説明

通話信号伝送システム

【課題】加入者振分装置に変更を加えることなく、遠隔一次群加入者端末をRSBMに収容するなど加入者端末の収容形態を変更することができる通話信号伝送システムを提供する。
【解決手段】加入者端末からの通話信号を多重フォーマット化して呼制御処理をした後に時分割多重伝送する交換機を含む通話信号伝送システムであって、加入者端末の収容位置に応じて通話信号を互いに異なる方路を介して交換機に供給することとし、方路振り分けの前において当該多重フォーマットの通話信号を当該方路に対応した方路フォーマットの通信信号に変換し、方路振り分け後に元の多重フォーマットの通信信号に戻すこととした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加入者通信端末からの通話信号を交換機を介して伝送する通話信号伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、通話信号伝送システムにおいては、加入者端末からの通話信号を多重化して振り分ける加入者振分装置を含んでいた。かかる加入者振分装置を介して局舎内の交換機に収容される加入者端末には以下のようなものがあった。例えば、(1)直収一次群加入者端末、(2)遠隔一次群加入者端末、(3)A/I−RT(Remote Terminal:遠隔加入者終端装置)収容のアナログ/ISDN加入者端末、(4)RSBM(Remote Subscriber Module:遠隔加入者収容装置)収容の専用線加入者端末、(5)RSBM収容のアナログ/ISDN加入者端末である(例えば特開平4−79463号公報参照)。
【0003】
近年、上記した(2)の加入者端末の接続先である1.5M−RT装置及び1.5M−CT装置(Central Terminal:交換機側終端装置)や、(3)の加入者端末の接続先であるA/I−RT装置の老朽化等に伴い、RSBMへの収容替えの機運が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−79463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現状、上記した(2)の加入者端末をRSBMに収容するためには、加入者振分装置等のソフトウェアを変更する等の新規開発が必要であり、収容替えに伴う開発コストがかかってしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は上記した如き問題点に鑑みてなされたものであって、加入者振分装置に変更を加えることなく、遠隔一次群加入者端末をRSBMに収容するなど加入者端末の収容形態を変更することができる通話信号伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による通話信号伝送システムは、通話信号を送信自在な加入者通信端末を収容して前記加入者通信端末からの前記通話信号を多重フォーマット化してこれを時分割多重する遠隔加入者収容部と、当該時分割多重化された通話信号を前記遠隔加入者収容部における前記加入者通信端末の収容位置に応じて少なくとも2つの方路のいずれかに振り分ける加入者振分部と、前記方路を介して到来した通話信号を呼制御処理した後に時分割多重通話路を介して送信する交換機と、を含む通話信号伝送システムであって、前記遠隔加入者収容部は、前記通信信号の前記多重フォーマットを前記加入者通信端末の収容位置に応じた方路フォーマットに変換する第1変換部を含み、前記交換機は、自身の呼制御処理に先立って前記方路フォーマットの通話信号を前記多重フォーマットの通話信号に変換する第2変換部を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明による通話信号伝送システムによれば、加入者振分装置に変更を加えることなく、遠隔一次群加入者端末をRSBMに収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例である通話信号伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】一次群加入者通話信号の多重化のための多重フォーマットにおけるタイムスロット構成を示す説明図である。
【図3】図1の6.3M専用線インターフェース部によって構成される通信フォーマットにおけるタイムスロット構成を示す説明図である。
【図4】図1の変換部によって構成される方路フォーマットにおけるタイムスロット構成を示す説明図である。
【図5】図1の通話信号伝送システムにおける通信処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施例について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1においては、本発明の実施例である通話信号伝送システム1を示している。
【0012】
直収一次群加入者端末11、遠隔一次群加入者端末12、アナログ/ISDN加入者端末13、専用線加入者端末14、及びアナログ/ISDN加入者端末15の各々は、通話信号の送受信機能を有する例えば電話端末やモデムなどの通信端末である。
【0013】
直収一次群加入者端末11は、交換機50に直接収容されている。遠隔一次群加入者端末12及びアナログ/ISDN加入者端末13は、RSBM20に収容されている。専用線加入者端末14及びアナログ/ISDN加入者端末15は、RSBM30に収容されている。
【0014】
RSBM20は、遠隔一次群加入者端末12及びアナログ/ISDN加入者端末13を収容する遠隔加入者収容装置であり、これらの端末から到来した通話信号を多重フォーマット化してこれを時分割多重し、加入者振分装置40に送信する。
【0015】
一次群インターフェース部21は、遠隔一次群加入者端末12から到来した通話信号を、時分割多重のために多重フォーマット化して変換部22に供給する。通話信号に含まれる通話データは、当該多重フォーマットのタイムスロットに割り当てられる。
【0016】
変換部22は、一次群インターフェース部21から供給される通話信号の多重フォーマットを所定の通信フォーマット(以下、方路フォーマットとも称する)に変換する。方路フォーマットは、加入者振分装置40による振分け先の方路に対応した所定の通信フォーマットであり、例えば通信速度6.3Mbps専用線の通信フォーマットである。この場合、通話データは通信速度6.3Mbps専用線の通信フォーマットのタイムスロットに割り当てられる。
【0017】
加入者インターフェース部23は、アナログ/ISDN加入者端末13から到来した通話信号に含まれる通話データを、アナログ/ISDN通信用の通信フォーマットのタイムスロットに割り当てて多重部24に供給する。
【0018】
多重部24は、変換部22から供給される通話信号と、加入者インターフェース部23から供給される通話信号とを多重化して加入者振分装置40に供給する。これらの通話信号に含まれる通話データは、加入者端末毎に予め設定された所定のタイムスロットに格納される。
【0019】
RSBM30は、専用線加入者端末14及びアナログ/ISDN加入者端末15を収容する遠隔加入者収容装置あり、これらの端末から到来した通話信号を多重フォーマット化してこれを時分割多重し、加入者振分装置40に送信する。
【0020】
6.3M専用線インターフェース部31は、専用線加入者端末14から到来した通話信号に含まれる通話データを、通信速度6.3Mbps専用線の通信フォーマットのタイムスロットに割り当てて多重部33に供給する。
【0021】
加入者インターフェース部32は、アナログ/ISDN加入者端末15から到来した通話信号に含まれる通話データを、アナログ/ISDN通信用の通信フォーマットのタイムスロットに割り当てて多重部33に供給する。
【0022】
多重部33は、変換部32から供給される通話信号と、加入者インターフェース部32から供給される通話信号とを多重化して加入者振分装置40に供給する。これらの通話信号に含まれる通話データは、加入者端末毎に予め設定された所定のタイムスロットに格納される。
【0023】
加入者振分装置40は、多重部24及び多重部33から到来した通話信号を、例えば加入者端末毎に方路A又は方路Bに振り分ける。加入者振分装置40は、RSBM20及び30における加入者通信端末12〜15の収容位置に応じて、通話信号の各々をいずれかの方路に振り分ける。当該収容位置は、例えば、時分割多重フォーマットにおけるタイムスロットの位置に基づいて判断される。方路Aは、アナログ/ISDN通信用の通信フォーマットに対応している。なお、アナログの通信速度は64Kbpsであり、ISDNの通信速度は128Kbpsである。方路Bは、通信速度6.3Mbps専用線の通信フォーマットに対応している。
【0024】
遠隔一次群加入者端末12からの通話信号は、方路Bに振り分けられる。アナログ/ISDN加入者端末13からの通話信号は、方路Aに振り分けられる。専用線加入者端末14からの通話信号は、方路Bに振り分けられる。アナログ/ISDN加入者端末15からの通話信号は、方路Aに振り分けられる。加入者振分装置40は、通話信号の振り分け先を、多重信号の通信フォーマットにおけるタイムスロットの位置に基づいて決定する。
【0025】
方路Aに振り分けられた通話信号は、交換機50の加入者振分装置インターフェース部53に供給される。方路Bに振り分けられた通話信号のうちの遠隔一次群加入者端末12からのものは、交換機50の変換部52に供給される。方路Bに振り分けられた通話信号のうちの専用線加入者端末14からのものは、専用線伝送装置60に供給される。加入者振分装置40は、方路Bに振り分けられた通話信号の供給先を、例えば方路フォーマットにおけるタイムスロットの位置に基づいて決定する。
【0026】
交換機50は、直収一次群加入者端末11及び加入者振分装置40から到来した通話信号を呼制御処理した後に時分割多重通話路を介して送信する。
【0027】
一次群インターフェース部51は、直収一次群加入者端末11から到来した通話信号を呼制御処理した後に、当該通話信号に含まれる通話データを時分割多重フォーマットにおける所定のタイムスロットに割り当てて時分割通話路54に供給する。
【0028】
変換部52は、加入者振分装置40の方路Bから到来した、遠隔一次群加入者端末12からの通話信号を呼制御処理した後に、多重フォーマットの通話信号に変換して時分割通話路54に供給する。当該多重フォーマットは、一次群インターフェース部21によって多重フォーマット化されたフォーマットと同一のものである。すなわち、変換部52は、方路フォーマットの通話信号を元の多重フォーマットの通話信号に戻すのである。通話信号に含まれる通話データは、多重フォーマットにおける所定のタイムスロットに割り当てられる。
【0029】
加入者振分装置インターフェース部53は、加入者振分装置40の方路Aから到来した通話信号を呼制御処理した後に、当該通話信号に含まれる通話データを時分割多重フォーマットにおける所定のタイムスロットに割り当てて時分割通話路54に供給する。
【0030】
一次群インターフェース部51、変換部52、及び加入者振分装置インターフェース部53の各々によって時分割多重フォーマットにおける所定のタイムスロットに割り当てられた通話データは、時分割通話路54を介して送信される。
【0031】
専用線伝送装置60は、加入者振分装置40の方路Bから到来した、専用線加入者端末14からの通話信号を送信先に送信する。
【0032】
図2は、一次群加入者通話信号の通信フォーマットにおける単位タイムスロット構成80を示している。
【0033】
タイムスロット群81は、24個のタイムスロットからなる。24個のタイムスロットtsの各々に情報チャネルデータが割り当てられる場合と、23個のタイムスロットtsの各々に情報チャネルデータが割り当てられ且つ1個のタイムスロットtsに信号チャネルデータが割り当てられる場合とがある。図2においては、情報チャネルデータは記号Bで示され、信号チャネルデータは記号Dで示される。
【0034】
タイムスロット82は、1個のタイムスロットtsからなる。タイムスロット82には、呼制御チャネルデータが割り当てられる。図2においては、呼制御チャネルデータは記号STで示される。タイムスロット82は、m個(mは8以下の正の整数)の8ビットフレームからなるマルチフレーム構成84となっている。
【0035】
保守データ83は、一次群インターフェース部21に関する障害、警報及び保守のためのデータである。図2においては、保守データ83は、記号Mで示される。
【0036】
図3は、6.3M専用線インターフェース部31によって構成される通信フォーマットにおける単位タイムスロット構成90を示している。当該通信フォーマットは、通信速度6.3Mbps専用線の通信フォーマットである。
【0037】
タイムスロット群91、92、93及び94の各々は、通信速度1.5Mbpsパスのタイムスロット群である。なお、このパスとは、伝送路網の論理的構成を表現する単位をいう。タイムスロット群91、92、93及び94の各々は、24個のタイムスロットtsからなる。タイムスロット群91にはチャネル#0、タイムスロット群92にはチャネル#1、タイムスロット群93にはチャネル#2、タイムスロット群94にはチャネル#3にそれぞれ対応した情報チャネルデータが割り当てられる。専用線加入者端末14がチャネル#0に対応する場合、タイムスロット群91には、専用線加入者端末14からの情報チャネルデータが割り当てられる。タイムスロット群92、93及び94の各々には、例えば図示せぬ専用線加入者端末からの情報チャネルデータが割り当てられる。
【0038】
タイムスロット95及び96の各々は、1個のタイムスロットtsからなる。タイムスロット95には、チャネル#0及び#1の呼制御チャネルデータが割り当てられる。タイムスロット96には、チャネル#2及び#3の呼制御チャネルデータが割り当てられる。図3においても、呼制御チャネルデータは記号STで示される。タイムスロット95は、チャネル#0及び#1の呼制御情報を各々が含む8個の8ビットフレームからなるマルチフレーム構成98aとなっている。タイムスロット96は、チャネル#2及び#3の呼制御情報を各々が含む8個の8ビットフレームからなるマルチフレーム構成98bとなっている。
【0039】
フレームFは、4個の5ビットフレームからなるマルチフレーム構成99となっている。フレームFには、セクション切替ビットA、CRC−5データC、データビットD、及び送信異常表示データSが含まれる。
【0040】
図4は、変換部22によって構成される通信フォーマットにおける単位タイムスロット構成100を示している。当該通信フォーマットは、通信速度6.3Mbps専用線の通信フォーマットをベースとし、そのタイムスロット群に対して一次群加入者通話データを割り当てたものである。
【0041】
タイムスロット群101、102、103及び104の各々は、通信速度1.5Mbpsパスのタイムスロット群である。タイムスロット群101、102、103及び104の各々は、24個のタイムスロットtsからなる。タイムスロット群101にはチャネル#0、タイムスロット群102にはチャネル#1、タイムスロット群103にはチャネル#2にそれぞれ対応した情報チャネルデータが割り当てられる。遠隔一次群加入者端末12がチャネル#0に対応する場合、タイムスロット群101には、遠隔一次群加入者端末12からの情報チャネルデータが割り当てられる。タイムスロット群102及び103には、例えば図示せぬ専用線加入者端末からの情報チャネルデータが割り当てられる。
【0042】
タイムスロット群104には、タイムスロット108、タイムスロット109、タイムスロット110、一次群インターフェース部21に関する保守データ111、RSBM20に関する保守データ112、及び未使用の空き領域113が含まれる。
【0043】
タイムスロット108〜110の各々は、1つのタイムスロットtsからなる。タイムスロット108にはチャネル#0の呼制御チャネルデータ、タイムスロット109にはチャネル#1の呼制御チャネルデータ、タイムスロット110にはチャネル#2の呼制御チャネルデータがそれぞれ割り当てられる。図4においても、呼制御チャネルデータは記号STで示される。タイムスロット108は、チャネル#0の呼制御情報を各々が含む6個の8ビットフレームからなるマルチフレーム構成114aとなっている。タイムスロット109は、チャネル#1の呼制御情報を各々が含む6個の8ビットフレームからなるマルチフレーム構成114bとなっている。タイムスロット110は、チャネル#2の呼制御情報を各々が含む6個の8ビットフレームからなるマルチフレーム構成114cとなっている。
【0044】
タイムスロット105及び106は未使用である。フレーム107は、図3におけるものと同様の構成である。
【0045】
以下、図5を参照しつつ、通話信号伝送システム1における通信処理手順について説明する。特に、遠隔一次群加入者端末12の通話信号の処理に着目して説明する。
【0046】
先ず、RSBM20の一次群インターフェース部21が、遠隔一次群加入者端末12からの通話信号を受信する(ステップS1)。一次群インターフェース部21は、当該通話信号を一次群加入者通話信号用の通信フォーマットのタイムスロットに割り当てて変換部22に供給する(ステップS2)。かかる処理により、図2に示されるタイムスロット構成となる。
【0047】
次に、変換部22は、一次群インターフェース部21から供給される通話信号の多重フォーマットを、加入者振分装置40による振分け先の方路に対応する方路フォーマット(例えば通信速度6.3Mbps専用線の通信フォーマット)に変換して多重部24に供給する(ステップS3)。かかる処理により、図4に示されるタイムスロット構成となる。
【0048】
次に、多重部24は、変換部22から供給される通話データと、加入者インターフェース部23から供給される通話データとを、例えば加入者端末毎に予め設定された所定のタイムスロットに格納することにより多重化して加入者振分装置40に供給する(ステップS4)。
【0049】
次に、加入者振分装置40は、多重部24及び多重部33から到来した通話信号を、RSBM20及び30における加入者通信端末12〜15の収容位置に応じて、加入者端末毎に方路A又は方路Bに振分ける(ステップS5)。遠隔一次群加入者端末12からの通話信号は、方路Bに振り分けられる。また、方路Bに振り分けられた当該通話信号は、交換機50の変換部52に供給される。
【0050】
次に、変換部52は、加入者振分装置40の方路Bから到来した、遠隔一次群加入者端末12からの通話信号を、時分割多重のための多重フォーマットに変換して時分割通話路54に供給する(ステップS6)。すなわち、変換部52は、方路フォーマットの通話信号を元の多重フォーマットの通話信号に戻す。かかる処理により、図2に示されるタイムスロット構成となる。
【0051】
時分割通話路54は、一次群インターフェース部51、変換部52、及び加入者振分装置インターフェース部53の各々から供給された通話データを所定のタイムスロットに割り当てることにより時分割多重して送信先に送信する(ステップS7)。
【0052】
上記したように、本実施例の通話信号伝送システム1においては、通信速度1.5Mbpsの遠隔一次群加入者端末12をRSBM20に収容する。RSBM20は、遠隔一次群加入者端末12から到来した通話信号を時分割多重のために多重フォーマット化して変換部22に供給する一次群インターフェース部21を含む。また、RSBM20は、一次群インターフェース部21から供給される通話信号の多重フォーマットを方路フォーマットすなわち加入者振分装置40による振分け先の方路(例えば通信速度6.3Mbps専用線に対応する方路B)に対応した所定の通信フォーマットに変換する変換部22を含む。
【0053】
RSBM20が、かかる構成を含むことにより、加入者振分装置40は、RSBM20から到来した通話データが遠隔一次群加入者端末12からの一次群加入者データであるにもかかわらず、通信速度6.3Mbps専用線に対応する方路Bを用いて交換機50へ伝送することができる。また、交換機50の変換部52が、方路Bから到来した通話データを時分割多重のための多重フォーマットに変換するので、当該通話データを時分割通話路54を介して送信することができる。
【0054】
仮に、従来のRSBMにより、アナログ/ISDN通信用の通信フォーマットに対応する方路Aを用いて、遠隔一次群加入者端末12からの一次群加入者データを送信しようとしても、アナログ/ISDNの通信速度が64kbps/128kbpsであるのに対し、一次群加入者の通信速度が1.5Mbpsであるので、一次群加入者データを送信できない。
【0055】
また、仮に、従来の通信システムにおいて、複数のアナログ/ISDN回線を用いて通信速度1.5Mbpsを確保しようとする場合には、加入者振分装置40のソフトウェアを変更する必要が生じる。ソフトウェアを変更しない場合には、交換機50の加入者振分装置インターフェース部53には通話データを供給できるが、時分割通話路54を介して送信することはできない。時分割通話路54には、一次群インターフェース部51からの通話データも多重化されるからである。
【0056】
これに対して、通信速度6.3Mbps専用線の通信フォーマットに対応する方路Bを用いる場合には、通信速度1.5Mbps単位での通話データの管理が可能である。そこで、本実施例である通話信号伝送システム1の構成としたのである。かかる構成によれば、加入者振分装置に変更を加えることなく、遠隔一次群加入者端末をRSBMに収容することができる。
【0057】
また、本実施例においては、図4に示すように、呼制御チャネルデータ及び保守データを通信速度1.5Mbpsパスのタイムスロットに割り当てている。仮に、本実施例とは異なり、呼制御チャネルデータを、通信速度6.3Mbps専用線の通信フォーマットにおけるタイムスロット95及び96(図3)に割り振った場合には以下のような問題が生じる。一次群加入者の呼制御チャネルデータのビット数は、8ビット×mマルチフレーム(mの最大値は7)=56ビット(最大値)であるのに対して、通信速度6.3Mbspの呼制御チャネルデータのビット数は、4ビット×8マルチフレーム=32ビットとなる。このように、一次群加入者の方のビット数が大きくなるので、呼制御チャネルデータを交換機50にまで送信できない。
【0058】
これに対して、本実施例においては、図4に示すように、呼制御チャネルデータを通信速度1.5Mbpsパスのタイムスロットに割り当てているので、呼制御チャネルデータを交換機50にまで送信できるという効果も奏する。
【0059】
以上の実施例から明らかなように、加入者端末からの通話信号を多重フォーマット化して呼制御処理をした後に時分割多重伝送する交換機を含む通話信号伝送システムであって、加入者端末の収容位置に応じて通話信号を互いに異なる方路を介して交換機に供給することとし、方路振り分けの前において当該多重フォーマットの通話信号を当該方路に対応した方路フォーマットの通信信号に変換し、方路振り分け後に元の多重フォーマットの通信信号に戻すこととした。これにより、加入者端末の収容形態の変更が容易になる。
【符号の説明】
【0060】
1 通話信号伝送システム
11 直収一次群加入者端末
12 遠隔一次群加入者端末
13 アナログ/ISDN加入者端末
14 専用線加入者端末
15 アナログ/ISDN加入者端末
20 RSBM
21 一次群インターフェース部
22 変換部
23 加入者インターフェース部
24 多重部
30 RSBM
31 一次群インターフェース部
32 加入者インターフェース部
33 多重部
40 加入者振分装置
50 交換機
51 一次群インターフェース部
52 変換部
53 加入者振分装置インターフェース部
54 時分割通話路
60 専用線伝送装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話信号を送信自在な加入者通信端末を収容して前記加入者通信端末からの前記通話信号を多重フォーマット化してこれを時分割多重する遠隔加入者収容部と、
当該時分割多重化された通話信号を前記遠隔加入者収容部における前記加入者通信端末の収容位置に応じて少なくとも2つの方路のいずれかに振り分ける加入者振分部と、
前記方路を介して到来した通話信号を呼制御処理した後に時分割多重通話路を介して送信する交換機と、を含む通話信号伝送システムであって、
前記遠隔加入者収容部は、前記通信信号の前記多重フォーマットを前記加入者通信端末の収容位置に応じた方路フォーマットに変換する第1変換部を含み、
前記交換機は、自身の呼制御処理に先立って前記方路フォーマットの通話信号を前記多重フォーマットの通話信号に変換する第2変換部を含むことを特徴とする通話信号伝送システム。
【請求項2】
前記加入者振分部は、前記方路フォーマットに応じて前記通信信号を振り分けることを特徴とする請求項1に記載の通話信号伝送システム。
【請求項3】
前記方路フォーマットは、6.3Mインターフェースフォーマットであり、
前記6.3Mインターフェースフォーマットを構成する4つの通話データ用タイムスロットのうちの少なくとも1つに通話データを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の通話信号伝送システム。
【請求項4】
前記通話データ用タイムスロットのうちの少なくとも1つに呼制御データ及び保守データの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項3に記載の通話信号伝送システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−199856(P2012−199856A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63762(P2011−63762)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】