通信量管理方法および通信量管理システム
【課題】アクセス回線による従量課金の仕組みを維持したまま、第三者にアクセス回線を提供しても、この第三者に対して課金することを可能とする。
【解決手段】端末10−1,2,…(以下、「端末10−n」という。)と基地局20−1,20−2,…を介したアクセス回線其々の組合せに於ける通信量を管理するため、ルータ30Aは、端末10−nが外部ネットワークに送信したIPパケットから送信元とアクセス回線を識別する回線情報を取得し、この回線情報と送信元IPアドレスとの対応を記録すると共にIPパケットに回線情報を付与してルータ30Bに送信する。ルータ30Bは、IPパケットに於ける送信元IPアドレスと回線情報に基づいて、端末10−nが外部ネットワークに送信するIPパケットの通信量をカウントし、更にIPパケットから回線情報を削除して外部ネットワークに送信する。
【解決手段】端末10−1,2,…(以下、「端末10−n」という。)と基地局20−1,20−2,…を介したアクセス回線其々の組合せに於ける通信量を管理するため、ルータ30Aは、端末10−nが外部ネットワークに送信したIPパケットから送信元とアクセス回線を識別する回線情報を取得し、この回線情報と送信元IPアドレスとの対応を記録すると共にIPパケットに回線情報を付与してルータ30Bに送信する。ルータ30Bは、IPパケットに於ける送信元IPアドレスと回線情報に基づいて、端末10−nが外部ネットワークに送信するIPパケットの通信量をカウントし、更にIPパケットから回線情報を削除して外部ネットワークに送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスプロバイダがサービス環境に於いて、パケット単位にアクセス回線を識別可能な通信量管理方法および通信量管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、独自の無線ルータ(以下、「基地局」という。)を用いることで、無線LANを利用したインターネットアクセスを会員相互で共有する「FON」という技術が知られている。
非特許文献1には、FONの概要が開示されている。
【0003】
《従来技術に於けるアクセス回線の構成》
図11は、従来技術に於けるアクセス回線を示す構成図である。
このシステムは、複数の端末10−1,10−2と、複数の基地局20−1,20−2と、スイッチングハブ21と、ルータ30と、管理サーバ40とを有し、インターネット100にアクセス可能に構成されている。
【0004】
端末10−1,10−2は、複数の基地局20−1,20−2のいずれかに無線で接続可能である。基地局20−1,20−2は、スイッチングハブ21とルータ30とを介して、インターネット100に接続されている。インターネット100には管理サーバ40が接続されており、基地局20−1,20−2と相互に通信可能である。
端末10−1のユーザは、基地局20−1を有している。端末10−1から基地局20−1を介してインターネット100にアクセスする場合は、自回線を用いた通信である。
端末10−2のユーザは、基地局20−2を有している。端末10−2から基地局20−2を介してインターネット100にアクセスする場合は、自回線を用いた通信である。端末10−1から基地局20−2を介してインターネット100にアクセスする場合は、第三者回線を用いた通信である。
【0005】
《従来技術に於けるアクセス回線の動作》
図11に基いて、端末10−1,10−2からインターネット100へのアクセス回線を確立する動作を説明する。
端末10−1,10−2のユーザはそれぞれ、基地局20−1,20−2を宅内のスイッチングハブ21を介してブロードバンドルータ30(以下、「ルータ30」という。)に接続することにより、インターネット100に接続する。
【0006】
端末10−1を有している契約ユーザが基地局20−2に最初にアクセスしたとき、基地局20−2は、管理サーバ40に自動で接続する。以降、この契約ユーザを含む他のユーザは、この基地局20−2へのアクセスが可能となる。以下、基地局20−2に着目して動作を説明する。
【0007】
基地局20−2は、自回線を用いた通信と、第三者回線を用いた通信とで、SSID(Service Set Identifier:基地局20−1,20−2と端末10−1,10−2との間でやりとりする無線LAN−ID)を分離している。これらのSSIDは、ネットワーク経由で管理サーバ40が設定している。
【0008】
複数の端末10−1,10−2が、同一の基地局20−2を介してアクセスする場合、サービスプロバイダから払い出すことができるグローバルアドレスは1つとなる。基地局20−2は、複数ユーザの利用のため、ルータ機能を具備している。基地局20−2は、1つのグローバルアドレスを払い出される。そして、基地局20−2配下の端末10−1,10−2は、NAT(Network Address Translation)またはNAPT(Network Address Port Translation)機能による複数のプライベートIPアドレスを払い出される。
【0009】
基地局20−2は、この基地局20−2に接続した端末10−1,10−2の利用履歴を、管理サーバ40へ通知する。通知している情報は、「接続時間・接続先基地局番号・通信量など」である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「FON」、[online]、フォン・ジャパン株式会社、[平成23年5月7日検索]、インターネット(URL: http://www.fon.ne.jp/sb/about/index.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
移動体キャリアに加えて、最近は固定キャリアにおいても、ヘビーユーザ対策などを目的に「使った分だけ支払う」という従量課金の導入が進んでいる。移動体キャリアの場合はSIMカード(Subscriber Identity Module Card)単位、固定キャリアはアクセス回線単位で課金するケースが主流である。
【0012】
しかし、FONのような第三者にもアクセス回線を開放するようなビジネスを行う場合、固定キャリアで回線単位での従量課金を行うと、アクセス回線の利用者が課金されるのでなく、アクセス回線の所有者が課金されてしまう、という問題が生じてしまう。
【0013】
そこで、本発明は、アクセス回線による従量課金の仕組みを維持したまま、第三者にアクセス回線を提供しても、この第三者に対して課金することを可能とする通信量管理方法および通信量管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決し、本発明の目的を達成するために、以下のように構成した。
【0015】
すなわち、請求項1に記載の発明は、第1のルータ、第2のルータを少なくとも有するネットワークに於いて、端末局とアクセス回線の其々の組合せに於ける通信量を管理する通信量管理方法であって、前記第1のルータは、前記端末局が外部ネットワークに送信した上りIPパケットから送信元IPアドレスと前記アクセス回線を識別する回線情報を取得し、前記回線情報と前記送信元IPアドレスとの対応を記録すると共に前記上りIPパケットに前記回線情報を付与して前記第2のルータに送信し、前記第2のルータは、前記上りIPパケットに於ける前記送信元IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記端末局が前記外部ネットワークに送信する前記上りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記上りIPパケットから前記回線情報を削除して前記外部ネットワークに送信することを特徴とする通信量管理方法とした。
【0016】
請求項5に記載の発明は、第1のルータ、第2のルータを少なくとも有し、端末局とアクセス回線の其々の組合せに於ける通信量を管理する通信量管理システムであって、前記第1のルータは、前記端末局が外部ネットワークに送信した上りIPパケットから送信元IPアドレスと前記アクセス回線を識別する回線情報を取得し、前記回線情報と前記送信元IPアドレスとの対応を記録すると共に前記上りIPパケットに前記回線情報を付与して前記第2のルータに送信し、前記第2のルータは、前記上りIPパケットに於ける前記送信元IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記端末局が前記外部ネットワークに送信する前記上りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記上りIPパケットから前記回線情報を削除して前記外部ネットワークに送信することを特徴とする通信量管理システムとした。
【0017】
このようにすることで、本実施形態に係る通信量管理方法および通信量管理システムによれば、上りIPパケットの通信量を、端末局(送信元IPアドレス)と回線情報ごとにカウントすることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信量管理方法に於いて更に、前記第2のルータは、前記外部ネットワークから前記端末局に送信された下りIPパケットから送信先IPアドレスを取得し、前記送信先IPアドレスに対応した前記回線情報を前記下りIPパケットに付与して前記第1のルータに送信し、前記第1のルータは、前記下りIPパケットに於ける前記送信先IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記外部ネットワークが前記端末局に送信する前記下りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記下りIPパケットから前記回線情報を削除して前記端末局に送信することを特徴とする通信量管理方法とした。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の通信量管理システムに於いて更に、前記第2のルータは、前記外部ネットワークから前記端末局に送信された下りIPパケットから送信先IPアドレスを取得し、前記送信先IPアドレスに対応した前記回線情報を前記下りIPパケットに付与して前記第1のルータに送信し、前記第1のルータは、前記下りIPパケットに於ける前記送信先IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記外部ネットワークが前記端末局に送信する前記下りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記下りIPパケットから前記回線情報を削除して前記端末局に送信することを特徴とする通信量管理システムとした。
【0020】
このようにすることで、本実施形態に係る通信量管理方法および通信量管理システムによれば、下りIPパケットの通信量を、端末局(送信元IPアドレス)と回線情報ごとにカウントすることができる。よって、第三者にアクセス回線を提供しても、この第三者に対して課金することが容易に実現できる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、前記第1のルータは、前記上りIPパケットに対応するVID(Virtual LAN Identifier)または前記端末局に割り当てられたIPv6アドレスの前半Prefixにより、前記アクセス回線を識別する前記回線情報を取得し、前記第2のルータは、当該VID(Virtual LAN Identifier)による前記回線情報を、前記端末局に送信された前記下りIPパケットに付与することを特徴とする請求項2に記載の通信量管理方法とした。
【0022】
請求項7に記載の発明は、前記第1のルータは、前記上りIPパケットに対応するVID(Virtual LAN Identifier)または前記端末局に割り当てられたIPv6アドレスの前半Prefixにより、前記アクセス回線を識別する前記回線情報を取得し、前記第2のルータは、当該VID(Virtual LAN Identifier)による前記回線情報を、前記端末局に送信された前記下りIPパケットに付与することを特徴とする請求項6に記載の通信量管理システムとした。
【0023】
このようにすることで、本実施形態に係る通信量管理方法および通信量管理システムによれば、回線情報の識別が容易に実現できる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のネットワークに於いて更に、通信量管理サーバを有し、前記通信量管理サーバは、所定時間が経過する毎に、または/および、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)のリースタイマの終了タイミングで、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々が送信する前記上りIPパケットの通信量、または/および、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々が受信する前記下りIPパケットの通信量を受信することを特徴とする通信量管理方法とした。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の通信量管理システムに於いて更に、通信量管理サーバを有し、前記通信量管理サーバは、所定時間が経過する毎に、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々が送信する前記上りIPパケットの通信量、または/および、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々が受信する前記下りIPパケットの通信量を受信することを特徴とする通信量管理システムとした。
【0026】
このようにすることで、本実施形態に係る通信量管理方法および通信量管理システムによれば、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々に於ける上りIPパケットの通信量と下りIPパケットの通信量とを把握可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、アクセス回線による従量課金の仕組みを維持したまま、第三者にアクセス回線を提供しても、この第三者に対して課金することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施形態に於けるRouter Advertisement時の接続を示す構成図である。
【図2】イーサネット(登録商標)フレームのフォーマットを示す図である。
【図3】IPv6のパケットフォーマットを示す図である。
【図4】第1の実施形態に於ける通信開始時の回線情報付与/削除を示すシーケンス図である。
【図5】第1の実施形態に於けるバイトカウント量の通知(定期通知)を示すシーケンス図である。
【図6】第2の実施形態に於けるDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)時の接続を示す構成図である。
【図7】第2の実施形態に於ける通信開始時の回線情報付与/削除を示すシーケンス図である。
【図8】第2の実施形態に於けるバイトカウント量の通知(DHCPリース契約の通知)を示すシーケンス図である。
【図9】第3の実施形態に於ける通信開始時の回線情報付与/削除を示すシーケンス図である。
【図10】第3の実施形態に於けるバイトカウント量の通知(定期通知)を示すシーケンス図である。
【図11】従来技術に於けるアクセス回線を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以降、本発明を実施するための形態(「本実施形態」という)を、図等を参照して詳細に説明する。
【0030】
(第1の実施形態の構成)
図1は、第1の実施形態に於けるRouter Advertisement時の接続を示す構成図である。なお、明細書と図面に於いて、Router Advertisementを「RA」と略している場合がある。
【0031】
このシステムは、複数の端末10−1,10−2と、複数の基地局20−1,20−2と、スイッチングハブ21と、第1のルータであるルータ30Aと、第2のルータであるルータ30Bと、管理サーバ40と、回線管理サーバ41と、通信量管理サーバ42とを有し、インターネット100にアクセス可能に構成されている。端末10−1のユーザは、基地局20−1を自回線として有している。端末10−2のユーザは、基地局20−2を自回線として有している。端末10−1のユーザは、基地局20−2を第三者回線として使用可能である。通信量管理サーバ42は、複数の端末10−1,10−2と、複数の基地局20−1,20−2とが、どのユーザに所属しているかというデータベースを有している。通信量管理サーバ42は、それぞれの端末10−1,10−2が、それぞれの基地局20−1,20−2にアクセスしたとき、そのアクセス回線が自回線であるか第三者回線であるかを識別可能である。
【0032】
端末10−1,10−2は、複数の基地局20−1,20−2のいずれかに無線で接続可能である。基地局20−1,20−2は、スイッチングハブ21とルータ30A,30Bとを介して、インターネット100に接続されている。管理サーバ40は、ルータ30Aとルータ30Bとの間のネットワークに接続されており、基地局20−1,20−2と相互にIPv6(Internet Protocol Version 6)で通信可能である。回線管理サーバ41と、通信量管理サーバ42とは、ルータ30Aとルータ30Bとの間のネットワークに、それぞれルータ30A,30BとIPv6で通信可能に接続されている。このシステムは、端末10−1,10−2と、アクセスポイントである基地局20−1,20−2によるアクセス回線の其々の組合せに於ける通信量を管理する通信量管理システムである。なお、以下の本明細書と図面において、アクセスポイントのことを「AP」と記載している場合がある。
【0033】
図2は、イーサネット(登録商標)フレームのフォーマットを示す図である。図2に示すフォーマットは、IEEE802.1Qに準拠している。
イーサネット(登録商標)フレームは、先頭から順に、宛先MACアドレス(Media Access Control address)と、送信元MACアドレスと、タグヘッダと、フレームタイプと、ペイロードであるデータと、FCS(Frame Check Sequence)フィールドとを有している。
【0034】
タグヘッダは更に、先頭から順に、3ビットのユーザプライオリティと、1ビットのCFI(Canonical Format Indicator)と、12ビットのVLAN−ID(Virtual LAN Identifier)とを有している。以下、本明細書および図面では、VLAN−IDを、VID(Virtual LAN Identifier)と略している場合がある。
図3は、IPv6のパケットフォーマットを示す図である。
【0035】
IPv6のパケットフォーマットは、4ビットのバージョン番号と、8ビットのトラフィッククラスと、20ビットのフローラベルと、16ビットのペイロード長と、8ビットのネクストヘッダと、8ビットの最大ホップ長と、128ビットの送信元IPアドレスと、128ビットの宛先IPアドレスと、拡張ヘッダと、データ本体とから構成されている。
【0036】
バージョン番号は、バージョン6を示す2進数の「0110」が格納されている。トラフィッククラスはQoS(Quality of Service)のための優先度の識別に用いられる。フローラベルはルータ制御を要求するラベル付けのためのフィールドである。
【0037】
ペイロード長は、IPv6の拡張ヘッダ長が格納されている。ネクストヘッダは、IPv6ヘッダに続くヘッダタイプを示している。ネクストヘッダは、IPv6に於ける拡張ヘッダの他、UDP(User Datagram Protocol)やTCP(Transmission Control Protocol)などを識別可能な情報を含んでいる。最大ホップ長は、ルータ越えの制限を示している。最大ホップ長に格納される値の255は、ルータ越えが禁止されていることを示す特別の値である。
【0038】
送信元IPアドレスは、このパケットを送信した装置のIPアドレスを示している。宛先IPアドレスは、このパケットの宛先の装置のIPアドレスを示している。
【0039】
(第1の実施形態の動作)
図4は、第1の実施形態に於ける通信開始時の回線情報付与/削除を示すシーケンス図である。図4に示すシーケンスは、端末からインターネット側に向けての上り通信を示している。
【0040】
ステップS10に於いて、端末10−n(nは自然数)は、エッジルータであるルータ30AからのRA(Router Advertisement)を受信する。ステップS11において、端末10−nは、自らのIPv6アドレスを生成し、インターネット100と通信可能な状態になる。なお、図面では、IPv6アドレスのことを、「V6アドレス」と記載している場合がある。
【0041】
ステップS12に於いて、端末10−nは、インターネット100の何れかの機器へ最初のIPパケットを送信するために、ルータ30Aに向けて、この最初の上りIPパケットを送信する。
【0042】
ステップS20に於いて、デフォルトゲートウェイであるルータ30Aは、IPパケットの送信元IPアドレスとイーサネット(登録商標)フレームのVID(Virtual LAN Identifier)とを確認し、どの端末10−n(=10−1,10−2,…)がどのアクセス回線である基地局20−n(=20−1,20−2,…)からアクセスしてくるかを識別する。以下、ここで識別された情報を「回線情報」という。
【0043】
ステップS21に於いて、ルータ30Aは、この最初の上りIPパケットに含まれている送信元IPアドレスと、この最初の上りIPパケットに対応したVIDとを回線管理サーバ41に送信して回線確認する。
【0044】
ステップS22に於いて、回線管理サーバ41は、当該VIDに相当する回線情報をルータ30Aへ通知する。ステップS23に於いて、ルータ30Aは、肯定応答(ACK)を返し、ステップS24に於いて、端末10−nの端末IPアドレスと回線情報との対応表を生成する。
ステップS25に於いて、ルータ30Aは、この上りIPパケットに回線情報を付与する。
【0045】
ステップS26に於いて、回線管理サーバ41は、固定キャリア網内にあるもう一方のエッジルータであるルータ30Bに対して、送信元IPアドレスとVIDを通知する。ステップS27に於いて、ルータ30Aは肯定応答(ACK)を返し、ステップS28に於いて、端末IPアドレスと回線情報との対応表を生成する。
【0046】
ステップS29に於いて、ルータ30Aは、回線情報が付与された上りIPパケットを、ルータ30Bに送信する。図4では、回線情報が付与された上りIPパケットを「IPパケットw/回線情報」と記載している。以下の図では、回線情報が付与された上りIPパケットと下りIPパケットを同様に記載している。
【0047】
ステップS30に於いて、ルータ30Bは、送信元IPアドレスから端末10−n(ユーザ)を識別し、付与された回線情報からアクセス回線を識別し、端末かつ回線情報ごとに上りIPパケットのバイト数をカウントする。
【0048】
ステップS31に於いて、ルータ30Bは、上りIPパケットから回線情報を削除して標準フレームとし、ステップS100に於いて、インターネット100へ当該上りIPパケットを送信する。
【0049】
インターネット100側から端末10−nに向けての下り通信については、図4に示すシーケンスと同様に、ルータ30Bで回線情報などを付与し、ルータ30Aで下りIPパケットをカウントすることにより、上りと下りの両方向の通信パケットのカウントが可能である。
【0050】
通信中にハンドオーバと呼ばれるアクセスポイント(基地局20−n)の切り替えが起こった場合は、VID(Virtual LAN Identifier)は変更される。変更後に、端末10−nが上りIPパケットをルータ30に送信したとき、ルータ30Aは、端末IPアドレスと回線情報との対応表に存在しないエントリと認識する(ステップS20)。そのため、新たに回線管理サーバ41へ回線情報を確認する(ステップS21)。回線管理サーバ41は、回線情報を通知する(ステップS22)。
ルータ30Aは、この回線情報の通知に対して肯定応答(ACK)し(ステップS23)、端末IPアドレスと回線情報との対応表に、新たなエントリを追加する(ステップS24)。以降、ルータ30Aは、端末10−nからの上りIPパケットに、この回線情報を付与する(ステップS25)。
【0051】
図5は、第1の実施形態に於けるバイトカウント量の通知(定期通知)を示すシーケンス図である。
前述した図4で示した回線情報付与/削除処理により、端末(ユーザ)とアクセス回線を意識したパケットカウントを行うことが可能である。図5では、そのカウントした情報を定期的に通知することで、一元的に収集する方法を示す。
最初に、端末10−nからインターネット100向けの上り通信を説明する。
ステップS40に於いて、端末10−nは、ルータ30Aに上りIPパケットを送信する。
ステップS41に於いて、ルータ30Aは、上りIPパケットの拡張ヘッダ(図3)に回線情報を付与してルータ30Bに送信する。図5では、回線情報が付与された上りIPパケットを「IPパケットw/回線情報」と記載している。
【0052】
ステップS42に於いて、ルータ30Bは、上りIPパケットの拡張ヘッダ(図3)に付与された回線情報を意識したパケットカウントを行い、ステップS43に於いて、上りIPパケットから、拡張ヘッダ(図3)に付与された回線情報を削除し、インターネット100へ送信する。
次に、インターネット100から端末10−n向けの下り通信を説明する。
ステップS44に於いて、インターネット100からルータ30Bに下りIPパケットが送信される。
ステップS45に於いて、ルータ30Bは、下りIPパケットの拡張ヘッダ(図3)に回線情報を付与してルータ30Aに送信する。図5では、回線情報が付与された下りIPパケットを「IPパケットw/回線情報」と記載している。
【0053】
ステップS46に於いて、ルータ30Aは、下りIPパケットの拡張ヘッダ(図3)に付与された回線情報を意識したパケットカウントを行い、ステップS47に於いて、この下りIPパケットから、拡張ヘッダ(図3)に付与された回線情報を削除し、端末10−nへ送信する。
【0054】
ステップS50に於いて、ルータ30Aは、所定時間が経過する毎に、ステップS51に於いて、「端末かつ回線情報」単位でカウントした下りIPパケットのバイト量やパケット数を、通信量管理サーバ42へ通知する。ステップS52に於いて、通信量管理サーバ42は、この通知への応答をルータ30Aに送信する。
【0055】
同様に、ステップS60に於いて、ルータ30Bは、所定時間が経過する毎に、ステップS61に於いて、「端末かつ回線情報」単位でカウントした上りIPパケットのバイト量やパケット数を、通信量管理サーバ42へ通知する。ステップS62に於いて、通信量管理サーバ42は、この通知への応答をルータ30Bに送信する。
ステップS70に於いて、通信量管理サーバ42は、自回線と第三者回線による上りと下りの通信量をそれぞれ算出する。
【0056】
通信量管理サーバ42では、自回線と第三者回線による通信量を一元的に管理した結果、基地局20−n経由のアクセスによる従量課金の仕組みを維持したまま、第三者に基地局20−n経由のアクセス回線を提供しても、この第三者に対して課金することが可能となる。
具体的な例をいうと、以下のような課金方法が可能になる。
【0057】
(ケース1) 端末10−n(ユーザ)が、自分が有する基地局20−nに接続して自分自身の契約回線(自回線)を利用した場合は、通信バイト量をそのままカウントする。
(ケース2) 端末10−n(ユーザ)が、第三者が有する基地局20−nに接続して第三者の契約回線(第三者回線)を利用した場合は、通信バイト量を1.2倍にしてカウントする。(=割高な通信)
(ケース3) 上記ケース2でアクセス回線を提供した端末10−n(ユーザ)は、ケース2で使わせた通信バイト量の0.1倍を自分の累積カウント量から減算する。(=ディスカウントする。)
【0058】
(第1の実施形態の効果)
以上説明した第1の実施形態では、次の(A)〜(F)のような効果がある。
(A) 通信量管理サーバ42では、自回線と第三者回線による通信量を一元的に管理した結果、基地局20−n経由のアクセスによる従量課金の仕組みを維持したまま、第三者に基地局20−n経由のアクセス回線を提供しても、この第三者に対して課金することが可能となる。
【0059】
(B) ルータ30Aによって、回線情報を上りIPパケットに付与している。ルータ30Bによって、この回線情報が付与された上りIPパケットをカウントしている。これにより、単一のルータによって回線識別とパケットカウントを行うよりも、個々の処理時間が短くなり、よってパケットカウントの処理によるパケットの遅延が少なくなり、通信の高速化に寄与するという効果がある。
【0060】
(C) ルータ30Aによって、回線情報を上りIPパケットに付与し、回線情報が付与された下りIPパケットをカウントしている。上りIPパケットと下りIPパケットとは、同時に発生することが少ないので、ルータ30Aの上りIPパケットへの回線情報の付与処理と、下りIPパケットのカウント処理とは同時に発生することは少なく、これらの処理によるIPパケットの遅延を少なくすることが可能である。
【0061】
(D) ルータ30Bによって、回線情報を下りIPパケットに付与し、回線情報が付与された上りIPパケットをカウントしている。上りIPパケットと下りIPパケットとは、同時に発生することが少ないので、ルータ30Bの下りIPパケットへの回線情報の付与処理と、上りIPパケットのカウント処理とは同時に発生することは少なく、これらの処理によるIPパケットの遅延を少なくすることが可能である。
【0062】
(E) ルータ30Bは、回線情報が付与された上りIPパケットをカウントしたのち、この回線情報をIPパケットから削除している。これにより、インターネット100への回線情報(内部情報)の漏洩を防ぐと共に、このIPパケットの宛先アドレスが示している機器へ、標準フレームでIPパケットを送信可能であり、宛先機器の誤動作の虞がなくなる。
【0063】
(F) ルータ30Aは、回線情報が付与された下りIPパケットをカウントしたのち、この回線情報をIPパケットから削除している。これにより、第三者回線として接続している他者の端末10−nへの、自分の基地局20−nに係る回線情報(内部情報)の漏洩を防ぐことが可能である。更に、この端末10−nへ、標準フレームでIPパケットを送信可能であり、端末10−nの誤動作の虞がなくなる。
【0064】
(第2の実施形態の構成)
図6は、第2の実施形態に於けるDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)時の接続を示す構成図である。図1に示す第1の実施形態に於ける構成と同一の要素には同一の符号を付与している。
【0065】
本実施形態の構成は、第1の実施形態と同様の構成に加えて更に、DHCPサーバ43を有している。このDHCPサーバ43は、ルータ30Aとルータ30Bとの間のネットワークに接続されており、ルータ30A、および、基地局20−1,20−2のいずれかに接続されている端末10−1,10−2と相互にIPv6で通信可能に構成されている。
【0066】
(第2の実施形態の動作)
図7は、第2の実施形態に於ける通信開始時の回線情報付与/削除を示すシーケンス図である。
ステップS80に於いて、端末10−nは、ルータ30Aに、DHCP Solicitメッセージを送信する。このDHCP Solicitメッセージは、クライアントである端末10−nがDHCPサーバ43の場所を突き止める要請メッセージである。
ステップS81に於いて、ルータ30Aは、DHCPサーバ43に、DHCP Solicit(要請)メッセージを中継(リレー)する。
【0067】
ステップS82に於いて、DHCPサーバ43は、ルータ30Aに、DHCP Advertiseメッセージを送信する。このDHCP Advertiseメッセージは、クライアントである端末10−nから受信した要請メッセージに応えて、DHCPサービスで利用可能であることを示す広告メッセージである。
ステップS83に於いて、ルータ30Aは、端末10−nに、DHCP Advertise(広告)メッセージを中継(リレー)する。
【0068】
ステップS84に於いて、端末10−nは、ルータ30Aに、DHCP Requestメッセージを送信する。このDHCP Requestメッセージは、DHCPサーバ43のIPアドレスを含む設定パラメータを要求する要求メッセージである。
ステップS85に於いて、ルータ30Aは、DHCPサーバ43に、DHCP Request(要求)メッセージを中継(リレー)する。
【0069】
ステップS86に於いて、DHCPサーバ43は、ルータ30Aに、DHCP Replyメッセージを応答する。このDHCP Replyメッセージは、端末10−nから受け取ったDHCP Request(要求)メッセージに応えるものであり、設定パラメータを含んでいる応答メッセージである。
ステップS21〜S24,ステップS26〜S28の処理は、図4に示す第1の実施形態のシーケンスと同様である。
ステップS24Aに於いて、ルータ30Aは、端末10−nに、DHCP Reply(応答)メッセージをリレー応答する。
ステップS24Bに於いて、端末10−nは、自らに、IPv6のアドレスを割り当てる。
【0070】
ステップS24Cに於いて、端末10−nは、インターネット100の何れかの機器へ、最初のIPパケットを送信するために、ルータ30Aに向けて、この最初の上りIPパケットを送信する。
以下、ステップS25,S29〜S31,S100の処理は、図4に示す第1の実施形態のシーケンスと同様である。
【0071】
図8は、第2の実施形態に於けるバイトカウント量の通知(DHCPリース契約の通知)を示すシーケンス図である。図5に示す第1の実施形態のシーケンスと同一の処理には同一の符号を付与している。
ステップS40〜S47の処理は、図5に示す第1の実施形態のシーケンスに示すステップS40〜S47の処理と同様である。
【0072】
ステップS90に於いて、DHCPサーバ43は、端末10−nのリースタイマが終了したことを検知する。ステップS91に於いて、DHCPサーバ43は、この端末10−nのアドレス削除メッセージをルータ30Aに送信する。
【0073】
ステップS92に於いて、ルータ30Aは、端末10−nの通信が切断したと判断する。ステップS51に於いて、ルータ30Aは、端末10−nの通信切断を契機に、「端末かつ回線情報」単位にカウントしたバイト量やパケット数を、通信量管理サーバ42へ通知する。ルータ30Aから通知するのは、インターネット100から端末10−nへの下り通信分である。
ステップS52に於いて、通信量管理サーバ42は、ルータ30Aに、このバイト量通知に対する応答を送信する。
ステップS61Aに於いて、通信量管理サーバ42は、ルータ30Bに通信量(バイト量)の通知を要求する。
【0074】
ステップS61Bに於いて、ルータ30Bは、「端末かつ回線情報」単位にカウントしたバイト量やパケット数を、通信量管理サーバ42へ通知する。ルータ30Bから通知するのは、端末10−nからインターネット100への上り通信分である。
ステップS70の処理は、図5に示す第1の実施形態のシーケンスに示すステップS70の処理と同様である。
【0075】
(第2の実施形態の効果)
以上説明した第2の実施形態では、次の(G)のような効果がある。
(G) DHCPサーバ43が管理するシステム、例えばIPv4(Internet Protocol Version 4)で接続されているシステムに於いても、第1の実施形態と同様に通信量管理サーバ42では、自回線と第三者回線による通信量を一元的に管理した結果、基地局20−n経由のアクセスによる従量課金の仕組みを維持したまま、第三者に基地局20−n経由のアクセス回線を提供しても、この第三者に対して課金することが可能となる。
【0076】
(第3の実施形態の構成)
本実施形態のシステムは、図1に示す第一の実施形態と同様の構成を有している。
【0077】
(第3の実施形態の動作)
図9は、第3の実施形態に於ける通信開始時の回線情報付与/削除を示すシーケンス図である。図4に示す第1の実施形態を示すシーケンス図と同一の構成には同一の符号を付与している。
本実施形態では、第1の実施形態に於けるVID(Virtual LAN Identifier)に変えて、端末10−nに係るIPv6アドレスの前半部のPrefixを用いてアクセス回線を識別している。
IPv6アドレスの前半部の64ビットは、PrefixまたはネットワークIDと呼ばれている。IPv6アドレスの後半部の64ビットは、インタフェースIDと呼ばれている。
本実施形態のルータ30Aは、端末10−nに、この端末10−nが接続している基地局20−nに対応したPrefixを生成させる。ルータ30A,30Bは、IPパケットに含まれているIPアドレスの前半部のPrefixによって、アクセス回線を識別している。以下、本明細書および図面に於いて、このIPアドレスの前半部のPrefixを、「前半Prefix」と略している場合がある。
IPアドレスの後半部のインタフェースIDは、MACアドレス(Media Access Control address)に基いて自動構成される。
【0078】
本実施形態のステップS10に於いて、ルータ30Aは、第1の実施形態のステップS10に於ける処理と同様の処理に加えて更に、IPv6アドレスの前半Prefixが、アクセス回線である基地局20−nを示すように、RA(Router Advertisement)で指示している。
ステップS11Aに於いて、端末10−nは、IPv6アドレスの前半Prefixがアクセス回線に対応するように、このIPv6アドレスを割り当てる。すなわち、端末10−nは、接続している基地局20−nに対応するように、IPv6アドレスの前半Prefixを割り当てる。
本実施形態のステップS12に於ける端末10−nの処理は、第1の実施形態のステップS12に於ける処理と同様である。
【0079】
ステップS20に於いて、ルータ30Aは、送信元IPアドレスと、この送信元IPアドレスの前半Prefixを確認し、どの端末10−n(=10−1,10−2,…)がどのアクセス回線である基地局20−n(=20−1,20−2,…)からアクセスしてくるかを識別する。以下、ここで識別された情報を「回線情報」という。
【0080】
ステップS21Aに於いて、ルータ30Aは、この最初の上りIPパケットに含まれている送信元IPアドレスと、この最初の上りIPパケットの送信元IPアドレスの前半Prefixとを回線管理サーバ41に送信する。
本実施形態のステップS22〜S28の処理は、第1の実施形態のステップS22〜S28に於ける処理と同様である。
ステップS29Aに於いて、ルータ30Aは、ステップS12にて受信した端末10−nからの最初の上りIPパケットを、そのままルータ30Bに送信する。
本実施形態のステップS30〜S31,S100の処理は、第1の実施形態のステップS30〜S31,S100に於ける処理と同様である。
【0081】
図10は、第3の実施形態に於けるバイトカウント量の通知(定期通知)を示すシーケンス図である。図5に示す第1の実施形態を示すシーケンス図と同一の構成には同一の符号を付与している。
最初に、端末10−nからインターネット100向けの上り通信を説明する。
ステップS40に於いて、第1の実施形態のステップS40と同様に、端末10−nは、ルータ30Aに上りIPパケットを送信する。
ステップS41Aに於いて、ルータ30Aは、上りIPパケットを、そのままルータ30Bに送信する。
【0082】
ステップS42に於いて、ルータ30Bは、上りIPパケットの回線情報である送信元アドレス(IPv6アドレス)の前半Prefixを意識したパケットカウントを行い、ステップS43に於いて、上りIPパケットをそのままインターネット100へ送信する。
次に、インターネット100から端末10−n向けの下り通信を説明する。
ステップS44に於いて、インターネット100からルータ30Bに下りIPパケットが送信される。
ステップS45Aに於いて、ルータ30Bは、下りIPパケットをそのままルータ30Aに送信する。
【0083】
ステップS46に於いて、ルータ30Aは、下りIPパケットの回線情報である宛先アドレスの前半Prefixが示す回線情報を意識したパケットカウントを行い、ステップS47に於いて、この下りIPパケットを端末10−nへ送信する。
本実施形態のステップS50〜S52,S60〜S62,S70の処理は、図5に示す第1の実施形態のステップS50〜S52,S60〜S62,S70の処理と同様である。
【0084】
(第3の実施形態の効果)
以上説明した第3の実施形態では、次の(H)のような効果がある。
(H) 本実施形態では、端末10−nに係るIPv6アドレスの前半Prefixを用いてアクセス回線を識別している。これにより、IPパケットへの回線情報の付与と削除が不要となり、IPパケットの遅延が少なくなる。更に、ルータ30A,30Bに於ける処理に係るメモリの使用量が少なくなり、かつ、省電力となる。
(変形例)
【0085】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(e)のようなものがある。
【0086】
(a) 第2の実施形態に於いて、ルータ30Aは、端末10−nの通信切断を契機に、「端末かつ回線情報」単位にカウントしたバイト量やパケット数を、通信量管理サーバ42へ通知している。しかし、これに限られず、ルータ30Aは、所定時間が経過する毎に、「端末かつ回線情報」単位にカウントしたバイト量やパケット数を、通信量管理サーバ42へ通知しても良い。これにより、通信量管理サーバ42は、直近の端末10−nの状況を、更に正確に把握可能となる。
【0087】
(b) 第1、第2の実施形態のシステムに於いて、端末10−nと基地局20−nと回線管理サーバ41と通信量管理サーバ42とは、IPv6で相互に通信可能に接続されている。しかし、これに限られず、システムの一部がIPv4で相互に通信可能に接続され、残りのシステムがIPv6で相互に通信可能に接続されていても良い。更に、システムの全てがIPv4で相互に通信可能に接続されていても良い。
【0088】
(c) 第1〜第3の実施形態のシステムに於いて、通信量管理サーバ42は、基地局20−1,20−2と端末10−1,10−2とのアクセス回線を管理している。しかし、これに限られず、通信量管理サーバ42は、3以上の基地局と、これと相互に通信可能な複数の端末局との関係を管理しても良い。通信量管理サーバ42は更に、複数の基地局と、これと相互に通信可能な3以上の端末局との関係を管理しても良い。
【0089】
(d) 第1〜第3の実施形態のシステムに於いて、基地局20−nと端末10−nとの間は、無線で通信可能に接続されている。しかし、これに限られず、複数の基地局と、これと相互に有線で通信可能な複数の端末局との関係を管理するシステムであっても良い。
【0090】
(e) 第1、第2の実施形態のシステムに於いて、ルータ30A,30Bは、IPv6の拡張ヘッダ(図3)に、回線情報を付与している。しかし、これに限られず、ルータ30A,30Bは、IPv6のフローラベル(図3)に、回線情報を付与しても良い。
【符号の説明】
【0091】
10−1,10−2 端末(端末局)
20−1,20−2 基地局
21 スイッチングハブ
30 ルータ
30A ルータ(第1のルータ)
30B ルータ(第2のルータ)
40 管理サーバ
41 回線管理サーバ
42 通信量管理サーバ
43 DHCPサーバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスプロバイダがサービス環境に於いて、パケット単位にアクセス回線を識別可能な通信量管理方法および通信量管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、独自の無線ルータ(以下、「基地局」という。)を用いることで、無線LANを利用したインターネットアクセスを会員相互で共有する「FON」という技術が知られている。
非特許文献1には、FONの概要が開示されている。
【0003】
《従来技術に於けるアクセス回線の構成》
図11は、従来技術に於けるアクセス回線を示す構成図である。
このシステムは、複数の端末10−1,10−2と、複数の基地局20−1,20−2と、スイッチングハブ21と、ルータ30と、管理サーバ40とを有し、インターネット100にアクセス可能に構成されている。
【0004】
端末10−1,10−2は、複数の基地局20−1,20−2のいずれかに無線で接続可能である。基地局20−1,20−2は、スイッチングハブ21とルータ30とを介して、インターネット100に接続されている。インターネット100には管理サーバ40が接続されており、基地局20−1,20−2と相互に通信可能である。
端末10−1のユーザは、基地局20−1を有している。端末10−1から基地局20−1を介してインターネット100にアクセスする場合は、自回線を用いた通信である。
端末10−2のユーザは、基地局20−2を有している。端末10−2から基地局20−2を介してインターネット100にアクセスする場合は、自回線を用いた通信である。端末10−1から基地局20−2を介してインターネット100にアクセスする場合は、第三者回線を用いた通信である。
【0005】
《従来技術に於けるアクセス回線の動作》
図11に基いて、端末10−1,10−2からインターネット100へのアクセス回線を確立する動作を説明する。
端末10−1,10−2のユーザはそれぞれ、基地局20−1,20−2を宅内のスイッチングハブ21を介してブロードバンドルータ30(以下、「ルータ30」という。)に接続することにより、インターネット100に接続する。
【0006】
端末10−1を有している契約ユーザが基地局20−2に最初にアクセスしたとき、基地局20−2は、管理サーバ40に自動で接続する。以降、この契約ユーザを含む他のユーザは、この基地局20−2へのアクセスが可能となる。以下、基地局20−2に着目して動作を説明する。
【0007】
基地局20−2は、自回線を用いた通信と、第三者回線を用いた通信とで、SSID(Service Set Identifier:基地局20−1,20−2と端末10−1,10−2との間でやりとりする無線LAN−ID)を分離している。これらのSSIDは、ネットワーク経由で管理サーバ40が設定している。
【0008】
複数の端末10−1,10−2が、同一の基地局20−2を介してアクセスする場合、サービスプロバイダから払い出すことができるグローバルアドレスは1つとなる。基地局20−2は、複数ユーザの利用のため、ルータ機能を具備している。基地局20−2は、1つのグローバルアドレスを払い出される。そして、基地局20−2配下の端末10−1,10−2は、NAT(Network Address Translation)またはNAPT(Network Address Port Translation)機能による複数のプライベートIPアドレスを払い出される。
【0009】
基地局20−2は、この基地局20−2に接続した端末10−1,10−2の利用履歴を、管理サーバ40へ通知する。通知している情報は、「接続時間・接続先基地局番号・通信量など」である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「FON」、[online]、フォン・ジャパン株式会社、[平成23年5月7日検索]、インターネット(URL: http://www.fon.ne.jp/sb/about/index.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
移動体キャリアに加えて、最近は固定キャリアにおいても、ヘビーユーザ対策などを目的に「使った分だけ支払う」という従量課金の導入が進んでいる。移動体キャリアの場合はSIMカード(Subscriber Identity Module Card)単位、固定キャリアはアクセス回線単位で課金するケースが主流である。
【0012】
しかし、FONのような第三者にもアクセス回線を開放するようなビジネスを行う場合、固定キャリアで回線単位での従量課金を行うと、アクセス回線の利用者が課金されるのでなく、アクセス回線の所有者が課金されてしまう、という問題が生じてしまう。
【0013】
そこで、本発明は、アクセス回線による従量課金の仕組みを維持したまま、第三者にアクセス回線を提供しても、この第三者に対して課金することを可能とする通信量管理方法および通信量管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決し、本発明の目的を達成するために、以下のように構成した。
【0015】
すなわち、請求項1に記載の発明は、第1のルータ、第2のルータを少なくとも有するネットワークに於いて、端末局とアクセス回線の其々の組合せに於ける通信量を管理する通信量管理方法であって、前記第1のルータは、前記端末局が外部ネットワークに送信した上りIPパケットから送信元IPアドレスと前記アクセス回線を識別する回線情報を取得し、前記回線情報と前記送信元IPアドレスとの対応を記録すると共に前記上りIPパケットに前記回線情報を付与して前記第2のルータに送信し、前記第2のルータは、前記上りIPパケットに於ける前記送信元IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記端末局が前記外部ネットワークに送信する前記上りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記上りIPパケットから前記回線情報を削除して前記外部ネットワークに送信することを特徴とする通信量管理方法とした。
【0016】
請求項5に記載の発明は、第1のルータ、第2のルータを少なくとも有し、端末局とアクセス回線の其々の組合せに於ける通信量を管理する通信量管理システムであって、前記第1のルータは、前記端末局が外部ネットワークに送信した上りIPパケットから送信元IPアドレスと前記アクセス回線を識別する回線情報を取得し、前記回線情報と前記送信元IPアドレスとの対応を記録すると共に前記上りIPパケットに前記回線情報を付与して前記第2のルータに送信し、前記第2のルータは、前記上りIPパケットに於ける前記送信元IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記端末局が前記外部ネットワークに送信する前記上りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記上りIPパケットから前記回線情報を削除して前記外部ネットワークに送信することを特徴とする通信量管理システムとした。
【0017】
このようにすることで、本実施形態に係る通信量管理方法および通信量管理システムによれば、上りIPパケットの通信量を、端末局(送信元IPアドレス)と回線情報ごとにカウントすることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信量管理方法に於いて更に、前記第2のルータは、前記外部ネットワークから前記端末局に送信された下りIPパケットから送信先IPアドレスを取得し、前記送信先IPアドレスに対応した前記回線情報を前記下りIPパケットに付与して前記第1のルータに送信し、前記第1のルータは、前記下りIPパケットに於ける前記送信先IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記外部ネットワークが前記端末局に送信する前記下りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記下りIPパケットから前記回線情報を削除して前記端末局に送信することを特徴とする通信量管理方法とした。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の通信量管理システムに於いて更に、前記第2のルータは、前記外部ネットワークから前記端末局に送信された下りIPパケットから送信先IPアドレスを取得し、前記送信先IPアドレスに対応した前記回線情報を前記下りIPパケットに付与して前記第1のルータに送信し、前記第1のルータは、前記下りIPパケットに於ける前記送信先IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記外部ネットワークが前記端末局に送信する前記下りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記下りIPパケットから前記回線情報を削除して前記端末局に送信することを特徴とする通信量管理システムとした。
【0020】
このようにすることで、本実施形態に係る通信量管理方法および通信量管理システムによれば、下りIPパケットの通信量を、端末局(送信元IPアドレス)と回線情報ごとにカウントすることができる。よって、第三者にアクセス回線を提供しても、この第三者に対して課金することが容易に実現できる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、前記第1のルータは、前記上りIPパケットに対応するVID(Virtual LAN Identifier)または前記端末局に割り当てられたIPv6アドレスの前半Prefixにより、前記アクセス回線を識別する前記回線情報を取得し、前記第2のルータは、当該VID(Virtual LAN Identifier)による前記回線情報を、前記端末局に送信された前記下りIPパケットに付与することを特徴とする請求項2に記載の通信量管理方法とした。
【0022】
請求項7に記載の発明は、前記第1のルータは、前記上りIPパケットに対応するVID(Virtual LAN Identifier)または前記端末局に割り当てられたIPv6アドレスの前半Prefixにより、前記アクセス回線を識別する前記回線情報を取得し、前記第2のルータは、当該VID(Virtual LAN Identifier)による前記回線情報を、前記端末局に送信された前記下りIPパケットに付与することを特徴とする請求項6に記載の通信量管理システムとした。
【0023】
このようにすることで、本実施形態に係る通信量管理方法および通信量管理システムによれば、回線情報の識別が容易に実現できる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のネットワークに於いて更に、通信量管理サーバを有し、前記通信量管理サーバは、所定時間が経過する毎に、または/および、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)のリースタイマの終了タイミングで、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々が送信する前記上りIPパケットの通信量、または/および、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々が受信する前記下りIPパケットの通信量を受信することを特徴とする通信量管理方法とした。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の通信量管理システムに於いて更に、通信量管理サーバを有し、前記通信量管理サーバは、所定時間が経過する毎に、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々が送信する前記上りIPパケットの通信量、または/および、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々が受信する前記下りIPパケットの通信量を受信することを特徴とする通信量管理システムとした。
【0026】
このようにすることで、本実施形態に係る通信量管理方法および通信量管理システムによれば、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々に於ける上りIPパケットの通信量と下りIPパケットの通信量とを把握可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、アクセス回線による従量課金の仕組みを維持したまま、第三者にアクセス回線を提供しても、この第三者に対して課金することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施形態に於けるRouter Advertisement時の接続を示す構成図である。
【図2】イーサネット(登録商標)フレームのフォーマットを示す図である。
【図3】IPv6のパケットフォーマットを示す図である。
【図4】第1の実施形態に於ける通信開始時の回線情報付与/削除を示すシーケンス図である。
【図5】第1の実施形態に於けるバイトカウント量の通知(定期通知)を示すシーケンス図である。
【図6】第2の実施形態に於けるDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)時の接続を示す構成図である。
【図7】第2の実施形態に於ける通信開始時の回線情報付与/削除を示すシーケンス図である。
【図8】第2の実施形態に於けるバイトカウント量の通知(DHCPリース契約の通知)を示すシーケンス図である。
【図9】第3の実施形態に於ける通信開始時の回線情報付与/削除を示すシーケンス図である。
【図10】第3の実施形態に於けるバイトカウント量の通知(定期通知)を示すシーケンス図である。
【図11】従来技術に於けるアクセス回線を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以降、本発明を実施するための形態(「本実施形態」という)を、図等を参照して詳細に説明する。
【0030】
(第1の実施形態の構成)
図1は、第1の実施形態に於けるRouter Advertisement時の接続を示す構成図である。なお、明細書と図面に於いて、Router Advertisementを「RA」と略している場合がある。
【0031】
このシステムは、複数の端末10−1,10−2と、複数の基地局20−1,20−2と、スイッチングハブ21と、第1のルータであるルータ30Aと、第2のルータであるルータ30Bと、管理サーバ40と、回線管理サーバ41と、通信量管理サーバ42とを有し、インターネット100にアクセス可能に構成されている。端末10−1のユーザは、基地局20−1を自回線として有している。端末10−2のユーザは、基地局20−2を自回線として有している。端末10−1のユーザは、基地局20−2を第三者回線として使用可能である。通信量管理サーバ42は、複数の端末10−1,10−2と、複数の基地局20−1,20−2とが、どのユーザに所属しているかというデータベースを有している。通信量管理サーバ42は、それぞれの端末10−1,10−2が、それぞれの基地局20−1,20−2にアクセスしたとき、そのアクセス回線が自回線であるか第三者回線であるかを識別可能である。
【0032】
端末10−1,10−2は、複数の基地局20−1,20−2のいずれかに無線で接続可能である。基地局20−1,20−2は、スイッチングハブ21とルータ30A,30Bとを介して、インターネット100に接続されている。管理サーバ40は、ルータ30Aとルータ30Bとの間のネットワークに接続されており、基地局20−1,20−2と相互にIPv6(Internet Protocol Version 6)で通信可能である。回線管理サーバ41と、通信量管理サーバ42とは、ルータ30Aとルータ30Bとの間のネットワークに、それぞれルータ30A,30BとIPv6で通信可能に接続されている。このシステムは、端末10−1,10−2と、アクセスポイントである基地局20−1,20−2によるアクセス回線の其々の組合せに於ける通信量を管理する通信量管理システムである。なお、以下の本明細書と図面において、アクセスポイントのことを「AP」と記載している場合がある。
【0033】
図2は、イーサネット(登録商標)フレームのフォーマットを示す図である。図2に示すフォーマットは、IEEE802.1Qに準拠している。
イーサネット(登録商標)フレームは、先頭から順に、宛先MACアドレス(Media Access Control address)と、送信元MACアドレスと、タグヘッダと、フレームタイプと、ペイロードであるデータと、FCS(Frame Check Sequence)フィールドとを有している。
【0034】
タグヘッダは更に、先頭から順に、3ビットのユーザプライオリティと、1ビットのCFI(Canonical Format Indicator)と、12ビットのVLAN−ID(Virtual LAN Identifier)とを有している。以下、本明細書および図面では、VLAN−IDを、VID(Virtual LAN Identifier)と略している場合がある。
図3は、IPv6のパケットフォーマットを示す図である。
【0035】
IPv6のパケットフォーマットは、4ビットのバージョン番号と、8ビットのトラフィッククラスと、20ビットのフローラベルと、16ビットのペイロード長と、8ビットのネクストヘッダと、8ビットの最大ホップ長と、128ビットの送信元IPアドレスと、128ビットの宛先IPアドレスと、拡張ヘッダと、データ本体とから構成されている。
【0036】
バージョン番号は、バージョン6を示す2進数の「0110」が格納されている。トラフィッククラスはQoS(Quality of Service)のための優先度の識別に用いられる。フローラベルはルータ制御を要求するラベル付けのためのフィールドである。
【0037】
ペイロード長は、IPv6の拡張ヘッダ長が格納されている。ネクストヘッダは、IPv6ヘッダに続くヘッダタイプを示している。ネクストヘッダは、IPv6に於ける拡張ヘッダの他、UDP(User Datagram Protocol)やTCP(Transmission Control Protocol)などを識別可能な情報を含んでいる。最大ホップ長は、ルータ越えの制限を示している。最大ホップ長に格納される値の255は、ルータ越えが禁止されていることを示す特別の値である。
【0038】
送信元IPアドレスは、このパケットを送信した装置のIPアドレスを示している。宛先IPアドレスは、このパケットの宛先の装置のIPアドレスを示している。
【0039】
(第1の実施形態の動作)
図4は、第1の実施形態に於ける通信開始時の回線情報付与/削除を示すシーケンス図である。図4に示すシーケンスは、端末からインターネット側に向けての上り通信を示している。
【0040】
ステップS10に於いて、端末10−n(nは自然数)は、エッジルータであるルータ30AからのRA(Router Advertisement)を受信する。ステップS11において、端末10−nは、自らのIPv6アドレスを生成し、インターネット100と通信可能な状態になる。なお、図面では、IPv6アドレスのことを、「V6アドレス」と記載している場合がある。
【0041】
ステップS12に於いて、端末10−nは、インターネット100の何れかの機器へ最初のIPパケットを送信するために、ルータ30Aに向けて、この最初の上りIPパケットを送信する。
【0042】
ステップS20に於いて、デフォルトゲートウェイであるルータ30Aは、IPパケットの送信元IPアドレスとイーサネット(登録商標)フレームのVID(Virtual LAN Identifier)とを確認し、どの端末10−n(=10−1,10−2,…)がどのアクセス回線である基地局20−n(=20−1,20−2,…)からアクセスしてくるかを識別する。以下、ここで識別された情報を「回線情報」という。
【0043】
ステップS21に於いて、ルータ30Aは、この最初の上りIPパケットに含まれている送信元IPアドレスと、この最初の上りIPパケットに対応したVIDとを回線管理サーバ41に送信して回線確認する。
【0044】
ステップS22に於いて、回線管理サーバ41は、当該VIDに相当する回線情報をルータ30Aへ通知する。ステップS23に於いて、ルータ30Aは、肯定応答(ACK)を返し、ステップS24に於いて、端末10−nの端末IPアドレスと回線情報との対応表を生成する。
ステップS25に於いて、ルータ30Aは、この上りIPパケットに回線情報を付与する。
【0045】
ステップS26に於いて、回線管理サーバ41は、固定キャリア網内にあるもう一方のエッジルータであるルータ30Bに対して、送信元IPアドレスとVIDを通知する。ステップS27に於いて、ルータ30Aは肯定応答(ACK)を返し、ステップS28に於いて、端末IPアドレスと回線情報との対応表を生成する。
【0046】
ステップS29に於いて、ルータ30Aは、回線情報が付与された上りIPパケットを、ルータ30Bに送信する。図4では、回線情報が付与された上りIPパケットを「IPパケットw/回線情報」と記載している。以下の図では、回線情報が付与された上りIPパケットと下りIPパケットを同様に記載している。
【0047】
ステップS30に於いて、ルータ30Bは、送信元IPアドレスから端末10−n(ユーザ)を識別し、付与された回線情報からアクセス回線を識別し、端末かつ回線情報ごとに上りIPパケットのバイト数をカウントする。
【0048】
ステップS31に於いて、ルータ30Bは、上りIPパケットから回線情報を削除して標準フレームとし、ステップS100に於いて、インターネット100へ当該上りIPパケットを送信する。
【0049】
インターネット100側から端末10−nに向けての下り通信については、図4に示すシーケンスと同様に、ルータ30Bで回線情報などを付与し、ルータ30Aで下りIPパケットをカウントすることにより、上りと下りの両方向の通信パケットのカウントが可能である。
【0050】
通信中にハンドオーバと呼ばれるアクセスポイント(基地局20−n)の切り替えが起こった場合は、VID(Virtual LAN Identifier)は変更される。変更後に、端末10−nが上りIPパケットをルータ30に送信したとき、ルータ30Aは、端末IPアドレスと回線情報との対応表に存在しないエントリと認識する(ステップS20)。そのため、新たに回線管理サーバ41へ回線情報を確認する(ステップS21)。回線管理サーバ41は、回線情報を通知する(ステップS22)。
ルータ30Aは、この回線情報の通知に対して肯定応答(ACK)し(ステップS23)、端末IPアドレスと回線情報との対応表に、新たなエントリを追加する(ステップS24)。以降、ルータ30Aは、端末10−nからの上りIPパケットに、この回線情報を付与する(ステップS25)。
【0051】
図5は、第1の実施形態に於けるバイトカウント量の通知(定期通知)を示すシーケンス図である。
前述した図4で示した回線情報付与/削除処理により、端末(ユーザ)とアクセス回線を意識したパケットカウントを行うことが可能である。図5では、そのカウントした情報を定期的に通知することで、一元的に収集する方法を示す。
最初に、端末10−nからインターネット100向けの上り通信を説明する。
ステップS40に於いて、端末10−nは、ルータ30Aに上りIPパケットを送信する。
ステップS41に於いて、ルータ30Aは、上りIPパケットの拡張ヘッダ(図3)に回線情報を付与してルータ30Bに送信する。図5では、回線情報が付与された上りIPパケットを「IPパケットw/回線情報」と記載している。
【0052】
ステップS42に於いて、ルータ30Bは、上りIPパケットの拡張ヘッダ(図3)に付与された回線情報を意識したパケットカウントを行い、ステップS43に於いて、上りIPパケットから、拡張ヘッダ(図3)に付与された回線情報を削除し、インターネット100へ送信する。
次に、インターネット100から端末10−n向けの下り通信を説明する。
ステップS44に於いて、インターネット100からルータ30Bに下りIPパケットが送信される。
ステップS45に於いて、ルータ30Bは、下りIPパケットの拡張ヘッダ(図3)に回線情報を付与してルータ30Aに送信する。図5では、回線情報が付与された下りIPパケットを「IPパケットw/回線情報」と記載している。
【0053】
ステップS46に於いて、ルータ30Aは、下りIPパケットの拡張ヘッダ(図3)に付与された回線情報を意識したパケットカウントを行い、ステップS47に於いて、この下りIPパケットから、拡張ヘッダ(図3)に付与された回線情報を削除し、端末10−nへ送信する。
【0054】
ステップS50に於いて、ルータ30Aは、所定時間が経過する毎に、ステップS51に於いて、「端末かつ回線情報」単位でカウントした下りIPパケットのバイト量やパケット数を、通信量管理サーバ42へ通知する。ステップS52に於いて、通信量管理サーバ42は、この通知への応答をルータ30Aに送信する。
【0055】
同様に、ステップS60に於いて、ルータ30Bは、所定時間が経過する毎に、ステップS61に於いて、「端末かつ回線情報」単位でカウントした上りIPパケットのバイト量やパケット数を、通信量管理サーバ42へ通知する。ステップS62に於いて、通信量管理サーバ42は、この通知への応答をルータ30Bに送信する。
ステップS70に於いて、通信量管理サーバ42は、自回線と第三者回線による上りと下りの通信量をそれぞれ算出する。
【0056】
通信量管理サーバ42では、自回線と第三者回線による通信量を一元的に管理した結果、基地局20−n経由のアクセスによる従量課金の仕組みを維持したまま、第三者に基地局20−n経由のアクセス回線を提供しても、この第三者に対して課金することが可能となる。
具体的な例をいうと、以下のような課金方法が可能になる。
【0057】
(ケース1) 端末10−n(ユーザ)が、自分が有する基地局20−nに接続して自分自身の契約回線(自回線)を利用した場合は、通信バイト量をそのままカウントする。
(ケース2) 端末10−n(ユーザ)が、第三者が有する基地局20−nに接続して第三者の契約回線(第三者回線)を利用した場合は、通信バイト量を1.2倍にしてカウントする。(=割高な通信)
(ケース3) 上記ケース2でアクセス回線を提供した端末10−n(ユーザ)は、ケース2で使わせた通信バイト量の0.1倍を自分の累積カウント量から減算する。(=ディスカウントする。)
【0058】
(第1の実施形態の効果)
以上説明した第1の実施形態では、次の(A)〜(F)のような効果がある。
(A) 通信量管理サーバ42では、自回線と第三者回線による通信量を一元的に管理した結果、基地局20−n経由のアクセスによる従量課金の仕組みを維持したまま、第三者に基地局20−n経由のアクセス回線を提供しても、この第三者に対して課金することが可能となる。
【0059】
(B) ルータ30Aによって、回線情報を上りIPパケットに付与している。ルータ30Bによって、この回線情報が付与された上りIPパケットをカウントしている。これにより、単一のルータによって回線識別とパケットカウントを行うよりも、個々の処理時間が短くなり、よってパケットカウントの処理によるパケットの遅延が少なくなり、通信の高速化に寄与するという効果がある。
【0060】
(C) ルータ30Aによって、回線情報を上りIPパケットに付与し、回線情報が付与された下りIPパケットをカウントしている。上りIPパケットと下りIPパケットとは、同時に発生することが少ないので、ルータ30Aの上りIPパケットへの回線情報の付与処理と、下りIPパケットのカウント処理とは同時に発生することは少なく、これらの処理によるIPパケットの遅延を少なくすることが可能である。
【0061】
(D) ルータ30Bによって、回線情報を下りIPパケットに付与し、回線情報が付与された上りIPパケットをカウントしている。上りIPパケットと下りIPパケットとは、同時に発生することが少ないので、ルータ30Bの下りIPパケットへの回線情報の付与処理と、上りIPパケットのカウント処理とは同時に発生することは少なく、これらの処理によるIPパケットの遅延を少なくすることが可能である。
【0062】
(E) ルータ30Bは、回線情報が付与された上りIPパケットをカウントしたのち、この回線情報をIPパケットから削除している。これにより、インターネット100への回線情報(内部情報)の漏洩を防ぐと共に、このIPパケットの宛先アドレスが示している機器へ、標準フレームでIPパケットを送信可能であり、宛先機器の誤動作の虞がなくなる。
【0063】
(F) ルータ30Aは、回線情報が付与された下りIPパケットをカウントしたのち、この回線情報をIPパケットから削除している。これにより、第三者回線として接続している他者の端末10−nへの、自分の基地局20−nに係る回線情報(内部情報)の漏洩を防ぐことが可能である。更に、この端末10−nへ、標準フレームでIPパケットを送信可能であり、端末10−nの誤動作の虞がなくなる。
【0064】
(第2の実施形態の構成)
図6は、第2の実施形態に於けるDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)時の接続を示す構成図である。図1に示す第1の実施形態に於ける構成と同一の要素には同一の符号を付与している。
【0065】
本実施形態の構成は、第1の実施形態と同様の構成に加えて更に、DHCPサーバ43を有している。このDHCPサーバ43は、ルータ30Aとルータ30Bとの間のネットワークに接続されており、ルータ30A、および、基地局20−1,20−2のいずれかに接続されている端末10−1,10−2と相互にIPv6で通信可能に構成されている。
【0066】
(第2の実施形態の動作)
図7は、第2の実施形態に於ける通信開始時の回線情報付与/削除を示すシーケンス図である。
ステップS80に於いて、端末10−nは、ルータ30Aに、DHCP Solicitメッセージを送信する。このDHCP Solicitメッセージは、クライアントである端末10−nがDHCPサーバ43の場所を突き止める要請メッセージである。
ステップS81に於いて、ルータ30Aは、DHCPサーバ43に、DHCP Solicit(要請)メッセージを中継(リレー)する。
【0067】
ステップS82に於いて、DHCPサーバ43は、ルータ30Aに、DHCP Advertiseメッセージを送信する。このDHCP Advertiseメッセージは、クライアントである端末10−nから受信した要請メッセージに応えて、DHCPサービスで利用可能であることを示す広告メッセージである。
ステップS83に於いて、ルータ30Aは、端末10−nに、DHCP Advertise(広告)メッセージを中継(リレー)する。
【0068】
ステップS84に於いて、端末10−nは、ルータ30Aに、DHCP Requestメッセージを送信する。このDHCP Requestメッセージは、DHCPサーバ43のIPアドレスを含む設定パラメータを要求する要求メッセージである。
ステップS85に於いて、ルータ30Aは、DHCPサーバ43に、DHCP Request(要求)メッセージを中継(リレー)する。
【0069】
ステップS86に於いて、DHCPサーバ43は、ルータ30Aに、DHCP Replyメッセージを応答する。このDHCP Replyメッセージは、端末10−nから受け取ったDHCP Request(要求)メッセージに応えるものであり、設定パラメータを含んでいる応答メッセージである。
ステップS21〜S24,ステップS26〜S28の処理は、図4に示す第1の実施形態のシーケンスと同様である。
ステップS24Aに於いて、ルータ30Aは、端末10−nに、DHCP Reply(応答)メッセージをリレー応答する。
ステップS24Bに於いて、端末10−nは、自らに、IPv6のアドレスを割り当てる。
【0070】
ステップS24Cに於いて、端末10−nは、インターネット100の何れかの機器へ、最初のIPパケットを送信するために、ルータ30Aに向けて、この最初の上りIPパケットを送信する。
以下、ステップS25,S29〜S31,S100の処理は、図4に示す第1の実施形態のシーケンスと同様である。
【0071】
図8は、第2の実施形態に於けるバイトカウント量の通知(DHCPリース契約の通知)を示すシーケンス図である。図5に示す第1の実施形態のシーケンスと同一の処理には同一の符号を付与している。
ステップS40〜S47の処理は、図5に示す第1の実施形態のシーケンスに示すステップS40〜S47の処理と同様である。
【0072】
ステップS90に於いて、DHCPサーバ43は、端末10−nのリースタイマが終了したことを検知する。ステップS91に於いて、DHCPサーバ43は、この端末10−nのアドレス削除メッセージをルータ30Aに送信する。
【0073】
ステップS92に於いて、ルータ30Aは、端末10−nの通信が切断したと判断する。ステップS51に於いて、ルータ30Aは、端末10−nの通信切断を契機に、「端末かつ回線情報」単位にカウントしたバイト量やパケット数を、通信量管理サーバ42へ通知する。ルータ30Aから通知するのは、インターネット100から端末10−nへの下り通信分である。
ステップS52に於いて、通信量管理サーバ42は、ルータ30Aに、このバイト量通知に対する応答を送信する。
ステップS61Aに於いて、通信量管理サーバ42は、ルータ30Bに通信量(バイト量)の通知を要求する。
【0074】
ステップS61Bに於いて、ルータ30Bは、「端末かつ回線情報」単位にカウントしたバイト量やパケット数を、通信量管理サーバ42へ通知する。ルータ30Bから通知するのは、端末10−nからインターネット100への上り通信分である。
ステップS70の処理は、図5に示す第1の実施形態のシーケンスに示すステップS70の処理と同様である。
【0075】
(第2の実施形態の効果)
以上説明した第2の実施形態では、次の(G)のような効果がある。
(G) DHCPサーバ43が管理するシステム、例えばIPv4(Internet Protocol Version 4)で接続されているシステムに於いても、第1の実施形態と同様に通信量管理サーバ42では、自回線と第三者回線による通信量を一元的に管理した結果、基地局20−n経由のアクセスによる従量課金の仕組みを維持したまま、第三者に基地局20−n経由のアクセス回線を提供しても、この第三者に対して課金することが可能となる。
【0076】
(第3の実施形態の構成)
本実施形態のシステムは、図1に示す第一の実施形態と同様の構成を有している。
【0077】
(第3の実施形態の動作)
図9は、第3の実施形態に於ける通信開始時の回線情報付与/削除を示すシーケンス図である。図4に示す第1の実施形態を示すシーケンス図と同一の構成には同一の符号を付与している。
本実施形態では、第1の実施形態に於けるVID(Virtual LAN Identifier)に変えて、端末10−nに係るIPv6アドレスの前半部のPrefixを用いてアクセス回線を識別している。
IPv6アドレスの前半部の64ビットは、PrefixまたはネットワークIDと呼ばれている。IPv6アドレスの後半部の64ビットは、インタフェースIDと呼ばれている。
本実施形態のルータ30Aは、端末10−nに、この端末10−nが接続している基地局20−nに対応したPrefixを生成させる。ルータ30A,30Bは、IPパケットに含まれているIPアドレスの前半部のPrefixによって、アクセス回線を識別している。以下、本明細書および図面に於いて、このIPアドレスの前半部のPrefixを、「前半Prefix」と略している場合がある。
IPアドレスの後半部のインタフェースIDは、MACアドレス(Media Access Control address)に基いて自動構成される。
【0078】
本実施形態のステップS10に於いて、ルータ30Aは、第1の実施形態のステップS10に於ける処理と同様の処理に加えて更に、IPv6アドレスの前半Prefixが、アクセス回線である基地局20−nを示すように、RA(Router Advertisement)で指示している。
ステップS11Aに於いて、端末10−nは、IPv6アドレスの前半Prefixがアクセス回線に対応するように、このIPv6アドレスを割り当てる。すなわち、端末10−nは、接続している基地局20−nに対応するように、IPv6アドレスの前半Prefixを割り当てる。
本実施形態のステップS12に於ける端末10−nの処理は、第1の実施形態のステップS12に於ける処理と同様である。
【0079】
ステップS20に於いて、ルータ30Aは、送信元IPアドレスと、この送信元IPアドレスの前半Prefixを確認し、どの端末10−n(=10−1,10−2,…)がどのアクセス回線である基地局20−n(=20−1,20−2,…)からアクセスしてくるかを識別する。以下、ここで識別された情報を「回線情報」という。
【0080】
ステップS21Aに於いて、ルータ30Aは、この最初の上りIPパケットに含まれている送信元IPアドレスと、この最初の上りIPパケットの送信元IPアドレスの前半Prefixとを回線管理サーバ41に送信する。
本実施形態のステップS22〜S28の処理は、第1の実施形態のステップS22〜S28に於ける処理と同様である。
ステップS29Aに於いて、ルータ30Aは、ステップS12にて受信した端末10−nからの最初の上りIPパケットを、そのままルータ30Bに送信する。
本実施形態のステップS30〜S31,S100の処理は、第1の実施形態のステップS30〜S31,S100に於ける処理と同様である。
【0081】
図10は、第3の実施形態に於けるバイトカウント量の通知(定期通知)を示すシーケンス図である。図5に示す第1の実施形態を示すシーケンス図と同一の構成には同一の符号を付与している。
最初に、端末10−nからインターネット100向けの上り通信を説明する。
ステップS40に於いて、第1の実施形態のステップS40と同様に、端末10−nは、ルータ30Aに上りIPパケットを送信する。
ステップS41Aに於いて、ルータ30Aは、上りIPパケットを、そのままルータ30Bに送信する。
【0082】
ステップS42に於いて、ルータ30Bは、上りIPパケットの回線情報である送信元アドレス(IPv6アドレス)の前半Prefixを意識したパケットカウントを行い、ステップS43に於いて、上りIPパケットをそのままインターネット100へ送信する。
次に、インターネット100から端末10−n向けの下り通信を説明する。
ステップS44に於いて、インターネット100からルータ30Bに下りIPパケットが送信される。
ステップS45Aに於いて、ルータ30Bは、下りIPパケットをそのままルータ30Aに送信する。
【0083】
ステップS46に於いて、ルータ30Aは、下りIPパケットの回線情報である宛先アドレスの前半Prefixが示す回線情報を意識したパケットカウントを行い、ステップS47に於いて、この下りIPパケットを端末10−nへ送信する。
本実施形態のステップS50〜S52,S60〜S62,S70の処理は、図5に示す第1の実施形態のステップS50〜S52,S60〜S62,S70の処理と同様である。
【0084】
(第3の実施形態の効果)
以上説明した第3の実施形態では、次の(H)のような効果がある。
(H) 本実施形態では、端末10−nに係るIPv6アドレスの前半Prefixを用いてアクセス回線を識別している。これにより、IPパケットへの回線情報の付与と削除が不要となり、IPパケットの遅延が少なくなる。更に、ルータ30A,30Bに於ける処理に係るメモリの使用量が少なくなり、かつ、省電力となる。
(変形例)
【0085】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(e)のようなものがある。
【0086】
(a) 第2の実施形態に於いて、ルータ30Aは、端末10−nの通信切断を契機に、「端末かつ回線情報」単位にカウントしたバイト量やパケット数を、通信量管理サーバ42へ通知している。しかし、これに限られず、ルータ30Aは、所定時間が経過する毎に、「端末かつ回線情報」単位にカウントしたバイト量やパケット数を、通信量管理サーバ42へ通知しても良い。これにより、通信量管理サーバ42は、直近の端末10−nの状況を、更に正確に把握可能となる。
【0087】
(b) 第1、第2の実施形態のシステムに於いて、端末10−nと基地局20−nと回線管理サーバ41と通信量管理サーバ42とは、IPv6で相互に通信可能に接続されている。しかし、これに限られず、システムの一部がIPv4で相互に通信可能に接続され、残りのシステムがIPv6で相互に通信可能に接続されていても良い。更に、システムの全てがIPv4で相互に通信可能に接続されていても良い。
【0088】
(c) 第1〜第3の実施形態のシステムに於いて、通信量管理サーバ42は、基地局20−1,20−2と端末10−1,10−2とのアクセス回線を管理している。しかし、これに限られず、通信量管理サーバ42は、3以上の基地局と、これと相互に通信可能な複数の端末局との関係を管理しても良い。通信量管理サーバ42は更に、複数の基地局と、これと相互に通信可能な3以上の端末局との関係を管理しても良い。
【0089】
(d) 第1〜第3の実施形態のシステムに於いて、基地局20−nと端末10−nとの間は、無線で通信可能に接続されている。しかし、これに限られず、複数の基地局と、これと相互に有線で通信可能な複数の端末局との関係を管理するシステムであっても良い。
【0090】
(e) 第1、第2の実施形態のシステムに於いて、ルータ30A,30Bは、IPv6の拡張ヘッダ(図3)に、回線情報を付与している。しかし、これに限られず、ルータ30A,30Bは、IPv6のフローラベル(図3)に、回線情報を付与しても良い。
【符号の説明】
【0091】
10−1,10−2 端末(端末局)
20−1,20−2 基地局
21 スイッチングハブ
30 ルータ
30A ルータ(第1のルータ)
30B ルータ(第2のルータ)
40 管理サーバ
41 回線管理サーバ
42 通信量管理サーバ
43 DHCPサーバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のルータ、第2のルータを少なくとも有するネットワークに於いて、端末局とアクセス回線の其々の組合せに於ける通信量を管理する通信量管理方法であって、
前記第1のルータは、前記端末局が外部ネットワークに送信した上りIPパケットから送信元IPアドレスと前記アクセス回線を識別する回線情報を取得し、前記回線情報と前記送信元IPアドレスとの対応を記録すると共に前記上りIPパケットに前記回線情報を付与して前記第2のルータに送信し、
前記第2のルータは、前記上りIPパケットに於ける前記送信元IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記端末局が前記外部ネットワークに送信する前記上りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記上りIPパケットから前記回線情報を削除して前記外部ネットワークに送信する
ことを特徴とする通信量管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の通信量管理方法は更に、
前記第2のルータが、前記外部ネットワークから前記端末局に送信された下りIPパケットから送信先IPアドレスを取得し、前記送信先IPアドレスに対応した前記回線情報を前記下りIPパケットに付与して前記第1のルータに送信し、
前記第1のルータが、前記下りIPパケットに於ける前記送信先IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記外部ネットワークが前記端末局に送信する前記下りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記下りIPパケットから前記回線情報を削除して前記端末局に送信すること、
を特徴とする通信量管理方法。
【請求項3】
前記第1のルータは、前記上りIPパケットに対応するVID(Virtual LAN Identifier)または前記端末局に割り当てられたIPv6アドレスの前半Prefixにより、前記アクセス回線を識別する前記回線情報を取得し、
前記第2のルータは、当該VID(Virtual LAN Identifier)または前記端末局に割り当てられたIPv6アドレスの前半Prefixによる前記回線情報を、前記端末局に送信された前記下りIPパケットに付与する
ことを特徴とする請求項2に記載の通信量管理方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のネットワークは更に、通信量管理サーバを有し、
前記通信量管理サーバは、所定時間が経過する毎に、または/および、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)のリースタイマの終了タイミングで、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々が送信する前記上りIPパケットの通信量、または/および、前記端末局と前記回線情報との組合せ其々が受信する前記下りIPパケットの通信量を受信すること
を特徴とする通信量管理方法。
【請求項5】
第1のルータ、第2のルータを少なくとも有し、端末局とアクセス回線の其々の組合せに於ける通信量を管理する通信量管理システムであって、
前記第1のルータは、前記端末局が外部ネットワークに送信した上りIPパケットから送信元IPアドレスと前記アクセス回線を識別する回線情報を取得し、前記回線情報と前記送信元IPアドレスとの対応を記録すると共に前記上りIPパケットに前記回線情報を付与して前記第2のルータに送信し、
前記第2のルータは、前記上りIPパケットに於ける前記送信元IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記端末局が前記外部ネットワークに送信する前記上りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記上りIPパケットから前記回線情報を削除して前記外部ネットワークに送信する
ことを特徴とする通信量管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の通信量管理システムは更に、
前記第2のルータが、前記外部ネットワークから前記端末局に送信された下りIPパケットから送信先IPアドレスを取得し、前記送信先IPアドレスに対応した前記回線情報を前記下りIPパケットに付与して前記第1のルータに送信し、
前記第1のルータが、前記下りIPパケットに於ける前記送信先IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記外部ネットワークが前記端末局に送信する前記下りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記下りIPパケットから前記回線情報を削除して前記端末局に送信すること、
を特徴とする通信量管理システム。
【請求項7】
前記第1のルータは、前記上りIPパケットに対応するVID(Virtual LAN Identifier)または前記端末局に割り当てられたIPv6アドレスの前半Prefixにより、前記アクセス回線を識別する前記回線情報を取得し、
前記第2のルータは、当該VID(Virtual LAN Identifier)または前記端末局に割り当てられたIPv6アドレスの前半Prefixによる前記回線情報を、前記端末局に送信された前記下りIPパケットに付与する
ことを特徴とする請求項6に記載の通信量管理システム。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の通信量管理システムは更に、通信量管理サーバを有し、
前記通信量管理サーバは、所定時間が経過する毎に、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々が送信する前記上りIPパケットの通信量、または/および、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々が受信する前記下りIPパケットの通信量を受信すること
を特徴とする通信量管理システム。
【請求項1】
第1のルータ、第2のルータを少なくとも有するネットワークに於いて、端末局とアクセス回線の其々の組合せに於ける通信量を管理する通信量管理方法であって、
前記第1のルータは、前記端末局が外部ネットワークに送信した上りIPパケットから送信元IPアドレスと前記アクセス回線を識別する回線情報を取得し、前記回線情報と前記送信元IPアドレスとの対応を記録すると共に前記上りIPパケットに前記回線情報を付与して前記第2のルータに送信し、
前記第2のルータは、前記上りIPパケットに於ける前記送信元IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記端末局が前記外部ネットワークに送信する前記上りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記上りIPパケットから前記回線情報を削除して前記外部ネットワークに送信する
ことを特徴とする通信量管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の通信量管理方法は更に、
前記第2のルータが、前記外部ネットワークから前記端末局に送信された下りIPパケットから送信先IPアドレスを取得し、前記送信先IPアドレスに対応した前記回線情報を前記下りIPパケットに付与して前記第1のルータに送信し、
前記第1のルータが、前記下りIPパケットに於ける前記送信先IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記外部ネットワークが前記端末局に送信する前記下りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記下りIPパケットから前記回線情報を削除して前記端末局に送信すること、
を特徴とする通信量管理方法。
【請求項3】
前記第1のルータは、前記上りIPパケットに対応するVID(Virtual LAN Identifier)または前記端末局に割り当てられたIPv6アドレスの前半Prefixにより、前記アクセス回線を識別する前記回線情報を取得し、
前記第2のルータは、当該VID(Virtual LAN Identifier)または前記端末局に割り当てられたIPv6アドレスの前半Prefixによる前記回線情報を、前記端末局に送信された前記下りIPパケットに付与する
ことを特徴とする請求項2に記載の通信量管理方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のネットワークは更に、通信量管理サーバを有し、
前記通信量管理サーバは、所定時間が経過する毎に、または/および、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)のリースタイマの終了タイミングで、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々が送信する前記上りIPパケットの通信量、または/および、前記端末局と前記回線情報との組合せ其々が受信する前記下りIPパケットの通信量を受信すること
を特徴とする通信量管理方法。
【請求項5】
第1のルータ、第2のルータを少なくとも有し、端末局とアクセス回線の其々の組合せに於ける通信量を管理する通信量管理システムであって、
前記第1のルータは、前記端末局が外部ネットワークに送信した上りIPパケットから送信元IPアドレスと前記アクセス回線を識別する回線情報を取得し、前記回線情報と前記送信元IPアドレスとの対応を記録すると共に前記上りIPパケットに前記回線情報を付与して前記第2のルータに送信し、
前記第2のルータは、前記上りIPパケットに於ける前記送信元IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記端末局が前記外部ネットワークに送信する前記上りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記上りIPパケットから前記回線情報を削除して前記外部ネットワークに送信する
ことを特徴とする通信量管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の通信量管理システムは更に、
前記第2のルータが、前記外部ネットワークから前記端末局に送信された下りIPパケットから送信先IPアドレスを取得し、前記送信先IPアドレスに対応した前記回線情報を前記下りIPパケットに付与して前記第1のルータに送信し、
前記第1のルータが、前記下りIPパケットに於ける前記送信先IPアドレスと前記回線情報に基づいて前記外部ネットワークが前記端末局に送信する前記下りIPパケットの通信量をカウントし、更に前記下りIPパケットから前記回線情報を削除して前記端末局に送信すること、
を特徴とする通信量管理システム。
【請求項7】
前記第1のルータは、前記上りIPパケットに対応するVID(Virtual LAN Identifier)または前記端末局に割り当てられたIPv6アドレスの前半Prefixにより、前記アクセス回線を識別する前記回線情報を取得し、
前記第2のルータは、当該VID(Virtual LAN Identifier)または前記端末局に割り当てられたIPv6アドレスの前半Prefixによる前記回線情報を、前記端末局に送信された前記下りIPパケットに付与する
ことを特徴とする請求項6に記載の通信量管理システム。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の通信量管理システムは更に、通信量管理サーバを有し、
前記通信量管理サーバは、所定時間が経過する毎に、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々が送信する前記上りIPパケットの通信量、または/および、前記端末局と前記回線情報の組合せ其々が受信する前記下りIPパケットの通信量を受信すること
を特徴とする通信量管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−249255(P2012−249255A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121839(P2011−121839)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]