る通信装置を利用した車車間通信システムの構成を示すブロック図であり、車両3,4にそれぞれ搭載された実施の形態1に係る通信装置間で車車間通信を行う場合を示している。また、図2は、実施の形態1に係る通信装置の構成を示すブロック図である。なお、実際には、図1に示す通信装置1,2についても、図2に示す構成を有している。つまり、図1では、車両3に搭載された通信装置1から、車両4に搭載された通信装置2へ車車間通信で車両データを送信する場合を示しており、図1を用いた説明の簡単のため、通信装置1は、車車間通信でデータを送信する構成のみを示し、通信装置2は、車車間通信で通信装置1からのデータを受信する構成のみを示している。
【0015】
通信装置1は、自身を搭載する車両3の車両ナンバーからあらかじめ生成した車両IDを通信データに付随させて、車両3の車両データを車車間通信で送信する。データ送信を行う構成として、図1および図2に示すように、データ記憶部10、自車両ナンバー記憶部11、車両ID生成部12、通信部13および車両データ取得提供部14を備える。
【0016】
また、通信装置2は、車両3の通信装置1が送信した通信データを受信し、自身を搭載する車両4における運転支援に利用する。
なお、実施の形態1では、車載カメラ5が撮影した車両4の周辺画像から、車両4の周辺車両の車両ナンバーを抽出して通信装置1と同様の方法で車両IDを生成し、この車両IDと、受信した通信データに付随している車両IDとを比較して、当該通信データが、実在する車両から送信されたものであるか否かを検証する。
通信装置2は、上述のようなデータ受信および検証を行う構成として、図1および図2に示すように、データ記憶部20、車両ID生成部21、通信部22、車両ナンバー取得部23、受信データ判断部24および車両データ取得提供部25を備える。
【0017】
通信装置1におけるデータ記憶部10は、車両データ取得提供部14が取得した車両3の車両データを一時記憶する記憶部であり、車車間通信の際に、通信部13によって当該データが適宜読み出される。
自車両ナンバー記憶部11は、通信装置1を搭載する車両3の車両ナンバーおよびその車両IDを記憶する記憶部であり、車車間通信の際に、通信部13によって当該車両IDが適宜読み出される。
【0018】
車両ID生成部12は、自車両ナンバー記憶部11から自車(車両3)の車両ナンバーを読み出し、自車両の車両ナンバーを所定のハッシュ関数で処理して得られるハッシュ値を算出する。車両ID生成部12により自車両の車両ナンバーから生成されたハッシュ値は、自車両の車両IDとして自車両ナンバー記憶部11に記憶される。
なお、ハッシュ関数は、与えられたメッセージに対してハッシュ値を容易に算出でき、ハッシュ値から元のメッセージを得ることが事実上不可能であり、ハッシュ値を変えずにメッセージを改竄することが事実上不可能であり、同じハッシュ値を持つ2つのメッセージを求めることが事実上不可能であるので、車両ナンバーから車両IDを生成するために必要な演算量を低減しかつ信頼性の高い車両IDを得ることができる。
【0019】
通信部13は、データ記憶部10から読み出した車両データに対して、自車両ナンバー記憶部11から読み出した自車両の車両IDを付随させた通信データを生成し、当該通信データを無線通信で送信する。なお、通信部13における無線通信方式としては、DSRC(Dedicated Short Range Communication)(5.8GHz帯)や700MHz帯の無線通信方式が想定される。また、無線LAN(Local Area Network)通信や、携帯電話通信、Wimax(World Interoperability for Microwave Access)通信、あるいはテレマティクス通信などであってもよい。
【0020】
車両データ取得提供部14は、通信装置1を搭載する車両3の車両データを一定の周期ごとに取得してデータ記憶部10に記憶するデータ提供部である。車両データには、車速、ブレーキ信号、ウィンカ信号等のような、交通安全情報として利用可能なデータが含まれる。なお、車両データ取得提供部14は、車両3に搭載された車両制御装置や車速センサなどと接続して車両データを取得する。
【0021】
通信装置2におけるデータ記憶部20は、受信データ判断部24によって実在する車両に搭載された通信装置が送信した通信データであると判断されたデータを記憶する記憶部である。実在する車両に搭載された通信装置が送信した通信データではないと判断されたデータは破棄される。なお、データ記憶部10とデータ記憶部20は、図2に示すように1つの記憶部で兼用してもよい。例えば、実施の形態1に係るデータ記憶部では、データ記憶部10に相当する記憶領域とデータ記憶部20に相当する記憶領域を有する記憶部を有し、データ送信を行う場合にデータ記憶部10として車両データを一時記憶し、データ受信した場合にはデータ記憶部20として通信データを記憶する。
【0022】
車両ID生成部21は、車両ナンバー取得部23が取得した車両ナンバーを所定のハッシュ関数で処理して得られるハッシュ値を算出する。このハッシュ値は、周辺車両の車両IDとして受信データ判断部24に出力される。また、車両ID生成部21は、通信装置1における車両ID生成部12と同一のハッシュ関数を用いて、車両IDを生成する。
なお、車両ID生成部12と車両ID生成部21は、図2に示すように1つの車両ID生成部で兼用してもよい。例えば、実施の形態1に係る車両ID生成部は、データを送信する場合、車両ID生成部12として自車の車両ナンバーから車両IDを生成し、データを受信した場合には、車両ID生成部21として周辺画像から抽出された車両4の周辺車両の車両ナンバーから車両IDを生成する。
【0023】
通信部22は、通信装置1が送信した通信データを車車間通信で受信する通信部である。通信部22の無線通信方式としては、通信部13と同様に、DSRC(5.8GHz帯)や700MHz帯の無線通信方式が想定される。また、無線LAN通信や、携帯電話通信、Wimax通信、あるいはテレマティクス通信などであってもよい。通信部22に受信された通信データのうち、車両IDは、受信データ判断部24に出力され、残りのデータ(車両3の車両データ)は、データ記憶部20に記憶される。
なお、通信部13および通信部22についても、図2に示すように、1つの通信部で兼用してもよい。例えば、実施の形態1に係る通信部は、通信部13として通信データを送信し、通信部22としてデータを受信する。
【0024】
車両ナンバー取得部23は、車載カメラ5が撮影した周辺映像(周辺画像)から、周辺車両の車両ナンバーを取得するナンバー取得部である。なお、車載カメラ5は、車両3を含む車両4の周辺領域を撮影するカメラであり、車両4の前方に設けたフロントカメラや、後方部に設けたリアカメラなどが挙げられる。また、周辺映像(周辺画像)から車両ナンバーを特定する方法としては、例えば、下記のような方法が挙げられる。
まず、所定の輝度レベルを基準として、周辺映像(周辺画像)を二値化画像に変換し、二値化画像を水平方向に順に走査していき、車両ナンバープレートの画像領域に対応する濃淡変化を抽出する。抽出した画像領域に数字や文字のパターンとパターンマッチングを行って、車両ナンバーを特定する。特定された車両ナンバーは、車両ナンバー取得部23から車両ID生成部21へ出力される。
【0025】
受信データ判断部24は、通信部22が受信した通信データから抽出した車両IDと、車両ID生成部21が周辺車両の車両ナンバーから生成した車両IDとが一致したか否かに応じて、通信部22が受信した通信データが、実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータであるか否か、すなわち、通信部22が受信した通信データの真偽を判断する。受信データ判断部24により実在する車両に搭載された通信装置が送信した通信データであると判断されたデータ(真データ)は、データ記憶部20に記憶される。また、実在する車両に搭載された通信装置が送信した通信データではないと判断されたデータ(偽データ)は、受信データ判断部24によって破棄される。
【0026】
車両データ取得提供部25は、データ記憶部20に記憶された通信データ(車両3の車両データ)を外部の他機器へ提供するデータ提供部である。例えば、受信した車両3の車両データを、自車両(車両4)の車両制御装置(他機器)における運転支援機能への入力データとして利用することなどが考えられる。なお、車両データ取得提供部14および車両データ取得提供部25についても、図2に示すように1つの車両データ取得提供部で兼用してもよい。例えば、実施の形態1に係る車両データ取得提供部は、データを送信する場合、車両データ取得提供部14として自車の車両データを取得し、データを受信する場合は、車両データ取得提供部25として、データ記憶部20から読み出したデータ(車両データ)を他機器へ提供する。
【0027】
次に動作について説明する。
図3は、実施の形態1に係る車車間通信を示すフローチャートであり、図3に沿って通信装置1と通信装置2が車車間通信で車両データ(車両3の車両データ)をやり取りする動作について説明する。
まず、通信装置1の通信部13が、自車両(車両3)の車両データをデータ記憶部10から読み出し、自車両の車両IDを自車両ナンバー記憶部11から読み出す(ステップST1)。なお、この車両IDは、車両ID生成部12が所定のハッシュ関数を用いて自車両の車両ナンバーを処理して算出しておいたハッシュ値である。また、車両データは、車両データ取得提供部14が一定周期ごとに取得した車速、ブレーキ信号、ウィンカ信号等である。
次に、通信部13は、データ記憶部10から読み出された車両3の車両データに自車両の車両IDを付随させた通信データを通信装置2へ送信する(ステップST2)。
【0028】
一方、通信装置2では、車両ナンバー取得部23が、車載カメラ5が撮影した自車両(車両4)の周辺映像(周辺画像)から、周辺車両の車両ナンバーを特定して収集する(ステップST1a)。続いて、車両ID生成部21は、車両ナンバー取得部23が収集した周辺車両の車両ナンバーを所定のハッシュ関数で処理して得られるハッシュ値(車両ID)を算出する(ステップST2a)。算出されたハッシュ値は、受信データ判断部24に出力される。
次いで、通信部22が、通信装置1が送信した通信データを受信すると、当該通信データから車両IDを取り出して受信データ判断部24に出力し、当該通信データの残りのデータ(車両3の車両データ)をデータ記憶部20に記憶する(ステップST3a)。
【0029】
受信データ判断部24は、通信部22が受信した通信データから取り出された車両IDと、ステップST2aで車両ID生成部21が生成した車両IDとを比較し、双方の車両IDが一致するか否かを判定する(ステップST4a)。
双方の車両IDが一致した場合(ステップST4a;YES)、受信データ判断部24は、ステップST3aでデータ記憶部20に記憶した車両データが、実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータであると判断し、当該通信データから取得された車両IDを、当該車両データに対応付けてデータ記憶部20に記憶する(ステップST5a)。
次に、車両データ取得提供部25は、データ記憶部20に記憶された通信データ(車両3の車両データ)を外部の他機器へ提供する(ステップST6a)。例えば、自車両(車両4)の車両制御装置への入力データとして利用する。
【0030】
また、通信部22が受信した上記通信データから取り出された車両IDと、ステップST2aで車両ID生成部21が生成した車両IDとが一致しなかった場合(ステップST4a;NO)、受信データ判断部24は、ステップST3aでデータ記憶部20に記憶した車両データが実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータではないと判断し、当該車両IDを破棄するとともに、データ記憶部20に記憶しておいた車両データを破棄する(ステップST7a)。
【0031】
上述した図3の説明では、車両4が搭載する通信装置2の通信部22が通信装置1からの通信データを受信する前に、車両ナンバー取得部23が車両4の周辺画像から周辺車両の車両ナンバーを収集し、この車両ナンバーを基に車両ID生成部12が車両IDを生成する場合を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、通信部22が通信装置1からの通信データを受信した後に、車両ナンバー取得部23が周辺車両の車両ナンバーを収集し、車両ID生成部12が車両IDを生成するようにしてもよい。
【0032】
以上のように、この実施の形態1によれば、他車両の車両ナンバーを取得する車両ナンバー取得部23と、車両ナンバーから車両IDを生成する車両ID生成部12,21と、車両ID生成部12,21が自車両の車両ナンバーから生成した車両IDを通信データに加えて送信する通信部13,22と、通信部13,22が受信した通信データにおける通信相手の車両IDと、車両ナンバー取得部23が取得した車両ナンバーから車両ID生成部12,21が生成した車両IDとを比較した結果に応じて、通信データの真偽を判断する受信データ判断部24とを備える。
このように、車両ごとに固有な車両ナンバーを実際に取得して、この車両ナンバーから生成した車両IDを通信データの真偽判断に利用するので、特許文献1のように通信相手のIDを最初から持つ必要がない。また、車両ID同士の比較で検証することから、特許文献2のように解読処理を行う必要がなく、さらに車両に固有な情報(車両ナンバー)を使用するので、通信相手の検証に要する負荷が軽減され、かつその信頼性を向上できる。
【0033】
また、この実施の形態1によれば、車両ID生成部12,21が、車両ナンバーをハッシュ関数で処理して得られるハッシュ値を車両IDとして算出するので、車車間通信における通信相手の検証の信頼性を向上させ、かつ車両IDの生成に必要な演算負荷を低減することができる。
【0034】
さらに、この実施の形態1によれば、自車両周辺を撮影する車載カメラ5を備え、車両ナンバー取得部23が、車載カメラ5が撮影した画像から自車両周辺の車両の車両ナンバーを取得する。このように、特許文献3のように外観形状を特定せず、周辺画像から数字と文字の車両ナンバーを抽出するだけであるので、車両ナンバーの取得および車両IDの生成に要する演算負荷を軽減することができる。さらに画像の撮影環境に強く影響を受ける外観形状を用いて通信相手の検証を行う場合と比べて検証の信頼性を向上できる。
【0035】
さらに、この実施の形態1によれば、受信データ判断部24により真と判断された通信データを、当該通信データを利用する外部機器へ提供する車両データ取得提供部14,25を備えるので、受信データ判断部24によって真と判断された通信データのみを適切に提供することができる。
【0036】
実施の形態2.
実施の形態2は、上記実施の形態1の構成に、GPS(Global Positioning System)位置情報取得部およびテレマティクス通信部を追加した態様について述べる。
図4は、この発明の実施の形態2に係る通信装置(車両データの送信側)の構成を示すブロック図である。図5は、実施の形態2に係る通信装置(車両データの受信側)の構成を示すブロック図である。また、図6は、実施の形態2に係る通信装置の構成を示すブロック図である。なお、実際には、図4および図5に示す通信装置1A,2Aについても、図6に示す構成を有している。
つまり、図4では、車両3に搭載された通信装置1Aが、車車間通信で車両データを送信する場合を示しており、図5では、車両4に搭載された通信装置2Aが、車車間通信で車両データを受信する場合を示している。
そこで、図4および図5を用いた説明の簡単のために、通信装置1Aは、車車間通信でデータを送信する構成のみを示し、通信装置2Aは、車車間通信でデータを受信する構成のみを示している。なお、図4、図5および図6において、図1〜3と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
GPS位置情報取得部15は、GPS衛星から、自車両(車両3)の現在座標位置(GPS位置情報(緯度経度))を取得する位置情報取得部である。
また、GPS位置情報取得部26は、GPS衛星から、自車両(車両4)の現在座標位置(GPS位置情報)を取得する。なお、GPS位置情報取得部15,26は、通信装置1A,2Aと同一筐体ではなく、GPS受信機として別筐体で設けてもよい。
以降では、GPS位置情報で車両位置を特定する場合を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、車両の位置を特定することができる情報であれば、ジャイロなどの情報を利用してもかまわない。
【0038】
テレマティクス通信部16は、プローブ情報をテレマティクス通信でサーバ装置6にアップリンクする。アップリンクされるプローブ情報は、GPS位置情報取得部15が取得した車両3のGPS位置情報(緯度経度)および自車両ナンバー記憶部11に記憶されている車両3の車両ナンバーを併せたものである。
テレマティクス通信部27は、サーバ装置6から受信したプローブ情報(GPS位置情報と車両ナンバー)およびGPS位置情報取得部26が取得したGPS位置情報に基づいて、自車両(車両4)の周辺に存在する車両の車両ナンバーを取得する。
なお、テレマティクス通信部16およびテレマティクス通信部27は、図6に示すように、1つのテレマティクス通信部で兼用してもよい。
例えば、実施の形態2に係るテレマティクス通信部は、テレマティクス通信部16としてプローブ情報をサーバ装置6へアップリンクし、テレマティクス通信部27としてプローブ情報をサーバ装置6からダウンリンクする。
【0039】
サーバ装置6は、車両に搭載された通信装置(通信装置1A,2Aと同様の構成を有する通信装置)とテレマティクス通信を行うサーバであり、複数の車両にそれぞれ搭載された上記通信装置がアップリンクした車両のGPS位置情報をその車両ナンバーに対応付けて記憶している。また、サーバ装置6は、テレマティクス通信を介して車両のGPS位置情報を含む車両ナンバー要求を受信すると、この要求に含まれるGPS位置情報が示す地点の周辺に存在する車両の車両ナンバーを検索して、検索結果の車両ナンバーを要求元の通信装置へダウンリンクする。
【0040】
次に動作について説明する。
図7は、実施の形態2に係る車車間通信を示すフローチャートであり、図7に沿って通信装置1Aと通信装置2Aが車車間通信で車両データ(車両3の車両データ)をやり取りする動作について説明する。
まず、通信装置1AのGPS位置情報取得部15は、GPS衛星から、自車両(車両3)の現在座標位置(GPS位置情報)を取得する(ステップST1b)。
テレマティクス通信部16は、GPS位置情報取得部15が取得したGPS位置情報と、自車両ナンバー記憶部11から読み出した自車両(車両3)の車両ナンバーとをサーバ装置6へアップリンクする(ステップST2b)。
【0041】
通信部13が、車両3の車両データをデータ記憶部10から読み出して、自車両の車両IDを自車両ナンバー記憶部11から読み出す(ステップST3b)。車両IDは、車両ID生成部12が所定のハッシュ関数を用いて自車両の車両ナンバーを処理して算出したハッシュ値である。また、車両データは、車両データ取得提供部14が一定周期ごとに取得した車速、ブレーキ信号、ウィンカ信号等である。
次に、通信部13は、データ記憶部10から読み出された車両3の車両データに自車両の車両IDを付随させた通信データを、通信装置2Aへ送信する(ステップST4b)。
【0042】
サーバ装置6は、ステップST2bで通信装置1AからアップリンクされたGPS位置情報と車両3の車両ナンバーを受信すると、車両ナンバーに対応付けてGPS位置情報を記憶する(ステップST1c)。
次に、サーバ装置6は、GPS位置情報を含む周辺車両の車両ナンバー要求を受信すると、当該要求に含まれるGPS位置情報に基づいて、ステップST1cで記憶した車両ナンバーを検索し、当該要求に応じた車両ナンバーを抽出する(ステップST2c)。
例えば、検索要求に含まれるGPS位置情報が示す地点(緯度経度)を中心として所定の距離範囲内にある地点に対応する車両ナンバーを抽出する。なお、所定の距離範囲は、運転支援サービスの内容に依存する。
また、サーバ装置6が、逐次アップリンクされる車両のGPS位置情報およびその車両ナンバーと地図データを用いて、車両ごとの道路上での移動方向を把握することにより、車両4(要求元の通信装置2Aを搭載する車両)が走行可能な道のりに位置する車両の車両ナンバーを検索するようにしてもよい。
この後、サーバ装置6は、検索結果の車両ナンバーを要求元の通信装置へ送信する(ステップST3c)。
【0043】
一方、通信装置2AのGPS位置情報取得部26は、GPS衛星から、自車両(車両4)の現在座標位置(GPS位置情報)を取得する(ステップST1d)。
次に、テレマティクス通信部27は、GPS位置情報取得部26が取得したGPS位置情報に基づいて、自車両(車両4)の周辺に存在する車両の車両ナンバーを要求する(ステップST2d)。ここでは、テレマティクス通信部27が、車両4のGPS位置情報を含む車両ナンバー要求を生成してサーバ装置6へ送信する。
【0044】
テレマティクス通信部27は、ステップST2dの車両ナンバー要求に応じて、ステップST3cでサーバ装置6が送信した車両ナンバー(自車両周辺の車両ナンバー)をダウンリンクする。
車両ID生成部21は、テレマティクス通信部27にダウンリンクされた車両ナンバーを所定のハッシュ関数で処理してハッシュ値(車両ID)を算出する(ステップST3d)。算出されたハッシュ値は、受信データ判断部24に出力される。
次いで、通信部22が、ステップST4bで通信装置1Aが送信した通信データを受信すると、当該通信データから車両IDを取り出して受信データ判断部24に出力し、当該通信データの残りのデータ(車両3の車両データ)をデータ記憶部20に記憶する(ステップST4d)。
【0045】
受信データ判断部24は、通信部22が受信した通信データから取り出された車両IDと、ステップST3dで車両ID生成部21が生成した車両IDとを比較し、双方の車両IDが一致するか否かを判定する(ステップST5d)。
双方の車両IDが一致した場合(ステップST5d;YES)、受信データ判断部24は、ステップST4dでデータ記憶部20に記憶した車両データが、実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータであると判断し、当該通信データから取得された車両IDを、当該車両データに対応付けてデータ記憶部20に記憶する(ステップST6d)。
次に、車両データ取得提供部25は、データ記憶部20に記憶された通信データ(車両3の車両データ)を外部の他機器へ提供する(ステップST7d)。例えば、自車両(車両4)の車両制御装置への入力データとして利用する。
【0046】
また、通信部22が受信した通信データから取り出した車両IDと、ステップST3dで車両ID生成部21が生成した車両IDとが一致しなかった場合(ステップST5d;NO)、受信データ判断部24は、ステップST4dでデータ記憶部20に記憶した車両データが実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータではないと判断して、当該車両IDを破棄するとともに、データ記憶部20に記憶しておいた車両データを破棄する(ステップST8d)。
【0047】
以上のように、この実施の形態2によれば、他車両の車両ナンバーを取得するテレマティクス通信部16,27と、自車両のGPS位置情報を取得するGPS位置情報取得部15,26と、車両ナンバーから車両IDを生成する車両ID生成部12,21と、車両ID生成部12,21が自車両の車両ナンバーから生成した車両IDを通信データに加えて送信する通信部13,22と、通信部13,22が受信した通信データにおける通信相手の車両IDと、車両ナンバー取得部23が取得した車両ナンバーから車両ID生成部12,21が生成した車両IDとを比較した結果に応じて、通信データの真偽を判断する受信データ判断部24とを備え、テレマティクス通信部16,27が、車両のGPS位置情報を車両ナンバーに対応付けて記憶するサーバ装置6とテレマティクス通信を行う機能を有し、テレマティクス通信を介して、GPS位置情報取得部15,26が取得した自車両のGPS位置情報を含む車両ナンバー要求を行い、当該車両ナンバー要求に含まれる自車両のGPS位置情報に基づいてサーバ装置6により検索された自車両周辺の車両の車両ナンバーを取得する。このように構成することで、上記実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、通信データを送信した車両が、車載カメラ5の撮影範囲外である場合においても、車車間通信における通信相手の検証を行うことが可能である。
【0048】
実施の形態3.
この実施の形態3では、上記実施の形態1の構成に、電子ナンバープレートを追加した態様について述べる。
図8は、この発明の実施の形態3に係る通信装置(車両データの受信側)の構成を示すブロック図である。図8では、車両4に搭載された通信装置2Bが、車車間通信で通信装置1Bから車両データを受信する場合を示している。実際には、通信装置1Bおよび通信装置2Bも同一の構成を有している。すなわち、上記実施の形態1で示した図2における車両ナンバー取得部23の代わりに、電子ナンバー取得部28が設けられる。
以降では、図8を用いた説明の簡単のために、図8の通信装置2Bについては、車車間通信でデータを受信する構成のみを示している。なお、図8において、図1〜3と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
電子ナンバープレート7は、ICチップを搭載した車両ナンバープレートであり、例えばDSRC(5.8GHz帯)などの無線通信を行う。
電子ナンバー取得部28は、DSRC(5.8GHz帯)などの無線通信を介して電子ナンバープレート7からその車両ナンバーを取得する構成部である。電子ナンバー取得部28に取得された車両ナンバーは、車両ID生成部21に入力されて車両IDが生成される。
【0050】
次に動作について説明する。
図9は、実施の形態3に係る車車間通信を示すフローチャートであり、図9に沿って通信装置1Bと通信装置2Bが車車間通信で車両データ(車両3の車両データ)をやり取りする動作について説明する。
まず、車両3の電子ナンバープレート7が、無線通信を介して車両3の車両ナンバーを送信する(ステップST1e)。
次に、車両3が搭載する通信装置1Bの通信部13が、車両3の車両データをデータ記憶部10から読み出し、自車両の車両IDを自車両ナンバー記憶部11から読み出す(ステップST2e)。車両IDは、車両ID生成部12が自車両の車両ナンバーを所定のハッシュ関数で処理して算出したハッシュ値である。また、車両データは、車両データ取得提供部14が一定周期ごとに取得した車速、ブレーキ信号、ウィンカ信号等である。
続いて、通信部13は、データ記憶部10から読み出された車両3の車両データに自車両の車両IDを付随させた通信データを通信装置2Bへ送信する(ステップST3e)。
【0051】
一方、通信装置2Bの電子ナンバー取得部28は、車両3が搭載する電子ナンバープレート7から、車両3の車両ナンバーを取得する(ステップST1f)。
次に、車両ID生成部21が、電子ナンバー取得部28が取得した車両ナンバーを所定のハッシュ関数で処理して得られるハッシュ値(車両ID)を算出する(ステップST2f)。算出されたハッシュ値は、受信データ判断部24に出力される。
【0052】
次いで、通信部22が、ステップST3eで通信装置1Bが送信した通信データを受信すると、当該通信データから車両IDを取り出して受信データ判断部24に出力し、当該通信データの残りのデータ(車両3の車両データ)をデータ記憶部20に記憶する(ステップST3f)。
【0053】
受信データ判断部24は、通信部22が受信した通信データから取り出された車両IDと、ステップST2fで車両ID生成部21が生成した車両IDとを比較し、双方の車両IDが一致するか否かを判定する(ステップST4f)。
双方の車両IDが一致した場合(ステップST4f;YES)、受信データ判断部24は、ステップST3fでデータ記憶部20に記憶した車両データが、実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータであると判断し、当該通信データから取得された車両IDを、当該車両データに対応付けてデータ記憶部20に記憶する(ステップST5f)。
次に、車両データ取得提供部25は、データ記憶部20に記憶された通信データ(車両3の車両データ)を外部の他機器へ提供する(ステップST6f)。例えば、自車両(車両4)の車両制御装置への入力データとして利用する。
【0054】
また、通信部22が受信した通信データから取り出された車両IDと、ステップST2fで車両ID生成部21が生成した車両IDとが一致しなかった場合(ステップST4f;NO)、受信データ判断部24は、ステップST3fでデータ記憶部20に記憶した車両データが、実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータではないと判断して、当該車両IDを破棄するとともに、データ記憶部20に記憶しておいた車両データを破棄する(ステップST7f)。
【0055】
上述した図9の説明では、車両4が搭載する通信装置2Bの通信部22が通信装置1Bからの通信データを受信する前に、電子ナンバー取得部28が周辺車両の電子ナンバープレート7から車両ナンバーを取得し、この車両ナンバーを基に車両ID生成部12が車両IDを生成する場合を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、通信部22が通信装置1Bからの通信データを受信した後に、電子ナンバー取得部28が、周辺車両の電子ナンバープレート7から車両ナンバーを取得し、車両ID生成部12が車両IDを生成するようにしてもよい。
【0056】
以上のように、この実施の形態3によれば、他車両の車両ナンバーを取得する電子ナンバー取得部28と、車両ナンバーから車両IDを生成する車両ID生成部12,21と、車両ID生成部12,21が自車両の車両ナンバーから生成した車両IDを通信データに加えて送信する通信部13,22と、通信部13,22が受信した通信データにおける通信相手の車両IDと、車両ナンバー取得部23が取得した車両ナンバーから車両ID生成部12,21が生成した車両IDとを比較した結果に応じて、通信データの真偽を判断する受信データ判断部24とを備え、電子ナンバー取得部28が、無線通信を介して通信相手の車両に搭載された電子ナンバープレート7から通信相手の車両の車両ナンバーを取得する。このように構成することで、上記実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、通信データを送信した車両が車載カメラ5の撮影範囲外である場合や、自車両が車載カメラ5を有していない場合であっても、車車間通信における通信相手の検証を行うことが可能である。
【0057】
実施の形態4.
この実施の形態4では、上記実施の形態1および上記実施の形態2の構成を組み合わせた態様について述べる。
図10は、この発明の実施の形態4に係る通信装置(車両データの受信側)の構成を示すブロック図である。図10では、車両4に搭載された通信装置2Cが、車車間通信で通信装置1Cから車両データを受信する場合を示している。実際には、通信装置1Cおよび通信装置2Cも同一の構成を有している。すなわち、実施の形態4に係る通信装置1C,2Cは、上記実施の形態1で図2を用いて示した構成と上記実施の形態2で図6を用いて示した構成とを組み合わせている。
以降では、図10を用いた説明の簡単のため、図10の通信装置2Cについては、車車間通信でデータを受信する構成のみを示している。なお、図10において図1〜3と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
次に動作について説明する。
図11は、実施の形態4に係る車車間通信を示すフローチャートであり、図11に沿って通信装置1Cと通信装置2Cが車車間通信で車両データ(車両3の車両データ)をやり取りする動作について説明する。
まず、通信装置1CのGPS位置情報取得部15が、GPS衛星から、自車両(車両3)の現在座標位置(GPS位置情報)を取得する(ステップST1g)。
テレマティクス通信部16は、GPS位置情報取得部15が取得したGPS位置情報と自車両ナンバー記憶部11から読み出した自車両(車両3)の車両ナンバーとをサーバ装置6へアップリンクする(ステップST2g)。
【0059】
通信部13が、車両3の車両データをデータ記憶部10から読み出し、自車両の車両IDを自車両ナンバー記憶部11から読み出す(ステップST3g)。なお、車両IDは、車両ID生成部12が、自車両の車両ナンバーに対し所定のハッシュ関数を用いた演算を施してあらかじめ算出したハッシュ値である。また、車両データは、車両データ取得提供部14が一定周期ごとに取得した車速、ブレーキ信号、ウィンカ信号等である。
次に、通信部13は、データ記憶部10から読み出された車両3の車両データに自車両の車両IDを付随させた通信データを、通信装置2Cへ送信する(ステップST4g)。
【0060】
サーバ装置6は、ステップST2gで通信装置1CからアップリンクされたGPS位置情報と車両3の車両ナンバーを受信すると、車両ナンバーに対応付けてGPS位置情報を記憶する(ステップST1h)。
【0061】
次に、サーバ装置6は、GPS位置情報を含む周辺車両の車両ナンバー要求を受信すると、当該要求に含まれるGPS位置情報に基づいて、ステップST1hで記憶した車両ナンバーを検索し、当該要求に応じた車両ナンバーを抽出する(ステップST2h)。
例えば、検索要求に含まれるGPS位置情報が示す地点(緯度経度)を中心として所定の距離範囲内にある地点に対応する車両ナンバーを抽出する。なお、所定の距離範囲は、運転支援サービスの内容に依存する。また、サーバ装置6が、ナビゲーションシステムが使用する地図データとGPS位置情報に基づいて、車両4(要求元の通信装置2Cを搭載する車両)が走行可能な道のりに位置する車両の車両ナンバーを検索してもよい。
この後、サーバ装置6は、検索結果の車両ナンバーを要求元の通信装置へ送信する(ステップST3h)。
【0062】
一方、通信装置2CのGPS位置情報取得部26は、GPS衛星から、自車両(車両4)の現在座標位置(GPS位置情報)を取得する(ステップST1i)。
次に、テレマティクス通信部27は、GPS位置情報取得部26が取得したGPS位置情報に基づいて、車両4の周辺に存在する車両の車両ナンバーを要求する(ステップST2i)。ここでは、テレマティクス通信部27が、車両4のGPS位置情報を含む周辺車両の車両ナンバー要求を生成してサーバ装置6へ送信する。
【0063】
テレマティクス通信部27は、ステップST2iの車両ナンバー要求に応じて、ステップST3hでサーバ装置6が送信した車両ナンバーをダウンリンクする。
また、通信装置2Cの車両ナンバー取得部23は、車載カメラ5が撮影した自車両(車両4)の周辺映像(周辺画像)から、周辺車両の車両ナンバーを特定して収集する(ステップST3i)。
【0064】
次に、車両ID生成部21は、テレマティクス通信部27がダウンリンクした車両ナンバーおよび車両ナンバー取得部23が収集した周辺車両の車両ナンバーを所定のハッシュ関数でそれぞれ処理してハッシュ値(車両ID)を算出する(ステップST4i)。算出されたハッシュ値は、受信データ判断部24に出力される。
次いで、通信部22は、ステップST4gで通信装置1Cが送信した通信データを受信すると、当該通信データから車両IDを取り出して受信データ判断部24に出力し、当該通信データの残りのデータ(車両データ)をデータ記憶部20に記憶する(ステップST5i)。
【0065】
受信データ判断部24は、通信部22が受信した通信データから取り出された車両IDと、ステップST4iで車両ID生成部21が生成した車両IDとを比較し、双方の車両IDが一致するか否かを判定する(ステップST6i)。
車両IDが一致した場合(ステップST6i;YES)、受信データ判断部24は、ステップST5iでデータ記憶部20に記憶した車両データが、実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータであると判断し、当該通信データから取得された車両IDを、当該車両データに対応付けてデータ記憶部20に記憶する(ステップST7i)。
【0066】
続いて、受信データ判断部24は、通信部22が受信した通信データから取り出された車両IDと一致する車両IDが複数あるか否か、すなわち真データと判断した通信データが複数あるか否かを判定する(ステップST8i)。
通信データから取り出した車両IDと一致した車両IDが複数ある場合(ステップST8i;YES)、受信データ判断部24は、車両ID生成部21が当該車両IDを生成する際に利用した車両ナンバーが取得された情報ソースから想定される自車両と他車両との位置関係に応じて、通信データ(車両データ)の提供順序に関する優先度を付与する。
車両データ取得提供部25は、受信データ判断部24が付与した優先度に従ってデータ記憶部20から通信データ(車両データ)を読み出し、優先度の高い車両データから外部の他機器へ提供する(ステップST9i)。
ここでは、車両ナンバーを取得した情報ソースが、車載カメラ5に撮影された周辺画像であると、この周辺画像から車両ナンバー取得部23が取得した車両IDと一致する車両IDとともに送信されてきた通信データに対して最も高い優先度が付与され、車両データ取得提供部25は、この通信データを優先して他機器(例えば、自車両の安全運転支援を行う車両制御装置)へ提供する。
これは、車両ナンバーを取得した情報ソースが周辺画像である場合、当該通信データを送信してきた通信装置を搭載する車両が、自車両の車載カメラ5の撮影範囲内にあって、自車両の近辺に存在する確率が高いため、自車両の安全運転支援に有用な通信データ(車両データ)を提供していると考えられるからである。例えば、自車両と他車両との位置関係として当該他車両が自車両の車載カメラ5の撮影範囲内にあると、当該他車両が自車両にかなり接近しており、当該他車両の通信装置1Cが衝突の危険を示す車両データを送信している可能性がある。
また、もう一つの情報ソースであるサーバ装置6は、アップリンクされた車両ナンバーを、車両のGPS位置情報に対応付けて記憶している。GPS位置情報はその誤差を考慮すると、他車両と自車両との大まかな位置関係を判別できるが、上述のように自車両の車載カメラ5の撮影範囲に他車両があるかどうかを判別できるほどの精度を有していない。このため、確実に他車両が自車両の近傍に存在することを特定できる周辺画像を、最も優先度が高い情報ソースとする。
【0067】
上述のように、受信データ判断部24は、車両ナンバーを取得した情報ソースが自車両の近傍に関するものである場合に、この車両ナンバーから生成された車両IDと一致する車両IDとともに送信された通信データに高い優先度を付与する。
すなわち、実施の形態4のように車両ナンバーの取得手段が複数ある場合に、これらの取得手段が車両ナンバーをそれぞれ取得する情報ソースから想定される自車両と他車両との位置関係をあらかじめ判別しておき、他車両が自車両から近い順に高い優先度を設定しておく。
【0068】
なお、受信データ判断部24が、ナビゲーションシステムが使用する地図データおよびGPS位置情報に基づいて、データ記憶部20に記憶された通信データ(車両データ)に対して自車両との道のり距離に応じた優先度を与えるようにしてもよい。例えば、自車両との道のり距離が短い順に高い優先度を付与する。
【0069】
通信データから取り出された車両IDと一致した車両IDが1つである場合(ステップST8i;NO)、車両データ取得提供部25は、データ記憶部20から当該車両IDに対応する車両データを読み出して外部の他機器へ提供する(ステップST10i)。
また、通信部22が受信した通信データから取り出した車両IDと、ステップST4iで車両ID生成部21が生成した車両IDとが一致しなかった場合(ステップST6i;NO)、受信データ判断部24は、ステップST5iでデータ記憶部20に記憶した車両データが実在する車両に搭載された通信装置が送信したデータではないと判断して、当該車両IDを破棄するとともに、データ記憶部20に記憶しておいた車両データを破棄する(ステップST11i)。
【0070】
図11の説明では、車両4が搭載する通信装置2Cの通信部22が通信装置1Cからの通信データを受信する前に、車両ナンバー取得部23が車両4の周辺画像から周辺車両の車両ナンバーを収集して、この車両ナンバーを基に車両ID生成部12が車両IDを生成する場合を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、通信部22が通信装置1Cからの通信データを受信した後に、車両ナンバー取得部23が周辺車両の車両ナンバーを収集し、車両ID生成部12が車両IDを生成するようにしてもよい。
【0071】
以上のように、この実施の形態4によれば、受信データ判断部24により真と判断された通信データを、当該通信データを利用する外部機器へ提供する車両データ取得提供部14,25を備え、ナンバー取得部である車両ナンバー取得部23およびテレマティクス通信部27が、複数の情報ソースから他車両の車両ナンバーをそれぞれ取得し、受信データ判断部24が、通信部13,22が受信した通信データにおける通信相手の車両IDが、ナンバー取得部が複数の情報ソースからそれぞれ取得した車両ナンバーを基に車両ID生成部12,21が生成した複数の車両IDと一致する場合、ナンバー取得部が当該車両ナンバーを取得した情報ソースから想定される自車両と他車両との位置関係に応じて、通信データを提供する順序に関する優先度を付与し、車両データ取得提供部14,25が、受信データ判断部24が付与した優先度に従って通信データを外部機器へ提供する。
このように構成することで、車車間通信で複数の実在する車両から通信データが送信された場合、自車両にとって優先すべきと予想される通信データを提供することができる。
【0072】
また、実施の形態4では、上記実施の形態1の構成および上記実施の形態2の構成の組み合わせについて説明したが、実施の形態1〜3の構成を組み合わせてもかまわない。
この場合も、受信データ判断部24が、周辺車両の車両ナンバーの取得手段(車両ナンバー取得部23、テレマティクス通信部27、電子ナンバー取得部28)のうち、これらの取得手段が車両ナンバーをそれぞれ取得する情報ソース(周辺画像、GPS位置情報、電子ナンバープレート7)が自車両の近傍に関するものであるか否かを判別して、自車両からの近さに応じて優先度を設定しておく。
例えば、安全運転支援を行う場合に、自車両からの近さに応じて、車載カメラ5の撮影範囲内で車両ナンバーを取得する車両ナンバー取得部23、電子ナンバープレート7との無線通信が可能な範囲内で車両ナンバーを取得する電子ナンバー取得部28、GPS位置情報で自車両との位置関係が特定される車両の車両ナンバーをサーバ装置6から取得するテレマティクス通信部27の順で、これらの取得手段が取得した車両ナンバーから生成した車両IDと一致する車両IDとともに送信されてきた通信データに優先度を付与する。
【0073】
上記実施の形態1〜4では、他車両の車両ナンバーを取得する手段として、車両ナンバー取得部23、テレマティクス通信部27および電子ナンバー取得部28を例示したが、本発明は、これらに限定されるものではない。自車両の周辺にある他車両の車両ナンバーを取得することができる手段であればよい。
【0074】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1,1A〜1C,2,2A〜2C 通信装置、3,4 車両、5 車載カメラ、6 サーバ装置、7 電子ナンバープレート、10,20 データ記憶部、11 自車両ナンバー記憶部、12,21 車両ID生成部、13,22 通信部、14,25 車両データ取得提供部、15,26 GPS位置情報取得部、16,27 テレマティクス通信部、28 電子ナンバー取得部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、他車両に搭載された通信装置と車車間通信を行う通信装置において、
前記他車両の車両ナンバーを取得するナンバー取得部と、
車両ナンバーから車両IDを生成する車両ID生成部と、
前記車両ID生成部が前記自車両の車両ナンバーから生成した車両IDを通信データに加えて送信する通信部と、
前記通信部が受信した通信データにおける通信相手の車両IDと、前記ナンバー取得部が取得した車両ナンバーから前記車両ID生成部が生成した車両IDとを比較した結果に応じて、前記通信データの真偽を判断する受信データ判断部とを備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記車両ID生成部は、車両ナンバーをハッシュ関数で処理して得られるハッシュ値を車両IDとして算出することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
自車両周辺を撮影する撮影部を備え、
前記ナンバー取得部は、前記撮影部が撮影した画像から自車両周辺の車両の車両ナンバーを取得することを特徴とする請求項1または請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
自車両の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記ナンバー取得部は、
車両の位置情報を車両ナンバーに対応付けて記憶するサーバ装置とテレマティクス通信を行う機能を有し、
テレマティクス通信を介して、前記位置情報取得部が取得した自車両の位置情報を含む車両ナンバー要求を行い、当該車両ナンバー要求に含まれる自車両の位置情報に基づいて前記サーバ装置により検索された自車両周辺の車両の車両ナンバーを取得することを特徴とする請求項1または請求項2記載の通信装置。
【請求項5】
前記ナンバー取得部は、無線通信を介して通信相手の車両に搭載された電子ナンバープレートから前記通信相手の車両の車両ナンバーを取得することを特徴とする請求項1または請求項2記載の通信装置。
【請求項6】
前記受信データ判断部により真と判断された通信データを、当該通信データを利用する外部機器へ提供するデータ提供部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の通信装置。
【請求項7】
前記受信データ判断部により真と判断された通信データを、当該通信データを利用する外部機器へ提供するデータ提供部を備え、
前記ナンバー取得部は、
複数の情報ソースから前記他車両の車両ナンバーをそれぞれ取得し、
前記受信データ判断部は、
前記通信部が受信した通信データにおける通信相手の車両IDが、前記ナンバー取得部が前記複数の情報ソースからそれぞれ取得した車両ナンバーを基に前記車両ID生成部が生成した複数の車両IDと一致する場合、前記ナンバー取得部が当該車両ナンバーを取得した情報ソースから想定される前記自車両と前記他車両との位置関係に応じて、前記通信データを提供する順序に関する優先度を付与し、
前記データ提供部は、
前記受信データ判断部が付与した優先度に従って前記通信データを外部機器へ提供することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項1】
車両に搭載され、他車両に搭載された通信装置と車車間通信を行う通信装置において、
前記他車両の車両ナンバーを取得するナンバー取得部と、
車両ナンバーから車両IDを生成する車両ID生成部と、
前記車両ID生成部が前記自車両の車両ナンバーから生成した車両IDを通信データに加えて送信する通信部と、
前記通信部が受信した通信データにおける通信相手の車両IDと、前記ナンバー取得部が取得した車両ナンバーから前記車両ID生成部が生成した車両IDとを比較した結果に応じて、前記通信データの真偽を判断する受信データ判断部とを備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記車両ID生成部は、車両ナンバーをハッシュ関数で処理して得られるハッシュ値を車両IDとして算出することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
自車両周辺を撮影する撮影部を備え、
前記ナンバー取得部は、前記撮影部が撮影した画像から自車両周辺の車両の車両ナンバーを取得することを特徴とする請求項1または請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
自車両の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記ナンバー取得部は、
車両の位置情報を車両ナンバーに対応付けて記憶するサーバ装置とテレマティクス通信を行う機能を有し、
テレマティクス通信を介して、前記位置情報取得部が取得した自車両の位置情報を含む車両ナンバー要求を行い、当該車両ナンバー要求に含まれる自車両の位置情報に基づいて前記サーバ装置により検索された自車両周辺の車両の車両ナンバーを取得することを特徴とする請求項1または請求項2記載の通信装置。
【請求項5】
前記ナンバー取得部は、無線通信を介して通信相手の車両に搭載された電子ナンバープレートから前記通信相手の車両の車両ナンバーを取得することを特徴とする請求項1または請求項2記載の通信装置。
【請求項6】
前記受信データ判断部により真と判断された通信データを、当該通信データを利用する外部機器へ提供するデータ提供部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の通信装置。
【請求項7】
前記受信データ判断部により真と判断された通信データを、当該通信データを利用する外部機器へ提供するデータ提供部を備え、
前記ナンバー取得部は、
複数の情報ソースから前記他車両の車両ナンバーをそれぞれ取得し、
前記受信データ判断部は、
前記通信部が受信した通信データにおける通信相手の車両IDが、前記ナンバー取得部が前記複数の情報ソースからそれぞれ取得した車両ナンバーを基に前記車両ID生成部が生成した複数の車両IDと一致する場合、前記ナンバー取得部が当該車両ナンバーを取得した情報ソースから想定される前記自車両と前記他車両との位置関係に応じて、前記通信データを提供する順序に関する優先度を付与し、
前記データ提供部は、
前記受信データ判断部が付与した優先度に従って前記通信データを外部機器へ提供することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−58140(P2013−58140A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197049(P2011−197049)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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