通報装置
【課題】エレベータやビル設備の状態を監視センターに通報するための通信網の通信品質を高品質に維持する。
【解決手段】通報装置3が、監視センターと接続されている通信路4の種類(電話回線、無線網、IP網等)に応じて、所定の時間間隔で、通信網の通信品質を複数の計測項目にわたって計測し、各計測項目に対する計測結果を解析し、通信網の通信品質が正常の状態ではないと判断した場合に、通信路4の通信品質が正常の状態でないことを警告する警告メッセージを監視センターに送信する。
【解決手段】通報装置3が、監視センターと接続されている通信路4の種類(電話回線、無線網、IP網等)に応じて、所定の時間間隔で、通信網の通信品質を複数の計測項目にわたって計測し、各計測項目に対する計測結果を解析し、通信網の通信品質が正常の状態ではないと判断した場合に、通信路4の通信品質が正常の状態でないことを警告する警告メッセージを監視センターに送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信網の通信品質を監視する技術に関し、特に、エレベータやビル設備の状態を監視センターに通報するための通信網の通信品質を監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータやビル設備(空調、照明、不正侵入等)の異常を検出する機器に接続される通報装置が、各種異常情報データやエレベータかご内の映像データ、音声データを、電話回線や無線網、IP(Internet Protocol)網等の通信路を経由して、監視センターヘ通知する遠隔監視システムにおいて、例えば不正侵入発生時に、通信路の問題で監視センターへの通知が遅れたり、最悪の場合、通知できないケースもありえる。このような事態は、遠隔監視システムを導入しているにもかかわらず、その主目的を果たしておらず、致命的といえる。
【0003】
エレベータやビル設備の遠隔監視システムは、一般的に図1のような構成をとる。
図1において、1は、エレベータを制御するエレベータ制御装置である。
2は、空調や照明、不正侵入等の異常を監視する設備異常監視装置である。
3は、エレベータ制御装置1、設備異常監視装置2から通知される異常を、監視センターヘ通知する通報装置である。
4は、電話回線、無線網、IP網等の通信路である。
5は、通報装置3から4の通信路経由で通知される異常データを受ける受信装置、6は受信した異常を表示・管理する装置である。
通報装置3は、定期的に監視センターへエレベータやビル設備の状態を発報し、図2に示すように、その発報が成功したか失敗したか程度の情報をログに残している。
通信路として電話回線を利用している場合、主な失敗要因は、S/N比や回線レベルの悪化、電話ケーブルの接触、劣化である。
しかし、前述のように、通信路として、無線網、IP網の利用も増加しており、その結果、以下の課題がある。
【0004】
(1)発報失敗要因が多数あり、失敗原因の特定とその対策の特定が困難である。
【0005】
(2)通信路の状況が、据付時は良くても周辺の状況の変化によって悪化する場合があるが、失敗発生率の増加によってしかそれがわからない。本来は、通信路悪化の予兆を検出し早期に対策すべきである。
周辺の状況の変化によって通信路の状況が悪化する場合としては、例えば、通信路として無線網を利用する場合は、周囲の建物の状況の変化(電波レベルが悪化)、捕捉可能な基地局数の変化(接統率が悪化)、周囲での無線網使用者の増加(速度切替回数が増加し通信中の途切れが発生、または接統率が悪化)が挙げられる。
また、通信路としてIP網を利用する場合は、例えば、同一回線を利用するパケット量の変化(パケットロス、パケット揺らぎ量、パケット遅延が増加)が挙げられる。
また、通信路として電話回線を利用する場合は、例えば、電話ケーブルの劣化(接統率が悪化)が挙げられる。
【0006】
(3)発報失敗があっても、偶発的な失敗と、そうでない失敗とは大きく意味が異なるが、その違いがわからない。本来、それを明確にして対策すべきである。
【0007】
(4)発報失敗が少ない、または無い場合でも、改善が可能な場合があるが、それがわからない。
例えば、無線網を利用する場合、電波レベルが通信可能な最低レベルである場合は、通常は発報成功するが、気象状況や周囲の無線使用者状況等、なんらかの外的影響により、発報失敗する可能性が高い。これは、無線機アンテナの場所を変更するだけで改善されることがあるが、電波レベルを計測していない場合には、改善の必要性を認識することができない。
本来、このような不備を明確にして対策し通信路を最良の状態に保つべきである。
【0008】
そして、通信路の通信品質を最適に維持することは、以下の点からも重要である。
エレベータかご内に乗客が閉じ込められる閉じ込め事故発生時は、エレベータかご内インターホンと、監視センター間でVoIP(Voice over Internet Protocol)による通話を行う場合がある。この場合、単純に異常を通報できる、できないだけでなく、通信路の品質を維持することが必要になる。例えば、パケットロス数やパケット遅延が大きいと、リアルタイムな伝送が必要なVoIPでの通話は、途切れ途切れになり、エレベータ内の状況が監視センターに正確に伝わらない場合がある。
【0009】
このように監視センターとの通信に用いられる通信路は高品質に保つ必要があるが、上記の(1)〜(4)の課題を解決できれば、通信路の影響で監視センターヘの異常通知が遅れる、または通知できないといった問題の発生率を大幅に低滅することが可能となる。
【0010】
このような課題に対して、特許文献1では、設備やエレベータの異常の有無を検出し、検出情報を通報し得るようにした監視装置と、検出情報を無線通信網を介して遠隔のセンター装置6へ通報する無線装置とを有する遠隔監視装置において、監視装置は無線装置の電波受信レベルを所定の時間間隔で確認し、電波受信レベルが所定の基準レベルより低い時は、それを無線装置4を介してセンター装置6へ通報する。
そして、このような構成により、電波不良による監視装置とセンター装置との間の伝送異常をセンター装置において早期に検出することができるとされている。
【特許文献1】特開2005−346163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に記載の技術は、通信路として無線網を利用する場合に限定しており、また監視対象も電波レベルのみに限定している。
先に述べたように、昨今、通信路として電話回線をはじめ、無線網、IP網等様々な種類の通信網の利用が増加している。このように通信網が多様化すると、通信失敗要因が様々(ハンドオーバー、チャネル切替、電波レベル、パケットロス、パケット揺らぎ等)であり、問題解決には、失敗要因を的確に識別して、適切な処置を講じる必要がある。
また、無線網に着目しても、前述したように、電波レベル以外にも無線通信品質に影響を与える様々な要素が存在し、電波レベル以外の影響要因を含めて総合的に通信品質を監視する必要がある。
【0012】
この発明は、このような課題を解決することを主な目的の一つとしており、複数種類の通信網を網羅し、また、通信網の通信品質を複数の測定項目を用いて評価する技術を実現することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る通報装置は、
建物の設備及びエレベータの少なくともいずれかにおける異常の有無を通報する通報データを通信路を介して遠隔のセンター装置に送信する通報装置であって、
所定の時間間隔で前記通信路の通信品質を複数の計測項目にわたって計測する通信品質計測部と、
前記通信品質計測部により計測された各計測項目に対する計測結果を解析し、前記通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断した場合に、前記通信路の通信品質が正常の状態でないことを警告する警告メッセージを前記センター装置に送信する通信品質判断部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通信網の通信品質を複数の計測項目にわたって計測し、各計測項目に対する計測結果を解析し、通信網の通信品質が正常の状態ではないと判断した場合に、通信網の通信品質が正常の状態でないことを警告する警告メッセージをセンター装置に送信するため、センター装置に接続している通信網の通信品質を高品質に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
本実施の形態に係る通報装置は、監視センターに接続している通信路の通信品質を高品質に維持するために、通信路の種類(電話回線、無線網、IP網等)に応じて、所定の時間間隔で、通信路の通信品質を複数の計測項目にわたって計測し、各計測項目に対する計測結果を解析し、通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断した場合に、通信路の通信品質が正常の状態でないことを警告する警告メッセージを監視センターに送信する。
【0016】
つまり、本実施の形態に係る通報装置は、逐次電波レベルや周囲にある通信可能な基地局を確認したり、通報装置と監視センター間で定期的に通信路確認発報を行うことで、通信路の詳細な状況を把握し、通信路に異常がある場合(または異常の予兆がある場合)は、その異常内容を監視センターヘ通知したり、通報装置のログに残す。通信路の状況が悪い場合は、通信路確認発報の間隔を短くすることも可能である。
【0017】
本実施の形態に係る通報装置は、通信路として無線網を利用する場合は、例えば、電波レベル、捕捉している基地局数、ハンドオーバー発生頻度、チャネル切替発生頻度、データ通信速度変化発生頻度(例えば、PHS(Personal Handy−phone System)(登録商標)のPIAFS方式の場合、データ通信している基地局にて、別の人が通話を行うと、基地局のリソース状況によってはデータ通信速度が低下する場合がある。つまり周囲にPHSを使用する人が多いと、データ通信速度変化発生頻度が高くなる)、データ通信速度、パケットロス発生頻度といった複数の計測項目にわたって無線網の通信品質を詳細に計測し、無線網の通信品質の状態を把握する。
【0018】
また、通信路としてIP網を利用する場合は、例えば、データ通信速度、パケットロス発生頻度、パケット揺らぎ量、パケット遅延といった複数の計測項目にわたってIP網の通信品質を詳細に計測し、IP網の通信品質の状態を把握する。
【0019】
また、通信路として電話回線を利用する場合は、例えば、S/N(Signal to Noise)比、モデムリトレイン発生頻度(データ通信中の瞬断やノイズにより発生)といった複数の計測項目にわたって電話網の通信品質を詳細に計測し、電話網の通信品質の状態を把握する。
【0020】
また、本実施の形態に係る通報装置は、電波レベル低下、パケットロス増加等通信路の状況悪化傾向を認識し、今後、発報できなくなる可能性を予測して、それを監視センターヘ通知する。
さらに、監視センターへ通知した異常内容や通報装置のログから、通信失敗要因を改善する対策を導き出す。
また、その対策を実施後、通信路の異常が改善されれば、改善されたことを監視センターヘ通知し、改善しない場合は、改善しないことを通知してもよい。
上記により、早期かつ適切な対策を可能とし、通信路を最良の状態に保つことができる。従って、通信路の影響で監視センターヘの異常通知が遅れる、または通知できない問題の発生率を大幅に低減することが可能となる。
【0021】
次に、本実施の形態に係る通報装置の詳細を図面を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る通報装置3を含むシステム全体の構成例は、図1に示したものと同様である。
なお、以下、監視センターに配置されている集中監視装置6をセンター装置ともいう。
【0022】
図14は、本実施の形態に係る通報装置3の構成例を示す。
図14において、網インタフェース31は、通信路である電話回線、無線網、IP網のいずれかとの物理インタフェースである。
通信部32は、網インタフェース31及び装置インタフェース37の管理、伝送制御手順の管理、ネットワーク接続手順の管理等を行いながら、監視センターの受信装置5、エレベータ制御装置1、設備異常監視装置2と通信を行う。
制御部33は、通報装置3全体の制御を行う。
通信品質計測部34は、所定の時間間隔で通信路の通信品質を複数の計測項目にわたって計測する。
【0023】
通信品質判断部35は、通信品質計測部34により計測された各計測項目に対する計測結果を解析し、通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断した場合に、通信路の通信品質が正常の状態でないことを警告する警告メッセージを通信部32を介してセンター装置に送信する。
具体的には、通信品質判断部35は、各計測項目に対する計測結果の時間推移を解析し、いずれかの計測項目に対する計測結果が一定期間継続して所定の閾値を下回っている場合に、通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断するようにしてもよい。
また、通信品質判断部35は、各計測項目に対する計測結果の時間推移を解析し、いずれかの計測項目に対する計測結果が一定期間継続して悪化している場合に、通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断するようにしてもよい。
更に、通信品質判断部35は、センター装置へ警告メッセージを送信した後、通信品質計測部34により計測された各計測項目に対する計測結果を解析した結果、通信路の通信品質が正常の状態に回復したと判断した場合に、通信路の通信品質が正常の状態に回復したことを通報する回復メッセージを通信部32を介してセンター装置に送信する。
【0024】
定時発報生成部36は、エレベータにおける異常の有無又はビル設備における異常の有無を通報するための通報データを一定周期ごとに生成し、通報データを通信部32を介してセンター装置に送信する。
装置インタフェース37は、エレベータ制御装置1及び設備異常監視装置2との物理インタフェースである。
【0025】
なお、通報装置3は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、磁気ディスク装置等の記憶装置と、通信インタフェース等を備えるコンピュータにより実現可能である。
この場合、図14に示す通報装置3の通信部32、制御部33、通信品質計測部34、通信品質判断部35、定時発報生成部36は例えばプログラムにより実現することができる。これらプログラムは、磁気ディスク装置等の記憶装置に格納され、CPUにより読み出され実行される。
また、RAMには、CPUに実行させるプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。
また、RAMには、CPUによる処理に必要な各種データが格納される。
例えば、RAMには、本実施の形態の説明において、「〜の判断」、「〜の判定」、「〜の計算」、「〜の比較」、「〜の設定」、「〜の計測」、「〜の測定」、「〜の登録」、「〜の選択」等として説明している処理の結果を示す情報やデータや信号値や変数値やパラメータが記憶される。
また、本実施の形態の説明において通報装置3の通信部32、制御部33、通信品質計測部34、通信品質判断部35、定時発報生成部36は、回路であってもよい。また、ROMに記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
また、通報装置3の通信部32、制御部33、通信品質計測部34、通信品質判断部35、定時発報生成部36を「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」と表現することも可能である。
【0026】
通信路として無線網を利用する場合の通報装置3の動作例を、図3のフローチャートに従い説明する。
【0027】
電波レベルを計測するための一定間隔が経過したら(S101でYES)、S102にて、通信品質計測部34が、無線網の電波レベルを測定し、S103にてその結果を電波ログ(図4)に記入する。
また、S104にて、通信品質計測部34は、通信可能な周囲の基地局数(捕捉基地局数)を測定し、S105にてその結果を電波ログ(図4)に記入する。
次に、S106において、通信品質判断部35が、電波ログ(図4)に示されている電波レベル及び捕捉基地局数を評価し、電波レベル又は捕捉基地局数が異常であるか否かを判断する。
通信品質判断部35は、具体的には、通信品質計測部34で測定した各項目の測定結果を、図6に例示する予め設定した異常閾値(電波レベル及び捕捉基地局数の閾値)と比較し、比較の結果電波レベル又は捕捉基地局数が異常であれば、または、異常が一定時間継続したら、または、異常でなくても一定回数連続して悪化傾向にあれば(今後発報できなくなる可能性があるため)、S107にて、通信路の異常を警告する警告メッセージ(異常内容を明示)を通信部32を通じて監視センターヘ発報する。
このとき、すでに発報済みであれば発報しない。
【0028】
他方、S106の判断において電波レベル及び捕捉基地局数が正常であれば、S108へ移行する。
所定の通信路確認発報時間になれば(S108でYES)、S109において、通信品質計測部34の指示に基づき通信部32が無線網に所定数の通信路確認パケットを発報する。
なお、S108、S109は定時発報等別用途の発報で兼ねても良い。
このとき、S110にて、通信品質計測部34は、通信路確認パケットの発報により得られた通信路の状態を発報ログ(図5)に記入する。
次に、S111において、通信品質判断部35が、発報ログ(図5)に示されている各計測項目の計測結果を解析し、無線網の通信品質が異常であるか否かを判断する。
通信品質判断部35は、具体的には、通信品質計測部34で測定した各項目の測定結果を、図6に例示する予め設定した異常閾値(電波レベル及び捕捉基地局数以外の項目の閾値)と比較し、比較の結果、いずれかの計測項目の計測結果が異常であれば、または、異常が一定時間継続したら、または、異常でなくても一定回数連続して悪化傾向にあれば(今後発報できなくなる可能性があるため)、S112にて、通信路の異常を警告する警告メッセージ(異常内容を明示)を通信部32を通じて監視センターヘ発報する。
【0029】
次に、通信路として電話回線またはIP網を利用する場合の通報装置3の動作例を、図7のフローチャートに従い説明する。
【0030】
通信路確認発報時間になれば(S201でYES)、S202において、通信品質計測部34の指示に基づき通信部32が電話回線またはIP網に所定数の通信路確認パケットを発報する。
S201、S202は定時発報等別用途の発報で兼ねても良い。
このとき、S203にて、通信品質計測部34は、通信路確認パケットの発報により得られた通信路の状態を発報ログ(電話回線であれば図8、IP網であれば図9)に記入する。
次に、S204において、通信品質判断部35が、発報ログ(図8又は図9)に示されている各計測項目の計測結果を解析し、通信網の通信品質が異常であるか否かを判断する。
通信品質判断部35は、具体的には、通信品質計測部34で測定した各項目の測定結果を、図10の電話回線での異常閾値又は図11のIP網での異常閾値と比較し、比較の結果、いずれかの計測項目の計測結果が異常であれば、または、異常が一定時間継続したら、または、異常でなくても一定回数連続して悪化傾向にあれば(今後発報できなくなる可能性があるため)、S205にて、通信路の異常を警告する警告メッセージ(異常内容を明示)を通信部32を通じて監視センターヘ発報する。
【0031】
さらに、図3のS106、S111または、図7のS204にて通信路が異常と判定された場合、その後障害に対して対策を実施し、障害が復旧したら通信網の通信品質が正常に回復した旨を通知する回復メッセージを監視センターヘ発報することが可能である。その動作を図12のフローチャートに従い説明する。
【0032】
通信路確認発報時間になれば(S301でYES)、S302にて、通信品質計測部34の指示に基づき通信部32が無線網に所定数の通信路確認パケットを発報する。
S301、S302は定時発報等別用途の発報で兼ねても良い。
このとき、S303にて、通信品質計測部34は、通信路確認パケットの発報により得られた通信路の状態を発報ログ(無線網であれば図4、図5、電話回線であれば図8、IP網であれば図9)に記入する。
次に、S304にて、通信品質判断部35が、通信路が復旧したか(通信品質が正常に回復したか)を判断する。
具体的には、通信品質判断部35は、通信品質計測部34で測定した各項目の測定結果を、予め設定した異常閾値(無線網であれば図6に示す閾値、電話回線であれば図10に示す閾値、IP網であれば図11に示す閾値)と比較し、比較の結果、全ての計測項目の計測結果が正常値であれば、または、正常値が一定時間継続したら、S305にて、通信路の復旧を通知する回復メッセージ(復旧内容を明示)を通信部32を通じて監視センターヘ発報する。
【0033】
上記のように、通信路の状況を詳細にログに残し、異常がある場合は、その内容を監視センターに発報することで、早期に通信路の異常を検出可能となる。
また、図13に例示するように、ログまたは監視センターに通信路ごとに異常内容とその対策の対応関係を示す情報を保持することで、発報された異常内容から、通報装置3又は監視センターは、通信網の通信品質を向上させるための適切な対策を実行することができる。
さらに、対策実施後、通信路の異常が改善されれば。改善されたことを監視センターヘ通知することが可能である。
【0034】
このように、本実施の形態に係る通報装置によれば、通信路を常に最良の状態に保つことが可能となり、通信路の影響で監視センターヘの異常通知が遅れる、または通知できない問題の発生率を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施の形態1に係る遠隔監視システムの構成例を示す図。
【図2】従来における発報ログの例を示す図。
【図3】実施の形態1に係る通報装置の動作例を示すフローチャート図。
【図4】実施の形態1に係る電波ログの例を示す図。
【図5】実施の形態1に係る発報ログ(無線網)の例を示す図。
【図6】実施の形態1に係る異常閾値(無線網)の例を示す図。
【図7】実施の形態1に係る通報装置の動作例を示すフローチャート図。
【図8】実施の形態1に係る発報ログ(電話回線)の例を示す図。
【図9】実施の形態1に係る発報ログ(IP網)の例を示す図。
【図10】実施の形態1に係る異常閾値(電話回線)の例を示す図。
【図11】実施の形態1に係る異常閾値(IP網)の例を示す図。
【図12】実施の形態1に係る通報装置の動作例を示すフローチャート図。
【図13】実施の形態1に係る異常内容と対策との対応情報の例を示す図。
【図14】実施の形態1に係る通報装置の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0036】
1 エレベータ制御装置、2 設備異常監視装置、3 通報装置、4 通信路、5 受信装置、6 集中監視装置、31 網インタフェース、32 通信部、33 制御部、34 通信品質計測部、35 通信品質判断部、36 定時発報生成部、37 装置インタフェース。
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信網の通信品質を監視する技術に関し、特に、エレベータやビル設備の状態を監視センターに通報するための通信網の通信品質を監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータやビル設備(空調、照明、不正侵入等)の異常を検出する機器に接続される通報装置が、各種異常情報データやエレベータかご内の映像データ、音声データを、電話回線や無線網、IP(Internet Protocol)網等の通信路を経由して、監視センターヘ通知する遠隔監視システムにおいて、例えば不正侵入発生時に、通信路の問題で監視センターへの通知が遅れたり、最悪の場合、通知できないケースもありえる。このような事態は、遠隔監視システムを導入しているにもかかわらず、その主目的を果たしておらず、致命的といえる。
【0003】
エレベータやビル設備の遠隔監視システムは、一般的に図1のような構成をとる。
図1において、1は、エレベータを制御するエレベータ制御装置である。
2は、空調や照明、不正侵入等の異常を監視する設備異常監視装置である。
3は、エレベータ制御装置1、設備異常監視装置2から通知される異常を、監視センターヘ通知する通報装置である。
4は、電話回線、無線網、IP網等の通信路である。
5は、通報装置3から4の通信路経由で通知される異常データを受ける受信装置、6は受信した異常を表示・管理する装置である。
通報装置3は、定期的に監視センターへエレベータやビル設備の状態を発報し、図2に示すように、その発報が成功したか失敗したか程度の情報をログに残している。
通信路として電話回線を利用している場合、主な失敗要因は、S/N比や回線レベルの悪化、電話ケーブルの接触、劣化である。
しかし、前述のように、通信路として、無線網、IP網の利用も増加しており、その結果、以下の課題がある。
【0004】
(1)発報失敗要因が多数あり、失敗原因の特定とその対策の特定が困難である。
【0005】
(2)通信路の状況が、据付時は良くても周辺の状況の変化によって悪化する場合があるが、失敗発生率の増加によってしかそれがわからない。本来は、通信路悪化の予兆を検出し早期に対策すべきである。
周辺の状況の変化によって通信路の状況が悪化する場合としては、例えば、通信路として無線網を利用する場合は、周囲の建物の状況の変化(電波レベルが悪化)、捕捉可能な基地局数の変化(接統率が悪化)、周囲での無線網使用者の増加(速度切替回数が増加し通信中の途切れが発生、または接統率が悪化)が挙げられる。
また、通信路としてIP網を利用する場合は、例えば、同一回線を利用するパケット量の変化(パケットロス、パケット揺らぎ量、パケット遅延が増加)が挙げられる。
また、通信路として電話回線を利用する場合は、例えば、電話ケーブルの劣化(接統率が悪化)が挙げられる。
【0006】
(3)発報失敗があっても、偶発的な失敗と、そうでない失敗とは大きく意味が異なるが、その違いがわからない。本来、それを明確にして対策すべきである。
【0007】
(4)発報失敗が少ない、または無い場合でも、改善が可能な場合があるが、それがわからない。
例えば、無線網を利用する場合、電波レベルが通信可能な最低レベルである場合は、通常は発報成功するが、気象状況や周囲の無線使用者状況等、なんらかの外的影響により、発報失敗する可能性が高い。これは、無線機アンテナの場所を変更するだけで改善されることがあるが、電波レベルを計測していない場合には、改善の必要性を認識することができない。
本来、このような不備を明確にして対策し通信路を最良の状態に保つべきである。
【0008】
そして、通信路の通信品質を最適に維持することは、以下の点からも重要である。
エレベータかご内に乗客が閉じ込められる閉じ込め事故発生時は、エレベータかご内インターホンと、監視センター間でVoIP(Voice over Internet Protocol)による通話を行う場合がある。この場合、単純に異常を通報できる、できないだけでなく、通信路の品質を維持することが必要になる。例えば、パケットロス数やパケット遅延が大きいと、リアルタイムな伝送が必要なVoIPでの通話は、途切れ途切れになり、エレベータ内の状況が監視センターに正確に伝わらない場合がある。
【0009】
このように監視センターとの通信に用いられる通信路は高品質に保つ必要があるが、上記の(1)〜(4)の課題を解決できれば、通信路の影響で監視センターヘの異常通知が遅れる、または通知できないといった問題の発生率を大幅に低滅することが可能となる。
【0010】
このような課題に対して、特許文献1では、設備やエレベータの異常の有無を検出し、検出情報を通報し得るようにした監視装置と、検出情報を無線通信網を介して遠隔のセンター装置6へ通報する無線装置とを有する遠隔監視装置において、監視装置は無線装置の電波受信レベルを所定の時間間隔で確認し、電波受信レベルが所定の基準レベルより低い時は、それを無線装置4を介してセンター装置6へ通報する。
そして、このような構成により、電波不良による監視装置とセンター装置との間の伝送異常をセンター装置において早期に検出することができるとされている。
【特許文献1】特開2005−346163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に記載の技術は、通信路として無線網を利用する場合に限定しており、また監視対象も電波レベルのみに限定している。
先に述べたように、昨今、通信路として電話回線をはじめ、無線網、IP網等様々な種類の通信網の利用が増加している。このように通信網が多様化すると、通信失敗要因が様々(ハンドオーバー、チャネル切替、電波レベル、パケットロス、パケット揺らぎ等)であり、問題解決には、失敗要因を的確に識別して、適切な処置を講じる必要がある。
また、無線網に着目しても、前述したように、電波レベル以外にも無線通信品質に影響を与える様々な要素が存在し、電波レベル以外の影響要因を含めて総合的に通信品質を監視する必要がある。
【0012】
この発明は、このような課題を解決することを主な目的の一つとしており、複数種類の通信網を網羅し、また、通信網の通信品質を複数の測定項目を用いて評価する技術を実現することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る通報装置は、
建物の設備及びエレベータの少なくともいずれかにおける異常の有無を通報する通報データを通信路を介して遠隔のセンター装置に送信する通報装置であって、
所定の時間間隔で前記通信路の通信品質を複数の計測項目にわたって計測する通信品質計測部と、
前記通信品質計測部により計測された各計測項目に対する計測結果を解析し、前記通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断した場合に、前記通信路の通信品質が正常の状態でないことを警告する警告メッセージを前記センター装置に送信する通信品質判断部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通信網の通信品質を複数の計測項目にわたって計測し、各計測項目に対する計測結果を解析し、通信網の通信品質が正常の状態ではないと判断した場合に、通信網の通信品質が正常の状態でないことを警告する警告メッセージをセンター装置に送信するため、センター装置に接続している通信網の通信品質を高品質に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
本実施の形態に係る通報装置は、監視センターに接続している通信路の通信品質を高品質に維持するために、通信路の種類(電話回線、無線網、IP網等)に応じて、所定の時間間隔で、通信路の通信品質を複数の計測項目にわたって計測し、各計測項目に対する計測結果を解析し、通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断した場合に、通信路の通信品質が正常の状態でないことを警告する警告メッセージを監視センターに送信する。
【0016】
つまり、本実施の形態に係る通報装置は、逐次電波レベルや周囲にある通信可能な基地局を確認したり、通報装置と監視センター間で定期的に通信路確認発報を行うことで、通信路の詳細な状況を把握し、通信路に異常がある場合(または異常の予兆がある場合)は、その異常内容を監視センターヘ通知したり、通報装置のログに残す。通信路の状況が悪い場合は、通信路確認発報の間隔を短くすることも可能である。
【0017】
本実施の形態に係る通報装置は、通信路として無線網を利用する場合は、例えば、電波レベル、捕捉している基地局数、ハンドオーバー発生頻度、チャネル切替発生頻度、データ通信速度変化発生頻度(例えば、PHS(Personal Handy−phone System)(登録商標)のPIAFS方式の場合、データ通信している基地局にて、別の人が通話を行うと、基地局のリソース状況によってはデータ通信速度が低下する場合がある。つまり周囲にPHSを使用する人が多いと、データ通信速度変化発生頻度が高くなる)、データ通信速度、パケットロス発生頻度といった複数の計測項目にわたって無線網の通信品質を詳細に計測し、無線網の通信品質の状態を把握する。
【0018】
また、通信路としてIP網を利用する場合は、例えば、データ通信速度、パケットロス発生頻度、パケット揺らぎ量、パケット遅延といった複数の計測項目にわたってIP網の通信品質を詳細に計測し、IP網の通信品質の状態を把握する。
【0019】
また、通信路として電話回線を利用する場合は、例えば、S/N(Signal to Noise)比、モデムリトレイン発生頻度(データ通信中の瞬断やノイズにより発生)といった複数の計測項目にわたって電話網の通信品質を詳細に計測し、電話網の通信品質の状態を把握する。
【0020】
また、本実施の形態に係る通報装置は、電波レベル低下、パケットロス増加等通信路の状況悪化傾向を認識し、今後、発報できなくなる可能性を予測して、それを監視センターヘ通知する。
さらに、監視センターへ通知した異常内容や通報装置のログから、通信失敗要因を改善する対策を導き出す。
また、その対策を実施後、通信路の異常が改善されれば、改善されたことを監視センターヘ通知し、改善しない場合は、改善しないことを通知してもよい。
上記により、早期かつ適切な対策を可能とし、通信路を最良の状態に保つことができる。従って、通信路の影響で監視センターヘの異常通知が遅れる、または通知できない問題の発生率を大幅に低減することが可能となる。
【0021】
次に、本実施の形態に係る通報装置の詳細を図面を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る通報装置3を含むシステム全体の構成例は、図1に示したものと同様である。
なお、以下、監視センターに配置されている集中監視装置6をセンター装置ともいう。
【0022】
図14は、本実施の形態に係る通報装置3の構成例を示す。
図14において、網インタフェース31は、通信路である電話回線、無線網、IP網のいずれかとの物理インタフェースである。
通信部32は、網インタフェース31及び装置インタフェース37の管理、伝送制御手順の管理、ネットワーク接続手順の管理等を行いながら、監視センターの受信装置5、エレベータ制御装置1、設備異常監視装置2と通信を行う。
制御部33は、通報装置3全体の制御を行う。
通信品質計測部34は、所定の時間間隔で通信路の通信品質を複数の計測項目にわたって計測する。
【0023】
通信品質判断部35は、通信品質計測部34により計測された各計測項目に対する計測結果を解析し、通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断した場合に、通信路の通信品質が正常の状態でないことを警告する警告メッセージを通信部32を介してセンター装置に送信する。
具体的には、通信品質判断部35は、各計測項目に対する計測結果の時間推移を解析し、いずれかの計測項目に対する計測結果が一定期間継続して所定の閾値を下回っている場合に、通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断するようにしてもよい。
また、通信品質判断部35は、各計測項目に対する計測結果の時間推移を解析し、いずれかの計測項目に対する計測結果が一定期間継続して悪化している場合に、通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断するようにしてもよい。
更に、通信品質判断部35は、センター装置へ警告メッセージを送信した後、通信品質計測部34により計測された各計測項目に対する計測結果を解析した結果、通信路の通信品質が正常の状態に回復したと判断した場合に、通信路の通信品質が正常の状態に回復したことを通報する回復メッセージを通信部32を介してセンター装置に送信する。
【0024】
定時発報生成部36は、エレベータにおける異常の有無又はビル設備における異常の有無を通報するための通報データを一定周期ごとに生成し、通報データを通信部32を介してセンター装置に送信する。
装置インタフェース37は、エレベータ制御装置1及び設備異常監視装置2との物理インタフェースである。
【0025】
なお、通報装置3は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、磁気ディスク装置等の記憶装置と、通信インタフェース等を備えるコンピュータにより実現可能である。
この場合、図14に示す通報装置3の通信部32、制御部33、通信品質計測部34、通信品質判断部35、定時発報生成部36は例えばプログラムにより実現することができる。これらプログラムは、磁気ディスク装置等の記憶装置に格納され、CPUにより読み出され実行される。
また、RAMには、CPUに実行させるプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。
また、RAMには、CPUによる処理に必要な各種データが格納される。
例えば、RAMには、本実施の形態の説明において、「〜の判断」、「〜の判定」、「〜の計算」、「〜の比較」、「〜の設定」、「〜の計測」、「〜の測定」、「〜の登録」、「〜の選択」等として説明している処理の結果を示す情報やデータや信号値や変数値やパラメータが記憶される。
また、本実施の形態の説明において通報装置3の通信部32、制御部33、通信品質計測部34、通信品質判断部35、定時発報生成部36は、回路であってもよい。また、ROMに記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
また、通報装置3の通信部32、制御部33、通信品質計測部34、通信品質判断部35、定時発報生成部36を「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」と表現することも可能である。
【0026】
通信路として無線網を利用する場合の通報装置3の動作例を、図3のフローチャートに従い説明する。
【0027】
電波レベルを計測するための一定間隔が経過したら(S101でYES)、S102にて、通信品質計測部34が、無線網の電波レベルを測定し、S103にてその結果を電波ログ(図4)に記入する。
また、S104にて、通信品質計測部34は、通信可能な周囲の基地局数(捕捉基地局数)を測定し、S105にてその結果を電波ログ(図4)に記入する。
次に、S106において、通信品質判断部35が、電波ログ(図4)に示されている電波レベル及び捕捉基地局数を評価し、電波レベル又は捕捉基地局数が異常であるか否かを判断する。
通信品質判断部35は、具体的には、通信品質計測部34で測定した各項目の測定結果を、図6に例示する予め設定した異常閾値(電波レベル及び捕捉基地局数の閾値)と比較し、比較の結果電波レベル又は捕捉基地局数が異常であれば、または、異常が一定時間継続したら、または、異常でなくても一定回数連続して悪化傾向にあれば(今後発報できなくなる可能性があるため)、S107にて、通信路の異常を警告する警告メッセージ(異常内容を明示)を通信部32を通じて監視センターヘ発報する。
このとき、すでに発報済みであれば発報しない。
【0028】
他方、S106の判断において電波レベル及び捕捉基地局数が正常であれば、S108へ移行する。
所定の通信路確認発報時間になれば(S108でYES)、S109において、通信品質計測部34の指示に基づき通信部32が無線網に所定数の通信路確認パケットを発報する。
なお、S108、S109は定時発報等別用途の発報で兼ねても良い。
このとき、S110にて、通信品質計測部34は、通信路確認パケットの発報により得られた通信路の状態を発報ログ(図5)に記入する。
次に、S111において、通信品質判断部35が、発報ログ(図5)に示されている各計測項目の計測結果を解析し、無線網の通信品質が異常であるか否かを判断する。
通信品質判断部35は、具体的には、通信品質計測部34で測定した各項目の測定結果を、図6に例示する予め設定した異常閾値(電波レベル及び捕捉基地局数以外の項目の閾値)と比較し、比較の結果、いずれかの計測項目の計測結果が異常であれば、または、異常が一定時間継続したら、または、異常でなくても一定回数連続して悪化傾向にあれば(今後発報できなくなる可能性があるため)、S112にて、通信路の異常を警告する警告メッセージ(異常内容を明示)を通信部32を通じて監視センターヘ発報する。
【0029】
次に、通信路として電話回線またはIP網を利用する場合の通報装置3の動作例を、図7のフローチャートに従い説明する。
【0030】
通信路確認発報時間になれば(S201でYES)、S202において、通信品質計測部34の指示に基づき通信部32が電話回線またはIP網に所定数の通信路確認パケットを発報する。
S201、S202は定時発報等別用途の発報で兼ねても良い。
このとき、S203にて、通信品質計測部34は、通信路確認パケットの発報により得られた通信路の状態を発報ログ(電話回線であれば図8、IP網であれば図9)に記入する。
次に、S204において、通信品質判断部35が、発報ログ(図8又は図9)に示されている各計測項目の計測結果を解析し、通信網の通信品質が異常であるか否かを判断する。
通信品質判断部35は、具体的には、通信品質計測部34で測定した各項目の測定結果を、図10の電話回線での異常閾値又は図11のIP網での異常閾値と比較し、比較の結果、いずれかの計測項目の計測結果が異常であれば、または、異常が一定時間継続したら、または、異常でなくても一定回数連続して悪化傾向にあれば(今後発報できなくなる可能性があるため)、S205にて、通信路の異常を警告する警告メッセージ(異常内容を明示)を通信部32を通じて監視センターヘ発報する。
【0031】
さらに、図3のS106、S111または、図7のS204にて通信路が異常と判定された場合、その後障害に対して対策を実施し、障害が復旧したら通信網の通信品質が正常に回復した旨を通知する回復メッセージを監視センターヘ発報することが可能である。その動作を図12のフローチャートに従い説明する。
【0032】
通信路確認発報時間になれば(S301でYES)、S302にて、通信品質計測部34の指示に基づき通信部32が無線網に所定数の通信路確認パケットを発報する。
S301、S302は定時発報等別用途の発報で兼ねても良い。
このとき、S303にて、通信品質計測部34は、通信路確認パケットの発報により得られた通信路の状態を発報ログ(無線網であれば図4、図5、電話回線であれば図8、IP網であれば図9)に記入する。
次に、S304にて、通信品質判断部35が、通信路が復旧したか(通信品質が正常に回復したか)を判断する。
具体的には、通信品質判断部35は、通信品質計測部34で測定した各項目の測定結果を、予め設定した異常閾値(無線網であれば図6に示す閾値、電話回線であれば図10に示す閾値、IP網であれば図11に示す閾値)と比較し、比較の結果、全ての計測項目の計測結果が正常値であれば、または、正常値が一定時間継続したら、S305にて、通信路の復旧を通知する回復メッセージ(復旧内容を明示)を通信部32を通じて監視センターヘ発報する。
【0033】
上記のように、通信路の状況を詳細にログに残し、異常がある場合は、その内容を監視センターに発報することで、早期に通信路の異常を検出可能となる。
また、図13に例示するように、ログまたは監視センターに通信路ごとに異常内容とその対策の対応関係を示す情報を保持することで、発報された異常内容から、通報装置3又は監視センターは、通信網の通信品質を向上させるための適切な対策を実行することができる。
さらに、対策実施後、通信路の異常が改善されれば。改善されたことを監視センターヘ通知することが可能である。
【0034】
このように、本実施の形態に係る通報装置によれば、通信路を常に最良の状態に保つことが可能となり、通信路の影響で監視センターヘの異常通知が遅れる、または通知できない問題の発生率を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施の形態1に係る遠隔監視システムの構成例を示す図。
【図2】従来における発報ログの例を示す図。
【図3】実施の形態1に係る通報装置の動作例を示すフローチャート図。
【図4】実施の形態1に係る電波ログの例を示す図。
【図5】実施の形態1に係る発報ログ(無線網)の例を示す図。
【図6】実施の形態1に係る異常閾値(無線網)の例を示す図。
【図7】実施の形態1に係る通報装置の動作例を示すフローチャート図。
【図8】実施の形態1に係る発報ログ(電話回線)の例を示す図。
【図9】実施の形態1に係る発報ログ(IP網)の例を示す図。
【図10】実施の形態1に係る異常閾値(電話回線)の例を示す図。
【図11】実施の形態1に係る異常閾値(IP網)の例を示す図。
【図12】実施の形態1に係る通報装置の動作例を示すフローチャート図。
【図13】実施の形態1に係る異常内容と対策との対応情報の例を示す図。
【図14】実施の形態1に係る通報装置の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0036】
1 エレベータ制御装置、2 設備異常監視装置、3 通報装置、4 通信路、5 受信装置、6 集中監視装置、31 網インタフェース、32 通信部、33 制御部、34 通信品質計測部、35 通信品質判断部、36 定時発報生成部、37 装置インタフェース。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の設備及びエレベータの少なくともいずれかにおける異常の有無を通報する通報データを通信路を介して遠隔のセンター装置に送信する通報装置であって、
所定の時間間隔で前記通信路の通信品質を複数の計測項目にわたって計測する通信品質計測部と、
前記通信品質計測部により計測された各計測項目に対する計測結果を解析し、前記通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断した場合に、前記通信路の通信品質が正常の状態でないことを警告する警告メッセージを前記センター装置に送信する通信品質判断部とを有することを特徴とする通報装置。
【請求項2】
前記通信品質判断部は、
各計測項目に対する計測結果の時間推移を解析し、いずれかの計測項目に対する計測結果が一定期間継続して所定の閾値を下回っている場合に、前記通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断することを特徴とする請求項1に記載の通報装置。
【請求項3】
前記通信品質判断部は、
各計測項目に対する計測結果の時間推移を解析し、いずれかの計測項目に対する計測結果が一定期間継続して悪化している場合に、前記通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の通報装置。
【請求項4】
前記通信品質判断部は、
前記センター装置へ警告メッセージを送信した後、前記通信品質計測部により計測された各計測項目に対する計測結果を解析した結果、前記通信路の通信品質が正常の状態に回復したと判断した場合に、前記通信路の通信品質が正常の状態に回復したことを通報する回復メッセージを前記センター装置に送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通報装置。
【請求項5】
前記通報装置は、
前記通報データを前記センター装置に一定周期ごとに送信し、
前記通信品質計測部は、
前記通信路への前記通報データの送信により前記通信路の通信品質を計測することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の通報装置。
【請求項1】
建物の設備及びエレベータの少なくともいずれかにおける異常の有無を通報する通報データを通信路を介して遠隔のセンター装置に送信する通報装置であって、
所定の時間間隔で前記通信路の通信品質を複数の計測項目にわたって計測する通信品質計測部と、
前記通信品質計測部により計測された各計測項目に対する計測結果を解析し、前記通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断した場合に、前記通信路の通信品質が正常の状態でないことを警告する警告メッセージを前記センター装置に送信する通信品質判断部とを有することを特徴とする通報装置。
【請求項2】
前記通信品質判断部は、
各計測項目に対する計測結果の時間推移を解析し、いずれかの計測項目に対する計測結果が一定期間継続して所定の閾値を下回っている場合に、前記通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断することを特徴とする請求項1に記載の通報装置。
【請求項3】
前記通信品質判断部は、
各計測項目に対する計測結果の時間推移を解析し、いずれかの計測項目に対する計測結果が一定期間継続して悪化している場合に、前記通信路の通信品質が正常の状態ではないと判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の通報装置。
【請求項4】
前記通信品質判断部は、
前記センター装置へ警告メッセージを送信した後、前記通信品質計測部により計測された各計測項目に対する計測結果を解析した結果、前記通信路の通信品質が正常の状態に回復したと判断した場合に、前記通信路の通信品質が正常の状態に回復したことを通報する回復メッセージを前記センター装置に送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通報装置。
【請求項5】
前記通報装置は、
前記通報データを前記センター装置に一定周期ごとに送信し、
前記通信品質計測部は、
前記通信路への前記通報データの送信により前記通信路の通信品質を計測することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の通報装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−177441(P2009−177441A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13246(P2008−13246)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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