通帳取扱装置
【課題】ATMのソフトウェアやハードウェアの種類に依存することなく容易に頁捲りに対するリトライ制御を可能とする。
【解決手段】通帳の挿入を受け付ける挿入部と、上位装置から通帳を頁替させるための頁替指示情報と、通帳指示情報を受信する通信部と、通帳取扱装置の種類に共通した基本ソフトと、通帳取扱装置の種類に固有のアプリケーションである固有ソフトと、通帳の頁への印字情報の印字が完了したことを示すフラグ情報とを記憶する記憶部と、通帳の頁を捲る頁捲り機構と、通信部が印字情報を受信した場合に通帳の頁に印刷するとともにフラグ情報を設定し、通信部が頁替指示情報を受信した場合に、基本ソフトを実行させることにより、フラグ情報が設定されているか否かを判定し、フラグ情報が設定されていないと判定した場合に、頁替指示情報にしたがって頁捲り機構による通帳の頁捲りのリトライを制御する制御部と、を備えた。
【解決手段】通帳の挿入を受け付ける挿入部と、上位装置から通帳を頁替させるための頁替指示情報と、通帳指示情報を受信する通信部と、通帳取扱装置の種類に共通した基本ソフトと、通帳取扱装置の種類に固有のアプリケーションである固有ソフトと、通帳の頁への印字情報の印字が完了したことを示すフラグ情報とを記憶する記憶部と、通帳の頁を捲る頁捲り機構と、通信部が印字情報を受信した場合に通帳の頁に印刷するとともにフラグ情報を設定し、通信部が頁替指示情報を受信した場合に、基本ソフトを実行させることにより、フラグ情報が設定されているか否かを判定し、フラグ情報が設定されていないと判定した場合に、頁替指示情報にしたがって頁捲り機構による通帳の頁捲りのリトライを制御する制御部と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、銀行などの金融機関で使用される通帳に、取引情報を印字する通帳取扱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行の支店等に設置された現金自動預払い機(ATM:Automated teller machine)が通帳に印字する場合、一般に印字済みの行数を計数した上で印字を開始する。この場合、通帳の印字行のうちの最終印字行と、メモリ等にあらかじめ記憶された1頁あたりの通帳印字行数とを比較して、通帳が全行印字済みになったと判定された場合に通帳を頁替している。そして、どの頁まで頁替したかを判定するために、通帳の頁の一部に予め設けられた頁マークを読み取って印字している頁をATM内の記憶部に記憶し、頁捲りされた後、読み取られた頁マークと、あらかじめATM内に記憶された頁マークとを比較して頁替え後の頁の良否を判定している。
【0003】
そして、頁替え後の頁が正しくない(例えば、二枚捲り)と判断した場合、センタ等の上位装置が通帳取り扱い装置に逆方向頁替えを指示したり、あるいは捲り前の頁と同じ頁のまま捲れていない場合には、センタ等の上位装置が通帳取り扱い装置に順頁捲りを指示するなど、頁捲りについてのリトライ処理が行われる。このリトライ処理では、通帳に対して同じ捲り動作を繰り返してもめくりが失敗に終わるケースが多く、それまでとは異なる捲り方式を取ることにより、頁捲りの信頼性を確保している場合が多い。
【0004】
近年、ATMの制御を簡素化するために、ATM内に通帳の頁マーク順序を記憶せずに頁捲りの良否判定をセンタ側で行うケースが増加している。この方式では、通帳の頁マーク順序を変更してもATMの変更が不要であり、上位装置プログラムの設定だけで対応可能であるという利点がある。しかしながら、頁めくりが失敗した際のATMに対する制御(例えば、頁替えのリトライ)は、ATMや通帳のページを捲る通帳取扱装置のプログラム自体が複雑化したり、多数あるATMや通帳取扱装置の種類ごとにアプリケーションが必要となってしまうという問題がある。
【0005】
このような制御の複雑さを回避するために、ATM側に専用のハードウェアを付加してリトライの信頼性を高めようとする例もある。例えば、特許第4369346号に公報されている技術にあっては、頁替えの際の捲られる頁の姿勢をセンサにより監視し、姿勢が不適であると判断した際は頁替えを中止し、リトライを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4369346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術では、いずれの場合もATMの種類に応じてアプリケーションのインストール、あるいはハードウェアの設定が必要となり、頁捲りに対するリトライ制御が容易ではないという問題がある。すなわち、ATMの種類に応じてソフトウェアの変更やハードウェアの設定をする必要があり、容易に頁捲りに対するリトライ制御ができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ATMのソフトウェアやハードウェアの種類に依存することなく容易に頁捲りに対するリトライ制御を可能とする通帳取扱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる通帳取扱装置は、上位装置に接続された通帳取扱装置であって、通帳の挿入を受け付ける挿入部と、前記上位装置から前記通帳を頁替させるための頁替指示情報と、前記通帳の頁に印字するための印字情報とを含む通帳指示情報を受信する通信部と、前記通帳取扱装置の種類に共通したアプリケーションである基本ソフトと、前記通帳取扱装置の種類に固有のアプリケーションである固有ソフトと、前記通帳の頁への前記印字情報の印字が完了したことを示すフラグ情報とを記憶する記憶部と、前記通帳の頁を捲る頁捲り機構と、前記通信部が前記印字情報を受信した場合に前記通帳の頁に印刷するとともに前記フラグ情報を設定し、前記通信部が前記頁替指示情報を受信した場合に、前記基本ソフトを実行させることにより、前記フラグ情報が設定されているか否かを判定し、前記フラグ情報が設定されていないと判定した場合に、前記頁替指示情報にしたがって前記頁捲り機構による前記通帳の頁捲りのリトライを制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ATMのソフトウェアやハードウェアの種類に依存することなく容易に頁捲りに対するリトライ制御を可能とする通帳取扱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】通帳取扱装置の構成および通帳構成図である。
【図2A】通帳の頁面に印刷された情報の例を示す図である。
【図2B】通帳の表紙・裏面に印刷された情報の例を示す図である。
【図3】頁替機構部の構成を示す図である。
【図4】頁替機構部が通帳の頁替をする様子を示す図である。
【図5】頁替機構部が通帳の頁替をする様子を示す図である。
【図6】頁替機構部が通帳の頁替をする様子を示す図である。
【図7A】通帳取扱装置の制御回路ブロック図である。
【図7B】制御部が実行するソフトウェアの構成の例を示す図である。
【図8】頁替処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】頁替処理の処理手順の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる通帳取扱装置の実施の形態を詳細に説明する。以下では、金融機関に採用されている、例えばATM(Automated teller machine)に搭載されている通帳取扱装置について説明しているが、冊子状の媒体の頁捲りに対するリトライ制御を行う装置であれば、これに限定されるものではない。
【0013】
図1は、本実施の形態における通帳取扱装置1の構成を示す図である。図1に示すように、通帳取扱装置1は、通帳2を挿入するための通帳挿入口3と、挿入された通帳を後述する頁替機構部8まで搬送するための搬送路4と、あらかじめ通帳2に印刷された磁気ストライプを読み取るための磁気ヘッド5と、通帳の頁の印字行を読み取るための印字行読取センサ6と、残高や入出金金額等の所定の情報を通帳の頁に印字するための印字ヘッド7と、上位装置からの頁替え指示により通帳2の頁替を行う頁替機構部8と、制御部23と、を含んで構成されている。なお、制御部23は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置から構成され、通帳取扱装置1の各部の動作を制御する。
【0014】
通帳取扱装置1は、利用者から通帳2が通帳挿入口3に挿入されると、挿入された通帳2を通帳搬送路4を介して内部に取り込み、その搬送途中で、磁気ヘッド5によって通帳2のあらかじめ記録された磁気ストライプ8の記録内容を読み取るとともに、印字行読み取りセンサ6により通帳2のあらかじめ印字された頁バーコード9および取引印字10を読み取る。
【0015】
図2Aは、通帳2の頁面に印刷された情報の例を示す図である。図2Aに示すように、通帳2の頁面には、頁数を示す頁バーコード9と、取引内容を示す取引印字情報10(図2Aに示した例では、取引日付)とが印字されている。
【0016】
また、図2Bは、通帳2の表紙・裏面に印刷された情報の例を示す図である。図2Bに示すように、通帳2の表面または裏面(図2Bの例では裏面)には、通帳2を識別するための磁気ストライプ11が印字されている。
【0017】
図3は、上述した頁替機構部8の構成を示す図である。図3に示すように、頁替機構部8は、捲り位置基準センサ12と、順頁替ローラ13と、逆頁替ローラ14と、可動搬送ガイド15と、搬送ローラ16とを有している。
【0018】
捲り位置基準センサ12は、搬送路4上を搬送されてきた通帳2が所定の頁捲り位置にあるか否かを検知するものである。順頁替ローラ13は、通帳2の頁を順方向に頁捲りするためのローラである。また、逆頁替ローラ14は、通帳2の頁を逆方向に頁捲りするためのローラである。制御部23は、捲り位置基準センサ12が、通帳2が所定の頁捲り位置に搬送されたことを検知すると、可動搬送ガイド15を、閉位置から開位置まで移動させる。なお、搬送ローラ16は、通帳2を進行方向または逆方向に搬送させるためのローラである。
【0019】
図4〜図6は、頁替機構部8が通帳2の頁替をする様子を示す図である。図4に示すように、まず、制御部23は、通帳2が所定の頁捲り位置に搬送されると、順頁替ローラ13を正頁替えローラ回転方向21の方向(図4に示す例では時計回りの方向)に回転させる。順頁替ローラ13がその方向に回転すると、正頁替えローラ凹部22が通帳2の中紙20(通帳2の、ある頁)の端に当接し、順頁替ローラ13は、そのまま中紙20を保持したまま回転方向に回転する。その後、図4および図5に示すように、中紙20が捲れ上がり、最終的には、図6に示したように、中紙20は反対側の頁まで捲られることとなる。
【0020】
なお、正頁替えローラ13の回転速度は、通常速度と低速度の2段階を選択可能としており、上位装置から頁捲りの指示を受け、後述する処理によって頁捲りのリトライをする場合には、中紙20と正頁替えローラ13の摩擦力をより多く確保して確実に頁を捲るため、低速度で回転させる。
【0021】
図7Aは、通帳取扱装置1の制御回路ブロック図である。図7に示すように、CPU(制御部)23は、ROM24に格納されたプログラムに従って各回路装置を制御し、その際に生成した各種の制御データをRAM25で読み出し可能に記憶する。上位通信I/F26は、上位装置であるATMの制御部(ATM制御部28)から、通信回線27を介してコマンドを受信し、そのコマンドをRAM25に読み出し可能に記憶する。また、そのコマンドの実行結果をRAM25から読み出し、上位通信I/F26および通信回線27を介してATM制御部28に送る。
【0022】
上位通信I/F26は、ATM制御部28から通信回線27を経由して通帳2を吸入する指令を受け取り、通帳2が搬送路4内を移動する際に、磁気ヘッド5が通帳2の磁気ストライプ10に記録された磁気信号を読み取る。そして、磁気ヘッド5で読み取った磁気信号はアンプ29で増幅され、制御部23は、続いてA/Dコンバータ30でアナログデジタル変換してRAM25に記憶させる。その後、制御部23は、デジタル変換された磁気信号を解析し、磁気ストライプ10に記録された情報をRAM25に記憶する。制御部23は、RAM25に記憶された磁気ストライプ10に記録された情報を、上位通信I/Fおよび通信回線27を介してATM制御部28に送る。
【0023】
駆動回路31はタイミング回路を含み、LEDアレイ32およびCCDイメージセンサ33を駆動し、通帳2が搬送路4内に取り込まれたときにLEDアレイ32から照射した反射光線が、光学フィルタ34およびレンズ35を介してCCDイメージセンサ33で検知される。このCCDイメージセンサ33で検知した信号はアンプ36によって増幅されると、A/Dコンバータ30でアナログデジタル変換してRAM25に記憶させる。その後、制御部23は、頁バーコード9に記録された情報と取引印字10の印字済み行をRAM25に記憶する。制御部23は、RAM25に記憶された頁バーコード9に記録された情報と取引印字10の印字済み行を示す情報を、上位通信I/Fおよび通信回線27を介してATM制御部28に送る。
【0024】
制御部23が実行するソフトウェアは、図7Bに示すように、様々な種類の機種の通帳取扱装置1に共通するプログラムを有した基本ソフト231と、通帳取扱装置1の機種の種類に応じて異なるプログラム(固有のプログラム)を有したアプリケーション232とを含んで構成されている。以下に示す通帳2の頁替処理は、基本ソフト231に組み込まれるため、頁替処理を含むアプリケーション232を、通帳取扱装置1ごとに準備する必要がなくなる。
【0025】
続いて、頁替機構部8が通帳2の頁替をする場合の頁替処理の処理手順について説明する。図8は、頁替する方向を判定して頁替する頁替処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0026】
図8に示すように、通帳取扱装置1の制御部23は、ATM制御部28から何らかの指示(コマンド)を受け取るまで待機し(ステップS801)、上位通信I/F部26が、通帳2への印字を完了させる旨の通知を受けたか否かを判定し(ステップS802)、その旨の通知を受けたと判定した場合(ステップS802;Yes)、処理を終了させる。なお、印字を完了させるか否かの判定は、ATM制御部28やセンタなどの上位機器が、挿入された通帳2の磁気情報、頁バーコードの示す情報、印字済み行などの情報から判断している。
【0027】
一方、制御部23は、その旨の通知を受けていないと判定した場合(ステップS802;No)、通帳挿入口3に挿入された通帳2が吸入されることを示す吸入コマンドを、ATM制御部28から受け取ったか否かを判定する(ステップS803)。
【0028】
制御部23は、ATM制御部28から吸入コマンドを受け取ったと判定した場合(ステップS803;Yes)、通常頁替フラグをクリアし(ステップS804)、ステップS801に戻って待機する。この通常頁替フラグは、吸入された通帳23の頁に入出金金額等の印字情報のすべてが印字され、通常の速度で頁替すべき状態にあるか否かを判定するために用いられるものであり、例えば、制御部23内部のメモリ領域に記憶される。
【0029】
一方、制御部23は、ATM制御部28から吸入コマンドを受け取っていないと判定した場合(ステップS803;No)、さらに印字コマンドを受け取ったか否かを判定する(ステップS805)。そして、制御部23は、印字コマンドを受け取ったと判定した場合(ステップS805;Yes)、上述した通常頁替フラグをセットし(ステップS806)、印字コマンドに従って印字情報を印字し(ステップS807)、ステップS801に戻って待機する。
【0030】
制御部23は、印字コマンドを受け取っていないと判定した場合(ステップS805;No)、さらに、順方向に頁替するコマンド(順頁替コマンド)を受け取ったか否かを判定する(ステップS808)。そして、制御部23は、順頁替コマンドを受け取ったと判定した場合(ステップS808;Yes)、さらに、通常頁替フラグがセットされているか、すなわち、頁への印字情報の印字が完了した状態であるか否かを判定し(ステップS809)、通常頁替フラグがセットされていると判定した場合(ステップS809;Yes)、正しい頁で取引印字が行われ、頁替すべき状態にあるものと判定し、順頁替ローラ13の回転速度を通常速度に設定し(ステップS810)、設定した通常の速度で頁替動作する(ステップS812)。
【0031】
一方、制御部23は、通常頁替フラグがセットされていないと判定した場合(ステップS809;No)、例えば、頁が捲られておらず(頁の空捲り)現在の頁が印字対象の頁ではない等の何らかの理由により通常の速度で頁替すべき状態にないと判定し、順頁替ローラ13の回転速度を異常用の速度に設定し(ステップS811)、設定した異常用の速度で頁替動作する(ステップS812)。
【0032】
そして、制御部23は、ステップS812が終了すると、頁が捲られたものとして、通常頁替フラグをクリアし(ステップS813)、ステップS801に戻って待機する。ここで通常頁替フラグをクリアする理由は、ステップS810またはS811において行われた頁替が正しく行われたか否かを判定するためである。すなわち、ステップS813において通常頁替フラグがクリアされた状態で頁替する場合は、制御部23はステップS809における判定で、頁捲りが異常であったと判定することとなる。
【0033】
ステップS808において、制御部23は、順頁替コマンドを受け取っていないと判定した場合(ステップS808;No)、さらに、逆頁替コマンドを受け取ったか否かを判定し(ステップS814)、逆頁替コマンドを受け取ったと判定した場合(ステップS814;Yes)、例えば、2枚捲りであると判定し、逆頁替ローラ14の回転速度を異常用の速度に設定し(ステップS815)、設定した異常用の速度で頁替動作する(ステップS816)。その後、制御部23は、通常頁替フラグをクリアし(ステップS817)、ステップS801に戻って待機する。なお、ステップS815において逆頁替ローラ14の回転速度を異常用の速度に設定する理由は、通常、逆頁替えコマンドを受け取る場合とは、例えば、前回の頁替えが期待に反して複数枚を同時に捲ってしまった場合等に発行され、頁捲りが正常ではない状態となっているためである。
【0034】
一方、制御部23は、逆頁替コマンドを受け取っていないと判定した場合(ステップS814;No)、処理を行わずにステップS801に戻ってそのまま待機する。そして、ステップS802において、ATM制御部28から印字を完了させる旨の通知を受けると、図8に示した全ての処理が終了する。
【0035】
このように、ATM制御部28や銀行の計算センタ等の上位装置から、頁捲りのリトライ捲り指示が無くとも適切な捲り方式を通帳取引装置側で自動的に設定し、設定した内容に従って頁捲りを実行することが出来る。よって、従来のように上位側のプログラムによって、通帳の頁替えに関する個別の指示(通常の頁捲りまたはリトライによる頁捲り)という指示を受けることなく通帳の頁替えを行うので、複雑なソフトウェアの変更やハードウェアの設定をする必要とすることなく頁捲りに対するリトライ制御が可能となる。また、頁替えの信頼性が高い通帳取扱装置を安価に提供でき顧客の利便性が向上する。
【0036】
さらに、本実施の形態においては、頁捲りが正しく行われていない場合、頁替ローラの回転駆動部の動作速度を低速に変化させるので、頁替ローラと通帳との摩擦力を向上することができ、確実に頁替処理を実行することができる。
【0037】
なお、上述した実施の形態においては、通帳取引装置1の内部の制御部23が基本ソフト231を実行することによって頁替処理を行うこととしたが、センタ側のプログラム(基本ソフト)で図8に示した頁替コマンドの判定や通常頁替フラグの判定等を行う処理(実際に頁替する処理以外の処理)を実行し、その結果のみを通帳取引装置1に送り、通帳取引装置1側では、受け取ったコマンドに従って単純に頁替させることも可能である。この場合も、上述したように、センタ側の基本ソフトに実際に頁替する処理以外の処理が組み込まれるため、センタ側のプログラムの通帳頁替え処理が平易になり、ソフトウェアの保守性を向上することが出来る。
【0038】
なお、通帳の繰越を行う場合には2冊目の通帳の1ページ目を捲る必要があることから、処理中の通帳2の頁をあわせると、正常な処理であっても2頁捲られることとなり、図8に示した頁替処理では、ステップS808またはステップS814において、必ず異常用の頁替速度で頁が捲られてしまう。したがって、図9のステップS901〜S903に示すように、ATM制御部28から通帳繰越のコマンドを受けた場合、捲ろうとする頁数が2頁以上であるか否かを確認した上で頁捲りを行うこととしてもよい。このような確認を行うことによって、通帳繰越時に必ず頁捲りが異常用の頁替速度に設定され、処理の遅延を招くことを防止することが出来る。
【0039】
本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…通帳取扱装置
2…通帳
3…通帳挿入口
4…搬送路
5…磁気ヘッド
6…印字行読み取りセンサ
7…印字ヘッド
8…頁替え機構部
9…頁バーコード
10…取引印字
11…磁気ストライプ
12…捲り位置基準センサ
13…順頁替えローラ
14…逆頁替えローラ
15…可動搬送ガイド(閉位置)
16…可動搬送ガイド(開位置)
17…搬送ローラ1
18…搬送ローラ2
19…頁替え搬送距離
20…通帳の中紙
21…製頁替えローラ回転方向
22…製頁替えローラ凹部
23…CPU(制御部)
231…基本ソフト
232…アプリケーション
24…ROM
25…RAM
26…上位通信I/F
27…通信回線
28…ATM制御部
29…アンプ(磁気ヘッド用)
30…ADコンバータ
31…駆動回路
32…LEDアレイ
33…CCDイメージセンサ
34…光学フィルタ
35…レンズ
36…アンプ(CCDイメージセンサ用)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、銀行などの金融機関で使用される通帳に、取引情報を印字する通帳取扱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行の支店等に設置された現金自動預払い機(ATM:Automated teller machine)が通帳に印字する場合、一般に印字済みの行数を計数した上で印字を開始する。この場合、通帳の印字行のうちの最終印字行と、メモリ等にあらかじめ記憶された1頁あたりの通帳印字行数とを比較して、通帳が全行印字済みになったと判定された場合に通帳を頁替している。そして、どの頁まで頁替したかを判定するために、通帳の頁の一部に予め設けられた頁マークを読み取って印字している頁をATM内の記憶部に記憶し、頁捲りされた後、読み取られた頁マークと、あらかじめATM内に記憶された頁マークとを比較して頁替え後の頁の良否を判定している。
【0003】
そして、頁替え後の頁が正しくない(例えば、二枚捲り)と判断した場合、センタ等の上位装置が通帳取り扱い装置に逆方向頁替えを指示したり、あるいは捲り前の頁と同じ頁のまま捲れていない場合には、センタ等の上位装置が通帳取り扱い装置に順頁捲りを指示するなど、頁捲りについてのリトライ処理が行われる。このリトライ処理では、通帳に対して同じ捲り動作を繰り返してもめくりが失敗に終わるケースが多く、それまでとは異なる捲り方式を取ることにより、頁捲りの信頼性を確保している場合が多い。
【0004】
近年、ATMの制御を簡素化するために、ATM内に通帳の頁マーク順序を記憶せずに頁捲りの良否判定をセンタ側で行うケースが増加している。この方式では、通帳の頁マーク順序を変更してもATMの変更が不要であり、上位装置プログラムの設定だけで対応可能であるという利点がある。しかしながら、頁めくりが失敗した際のATMに対する制御(例えば、頁替えのリトライ)は、ATMや通帳のページを捲る通帳取扱装置のプログラム自体が複雑化したり、多数あるATMや通帳取扱装置の種類ごとにアプリケーションが必要となってしまうという問題がある。
【0005】
このような制御の複雑さを回避するために、ATM側に専用のハードウェアを付加してリトライの信頼性を高めようとする例もある。例えば、特許第4369346号に公報されている技術にあっては、頁替えの際の捲られる頁の姿勢をセンサにより監視し、姿勢が不適であると判断した際は頁替えを中止し、リトライを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4369346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術では、いずれの場合もATMの種類に応じてアプリケーションのインストール、あるいはハードウェアの設定が必要となり、頁捲りに対するリトライ制御が容易ではないという問題がある。すなわち、ATMの種類に応じてソフトウェアの変更やハードウェアの設定をする必要があり、容易に頁捲りに対するリトライ制御ができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ATMのソフトウェアやハードウェアの種類に依存することなく容易に頁捲りに対するリトライ制御を可能とする通帳取扱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる通帳取扱装置は、上位装置に接続された通帳取扱装置であって、通帳の挿入を受け付ける挿入部と、前記上位装置から前記通帳を頁替させるための頁替指示情報と、前記通帳の頁に印字するための印字情報とを含む通帳指示情報を受信する通信部と、前記通帳取扱装置の種類に共通したアプリケーションである基本ソフトと、前記通帳取扱装置の種類に固有のアプリケーションである固有ソフトと、前記通帳の頁への前記印字情報の印字が完了したことを示すフラグ情報とを記憶する記憶部と、前記通帳の頁を捲る頁捲り機構と、前記通信部が前記印字情報を受信した場合に前記通帳の頁に印刷するとともに前記フラグ情報を設定し、前記通信部が前記頁替指示情報を受信した場合に、前記基本ソフトを実行させることにより、前記フラグ情報が設定されているか否かを判定し、前記フラグ情報が設定されていないと判定した場合に、前記頁替指示情報にしたがって前記頁捲り機構による前記通帳の頁捲りのリトライを制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ATMのソフトウェアやハードウェアの種類に依存することなく容易に頁捲りに対するリトライ制御を可能とする通帳取扱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】通帳取扱装置の構成および通帳構成図である。
【図2A】通帳の頁面に印刷された情報の例を示す図である。
【図2B】通帳の表紙・裏面に印刷された情報の例を示す図である。
【図3】頁替機構部の構成を示す図である。
【図4】頁替機構部が通帳の頁替をする様子を示す図である。
【図5】頁替機構部が通帳の頁替をする様子を示す図である。
【図6】頁替機構部が通帳の頁替をする様子を示す図である。
【図7A】通帳取扱装置の制御回路ブロック図である。
【図7B】制御部が実行するソフトウェアの構成の例を示す図である。
【図8】頁替処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】頁替処理の処理手順の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる通帳取扱装置の実施の形態を詳細に説明する。以下では、金融機関に採用されている、例えばATM(Automated teller machine)に搭載されている通帳取扱装置について説明しているが、冊子状の媒体の頁捲りに対するリトライ制御を行う装置であれば、これに限定されるものではない。
【0013】
図1は、本実施の形態における通帳取扱装置1の構成を示す図である。図1に示すように、通帳取扱装置1は、通帳2を挿入するための通帳挿入口3と、挿入された通帳を後述する頁替機構部8まで搬送するための搬送路4と、あらかじめ通帳2に印刷された磁気ストライプを読み取るための磁気ヘッド5と、通帳の頁の印字行を読み取るための印字行読取センサ6と、残高や入出金金額等の所定の情報を通帳の頁に印字するための印字ヘッド7と、上位装置からの頁替え指示により通帳2の頁替を行う頁替機構部8と、制御部23と、を含んで構成されている。なお、制御部23は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置から構成され、通帳取扱装置1の各部の動作を制御する。
【0014】
通帳取扱装置1は、利用者から通帳2が通帳挿入口3に挿入されると、挿入された通帳2を通帳搬送路4を介して内部に取り込み、その搬送途中で、磁気ヘッド5によって通帳2のあらかじめ記録された磁気ストライプ8の記録内容を読み取るとともに、印字行読み取りセンサ6により通帳2のあらかじめ印字された頁バーコード9および取引印字10を読み取る。
【0015】
図2Aは、通帳2の頁面に印刷された情報の例を示す図である。図2Aに示すように、通帳2の頁面には、頁数を示す頁バーコード9と、取引内容を示す取引印字情報10(図2Aに示した例では、取引日付)とが印字されている。
【0016】
また、図2Bは、通帳2の表紙・裏面に印刷された情報の例を示す図である。図2Bに示すように、通帳2の表面または裏面(図2Bの例では裏面)には、通帳2を識別するための磁気ストライプ11が印字されている。
【0017】
図3は、上述した頁替機構部8の構成を示す図である。図3に示すように、頁替機構部8は、捲り位置基準センサ12と、順頁替ローラ13と、逆頁替ローラ14と、可動搬送ガイド15と、搬送ローラ16とを有している。
【0018】
捲り位置基準センサ12は、搬送路4上を搬送されてきた通帳2が所定の頁捲り位置にあるか否かを検知するものである。順頁替ローラ13は、通帳2の頁を順方向に頁捲りするためのローラである。また、逆頁替ローラ14は、通帳2の頁を逆方向に頁捲りするためのローラである。制御部23は、捲り位置基準センサ12が、通帳2が所定の頁捲り位置に搬送されたことを検知すると、可動搬送ガイド15を、閉位置から開位置まで移動させる。なお、搬送ローラ16は、通帳2を進行方向または逆方向に搬送させるためのローラである。
【0019】
図4〜図6は、頁替機構部8が通帳2の頁替をする様子を示す図である。図4に示すように、まず、制御部23は、通帳2が所定の頁捲り位置に搬送されると、順頁替ローラ13を正頁替えローラ回転方向21の方向(図4に示す例では時計回りの方向)に回転させる。順頁替ローラ13がその方向に回転すると、正頁替えローラ凹部22が通帳2の中紙20(通帳2の、ある頁)の端に当接し、順頁替ローラ13は、そのまま中紙20を保持したまま回転方向に回転する。その後、図4および図5に示すように、中紙20が捲れ上がり、最終的には、図6に示したように、中紙20は反対側の頁まで捲られることとなる。
【0020】
なお、正頁替えローラ13の回転速度は、通常速度と低速度の2段階を選択可能としており、上位装置から頁捲りの指示を受け、後述する処理によって頁捲りのリトライをする場合には、中紙20と正頁替えローラ13の摩擦力をより多く確保して確実に頁を捲るため、低速度で回転させる。
【0021】
図7Aは、通帳取扱装置1の制御回路ブロック図である。図7に示すように、CPU(制御部)23は、ROM24に格納されたプログラムに従って各回路装置を制御し、その際に生成した各種の制御データをRAM25で読み出し可能に記憶する。上位通信I/F26は、上位装置であるATMの制御部(ATM制御部28)から、通信回線27を介してコマンドを受信し、そのコマンドをRAM25に読み出し可能に記憶する。また、そのコマンドの実行結果をRAM25から読み出し、上位通信I/F26および通信回線27を介してATM制御部28に送る。
【0022】
上位通信I/F26は、ATM制御部28から通信回線27を経由して通帳2を吸入する指令を受け取り、通帳2が搬送路4内を移動する際に、磁気ヘッド5が通帳2の磁気ストライプ10に記録された磁気信号を読み取る。そして、磁気ヘッド5で読み取った磁気信号はアンプ29で増幅され、制御部23は、続いてA/Dコンバータ30でアナログデジタル変換してRAM25に記憶させる。その後、制御部23は、デジタル変換された磁気信号を解析し、磁気ストライプ10に記録された情報をRAM25に記憶する。制御部23は、RAM25に記憶された磁気ストライプ10に記録された情報を、上位通信I/Fおよび通信回線27を介してATM制御部28に送る。
【0023】
駆動回路31はタイミング回路を含み、LEDアレイ32およびCCDイメージセンサ33を駆動し、通帳2が搬送路4内に取り込まれたときにLEDアレイ32から照射した反射光線が、光学フィルタ34およびレンズ35を介してCCDイメージセンサ33で検知される。このCCDイメージセンサ33で検知した信号はアンプ36によって増幅されると、A/Dコンバータ30でアナログデジタル変換してRAM25に記憶させる。その後、制御部23は、頁バーコード9に記録された情報と取引印字10の印字済み行をRAM25に記憶する。制御部23は、RAM25に記憶された頁バーコード9に記録された情報と取引印字10の印字済み行を示す情報を、上位通信I/Fおよび通信回線27を介してATM制御部28に送る。
【0024】
制御部23が実行するソフトウェアは、図7Bに示すように、様々な種類の機種の通帳取扱装置1に共通するプログラムを有した基本ソフト231と、通帳取扱装置1の機種の種類に応じて異なるプログラム(固有のプログラム)を有したアプリケーション232とを含んで構成されている。以下に示す通帳2の頁替処理は、基本ソフト231に組み込まれるため、頁替処理を含むアプリケーション232を、通帳取扱装置1ごとに準備する必要がなくなる。
【0025】
続いて、頁替機構部8が通帳2の頁替をする場合の頁替処理の処理手順について説明する。図8は、頁替する方向を判定して頁替する頁替処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0026】
図8に示すように、通帳取扱装置1の制御部23は、ATM制御部28から何らかの指示(コマンド)を受け取るまで待機し(ステップS801)、上位通信I/F部26が、通帳2への印字を完了させる旨の通知を受けたか否かを判定し(ステップS802)、その旨の通知を受けたと判定した場合(ステップS802;Yes)、処理を終了させる。なお、印字を完了させるか否かの判定は、ATM制御部28やセンタなどの上位機器が、挿入された通帳2の磁気情報、頁バーコードの示す情報、印字済み行などの情報から判断している。
【0027】
一方、制御部23は、その旨の通知を受けていないと判定した場合(ステップS802;No)、通帳挿入口3に挿入された通帳2が吸入されることを示す吸入コマンドを、ATM制御部28から受け取ったか否かを判定する(ステップS803)。
【0028】
制御部23は、ATM制御部28から吸入コマンドを受け取ったと判定した場合(ステップS803;Yes)、通常頁替フラグをクリアし(ステップS804)、ステップS801に戻って待機する。この通常頁替フラグは、吸入された通帳23の頁に入出金金額等の印字情報のすべてが印字され、通常の速度で頁替すべき状態にあるか否かを判定するために用いられるものであり、例えば、制御部23内部のメモリ領域に記憶される。
【0029】
一方、制御部23は、ATM制御部28から吸入コマンドを受け取っていないと判定した場合(ステップS803;No)、さらに印字コマンドを受け取ったか否かを判定する(ステップS805)。そして、制御部23は、印字コマンドを受け取ったと判定した場合(ステップS805;Yes)、上述した通常頁替フラグをセットし(ステップS806)、印字コマンドに従って印字情報を印字し(ステップS807)、ステップS801に戻って待機する。
【0030】
制御部23は、印字コマンドを受け取っていないと判定した場合(ステップS805;No)、さらに、順方向に頁替するコマンド(順頁替コマンド)を受け取ったか否かを判定する(ステップS808)。そして、制御部23は、順頁替コマンドを受け取ったと判定した場合(ステップS808;Yes)、さらに、通常頁替フラグがセットされているか、すなわち、頁への印字情報の印字が完了した状態であるか否かを判定し(ステップS809)、通常頁替フラグがセットされていると判定した場合(ステップS809;Yes)、正しい頁で取引印字が行われ、頁替すべき状態にあるものと判定し、順頁替ローラ13の回転速度を通常速度に設定し(ステップS810)、設定した通常の速度で頁替動作する(ステップS812)。
【0031】
一方、制御部23は、通常頁替フラグがセットされていないと判定した場合(ステップS809;No)、例えば、頁が捲られておらず(頁の空捲り)現在の頁が印字対象の頁ではない等の何らかの理由により通常の速度で頁替すべき状態にないと判定し、順頁替ローラ13の回転速度を異常用の速度に設定し(ステップS811)、設定した異常用の速度で頁替動作する(ステップS812)。
【0032】
そして、制御部23は、ステップS812が終了すると、頁が捲られたものとして、通常頁替フラグをクリアし(ステップS813)、ステップS801に戻って待機する。ここで通常頁替フラグをクリアする理由は、ステップS810またはS811において行われた頁替が正しく行われたか否かを判定するためである。すなわち、ステップS813において通常頁替フラグがクリアされた状態で頁替する場合は、制御部23はステップS809における判定で、頁捲りが異常であったと判定することとなる。
【0033】
ステップS808において、制御部23は、順頁替コマンドを受け取っていないと判定した場合(ステップS808;No)、さらに、逆頁替コマンドを受け取ったか否かを判定し(ステップS814)、逆頁替コマンドを受け取ったと判定した場合(ステップS814;Yes)、例えば、2枚捲りであると判定し、逆頁替ローラ14の回転速度を異常用の速度に設定し(ステップS815)、設定した異常用の速度で頁替動作する(ステップS816)。その後、制御部23は、通常頁替フラグをクリアし(ステップS817)、ステップS801に戻って待機する。なお、ステップS815において逆頁替ローラ14の回転速度を異常用の速度に設定する理由は、通常、逆頁替えコマンドを受け取る場合とは、例えば、前回の頁替えが期待に反して複数枚を同時に捲ってしまった場合等に発行され、頁捲りが正常ではない状態となっているためである。
【0034】
一方、制御部23は、逆頁替コマンドを受け取っていないと判定した場合(ステップS814;No)、処理を行わずにステップS801に戻ってそのまま待機する。そして、ステップS802において、ATM制御部28から印字を完了させる旨の通知を受けると、図8に示した全ての処理が終了する。
【0035】
このように、ATM制御部28や銀行の計算センタ等の上位装置から、頁捲りのリトライ捲り指示が無くとも適切な捲り方式を通帳取引装置側で自動的に設定し、設定した内容に従って頁捲りを実行することが出来る。よって、従来のように上位側のプログラムによって、通帳の頁替えに関する個別の指示(通常の頁捲りまたはリトライによる頁捲り)という指示を受けることなく通帳の頁替えを行うので、複雑なソフトウェアの変更やハードウェアの設定をする必要とすることなく頁捲りに対するリトライ制御が可能となる。また、頁替えの信頼性が高い通帳取扱装置を安価に提供でき顧客の利便性が向上する。
【0036】
さらに、本実施の形態においては、頁捲りが正しく行われていない場合、頁替ローラの回転駆動部の動作速度を低速に変化させるので、頁替ローラと通帳との摩擦力を向上することができ、確実に頁替処理を実行することができる。
【0037】
なお、上述した実施の形態においては、通帳取引装置1の内部の制御部23が基本ソフト231を実行することによって頁替処理を行うこととしたが、センタ側のプログラム(基本ソフト)で図8に示した頁替コマンドの判定や通常頁替フラグの判定等を行う処理(実際に頁替する処理以外の処理)を実行し、その結果のみを通帳取引装置1に送り、通帳取引装置1側では、受け取ったコマンドに従って単純に頁替させることも可能である。この場合も、上述したように、センタ側の基本ソフトに実際に頁替する処理以外の処理が組み込まれるため、センタ側のプログラムの通帳頁替え処理が平易になり、ソフトウェアの保守性を向上することが出来る。
【0038】
なお、通帳の繰越を行う場合には2冊目の通帳の1ページ目を捲る必要があることから、処理中の通帳2の頁をあわせると、正常な処理であっても2頁捲られることとなり、図8に示した頁替処理では、ステップS808またはステップS814において、必ず異常用の頁替速度で頁が捲られてしまう。したがって、図9のステップS901〜S903に示すように、ATM制御部28から通帳繰越のコマンドを受けた場合、捲ろうとする頁数が2頁以上であるか否かを確認した上で頁捲りを行うこととしてもよい。このような確認を行うことによって、通帳繰越時に必ず頁捲りが異常用の頁替速度に設定され、処理の遅延を招くことを防止することが出来る。
【0039】
本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…通帳取扱装置
2…通帳
3…通帳挿入口
4…搬送路
5…磁気ヘッド
6…印字行読み取りセンサ
7…印字ヘッド
8…頁替え機構部
9…頁バーコード
10…取引印字
11…磁気ストライプ
12…捲り位置基準センサ
13…順頁替えローラ
14…逆頁替えローラ
15…可動搬送ガイド(閉位置)
16…可動搬送ガイド(開位置)
17…搬送ローラ1
18…搬送ローラ2
19…頁替え搬送距離
20…通帳の中紙
21…製頁替えローラ回転方向
22…製頁替えローラ凹部
23…CPU(制御部)
231…基本ソフト
232…アプリケーション
24…ROM
25…RAM
26…上位通信I/F
27…通信回線
28…ATM制御部
29…アンプ(磁気ヘッド用)
30…ADコンバータ
31…駆動回路
32…LEDアレイ
33…CCDイメージセンサ
34…光学フィルタ
35…レンズ
36…アンプ(CCDイメージセンサ用)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置に接続された通帳取扱装置であって、
通帳の挿入を受け付ける挿入部と、
前記上位装置から前記通帳を頁替させるための頁替指示情報と、前記通帳の頁に印字するための印字情報とを含む通帳指示情報を受信する通信部と、
前記通帳取扱装置の種類に共通したアプリケーションである基本ソフトと、前記通帳取扱装置の種類に固有のアプリケーションである固有ソフトと、前記通帳の頁への前記印字情報の印字が完了したことを示すフラグ情報とを記憶する記憶部と、
前記通帳の頁を捲る頁捲り機構と、
前記通信部が前記印字情報を受信した場合に前記通帳の頁に印刷するとともに前記フラグ情報を設定し、前記通信部が前記頁替指示情報を受信した場合に、前記基本ソフトを実行させることにより、前記フラグ情報が設定されているか否かを判定し、前記フラグ情報が設定されていないと判定した場合に、前記頁替指示情報にしたがって前記頁捲り機構による前記通帳の頁捲りのリトライを制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする通帳取扱装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記頁替指示情報が順方向への頁替であるか否かを判定し、判定した結果に従って前記通帳の頁の捲り方向を定める、
ことを特徴とする請求項1に記載の通帳取扱装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記頁替指示情報が順方向への頁替であると判定した場合であって、前記フラグ情報が設定されていない場合には、異常な頁捲りであると判定し、前記通帳の頁を順方向に低速で捲るように前記頁捲り機構を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の通帳取扱装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記頁替指示情報が順方向への頁替ではないと判定した場合、異常な頁捲りであると判定し、前記通帳の頁を逆方向に低速で捲るように前記頁捲り機構を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の通帳取扱装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記通帳指示情報に前記通帳の繰越情報が含まれているか否かを判定し、前記通帳指示情報に前記通帳の繰越情報が含まれていると判定した場合、前記通帳の頁が異常な頁捲りであっても、通常の速度で前記通帳の頁を捲るように前記頁捲り機構を制御する、
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の通帳取扱装置。
【請求項6】
前記通帳取扱装置は、前記上位装置である現金自動取引装置に接続され、
前記制御部は、前記通信部が前記現金自動取引装置から前記通帳指示情報を受けた場合に、前記頁捲り機構による前記通帳の頁捲りを制御する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の通帳取扱装置。
【請求項7】
前記通帳取扱装置は、前記現金自動取引装置およびネットワークを介して前記現金自動取引装置を管理するセンタに接続され、前記通信部が、前記センタから前記通帳指示情報を受けた場合に、前記頁捲り機構による前記通帳の頁捲りを制御する、
ことを特徴とする請求項6項に記載の通帳取扱装置。
【請求項1】
上位装置に接続された通帳取扱装置であって、
通帳の挿入を受け付ける挿入部と、
前記上位装置から前記通帳を頁替させるための頁替指示情報と、前記通帳の頁に印字するための印字情報とを含む通帳指示情報を受信する通信部と、
前記通帳取扱装置の種類に共通したアプリケーションである基本ソフトと、前記通帳取扱装置の種類に固有のアプリケーションである固有ソフトと、前記通帳の頁への前記印字情報の印字が完了したことを示すフラグ情報とを記憶する記憶部と、
前記通帳の頁を捲る頁捲り機構と、
前記通信部が前記印字情報を受信した場合に前記通帳の頁に印刷するとともに前記フラグ情報を設定し、前記通信部が前記頁替指示情報を受信した場合に、前記基本ソフトを実行させることにより、前記フラグ情報が設定されているか否かを判定し、前記フラグ情報が設定されていないと判定した場合に、前記頁替指示情報にしたがって前記頁捲り機構による前記通帳の頁捲りのリトライを制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする通帳取扱装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記頁替指示情報が順方向への頁替であるか否かを判定し、判定した結果に従って前記通帳の頁の捲り方向を定める、
ことを特徴とする請求項1に記載の通帳取扱装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記頁替指示情報が順方向への頁替であると判定した場合であって、前記フラグ情報が設定されていない場合には、異常な頁捲りであると判定し、前記通帳の頁を順方向に低速で捲るように前記頁捲り機構を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の通帳取扱装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記頁替指示情報が順方向への頁替ではないと判定した場合、異常な頁捲りであると判定し、前記通帳の頁を逆方向に低速で捲るように前記頁捲り機構を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の通帳取扱装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記通帳指示情報に前記通帳の繰越情報が含まれているか否かを判定し、前記通帳指示情報に前記通帳の繰越情報が含まれていると判定した場合、前記通帳の頁が異常な頁捲りであっても、通常の速度で前記通帳の頁を捲るように前記頁捲り機構を制御する、
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の通帳取扱装置。
【請求項6】
前記通帳取扱装置は、前記上位装置である現金自動取引装置に接続され、
前記制御部は、前記通信部が前記現金自動取引装置から前記通帳指示情報を受けた場合に、前記頁捲り機構による前記通帳の頁捲りを制御する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の通帳取扱装置。
【請求項7】
前記通帳取扱装置は、前記現金自動取引装置およびネットワークを介して前記現金自動取引装置を管理するセンタに接続され、前記通信部が、前記センタから前記通帳指示情報を受けた場合に、前記頁捲り機構による前記通帳の頁捲りを制御する、
ことを特徴とする請求項6項に記載の通帳取扱装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−133430(P2012−133430A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282695(P2010−282695)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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