説明

通行制御装置および集合住宅管理システム

【課題】 単一の通行制御装置にて制御する複数出入口の通行のセキュリティ性を維持しつつ、個々の出入口に対して適切に通行を制御できる通行制御装置を提供する。
【解決手段】 管理区域内への通行を許可する通行許可信号と車両の在否を示す車両在否信号との入力に基づいて、車両用の第一入口または車両以外用の第二入口からの当該管理区域への通行を可能にする制御部を具備する通行制御装置であって、前記制御部は、前記車両の存在を検出していると判定すれば第一入口からの通行と判断し、前記車両の存在を検出していないと判定すれば第二入口からの通行と判断し、判断結果を出す判定手段と、前記通行許可信号を受信したときに、前記判断結果が第一入口からの通行である場合には第一入口からの通行を許可し、前記判断結果が第二入口からの通行である場合には第二入口からの通行を許可する通行制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理区域への通行を制御する通行制御装置に関し、特に、マンションやビルなど入口が複数設けられている管理区域への通行を制御する通行制御装置および集合住宅管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の玄関ロビーからマンションの敷地に入ることを許容する際に、来客者が居る玄関ロビーの扉を開け、他の玄関ロビーの扉は開けないように制御する集合住宅用インターホンシステムが特許文献1にて知られている。
【0003】
特許文献1に記載されている集合住宅用インターホンシステムでは、複数の玄関ロビーユニットと各住戸に設けられた住戸ユニットとが、玄関ロビーと住戸にて通話するための通話用の信号線及び電気錠の解錠信号を住戸ユニットから総ての玄関ロビーユニットへ送信するための解錠信号線を介して接続されている。そして、来客者が玄関ロビーユニットから通話用の信号線を介して住戸ユニットから住人を呼び出し、住人が来客者の集合住宅内への入館を許可する場合、住人が住戸ユニットに備えられた解錠スイッチを操作する。解錠スイッチが操作されると、住戸ユニットは、総ての玄関ロビーユニットに対して、解錠信号線を介して電気錠の解錠信号を送信する。
【0004】
玄関ロビーユニットでは、解錠信号を受信したときに、住戸ユニットとの間で通話状態にあるか否かを判断し、通話状態にある場合に接続されている電気錠扉を解錠する。他方、通話状態にない玄関ロビーユニットは、解除許可信号を受信しても電気錠扉を解錠することがない。これにより、住人が許可した来客者の居る玄関ロビーユニットの電気錠扉のみが解錠されるので、不用意に他の玄関ロビーの扉が解錠されるのを防止していた。
【特許文献1】特開昭60−30776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、マンションや工場などの施設の管理区域では、車両での来客用の出入口と、徒歩での来客用の出入口を用意していることがある。更に、この場合に車両での来客者と徒歩での来客者とが、同じ通行制御装置を使用して入館することがある。
かかる場合は、従来の玄関ロビーユニットのような通行制御装置では、車両での来客者用の出入口と徒歩の来客者用の出入口の両方を解錠することになる。従来の方式では、解錠信号を受けたときに通話中か否かによって解錠するか否かを判断するため、通行制御装置が通話中であれば、通行制御装置が制御可能な電気錠を総て解錠するからである。
したがって、単一の通行制御装置にて複数の出入口の通行を制御する場合は、不用意に出入口が解錠されるという課題が残っている。
【0006】
また、車両用の出入口付近と、徒歩の来客者用の出入口付近とに、別個に従来の通行制御装置を設置すると、不用意に出入口が解錠されることを防止できるが、通行制御装置を複数設置することにより機器コストがかかる上、徒歩の来客用の出入口と車両用の出入口が近くの場合は設置スペースの問題、更に美観上の問題がある。
【0007】
そこで、かかる課題を解決するために、本発明は、単一の通行制御装置にて制御する複数出入口の通行のセキュリティ性を維持しつつ、個々の出入口に対して適切に通行を制御することができる通行制御装置の実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第一の発明は、管理区域内への通行を許可する通行許可信号と車両の在否を示す車両在否信号との入力に基づいて、車両用の第一入口または車両以外用の第二入口からの当該管理区域への通行を可能にする制御部を具備する通行制御装置であって、前記制御部は、前記車両の存在を検出していると判定すれば第一入口からの通行と判断し、前記車両の存在を検出していないと判定すれば第二入口からの通行と判断し、判断結果を出す判定手段と、前記通行許可信号を受信したときに、前記判断結果が第一入口からの通行である場合には第一入口からの通行を許可し、前記判断結果が第二入口からの通行である場合には第二入口からの通行を許可する通行制御手段と、を有することを特徴とした通行制御装置を提供する。
【0009】
かかる構成により、第一の発明は、入口を特定していない通行許可信号を通行制御装置に人が入力するだけで、車両にて管理区域へ通行したい場合は第一入口からの通行ができ、徒歩等の車両以外での管理区域へ通行をしたい場合は第二入口から通行することが可能となる。
【0010】
また、第一の発明の好適な態様では、管理区域内への通行許可を要請するための操作部を有し、前記判定手段は、前記操作部が操作されたときから所定時間前までの間に前記車両の存在信号の入力があり、当該車両の存在が前記操作部の操作まで継続していれば車両の存在を検出していると判定する。
【0011】
かかる構成により、管理区域への通行許可を要請した人の車両でない車両によって、車両が存在すると判定されるのを防止できるので、より適切な通行制御が可能となる。
なお、所定時間は、管理区域への通行許可を要請する際に予め定めた車両の停止場所から通行制御装置を操作するに必要十分な程度の時間であり、設置状況等によって異なった時間になる。
【0012】
また、第一の発明の好適な態様では、管理区域内への通行許可を要請するための操作部を有し、前記判定手段は、前記操作部が操作されたときに第一入口からの通行との判断結果が出ている場合に、前記操作部が操作されたときから前記通行許可信号の入力があるまでに車両の存在を検出していないとの判定となると第二入口からの通行との判断に判断結果を変更する。
【0013】
かかる構成により、操作部にて要請したときには車両が存在していたとしても、通行許可するまでに車両が存在しなかった場合は、第二入口からの通行とする。例えば、来客者がタクシー等の車両にて送られた場合に、来客者が要請操作したときは車両が存在していたが、その後に来客者の本人確認ができ管理区域の人が通行許可するまでの間に車両が立ち去った場合に第二入口からの通行とすることが可能である。
【0014】
かかる課題を解決するために、第二の発明は、集合住宅の住戸に設置される住戸装置と、車両にて集合住宅の敷地に入るための所定場所に設置され車両の在否を検知するセンサと、集合住宅の敷地への車両での通行を制限可能な車両用入口装置と、集合住宅の敷地への徒歩での通行を制限可能な人用入口装置と、前記住戸装置、前記センサ、前記車両用入口装置、及び前記人用入口装置と接続し集合住宅の敷地内への通行を制御する通行制御装置とからなる集合住宅管理システムであって、前記住戸装置は、前記通行制御装置からの通行許可の要請を受け通行を許可するときに居住者が操作する通行許可操作部と、前記通行許可操作部が操作されると通行許可信号を通行制御装置に送信する送信部を有し、前記通行制御装置は、来客者が集合住宅の敷地内への通行許可を要請するための操作部と、前記操作部が操作されると前記住戸装置に通行許可の要請信号を出力する出力部と、前記センサからの車両の在否信号の入力を受けるセンサ入力部と、前記住戸装置からの通行許可信号の入力を受ける通行許可信号入力部と、車両の存在を検出していると判定すれば前記車両用入口装置からの通行と判断し、前記車両の存在を検出していないと判定すれば前記人用入口装置からの通行と判断する判定手段と、前記通行許可信号を受信したときの前記判定手段の判断結果にしたがって前記車両用入口装置または前記人用入口装置からの通行を可能にする通行制御手段を有することを特徴とした集合住宅管理システムを提供する。
【0015】
かかる構成により、住人が許可した来客者が車両できていれば、車両用入口装置にて通行を許可でき、住人が許可した来客者が徒歩等できていれば、人用入口装置にて通行を許可できるので、不用意に関係のない入口装置を制御することがない。このため、集合住宅への通行のセキュリティ性も向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る通行制御装置によれば、美観の悪化やコストを高めることを防止して、管理区域への通行希望者の通行手段が車か車以外かに応じて必要な通行のみを許可することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して本発明の最良の実施例を説明する。
本実施例は、本発明を集合住宅のシステムに適用した場合を例にしている。
【0018】
<集合住宅管理システム1の全体構成>
まず、本発明に係る通行制御装置を適用した集合住宅管理システム1の全体構成について、図1を参照して説明する。
【0019】
集合住宅は、塀で外部の区画と区切られた集合住宅の敷地(管理区域)に居住棟及び駐車スペースが設けられており、外部の区画と集合住宅の敷地とを区切る塀の一部に敷地への出入口として人用電気錠扉21と車用電気錠門扉22とが設けられている。
集合住宅管理システム1は、居住棟の各住戸内に設けられる複数の住戸インターホン(300a、300b、300c、…)及び集合住宅の全体を管理する管理人室に設置される管理室ユニット400、並びに、集合住宅の玄関にあたる敷地の出入口付近に設けられる出入口インターホン200、自動車を駐車スペースに入れる際に一旦停止させる位置に設置される車検知センサ30、及び人用電気錠扉21および車用電気錠門扉22を制御する電気錠制御装置100から構成される。
なお、本発明における通行制御装置は、出入口インターホン200および電気錠制御装置100の一部機能に、本発明における住戸装置は、住戸インターホン(300a、300b、300c、…)に、本発明におけるセンサは車検知センサ30に、人用入口装置は人用電気錠扉21に、車用入口装置は車用電気錠門扉22にそれぞれ相当する。
【0020】
<住戸インターホンの説明>
図2を参照して、住戸インターホン(300a、300b、300c、…)について、説明する。図2は、住戸インターホン300aの機能ブロック図である。ここでは、住戸インターホン300aを例にして説明するが、その他の住戸インターホン(300b、300c、…)も同様の構成を備えている。
住戸インターホン300aは、解錠操作部301、住戸通話部302、住戸通信部303、及び各部を制御する住戸制御部304から構成される。
【0021】
解錠操作部301は、来客者を確認できた場合に居住者が操作するボタンスイッチであって、管理室ユニットを介して電気錠制御装置100に対し通行許可信号である解錠許可信号を送信させる解錠ボタンである。
【0022】
住戸通話部302は、マイク・スピーカ・通話開始ボタンにて構成され、居住者と来客者や管理人との会話を実現する。
【0023】
住戸通信部303は、管理室ユニット400との通信インターフェースであって、所定の通信プロトコルにて管理室ユニット400との通信を可能にする。
【0024】
住戸制御部304は、呼出信号を受信すると住戸通話部302のスピーカから呼出音を出力させる。その後、所定時間以内に住戸通話部302の通話開始ボタンが操作されると、呼出信号の送信元の出入口インターホン200又は管理室ユニット400との間での通話を可能にする。また、所定時間内に通話開始ボタンが操作されなければ、呼出信号の待ち受け状態となる。なお、再度通話開始ボタンを操作されると通話が終了し、呼出信号の待ち受け状態となる。
【0025】
また、住戸制御部304は、解錠操作部301が操作されると、通行許可信号である解錠許可信号を生成し、管理室ユニット400経由にて電気錠制御装置100に送信する。ここで、解錠許可信号は、人用電気錠扉21と車用電気錠門扉22の何れかを指定するものではなく、出入口の通行を許可する旨の信号である。したがって、居住者は、解錠操作部301を操作するにあたって、車用電気錠門扉22か人用電気錠扉21の別を意識する必要がない。
【0026】
<管理室ユニット400の説明>
次に、図4を参照して、管理室ユニット400の構成を詳細に説明する。図4は、管理室ユニット400の機能ブロック図である。管理室ユニット400は、解錠操作部401、呼出操作部402、管理室通話部403、管理室通信部404、及び各部を制御する管理室制御部407から構成される。
【0027】
解錠操作部401は、集合住宅の管理人が来客者を確認できた場合に居住者が操作するボタンスイッチであって、電気錠制御装置100に対して通行許可信号である解錠許可信号を送信させる。解錠許可信号については、住戸インターホン300から送信されるものと同様である。
【0028】
呼出操作部402は、管理人が住戸にいる居住者や出入口付近に居る来客者と通話したいときに、呼出操作を行う操作部である。呼出操作部402は、テンキー、「*」ボタン、「#」ボタン、及び呼出ボタン(いずれも図示せず)を備えており、連絡をとりたい住戸の住戸番号や出入口インターホン200の識別番号を入力した上で呼出ボタンを操作する。
【0029】
管理室通話部403は、マイク・スピーカ・通話開始ボタンにて構成され、接続されている住戸インターホン300や出入口インターホン200を利用して居住者や来客者との会話を実現する。
【0030】
管理室通信部404は、住戸インターホン300・出入口インターホン200および電気錠制御装置100との通信インターフェースであって、所定の通信プロトコルにて各機器との通信を可能にする。
【0031】
管理室制御部407は、住戸インターホン300、出入口インターホン200および電気錠制御装置100、管理室ユニット400の間における通話や各種信号の通信に関して管理室通信部404を介して制御する。
【0032】
具体的には、出入口インターホン200からの呼出信号を管理室通信部404にて受信すると、呼出先の住戸インターホン300に対して呼出信号を送信するとともに、電気錠制御装置100に対しても呼出信号を送信する。なお、同様に、出入口インターホン200から管理室ユニット400への呼出信号であれば、管理室通話部403を制御するとともに、電気錠制御装置100に対して呼出信号を送信する。
【0033】
管理室制御部407は、住戸インターホン300から解錠許可信号を受信すると、管理室通信部404から電気錠制御装置100に転送する。同様に、解錠操作部401の操作があったときは、解錠許可信号を生成し、管理室通信部404から電気錠制御装置100に転送する。
【0034】
管理室制御部407は、住戸インターホン300または管理室通話部403と、出入口インターホン300との間での通話が終了すれば、通話状態終了信号を電気錠制御装置100へ送信する。なお、住戸インターホン300、出入口インターホン200および管理室ユニット400の間での通話処理については、一般的な方法を使用しているので、ここでは説明を省略する。
【0035】
管理室制御部407は、解錠操作部401が操作されると解錠許可信号を電気錠制御装置100に送信する。
【0036】
<出入口インターホン200の説明>
次に、図3を参照して、出入口インターホン200の構成を詳細に説明する。図3は、出入口インターホン200の機能ブロック図である。出入口インターホン200は、呼出操作部201、出入口通話部202、個人認証部207、出入口通信部211、及び各部を制御する出入口制御部213から構成される。
【0037】
呼出操作部201は、敷地への通行希望者が、住戸にいる居住者又は管理室の管理人との通話を要求するときに呼出操作をするための操作部である。呼出操作部201は、テンキー、「*」ボタン、「#」ボタン、及び呼出ボタン(いずれも図示せず)を備えており、通話を希望する住戸の住戸番号をテンキーにて入力し、呼出ボタンを操作する。また、通話を希望する先が管理室である場合には、「*」ボタンを操作する。
【0038】
出入口通話部202は、マイク・スピーカにて構成され、居住者や管理人と、通行希望者との会話を実現する。
【0039】
個人認証部207は、居住者が入力した暗証番号を認証し、集合住宅の敷地へ入ることを許可された者か否か判断し、出入口制御部213に出力する。すなわち、テンキーから入力された暗証番号が、居住者等の予め登録されている暗証番号と一致している否か照合し、一致していれば認証一致信号を出力し、一致しなかったら認証不一致信号を出入口制御部213に出力する。
【0040】
出入口通信部211は、管理室ユニット400との通信インターフェースであって、所定の通信プロトコルにて管理室ユニット400との通信を可能にする。
【0041】
出入口制御部213は、呼出操作部201にて呼出先を指定した呼出操作がされると管理室ユニット400に呼出信号を送信する。
また、出入口制御部213は、個人認証部207から認証一致信号が入力されたとき、解錠許可信号を管理室ユニット400経由にて電気錠制御装置100に送信する。
【0042】
<人用電気錠扉21と車用電気錠門扉22の説明>
人用電気錠扉21と車用電気錠門扉22とは、敷地出入口に並設されている。人用電気錠扉21は、主に人の徒歩による通行を目的とした大きさの扉であって、扉を解錠又は施錠する電気錠が設けられた扉である。人用電気錠扉21は、電気錠制御装置100と接続されており、電気錠制御装置100から解錠信号が入力されると、人用電気錠扉21に設けられた電気錠を解錠し、人用電気錠扉21からの通行を許容する。なお、人用電気錠扉21は、常時施錠されており、解錠信号を受信した際に通行可能な時間だけ解錠され、その後自動的に施錠される。
【0043】
車用電気錠門扉22は、主に車(例えば、自動車や荷車等)の通行を目的とした大きさの扉であって、扉を解錠又は施錠する電気錠が設けられた扉である。車用電気錠門扉22は、電気錠制御装置100と接続されており、電気錠制御装置100から解錠信号が入力されると、車用電気錠門扉22に設けられた電気錠を解錠し、車用電気錠門扉からの通行を許容する。なお、人用電気錠扉21は、常時施錠されており、解錠信号を受信した際に通行可能な時間だけ解錠され、その後自動的に施錠される。
【0044】
<車検知センサ30の説明>
車検知センサ30は、車用電気錠門扉22前の領域における車の有無を検知するセンサである。車検知センサ30は、車用電気錠門扉22前の領域に車が入ってきたことを検知すると電気錠制御装置100にその旨を示す車有信号を出力し、車用電気錠門扉22前の領域から車が出たことを検知すると電気錠制御装置100にその旨を示す車無信号を出力する。
【0045】
本実施例では、車検知センサ30は、埋設型のループコイルセンサを用いている。なお、車検知センサ30には、本実施の形態に限らず、超音波センサ・静電重量センサ・赤外線センサなど種々のセンサを適宜選択すればよい。車検知センサ30は、車用電気錠門扉22前の領域、すなわち、集合住宅敷地の外側の領域であって車用電気錠門扉22近傍の領域に埋設される。そして、車検知センサ30は、埋設されたループコイルの上方に、自動車が存在すると電気錠制御装置100に車有信号を出力し、自動車が存在しなくなると電気錠制御装置100に車無信号を出力する。
【0046】
<電気錠制御装置100の説明>
電気錠制御装置100は、管理室ユニット400、人用電気錠扉21、車用電気錠門扉22、車検知センサ30に接続されている。電気錠制御装置100は、住戸インターホン300または管理室ユニット400からの解錠許可信号を受信すると、人用電気錠扉21または車用電気錠門扉22を解錠し、何れか一方の扉から通行できるようにする。
【0047】
図5を参照して、電気錠制御装置100の構成を詳細に説明する。図5は、電気錠制御装置100の機能ブロック図である。電気錠制御装置100は、ユニット信号入力部101、センサ入力部102、人用扉解錠信号出力部103、車用門扉解錠信号出力部104、及び各部を制御する制御部105から構成される。
【0048】
ユニット信号入力部101は、管理室ユニット400からの信号入力を受け付けるインターフェースであって、少なくとも解錠許可信号、呼出開始信号の入力を受け、制御部105へ出力するインターフェースである。
【0049】
センサ入力部102は、車検知センサ30からの車有信号及び車無信号の入力を受け、制御部105へ出力するインターフェースである。
【0050】
人用扉解錠信号出力部103は、人用電気錠扉21に接続され、制御部105から解錠信号が出力された場合に、人用電気錠扉21に解除信号を出力するインターフェースである。
【0051】
車用門扉解除信号出力部104は、車用電気錠門扉22に接続され、制御部105から解錠信号が出力された場合に、車用電気錠門扉22に解除信号を出力するインターフェースである。
【0052】
制御部105は、ユニット信号入力部101およびセンサ入力部102からの入力に基づいて、人用扉解錠信号出力部103または車用門扉解錠信号出力部104から人用電気錠扉21または車用電気錠門扉22の電気錠を解錠制御する。
【0053】
制御部105は、車での来客者等か否かを判定する判定手段106と、判定手段106の判断結果にしたがって、制御対象となる人用電気錠扉21または車用電気錠門扉22の電気錠を制御する通行制御手段107から構成される。
【0054】
図6および図7を参照して、判定手段106の処理について説明する。図6は、呼出信号がユニット信号入力部101から入力された場合に、判定手段106が車の在否状態を判定した結果である車フラグの制御フローである。図7は、センサ入力部102から車検知センサ30からの信号に基づき、車フラグの制御に使用する車在否タイマの制御フローである。
【0055】
図6を参照し、先ず判定手段106は、入力のあった呼出信号に関する処理を行うタイムアウト時間を計時する呼出タイマを呼出信号の入力がある度にリセットスタートさせる(S601)。計時時間は、設置状況等により変動するが、概ね3分程度である。この時間は、来客者が出入口インターホン200と住戸インターホン300を使用して、通行許可をとるときに必要な程度の時間が設定される。
【0056】
次に、判定手段106は、車在否タイマが計時中か否かを参照する(S602)。ここで、車在否タイマについて、図7を参照して説明する。車在否タイマは、通行希望者が呼出操作をしたときから所定時間遡った時点から継続して車用電気錠門扉22前に車が存在していることを判断するために使用されるタイマで、予め定めたT1時間の計時を行う。T1時間とは、通行希望者が車を車検知センサ30の設置されている場所に停止させて、出入口インターホン200まで歩き、更に呼出操作部201を操作することができる必要十分な時間であり、車検知センサ30の設置場所と出入口インターホン200の設置場所に応じて、適切に設定される。
【0057】
図7は、電気錠制御装置100の電源がONされたときに動作を開始し、その後は、継続してS201乃至S206の処理を繰り返す。具体的には、センサ入力部102から車有信号の入力があると、所定時間の計時を開始し、所定時間の計時を終了するか車無信号の入力があるとリセットされるタイマである。
【0058】
具体的には、S201にて、車有信号を受信したか否かを判定する。車有信号を受信しない場合には、車有信号を受信するまでS201の判定を繰り返す。S201にて車有信号の受信を判定すると(S201YES)、S202に進み、車在否タイマにて計時を開始させ、S203へ進む。S203では、車在否タイマの計時時間が予め定められた所定時間T1を超えるか否かを判定する。車在否タイマの計時時間が予め定められた所定時間T1を超える場合(S203YES)にはS205へ進み、計時時間をクリアして0とし、S201に戻る。一方、S203にて車在否タイマの計時時間が予め定められた所定時間T1を超えない場合(S203NO)にはS204へ進む。
【0059】
ここで、S203の判定で使用する所定時間T1とは、通行希望者が、車用電気錠門扉22前に車を停車して車を降りた後、出入口インターホン200まで歩いてゆき、当該出入口インターホン200にて呼出操作をするまでに要する時間に、ある程度の猶予時間を加えた時間を考慮して定められた時間(例えば、30秒)とする。
【0060】
S204にて車無信号を受信した場合(S205YES)は、S205に進み、計時時間をクリアして0とし、S201に戻る。車無信号を受信しない場合(S205NO)は、S203の判定へと戻る。
【0061】
図6にもどって、S602で車在否タイマの状態を参照し、S603にて車在否タイマが計時中か否か判定する。計時中でない場合は車フラグをOFFとし(S607)、呼出信号に対する処理を終了する。
【0062】
ここで、車フラグについて説明する。車フラグとは、解錠許可信号の入力を受けたときに、車用電気錠門扉22を解錠させるべき車の在状態であれば「ON」となり、人用電気錠扉21を解錠させるべき車の在状態であれば「OFF」となるように制御されるフラグである。
【0063】
S603では、呼出信号が入力された時点からT1時間前までの間に、車を車検知センサ30にて車の検知を開始していない場合、車の検知を開始したが車の検知を継続していない場合は、車在否タイマが計時中でないことになる。例えば、車検知センサ30が車在否タイマのT1時間の計時開始より以前から検知している場合は、今回の呼出信号とは無関係に駐車されていると判断するためである。また、車在否タイマの計時が継続していない場合は、送迎時など一時的に駐車された場合には、人用電気錠扉21を解錠すべきだからである。
【0064】
次に、呼出信号の受信したときに車在否タイマが計時中であれば(S603にて「はい」)、S604にて車フラグを「ON」させる。すなわち、呼出信号が入力された時点からT1時間の経過前までの間に、車を車検知センサ30にて車の検知を開始し、且つ車の検知を呼出操作時点まで継続している場合は、車在否タイマが計時中である。例えば、通行希望者が車を停車させて、出入口インターホン200まで歩き、呼出操作部201を操作するという車による通行を希望する通常の来訪者等の行動であると判断し、車用電気錠門扉22を解錠するためである。
【0065】
その後、車無信号を受信すると(S605にて「はい」)、車フラグを「OFF」(S607)とし、本処理を終了する。他方、車無信号を受信しない(S605にて「いいえ」)場合は、呼出タイマのカウントアップがあるまで、ここでの車フラグの制御は行わない。S606にて呼出タイマがカウントアップすると、S607に進み、車フラグを「OFF」とする。
【0066】
次に通行制御手段107について、図8を参照して説明する。図8は、解錠許可信号をユニット信号入力部101から入力された際に、人用扉解錠信号出力部103または車用門扉解錠信号出力部104から電気錠の解錠信号を出力し、人用電気錠扉21または車用電気錠門扉22からの通行を可能にするための処理フローを示している。
【0067】
図8において、通行制御手段107は、解錠許可信号の入力があると、車フラグの状態「ON」または「OFF」の状態を参照する(S801)
S801にて、車フラグが「ON」であれば、車用門扉解錠信号を車用門扉解錠信号出力部104から車用電気錠門扉22へ出力する(S803)。車用電気錠門扉22では、かかる車用門扉解錠信号に基づき、車での集合住宅の敷地内へ通行できるようにする。その後、通行制御手段107は、車フラグを「OFF」に設定して(S805)、処理を終了する。
【0068】
他方、S801にて、車フラグが「OFF」であれば、人用扉解錠信号を人用扉解錠信号出力部103から人用電気錠扉21へ出力する(S804)。人用電気錠扉22では、かかる車用門扉解錠信号に基づき、車での集合住宅の敷地内へ通行できるようにする。その後、通行制御手段は、車フラグを「OFF」に設定して(S805)、処理を終了する。
【0069】
前述の実施例では、通行希望者の通行手段が車であるか車以外であるかを判定するのに、車在否タイマを用いて行っていたが、これに限らず、車検知センサ30からの車有信号および車無信号の受信時刻を順次記憶しておき、この記憶されたデータを参照し、呼出開始信号を受信した時刻の所定時間T1前から呼出開始信号の受信時刻までに車有信号を受信し、且つその後に車無信号を受信していない場合に車フラグを「ON」制御するようにしても良い。
【0070】
具体的には、電気錠制御装置100に、現在時刻を出力する時計部と記憶部とを設ける。電気錠制御装置100の制御部105は、図7の処理を車検知センサ30から車有信号又は車無信号を受信したときに、その受信時刻と受信内容(車有り又は車無し)を記憶部に記憶する処理に変更する。
【0071】
そして、図6におけるS602にて、呼出信号を受信した時刻から最新の車有信号を受信した時刻を減算した時間を算出し、この減算時間が所定時間T1以下であるか否かを判定する。そして、現在時刻と最新の車有信号を受信した時刻との間で、車無信号を受信していないかを判定する。減算時刻が所定時間T1以下、かつ、車無信号を受信していない場合には、S604にて車フラグを「ON」制御する。他方、それ以外の場合は、車フラグを「OFF」制御する(S607)。
【0072】
また、本実施例では、管理区域として集合住宅の敷地を例にして説明したが、個人住宅やテナントビルに本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る通行制御装置を集合住宅に適用した場合の全体構成図。
【図2】住戸インターホン300の機能ブロック図
【図3】出入口インターホン200の機能ブロック図
【図4】管理室ユニット400の機能ブロック図
【図5】電気錠制御装置100の機能ブロック図
【図6】判定手段106の動作フロー図
【図7】車在否タイマの制御フロー図
【図8】通行制御手段107の動作フロー図
【符号の説明】
【0074】
100・・・電気錠制御装置
101・・・・ユニット信号入力部
102・・・・センサ入力部
103・・・・人用扉解錠信号出力部
104・・・・車用門扉解錠信号出力部
105・・・・制御部
106・・・・・判定手段
107・・・・・通行制御手段
200・・・出入口インターホン
300a、300b、300c・・・住戸インターホン
400・・・管理室ユニット
20・・・・電気錠扉
21・・・・人用電気錠扉
22・・・・車用電気錠門扉
30・・・・車検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理区域内への通行を許可する通行許可信号と車両の在否を示す車両在否信号との入力に基づいて、車両用の第一入口または車両以外用の第二入口からの当該管理区域への通行を可能にする制御部を具備する通行制御装置であって、
前記制御部は、
前記車両の存在を検出していると判定すれば第一入口からの通行と判断し、前記車両の存在を検出していないと判定すれば第二入口からの通行と判断し、判断結果を出す判定手段と、
前記通行許可信号を受信したときに、前記判断結果が第一入口からの通行である場合には第一入口からの通行を許可し、前記判断結果が第二入口からの通行である場合には第二入口からの通行を許可する通行制御手段と、
を有することを特徴とした通行制御装置。
【請求項2】
更に、管理区域内への通行許可を要請するための操作部を有し、
前記判定手段は、前記操作部が操作されたときから所定時間前までの間に前記車両の存在信号の入力があり、当該車両の存在が前記操作部の操作まで継続していれば車両の存在を検出していると判定する請求項1に記載の通行制御装置。
【請求項3】
更に、管理区域内への通行許可を要請するための操作部を有し、
前記判定手段は、前記操作部が操作されたときに第一入口からの通行との判断結果が出ている場合に、前記操作部が操作されたときから前記通行許可信号の入力があるまでに車両の存在を検出していないとの判定となると第二入口からの通行との判断に判断結果を変更する請求項1または請求項2に記載の通行制御装置。
【請求項4】
集合住宅の住戸に設置される住戸装置と、車両にて集合住宅の敷地に入るための所定場所に設置され車両の在否を検知するセンサと、集合住宅の敷地への車両での通行を制限可能な車両用入口装置と、集合住宅の敷地への徒歩での通行を制限可能な人用入口装置と、前記住戸装置、前記センサ、前記車両用入口装置、及び前記人用入口装置と接続し集合住宅の敷地内への通行を制御する通行制御装置とからなる集合住宅管理システムであって、
前記住戸装置は、前記通行制御装置からの通行許可の要請を受け通行を許可するときに居住者が操作する通行許可操作部と、前記通行許可操作部が操作されると通行許可信号を通行制御装置に送信する送信部を有し、
前記通行制御装置は、来客者が集合住宅の敷地内への通行許可を要請するための操作部と、前記操作部が操作されると前記住戸装置に通行許可の要請信号を出力する出力部と、前記センサからの車両の在否信号の入力を受けるセンサ入力部と、前記住戸装置からの通行許可信号の入力を受ける通行許可信号入力部と、車両の存在を検出していると判定すれば前記車両用入口装置からの通行と判断し、前記車両の存在を検出していないと判定すれば前記人用入口装置からの通行と判断する判定手段と、前記通行許可信号を受信したときの前記判定手段の判断結果にしたがって前記車両用入口装置または前記人用入口装置からの通行を可能にする通行制御手段を有することを特徴とした集合住宅管理システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−240480(P2008−240480A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86257(P2007−86257)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】