説明

通帳プリンタ

【課題】構成や組立が簡易であって、安価な通帳プリンタを提供すること。
【解決手段】媒体を搬送する搬送手段と、搬送される媒体を搬送方向に導くためのガイドであって、媒体の搬送面に、搬送面よりも下にある媒体の搬送先方向の先端をすくうためのすくい角を有した穴部を設けたガイドと、搬送された媒体に所定の情報を印字する印字手段と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等で使用する通帳プリンタの搬送ガイドの穴形状に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関で使用される窓口の通帳プリンタには媒体のセット基準がある。図1A、図1Bはその媒体のセット基準の例を示す図である。図1A、図1Bに示すように、媒体のセット基準には、左基準・右基準の二通りがある。図1A、図1Bに於いて、通帳プリンタが有する下インサータ3bの左端に沿って通帳(媒体)4が挿入される左基準タイプ(図1A)と、下インサータ3bの右端に沿って通帳4が挿入される右基準タイプ(図1B)とが存在する。
【0003】
しかし、左基準と右基準とでは、搬送ローラの配置が異なる為、通帳の搬送ガイド5a、5bの搬送ローラ穴6は異なる位置に開けられており、図2A、図2Bに示すように、搬送ガイド5a、5bを夫々別々の別部品5aおよび5bとするか、あるいは図3A、図3Bに示すように、左基準と右基準とで、必要な搬送ローラ穴を全て事前にあけた共通搬送ガイド7の不要な穴を、搬送ジャム防止の別ピースの搬送ローラ穴埋め部材8で塞ぐ方式が採用されていた。例えば、特許文献1では、左基準に対応した左基準専用の搬送ガイドを設け、搬送ローラ穴を亀の子形状とした通帳プリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−28229号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、搬送ガイドを夫々別々の別部品とすると部品の共通性がなくなることによって構成が複雑になり、コストアップとなるという問題がある。又、特許文献1に開示された通帳プリンタのように、左基準と右基準とで必要なローラ穴を全て事前にあけておき、別ピースで塞ぐ方式では、別ピースの部品費用及び別ピースの部品の組立が複雑となり、費用がコストアップとなるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、構成や組立が簡易であって、安価な通帳プリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる通帳プリンタは、媒体を搬送する搬送手段と、搬送される前記媒体を搬送方向に導くためのガイドであって、前記媒体の搬送面に、前記搬送面よりも下にある前記媒体の搬送先方向の先端をすくうためのすくい角を有した穴部を設けたガイドと、搬送された前記媒体に所定の情報を印字する印字手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、構成や組立が簡易であって、安価な通帳プリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】通帳プリンタの左セット基準を示す外観図である。
【図1B】通帳プリンタの右セット基準を示す外観図である。
【図2A】左セット基準別部品の搬送ガイド図である。
【図2B】右セット基準別部品の搬送ガイド図である。
【図3A】従来技術の不要な穴を別ピースで塞ぐ方式図(左基準)である。
【図3B】従来技術の不要な穴を別ピースで塞ぐ方式図(右基準)である。
【図4】角型ローラ穴形状と媒体角が引っ掛る様子を示す図である。
【図5】亀の子ローラ穴形状と媒体角が引っ掛る様子を示す図である。
【図6】本実施の形態におけるすくい角を有したローラ穴形状と媒体角が引っ掛らない様子を示す図である。
【図7A】本実施の形態における搬送ガイドを示す図である。
【図7B】図7Aに示した搬送ガイドが有する穴の形状を示す図である。
【図8】本実施の形態における通帳プリンタの横断面図である。
【図9A】銀行等の金融機関で出金を行う際の通帳プリンタの処理のフローチャートである。
【図9B】銀行等の金融機関で出金を行う際の通帳プリンタの処理のフローチャートである。
【図10】本実施の形態における搬送ガイド説明斜視図(左基準)である。
【図11】本実施の形態における搬送ガイド説明斜視図(右基準)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1Aから図11を参照して、本発明にかかる通帳プリンタの実施の形態を詳細に説明する。本実施形態では、本発明にかかる通帳プリンタを金融機関等で使用されている通帳プリンタに適用した場合について説明し、通帳及び証書及び伝票を媒体の例として取り上げているが、搬送方向に媒体を搬送する機構を有しているものであれば、特にこれに限定されることはない。
【0011】
図1A、図1Bは、本実施形態にかかる通帳プリンタの外観図である。図1Aは、通帳等を通帳プリンタにセットするためにインサータの左側(左端)を基準(以下、単に左基準等と呼ぶ。)とした通帳プリンタ1を示す図である。図1Aに示すように、通帳4はプリンタの挿入口3bの左側にセットされる。また、図1Bは、通帳等を通帳プリンタにセットするためにインサータの右側(右端)を基準(以下、単に右基準等と呼ぶ。)とした通帳プリンタ2を示す図である。図1Bに示すように、通帳4はプリンタの挿入口3bの右側にセットされる。なお、通帳プリンタは、伝票等の媒体がセットされる上インサータ3a、通帳や証書がセットされる下インサータ3bの2つのインサータを有している。
【0012】
図2Aは、背景技術に関わる通帳プリンタに内蔵された左基準専用の搬送ガイド5aを示す図である。図2Aに示すように、ローラ穴6が搬送ガイドの左側に複数ケあいている。図2Bは、図2Aに示したものと同様に、背景技術に関わる通帳プリンタに内蔵された右基準専用の搬送ガイド5bを示す図である。図5Bに示すように、ローラ穴6が搬送ガイドの右側に複数ケあいている。
【0013】
図3A、図3Bは、背景技術に関わる通帳プリンタに内蔵された左基準および右基準に共通の搬送ガイドの不要な穴を塞ぐ方式を示す図である。搬送ガイド7は、左基準および右基準で共通の搬送ガイドであり、図3A、3Bに示すように、不要なローラ穴を塞ぐ穴埋め部材8がセットされる。図3Aに示すように、通帳プリンタを左基準で使用する場合には、共通搬送ガイド7の右側部分の穴を穴埋め部材8で埋める。一方、図3Bに示すように、通帳プリンタを右基準で使用する場合には、共通搬送ガイド7の左側部分の穴を穴埋め部材8で塞ぐこととなる。穴埋め部材8はスナップフィット等の固定手段により搬送ガイド7に固定される。
【0014】
図4は、背景技術に関わる搬送ガイドの角型ローラ穴形状11に、媒体9の角10がカールや耳折れしている場合に、搬送ガイドのローラ穴端に引っ掛る様子を示した図である。図4に示すように、角型ローラ穴形状11では、搬送媒体9の角部10がカールや耳折れしていると角部はローラ穴の端面に引っ掛り搬送ジャムが発生する。図5は、背景技術に関わる搬送ガイドの亀の子ローラ穴形状12に、媒体9の角10がカールや耳折れしている場合に、搬送ガイドのローラ穴端にもぐりこむ様子を示した図である。図5に示すように、亀の子ローラ穴形状12では、搬送媒体9の角部10がカールや耳折れしていると角部は亀の子ローラ穴の端面にもぐりこみ搬送ジャムが発生する。図4、5に示すように、これらのローラ穴の形状では、媒体9が適切に搬送されないケースが生じてしまうことがわかる。
【0015】
図6は、本実施形態にかかる通帳プリンタが有する搬送ガイドが、搬送面よりも下にある媒体の搬送先方向の先端をすくうためのすくい角を有したローラ穴形状13を有し、そのローラ穴に媒体9の角10がカールや耳折れしていてもとローラ穴端に引っ掛らない様子を示した図である。図6に示すように、ローラ穴をすくい角を有したローラ穴形状13にした場合、搬送媒体9の角部10は穴のすくい角形状により、カールや耳折れする等、搬送媒体9の先端の角部10が平らではなく下方に垂れ下がった状態(搬送先方向の先端が搬送面よりも下に位置する状態)にある場合であっても、搬送媒体9がすくい角の先端Pの方向に送られて、搬送媒体9の角部10がすくわれるため搬送ジャムにはならない。
【0016】
図7A、図7Bは、本実施形態にかかる通帳プリンタが有する搬送ガイド14が、左側の搬送ローラ穴が上述したすくい角を有した穴形状15を有し、中央部のローラ穴が角型穴形状16を有し、右側の搬送ローラ穴が上述したすくい角を有した穴形状17を有している場合の構成を示す斜視図である。図7A、図7Bに示すように、搬送ローラ穴のそれぞれは、搬送媒体9の搬送方向における搬送ガイドの中心軸に対して左右対称となるように配置され、搬送ガイドの左側の搬送ローラ穴の穴形状15は、左側の搬送ガイドが位置する側(すなわち、搬送媒体9の搬送方向に対して外側)にすくい角が設けられている。
【0017】
また、搬送ガイドの右側の搬送ローラ穴の穴形状17は、右側の搬送ガイドが位置する側(すなわち、搬送媒体9の搬送方向に対して外側)にすくい角が設けられている。このように、搬送ローラ穴は、媒体19の搬送方向に対して外側の辺が長くなるような台形の形状であり、搬送ガイドの端側にある底辺(下底)L1と、上底および下底以外の辺L2とによって、鋭角(θ)となるすくい角が形成されているので、ローラのない搬送ローラ穴にカールや耳折れした媒体の角がきても搬送ジャムは発生することはない。
【0018】
なお、本実施の形態においては、図7Bに示したように、搬送ローラ穴の穴形状15は、搬送媒体9の吸入方向および排出方向にすくい角を有した台形(例えば、等脚台形)形状としているが、搬送媒体9の搬送先方向の側にのみ、すくい角を設けることとしてもよい。また、通常は、通帳プリンタで使用される媒体19の幅は、搬送ガイド幅の1/2以上の幅である。したがって、左基準の場合または右基準の場合のいずれの場合であっても、双方共ローラが存在して穴を塞ぐこととなる為、中央部のローラ穴形状は、角型穴形状であっても、カールや耳折れした媒体の角がきても搬送ジャムは発生することはない。従って本実施の形態における通帳プリンタでは、搬送ガイド幅の約1/3程度の媒体幅までサポート可能である。
【0019】
図8は、本実施形態に係る通帳プリンタの概略横断面図であり、オペレータの操作により通帳や帳票の処理を行う装置である。図8に示すように、本実施形態に係る通帳プリンタは、下側挿入口18と、上側挿入口19と、下側搬送路20aと、上側搬送路20bと、共通搬送路20cと、下搬送ローラ21A〜21Eと、上搬送ローラ22a〜22eと、磁気読み書き機構23と、印字機構24と、光学読取機構25と、頁替え機構26と、下インサータセット検知センサ27と、上インサータセット検知センサ28と、搬送モータ29と、切替板30と、制御部31と、通信手段32と、を有している。これらの各部は制御部31によって制御されるが、具体的な動作につついては、フローチャートの中で説明する。
【0020】
図9A、図9Bは、銀行等の金融機関の窓口で現金を出金する場合の本実施形態に係る通帳プリンタの一連の処理のフローチャートである。以下、図8及び図9A、図9B用いて銀行等の金融機関の窓口で現金を出金する場合について説明する。
【0021】
オペレータは、顧客から預かった通帳と出金伝票の内容から、通帳プリンタの上位装置により必要な処理を実施するが、通帳プリンタには、上位装置から通信手段32を介して通帳への印字や磁気ストライプ情報の更新を行う為、通帳を下インサータ18へセット要求のコマンドが伝送され、オペレータは、前記セット要求に従い、通帳を下インサータ18にセットしたものとする。
【0022】
図9Aに示すように、制御部31は、下インサータセット検知センサ27が通帳がセットされたことを検知したか否かを判定し(ステップS901)、下インサータセット検知センサ27が通帳がセットされたことを検知したと判定した場合(ステップS901;Yes)、搬送モータ29が吸入方向に駆動する(ステップS902)。一方、制御部31は、下インサータセット検知センサ27が通帳がセットされたことを検知したと判定しない場合(ステップS901;No)、ステップS902に戻ってそのまま待機する。
【0023】
通帳は搬送ローラ21a、21c〜21d、22A、22C〜22Dにより搬送路20a〜20cを通過しながら磁気ストライプ読取位置まで搬送され、制御部31は、通帳が磁気ストライプ読取位置まで搬送されたか否かを判定し(ステップS903)、通帳が磁気ストライプ読取位置まで搬送されたと判定した場合(ステップS903;Yes)、搬送モータが停止する(ステップS904)。一方、通帳が磁気ストライプ読取位置まで搬送されていないと判定した場合(ステップS903;No)、そのまま待機する。
【0024】
その後、磁気ストライプ読み書き機構23は予め通帳に貼りつけられた磁気ストライプに書かれている口座番号等の磁気ストライプ情報を読み取る磁気ストライプリード処理を行い、磁気ストライプ情報を読みとり(ステップS905)、制御部31は、磁気ストライプ情報が正常に読み取られたか否かを判定し(ステップS906)、磁気ストライプ情報が正常に読み取られていないと判定した場合(ステップS906;No)、処理を異常終了させる。
【0025】
一方、磁気ストライプ情報が正常に読み取られたと判定した場合(ステップS906;Yes)、制御部31は、再度、搬送モータ29を吸入方向に駆動し(ステップS907)、通帳は搬送ローラ21c〜21d、22C〜22Dにより搬送路20cを通過しながら、バーコード読取位置まで搬送される。制御部31は、通帳がバーコード読取位置まで搬送されたか否かを判定し(ステップS908)、通帳がバーコード読取位置まで搬送されたと判定した場合(ステップS908;Yes)、搬送モータ29を停止させる(ステップS909)。一方、通帳がバーコード読取位置まで搬送されていないと判定した場合(ステップS908;No)、ステップS907に戻ってそのまま待機する。
【0026】
その後、光学読取機構25は、通帳の中紙に予め印刷された頁バーコードを読み取るバーコードリード処理を行い、頁バーコードを読み取り(ステップS910)、通信手段27が、これらの磁気ストライプ情報やバーコードリードデータを上位装置に伝送し、上位装置は、通信手段27により伝送されてきたデータを照合し、データに問題があるか否か(バーコードリード処理が正常に終了したか否か)を判定する(ステップS911)。
【0027】
上位装置がバーコードリード処理が正常に終了していないと判定した場合(ステップS911;No)、処理を異常終了させる。一方、上位装置がバーコードリード処理が正常に終了したと判定した場合(ステップS911;Yes)、制御部31は、磁気ストライプデータおよびバーコードリードデータの上位装置への伝送が完了したか否かを判定し(ステップS912)、これらのデータの伝送が完了していないと判定した場合(ステップS912;No)、そのまま待機する。
【0028】
一方、制御部31は、これらのデータの伝送が完了したと判定した場合(ステップS912;Yes)、さらに、これらのデータが予め定められた期待値であったか否かを判定し(ステップS913)、これらのデータが予め定められた期待値でないと判定した場合(ステップS913;No)、処理を異常終了させる。一方、制御部31は、これらのデータが予め定められた期待値であったと判定した場合(ステップS913;Yes)、次に搬送モータ29を排出方向に逆転させる(ステップS914)。
【0029】
そして、通帳は搬送ローラ21a、21c〜21d、22A、22C〜22Dにより搬送路20a〜20cを通過しながら、下インサータ18の退避位置まで搬送され、制御部31は、通帳が退避位置まで搬送されたか否かを判定し(ステップS915)、通帳が退避位置まで搬送されていないと判定した場合(ステップS915;No)、ステップS914に戻ってそのまま待機する。
【0030】
一方、制御部31は、通帳が退避位置まで搬送されたと判定した場合(ステップS915;Yes)、搬送モータ29を停止させ(ステップS916)、通帳を一旦退避させる。このとき、本取引のエビデンスを残すべく、上インサータ18に定期預金申し込み用紙のセット要求が上位装置より通信手段32を介して伝送される。前記定期預金申し込み用紙のセット要求に従いオペレータは上インサータ19に出金伝票を挿入する。
【0031】
そして、制御部31は、上インサータセットセンサ28が出金伝票がセットされたことを検知したか否かを判定し(ステップS917)、上インサータセットセンサ28が出金伝票がセットされたことを検知していないと判定した場合(ステップS917;No)、そのまま待機する。一方、制御部31は、上インサータセットセンサ28が出金伝票がセットされたことを検知したと判定した場合(ステップS917;Yes)、切替板30を上インサータ側に切替え(ステップS918)、搬送モータを駆動させる(ステップS919)。
【0032】
挿入された出金伝票は、搬送ローラ21B〜21D、22b〜22dにより搬送路20b、20cを通過しながら印字位置まで搬送され、制御部31は、出金伝票が印字位置まで搬送されたか否かを判定し(ステップS920)、出金伝票が印字位置まで搬送されていないと判定した場合(ステップS920;No)、ステップS919に戻ってそのまま待機する。
【0033】
一方、制御部31は、出金伝票が印字位置まで搬送されたと判定した場合(ステップS920;Yes)、搬送モータ29を停止させる(ステップS921)。次に、印字機構24が上位装置から伝送された印字電文を印字する印字処理を行い(ステップS922)、制御部31は、印字が正常になされたか否かを判定する(ステップS923)。そして、制御部31が、印字が正常になされていないと判定した場合(ステップS923;No)、処理を異常終了させる。
【0034】
一方、制御部31は、印字が正常になされたと判定した場合(ステップS923;Yes)、搬送モータ29を逆回転させる(ステップS924)。このとき、印字された出金伝票を搬送ローラ21B〜21D、22b〜22dにより搬送路20b、20cを通過されて、上インサータ19へ返却し、搬送モータ29を停止する。そして、上位装置は所望の通帳の印字データが通帳プリンタに伝送されると、通帳プリンタはまず切替板30を下インサータ側へ切り替える(ステップS925)。
【0035】
そして、制御部31は、搬送モータ29を吸入方向に駆動させ(ステップS926)、搬送ローラ21a、21c〜21d、22A、22C〜22Dにより搬送路20a〜20cを通過させて吸入し、先程一旦退避した通帳を印字位置まで搬送されたか否かを判定する(ステップS927)。制御部31は、通帳が印字位置まで搬送されていないと判定した場合(ステップS927;No)、ステップS926に戻ってそのまま待機する。一方、制御部31は、通帳が印字位置まで搬送されたと判定した場合(ステップS927;Yes)、吸入した後搬送モータ29を停止させ(ステップS928)、図9Bに示す各処理に進む。
【0036】
次に、印字機構24が所望の印字データを印字し、制御部31は、この時印字データに対して当該頁の印字可能行数が足りているか否かを判定し(ステップS929)、印字データに対して当該頁の印字可能行数が足りていると判定した場合(ステップS929;Yes)、ステップS945に進む。
【0037】
一方、制御部31は、印字データに対して当該頁の印字可能行数が足りていないと判定した場合(ステップS929;No)、当該頁分の印字データを印字する処理を行って、残りの印字データは制御部31に一旦退避させ(ステップS930)、その印字処理が正常に完了したか否かを判定し(ステップS931)、その印字処理が正常に完了していないと判定した場合(ステップS931;No)、処理を異常終了させる。
【0038】
一方、制御部31は、その印字処理が正常に完了したと判定した場合(ステップS931;Yes)、搬送モータ29を吸入方向に駆動し(ステップS932)、搬送ローラ21D、21E、22d、22eにより搬送路20cを通過しながら、通帳を頁替え位置まで搬送し、通帳が頁替え位置まで搬送されたか否かを判定する(ステップS933)。
【0039】
そして、制御部31は、通帳が頁替え位置まで搬送されていないと判定した場合(ステップS933;No)、ステップS932に戻ってそのまま待機する。一方、制御部31は、通帳が頁替え位置まで搬送されたと判定した場合(ステップS933;Yes)、搬送モータ29を停止させ(ステップS934)、頁替え機構26が、頁替え位置まで搬送された通帳は頁替えの処理を行う(ステップS935)。
【0040】
頁替えの処理後、頁めくり結果が正しいか否かを判断する為、制御部31は再度搬送モータを排出方向に駆動させ(ステップS936)、通帳を搬送ローラ21C〜21E、22c〜22eにより搬送路20cを通過しながらバーコード読取位置まで搬送させ、制御部31は、通帳がバーコード読取位置まで搬送されたか否か判定する(ステップS937)。
【0041】
制御部31は、通帳がバーコード読取位置まで搬送されていないと判定した場合(ステップS937;No)、ステップS936に戻ってそのまま待機する。一方、制御部31は、通帳がバーコード読取位置まで搬送されたと判定した場合(ステップS937;Yes)、搬送モータ29を停止させ(ステップS938)、再度光学読取機構25が、頁めくりされた頁の頁バーコードを読み取るバーコードリード処理を行い(ステップS939)、制御部31は、バーコードリード処理が正常に完了したか否かを判定し(ステップS940)、バーコードリード処理が正常に完了していないと判定した場合(ステップS940;No)、処理を異常終了させる。
【0042】
一方、制御部31は、バーコードリード処理が正常に完了したと判定した場合(ステップS940;Yes)、頁バーコードが所望のバーコードであるか否かを判定する(ステップS941)。制御部31は、読み取ったバーコードが所望のバーコードでないと判定した場合(ステップS942;No)、処理を異常終了させる。
【0043】
一方、制御部31は、読み取ったバーコードが所望のバーコードであると判定した場合(ステップS942;Yes)搬送モータを再度吸入方向に駆動して(ステップS942)、搬送ローラ21a、21c〜21d、22A、22C〜22Dで搬送路20cを通過しながら印字位置まで通帳を搬送し、通帳が印字位置まで搬送されたか否かを判定し(ステップS943)、通帳が印字位置まで搬送されていないと判定した場合(ステップS943;No)、処理を異常終了させる。
【0044】
制御部31は、通帳が印字位置まで搬送されたと判定した場合(ステップS943;Yes)、搬送モータ29を停止させ(ステップS944)、印字機構24が、前記搬送された通帳に先程一旦制御部31退避した印字データを印字する(ステップS945)。そして、制御部31は、その印字が正常に行われたか否かを判定し(ステップS946)、その印字が正常に行われていないと判定した場合(ステップS946;No)、処理を異常終了させる。
【0045】
一方、制御部31は、その印字が正常に行われたと判定した場合(ステップS946;Yes)、再度、搬送モータ29を排出方向に駆動して(ステップS947)、搬送ローラ搬送ローラ21a、21c〜21d、22A、22C〜22Dで搬送路20cを通過しながら磁気ストライプ書込み位置まで通帳を搬送し、通帳が磁気ストライプ書込み位置まで搬送されたか否かを判定する(ステップS948)。
【0046】
制御部31は、通帳が磁気ストライプ書込み位置まで搬送されていないと判定した場合(ステップS948;No)、ステップS947に戻ってそのまま待機する。一方、制御部31は、通帳が磁気ストライプ書込み位置まで搬送されたと判定した場合(ステップS948;Yes)、搬送モータ29を停止させ(ステップS949)、その後、磁気読み書き機構23が、取引終了後の磁気ストライプ情報を書き込む磁気ストライプライト処理を行い、磁気情報の更新を行う(ステップS950)。
【0047】
そして、磁気情報の更新が終了した後、制御部31は、その磁気情報の更新が正常に完了したか否かを判定し(ステップS951)、その磁気情報の更新が正常に完了していないと判定した場合(ステップS951;No)、処理を異常終了させる。一方、制御部31は、その磁気情報の更新が正常に完了したと判定した場合(ステップS951;Yes)、再度、搬送モータ29を排出方向に駆動させ(ステップS952)、搬送ローラ21a、21c〜21d、22A、22C〜22Dにより搬送路20aを通過しながら、通帳を下インサータ18へ排出し、通帳が排出位置まで搬送されたか否かを判定する(ステップS953)。
【0048】
制御部31は、通帳が排出位置まで搬送されていないと判定した場合(ステップS953;No)、ステップS952に戻ってそのまま待機する。一方、制御部31は、通帳が排出位置まで搬送されたと判定した場合(ステップS953;Yes)、搬送モータ29を停止させ(ステップS954)、取引を終了させる。このように、図9A、図9Bでは、前記事例の場合出金伝票の処理は、通帳の磁気ストライプの読取、及び頁バーコードの読取終了後に行われる例を示したが、通帳の挿入前、あるいは返却後、あるいは所望の印字後に出金伝票の処理が行われるケースもある。
【0049】
次に、定期預金証書での定期口座への入金処理について、上述した処理と同様に図8を用いて説明する。定期証書の場合は通帳の如く表紙に貼り付けられた磁気ストライプや予め印刷された頁バーコードは通常ないものが多く、今回はこれら磁気ストライプやバーコードのない場合について説明する。従って、フローチャートで示される処理手順は、通帳を使った出金処理の場合の磁気ストライプストライプリードライト位置への搬送、磁気ストライプリードライト処理、バーコードリード位置への搬送、バーコードリード処理、頁替え位置への搬送、及び頁替え処理がない場合のフローチャートとなる為、ここではフローチャートを用いた説明は割愛する。
【0050】
オペレータは、顧客から預かった現金と定期預金申し込み用紙より、通帳プリンタの上位装置により必要な処理を実施する。通帳プリンタには、上位装置から通信手段32を介して定期預金証書へ預金金額等を印字すべく、定期預金証書を下インサータ18にセット要求するためのコマンドが伝送される。そして、オペレータは、そのセット要求に従い定期預金証書を下インサータ18にセットする。
【0051】
定期預金証書が下インサータ18にセットされ、下インサータセット検知センサ27が通定期預金証書がセットされたことを検知すると、搬送モータ29が吸入方向に駆動する。定期預金証書は、搬送ローラ21a、21c〜21d、22A、22C〜22Dにより搬送路20a〜20cを通過しながら印字位置まで搬送され、搬送モータ29が停止する。
【0052】
次に、印字機構24が預金金額や口座番号等の定期預金証書に印字すべき印字データを印字する。印字が終わった定期預金証書は、搬送モータ29が排出方向に駆動されることによって、搬送ローラ21a、21c〜21d、22A、22C〜22Dにより搬送路20a〜20cを通過しながら下インサータ18へ排出され、搬送モータ29が停止する。
【0053】
続いて、本取引のエビデンスを残すべく、上インサータ18に定期預金申し込み用紙のセット要求が上位装置より通信手段32を介して伝送される。前記定期預金申し込み用紙のセット要求に従い、オペレータは上インサータ19へ定期預金申し込み用紙をセットする。上インサータセット検知センサ28が定期預金申し込み用紙がセットされたことを検知し、搬送モータ29が吸入方向に駆動する。定期預金申し込み用紙は、搬送ローラ21b〜21d、22B〜22Dにより搬送路20a〜20cを通過しながら印字位置まで搬送され、搬送モータ29が停止する。
【0054】
次に、印字機構24により本取引のエビデンスとなる印字データを印字する。印字が終わった定期預金申し込み用紙書は、搬送モータ29が排出方向に駆動されて、搬送ローラ21b〜21d、22B〜22Dにより搬送路20a〜20cを通過しながら上インサータ19へ排出され、搬送モータ29が停止する。
【0055】
前述したように、本実施形態にかかる通帳プリンタは、搬送ローラ21a〜21e、22A〜22Eを有し、搬送ガイドには上述した搬送ローラ穴が設けられている。ここで、まず左基準通帳プリンタの搬送ガイドについて述べる。
【0056】
図10に示すように、左基準通帳プリンタの場合、斜線で示したローラ穴33はローラで塞がれているが、その他のローラ穴34はローラで塞がれていない。下インサータ18あるいは上インサータ19からセットされた帳票36の角部35が、ちょうどローラ穴34上の関係にあった場合において、帳票の角部がカール又は耳折れしている場合でも帳票の角部はローラ穴のすくい角にすくわれてローラ穴には引っ掛らずジャムにはならず、所望の処理を実施して下インサータ18あるいは上インサータ19に返却される。次に、右基準通帳プリンタの搬送ガイドについて述べる。
【0057】
図11に示すように、右基準通帳プリンタの場合、斜線で示したローラ穴37はローラで塞がれているがその他のローラ穴38はローラで塞がれていない。下インサータ18あるいは上インサータ19からセットされた帳票39の角部40が、ちょうどローラ穴38上の関係にあった場合において、帳票の角部がカール又は耳折れしている場合でも帳票の角部はローラ穴のすくい角にすくわれてローラ穴には引っ掛らずジャムにはならず、所望の処理を実施して下インサータ18あるいは上インサータ19に返却される。
【0058】
このように、本実施の形態における通帳プリンタの構成を備えることによって、搬送ローラの有無で搬送ガイドを別部品にする必要もなく、又搬送ローラのないローラ穴を別ピースで塞ぐこともなく部品の共通化が実施でき、プリンタのコストアップを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0059】
1…左基準通帳プリンタ
2…右基準通帳プリンタ
3…挿入口
4…通帳
5a…左基準用搬送ガイド
5b…右基準用搬送ガイド
6…搬送ローラ穴
7…左基準/右基準共通搬送ガイド
7a…搬送ローラ穴
8…搬送ローラ穴埋め部材
9…搬送媒体
10…搬送媒体の角部
11…角型ローラ穴形状
12…亀の子ローラ穴形状
13…本発明のすくい角を有したローラ穴形状
14…本発明の左基準/右基準共通搬送ガイド
15…本発明のすくい角を有した共通搬送ガイドの左側の穴形状
16…角型ローラ穴形状
17…本発明のすくい角を有した共通搬送ガイドの右側の穴形状
18…下側挿入口
19…上側挿入口
20a…下側搬送路
20b…上側搬送路
20c…共通搬送路
21A〜21E…搬送ローラ(下)
22a〜22e…搬送ローラ(上)
23…磁気読み書き機構
24…印字機構
25…光学読取機構
26…頁替え機構
27…下インサータセット検知センサ
28…上インサータセット検知センサ
29…搬送モータ
30…切替板
31…制御部
32…通信手段
33…ローラで塞がれたローラ穴
34…ローラで塞がれていないローラ穴
35…左基準帳票の角部
36…左基準帳票
37…ローラで塞がれたローラ穴
38…ローラで塞がれていないローラ穴
39…右基準帳票の角部
40…右基準帳票
θ…すくい角
P…すくい角の先端。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送手段と、
搬送される前記媒体を搬送方向に導くためのガイドであって、前記媒体の搬送面に、前記搬送面よりも下にある前記媒体の搬送先方向の先端をすくうためのすくい角を有した穴部を設けたガイドと、
搬送された前記媒体に所定の情報を印字する印字手段と、
を備えたことを特徴とする通帳プリンタ。
【請求項2】
前記穴部は、前記媒体の搬送先方向の側に前記すくい角を有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の通帳プリンタ。
【請求項3】
前記搬送手段は、前記媒体の吸入方向および排出方向に搬送し、
前記穴部は、前記吸入方向および排出方向に前記すくい角を有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の通帳プリンタ。
【請求項4】
前記穴部は台形形状であり、前記すくい角は、前記穴部の下底と、前記下底および上底を除いた辺とによってなす角である、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の通帳プリンタ。
【請求項5】
前記穴部は、前記穴部の下底が前記ガイドの端側となるように、前記ガイドに配置されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の通帳プリンタ。
【請求項6】
前記穴部は、前記ガイドに複数設けられ、前記穴部のそれぞれは、前記媒体の搬送方向における前記ガイドの中心軸に対して左右対称となるように配置されている、
ことを特徴とする5に記載の通帳プリンタ。
【請求項7】
前記媒体に貼りつけられた磁気ストライプに磁気を読み書きする磁気処理手段と、前記印字手段によって印字された所定の情報およびバーコードの読み取りを行う光学読取手段と、搬送された前記媒体の頁替をする頁替え手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の通帳プリンタ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−246085(P2012−246085A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117786(P2011−117786)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】