説明

通行方向規制装置

【課題】簡単な構造で、移動体の逆方向通行を確実に遮断して、安全に通行できる通行方向規制装置を提供することを目的とする。
【解決手段】通行方向が一方向に設定された一方通行道路100に設置され、路面100a上を転動するタイヤ200によって移動する自動車の逆走に対して、路面100a上に突出して、タイヤ200の転動を遮断する上流側遮断ブロック60bと、正方向走行自動車の通過によって、前記路面100a上から突出して逆方向Bの自動車の通行を遮断する遮断状態から、正方向走行自動車の通行を許容する上流側通過許容状態Yaに移行した上流側遮断ブロック60bを、正方向走行自動車の正方向の通過後に、遮断状態に復帰させる天秤機構50とで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自動車専用道路の入出路等の通行方向が定まった道路を間違って逆方向に通行するような逆走を防止する通行方向規制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交通事情が複雑化した昨今では、例えば、自動車専用道路やサービスエリアの入出路のように、通行方向が定まった道路は多く存在しており、その構造もますます複雑化している。
【0003】
そのような状況において、例えば、出路に逆走して進入すると、出路を正当に通行して退出する車両と、間違って逆走する車両とは正面衝突する可能性がある。
したがって、間違った方向に通行する車両を確認し、遮断して停止させることが重要であり、例えば、下記特許文献1の逆走車両停止装置もその1つである。
【0004】
上記逆走車両停止装置は、一方通行路の出口側に設けられ、逆走車両を検出する検出手段と、逆走車両の通行を停止させることのできる停止手段とで構成され、前記検出手段で車両の逆走を検出したときに、前記停止手段を作動させてその逆走車両を停止させる装置である。
【0005】
このように構成した逆走車両停止装置は、センサを用いて逆走車両を検出し、検出結果に基づいて停止手段を制御するものであり、精度よく逆走車両を検出して停止させることができるとされている。
しかし、上記逆走車両停止装置は、精度よく逆走車両を検出するセンサや制御装置の設置や、電気を用いた作動には、大がかりな設置作業やランニングコストがかかるため、簡単に設置し運転することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−178005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明では、簡単な構造で、移動体の逆方向通行を確実に遮断して、安全に通行できる通行方向規制装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、通行方向が一方向に設定された通行路に設置され、路面上を転動する転動手段によって移動する移動体の逆方向の通行に対して、前記路面上に突出して、前記転動手段の転動を遮断する遮断手段と、前記移動体の正方向の通過によって、前記路面上から突出して逆方向の前記移動体の通行を遮断する遮断状態から正方向の前記移動体の通行を許容する通行許容状態に移行した前記遮断手段を、前記移動体の正方向の通過後に、前記遮断状態に復帰させる復帰手段とで構成する通行方向規制装置であることを特徴とする。
【0009】
上記通行路とは、自動車専用道路、自転車専用道路、一般の道路、線路、軌道、あるいはモノレール等とすることができる。
上記転動手段は、タイヤや車輪等とすることができ、上記移動体は、乗用車やトラック等の自動車、自動二輪、自転車、電車、モノレールあるいはバッテリロコの転動手段で移動する移動体とすることができる。
上記復帰手段は、板バネ、コイルバネ、圧縮空気、電磁石等によって復帰させる手段とすることができる。
【0010】
この発明により、通行方向が一方向に設定された通行路に設置し、逆方向通行する前記移動体を前記路面上から突出して遮断するとともに、前記移動体の正方向の通行によって、遮断手段を遮断状態から通行許容状態に移行させて、正方向の前記移動体の通行を許容することができる。
【0011】
また、通行許容状態に移行した遮断手段を、前記復帰手段で前記移動体の正方向の通過後に前記遮断状態に復帰させることができる。
したがって、簡単な構造で、移動体の逆方向通行を確実に遮断して安全な通行を実現することができる。
【0012】
この発明の態様として、前記遮断手段を、前記通行方向に対して交差する向きに配置され、前記遮断状態において立位姿勢となる遮断体で構成するとともに、前記移動体の正方向の通過によって、立位姿勢の前記遮断体を前記路面に対して前記正方向に傾倒させて前記通行許容状態に移行する傾倒手段を備え、前記復帰手段を、前記傾倒手段による傾倒によって付勢された付勢力によって、前記正方向に傾倒する前記通行許容状態から立位姿勢の前記遮断状態に前記遮断体を復帰させる付勢手段で構成することができる。
前記付勢手段は、コイルバネ等の付勢手段とすることができる。
【0013】
この発明により、前記通行方向に対して交差する向きに配置され、立位姿勢で移動体の逆方向通行を遮断する遮断体を、前記移動体の正方向の通過による前記遮断体の正方向への傾倒によって通行許容状態に移行されるため、正方向の前記移動体の通行を許容することができる。
【0014】
また、前記復帰手段を、前記傾倒手段による傾倒によって付勢された付勢力によって、前記正方向に傾倒する前記通行許容状態から立位姿勢の前記遮断状態に前記遮断体を復帰させる付勢手段で構成したことによって、別の駆動力を必要とせず、正方向に通過する移動体による遮断体を傾倒させるエネルギを有効活用して復帰させることができる。したがって、別の動力源を必要としない簡単な構造で、移動体の逆方向通行を確実に遮断して安全な通行を実現することができる。
【0015】
また、この発明の態様として、通行方向に所定間隔を隔てて配置した2つの昇降部と、該昇降部を上皿天秤状に下方から支持する天秤機構とを備え、前記昇降部を、前記正方向に通行する前記移動体に対向する側である正方向手前側に傾斜面を有する形状とし、前記遮断手段を、前記路面上から突出して逆方向の前記移動体の通行を遮断する遮断状態である突出位置にある前記昇降部で構成し、前記復帰手段を、前記2つの昇降部のうち一方の昇降部が、前記路面上から突出して逆方向の前記移動体の通行を遮断する遮断状態である突出位置にある状態において、他方の昇降部が前記移動体の通行を許容する通行許容状態である低位置となり、正方向に移動する前記移動体の前記転動手段が前記傾斜側面を経て前記突出位置にある昇降部上を転動にすることによる前記突出位置から前記低位置への移動に伴って、低位置にある他方の昇降部が突出位置に移動する態様で支持する前記天秤機構で構成することができる。
【0016】
この発明により、通行方向に所定間隔を隔てて配置した2つの昇降部のうち前記路面上から突出する突出位置にある昇降部で移動体の逆方向通行を確実に遮断することができる。
【0017】
また、通行方向に所定間隔を隔てて配置した2つの昇降部は、天秤機構によって、一方が遮断状態である突出位置にある場合、他方の昇降部は前記移動体の通行を許容する通行許容状態である低位置であり、正方向に移動する前記移動体の前記転動手段が前記傾斜側面を経て前記突出位置にある昇降部上を転動にすることによる前記突出位置から前記低位置への移動に伴って、低位置にある他方の昇降部が突出位置に移動する態様で支持されるため、移動体の正方向通行により、2つの昇降部は突出位置と低位置とを切替えて、移動体の正方向通行を許容することができる。
【0018】
また、前記復帰手段を、前記2つの昇降部のうち一方の昇降部が、前記路面上から突出して逆方向の前記移動体の通行を遮断する遮断状態である突出位置にある状態において、他方の昇降部が前記移動体の通行を許容する通行許容状態である低位置となり、正方向に移動する前記移動体の前記転動手段が前記傾斜側面を経て前記突出位置にある昇降部上を転動にすることによる前記突出位置から前記低位置への移動に伴って、低位置にある他方の昇降部が突出位置に移動する態様で支持する前記天秤機構で構成するため、別の駆動力を必要とせず、一方の昇降部の突出位置から低位置への移動させる正方向通行の移動体のエネルギを有効活用し、他方の昇降部を低位置から突出位置に復帰させることができる。したがって、別の動力源を必要としない簡単な構造で、移動体の逆方向通行を確実に遮断して安全な通行を実現することができる。
【0019】
また、この発明の態様として、前記2つの昇降部のうち正方向手前側の昇降部を、逆方向の前記移動体の通行を遮断する手前側遮断昇降部とするとともに、前記正方向に通行する前記移動体にとって奥側となる昇降部を奥側昇降部とし、上記低位置にある前記奥側昇降部上を、逆方向から通行する前記移動体の転動手段が転動することを検出する逆方向通行検出機構と、該逆方向通行検出手段で前記移動体による逆方向通行の検出に応じて、手前側遮断昇降部による逆方向通行の前記移動体に対する遮断効果を増大させる遮断効果増大手段とを備えることができる。
【0020】
上記逆方向通行検出機構は、逆方向に通行する移動体の転動手段による奥側昇降部上の転動を検出する機構であり、逆方向に通行する移動体の転動手段の転動による逆方向への移動、転動反力による正方向への移動、記低位置にある前記奥側昇降部上を転動することによる沈み込み、回転等によって検出する機構とすることができる。
【0021】
上記遮断効果増大手段は、例えば、手前側遮断昇降部の視認性を高めるために、手前側遮断昇降部の大きさを大きくする手段、手前側遮断昇降部から別部材を突出させる手段、あるいはLED等の電光表示手段とすることができる。
【0022】
この発明により、突出位置にある手前側遮断昇降部で逆方向の移動体の通行を遮断することができる。また、該逆方向通行検出手段で前記移動体による逆方向通行を検出して、手前側遮断昇降部による逆方向通行の前記移動体に対する遮断効果を増大させるため、移動体の逆方向通行を確実に遮断することができる。
【0023】
また、この発明の態様として、前記天秤機構を、前記昇降部を連結するとともに下方支持する連結アームと、該連結アームを枢動可能に支持する天秤支点とで構成するとともに、前記天秤支点より手前側遮断昇降部までの手前側モーメントが、前記天秤支点から前記奥側昇降部までの奥側モーメントより小さくなるよう設定することができる。
【0024】
上記前記天秤支点より手前側遮断昇降部までの手前側モーメントが、前記天秤支点から前記奥側昇降部までの奥側モーメントより小さくなるよう設定するは、天秤支点から昇降部までの連結アームにおける奥側と手前側とで同じ構成として、手前側遮断昇降部の重量を奥側昇降部の重量より軽く構成する場合や、手前側遮断昇降部と奥側昇降部を同じ重量で構成し、連結アームにおける天秤支点から手前側のアーム長を奥側のアーム長より短く構成したり、連結アームにおける手前側アームのアーム重量を奥側アームのアーム重量より軽く構成したり、それらを組み合わせて、手前側モーメントを奥側モーメントより小さくなるよう設定することを含む。
【0025】
これにより、天秤機構によって上皿天秤状に下方から支持された手前側遮断昇降部と奥側昇降部とが、通常状態において、手前側遮断昇降部が突出位置となるように構成することができる。
【0026】
詳しくは、上記前記天秤支点より手前側遮断昇降部までの手前側モーメントを、前記天秤支点から前記奥側昇降部までの奥側モーメントより小さくなるよう設定することによって、天秤機構によって上皿天秤状に下方から支持された手前側遮断昇降部と奥側昇降部とは、無負荷状態において、モーメントの大きな奥側昇降部が低位置となり、モーメントの小さな手前側遮断昇降部が突出位置となってつりあう。
【0027】
したがって、昇降部上を転動手段が転動しない無負荷状態、つまり通常状態においては、別の機構を設けずとも、手前側遮断昇降部を突出位置に、奥側昇降部を低位置に保持することができる。よって、移動体の逆方向通行を確実に遮断することができる。
【0028】
また、この発明の態様として、内部に圧縮空気を貯蔵するとともに、所定圧力以上の前記圧縮空気を逃がす圧力弁を有する圧縮空気タンクと、前記天秤機構による天秤動作によって前記圧縮空気タンクに前記圧縮空気を供給する空気ポンプとを備え、前記遮断効果増大手段を、前記圧縮空気タンクに貯めた圧縮空気によって、突出量を増加させる方向に前記手前側遮断昇降部を移動させる突出量増加機構で構成することができる。
【0029】
上記天秤動作は、2つの昇降部のうち一方が突出位置にあり、他方が低位置にあり、一方の昇降部による突出位置から低位置への移動に伴って、他方の昇降部が低位置から突出位置へ移動する動作とすることができる。
【0030】
この発明により、手前側遮断昇降部を、前記圧縮空気タンクに貯めた圧縮空気によって、突出量を増加させる方向に前記移動させるため、移動体による逆方向通行を確実に遮断することができる。
【0031】
また、前記天秤機構による天秤動作によって前記圧縮空気タンクに前記圧縮空気を供給する空気ポンプを備えているため、移動体の正方向通行によって圧縮空気タンクに圧縮空気を貯蔵して、前記圧縮空気タンクに貯めた圧縮空気によって、前記手前側遮断昇降部を移動させるため、別の駆動源を備えることなく、正方向通行する移動体の移動エネルギを蓄えて、手前側遮断昇降部を移動させ、移動体による逆方向通行を確実に遮断することができる。
【0032】
また、内部に圧縮空気を貯蔵する圧縮空気タンクに、所定圧力以上の前記圧縮空気を逃がす圧力弁を備えているため、空気ポンプにより所定圧力以上の前記圧縮空気が供給された場合であっても安全に圧縮空気を貯蔵することができる。
【0033】
また、この発明は、走行方向が一方向に設定された一方通行道路に設置され、路面上を転動するタイヤによって移動する走行車両の正方向の走行を許容するとともに、該走行車両の逆方向の走行を規制する通行方向規制装置であって、走行方向に所定間隔を隔てて配置し、前記正方向に走行する前記走行車両において手前側に位置し、手前側が傾斜面である手前側遮断昇降部と、奥側となる奥側昇降部と、両昇降部を上皿天秤状に下方から支持する天秤機構と、前記圧縮空気を貯め、所定値以上の圧力を逃がす圧力弁を有する圧縮空気タンクと、前記天秤機構による天秤動作によって前記圧縮空気タンクに前記圧縮空気を供給する空気ポンプと、通常時においては折り畳まれて収納され、内部への圧縮空気の供給により膨出する膨出体とで構成し、前記昇降部を連結するとともに下方支持する連結アームと、該連結アームを枢動可能に支持する天秤支点とで構成する前記天秤機構を、前記2つの昇降部のうち一方の昇降部が、前記路面上から突出して逆方向の前記車両の通行を遮断する遮断状態である突出位置にある状態において、他方の昇降部が前記車両の通行を許容する通行許容状態である低位置となり、正方向に移動する前記車両の前記タイヤが前記傾斜側面を経て前記突出位置にある昇降部上を転動にすることによる前記突出位置から前記低位置への移動に伴って、低位置にある他方の昇降部が突出位置に移動する態様で支持する構成とするとともに、前記天秤支点より手前側遮断昇降部までの手前側モーメントが、前記天秤支点から前記奥側昇降部までの奥側モーメントより小さくなるよう設定し、前記天秤機構に対して前記奥側昇降部を走行方向にスライド可能に構成するスライド機構と、前記低位置にある該奥側昇降部の上を逆方向に走行する前記走行車両のタイヤが走行することにより前記スライド機構による奥側昇降部のスライドによって逆方向走行を検出する逆方向走行検出機構とを備え、該逆方向走行検出手段による前記走行車両の逆方向走行の検出によって、前記膨出体に前記圧縮空気タンクから前記圧縮空気を供給して、前記膨出体を膨出させることを特徴とする。
【0034】
上記走行車両は、乗用車やトラック等の自動車、自動二輪、自転車とすることができる。
【0035】
上記逆方向通行検出機構は、逆方向に通行する走行車両のタイヤの転動を検出する機構であり、逆方向に通行する走行車両のタイヤの転動による逆方向へのスライド機構の移動、転動反力による正方向へのスライド機構の移動等によって検出する機構とすることができる。
【0036】
上記前記天秤支点より手前側遮断昇降部までの手前側モーメントが、前記天秤支点から前記奥側昇降部までの奥側モーメントより小さくなるよう設定するは、天秤支点から昇降部までの距離すなわち連結アームを奥側と手前側とで同じ構成として、手前側遮断昇降部の重量を奥側昇降部の重量より軽く構成する場合や、手前側遮断昇降部と奥側昇降部を同じ重量で構成し、連結アームにおける天秤支点から手前側のアーム長を奥側のアーム長より短く構成したり、連結アームにおける手前側アームのアーム重量を奥側アームのアーム重量より軽く構成したり、それらを組み合わせて、手前側モーメントを奥側モーメントより小さくなるよう設定することを含む。
【0037】
上記天秤動作は、2つの昇降部のうち一方が突出位置にあり、他方が低位置にあり、一方の昇降部による突出位置から低位置への移動に伴って、他方の昇降部が低位置から突出位置へ移動する動作とすることができる。
【0038】
この発明により、通行方向が一方向に設定された一方通行道路に設置し、通行方向に所定間隔を隔てて配置した2つの昇降部のうち、天秤機構によって、前記路面上から突出して逆方向の前記走行車両の通行を遮断する遮断状態である突出位置にある昇降部で構成し、走行車両の逆方向通行を確実に遮断し、前記走行車両の正方向の通行によって、昇降部を遮断状態から通行許容状態に移行させて、正方向の前記走行車両の通行を許容することができる。
【0039】
したがって、簡単な構造で、走行車両の逆方向通行を確実に遮断して安全な通行を実現することができる。
【0040】
また、通行方向に所定間隔を隔てて配置した2つの昇降部は、天秤機構によって、一方が遮断状態である突出位置にある場合、他方の昇降部は前記走行車両の通行を許容する通行許容状態である低位置である。そして、正方向に移動する前記走行車両の前記タイヤが前記傾斜側面を経て前記突出位置にある昇降部上を転動にすることによる前記突出位置から前記低位置への移動に伴って、低位置にある他方の昇降部が突出位置に移動する態様で支持する。したがって、走行車両の正方向通行により、2つの昇降部は突出位置と低位置とを切替えて、走行車両の正方向通行を許容することができる。
【0041】
また、前記天秤機構は、正方向に移動する前記走行車両の前記タイヤが前記傾斜側面を経て前記突出位置にある昇降部上を転動にすることによる前記突出位置から前記低位置への昇降部の移動に伴って、低位置にある他方の昇降部が突出位置に移動する態様で支持しているため、別の駆動力を必要とせず、一方の昇降部の突出位置から低位置への移動させる正方向通行の走行車両のエネルギを有効活用し、他方の昇降部を低位置から突出位置に復帰させることができる。したがって、別の動力源を必要としない簡単な構造で、走行車両の逆方向通行を確実に遮断して安全な通行を実現することができる。
【0042】
また、上記前記天秤支点より手前側遮断昇降部までの手前側モーメントを、前記天秤支点から前記奥側昇降部までの奥側モーメントより小さくなるよう設定することによって、天秤機構によって上皿天秤状に下方から支持された手前側遮断昇降部と奥側昇降部とは、無負荷状態において、モーメントの大きな奥側昇降部が低位置となり、モーメントの小さな手前側遮断昇降部が突出位置となってつりあう。したがって、昇降部上をタイヤが転動しない無負荷状態、つまり通常状態においては、別の機構を設けずとも、手前側遮断昇降部を突出位置に、奥側昇降部を低位置に保持することができる。よって、走行車両の逆方向通行を確実に遮断することができる。
【0043】
また、該逆方向通行検出手段で前記走行車両による逆方向通行を検出して、前記膨出体に前記圧縮空気タンクから前記圧縮空気を供給して、前記膨出体を膨出させるため、確実に走行車両の逆方向通行を確実に遮断することができる。
【0044】
また、前記天秤機構による天秤動作によって前記圧縮空気タンクに前記圧縮空気を供給する空気ポンプを備えているため、走行車両の正方向通行によって圧縮空気タンクに圧縮空気を貯蔵して、前記圧縮空気タンクに貯めた圧縮空気によって、前記手前側遮断昇降部を移動させるため、別の駆動源を備えることなく、正方向通行する走行車両の移動エネルギを蓄えて、手前側遮断昇降部を移動させ、走行車両による逆方向通行を確実に遮断することができる。
【0045】
また、内部に圧縮空気を貯蔵する圧縮空気タンクに、所定圧力以上の前記圧縮空気を逃がす圧力弁を備えているため、空気ポンプにより所定圧力以上の前記圧縮空気が供給された場合であっても安全に圧縮空気を貯蔵することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明により、簡単な構造で、移動体の逆方向通行を確実に遮断して、安全に通行できる通行方向規制装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】昇降式走行方向規制装置の斜視図による説明図。
【図2】昇降式走行方向規制装置の側方断面図による説明図。
【図3】第2の実施例の傾倒式走行方向規制装置の斜視図による説明図。
【図4】第2の実施例の傾倒式走行方向規制装置の説明図。
【図5】第2の実施例における別の実施形態の傾倒式走行方向規制装置の斜視図による説明図。
【図6】第3の実施例の天秤式走行方向規制装置の斜視図による説明図。
【図7】第3の実施例の天秤式走行方向規制装置の斜視図による説明図。
【図8】第3の実施例の天秤式走行方向規制装置の側方断面図による説明図。
【図9】第3の実施例における別の実施形態の天秤式走行方向規制装置の側方断面図による説明図。
【発明を実施するための形態】
【0048】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0049】
図1は斜視図による昇降式走行方向規制装置1の説明図を示し、図2は側方断面図による昇降式走行方向規制装置1の説明図を示している。
なお、図1(a)は矢印B方向に走行する逆走自動車の走行を遮断する突出位置Uにある昇降式走行方向規制装置1の斜視図を示し、図1(b)は矢印Aで示す正方向に走行する正方向走行自動車の走行を許容する最下位置Dにある昇降式走行方向規制装置1の斜視図を示している。
【0050】
また、図2(a)は矢印B方向の自動車の走行を遮断する突出位置Uにある昇降式走行方向規制装置1の側方断面図を示し、図2(b)は正方向走行自動車の走行を許容する最下位置Dにある昇降式走行方向規制装置1の側方断面図を示している。
【0051】
昇降式走行方向規制装置1は、矢印A方向を正方向として通行方向が定められた一方通行道路100に対して、直交方向に長く、路面100aから上方に突出する寝位の三角柱状に形成されている。
【0052】
詳しくは、一方通行道路100は、自動車専用道路やサービスエリアの出路であり、一方通行道路100を通って退出する自動車は矢印Aで示す正方向に走行し、矢印Bで示す逆方向に走行する逆走自動車の通行を規制した一方通行道路である。なお、入路等の一方通行道路であってもよい。
【0053】
また、図2に示すように、昇降式走行方向規制装置1は側面視略直角三角形状の昇降ブロック10と、該昇降ブロック10を上方に付勢するコイルスプリング17と、コイルスプリング17とともに、昇降可能に昇降ブロック10を収容する収容空間20とで構成している。
【0054】
収容空間20は、上部に路面100aまで貫通し、昇降ブロック10の上方への突出を許容する突出開口21と、コイルスプリング17の貫通を許容するスプリング開口22aを有し、収容空間20を高さ方向に仕切る仕切り盤22とで構成する一方通行道路100の内部空間である。
なお、突出開口21は、後述する昇降ブロック10の係止鍔13の係止を許容する被係止部21aを周縁部に形成している。
【0055】
仕切り盤22は、後述する昇降ブロック10が最下位置Dとなった状態において、仕切り盤22の上面に昇降ブロック10が載置される高さ方向位置に形成されるとともに、最下位置Dにある昇降ブロック10の頂部16が路面100aとほぼ同じ高さとなるよう形成している。
【0056】
昇降ブロック10は、通常の自動車(図示省略)の車幅より一回り広い幅方向長さを有する寝位の三角柱状に形成されている。
なお、昇降ブロック10は、矢印A方向で示す正方向における上流側(図1において右奥側及び図2において右側)に乗込み傾斜面11、下流側(図1において左手前側及び図2において左側)に垂直面12を有する側方断面視直角三角形である。そして、乗込み傾斜面11及び垂直面12の下端に、矢印A方向における前後方向に突出する係止鍔13を備えている。
【0057】
さらに、側方断面視略直角三角形状の底面14には、コイルスプリング17の嵌着を許容するスプリング嵌着穴15を備えている。
コイルスプリング17は、上端が昇降ブロック10のスプリング嵌着穴15に嵌着し、収容空間20の底面23に載置されており、図示省略するが、昇降ブロック10を上方に付勢する付勢力を確保すべく、昇降ブロック10の幅方向W(図1)に所定間隔を隔てて複数本配置している。
【0058】
上記構成の昇降ブロック10は、底面23上に載置し、スプリング開口22aを貫通するコイルスプリング17の上端をスプリング嵌着穴15に嵌着した状態で収容空間20に収容されて昇降式走行方向規制装置1を構成する。このとき、昇降ブロック10に対して上方からの負荷が作用していない通常状態Fにおいて、係止鍔13が突出開口21に係止する状態で、突出開口21を貫通する昇降ブロック10が路面100aから突出する突出位置Uとなる。
【0059】
この突出位置Uの昇降ブロック10においては、上流側が乗込み傾斜面11により路面100aから連続する斜面を構成し、下流側では路面100aから垂直面12が垂直方向に切り立った状態となる。なお、この突出位置Uにおける路面100aから昇降ブロック10の頂部16までの高さ、すなわち垂直面12の高さは、図示省略する自動車のタイヤ200の半径とほぼ同じ高さで形成している。(図2(a)参照)
また、路面100aから切り立った状態となる垂直面12には、図1(a)に示すように、矢印Bに示す逆行方向の自動車の運転手に対して目視できる「逆行」の文字や「×」の警告表示18を表示している。
【0060】
このような構成の昇降式走行方向規制装置1は、図2(a)に示すように、矢印A方向の正方向走行自動車のタイヤ200は、突出位置Uの路面100aからそのまま乗込み傾斜面11上を転動する。
【0061】
乗込み傾斜面11上をタイヤ200が転動する昇降ブロック10は、コイルスプリング17の付勢力に反して下向きに移動し、最下位置Dまで下降する。頂部16が路面100aとほぼ同じ高さになる最下位置Dまで下降したことによって、矢印A方向に走行する自動車のタイヤ200は下流側に転動して移動することができる(図1(b)及び図2(b)参照)。
【0062】
これに対し、矢印Aに示す正方向における下流側から上流側に向かう逆行方向(矢印B方向)に走行する逆走自動車の逆走タイヤ200aは、路面100aから垂直方向に切り立った状態であり、路面100aから頂部16までの高さがタイヤ200の半径と略同じ高さに設定された垂直面12に当接する。しかし、矢印B方向の逆行する逆走タイヤ200aは昇降ブロック10を乗り越えて上流側に転動することはできず、突出位置Uの昇降ブロック10によって矢印B方向からの逆走タイヤ200aの転動は遮断される。
【0063】
また、突出位置Uにおける垂直面12の路面100aより上方部分に「逆行」と「×」の警告表示18を表示しているため、逆走自動車の運転手は昇降ブロック10で逆走タイヤ200aの転動が遮断されずとも、警告表示18の表示を視認して、矢印B方向の走行を認識することができる。
【0064】
このようにして、一方通行道路100に、突出位置Uにおいて路面100aから上方に突出する昇降ブロック10を備えたことにより、逆走自動車の逆走タイヤ200aの転動を昇降ブロック10の垂直面12で遮断するため、矢印A方向を正方向とする通行方向が設定された一方通行道路100における通行の安全性をたかめることができる。
【0065】
なお、一方通行道路100を一般的な自動車の車幅より一回り長い連続する形状で構成したが、一方通行道路100の車幅を基準とした左右のタイヤ200が通過する部分に、それぞれ独立する昇降式走行方向規制装置1を形成してもよい。
【実施例2】
【0066】
図3は斜視図による傾倒式走行方向規制装置1aの説明図を示し、図4は傾倒式走行方向規制装置1aの側面図や側方断面図による説明図を示している。
なお、図3(a)は矢印B方向に走行する逆走自動車の走行を遮断する立位姿勢Sにある傾倒式走行方向規制装置1aの斜視図を示し、図1(b)は矢印A方向に走行する正方向走行自動車の走行を許容する傾倒姿勢Xにある傾倒式走行方向規制装置1aの斜視図を示している。
【0067】
また、図4(a)は傾倒式走行方向規制装置1aの側面図による立位姿勢S及び傾倒姿勢Xについての説明図を示し、図4(b)は傾倒式走行方向規制装置1aのa−a断面(図3)における断面図による立位姿勢S及び傾倒姿勢Xについての説明図を示し、図4(c)は傾倒式走行方向規制装置1aのb−b断面(図3)における断面図による立位姿勢S及び傾倒姿勢Xについての説明図を示している。
【0068】
さらにまた、図4(a)、(b)、(c)は、右側から順に、矢印Aの正方向走行自動車のタイヤ200が上流側(図4において右側)から転動して傾倒式走行方向規制装置1aに乗り上げる状態(第1図)、傾倒式走行方向規制装置1a上を転動する状態(第2図)、遮断プレート40を傾倒姿勢Xまで傾倒させた状態(第3図)、傾倒式走行方向規制装置1aを越えて下流側に走行する状態(第4図)をそれぞれ示している。
【0069】
傾倒式走行方向規制装置1aのa−a断面は遮断プレート40の姿勢規制部42を通る断面であり、b−b断面はベースプレート30に対する遮断プレート40を付勢するねじりバネ35の部分を通る断面を示している。
【0070】
傾倒式走行方向規制装置1aは、図3に示すように、幅方向Wに長い側面視扁平かまぼこ形状で形成され、路面100aに載置して固定するベースプレート30と、ベースプレート30に対してヒンジ31を介して、立位姿勢Sから傾倒姿勢Xまで枢動可能に構成された遮断プレート40と、ベースプレート30に対して遮断プレート40を立位姿勢S方向に付勢するねじりバネ35とで構成している。
【0071】
ベースプレート30は、矢印A方向の正方向における上流側に断面略円弧状の傾斜曲面32と、下流側に傾倒姿勢Xの遮断プレート40の嵌まり込む嵌合凹部33とを有するとともに、ヒンジ31で枢動可能に接続された遮断プレート40の立位姿勢Sの上流側の姿勢を規制する姿勢規制部42に当接する規制凸部34を備えている。
【0072】
遮断プレート40は、傾倒姿勢Xで嵌合凹部33に嵌合した際に、傾斜曲面32と対称な形状となる傾斜曲面41を有するとともに、前記規制凸部34が当接して立位姿勢Sの姿勢を規制する姿勢規制部42を備えている。
なお、この立位姿勢Sの遮断プレート40は、図4(a)に示すように、図示省略する自動車のタイヤ200の半径とほぼ同じ高さとなるように形成している。
【0073】
また、傾斜曲面41には、立位姿勢Sで上向きの矢印表示41aを表示するとともに、立位姿勢Sにおける遮断プレート40の下流側面40aには矢印Bに示す逆行方向の自動車の運転手に対して目視できる「逆行」の文字や「×」の警告表示40bを表示している。
【0074】
ねじりバネ35は、ヒンジ31の外周に嵌合させたねじりバネであり、図4(c)に示すように、逆くの字状に形成されているため、ベースプレート30に対して遮断プレート40を開く方向に付勢している。
【0075】
このように構成された傾倒式走行方向規制装置1aは、図4の第1図に示すように、通常状態Fにおいて、ねじりバネ35の付勢力によって、遮断プレート40は、矢印Bの逆走タイヤ200aの転動を遮断する遮断状態である立位姿勢Sを保持している。なお、このとき、図4(b)におけるa部拡大図に示すように、規制凸部34が遮断プレート40の姿勢規制部42に当接して、遮断プレート40の上流側への傾倒を規制している。
【0076】
この状態で、上流側からタイヤ200が傾斜曲面32から乗り上げて立位姿勢Sの遮断プレート40にあたると、遮断プレート40はねじりバネ35の付勢力に反して、矢印Aで示す正方向に傾倒する(第2図)。
【0077】
さらに、タイヤ200の転動が進むと遮断プレート40は傾倒姿勢Xまで傾倒し、下流側へ転動可能な、通行許可状態となる(第3図)。なお、この状態において、ねじりバネ35は、図4(c)におけるb部拡大図に示すように、内側に付勢されているため、タイヤ200が遮断プレート40上を通過すると、ねじりバネ35の付勢力によって、傾倒姿勢Xの遮断プレート40は立位姿勢Sに復帰する(第4図)。
【0078】
これに対し、矢印Aに示す正方向における下流側から上流側に向かう逆行方向(矢印B方向)に走行する逆走自動車の逆走タイヤ200aは、半径と略同じ高さに設定され、立位姿勢Sの遮断プレート40を乗り越えて上流側に転動することはできない。したがって、立位姿勢Sの遮断プレート40によって矢印B方向からの逆走タイヤ200aの転動を遮断することができる。
【0079】
また、立位姿勢Sの遮断プレート40における下流側面40aに警告表示40bを「逆行」と「×」の警告表示40bを表示しているため、逆走自動車の運転手は遮断プレート40で逆走タイヤ200aの転動が遮断されずとも、警告表示40bの表示を視認して、矢印B方向の走行を認識することができる。
【0080】
このようにして、一方通行道路100に、立位姿勢Sにおいて路面100aから上方に突出する遮断プレート40を有する傾倒式走行方向規制装置1aを備えたことにより、逆走自動車の逆走タイヤ200aの転動を立位姿勢Sの遮断プレート40で遮断するため、矢印A方向を正方向とする通行方向が設定された一方通行道路100における通行の安全性をたかめることができる。
【0081】
また、傾倒式走行方向規制装置1aは、一方通行道路100にベースプレート30を載置して固定するため、大掛かりな設置工事等を必要とせず、容易に設置することができ、利便性が向上する。
【0082】
さらにまた、傾倒姿勢Xまで傾倒した遮断プレート40を立位姿勢Sに復帰する復帰手段として、正方向走行自動車のタイヤ200の転動によって遮断プレート40が傾倒した際のねじりバネ35の付勢力を用いたため、正方向走行自動車の走行エネルギを有効活用して復帰させることができる。したがって、別の動力源を必要としない簡単な構造で、逆走自動車の逆方向通行を確実に遮断して安全な通行を実現することができる。
【0083】
なお、一方通行道路100にベースプレート30を載置して固定する傾倒式走行方向規制装置1aについて説明したが、図5に示すように、一方通行道路100に埋め込んで構成するタイプの傾倒式走行方向規制装置1a’であっても、同様の効果を得ることができる。
【0084】
また、一方通行道路100を一般的な自動車の車幅より一回り長い連続する形状で構成したが、一方通行道路100の車幅を基準とした左右のタイヤ200が通過する部分に、それぞれ独立する傾倒式走行方向規制装置1aを形成してもよい。
【実施例3】
【0085】
図6,7は斜視図による天秤式走行方向規制装置1bの説明図を示し、図8は側面図による天秤式走行方向規制装置1bの説明図を示している。
なお、図6(a)は一方通行道路100内の内部空間80に配置した天秤機構50を透過状態で表した通常状態Fの天秤式走行方向規制装置1bの斜視図を示し、図6(b)は矢印Aに示す正方向に走行する正方向走行自動車が上流側遮断ブロック60b上を通過する上流側通過許容状態Yaの天秤式走行方向規制装置1bの斜視図を示している。
【0086】
また、図7(a)は、天秤式走行方向規制装置1b本体の斜視図を示し、図7(b)はエアーバルーン71が膨出した状態の天秤式走行方向規制装置1bの斜視図を示している。
さらに、図8は天秤式走行方向規制装置1bの側方断面図による通常状態F及び通過許容状態Yについての説明図を示している。詳しくは、図8(a)は通常状態Fについての説明図を示し、図8(b)は正方向走行自動車のタイヤ200が上流側(図8において右側)から転動し、最下位置Dに移動した上流側遮断ブロック60b上を通過する上流側通過許容状態Yaについての説明図を示している。
【0087】
図8(c)は矢印Bの逆走自動車の逆走タイヤ200aによって下流側遮断ブロック60aにおけるスライド機構によって矢印B方向に移動した状態についての説明図を示し、図8(d)はスライド機構によって矢印B方向に転動する逆走タイヤ200aを検出し、エアーバルーン71が膨出した膨出状態Zについて示している。
【0088】
天秤式走行方向規制装置1bは、矢印A方向に所定間隔を隔てて配置した2つの遮断ブロック60と、該遮断ブロック60を上皿天秤状に下方から支持する天秤機構50と、エアーバルーン機構70と、天秤機構50及びエアーバルーン機構70を収容する内部空間80とで構成している。
【0089】
遮断ブロック60は、矢印A方向に示す正方向における上流側(図6,7において右奥側及び図8において右側)に乗込み傾斜面61、下流側(図1において左手前側及び図2において左側)に垂直面62、乗込み傾斜面61と垂直面62の上端に配置する水平上面63で構成する側面視片傾斜台形である。そして、乗込み傾斜面61及び垂直面62の下端に、矢印A方向における前後方向に突出する係止鍔64を備えている。
【0090】
なお、矢印A方向に所定間隔を隔てて配置した2つの遮断ブロック60のうち、矢印A方向の正方向上流側を上流側遮断ブロック60bとし、下流側を下流側遮断ブロック60aとしている。
【0091】
また、図8(b)a部拡大図に示すように、上流側遮断ブロック60b内部には、底面からポンプシリンダ72aが下方に突出し、圧縮エアーを供給するエアーポンプ72と、エアーポンプ72から供給された圧縮エアーを貯蔵するエアータンク73と、エアータンク73から放出された圧縮エアーによって膨出するエアーバルーン71と、エアータンク73からエアーバルーン71に圧縮エアーを放出させる放出スイッチ74を備えている。
【0092】
なお、エアーバルーン71は折り畳んで上流側遮断ブロック60b内部に収容されており、折り畳まれたエアーバルーン71の上方の乗込み傾斜面61には、上辺に配置したヒンジ75aで回動する回動蓋75を形成している。
【0093】
また、エアータンク73は所定圧力以上の前記圧縮空気を逃がす圧力弁73aを備えているため、エアーポンプ72から過剰に圧縮エアーが供給された場合であっても、所定圧力を超える貯蔵量で圧縮エアーを貯蔵することなく、安全に圧縮エアーを貯蔵することができる。
【0094】
天秤機構50は、遮断ブロック60を支持する支持アーム54と、該支持アーム54を両端に枢動可能に連結したスイングアーム53とで構成する連結アーム52、並びに連結アーム52をスイング可能に支持する天秤支点軸51で構成している。
なお、連結アーム52は、幅方向Wに所定間隔を隔てて3組配置し、天秤支点軸51は3組の連結アーム52を幅方向Wに連結するように配置されている。
【0095】
支持アーム54は、遮断ブロック60内部に配置した枢支軸55(図7(a))により枢動可能に支持しており、図8(b)におけるa部拡大図に示すように、枢支軸55が矢印A方向における前後方向(図8における左右方向)に移動可能となるよう側面視凸状の円弧係止溝65を上流側遮断ブロック60b内部に形成している。
【0096】
同様に、図8(c)におけるb部拡大図に示すように、枢支軸55が矢印A方向における前後方向(図8における左右方向)に移動可能となるよう側面視凸状の円弧係止溝65を下流側遮断ブロック60a内部に形成している。
【0097】
また、スイングアーム53のうち、天秤支点軸51から下流側遮断ブロック60aを支持する奥側支持アーム54aまでの長さを奥側アーム長L1とし、天秤支点軸51から上流側遮断ブロック60bを支持する手前側支持アーム54bまでの長さを手前側アーム長L2としている。
【0098】
さらに、天秤支点軸51に作用するモーメントMのうち下流側遮断ブロック60a側を下流側モーメントM1とし、上流側遮断ブロック60b側を上流側モーメントM2としている。そして、本実施例では、矢印A方向の正方向における上流側である上流側モーメントM2が下流側の下流側モーメントM1より小さくなるように構成している。
【0099】
詳しくは、モーメントMは、天秤支点軸51から遮断ブロック60までのアーム長Lと、天秤支点軸51から遮断ブロック60までの重量との乗数で定まるため、手前側アーム長L2を奥側アーム長L1より短く形成したり、天秤支点軸51から上流側遮断ブロック60bまでの重量を天秤支点軸51から下流側遮断ブロック60aまでの重量より軽く形成することで上流側モーメントM2が下流側モーメントM1より小さくなるように構成している。
【0100】
天秤機構50及び遮断ブロック60を収容する内部空間80は、図8に示すように、下流側遮断ブロック60aを収容する下流側ブロック収容区間80aと、天秤機構50を収容する天秤収容区間80cと、上流側遮断ブロック60bを収容する上流側ブロック収容区間80bとが連通し、一方通行道路100内部に形成された内部空間である。
【0101】
下流側ブロック収容区間80aは、図8(c)のb部拡大図に示すように、上部に路面100aまで貫通し、下流側遮断ブロック60aの上方への突出を許容する突出開口81と、下流側ブロック収容区間80aにおける下流側側面の高さ方向中央付近に備えたスライド鍔部83と、スライド鍔部83によってスライドした下流側遮断ブロック60aをもう一段下がった位置に規制する高さ規制部84とで構成している。そして、下流側ブロック収容区間80aのスライド鍔部83や高さ規制部84より下方で天秤収容区間80cに連通している。
【0102】
なお、スライド鍔部83は、最下位置D位置にある下流側遮断ブロック60aの底面が当接する第1鍔部83aと、高さ規制部84によって高さ規制された下流側遮断ブロック60aの底面が当接する第2鍔部83bとの階段状に形成されている。
【0103】
また、高さ規制部84は、スイングアーム53のスイングに支障しないように下流側ブロック収容区間80aの幅方向両側の側面に幅方向W内側向きに突出する態様で構成されている。また、突出開口81は、下流側遮断ブロック60aの係止鍔64の係止を許容する被係止部82を周縁部に形成している。
【0104】
この下流側ブロック収容区間80aの構成により、下流側遮断ブロック60aは第1鍔部83aより上方では上下方向に昇降可能であり、第1鍔部83aに底面が当接する最下位置Dの状態から上流側(図8において右側)にスライドするとともに、高さ規制部84の上面に底面が当接するもう一段下がった位置(逆走検知位置G)に移動することができる。なお、スライド鍔部83と円弧係止溝65とで下流側遮断ブロック60aが矢印A方向の前後方向にスライド可能なスライド機構を構成している。
【0105】
上流側ブロック収容区間80bは、図8(b)のa部拡大図、及び図8(d)のc部拡大図に示すように、上部に路面100aまで貫通し、上流側遮断ブロック60bの上方への突出を許容する突出開口81と、上流側ブロック収容区間80bの高さ方向中央付近に備え押圧面85と、底面が押圧面85に位置する最下位置Dの上流側遮断ブロック60bの底面が係止する高さ規制部84とで構成し、上流側ブロック収容区間80bの高さ規制部84より下方で天秤収容区間80cに連通している。
【0106】
なお、高さ規制部84は、スイングアーム53のスイングに支障しないように上流側ブロック収容区間80bの幅方向両側の側面に幅方向Wの内側向きに突出する態様で構成されている。また、突出開口81は、上流側遮断ブロック60bの係止鍔64の係止を許容する被係止部82を周縁部に形成している。
【0107】
このように構成された天秤式走行方向規制装置1bの作用について説明する。まず、通常状態Fでは、上流側モーメントM2が下流側モーメントM1より小さくなるように設定されているため、上流側遮断ブロック60bが上流側ブロック収容区間80bの突出開口81から路面100aより上方に突出する突出位置Uとなり、上流側遮断ブロック60bと天秤機構50を介して連結された下流側遮断ブロック60aは、下流側ブロック収容区間80a内部に収容された最下位置Dとなる(図7(a)及び図8(a)参照)。なお、このとき、下流側遮断ブロック60aの上部水平上面63は、路面100aからわずかに突出している。
【0108】
この状態で、正方向走行自動車のタイヤ200が、天秤式走行方向規制装置1bの上流側から転動し、突出位置Uにある上流側遮断ブロック60bの乗込み傾斜面61に乗り上げて下流に向かって進むことにより、自動車の重量によって上流側遮断ブロック60bは最下位置Dまで下降して上流側通過許容状態Yaとなる。そして、天秤機構50を介して連結された下流側遮断ブロック60aは突出位置Uまで上昇する(図7(b)及び図8(b)参照)。
【0109】
このとき、上流側遮断ブロック60bの底面から下方に突出していたエアーポンプ72bは押圧面85に押圧されて縮み、エアーポンプ72が作動して圧縮エアーをエアータンク73に供給することができる。
【0110】
そして、更なる矢印A方向の正方向のタイヤ200の転動が進み、突出位置Uにある下流側遮断ブロック60aの乗込み傾斜面61に乗り上げて下流に向かって進むことにより、自動車の重量によって下流側遮断ブロック60aは最下位置Dまで下降して下流側通過許容状態Ybとなる。そして、天秤機構50を介して連結された上流側遮断ブロック60bは突出位置Uまで上昇して、図7(a)及び図8(a)に示す通常状態Fに戻る。このようにして、天秤式走行方向規制装置1bは正方向走行自動車の通行を許可することができる。
【0111】
これに対し、逆走自動車の逆走タイヤ200aが下流側から転動すると、通常状態Fにおいて路面100aから水平上面63がわずかに突出する態様の最下位置Dにある下流側遮断ブロック60aを上流側に押し付ける。逆走タイヤ200aによって上流側に押し付けられた下流側遮断ブロック60aは、円弧係止溝65とスライド鍔部83で構成するスライド機構により、図8(c)のb部拡大図に示すように、上流側に移動する。
【0112】
そして、更なる逆方向の逆走タイヤ200aが転動して下流側遮断ブロック60aの水平上面63上に乗り上げると、自動車の重量により下流側遮断ブロック60aは高さ規制部84によって高さ規制される逆走検知位置Gまで下降する(図8(d))。
【0113】
このとき、天秤機構50によって連結された上流側遮断ブロック60bは、係止鍔64が係止する被係止部82によって高さ方向に規制されているため、これ以上上方に移動することはできない。そこで、支持アーム54bはスイングアーム53によって下方から持ち上げられ、支持アーム54bの上端は円弧係止溝65に沿って上流側に移動し、支持アーム54bが上流側に傾倒する(図8(d)のc部拡大図)。
【0114】
そして、この支持アーム54bの上流側への傾倒により放出スイッチ74が押圧されて作動し、エアータンク73に貯蔵した圧縮エアーを放出して、エアーバルーン71を膨出させる。
【0115】
このとき、上流側遮断ブロック60b内部に折りたたまれた状態で収容されていたエアーバルーン71は、圧縮エアーの流入により、上方に膨出して回動蓋75を貫通して上流側遮断ブロック60bの外部上方に広がる。
【0116】
なお、逆走自動車の逆走タイヤ200aの逆走を検出する逆走検出機構は、円弧係止溝65とスライド鍔部83で構成する下流側遮断ブロック60aのスライド機構と、スライドして下流側遮断ブロック60aが逆走検知位置Gまで移動したことに伴って天秤機構50で連結された上流側遮断ブロック60bの支持アーム54bに当接してON制御される放出スイッチ74とで構成している。
【0117】
上記構成により、天秤機構50が矢印A方向に所定間隔を隔てて配置した2つの遮断ブロック60を上皿天秤状に下方から支持し、タイヤ200が突出位置Uにある上流側遮断ブロック60bの乗込み傾斜面61に乗り上げて下流に向かって進むことにより最下位置Dまで下降したあと、タイヤ200がさらに突出位置Uにある下流側遮断ブロック60aの乗込み傾斜面61に乗り上げて下流に向かって進むことにより、天秤機構50を介して連結された上流側遮断ブロック60bは突出位置Uまで上昇して通常状態Fに復帰するため、別の駆動力を必要とせず、正方向装甲自動車のエネルギを有効活用して通常状態Fに復帰させることができる。したがって、別の動力源を必要としない簡単な構造で、逆走自動車を確実に遮断して安全な通行を実現することができる。
【0118】
また、上流側モーメントM2を下流側モーメントM1より小さくなるよう設定することによって、通常状態Fにおいて、モーメントMの大きな下流側遮断ブロック60aが最下位置Dとなり、モーメントMの小さな上流側遮断ブロック60bが突出位置Uとなってつりあう。したがって、通常状態Fにおいて、別の機構を設けずとも、上流側遮断ブロック60bを突出位置Uに、下流側遮断ブロック60aを最下位置Dに保持することができる。よって、逆走自動車の通行を確実に遮断することができる。
【0119】
また、矢印B方向の逆方向に走行する自動車に対して、走行方向前方にある上流側遮断ブロック60bからエアーバルーン71が上方に膨出するため、視認性も高く自動車の逆方向走行を遮断することができる。
【0120】
また、エアーバルーン71を膨出させるための圧縮エアーは、上流側遮断ブロック60bの底面からポンプシリンダ72aが下方に突出するエアーポンプ72によって、上流側遮断ブロック60bが昇降するたびに押圧面85に当接して圧縮エアーをエアータンク73に供給することができる。
【0121】
なお、本実施例では、エアーポンプ72で供給する圧縮エアーでエアーバルーン71を膨出させて矢印B方向の逆方向自動車の通行を遮断したが、図9に示すように、上流側遮断ブロック60bを、ベースと成るベース側上流側遮断ブロック60bbと、ベース側上流側遮断ブロック60bbに対して上方に膨出可能なトップ側上流側遮断ブロック60baとの二重構成とし、スライド機構を用いた逆走検出機構によって逆走自動車の逆走タイヤ200aを検出することで、エアータンク73に貯蔵した圧縮エアーでエアージャッキ76で、トップ側上流側遮断ブロック60baを上方に移動させてもよい。
【0122】
また、エアーポンプ72の代わりに、或いはエアーポンプ72と併用して、上流側遮断ブロック60bの昇降や天秤機構50のスイングによって電気を蓄えて、その電気で例えば垂直面62に埋め込んだLED灯を点灯させて、矢印B方向の逆方向自動車の運転手に逆走を喚起する構成であってもよい。
【0123】
また、上記実施例においては、円弧係止溝65とスライド鍔部83で構成する下流側遮断ブロック60aのスライド機構によって、逆走自動車の逆走タイヤ200aが下流側から転動すると、路面100aから水平上面63がわずかに突出する態様の最下位置Dにある下流側遮断ブロック60aを上流側に押し付けて逆走検知位置Gまで下降させたが、例えば、スライド機構を下流側遮断ブロック60aを下流側へのスライド可能に構成してもよい。この場合、逆走タイヤ200aの転動反力によって、下流側遮断ブロック60aを下流側にスライドさせることができる。この方法であっても、逆走自動車を検出することができる。
【0124】
以上、本発明の構成と、前述の実施態様との対応において、
通行路は、一方通行道路100に対応し、
以下同様に、
転動手段又はタイヤは、タイヤ200,逆走タイヤ200aに対応し、
移動体又は走行車両は、自動車に対応し、
逆方向は、矢印B方向に対応し、
遮断手段は、昇降ブロック10、遮断プレート40、上流側遮断ブロック60bに対応し、
遮断体は、遮断プレート40に対応し、
正方向は、矢印A方向に対応し、
遮断状態は、立位姿勢Sに対応し、
通行許容状態は、通常状態F、通過許容状態Y、上流側通過許容状態Ya、下流側通過許容状態Yb又は傾倒姿勢Xに対応し、
復帰手段は、コイルスプリング17、ねじりバネ35、天秤機構50に対応し、
遮断体は、遮断プレート40に対応し、
傾倒手段は、ヒンジ31に対応し、
付勢手段は、ねじりバネ35に対応し、
通行方向規制装置は、昇降式走行方向規制装置1,傾倒式走行方向規制装置1a及び天秤式走行方向規制装置1bに対応し、
昇降部は、遮断ブロック60,下流側遮断ブロック60a及び上流側遮断ブロック60bに対応し
天秤機構は、天秤機構50に対応し、
傾斜面は、乗込み傾斜面61に対応し、
低位置は、最下位置Dに対応し、
手前側遮断昇降部は、上流側遮断ブロック60bに対応し、
奥側昇降部は、下流側遮断ブロック60aに対応し、
逆方向通行検出機構は、逆走検出機構に対応し、
遮断効果増大手段は、エアーバルーン71や上流側遮断ブロック60ba,上流側遮断ブロック60bb及びエアージャッキ76に対応し、
連結アームは、スイングアーム53に対応し、
天秤支点は、天秤支点軸51に対応し、
手前側モーメントは、上流側モーメントM2に対応し、
奥側モーメントは、下流側モーメントM1に対応し、
圧縮空気は、圧縮エアーに対応し、
圧縮空気タンクは、エアータンク73に対応し、
空気ポンプは、エアーポンプ72に対応し、
突出量増加機構は、上流側遮断ブロック60ba,上流側遮断ブロック60bb及びエアージャッキ76に対応し、
膨出体は、エアーバルーン71に対応し、
スライド機構は、円弧係止溝65とスライド鍔部83に対応するも、
上記実施形態に限定するものではない。
【符号の説明】
【0125】
1…昇降式走行方向規制装置
1a…傾倒式走行方向規制装置
1b…天秤式走行方向規制装置
10…昇降ブロック
17…コイルスプリング
31…ヒンジ
35…ねじりバネ
40…遮断プレート
50…天秤機構
51…天秤支点軸
53…スイングアーム
60…遮断ブロック
60a…下流側遮断ブロック
60b…上流側遮断ブロック
61…乗込み傾斜面
65…円弧係止溝
71…エアーバルーン
72…エアーポンプ
73…エアータンク
73a…圧力弁
76…エアージャッキ
83…スライド鍔部
100…一方通行道路
100a…路面
200…タイヤ
200a…逆走タイヤ
D…最下位置
F…通常状態
S…立位姿勢
U…突出位置
M1…下流側モーメント
M2…上流側モーメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行方向が一方向に設定された通行路に設置され、路面上を転動する転動手段によって移動する移動体の逆方向の通行に対して、前記路面上に突出して、前記転動手段の転動を遮断する遮断手段と、
前記移動体の正方向の通過によって、前記路面上から突出して逆方向の前記移動体の通行を遮断する遮断状態から正方向の前記移動体の通行を許容する通行許容状態に移行した前記遮断手段を、前記移動体の正方向の通過後に、前記遮断状態に復帰させる復帰手段とで構成する
通行方向規制装置。
【請求項2】
前記遮断手段を、前記通行方向に対して交差する向きに配置され、前記遮断状態において立位姿勢となる遮断体で構成するとともに、
前記移動体の正方向の通過によって、立位姿勢の前記遮断体を前記路面に対して前記正方向に傾倒させて前記通行許容状態に移行する傾倒手段を備え、
前記復帰手段を、
前記傾倒手段による傾倒によって付勢された付勢力によって、前記正方向に傾倒する前記通行許容状態から立位姿勢の前記遮断状態に前記遮断体を復帰させる付勢手段で構成した
請求項1に記載の通行方向規制装置。
【請求項3】
通行方向に所定間隔を隔てて配置した2つの昇降部と、
該昇降部を上皿天秤状に下方から支持する天秤機構とを備え、
前記昇降部を、
前記正方向に通行する前記移動体に対向する側である正方向手前側に傾斜面を有する形状とし、
前記遮断手段を、
前記路面上から突出して逆方向の前記移動体の通行を遮断する遮断状態である突出位置にある前記昇降部で構成し、
前記復帰手段を、
前記2つの昇降部のうち一方の昇降部が、前記路面上から突出して逆方向の前記移動体の通行を遮断する遮断状態である突出位置にある状態において、他方の昇降部が前記移動体の通行を許容する通行許容状態である低位置となり、正方向に移動する前記移動体の前記転動手段が前記傾斜側面を経て前記突出位置にある昇降部上を転動にすることによる前記突出位置から前記低位置への移動に伴って、低位置にある他方の昇降部が突出位置に移動する態様で支持する前記天秤機構で構成した
請求項1に記載の通行方向規制装置。
【請求項4】
前記2つの昇降部のうち正方向手前側の昇降部を、逆方向の前記移動体の通行を遮断する手前側遮断昇降部とするとともに、前記正方向に通行する前記移動体にとって奥側となる昇降部を奥側昇降部とし、
上記低位置にある前記奥側昇降部上を、逆方向から通行する前記移動体の転動手段が転動することを検出する逆方向通行検出機構と、
該逆方向通行検出手段で前記移動体による逆方向通行の検出に応じて、手前側遮断昇降部による逆方向通行の前記移動体に対する遮断効果を増大させる遮断効果増大手段とを備えた
請求項3に記載の通行方向規制装置。
【請求項5】
前記天秤機構を、
前記昇降部を連結するとともに下方支持する連結アームと、該連結アームを枢動可能に支持する天秤支点とで構成するとともに、
前記天秤支点より手前側遮断昇降部までの手前側モーメントが、前記天秤支点から前記奥側昇降部までの奥側モーメントより小さくなるよう設定した
請求項4に記載の通行方向規制装置。
【請求項6】
内部に圧縮空気を貯蔵するとともに、所定圧力以上の前記圧縮空気を逃がす圧力弁を有する圧縮空気タンクと、
前記天秤機構による天秤動作によって前記圧縮空気タンクに前記圧縮空気を供給する空気ポンプとを備え、
前記遮断効果増大手段を、
前記圧縮空気タンクに貯めた圧縮空気によって、突出量を増加させる方向に前記手前側遮断昇降部を移動させる突出量増加機構で構成した
請求項4又は5に記載の通行方向規制装置。
【請求項7】
走行方向が一方向に設定された一方通行道路に設置され、路面上を転動するタイヤによって移動する走行車両の正方向の走行を許容するとともに、該走行車両の逆方向の走行を規制する通行方向規制装置であって、
走行方向に所定間隔を隔てて配置し、前記正方向に走行する前記走行車両において手前側に位置し、手前側が傾斜面である手前側遮断昇降部と、
奥側となる奥側昇降部と、
両昇降部を上皿天秤状に下方から支持する天秤機構と、
前記圧縮空気を貯め、所定値以上の圧力を逃がす圧力弁を有する圧縮空気タンクと、
前記天秤機構による天秤動作によって前記圧縮空気タンクに前記圧縮空気を供給する空気ポンプと、
通常時においては折り畳まれて収納され、内部への圧縮空気の供給により膨出する膨出体とで構成し、
前記昇降部を連結するとともに下方支持する連結アームと、該連結アームを枢動可能に支持する天秤支点とで構成する前記天秤機構を、
前記2つの昇降部のうち一方の昇降部が、前記路面上から突出して逆方向の前記車両の通行を遮断する遮断状態である突出位置にある状態において、他方の昇降部が前記車両の通行を許容する通行許容状態である低位置となり、正方向に移動する前記車両の前記タイヤが前記傾斜側面を経て前記突出位置にある昇降部上を転動にすることによる前記突出位置から前記低位置への移動に伴って、低位置にある他方の昇降部が突出位置に移動する態様で支持する構成とするとともに、
前記天秤支点より手前側遮断昇降部までの手前側モーメントが、前記天秤支点から前記奥側昇降部までの奥側モーメントより小さくなるよう設定し、
前記天秤機構に対して前記奥側昇降部を走行方向にスライド可能に構成するスライド機構と、
前記低位置にある該奥側昇降部の上を逆方向に走行する前記走行車両のタイヤが走行することにより前記スライド機構による奥側昇降部のスライドによって逆方向走行を検出する逆方向走行検出機構とを備え、
該逆方向走行検出手段による前記走行車両の逆方向走行の検出によって、前記膨出体に前記圧縮空気タンクから前記圧縮空気を供給して、前記膨出体を膨出させる
通行方向規制装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−12482(P2011−12482A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158491(P2009−158491)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(509189466)旭精密株式会社 (2)
【Fターム(参考)】