通行管理システム
【課題】通行者が検出エリアに接近したことを適切に把握することができ、通行者が所持する認証対象媒体の認証を良好に行うことができる通行管理システムを提供する。
【解決手段】通行管理システム1は、人感センサ30(通行者検出手段)と、人感センサ30によって通行者Pが検出された場合にキャリアを出力するキャリア出力手段と、通行者Pに所持される無線タグ40とを備えている。また、無線タグ40から出力されるコマンドを受信する受信手段と、無線タグに記録された固有IDを読み取る無線タグ読取手段と、その読み取られた固有IDが、出入口3の通過が許可される許可IDか否かを判別するID判別手段と、固有IDが許可IDと判断された場合に、出入口3を解錠状態に切り替える施錠手段とが設けられている。更に、キャリア出力手段は、人感センサ30が通行者Pを検出している期間中、キャリアの出力を継続するように構成されている。
【解決手段】通行管理システム1は、人感センサ30(通行者検出手段)と、人感センサ30によって通行者Pが検出された場合にキャリアを出力するキャリア出力手段と、通行者Pに所持される無線タグ40とを備えている。また、無線タグ40から出力されるコマンドを受信する受信手段と、無線タグに記録された固有IDを読み取る無線タグ読取手段と、その読み取られた固有IDが、出入口3の通過が許可される許可IDか否かを判別するID判別手段と、固有IDが許可IDと判断された場合に、出入口3を解錠状態に切り替える施錠手段とが設けられている。更に、キャリア出力手段は、人感センサ30が通行者Pを検出している期間中、キャリアの出力を継続するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、特定の者の入室を許可する入室管理システムが提供されている。この種のシステムでは、例えば入室対象者に対して無線タグを備えた媒体を所持させることを前提とし、部屋の出入口付近にこの無線タグを読み取り可能な無線タグリーダを設置している。そして、出入口付近に人が接近したときに、その接近者が所持する無線タグを無線タグリーダによって読み取り、正規の無線タグ(例えば許可されたIDを備えた無線タグ)である場合にその接近者を入出許可者として判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−40828公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような入室管理システムでは、正規の通行者が検出エリア内に進入したときにその進入を適切に把握し、且つ検出エリア内に存在する通行者(具体的には通行者が所持する無線タグ等の認証対象媒体)を読みこぼしなく適切に認証することが求められる。そして、そのためには、通行者が読み取るべき検出エリア(即ち出入口付近)に接近し当該検出エリアに存在することを適切に把握し且つ適切に対処することが求められる。
【0005】
例えば、入室対象者に無線タグを所持させることを前提とした通行管理システムの場合、通行者の無線タグを読み取る方法としては、通行者を検知した後、一定期間電波を送信して読み取りを行うといった方法が考えられる。このような方法を用いると、通行者が検出エリアに存在しない時間帯には電波を出力しなくて済み、通行者が検出された直後の一定期間のみ電波を出力すればよいので省電力化を効果的に図ることができる。しかしながら、このような通信方法を用いる場合、通行者の通行タイミングや進入者数、或いは無線タグの保持方法などを理由として読み取りや入退室処理が適切に行われないことがあり得る。例えば、正規の無線タグを所持していても、通信不良等により、検出エリア内への進入後の一定期間(電波出力期間)内に認証が行われない場合があり、このような場合、検出エリア内で待機していてもすぐに認証を行えないといった事態が生じ得る。また、このように入室対象者に無線タグを所持させる例に限らず、他の例においても、通行者が検出エリアに接近したことを適切に把握すること、及び通行者が所持する認証対象媒体の認証を良好に行うことが求められている。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、通行者が検出エリアに接近したことを適切に把握することができ、通行者が所持する認証対象媒体の認証を良好に行うことができる通行管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、出入口の通行を管理する通行管理システムであって、監視範囲に存在する通行者を検出する通行者検出手段と、前記通行者検出手段によって前記通行者が検出された場合に、アンテナを介してキャリアを出力するキャリア出力手段と、前記通行者に所持されると共に、前記キャリア出力手段から前記キャリアを受信したときにコマンドを出力する無線タグと、前記無線タグから出力される前記コマンドを受信する受信手段と、
前記受信手段により前記コマンドが受信された場合に、前記無線タグに記録された固有IDを読み取る無線タグ読取手段と、前記無線タグ読取手段によって読み取られた前記固有IDが、前記出入口の通過が許可される許可IDか否かを判別するID判別手段と、前記出入口を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、前記ID判別手段により前記固有IDが前記許可IDと判断された場合に、前記出入口を前記解錠状態に切り替える施錠手段と、を備え、前記キャリア出力手段が、前記通行者検出手段が前記通行者を検出している期間中、前記キャリアの出力を継続することを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の通行管理システムにおいて、前記受信手段による前記コマンドの読取可能領域内において複数の前記無線タグが存在する場合、少なくともいずれかの前記無線タグを所持する前記通行者が前記人感センサによって検出されている期間中、前記キャリアの出力を継続することを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の通行管理システムにおいて、前記受信手段による前記コマンドの読取可能領域が、前記通行者検出手段による前記通行者の前記監視範囲を含み、且つ当該監視範囲よりも広い領域とされていることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の通行管理システムにおいて、複数の前記アンテナが、前記出入口の幅方向において所定距離隔てて配置されており、前記幅方向において複数の前記アンテナの間の位置に前記通行者検出手段が設けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載の通行管理システムにおいて、前記通行者検出手段が、前記出入口の幅方向中央部に配置され、前記出入口の幅方向一端部側に一方の前記アンテナが配置され、前記出入口の幅方向他端部側に他方の前記アンテナが配置されており、一方の前記アンテナ及び他方の前記アンテナのいずれも、前記出入口の幅方向中央側且つ下方側を向いた形態で配置されていることを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の通行管理システムにおいて、更に、前記アンテナを駆動して当該アンテナの設置角度を変更する設置角度変更手段が設けられており、前記設置角度変更手段が、前記キャリア出力手段による前記キャリアの出力後に、前記アンテナの設置角度を変更することを特徴としている。
【0013】
請求項7の発明は、出入口の通行を管理する通行管理システムであって、監視範囲に存在する通行者を検出する通行者検出手段と、前記通行者検出手段によって前記通行者が検出された場合に、所定の読取可能領域において前記通行者が所持する情報コードの読み取りを開始する情報コード読取手段と、前記情報コード読取手段による前記情報コードの読取結果に基づいて、前記通行者検出手段によって検出された前記通行者が、前記出入口の通過が許可された者か否かを判断する判断手段と、前記出入口を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、前記判断手段により前記通行者が前記出入口の通過許可者と判断された場合に、前記出入口を前記解錠状態に切り替える施錠手段と、が設けられていることを特徴としている。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7に記載の通行管理システムにおいて、前記通行者検出手段が、レーザ光を発生するレーザ光発生手段を備えると共に、空間に前記レーザ光を投射して前記レーザ光の走査を行う走査手段と、前記走査手段によって走査される前記レーザ光が検出物体にて反射した反射光を検出する光検出手段と、前記レーザ光発生手段にて前記レーザ光が発生してから、当該レーザ光が前記光検出手段によって検出されるまでの時間を検出する時間検出手段と、前記時間検出手段によって検出される前記時間に基づいて、前記検出物体までの距離を算出する距離算出手段と、複数の時期における前記距離算出手段による前記距離の算出結果に基づいて、前記検出物体が前記通行者であるか否かを判別する通行者判別手段と、を備えたレーザレーダ装置からなることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項8に記載の通行管理システムにおいて、前記レーザレーダ装置が前記情報コード読取手段として兼用されることを特徴としている。
【0016】
請求項10の発明は、請求項8又は請求項9に記載の通行管理システムにおいて、更に、前記通行者判別手段によって前記検出物体が前記通行者であると判別された場合に、前記通行者の移動を追跡する追跡手段が設けられていることを特徴としている。
【0017】
請求項11の発明は、請求項10に記載の通行管理システムにおいて、前記追跡手段によって前記通行者を前記読取可能エリアまで追跡した後に、前記情報コード読取手段による前記情報コードの読み取りを開始することを特徴としている。
【0018】
請求項12の発明は、請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の通行管理システムにおいて、更に、前記通行者検出手段によって前記通行者が検出された後に、前記情報コード読取手段による前記情報コードの読み取りが失敗した場合又は一定期間の間に前記情報コード読取手段によって前記情報コードが読み取られなかった場合に報知を行う報知手段が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明では、監視範囲に存在する通行者を検出する通行者検出手段と、通行者検出手段によって通行者が検出された場合に、アンテナを介してキャリアを出力するキャリア出力手段と、通行者に所持されると共に、キャリア出力手段からキャリアを受信したときにコマンドを出力する無線タグと、無線タグから出力されるコマンドを受信する受信手段と、受信手段によりコマンドが受信された場合に、無線タグに記録された固有IDを読み取る無線タグ読取手段と、無線タグ読取手段によって読み取られた固有IDが、出入口の通過が許可される許可IDか否かを判別するID判別手段と、出入口を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、ID判別手段により固有IDが許可IDと判断された場合に、出入口を解錠状態に切り替える施錠手段とが設けられている。このようにすると、無線タグを所持する通行者が監視範囲に入ったことを検出してキャリアを出力できるため、適切な時期(通行者が監視範囲に入った時期)にキャリアの出力を開始して省電力化を図ることができる。そして、無線タグに記録された固有IDが許可IDであるか否かを判断し、許可IDである場合(即ち、通行者が正規の無線タグを所持している場合)に適切に解錠動作を行うことができる。更に、本発明では、通行者検出手段が通行者を検出している期間中、キャリアの出力を継続しているため、監視範囲に通行者が存在している間は無線タグの読み取りを持続することができ、キャリア出力の中止に起因する読みこぼしを効果的に低減できる。
【0020】
請求項2の発明では、受信手段によるコマンドの読取可能領域内において複数の無線タグが存在する場合、少なくともいずれかの無線タグを所持する通行者が人感センサによって検出されている期間中、キャリアの出力を継続している。このようにすると、複数の無線タグを読取可能な状況下においていずれかの無線タグの認証が終わったとしても、通行者が人感センサによって検出されている限りはキャリアの出力が維持されるため、認証が終了した無線タグ以外の無線タグも確実に認証できるようになる。
【0021】
請求項3の発明は、受信手段によるコマンドの読取可能領域が、通行者検出手段による通行者の監視範囲を含み、且つ当該監視範囲よりも広い領域とされている。このようにすると、通行者が検出されて無線タグの読み取りに移行した直後に無線タグが読取可能領域内で維持されやすく、通行者の検出直後に無線タグの読み取りを迅速に且つ良好に行うことができる。
【0022】
請求項4の発明は、複数のアンテナが、出入口の幅方向において所定距離隔てて配置されており、幅方向において複数のアンテナの間の位置に通行者検出手段が設けられている。このようにすると、通行者検出手段の幅方向外側をアンテナによってカバーし易くなり、通行者検出手段による通行者の検出後に無線タグが読取可能領域から幅方向に外れにくくなる。従って、例えば、通行者が幅方向に移動し得る環境等において無線タグの読み取りをより良好に行うことができる。
【0023】
請求項5の発明は、通行者検出手段が、出入口の幅方向中央部に配置され、出入口の幅方向一端部側に一方のアンテナが配置され、出入口の幅方向他端部側に他方のアンテナが配置されており、一方のアンテナ及び他方のアンテナのいずれも、出入口の幅方向中央側且つ下方側を向いた形態で配置されている。このようにすると、通行者検出手段が配置された出入口の幅方向中央部付近を両側のアンテナによって重点的にカバーすることができ、最も通行者が通りやすい幅方向中央部付近における検出漏れ(読みこぼし)を効果的に抑えることができる。
【0024】
請求項6の発明は、アンテナを駆動して当該アンテナの設置角度を変更する設置角度変更手段が設けられており、この設置角度変更手段は、キャリア出力手段によるキャリアの出力後に、アンテナの設置角度を変更するように構成されている。このようにすると、キャリア出力開始時にアンテナの角度が適切でなかったとしても、キャリアの出力後にアンテナが駆動されて適切な角度に設置されやすくなり、ひいては無線タグの読み取りが良好に行われやすくなる。
【0025】
請求項7の発明は、出入口の通行を管理する通行管理システムにおいて、監視範囲に存在する通行者を検出する通行者検出手段と、通行者検出手段によって通行者が検出された場合に、所定の読取可能領域において通行者が所持する情報コードの読み取りを開始する情報コード読取手段と、情報コード読取手段による情報コードの読取結果に基づいて、通行者検出手段によって検出された通行者が、出入口の通過が許可された者か否かを判断する判断手段と、出入口を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、判断手段により通行者が出入口の通過許可者と判断された場合に、出入口を解錠状態に切り替える施錠手段とが設けられている。
このようにすると、情報コードを所持する通行者が監視範囲に入ったことを検出して情報コードの読み取りを開始することができるため、適切な時期(通行者が監視範囲に入った時期)に読取処理を行うことができる。そして、情報コードの読取結果に基づき、通行者検出手段によって検出された通行者が、出入口の通過が許可された者か否かを判断し、通過許可者と判断された場合には適切に解錠動作を行うことができる。
【0026】
請求項8の発明では、レーザレーダ装置を通行者検出手段として用いており、このようにすると、広範囲・長距離での通行者の検出が可能となり、広い検出エリアで通行者を良好に検出できるようになる。
【0027】
請求項9の発明では、レーザレーダ装置が情報コード読取手段として兼用されているため、複数種類の機器を用意する必要がなく、装置構成を簡素化・コンパクト化し易くなる。
【0028】
請求項10の発明では、通行者判別手段によって検出物体が通行者であると判別された場合に、通行者の移動を追跡する追跡手段が設けられている。このようにすると、通行者の挙動を把握することができ、把握した挙動を後の処理に役立てることができる。
【0029】
請求項11の発明では、追跡手段によって通行者を読取可能エリアまで追跡した後に、情報コード読取手段による情報コードの読み取りを開始している。このようにすると、通行者が読取可能エリアに入ったか否かを確認した上で読み取りを行うことができるため、読取可能エリア外での無駄な読取処理を削減し易くなり、且つ通行者を正確に把握して読取処理を適切に開始することができる。
【0030】
請求項12の発明は、通行者検出手段によって通行者が検出された後に、情報コード読取手段による情報コードの読み取りが失敗した場合又は一定期間の間に情報コード読取手段によって情報コードが読み取られなかった場合に報知を行う報知手段が設けられている。このようにすると、読み取りが成功していないことを通行者或いは管理者に把握させることができ、その後の適切な対応につながりやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る通行管理システムを概略的に説明する説明図である。
【図2】図2は、第1実施形態の通行管理システムにおける通行口外側の構成を通行口外側正面側から見た説明図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る通行管理システムの電気的構成を例示するブロック図である。
【図4】図4(A)は、第1実施形態に係る通行管理システムにおいて無線タグリーダとして機能する部分の電気的構成を例示するブロック図である。図4(B)は、無線タグの電気的構成を例示するブロック図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係る通行管理システムで行われる認証処理の流れを例示するフローチャートである。
【図6】図6は、人感センサによる検出タイミングと、キャリア出力タイミングとの関係を説明するタイミングチャートである。
【図7】図7は、人感センサによる監視範囲と、通信可能エリアとの関係を説明する説明図である。
【図8】図8(A)は、通信エリア内に複数の無線タグが存在する場合の読み取り失敗例を説明する説明図であり、図8(B)は、通信エリア内に複数の無線タグが存在する場合の読み取り成功例を説明する説明図である。
【図9】図9は、本発明の第2実施形態に係る通行管理システムを概略的に説明する説明図である。
【図10】図10は、第2実施形態に係る通行管理システムで行われる認証処理の流れを例示するフローチャートである。
【図11】図11は、第3実施形態に係る通行管理システムを概略的に説明する説明図である。
【図12】図12は、図11の通行管理システムで用いられるレーザレーダ装置を概略的に説明する断面図である。
【図13】図13は、図11の通行管理システムで行われる検出処理の流れを例示するフローチャートである。
【図14】図14は、図12のレーザレーダ装置を上方側から見た場合の通行管理エリアと読取可能エリアとを説明する説明図である。
【図15】図15は、第3実施形態に係る通行管理システムで読み取られる情報コードが付された所持物(札)を概略的に説明する説明図である。
【図16】図16(A)は、図12のレーザレーダ装置でレーザ走査を行ったときの偏向部の角度と検出される距離値との関係を例示するグラフである。図16(B)は、読取可能範囲に存在する情報コードを走査したときの偏向部の角度と受光量との関係を例示するグラフである。
【図17】図17は、図11の通行管理システムで行われる追跡について概念的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[第1実施形態]
以下、本発明の通行管理システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る通行管理システムを概略的に説明する説明図である。図2は、第1実施形態の通行管理システムにおける通行口外側の構成を通行口外側正面側から見た説明図である。図3は、第1実施形態に係る通行管理システムの電気的構成を例示するブロック図である。図4(A)は、第1実施形態に係る通行管理システムにおいて無線タグリーダとして機能する部分の電気的構成を例示するブロック図である。図4(B)は、無線タグの電気的構成を例示するブロック図である。
【0033】
(通行管理システムの概要)
図1に示す通行管理システム1は、例えば部屋2内への人の入退室を管理する入退室管理システムとして構成されている。この通行管理システム1は、図1、図2に示すように、通行者Pに所持される無線タグ40と、出入口3の外側において出入口3の上方近傍に配置されるアンテナ22と、同じく出入口3の外側において出入口3の上方近傍に配置される人感センサ30と、アンテナ22及び人感センサ30と電気的に接続されるコントローラ9と、コントローラ9によって制御される電気錠7と、コントローラ9に通信可能に接続される管理装置50とを備えている。
【0034】
この通行管理システム1が設けられた部屋2は、出入口3が扉5により開閉されるように構成されており、この扉5は、例えばスライド式或いは回動式に構成されており、扉5と隣接する位置には電気錠7が設けられている。電気錠7は、例えば、通電することにより電気錠内部の電磁石が動作されて扉5の施解錠を行う電磁式電気錠などが用いられる。
【0035】
コントローラ9は、例えば、図3のように構成されており、制御回路10、通信部11、メモリ12、無線タグ通信部21などを備えている。本実施形態に係る通行管理システム1では、コントローラ9とアンテナ22とによって公知の無線タグリーダとして構成されている。
【0036】
制御回路10は、例えばマイクロコンピュータ等で構成されており、メモリ12に記憶された制御プログラムに従いコントローラ9全体を制御している。例えば、データ送信時には制御回路10から無線タグ通信部21の送信回路21a(図4(A))に対して無線タグ40に送信するべき送信データが出力されるようになっており、データ受信時には受信回路21b(図4(A))にて生成された受信データが制御回路10に入力されるようになっている。
【0037】
メモリ12は、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの公知の記憶媒体によって構成されており、コントローラ9で扱われる各種情報を記憶している。例えば、ROMには上述の制御プログラムなどが記憶されており、RAMや不揮発性メモリなどには通行者の進入履歴情報などが記憶可能とされている。また、通信部11は、例えば公知のLANインターフェースなどによって構成されており、コントローラ9と管理装置50との間で通信を行うためのインターフェースとして機能している。
【0038】
無線タグ通信部21は、図4(A)に示すように、送信回路21a、受信回路21bなどを備えている。送信回路21aは、例えば、キャリア発振器、符号化部、変調部、増幅器、などによって構成されており、キャリア発振器は、所定周波数のキャリア(搬送波)を出力しており、符号化部は、制御回路10に接続され、制御回路10より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)及び符号化部からの送信データが入力されるものであり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。また、増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を設定された増幅率で増幅しており、その増幅信号が送信信号としてアンテナ22に出力されるようになっている。
【0039】
また、アンテナ22には、受信回路21bの入力端子が接続されており、アンテナ22によって受信された電波信号(受信信号)は、受信回路21bに入力されるようになっている。受信回路21bは、例えば、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ22によって受信された受信信号を増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調している。更に、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化すると共に、復号化部にて復号化し、その復号化された信号を受信データとして制御回路10に出力している。
【0040】
無線タグ40は、ハードウェア的には公知のRFIDタグとして構成されている。この無線タグ40は、図4(B)に示すように、アンテナ41,電源回路42,復調回路43,制御回路44,メモリ45,変調回路46,負荷変調回路47などによって構成されている。尚、アンテナ41には、コンデンサ48が並列に接続されている。この無線タグ40は、無線タグ送信部21及びアンテナ22より送信された搬送波をアンテナ41を介して受信すると、電源回路42において搬送波を整流して動作用電源を生成し、マイクロコンピュータで構成される制御回路44及びその他の構成要素に供給している。
【0041】
また、無線タグ40では、搬送波に重畳されているアンテナ22からの送信データが復調回路43によって復調され、制御回路44に出力されるようになっている。制御回路44は、動作用電源が供給されて起動すると、リーダ側からの送信データ(アンテナ22からの送信データ)を受けてメモリ45に記憶されているデータを読み出している。変調回路46は、受信した搬送波を分周した副搬送波を制御回路44が出力する応答データによって変調している。更に、アンテナ41には、負荷変調回路47を構成する抵抗及びスイッチの直列回路が並列に接続されており、変調回路46より出力される副搬送波の被変調信号により負荷変調回路47のスイッチがオンオフされることで搬送波が負荷変調され、応答(レスポンス)が返信されるようになっている。
なお、図4(A)(B)では、図3に示す無線タグ通信部21及び無線タグ40の一例を挙げたが、電波を媒介として無線通信が可能な他の構成を用いてもよい。
【0042】
人感センサ30は、出入口3付近に存在する通行者を検出するセンサであり、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、可視光センサなどによって構成されている。この人感センサ30は、通行者が所定の検出エリアAR1内に進入したときに当該通行者を検出し、検出信号を出力するように構成されている。人感センサ30からの出力される検出信号は制御回路10に入力されるようになっている。なお、人感センサ30は、「通行者検出手段」の一例に相当し、検出エリアAR1(監視範囲)に存在する通行者を検出するように機能する。
【0043】
管理装置50は、CPU、記憶手段(ROM、RAM、HDD等)、入力手段(マウス、キーボード等)などを備えた情報処理装置(例えば公知のパーソナルコンピュータ)として構成されており、コントローラからの各種情報(例えば、通行履歴や認証履歴等)を取得し、蓄積し得るように構成されている。
【0044】
(認証処理)
次に、通行管理システム1で行われる認証処理について説明する。図5は、第1実施形態に係る通行管理システム1で行われる認証処理の流れを例示するフローチャートである。 図5に示す認証処理は、コントローラ9の制御回路10によって行われるものであり、例えば電源投入などをトリガとして開始され、まず人感センサ30によって通行者が検出がなされたか判断する(S1)。人感センサ30によって通行者が検出されていない場合にはS1にてNoに進み、キャリア出力の停止を維持する。このような処理は、人感センサ30によって通行者が検出されるまで行われる。なお、S2の処理では、処理前にキャリアが出力されている場合にはそのキャリア出力を停止し、処理前にキャリアが出力されていない場合にはキャリア出力の停止を維持するように処理がなされる。
【0045】
人感センサ30によって通行者が検出されると、S1にてYesに進み、無線タグ通信部21からアンテナ22を介して搬送波(キャリア)が出力される。ここでは、キャリアと共に特定の無線タグを捕捉するための所定の捕捉用コマンドが送信される(S3)。そして、本実施形態で用いられる無線タグ40は、この所定の捕捉用コマンドを受信したときに規定された応答を返すように構成されており、S4では、S3で送信された捕捉用コマンドに対して当該規定された応答があったか否かを判断している。そして、このような規定の応答がない場合にはS4にてNoに進み、S1以降の処理を繰り返す。図5の認証処理では、捕捉用コマンドの送信が開始された後、当該捕捉用コマンドに対する規定の応答がない場合、人感センサ30による検出が終わるまで前記捕捉用コマンドが出力され続ける。従って、図6のタイミングチャートに示すように人感センサ30(通行者検出手段)が通行者を検出している期間中はキャリアの出力が継続することとなる。
なお、本実施形態では、S1、S3の処理を実行するコントローラ9が「キャリア出力手段」の一例に相当し、人感センサ30(通行者検出手段)によって通行者が検出された場合に、アンテナ22を介してキャリアを出力するように機能する。
【0046】
本実施形態では、図8のように通信可能エリア(無線タグ40からのコマンドをアンテナ22を介してコントローラ9が受信可能な領域AR2)内に複数の無線タグ4が存在する状況下において、少なくともいずれかの無線タグ40を所持する通行者が人感センサ30によって検出されている期間中はキャリアの出力が継続されるようになっている。従って、例えば、図8(A)のように、ある期間中に第1の通行者P1、第3の通行者P3の無線タグ40が読み取られ、第2の通行者P2の無線タグ40が認識されなかったとしてもいずれかの通行者が人感センサ30によって検出されている限りキャリアの出力が中断せず、読み取りの機会が与えられることとなる。従って、仮に図8(A)のように一時的に第2の通行者P2の無線タグ40が認識されなかったとしても、その後のキャリア出力の維持によって図8(B)のように読み取られる可能性が高くなる。
【0047】
また、本実施形態では、図2、図7に示すように、4つのアンテナ22a、22b、22c、22dが、出入口3の幅方向において所定距離隔てて配置されており、幅方向において複数のアンテナ22a、22b、22c、22dの間の位置に人感センサ30が設けられている。具体的には、人感センサ30が、出入口3の幅方向中央部に配置され、出入口3の幅方向一端部側(図2のように出入口3を外側から見て左側)に一方のアンテナ22a、22bが配置され、出入口3の幅方向他端部側(出入口3を外側から見て右側)に他方のアンテナ22c、22dが配置されており、一方のアンテナ22a、22b、及び他方のアンテナ22c、22dのいずれも、出入口3の幅方向中央側且つ下方側を向いた形態で配置されている。そして、図1、図7に示すように、出入口3付近の外側において、床から所定の高さのエリアでは、コントローラ9からアンテナ22を介して出力されるコマンドを無線タグ40が読取可能な領域AR2(即ち、無線タグ40がアンテナ22からのキャリアを取得可能な領域)が、人感センサ30(通行者検出手段)による通行者の監視範囲AR1を含み、且つ当該監視範囲AR1よりも広い領域とされている。また、本実施形態では、4つのアンテナ22a、22b、22c、22dが指向性アンテナとして構成されており、いずれのアンテナ22a、22b、22c、22dについても設置角度が変更可能とされている。具体的には、アンテナ22a、22b、22c、22dのいずれについても設置角度を前後及び左右に変更可能とされており、電波の向きを前後又は左右に調整し得る構成をなしている。
【0048】
一方、人感センサ30によって通行者の検出がなされているときに無線タグ40から捕捉用コマンドに対する正規の応答が検出された場合、S4にてYesに進み、認証処理を行う(S5)。なお、本実施形態では、コントローラ9が「受信手段」の一例に相当し、無線タグ40から出力されるコマンドをアンテナ22を介して受信するように機能する。また、本実施形態で用いられる無線タグ40は、図1に示すように通行者に所持されて用いられると共に、「キャリア出力手段」からキャリアを受信したときにコマンドを出力するように機能している。
【0049】
S5の認証処理では、無線タグ40が正規の無線タグか否かを判断する処理を行う。具体的には、例えば、無線タグ40に記録された固有IDを読み取る処理を行い、更に、その読み取った固有IDが、管理装置50又はコントローラ9に予め記録されている許可IDに該当するか否かを判断する処理を行う。固有IDが登録されている許可IDに該当する場合には認証成功と判断してS6にてYesに進む。一方、固有IDが登録されている許可IDに該当しない場合には認証失敗と判断してS6にてNoに進む。
なお、本実施形態では、コントローラ9が「無線タグ読取手段」の一例に相当し、「受信手段」によりコマンドが受信された場合に、無線タグ40に記録された固有IDを読み取るように機能する。また、コントローラ9は、「ID判別手段」の一例に相当し、「無線タグ読取手段」によって読み取られた固有IDが、出入口3の通過が許可される許可IDか否かを判別するように機能する。
【0050】
S5の認証処理において認証が成功した場合にはS6にてYesに進み、電気錠7の解錠処理を行う(S7)。この解錠処理では、制御回路10から電気錠7に対して解錠信号が与えられ、電気錠7はこの解錠信号に応じて解錠状態に動作する。
コントローラ9及び電気錠7は、「施錠手段」の一例に相当し、出入口3を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、上記「ID判別手段」により固有IDが許可IDと判断された場合に、出入口3を解錠状態に切り替えるように機能する。
【0051】
一方、S5の認証処理において認証が失敗した場合には、S6にてNoに進み、所定のエラー処理を行う(S8)。このエラー処理は、例えば認証が失敗したことをユーザに知らしめる処理であり、例えば、表示部(図示略)に認証が失敗した旨の情報を表示してもよく、ブザーの鳴動やLEDの点灯などを行うようにしてもよい。なお、このS8の処理を省略し、認証が失敗した場合には何も行わずにS1に戻るようにしてもよい。
【0052】
(第1実施形態の主な効果)
本実施形態に係る通行管理システム1では、監視範囲AR1に存在する通行者を検出する人感センサ30(通行者検出手段)と、人感センサ30によって通行者が検出された場合に、アンテナ22を介してキャリアを出力する「キャリア出力手段」(コントローラ9)と、通行者に所持されると共に、コントローラ9からアンテナ22を介して出力されたキャリアを受信したときにコマンドを出力する無線タグ40と、無線タグ40から出力されるコマンドをアンテナ22を介して受信する「受信手段」(コントローラ9)と、この「受信手段」によりコマンドが受信された場合に、無線タグ40に記録された固有IDを読み取る「無線タグ読取手段」(アンテナ22及びコントローラ9)と、この「無線タグ読取手段」によって読み取られた固有IDが、出入口3の通過が許可される許可IDか否かを判別する「ID判別手段」(コントローラ9)と、出入口3を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、「ID判別手段」により固有IDが許可IDと判断された場合に、出入口3を解錠状態に切り替える「施錠手段」(コントローラ9及び電気錠7)とが設けられている。このようにすると、無線タグ40を所持する通行者が監視範囲AR1に入ったことを検出してキャリアを出力できるため、適切な時期(通行者が監視範囲AR1に入った時期)にキャリアの出力を開始して省電力化を図ることができる。そして、無線タグ40に記録された固有IDが許可IDであるか否かを判断し、許可IDである場合(即ち、通行者が正規の無線タグ40を所持している場合)に適切に解錠動作を行うことができる。更に、本発明では、「通行者検出手段」が通行者を検出している期間中、キャリアの出力を継続しているため、監視範囲AR1に通行者が存在している間は無線タグ40の読み取りを持続することができ、キャリア出力の中止に起因する読みこぼしを効果的に低減できる。
【0053】
また、コントローラ9(受信手段)によるコマンドの読取可能領域AR2内において複数の無線タグ40が存在する場合、少なくともいずれかの無線タグ40を所持する通行者が人感センサ30によって検出されている期間中、キャリアの出力を継続している。このようにすると、複数の無線タグ40を読取可能な状況下においていずれかの無線タグ40の認証が終わったとしても、いずれかの通行者が人感センサ30によって検出されている限りはキャリアの出力が維持されるため、認証が終了した無線タグ40以外の他の無線タグ40をも確実に認証できるようになる。
【0054】
また、コントローラ9(受信手段)によるコマンドの読取可能領域AR2が、人感センサ30(通行者検出手段)による通行者の監視範囲AR1を含み、且つ当該監視範囲AR1よりも広い領域とされている。このようにすると、通行者が検出されて無線タグ40の読み取りに移行した直後に無線タグ40が読取可能領域AR2内で維持されやすく、通行者の検出直後に無線タグ40の読み取りを迅速に且つ良好に行うことができる。
【0055】
また、複数のアンテナ22a〜22dが、出入口3の幅方向において所定距離隔てて配置されており、幅方向において複数のアンテナ22a〜22dの間の位置に人感センサ30(通行者検出手段)が設けられている。このようにすると、人感センサ30の幅方向外側をアンテナ22によってカバーし易くなり、人感センサ30による通行者の検出後に無線タグ40が読取可能領域AR2から幅方向に外れにくくなる。従って、例えば、通行者が幅方向に移動し得る環境等において無線タグ40の読み取りをより良好に行うことができる。
【0056】
また、人感センサ30(通行者検出手段)が、出入口3の幅方向中央部に配置され、出入口3の幅方向一端部側に一方のアンテナ22a、22bが配置され、出入口3の幅方向他端部側に他方のアンテナ22c、22dが配置されており、一方のアンテナ22a、22b及び他方のアンテナ22c、22dのいずれも、出入口3の幅方向中央側且つ下方側を向いた形態で配置されている。このようにすると、人感センサ30が配置された出入口3の幅方向中央部付近を両側のアンテナによって重点的にカバーすることができ、最も通行者が通りやすい幅方向中央部付近における検出漏れ(読みこぼし)を効果的に抑えることができる。
【0057】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る通行管理システムを概略的に説明する説明図である。図10は、第2実施形態に係る通行管理システムで行われる認証処理の流れを例示するフローチャートである。
【0058】
第2実施形態に係る通行管理システム200は、アンテナ22を駆動可能に構成した点及び認証処理の一部を変更した点が第1実施形態の通行管理システム1と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって第1実施形態と異なる部分について重点的に説明することとし、第1実施形態と同様の部分については第1実施形態と同一の符号を付し詳細な説明は省略する。特に、図2、図4のハードウェア構成は同一であるため、適宜図2、図4を参照して説明することとする。また、本実施形態では、図3の制御回路10にアクチュエータ210が接続されており、このアクチュエータ210の変位を制御回路10によって制御可能となっている。
【0059】
図9に示すように、第2実施形態に係る通行管理システム200では、アンテナ22がアクチュエータ210によって駆動可能とされている。アンテナ22は、例えば所定の回動軸(例えば幅方向の回動軸)を中心として回動可能となるように図示しないフレームに支持(例えば図示しないフレームに設けられた一対の軸受によって回動可能に支持)されており、その回動角度がアクチュエータ210によって変更されるようになっている。
【0060】
図10では、第2実施形態に係る通行管理システム200での認証処理の流れを示している。なお、S21、S22、S23、S24の処理は、それぞれ第1実施形態での認証処理(図5)のS1、S2、S3、S4と同様である。本実施形態では、S23にて捕捉用コマンドを送信した後、その捕捉用コマンドに対する応答が確認されなかった場合に、S24にてNoに進み、アクチュエータ210の回動角度(即ちアンテナ22の角度)を所定角度(例えば数度)ずつ変更している。
【0061】
なお、本実施形態では、例えばアンテナ22についての電波が集中する所定方向(矢印F1)と鉛直方向(矢印F2)とのなす角度θについて、所定の第1角度(例えば0°)を切替可能な最小値として定め、所定の第2角度(例えば45°)を最大値として定めており、S25の処理では、前記第1角度に達してから前記第2角度に達するまで(即ち、アンテナ22が真下に向いた位置(一点鎖線22'参照)から斜め45度前方向きとなる位置(二点鎖線22"参照)まで)は所定のプラス方向に角度を増大させ、アンテナ22の向きを徐々に上側に変位させている。一方、前記第2角度に達した後には前記第1角度に達するまで(即ち、アンテナ22が斜め45度前方向きとなってから真下に向くまで)は所定のマイナス方向に角度を減少させ、アンテナ22の向きを徐々に下側に変位させている。
【0062】
なお、アクチュエータ210は、「設置角度変更手段」の一例に相当し、アンテナ22を駆動して当該アンテナ22の設置角度を変更するように機能する。設置角度変更手段が設けられており、設置角度変更手段が、キャリア出力手段によるキャリアの出力後に、アンテナの設置角度を変更することを特徴としている。
【0063】
S21、S23、S24、S25の処理は、捕捉用コマンドに対する応答が確認されるまで、若しくは人感センサ30による検出が終了するまで繰り返され、無線タグ40から捕捉用コマンドに対する応答が確認された場合には、S24にてYesに進み、S26以降の処理を行う。なお、S26、S27、S28、S29の処理は、第1実施形態で行われる認証処理(図5)のS5、S6、S7、S8と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0064】
(第2実施形態の主な効果)
このように第2実施形態に係る通行管理システム200では、アンテナ22を駆動して当該アンテナ22の設置角度を変更するアクチュエータ210(設置角度変更手段)が設けられており、このアクチュエータ210は、「キャリア出力手段」(コントローラ9)によるキャリアの出力後に、アンテナ22の設置角度を変更するように構成されている。このようにすると、キャリア出力開始時にアンテナ22の角度が適切でなかったとしても、キャリアの出力後にアンテナ22が駆動されて適切な角度に設置されやすくなり、ひいては無線タグ40の読み取りが良好に行われやすくなる。
【0065】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。
図11は、第3実施形態に係る通行管理システムを概略的に説明する説明図である。図12は、図11の通行管理システムで用いられるレーザレーダ装置を概略的に説明する断面図である。図13は、図11の通行管理システムで行われる検出処理の流れを例示するフローチャートである。図14は、図12のレーザレーダ装置の通行管理エリアと読取可能エリアを説明する説明図である。図15は、第3実施形態に係る通行管理システムで読み取られる情報コードが付された所持物(札)を概略的に説明する説明図である。図16(A)は、図12のレーザレーダ装置でレーザ走査を行ったときの偏向部の角度と検出される距離値との関係を例示するグラフである。図16(B)は、読取可能範囲に存在する情報コードを走査したときの偏向部の角度と受光量との関係を例示するグラフである。図17は、図11の通行管理システムで行われる追跡について概念的に説明する説明図である。
【0066】
本実施形態に係る通行管理システム300は、情報処理装置として構成されるコントローラ390と、電気錠7と、レーザレーダ装置301とを備えた構成をなしている。電気錠7は、第1実施形態で用いられる電気錠7と同様の構成をなしており、コントローラ390から解錠信号が出力されたときに解錠動作がなされ、コントローラ390から施錠信号が出力されているときには施錠状態が維持されるようになっている。
【0067】
コントローラ390は、CPU、メモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)、通信部を備えた構成をなしており、後述するレーザレーダ装置301から情報を取得可能に構成され、レーザレーダ装置301からの情報に応じて各種情報処理を行うように機能している。
【0068】
次に、図12を参照してレーザ測定装置301の全体構成について説明する。図12に示すように、レーザ測定装置301は、レーザダイオード310と、検出物体からの反射光L2を受光するフォトダイオード320とを備え、検出物体までの距離や方位を検出可能な装置として構成されている。
【0069】
レーザダイオード310は、「レーザ光発生手段」の一例に相当するものであり、制御回路370の制御により、図示しない駆動回路からパルス電流を受け、このパルス電流に応じたパルスレーザ光(レーザ光L1)を間欠的に出射している。なお、本実施形態では、レーザダイオード310から検出物体に至るまでのレーザ光を符号L1にて概念的に示し、検出物体からフォトダイオードに至るまでの反射光を符号L2にて概念的に示している。
【0070】
フォトダイオード320は、レーザダイオード310からレーザ光L1が発生し、そのレーザ光L1が検出物体にて反射したとき、その反射光L2を受光して電気信号に変換している。なお、検出物体からの反射光については所定領域のものが偏向部341に取り込まれる構成となっており、図12では、符号L2で示す2つのライン間の領域の反射光が取り込まれる例を示している。
【0071】
レーザダイオード310から出射されるレーザ光L1の光軸上にはレンズ360が設けられている。このレンズ360は、コリメートレンズとして構成されるものであり、レーザダイオード310からのレーザ光L1を平行光に変換している。また、このレンズ360を通過したレーザ光L1の光路上には、ミラー330が設けられている。ミラー330は、レンズ360を透過したレーザ光L1の光軸に対して傾斜した反射面330aを備え、レンズ360を透過したレーザ光L1を回動偏向機構340に向けて反射させている。本実施形態では、レンズ360を通過した水平方向のレーザ光L1をミラー330によって垂直方向(後述する中心軸342aと平行な方向)に反射させており、その反射した垂直方向のレーザ光L1が回動偏向機構340の偏向部341に入射するようになっている。
【0072】
回動偏向機構340は、平坦な反射面341aを有するミラーからなる偏向部341と、この偏向部341を支持する支持台343と、この支持台343に連結された軸部342と、この軸部342を回転可能に支持する図示しない軸受とを備えている。
【0073】
偏向部341は、ミラー330で反射されたレーザ光L1の光軸上に配置されると共に、中心軸342a(所定の中心軸)を中心として回動可能とされている。この偏向部341は、レーザダイオード310からのレーザ光L1を空間に向けて偏向(反射)させ、且つ検出物体からの反射光L2をフォトダイオード320に向けて偏向(反射)させる構成をなしている。
【0074】
また、偏向部341の回転中心となる中心軸342aの方向は、ミラー330から当該偏向部341に入射するレーザ光L1の方向とほぼ一致しており、レーザ光L1が偏向部341に入射する入射位置P1が中心軸342a上の位置とされている
【0075】
なお、本実施形態では、中心軸342aの方向を垂直方向(Y軸方向)としており、中心軸342aと直交する平面方向を水平方向としている。また、水平方向の内の所定方向をX軸方向として示している。
【0076】
図12に示すように、偏向部341の反射面341aは、垂直方向(反射面341aに入射するレーザ光L1の方向)に対して45°の角度で傾斜しており、ミラー330側から入射するレーザ光L1を、水平方向に反射させている。また、偏向部341は入射するレーザ光L1の方向と一致した方向の中心軸342aを中心として回転するため、偏向部41の回転位置に関係なくレーザ光L1の入射角度が常に45°で維持され、位置P1からのレーザ光L1の向きは絶えず水平方向(中心軸342aと直交する方向)となるように構成されている。
【0077】
また、本実施形態に係るレーザ測定装置301では、偏向部41における反射光を偏向する偏向領域(偏向部341における反射面341aの領域)が、ミラー330におけるレーザ光を反射する反射領域(ミラー330における反射面330aの領域)よりも十分大きく構成されている。
【0078】
さらに、回動偏向機構340を駆動するモータ350が設けられている。このモータ350は、軸部342を回転させることで、軸部342と連結された偏向部341を回転駆動している。なお、モータ350の具体的構成としては、例えばサーボモータ等を用いても良いし、定常回転するモータを用い、偏向部341が測距したい方向を向くタイミングに同期させてパルスレーザ光を出力することで、所望の方向の検出を可能としてもよい。また、本実施形態では、図12に示すように、モータ350の軸部342の回転角度位置(即ち偏向部341の回転角度位置)を検出する回転角度位置センサ352が設けられている。回転角度位置センサ352は、ロータリーエンコーダなど、軸部342の回転角度位置を検出しうるものであれば様々な種類のものを使用できる。
【0079】
なお、本実施形態では、回動偏向機構340とこれを駆動するモータ350とが「走査手段」として機能しており、空間にレーザ光L1を投射してレーザ光の走査を行うように機能している。また、上述のフォトダイオード320が「光検出手段」の一例に相当し、上記「走査手段」によって走査されるレーザ光が検出物体にて反射した反射光を検出するように機能している。
【0080】
回動偏向機構340からフォトダイオード320に至るまでの反射光L2の光路上には、フォトダイオード320に向けて反射光を集光する集光レンズ362が設けられ、その集光レンズ362とフォトダイオード320の間にはフィルタ364が設けられている。集光レンズ362は、偏向部341からの反射光L2を集光してフォトダイオード320に導くものであり、集光手段として機能している。また、フィルタ364は、回動偏向機構340からフォトダイオード320に至るまでの反射光L2の光路上において反射光L2を透過させ且つ反射光L2以外の光を除去するように機能している。このフィルタ364は、例えば反射光L2に対応した特定波長の光(例えば一定領域の波長の光)のみを透過させそれ以外の光を遮断する波長選択フィルタによって構成されている。
【0081】
また、本実施形態では、レーザダイオード310、フォトダイオード320、ミラー330、レンズ360、回動偏向機構340、モータ350等がケース303内に収容され、防塵や衝撃保護が図られている。ケース303における偏向部341の周囲には、当該偏向部341を取り囲むようにレーザ光L1及び反射光L2の通過を可能とする窓状の導光部304が形成されている。導光部304は、偏向部341に入光するレーザ光L1の光軸を中心とした環状形態で、ほぼ360°に亘って構成されており、この導光部304を閉塞する形態でガラス板等からなるレーザ光透過板305が配され、防塵が図られている。
【0082】
このレーザレーダ装置では、所定の基準位置(例えばロータリエンコーダの原点位置)を基準としたときの偏向部341の相対的な回動位置を検出できるようになっており、具体的には、上記「基準位置」を基準として、間欠的に照射されるパルスレーザ光の各照射のときの偏向部341の各回動位置を検出できるようになっている(即ち、各照射のときの各回動位置が、「基準位置」を基準としてどの程度回動した位置であるかを検出できるようになっている)。そして、いずれかの回動位置のときに検出物体からの反射光がフォトダイオード320にて受光されたときには、その受光時の偏向部341の角度が、「基準位置」からどの程度回転した角度であるかを特定できるようになっている。従って、「基準位置」のときに偏向部341から照射されるレーザ光L1の照射方向)を基準方向として検出物体の方向を検出できるようになっている。また、このようにフォトダイオード320によって受光されたときには、レーザダイオード10にてレーザ光L1が出力されてからフォトダイオード20によってその反射光L2を検出されるまでの時間を測定することにより、レーザ光の速度(光速)を考慮して検出物体までの距離を求めることができる。
なお、本実施形態では、制御回路370が「時間検出手段」の一例に相当し、レーザダイオード310(レーザ発生手段)にてパルスレーザ光L1が発生してから、当該パルスレーザ光L1が物体で反射してフォトダイオード320(光検出手段)によって検出されるまでの時間を検出するように機能する。また、制御回路370は、「距離算出手段」の一例に相当し、上記「時間検出手段」によって検出される時間に基づいて、検出物体までの距離を算出するように機能する。
【0083】
次に、本実施形態に係る通行管理システム300で行われる検出処理について説明する。
通行管理システム300では、例えば、レーザレーダ装置301の制御回路370により、図13のような流れで検出処理が行われる。
この検出処理では、まず、管理エリア(監視範囲)内で人を検出したか否かを判断する処理を行う(S31)。本実施形態では、例えば、図14のように、偏向部341(図12)が所定の角度範囲(例えば、図14に示すような約180度の角度範囲)にあるときにレーザ光が照射される範囲であって且つレーザレーダ装置301の所定の原点位置(例えば図12の位置P1位置)から所定距離X1以内の範囲を管理エリア(監視範囲)AR3としており、S31ではこの管理エリアAR3内に人が存在するか否かを検出している。なお、図12のレーザレーダ装置301では、図13の処理とは並列に、上述の物体検出処理が常時行われるようになっており、この物体検出処理によって管理エリアAR3内で物体が検出され、且つ、その物体が所定の判断方法によって人と判断される場合にはS31にてYesに進む。
【0084】
物体検出処理によって検出された物体が人であるか否かを判断する方法は公知の様々な方法を採用することができる。例えば、ある物体が検出されるとき当該物体にレーザ光が照射される角度範囲において偏向部341の角度毎に当該検出物体までの距離を算出することで、当該検出物体の前面部の位置を具体的に検出できると共に当該検出物体の幅値をも算出することができる。そして、このように検出される検出物体の幅値が所定値以上である場合に当該検出物体を「人」であると判断するといった方法を用いることができる。このような判断処理を行い、管理エリアAR3内において、「人」と判断される物体が検出された場合にはS31にてYesに進む。一方、「人」と判断される物体が検出されない場合にはS31にてNoに進む。
【0085】
なお、本実施形態では、管理エリアAR3が「監視範囲」の一例に相当する。また、レーザレーダ装置301が「通行者検出手段」の一例に相当し、監視範囲に存在する通行者を検出するように機能する。また、制御回路370は、「通行者判別手段」の一例に相当し、複数の時期(偏向部341の各角度の時期)における「距離算出手段」による距離の算出結果に基づいて、検出物体が通行者であるか否かを判別するように機能する。
【0086】
S31において「人」が検出された場合には、その「人」が所定の読取可能エリア内に存在するか否かを判断する。本実施形態では、図14に示すように、偏向部341が所定の角度範囲(例えば、図14に示すような約180度の角度範囲)にあるときにレーザ光L1が照射される範囲であって且つレーザレーダ装置301の所定の原点位置(例えば図12の位置P1位置)から所定距離X2以内の範囲を読取可能エリアAR4としており、S32では、S31で検出された上記「人」がこのような読取可能エリアAR4内にいるか否かを判断する。S31で検出された「人」が読取可能エリアAR4内にいない場合には、S32にてNoに進み、その「人」の座標を追跡データとして図示しないメモリに記録する(S37)。
【0087】
一方、S31で検出された「人」が、読取可能エリアAR4内にいると判断される場合、S33にて認証処理を行う。本実施形態に係る通行管理システム300では、図15に示すようなバーコード形式の情報コードCが付された札380(例えば社員証、入社許可証、入室許可証等)が用意されており、例えば、正規の通行者Pがこのような札380を所持しつつ出入口3に接近するように決められている。各通行者Pが所持する各札380の情報コードCには固有IDが記録されており、S31では通行者Pが所持する札380の情報コードCの読み取りを試みると共に、記録される固有IDが予め登録された許可IDに該当するか否かを判断している。
【0088】
具体的には、例えば以下のように読み取りが行われる。本実施形態では、図12に示すレーザレーダ装置301によって所定の高さで水平方向に走査がなされるようになっており、正規の通行者Pはこの高さ付近に情報コードCが配されるように札380を所持する。一方、レーザレーダ装置301では、稼働中、絶えずレーザ走査を行うと共に、偏向部241(図12)の各角度毎に出射される各パルスレーザ光の反射光に基づいて、各角度毎(偏向部341の1ステップ毎)に、レーザレーダ装置301の原点位置(例えば位置P1)からパルスレーザ光L1が到達する位置までの距離を算出している。そして、図16(A)のように、偏向部341の各角度毎にパルスレーサ光L1の照射位置(到達位置)までの距離値を算出できるようになっている。
【0089】
更に、レーザレーダ装置301の原点位置(例えば位置P1)からパルスレーザ光L1の照射位置(到達位置)までの距離が、距離X2よりも短い角度範囲(図16(A)の範囲Y参照)については(即ち、読取可能エリアAR4に存在する検出物体(図14の通行者P参照)にレーザ光L1が照射される角度範囲)については)、図16(B)のように、情報コードCからの受光量の波形を求め、この受光量の波形に基づいてデコード処理を行う。なお、図16(B)のような受光量の波形に基づいてデコードを行う方法は公知であるので詳細は省略するが、例えば、図15のL1'のように走査がなされ、図16(B)のような受光量の波形が得られた場合、この波形について所定の閾値D1に基づいて二値化を行い、得られた各明色部及び各暗色部の幅値に基づいてデータを解読するといった方法などが挙げられる。
なお、本実施形態では、レーザレーダ装置301が「情報コード読取手段」の一例に相当し、読取可能エリアAR4(所定の読取可能領域)において通行者Pが所持する情報コードCの読み取りを行うように機能する。
【0090】
S33での認証処理が成功した場合(即ち、情報コードCの読み取りが正常に行われ、情報コードCに記録された固有IDが許可IDに該当する場合)には、S34にてYesに進み、入室許可処理を行う(S35)。この処理では、例えば認証が成功した旨の信号をコントローラ390に与える。本実施形態では、例えば、レーザレーダ装置301からコントローラ390に対して認証成功信号が与えられたときに、コントローラ390から電気錠7に対して一定期間解錠信号が出力されるようになっており、電気錠7は、この解錠信号が出力されている期間中、解錠状態に動作する。なお、コントローラ390からの解錠信号は、例えばコントローラ390が認証成功信号を取得した後の一定期間出力され、それが終わると再び施錠信号が出力されるようになっている。
【0091】
本実施形態では、S33、S34の処理を実行する制御回路370が「判断手段」の一例に相当し、「情報コード読取手段」による情報コードCの読取結果に基づいて、「通行者検出手段」によって検出された通行者Pが、出入口3の通過が許可された者か否かを判断するように機能する。また、制御回路370、コントローラ390、電気錠7は、「施錠手段」の一例に相当し、出入口3を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、「判断手段」により通行者Pが出入口3の通過許可者と判断された場合に、出入口3を解錠状態に切り替えるように機能する。
【0092】
一方、S33での認証処理が失敗した場合(例えば、一定時間内に情報コードの読み取りが成功しなかった場合、或いは読み取られた情報コードCに許可IDに該当する固有IDが記録されていない場合)、S34にてNoに進み、報知処理を行う(S36)。この報知処理は、例えば、図示しないランプを点灯させたり、図示しないブザーを鳴動させるような処理でもよく、コントローラ390や他の管理装置に対して認証が失敗した旨の情報を送信するような処理であってもよい。
なお、本実施形態では、S36の処理を実行する制御回路370が「報知手段」の一例に相当し、「通行者検出手段」によって通行者が検出された後に、「情報コード読取手段」による情報コードCの読み取りが失敗した場合、又は一定期間の間に「情報コード読取手段」によって情報コードCが読み取られなかった場合に報知を行うように機能する。
【0093】
また、S36の処理において、ブザーなどを鳴動させ、読み取りが失敗した旨の報知を行うようにすると、正規の通行者がこの報知を受けたときには情報コードCが正常に読み取られなかったと推定することができ、例えば、札380をレーザレーダ装置301の正面に近づける等の対応をとることができるようになる。このように情報コードCの読み取りがより成功し易い位置に配置されれば、その後のS33の認証処理において認証が成功し易くなる。また、S36の報知処理において「バーコードを読取装置の正面に配置して下さい」等のアナウンスを行うようにすれば、正規の通行者にとってより親切となる。
【0094】
また、本実施形態では、通行者が読取可能エリアAR4内に存在しない場合、S32にてNoとなる毎、及びS34にてNoになる毎にS37の処理を行い通行者の座標を記録しており、図17のP11〜P16のように通行者を追跡できるようになっている。図17の例では、通行者Pが検出されてからの最初のS32Noの場合に、S37にて通行者Pの初期位置P11の座標を特定しており、その次のS32Noの場合に、S37にて通行者Pの第2位置P12の座標を特定している。このようにS37の処理が実行される毎に通行者Pの座標を特定して記録することで、図17のように通行者Pの挙動を把握でき、その挙動の情報を役立てることができるようになっている。例えば、通行者Pが管理エリアAR3内のある位置から所定距離以上動かずに一定時間以上経過するような場合には、通行者の体調不良や通行者の異常行動(例えば、不正行動)などが懸念されるため、このような場合に報知処理(ブザー鳴動、ランプ点灯、他の管理装置への連絡等)を行うようにすることができる。
【0095】
或いは、図13のS31において通行者Pが管理エリアAR3内に入ったことが検出されてから当該通行者Pを追跡し、正常な追跡経路(例えば、所定長さの追跡経路、或いは所定時間要した追跡経路)を経て読取可能エリアAR4に入った時にS33の認証処理を行い、情報コードCの読み取りを開始するようにしてもよい。この場合、例えば、管理エリアAR3の境界から読取可能エリアAR4の境界までの追跡経路の記録がない状態で読取可能エリアAR4で検出物体が検出された場合に、これを「人」ではないと無視するといった処理を行うことができる。
なお、本実施形態では、制御回路370が「追跡手段」の一例に相当し、「通行者判別手段」によって検出物体が通行者であると判別された場合に、通行者の移動を追跡するように機能する。
【0096】
(第3実施形態の主な効果)
本実施形態に係る通行管理システム300によれば、情報コードCを所持する通行者Pが管理エリアAR3(監視範囲)に入ったことを検出して情報コードCの読み取りを開始することができるため、適切な時期(通行者が監視範囲に入った時期)に読取処理を行うことができる。そして、情報コードCの読取結果に基づき、「通行者検出手段」によって検出された通行者が、出入口3の通過が許可された者か否かを判断し、通過許可者と判断された場合には適切に解錠動作を行うことができる。
【0097】
また、本実施形態では、レーザレーダ装置301を「通行者検出手段」として用いており、このようにすると、広範囲・長距離での通行者の検出が可能となり、広い検出エリアで通行者を良好に検出できるようになる。
【0098】
更に、レーザレーダ装置301が「情報コード読取手段」として兼用されているため、複数種類の機器を用意する必要がなく、装置構成を簡素化・コンパクト化し易くなる。
【0099】
また、本実施形態では、「通行者判別手段」によって検出物体が通行者であると判別された場合に、通行者の移動を追跡する「追跡手段」が設けられている。このようにすると、通行者の挙動を把握することができ、把握した挙動を後の処理に役立てることができる。この場合、「追跡手段」によって通行者を読取可能エリアAR4まで追跡した後に、「情報コード読取手段」による情報コードの読み取りを開始するように構成すると、通行者が正常に読取可能エリアAR4に入ったか否かを確認した上で読み取りを行うことができるため、読取可能エリアAR4外での無駄な読取処理を削減し易くなり、且つ通行者を正確に把握して読取処理を適切に開始することができる。
【0100】
また、本実施形態では、「通行者検出手段」によって通行者が検出された後に、「情報コード読取手段」による情報コードCの読み取りが失敗した場合又は一定期間の間に「情報コード読取手段」によって情報コードCが読み取られなかった場合に報知を行う「報知手段」が設けられている。このようにすると、読み取りが成功していないことを通行者或いは管理者に把握させることができ、その後の適切な対応につながりやすくなる。
【0101】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0102】
第1実施形態では、固有IDが予め管理装置50やコントローラ9に登録されている許可IDのいずれかに該当する場合に認証していたが、このような認証方法に限られない。例えば、無線タグ40に対して所定の認証方式で認証を行い、その認証が成功したときに、当該無線タグ40に記録される固有IDを許可IDと判断してもよい。認証処理としては、公知の内部認証方式、外部認証方式、相互認証方式のいずれであってもよく、例えば、内部認証を行う場合、コントローラ9から認証対象となる無線タグ40に対して内部認証用のコマンドを送信すると共に、コントローラ9内で発生させた乱数をその無線タグ40に送信する。一方、無線タグ40は、その乱数を受信すると共に内部に設けられた暗号化鍵によって暗号化し、その暗号データをコントローラ9に送信する。コントローラ9は、この暗号データを受信して復号鍵によって復号し、その復号化されたデータが先に送信した乱数(即ち、コントローラ9の内部で発生させた乱数)と一致しているか否かを判断し、一致している場合にはその認証対象の無線タグ40を正しいタグと認証する。
【0103】
第1実施形態では、「通行者検出手段」として人感センサ30を用いる例を示したが、第3実施形態のようなレーザレーダ装置を用いてもよい。
【0104】
第2実施形態ではS23にて捕捉用コマンドを送信してから人感センサ30による検出が終了するまで、若しくは応答が検出するまでアンテナ22を前後方向に揺動させる例を示したが、S23にて捕捉用コマンドを送信してから人感センサ30による検出が終了するまで(即ちS21にてNoとなるまで)、若しくはコマンドに対する応答が検出されるまで(即ち、S24にてYesとなるまで)アンテナ22を左右方向に揺動させてもよい。或いは、S23にて捕捉用コマンドを送信してから人感センサ30による検出が終了するまで(即ちS21にてNoとなるまで)、若しくはコマンドに対する応答が検出されるまで(即ち、S24にてYesとなるまで)、アンテナ22を前後左右方向に揺動するように構成してもよい。
【0105】
第3実施形態では、二次元的に走査を行うレーザレーダ装置301を用いた構成を例示したが、三次元的に走査を行うレーザレーダ装置を用いてもよい。例えば特開2009−98111公報に示されるようなレーザレーダ装置を用いることで、様々な高さの情報コードを読み取ることができるようになる。
【0106】
第3実施形態では、レーザレーダ装置301が「情報コード読取手段」として兼用される例を示したが、レーザレーダ装置と情報コード読取装置とを別々の装置とし、通行者の検出についてはレーザレーダ装置で行い、情報コードの読み取りについては別の情報コード読取装置によって行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1,200,300…通行管理システム
2…部屋
3…出入口
5…扉
7…電気錠(施錠手段)
9…コントローラ(キャリア出力手段、受信手段、無線タグ読取手段、ID判別手段、施錠手段)
22…アンテナ(無線タグ読取手段)
30…人感センサ(通行者検出手段)
40…無線タグ
210…アクチュエータ(設置角度変更手段)
301…レーザレーダ装置(通行者検出手段、情報コード読取手段)
310…レーザダイオード(レーザ光発生手段)
310…フォトダイオード(光検出手段)
340…回動偏向機構(走査手段)
350…モータ(走査手段)
370…制御回路(施錠手段、時間検出手段、距離算出手段、通行者判別手段、追跡手段、報知手段)
390…コントローラ(施錠手段)
P…通行者
C…情報コード
AR1…監視範囲
AR2…読取可能領域
AR3…管理エリア(監視範囲)
AR4…読取可能エリア
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、特定の者の入室を許可する入室管理システムが提供されている。この種のシステムでは、例えば入室対象者に対して無線タグを備えた媒体を所持させることを前提とし、部屋の出入口付近にこの無線タグを読み取り可能な無線タグリーダを設置している。そして、出入口付近に人が接近したときに、その接近者が所持する無線タグを無線タグリーダによって読み取り、正規の無線タグ(例えば許可されたIDを備えた無線タグ)である場合にその接近者を入出許可者として判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−40828公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような入室管理システムでは、正規の通行者が検出エリア内に進入したときにその進入を適切に把握し、且つ検出エリア内に存在する通行者(具体的には通行者が所持する無線タグ等の認証対象媒体)を読みこぼしなく適切に認証することが求められる。そして、そのためには、通行者が読み取るべき検出エリア(即ち出入口付近)に接近し当該検出エリアに存在することを適切に把握し且つ適切に対処することが求められる。
【0005】
例えば、入室対象者に無線タグを所持させることを前提とした通行管理システムの場合、通行者の無線タグを読み取る方法としては、通行者を検知した後、一定期間電波を送信して読み取りを行うといった方法が考えられる。このような方法を用いると、通行者が検出エリアに存在しない時間帯には電波を出力しなくて済み、通行者が検出された直後の一定期間のみ電波を出力すればよいので省電力化を効果的に図ることができる。しかしながら、このような通信方法を用いる場合、通行者の通行タイミングや進入者数、或いは無線タグの保持方法などを理由として読み取りや入退室処理が適切に行われないことがあり得る。例えば、正規の無線タグを所持していても、通信不良等により、検出エリア内への進入後の一定期間(電波出力期間)内に認証が行われない場合があり、このような場合、検出エリア内で待機していてもすぐに認証を行えないといった事態が生じ得る。また、このように入室対象者に無線タグを所持させる例に限らず、他の例においても、通行者が検出エリアに接近したことを適切に把握すること、及び通行者が所持する認証対象媒体の認証を良好に行うことが求められている。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、通行者が検出エリアに接近したことを適切に把握することができ、通行者が所持する認証対象媒体の認証を良好に行うことができる通行管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、出入口の通行を管理する通行管理システムであって、監視範囲に存在する通行者を検出する通行者検出手段と、前記通行者検出手段によって前記通行者が検出された場合に、アンテナを介してキャリアを出力するキャリア出力手段と、前記通行者に所持されると共に、前記キャリア出力手段から前記キャリアを受信したときにコマンドを出力する無線タグと、前記無線タグから出力される前記コマンドを受信する受信手段と、
前記受信手段により前記コマンドが受信された場合に、前記無線タグに記録された固有IDを読み取る無線タグ読取手段と、前記無線タグ読取手段によって読み取られた前記固有IDが、前記出入口の通過が許可される許可IDか否かを判別するID判別手段と、前記出入口を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、前記ID判別手段により前記固有IDが前記許可IDと判断された場合に、前記出入口を前記解錠状態に切り替える施錠手段と、を備え、前記キャリア出力手段が、前記通行者検出手段が前記通行者を検出している期間中、前記キャリアの出力を継続することを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の通行管理システムにおいて、前記受信手段による前記コマンドの読取可能領域内において複数の前記無線タグが存在する場合、少なくともいずれかの前記無線タグを所持する前記通行者が前記人感センサによって検出されている期間中、前記キャリアの出力を継続することを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の通行管理システムにおいて、前記受信手段による前記コマンドの読取可能領域が、前記通行者検出手段による前記通行者の前記監視範囲を含み、且つ当該監視範囲よりも広い領域とされていることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の通行管理システムにおいて、複数の前記アンテナが、前記出入口の幅方向において所定距離隔てて配置されており、前記幅方向において複数の前記アンテナの間の位置に前記通行者検出手段が設けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載の通行管理システムにおいて、前記通行者検出手段が、前記出入口の幅方向中央部に配置され、前記出入口の幅方向一端部側に一方の前記アンテナが配置され、前記出入口の幅方向他端部側に他方の前記アンテナが配置されており、一方の前記アンテナ及び他方の前記アンテナのいずれも、前記出入口の幅方向中央側且つ下方側を向いた形態で配置されていることを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の通行管理システムにおいて、更に、前記アンテナを駆動して当該アンテナの設置角度を変更する設置角度変更手段が設けられており、前記設置角度変更手段が、前記キャリア出力手段による前記キャリアの出力後に、前記アンテナの設置角度を変更することを特徴としている。
【0013】
請求項7の発明は、出入口の通行を管理する通行管理システムであって、監視範囲に存在する通行者を検出する通行者検出手段と、前記通行者検出手段によって前記通行者が検出された場合に、所定の読取可能領域において前記通行者が所持する情報コードの読み取りを開始する情報コード読取手段と、前記情報コード読取手段による前記情報コードの読取結果に基づいて、前記通行者検出手段によって検出された前記通行者が、前記出入口の通過が許可された者か否かを判断する判断手段と、前記出入口を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、前記判断手段により前記通行者が前記出入口の通過許可者と判断された場合に、前記出入口を前記解錠状態に切り替える施錠手段と、が設けられていることを特徴としている。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7に記載の通行管理システムにおいて、前記通行者検出手段が、レーザ光を発生するレーザ光発生手段を備えると共に、空間に前記レーザ光を投射して前記レーザ光の走査を行う走査手段と、前記走査手段によって走査される前記レーザ光が検出物体にて反射した反射光を検出する光検出手段と、前記レーザ光発生手段にて前記レーザ光が発生してから、当該レーザ光が前記光検出手段によって検出されるまでの時間を検出する時間検出手段と、前記時間検出手段によって検出される前記時間に基づいて、前記検出物体までの距離を算出する距離算出手段と、複数の時期における前記距離算出手段による前記距離の算出結果に基づいて、前記検出物体が前記通行者であるか否かを判別する通行者判別手段と、を備えたレーザレーダ装置からなることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項8に記載の通行管理システムにおいて、前記レーザレーダ装置が前記情報コード読取手段として兼用されることを特徴としている。
【0016】
請求項10の発明は、請求項8又は請求項9に記載の通行管理システムにおいて、更に、前記通行者判別手段によって前記検出物体が前記通行者であると判別された場合に、前記通行者の移動を追跡する追跡手段が設けられていることを特徴としている。
【0017】
請求項11の発明は、請求項10に記載の通行管理システムにおいて、前記追跡手段によって前記通行者を前記読取可能エリアまで追跡した後に、前記情報コード読取手段による前記情報コードの読み取りを開始することを特徴としている。
【0018】
請求項12の発明は、請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の通行管理システムにおいて、更に、前記通行者検出手段によって前記通行者が検出された後に、前記情報コード読取手段による前記情報コードの読み取りが失敗した場合又は一定期間の間に前記情報コード読取手段によって前記情報コードが読み取られなかった場合に報知を行う報知手段が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明では、監視範囲に存在する通行者を検出する通行者検出手段と、通行者検出手段によって通行者が検出された場合に、アンテナを介してキャリアを出力するキャリア出力手段と、通行者に所持されると共に、キャリア出力手段からキャリアを受信したときにコマンドを出力する無線タグと、無線タグから出力されるコマンドを受信する受信手段と、受信手段によりコマンドが受信された場合に、無線タグに記録された固有IDを読み取る無線タグ読取手段と、無線タグ読取手段によって読み取られた固有IDが、出入口の通過が許可される許可IDか否かを判別するID判別手段と、出入口を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、ID判別手段により固有IDが許可IDと判断された場合に、出入口を解錠状態に切り替える施錠手段とが設けられている。このようにすると、無線タグを所持する通行者が監視範囲に入ったことを検出してキャリアを出力できるため、適切な時期(通行者が監視範囲に入った時期)にキャリアの出力を開始して省電力化を図ることができる。そして、無線タグに記録された固有IDが許可IDであるか否かを判断し、許可IDである場合(即ち、通行者が正規の無線タグを所持している場合)に適切に解錠動作を行うことができる。更に、本発明では、通行者検出手段が通行者を検出している期間中、キャリアの出力を継続しているため、監視範囲に通行者が存在している間は無線タグの読み取りを持続することができ、キャリア出力の中止に起因する読みこぼしを効果的に低減できる。
【0020】
請求項2の発明では、受信手段によるコマンドの読取可能領域内において複数の無線タグが存在する場合、少なくともいずれかの無線タグを所持する通行者が人感センサによって検出されている期間中、キャリアの出力を継続している。このようにすると、複数の無線タグを読取可能な状況下においていずれかの無線タグの認証が終わったとしても、通行者が人感センサによって検出されている限りはキャリアの出力が維持されるため、認証が終了した無線タグ以外の無線タグも確実に認証できるようになる。
【0021】
請求項3の発明は、受信手段によるコマンドの読取可能領域が、通行者検出手段による通行者の監視範囲を含み、且つ当該監視範囲よりも広い領域とされている。このようにすると、通行者が検出されて無線タグの読み取りに移行した直後に無線タグが読取可能領域内で維持されやすく、通行者の検出直後に無線タグの読み取りを迅速に且つ良好に行うことができる。
【0022】
請求項4の発明は、複数のアンテナが、出入口の幅方向において所定距離隔てて配置されており、幅方向において複数のアンテナの間の位置に通行者検出手段が設けられている。このようにすると、通行者検出手段の幅方向外側をアンテナによってカバーし易くなり、通行者検出手段による通行者の検出後に無線タグが読取可能領域から幅方向に外れにくくなる。従って、例えば、通行者が幅方向に移動し得る環境等において無線タグの読み取りをより良好に行うことができる。
【0023】
請求項5の発明は、通行者検出手段が、出入口の幅方向中央部に配置され、出入口の幅方向一端部側に一方のアンテナが配置され、出入口の幅方向他端部側に他方のアンテナが配置されており、一方のアンテナ及び他方のアンテナのいずれも、出入口の幅方向中央側且つ下方側を向いた形態で配置されている。このようにすると、通行者検出手段が配置された出入口の幅方向中央部付近を両側のアンテナによって重点的にカバーすることができ、最も通行者が通りやすい幅方向中央部付近における検出漏れ(読みこぼし)を効果的に抑えることができる。
【0024】
請求項6の発明は、アンテナを駆動して当該アンテナの設置角度を変更する設置角度変更手段が設けられており、この設置角度変更手段は、キャリア出力手段によるキャリアの出力後に、アンテナの設置角度を変更するように構成されている。このようにすると、キャリア出力開始時にアンテナの角度が適切でなかったとしても、キャリアの出力後にアンテナが駆動されて適切な角度に設置されやすくなり、ひいては無線タグの読み取りが良好に行われやすくなる。
【0025】
請求項7の発明は、出入口の通行を管理する通行管理システムにおいて、監視範囲に存在する通行者を検出する通行者検出手段と、通行者検出手段によって通行者が検出された場合に、所定の読取可能領域において通行者が所持する情報コードの読み取りを開始する情報コード読取手段と、情報コード読取手段による情報コードの読取結果に基づいて、通行者検出手段によって検出された通行者が、出入口の通過が許可された者か否かを判断する判断手段と、出入口を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、判断手段により通行者が出入口の通過許可者と判断された場合に、出入口を解錠状態に切り替える施錠手段とが設けられている。
このようにすると、情報コードを所持する通行者が監視範囲に入ったことを検出して情報コードの読み取りを開始することができるため、適切な時期(通行者が監視範囲に入った時期)に読取処理を行うことができる。そして、情報コードの読取結果に基づき、通行者検出手段によって検出された通行者が、出入口の通過が許可された者か否かを判断し、通過許可者と判断された場合には適切に解錠動作を行うことができる。
【0026】
請求項8の発明では、レーザレーダ装置を通行者検出手段として用いており、このようにすると、広範囲・長距離での通行者の検出が可能となり、広い検出エリアで通行者を良好に検出できるようになる。
【0027】
請求項9の発明では、レーザレーダ装置が情報コード読取手段として兼用されているため、複数種類の機器を用意する必要がなく、装置構成を簡素化・コンパクト化し易くなる。
【0028】
請求項10の発明では、通行者判別手段によって検出物体が通行者であると判別された場合に、通行者の移動を追跡する追跡手段が設けられている。このようにすると、通行者の挙動を把握することができ、把握した挙動を後の処理に役立てることができる。
【0029】
請求項11の発明では、追跡手段によって通行者を読取可能エリアまで追跡した後に、情報コード読取手段による情報コードの読み取りを開始している。このようにすると、通行者が読取可能エリアに入ったか否かを確認した上で読み取りを行うことができるため、読取可能エリア外での無駄な読取処理を削減し易くなり、且つ通行者を正確に把握して読取処理を適切に開始することができる。
【0030】
請求項12の発明は、通行者検出手段によって通行者が検出された後に、情報コード読取手段による情報コードの読み取りが失敗した場合又は一定期間の間に情報コード読取手段によって情報コードが読み取られなかった場合に報知を行う報知手段が設けられている。このようにすると、読み取りが成功していないことを通行者或いは管理者に把握させることができ、その後の適切な対応につながりやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る通行管理システムを概略的に説明する説明図である。
【図2】図2は、第1実施形態の通行管理システムにおける通行口外側の構成を通行口外側正面側から見た説明図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る通行管理システムの電気的構成を例示するブロック図である。
【図4】図4(A)は、第1実施形態に係る通行管理システムにおいて無線タグリーダとして機能する部分の電気的構成を例示するブロック図である。図4(B)は、無線タグの電気的構成を例示するブロック図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係る通行管理システムで行われる認証処理の流れを例示するフローチャートである。
【図6】図6は、人感センサによる検出タイミングと、キャリア出力タイミングとの関係を説明するタイミングチャートである。
【図7】図7は、人感センサによる監視範囲と、通信可能エリアとの関係を説明する説明図である。
【図8】図8(A)は、通信エリア内に複数の無線タグが存在する場合の読み取り失敗例を説明する説明図であり、図8(B)は、通信エリア内に複数の無線タグが存在する場合の読み取り成功例を説明する説明図である。
【図9】図9は、本発明の第2実施形態に係る通行管理システムを概略的に説明する説明図である。
【図10】図10は、第2実施形態に係る通行管理システムで行われる認証処理の流れを例示するフローチャートである。
【図11】図11は、第3実施形態に係る通行管理システムを概略的に説明する説明図である。
【図12】図12は、図11の通行管理システムで用いられるレーザレーダ装置を概略的に説明する断面図である。
【図13】図13は、図11の通行管理システムで行われる検出処理の流れを例示するフローチャートである。
【図14】図14は、図12のレーザレーダ装置を上方側から見た場合の通行管理エリアと読取可能エリアとを説明する説明図である。
【図15】図15は、第3実施形態に係る通行管理システムで読み取られる情報コードが付された所持物(札)を概略的に説明する説明図である。
【図16】図16(A)は、図12のレーザレーダ装置でレーザ走査を行ったときの偏向部の角度と検出される距離値との関係を例示するグラフである。図16(B)は、読取可能範囲に存在する情報コードを走査したときの偏向部の角度と受光量との関係を例示するグラフである。
【図17】図17は、図11の通行管理システムで行われる追跡について概念的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[第1実施形態]
以下、本発明の通行管理システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る通行管理システムを概略的に説明する説明図である。図2は、第1実施形態の通行管理システムにおける通行口外側の構成を通行口外側正面側から見た説明図である。図3は、第1実施形態に係る通行管理システムの電気的構成を例示するブロック図である。図4(A)は、第1実施形態に係る通行管理システムにおいて無線タグリーダとして機能する部分の電気的構成を例示するブロック図である。図4(B)は、無線タグの電気的構成を例示するブロック図である。
【0033】
(通行管理システムの概要)
図1に示す通行管理システム1は、例えば部屋2内への人の入退室を管理する入退室管理システムとして構成されている。この通行管理システム1は、図1、図2に示すように、通行者Pに所持される無線タグ40と、出入口3の外側において出入口3の上方近傍に配置されるアンテナ22と、同じく出入口3の外側において出入口3の上方近傍に配置される人感センサ30と、アンテナ22及び人感センサ30と電気的に接続されるコントローラ9と、コントローラ9によって制御される電気錠7と、コントローラ9に通信可能に接続される管理装置50とを備えている。
【0034】
この通行管理システム1が設けられた部屋2は、出入口3が扉5により開閉されるように構成されており、この扉5は、例えばスライド式或いは回動式に構成されており、扉5と隣接する位置には電気錠7が設けられている。電気錠7は、例えば、通電することにより電気錠内部の電磁石が動作されて扉5の施解錠を行う電磁式電気錠などが用いられる。
【0035】
コントローラ9は、例えば、図3のように構成されており、制御回路10、通信部11、メモリ12、無線タグ通信部21などを備えている。本実施形態に係る通行管理システム1では、コントローラ9とアンテナ22とによって公知の無線タグリーダとして構成されている。
【0036】
制御回路10は、例えばマイクロコンピュータ等で構成されており、メモリ12に記憶された制御プログラムに従いコントローラ9全体を制御している。例えば、データ送信時には制御回路10から無線タグ通信部21の送信回路21a(図4(A))に対して無線タグ40に送信するべき送信データが出力されるようになっており、データ受信時には受信回路21b(図4(A))にて生成された受信データが制御回路10に入力されるようになっている。
【0037】
メモリ12は、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの公知の記憶媒体によって構成されており、コントローラ9で扱われる各種情報を記憶している。例えば、ROMには上述の制御プログラムなどが記憶されており、RAMや不揮発性メモリなどには通行者の進入履歴情報などが記憶可能とされている。また、通信部11は、例えば公知のLANインターフェースなどによって構成されており、コントローラ9と管理装置50との間で通信を行うためのインターフェースとして機能している。
【0038】
無線タグ通信部21は、図4(A)に示すように、送信回路21a、受信回路21bなどを備えている。送信回路21aは、例えば、キャリア発振器、符号化部、変調部、増幅器、などによって構成されており、キャリア発振器は、所定周波数のキャリア(搬送波)を出力しており、符号化部は、制御回路10に接続され、制御回路10より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)及び符号化部からの送信データが入力されるものであり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。また、増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を設定された増幅率で増幅しており、その増幅信号が送信信号としてアンテナ22に出力されるようになっている。
【0039】
また、アンテナ22には、受信回路21bの入力端子が接続されており、アンテナ22によって受信された電波信号(受信信号)は、受信回路21bに入力されるようになっている。受信回路21bは、例えば、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ22によって受信された受信信号を増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調している。更に、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化すると共に、復号化部にて復号化し、その復号化された信号を受信データとして制御回路10に出力している。
【0040】
無線タグ40は、ハードウェア的には公知のRFIDタグとして構成されている。この無線タグ40は、図4(B)に示すように、アンテナ41,電源回路42,復調回路43,制御回路44,メモリ45,変調回路46,負荷変調回路47などによって構成されている。尚、アンテナ41には、コンデンサ48が並列に接続されている。この無線タグ40は、無線タグ送信部21及びアンテナ22より送信された搬送波をアンテナ41を介して受信すると、電源回路42において搬送波を整流して動作用電源を生成し、マイクロコンピュータで構成される制御回路44及びその他の構成要素に供給している。
【0041】
また、無線タグ40では、搬送波に重畳されているアンテナ22からの送信データが復調回路43によって復調され、制御回路44に出力されるようになっている。制御回路44は、動作用電源が供給されて起動すると、リーダ側からの送信データ(アンテナ22からの送信データ)を受けてメモリ45に記憶されているデータを読み出している。変調回路46は、受信した搬送波を分周した副搬送波を制御回路44が出力する応答データによって変調している。更に、アンテナ41には、負荷変調回路47を構成する抵抗及びスイッチの直列回路が並列に接続されており、変調回路46より出力される副搬送波の被変調信号により負荷変調回路47のスイッチがオンオフされることで搬送波が負荷変調され、応答(レスポンス)が返信されるようになっている。
なお、図4(A)(B)では、図3に示す無線タグ通信部21及び無線タグ40の一例を挙げたが、電波を媒介として無線通信が可能な他の構成を用いてもよい。
【0042】
人感センサ30は、出入口3付近に存在する通行者を検出するセンサであり、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、可視光センサなどによって構成されている。この人感センサ30は、通行者が所定の検出エリアAR1内に進入したときに当該通行者を検出し、検出信号を出力するように構成されている。人感センサ30からの出力される検出信号は制御回路10に入力されるようになっている。なお、人感センサ30は、「通行者検出手段」の一例に相当し、検出エリアAR1(監視範囲)に存在する通行者を検出するように機能する。
【0043】
管理装置50は、CPU、記憶手段(ROM、RAM、HDD等)、入力手段(マウス、キーボード等)などを備えた情報処理装置(例えば公知のパーソナルコンピュータ)として構成されており、コントローラからの各種情報(例えば、通行履歴や認証履歴等)を取得し、蓄積し得るように構成されている。
【0044】
(認証処理)
次に、通行管理システム1で行われる認証処理について説明する。図5は、第1実施形態に係る通行管理システム1で行われる認証処理の流れを例示するフローチャートである。 図5に示す認証処理は、コントローラ9の制御回路10によって行われるものであり、例えば電源投入などをトリガとして開始され、まず人感センサ30によって通行者が検出がなされたか判断する(S1)。人感センサ30によって通行者が検出されていない場合にはS1にてNoに進み、キャリア出力の停止を維持する。このような処理は、人感センサ30によって通行者が検出されるまで行われる。なお、S2の処理では、処理前にキャリアが出力されている場合にはそのキャリア出力を停止し、処理前にキャリアが出力されていない場合にはキャリア出力の停止を維持するように処理がなされる。
【0045】
人感センサ30によって通行者が検出されると、S1にてYesに進み、無線タグ通信部21からアンテナ22を介して搬送波(キャリア)が出力される。ここでは、キャリアと共に特定の無線タグを捕捉するための所定の捕捉用コマンドが送信される(S3)。そして、本実施形態で用いられる無線タグ40は、この所定の捕捉用コマンドを受信したときに規定された応答を返すように構成されており、S4では、S3で送信された捕捉用コマンドに対して当該規定された応答があったか否かを判断している。そして、このような規定の応答がない場合にはS4にてNoに進み、S1以降の処理を繰り返す。図5の認証処理では、捕捉用コマンドの送信が開始された後、当該捕捉用コマンドに対する規定の応答がない場合、人感センサ30による検出が終わるまで前記捕捉用コマンドが出力され続ける。従って、図6のタイミングチャートに示すように人感センサ30(通行者検出手段)が通行者を検出している期間中はキャリアの出力が継続することとなる。
なお、本実施形態では、S1、S3の処理を実行するコントローラ9が「キャリア出力手段」の一例に相当し、人感センサ30(通行者検出手段)によって通行者が検出された場合に、アンテナ22を介してキャリアを出力するように機能する。
【0046】
本実施形態では、図8のように通信可能エリア(無線タグ40からのコマンドをアンテナ22を介してコントローラ9が受信可能な領域AR2)内に複数の無線タグ4が存在する状況下において、少なくともいずれかの無線タグ40を所持する通行者が人感センサ30によって検出されている期間中はキャリアの出力が継続されるようになっている。従って、例えば、図8(A)のように、ある期間中に第1の通行者P1、第3の通行者P3の無線タグ40が読み取られ、第2の通行者P2の無線タグ40が認識されなかったとしてもいずれかの通行者が人感センサ30によって検出されている限りキャリアの出力が中断せず、読み取りの機会が与えられることとなる。従って、仮に図8(A)のように一時的に第2の通行者P2の無線タグ40が認識されなかったとしても、その後のキャリア出力の維持によって図8(B)のように読み取られる可能性が高くなる。
【0047】
また、本実施形態では、図2、図7に示すように、4つのアンテナ22a、22b、22c、22dが、出入口3の幅方向において所定距離隔てて配置されており、幅方向において複数のアンテナ22a、22b、22c、22dの間の位置に人感センサ30が設けられている。具体的には、人感センサ30が、出入口3の幅方向中央部に配置され、出入口3の幅方向一端部側(図2のように出入口3を外側から見て左側)に一方のアンテナ22a、22bが配置され、出入口3の幅方向他端部側(出入口3を外側から見て右側)に他方のアンテナ22c、22dが配置されており、一方のアンテナ22a、22b、及び他方のアンテナ22c、22dのいずれも、出入口3の幅方向中央側且つ下方側を向いた形態で配置されている。そして、図1、図7に示すように、出入口3付近の外側において、床から所定の高さのエリアでは、コントローラ9からアンテナ22を介して出力されるコマンドを無線タグ40が読取可能な領域AR2(即ち、無線タグ40がアンテナ22からのキャリアを取得可能な領域)が、人感センサ30(通行者検出手段)による通行者の監視範囲AR1を含み、且つ当該監視範囲AR1よりも広い領域とされている。また、本実施形態では、4つのアンテナ22a、22b、22c、22dが指向性アンテナとして構成されており、いずれのアンテナ22a、22b、22c、22dについても設置角度が変更可能とされている。具体的には、アンテナ22a、22b、22c、22dのいずれについても設置角度を前後及び左右に変更可能とされており、電波の向きを前後又は左右に調整し得る構成をなしている。
【0048】
一方、人感センサ30によって通行者の検出がなされているときに無線タグ40から捕捉用コマンドに対する正規の応答が検出された場合、S4にてYesに進み、認証処理を行う(S5)。なお、本実施形態では、コントローラ9が「受信手段」の一例に相当し、無線タグ40から出力されるコマンドをアンテナ22を介して受信するように機能する。また、本実施形態で用いられる無線タグ40は、図1に示すように通行者に所持されて用いられると共に、「キャリア出力手段」からキャリアを受信したときにコマンドを出力するように機能している。
【0049】
S5の認証処理では、無線タグ40が正規の無線タグか否かを判断する処理を行う。具体的には、例えば、無線タグ40に記録された固有IDを読み取る処理を行い、更に、その読み取った固有IDが、管理装置50又はコントローラ9に予め記録されている許可IDに該当するか否かを判断する処理を行う。固有IDが登録されている許可IDに該当する場合には認証成功と判断してS6にてYesに進む。一方、固有IDが登録されている許可IDに該当しない場合には認証失敗と判断してS6にてNoに進む。
なお、本実施形態では、コントローラ9が「無線タグ読取手段」の一例に相当し、「受信手段」によりコマンドが受信された場合に、無線タグ40に記録された固有IDを読み取るように機能する。また、コントローラ9は、「ID判別手段」の一例に相当し、「無線タグ読取手段」によって読み取られた固有IDが、出入口3の通過が許可される許可IDか否かを判別するように機能する。
【0050】
S5の認証処理において認証が成功した場合にはS6にてYesに進み、電気錠7の解錠処理を行う(S7)。この解錠処理では、制御回路10から電気錠7に対して解錠信号が与えられ、電気錠7はこの解錠信号に応じて解錠状態に動作する。
コントローラ9及び電気錠7は、「施錠手段」の一例に相当し、出入口3を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、上記「ID判別手段」により固有IDが許可IDと判断された場合に、出入口3を解錠状態に切り替えるように機能する。
【0051】
一方、S5の認証処理において認証が失敗した場合には、S6にてNoに進み、所定のエラー処理を行う(S8)。このエラー処理は、例えば認証が失敗したことをユーザに知らしめる処理であり、例えば、表示部(図示略)に認証が失敗した旨の情報を表示してもよく、ブザーの鳴動やLEDの点灯などを行うようにしてもよい。なお、このS8の処理を省略し、認証が失敗した場合には何も行わずにS1に戻るようにしてもよい。
【0052】
(第1実施形態の主な効果)
本実施形態に係る通行管理システム1では、監視範囲AR1に存在する通行者を検出する人感センサ30(通行者検出手段)と、人感センサ30によって通行者が検出された場合に、アンテナ22を介してキャリアを出力する「キャリア出力手段」(コントローラ9)と、通行者に所持されると共に、コントローラ9からアンテナ22を介して出力されたキャリアを受信したときにコマンドを出力する無線タグ40と、無線タグ40から出力されるコマンドをアンテナ22を介して受信する「受信手段」(コントローラ9)と、この「受信手段」によりコマンドが受信された場合に、無線タグ40に記録された固有IDを読み取る「無線タグ読取手段」(アンテナ22及びコントローラ9)と、この「無線タグ読取手段」によって読み取られた固有IDが、出入口3の通過が許可される許可IDか否かを判別する「ID判別手段」(コントローラ9)と、出入口3を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、「ID判別手段」により固有IDが許可IDと判断された場合に、出入口3を解錠状態に切り替える「施錠手段」(コントローラ9及び電気錠7)とが設けられている。このようにすると、無線タグ40を所持する通行者が監視範囲AR1に入ったことを検出してキャリアを出力できるため、適切な時期(通行者が監視範囲AR1に入った時期)にキャリアの出力を開始して省電力化を図ることができる。そして、無線タグ40に記録された固有IDが許可IDであるか否かを判断し、許可IDである場合(即ち、通行者が正規の無線タグ40を所持している場合)に適切に解錠動作を行うことができる。更に、本発明では、「通行者検出手段」が通行者を検出している期間中、キャリアの出力を継続しているため、監視範囲AR1に通行者が存在している間は無線タグ40の読み取りを持続することができ、キャリア出力の中止に起因する読みこぼしを効果的に低減できる。
【0053】
また、コントローラ9(受信手段)によるコマンドの読取可能領域AR2内において複数の無線タグ40が存在する場合、少なくともいずれかの無線タグ40を所持する通行者が人感センサ30によって検出されている期間中、キャリアの出力を継続している。このようにすると、複数の無線タグ40を読取可能な状況下においていずれかの無線タグ40の認証が終わったとしても、いずれかの通行者が人感センサ30によって検出されている限りはキャリアの出力が維持されるため、認証が終了した無線タグ40以外の他の無線タグ40をも確実に認証できるようになる。
【0054】
また、コントローラ9(受信手段)によるコマンドの読取可能領域AR2が、人感センサ30(通行者検出手段)による通行者の監視範囲AR1を含み、且つ当該監視範囲AR1よりも広い領域とされている。このようにすると、通行者が検出されて無線タグ40の読み取りに移行した直後に無線タグ40が読取可能領域AR2内で維持されやすく、通行者の検出直後に無線タグ40の読み取りを迅速に且つ良好に行うことができる。
【0055】
また、複数のアンテナ22a〜22dが、出入口3の幅方向において所定距離隔てて配置されており、幅方向において複数のアンテナ22a〜22dの間の位置に人感センサ30(通行者検出手段)が設けられている。このようにすると、人感センサ30の幅方向外側をアンテナ22によってカバーし易くなり、人感センサ30による通行者の検出後に無線タグ40が読取可能領域AR2から幅方向に外れにくくなる。従って、例えば、通行者が幅方向に移動し得る環境等において無線タグ40の読み取りをより良好に行うことができる。
【0056】
また、人感センサ30(通行者検出手段)が、出入口3の幅方向中央部に配置され、出入口3の幅方向一端部側に一方のアンテナ22a、22bが配置され、出入口3の幅方向他端部側に他方のアンテナ22c、22dが配置されており、一方のアンテナ22a、22b及び他方のアンテナ22c、22dのいずれも、出入口3の幅方向中央側且つ下方側を向いた形態で配置されている。このようにすると、人感センサ30が配置された出入口3の幅方向中央部付近を両側のアンテナによって重点的にカバーすることができ、最も通行者が通りやすい幅方向中央部付近における検出漏れ(読みこぼし)を効果的に抑えることができる。
【0057】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る通行管理システムを概略的に説明する説明図である。図10は、第2実施形態に係る通行管理システムで行われる認証処理の流れを例示するフローチャートである。
【0058】
第2実施形態に係る通行管理システム200は、アンテナ22を駆動可能に構成した点及び認証処理の一部を変更した点が第1実施形態の通行管理システム1と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって第1実施形態と異なる部分について重点的に説明することとし、第1実施形態と同様の部分については第1実施形態と同一の符号を付し詳細な説明は省略する。特に、図2、図4のハードウェア構成は同一であるため、適宜図2、図4を参照して説明することとする。また、本実施形態では、図3の制御回路10にアクチュエータ210が接続されており、このアクチュエータ210の変位を制御回路10によって制御可能となっている。
【0059】
図9に示すように、第2実施形態に係る通行管理システム200では、アンテナ22がアクチュエータ210によって駆動可能とされている。アンテナ22は、例えば所定の回動軸(例えば幅方向の回動軸)を中心として回動可能となるように図示しないフレームに支持(例えば図示しないフレームに設けられた一対の軸受によって回動可能に支持)されており、その回動角度がアクチュエータ210によって変更されるようになっている。
【0060】
図10では、第2実施形態に係る通行管理システム200での認証処理の流れを示している。なお、S21、S22、S23、S24の処理は、それぞれ第1実施形態での認証処理(図5)のS1、S2、S3、S4と同様である。本実施形態では、S23にて捕捉用コマンドを送信した後、その捕捉用コマンドに対する応答が確認されなかった場合に、S24にてNoに進み、アクチュエータ210の回動角度(即ちアンテナ22の角度)を所定角度(例えば数度)ずつ変更している。
【0061】
なお、本実施形態では、例えばアンテナ22についての電波が集中する所定方向(矢印F1)と鉛直方向(矢印F2)とのなす角度θについて、所定の第1角度(例えば0°)を切替可能な最小値として定め、所定の第2角度(例えば45°)を最大値として定めており、S25の処理では、前記第1角度に達してから前記第2角度に達するまで(即ち、アンテナ22が真下に向いた位置(一点鎖線22'参照)から斜め45度前方向きとなる位置(二点鎖線22"参照)まで)は所定のプラス方向に角度を増大させ、アンテナ22の向きを徐々に上側に変位させている。一方、前記第2角度に達した後には前記第1角度に達するまで(即ち、アンテナ22が斜め45度前方向きとなってから真下に向くまで)は所定のマイナス方向に角度を減少させ、アンテナ22の向きを徐々に下側に変位させている。
【0062】
なお、アクチュエータ210は、「設置角度変更手段」の一例に相当し、アンテナ22を駆動して当該アンテナ22の設置角度を変更するように機能する。設置角度変更手段が設けられており、設置角度変更手段が、キャリア出力手段によるキャリアの出力後に、アンテナの設置角度を変更することを特徴としている。
【0063】
S21、S23、S24、S25の処理は、捕捉用コマンドに対する応答が確認されるまで、若しくは人感センサ30による検出が終了するまで繰り返され、無線タグ40から捕捉用コマンドに対する応答が確認された場合には、S24にてYesに進み、S26以降の処理を行う。なお、S26、S27、S28、S29の処理は、第1実施形態で行われる認証処理(図5)のS5、S6、S7、S8と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0064】
(第2実施形態の主な効果)
このように第2実施形態に係る通行管理システム200では、アンテナ22を駆動して当該アンテナ22の設置角度を変更するアクチュエータ210(設置角度変更手段)が設けられており、このアクチュエータ210は、「キャリア出力手段」(コントローラ9)によるキャリアの出力後に、アンテナ22の設置角度を変更するように構成されている。このようにすると、キャリア出力開始時にアンテナ22の角度が適切でなかったとしても、キャリアの出力後にアンテナ22が駆動されて適切な角度に設置されやすくなり、ひいては無線タグ40の読み取りが良好に行われやすくなる。
【0065】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。
図11は、第3実施形態に係る通行管理システムを概略的に説明する説明図である。図12は、図11の通行管理システムで用いられるレーザレーダ装置を概略的に説明する断面図である。図13は、図11の通行管理システムで行われる検出処理の流れを例示するフローチャートである。図14は、図12のレーザレーダ装置の通行管理エリアと読取可能エリアを説明する説明図である。図15は、第3実施形態に係る通行管理システムで読み取られる情報コードが付された所持物(札)を概略的に説明する説明図である。図16(A)は、図12のレーザレーダ装置でレーザ走査を行ったときの偏向部の角度と検出される距離値との関係を例示するグラフである。図16(B)は、読取可能範囲に存在する情報コードを走査したときの偏向部の角度と受光量との関係を例示するグラフである。図17は、図11の通行管理システムで行われる追跡について概念的に説明する説明図である。
【0066】
本実施形態に係る通行管理システム300は、情報処理装置として構成されるコントローラ390と、電気錠7と、レーザレーダ装置301とを備えた構成をなしている。電気錠7は、第1実施形態で用いられる電気錠7と同様の構成をなしており、コントローラ390から解錠信号が出力されたときに解錠動作がなされ、コントローラ390から施錠信号が出力されているときには施錠状態が維持されるようになっている。
【0067】
コントローラ390は、CPU、メモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)、通信部を備えた構成をなしており、後述するレーザレーダ装置301から情報を取得可能に構成され、レーザレーダ装置301からの情報に応じて各種情報処理を行うように機能している。
【0068】
次に、図12を参照してレーザ測定装置301の全体構成について説明する。図12に示すように、レーザ測定装置301は、レーザダイオード310と、検出物体からの反射光L2を受光するフォトダイオード320とを備え、検出物体までの距離や方位を検出可能な装置として構成されている。
【0069】
レーザダイオード310は、「レーザ光発生手段」の一例に相当するものであり、制御回路370の制御により、図示しない駆動回路からパルス電流を受け、このパルス電流に応じたパルスレーザ光(レーザ光L1)を間欠的に出射している。なお、本実施形態では、レーザダイオード310から検出物体に至るまでのレーザ光を符号L1にて概念的に示し、検出物体からフォトダイオードに至るまでの反射光を符号L2にて概念的に示している。
【0070】
フォトダイオード320は、レーザダイオード310からレーザ光L1が発生し、そのレーザ光L1が検出物体にて反射したとき、その反射光L2を受光して電気信号に変換している。なお、検出物体からの反射光については所定領域のものが偏向部341に取り込まれる構成となっており、図12では、符号L2で示す2つのライン間の領域の反射光が取り込まれる例を示している。
【0071】
レーザダイオード310から出射されるレーザ光L1の光軸上にはレンズ360が設けられている。このレンズ360は、コリメートレンズとして構成されるものであり、レーザダイオード310からのレーザ光L1を平行光に変換している。また、このレンズ360を通過したレーザ光L1の光路上には、ミラー330が設けられている。ミラー330は、レンズ360を透過したレーザ光L1の光軸に対して傾斜した反射面330aを備え、レンズ360を透過したレーザ光L1を回動偏向機構340に向けて反射させている。本実施形態では、レンズ360を通過した水平方向のレーザ光L1をミラー330によって垂直方向(後述する中心軸342aと平行な方向)に反射させており、その反射した垂直方向のレーザ光L1が回動偏向機構340の偏向部341に入射するようになっている。
【0072】
回動偏向機構340は、平坦な反射面341aを有するミラーからなる偏向部341と、この偏向部341を支持する支持台343と、この支持台343に連結された軸部342と、この軸部342を回転可能に支持する図示しない軸受とを備えている。
【0073】
偏向部341は、ミラー330で反射されたレーザ光L1の光軸上に配置されると共に、中心軸342a(所定の中心軸)を中心として回動可能とされている。この偏向部341は、レーザダイオード310からのレーザ光L1を空間に向けて偏向(反射)させ、且つ検出物体からの反射光L2をフォトダイオード320に向けて偏向(反射)させる構成をなしている。
【0074】
また、偏向部341の回転中心となる中心軸342aの方向は、ミラー330から当該偏向部341に入射するレーザ光L1の方向とほぼ一致しており、レーザ光L1が偏向部341に入射する入射位置P1が中心軸342a上の位置とされている
【0075】
なお、本実施形態では、中心軸342aの方向を垂直方向(Y軸方向)としており、中心軸342aと直交する平面方向を水平方向としている。また、水平方向の内の所定方向をX軸方向として示している。
【0076】
図12に示すように、偏向部341の反射面341aは、垂直方向(反射面341aに入射するレーザ光L1の方向)に対して45°の角度で傾斜しており、ミラー330側から入射するレーザ光L1を、水平方向に反射させている。また、偏向部341は入射するレーザ光L1の方向と一致した方向の中心軸342aを中心として回転するため、偏向部41の回転位置に関係なくレーザ光L1の入射角度が常に45°で維持され、位置P1からのレーザ光L1の向きは絶えず水平方向(中心軸342aと直交する方向)となるように構成されている。
【0077】
また、本実施形態に係るレーザ測定装置301では、偏向部41における反射光を偏向する偏向領域(偏向部341における反射面341aの領域)が、ミラー330におけるレーザ光を反射する反射領域(ミラー330における反射面330aの領域)よりも十分大きく構成されている。
【0078】
さらに、回動偏向機構340を駆動するモータ350が設けられている。このモータ350は、軸部342を回転させることで、軸部342と連結された偏向部341を回転駆動している。なお、モータ350の具体的構成としては、例えばサーボモータ等を用いても良いし、定常回転するモータを用い、偏向部341が測距したい方向を向くタイミングに同期させてパルスレーザ光を出力することで、所望の方向の検出を可能としてもよい。また、本実施形態では、図12に示すように、モータ350の軸部342の回転角度位置(即ち偏向部341の回転角度位置)を検出する回転角度位置センサ352が設けられている。回転角度位置センサ352は、ロータリーエンコーダなど、軸部342の回転角度位置を検出しうるものであれば様々な種類のものを使用できる。
【0079】
なお、本実施形態では、回動偏向機構340とこれを駆動するモータ350とが「走査手段」として機能しており、空間にレーザ光L1を投射してレーザ光の走査を行うように機能している。また、上述のフォトダイオード320が「光検出手段」の一例に相当し、上記「走査手段」によって走査されるレーザ光が検出物体にて反射した反射光を検出するように機能している。
【0080】
回動偏向機構340からフォトダイオード320に至るまでの反射光L2の光路上には、フォトダイオード320に向けて反射光を集光する集光レンズ362が設けられ、その集光レンズ362とフォトダイオード320の間にはフィルタ364が設けられている。集光レンズ362は、偏向部341からの反射光L2を集光してフォトダイオード320に導くものであり、集光手段として機能している。また、フィルタ364は、回動偏向機構340からフォトダイオード320に至るまでの反射光L2の光路上において反射光L2を透過させ且つ反射光L2以外の光を除去するように機能している。このフィルタ364は、例えば反射光L2に対応した特定波長の光(例えば一定領域の波長の光)のみを透過させそれ以外の光を遮断する波長選択フィルタによって構成されている。
【0081】
また、本実施形態では、レーザダイオード310、フォトダイオード320、ミラー330、レンズ360、回動偏向機構340、モータ350等がケース303内に収容され、防塵や衝撃保護が図られている。ケース303における偏向部341の周囲には、当該偏向部341を取り囲むようにレーザ光L1及び反射光L2の通過を可能とする窓状の導光部304が形成されている。導光部304は、偏向部341に入光するレーザ光L1の光軸を中心とした環状形態で、ほぼ360°に亘って構成されており、この導光部304を閉塞する形態でガラス板等からなるレーザ光透過板305が配され、防塵が図られている。
【0082】
このレーザレーダ装置では、所定の基準位置(例えばロータリエンコーダの原点位置)を基準としたときの偏向部341の相対的な回動位置を検出できるようになっており、具体的には、上記「基準位置」を基準として、間欠的に照射されるパルスレーザ光の各照射のときの偏向部341の各回動位置を検出できるようになっている(即ち、各照射のときの各回動位置が、「基準位置」を基準としてどの程度回動した位置であるかを検出できるようになっている)。そして、いずれかの回動位置のときに検出物体からの反射光がフォトダイオード320にて受光されたときには、その受光時の偏向部341の角度が、「基準位置」からどの程度回転した角度であるかを特定できるようになっている。従って、「基準位置」のときに偏向部341から照射されるレーザ光L1の照射方向)を基準方向として検出物体の方向を検出できるようになっている。また、このようにフォトダイオード320によって受光されたときには、レーザダイオード10にてレーザ光L1が出力されてからフォトダイオード20によってその反射光L2を検出されるまでの時間を測定することにより、レーザ光の速度(光速)を考慮して検出物体までの距離を求めることができる。
なお、本実施形態では、制御回路370が「時間検出手段」の一例に相当し、レーザダイオード310(レーザ発生手段)にてパルスレーザ光L1が発生してから、当該パルスレーザ光L1が物体で反射してフォトダイオード320(光検出手段)によって検出されるまでの時間を検出するように機能する。また、制御回路370は、「距離算出手段」の一例に相当し、上記「時間検出手段」によって検出される時間に基づいて、検出物体までの距離を算出するように機能する。
【0083】
次に、本実施形態に係る通行管理システム300で行われる検出処理について説明する。
通行管理システム300では、例えば、レーザレーダ装置301の制御回路370により、図13のような流れで検出処理が行われる。
この検出処理では、まず、管理エリア(監視範囲)内で人を検出したか否かを判断する処理を行う(S31)。本実施形態では、例えば、図14のように、偏向部341(図12)が所定の角度範囲(例えば、図14に示すような約180度の角度範囲)にあるときにレーザ光が照射される範囲であって且つレーザレーダ装置301の所定の原点位置(例えば図12の位置P1位置)から所定距離X1以内の範囲を管理エリア(監視範囲)AR3としており、S31ではこの管理エリアAR3内に人が存在するか否かを検出している。なお、図12のレーザレーダ装置301では、図13の処理とは並列に、上述の物体検出処理が常時行われるようになっており、この物体検出処理によって管理エリアAR3内で物体が検出され、且つ、その物体が所定の判断方法によって人と判断される場合にはS31にてYesに進む。
【0084】
物体検出処理によって検出された物体が人であるか否かを判断する方法は公知の様々な方法を採用することができる。例えば、ある物体が検出されるとき当該物体にレーザ光が照射される角度範囲において偏向部341の角度毎に当該検出物体までの距離を算出することで、当該検出物体の前面部の位置を具体的に検出できると共に当該検出物体の幅値をも算出することができる。そして、このように検出される検出物体の幅値が所定値以上である場合に当該検出物体を「人」であると判断するといった方法を用いることができる。このような判断処理を行い、管理エリアAR3内において、「人」と判断される物体が検出された場合にはS31にてYesに進む。一方、「人」と判断される物体が検出されない場合にはS31にてNoに進む。
【0085】
なお、本実施形態では、管理エリアAR3が「監視範囲」の一例に相当する。また、レーザレーダ装置301が「通行者検出手段」の一例に相当し、監視範囲に存在する通行者を検出するように機能する。また、制御回路370は、「通行者判別手段」の一例に相当し、複数の時期(偏向部341の各角度の時期)における「距離算出手段」による距離の算出結果に基づいて、検出物体が通行者であるか否かを判別するように機能する。
【0086】
S31において「人」が検出された場合には、その「人」が所定の読取可能エリア内に存在するか否かを判断する。本実施形態では、図14に示すように、偏向部341が所定の角度範囲(例えば、図14に示すような約180度の角度範囲)にあるときにレーザ光L1が照射される範囲であって且つレーザレーダ装置301の所定の原点位置(例えば図12の位置P1位置)から所定距離X2以内の範囲を読取可能エリアAR4としており、S32では、S31で検出された上記「人」がこのような読取可能エリアAR4内にいるか否かを判断する。S31で検出された「人」が読取可能エリアAR4内にいない場合には、S32にてNoに進み、その「人」の座標を追跡データとして図示しないメモリに記録する(S37)。
【0087】
一方、S31で検出された「人」が、読取可能エリアAR4内にいると判断される場合、S33にて認証処理を行う。本実施形態に係る通行管理システム300では、図15に示すようなバーコード形式の情報コードCが付された札380(例えば社員証、入社許可証、入室許可証等)が用意されており、例えば、正規の通行者Pがこのような札380を所持しつつ出入口3に接近するように決められている。各通行者Pが所持する各札380の情報コードCには固有IDが記録されており、S31では通行者Pが所持する札380の情報コードCの読み取りを試みると共に、記録される固有IDが予め登録された許可IDに該当するか否かを判断している。
【0088】
具体的には、例えば以下のように読み取りが行われる。本実施形態では、図12に示すレーザレーダ装置301によって所定の高さで水平方向に走査がなされるようになっており、正規の通行者Pはこの高さ付近に情報コードCが配されるように札380を所持する。一方、レーザレーダ装置301では、稼働中、絶えずレーザ走査を行うと共に、偏向部241(図12)の各角度毎に出射される各パルスレーザ光の反射光に基づいて、各角度毎(偏向部341の1ステップ毎)に、レーザレーダ装置301の原点位置(例えば位置P1)からパルスレーザ光L1が到達する位置までの距離を算出している。そして、図16(A)のように、偏向部341の各角度毎にパルスレーサ光L1の照射位置(到達位置)までの距離値を算出できるようになっている。
【0089】
更に、レーザレーダ装置301の原点位置(例えば位置P1)からパルスレーザ光L1の照射位置(到達位置)までの距離が、距離X2よりも短い角度範囲(図16(A)の範囲Y参照)については(即ち、読取可能エリアAR4に存在する検出物体(図14の通行者P参照)にレーザ光L1が照射される角度範囲)については)、図16(B)のように、情報コードCからの受光量の波形を求め、この受光量の波形に基づいてデコード処理を行う。なお、図16(B)のような受光量の波形に基づいてデコードを行う方法は公知であるので詳細は省略するが、例えば、図15のL1'のように走査がなされ、図16(B)のような受光量の波形が得られた場合、この波形について所定の閾値D1に基づいて二値化を行い、得られた各明色部及び各暗色部の幅値に基づいてデータを解読するといった方法などが挙げられる。
なお、本実施形態では、レーザレーダ装置301が「情報コード読取手段」の一例に相当し、読取可能エリアAR4(所定の読取可能領域)において通行者Pが所持する情報コードCの読み取りを行うように機能する。
【0090】
S33での認証処理が成功した場合(即ち、情報コードCの読み取りが正常に行われ、情報コードCに記録された固有IDが許可IDに該当する場合)には、S34にてYesに進み、入室許可処理を行う(S35)。この処理では、例えば認証が成功した旨の信号をコントローラ390に与える。本実施形態では、例えば、レーザレーダ装置301からコントローラ390に対して認証成功信号が与えられたときに、コントローラ390から電気錠7に対して一定期間解錠信号が出力されるようになっており、電気錠7は、この解錠信号が出力されている期間中、解錠状態に動作する。なお、コントローラ390からの解錠信号は、例えばコントローラ390が認証成功信号を取得した後の一定期間出力され、それが終わると再び施錠信号が出力されるようになっている。
【0091】
本実施形態では、S33、S34の処理を実行する制御回路370が「判断手段」の一例に相当し、「情報コード読取手段」による情報コードCの読取結果に基づいて、「通行者検出手段」によって検出された通行者Pが、出入口3の通過が許可された者か否かを判断するように機能する。また、制御回路370、コントローラ390、電気錠7は、「施錠手段」の一例に相当し、出入口3を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、「判断手段」により通行者Pが出入口3の通過許可者と判断された場合に、出入口3を解錠状態に切り替えるように機能する。
【0092】
一方、S33での認証処理が失敗した場合(例えば、一定時間内に情報コードの読み取りが成功しなかった場合、或いは読み取られた情報コードCに許可IDに該当する固有IDが記録されていない場合)、S34にてNoに進み、報知処理を行う(S36)。この報知処理は、例えば、図示しないランプを点灯させたり、図示しないブザーを鳴動させるような処理でもよく、コントローラ390や他の管理装置に対して認証が失敗した旨の情報を送信するような処理であってもよい。
なお、本実施形態では、S36の処理を実行する制御回路370が「報知手段」の一例に相当し、「通行者検出手段」によって通行者が検出された後に、「情報コード読取手段」による情報コードCの読み取りが失敗した場合、又は一定期間の間に「情報コード読取手段」によって情報コードCが読み取られなかった場合に報知を行うように機能する。
【0093】
また、S36の処理において、ブザーなどを鳴動させ、読み取りが失敗した旨の報知を行うようにすると、正規の通行者がこの報知を受けたときには情報コードCが正常に読み取られなかったと推定することができ、例えば、札380をレーザレーダ装置301の正面に近づける等の対応をとることができるようになる。このように情報コードCの読み取りがより成功し易い位置に配置されれば、その後のS33の認証処理において認証が成功し易くなる。また、S36の報知処理において「バーコードを読取装置の正面に配置して下さい」等のアナウンスを行うようにすれば、正規の通行者にとってより親切となる。
【0094】
また、本実施形態では、通行者が読取可能エリアAR4内に存在しない場合、S32にてNoとなる毎、及びS34にてNoになる毎にS37の処理を行い通行者の座標を記録しており、図17のP11〜P16のように通行者を追跡できるようになっている。図17の例では、通行者Pが検出されてからの最初のS32Noの場合に、S37にて通行者Pの初期位置P11の座標を特定しており、その次のS32Noの場合に、S37にて通行者Pの第2位置P12の座標を特定している。このようにS37の処理が実行される毎に通行者Pの座標を特定して記録することで、図17のように通行者Pの挙動を把握でき、その挙動の情報を役立てることができるようになっている。例えば、通行者Pが管理エリアAR3内のある位置から所定距離以上動かずに一定時間以上経過するような場合には、通行者の体調不良や通行者の異常行動(例えば、不正行動)などが懸念されるため、このような場合に報知処理(ブザー鳴動、ランプ点灯、他の管理装置への連絡等)を行うようにすることができる。
【0095】
或いは、図13のS31において通行者Pが管理エリアAR3内に入ったことが検出されてから当該通行者Pを追跡し、正常な追跡経路(例えば、所定長さの追跡経路、或いは所定時間要した追跡経路)を経て読取可能エリアAR4に入った時にS33の認証処理を行い、情報コードCの読み取りを開始するようにしてもよい。この場合、例えば、管理エリアAR3の境界から読取可能エリアAR4の境界までの追跡経路の記録がない状態で読取可能エリアAR4で検出物体が検出された場合に、これを「人」ではないと無視するといった処理を行うことができる。
なお、本実施形態では、制御回路370が「追跡手段」の一例に相当し、「通行者判別手段」によって検出物体が通行者であると判別された場合に、通行者の移動を追跡するように機能する。
【0096】
(第3実施形態の主な効果)
本実施形態に係る通行管理システム300によれば、情報コードCを所持する通行者Pが管理エリアAR3(監視範囲)に入ったことを検出して情報コードCの読み取りを開始することができるため、適切な時期(通行者が監視範囲に入った時期)に読取処理を行うことができる。そして、情報コードCの読取結果に基づき、「通行者検出手段」によって検出された通行者が、出入口3の通過が許可された者か否かを判断し、通過許可者と判断された場合には適切に解錠動作を行うことができる。
【0097】
また、本実施形態では、レーザレーダ装置301を「通行者検出手段」として用いており、このようにすると、広範囲・長距離での通行者の検出が可能となり、広い検出エリアで通行者を良好に検出できるようになる。
【0098】
更に、レーザレーダ装置301が「情報コード読取手段」として兼用されているため、複数種類の機器を用意する必要がなく、装置構成を簡素化・コンパクト化し易くなる。
【0099】
また、本実施形態では、「通行者判別手段」によって検出物体が通行者であると判別された場合に、通行者の移動を追跡する「追跡手段」が設けられている。このようにすると、通行者の挙動を把握することができ、把握した挙動を後の処理に役立てることができる。この場合、「追跡手段」によって通行者を読取可能エリアAR4まで追跡した後に、「情報コード読取手段」による情報コードの読み取りを開始するように構成すると、通行者が正常に読取可能エリアAR4に入ったか否かを確認した上で読み取りを行うことができるため、読取可能エリアAR4外での無駄な読取処理を削減し易くなり、且つ通行者を正確に把握して読取処理を適切に開始することができる。
【0100】
また、本実施形態では、「通行者検出手段」によって通行者が検出された後に、「情報コード読取手段」による情報コードCの読み取りが失敗した場合又は一定期間の間に「情報コード読取手段」によって情報コードCが読み取られなかった場合に報知を行う「報知手段」が設けられている。このようにすると、読み取りが成功していないことを通行者或いは管理者に把握させることができ、その後の適切な対応につながりやすくなる。
【0101】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0102】
第1実施形態では、固有IDが予め管理装置50やコントローラ9に登録されている許可IDのいずれかに該当する場合に認証していたが、このような認証方法に限られない。例えば、無線タグ40に対して所定の認証方式で認証を行い、その認証が成功したときに、当該無線タグ40に記録される固有IDを許可IDと判断してもよい。認証処理としては、公知の内部認証方式、外部認証方式、相互認証方式のいずれであってもよく、例えば、内部認証を行う場合、コントローラ9から認証対象となる無線タグ40に対して内部認証用のコマンドを送信すると共に、コントローラ9内で発生させた乱数をその無線タグ40に送信する。一方、無線タグ40は、その乱数を受信すると共に内部に設けられた暗号化鍵によって暗号化し、その暗号データをコントローラ9に送信する。コントローラ9は、この暗号データを受信して復号鍵によって復号し、その復号化されたデータが先に送信した乱数(即ち、コントローラ9の内部で発生させた乱数)と一致しているか否かを判断し、一致している場合にはその認証対象の無線タグ40を正しいタグと認証する。
【0103】
第1実施形態では、「通行者検出手段」として人感センサ30を用いる例を示したが、第3実施形態のようなレーザレーダ装置を用いてもよい。
【0104】
第2実施形態ではS23にて捕捉用コマンドを送信してから人感センサ30による検出が終了するまで、若しくは応答が検出するまでアンテナ22を前後方向に揺動させる例を示したが、S23にて捕捉用コマンドを送信してから人感センサ30による検出が終了するまで(即ちS21にてNoとなるまで)、若しくはコマンドに対する応答が検出されるまで(即ち、S24にてYesとなるまで)アンテナ22を左右方向に揺動させてもよい。或いは、S23にて捕捉用コマンドを送信してから人感センサ30による検出が終了するまで(即ちS21にてNoとなるまで)、若しくはコマンドに対する応答が検出されるまで(即ち、S24にてYesとなるまで)、アンテナ22を前後左右方向に揺動するように構成してもよい。
【0105】
第3実施形態では、二次元的に走査を行うレーザレーダ装置301を用いた構成を例示したが、三次元的に走査を行うレーザレーダ装置を用いてもよい。例えば特開2009−98111公報に示されるようなレーザレーダ装置を用いることで、様々な高さの情報コードを読み取ることができるようになる。
【0106】
第3実施形態では、レーザレーダ装置301が「情報コード読取手段」として兼用される例を示したが、レーザレーダ装置と情報コード読取装置とを別々の装置とし、通行者の検出についてはレーザレーダ装置で行い、情報コードの読み取りについては別の情報コード読取装置によって行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1,200,300…通行管理システム
2…部屋
3…出入口
5…扉
7…電気錠(施錠手段)
9…コントローラ(キャリア出力手段、受信手段、無線タグ読取手段、ID判別手段、施錠手段)
22…アンテナ(無線タグ読取手段)
30…人感センサ(通行者検出手段)
40…無線タグ
210…アクチュエータ(設置角度変更手段)
301…レーザレーダ装置(通行者検出手段、情報コード読取手段)
310…レーザダイオード(レーザ光発生手段)
310…フォトダイオード(光検出手段)
340…回動偏向機構(走査手段)
350…モータ(走査手段)
370…制御回路(施錠手段、時間検出手段、距離算出手段、通行者判別手段、追跡手段、報知手段)
390…コントローラ(施錠手段)
P…通行者
C…情報コード
AR1…監視範囲
AR2…読取可能領域
AR3…管理エリア(監視範囲)
AR4…読取可能エリア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口の通行を管理する通行管理システムであって、
監視範囲に存在する通行者を検出する通行者検出手段と、
前記通行者検出手段によって前記通行者が検出された場合に、アンテナを介してキャリアを出力するキャリア出力手段と、
前記通行者に所持されると共に、前記キャリア出力手段から前記キャリアを受信したときにコマンドを出力する無線タグと、
前記無線タグから出力される前記コマンドを受信する受信手段と、
前記受信手段により前記コマンドが受信された場合に、前記無線タグに記録された固有IDを読み取る無線タグ読取手段と、
前記無線タグ読取手段によって読み取られた前記固有IDが、前記出入口の通過が許可される許可IDか否かを判別するID判別手段と、
前記出入口を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、前記ID判別手段により前記固有IDが前記許可IDと判断された場合に、前記出入口を前記解錠状態に切り替える施錠手段と、
を備え、
前記キャリア出力手段は、前記通行者検出手段が前記通行者を検出している期間中、前記キャリアの出力を継続することを特徴とする通行管理システム。
【請求項2】
前記キャリア出力手段は、前記受信手段による前記コマンドの読取可能領域内において複数の前記無線タグが存在する場合、少なくともいずれかの前記無線タグを所持する前記通行者が前記人感センサによって検出されている期間中、前記キャリアの出力を継続することを特徴としている。請求項1に記載の通行管理システム。
【請求項3】
前記受信手段による前記コマンドの読取可能領域が、前記通行者検出手段による前記通行者の前記監視範囲を含み、且つ当該監視範囲よりも広い領域とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通行管理システム。
【請求項4】
複数の前記アンテナが、前記出入口の幅方向において所定距離隔てて配置されており、
前記幅方向において複数の前記アンテナの間の位置に前記通行者検出手段が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の通行管理システム。
【請求項5】
前記通行者検出手段は、前記出入口の幅方向中央部に配置され、
前記出入口の幅方向一端部側に一方の前記アンテナが配置され、
前記出入口の幅方向他端部側に他方の前記アンテナが配置されており、
一方の前記アンテナ及び他方の前記アンテナのいずれも、前記出入口の幅方向中央側且つ下方側を向いた形態で配置されていることを特徴とする請求項4に記載の通行管理システム。
【請求項6】
前記アンテナを駆動して当該アンテナの設置角度を変更する設置角度変更手段を備え、
前記設置角度変更手段は、前記キャリア出力手段による前記キャリアの出力後に、前記アンテナの設置角度を変更することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の通行管理システム。
【請求項7】
出入口の通行を管理する通行管理システムであって、
監視範囲に存在する通行者を検出する通行者検出手段と、
前記通行者検出手段によって前記通行者が検出された場合に、所定の読取可能領域において前記通行者が所持する情報コードの読み取りを開始する情報コード読取手段と、
前記情報コード読取手段による前記情報コードの読取結果に基づいて、前記通行者検出手段によって検出された前記通行者が、前記出入口の通過が許可された者か否かを判断する判断手段と、
前記出入口を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、前記判断手段により前記通行者が前記出入口の通過許可者と判断された場合に、前記出入口を前記解錠状態に切り替える施錠手段と、
を備えたことを特徴とする通行管理システム。
【請求項8】
前記通行者検出手段が、
レーザ光を発生するレーザ光発生手段を備えると共に、空間に前記レーザ光を投射して前記レーザ光の走査を行う走査手段と、
前記走査手段によって走査される前記レーザ光が検出物体にて反射した反射光を検出する光検出手段と、
前記レーザ光発生手段にて前記レーザ光が発生してから、当該レーザ光が前記光検出手段によって検出されるまでの時間を検出する時間検出手段と、
前記時間検出手段によって検出される前記時間に基づいて、前記検出物体までの距離を算出する距離算出手段と、
複数の時期における前記距離算出手段による前記距離の算出結果に基づいて、前記検出物体が前記通行者であるか否かを判別する通行者判別手段と、
を備えたレーザレーダ装置からなることを特徴とする請求項7に記載の通行管理システム。
【請求項9】
前記レーザレーダ装置が前記情報コード読取手段として兼用されることを特徴とする請求項8に記載の通行管理システム。
【請求項10】
前記通行者判別手段によって前記検出物体が前記通行者であると判別された場合に、前記通行者の移動を追跡する追跡手段を備えたことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の通行管理システム。
【請求項11】
前記追跡手段によって前記通行者を前記読取可能エリアまで追跡した後に、前記情報コード読取手段による前記情報コードの読み取りを開始することを特徴とする請求項10に記載の通行管理システム。
【請求項12】
前記通行者検出手段によって前記通行者が検出された後に、前記情報コード読取手段による前記情報コードの読み取りが失敗した場合又は一定期間の間に前記情報コード読取手段によって前記情報コードが読み取られなかった場合に報知を行う報知手段を備えたことを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の通行管理システム。
【請求項1】
出入口の通行を管理する通行管理システムであって、
監視範囲に存在する通行者を検出する通行者検出手段と、
前記通行者検出手段によって前記通行者が検出された場合に、アンテナを介してキャリアを出力するキャリア出力手段と、
前記通行者に所持されると共に、前記キャリア出力手段から前記キャリアを受信したときにコマンドを出力する無線タグと、
前記無線タグから出力される前記コマンドを受信する受信手段と、
前記受信手段により前記コマンドが受信された場合に、前記無線タグに記録された固有IDを読み取る無線タグ読取手段と、
前記無線タグ読取手段によって読み取られた前記固有IDが、前記出入口の通過が許可される許可IDか否かを判別するID判別手段と、
前記出入口を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、前記ID判別手段により前記固有IDが前記許可IDと判断された場合に、前記出入口を前記解錠状態に切り替える施錠手段と、
を備え、
前記キャリア出力手段は、前記通行者検出手段が前記通行者を検出している期間中、前記キャリアの出力を継続することを特徴とする通行管理システム。
【請求項2】
前記キャリア出力手段は、前記受信手段による前記コマンドの読取可能領域内において複数の前記無線タグが存在する場合、少なくともいずれかの前記無線タグを所持する前記通行者が前記人感センサによって検出されている期間中、前記キャリアの出力を継続することを特徴としている。請求項1に記載の通行管理システム。
【請求項3】
前記受信手段による前記コマンドの読取可能領域が、前記通行者検出手段による前記通行者の前記監視範囲を含み、且つ当該監視範囲よりも広い領域とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通行管理システム。
【請求項4】
複数の前記アンテナが、前記出入口の幅方向において所定距離隔てて配置されており、
前記幅方向において複数の前記アンテナの間の位置に前記通行者検出手段が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の通行管理システム。
【請求項5】
前記通行者検出手段は、前記出入口の幅方向中央部に配置され、
前記出入口の幅方向一端部側に一方の前記アンテナが配置され、
前記出入口の幅方向他端部側に他方の前記アンテナが配置されており、
一方の前記アンテナ及び他方の前記アンテナのいずれも、前記出入口の幅方向中央側且つ下方側を向いた形態で配置されていることを特徴とする請求項4に記載の通行管理システム。
【請求項6】
前記アンテナを駆動して当該アンテナの設置角度を変更する設置角度変更手段を備え、
前記設置角度変更手段は、前記キャリア出力手段による前記キャリアの出力後に、前記アンテナの設置角度を変更することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の通行管理システム。
【請求項7】
出入口の通行を管理する通行管理システムであって、
監視範囲に存在する通行者を検出する通行者検出手段と、
前記通行者検出手段によって前記通行者が検出された場合に、所定の読取可能領域において前記通行者が所持する情報コードの読み取りを開始する情報コード読取手段と、
前記情報コード読取手段による前記情報コードの読取結果に基づいて、前記通行者検出手段によって検出された前記通行者が、前記出入口の通過が許可された者か否かを判断する判断手段と、
前記出入口を施錠状態と解錠状態とに切り替え可能に構成され、前記判断手段により前記通行者が前記出入口の通過許可者と判断された場合に、前記出入口を前記解錠状態に切り替える施錠手段と、
を備えたことを特徴とする通行管理システム。
【請求項8】
前記通行者検出手段が、
レーザ光を発生するレーザ光発生手段を備えると共に、空間に前記レーザ光を投射して前記レーザ光の走査を行う走査手段と、
前記走査手段によって走査される前記レーザ光が検出物体にて反射した反射光を検出する光検出手段と、
前記レーザ光発生手段にて前記レーザ光が発生してから、当該レーザ光が前記光検出手段によって検出されるまでの時間を検出する時間検出手段と、
前記時間検出手段によって検出される前記時間に基づいて、前記検出物体までの距離を算出する距離算出手段と、
複数の時期における前記距離算出手段による前記距離の算出結果に基づいて、前記検出物体が前記通行者であるか否かを判別する通行者判別手段と、
を備えたレーザレーダ装置からなることを特徴とする請求項7に記載の通行管理システム。
【請求項9】
前記レーザレーダ装置が前記情報コード読取手段として兼用されることを特徴とする請求項8に記載の通行管理システム。
【請求項10】
前記通行者判別手段によって前記検出物体が前記通行者であると判別された場合に、前記通行者の移動を追跡する追跡手段を備えたことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の通行管理システム。
【請求項11】
前記追跡手段によって前記通行者を前記読取可能エリアまで追跡した後に、前記情報コード読取手段による前記情報コードの読み取りを開始することを特徴とする請求項10に記載の通行管理システム。
【請求項12】
前記通行者検出手段によって前記通行者が検出された後に、前記情報コード読取手段による前記情報コードの読み取りが失敗した場合又は一定期間の間に前記情報コード読取手段によって前記情報コードが読み取られなかった場合に報知を行う報知手段を備えたことを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の通行管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
【図12】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−164812(P2011−164812A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25021(P2010−25021)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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