説明

通行認証システム

【課題】装置設置のコストを増加させることなく、左右の手で同じように認証を行うことのできる通行認証システムを提供する。
【解決手段】提示された手から生体データを取得する認証センサをそれぞれ備え、それぞれ離間して配置されることで複数の通路を形成する複数のゲート管理装置と、前記認証センサから取得された生体データに基づく認証照合結果、および前記生体データが左右いずれの手のデータであるかの左右判別結果を出力する認証手段と、前記左右判別結果に基づき対応する前記ゲートの開閉を、前記認証照合結果に基づき制御する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証、特に手のひら静脈や指紋等の「手」に付随する特徴による生体認証を、入退室管理システムや駅の自動改札口等のゲートシステム(通行認証システム)に適用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
生体認証は、人間の持つ生体的な特徴(指紋や顔等)や行動的特徴(声や動作等)を用いて個人を識別する技術である。生体認証では、予め本人の特徴データをテンプレートとして登録しておく。認証時には、認証センサで取得した特徴データと登録済のテンプレートとを比較し、どの程度両者が似ているかを表す類似度を算出する。類似度が一定の値を超えた場合に本人であると判定する。
【0003】
また、生体画像を用いた生体認証では、登録時と照合時で全く同じ姿勢で生体特徴が入力されることはない。そのため、一定の姿勢変動は許容するように位置合わせを行いながら照合処理を行うことが一般的である。例えば、照合データに平行移動や回転などの画像変換を行いながら、登録テンプレートとの比較処理を行い、最大の類似度を探索する。多くの場合、類似度が所定の閾値を超えた時点で照合処理を終了させることが多い。そのため、照合時の姿勢変動が大きいと、照合処理に余計な時間がかかることになる。また、姿勢変動が一定の範囲を超えると画像変換では補えなくなるため、認証精度が低下する。
【0004】
一方、生体認証として「手」に付随する特徴(指紋、手のひら静脈等)を利用するものは多い。それは、(1)手が外部に露出していること、(2)動作の自由度が高いこと、が生体認証として有利であるためである。具体的な生体特徴として、指紋、手形、掌紋、静脈等が挙げられる。従って、以下では生体認証のうち、生体的な特徴として「手」に付随する特徴を用いた生体認証に限って考察する。
【0005】
手を使った生体認証装置では、左右どちらの手でも利用可能となっていることが多い。例えば、登録時に左右の指紋を登録しておき、認証時にどちらの指紋を用いても認証可能にしておく。具体的には、入力した指紋特徴データと登録済みの左右の指紋のテンプレートを順に比較し、いずれかの類似度が所定の閾値を超えた場合に本人であると判定する。
【0006】
しかし、実際の生体認証装置は、右利きの人が多いため、右手優先でデザインされていることがほとんどである。例えば、入退室管理装置の場合、読取センサがドアの右側に配置されていることが多い。
【0007】
このような配置の認証センサでは、左利きの人は利き手でない手を使って認証する必要があり、利便性が低下する問題がある。また、認証特徴を正確に認証センサに入力することが難しくなるため、生体認証の認証速度および認証精度の低下につながる問題も引き起こす。右利きの人であっても、右手を怪我していたり、重い荷物を持っていたりする時に左手で認証したい場合にも同様の問題が発生する。特に、生体認証をゲート型の入退室管理システムや駅の改札口など、多人数の認証に適用するケースを考えると、スムーズに認証できることが必須である。そのためには利用者が右利きでも左利きでも自然な形で認証できることが重要である。
【0008】
右手と左手の双方を使った生体認証に関する技術を開示する文献として特許文献1、2がある。
【0009】
図1は特許文献1に開示される技術の概要を示す図である。図1において、銀行のATM装置等の自動取引装置101には表示パネル102の右側に生体認証装置103が配置されていることが多い。この場合、使用者104が右手で操作するのは容易であるが、左手では利用しづらいことから、生体認証装置103を回転可能な構成とすることによって左手の指でも利用しやすいようにしている。しかし、左手を使う場合、手を大きく伸ばす必要があり、右手と同じように利用できる訳ではない。また、専用の回転機構を備える必要があり、メンテナンスやコストの面からもデメリットが大きい。
【0010】
図2は特許文献2に開示される技術の概要を示す図である。図2において、通行制御装置本体203は二つの部屋201、202に共通となっており、例えば、左手の指紋が認証された場合には左側の部屋201が電気錠制御部204により入室可能となり、右手の指紋が認証された場合には右側の部屋202が電気錠制御部205により入室可能となる。これにより、複数の管理区画への利用者の入室を管理する場合の設置コストを軽減させるとともに、スペースの利用効率を向上させている。
【0011】
しかし、指紋の読取面と管理区画の制御を対応させるものであり、右手/左手の利用者の利便性を向上させる効果はない。例えば、ある区画に入るには予め決めておいた読取面を使用する必要があり、利用者の好みの読取面を利用できる効果はない。結果として、利用者は自分の利き手でない手を用いざるを得なくなり、利便性が低下するとともに、その結果生ずる姿勢変動の影響として認証精度や認証時間の低下を招くこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−277428号公報
【特許文献2】特開2007−77708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
生体認証を幅広い応用分野で利用することを考えると、右手でも左手でも同様の使い勝手で認証できることが望まれる。特に、ゲート型の入退室管理システムや駅の改札口など多人数の認証に適用することを考えると、スムーズな認証サービスの実現のために左右手での認証は必須である。
【0014】
利用者が不慣れな手で認証することを強要されると、生体特徴をうまく認証センサにかざすことができず、心理的に負担となる問題がある。また、非接触型ICカード等と異なり、生体認証の場合には認証特徴面を正確に認証センサに読み取らせる必要があるため、より正確なコントロールが必要である。従って、利き手でない方の手を認証に用いると照合時により多くの姿勢変動を招き、認証速度および認証精度の低下につながる問題がある。更に、右利きの人でも右手に荷物を持っていたり、怪我をしていて右手が使えなかったりといった理由から右手を認証に用いることが難しい場合がある。このような場合への対処としても、左右の手で同じように認証できることが望まれる。
【0015】
しかしながら、単純に装置を2台用意し、右手用、左手用とすると装置が2倍必要となり、非常にコストがかかるという問題がある。特に、多人数の利用のために複数の通路を設ける場合は、装置の設置コストは大きな問題となる。
【0016】
上記の従来の問題点に鑑み、装置設置のコストを増加させることなく、左右の手で同じように認証を行うことのできる通行認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この通行認証システムの一実施態様では、提示された手から生体データを取得する認証センサをそれぞれ備え、それぞれ離間して配置されることで複数の通路を形成する複数のゲート管理装置と、前記認証センサから取得された生体データに基づく認証照合結果、および前記生体データが左右いずれの手のデータであるかの左右判別結果を出力する認証手段と、前記左右判別結果に基づき対応する前記ゲートの開閉を、前記認証照合結果に基づき制御する制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0018】
開示の通行認証システムにあっては、通路数+1の認証センサで済むため装置設置のコストを増加させることなく、左右の手で同じように認証を行うことができるため利便性・認証精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】特許文献1に開示される技術の概要を示す図である。
【図2】特許文献2に開示される技術の概要を示す図である。
【図3】一実施形態にかかる生体認証ゲートシステムの構成例を示す図である。
【図4】集中認証処理の場合の生体認証ゲートシステムの構成例を示す図である。
【図5】分散認証処理の場合の生体認証ゲートシステムの構成例を示す図である。
【図6】登録生体データの例を示す図である。
【図7】一方向通路の場合のゲート制御テーブルの例を示す図である。
【図8】提示された手の方向と開けるゲートの対応関係の例を示す図である。
【図9】双方向通路の場合のゲート制御テーブルの例を示す図である。
【図10】照合角度Δθと利用者の侵入方向の対応関係の例を示す図である。
【図11】提示された手の方向と開けるゲートの対応関係の例を示す図である。
【図12】実施形態の処理例を示すフローチャートである。
【図13】認証処理の例を示すフローチャートである。
【図14】認証対象を限定する場合のゲート制御テーブルおよび認証条件リストの例を示す図である。
【図15】認証対象に認証優先度を付す場合のゲート制御テーブルおよび認証条件リストの例を示す図である。
【図16】認証対象に一時認証優先度を付す場合のゲート制御テーブルおよび認証条件リストの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
【0021】
<構成>
図3は一実施形態にかかる生体認証ゲートシステム(通行認証システム)の構成例を示す図である。
【0022】
図3において、生体認証ゲートシステムは、システム管理端末1と、複数のゲート管理装置2#1〜2#4と、複数のゲート3#1〜3#3と、生体認証処理サーバ4とを備えている。生体認証処理サーバ4は、認証処理を集中処理(集中認証処理)する場合に用いられ、認証処理を各ゲート管理装置2#1〜2#4で分散処理(分散認証処理)する場合には用いない。
【0023】
システム管理端末1は生体認証ゲートシステムの全般的な管理を行う部分であり、生体認証処理サーバ4および各ゲート管理装置2#1〜2#4と電気的に接続され、生体データの登録・削除、ゲート制御テーブルの設定、ゲートの開閉等を行う。
【0024】
ゲート管理装置2#1〜2#4は通行しようとする利用者の生体データを取得し、認証結果に応じてゲートの開閉等を行う部分である。認証結果には、登録された利用者であることが照合により確認されたことを示す認証照合結果と、照合により確認された生体データが左右いずれの手のデータであるかを示す方向判別結果と、照合により確認された生体データに対する提示された手の方向を示す提示方向判別結果(角度情報)とを含んでいる。
【0025】
各ゲート管理装置2#1〜2#4には利用者がかざした手から生体データを取得する認証センサ21#1〜21#4が設けられている。ゲート管理装置2#1〜2#4は壁や柵などの通行不可部6、7の間に所定の間隔をもって設けられ、複数の通路5#1〜5#3を形成する。図では通路の上方から見た状態を示している。通路は、認証を行う通路方向を図の下から上方向への一方向とする場合と、更に上から下方向を加えた双方向とする場合とがある。特定の施設への入場のみを管理する場合には、認証を行う通路方向を一方向とすることができる。認証を行う通路方向を一方向とした場合、逆方向への通行も兼用する場合は、逆方向への通行は自由に行えるものとする。特定の施設への入場と退場を管理する必要がある場合には、認証を行う通路方向を双方向にする必要がある。例えば、駅の改札口に生体認証を適用する場合、課金には両方の情報が必要であるため、入場と退場を管理する必要がある。認証を行う通路方向を双方向に対応する構成とした場合、ゲートを入場専用/出場専用/両者兼用と自由に構成を変えることができ、効率的なシステム運用が可能となる。
【0026】
ゲート3#1〜3#3はゲート管理装置2#1〜2#3にそれぞれ設けられており、ゲート管理装置2#4はゲートを有していない。なお、ゲート管理装置を4台として通路を3本とした場合について示しているが、ゲート管理装置の台数を増減することにより通路の数を増減することができる。この場合、ゲート管理装置の台数は通路の数に1を加えた値になる。
【0027】
生体認証処理サーバ4は各ゲート管理装置2#1〜2#4が利用者から取得した生体データと予め登録された生体データのテンプレートとを照合して集中的に認証処理を行う部分であり、システム管理端末1および各ゲート管理装置2#1〜2#4と電気的に接続されている。
【0028】
図4は集中認証処理の場合の生体認証ゲートシステムの構成例を示す図であり、比較的小規模な運用に適している。
【0029】
図4において、システム管理端末1は、生体データ管理部11と全ゲート制御テーブル管理部12と全ゲート監視部13とを備えている。
【0030】
生体データ管理部11は、利用者の生体データの管理を行う部分であり、生体認証処理サーバ4の後述するマスタデータベース43に利用者の生体特徴を示すテンプレートを含む生体データを登録する。
【0031】
全ゲート制御テーブル管理部12は、全てのゲート管理装置2#1〜2#4の後述するゲート制御テーブル23を管理する部分であり、システム起動時に各ゲート管理装置2#1〜2#4に対してゲート制御テーブル23の設定を行う。また、全ゲート監視部13からの参照に対してゲート制御テーブルの内容を返答する。
【0032】
全ゲート監視部13は全てのゲート管理装置2#1〜2#4の動作状態を監視し、必要があれば該当するゲート管理装置に対してゲートを開ける指示(ゲートオープン指示)を送る。全ゲート監視部13は全てのゲート管理装置2#1〜2#4から認証結果と開けるゲート番号を受け取り、開けるゲートが他のゲート管理装置のゲートである場合には該当するゲート管理装置にゲートオープン指示を送る。また、全ゲート監視部13は、動的に一時認証優先度等の付与を行う場合、全ゲート制御テーブル管理部12からゲート制御テーブルの内容を参照し、該当するゲート管理装置のゲート制御テーブル23に設定を行う。
【0033】
各ゲート管理装置2#1〜2#4は、認証センサ21と生体認証部22とゲート制御テーブル23とゲート制御部24とゲート開閉装置25とを備えている。
【0034】
認証センサ21は、生体認証を行う生体特徴を読み取るセンサである。より具体的には、指紋、手のひら静脈、掌形等の読取センサが該当する。また、認証センサ21は、読取動作を開始するタイミングを得るために利用者の手が提示されたことを検出する距離センサやタッチセンサ等も備えている。
【0035】
生体認証部22は、生体認証処理サーバ4による生体認証の仲介を行う部分である。すなわち、認証センサ21から生体データを受け取り、生体認証処理サーバ4に対して認証依頼を送る。その際、生体認証部22はゲート制御テーブル23を参照し、生体認証処理を実行する条件である認証条件を複数まとめた認証条件リストを生体データと共に生体認証処理サーバ4に送る。認証条件は、テンプレートの左右のどちらを認証対象とするか、あるいは後述する認証優先度や一時認証優先度等を含めた情報である。左右の手を均等に認証する場合には、認証条件「認証対象テンプレートL/Rフラグ:L」と認証条件「認証対象テンプレートL/Rフラグ:R」を含む認証条件リストとなる。なお、左右の手を均等に認証する場合には認証条件リストの付加をしないという実装にしてもよい。そして、生体認証部22は、生体認証処理サーバ4から受け取った認証結果をゲート制御部24に送る。認証結果は、利用者から取得した生体データが登録テンプレートのいずれかと一致(照合による類似度が所定値以上)することを条件に、テンプレートのL/Rフラグの値(「L」もしくは「R」)が含まれている。また、双方向通路の場合は更に照合角度(生体データと登録テンプレートの一致が確認された際の画像の相対的な回転角度)Δθが含まれている。
【0036】
ゲート制御テーブル23は、認証結果と開けるゲートの対応関係を記述したデータ構造体である。ゲート管理装置2#1〜2#4により複数の通路5#1〜5#3が区切られるため利用者が存在できる位置がいくつかのパターンに限定され、利用者は右手か左手のいずれかを提示するものであるため、認証結果から利用者の位置を推定することができ、ゲートの開閉を適切に制御することが可能となる。ゲート制御テーブル23の具体例については後述する。
【0037】
ゲート制御部24は、認証結果に基づいてゲート開閉装置25によりゲート3(3#1〜3#3)を開ける制御を行う部分である。認証結果からゲート制御テーブル23を参照して開けるゲートを特定し、それが自装置のゲートである場合は自律的にゲートを開ける。また、認証結果と開けるゲートのゲート番号をシステム管理端末1の全ゲート監視部13に通知し、全ゲート監視部13からゲートオープン指示が与えられた場合は自装置のゲートを開ける。
【0038】
ゲート開閉装置25は、ゲート制御部24の指示に従い、自装置のゲート3(3#1〜3#3)を物理的に開閉する装置である。なお、末端のゲート管理装置2#4にはゲートが存在しないため、ゲート開閉装置25は不要である。
【0039】
生体認証処理サーバ4は、生体認証制御部41と生体認証エンジン42とマスタデータベース43とを備えている。
【0040】
生体認証制御部41は、各ゲート管理装置2#1〜2#4からの認証依頼を処理する部分である。生体認証制御部41は、ゲート管理装置2の生体認証部22から認証処理の対象となる生体データとともに認証条件リストを受け取ると、生体データと認証条件を生体認証エンジン42に送り、認証結果を受け取るとゲート管理装置2の生体認証部22に返す。
【0041】
生体認証エンジン42は、生体データと登録テンプレートの照合により認証処理を実行する部分である。すなわち、生体認証エンジン42は生体認証制御部41より生体データおよび必要に応じて認証条件を受け取ると、マスタデータベース43を参照して全登録テンプレートと取得した生体データとを比較して類似度を算出し、算出した類似度の最大値が所定の閾値を超えていた場合、その登録テンプレートに対応する利用者IDと、テンプレートのL/Rフラグと、必要に応じて照合角度Δθを認証結果として出力する。なお、全登録テンプレートとの比較が終了しなくても、類似度が所定の閾値を超える場合には、その時点で認証結果を出力するようにしてもよい。
【0042】
マスタデータベース43は、利用者の生体データを保存する部分である。データ例については後述する。
【0043】
図5は分散認証処理の場合の生体認証ゲートシステムの構成例を示す図であり、大規模な運用に適している。図5においては、図4における生体認証処理サーバ4の構成要素である生体認証制御部41、生体認証エンジン42およびマスタデータベース43が、生体認証制御部26、生体認証エンジン27およびローカルメモリ28としてゲート管理装置2(2#1〜2#4)に内蔵されている。生体認証エンジン27はローカルメモリ28を用いて自装置で取得された生体データについてのみ認証処理を行えばよいため、高速に認証処理を行うことができる。
【0044】
図6は生体認証処理サーバ4のマスタデータベース43(図4)もしくはゲート管理装置2(2#1〜2#4)のローカルメモリ28(図5)に格納される登録生体データの例を示す図である。
【0045】
登録生体データは、「利用者ID」、「L/Rフラグ」、「登録テンプレート」の項目を有している。利用者IDは、登録済の利用者に1対1で割り当てられるユニークな識別記号である。L/Rフラグは、対応する登録テンプレートが左手のものか右手のものかを表すフラグである。登録テンプレートは、生体認証の照合処理に用いられる生体特徴データそのものであり、例えば指紋から抽出した指紋特徴データなどが該当する。
【0046】
図7は一方向通路の場合のゲート制御テーブル23の例を示す図であり、図3に示したように4台のゲート管理装置2#1〜2#4により3本の通路5#1〜5#3が形成されている場合における各ゲート管理装置2#1〜2#4のゲート制御テーブル23の例を示している。ゲート制御テーブル23は、認証結果である「テンプレートのL/Rフラグ」の値と「開けるゲート」とが対応付けて記憶されている。
【0047】
図7(a)に示すゲート管理装置2#1のゲート制御テーブル23は、認証結果である「テンプレートのL/Rフラグ」の「L」「R」とも「開けるゲート」は「ゲート#1」(ゲート3#1)となっている。これは、図8(a)に示すように利用者Uが左手をゲート管理装置2#1の認証センサ21#1に提示したことで「テンプレートのL/Rフラグ」が「L」であると判断された場合でも、図8(b)に示すように利用者Uが不自然に右手を認証センサ21#1に提示したことでテンプレートのL/Rフラグが「R」であると判断された場合でも、「開けるゲート」はゲート3#1であることによる。
【0048】
図7(b)に示すゲート管理装置2#2のゲート制御テーブル23は、「テンプレートのL/Rフラグ」が「L」の場合は「開けるゲート」が「ゲート#2」(ゲート3#2)、「テンプレートのL/Rフラグ」が「R」の場合は「開けるゲート」が「ゲート#1」(ゲート3#1)となっている。これは、図8(c)に示すように利用者Uが左手をゲート管理装置2#2の認証センサ21#2に提示したことで「テンプレートのL/Rフラグ」が「L」であると判断された場合、「開けるゲート」はゲート3#2であることによる。また、図8(d)に示すように利用者Uが右手をゲート管理装置2#2の認証センサ21#2に提示したことで「テンプレートのL/Rフラグ」が「R」であると判断された場合、「開けるゲート」はゲート3#1であることによる。
【0049】
図7(c)に示すゲート管理装置2#3のゲート制御テーブル23は、「テンプレートのL/Rフラグ」が「L」の場合は「開けるゲート」が「ゲート#3」(ゲート3#3)、「テンプレートのL/Rフラグ」が「R」の場合は「開けるゲート」が「ゲート#2」(ゲート3#2)となっている。これは、ゲート管理装置2#2の場合と同様の理由による。
【0050】
図7(d)に示すゲート管理装置2#4のゲート制御テーブル23は、認証結果である「テンプレートのL/Rフラグ」の「L」「R」とも「開けるゲート」は「ゲート#3」(ゲート3#3)となっている。これは、ゲート管理装置2#1の場合と同様の理由による。
【0051】
図9は双方向通路の場合のゲート制御テーブル23の例を示す図であり、図3に示したように4台のゲート管理装置2#1〜2#4により3本の通路5#1〜5#3が形成されている場合における各ゲート管理装置2#1〜2#4のゲート制御テーブル23の例を示している。ゲート制御テーブル23は、認証結果である「テンプレートのL/Rフラグ」の値と「照合角度Δθ」の値に対し、「開けるゲート」が対応付けて記憶されている。
【0052】
図10は照合角度Δθと利用者の侵入方向の対応関係の例を示す図であり、生体特徴として指紋を用いた場合を例としている。
【0053】
図10(a)は図の上方に向かって利用者が進行する場合を示しており、利用者から取得した照合データDに対して登録テンプレートTを照合角度Δθとして約40°回転させた状態で一致が確認される。右手と左手の両者を考慮した場合でも、照合角度Δθが−90°〜+90°の範囲内にある場合には進行方向が上向きであると判断できる。
【0054】
図10(b)は図の下方に向かって利用者が進行する場合を示しており、利用者から取得した照合データDに対して登録テンプレートTを照合角度Δθとして約140°回転させた状態で一致が確認される。右手と左手の両者を考慮した場合でも、照合角度Δθが−90°〜+90°の範囲から外れる場合には進行方向が下向きであると判断できる。
【0055】
図9に戻り、図9(a)に示すゲート管理装置2#1のゲート制御テーブル23は、認証結果である「テンプレートのL/Rフラグ」の「L」「R」および「照合角度Δθ」によらず、「開けるゲート」は「ゲート#1」(ゲート3#1)となっている。これはゲート管理装置2#1の認証センサ21#1で認証された場合、右手・左手および進行方向によらず、「開けるゲート」はゲート3#1しか選択の余地がないからである。
【0056】
図9(b)に示すゲート管理装置2#2のゲート制御テーブル23は、「テンプレートのL/Rフラグ」が「L」で「照合角度Δθ」が「−90°≦Δθ≦+90°」の場合は「開けるゲート」が「ゲート#2」(ゲート3#2)、「テンプレートのL/Rフラグ」が「L」で「照合角度Δθ」が「上記以外」の場合は「開けるゲート」が「ゲート#1」(ゲート3#1)となっている。これは、「テンプレートのL/Rフラグ」が「L」であると判断され、「照合角度Δθ」が「−90°≦Δθ≦+90°」であると判断された場合は、図11(a)に示すような状態にあり、「開けるゲート」はゲート3#2であることによる。また、「テンプレートのL/Rフラグ」が「L」であると判断され、「照合角度Δθ」が「上記以外」であると判断された場合は、図11(b)に示すような状態にあり、「開けるゲート」はゲート3#1であることによる。
【0057】
更に、図9(b)に示すゲート管理装置2#2のゲート制御テーブル23は、「テンプレートのL/Rフラグ」が「R」で「照合角度Δθ」が「−90°≦Δθ≦+90°」の場合は「開けるゲート」が「ゲート#1」(ゲート3#1)、「テンプレートのL/Rフラグ」が「R」で「照合角度Δθ」が「上記以外」の場合は「開けるゲート」が「ゲート#2」(ゲート3#2)となっている。これは、「テンプレートのL/Rフラグ」が「R」であると判断され、「照合角度Δθ」が「−90°≦Δθ≦+90°」であると判断された場合は、図11(c)に示すような状態にあり、「開けるゲート」はゲート3#1であることによる。また、「テンプレートのL/Rフラグ」が「R」であると判断され、「照合角度Δθ」が「上記以外」であると判断された場合は、図11(d)に示すような状態にあり、「開けるゲート」はゲート3#2であることによる。
【0058】
図9(c)に示すゲート管理装置2#3のゲート制御テーブル23は、「テンプレートのL/Rフラグ」が「L」で「照合角度Δθ」が「−90°≦Δθ≦+90°」の場合は「開けるゲート」が「ゲート#3」(ゲート3#3)、「テンプレートのL/Rフラグ」が「L」で「照合角度Δθ」が「上記以外」の場合は「開けるゲート」が「ゲート#2」(ゲート3#2)となっている。また、「テンプレートのL/Rフラグ」が「R」で「照合角度Δθ」が「−90°≦Δθ≦+90°」の場合は「開けるゲート」が「ゲート#2」(ゲート3#2)、「テンプレートのL/Rフラグ」が「R」で「照合角度Δθ」が「上記以外」の場合は「開けるゲート」が「ゲート#3」(ゲート3#3)となっている。これは、ゲート管理装置2#2の場合と同様の理由による。
【0059】
図9(d)に示すゲート管理装置2#4のゲート制御テーブル23は、認証結果である「テンプレートのL/Rフラグ」の「L」「R」および「照合角度Δθ」によらず、「開けるゲート」は「ゲート#3」(ゲート3#3)となっている。これは、ゲート管理装置2#1の場合と同様の理由による。
【0060】
<動作>
図12は上述した実施形態の処理例を示すフローチャートであり、図12(a)は生体データの登録処理、図12(b)はゲート制御テーブルの設定処理、図12(c)は生体認証およびゲート制御の処理を示している。
【0061】
図12(a)において、システム管理者が適時に処理を開始すると(ステップS11)、システム管理端末1の生体データ管理部11から生体認証処理サーバ4のマスタデータベース43(図4)もしくはゲート管理装置2(2#1〜2#4)のローカルメモリ28(図5)に生体データを登録し(ステップS12)、処理を終了する(ステップS13)。登録された生体データは図6に示した通りである。
【0062】
図12(b)において、生体認証ゲートシステムの起動に伴って処理を開始すると(ステップS21)、システム管理端末1の全ゲート制御テーブル管理部12は、ゲート管理装置2(2#1〜2#4)のゲート制御テーブル23に、装置毎にテーブル内容を設定し(ステップS22)、処理を終了する(ステップS23)。設定されたゲート制御テーブル23の内容は、一方向通路の場合は図7、双方向通路の場合は図9に示したものとなり、装置毎に異なる内容となる。
【0063】
図12(c)において、各ゲート管理装置2(2#1〜2#4)は、認証センサ21に設けられた距離センサやタッチセンサ等により利用者の手の提示を検出して処理を開始し(ステップS101)、生体認証部22は認証センサ21により生体データを取得する(ステップS102)。すなわち、生体認証部22は認証センサ21と通信を行いながら認証開始の検出を行い、利用者の手を検出すると認証センサ21に対して生体データの取得を命令し、生体データを取得する。
【0064】
次いで、生体認証部22は生体認証処理サーバ4の生体認証制御部41(図4)もしくは生体認証制御部26(図5)に認証依頼を行う(ステップS103)。
【0065】
認証依頼を受けた生体認証制御部41(図4)もしくは生体認証制御部26(図5)は、認証処理を行う(ステップS104)。認証処理の詳細については後述する。
【0066】
次いで、生体認証制御部41(図4)もしくは生体認証制御部26(図5)は、認証結果を生体認証部22に応答する(ステップS105)。
【0067】
認証結果を得た生体認証部22は、ゲート制御部24に認証結果を通知する(ステップS106)。
【0068】
認証結果を得たゲート制御部24は、ゲート制御テーブル23を参照し、認証結果に応じて開けるゲートを特定する(ステップS107)。すなわち、一方向通路の場合は図7のゲート制御テーブル23を参照し、認証結果の「テンプレートのL/Rフラグ」から「開けるゲート」を特定する。また、双方向通路の場合は図9のゲート制御テーブル23を参照し、認証結果の「テンプレートのL/Rフラグ」と「照合角度Δθ」から「開けるゲート」を特定する。
【0069】
図12(c)に戻り、ゲート制御部24は、認証結果と特定した「開けるゲート」のゲート番号をシステム管理端末1の全ゲート監視部13に通知する(ステップS108)。
【0070】
次いで、ゲート制御部24は特定した「開けるゲート」が自装置で管理するゲート3であるか否か判断する(ステップS109)。そして、自装置で管理するゲート3である場合(ステップS109のYes)、ゲート開閉装置25にゲートオープン指示を行い、ゲート開閉装置25は内部のタイマーによりゲート3を所定時間開いてから閉じる動作を行い(ステップS110)、処理を終了する(ステップS113)。
【0071】
自装置で管理するゲート3でない場合(ステップS109のNo)、システム管理端末1の全ゲート監視部13は、該当するゲート管理装置2のゲート制御部24にゲートオープン指示を行う(ステップS111)。
【0072】
ゲートオープン指示を受けたゲート管理装置2のゲート制御部24は、自装置のゲート開閉装置25にゲートオープン指示を行い、ゲート開閉装置25はゲート3を所定時間開いてから閉じる動作を行い(ステップS112)、処理を終了する(ステップS113)。
【0073】
図13は認証処理の例を示すフローチャートである。
【0074】
図13において、処理を開始すると(ステップS201)、初期化処理を行う(ステップS202)。初期化処理は、照合を行うテンプレートの番号i、最大類似度Smax、最大類似度を与えるテンプレートのIDであるIDmax、最大類似度を与えるテンプレートのL/RフラグであるL/Rmax、最大類似度を与えるテンプレートの照合角度ΔθであるΔθmaxをそれぞれ「0」に設定する。なお、一方向通路の場合、Δθmaxは不要である。
【0075】
次いで、番号iが全登録テンプレート数Nに達したか否かにより全データとの照合が完了したか否か判断する(ステップS203)。全データとの照合が完了したと判断した場合(ステップS203のYES)は処理を終了する(ステップS208)。
【0076】
全データとの照合が完了していないと判断した場合(ステップS203のNO)、i番目のテンプレートに対し、照合角度Δθを変えながら類似度の最大値Siを算出し、i番目のテンプレートのIDをIDiとし、i番目のテンプレートのL/RフラグをL/Riとし、最大値Siを与える照合角度ΔθをΔθiとする(ステップS204)。なお、一方向通路の場合、Δθiは不要である。
【0077】
次いで、SiがSmaxを超えるか否か判断し(ステップS205)、超える場合(ステップS205のYES)、最大類似度等を更新する(ステップS206)。すなわち、SiをSmaxに設定し、IDiをIDmaxに設定し、L/RiをL/Rmaxに設定し、ΔθiをΔθmaxに設定する。なお、一方向通路の場合、Δθmaxは不要である。
【0078】
次いで、番号iに「1」加算し(ステップS207)、全データとの照合が完了したか否かの判断(ステップS203)に戻る。
【0079】
処理の終了(ステップS208)の後、最大類似度Smaxが所定の値を超えていれば、IDmax、L/Rmax、Δθmaxが認証結果となる。
【0080】
<特殊な認証条件を付す場合の例>
第1に、通路毎の特性(利用のされ方)が予めわかっている場合、その特性を利用することによって認証処理を効率良く行うことができる。例えば、図3のように通路が複数存在する場合、図の下から上向きの一方向通路とすると、利用者から見て一番左端のゲート管理装置2#1は、実際にはほとんどが左手で利用されることが予想される。左手の利用であるため、左利きの人が多く集まると予想される。そのため、該当するゲート管理装置2#1を左手専用とし、認証対象のテンプレートを左手に限定することにより認証処理を効率化することができる。
【0081】
図14は認証対象を限定する場合のゲート制御テーブル23および認証条件リストの例を示す図であり、図4もしくは図5におけるゲート管理装置2#1を左手専用とし、通路5#1を下から上方向への一方向のみ認証する場合の例である。
【0082】
図14(a)はゲート管理装置2#1のゲート制御テーブル23の例を示しており、「テンプレートのL/Rフラグ」に「L」のみを設定し、対応する「開けるゲート」を「ゲート#1」(ゲート3#1)としている。
【0083】
また、図14(b)は認証処理時にゲート管理装置2#1の生体認証部22から生体認証処理サーバ4の生体認証制御部41(図4)もしくは生体認証制御部26(図5)に認証依頼に含めて送る認証条件リストの例を示しており、認証対象が左手であることを示す「認証対象テンプレートL/Rフラグ:L」の認証条件のみが設定されている。
【0084】
この場合、生体認証処理サーバ4の生体認証エンジン42(図4)もしくは生体認証エンジン27(図5)は、認証条件に従って「L/Rフラグ」が「L」のテンプレートのみを認証対象とし、「L/Rフラグ」が「R」のテンプレートはスキップすることができるため、認証処理に要するリソース(処理時間、計算パワー)は約半分で済む。
【0085】
一方、上記のように左手専用のゲート管理装置を備えた場合、近接したゲート管理装置にも左利きの人が多く集まることが予想できる。これは、左利きの人が左手専用のゲート管理装置に集中する結果、あふれた人が近隣のゲート管理装置を利用するために起こる。
【0086】
このような場合に対し、ゲート制御テーブルに「認証優先度」を設けることで認証処理を効率化することができる。ここで認証優先度とは認証処理の優先度を表す数値であり、値が大きいほど該当する認証の処理優先度を高めるものである。
【0087】
図15は認証対象に認証優先度を付す場合のゲート制御テーブル23および認証条件リストの例を示す図であり、ゲート管理装置2#2に適用した例である。
【0088】
図15(a)はゲート管理装置2#2のゲート制御テーブル23の例を示しており、図7(b)の内容に「認証優先度」の項目を追加し、「テンプレートのL/Rフラグ」が「L」の場合の「認証優先度」を「1」、「テンプレートのL/Rフラグ」が「R」の場合の「認証優先度」を「0」として左手の認証優先度を高くしている。
【0089】
図15(b)は認証処理時にゲート管理装置2#2の生体認証部22から生体認証処理サーバ4の生体認証制御部41(図4)もしくは生体認証制御部26(図5)に認証依頼に含めて送る認証条件リストの例を示しており、「認証対象テンプレートL/Rフラグ:L 認証優先度:1」と「認証対象テンプレートL/Rフラグ:R 認証優先度:0」が認証条件として設定されている。
【0090】
この場合、生体認証処理サーバ4の生体認証制御部41(図4)もしくは生体認証制御部26(図5)は、先ずテンプレートの「L」に対する認証を先に生体認証エンジン42、27に依頼する。そこで認証OKとなった場合、その時点で処理を終了し、認証結果を返す。一方、認証NGであった場合、テンプレートの「R」に対して認証処理を実行する。確率が高い認証処理を優先的に実行することにより、認証処理を効率的に行うことが可能になる。
【0091】
第2に、他のゲートの傾向による予測ができる場合、他のゲートの利用状況に応じて認証優先度を変えることにより、認証処理を効率的に行うことができる。例えば、駅の改札での利用を考えると、電車が到着した時は改札から出る方向での利用が増えると予想される。そのため、あるゲートで認証処理が実行された時、その近隣のゲートにおいても同じ方向での利用が高くなることを想定し、一時的に認証優先度を設定することによって認証処理を効率化することができる。ここでは双方向通路であることを前提として考える。
【0092】
図16は認証対象に一時認証優先度を付す場合のゲート制御テーブル23および認証条件リストの例を示す図であり、他のゲート管理装置において図3等の上向きに利用する人が検出された際に、同方向への優先度を高める例である。前述した「認証優先度」はゲートの構成に応じて固定的に設定する優先度であったが、ここでの「一時認証優先度」はゲートの利用状況に応じて一時的に設定する値である。
【0093】
図16(a)はゲート管理装置2#2のゲート制御テーブル23の例を示しており、図9(b)の内容に「一時認証優先度」の項目を追加し、「テンプレートのL/Rフラグ」が「L」で「照合角度Δθ」が「−90°≦Δθ≦+90°」の場合の「一時認証優先度」を「2」、「照合角度Δθ」が「上記以外」の場合の「一時認証優先度」を「0」、「テンプレートのL/Rフラグ」が「R」で「照合角度Δθ」が「−90°≦Δθ≦+90°」の場合の「一時認証優先度」を「3」、「照合角度Δθ」が「上記以外」の場合の「一時認証優先度」を「1」としている。この場合、同一方向、つまり同一範囲のΔθに対応する「一時認証優先度」を高い値に設定する。また、一般的に右手の利用者が多いと推測されるため、右手の「一時認証優先度」を左手よりも高めている。そのため、ここでは一時認証優先度は4段階に設定されている。「一時認証優先度」はシステム管理端末1の全ゲート監視部13がゲート管理装置2#2のゲート制御テーブル23に対して設定する。
【0094】
図16(b)は認証処理時にゲート管理装置2#2の生体認証部22から生体認証処理サーバ4の生体認証制御部41(図4)もしくは生体認証制御部26(図5)に認証依頼に含めて送る認証条件リストの例を示しており、「認証対象テンプレートL/Rフラグ:L Δθ:−90°≦Δθ≦+90° 一時認証優先度:2」と「認証対象テンプレートL/Rフラグ:L Δθ:上記以外 一時認証優先度:0」と「認証対象テンプレートL/Rフラグ:R Δθ:−90°≦Δθ≦+90° 一時認証優先度:3」と「認証対象テンプレートL/Rフラグ:R Δθ:上記以外 一時認証優先度:1」が認証条件として設定されている。
【0095】
この場合、生体認証処理サーバ4の生体認証制御部41(図4)もしくは生体認証制御部26(図5)は、優先度の高い順に認証処理を行い、認証OKとなった時点で結果をゲート管理装置2#2に返す。
【0096】
なお、「一時認証優先度」は一時的な設定であるため、一定時間のみ有効とし、一定時間が経過した後は、該当部分をゼロクリアする。このゼロクリアは、システム管理端末1の全ゲート監視部13がゲート管理装置2#2のゲート制御テーブル23に対して行ってもよいし、「一時認証優先度」にタイムスタンプを付加しておいてゲート管理装置2#2側で自律的に行ってもよい。
【0097】
また、固定の「認証優先度」と「一時認証優先度」を両方持つ構成とすることもできる。この場合、ゲートの配置に応じた固定的な優先処理と、一時的な優先処理の双方を行うことで認証処理を効率的に行うことができる。
【0098】
第3に、同じゲート管理装置における前の人の傾向による予測等を用いることができる。すなわち、ある通路に着目した場合、利用者の進行方向が頻繁に変わる場合は少なく、同一方向の利用が連続することが予想される。これは前の人に続いてゲートを利用することが多いと予想できるためである。
【0099】
このような場合に処理を効率化するため、ゲート管理装置内部で一時的に認証優先度を高める構成とする。つまり、直前の認証処理における認証条件と同一条件の認証に対する一時認証優先度を高める。
【0100】
その他に、認証優先度を時間に従って設定(時間による認証優先度の設定)する構成とすることができる。例えば、駅の改札として利用する場合、予め分かっている電車の到着予定時刻に、該当する方向(改札を出る方向)の優先度を高めることで認証処理を効率化することができる。
【0101】
また生体認証の登録テンプレートを登録するときに利用者が主に利用する手を予め登録しておき、その情報を用いて認証優先度を設定(登録データによる認証処理優先度の設定)する構成とすることもできる。一般には右手と左手の利用者の割合は一定であると言われているが、登録利用者が比較的少数の場合、右利き、左利きの分布が偏る場合があり得る。そのような場合、例えば、登録利用者で主に右手を利用する人が通常よりも多い場合、それに対応して認証優先度を設定することによって認証処理を効率化することができる。
【0102】
<総括>
以上説明したように、本実施形態によれば次のような利点がある。
(1)通路数+1の認証センサで済むため装置設置のコストを増加させることがない。
(2)左右の手で同じように認証を行うことができ、利用者は自分の利用し易い方の手を利用することが可能になるため、利便性・認証精度を高めることができる。
【0103】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
(付記1)
提示された手から生体データを取得する認証センサをそれぞれ備え、それぞれ離間して配置されることで複数の通路を形成する複数のゲート管理装置と、
前記認証センサから取得された生体データに基づく認証照合結果、および前記生体データが左右いずれの手のデータであるかの左右判別結果を出力する認証手段と、
前記左右判別結果に基づき対応する前記ゲートの開閉を、前記認証照合結果に基づき制御する制御手段と
を備えた通行認証システム。
(付記2)
付記1に記載の通行認証システムにおいて、
前記認証手段は、前記生体データに提示された手の方向に関する提示方向判別結果を出力し、
前記制御手段は、前記左右判別結果および前記提示方向判別結果に基づき対応する前記ゲートの開閉を、前記認証照合結果に基づき制御する
通行認証システム。
(付記3)
付記2に記載の通行認証システムにおいて、
前記提示方向は、生体データと登録テンプレートの照合時における画像の回転角度により判断する
通行認証システム。
(付記4)
付記1乃至3のいずれか一項に記載の通行認証システムにおいて、
前記認証手段の出力する左右判別結果と開けるゲートの対応関係を記述するゲート制御テーブル
を備えた通行認証システム。
(付記5)
付記2または3のいずれか一項に記載の通行認証システムにおいて、
前記認証手段の出力する左右判別結果および提示方向判別結果と開けるゲートの対応関係を記述するゲート制御テーブル
を備えた通行認証システム。
(付記6)
付記1乃至5のいずれか一項に記載の通行認証システムにおいて、
前記通路毎の特性に応じて前記認証手段における照合対象の登録テンプレートを左手もしくは右手に限定する
通行認証システム。
(付記7)
付記1乃至5のいずれか一項に記載の通行認証システムにおいて、
前記通路毎の特性に応じて前記認証手段における照合対象の登録テンプレートに固定的な認証優先度を持たせる
通行認証システム。
(付記8)
付記1乃至5のいずれか一項に記載の通行認証システムにおいて、
前記通路毎の特性に応じて前記認証手段における照合対象の登録テンプレートに一時的な認証優先度を持たせる
通行認証システム。
(付記9)
提示された手から生体データを取得する認証センサをそれぞれ備え、それぞれ離間して配置されることで複数の通路を形成する複数のゲート管理装置を備えた通行認証システムの制御方法であって、
前記認証センサから取得された生体データに基づく認証照合結果、および前記生体データが左右いずれの手のデータであるかの左右判別結果を出力する認証工程と、
前記左右判別結果に基づき対応する前記ゲートの開閉を、前記認証照合結果に基づき制御する制御工程と
を備えた通行認証システム制御方法。
【符号の説明】
【0104】
1 システム管理端末
11 生体データ管理部
12 全ゲート制御テーブル管理部
13 全ゲート監視部
2、2#1〜2#4 ゲート管理装置
21、21#1〜21#4 認証センサ
22 生体認証部
23 ゲート制御テーブル
24 ゲート制御部
25 ゲート開閉装置
26 生体認証制御部
27 生体認証エンジン
28 ローカルメモリ
3、3#1〜3#3 ゲート
4 生体認証処理サーバ
41 生体認証制御部
42 生体認証エンジン
43 マスタデータベース
5、5#1〜5#3 通路
6、7 通行不可部
U 利用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
提示された手から生体データを取得する認証センサをそれぞれ備え、それぞれ離間して配置されることで複数の通路を形成する複数のゲート管理装置と、
前記認証センサから取得された生体データに基づく認証照合結果、および前記生体データが左右いずれの手のデータであるかの左右判別結果を出力する認証手段と、
前記左右判別結果に基づき対応する前記ゲートの開閉を、前記認証照合結果に基づき制御する制御手段と
を備えた通行認証システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通行認証システムにおいて、
前記認証手段は、前記生体データに提示された手の方向に関する提示方向判別結果を出力し、
前記制御手段は、前記左右判別結果および前記提示方向判別結果に基づき対応する前記ゲートの開閉を、前記認証照合結果に基づき制御する
通行認証システム。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか一項に記載の通行認証システムにおいて、
前記通路毎の特性に応じて前記認証手段における照合対象の登録テンプレートを左手もしくは右手に限定する
通行認証システム。
【請求項4】
請求項1または2のいずれか一項に記載の通行認証システムにおいて、
前記通路毎の特性に応じて前記認証手段における照合対象の登録テンプレートに固定的な認証優先度を持たせる
通行認証システム。
【請求項5】
請求項1または2のいずれか一項に記載の通行認証システムにおいて、
前記通路毎の特性に応じて前記認証手段における照合対象の登録テンプレートに一時的な認証優先度を持たせる
通行認証システム。
【請求項6】
提示された手から生体データを取得する認証センサをそれぞれ備え、それぞれ離間して配置されることで複数の通路を形成する複数のゲート管理装置を備えた通行認証システムの制御方法であって、
前記認証センサから取得された生体データに基づく認証照合結果、および前記生体データが左右いずれの手のデータであるかの左右判別結果を出力する認証工程と、
前記左右判別結果に基づき対応する前記ゲートの開閉を、前記認証照合結果に基づき制御する制御工程と
を備えた通行認証システム制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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