説明

通気性カーペット

【課題】その厚さ方向に通る空気の時間当たりの流量が小さくなるのを防止することができる通気性カーペットを提供する。
【解決手段】パイル層26とバッキング層32とで構成される通気性カーペット30において、前記バッキング層32に前記パイル層26とは反対側の面に開口して厚さ方向に深さを有するよう形成される空気溜め部42と、前記バッキング層32における前記パイル層26側の面と前記空気溜め部42との間の厚さ部分を貫通する通気孔40とを備えるようにした。
【効果】通気性カーペットの厚さ方向に通る空気の時間当たりの流量が小さくなるのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その厚さ方向に空気が通るための通気孔を有する通気性カーペットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の通気性カーペットとしては、例えば、図14に示すような通気性タイルカーペット2があった(第1の従来の通気性タイルカーペット)。同図は、従来の通気性タイルカーペット2が載置された通気性支持床4の一部を示す部分拡大断面図である。同図に示すように、通気性支持床4には、複数の通気孔6が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記従来の通気性タイルカーペット2は、カーペット層12とバッキング層10とで構成される2層構造になっている。この通気性タイルカーペット2のカーペット層12は、例えば、厚さ方向に通気性を有するシート材に、実質的にカーペットを構成するパイルを植毛したような状態のカーペットにより構成され、このようなカーペット層12の上記シート材がバッキング層10の上面に、部分的に塗布される接着剤により貼付けられている。
【0004】
通気性タイルカーペット2のバッキング層10は、粉砕して形成された異形の、粒径2mmから5mm位の多数のウレタンゴムのチップを周りから押し固めて、予めそのチップの表面に塗布しておいたウレタン樹脂系のバインダーを加熱溶融させ、その溶融したバインダーを介して互いにチップ同士を付着させることにより、異形のチップ間に空隙ができるように形成したものである。このような構成により通気性タイルカーペット2は、その厚さ方向に通気性を有するようにしていた。
【0005】
このような通気性タイルカーペット2と、この通気性タイルカーペット2が載置された通気性支持床4によれば、これらが敷設された部屋において、この通気性支持床4の下側の空間に連通する不図示のエアーダクト等を設置することにより、この不図示のエアーダクト等から送り出される温度等が調整された空気を、通気性支持床4の通気孔6及び通気性タイルカーペット2のバッキング層10の異形のチップ間とカーペット層12の細い通気孔を通って、通気性タイルカーペット2上の室内空間に空気を供給するような、室内空間の空調を行うことができるようになっていた。
【0006】
また、図15は、上記第1の従来の通気性タイルカーペット2とは異なる別の通気性タイルカーペット16(第2の従来の通気性タイルカーペット)と、この通気性タイルカーペット16が載置された通気性支持床18の一部を示す部分拡大断面図である。同図に示すように、通気性支持床18には、やはり複数の通気孔20が形成されている。
【0007】
また、上記第2の従来の通気性タイルカーペット16は、ループパイル23等により構成されたパイル層24と、そのループパイル23の基部を保持するバッキング層22とで構成される、2層構造になっている。
【0008】
このような通気性タイルカーペット16は、そのパイル層24とバッキング層22の両方を貫通して連通する、水平断面が丸孔形状の複数の通気孔26が、水平面において互いに略等間隔をおいて配置されて形成されている。
【0009】
このような通気性タイルカーペット16と、この通気性タイルカーペット16が上面に載置された通気性支持床18によれば、上記した第1の従来の通気性タイルカーペット2と通気性支持床4との組み合わせと同様に、これらが敷設された部屋において、この通気性支持床18の下側の空間に連通する不図示のエアーダクト等を設置することにより、この不図示のエアーダクト等から送り出される温度等が調整された空気を、通気性支持床18の通気孔20及び通気性タイルカーペット16の通気孔26を通して、やはり通気性タイルカーペット16上の室内空間に空気を供給して、室内空間の空調を行うことができるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公平8−29124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記第1の従来の通気性タイルカーペット2においては、バッキング層10における互いに付着したチップ間の微細な空隙を空気が通るようになっているため、この通気性タイルカーペット2をその厚さ方向に空気が通る際の抵抗が大きいので、空調を行う場合の時間当りの空気流量が少ない(流速が小さい)ため、通気性タイルカーペット2上の室内温度が設定温度に達するまでに長い時間がかかるという問題があった。
【0012】
また、上記従来の通気性タイルカーペット2においては、バッキング層10のチップ間の空隙は目が細かいわずかなものであるため、小さなゴミでも目詰まりしたり、重量物を載せた際につぶれてしまったりするという問題があった。
【0013】
また、上記第2の従来の通気性タイルカーペット16においては、図15に示すように、複数の通気孔26が形成されていても、これら複数の通気孔26のうちの多数のものが、通気性支持床18の通気孔20と連通することができていないと共に、通気孔20と連通している通気孔26においても空気が通る際の抵抗が大きいので、空調を行う場合の時間当りの空気流量が少ないため、通気性タイルカーペット16上の室内温度が設定温度に達するまでに長い時間がかかるという問題があった。
【0014】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、その厚さ方向に通る空気の時間当たりの流量が小さくなるのを防止することができる通気性カーペットを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために本発明は、
パイル層とバッキング層とで構成される通気性カーペットにおいて、
前記バッキング層に前記パイル層とは反対側の面に開口して厚さ方向に深さを有するよう形成される空気溜め部と、
前記バッキング層における前記パイル層側の面と前記空気溜め部との間の厚さ部分を貫通する通気孔とを備えることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明による通気性カーペットは、
前記パイル層が、互いにほぼ等間隔に平行に並ぶ複数のパイル列により構成され、
前記通気孔が前記パイル列同士の間に形成されることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明による通気性カーペットは、前記通気孔が丸孔状に形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明による通気性カーペットは、前記通気孔がスリット状に形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明による通気性カーペットは、前記空気溜め部の平面形状の領域内に前記通気孔が複数配置されていることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明による通気性カーペットは、
前記空気溜め部は、長孔状に形成されたパネル貫通孔の長さ方向に対して傾斜した方向に長さを有する溝形状に形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
このような本発明の通気性カーペットによれば、
パイル層とバッキング層とで構成される通気性カーペットにおいて、
前記バッキング層に前記パイル層とは反対側の面に開口して厚さ方向に深さを有するよう形成される空気溜め部と、
前記バッキング層における前記パイル層側の面と前記空気溜め部との間の厚さ部分を貫通する通気孔とを備えることにより、
その厚さ方向に通る空気の時間当たりの流量が小さくなるのを防止することができる。
【0022】
また、本発明の通気性カーペットによれば、
前記パイル層が、互いにほぼ等間隔に平行に並ぶ複数のパイル列により構成され、
前記通気孔が前記パイル列同士の間に形成されることにより、
通気孔に目詰まりが生じるのを防止することができると共に、通気性カーペットの見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【0023】
また、本発明の通気性カーペットによれば、
前記通気孔が丸孔状に形成されていることにより、
丸孔状の通気孔を点在させて通気性カーペットの表面に通気孔を目立たせないようにすることにより、通気性カーペットの見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【0024】
また、本発明の通気性カーペットによれば、
前記通気孔がスリット状に形成されていることにより、
スリット状の通気孔を前記パイル列同士の間に形成して、通気性カーペットの表面に通気孔を目立たせないようにすることにより、通気性カーペットの見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【0025】
また、本発明の通気性カーペットによれば、
前記空気溜め部の平面形状の領域内に前記通気孔が複数配置されていることにより、
その厚さ方向に通る空気の時間当たりの流量が小さくなるのをさらに効果的に防止することができる他に、通気孔それぞれの間の時間当たりの空気の流量差を緩和することができる。
【0026】
また、本発明の通気性カーペットによれば、
前記空気溜め部は、長孔状に形成されたパネル貫通孔の長さ方向に対して傾斜した方向に長さを有する溝形状に形成されていることにより、
空気溜め部がパネル貫通孔と確実に重なる状態となり、空気溜め部を通して室内空間に空気を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る通気性タイルカーペット30を示す平面図である。
【図2】図1に示すタイルカーペット30をフリーアクセスフロア50のパネル部材44の上に敷設した状態を示す一部平面図である。
【図3】図4に示すパネル部材44の1枚のみを示す平面図である。
【図4】図5に示すパネル部材44の側面図である。
【図5】図1に示す通気性タイルカーペット30の一部領域を示す部分拡大平面図である。
【図6】図5に示す通気性タイルカーペット30のA−A線矢視の部分拡大断面図である。
【図7】図5に示す通気性タイルカーペット30であって、ループパイル34を簡略化して示す部分拡大平面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る通気性タイルカーペット60の一部領域を示す部分拡大平面図である。
【図9】図8に示す通気性タイルカーペット60のB−B線矢視の部分拡大断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る通気性タイルカーペット70の一部領域を示す部分拡大平面図である。
【図11】図10に示す通気性タイルカーペット70のC−C線矢視の部分拡大断面図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る通気性タイルカーペット80の一部領域を示す部分拡大平面図である。
【図13】図12に示す通気性タイルカーペット80のD−D線矢視の部分拡大断面図である。
【図14】第1の従来のタイルカーペット2、及び通気性支持床4を示す部分拡大断面図である。
【図15】第2の従来のタイルカーペット16、及び通気性支持床18を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る通気性カーペットを実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1から図7は、本発明の第1の実施の形態に係る通気性タイルカーペット30(通気性カーペット)について説明するために参照する図である。
【0029】
本実施の形態に係る通気性タイルカーペット30は、図1に示すように、その平面形状が略正方形であるタイル状に形成されている。これにより、通気性タイルカーペット30は、図2に示すように、通気性支持床としてのフリーアクセスフロア50の上に縦横に複数並べて敷くことができるようになっている。
【0030】
ここで、図2は、部屋内に設置されたフリーアクセスフロア50の一部の領域と、このフリーアクセスフロア50上に敷設された複数のタイルカーペット30の一部を示す一部平面図である。
【0031】
図2は、便宜上、フリーアクセスフロア50上の一部領域において、タイルカーペット30が敷設されていない状態を示しているが、実際にはタイルカーペット30は、フリーアクセスフロア50上の広さ全体にわたって敷設されている。また、図2中において、フリーアクセスフロア50の、後述するパネル部材44の複数のパネル貫通孔46は、図面の複雑化を防止するために、図示していない。
【0032】
フリーアクセスフロア50は、水平面上に縦横に互いに隣り合うように整列して配置される複数のパネル部材44と、このパネル部材44の四隅のそれぞれを下側から支持する複数の支持脚52を備えて構成されている。これにより、フリーアクセスフロア50は、そのパネル部材44の下側に床下空間を有するようになっている。このフリーアクセスフロア50の床下空間には、不図示のエアーダクトが連通しており、温度等が調整された空気が供給されるようになっている。
【0033】
また、フリーアクセスフロア50のパネル部材44のそれぞれは、図3に示すように、その平面形状が、図1に示すタイルカーペット30の平面形状と同じ大きさの四辺形となるように形成されている。また、パネル部材44は、図4に示すように、一定の厚さを有する板状に形成されている。
【0034】
また、このパネル部材44には、図3に示すように、その厚さ方向に貫通する複数の、長孔状のパネル貫通孔46が形成されている。パネル部材44の複数のパネル貫通孔46は、図3に示すパネル部材44の四辺形の平面領域を、仮想線X,Yにより縦横2列に配置される同じ大きさの4つの四辺形に区切ったそれぞれの領域の、中央部分に密集して形成されている。
【0035】
パネル部材44は、複数のパネル貫通孔46が形成された領域以外の、仮想線X,Yのそれぞれを含んで幅を有するような十字状の領域と、四辺形の平面形状における四辺の各辺に沿って幅を有するようなロの字状の周縁部分とを足し合わせた領域、すなわち、漢字の「田」の字状の幅を有する領域において、パネル貫通孔46を塞ぐことがないようにして、その領域の上面に接着剤をローラ等で塗布するか、又は両面接着テープを貼着する等により、図2に示すタイルカーペット30のバッキング層32(図6参照)の下面をパネル部材44に接着して固定するようになっている。
【0036】
また、図2に示すように、複数のタイルカーペット30間の目地は、フリーアクセスフロア50におけるパネル部材44間の目地と、その四辺形の平面形状の各辺の丁度半分の長さ分だけ、前記各辺の縦横両方向のそれぞれに平行方向にずらして配置されている。
【0037】
図5は、通気性タイルカーペット30の平面領域の一部を拡大して示す部分拡大平面図であり、図6は、図5中におけるA―A線矢視の部分拡大断面図である。通気性タイルカーペット30は、図6に示すように、パイル層36とバッキング層32とを備えている。
【0038】
通気性タイルカーペット30のパイル層36は、バッキング層32の上側に、略逆U字型のループ形状を形成して露出する複数のループパイル34で構成されている。このループパイル34は、細い複数のパイル用繊維35が束ねられて構成されている。これにより、ループパイル34のそれぞれは、図5及び図6に示すように、寸法Dで示す太さを有している。
【0039】
また、上記複数のループパイル34のそれぞれは、上述したとおり、図6に示すように、その露出する長さ部分が略逆U字型のループ形状を形成しているため、通気性タイルカーペット30は、その上側から見下ろしたときには、図5に示すように、これら複数のループパイル34のそれぞれについて、図6中の寸法Pで示す範囲の上面だけを視認することができる。
【0040】
また、ループパイル34のそれぞれは、図6に示すように、そのバッキング層32の上側に露出するループ状の長さ部分の両下端部それぞれの下側方向に伸びる長さ延長部分が、バッキング層32に植え込まれていることにより、バッキング層32に保持されるようになっている。
【0041】
ここで、ループパイル34の両下端部のそれぞれを、基部34aと呼ぶこととする。ループパイル34の両下端部の基部34aそれぞれは、これら基部34a同士が互いに対向する方向(図6中左右方向)の延長方向において、これら基部34aそれぞれの下側に延長する、バッキング層32に植え込まれている長さ部分を介して、互いに隣り合って配置されるループパイル34の基部34a同士がバッキング層32内で繋がっている。
【0042】
したがって、ループパイル34のそれぞれは、その両下端部の基部34a同士が互いに対向する方向(図6中左右方向)の延長方向に配置される他の複数のループパイル34と一体的に繋がって配置されている。このような一体的に繋がって配置される複数のループパイル34同士は、図5中では上下方向よりも若干時計回り方向に傾いた方向(以後の説明において、便宜上、略上下方向という。)に連なって配置されている。
【0043】
また、ループパイル34のそれぞれは、図5中左右方向に、互いに繋がっていない他のループパイル34と互いに隣り合うように配置されている。これにより、複数のループパイル34は、図5中左右方向にほぼ一直線状に連なって見えるように並んで配置され、パイル列38を形成するようになっている。
【0044】
図面6における通気性タイルカーペット30のパイル層36は、図5に示すように、上述したようなパイル列38が、図中上下方向にほぼ等しい間隔を置いて互いに平行になるように複数並んで配置されている。
【0045】
また、通気性タイルカーペット30のバッキング層32には、図6に示すように、パイル層36とは反対側の面に開口し、厚さ方向に深さを有するような空気溜め部42が形成されている。また、バッキング層32には、そのパイル層36側の面と空気溜め部42の底面との間の厚さ部分を貫通する通気孔40が形成されている。
【0046】
複数の通気孔40のそれぞれは、図5中左右方向に一定間隔を置いて互いに離れて形成されていると共に、図5中上下方向に間隔を置いて並ぶ複数のパイル列38それぞれの間に形成される複数の狭間(はざま)のうち、例えば、その間に2つのパイル列38を挟んで離れて配置される狭間のそれぞれに開口するように形成されている。
【0047】
ここで、図5中において、この通気性タイルカーペット30のバッキング層32に形成される図6中の空気溜め部42をかくれ線(破線)で図示しようとすると図面が複雑化するため、平面図上に空気溜め部42の平面形状を図示する場合には、図7のように示すこととし、ループパイル34については、便宜上、その外形だけを二点鎖線で図7のように示すこととする。
【0048】
また図7に示すように、空気溜め部42は、その平面形状が円形状となるように形成され、この平面形状の大きさが、丸孔状の通気孔40の開口形状よりも大きくなるように形成されている。また、通気孔40のそれぞれは、空気溜め部42の平面形状の中央部において空気溜め部42と連通するように配置され形成されている。
【0049】
このような本実施の形態に係る通気性タイルカーペット30によれば、図7に示すように、そのバッキング層32に、通気孔40の開口形状よりも大きい開口形状の空気溜め部42が、パイル層36とは反対側の面に開口するように形成されているので、この通気性タイルカーペット30が図3に示すパネル部材44上に敷設される際に、図7に示す複数の通気孔40のうち、パネル部材44のパネル貫通孔46の開口領域から水平方向に外れるように配置される場合においても、空気溜め部42の開口領域の一部がパネル貫通孔46の開口領域と重なり合うことにより、通気孔40は空気溜め部42を介してパネル貫通孔46と連通することができる。
【0050】
このことにより、バッキング層32の通気孔40と、パネル部材44のパネル貫通孔46の間を、空気溜め部42を介することにより、通気させるように連通させることができる。
【0051】
また、例えば、複数の通気孔40のうち、パネル貫通孔46の開口形状の内側と外側に跨って配置されるものにおいては、パネル貫通孔46の開口領域と互いに重なり合う開口領域が一部分だけしか無い場合でも、この通気孔40とパネル貫通孔46とが互いに重なり合う開口領域よりも大きな開口領域で空気溜め部42がパネル貫通孔46と連通するようになるので、パネル貫通孔46と通気孔40との間の有効連通断面積が、互いに上記一部分だけの開口領域より大きくすることができるため、パネル貫通孔46から通気孔40へ空気が進入する際の抵抗を小さくすることができる。
【0052】
また、本実施の形態に係る通気性タイルカーペット30によれば、バッキング層32に空気溜め部42が形成されていることにより、通気孔40における通気方向(通気性タイルカーペット30の厚さ方向)の長さを短くすることができるので、長い長さにわたって空気が流れる場合に比べて、その厚さ方向に通る空気の時間当たりの流量が小さくなるのを防止することができる。
【0053】
このため、本実施の形態に係る通気性タイルカーペット30によれば、上述したとおり、パネル部材44上に敷設したときに、パネル部材44のパネル貫通孔46に連通する通気孔40の個数を増加させることができ、パネル貫通孔46から通気孔40へ空気が進入する際の抵抗を小さくすることができ、通気孔40における通気方向の長さを短くすることができるので、この通気性タイルカーペット30の厚さ方向に通る空気の時間当たりの流量が小さくなるのを防止することができる。
【0054】
また、本実施の形態に係る通気性タイルカーペット30によれば、通気孔40がパイル列38に囲まれてゴミが入り難くすることができると共に、バッキング層32に空気溜め部42が形成されたことにより、通気孔40における通気方向の長さを短くすることができるので、通気孔40に目詰まりが生じ難くすることができる。
【0055】
また、本実施の形態に係る通気性タイルカーペット30によれば、そのバッキング層32の複数の通気孔40のそれぞれが、パイル列38同士の間の狭間に開口するように形成されているので、以下のような観点から、この通気性タイルカーペット30の見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【0056】
例えば、通気性タイルカーペット30におけるバッキング層32の通気孔40が、仮に、パイル列38同士の間の狭間以外の個所に開口するように形成される場合には、この通気孔40を形成するドリル等の工具により、図6に示すループパイル34におけるバッキング層32の上側の逆U字状の露出部分の長さ中間部分が切断されてしまったり、基部34aがその下側延長部分のバッキング層32に植え込まれている長さ部分と切り離されたりしてしまうので、ループパイル34がほつれて、通気性タイルカーペット30の見栄えが悪くなってしまう。
【0057】
これに対して、本実施の形態に係る通気性タイルカーペット30では、その通気孔40が、パイル列38同士の間の狭間に開口するように形成されているので、そのバッキング層32の上側に露出する逆U字状のループパイル34の長さ中間部分が切断されるおそれはなく、また、基部34aがその下側延長部分から切り離されるおそれも生じないので、ループパイル34がほつれて通気性タイルカーペット30の見栄えが悪くなってしまうのを防止することができる。
【0058】
このように、通気性タイルカーペット30においては、そのループパイル34がほつれ易くなるのを防止することができるので、そのほつれにより通気性タイルカーペット30の見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【0059】
一方、本実施の形態に係る通気性タイルカーペット30によれば、通気孔40が丸孔状に形成されていると共に、この丸孔状の通気孔40を間隔を置いて点在させることにより、通気性カーペット30の表面に通気孔40を目立たせないようにすることができるので、通気性カーペット30の見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【0060】
次に、図8及び図9は、本発明の第2の実施の形態に係る通気性タイルカーペット60について説明するために参照する図である。
【0061】
本実施の形態に係る通気性タイルカーペット60は、図8及び図9に示すように、前記第1の実施の形態に係る通気性タイルカーペット30における通気孔40及び空気溜め部42のそれぞれの代わりに、通気孔62及び空気溜め部64が形成されている。
【0062】
通気性タイルカーペット60の通気孔62のそれぞれは、図8に示すように、その開口形状における幅方向(図8中、上下方向)の寸法が、その長さ方向(図8中、左右方向)の寸法と比べて遥かに狭いスリット状に形成され、この開口形状の長さ方向が、パイル列38の長さ方向(図8中、左右方向)と平行になるように形成されている。
【0063】
また、空気溜め部64のそれぞれは、その平面形状が細長い長方形となるように形成され、その長さ方向が通気孔62におけるスリット状の開口形状の長さ方向と同じ方向になるように形成されている。また、空気溜め部64のそれぞれは、その平面領域の中央部において通気孔62に連通するように形成されている。
【0064】
このような本実施の形態に係る通気性タイルカーペット60によれば、そのバッキング層32に空気溜め部64が形成されたことにより、前記第1の実施の形態と同様に、図3に示すパネル部材44上に敷設したときに、パネル部材44のパネル貫通孔46に連通する通気孔62の個数を増加させることができ、パネル貫通孔46から通気孔62へ空気が進入する際の抵抗を小さくすることができ、通気孔62における通気方向の長さを短くすることができるので、この通気性タイルカーペット60の厚さ方向に通る空気の時間当たりの流量が小さくなるのを防止することができる。
【0065】
また、本実施の形態に係る通気性タイルカーペット60によれば、通気孔62がパイル列38に囲まれてゴミが入り難くすることができると共に、バッキング層32に空気溜め部64が形成されたことにより、通気孔62における通気方向の長さを短くすることができるので、通気孔62に目詰まりが生じ難くすることができる。
【0066】
また、本実施の形態に係る通気性タイルカーペット60によれば、そのバッキング層32の複数の通気孔62のそれぞれが、パイル列38同士の間の狭間に開口するように形成されていることにより、前記第1の実施の形態と同様に、この通気性タイルカーペット60の見栄えが悪くなるのを防止することができると共に、通気孔62のそれぞれがスリット状に形成されていることにより、その開口面積が大きくなるとしても、見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【0067】
次に、図10及び図11は、本発明の第3の実施の形態に係る通気性タイルカーペット70について説明するために参照する図である。
【0068】
本実施の形態に係る通気性タイルカーペット70には、図10及び図11に示すように、前記第2の実施の形態に係る通気性タイルカーペット60における空気溜め部64(図8及び図9参照)の代わりに、空気溜め部72が形成されている。
【0069】
この空気溜め部72は、図10に示すように、その平面形状が略正方形となるように形成され、この平面形状の領域内に、図10中の上下方向に互いに離れて対向して並ぶ2つのスリット状の通気孔62を含むように形成されている。
【0070】
このような本実施の形態に係る通気性タイルカーペット70によれば、そのバッキング層32に空気溜め部72が形成されたことにより、図3に示すパネル部材44上に敷設したときに、前記第2の実施の形態に比べて、パネル部材44のパネル貫通孔46に連通する通気孔62の個数をより増加させることができると共に、パネル貫通孔46から通気孔62へ空気が進入する際の抵抗をより小さくすることができるので、通気性タイルカーペット70の厚さ方向に通る空気の時間当たりの流量が小さくなるのを、さらに効果的に防止することができる。
【0071】
また、本実施の形態に係る通気性タイルカーペット70によれば、そのバッキング層32に空気溜め部72が形成されたことにより、前記第2の実施の形態と同様に、通気孔62における通気方向の長さを短くすることができるので、通気孔62に目詰まりが生じるのを防止することができる。
【0072】
また、本実施の形態に係る通気性タイルカーペット70によれば、通気孔62がパイル列38に囲まれてゴミが入り難くすることができると共に、バッキング層32に空気溜め部72が形成されたことにより、通気孔62における通気方向の長さを短くすることができるので、通気孔62に目詰まりが生じ難くすることができる。
【0073】
また、本実施の形態に係る通気性タイルカーペット70によれば、空気溜め部72の平面形状の領域内に通気孔62が複数配置して連通されていることにより、通気孔62それぞれの間の流量差を緩和することもできる。
【0074】
次に、図12及び図13は、本発明の第4の実施の形態に係る通気性タイルカーペット80について説明するために参照する図である。
【0075】
本実施の形態に係る通気性タイルカーペット80には、図12及び図13に示すように、前記第3の実施の形態に係る通気性タイルカーペット70における通気孔62及び空気溜め部72のそれぞれの代わりに、通気孔82及び空気溜め部84が形成されている。
【0076】
通気性タイルカーペット80の通気孔82のそれぞれは、図12に示すように、前記第1の実施の形態に係る通気性タイルカーペット30における通気孔40と同様に、丸孔状に形成されている。
【0077】
また、空気溜め部84は、図12に示すようにその平面形状が長方形で長さを有し、図13に示すように深さを有する溝形状に形成されている。空気溜め部84の長さ方向は、図12に示すように、上下又は左右の方向に対して傾斜した方向に形成されている。
【0078】
図3に示すパネル部材44に形成されている長孔状のパネル貫通孔46の長さ方向は、図12中には図示していないが、同図中上下方向及び左右方向に配置されているものとすると、このパネル貫通孔46の長さ方向は空気溜め部84の長さ方向に対して傾斜した方向、すなわち互いに交差した方向となるように配置されている。
【0079】
一方、図12に示すように、空気溜め部84のそれぞれは、その平面形状の長方形の領域内に、その長さ方向に互いに離れて並ぶ3つの通気孔82を含むように形成されている。
【0080】
このような本実施の形態に係る通気性タイルカーペット80によれば、そのバッキング層32に、パネル部材44のパネル貫通孔46の長さ方向に対して傾斜した方向に空気溜め部84が形成されていることにより、図3に示すパネル部材44上に敷設したときに、各空気溜め部84がパネル貫通孔46と確実に重なる状態となり、各空気溜め部84を通して室内空間に空気を供給することができる。
【0081】
また、空気溜め部84に連通するパネル貫通孔46の個数をより増加させることができると共に、パネル貫通孔46から空気溜め部84へ空気が進入する際の抵抗をより小さくすることができるので、通気性タイルカーペット80の厚さ方向に通る空気の時間当たりの流量が小さくなるのをさらに効果的に防止することができる。
【0082】
なお、前記第1の実施の形態に係る通気性タイルカーペット30においては、図5に示すように、同図中の略上下方向に狭間を挟んで並ぶパイル列38の複数のループパイル34のそれぞれが1束のパイル糸で構成されていたが、バッキング層32内でパイル糸同士が互いに交差したり絡んだりして編込まれることにより、ループパイル34同士が互いのパイル糸同士で構成されるようになっていてもよい。また、前記第2、第3及び第4の実施の形態に係る通気性タイルカーペット60,70,80においても同様にしてもよい。
【0083】
また、前記第1から第4の実施の形態に係る通気性タイルカーペット30,60,70,80のそれぞれのパイル層36においては、図7、図8、図10及び図12に示すように、同図中の左右方向にループパイル34が並ぶことにより複数のパイル列38が形成されていたが、パイル列38が形成されないようになっていてもよい。
【0084】
また、前記第2及び第3の実施の形態に係る通気性タイルカーペット60,70においては、通気孔62のそれぞれは、その開口形状が直線状のスリット形状となるように形成されていたが、通気孔62はこのような開口形状のものに限定されず、例えば、パイル列38間の狭間がその長さ方向にわたって、円弧状や正弦曲線状等のように湾曲するように形成されている場合は、その形状に沿うような形状のスリットに形成されていてもよい。
【0085】
また、前記第3の実施の形態に係る通気性タイルカーペット70においては、図10に示すように、そのバッキング層32の空気溜め部72が、その平面形状の領域内に、図中上下方向に互いに離れて平行に並ぶ2つの通気孔62を含むように形成されていたが、図中左右方向に互いに離れて一直線状に並ぶ2つの通気孔62を含むように形成されていてもよい。
【0086】
或いは、空気溜め部72は、その平面形状の領域内に、図10中の上下方向と左右方向のそれぞれの方向に離れて並ぶ通気孔62を任意の個数だけ含むように形成されていてもよい。
【0087】
また、前記第4の実施の形態に係る通気性タイルカーペット80においては、図3に示すように、パネル貫通孔46はその長さ方向が図中の上下方向及び左右方向に配置された長孔状に形成されていたが、パネル貫通孔46の長さ方向が図3中斜め方向に配置されている場合には、例えば空気溜め部84の長さ方向を上下方向や左右方向などに形成して、パネル貫通孔46の長さ方向に対して傾斜したように形成すればよい。
また、パネル貫通孔46はその長さ方向が図3中の上下方向又は左右方向のいずれか一方向にのみ長孔状に形成されていてもよい。
【0088】
また、前記第4の実施の形態に係る通気性タイルカーペット80においては、図12に示すように、そのバッキング層32の空気溜め部84が、その平面形状の領域内に、図中斜め方向に互いに離れて並ぶ3つの通気孔82を含むように形成されていたが、空気溜め部84は通気孔82を他の任意の個数だけ含むように形成されていてもよい。
【0089】
また、前記第1の実施の形態に係る通気性タイルカーペット30においては、その空気溜め部42はその平面形状が円形状となるように形成され、前記第2、第3及び第4の実施の形態に係る通気性タイルカーペット60,70,80においては、その空気溜め部64,72,84はその平面形状が長方形や正方形等の四辺形に形成されていたが、空気溜め部の平面形状は、このような特定の形状に限定されず、また、その大きさも特定の大きさに限定されない。
【0090】
また、空気溜め部の平面形状が、上述したとおりに、特定の形状や大きさに限定されずに、任意の形状及び大きさで形成される場合においては、この平面形状の領域内に形成される通気孔は、その位置、形状、大きさ、個数等のそれぞれについて特定のものに限定されないように形成することもできる。
【0091】
また、前記第1の実施の形態に係る通気性タイルカーペット30においては、図2に示すように、複数のタイルカーペット30間の目地は、フリーアクセスフロア50におけるパネル部材44間の目地と、その四辺形の平面形状の各辺の丁度半分の長さ分だけ、前記各辺の縦横両方向のそれぞれに平行方向にずらして配置されていたが、通気性タイルカーペット30の配置の仕方はこのようなものに限定されない。前記第2、第3及び第4の実施の形態に係る通気性タイルカーペット60,70,80においても同様である。
【符号の説明】
【0092】
2 タイルカーペット
4 通気性支持床
6 通気孔
10 バッキング層
12 カーペット層
16 タイルカーペット
18 通気性支持床
20 通気孔
22 バッキング層
23 ループパイル
24 カーペット層
26 通気孔
30 通気性タイルカーペット
32 バッキング層
34 ループパイル
34a 基部
36 パイル層
35 パイル用繊維
38 パイル列
40 通気孔
42 空気溜め部
44 パネル部材
46 パネル貫通孔
50 フリーアクセスフロア
52 支持脚
60 通気性タイルカーペット
62 通気孔
64 空気溜め部
70 通気性タイルカーペット
72 空気溜め部
80 通気性タイルカーペット
82 通気孔
84 空気溜め部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイル層とバッキング層とで構成される通気性カーペットにおいて、
前記バッキング層に前記パイル層とは反対側の面に開口して厚さ方向に深さを有するよう形成される空気溜め部と、
前記バッキング層における前記パイル層側の面と前記空気溜め部との間の厚さ部分を貫通する通気孔と
を備えることを特徴とする通気性カーペット。
【請求項2】
前記パイル層が、互いにほぼ等間隔に平行に並ぶ複数のパイル列により構成され、
前記通気孔が前記パイル列同士の間に形成されることを特徴とする請求項1に記載の通気性カーペット。
【請求項3】
前記通気孔が丸孔状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の通気性カーペット。
【請求項4】
前記通気孔がスリット状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の通気性カーペット。
【請求項5】
前記空気溜め部の平面形状の領域内に前記通気孔が複数配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通気性カーペット。
【請求項6】
前記空気溜め部は、長孔状に形成されたパネル貫通孔の長さ方向に対して傾斜した方向に長さを有する溝形状に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の通気性カーペット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−246888(P2010−246888A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215074(P2009−215074)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【Fターム(参考)】