説明

通行制御装置、および自動改札機

【課題】利用者の通行方向が双方向である通路において、一方の側から通路に進入してくる利用者を速やかに検出することで、他方の側から進入する利用者に対する制限が早めに行える通行制御装置を提供する。
【解決手段】撮像部5が、通路の手前で利用者の足元を撮像する。画像処理部6が、撮像部5が撮像した利用者の足元の撮像画像を処理し、その利用者の足の向きを推定する。そして、画画像処理部6が推定した利用者の足の向きから、当該利用者が通路に進入してくるかどうかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通路における利用者の通行を制御する通行制御装置、および、この通行制御装置を適用した自動改札機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅の改札口では、駅構内に入場する利用者や、駅構内から出場する利用者に対する改札処理を自動改札機で行っている。自動改札機は、利用者が所持する乗車券を受け付け、その乗車券に記録されている乗車券情報を読み取るとともに、その利用者の属性が大人、子供、幼児のいずれであるかを判定する。自動改札機は、読み取った乗車券情報と、判定した利用者の属性と、に基づいて、改札通路における利用者の通行可否を判断する。これにより、大人が子供用の乗車券を使用して改札通路を不正に通行したり、乗車券が必要でない幼児に対して改札通路の通行を制限したりするのを、防止している。
【0003】
例えば、特許文献1では、天井に取り付けたカメラで改札通路を通行する利用者を撮像し、その撮像画像を処理して利用者の身長を推定し、ここで推定した身長が予め定めた閾値を超えているかどうかによって、その利用者が大人であるか、子供であるかを判定する技術が提案されている。
【0004】
なお、この特許文献1においては、利用者の属性を子供と幼児とで区別して判定することについては、特に記載されていない。
【0005】
また、通行している人の脚部の形状から、その人の性別を判定する技術が特許文献2に記載されている。この特許文献2では、撮像装置で撮像した脚部の画像を処理して、ズボンをはいているのか、スカートをはいているのかを判断し、この判断結果を、その人の性別の判定に用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7− 14038号公報
【特許文献2】特開平7−160883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
改札通路における利用者の通行方向を双方向(駅構内に入場する方向、および駅構外に出場する方向)とした自動改札機は、改札通路内に利用者がいる場合、この利用者の通行方向と反対方向に通行する利用者に対する改札処理を一時的に停止することで、通路内での利用者同士の衝突を防止している。
【0008】
この発明の目的は、利用者の通行方向が双方向である通路において、一方の側から通路に進入してくる利用者を速やかに検出することで、他方の側から進入する利用者に対する制限が早めに行える通行制御装置、およびこの通行制御装置を適用した自動改札機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の通行制御装置は、上記の目的を達するために、以下のように構成している。
【0010】
撮像手段が、通路の手前で利用者の足元を撮像する。画像処理手段が、撮像手段が撮像した利用者の足元の撮像画像を処理し、その利用者の足の向きを推定する。そして、判定手段が、画画像処理手段により推定された利用者の足の向きから、当該利用者が通路に進入してくるかどうかを判定する。
【0011】
この構成では、利用者が通路の手前(撮像手段の撮像領域内)に位置したときに、その利用者が通路に進入してくる利用者であるか、通路の手前を通行している利用者(通路に進入してこない利用者)であるかの判定を行う。したがって、通路に進入してくる利用者の検出が速やかに行える。このため、利用者の通行方向が双方向である通路において、利用者が一方の側から通路に進入してくる場合に、他方の側から通路に進入する利用者に対する制限が早めに行える。
【0012】
また、この発明にかかる自動改札機は、上述の通行制御装置を適用したものであり、利用者の通行方向が双方向である改札通路において、一方の側から通路に進入してくる利用者の検出が速やかに行えるので、他方の側から進入する利用者に対する制限が早めに行える。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、利用者の通行方向が双方向である通路において、利用者が一方の側から通路に進入してくる場合に、他方の側から通路に進入する利用者に対する制限が早めに行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】自動改札機の外観を示す図である。
【図2】自動改札機の外観を示す図である。
【図3】自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。
【図4】自動改札機の進入時対応づけ処理を示すフローチャートである。
【図5】自動改札機の属性判定処理を示すフローチャートである。
【図6】差分画像を示す図である。
【図7】自動改札機の通行制御処理を示すフローチャートである。
【図8】別の自動改札機の外観を示す図である。
【図9】利用者の足の甲の高さを推定する撮像画像を示す図である。
【図10】この発明の実施形態にかかる自動改札機の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、自動改札機の外観を示す図である。図1は、2台の自動改札機1(1a、1b)を対向して配置し、改札通路における利用者の通行方向を双方向とした自動改札ユニットを示している。自動改札機1aは、改札通路を図1中に示すA方向に通行する利用者に対して改札処理を行い、自動改札機1bは、改札通路を図1中に示すB方向に通行する利用者に対して改札処理を行う。A方向、またはB方向の一方が、駅構内に入場する方向であり、他方が駅構内から出場する方向である。A方向が駅構内に入場する方向である場合には、自動改札機1aは入場用の自動改札機として動作し、自動改札機1bは出場用の自動改札機として動作する。
【0016】
図2(A)は一方の自動改札機1aの改札通路側の側面図であり、図2(B)は図1に示す自動改札ユニットの上面図であり、図2(C)は図1に示す自動改札ユニットの改札通路側の正面図である。図3は、自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。図1に示す自動改札ユニットを構成する一方の自動改札機1aは、制御部2と、乗車券受付部3と、第1の利用者検知部4aと、撮像部5と、画像処理部6と、扉開閉部7と、表示部8と、入出力I/F9と、を備えている。また、他方の自動改札機1bは、制御部2と、乗車券受付部3と、第2の利用者検知部4bと、撮像部5と、画像処理部6と、扉開閉部7と、表示部8と、入出力I/F9と、を備えている。自動改札機1aと、自動改札機1bとは、略同じ構成であるが、第1の利用者検知部4aと第2の利用者検知部4bとにかかる部分で相違している。この相違については、後述する。
【0017】
自動改札機1(1a、1b)は、制御部2が上記各部の動作を制御する。制御部2は、予めインストールされているアプリケーションプログラムにより、本体各部を制御する。また、入場用として動作する一方の自動改札機1には、入場者に対して行う改札処理を実行するアプリケーションプログラムがインストールされており、出場用として動作する他方の自動改札機1には、出場者に対して改札処理を実行するアプリケーションプログラムがインストールされている。
【0018】
乗車券受付部3は、改札通路に進入する利用者が所持しているキップ、定期券等の乗車券を受け付ける。第1の利用者検知部4a、および第2の利用者検知部4bが、共同して、改札通路内にいる利用者毎に、その利用者の位置を検知する。撮像部5は、CCDカメラで構成されており、改札通路の入口付近で、改札通路に進入してきた利用者の足元を撮像する。画像処理部6は、撮像部5で撮像された撮像画像を処理して、利用者の足の大きさを推定する。扉開閉部7は、改札通路の入口側、および出口側に設けられた扉31、32を個別に開閉する。表示部8は、改札通路を通行している利用者に対する案内を表示する。入出力I/F9は、対向して配置されている他方の自動改札機1との入出力を制御する。
【0019】
なお、改札通路における利用者の通行方向を双方向ではなく、どちらか一方の方向にする場合には、この一方の方向に通行する利用者に対して改札処理を行わない側の自動改札機1a(または1b)については、乗車券受付部3、撮像部5、画像処理部6、および表示部8を設けなくてもよい。例えば、改札通路における利用者の通行方向を図1に示すA方向の一方にする場合には、自動改札機1bについては、乗車券受付部3、撮像部5、画像処理部6、および表示部8を設けなくてもよい。反対に、改札通路における利用者の通行方向を図1に示すB方向の一方にする場合には、自動改札機1aについては、乗車券受付部3、撮像部5、画像処理部6、および表示部8を設けなくてもよい。
【0020】
乗車券受付部3は、磁気券や、非接触媒体を乗車券として受け付ける。磁気券は、乗車券情報を磁気データで記録した乗車券であり、非接触媒体は無線通信機能を有し、乗車券情報をメモリに記憶した乗車券である。乗車券受付部3は、磁気券投入口11に投入された磁気券を磁気券放出口12、または自動改札機1内に設けられた回収ボックス(不図示)へ搬送する磁気券搬送部(不図示)、およびこの磁気券搬送部により搬送されている磁気券に記録されている乗車券情報の読取や、この磁気券に対する乗車券情報の書込を行う磁気券処理部(不図示)を有している。磁気券投入口11は、改札処理を行う利用者にとっての改札通路の入口近くに設けられており、磁気券放出口12は、改札通路の略中央に設けられている。この磁気券放出口12は、改札通路の出口付近に設けてもよい。また、乗車券受付部3は、アンテナコイル13に近接された非接触媒体との無線通信により、この非接触媒体が記憶している乗車券情報の読取や、この非接触媒体に対する乗車券情報の書込を行う媒体処理部(不図示)を有している。アンテナコイル13は、磁気券投入口11と同様に、改札通路の入口近くに設けられている。乗車券として使用される非接触媒体は、周知のように、アンテナコイル13に近接されたときに、このアンテナコイル13との電磁結合で動作電力を得る構成である。乗車券として使用される、磁気券や非接触媒体については、公知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0021】
第1の利用者検知部4a、および第2の利用者検知部4bは、共同して改札通路への利用者の進入、および改札通路内における利用者の位置を検知するものである。第1の利用者検知部4aは、一方の自動改札機1aの改札通路側の側面に、改札通路に沿って略等間隔(例えば、15cm間隔)に設けられた複数の発光部21と、発光部21毎に発光を制御する発光制御部(不図示)と、を備えている。第2の利用者検知部4bは、他方の自動改札機1b改札通路側の側面に、改札通路に沿って略等間隔(例えば、15cm間隔)に設けられた複数の受光部22と、受光部22毎に受光量が予め定めたレベルを超えているかどうかにより利用者の有無を検知する受光量検知部(不図示)を備えている。各発光部21は、対応する受光部22に対向する位置に取り付けられている。第2の利用者検知部4bは、発光部21から出射されている光を受光している受光部22(受光量が予め定めたレベルを超えている受光部22)の位置に利用者が存在しておらず、反対に発光部21から出射されている光を受光していない受光部22の位置に利用者が存在していると判定する。第2の利用者検知部4bは、改札通路内における利用者の位置検知を一定時間間隔(例えば、100ms間隔)で繰り返し行うことで、改札通路における各利用者の位置を追跡する。また、自動改札機1bは、第2の利用者検知部4bで改札通路における各利用者の位置を検知する毎に、自動改札機1aに検知結果を通知する。自動改札機1aは、この通知により、改札通路における各利用者の位置を認識する。
【0022】
なお、発光部21、および受光部22は、改札通路を通行している幼児も利用者として検知できるように、約800mmの高さに取り付けている。
【0023】
撮像部5は、CCDカメラで構成され、改札処理を行う利用者にとっての入口付近で、この利用者の足元を撮像する位置に取り付けている。特に、利用者は、磁気券投入口11に乗車券を投入したり、アンテナコイル13に乗車券を近接させるので、入口付近で少し立ち止まる。したがって、撮像部5は、この入口付近で立ち止まった利用者の足元が撮像される領域を撮像領域にするのが好ましい。また、撮像部5は、利用者の足の大きさを推定するのに、より適した撮像画像を得るために、利用者の足元を、できるだけ真上から撮像するように取り付けるのが望ましい。さらに、撮像部5は、改札通路を通行する利用者の邪魔にならない位置に取り付けるのが好ましいことから、ここでは、自動改札機1本体に組み込んでいる。画像処理部6は、撮像部5で撮像された撮像画像を処理し、足元が撮像されている利用者の足の大きさを推定する。例えば、利用者の足元を撮像していない撮像画像(背景画像)と、利用者の足元を撮像した撮像画像と、の差分画像(すなわち、利用者の足の画像)を2値化した2値化画像を生成し、この2値化画像から利用者の足の大きさを推定する。ここで推定する、足の大きさとは、利用者の足の甲の幅、面積、高さ等である。
【0024】
扉開閉部7は、改札通路の入口側、および出口側に設けられた扉31、32を個別に開閉する。改札処理を行った利用者に対して改札通路の通行を制限するときに、改札通路の出口側に設けられた扉31を閉する。また、対向して配置されている他方の自動改札機1a(または1b)からの指示にしたがって、改札通路の入口側に設けられた扉32を開閉する。自動改札機1は、改札処理を行った利用者に対して改札通路の通行を制限するときに、対向して配置されている他方の自動改札機1a(または1b)に対して、改札通路の入口側に設けられた扉32を閉することを指示する。表示部8は、改札通路の略中央に設けられている表示器41における画面表示を制御する。表示器41は、改札通路の出口付近に設けてもよい。
【0025】
入出力I/F9は、対向配置されている他方の自動改札機1との入出力を制御する。入出力I/F9では、上述した第2の利用者検知部4bが検知した改札通路内における各利用者の位置の通知や、扉32の開閉指示等にかかる入出力を制御する。
【0026】
以下、この自動改札機1の動作について説明する。自動改札機1は、通常、改札通路内に利用者がいないとき、改札通路への利用者の進入を妨げないように、扉31、32を開しておく設定(ノーマルオープン)で使用されている。
【0027】
ここでは、改札通路内に利用者がいない状態を初期状態として説明する。自動改札機1(1a、1b)は、改札通路に利用者が進入する毎に、進入した利用者に対して乗車券情報を対応づける進入時対応づけ処理を行う。図4は、この進入時対応づけ処理を示すフローチャートである。自動改札機1は、利用者が改札通路に進入したかどうかの判定を繰り返し行っている(s1)。改札通路への利用者の進入は、両端部の受光部22の一方において、対向する発光部21から出射されている光を受光していない状態になったときに、この状態になった受光部22が設けられている側から利用者が改札通路に進入したと判定する。この判定は、受光部22が設けられている側の自動改札機1bで行われるが、その判定結果は入出力I/F9を介して他方の自動改札機1aに通知されている。したがって、受光部22が設けられていない側の自動改札機1aにおいても、改札通路における利用者の進入が認識できる。改札通路に進入した利用者に対して改札処理を行う側の自動改札機1a(または1b)は、撮像部5が撮像している改札通路入口周辺の撮像画像を取り込む(s2)。
【0028】
なお、改札通路に進入した利用者に対して改札処理を行わない側の自動改札機1b(または1a)は、改札通路内に利用者がいない初期状態になるまで、利用者に対する改札処理を停止する。
【0029】
s2で取り込んだ撮像画像には、今回改札通路に進入した利用者の足元が撮像されている。また、撮像部5が利用者の足元を撮像する撮像領域が、比較的小さな領域として設定できるので、撮像画像間における、撮像部5と、利用者の足元と、の位置関係の変動が抑えられる。
【0030】
自動改札機1a(または1b)は、s2で利用者の足元を撮像した撮像画像を取り込むと、乗車券受付部3において乗車券を受け付けるか(s3)、この利用者が無札検知位置に達するのを待つ(s4)。無札検知位置は、改札通路に進入した利用者に対して改札処理を行う自動改札機1a(または1b)に設けられている磁気券投入口11や、アンテナコイル13よりも、少し奥側の位置である。したがって、自動改札機1a(または1b)は、通常、改札通路に進入した利用者が無札検知位置に達する前に、乗車券を受け付ける。
【0031】
自動改札機1a(または1b)は、s3で乗車券を受け付けると、この乗車券に記録されている乗車券情報を取得し、利用者と取得した乗車券情報と、を対応づけ(s5)、この利用者が無札検知位置に達するのを待つ(s6)。すなわち、s5にかかる処理により、改札通路に進入した利用者と、この利用者が所持している乗車券に記録されている乗車券情報と、の対応付が行われる。また、自動改札機1a(または1b)は、s4、またはs6で利用者が無札検知位置に達したと判定すると、今回無札検知位置に達した利用者が、大人であるか、子供であるか、または幼児であるかを判定する属性判定処理を行う(s7)。
【0032】
図5は、この属性判定処理を示すフローチャートである。自動改札機1a(または1b)は、撮像画像処理部6において、s2で取り込んだ撮像画像と、利用者が存在していないときの撮像部5の撮像画像(背景画像)と、差分画像を2値化画像で生成する(s11)。例えば、s11では、図6に示す差分画像が生成される。画像処理部6は、s11で生成した差分画像を用いて、利用者の足の甲の幅を推定する(s12)。s12では、差分画像から、利用者の足の向きを検出する。差分画像における、利用者の足の形状から足の向きとして検出してもよいし、指先と足首とを結ぶ方向を足の向きとして検出してもよい。画像処理部6は、差分画像において、先に検出した足の向きに直交する方向をラインとし、このラインを先に検出した足の向きにずらしながら、各ラインに位置する利用者の足にかかるドットを計数する。そして、最大であったドット数を、利用者の足の甲の幅として推定する。
【0033】
なお、この最大であったドット数を、予め定めた関数に代入し、利用者の足の甲の幅を算出する構成としてもよい。
【0034】
自動改札機1a(または1b)は、画像処理部6で推定された利用者の足の甲の幅が、設定されている第1の閾値未満であれば、その利用者を幼児と判定する(s13、s14)。また、画像処理部6で推定された利用者の足の甲の幅が、設定されている第1の閾値以上で、且つ第2の閾値未満であれば、その利用者を子供と判定する(s15、s16)。また、第2の閾値以上であれば、その利用者を大人と判定する(s17)。第1の閾値、および第2の閾値は、予め制御部2に設定されている。また、ここで言う幼児とは、改札通路を通行するのに乗車券を必要としない利用者(一般に小学生未満の利用者)であり、子供とは、子供用の乗車券で改札通路を通行することができる利用者(一般に小学生の利用者)であり、大人とは改札通路を通行するのに大人用の乗車券を必要とする利用者である。
【0035】
自動改札機1a(または1b)は、利用者、この利用者が所持している乗車券から取得した乗車券情報、利用者が大人、子供、幼児のいずれであるかを示す属性情報等を対応づけた利用者情報を制御部2のメモリ(不図示)に記憶する(s8)。s8では、大人であっても、この利用者が乗車券を所持しないで改札通路に進入した場合には、乗車券情報を対応づけていない利用者情報を記憶する。また、大人であっても、この利用者が子供用の乗車券で改札通路に進入した場合には、子供用の乗車券情報を対応づけた利用者情報を記憶する。さらに、幼児であっても、s3で乗車券を受け付けていれば、乗車券情報を対応づけた利用者情報を記憶する。
【0036】
また、自動改札機1a(または1b)は、改札通路を通行する際に乗車券を必要とする利用者が改札通路の略中央を通過すると、この利用者に対する改札通路の通行制御処理を行う。図7は、この通行制御処理を示すフローチャートである。自動改札機1a(または1b)は、改札通路の略中央に設けられている受光部22が発光部21から出射されている光を受光していない状態になると、利用者が、改札通路の中央に達したと判定する(s21)。上述したように、自動改札機1a、および1bは、第1の利用者検知部4aおよび第2の利用者検知部4bにより、改札通路を通行している利用者毎に、その位置を追跡している。自動改札機1a(または1b)は、s21で利用者が改札通路に中央に達したと判定すると、この利用者が乗車券を必要とする利用者であるかどうか、すなわち幼児であるかどうかを判定する(s22)。s22にかかる処理は、制御部2のメモリに記憶されている利用者情報に基づいて行われる。自動改札機1は、s22で今回改札通路の中央に達した利用者が乗車券を必要としない利用者(幼児)であると判定すると、この利用者にとっての出口側に設けられている扉31を開する(s25)。また、このとき、他方の自動改札機1b(または1a)に対して、この利用者にとっての出口側に設けられている扉32の開を指示する。他方の自動改札機1b(または1a)は、この指示にしたがって、扉32を開する。したがって、乗車券を必要としない利用者(幼児)に対して、通路の通行を制限するという事態が生じることはない。
【0037】
また、自動改札機1は、s32で今回改札通路に中央に達した利用者が乗車券を必要とする利用者(子供、または大人)であると判定すると、この利用者の利用者情報に含まれている乗車券情報を読み出し(s23)、ここで読み出した乗車券情報に基づいて改札通路の通行可否を判定する(s24)。自動改札機1は、s24で改札通路の通行を許可すると判定すると、扉開閉部7が、この利用者にとっての出口側に設けられている扉31を開する(s25)。これにより、適正な乗車券情報が対応づけられている利用者は、自動改札機1の改札通路を通行することができる。一方、自動改札機1は、s24で改札通路の通行を許可しないと判定すると、扉開閉部7が、この利用者にとっての出口側に設けられている扉31を閉する(s26)。このとき、他方の自動改札機1b(または1a)に対して、この利用者にとっての出口側に設けられている扉32の閉を指示する。他方の自動改札機1b(または1a)は、この指示にしたがって、扉32を閉する。これにより、適正な乗車券情報が対応づけられていない利用者に対して、自動改札機1の改札通路の通行を制限することができる。改札通路の通行が制限される利用者は、乗車券を所持していたが、その乗車券が適正でなかった利用者や、乗車券を所持していなかった利用者である。
【0038】
このように、撮像部5が利用者の足元を撮像する撮像領域が、比較的小さな領域として設定できるので、撮像画像間における、撮像部5と、利用者の足元と、の位置関係の変動が抑えられる。したがって、この撮像画像を用いた利用者の足の甲の幅の推定が精度よく行える。すなわち、利用者の属性(幼児、子供、または大人)を精度よく判定することができる。これにより、利用者に対して不適正な通行処理が行われるのを防止できる。
【0039】
また、上記実施形態では、改札通路に進入した利用者について撮像した足元の撮像から推定した足の甲の幅から、利用者の属性を判定するとしたが、足の甲の面積から利用者の属性を判定してもよい。この場合には、s11で生成した差分画像において、利用者の足の甲に相当するドットの総数を計数し、これを当該利用者の足の甲の面積とすればよい。また、利用者の属性を判定するのに用いる第1の閾値、および第2の閾値については、一般的な幼児や、子供の足の甲の大きさに基づいて、適当な値を設定しておけばよい。
【0040】
また、上記の実施形態では、斜め上方から利用者の足元を撮像する構成としたが、撮像部5を構成するCCDカメラを、図8に示すように、床面近くに配置し、利用者の足元を横から撮像するようにしてもよい。この場合には、図9に示す撮像画像から利用者の足の甲の高さを推定し、推定した足の甲の高さに基づいて、利用者の属性を判定することもできる。
【0041】
また、撮像部5を2つのCCDカメラで構成し、利用者の足元を、撮像したステレオ画像が得られる構成とし、このステレオ画像から利用者の足の甲の高さを推定し、推定した足の甲の高さに基づいて、利用者の属性を判定するようにしてもよい。
【0042】
ここで、この発明の実施形態である自動改札機について説明する。
【0043】
この自動改札機1は、図10に示すように、撮像部5の撮像領域を改札通路の入口手前に設定し、第1の利用者検知部4aおよび第2の利用者検知部4bによる改札通路への利用者の進入を検知する前に、利用者の足元の撮像画像を得る構成である。
【0044】
なお、この例にかかる自動改札機1も図3に示す構成である。
【0045】
この例にかかる自動改札機1は、画像処理部6が、一定時間毎に撮像部5から撮像画像を取り込んで利用者の足元が撮像されているかどうかを判定する。また、利用者の足元が撮像されている場合には、上述したように、撮像画像における利用者の足の形状や、指先と足首とを結ぶ方向等から、その利用者の足の向きを検出し、改札通路に進入してくる利用者であるか、単に改札通路の入口近くを通行している利用者であるかを判定する。そして、改札通路に進入してくる利用者であると判定した場合に、他方の自動改札機1a(または1b)にその旨を通知し、改札通路内に利用者がいない初期状態になるまで、利用者に対する改札処理を停止させる。
【0046】
これにより、改札通路の通行方向を双方向とする自動改札ユニットでは、改札通路に反対方向から進入してくる利用者に対する制限が早めに行える。
【0047】
なお、本願発明は、自動改札機にかかわらず、幼児であるかどうかによって、通行を制限する通行制御装置であれば、特定の部屋やエリアへの入退室管理等を行う通行制御装置にも適用できる。例えば、幼児の入室を禁止する部屋や施設では、利用者が幼児であることを検出したときに、その施設の扉を閉する通行制御装置として適用できる。
【符号の説明】
【0048】
1(1a、1b)−自動改札機
2−制御部
3−乗車券受付部
4a−第1の利用者検知部
4b−第2の利用者検知部
5−撮像部
6−画像処理部
7−扉開閉部
8−表示部
9−入出力I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路の手前で利用者の足元を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した利用者の足元の撮像画像を処理し、その利用者の足の向きを推定する画像処理手段と、
前記画像処理手段により推定された利用者の足の向きから、当該利用者が前記通路に進入してくるかどうかを判定する判定手段と、を備えた通行制御装置。
【請求項2】
乗車券を受け付ける乗車券受付手段と、
改札通路を通行する利用者毎に、前記乗車券受付手段が受け付けた乗車券に記録されている乗車券情報を用いて改札処理を行う改札処理手段と、を備えた自動改札機において、
通路の手前で利用者の足元を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した利用者の足元の撮像画像を処理し、その利用者の足の向きを推定する画像処理手段と、
前記画像処理手段により推定された利用者の足の向きから、当該利用者が前記通路に進入してくるかどうかを判定する判定手段と、を備えた自動改札機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−54788(P2013−54788A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−278806(P2012−278806)
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2007−167052(P2007−167052)の分割
【原出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】