説明

通行者関連施設最適化提案システム

【課題】通行者に対する通行の用に供する通行施設(以下、通行者関連施設と称する)の通行のための最適化を図る。
【解決手段】位置情報取得部331により情報取得対象である各通行者の位置情報を取得し、この取得した位置情報の累積結果に基づき各通行者の通行履歴情報を通行履歴情報取得部333により取得する。そして、通行履歴情報を取得した複数の通行者のうち、通行範囲が同一である通行者の通行履歴情報を照合部334により比較照合し、その比較照合結果に基づき、最適化を要する通行者関連施設が存在するか否かを施設判定部336により判定する。そして、最適化を要する通行者関連施設が存在すると判定された場合に、最適化提案部337によりその最適化内容を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者等の通行者の通行の利用に供する通行施設等(以下、通行者関連施設と称する)の通行に関する最適化を図るための提案を行う通行者関連施設最適化提案システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、歩行者等の通行者に対し現在地から目的地までの通行路を案内する通行者用ナビゲーション装置が知られている。このとき、例えば、車椅子等を利用して通行する通行者である場合には段差のある通行路を通行することが困難である等、車椅子のほか、たとえばベビーカーまたは杖等の補助部材を利用して通行する通行者(以下、このような通行者を補助通行者と称する)が、車椅子、杖、ベビーカー等を利用せずとも自分の足でのみ通行することが可能な通行者(以下、このような通行者を非補助通行者と称する)と同等の通行路を案内したのでは、補助通行者の通行が非常に困難なものとなる場合がある。そこで、通行者の属性(たとえば、補助通行者か非補助通行者かを識別すること)に応じて最適な通行路を案内する通行者用ナビゲーション装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来技術の通行者用ナビゲーション装置では、道路や交差点等の通行の利用に供する要素ごとに、当該要素が通行者の属性に対応できている度合いを数値化し、その累積値が最小となる通行路を探索することにより、通行者の属性に対応した通行路を案内することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−21535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術の通行者用ナビゲーション装置では、通行者の属性に応じた通行路を案内することが可能である。したがって、例えば上述した例においては車椅子を利用して通行する補助通行者に対し段差等の通行者関連施設を回避して案内することが可能とも考えられる。しかしながら、このような通行者用ナビゲーション装置では車椅子を利用して通行する通行者に対し単に通行を困難とする通行者関連施設を回避して案内するにとどまる。たとえば、通行を困難とする通行者関連施設の回避の容易さ、または、当該通行を困難とする通行者関連施設を補助通行者の通行のために最適化する等まで配慮されるものではなく、補助通行者にとっての不便性が根本的に解消されるものではなかった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、通行者に対する通行の用に供する通行施設(以下、通行者関連施設と称する)の通行のための最適化を図る提案を行う通行者関連施設最適化提案システムであって、前記通行者の位置情報を取得する位置情報取得手段と、取得した位置情報の累積結果に基づき、前記通行者の通行履歴情報を取得する通行履歴情報取得手段と、通行範囲が同一である複数の前記通行者の前記通行履歴情報を比較照合する照合手段と、前記比較照合結果に基づき、最適化を要する前記通行者関連施設が存在するか否かを判定する施設判定手段と、前記最適化を要する通行者関連施設が存在すると判定された場合に、最適化内容を提案する最適化提案手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態の通行者関連施設最適化提案システムの全体構成の一例を概念的に表すシステム構成図である。
【図2】携帯端末の機能構成例を表す機能ブロック図である。
【図3】サーバの機能構成例を表す機能ブロック図である。
【図4】制御部の機能構成例を表す機能ブロック図である。
【図5】サーバの制御部によって実行される制御内容の一例を表すフローチャートである。
【図6】第1の事例の状況を表す図である。
【図7】第1の事例において提案する最適化内容の一例を表す図である。
【図8】第2の事例の状況を表す図である。
【図9】第2の事例において提案する最適化内容の一例を表す図である。
【図10】第3の事例の状況を表す図である。
【図11】第3の事例において提案する最適化内容の一例を表す図である。
【図12】第4の事例の状況を表す図である。
【図13】第4の事例において提案する最適化内容の一例を表す図である。
【図14】第5の事例の状況を表す図である。
【図15】第5の事例において提案する最適化内容の一例を表す図である。
【図16】第6の事例の状況を表す図である。
【図17】第6の事例において提案する最適化内容の一例を表す図である。
【図18】通行者の属性を自動的に判定する変形例におけるサーバの制御部の機能構成例を表す機能ブロック図である。
【図19】通行者の属性を自動的に判定する変形例におけるサーバの制御部によって実行される制御内容の一例を表すフローチャートである。
【図20】地図情報の自動更新を行う変形例におけるサーバの制御部の機能構成例を表す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の通行者関連施設最適化提案システムTSの全体構成の一例を概念的に表すシステム構成図である。
【0011】
通行者関連施設最適化提案システムTSは、自分の足のみで歩行する能力が十分でない通行者、たとえば、車椅子を利用した通行者やベビーカーを利用した通行者、自分の足と杖等の補助部材とで歩行する通行者(以下、このような通行者をまとめて補助通行者と称する)に対する通行の用に供する通行施設の最適化を図るための提案を行うものである。本明細書における「通行者」とは、道路の歩道領域やその他歩行により通行が可能な領域を通行する者(主は人間であり、他の動物は対象としていない)を指し、車椅子、杖、ベビーカ等を利用せずとも自分の足でのみ歩行する能力が十分である通行者(以下、非補助通行者と称する)HPと、補助通行者SPを含むものである。また、この補助通行者SPや非補助通行者HPの通行の用に供する「通行施設」とは、それら通行者が通行する通行路上に存在する、通行の用に供する設備全般を指し、例えば通行路上に存在する段差や階段、信号機、横断歩道、車線、縁石、あるいは通行する通行路自体等を指すものである。なお、以下の説明では、この通行の用に供する通行施設を適宜「通行者関連施設」と称する。
【0012】
図1に示すように、通行者関連施設最適化提案システムTSは、補助通行者HP及び非補助通行者SPを含む通行者がそれぞれ携帯し、各通行者の位置情報を取得する機能を有する携帯端末100と、各携帯端末100から送信された各通行者の位置情報を受信可能な基地局200と、この基地局200とネットワークNW(インターネット等)を介して接続され、各携帯端末100から送信される各種情報(位置情報及び後述する属性情報)を受信するサーバ300とを有している。
【0013】
携帯端末100としては、例えば携帯電話が用いられる。その他にも、例えば各通行者に対し現在地から目的地までの通行路を案内する通行者用ナビゲーション装置や、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報端末を用いてもよい。携帯端末100は、各種表示を行う液晶ディスプレイ等の表示部110と、通行者が各種操作入力を行うための数字キー及び操作ボタンから構成される操作部120とを有している。なお、この携帯端末100、あるいは後述するサーバ300の制御部330の位置情報取得部331が、特許請求の範囲に記載の位置情報取得手段に相当する。
【0014】
各通行者は、上記操作部120を用いて自分の属性情報を入力することが可能となっている。ここで「属性情報」とは、通行者が補助通行者SPであるか非補助通行者HPであるかを表す情報であり、例えば住所、年齢、性別、身長、体重等の個人属性情報と、車椅子、ベビーカー、松葉杖の使用の有無、その種類等を表す付帯情報、通行者(個人)を示すID情報を含むものである。入力された属性情報は、位置情報と共に、またはそれとは別に携帯端末100からサーバ300に送信される。
【0015】
図2は、携帯端末100の機能構成例を表す機能ブロック図である。
【0016】
携帯端末100は、各構成要素が図示しないCPU等を含む制御部130により制御されて動作する。
【0017】
GPSアンテナ131は、複数のGPS衛星からの航法電波を受信し、当該受信した航法電波をGPS受信部132へ供給する。GPS受信部132は、GPSアンテナ131から供給された航法電波を用いて携帯端末100の現在位置を示す緯度経度データを求め、位置情報として制御部130へ供給する。なお、位置情報を供給する際には、通行者(個人)を示すID情報を付して供給する。このID情報と、上記した属性情報に含まれるID情報とは、同一の通行者(個人)に対し同一のID情報である。
【0018】
サーバ300に対し基地局200及びネットワークNWを経由して送信するデータは、アンテナ133、無線送受信部134により処理される。すなわち、サーバ300へ送信される位置情報(ID情報含む)及び属性情報は、制御部130から無線送受信部134へ送られ、無線送受信部134により電波信号に変調されてアンテナ133へ供給される。そして、当該変調された電波信号が当該アンテナ133から基地局200に送信され、そして、ネットワークNWを経由してサーバ300へ送信される。なお、属性情報については、例えば各通行者が入力し、送信する旨の操作指示がなされたときに基地局200及びネットワークNWを経由してサーバ300への送信が行われるが、位置情報については、GPS受信部132により緯度経度データが供給される度に、所定時間おきに自動的に基地局200及びネットワークNWを経由してサーバ300へ送信されるようになっている。サーバ300では、各々の情報がもつID情報を照合して、同一のID情報の属性情報と位置情報とを対応付けて格納する。
【0019】
さらに制御部130には、メモリ135、記憶部136、上述した表示部110及び操作部120がそれぞれ接続されている。メモリ135は、種々の処理において一時的にデータを記憶するために使用される。記憶部136には、制御部130にて各種の処理をおこなうためのプログラムが記憶されている。このプログラムを起動することにより、たとえば、表示部110への表示処理や操作部120により入力された属性情報やGPS受信部132から取得した位置情報のサーバ300への送信処理等がおこなわれる。
【0020】
図3は、サーバ300の機能構成例を表す機能ブロック図である。
【0021】
サーバ300は、図1では図示を省略したが、通行者関連施設の最適化提案内容等の各種表示を行う液晶ディスプレイ等の表示部310と、管理者(たとえば、サーバ300を管理する管理者)が各種操作入力を行うためのキーボード及びマウス等から構成される操作部320とに接続されている。
【0022】
携帯端末100より基地局200及びネットワークNWを経由して受信される位置情報及び属性情報は、ネットワーク通信制御部341により受信される。この受信した属性情報と位置情報は制御部330へ供給され、属性情報に示される付帯情報に基づいて、非補助通行者HPが携帯する携帯端末100から送信された情報であるか、補助通行者SPが携帯する携帯端末100から送信された情報であるか、を判断する。そして、前者である場合には、受信された位置情報及び属性情報を非補助通行者用データベース342に格納し、後者である場合には、受信された位置情報及び属性情報を補助通行者用データベース343に格納する。
【0023】
なお、位置情報を属性情報とは別に受信した場合には、先に格納されている属性情報に含まれるID情報と当該位置情報に付されているID情報とを照合して、非補助通行者HPが携帯する携帯端末100から送信された位置情報であるか、補助通行者SPが携帯する携帯端末100から送信された位置情報であるかを判断して、非通行者用データベース342または通行者用データベース343のいずれかに格納する。
【0024】
非補助通行者用データベース342は、例えばハードディスクや大容量メモリ等で構成されるものであり、非補助通行者HPの携帯端末100より所定時間おきに受信される位置情報を順次記憶する。この記憶された位置情報の累積結果に基づき作成される、非補助通行者HPの通行履歴情報を取得することが可能となっている。同様に、補助通行者用データベース343は、補助通行者SPの携帯端末100より所定時間おきに受信される位置情報を順次記憶する。この記憶された位置情報の累積結果に基づき作成される、補助通行者SPの通行履歴情報を取得することが可能となっている。この通行履歴情報には、その各通行者の2地点で示される通行範囲、当該通行範囲内における通行経路、立寄地、移動速度、移動時間等の情報が含まれる。移動速度は、通行経路を所定距離区間毎に区分し、当該区間毎の移動時間から当該区間毎に求められる。そうすることで、たとえば、同一の通行経路において、非補助通行者HPの移動速度に変化がなく、補助通行者SPの移動速度に変化がある(たとえば、立ち往生して同じ位置情報を複数回受信することにより移動速度が遅くなる)区間が存在していた場合などには、段差や坂道等の補助通行者SPにとって通行を困難とする通行者関連施設が存在していると判断できる。また、同一の通行範囲において、非補助通行者HPの通行経路と補助通行者SPの通行経路とが途中で異なる通行経路となった区間が存在していた場合などには、階段等の補助通行者にとって通行を不可能とする通行者関連施設が存在していると判断できる。
【0025】
さらに制御部330には、地図情報データベース344及びメモリ345がそれぞれ接続されている。メモリ345は、種々の処理において一時的にデータを記憶するために使用される。また、地図情報データベース344には、複数の縮尺に対応した緯度経度データを含む地図データや、当該地図データを構成するための道路データ(歩道データ、ならびにその他の歩行により通行可能な道路データ、階段、段差、縁石等のデータを含む)、各施設を示すランドマークデータや、交差点案内に用いられる画像データ、拡大図データ、また、各施設の内容を示す詳細情報等のデータ、等が記憶されている。
【0026】
図4は、図3に示す制御部330の機能構成例を表す機能ブロック図である。
【0027】
制御部330は、位置情報取得部331(位置情報取得手段に相当)と、属性情報取得部332(属性情報取得手段に相当)と、通行履歴情報取得部333(通行履歴情報取得手段に相当)と、照合部334(照合手段に相当)と、地図情報取得部335(地図情報取得手段に相当)と、施設判定部336(施設判定手段に相当)と、最適化提案部337(最適化提案手段に相当)とを有している。
【0028】
位置情報取得部331は、携帯端末100から基地局200及びネットワークNWを経由して受信される各通行者の位置情報を取得する。また属性情報取得部332は、同様に携帯端末100から受信される通行者の属性情報を取得し、位置情報取得部331により取得された位置情報を、取得した属性情報に基づいて、通行者が非補助通行者HPである場合には非補助通行者用データベース342に格納し、通行者が補助通行者SPである場合には補助通行者用データベース343に格納する。なお、この非補助通行者用データベース342と補助通行者用データベース343の各々には、当該属性情報に対応付けて位置情報が順次記憶され、その位置情報の累積結果に基づき作成される通行履歴情報が当該属性情報に対応する通行履歴情報として格納される。そして、当該通行履歴情報で示される通行範囲毎にその属性情報ならびに通行履歴情報がグルーピングされる。
【0029】
通行履歴情報取得部333は、非補助通行者用データベース342から非補助通行者HPの通行履歴情報を取得するとともに、補助通行者用データベース343から対応する補助通行者SPの通行履歴情報を取得する。たとえば、通行範囲が同一の通行履歴情報を各々のデータベース342,343から取得する。照合部334は、通行履歴情報取得部333により取得した、通行範囲が同一である非補助通行者HPと補助通行者SPの各通行履歴情報を比較照合する。このとき、地図情報取得部335は、照合部334により比較照合される通行履歴情報で示される通行範囲を含む周辺の地図データを地図情報データベース344より取得する。
【0030】
施設判定部336は、照合部334による比較照合結果と、地図情報取得部335により取得した地図データとに基づき、補助通行者SPの通行にとって不便性が生じる通行者関連施設が存在するか否かを判定する。たとえば、同一の通行経路において、非補助通行者HPの移動速度が比較的スムーズ(移動速度のばらつきが少ない)であるのに対し、補助通行者SPの移動速度がそれまで移動してきた区間の移動速度と比べ極端に遅くなっている(または速くなっている)のが顕著に現れている区間に補助通行者SPの通行にとって不便性が生じる通行者関連施設が存在すると判定する。この判定は、たとえば、一の補助通行者SPに対する移動速度と一の非補助通行者HPに対する移動速度との比較によるものだけでなく、複数の補助通行者SPに対する移動速度と複数の非補助通行者HPに対する移動速度との比較による判断でもおこなえる。たとえば、当該同一の通行経路において、5人の補助通行者SPの移動速度が遅くなっている同一の区間が存在した場合、当該区間における5人の移動速度の遅くなり具合にばらつきがあると想定される。換言すれば、5人の補助通行者SPでも、松葉杖を利用して通行している者、車椅子を利用して通行している者、ベビーカーを押して通行している者とではその移動速度の遅くなり具合が異なることが想定される。つまり、同一の区間において複数の補助通行者SPに対する移動速度が遅くなっている場合では、その移動速度の遅くなり具合が一番顕著に現れている移動速度を比較対象とする。
【0031】
一方、それと同じ通行経路における5人の非補助通行者HPの移動速度は、当該非補助通行者HPの年齢、体重等に応じて差があるものの各々が極端に遅くなるとは考えにくい。たとえば、5人の非補助通行者HPの中に、当該同一の区間にて極端に移動速度が遅くなった者が存在していたとしても、その者が一人であれば、通行者関連施設が要因で極端に遅くなったとは考えにくい。なお、通行者関連施設が段差であった場合、当該段差につまずいて転んでしまったために移動速度が極端に遅くなってしまった、と考えられるが、当該遅くなった者が一人であることから当該要因は稀であると判断できる。つまり、複数の非補助通行者HPの移動速度を用いた場合では、当該移動速度が極端に遅くなった非補助通行者HPの人数が占める割合が少ない場合、当該非補助通行者HPにとってスムーズに通行できる区間であると判定する。
【0032】
また、移動速度と共に、あるいはそれとは別に、同一の通行範囲における、非補助通行者HPの通行経路と補助通行者SPの通行経路とを比較し、当該通行経路が異なることとなった区間に補助通行者SPの通行にとって不便性が生じる通行者関連施設が存在すると判定する。この場合も一の非補助通行者HPに対する通行経路と一の補助通行者SPに対する通行経路との比較によるものだけでなく、複数の補助通行者SPに対する通行経路と複数の非補助通行者HPに対する通行経路との比較による判断でもおこなえる。この場合、異なる通行経路となった補助通行者SPの人数の占める割合が極端に少ない場合には、補助通行者SPの通行にとって不便性が生じる通行者関連施設が存在することが要因で異なる通行経路になったと判定せず、当該異なる通行経路となった区間に当該通行者関連施設が存在するとは判定しない。一方、当該人数の占める割合が極端に少ない場合でも、異なる通行経路となった補助通行者SPの付帯情報の種別に応じて、当該通行者関連施設が存在すると判定するようにしてもよい。
【0033】
このように、当該同一の通行範囲に補助通行者SPの通行にとって不便性が生じる通行者関連施設が存在すると判定する。なお、たとえば、比較対象とされた通行履歴情報に対応する付帯情報の種別を参照することで、より具体的に、車椅子を利用して通行する通行者の通行にとって不便性が生じる通行者関連施設が存在すると判定することもできる。次に、当該通行者関連施設が存在すると判定された通行範囲における移動速度が極端に遅くなった区間を示す位置情報(緯度経度データ)や、通行区間が異なることとなった区間を示す位置情報(緯度経度データ)と、地図情報取得部335により取得した地図データに含まれる緯度経度データと照合して当該地図データによって表される地図上での当該通行者関連施設が存在する区間を特定する。
【0034】
最適化提案部337は、施設判定部336により不便性が生じる通行者関連施設が存在すると判定された場合に、不便性を解消するための最適化内容を提案する。この最適化提案部337による提案内容は、サーバ300に接続された表示部310に表示される。なお、この提案内容を図示しないプリンタに出力して印刷してもよい。なお、この最適化内容の具体例については後述する。
【0035】
このようにして提案された最適化内容を、例えば所定の機関(市区町村役所の土木課等)に提出することにより、対応する工事等の処置が行われて通行者関連施設が改善され、通行に関する最適化を図ることができる。
【0036】
図5は、サーバ300の制御部330によって実行される制御内容の一例を表すフローチャートである。
【0037】
まずステップS1では、制御部330の位置情報取得部331は、携帯端末100から基地局200及びネットワークNWを経由して受信される各通行者の位置情報を取得する。
【0038】
次にステップS2では、制御部330の属性情報取得部332は、携帯端末100から基地局200及びネットワークNWを経由して受信される各通行者の属性情報を取得する。
【0039】
次にステップS3では、制御部330の属性情報取得部332は、取得した属性情報に基づいて、当該属性情報を送信した携帯端末100を携帯する通行者が非補助通行者HPであるか補助通行者SPであるかを判断する。非補助通行者HPの属性情報であると判断した場合(ステップS3:YES)には、ステップS4において当該属性情報を非補助通行者用データベース342に格納する。一方、補助通行者SPの属性情報であると判断した場合(ステップS3:NO)には、ステップS5において当該属性情報を補助通行者用データベース343に格納する。
【0040】
またステップS3では、上記ステップS1において位置情報取得部331により取得された位置情報が属性情報取得部332により取得された属性情報と共に取得された場合には、当該属性情報に基づいて非補助通行者HPの位置情報であるか補助通行者SPの位置情報であるかを判断し、非補助通行者HPの位置情報である場合(ステップS3:YES)には、ステップS4において当該属性情報に対応付けて当該属性情報と共に当該位置情報を非補助通行者用データベース342に格納し、補助通行者SPの位置情報である場合(ステップS3:NO)には、ステップS5において当該属性情報に対応付けて当該属性情報と共に当該位置情報を補助通行者用データベース343に格納する。
【0041】
一方、ステップS1において位置情報取得部331により取得された位置情報が単独で取得された場合には、当該位置情報に付されているID情報と同一のID情報が含まれている属性情報を非補助通行者用データベース342及び補助通行者用データベース343から検索する。そして、当該ID情報が含まれる属性情報が存在しなかった場合には、取得した位置情報をメモリ135に記憶する。一方、当該ID情報が含まれている属性情報が存在した場合には、ステップS4またはステップS5において、当該属性情報に対応付けて当該位置情報を当該属性情報が格納されている非補助通行者用データベース342または補助通行者用データベース343のいずれかに格納する。
【0042】
そして、非補助通行者データベース342ならびに補助通行者データベース343の属性情報に対応して位置情報が順次格納され、当該順次格納された位置情報を累積することにより作成される通行経路、移動速度、移動時間等を含む通行履歴情報を当該属性情報に対応付けて格納するとともに当該格納された通行履歴情報で示される通行範囲毎に当該履歴情報ならびに通行履歴情報をグルーピングする。
【0043】
次にステップS6では、制御部330の通行履歴情報取得部333は、同一の通行範囲の通行履歴情報が非補助通行者用データベース342と補助通行者用データベース343の各々に存在するかを判断する。そして、存在すると判断した場合(ステップS6:YES)に、ステップS7で、当該同一の通行範囲における非補助通行者HPの通行履歴情報と補助通行者SPの通行履歴情報の各々を両データベース342,343から取得する。一方、ステップS6で、同一の通行範囲の通行履歴情報が存在しないと判断した場合(ステップS6:NO)には、処理を終了する。
【0044】
次にステップS8では、制御部330の照合部334は、上記ステップS7において通行履歴情報取得部333により取得した、非補助通行者HPと補助通行者SPの通行履歴情報を比較照合する。
【0045】
次にステップS9では、制御部330の地図情報取得部335は、上記ステップS8において照合部334により比較照合された通行履歴情報で示される通行範囲を含む周辺の地図データを地図情報データベース344より取得する。
【0046】
次にステップS10では、制御部330の施設判定部336は、上記ステップS8における照合部334による比較照合結果と、上記ステップS9において地図情報取得部335により取得した地図データとに基づき、最適化を要する通行者関連施設、すなわち補助通行者SPにとって不便性が生じる通行者関連施設が存在するか否かを判定し、地図データで表される地図上での当該通行関連施設が存在する区間を特定する。補助通行者SPにとって不便性が生じる通行者関連施設が存在しないと判定した場合(ステップS10:NO)には、判定が満たされずに処理を終了する。一方、補助通行者SPにとって不便性が生じる通行者関連施設が存在すると判定した場合(ステップS10:YES)には、次のステップS11に移行する。
【0047】
ステップS11では、制御部330の最適化提案部337は、ステップ10において特定された通行者関連施設の不便性を解消するための最適化内容を提案する。以上により、処理を終了する。
【0048】
次に、以上のような構成である通行者関連施設最適化提案システムTSによって提案される通行者関連施設の最適化内容の具体例を、複数の事例に基づいて順次説明する。
【0049】
図6は第1の事例の状況を表す図、図7は第1の事例において提案する最適化内容の一例を表す図である。
【0050】
図6に示すように、第1の事例では、利用施設Wまでの通行範囲において、照合部334により当該通行範囲に対応する非補助通行者HPと補助通行者SPとの通行履歴情報を比較照合した結果、非補助通行者HPの利用施設Wまでの通行経路と補助通行者SPの利用施設Wまでの通行経路とは地点Aから異なっている。よって、地点Aを含む区間には、補助通行者SPの通行にとって不便性が生じる通行者関連施設が存在していると判定し、地図データを用いて当該地点Aを含む区間を特定する。
【0051】
なお、利用施設Wの具体例としては、例えば車椅子を利用する通行者が使用可能な車椅子用トイレ等が挙げられる。またその他にも、例えば駅、バス停、タクシー乗り場等の乗り物発着所や、飲食店やデパート等の店舗、遊技場、行楽施設、遊園地等、種々の利用施設が挙げられる。
【0052】
この場合において、施設判定部336は、地図上における地点Aを含む区間を特定した結果、地図データを用いて当該区間内を検索することにより、図7(a)に示すように、補助通行者SPの通行にとって不便性を生じさせる段差(あるいは階段でもよい)401が存在すると判定する。そして、最適化提案部337は、施設判定部336の判定結果を受けて、補助通行者用データベース343に格納されている利用施設Wまでの通行範囲に対応する属性情報ならびに通行履歴情報から補助通行者SPの地点Aから利用施設Wまでの通行経路および移動時間を取得し、また、地図情報データベース344に格納されている当該段差401に関するデータ(たとえば、段数、高低差、傾斜角)、ならびに、当該段差401の存在する位置(地点A近傍)周辺の土地環境に関する情報を取得する。そして、当該取得したデータや情報から補助通行者SPの通行を最適化するための条件を導出する。
【0053】
図7(b)は、その導出された条件により提案する最適化内容の一つを示す概念図である。図7(b)で示すように、最適化内容は、補助通行者SPの通行にとって不便性を生じさせる段差をスロープ402に変更するというものである。この場合、スロープ402の勾配がきつくなってしまっては何ら最適化にはならない。また、通行履歴情報で示される補助通行者SPの地点Aから利用施設Wまでの通行経路より長くなっても最適化には至らない。よって、最適化提案部337は、段差401周辺の土地環境に関する情報から、勾配が緩やかとなるスロープ402を構築するために必要となる領域を抽出し、補助通行者SPが比較的容易に通行することができるスロープ402の形状、勾配、距離等さまざまなデータを構築し、最適化内容を提案する。
【0054】
この提案内容に従った処置が行われる結果、補助通行者SPは非補助通行者HPと同等の通行経路を通行することで利用施設Wの利用が可能となる。
【0055】
図8は第2の事例の状況を表す図、図9は第2の事例において提案する最適化内容の一例を表す図である。
【0056】
図8に示すように、第2の事例では、利用施設Wまでの通行範囲において、照合部334により当該通行範囲に対応する非補助通行者HPと補助通行者SPとの通行履歴情報を比較照合した結果、前述の図7と同様に、非補助通行者HPの利用施設Wまでの通行経路と補助通行者SPの利用施設Wまでの通行経路とは地点Aから異なっている。よって、地点Aを含む区間には、補助通行者SPの通行にとって不便性が生じる何らかの原因があると判定し、地図データを用いて当該地点Aを含む区間を特定する。
【0057】
この場合において、施設判定部336は、地図上における地点Aを含む区間を特定した結果、地図データを用いて当該区間内を検索することにより、図9(a)に示すように、地点Aから利用施設Wまでの通行経路の距離Lが補助通行者SPにとって通行が困難なほど長い距離であると判定する。この判定は、たとえば、あるケースを想定して得られる客観的な視点による距離の閾値との比較により判定される。たとえば、車椅子を利用した女性の高齢者である補助通行者SPが連続して5kmも通行するのは、客観的な視点でも困難であると判断できる。そして、最適化提案部337は、施設判定部336の判定結果を受けて、補助通行者用データベース343に格納されている利用施設Wまでの通行範囲に対応する属性情報ならびに通行履歴情報から補助通行者SPの地点Aまでの通行経路および移動時間を取得し、また、地図情報データベース344に格納されている当該利用施設Wに関するデータ(たとえば、設置年度、大きさ、重量、移動の可否等)、ならびに、当該利用施設Wの存在する位置や地点A周辺の土地環境に関する情報を取得する。そして、当該取得したデータや情報から補助通行者SPの通行を最適化するための条件を導出する。
【0058】
図9(b)は、その導出された条件により提案する最適化内容の一つを示す概念図である。図9(b)で示すように、最適化内容は、利用施設Wを地点A近辺に移動させることにより、補助通行者SPの通行にとって不便性を生じさせる地点Aから利用施設Wまでの通行経路の距離を短くするというものである。よって、最適化提案部337は、補助通行者SPの地点Aまでの通行経路および移動時間や、地点A周辺の土地環境に関する情報から、補助通行者SPが無理なく通行できる利用施設Wを設置するための最適な領域を抽出し、最適化内容を提案する。
【0059】
この提案内容に従った処置が行われる結果、補助通行者SPは移動可能な範囲内となった利用施設Wの利用が可能となる。
【0060】
なお、上記において利用施設Wが移設できないような事情(大型施設である等)がある場合には、例えば動く歩道等の補助通行者SPを運送する手段を新たに設置することを内容とする提案や、補助通行者SPが移動可能な領域に補助通行者SP用の利用施設Wを新たに設置することを内容とする提案を行ってもよい。
【0061】
図10は第3の事例の状況を表す図、図11は第3の事例において提案する最適化内容の一例を表す図である。
【0062】
図10に示すように、第3の事例では、照合部334により通行範囲が対応する非補助通行者HPと補助通行者SPとの通行履歴情報を比較照合した結果、非補助通行者HPの移動速度は地点Aとそれ以外の場所で変わらないのに対し、補助通行者SPの地点Aでの移動速度は地点A以外の移動速度よりも速く(例えば非補助通行者HPと同等以上の速度に)なっている。よって、地点Aを含む区間には、補助通行者SPが移動速度を上げざるを得ない、補助通行者SPの通行にとって不便性が生じる通行者関連施設が存在していると判定し、地図データを用いて当該地点Aを含む区間を特定する。
【0063】
この場合において、施設判定部336は、地図上における地点Aを含む区間を特定した結果、地図データを用いて当該区間内を検索することにより、地点Aが交差点であると判定する。さらに、地図情報データベース344に格納されている当該交差点に関するデータ(たとえば、道路幅、信号機の有無、信号機がある場合にはその青信号と赤信号の点灯時間等)を取得することにより、図11(a)に示すように、当該交差点の歩行者用信号機403の青信号の点灯時間の長さが補助通行者SPにとって充分でないと判定する。そして、最適化提案部337は、施設判定部336の判定結果を受けて、補助通行者用データベース343に格納されている利用施設Wまでの通行範囲に対応する属性情報ならびに通行履歴情報から補助通行者SPの地点Aにおける移動時間を取得し、また、地図情報データベース344に格納されている当該交差点及びその近辺の道路に関するデータを取得する。そして、当該取得したデータや情報から補助通行者SPの通行を最適化するための条件を導出する。
【0064】
図11(b)は、その導出された条件により提案する最適化内容の一つを示す概念図である。図11(b)で示すように、最適化内容は、歩行者用信号機403の青信号の点灯時間を長くするというものである。この場合、最適化提案部337は、この点灯時間の変更により当該交差点周辺の交通状況に乱れが生じないよう、取得した交差点及びその近辺の道路に関するデータを総合的に判断し、信号機403の青信号の点灯時間を算出する。
【0065】
この提案内容に従った処置が行われる結果、補助通行者SPは当該交差点において無理に急ぐ必要がなくなり、不便性なく当該交差点を利用可能となる。
【0066】
図12は第4の事例の状況を表す図、図13は第4の事例において提案する最適化内容の一例を表す図である。
【0067】
図12に示すように、第4の事例では、利用施設Wまでの通行範囲において、照合部334により当該通行範囲に対応する非補助通行者HPと補助通行者SPとの通行履歴情報を比較照合した結果、非補助通行者HPの利用施設Wまでの通行経路と補助通行者SPの利用施設Wまでの通行経路とは通行範囲全体において異なっており、非補助通行者HPは利用施設Wまで地点Aを経由して通行しているのに対し、補助通行者SPは地点Bを経由して通行している。よって、地点Aを含む区間には、補助通行者SPの通行にとって不便性が生じる通行者関連施設が存在していると判定する。
【0068】
この場合において、施設判定部336は、地図上における地点A及び地点Bを含む区間を特定した結果、地図データに含まれる地点ごとの高度データを用いて当該区間内を検索することにより、地点A経由の経路は整備(たとえば舗装)はされているが補助通行者SPにとって勾配がきつく、地点B経由の経路は整備はされていないが補助通行者SPにとって勾配が丁度よいと判定する。そして、最適化提案部337は、施設判定部336の判定結果を受けて、地図情報データベース344に格納されている当該通行経路に関するデータ(たとえば、コースや整備状態等)、ならびに、当該通行経路(地点A、地点B)周辺の土地環境に関する情報を取得する。そして、当該取得したデータや情報から補助通行者SPの通行を最適化するための条件を導出する。
【0069】
図13(b)は、その導出された条件により提案する最適化内容の一つを示す概念図である。図13(b)で示すように、最適化内容は、地点Bを経由する通行経路を整備する(たとえば舗装を行う)というものである。この場合、地点B経由の通行経路の勾配がきつくなってしまっては何ら最適化にはならない。よって、最適化提案部337は、地点B周辺の土地環境に関する情報から、勾配が緩やかとなる通行経路を整備するために必要となる領域を抽出し、補助通行者SPが比較的容易に通行することができる地点B経由の通行経路のコース、勾配、距離等さまざまなデータを構築し、最適化内容を提案する。
【0070】
この提案内容に従った処置が行われる結果、補助通行者SPは地点Bを経由して快適に利用施設Wへ移動することが可能となる。
【0071】
図14は第5の事例の状況を表す図、図15は第5の事例において提案する最適化内容の一例を表す図である。
【0072】
図14に示すように、第5の事例では、利用施設Wまでの通行範囲において、照合部334により当該通行範囲に対応する非補助通行者HPと補助通行者SPとの通行履歴情報を比較照合した結果、非補助通行者HPの通行経路と補助通行者SPの通行経路とは利用施設Wの手前まで一致しているが、補助通行者SPは当該利用施設Wに入らずに異なる経路を取っている。よって、利用施設Wの入口には、補助通行者SPの通行にとって不便性が生じる通行者関連施設が存在していると判定し、地図データに含まれる当該利用施設Wを特定する。
【0073】
この場合において、施設判定部336は、地図上における当該利用施設Wを特定した結果、当該利用施設Wに関するデータ(たとえば、施設入口の態様、昇降機器の有無等)を用いて当該施設内を検索することにより、図15(a)に示すように、補助通行者SPの通行にとって不便性を生じさせる階段404が利用施設Wの入口に存在すると判定する。そして、最適化提案部337は、施設判定部336の判定結果を受けて、補助通行者用データベース343に格納されている利用施設Wまでの通行範囲に対応する属性情報ならびに通行履歴情報から補助通行者SPの利用施設Wまでの通行経路および移動時間を取得し、また、地図情報データベース344に格納されている当該利用施設Wに関するデータを取得する。そして、当該取得したデータや情報から補助通行者SPの通行を最適化するための条件を導出する。
【0074】
図15(b)は、その導出された条件により提案する最適化内容の一つを示す概念図である。図15(b)で示すように、最適化内容は、補助通行者SPの通行にとって不便性を生じさせる利用施設Wの入口の階段404をスロープ405に変更するというものである。この場合、スロープ405の勾配がきつくなってしまっては何ら最適化にはならない。よって、最適化提案部337は、利用施設Wに関する情報から、勾配が緩やかとなるスロープ405を構築するために必要となる領域を抽出し、補助通行者SPが比較的容易に通行することができるスロープ405の形状、勾配、距離等さまざまなデータを構築し、最適化内容を提案する。
【0075】
この提案内容に従った処置が行われる結果、補助通行者SPは利用施設Wの利用が可能となる。なお、上記では施設入口にスロープ405を設けるようにしたが、その他にも、例えば利用施設Wにエレベータ等の昇降機を設置することを内容とする提案を行ってもよい。また上記の他にも、例えば利用施設Wの入口扉が小さかったり、手動開閉扉であることなども、補助通行者SPが利用施設Wの前で経路を変更する原因となる。このような場合には、入口扉を大きな扉に交換したり、手動開閉扉を自動開閉扉とする提案を行ってもよい。
【0076】
図16は第6の事例の状況を表す図、図17は第6の事例において提案する最適化内容の一例を表す図である。
【0077】
図16に示すように、第6の事例では、同様の利用施設W1,W2までの通行範囲において、照合部334により当該通行範囲に対応する非補助通行者HPと補助通行者SPとの通行履歴情報を比較照合した結果、非補助通行者HPは第1利用施設W1を利用するのに対し、補助通行者SPは第1利用施設W1には向かわず第2利用施設W2を利用している。
【0078】
この場合において、施設判定部336は、地図上における利用施設W1,W2を含む区間を特定した結果、地図データを用いて当該区間内を検索することにより、図17(a)に示すように、第1利用施設W1への通行経路は(例えば繁華街に存在する等により)人通りが多く補助通行者SPにとって移動が困難であると判定する。そして、最適化提案部337は、施設判定部336の判定結果を受けて、補助通行者用データベース343に格納されている利用施設W1,W2までの通行範囲に対応する属性情報ならびに通行履歴情報から補助通行者SPの利用施設W2までの通行経路および移動時間を取得し、また、地図情報データベース344に格納されている各利用施設W1,W2への通行経路に関するデータ、ならびに、当該通行経路周辺の土地環境に関する情報を取得する。そして、当該取得したデータや情報から補助通行者SPの通行を最適化するための条件を導出する。
【0079】
図17(b)は、その導出された条件により提案する最適化内容の一つを示す概念図である。図17(b)で示すように、最適化内容は、第1利用施設W1への通行経路中に補助通行者SPを第2利用施設W2へ案内する案内板406(案内手段に相当)を設置するというものである。この案内板406には、例えば「この先人通りが多いため施設W2もご利用ください」等の表示が行われる。この提案内容に従った処置が行われる結果、補助通行者SPは案内板406の案内に従うことで、誤って第1利用施設W1へ向かうことなく第2利用施設W2への円滑な移動が可能となる。
【0080】
以上のように、上記実施形態における通行者関連施設最適化提案システムTSは、通行者の通行の用に供する通行施設(以下、通行者関連施設と称する)の通行のための最適化を図る提案を行う通行者関連施設最適化提案システムTSであって、通行者の位置情報を取得する位置情報取得部331(位置情報取得手段に相当)と、取得した位置情報の累積結果に基づき、通行者の通行履歴情報を取得する通行履歴情報取得部333(通行履歴情報取得手段に相当)と、通行範囲が同一である複数の通行者の通行履歴情報を比較照合する照合部334(照合手段に相当)と、比較照合結果に基づき、最適化を要する通行者関連施設が存在するか否かを判定する施設判定部336(施設判定手段に相当)と、最適化を要する通行者関連施設が存在すると判定された場合に、最適化内容を提案する最適化提案部337(最適化提案手段に相当)と、を備える。
【0081】
このような構成である通行者関連施設最適化提案システムTSにおいては、位置情報取得部331により情報取得対象である各通行者の位置情報を取得し、この取得した位置情報の累積結果に基づき各通行者の通行履歴情報を通行履歴情報取得部333により取得する。そして、通行履歴情報を取得した複数の通行者のうち、通行範囲が同一である通行者の通行履歴情報を照合部334により比較照合し、その比較照合結果に基づき、最適化を要する通行者関連施設が存在するか否かを施設判定部336により判定する。そして、最適化を要する通行者関連施設が存在すると判定された場合に、最適化提案部337によりその最適化内容を提案する。
【0082】
これにより、当該提案された最適化内容を、例えば所定の機関(市区町村役所の土木課等)に提出することにより、通行者関連施設を改善して通行に関する最適化を図ることが可能となる。その結果、通行者関連施設が最適化されていないことによる通行者の不便性を根本的に解消することができる。
【0083】
上記実施形態における通行者関連施設最適化提案システムTSにおいては、通行者の属性情報を取得する属性情報取得部332(属性情報取得手段に相当)を備え、照合部334は、属性情報の内容が非補助通行者HPに対応した通行者の通行履歴情報と、属性情報の内容が補助通行者SPに対応した通行者の通行履歴情報とを比較照合し、施設判定部336は、比較照合結果に基づき、補助通行者SPにとって不便性が生じる通行者関連施設が存在するか否かを判定し、最適化提案部337は、不便性が生じる通行者関連施設が存在すると判定された場合に、不便性を解消するための最適化内容を提案する。
【0084】
このように、非補助通行者HPの通行履歴情報と補助通行者SPの通行履歴情報とを比較照合することにより、非補助通行者HPの通行経路と、補助通行者SPの通行経路とが特定の場所から異なる場合には、当該特定の場所に補助通行者SPにとって移動が困難となる通行者関連施設が存在すると推測することができるので、当該場所の通行者関連施設を改善することを内容とする最適化提案を行うことができる。
【0085】
上記実施形態における通行者関連施設最適化提案システムTSにおいては、照合部334により比較照合された通行履歴情報に対応する通行経路周辺の地図データを取得する地図情報取得部335(地図情報取得手段に相当)を備え、施設判定部336は、比較照合結果と地図データとに基づき、補助通行者SPにとって不便性が生じる通行者関連施設が存在するか否かを判定し、最適化提案部337は、不便性が生じる通行者関連施設が存在すると判定された場合に、不便性を解消するための最適化内容を提案する。
【0086】
これにより、施設判定部336により補助通行者SPにとって不便性が生じる通行者関連施設が存在するか否かを判定する際に、地図データを参照、検索することで、当該地図データに含まれる通行者関連施設に関する情報や土地環境に関する情報を参照することが可能となり、誤った提案が行われることを抑制し、より的確な最適化提案を行うことができる。
【0087】
上記実施形態における通行者関連施設最適化提案システムTSにおいては、照合部334により、非補助通行者HPの通行履歴情報と補助通行者SPの通行履歴情報とを比較照合した結果、非補助通行者HPと補助通行者SPとの通行経路が地点Aから異なっている場合、施設判定部336は、比較照合結果と地図情報とに基づき、地点Aに不便性が生じる通行者関連施設としての段差401(通行施設、通行者関連施設に相当)が存在すると判定し、最適化提案部337は、段差401を改善することを内容とする最適化提案を行う。
【0088】
これにより、補助通行者SPにとって移動が困難となる段差や階段等の通行者関連施設が存在する場合に、スロープ化等により当該段差や階段等を改善することにより、補助通行者SPが利用施設Wを利用することを可能とし、通行者関連施設の最適化を図ることができる。
【0089】
上記実施形態における通行者関連施設最適化提案システムTSにおいては、照合部334により、非補助通行者HPの通行履歴情報と補助通行者SPの通行履歴情報とを比較照合した結果、非補助通行者HPの通行経路と、補助通行者SPの通行経路とが、地点Aから異なる場合、施設判定部336は、比較照合結果と地図情報とに基づき、地点Aから通行者が利用しようとする利用施設Wまでの距離Lが補助通行者SPにとって移動が困難なほど長い距離であると判定し、最適化提案部337は、利用施設Wの設置場所を変更することを内容とする最適化提案を行う。
【0090】
これにより、利用施設Wまでの通行経路において、地点Aから利用施設Wまでの距離が補助通行者SPにとって移動が困難なほど長い距離である場合に、利用施設Wをより近い場所に移動することにより補助通行者SPが利用することを可能とし、通行者関連施設の最適化を図ることができる。
【0091】
上記実施形態における通行者関連施設最適化提案システムTSにおいては、照合部334により、非補助通行者HPの通行履歴情報と補助通行者SPの通行履歴情報とを比較照合した結果、地点A以外では補助通行者SPの移動速度が非補助通行者HPに比べて遅くなっているが、地点Aにおいては補助通行者SPの移動速度が非補助通行者HPと同等以上になっている場合、施設判定部336は、比較照合結果と地図情報とに基づき、地点Aが交差点であり、その交差点の歩行者用進行期403の青信号の点灯時間が補助通行者SPにとって充分な長さでないと判定し、最適化提案部337は、当該信号機403の青信号の点灯時間を長くすることを内容とする最適化提案を行う。
【0092】
これにより、歩行者用信号機403の青信号の点灯時間が補助通行者SPにとって充分でないことにより、交差点における補助通行者SPの移動速度が非補助通行者HPと同等以上になっているような場合に、信号機403の青信号の点灯時間を長くすることにより当該交差点において補助通行者SPが無理に急ぐ必要をなくし、補助通行者SPの通行の利便性を向上し、通行者関連施設の最適化を図ることができる。
【0093】
上記実施形態における通行者関連施設最適化提案システムTSにおいては、照合部334により、非補助通行者HPの通行履歴情報と補助通行者SPの通行履歴情報とを比較照合した結果、非補助通行者HPの通行経路と、補助通行者SPの通行経路とが、通行範囲全体において異なる場合、施設判定部336は、比較照合結果と地図情報とに基づき、補助通行者SPの通行経路が未整備であると判定し、最適化提案部337は、当該未整備の経路を整備することを内容とする最適化提案を行う。
【0094】
これにより、補助通行者SPにとって、非補助通行者HPが使用する経路より利便性のよい経路が存在するが、当該経路が未整備である場合に、当該経路を整備することにより、補助通行者SPの通行の利便性を向上し、通行者関連施設の最適化を図ることができる。
【0095】
上記実施形態における通行者関連施設最適化提案システムTSにおいては、照合部334により、非補助通行者HPの通行履歴情報と補助通行者SPの通行履歴情報とを比較照合した結果、非補助通行者HPと補助通行者SPの通行経路は利用施設Wの手前まで一致しているが、補助通行者SPの通行経路は利用施設Wに入らずに異なる経路を取っている場合、施設判定部336は、比較照合結果と地図情報とに基づき、利用施設Wに、不便性が生じる通行者関連施設としての入口階段404(通行者関連施設に相当)が存在すると判定し、最適化提案部337は、利用施設Wにおける入口階段404を改善することを内容とする最適化提案を行う。
【0096】
これにより、通行者が利用する利用施設W自体に、手動開閉扉や、施設入口に設けられた入口階段404等の、補助通行者SPにとって移動が困難となる通行設備が存在する場合に、自動開閉扉にしたり入口をスロープ化する等により利用施設Wの通行設備を改善することにより、補助通行者SPの通行の利便性を向上し、利用施設Wの通行に関する最適化を図ることができる。
【0097】
上記実施形態における通行者関連施設最適化提案システムTSにおいては、照合部334により、非補助通行者HPの通行履歴情報と補助通行者SPの通行履歴情報とを比較照合した結果、非補助通行者HPは、第1利用施設W1を利用するのに対し、補助通行者SPは第1利用施設W1とは異なる第2利用施設W2を利用する場合、施設判定部336は、比較照合結果と地図情報とに基づき、補助通行者SPにとって、第1利用施設W1への経路は人通りが多く移動が困難であると判定し、最適化提案部337は、通行経路上に補助通行者SPを第2利用施設W2へ案内する案内板406(案内手段に相当)を設置することを内容とする最適化提案を行う。
【0098】
これにより、案内板406の設置後は、補助通行者SPを第2利用施設W2へ円滑に案内することができ、補助通行者SPの通行の利便性を向上し、通行者関連施設の最適化を図ることができる。
【0099】
なお、本実施形態は、上記に限られず、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。なお、上述した実施形態と同一の構成及び手順については同一の符号を用いると共に、その説明を適宜省略し、上述した実施形態と異なる点を中心として説明する。
【0100】
(1)通行者の属性を自動的に判定する場合
本変形例は、通行履歴情報に基づき、通行者が非補助通行者HPであるか補助通行者SPであるかを自動的に判定するようにしたものである。
【0101】
図18は、本変形例におけるサーバ300の制御部330の機能構成例を表す機能ブロック図である。この図18に示す例では、サーバ300は、非補助通行者用データベース342及び補助通行者用データベース343の代わりに、位置情報取得部331により取得された位置情報を、その情報が非補助通行者HPのものであるか補助通行者SPのものであるかに関わらずに全て格納するデータベース346を有している。そして、制御部330は、属性情報取得部332の代わりに、通行者が非補助通行者HPであるか補助通行者SPであるかを通行履歴情報に基づき判定する属性判定部338(属性判定手段に相当)を有している。
【0102】
属性判定部338による判定基準の一例としては、例えば次のようなものが挙げられる。すなわち、移動速度(平均速度、最大速度、最低速度を含む)の大小(速度大なら非補助通行者HP、速度小なら補助通行者SP)、経路の種類(多様な経路を使用する場合は非補助通行者HP、もっぱら歩行専用道を使用する場合は補助通行者SP)、行動パターンの多様性(行動パターンが多様である場合は非補助通行者HP、行動パターンが一定なら補助通行者SP)等である。
【0103】
このような構成により、制御部330の各構成要素は次のように動作する。すなわち、位置情報取得部331は、携帯端末100から基地局200及びネットワークNWを介して受信される通行者の位置情報を取得し、データベース346に格納する。なお、このデータベース346では、位置情報が順次記憶され、その位置情報の累積結果に基づき作成される通行履歴情報が通行履歴情報として格納される。そして、通行履歴情報取得部333は、データベース346から通行範囲が同一の通行者(非補助通行者HP及び補助通行者SPを含む)の通行履歴情報を取得する。属性判定部338は、通行者が非補助通行者HPであるか補助通行者SPであるかを取得した通行履歴情報に基づき判定し、照合部334は、属性判定部338により非補助通行者HPであると判定された通行者の通行履歴情報と、補助通行者SPであると判定された通行者の通行履歴情報とを比較照合する。その後は前述の図4と同様であり、施設判定部336は、比較照合結果と地図情報とに基づき、補助通行者SPにとって不便性が生じる通行者関連施設が存在するか否かを判定し、最適化提案部337は、不便性を解消するための最適化内容を提案する。
【0104】
図19は、本変形例におけるサーバ300の制御部330によって実行される制御内容の一例を表すフローチャートである。
【0105】
ステップS11は前述の図5のステップS1と同様であり、制御部330の位置情報取得部331は、携帯端末100から基地局200及びネットワークNWを介して受信される通行者の位置情報を取得する。次のステップS12では、位置情報取得部331は、取得した位置情報をデータベース346に格納する。その後ステップS13で、制御部330の通行履歴情報取得部333は、同一の通行範囲の通行履歴情報がデータベース346に存在するか否かを判断する。そして、存在すると判断した場合(ステップS13:YES)に、ステップS14で、制御部330の通行履歴情報取得部333は、データベース346から、同一の通行範囲の通行者(非補助通行者HP及び補助通行者SPを含む)の通行履歴情報を取得する。
【0106】
次にステップS15では、制御部330の属性判定部338は、上記ステップS14で取得した通行履歴情報に基づき、通行者が非補助通行者HPであるか補助通行者SPであるかを判定する。
【0107】
次にステップS16では、制御部330の照合部334は、上記ステップS15において属性判定部338により非補助通行者HPであると判定された通行者の通行履歴情報と、補助通行者SPであると判定された通行者の通行履歴情報とを比較照合する。その後は前述の図5と同様である。
【0108】
上記変形例における通行者関連施設最適化提案システムTSによれば、前述した実施形態と同様の効果が得られるとともに、属性判定部338により通行者が非補助通行者HPであるか補助通行者SPであるかを自動的に判定することができるので、通行者の属性情報が不要となる。これにより、通行者が自身の属性情報を入力する手間が省かれるので、通行者の利便性を向上することができる。
【0109】
(2)地図情報の自動更新を行う場合
本変形例は、前述の図12及び図13に示す事例のように、通行履歴情報により通行者が未整備の通行経路を通行していると判定した場合において、当該通行経路が地図データに未登録である場合に、当該通行経路を地図データに自動的に追加するものである。
【0110】
図20は、本変形例におけるサーバ300の制御部330の機能構成例を表す機能ブロック図である。この図20に示す例では、制御部330は、前述の図12及び図13に示す事例のように、通行履歴情報により通行者が未整備の通行経路を通行していると判定した場合において、当該通行経路が地図データに未登録である場合に、未登録の通行経路を地図データに追加するように地図情報データベース344を更新する地図情報更新部339(地図情報更新手段に相当)を有している。この他の構成については前述の実施形態と同様である。
【0111】
上記変形例における通行者関連施設最適化提案システムTSによれば、地図情報には登録されていないが、補助通行者SPにとって利便性のよい通行経路が存在すると判定した場合に、当該通行経路を地図データに追加登録することにより、地図データを現地状況に対応した最新の情報とすることができる。また本変形例によれば、例えば通行者が携帯端末として通行者用ナビゲーション装置を携帯するような場合に、当該ナビゲーション装置に対し上記更新された地図情報データベース344から地図データを供給することにより、現地状況に即した的確な経路案内を行うことが可能となる。
【0112】
なお、以上において、図5、図19に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0113】
なお、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0114】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0115】
331 位置情報取得部(位置情報取得手段に相当)
332 属性情報取得部(属性情報取得手段に相当)
333 通行履歴情報取得部(通行履歴情報取得手段に相当)
334 照合部(照合手段に相当)
335 地図情報取得部(地図情報取得手段に相当)
336 施設判定部(施設判定手段に相当)
337 最適化提案部(最適化提案手段に相当)
338 属性判定部(属性判定手段に相当)
339 地図情報更新部(地図情報更新手段に相当)
401 段差(通行施設、通行者関連施設に相当)
403 信号機(通行施設、通行者関連施設に相当)
404 入口階段(通行者関連施設に相当)
406 案内板(案内手段に相当)
HP 非補助通行者(通行者に相当)
SP 補助通行者(通行者に相当)
TS 通行者関連施設最適化提案システム
W 利用施設(通行者関連施設に相当)
W1 第1利用施設(通行者関連施設に相当)
W2 第2利用施設(通行者関連施設に相当)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行者に対する通行の用に供する通行施設(以下、通行者関連施設と称する)の最適化を図るための提案を行う通行者関連施設最適化提案システムであって、
前記通行者の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
取得した位置情報の累積結果に基づき、前記通行者の通行履歴情報を取得する通行履歴情報取得手段と、
通行範囲が同一である複数の前記通行者の前記通行履歴情報を比較照合する照合手段と、
前記比較照合結果に基づき、最適化を要する前記通行者関連施設が存在するか否かを判定する施設判定手段と、
前記最適化を要する通行者関連施設が存在すると判定された場合に、最適化内容を提案する最適化提案手段と、
を備えたことを特徴とする通行者関連施設最適化提案システム。
【請求項2】
前記通行者の属性情報を取得する属性情報取得手段を備え、
前記照合手段は、前記属性情報の内容が非補助通行者に対応した前記通行履歴情報と、前記属性情報の内容が補助通行者に対応した前記通行履歴情報とを比較照合し、
前記施設判定手段は、前記比較照合結果に基づき、前記補助通行者にとって不便性が生じる前記通行者関連施設が存在するか否かを判定し、
前記最適化提案手段は、前記不便性が生じる通行者関連施設が存在すると判定された場合に、前記不便性を解消するための最適化内容を提案する
ことを特徴とする請求項1に記載の通行者関連施設最適化提案システム。
【請求項3】
前記通行者が非補助通行者であるか補助通行者であるかを前記通行履歴情報に基づき判定する属性判定手段を備え、
前記照合手段は、非補助通行者であると判定された前記通行者の前記通行履歴情報と、補助通行者であると判定された前記通行者の前記通行履歴情報とを比較照合し、
前記施設判定手段は、前記比較照合結果に基づき、前記補助通行者にとって不便性が生じる前記通行者関連施設が存在するか否かを判定し、
前記最適化提案手段は、前記不便性が生じる通行者関連施設が存在すると判定された場合に、前記不便性を解消するための最適化内容を提案する
ことを特徴とする請求項1に記載の通行者関連施設最適化提案システム。
【請求項4】
前記照合手段により比較照合された前記通行履歴情報に対応する前記通行経路周辺の地図情報を取得する地図情報取得手段を備え、
前記施設判定手段は、前記比較照合結果と前記地図情報とに基づき、前記補助通行者にとって不便性が生じる前記通行者関連施設が存在するか否かを判定し、
前記最適化提案手段は、前記不便性が生じる通行者関連施設が存在すると判定された場合に、前記不便性を解消するための最適化内容を提案する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通行者関連施設最適化提案システム。
【請求項5】
前記照合手段により、前記非補助通行者の前記通行履歴情報と前記補助通行者の前記通行履歴情報とを比較照合した結果、前記非補助通行者の通行経路と、前記補助通行者の通行経路とが、特定の場所から異なる場合、
前記施設判定手段は、前記比較照合結果と前記地図情報とに基づき、前記特定の場所に前記不便性が生じる通行者関連施設が存在すると判定し、
前記最適化提案手段は、前記通行者関連施設を改善することを内容とする最適化提案を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の通行者関連施設最適化提案システム。
【請求項6】
前記照合手段により、前記非補助通行者の前記通行履歴情報と前記補助通行者の前記通行履歴情報とを比較照合した結果、前記非補助通行者の通行経路と、前記補助通行者の通行経路とが、特定の場所から異なる場合、
前記施設判定手段は、前記比較照合結果と前記地図情報とに基づき、前記特定の場所から前記通行者が利用しようとする前記利用施設までの距離が補助通行者にとって移動が困難な距離であると判定し、
前記最適化提案手段は、前記利用施設の設置場所を変更することを内容とする最適化提案を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の通行者関連施設最適化提案システム。
【請求項7】
前記照合手段により、前記非補助通行者の前記通行履歴情報と前記補助通行者の前記通行履歴情報とを比較照合した結果、特定の場所以外では前記補助通行者の移動速度が前記非補助通行者に比べて遅くなっているが、前記特定の場所においては前記補助通行者の移動速度が前記非補助通行者と同等以上になっている場合、
前記施設判定手段は、前記比較照合結果と前記地図情報とに基づき、前記特定の場所が交差点であり、信号機の青信号の点灯時間が前記補助通行者にとって充分な長さでないと判定し、
前記最適化提案手段は、前記信号機の青信号の点灯時間を長くすることを内容とする最適化提案を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の通行者関連施設最適化提案システム。
【請求項8】
前記照合手段により、前記非補助通行者の前記通行履歴情報と前記補助通行者の前記通行履歴情報とを比較照合した結果、前記非補助通行者の通行経路と、前記補助通行者の通行経路とが、通行範囲全体において異なる場合、
前記施設判定手段は、前記比較照合結果と前記地図情報とに基づき、前記補助通行者の通行経路が未整備であると判定し、
前記最適化提案手段は、前記未整備の通行経路を整備することを内容とする最適化提案を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の通行者関連施設最適化提案システム。
【請求項9】
前記施設判定手段により、前記未整備の通行経路が存在すると判定された場合に、前記未整備の通行経路を前記地図情報に追加するように前記地図情報を更新する地図情報更新手段を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の通行者関連施設最適化提案システム。
【請求項10】
前記照合手段により、前記非補助通行者の前記通行履歴情報と前記補助通行者の前記通行履歴情報とを比較照合した結果、前記非補助通行者と前記補助通行者の通行経路は利用施設の手前まで一致しているが、前記補助通行者の通行経路は前記利用施設に入らずに異なる経路を取っている場合、
前記施設判定手段は、前記比較照合結果と前記地図情報とに基づき、前記利用施設に前記不便性が生じる通行者関連施設が存在すると判定し、
前記最適化提案手段は、前記利用施設における通行者関連施設を改善することを内容とする最適化提案を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の通行者関連施設最適化提案システム。
【請求項11】
前記照合手段により、前記非補助通行者の前記通行履歴情報と前記補助通行者の前記通行履歴情報とを比較照合した結果、前記非補助通行者は第1利用施設を利用するのに対し、前記補助通行者は前記第1利用施設とは異なる第2利用施設を利用する場合、
前記施設判定手段は、前記比較照合結果と前記地図情報とに基づき、前記補助通行者にとって前記第1利用施設への通行経路は人通りが多く移動が困難であると判定し、
前記最適化提案手段は、前記通行経路に前記補助通行者を前記第2利用施設へ案内する案内手段を設置することを内容とする最適化提案を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の通行者関連施設最適化提案システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−210471(P2010−210471A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57752(P2009−57752)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】