説明

通行車両保護用プロテクタ、及びこれを用いた既設トンネルの拡大工法

【課題】車両通行を確保しつつ既設トンネルの拡大工事等を行う場合に用いて好適な、側方への移設が容易で工期・工費の節約が図れる通行車両保護用プロテクタを提供する。
【解決手段】プロテクタエレメント20aを前後に多数連結してなる通行車両保護用プロテクタ20であって、該プロテクタエレメントの両側壁部下端4隅に側方に移動可能に支持する移動機構22が設けられ、連結される該プロテクタエレメントの両側壁部同士はヒンジ部36aを有して屈曲可能な連結部保護側板36で繋がれ、該連結部保護側板36には前後のプロテクタエレメントの側壁部10同士の離間距離を吸収調節可能な離間距離調節手段が設けられ、連結部上部には一方のプロテクタエレメントの天板部に一端が固定されて、他端が他方のプロテクタエレメントの天板部に縁切りされて覆い被さる、該プロテクタエレメントよりも幅広な連結部保護天板42が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通行車両保護用プロテクタ、及びこれを用いた既設トンネルの拡大工法に係わり、特に、平面線形において既設トンネルの中心線と拡大改修後の新たなトンネルの中心線とが交差する等一致せず、その掘削作業中に通行車両保護用プロテクタの側方への移設が必須となるような場合に用いて好適で、その工期の短縮化と工費低減化とを大幅に図り得る通行車両保護用プロテクタ、およびこれを用いた既設トンネルの拡大工法の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、既設の道路トンネルの拡大工事において、車両の通行を確保しつつ工事を行う場合には、通行車両の防護対策として、その拡大掘削に先立ってトンネル坑内に保護空間を形成するプロテクタを設置し、爾後、当該設置されたプロテクターの上方及び側方を施工空間としてトンネル掘削を行いつつ拡大形成していく。
【0003】
上記プロテクターは路面上に載置されてその上方と側方とを覆うことで、その内部を車両通行用の保護空間として形成するものであり、図1に示すように、所定長のエレメント2aとして形成されて、これらが多数連結設置されて所望する長さに形成される。当該エレメント2aは横断面形状において下方が開放されたコ字状をなしていて、H型鋼材からなる一対の定盤材4上に沿わせて、同じくH型鋼材からなる支柱材6及び桁材8とを門型に組んだ骨組を適宜間隔を空けて一直線状に多数整列させて固定し、その外側に、側壁部10の外郭を形成する鋼矢板等からなる側壁板10aと鋼板等からなる天板12とを取り付けて形成されている。また長手方向に整列された各支柱6,6間、及び桁材8間には補強用のブレース材14を設けてある。そして、上記の様に多数のエレメント2aが連結設置されて形成されるプロテクタ2は、通常、既設トンネル内にその全長に亘って設けられる(下記、特許文献1等参照)。
【0004】
ところで、既設トンネルを拡大形成するにあたっては、地形や近接構造物への影響等の種々の制約条件に起因して、図2に示すように、その拡大形成後の新たなトンネルの平面線形を既設トンネルの平面線形に一致させることができず、既設トンネルBの平面線形の中心線bと拡大形成後の新たなトンネルAの平面線形の中心線aとが交差する等、それらにズレが生じることがある。そして、このような場合では、トンネル断面拡大のための掘削対象地盤部分の断面形状は、トンネルの長手方向に沿って変化する。
【0005】
即ち、この図示例では、既設トンネルBと新たなトンネルAとは施工の起点側の坑口ではその掘削方向から見て左側の路面端同士が一致していて、その掘削対象地盤Cの横断面形状は右側が厚くて左側が薄くなった当該厚みが漸減する三日月形状に似たものとなっている。一方、施工の終点側の坑口では掘削方向から右側の路面端同士が一致していて、その掘削対象地盤Cの横断面形状は起点側とは反対に、右側が薄くて、左側が厚い三日月形状に似たものとなっている。また、トンネル長の中央付近で2つの中心線a,bが交差する近辺ではその掘削対象地盤Cの横断面形状はその厚みがほぼ左右対称で等しくなった三日月形状に似たものとなっている。そして、2つのトンネルA,Bがこのような位置関係にあると、当該掘削対象地盤Cの水平断面形状は、一方の側壁部側では厚みが漸増していく三角形状を呈し、他方の側壁側では厚みが漸減していく三角形状を呈することになる。
【0006】
そして、この様な形状をなす掘削対象地盤Cを掘削するにあたっては、その既設トンネルB内に通行車両保護用プロテクタ2を設置していると、起点側での坑口でその掘削対象地盤Cの横断面の厚みが薄くなっている側壁部側において掘削用機械がプロテクタ2に干渉してしまう等、掘削作業に必要なスペースを確保することができずに、掘削が困難もしくは不可能となってしまう。
【0007】
このため、従来のこうしたケースでは、図3(a),(b)に示すような施行方法で掘削を行っていた。即ち、第一段階として、掘削施工の起点側の坑口に横断面の大きな厚みをもって露出して、掘削作業に必要な一定以上のスペースを十分に確保し得ている部位の掘削対象地盤Caを先ず一次掘削する。この掘削が進むと、それに伴って横断面の厚みが漸減していき、やがて十分なスペースが確保出来なくなる。この時点で一次掘削を終了させる。
【0008】
次ぎに、一次掘削によって片側が拡大されたトンネル長部分に亘って設置されているプロテクタエレメント2aをその拡大形成側に向けて側方に移動させて一次移設し、横断面の厚みが薄い反対側の側壁部と当該プロテクタエレメント2aとの間に、十分な掘削作業スペースを確保する。爾後、掘削が可能となった横断面の厚みの薄い掘削対象地盤Cbを起点側の坑口から二次掘削して行く。この掘削が進むと、上記横断面の厚みは漸増し続けて行くので、この二次掘削は終点側の坑口まで掘り進めることができる。
【0009】
上記二次掘削の終了後に、今度は一次掘削時に掘り残した掘削対象地盤Cc部分を三次掘削するが、これに先だち、その掘削作業スペースを確保するために、当該掘削対象地盤Cc部分に亘って設置されているプロテクタエレメント2aを上記二次掘削で拡大された方向に向けて移動させて二次移設しておく。
【特許文献1】特開2001−123798
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記のような従来の通行車両保護用プロテクタ2を用いた既設トンネルの拡大工法であると、プロテクタエレメント2aを側方に一次移設するにあたって、その移動されるプロテクタエレメント2aと移動されないプロテクタエレメント2aとの連結部分において線形が屈曲し、当該部位で隣合うプロテクタエレメント2a,2a同士が離間してしまうことになる。よって、その屈曲部分を保護してかつ線形を緩やかに連結するために、当該連結部分には専用のプロテクタエレメント2bを介在させる必要が生じる。そして、当該屈曲部専用のプロテクタエレメント2bをトンネルB内に搬入するためには、一次移設する多数のプロテクタエレメント2a群の全てを一旦トンネルB外に搬出しなければならなくなる。
【0011】
したがって、このように従来の通行車両保護用プロテクタ2を用いた工法では、プロテクタエレメント2aの移設に際して、多大な労力と時間とが費やされてしまい、工期の長期化と工費の高騰を招いてしまうという課題があった。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、平面線形において既設トンネルの中心線と拡大改修後の新たなトンネルの中心線とが交差する等一致せず、その掘削作業中に通行車両保護用プロテクタの側方への移設が必須となるような場合に用いて、その工期の短縮化と工費低減化とを大幅に図り得る通行車両保護用プロテクタ、およびこれを用いた既設トンネルの拡大工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するためにこの発明に係る通行車両保護用プロテクタにあっては、側壁部と天板部とからなる下方が開放された横断面コ字状の所定長のプロテクタエレメントを路面上に載置して前後に多数連結し、内部に上方と側方とを覆った車両通行用の保護空間を形成する通行車両保護用のプロテクタにおいて、該プロテクタエレメントの両側壁部下端の4隅に、該プロテクタエレメントを側方に移動可能に支持する移動機構を設け、前後に連結される該プロテクタエレメントの両側壁部同士は、それぞれヒンジ部を有して屈曲可能な連結部保護側板で繋ぐとともに、該連結部保護側板には前後のプロテクタエレメントの側壁部同士の離間距離を吸収調節可能な離間距離調節手段を設け、且つ該プロテクタエレメント間の連結部上部には、一方のプロテクタエレメントの天板部に一端を固定して、他端を他方のプロテクタエレメントの天板部に対して縁切りさせて覆い被せた連結部保護天板を設けることを特徴とする。
【0014】
ここで、前記移動機構は、鉛直方向に伸縮するリフト用ジャッキと水平方向に伸縮する水平移動用ジャッキとが一体化されている2軸式ジャッキとなし、該2軸式ジャッキは、前記プロテクタエレメントの側壁部下端から外方に突出して一体的に設けられた支持ステーの下面に滑り板を介して相対摺動移動可能に取り付けるとともに、該支持ステーの突出端から下方に一体的に延出形成された係合ブラケットに、該水平移動用ジャッキを接続させて設け、該支持ステーの下面は該プロテクタエレメントの路面に接地する下端面からの高さ寸法が、該リフト用ジャッキの短縮時の高さ寸法よりも大きく設定する構成となし得る。
【0015】
更に、前記各水平移動用ジャッキの伸縮作動量を検出するセンサーと、該伸縮作動量を調節する作動量調節手段と、該各作動量調節手段の動作を制御する制御手段とを備え付けて、該制御手段は、現状設定の平面線形ライン上に沿って設置されている各プロテクタエレメントを所定の新設定の平面線形ライン上に沿わせて側方に移設するにあたり、各プロテクタエレメントの現状設定における平面線形上のラインから新設定の平面線形上のラインまでへの側方への移動量を、各々のプロテクタエレメントの水平移動用ジャッキ配設部位毎の移動量にて算出して、該移動量を各水平移動用ジャッキの伸縮作動制御量となし、前記連結部を挟んで隣接するプロテクタエレメントに配設されて該伸縮作動制御量が近似する4つの水平移動用ジャッキはそれらを同一制御対象グループとなして、各連結部位毎に個別にグループ分けするとともに、多数連結されたプロテクタエレメントの最前端に配設されて伸縮作動制御量の等しい2つの水平移動用ジャッキと最後端に配設されて伸縮作動制御量の等しい2つの水平移動用ジャッキとを個別に同一制御対象グループとなしてグループ分けし、該各制御対象グループ毎の伸縮速度とその作動時期とを、それぞれの伸縮作動制御量の大小の相互関係に相応する差異をもたせて作動制御する構成となすこともできる。
【0016】
また、前記移動機構は、路面上を自走可能な走行駆動部と、該走行駆動部に一体的に設けられて鉛直方向に伸縮するリフト用ジャッキとを有して、前記プロテクタエレメントの側壁部下端から外方に突出して一体的に設けられた支持ステーの下面に、該リフト用ジャッキが回転盤を介して首振り自在に取り付けられている構成とすることもできる。
【0017】
一方、既設トンネルの拡大工法の発明としては、既設トンネルの平面線形と拡大改修後の新たなトンネルの平面線形とが一致しない既設トンネルの拡大工事において、前記の通行車両保護用プロテクタを既設トンネル内に設置して車両の通行を確保しつつ該既設トンネルの拡大工事を行う既設トンネルの拡大工法であって、該既設トンネル内に各プロテクタエレメントを配設連結して車両通行保護用プロテクタを設置する工程と、掘削起点側坑口にて、該車両通行保護用プロテクタの周囲に掘削作業スペースが確保されている地盤部位を、該掘削起点側坑口側から掘削していく一次掘削工程と、該一次掘削工程終了後に、その拡大形成部位にある該車両通行保護用プロテクタのエレメントを、該一次掘削による拡大形成方向側に向けて移動させて側方に移設する移設工程と、該移設工程の終了後に、該車両通行保護用プロテクタの周囲に掘削作業スペースが確保された地盤部位を該掘削起点側坑口側から掘削していく二次掘削工程と、の各工程を少なくとも有し、必要に応じて爾後に該移設工程とその後の掘削工程とを順次繰り返し行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上記構成に係る本発明の通行車両保護用プロテクタによれば、前後に連結されるプロテクタエレメント間において、両側壁部同士がそれぞれヒンジ部を有して屈曲可能な連結部保護側板で繋がれ、しかも該連結部保護側板には前後のプロテクタエレメントの側壁部同士の離間距離を吸収調節可能な離間距離調節手段が設けられており、且つ該プロテクタエレメントの天板部間の連結部には、一方のプロテクタエレメントの天板部に一端が固定されて、他端が他方のプロテクタエレメントの天板部に縁切りされて覆い被さる連結部保護天板が設けられているので、当該連結部における通行車両の保護性を確保しながら前後のプロテクタエレメントをフレキシブルに屈曲可能に接続できる。そして、プロテクタエレメントの両側壁部下端の4隅には、該プロテクタエレメントを左右前後に移動可能に支持する移動機構を設けているので、当該移動機構を利用して各エレメントを容易に側方に向けて移動させることができ、しかも移動時に生じる前後のエレメントの離間距離や角度等の相対位置変化は上記連結部で吸収される。このため多数のエレメントが連結されてなる通行車両保護用プロテクタを側方に移設するにあたって、その切り回しを総括的に円滑に行うことができ、もって当該移設時に費やされる労力と時間とを可及的に節約することができるとともに、プロテクタの切り回しに伴う交通閉鎖を可及的に短時間に縮小することができる。
【0019】
また、上記移動機構に水平移動用ジャッキを採用して、各連結部の近傍に配設された4つの水平移動用ジャッキ群を個々に独立した同一の制御対象グループとするとともに、プロテクタ最前端の2つの水平移動用ジャッキ群と最後端の水平移動用ジャッキ群をも個々に独立した制御対象グループとなしてグループ分けし、各制御対象グループ毎の伸縮速度とその作動時期とを、それぞれの制御対象グループ間の伸縮作動制御量の大小の相互関係に相応する差異をもたせて一括して作動制御するようになし、制御手段にはプロテクタの移設前の現状設定の平面線形ラインのデータと移設後の平面線形ラインのデータとを予め入力して記憶させておくようにすれば、当該2つの平面線形ラインのデータに基づいて各制御対象グループ毎の水平移動用ジャッキの伸縮作動制御量を自動算出させて、プロテクタの移設を円滑に素早く自動的に行わせることができる。
【0020】
また、本発明に係る通行車両保護用プロテクタを用いた既存トンネルの拡大工法によれば、通行車両保護用プロテクタの側方への移設を、プロテクタエレメントをトンネル外に搬出することなく、坑内で円滑に短時間で行い得るので、既設トンネルと拡大形成後の新たなトンネルとの相互の平面線形に生じるズレの大小に拘わらず、拡大掘削された部位のトンネル部分内で、通行車両保護用プロテクタの側方への移設を容易に行って、所望する一定以上の施工空間を確保することができ、もって効率の良い施工が可能となる。また、確保した施工空間に合わせた大型の施工機械を使用することができるようになるので、施工スピードを高めて工期の可及的な短縮化が図れるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係る通行車両保護用プロテクタの好適な実施の形態の一例について、添付図面を参照して詳述する。
【0022】
図4(a)は本実施形態例の通行車両保護用プロテクタを構成する最小単位となるプロテクタエレメントの正面図であり、当該プロテクタエレメント20aが路面上に載置されるとともに、前後に多数連結されることで、内部に上方と側方とを覆った車両通行用の保護空間を画成する通行車両保護用プロテクタ20が構成される。ここで、当該プロテクタエレメント20aの本体部自体の基本構成は図1に示す従来のものと全く同様に形成されるものであるので、同一部材には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0023】
上記プロテクタエレメント20aには、その左右の両側壁部下端の4隅に、該プロテクタエレメント20aを側方に移動可能に支持する移動機構22が設けられている。当該実施形態にあっては、その移動機構22には図4(b)に示すように、鉛直方向に伸縮するリフト用ジャッキ24と水平方向に伸縮する水平移動用ジャッキ26とが一体化されてなる2軸式ジャッキ28が採用されている。この2軸式ジャッキ28はプロテクタエレメント20aの側壁部10の下端から外方に突出して一体的に設けられた支持ステー30の下面に、該リフト用ジャッキ24が滑り板32を介して相対摺動移動可能に取り付けられているとともに、該支持ステー30の突出端から下方に一体的に延出形成された係合ブラケット34に、該水平移動用ジャッキ26の伸縮移動側が接続されて設けられている。
【0024】
上記支持ステー30の下面は、そのプロテクタエレメント20aの下端部に設けられて路面に接地する定盤材4の下端面からの高さ寸法が該リフト用ジャッキ24の短縮時の高さ寸法よりも大きく設定されており、当該リフト用ジャッキ24はその短縮時にあっては路面から離間し、伸長されると路面に当接してプロテクタエレメント20aを上方にリフトさせて浮き上がらせるようになっている。そして、このリフト状態で水平移動用ジャッキ26を作動させることで、リフト用ジャッキ24に滑り板を介して支持されたプロテクタエレメント20aの本体部をその長手方向の側方に向けて移動できるようになっている。ここで、その側方への水平移動時の反力はリフト用ジャッキ24を介して路面から取っている。リフト用ジャッキ24はプロテクタエレメント20aの荷重を負担しているので、路面との摩擦力で水平移動力の反力が十分に得られる。
【0025】
図5(a)は前後に連結された2つのプロテクタエレメント20a,20aの側面図であり、(b)はその連結部の拡大図で、当該連結部に設けられている離間距離調節手段が短縮された状態を示す図、(c)は当該離間距離調節手段が伸長された状態を示す図である。同図に示すように前後に連結されるプロテクタエレメント20a,20aはその左右一対の両側壁部10,10同士が、ヒンジ部36aを有して屈曲可能な鋼板製の連結部保護側板36によって相互に繋がれている。この連結部保護側板36はプロテクタエレメント20aの側壁部10に一体化されて固定される固定側保護側板38と、この固定側保護側板38に対して長穴39aとスタッドボルト39bとを介して相対移動可能に接合される離間距離調整側保護側板40とからなり、これらによって前後のプロテクタエレメント20a,20aの側壁部10,10同士の離間距離を吸収調節可能な離間距離調節手段が構成されている。なお、図示例では固定側保護板38にスタッドボルト39bが立設され、当該スタッドボルト39bが挿通される横長の長穴39aが離間距離調整側保護側板40に形成されている。また、離間距離調整側保護側板40にヒンジ部36aが設けられている。ここで、通常時にあってはスタッドボルト39bに螺合するナットが締め付けられて固定側保護側板38と離間距離調整側保護側板40とは強固に締結されて一体化されていて、プロテクタエレメント20a,20aの側方への移動時に上記ナットが緩められて、その移動に伴って生じる離間距離の変化を吸収できるようにされる。
【0026】
また、図6は前後に連結された2つのプロテクタエレメント20a,20aを示す平面図で、相対的に屈曲した状態を示すものである。同図に示すように、プロテクタエレメント20a,20a間の連結部上部には、一方のプロテクタエレメント20a(図示する左側)の天板部12に一端が溶接41等により強固に固定されて、他端が他方のプロテクタエレメント20a(図示する右側)の天板部12に縁切りされて覆い被さる連結部保護天板42が設けられている。そして、この連結部保護天板42は当該プロテクタエレメント20a,20aの横幅よりも幅広に形成されている。なお、当該連結部保護天板42は、図示では省略しているがその左右の両端が下方に折り曲げられて所定長垂下されている。また、連結部保護天板42に対して縁切りされた側のプロテクトエレメントの天板部上には、連結部保護天板42との摺動を円滑にさせるための滑り板を設けておくようにするのが好ましい。
【0027】
図7は移動機構22としての水平移動用ジャッキ26に油圧式のものを用いてその作動を自動制御する場合の制御システムの一例を示す図である。図示するように、この制御システムは、各水平移動用ジャッキ26に取り付けられてその伸縮作動量を検出するセンサー46と、その伸縮作動量を調節する作動量調節手段48と、当該各作動量調節手段48の動作を制御する制御手段50とが備えられてなる。
【0028】
作動量調節手段48は油圧ポンプ52から送り出される高圧の作動油を各水平移動用ジャッキ26に導く油圧管路54の途中に設けられた制御弁でなり、制御手段50はコンピュータを内蔵した制御盤でなる。この制御盤50にはセンサー46が検出した実際の伸縮作動量の情報が入力されるとともに、現状設定の平面線形ライン上に沿って設置されている各プロテクタエレメント20a,20a,…の位置データの情報と、各プロテクタエレメント20a,20a,…の移動先となる新設定の平面線形ライン上の位置データの情報とが予め入力されて記憶されていて、制御盤50はこれらの情報に基づいて油圧ポンプ52の作動と制御弁48の作動とを制御するようになっている。
【0029】
ここで制御盤50は、現状設定の平面線形ライン上に沿って設置されている各プロテクタエレメント20aを所定の新設定の平面線形ライン上に沿わせて側方に移設するにあたり、各プロテクタエレメント20a,20a,…の現状設定における平面線形上のラインから新設定の平面線形上のラインまでへの側方への移動量を、各々のプロテクタエレメント20a,20a,…の水平移動用ジャッキ26配設部位毎の移動量にて算出して、該移動量を各水平移動用ジャッキ26の伸縮作動制御量となす。また、前記連結部を挟んで隣接するプロテクタエレメント20a,20aに2つずつ配設される計4つの水平移動用ジャッキ26群は、その伸縮作動制御量が近似することになるので、それらを同一制御対象グループとなして、各連結部位毎に個別にグループ分けし、各制御対象グループ単位毎に1つの制御弁48で作動制御を行うようにしている。同様に、多数のプロテクタエレメント20a,20a,…が連結されてなる通行車両保護用プロテクタ20において、その最前端に配設されて伸縮作動制御量が等しくなる2つの水平移動用ジャッキ26群と最後端に配設されて伸縮作動制御量の等しくなる2つの水平移動用ジャッキ26群も、それぞれに同一制御対象グループとなして個別にグループ分けし、各制御対象グループ単位毎に1つの制御弁48で作動制御を行うようにしている。
【0030】
そして、制御盤50は各制御対象グループ毎の伸縮速度とその作動時期とを、それぞれのグループ間における伸縮作動量の大小の相互関係に相応する差異をもたせて作動制御する。即ち、その作動制御パターンとしては、(1)伸縮作動制御量の大きいグループのもの程、その伸縮速度を早くして全てのジャッキ26の作動時間を揃える、(2)伸縮速度は均一にしつつ、伸縮作動制御量の大きい釘ループのもの程、その伸縮作動の開始タイミングを早くして全てのジャッキ26の作動終了タイミングを揃える、(3)隣接する制御対象グループとの伸縮作動制御量との差を一定値内に収める、等の他にも様々なバリエーションが考えられる。
【0031】
図8は制御手段たる制御盤50による制御内容の流れの一例を概略的に示すフローチャートである。図示するようにこの例では、制御がスタートされると、先ず、現状設定の平面線形ライン上に沿って設置されている各プロテクタエレメント20a,20a,20a,…の位置データの読み込みがなされる(S10)。次ぎに、各プロテクタエレメント20a,20a,…移動先となる新設定の平面線形ライン上の位置データの読み込みがなされる(S20)。そして、上記の読み込みデータに基づいて、各々のプロテクタエレメント20a,20a,…の水平移動用ジャッキ26配設部位毎の移動量が各水平移動用ジャッキ26の伸縮作動制御量として算出される(S30)。そして、同一制御対象グループとなっている連結部を挟んで隣接された4つの水平移動用ジャッキ26群の伸縮作動制御量を各制御対象グループ毎に決定する(S40)。最前端に配設されて伸縮作動制御量が等しい2つの水平移動用ジャッキ26を同一制御対象グループとなしてその伸縮作動制御量を決定する。伸縮作動制御量が等しく同一制御対象グループされている最前端に配設された2つの水平移動用ジャッキ26群の伸縮作動量を決定する(S50)。また同様に、伸縮作動制御量が等しく同一制御対象グループとされている最後端に配設された2つの水平移動用ジャッキ26群の伸縮作動制御量を決定する(S60)。各水平移動用ジャッキ26の実際の伸縮作動量をセンサーからの入力信号で検出する(S70)。
【0032】
次ぎに、各制御対象グループ毎の水平移動用ジャッキ26群の伸縮速度とその作動時期とを、制御対象グループ間における伸縮作動制御量の大小差の相互関係に相応させた差異をもたせつつ決定して、各水平移動用ジャッキ26の実際の伸縮作動量に基づいて作動量調節手段48をフィードバック作動制御する(S80)。爾後、全ての水平移動用ジャッキ26がその決定された伸縮作動制御量に応じたストロークまで伸縮して、伸縮作動が全てのジャッキ26において完了したか否かを判定する(S90)。そして、当該判定がNoの場合にはS70に戻って制御をループさせ、当該判定がYesになった時点で制御を終了する。
【0033】
図9〜図11は本発明に係る通行車両保護用プロテクタ20を用いた既設トンネルBの拡大工法を説明するものであり、既設トンネルBの平面線形と拡大改修後の新たなトンネルAの平面線形とが一致しない既設トンネルの拡大工事に適用して、車両の通行を確保しつつ施工を進める場合を示しており、図9は通行車両保護用プロテクタ設置後の初期段階を示す断面図、図10は一次掘削の終了後に通行車両保護用プロテクタを側方に一次移設した状態を示す断面図で、図11は二次掘削の終了後に通行車両保護用プロテクタを側方に二次移設した状態を示す断面図である。
【0034】
ここで、当該図示例にあっては、前記の背景技術にて述べた図2での説明と同様に、既設トンネルBの中心線bと新たなトンネルAの中心線aとはそのトンネル長の中央部付近で交差しており、既設トンネルBと新たなトンネルAとは施工の起点側の坑口では左側の路面端同士が一致していて、その掘削対象地盤Cの横断面形状は右側が厚くて左側が薄い、厚みが漸減する三日月形状に似たものとなっている。一方、施工の終点側の坑口では掘削方向から見て右側の路面端同士が一致していて、その掘削対象地盤Cの横断面形状は起点側とは反対に、右側が薄くて、左側が厚い三日月形状に似たものとなっている。また、トンネル長の中央付近で2つの中心線a,bが交差する近辺ではその掘削対象地盤Cの横断面形状はその厚みがほぼ左右対称で等しい三日月形状に似たものとなっている。そして、2つのトンネルA,Bがこのような位置関係にあると、当該掘削対象地盤Cの水平断面形状は、一方の側壁部側では厚みが漸増していく三角形状を呈し、他方の側壁側では厚みが漸減していく三角形状を呈することになる。
【0035】
そして、上記のような形状をなす掘削対象地盤Cを掘削するにあたって、当該本発明に係る既設トンネルの拡大工法では、以下の手順で施工する。即ち、図9に示すように、先ず、既設トンネル内に多数のプロテクタエレメント20a,20a,…を、一方の側壁部に近接させて配設連結して車両通行保護用プロテクタ20を設置する工程が行われる。ここで、上記の近接させる対象となる側壁部は、起点側坑口側で掘削対象地盤Cにおける横断面の厚みが薄くなっている側壁部である。このように、車両通行保護用プロテクタ20を掘削対象地盤C既設トンネルの一方の側壁部に近接させて設置すると、他方側の側壁部の拡大掘削対象地盤とプロテクタエレメント20aとのスペースを可及的に大きく確保し得て、掘削作業スペースが広くなり、作業性の向上に繋がる。
【0036】
次ぎに、掘削起点側坑口から該車両通行保護用プロテクタ20の周囲の掘削作業スペースが確保されている地盤部位の掘削対象地盤Caを掘削していく一次掘削工程を行う。そして、この一次掘削工程の終了後に、その拡大形成部位にある車両通行保護用プロテクタ20のエレメント20a,20a,…を、該一次掘削による拡大形成方向側に向けて側方に移設する一次移設工程を行う。
【0037】
また、該一次移設工程の終了後に、掘削起点側坑口から該車両通行保護用プロテクタ20の周囲の掘削作業スペースが確保された地盤部位の掘削対象地盤Cbを掘削していく二次掘削工程を行う。爾後、必要に応じて上記の移設工程とその後の掘削工程とを繰り返し行う。本実施形態では、二次掘削工程終了後に、その拡大形成部位にある該車両通行保護用プロテクタ20のエレメント20a,20a,…を該拡大形成後の新たなトンネルの平面線形のセンターライン側に向けて側方に移設する二次移設工程を行い、この二次移設工程の終了後に、掘削起点側坑口から該車両通行保護用プロテクタ20の周囲の掘削作業スペースが確保された地盤部位の掘削対象地盤Ccを掘削していく三次掘削工程とを行っている。
【0038】
即ち、プロテクタの設置工程から三次掘削工程に至る各工程自体は、従来の工法とほぼ同様であって、大きな相違はない。しかし、当該本発明の工法に採用する車両通行保護用プロテクタ20が従来のものとは顕著に異なっており、多数のエレメント20a,20a,…が連結されてなるプロテクタ20を側方に移設するにあたって、その切り回しを総括的に円滑に行うことができて、移設に際してエレメント20a,20a,…をトンネルB外に搬出させる必要がない。これ故、当該移設時に費やされる労力と時間とを可及的に節約することができるようになるとともに、プロテクタ20の切り回しに伴う交通閉鎖を可及的に短時間に縮小することができるようになる。また、その側方への移設をトンネル坑内で円滑に短時間で行い得るので、既設トンネルBと拡大形成後の新たなトンネルAとの間に生じる平面線形のズレの大小に拘わらず、拡大掘削形成後のトンネル部内で、通行車両保護用プロテクタ20の側方への移設を容易に行って、所望する一定以上の施工空間を確保することができ、もって効率の良い施工が可能となる。また、確保した施工空間に合わせた大型の施工機械を使用することができるようになるので、施工スピードを高めて工期の可及的な短縮化が更に図れるようになる。
【0039】
なお、前述したプロテクタエレメント20aでは、その移動機構22に2軸式の油圧ジャッキ28を用いる例を示したが、これに限らず当該移動機構22には種々の形式のものを採用し得る。例えば、図示しないが、路面上を自走可能な走行駆動部と、該走行駆動部に一体的に設けられて鉛直方向に伸縮するリフト用ジャッキとを有したものを採用して、プロテクタエレメント20aの側壁部下端から外方に突出して一体的に設けられた支持ステー30の下面に、当該リフト用ジャッキの先端を回転盤を介して相対回転自在に取り付ける構成となしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】従来と本発明とに共通するプロテクタエレメント本体部の斜視図である。
【図2】平面線形において既設トンネルの中心線と拡大改修後のトンネルの中心線とが一致せずに交差する場合の例を説明するための断面図である。
【図3】従来の通行車両保護用プロテクタを用いた場合の既設トンネルの拡大工法を説明する平断面図である。
【図4】(a)は本発明に係る通行車両保護用プロテクタの最小構成単位となるプロテクタエレメントの一実施例を示す正面図であり、(b)はプロテクタエレメントの下端部に移動機構として設けられる2軸式ジャッキの一例を示す側面図である。
【図5】(a)は前後に連結された2つのプロテクタエレメントの側面図であり、(b)はその連結部に設けられた離間距離調節手段が短縮された状態を示す図、(c)は当該離間距離調節手段が伸長された状態を示す図である。
【図6】前後に連結された2つのプロテクタエレメントの平面図であり、屈曲した状態を示すものである。
【図7】移動機構としての水平移動用ジャッキに油圧式のものを用いてその作動を自動制御する場合の制御手段の一例を示す図である。
【図8】制御手段による制御内容の流れの一例を概略的に示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る通行車両保護用プロテクタを用いた既設トンネルの拡大工法を説明するもので、通行車両保護用プロテクタ設置後の初期段階を示す断面図である。
【図10】同上、一次掘削の終了後に通行車両保護用プロテクタを側方に一次移設した状態を示す断面図である。
【図11】同上、二次掘削の終了後に通行車両保護用プロテクタを側方に二次移設した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 側壁部
12 天板部
20 通行車両保護用プロテクタ
20a プロテクタエレメント
22 移動機構
24 リフト用ジャッキ
26 水平移動用ジャッキ
28 2軸式ジャッキ
30 支持ステー
32 滑り板
34 係合ブラケット
36 連結部保護側板
36a ヒンジ
38 固定側保護側板
39a 長穴(離間距離調節手段)
39b スタッドボルト(離間距離調節手段)
40 離間距離調整側保護側板
42 連結部保護天板
46 センサー
48 作動量調節手段(制御弁)
50 制御手段(制御盤)
52 油圧ポンプ
A 新たなトンネル
B 既設トンネル
C 掘削対象地盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁部と天板部とからなる下方が開放された横断面コ字状の所定長のプロテクタエレメントを路面上に載置して前後に多数連結し、内部に上方と側方とを覆った車両通行用の保護空間を形成する通行車両保護用プロテクタであって、
該プロテクタエレメントの両側壁部下端の4隅には、該プロテクタエレメントを側方に移動可能に支持する移動機構が設けられ、
前後に連結される該プロテクタエレメントの両側壁部同士は、それぞれヒンジ部を有して屈曲可能な連結部保護側板で繋がれているとともに、該連結部保護側板には前後のプロテクタエレメントの側壁部同士の離間距離を吸収調節可能な離間距離調節手段が設けられており、
且つ該プロテクタエレメント間の連結部上部には、一方のプロテクタエレメントの天板部に一端が固定されて、他端が他方のプロテクタエレメントの天板部に縁切りされて覆い被さる連結部保護天板が設けられている、
ことを特徴とする通行車両保護用プロテクタ。
【請求項2】
前記移動機構が、鉛直方向に伸縮するリフト用ジャッキと水平方向に伸縮する水平移動用ジャッキとが一体化されている2軸式ジャッキでなり、
該2軸式ジャッキは、
前記プロテクタエレメントの側壁部下端から外方に突出して一体的に設けられた支持ステーの下面に、該リフト用ジャッキが滑り板を介して相対摺動移動可能に取り付けられているとともに、
該支持ステーの突出端から下方に一体的に延出形成された係合ブラケットに、該水平移動用ジャッキが接続されて設けられ、
該支持ステーの下面は、該プロテクタエレメントの路面に接地する下端面からの高さ寸法が、該リフト用ジャッキの短縮時の高さ寸法よりも大きく設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の通行車両保護用プロテクタ。
【請求項3】
前記各水平移動用ジャッキの伸縮作動量を検出するセンサーと、該伸縮作動量を調節する作動量調節手段と、該各作動量調節手段の動作を制御する制御手段とを備え、
該制御手段は、現状設定の平面線形ライン上に沿って設置されている各プロテクタエレメントを所定の新設定の平面線形ライン上に沿わせて側方に移設するにあたり、
各プロテクタエレメントの現状設定における平面線形上のラインから新設定の平面線形上のラインまでへの側方への移動量を、各々のプロテクタエレメントの水平移動用ジャッキ配設部位毎の移動量にて算出して、該移動量を各水平移動用ジャッキの伸縮作動制御量となし、
前記連結部を挟んで隣接するプロテクタエレメントに配設されて該伸縮作動制御量が近似する4つの水平移動用ジャッキはそれらを同一制御対象グループとなして、各連結部位毎に個別にグループ分けするとともに、多数連結されたプロテクタエレメントの最前端に配設されて伸縮作動制御量の等しい2つの水平移動用ジャッキと最後端に配設されて伸縮作動制御量の等しい2つの水平移動用ジャッキとを個別に同一制御対象グループとなしてグループ分けし、
該各制御対象グループ毎の伸縮速度とその作動時期とを、それぞれの伸縮作動制御量の大小の相互関係に相応する差異をもたせて作動制御すること特徴とする請求項2に記載の通行車両保護用プロテクタ。
【請求項4】
前記移動機構が、路面上を自走可能な走行駆動部と、該走行駆動部に一体的に設けられて鉛直方向に伸縮するリフト用ジャッキとを有し、
前記プロテクタエレメントの側壁部下端から外方に突出して一体的に設けられた支持ステーの下面に、該リフト用ジャッキの先端が回転盤を介して相対回転自在に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の通行車両保護用プロテクタ。
【請求項5】
既設トンネルの平面線形と拡大改修後の新たなトンネルの平面線形とが一致しない既設トンネルの拡大工事において、前記請求項1〜4のいずれかに記載の通行車両保護用プロテクタを既設トンネル内に設置して車両の通行を確保しつつ該既設トンネルの拡大工事を行う既設トンネルの拡大工法であって、
該既設トンネル内に各プロテクタエレメントを配設連結して車両通行保護用プロテクタを設置する工程と、
掘削起点側坑口にて、該車両通行保護用プロテクタの周囲に掘削作業スペースが確保されている地盤部位を、該掘削起点側坑口側から掘削していく一次掘削工程と、
該一次掘削工程終了後に、その拡大形成部位にある該車両通行保護用プロテクタのエレメントを、該一次掘削による拡大形成方向側に向けて移動させて側方に移設する移設工程と、
該移設工程の終了後に、該車両通行保護用プロテクタの周囲に掘削作業スペースが確保された地盤部位を該掘削起点側坑口側から掘削していく二次掘削工程と、
の各工程を少なくとも有し、必要に応じて爾後に該移設工程とその後の掘削工程とを順次繰り返し行うことを特徴とする既設トンネルの拡大工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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