通行監視システム
【課題】複数の監視カメラを用いることなく監視カメラの死角を解消することにより、立入制限エリアへの非許可者の不正侵入を確実に監視し得る通行監視システムを得る。
【解決手段】通行監視システムは、所定の出入口の近傍領域を第1方向から撮影するカメラ1と、カメラ1の画角内において、第1方向とは異なる第2方向から出入口の近傍領域が映るように配置された鏡11と、カメラ1によって撮影された映像内の鏡11に映し出された第1映像と、カメラ1によって第1方向から出入口の近傍領域を撮影した第2映像とに基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する処理部4とを備え、処理部4は、第1映像に基づき第1のアルゴリズムを用いて人物の単複判定を行い、第2映像に基づき第1のアルゴリズムとは異なる第2のアルゴリズムを用いて人物の単複判定を行う。
【解決手段】通行監視システムは、所定の出入口の近傍領域を第1方向から撮影するカメラ1と、カメラ1の画角内において、第1方向とは異なる第2方向から出入口の近傍領域が映るように配置された鏡11と、カメラ1によって撮影された映像内の鏡11に映し出された第1映像と、カメラ1によって第1方向から出入口の近傍領域を撮影した第2映像とに基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する処理部4とを備え、処理部4は、第1映像に基づき第1のアルゴリズムを用いて人物の単複判定を行い、第2映像に基づき第1のアルゴリズムとは異なる第2のアルゴリズムを用いて人物の単複判定を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行監視システムに関し、特に、立入制限エリア内への不正侵入を監視するための通行監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立入制限エリア内への不正侵入を監視するために、立入制限エリアへの出入口の近傍領域を監視カメラによって撮影するとともに、撮影された映像をハードディスク等に記録するシステムが存在する。
【0003】
なお、下記特許文献1,2には、カメラを用いて入室管理を行う監視システムの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−209728号公報
【特許文献2】特開2006−243972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
立入制限エリアへの出入口の近傍領域を監視カメラによって撮影する監視システムにおいては、入室者の容姿(特に顔)を明確に視認及び記録すべく、入室者の顔の位置が撮影画角の中心となるような構図で、監視カメラが設置されていることが多い。
【0006】
図15は、監視カメラの設置例を示す側面図である。図15において、出入口のドア110よりも右方が、立入制限エリアである。監視カメラ101はドア110の上方の壁に固定されており、この例の場合、監視カメラ101の光軸中心LCが斜め下方向を向く構図で、監視カメラ101が設置されている。
【0007】
ところが、このような監視システムにおいては、立入制限エリアへの入室を予め許可されている者(以下「許可者」と称す)の後を追って、入室を許可されていない者(以下「非許可者」と称す)が不正に侵入しようとした場合(いわゆる「後追い」)であっても、許可者によって生じる監視カメラの死角に非許可者が入り込むと、非許可者を監視カメラによって撮影することができないという問題がある。
【0008】
また、死角を解消すべく複数の監視カメラによって複数方向から出入口の近傍領域を撮影したのでは、コストが上昇するとともに、複数の監視カメラ同士で同期をとるための通信制御等が必要となって処理が複雑化するという問題がある。
【0009】
本発明はこれらの問題を解決するために成されたものであり、複数の監視カメラを用いることなく監視カメラの死角を解消することにより、立入制限エリアへの非許可者の不正侵入を確実に監視し得る通行監視システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係る通行監視システムは、所定の出入口の近傍領域を第1方向から撮影するカメラと、前記カメラの画角内において、前記第1方向とは異なる第2方向から前記出入口の近傍領域が映るように配置された鏡と、前記カメラによって撮影された映像内の前記鏡に映し出された第1映像と、前記カメラによって前記第1方向から前記出入口の近傍領域を撮影した第2映像とに基づいて、前記出入口を通行する人物が一か複数かを判定する処理部とを備え、前記処理部は、前記第1映像に基づき第1のアルゴリズムを用いて人物の単複判定を行い、前記第2映像に基づき前記第1のアルゴリズムとは異なる第2のアルゴリズムを用いて人物の単複判定を行うことを特徴とする。
【0011】
第2の発明に係る通行監視システムは、第1の発明に係る通行監視システムにおいて特に、前記第2方向は、前記出入口の近傍領域の上方であることを特徴とする。
【0012】
第3の発明に係る通行監視システムは、第1の発明に係る通行監視システムにおいて特に、前記第2方向は、前記出入口の近傍領域の側方であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明に係る通行監視システムによれば、出入口の近傍領域を第1方向からカメラによって撮影するとともに、カメラの撮影方向とは異なる第2方向から出入口の近傍領域が映るように、鏡が配置されている。そして、処理部は、撮影映像内の鏡に映し出された第1映像に基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。従って、複数の監視カメラを用いることなく、1台の監視カメラのみを用いて、当該監視カメラの死角を解消することができる。その結果、立入制限エリアへの非許可者の不正侵入を確実に監視することが可能となる。
【0014】
また、第1の発明に係る通行監視システムによれば、処理部は、第2方向から眺めた出入口の近傍領域の映像が鏡に映し出された第1映像と、出入口の近傍領域を第1方向から撮影した第2映像とに基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。つまり、出入口の近傍領域を複数の方向から眺めた複数の映像を用いて、通行人の単複判定を実行することができる。その結果、第1映像及び第2映像の一方のみを用いる場合と比較すると、判定の精度を高めることが可能となる。
【0015】
第2の発明に係る通行監視システムによれば、出入口の近傍領域の上方に鏡が配置されているため、第1映像には通行人の頭頂部が映し出されている。従って、第1映像に関しては、人物の頭頂部を特定するためのアルゴリズムを用いて、通行人が一か複数かを判定することができる。一方、カメラによって第1方向から出入口の近傍領域を撮影した映像(第2映像)に関しては、人物の顔を特定するためのアルゴリズムを用いて、通行人が一か複数かを判定することができる。つまり、第2の発明に係る通行監視システムによれば、第1映像と第2映像とで異なる種類のアルゴリズムを用いて、通行人の単複判定を実行することができる。その結果、判定の精度を高めることが可能となる。
【0016】
第3の発明に係る通行監視システムによれば、出入口の近傍領域の側方に鏡が配置されているため、第1映像には通行人の顔が映し出されている。従って、第1映像に関しては、人物の顔を特定するためのアルゴリズムを用いて、通行人が一か複数かを判定することができる。同様に、カメラによって第1方向から出入口の近傍領域を撮影した映像(第2映像)に関しては、人物の顔を特定するためのアルゴリズムを用いて、通行人が一か複数かを判定することができる。つまり、第3の発明に係る通行監視システムによれば、第1映像と第2映像とで同一のアルゴリズムを用いて、通行人の単複判定を実行することができる。その結果、アルゴリズムを統一することで処理の簡略化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る通行監視システムが導入された環境を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る通行監視システムが導入された環境を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る通行監視システムにおける信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】許可者の後を追って非許可者が出入口を通行しようとしている状況を示す側面図である。
【図5】図4に対応させて、カメラによって撮像された画像データの一部を抜き出して示す図である。
【図6】図3に示した処理部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係る通行監視システムの変形例を示す斜視図である。
【図8】カメラによって撮像された画像データの一部を抜き出して示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る通行監視システムの変形例を示す上面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る通行監視システムの変形例を示す側面図である。
【図11】図5に示した画像データから抽出した画像データの一例を示す図である。
【図12】第1方向から人物を撮影することで得られた画像データを示す図である。
【図13】図3に対応させて、信号処理部の構成の変形例を示すブロック図である。
【図14】図13に示した処理部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】監視カメラの設置例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0019】
図1及び図2はそれぞれ、本発明の実施の形態に係る通行監視システムが導入された環境を示す正面図及び側面図である。本実施の形態に係る通行監視システムは、立入制限エリア(つまり、入室を許可された者以外の者の立ち入りが禁止されているエリア)への出入口を通行する人物を監視するためのシステムである。図1,2を参照して、立入制限エリアの出入口にはドア10が設けられている。図1においては、ドア10よりも奥側が立入制限エリアである。また、図2においては、ドア10よりも右側が立入制限エリアである。
【0020】
ドア10の上方の壁には、動画撮影が可能なカメラ1が設置されている。図2を参照して、カメラ1は、出入口の近傍領域(具体的には、立入制限エリアではない非制限エリアにおける、出入口の近傍領域)を、矢印V1で示す第1方向から撮影している。また、鏡11が、天井の所定の箇所に所定の角度で固定されている。鏡11は、カメラ1の撮影画角(図2の破線参照)内に含まれるように配置されている。カメラ1の設置位置から眺めた場合、鏡11には、矢印V2で示す第2方向から眺めた出入口の近傍領域の景色が映る。ここで、第2方向は、上方(真上又は斜め上方)である。
【0021】
図3は、本実施の形態に係る通行監視システムにおける信号処理部の構成を示すブロック図である。カメラ1の後段に、画像処理部2が接続されている。また、画像処理部2の後段に、画像記録部3及び処理部4が接続されている。画像処理部2及び処理部4は、カメラ1に内蔵されていても良い。あるいは、画像処理部2及び処理部4は、画像記録部3と同一装置内で構成されていても良い。
【0022】
カメラ1によって撮像された出入口の近傍領域の画像(画像データD1)は、画像処理部2に入力される。画像処理部2は、画像データD1に対してガンマ補正やホワイトバランス調整等の一般的な画像処理を行い、画像データD2を出力する。画像データD2は、画像記録部3に入力され、ハードディスクやメモリカード等の任意の記録媒体に記録される。
【0023】
また、画像データD2は、処理部4に入力される。処理部4は、抽出部5と判定部6とを有しており、画像データD2に基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。処理部4における処理内容の詳細については後述する。
【0024】
図4は、許可者20の後を追って非許可者21が出入口を通行しようとしている状況を示す側面図である。図4には示されていないが、許可者20には予めカードキーが付与されており、そのカードキーを、ドア10の近傍に設置されたカードリーダ(図示しない)で読み取ることによって、ドア10の施錠が解除されて許可者20が出入口を通行可能な状態となる。
【0025】
図5は、図4に対応させて、カメラ1によって撮像された画像データD2の一部を抜き出して示す図である。矢印V1で示す第1方向からの撮影によって、許可者20の顔は画像データD2内に明確に現れている。その一方、第1方向からの撮影では、許可者20によって生じるカメラ1の死角となって、非許可者21は画像データD2内には明確には現れていない。
【0026】
ところで、図2,4に示したように鏡11はカメラ1の撮影画角内に含まれているため、図5を参照して、画像データD2の一部である画像データD3内に、鏡11が含まれている。そして、画像データD3内の鏡11には、図2,4で矢印V2で示した第2方向から眺めた出入口の近傍領域の様子が映っている。第2方向は出入口の近傍領域の上方であるため、図5に示すように、非許可者21は、許可者20の死角とならずに、画像データD3内に明確に現れている。
【0027】
図6は、図3に示した処理部4の動作を説明するためのフローチャートである。以下、図3〜6を参照して、処理部4における処理内容について詳細に説明する。
【0028】
まず、ステップSP11において、図3に示した処理部4の抽出部5は、画像処理部2から画像データD2(図5参照)を入力する。
【0029】
次に、ステップSP12において、抽出部5は、画像データD2から画像データD3を抽出する。画像データD2内における画像データD3の位置は、カメラ1及び鏡11を設置した後の初期設定時に、座標を用いた範囲指定等の方法によって、予め抽出部5に教示されている。抽出部5によって抽出された画像データD3は、処理部4の判定部6に入力される。
【0030】
次に、ステップSP13において、判定部6は、画像データD3に基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。判定のためのアルゴリズムとしては、人物の頭頂部を特定することによって人物の数を検出することが可能な、任意のアルゴリズムを採用することができる。例えば、人物が映り込んでいない状態での画像データD3の背景画像を予め撮影しておき、当該背景画像と、現時点での撮影によって得られた画像データD3との差分をとって、差分画像を作成する。次に、差分画像に対して二値化処理を行った後、差分画像の各行及び各列ごとに輝度値を積分することにより、差分画像の横方向及び縦方向に関する輝度分布をそれぞれ作成する。そして、各輝度分布におけるピークの数が一であるか複数であるかによって、現時点での撮影によって得られた画像データD3内に含まれる人物が一であるか複数であるかを判定する。
【0031】
次にステップSP14において、判定部6は、画像データD3内に含まれる人物が複数である場合は、許可者20のほかに不正侵入者(非許可者21)が存在していると判定する。この場合はステップSP16に進み、図示しない警報装置によって所定の警報が発せられる。一方、画像データD3内に含まれる人物が一である場合は、判定部6は、不正侵入者が存在していないと判定する。この場合はステップSP15に進み、警報装置による警報は行われない。なお、以上の説明では、不正侵入者の有無によって警報を発するか否かを制御したが、以下のような制御を行うことも可能である。例えば、不正侵入者が存在していない場合は、画像記録部3において画像データD2を静止画として記録し、一方、不正侵入者が存在している場合は、動画として記録する。または、画像記録部3は画像データD2を動画として記録し、不正侵入者が存在している場合は、存在していない場合に比べて、記録時間を延長するか、単位時間あたりに記録するフレーム数を増やすか、若しくは、画像の圧縮率を下げて画質を向上させる。
【0032】
このように本実施の形態に係る通行監視システムによれば、図2,4に示したように、出入口の近傍領域を第1方向(矢印V1)からカメラ1によって撮影するとともに、カメラ1の撮影方向とは異なる第2方向(矢印V2)から出入口の近傍領域が映るように、鏡11が配置されている。そして、図3に示した処理部4は、撮影映像(画像データD2)内の鏡11に映し出された映像(画像データD3)に基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。従って、複数の監視カメラを用いることなく、1台の監視カメラのみを用いて、当該監視カメラの死角を解消することができる。その結果、立入制限エリアへの非許可者の不正侵入を確実に監視することが可能となる。
【0033】
<変形例1>
図7は、本実施の形態に係る通行監視システムの変形例を示す斜視図である。以上の説明では、図1,2に示したように出入口の近傍領域の上方に鏡11を設置したが、図7に示すように、鏡11の代わりに(あるいは鏡11に加えて)、出入口の近傍領域の側方に鏡30を設置しても良い。鏡30は、カメラ1の撮影画角(図7の破線参照)内に含まれるように配置されている。カメラ1の設置位置から眺めた場合、鏡30には、側方から眺めた出入口の近傍領域の景色が映る。
【0034】
図8は、許可者20の後を追って非許可者21が出入口を通行しようとしている状況において、カメラ1によって撮像された画像データD2の一部を抜き出して示す図である。図7に示したように鏡30はカメラ1の撮影画角内に含まれているため、図8を参照して、画像データD2の一部である画像データD3内に、鏡30が含まれている。そして、画像データD3内の鏡30には、側方から眺めた出入口の近傍領域の様子が映っている。図8に示すように、非許可者21は、許可者20の死角とならずに、画像データD3内に明確に現れている。
【0035】
処理部4における処理内容は、基本的には上記と同様である。処理部4の抽出部5は、画像処理部2から画像データD2を入力し、画像データD2から画像データD3を抽出する。抽出された画像データD3は処理部4の判定部6に入力され、判定部6は、画像データD3に基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。判定のためのアルゴリズムとしては、人物の顔を特定することによって人物の数を検出することが可能な、任意のアルゴリズムを採用することができる。例えば、人物が映り込んでいない状態での画像データD3の背景画像を予め撮影しておき、当該背景画像と、現時点での撮影によって得られた画像データD3との差分をとって、差分画像を作成する。次に、差分画像に対して肌色抽出処理を行って顔探索範囲を絞り込んだ後、人物の横顔のテンプレートを用いたテンプレートマッチング処理によって、画像データD3内で人物の顔を特定する。そして、判定部6は、特定された人物の顔の数が一であるか複数であるかによって、現時点での撮影によって得られた画像データD3内に含まれる人物が一であるか複数であるかを判定する。その後の動作は上記と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0036】
<変形例2>
図9及び図10はそれぞれ、本実施の形態に係る通行監視システムの変形例を示す上面図及び側面図である。以上の説明では、図1,2,7に示したようにドア10の上方の壁にカメラ1を設置したが、図9,10に示すように、カードリーダ40の装置本体にカメラ1を搭載しても良い。図10の破線で示すように、カメラ1の撮影画角内には鏡11が含まれている。処理部4における処理内容は上記と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0037】
<変形例3>
図11は、図5に示した画像データD2から抽出した画像データD3の一例を示す図である。画像内の円又は楕円を検出することで人物の頭頂部を特定するというアルゴリズムが採用されている場合、図11に示すように二人の人物50,51が非常に近接している状況では、二つの頭頂部を包含する楕円Lが一つの頭頂部として検出されてしまい、画像データD3内に含まれる人物が一人であると誤って検出される可能性がある。
【0038】
図12は、図2,4の矢印V1で示した第1方向から人物50,51を撮影することで得られた画像データD4を示す図である。つまり、画像データD4は、図5に示した画像データD2のうち、画像データD3以外の部分に相当する。図12を参照すると、画像データD4内には、人物50,51の各々の顔が明確に区別可能な状態で現れている。そのため、画像データD4に対して人物の顔を特定するアルゴリズムを適用することにより、画像データD4内に含まれる人物が複数であると正確に検出することが可能である。
【0039】
図13は、図3に対応させて、信号処理部の構成の変形例を示すブロック図である。また、図14は、図13に示した処理部4の動作を説明するためのフローチャートである。以下、図11〜14を参照して、図13に示した処理部4における処理内容について詳細に説明する。
【0040】
まず、ステップSP21において、処理部4の抽出部5は、画像処理部2から画像データD2を入力する。
【0041】
次に、ステップSP22において、抽出部5は、画像データD2から、画像データD3(図11参照)及び画像データD4(図12参照)を抽出する。抽出部5によって抽出された画像データD3,D4は、処理部4の判定部6に入力される。
【0042】
次に、ステップSP23において、判定部6は、画像データD3に基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。判定のためのアルゴリズムとしては、上記の実施の形態と同様に、人物の頭頂部を特定することによって人物の数を検出することが可能な、任意のアルゴリズムを採用することができる。
【0043】
次にステップSP24において、判定部6は、画像データD3内に含まれる人物が複数である場合は、不正侵入者が存在していると判定する。この場合はステップSP28に進み、図示しない警報装置によって所定の警報が発せられる。
【0044】
一方、画像データD3内に含まれる人物が一であると判定された場合は、ステップSP25に進み、判定部6は、画像データD4に基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。判定のためのアルゴリズムとしては、人物の顔を特定することによって人物の数を検出することが可能な、任意のアルゴリズムを採用することができる。例えば、人物が映り込んでいない状態での画像データD4の背景画像を予め撮影しておき、当該背景画像と、現時点での撮影によって得られた画像データD4との差分をとって、差分画像を作成する。次に、差分画像に対して肌色抽出処理を行って顔探索範囲を絞り込んだ後、人物の正面の顔のテンプレートを用いたテンプレートマッチング処理によって、画像データD4内で人物の顔を特定する。そして、判定部6は、特定された人物の顔の数が一であるか複数であるかによって、現時点での撮影によって得られた画像データD4内に含まれる人物が一であるか複数であるかを判定する。
【0045】
次にステップSP26において、判定部6は、画像データD4内に含まれる人物が複数である場合は、不正侵入者が存在していると判定する。この場合はステップSP28に進み、図示しない警報装置によって所定の警報が発せられる。
【0046】
一方、画像データD4内に含まれる人物が一である場合は、判定部6は、不正侵入者が存在していないと判定する。この場合はステップSP27に進み、警報装置による警報は行われない。
【0047】
当該変形例3に係る通行監視システムによれば、処理部4は、第2方向(矢印V2)から眺めた出入口の近傍領域の映像が鏡11に映し出された映像(画像データD3)と、出入口の近傍領域を第1方向(矢印V1)から撮影した映像(画像データD4)とに基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。つまり、出入口の近傍領域を複数の方向から眺めた複数の映像を用いて、通行人の単複判定が実行される。その結果、画像データD3及び画像データD4の一方のみを用いる場合と比較すると、判定の精度を高めることが可能となる。
【0048】
しかも、画像データD3に関しては、人物の頭頂部を特定するためのアルゴリズムを用いて、通行人の単複判定が行われる一方で、画像データD4に関しては、人物の顔を特定するためのアルゴリズムを用いて、通行人の単複判定が行われる。つまり、当該変形例3に係る通行監視システムによれば、画像データD3と画像データD4とで異なる種類のアルゴリズムを用いて、通行人の単複判定を実行することができる。その結果、同一種類のアルゴリズムを用いる場合と比較すると、判定の精度を高めることが可能となる。
【0049】
ここで、当該変形例3においても、出入口の近傍領域を上方から映す鏡11の代わりに、側方から映す鏡30を設置することができる。この場合、画像データD3に関しても、画像データD4と同様に、人物の顔を特定するためのアルゴリズムを用いて通行人の単複判定が行われることとなる。このように画像データD3と画像データD4とで同一種類のアルゴリズムを用いて通行人の単複判定を行うことにより、アルゴリズムの統一化が図られ、処理の簡略化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 カメラ
4 処理部
5 抽出部
6 判定部
10 ドア
11,30 鏡
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行監視システムに関し、特に、立入制限エリア内への不正侵入を監視するための通行監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立入制限エリア内への不正侵入を監視するために、立入制限エリアへの出入口の近傍領域を監視カメラによって撮影するとともに、撮影された映像をハードディスク等に記録するシステムが存在する。
【0003】
なお、下記特許文献1,2には、カメラを用いて入室管理を行う監視システムの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−209728号公報
【特許文献2】特開2006−243972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
立入制限エリアへの出入口の近傍領域を監視カメラによって撮影する監視システムにおいては、入室者の容姿(特に顔)を明確に視認及び記録すべく、入室者の顔の位置が撮影画角の中心となるような構図で、監視カメラが設置されていることが多い。
【0006】
図15は、監視カメラの設置例を示す側面図である。図15において、出入口のドア110よりも右方が、立入制限エリアである。監視カメラ101はドア110の上方の壁に固定されており、この例の場合、監視カメラ101の光軸中心LCが斜め下方向を向く構図で、監視カメラ101が設置されている。
【0007】
ところが、このような監視システムにおいては、立入制限エリアへの入室を予め許可されている者(以下「許可者」と称す)の後を追って、入室を許可されていない者(以下「非許可者」と称す)が不正に侵入しようとした場合(いわゆる「後追い」)であっても、許可者によって生じる監視カメラの死角に非許可者が入り込むと、非許可者を監視カメラによって撮影することができないという問題がある。
【0008】
また、死角を解消すべく複数の監視カメラによって複数方向から出入口の近傍領域を撮影したのでは、コストが上昇するとともに、複数の監視カメラ同士で同期をとるための通信制御等が必要となって処理が複雑化するという問題がある。
【0009】
本発明はこれらの問題を解決するために成されたものであり、複数の監視カメラを用いることなく監視カメラの死角を解消することにより、立入制限エリアへの非許可者の不正侵入を確実に監視し得る通行監視システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係る通行監視システムは、所定の出入口の近傍領域を第1方向から撮影するカメラと、前記カメラの画角内において、前記第1方向とは異なる第2方向から前記出入口の近傍領域が映るように配置された鏡と、前記カメラによって撮影された映像内の前記鏡に映し出された第1映像と、前記カメラによって前記第1方向から前記出入口の近傍領域を撮影した第2映像とに基づいて、前記出入口を通行する人物が一か複数かを判定する処理部とを備え、前記処理部は、前記第1映像に基づき第1のアルゴリズムを用いて人物の単複判定を行い、前記第2映像に基づき前記第1のアルゴリズムとは異なる第2のアルゴリズムを用いて人物の単複判定を行うことを特徴とする。
【0011】
第2の発明に係る通行監視システムは、第1の発明に係る通行監視システムにおいて特に、前記第2方向は、前記出入口の近傍領域の上方であることを特徴とする。
【0012】
第3の発明に係る通行監視システムは、第1の発明に係る通行監視システムにおいて特に、前記第2方向は、前記出入口の近傍領域の側方であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明に係る通行監視システムによれば、出入口の近傍領域を第1方向からカメラによって撮影するとともに、カメラの撮影方向とは異なる第2方向から出入口の近傍領域が映るように、鏡が配置されている。そして、処理部は、撮影映像内の鏡に映し出された第1映像に基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。従って、複数の監視カメラを用いることなく、1台の監視カメラのみを用いて、当該監視カメラの死角を解消することができる。その結果、立入制限エリアへの非許可者の不正侵入を確実に監視することが可能となる。
【0014】
また、第1の発明に係る通行監視システムによれば、処理部は、第2方向から眺めた出入口の近傍領域の映像が鏡に映し出された第1映像と、出入口の近傍領域を第1方向から撮影した第2映像とに基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。つまり、出入口の近傍領域を複数の方向から眺めた複数の映像を用いて、通行人の単複判定を実行することができる。その結果、第1映像及び第2映像の一方のみを用いる場合と比較すると、判定の精度を高めることが可能となる。
【0015】
第2の発明に係る通行監視システムによれば、出入口の近傍領域の上方に鏡が配置されているため、第1映像には通行人の頭頂部が映し出されている。従って、第1映像に関しては、人物の頭頂部を特定するためのアルゴリズムを用いて、通行人が一か複数かを判定することができる。一方、カメラによって第1方向から出入口の近傍領域を撮影した映像(第2映像)に関しては、人物の顔を特定するためのアルゴリズムを用いて、通行人が一か複数かを判定することができる。つまり、第2の発明に係る通行監視システムによれば、第1映像と第2映像とで異なる種類のアルゴリズムを用いて、通行人の単複判定を実行することができる。その結果、判定の精度を高めることが可能となる。
【0016】
第3の発明に係る通行監視システムによれば、出入口の近傍領域の側方に鏡が配置されているため、第1映像には通行人の顔が映し出されている。従って、第1映像に関しては、人物の顔を特定するためのアルゴリズムを用いて、通行人が一か複数かを判定することができる。同様に、カメラによって第1方向から出入口の近傍領域を撮影した映像(第2映像)に関しては、人物の顔を特定するためのアルゴリズムを用いて、通行人が一か複数かを判定することができる。つまり、第3の発明に係る通行監視システムによれば、第1映像と第2映像とで同一のアルゴリズムを用いて、通行人の単複判定を実行することができる。その結果、アルゴリズムを統一することで処理の簡略化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る通行監視システムが導入された環境を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る通行監視システムが導入された環境を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る通行監視システムにおける信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】許可者の後を追って非許可者が出入口を通行しようとしている状況を示す側面図である。
【図5】図4に対応させて、カメラによって撮像された画像データの一部を抜き出して示す図である。
【図6】図3に示した処理部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係る通行監視システムの変形例を示す斜視図である。
【図8】カメラによって撮像された画像データの一部を抜き出して示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る通行監視システムの変形例を示す上面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る通行監視システムの変形例を示す側面図である。
【図11】図5に示した画像データから抽出した画像データの一例を示す図である。
【図12】第1方向から人物を撮影することで得られた画像データを示す図である。
【図13】図3に対応させて、信号処理部の構成の変形例を示すブロック図である。
【図14】図13に示した処理部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】監視カメラの設置例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0019】
図1及び図2はそれぞれ、本発明の実施の形態に係る通行監視システムが導入された環境を示す正面図及び側面図である。本実施の形態に係る通行監視システムは、立入制限エリア(つまり、入室を許可された者以外の者の立ち入りが禁止されているエリア)への出入口を通行する人物を監視するためのシステムである。図1,2を参照して、立入制限エリアの出入口にはドア10が設けられている。図1においては、ドア10よりも奥側が立入制限エリアである。また、図2においては、ドア10よりも右側が立入制限エリアである。
【0020】
ドア10の上方の壁には、動画撮影が可能なカメラ1が設置されている。図2を参照して、カメラ1は、出入口の近傍領域(具体的には、立入制限エリアではない非制限エリアにおける、出入口の近傍領域)を、矢印V1で示す第1方向から撮影している。また、鏡11が、天井の所定の箇所に所定の角度で固定されている。鏡11は、カメラ1の撮影画角(図2の破線参照)内に含まれるように配置されている。カメラ1の設置位置から眺めた場合、鏡11には、矢印V2で示す第2方向から眺めた出入口の近傍領域の景色が映る。ここで、第2方向は、上方(真上又は斜め上方)である。
【0021】
図3は、本実施の形態に係る通行監視システムにおける信号処理部の構成を示すブロック図である。カメラ1の後段に、画像処理部2が接続されている。また、画像処理部2の後段に、画像記録部3及び処理部4が接続されている。画像処理部2及び処理部4は、カメラ1に内蔵されていても良い。あるいは、画像処理部2及び処理部4は、画像記録部3と同一装置内で構成されていても良い。
【0022】
カメラ1によって撮像された出入口の近傍領域の画像(画像データD1)は、画像処理部2に入力される。画像処理部2は、画像データD1に対してガンマ補正やホワイトバランス調整等の一般的な画像処理を行い、画像データD2を出力する。画像データD2は、画像記録部3に入力され、ハードディスクやメモリカード等の任意の記録媒体に記録される。
【0023】
また、画像データD2は、処理部4に入力される。処理部4は、抽出部5と判定部6とを有しており、画像データD2に基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。処理部4における処理内容の詳細については後述する。
【0024】
図4は、許可者20の後を追って非許可者21が出入口を通行しようとしている状況を示す側面図である。図4には示されていないが、許可者20には予めカードキーが付与されており、そのカードキーを、ドア10の近傍に設置されたカードリーダ(図示しない)で読み取ることによって、ドア10の施錠が解除されて許可者20が出入口を通行可能な状態となる。
【0025】
図5は、図4に対応させて、カメラ1によって撮像された画像データD2の一部を抜き出して示す図である。矢印V1で示す第1方向からの撮影によって、許可者20の顔は画像データD2内に明確に現れている。その一方、第1方向からの撮影では、許可者20によって生じるカメラ1の死角となって、非許可者21は画像データD2内には明確には現れていない。
【0026】
ところで、図2,4に示したように鏡11はカメラ1の撮影画角内に含まれているため、図5を参照して、画像データD2の一部である画像データD3内に、鏡11が含まれている。そして、画像データD3内の鏡11には、図2,4で矢印V2で示した第2方向から眺めた出入口の近傍領域の様子が映っている。第2方向は出入口の近傍領域の上方であるため、図5に示すように、非許可者21は、許可者20の死角とならずに、画像データD3内に明確に現れている。
【0027】
図6は、図3に示した処理部4の動作を説明するためのフローチャートである。以下、図3〜6を参照して、処理部4における処理内容について詳細に説明する。
【0028】
まず、ステップSP11において、図3に示した処理部4の抽出部5は、画像処理部2から画像データD2(図5参照)を入力する。
【0029】
次に、ステップSP12において、抽出部5は、画像データD2から画像データD3を抽出する。画像データD2内における画像データD3の位置は、カメラ1及び鏡11を設置した後の初期設定時に、座標を用いた範囲指定等の方法によって、予め抽出部5に教示されている。抽出部5によって抽出された画像データD3は、処理部4の判定部6に入力される。
【0030】
次に、ステップSP13において、判定部6は、画像データD3に基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。判定のためのアルゴリズムとしては、人物の頭頂部を特定することによって人物の数を検出することが可能な、任意のアルゴリズムを採用することができる。例えば、人物が映り込んでいない状態での画像データD3の背景画像を予め撮影しておき、当該背景画像と、現時点での撮影によって得られた画像データD3との差分をとって、差分画像を作成する。次に、差分画像に対して二値化処理を行った後、差分画像の各行及び各列ごとに輝度値を積分することにより、差分画像の横方向及び縦方向に関する輝度分布をそれぞれ作成する。そして、各輝度分布におけるピークの数が一であるか複数であるかによって、現時点での撮影によって得られた画像データD3内に含まれる人物が一であるか複数であるかを判定する。
【0031】
次にステップSP14において、判定部6は、画像データD3内に含まれる人物が複数である場合は、許可者20のほかに不正侵入者(非許可者21)が存在していると判定する。この場合はステップSP16に進み、図示しない警報装置によって所定の警報が発せられる。一方、画像データD3内に含まれる人物が一である場合は、判定部6は、不正侵入者が存在していないと判定する。この場合はステップSP15に進み、警報装置による警報は行われない。なお、以上の説明では、不正侵入者の有無によって警報を発するか否かを制御したが、以下のような制御を行うことも可能である。例えば、不正侵入者が存在していない場合は、画像記録部3において画像データD2を静止画として記録し、一方、不正侵入者が存在している場合は、動画として記録する。または、画像記録部3は画像データD2を動画として記録し、不正侵入者が存在している場合は、存在していない場合に比べて、記録時間を延長するか、単位時間あたりに記録するフレーム数を増やすか、若しくは、画像の圧縮率を下げて画質を向上させる。
【0032】
このように本実施の形態に係る通行監視システムによれば、図2,4に示したように、出入口の近傍領域を第1方向(矢印V1)からカメラ1によって撮影するとともに、カメラ1の撮影方向とは異なる第2方向(矢印V2)から出入口の近傍領域が映るように、鏡11が配置されている。そして、図3に示した処理部4は、撮影映像(画像データD2)内の鏡11に映し出された映像(画像データD3)に基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。従って、複数の監視カメラを用いることなく、1台の監視カメラのみを用いて、当該監視カメラの死角を解消することができる。その結果、立入制限エリアへの非許可者の不正侵入を確実に監視することが可能となる。
【0033】
<変形例1>
図7は、本実施の形態に係る通行監視システムの変形例を示す斜視図である。以上の説明では、図1,2に示したように出入口の近傍領域の上方に鏡11を設置したが、図7に示すように、鏡11の代わりに(あるいは鏡11に加えて)、出入口の近傍領域の側方に鏡30を設置しても良い。鏡30は、カメラ1の撮影画角(図7の破線参照)内に含まれるように配置されている。カメラ1の設置位置から眺めた場合、鏡30には、側方から眺めた出入口の近傍領域の景色が映る。
【0034】
図8は、許可者20の後を追って非許可者21が出入口を通行しようとしている状況において、カメラ1によって撮像された画像データD2の一部を抜き出して示す図である。図7に示したように鏡30はカメラ1の撮影画角内に含まれているため、図8を参照して、画像データD2の一部である画像データD3内に、鏡30が含まれている。そして、画像データD3内の鏡30には、側方から眺めた出入口の近傍領域の様子が映っている。図8に示すように、非許可者21は、許可者20の死角とならずに、画像データD3内に明確に現れている。
【0035】
処理部4における処理内容は、基本的には上記と同様である。処理部4の抽出部5は、画像処理部2から画像データD2を入力し、画像データD2から画像データD3を抽出する。抽出された画像データD3は処理部4の判定部6に入力され、判定部6は、画像データD3に基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。判定のためのアルゴリズムとしては、人物の顔を特定することによって人物の数を検出することが可能な、任意のアルゴリズムを採用することができる。例えば、人物が映り込んでいない状態での画像データD3の背景画像を予め撮影しておき、当該背景画像と、現時点での撮影によって得られた画像データD3との差分をとって、差分画像を作成する。次に、差分画像に対して肌色抽出処理を行って顔探索範囲を絞り込んだ後、人物の横顔のテンプレートを用いたテンプレートマッチング処理によって、画像データD3内で人物の顔を特定する。そして、判定部6は、特定された人物の顔の数が一であるか複数であるかによって、現時点での撮影によって得られた画像データD3内に含まれる人物が一であるか複数であるかを判定する。その後の動作は上記と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0036】
<変形例2>
図9及び図10はそれぞれ、本実施の形態に係る通行監視システムの変形例を示す上面図及び側面図である。以上の説明では、図1,2,7に示したようにドア10の上方の壁にカメラ1を設置したが、図9,10に示すように、カードリーダ40の装置本体にカメラ1を搭載しても良い。図10の破線で示すように、カメラ1の撮影画角内には鏡11が含まれている。処理部4における処理内容は上記と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0037】
<変形例3>
図11は、図5に示した画像データD2から抽出した画像データD3の一例を示す図である。画像内の円又は楕円を検出することで人物の頭頂部を特定するというアルゴリズムが採用されている場合、図11に示すように二人の人物50,51が非常に近接している状況では、二つの頭頂部を包含する楕円Lが一つの頭頂部として検出されてしまい、画像データD3内に含まれる人物が一人であると誤って検出される可能性がある。
【0038】
図12は、図2,4の矢印V1で示した第1方向から人物50,51を撮影することで得られた画像データD4を示す図である。つまり、画像データD4は、図5に示した画像データD2のうち、画像データD3以外の部分に相当する。図12を参照すると、画像データD4内には、人物50,51の各々の顔が明確に区別可能な状態で現れている。そのため、画像データD4に対して人物の顔を特定するアルゴリズムを適用することにより、画像データD4内に含まれる人物が複数であると正確に検出することが可能である。
【0039】
図13は、図3に対応させて、信号処理部の構成の変形例を示すブロック図である。また、図14は、図13に示した処理部4の動作を説明するためのフローチャートである。以下、図11〜14を参照して、図13に示した処理部4における処理内容について詳細に説明する。
【0040】
まず、ステップSP21において、処理部4の抽出部5は、画像処理部2から画像データD2を入力する。
【0041】
次に、ステップSP22において、抽出部5は、画像データD2から、画像データD3(図11参照)及び画像データD4(図12参照)を抽出する。抽出部5によって抽出された画像データD3,D4は、処理部4の判定部6に入力される。
【0042】
次に、ステップSP23において、判定部6は、画像データD3に基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。判定のためのアルゴリズムとしては、上記の実施の形態と同様に、人物の頭頂部を特定することによって人物の数を検出することが可能な、任意のアルゴリズムを採用することができる。
【0043】
次にステップSP24において、判定部6は、画像データD3内に含まれる人物が複数である場合は、不正侵入者が存在していると判定する。この場合はステップSP28に進み、図示しない警報装置によって所定の警報が発せられる。
【0044】
一方、画像データD3内に含まれる人物が一であると判定された場合は、ステップSP25に進み、判定部6は、画像データD4に基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。判定のためのアルゴリズムとしては、人物の顔を特定することによって人物の数を検出することが可能な、任意のアルゴリズムを採用することができる。例えば、人物が映り込んでいない状態での画像データD4の背景画像を予め撮影しておき、当該背景画像と、現時点での撮影によって得られた画像データD4との差分をとって、差分画像を作成する。次に、差分画像に対して肌色抽出処理を行って顔探索範囲を絞り込んだ後、人物の正面の顔のテンプレートを用いたテンプレートマッチング処理によって、画像データD4内で人物の顔を特定する。そして、判定部6は、特定された人物の顔の数が一であるか複数であるかによって、現時点での撮影によって得られた画像データD4内に含まれる人物が一であるか複数であるかを判定する。
【0045】
次にステップSP26において、判定部6は、画像データD4内に含まれる人物が複数である場合は、不正侵入者が存在していると判定する。この場合はステップSP28に進み、図示しない警報装置によって所定の警報が発せられる。
【0046】
一方、画像データD4内に含まれる人物が一である場合は、判定部6は、不正侵入者が存在していないと判定する。この場合はステップSP27に進み、警報装置による警報は行われない。
【0047】
当該変形例3に係る通行監視システムによれば、処理部4は、第2方向(矢印V2)から眺めた出入口の近傍領域の映像が鏡11に映し出された映像(画像データD3)と、出入口の近傍領域を第1方向(矢印V1)から撮影した映像(画像データD4)とに基づいて、出入口を通行する人物が一か複数かを判定する。つまり、出入口の近傍領域を複数の方向から眺めた複数の映像を用いて、通行人の単複判定が実行される。その結果、画像データD3及び画像データD4の一方のみを用いる場合と比較すると、判定の精度を高めることが可能となる。
【0048】
しかも、画像データD3に関しては、人物の頭頂部を特定するためのアルゴリズムを用いて、通行人の単複判定が行われる一方で、画像データD4に関しては、人物の顔を特定するためのアルゴリズムを用いて、通行人の単複判定が行われる。つまり、当該変形例3に係る通行監視システムによれば、画像データD3と画像データD4とで異なる種類のアルゴリズムを用いて、通行人の単複判定を実行することができる。その結果、同一種類のアルゴリズムを用いる場合と比較すると、判定の精度を高めることが可能となる。
【0049】
ここで、当該変形例3においても、出入口の近傍領域を上方から映す鏡11の代わりに、側方から映す鏡30を設置することができる。この場合、画像データD3に関しても、画像データD4と同様に、人物の顔を特定するためのアルゴリズムを用いて通行人の単複判定が行われることとなる。このように画像データD3と画像データD4とで同一種類のアルゴリズムを用いて通行人の単複判定を行うことにより、アルゴリズムの統一化が図られ、処理の簡略化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 カメラ
4 処理部
5 抽出部
6 判定部
10 ドア
11,30 鏡
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の出入口の近傍領域を第1方向から撮影するカメラと、
前記カメラの画角内において、前記第1方向とは異なる第2方向から前記出入口の近傍領域が映るように配置された鏡と、
前記カメラによって撮影された映像内の前記鏡に映し出された第1映像と、前記カメラによって前記第1方向から前記出入口の近傍領域を撮影した第2映像とに基づいて、前記出入口を通行する人物が一か複数かを判定する処理部と
を備え、
前記処理部は、前記第1映像に基づき第1のアルゴリズムを用いて人物の単複判定を行い、前記第2映像に基づき前記第1のアルゴリズムとは異なる第2のアルゴリズムを用いて人物の単複判定を行う、通行監視システム。
【請求項2】
前記第2方向は、前記出入口の近傍領域の上方である、請求項1に記載の通行監視システム。
【請求項3】
前記第2方向は、前記出入口の近傍領域の側方である、請求項1に記載の通行監視システム。
【請求項1】
所定の出入口の近傍領域を第1方向から撮影するカメラと、
前記カメラの画角内において、前記第1方向とは異なる第2方向から前記出入口の近傍領域が映るように配置された鏡と、
前記カメラによって撮影された映像内の前記鏡に映し出された第1映像と、前記カメラによって前記第1方向から前記出入口の近傍領域を撮影した第2映像とに基づいて、前記出入口を通行する人物が一か複数かを判定する処理部と
を備え、
前記処理部は、前記第1映像に基づき第1のアルゴリズムを用いて人物の単複判定を行い、前記第2映像に基づき前記第1のアルゴリズムとは異なる第2のアルゴリズムを用いて人物の単複判定を行う、通行監視システム。
【請求項2】
前記第2方向は、前記出入口の近傍領域の上方である、請求項1に記載の通行監視システム。
【請求項3】
前記第2方向は、前記出入口の近傍領域の側方である、請求項1に記載の通行監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−235482(P2012−235482A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−141482(P2012−141482)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【分割の表示】特願2007−14046(P2007−14046)の分割
【原出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【分割の表示】特願2007−14046(P2007−14046)の分割
【原出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]