通信解析システム
【課題】帯域幅やキャリア周波数と言った通信諸元(電波諸元)を利用せずに、信号の受信間隔(即ち、端末の通信周期)のみを用いて混信分離することができる通信解析システムを得る。
【解決手段】複数のネットワークにそれぞれ所属する複数の端末からの電波を受信する受信装置10と、この受信装置10から得られる混信受信信号に対して所定のアルゴリズムを適用する通信解析装置20とを備え、通信解析装置20は、混信受信信号から、各ネットワークの端末が通信を行なう通信周期を検出する周期性検出部21と、周期性検出部21により検出した各ネットワークの通信周期に基づき、各受信信号の検定を行い、各受信信号を端末毎に分離する分離部22とを含む。
【解決手段】複数のネットワークにそれぞれ所属する複数の端末からの電波を受信する受信装置10と、この受信装置10から得られる混信受信信号に対して所定のアルゴリズムを適用する通信解析装置20とを備え、通信解析装置20は、混信受信信号から、各ネットワークの端末が通信を行なう通信周期を検出する周期性検出部21と、周期性検出部21により検出した各ネットワークの通信周期に基づき、各受信信号の検定を行い、各受信信号を端末毎に分離する分離部22とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、帯域幅やキャリア周波数などの通信諸元(電波諸元)を利用せずに、信号の受信間隔(即ち、端末の通信周期)のみを用いて混信分離する通信解析システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周期性を持った通信の端末分離方法として、周波数ホッピング(FH:Frequency Hopping)を用いた通信を行なう端末からの混信受信信号を分離する手法が提案されている。従来手法では、受信信号を通信継続時間、帯域幅、キャリア周波数等の特徴量に応じて大雑把に分類し、その分類した信号内で通信継続時間等の特徴量に応じた仮説を立てて混信受信信号を、送信源毎に分離していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4218369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術である特許文献1では、受信信号の通信継続時間や、帯域幅、キャリア周波数等の特徴に応じて仮説を立て混信分離を行なっていたが、通信継続時間、帯域幅及びキャリア周波数が同一の値を各端末で使用するようなネットワークに所属する端末からの信号の解析には、これらを特徴量とした仮説を用いる事が出来ないという問題点があった。
【0005】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、帯域幅やキャリア周波数と言った通信諸元(電波諸元)を利用せずに、信号の受信間隔(即ち、端末の通信周期)のみを用いて混信分離することができる通信解析システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る通信解析システムは、複数のネットワークにそれぞれ所属する複数の端末からの電波を受信する受信装置と、この受信装置から得られる混信受信信号に対して所定のアルゴリズムを適用する通信解析装置とを備え、前記通信解析装置は、混信受信信号から、各ネットワークの端末が通信を行なう通信周期を検出する周期性検出部と、前記周期性検出部により検出した各ネットワークの通信周期に基づき、各受信信号の検定を行い、各受信信号を端末毎に分離する分離部とを含むものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る通信解析システムによれば、帯域幅やキャリア周波数などの通信諸元(電波諸元)を利用せずに、信号の受信間隔のみを用いて混信分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の分離部の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムのFH−TDMAネットワークを示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部内のピーク検出部の動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部内のPRI変換部の動作を説明するための図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部内の誤差補正部の動作を説明するための図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る通信解析システムの構成を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係る通信解析システムの2つの通信解析装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の通信解析システムの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0010】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る通信解析システムについて図1から図8までを参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの構成を示す図である。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0011】
図1において、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムは、アンテナ等から構成され、実空間上を飛び交う電波を受信する受信装置10と、この受信装置10から得られる受信データに対して本発明アルゴリズムを適用する通信解析装置20と、この通信解析装置20で得た信号分離結果を表示したり記録したりする表示装置30とが設けられている。
【0012】
また、ネットワーク♯1には、端末1、端末2及び端末3が所属する。ネットワーク♯2には、端末4、端末5、端末6及び端末7が所属する。
【0013】
図2は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の構成を示すブロック図である。
【0014】
図2において、通信解析装置20は、通信を行なう複数のネットワークからの混信受信信号から、受信信号の周波数、帯域幅等の通信諸元(電波諸元)を利用せずに、各受信信号の受信時刻情報のみを用いて各ネットワークの端末が通信を行なう通信周期を推定する周期性検出部21と、この周期性検出部21で得た各ネットワークの通信周期に基づき、各受信信号の検定を行い、各受信信号を夫々の端末毎に分離する分離部22とが設けられている。
【0015】
図3は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部の構成を示すブロック図である。
【0016】
図3において、周期性検出部21は、受信信号から夫々の受信信号に対して受信時刻のみを抽出する受信時刻検出部211と、この受信時刻検出部211で検出した受信時刻情報のみを情報としてもつパルス信号を相関処理する相関処理部212と、この相関処理部212で得た相関結果に対して相関ピークを検出する為のピーク検出部213と、このピーク検出部213で検出した相関ピークに対してPRI(Pulse Repetition Interval:パルス繰返し間隔)変換を行い、相関ピークから高調波成分及び誤検出信号成分を除去し通信周期を算出するPRI変換部214とが設けられている。
【0017】
また、周期性検出部21は、PRI変換部214で得た通信周期に対して、誤差許容範囲を任意に設定し検算処理を行う事で、ダブついて検出した通信周期をキャンセルする、つまり、PRI変換部214により算出した全ての通信周期に対して、(検算対象の信号の通信周期)+(誤差許容範囲)の範囲に存在する算出通信周期を削除する誤差補正部215がさらに設けられている。なお、相関処理部212は、受信信号の周波数、帯域幅の通信諸元(電波諸元)等を用いる事が出来る場合、相関処理において通信諸元(電波諸元)を参照する事で、解析対象とする通信諸元(電波諸元)を持つ信号以外の信号に対しては相関ピークを与えない、若しくは相関を低くする処理を行なう。
【0018】
図4は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の分離部の構成を示すブロック図である。
【0019】
図4において、分離部22は、周期性検出部21で算出した通信周期を用いて全ての受信信号に対して、通信周期及びその整数倍位置に信号が存在するか検定を行う事で、全ての受信信号に対して対応する通信周期を割り振り、同一通信周期の信号を同一ネットワーク内の信号として、受信信号を所属するネットワーク毎に分離するネットワーク分離部221と、このネットワーク分離部221で分離した夫々のネットワーク内の信号に対して、各ネットワークの通信周期の整数倍位置の信号を同一端末からの信号として分類する端末分離部222とが設けられている。
【0020】
ネットワーク分離部221は、全ての受信信号に対して、解析対象信号に対して通信周期の整数倍位置に信号が存在するか否か検定し、通信周期の整数倍位置に信号が存在すれば、各受信信号に対して通信周期を割り振る。この際、受信信号の失検出(本来発生している信号を取りこぼす)や誤検出(本来発生している信号以外の信号(雑音等)を解析対象信号とする)を考慮し、判定対象信号を基準として、M個連続の通信周期間隔の中にN個(N≦M)以上信号が存在する場合に、判定対象信号に対して判定を行っていた通信周期を関連付ける。ここで、M及びNは任意に設定する値である。関連付けられた通信周期が同一の信号を集める事で、同一のネットワークの信号に分離する。
【0021】
端末分離部222は、ネットワーク分離部221で分離したネットワーク毎の信号列に対して、夫々対応する通信周期で検定を行い、検定対象信号の通信周期の整数倍位置に存在する端末を同一端末として分離する。
【0022】
図5は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムのFH−TDMAネットワークを示す図である。
【0023】
この発明の実施の形態1に係る通信解析システムでは、スペクトラム拡散として周波数ホッピング(FH)を用いて時分割多元接続(TDMA:Time Division Multiple Access)を行なうネットワーク(FH−TDMAネットワーク)が複数存在する場合に、以下の前提条件の下でネットワーク分離及び端末分離を行なう。
・各端末1−3、4−7は、通信終了まで同一のタイムスロットを用いる。
・複数存在するTDMAネットワーク♯1、♯2のフレーム長は夫々異なる事を基本とする。(フレーム長が同じ場合、ネットワーク分離は出来ないが端末分離は可能。)
【0024】
つぎに、この実施の形態1に係る通信解析システムの動作について図面を参照しながら説明する。
【0025】
図6は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部内のピーク検出部の動作を示すフローチャートである。また、図7は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部内のPRI変換部の動作を説明するための図である。さらに、図8は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部内の誤差補正部の動作を説明するための図である。
【0026】
まず、端末1、端末2及び端末3は、フレーム長FLAに従い、最初に通信を開始する際に取得するタイムスロットと同一のタイムスロットを用いて通信終了までフレーム長FLAの間隔でそれぞれ電波を送信しているものとする。
【0027】
端末4、端末5、端末6及び端末7は、フレーム長FLBに従い、最初に通信を開始する際に取得するタイムスロットと同一のタイムスロットを用いて通信終了までフレーム長FLBの間隔でそれぞれ電波を送信しているものとする。
【0028】
受信装置10は、各端末1−3、4−7から送信される電波を受信する。受信装置10では、リアルタイムに、或いは、各受信信号に対して一定の時間遅延を持たせて通信解析装置20へ受信信号を送出する(受信信号の周期性を検出するのが目的である為、正確な受信絶対時刻は不要だが、受信信号間の相対時刻が重要となる)。
【0029】
通信解析装置20は、受信装置10から受信信号を受信する。通信解析装置20内の周期性検出部21の受信時刻検出部211は、受信装置10での振幅情報等を持った受信信号(生データ)に対して、受信装置10での受信時刻のみを情報として抽出し、対応する時刻に振幅1のパルス信号を持たせる事で、受信時刻のみを時間情報として保持する。なお、異なるネットワークからの信号を同時に受信した場合(FHにより周波数は異なる為、衝突は発生していない状況)、振幅レベルの加算は行なわず、対応する時刻に対して単一の信号として振幅1のパルス信号を持たせる。受信時刻検出部211は、生成した受信時間系列信号を周期性検出部21内の相関処理部212へ送出する。
【0030】
周期性検出部21内の相関処理部212は、受信時刻検出部211で得た受信時刻に対応するパルス信号に対して自己相関等の処理を行い、受信信号の周期性を検出する。但し、この処理ではTDMAのタイムスロット長が同一であると言う事から本来のフレーム長以外でも比較的高い相関結果が検出されたり、同一フレーム同士に対しての自己相関値に加え、フレーム長の整数倍位置での高調波成分でも高い相関結果が得られたりすると言った問題が残る。周波数や帯域幅と言った通信諸元(電波諸元)の違いを利用出来る場合には、受信時間系列信号に対して解析対象外の通信諸元(電波諸元)を持つ信号に識別子を持たせる事で相関処理を行なわないようにする。受信時間系列信号の自己相関結果を周期性検出部21内のピーク検出部213へ送出する。
【0031】
周期性検出部21内のピーク検出部213は、相関処理部212で得た相関結果の全ての信号に対してピーク判定を行う為に、図6に示すように、ピーク判定対象信号(注目信号)の前後の信号を基準に以下のステップ(1)からステップ(5)までの手順で閾値を設定し、閾値を超えた信号に対してピーク検出を行なう。
【0032】
ステップ(1)において、ピーク判定対象信号(注目信号)から、任意に設定するガード信号数p離れた位置の信号から、任意に設定する判定信号数Nから得られるN/2個の信号の和を、ピーク判定対象信号を中心に前後で算出し、閾値候補とする。ピーク判定を行う信号列をRxx(i)(但し、i=1〜L)、Lを相関処理部212で得たピーク判定対象信号数とすると、ピーク判定対象信号の上限閾値Threupperは式(1)のようになる。ピーク判定対象信号の下限閾値Threlowerは式(2)のようになる。
【0033】
【数1】
【0034】
なお、ピーク判定対象信号に対して上限が存在しない場合は、Threupperを0とする。一方、ピーク判定対象信号に対して下限が存在しない場合は、Threlowerを0とする。
【0035】
ステップ(2)において、上記のステップ(1)の処理で得た2つの閾値候補の大小比較を行い、大きい方を閾値とする。
【0036】
ステップ(3)において、上記のステップ(2)の処理で得た閾値に対して、2/Nで除算する事で平均化する。
【0037】
ステップ(4)において、上記のステップ(3)の処理で得た閾値に対して、任意に設定した閾値係数Kを用いて、K倍する事で閾値に自由度を持たせ、最終的な閾値とする。
【0038】
ステップ(5)において、ピーク判定対象信号(注目信号)と上記のステップ(4)の処理で得た閾値とを大小比較し、閾値を超えたものをピークとして抽出する。
【0039】
ピーク検出部213は、自己相関結果からのピーク抽出結果を、周期性検出部21内のPRI変換部214へ送出する。
【0040】
周期性検出部21内のPRI変換部214は、ピーク検出部213からのピーク検出結果に対して、以下のステップ(1)〜(3)の処理を行なう。
【0041】
ステップ(1)において、調べたいフレーム長の範囲を、任意に設定するフレーム長の下限値τminと上限値τmaxを用いて、τmin<τ<τmaxとし、これを任意に設定するK個の区間に等分割する。この細部区間をPRIビンと呼ぶ。PRIビンの幅は式(3)で表す事ができ、各PRIビンの中心の値は式(4)で与えられる。(受信信号の中にどの程度のフレーム長をもった信号が存在するかをτmin及びτmaxを用いて、あたりをつける意味合いとなる。)
【0042】
【数2】
【0043】
ステップ(2)において、この時、PRI変換は式(5)の演算で与えられる。ここで、tmはピーク検出部213で得たピーク抽出結果に対応する時間系列であり、tnはtmから1つずつ前方へずらしていった信号である。即ち、ある信号tmに対してその前方の信号tnとの全ての時間差tm−tnを除算する事で夫々に対応した位相成分を積み上げる事になる。この処理をピーク検出部213で得た全ての信号に対して行う事で、本来のフレーム長に対応する位相では、その位相成分Dkが強め合い大きな値を持つ事になる。一方、本来のフレーム長に対応しない位相では、その位相成分Dkが強め合う事無く小さな値となる。
【0044】
【数3】
【0045】
ステップ(3)において、式(5)の結果は、本来のフレーム長以外でも各信号の相関関係によっては、強め合い、ある程度のピーク成分を持つ事から、式(6)の閾値を用いて位相成分Dkの値に対して閾値判定を行い、閾値を上回った位相成分Dkに対応するτkがフレーム長となる。ここで、Tは観測時間、τkはフレーム長の候補、αは任意に設定視する閾値候補である。
【0046】
【数4】
【0047】
PRI変換では、ピーク抽出結果を位相成分に置き換える事で、相関処理部212で問題となった高調波成分に対しては、位相が一回転して同位相で値が積み上がる為、高調波成分の除去が可能となる。また、PRI変換での閾値設定により本来のフレーム長以外での比較的高い相関値を持つ成分の除去が可能となる。この結果、PRI変換部214で得られるフレーム長を誤差補正部215へ伝送する。
【0048】
図7(a)に示すように、相関処理部212による相関処理のみの場合には、ピークが多数存在し、正しいピークのみを抽出出来ない。また、PRI変換部214によるPRI変換処理のみの場合には、図7(b)に示すような結果になる。図7(c)に示すように、相関処理結果の多数得られるピークに対してPRI変換を行う事で正しいピークが得られる。
【0049】
周期性検出部21内の誤差補正部215は、PRI変換部214の処理で得たフレーム長に対して、誤差許容範囲を任意に設定し検算処理を行う事で、PRI変換部214での結果においてもダブついて検出したフレーム長をキャンセルする。全ての算出したフレーム長に対して、誤差許容範囲を設定し、(フレーム長)+(誤差許容範囲)に存在するフレーム長をクリアーする。
【0050】
図8に示すように、本来の通信周期に対して、少しずれた位置で通信周期が検出する場合がある。その原因としては、解析対象が時間幅を持つ信号である場合、相関処理の際、相関ピークが本来のピークに付随して時間連続的に得られる事により、これまでの処理でも誤差として取り除けなかった場合の取りこぼしにより発生する。誤差補正部215は、誤差許容範囲を設定する事で、検出した通信周期の虚像を削除する(虚像が発生している通信周期群の内、最初の通信周期を検出する)。
【0051】
分離部22内のネットワーク分離部221は、周期性検出部21内の受信時刻検出部211からの受信時間系列信号に対して、周期性検出部21内の誤差補正部215から得たフレーム長FLA及びFLBを用いて判定対象信号に対してフレーム長の整数倍位置に信号が存在するか否かを検定し、フレーム長の整数倍位置に信号が存在すれば、各受信信号に対してフレーム長を割り振る。この際、受信信号の失検出や誤検出を考慮し、判定対象信号を基準として、M個連続のフレーム長間隔の中にN(N≦M)以上信号が存在する場合に、判定対象信号に対して判定を行っていたフレーム長を関連付ける。ここで、M及びNは任意に設定する値である。関連付けられたフレーム長が同一の信号を集める事で、同一ネットワークの信号に分離する。この結果、受信信号の内、フレーム長FLAが割り付けられた信号のグループと、受信信号の内、フレーム長FLBが割り付けられた信号のグループに分類される。対応するフレーム長でグループ分けされた信号集団がネットワーク分離結果となる。ネットワーク分離結果を分離部22内の端末分離部222へ送出する。
【0052】
分離部22内の端末分離部222は、ネットワーク分離部221から得たネットワーク分離結果に対して、誤差補正部215から得たフレーム長を用いて検定を行い、検定対象信号のフレーム長の整数倍位置に存在する端末を同一端末として分離する。この結果、フレーム長FLAのネットワークには3種類の端末が存在する事が分かり(それぞれの受信信号を3つの端末へ分離)、フレーム長FLBのネットワークには4種類の端末が存在する事が分かる(それぞれの受信信号を4つの端末へ分離)。
【0053】
通信解析装置20は、受信信号(生データ)、ネットワーク分離結果及び端末分離結果の情報の中から任意のデータを表示装置30へ出力する。
【0054】
表示装置30は、通信解析装置20から得た受信信号(生データ)、ネットワーク分離結果、端末分離結果を表示したり記録したりする。
【0055】
以上のように、実施の形態1によれば、受信信号から受信時刻情報のみを抽出し、相関処理後にPRI変換する事で、相関処理結果において生じる、本来のフレーム長の倍数成分位置に存在する高調波成分の除去や、PRI変換での閾値設定により雑音等が混在する際に発生する誤検出の抑圧を行う事が出来る。また、受信時刻情報に対して直接PRI変換を行うのではなく、相関処理後にPRI変換を行う事で、受信信号の失検出や誤検出ある場合に発生するフレーム間での初期位相崩れに対応する事が出来る。(PRI変換は位相成分に対して値を積み上げていき判定を行うアルゴリズムであり、フレーム間で信号の失検出や誤検出が発生し、位相崩れが発生すると、本来のフレーム長抽出が困難となる。)
【0056】
また、ガード信号数を設定しピーク抽出を行なう事で、想定するFH−TDMAネットワークからの信号のように信号幅を持った受信信号に対してのピーク検出性能向上を狙う事が出来る。(TDMAタイムスロット長の時間幅を持った受信信号に対して自己相関を行なうと、本来のピーク近辺でもその時間幅の影響で誤ピークが立ちやすく、誤ピークも含めて閾値算出すると閾値の値が大きく設定され、本来のピークを失検出する恐れがある。その為、ガード信号数を設定する事で閾値レベルを操作している。)
【0057】
また、誤差補正部215における誤差許容範囲の設定を行う事で、解析対象がTDMAのタイムスロット長のような受信時間幅を持つ場合、本来のフレーム長周辺でも検出が予想されるフレーム長の除去が可能となる。(信号幅を広く持つと相関処理において、信号幅の間、相関値が得られる為、PRI変換部までに取り除けなかった場合に、これらの誤検出フレーム長の値を本処理で取り除く。)
【0058】
また、ネットワーク分離におけるM個中N個フレーム長位置に信号が存在した場合にフレーム長を割り振るようにしている為、受信信号の周期崩れの原因となる失検出や誤検出に対して耐性を持つ事が出来る。(フレーム長の整数倍位置に全て信号が存在する場合にネットワーク分離を行なうとすると、1つの信号抜け(失検出)等が発生するだけで、正しくネットワーク分離が行なえない。)
【0059】
さらに、端末分離を行う事で、混信して受信した信号をそれぞれの端末毎に分離する事が出来る。
【0060】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る通信解析システムについて図9及び図10を参照しながら説明する。
【0061】
上記の実施の形態1では、1つの受信装置10で受信した信号を解析する事で、受信信号の混信分離を行い、端末毎の信号に分離する方法であるが、この実施の形態2では、2つの受信装置10A、10Bと通信解析装置20A、20Bを用いる事で混信分離した信号を用いて、それぞれの受信信号に対応する端末の位置特定を行う。
【0062】
図9は、この発明の実施の形態2に係る通信解析システムの構成を示す図である。
【0063】
図9において、受信装置10A及び受信装置10Bは、実施の形態1の受信装置10と同様の装置である。但し、アンテナは夫々の受信信号に対する測角等が行なえるようアレー構成等が必要となる。また、通信解析装置20A及び通信解析装置20Bは、実施の形態1の通信解析装置20と同様の装置である。通信解析装置20Aは受信装置10Aからの信号を受信し解析を行う。通信解析装置20Bは受信装置10Bからの信号を受信し解析を行う。通信解析装置20A及び通信解析装置20Bは、それぞれの端末分離結果及び受信データを照合・測位装置40へ伝送する。
【0064】
また、照合・測位装置40は、通信解析装置20A及び通信解析装置20Bからの分離結果及び受信データを受信し、それらから端末毎の位置特定を行い、その結果を表示装置30へ伝送する。表示装置30は、通信解析装置20A、20Bで得た信号分離結果や、照合・測位装置40で得た端末位置結果を表示したり記録したりする。
【0065】
つぎに、この実施の形態2に係る通信解析システムの動作について図面を参照しながら説明する。
【0066】
図10は、この発明の実施の形態2に係る通信解析システムの2つの通信解析装置の動作を説明するための図である。
【0067】
各端末1−3、4−7での動作は、上記の実施の形態1と同様である。受信装置10A及び受信装置10Bは、それぞれの受信信号に対してアレー信号処理等を用いて測角を行なう。各受信信号と測角結果を対応させたデータを、実施の形態1と同様の方法で、夫々対応する通信解析装置20A或いは通信解析装置20Bへ送出する。
【0068】
通信解析装置20A及び通信解析装置20Bの動作は、実施の形態1の通信解析装置20の動作と同様である。結果の出力先が実施の形態1とは異なり、照合・測位装置40への出力となる。また、各受信信号の測角結果も合わせて照合・測位装置40へ出力する。
【0069】
照合・測位装置40は、通信解析装置20A、20Bから、受信信号(生データ)、ネットワーク分離結果、端末分離結果及び測角結果を受信する。通信解析装置20A及び通信解析装置20Bでの端末分離結果に対して、時間相関処理を行う事でその相関ピークが最も高い値が得られる場合の信号同士を同一の端末からの信号として照合識別し、通信解析装置20Aからの端末分離結果と、通信解析装置20Bからの端末分離結果を関連付ける。
【0070】
その結果、受信装置10A及び受信装置10Bの位置は既知であり、2つの受信装置10A、10Bでの同一端末に対する測角結果(各通信解析装置20A、20Bでの端末分離結果に対して夫々測角結果が割り振られている)を用いる事で、例えば三角測量等を用いる事で端末の測位を行い、位置特定を行う。照合・測位装置40は、受信信号(生データ)、ネットワーク分離結果、端末分離結果及び端末位置特定結果の情報の中から任意のデータを表示装置30へ出力する。
【0071】
図10(a)及び(b)は、通信解析装置20Aでの端末分離結果と、通信解析装置20Bでの端末分離結果を示す。受信装置10A及び受信装置10Bの位置が違う為、受信装置間での各端末1−3、4−7からの受信時刻そのものは異なるが、同一のフレーム周期で送信される為、受信装置10A及び受信装置10Bでの受信時間間隔は同一となり、相関処理のピークが得られる際の信号同士を同一の端末として照合・測位装置40は識別する。
【0072】
表示装置30では、照合・測位装置40から得た結果の表示や記録を行なう。
【0073】
以上のように、この実施の形態2は、2つの受信装置10A、10B、通信解析装置20A、20B及び照合・測位装置40を構成する事で、実施の形態1では行なえなかった端末位置特定が行う事が出来る。
【0074】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る通信解析システムについて説明する。
【0075】
上記の実施の形態2では、受信装置10A、10B及び通信解析装置20A、20Bがそれぞれ2つであったが、この実施の形態3では、受信装置及び通信解析装置の数を増やして3つ以上とする。
【0076】
基本的には実施の形態2と同様の動作を行なう。照合・測位装置40では、扱うデータの数が受信装置及び端末装置の数分増加する。この影響により複数測位結果が得られる場合は、最小二乗法等を用いて最適解を求める。
【0077】
以上のように、この実施の形態3は、受信装置及び通信解析装置を増やす事で、端末位置特定結果の推定精度を向上させる事が出来る。
【符号の説明】
【0078】
1−7 端末、10 受信装置、10A、10B 受信装置、20 通信解析装置、20A、20B 通信解析装置、21 周期性検出部、22 分離部、30 表示装置、40 照合・測位装置、211 受信時刻検出部、212 相関処理部、213 ピーク検出部、214 PRI変換部、215 誤差補正部、221 ネットワーク分離部、222 端末分離部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、帯域幅やキャリア周波数などの通信諸元(電波諸元)を利用せずに、信号の受信間隔(即ち、端末の通信周期)のみを用いて混信分離する通信解析システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周期性を持った通信の端末分離方法として、周波数ホッピング(FH:Frequency Hopping)を用いた通信を行なう端末からの混信受信信号を分離する手法が提案されている。従来手法では、受信信号を通信継続時間、帯域幅、キャリア周波数等の特徴量に応じて大雑把に分類し、その分類した信号内で通信継続時間等の特徴量に応じた仮説を立てて混信受信信号を、送信源毎に分離していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4218369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術である特許文献1では、受信信号の通信継続時間や、帯域幅、キャリア周波数等の特徴に応じて仮説を立て混信分離を行なっていたが、通信継続時間、帯域幅及びキャリア周波数が同一の値を各端末で使用するようなネットワークに所属する端末からの信号の解析には、これらを特徴量とした仮説を用いる事が出来ないという問題点があった。
【0005】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、帯域幅やキャリア周波数と言った通信諸元(電波諸元)を利用せずに、信号の受信間隔(即ち、端末の通信周期)のみを用いて混信分離することができる通信解析システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る通信解析システムは、複数のネットワークにそれぞれ所属する複数の端末からの電波を受信する受信装置と、この受信装置から得られる混信受信信号に対して所定のアルゴリズムを適用する通信解析装置とを備え、前記通信解析装置は、混信受信信号から、各ネットワークの端末が通信を行なう通信周期を検出する周期性検出部と、前記周期性検出部により検出した各ネットワークの通信周期に基づき、各受信信号の検定を行い、各受信信号を端末毎に分離する分離部とを含むものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る通信解析システムによれば、帯域幅やキャリア周波数などの通信諸元(電波諸元)を利用せずに、信号の受信間隔のみを用いて混信分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の分離部の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムのFH−TDMAネットワークを示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部内のピーク検出部の動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部内のPRI変換部の動作を説明するための図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部内の誤差補正部の動作を説明するための図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る通信解析システムの構成を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係る通信解析システムの2つの通信解析装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の通信解析システムの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0010】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る通信解析システムについて図1から図8までを参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの構成を示す図である。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0011】
図1において、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムは、アンテナ等から構成され、実空間上を飛び交う電波を受信する受信装置10と、この受信装置10から得られる受信データに対して本発明アルゴリズムを適用する通信解析装置20と、この通信解析装置20で得た信号分離結果を表示したり記録したりする表示装置30とが設けられている。
【0012】
また、ネットワーク♯1には、端末1、端末2及び端末3が所属する。ネットワーク♯2には、端末4、端末5、端末6及び端末7が所属する。
【0013】
図2は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の構成を示すブロック図である。
【0014】
図2において、通信解析装置20は、通信を行なう複数のネットワークからの混信受信信号から、受信信号の周波数、帯域幅等の通信諸元(電波諸元)を利用せずに、各受信信号の受信時刻情報のみを用いて各ネットワークの端末が通信を行なう通信周期を推定する周期性検出部21と、この周期性検出部21で得た各ネットワークの通信周期に基づき、各受信信号の検定を行い、各受信信号を夫々の端末毎に分離する分離部22とが設けられている。
【0015】
図3は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部の構成を示すブロック図である。
【0016】
図3において、周期性検出部21は、受信信号から夫々の受信信号に対して受信時刻のみを抽出する受信時刻検出部211と、この受信時刻検出部211で検出した受信時刻情報のみを情報としてもつパルス信号を相関処理する相関処理部212と、この相関処理部212で得た相関結果に対して相関ピークを検出する為のピーク検出部213と、このピーク検出部213で検出した相関ピークに対してPRI(Pulse Repetition Interval:パルス繰返し間隔)変換を行い、相関ピークから高調波成分及び誤検出信号成分を除去し通信周期を算出するPRI変換部214とが設けられている。
【0017】
また、周期性検出部21は、PRI変換部214で得た通信周期に対して、誤差許容範囲を任意に設定し検算処理を行う事で、ダブついて検出した通信周期をキャンセルする、つまり、PRI変換部214により算出した全ての通信周期に対して、(検算対象の信号の通信周期)+(誤差許容範囲)の範囲に存在する算出通信周期を削除する誤差補正部215がさらに設けられている。なお、相関処理部212は、受信信号の周波数、帯域幅の通信諸元(電波諸元)等を用いる事が出来る場合、相関処理において通信諸元(電波諸元)を参照する事で、解析対象とする通信諸元(電波諸元)を持つ信号以外の信号に対しては相関ピークを与えない、若しくは相関を低くする処理を行なう。
【0018】
図4は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の分離部の構成を示すブロック図である。
【0019】
図4において、分離部22は、周期性検出部21で算出した通信周期を用いて全ての受信信号に対して、通信周期及びその整数倍位置に信号が存在するか検定を行う事で、全ての受信信号に対して対応する通信周期を割り振り、同一通信周期の信号を同一ネットワーク内の信号として、受信信号を所属するネットワーク毎に分離するネットワーク分離部221と、このネットワーク分離部221で分離した夫々のネットワーク内の信号に対して、各ネットワークの通信周期の整数倍位置の信号を同一端末からの信号として分類する端末分離部222とが設けられている。
【0020】
ネットワーク分離部221は、全ての受信信号に対して、解析対象信号に対して通信周期の整数倍位置に信号が存在するか否か検定し、通信周期の整数倍位置に信号が存在すれば、各受信信号に対して通信周期を割り振る。この際、受信信号の失検出(本来発生している信号を取りこぼす)や誤検出(本来発生している信号以外の信号(雑音等)を解析対象信号とする)を考慮し、判定対象信号を基準として、M個連続の通信周期間隔の中にN個(N≦M)以上信号が存在する場合に、判定対象信号に対して判定を行っていた通信周期を関連付ける。ここで、M及びNは任意に設定する値である。関連付けられた通信周期が同一の信号を集める事で、同一のネットワークの信号に分離する。
【0021】
端末分離部222は、ネットワーク分離部221で分離したネットワーク毎の信号列に対して、夫々対応する通信周期で検定を行い、検定対象信号の通信周期の整数倍位置に存在する端末を同一端末として分離する。
【0022】
図5は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムのFH−TDMAネットワークを示す図である。
【0023】
この発明の実施の形態1に係る通信解析システムでは、スペクトラム拡散として周波数ホッピング(FH)を用いて時分割多元接続(TDMA:Time Division Multiple Access)を行なうネットワーク(FH−TDMAネットワーク)が複数存在する場合に、以下の前提条件の下でネットワーク分離及び端末分離を行なう。
・各端末1−3、4−7は、通信終了まで同一のタイムスロットを用いる。
・複数存在するTDMAネットワーク♯1、♯2のフレーム長は夫々異なる事を基本とする。(フレーム長が同じ場合、ネットワーク分離は出来ないが端末分離は可能。)
【0024】
つぎに、この実施の形態1に係る通信解析システムの動作について図面を参照しながら説明する。
【0025】
図6は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部内のピーク検出部の動作を示すフローチャートである。また、図7は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部内のPRI変換部の動作を説明するための図である。さらに、図8は、この発明の実施の形態1に係る通信解析システムの通信解析装置の周期性検出部内の誤差補正部の動作を説明するための図である。
【0026】
まず、端末1、端末2及び端末3は、フレーム長FLAに従い、最初に通信を開始する際に取得するタイムスロットと同一のタイムスロットを用いて通信終了までフレーム長FLAの間隔でそれぞれ電波を送信しているものとする。
【0027】
端末4、端末5、端末6及び端末7は、フレーム長FLBに従い、最初に通信を開始する際に取得するタイムスロットと同一のタイムスロットを用いて通信終了までフレーム長FLBの間隔でそれぞれ電波を送信しているものとする。
【0028】
受信装置10は、各端末1−3、4−7から送信される電波を受信する。受信装置10では、リアルタイムに、或いは、各受信信号に対して一定の時間遅延を持たせて通信解析装置20へ受信信号を送出する(受信信号の周期性を検出するのが目的である為、正確な受信絶対時刻は不要だが、受信信号間の相対時刻が重要となる)。
【0029】
通信解析装置20は、受信装置10から受信信号を受信する。通信解析装置20内の周期性検出部21の受信時刻検出部211は、受信装置10での振幅情報等を持った受信信号(生データ)に対して、受信装置10での受信時刻のみを情報として抽出し、対応する時刻に振幅1のパルス信号を持たせる事で、受信時刻のみを時間情報として保持する。なお、異なるネットワークからの信号を同時に受信した場合(FHにより周波数は異なる為、衝突は発生していない状況)、振幅レベルの加算は行なわず、対応する時刻に対して単一の信号として振幅1のパルス信号を持たせる。受信時刻検出部211は、生成した受信時間系列信号を周期性検出部21内の相関処理部212へ送出する。
【0030】
周期性検出部21内の相関処理部212は、受信時刻検出部211で得た受信時刻に対応するパルス信号に対して自己相関等の処理を行い、受信信号の周期性を検出する。但し、この処理ではTDMAのタイムスロット長が同一であると言う事から本来のフレーム長以外でも比較的高い相関結果が検出されたり、同一フレーム同士に対しての自己相関値に加え、フレーム長の整数倍位置での高調波成分でも高い相関結果が得られたりすると言った問題が残る。周波数や帯域幅と言った通信諸元(電波諸元)の違いを利用出来る場合には、受信時間系列信号に対して解析対象外の通信諸元(電波諸元)を持つ信号に識別子を持たせる事で相関処理を行なわないようにする。受信時間系列信号の自己相関結果を周期性検出部21内のピーク検出部213へ送出する。
【0031】
周期性検出部21内のピーク検出部213は、相関処理部212で得た相関結果の全ての信号に対してピーク判定を行う為に、図6に示すように、ピーク判定対象信号(注目信号)の前後の信号を基準に以下のステップ(1)からステップ(5)までの手順で閾値を設定し、閾値を超えた信号に対してピーク検出を行なう。
【0032】
ステップ(1)において、ピーク判定対象信号(注目信号)から、任意に設定するガード信号数p離れた位置の信号から、任意に設定する判定信号数Nから得られるN/2個の信号の和を、ピーク判定対象信号を中心に前後で算出し、閾値候補とする。ピーク判定を行う信号列をRxx(i)(但し、i=1〜L)、Lを相関処理部212で得たピーク判定対象信号数とすると、ピーク判定対象信号の上限閾値Threupperは式(1)のようになる。ピーク判定対象信号の下限閾値Threlowerは式(2)のようになる。
【0033】
【数1】
【0034】
なお、ピーク判定対象信号に対して上限が存在しない場合は、Threupperを0とする。一方、ピーク判定対象信号に対して下限が存在しない場合は、Threlowerを0とする。
【0035】
ステップ(2)において、上記のステップ(1)の処理で得た2つの閾値候補の大小比較を行い、大きい方を閾値とする。
【0036】
ステップ(3)において、上記のステップ(2)の処理で得た閾値に対して、2/Nで除算する事で平均化する。
【0037】
ステップ(4)において、上記のステップ(3)の処理で得た閾値に対して、任意に設定した閾値係数Kを用いて、K倍する事で閾値に自由度を持たせ、最終的な閾値とする。
【0038】
ステップ(5)において、ピーク判定対象信号(注目信号)と上記のステップ(4)の処理で得た閾値とを大小比較し、閾値を超えたものをピークとして抽出する。
【0039】
ピーク検出部213は、自己相関結果からのピーク抽出結果を、周期性検出部21内のPRI変換部214へ送出する。
【0040】
周期性検出部21内のPRI変換部214は、ピーク検出部213からのピーク検出結果に対して、以下のステップ(1)〜(3)の処理を行なう。
【0041】
ステップ(1)において、調べたいフレーム長の範囲を、任意に設定するフレーム長の下限値τminと上限値τmaxを用いて、τmin<τ<τmaxとし、これを任意に設定するK個の区間に等分割する。この細部区間をPRIビンと呼ぶ。PRIビンの幅は式(3)で表す事ができ、各PRIビンの中心の値は式(4)で与えられる。(受信信号の中にどの程度のフレーム長をもった信号が存在するかをτmin及びτmaxを用いて、あたりをつける意味合いとなる。)
【0042】
【数2】
【0043】
ステップ(2)において、この時、PRI変換は式(5)の演算で与えられる。ここで、tmはピーク検出部213で得たピーク抽出結果に対応する時間系列であり、tnはtmから1つずつ前方へずらしていった信号である。即ち、ある信号tmに対してその前方の信号tnとの全ての時間差tm−tnを除算する事で夫々に対応した位相成分を積み上げる事になる。この処理をピーク検出部213で得た全ての信号に対して行う事で、本来のフレーム長に対応する位相では、その位相成分Dkが強め合い大きな値を持つ事になる。一方、本来のフレーム長に対応しない位相では、その位相成分Dkが強め合う事無く小さな値となる。
【0044】
【数3】
【0045】
ステップ(3)において、式(5)の結果は、本来のフレーム長以外でも各信号の相関関係によっては、強め合い、ある程度のピーク成分を持つ事から、式(6)の閾値を用いて位相成分Dkの値に対して閾値判定を行い、閾値を上回った位相成分Dkに対応するτkがフレーム長となる。ここで、Tは観測時間、τkはフレーム長の候補、αは任意に設定視する閾値候補である。
【0046】
【数4】
【0047】
PRI変換では、ピーク抽出結果を位相成分に置き換える事で、相関処理部212で問題となった高調波成分に対しては、位相が一回転して同位相で値が積み上がる為、高調波成分の除去が可能となる。また、PRI変換での閾値設定により本来のフレーム長以外での比較的高い相関値を持つ成分の除去が可能となる。この結果、PRI変換部214で得られるフレーム長を誤差補正部215へ伝送する。
【0048】
図7(a)に示すように、相関処理部212による相関処理のみの場合には、ピークが多数存在し、正しいピークのみを抽出出来ない。また、PRI変換部214によるPRI変換処理のみの場合には、図7(b)に示すような結果になる。図7(c)に示すように、相関処理結果の多数得られるピークに対してPRI変換を行う事で正しいピークが得られる。
【0049】
周期性検出部21内の誤差補正部215は、PRI変換部214の処理で得たフレーム長に対して、誤差許容範囲を任意に設定し検算処理を行う事で、PRI変換部214での結果においてもダブついて検出したフレーム長をキャンセルする。全ての算出したフレーム長に対して、誤差許容範囲を設定し、(フレーム長)+(誤差許容範囲)に存在するフレーム長をクリアーする。
【0050】
図8に示すように、本来の通信周期に対して、少しずれた位置で通信周期が検出する場合がある。その原因としては、解析対象が時間幅を持つ信号である場合、相関処理の際、相関ピークが本来のピークに付随して時間連続的に得られる事により、これまでの処理でも誤差として取り除けなかった場合の取りこぼしにより発生する。誤差補正部215は、誤差許容範囲を設定する事で、検出した通信周期の虚像を削除する(虚像が発生している通信周期群の内、最初の通信周期を検出する)。
【0051】
分離部22内のネットワーク分離部221は、周期性検出部21内の受信時刻検出部211からの受信時間系列信号に対して、周期性検出部21内の誤差補正部215から得たフレーム長FLA及びFLBを用いて判定対象信号に対してフレーム長の整数倍位置に信号が存在するか否かを検定し、フレーム長の整数倍位置に信号が存在すれば、各受信信号に対してフレーム長を割り振る。この際、受信信号の失検出や誤検出を考慮し、判定対象信号を基準として、M個連続のフレーム長間隔の中にN(N≦M)以上信号が存在する場合に、判定対象信号に対して判定を行っていたフレーム長を関連付ける。ここで、M及びNは任意に設定する値である。関連付けられたフレーム長が同一の信号を集める事で、同一ネットワークの信号に分離する。この結果、受信信号の内、フレーム長FLAが割り付けられた信号のグループと、受信信号の内、フレーム長FLBが割り付けられた信号のグループに分類される。対応するフレーム長でグループ分けされた信号集団がネットワーク分離結果となる。ネットワーク分離結果を分離部22内の端末分離部222へ送出する。
【0052】
分離部22内の端末分離部222は、ネットワーク分離部221から得たネットワーク分離結果に対して、誤差補正部215から得たフレーム長を用いて検定を行い、検定対象信号のフレーム長の整数倍位置に存在する端末を同一端末として分離する。この結果、フレーム長FLAのネットワークには3種類の端末が存在する事が分かり(それぞれの受信信号を3つの端末へ分離)、フレーム長FLBのネットワークには4種類の端末が存在する事が分かる(それぞれの受信信号を4つの端末へ分離)。
【0053】
通信解析装置20は、受信信号(生データ)、ネットワーク分離結果及び端末分離結果の情報の中から任意のデータを表示装置30へ出力する。
【0054】
表示装置30は、通信解析装置20から得た受信信号(生データ)、ネットワーク分離結果、端末分離結果を表示したり記録したりする。
【0055】
以上のように、実施の形態1によれば、受信信号から受信時刻情報のみを抽出し、相関処理後にPRI変換する事で、相関処理結果において生じる、本来のフレーム長の倍数成分位置に存在する高調波成分の除去や、PRI変換での閾値設定により雑音等が混在する際に発生する誤検出の抑圧を行う事が出来る。また、受信時刻情報に対して直接PRI変換を行うのではなく、相関処理後にPRI変換を行う事で、受信信号の失検出や誤検出ある場合に発生するフレーム間での初期位相崩れに対応する事が出来る。(PRI変換は位相成分に対して値を積み上げていき判定を行うアルゴリズムであり、フレーム間で信号の失検出や誤検出が発生し、位相崩れが発生すると、本来のフレーム長抽出が困難となる。)
【0056】
また、ガード信号数を設定しピーク抽出を行なう事で、想定するFH−TDMAネットワークからの信号のように信号幅を持った受信信号に対してのピーク検出性能向上を狙う事が出来る。(TDMAタイムスロット長の時間幅を持った受信信号に対して自己相関を行なうと、本来のピーク近辺でもその時間幅の影響で誤ピークが立ちやすく、誤ピークも含めて閾値算出すると閾値の値が大きく設定され、本来のピークを失検出する恐れがある。その為、ガード信号数を設定する事で閾値レベルを操作している。)
【0057】
また、誤差補正部215における誤差許容範囲の設定を行う事で、解析対象がTDMAのタイムスロット長のような受信時間幅を持つ場合、本来のフレーム長周辺でも検出が予想されるフレーム長の除去が可能となる。(信号幅を広く持つと相関処理において、信号幅の間、相関値が得られる為、PRI変換部までに取り除けなかった場合に、これらの誤検出フレーム長の値を本処理で取り除く。)
【0058】
また、ネットワーク分離におけるM個中N個フレーム長位置に信号が存在した場合にフレーム長を割り振るようにしている為、受信信号の周期崩れの原因となる失検出や誤検出に対して耐性を持つ事が出来る。(フレーム長の整数倍位置に全て信号が存在する場合にネットワーク分離を行なうとすると、1つの信号抜け(失検出)等が発生するだけで、正しくネットワーク分離が行なえない。)
【0059】
さらに、端末分離を行う事で、混信して受信した信号をそれぞれの端末毎に分離する事が出来る。
【0060】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る通信解析システムについて図9及び図10を参照しながら説明する。
【0061】
上記の実施の形態1では、1つの受信装置10で受信した信号を解析する事で、受信信号の混信分離を行い、端末毎の信号に分離する方法であるが、この実施の形態2では、2つの受信装置10A、10Bと通信解析装置20A、20Bを用いる事で混信分離した信号を用いて、それぞれの受信信号に対応する端末の位置特定を行う。
【0062】
図9は、この発明の実施の形態2に係る通信解析システムの構成を示す図である。
【0063】
図9において、受信装置10A及び受信装置10Bは、実施の形態1の受信装置10と同様の装置である。但し、アンテナは夫々の受信信号に対する測角等が行なえるようアレー構成等が必要となる。また、通信解析装置20A及び通信解析装置20Bは、実施の形態1の通信解析装置20と同様の装置である。通信解析装置20Aは受信装置10Aからの信号を受信し解析を行う。通信解析装置20Bは受信装置10Bからの信号を受信し解析を行う。通信解析装置20A及び通信解析装置20Bは、それぞれの端末分離結果及び受信データを照合・測位装置40へ伝送する。
【0064】
また、照合・測位装置40は、通信解析装置20A及び通信解析装置20Bからの分離結果及び受信データを受信し、それらから端末毎の位置特定を行い、その結果を表示装置30へ伝送する。表示装置30は、通信解析装置20A、20Bで得た信号分離結果や、照合・測位装置40で得た端末位置結果を表示したり記録したりする。
【0065】
つぎに、この実施の形態2に係る通信解析システムの動作について図面を参照しながら説明する。
【0066】
図10は、この発明の実施の形態2に係る通信解析システムの2つの通信解析装置の動作を説明するための図である。
【0067】
各端末1−3、4−7での動作は、上記の実施の形態1と同様である。受信装置10A及び受信装置10Bは、それぞれの受信信号に対してアレー信号処理等を用いて測角を行なう。各受信信号と測角結果を対応させたデータを、実施の形態1と同様の方法で、夫々対応する通信解析装置20A或いは通信解析装置20Bへ送出する。
【0068】
通信解析装置20A及び通信解析装置20Bの動作は、実施の形態1の通信解析装置20の動作と同様である。結果の出力先が実施の形態1とは異なり、照合・測位装置40への出力となる。また、各受信信号の測角結果も合わせて照合・測位装置40へ出力する。
【0069】
照合・測位装置40は、通信解析装置20A、20Bから、受信信号(生データ)、ネットワーク分離結果、端末分離結果及び測角結果を受信する。通信解析装置20A及び通信解析装置20Bでの端末分離結果に対して、時間相関処理を行う事でその相関ピークが最も高い値が得られる場合の信号同士を同一の端末からの信号として照合識別し、通信解析装置20Aからの端末分離結果と、通信解析装置20Bからの端末分離結果を関連付ける。
【0070】
その結果、受信装置10A及び受信装置10Bの位置は既知であり、2つの受信装置10A、10Bでの同一端末に対する測角結果(各通信解析装置20A、20Bでの端末分離結果に対して夫々測角結果が割り振られている)を用いる事で、例えば三角測量等を用いる事で端末の測位を行い、位置特定を行う。照合・測位装置40は、受信信号(生データ)、ネットワーク分離結果、端末分離結果及び端末位置特定結果の情報の中から任意のデータを表示装置30へ出力する。
【0071】
図10(a)及び(b)は、通信解析装置20Aでの端末分離結果と、通信解析装置20Bでの端末分離結果を示す。受信装置10A及び受信装置10Bの位置が違う為、受信装置間での各端末1−3、4−7からの受信時刻そのものは異なるが、同一のフレーム周期で送信される為、受信装置10A及び受信装置10Bでの受信時間間隔は同一となり、相関処理のピークが得られる際の信号同士を同一の端末として照合・測位装置40は識別する。
【0072】
表示装置30では、照合・測位装置40から得た結果の表示や記録を行なう。
【0073】
以上のように、この実施の形態2は、2つの受信装置10A、10B、通信解析装置20A、20B及び照合・測位装置40を構成する事で、実施の形態1では行なえなかった端末位置特定が行う事が出来る。
【0074】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る通信解析システムについて説明する。
【0075】
上記の実施の形態2では、受信装置10A、10B及び通信解析装置20A、20Bがそれぞれ2つであったが、この実施の形態3では、受信装置及び通信解析装置の数を増やして3つ以上とする。
【0076】
基本的には実施の形態2と同様の動作を行なう。照合・測位装置40では、扱うデータの数が受信装置及び端末装置の数分増加する。この影響により複数測位結果が得られる場合は、最小二乗法等を用いて最適解を求める。
【0077】
以上のように、この実施の形態3は、受信装置及び通信解析装置を増やす事で、端末位置特定結果の推定精度を向上させる事が出来る。
【符号の説明】
【0078】
1−7 端末、10 受信装置、10A、10B 受信装置、20 通信解析装置、20A、20B 通信解析装置、21 周期性検出部、22 分離部、30 表示装置、40 照合・測位装置、211 受信時刻検出部、212 相関処理部、213 ピーク検出部、214 PRI変換部、215 誤差補正部、221 ネットワーク分離部、222 端末分離部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネットワークにそれぞれ所属する複数の端末からの電波を受信する受信装置と、
この受信装置から得られる混信受信信号に対して所定のアルゴリズムを適用する通信解析装置とを備え、
前記通信解析装置は、
混信受信信号から、各ネットワークの端末が通信を行なう通信周期を検出する周期性検出部と、
前記周期性検出部により検出した各ネットワークの通信周期に基づき、各受信信号の検定を行い、各受信信号を端末毎に分離する分離部とを含む
ことを特徴とする通信解析システム。
【請求項2】
前記周期性検出部は、受信信号の通信諸元を利用せずに、各受信信号の受信時刻情報のみを用いて通信周期を検出する
ことを特徴とする請求項1記載の通信解析システム。
【請求項3】
前記周期性検出部は、
各受信信号から受信時刻のみを検出する受信時刻検出部と、
前記受信時刻検出部により検出した受信時刻のみを情報としてもつパルス信号を相関処理する相関処理部と、
前記相関処理部で得た相関結果に対して相関ピークを検出するピーク検出部と、
前記ピーク検出部により検出した相関ピークに対してPRI変換を行い、相関ピークから高調波成分及び誤検出信号成分を除去して通信周期を算出するPRI変換部とを含む
ことを特徴とする請求項2記載の通信解析システム。
【請求項4】
前記相関処理部は、受信信号の通信諸元を利用できる場合、相関処理において通信諸元を参照して、解析対象とする通信諸元を持つ信号以外の信号に対しては相関ピークを与えない、又は相関を低くする処理を行なう
ことを特徴とする請求項3記載の通信解析システム。
【請求項5】
前記ピーク検出部は、前記相関処理部で得た相関結果の全ての信号に対して、
ピーク判定対象信号から所定のガード信号数離れた位置の信号から、判定信号数Nから得られるN/2個の信号の和を、ピーク判定対象信号を中心に前後で算出して2つの閾値候補とし、
2つの閾値候補の大小比較を行い、大きい閾値候補を第1の仮の閾値とし、
第1の仮の閾値に対して、2/Nで除算する事で平均化して第2の仮の閾値とし、
第2の仮の閾値に対して、所定の閾値係数K倍して最終的な閾値とし、
ピーク判定対象信号と最終的な閾値とを大小比較し、最終的な閾値を超えたものをピークとして抽出する
ことを特徴とする請求項3記載の通信解析システム。
【請求項6】
前記周期性検出部は、
前記PRI変換部により算出した全ての通信周期に対して、(検算対象の信号の通信周期)+(誤差許容範囲)の範囲に存在する算出通信周期を削除する誤差補正部をさらぶ含む
ことを特徴とする請求項3記載の通信解析システム。
【請求項7】
前記分離部は、
全ての受信信号に対して、前記周期性検出部により検出した通信周期及びその整数倍の位置に信号が存在するか検定を行い、全ての受信信号に対して対応する通信周期を割り振り、同一通信周期の信号を同一ネットワーク内の信号として、受信信号を所属するネットワーク毎に分離するネットワーク分離部と、
前記ネットワーク分離部により分離した各ネットワーク内の信号に対して、各ネットワークの通信周期の整数倍の位置の信号を同一端末からの信号として分離する端末分離部とを含む
ことを特徴とする請求項1記載の通信解析システム。
【請求項8】
前記ネットワーク分離部は、
受信信号の失検出及び誤検出を考慮し、判定対象信号を基準として、第1の所定数連続の通信周期間隔の中に第2の所定数(第2の所定数≦第1の所定数)以上信号が存在する場合に、判定対象信号に対して判定を行っていた通信周期を関連付け、関連付けられた通信周期が同一の信号を同一のネットワークの信号に分離する
ことを特徴とする請求項7記載の通信解析システム。
【請求項9】
前記端末分離部は、
前記ネットワーク分離部により分離したネットワーク毎の信号列に対して、夫々対応する通信周期で検定を行い、検定対象信号の通信周期の整数倍の位置に存在する端末を同一端末として分離する
ことを特徴とする請求項7記載の通信解析システム。
【請求項10】
アレーアンテナを有し、複数のネットワークにそれぞれ所属する複数の端末からの電波を受信し、各受信信号に対して測角を行う第1の受信装置と、
アレーアンテナを有し、複数のネットワークにそれぞれ所属する複数の端末からの電波を受信し、各受信信号に対して測角を行う第2の受信装置と、
前記第1の受信装置からの各受信信号の受信時刻情報のみを用いて各ネットワークの通信周期を検出し、検出した通信周期に基づき、各受信信号を端末毎に分離する第1の通信解析装置と、
前記第2の受信装置からの各受信信号の受信時刻情報のみを用いて各ネットワークの通信周期を検出し、検出した通信周期に基づき、各受信信号を端末毎に分離する第2の通信解析装置と、
前記第1及び第2の通信解析装置からの端末分離結果及び測角結果に基づき、端末毎の位置特定を行う照合・測位装置と
を備えたことを特徴とする通信解析システム。
【請求項1】
複数のネットワークにそれぞれ所属する複数の端末からの電波を受信する受信装置と、
この受信装置から得られる混信受信信号に対して所定のアルゴリズムを適用する通信解析装置とを備え、
前記通信解析装置は、
混信受信信号から、各ネットワークの端末が通信を行なう通信周期を検出する周期性検出部と、
前記周期性検出部により検出した各ネットワークの通信周期に基づき、各受信信号の検定を行い、各受信信号を端末毎に分離する分離部とを含む
ことを特徴とする通信解析システム。
【請求項2】
前記周期性検出部は、受信信号の通信諸元を利用せずに、各受信信号の受信時刻情報のみを用いて通信周期を検出する
ことを特徴とする請求項1記載の通信解析システム。
【請求項3】
前記周期性検出部は、
各受信信号から受信時刻のみを検出する受信時刻検出部と、
前記受信時刻検出部により検出した受信時刻のみを情報としてもつパルス信号を相関処理する相関処理部と、
前記相関処理部で得た相関結果に対して相関ピークを検出するピーク検出部と、
前記ピーク検出部により検出した相関ピークに対してPRI変換を行い、相関ピークから高調波成分及び誤検出信号成分を除去して通信周期を算出するPRI変換部とを含む
ことを特徴とする請求項2記載の通信解析システム。
【請求項4】
前記相関処理部は、受信信号の通信諸元を利用できる場合、相関処理において通信諸元を参照して、解析対象とする通信諸元を持つ信号以外の信号に対しては相関ピークを与えない、又は相関を低くする処理を行なう
ことを特徴とする請求項3記載の通信解析システム。
【請求項5】
前記ピーク検出部は、前記相関処理部で得た相関結果の全ての信号に対して、
ピーク判定対象信号から所定のガード信号数離れた位置の信号から、判定信号数Nから得られるN/2個の信号の和を、ピーク判定対象信号を中心に前後で算出して2つの閾値候補とし、
2つの閾値候補の大小比較を行い、大きい閾値候補を第1の仮の閾値とし、
第1の仮の閾値に対して、2/Nで除算する事で平均化して第2の仮の閾値とし、
第2の仮の閾値に対して、所定の閾値係数K倍して最終的な閾値とし、
ピーク判定対象信号と最終的な閾値とを大小比較し、最終的な閾値を超えたものをピークとして抽出する
ことを特徴とする請求項3記載の通信解析システム。
【請求項6】
前記周期性検出部は、
前記PRI変換部により算出した全ての通信周期に対して、(検算対象の信号の通信周期)+(誤差許容範囲)の範囲に存在する算出通信周期を削除する誤差補正部をさらぶ含む
ことを特徴とする請求項3記載の通信解析システム。
【請求項7】
前記分離部は、
全ての受信信号に対して、前記周期性検出部により検出した通信周期及びその整数倍の位置に信号が存在するか検定を行い、全ての受信信号に対して対応する通信周期を割り振り、同一通信周期の信号を同一ネットワーク内の信号として、受信信号を所属するネットワーク毎に分離するネットワーク分離部と、
前記ネットワーク分離部により分離した各ネットワーク内の信号に対して、各ネットワークの通信周期の整数倍の位置の信号を同一端末からの信号として分離する端末分離部とを含む
ことを特徴とする請求項1記載の通信解析システム。
【請求項8】
前記ネットワーク分離部は、
受信信号の失検出及び誤検出を考慮し、判定対象信号を基準として、第1の所定数連続の通信周期間隔の中に第2の所定数(第2の所定数≦第1の所定数)以上信号が存在する場合に、判定対象信号に対して判定を行っていた通信周期を関連付け、関連付けられた通信周期が同一の信号を同一のネットワークの信号に分離する
ことを特徴とする請求項7記載の通信解析システム。
【請求項9】
前記端末分離部は、
前記ネットワーク分離部により分離したネットワーク毎の信号列に対して、夫々対応する通信周期で検定を行い、検定対象信号の通信周期の整数倍の位置に存在する端末を同一端末として分離する
ことを特徴とする請求項7記載の通信解析システム。
【請求項10】
アレーアンテナを有し、複数のネットワークにそれぞれ所属する複数の端末からの電波を受信し、各受信信号に対して測角を行う第1の受信装置と、
アレーアンテナを有し、複数のネットワークにそれぞれ所属する複数の端末からの電波を受信し、各受信信号に対して測角を行う第2の受信装置と、
前記第1の受信装置からの各受信信号の受信時刻情報のみを用いて各ネットワークの通信周期を検出し、検出した通信周期に基づき、各受信信号を端末毎に分離する第1の通信解析装置と、
前記第2の受信装置からの各受信信号の受信時刻情報のみを用いて各ネットワークの通信周期を検出し、検出した通信周期に基づき、各受信信号を端末毎に分離する第2の通信解析装置と、
前記第1及び第2の通信解析装置からの端末分離結果及び測角結果に基づき、端末毎の位置特定を行う照合・測位装置と
を備えたことを特徴とする通信解析システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−119899(P2011−119899A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274420(P2009−274420)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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