説明

通話装置

【課題】イヤホンやヘッドホンを使用している利用者に、特定の情報のみの音を割り込ませて伝えることができる通話装置を提供する。
【解決手段】任意の内容の音響信号を出力する音源装置(例えばDVD装置14)とこの音源装置の出力を再生する再生装置24との間に挿入される。所定の割り込み音を、外部から受信する割り込み音受信回路32と、音源装置の出力するオーディオし41と割り込み音受信回路の出力する割り込み音信号42とを受け入れて、割り込み音受信回路32の出力が有効なときは、当該割り込み音受信回路の出力を後続回路に向けて出力する。割り込み音受信回路32の出力が無効なときは、通話装置16の出力を再生装置24側に出力するように、出力信号を選択する割り込み制御回路33を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ装置の再生音に特定の音を割り込ませることができる通話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、耳の遠い老人がテレビジョンを鑑賞するときの音量を抑えたい場合は、長いコードの付いたイヤホンやヘッドホンを使用する。一般の人でも、大サイズのディスプレイを使用してDVDの鑑賞をするような場合、画面から離れた場所で臨場感のある画面を鑑賞しようとすると、イヤホンやヘッドホンを使用することで、周辺への騒音を抑えることができる。この目的のために、コードレスの音声受信装置等も市販されている(特許文献1)。
【0003】
また、高声による通話を可能とする端末に併用されることによって難聴者の通話に供される難聴者通話支援装置が知られている(特許文献2)。この難聴者通話支援装置が組み込まれた通話装置により、健常者がごく普通に高声による通話をしながら、並行して難聴者にも通話内容を聞かせることができる。
【特許文献1】特開平7−107038号公報
【特許文献2】特開平11−220525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、従来の通話装置には、次のような解決すべき課題があった。
高音質でテレビジョンやDVDの音を聞くときに、赤外線ラジエータとヘッドホンとを組み合わせた装置が利用できるが、ヘッドホンを装着していると、周囲の音が全く聞こえない。
従って、一般の人でも、こうした状況では、周囲の人との意思疎通が阻害されたり、電話やインタホンの音が聞こえないという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、イヤホンやヘッドホンを使用している利用者に、特定の情報のみを割り込ませて伝えることができる通話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の各実施例においては、それぞれ次のような構成により上記の課題を解決する。
〈構成1〉
任意の内容の音響信号を出力する音源装置と上記音源装置の出力を再生する再生装置との間に挿入されるものであって、所定の割り込み音を外部から受信する割り込み音受信回路と、上記音源装置の出力と上記割り込み音受信回路の出力とを受け入れて、上記割り込み音受信回路の出力が有効なときは、当該割り込み音受信回路の出力を後続回路に向けて出力し、上記割り込み音受信回路の出力が無効なときは、上記音源装置の出力を上記再生装置側に出力するように、出力信号を選択する割り込み制御回路とを備えたことを特徴とする通話装置。
【0007】
ごく一般の人に広く利用することができるが、特に高齢者などにとっては、割り込み音を比較的強い音になるよう制御し、様々な外部からの呼びかけに対し、対応しやすくすることができる。介護用の装置などについても、この装置を利用することができる。また、補聴器を利用してテレビジョンやDVDなどの音を聞いている場合と比べて、聞きたい音のみを再生できたり、周囲の健常者との共存にも問題がないという効果がある。
【0008】
〈構成2〉
構成1記載の通話装置において、上記音源装置は、音響信号を発信する赤外線ラジエータと、割り込み音を受信するアンテナとを備えたものであることを特徴とする通話装置。
【0009】
音声を赤外線に乗せて伝送するので、雑音のない、耳にやさしい音を無線で発信できる。
【0010】
〈構成3〉
構成1記載の通話装置において、上記再生装置は、イヤホン又はヘッドホンであることを特徴とする通話装置。
【0011】
再生装置は有線式、無線式のいずれでもよい。
【0012】
〈構成4〉
構成1記載の通話装置において、上記割り込み音は、マイク音送信機、着呼音送信機、ベル音送信機のいずれかから発信された音であることを特徴とする通話装置。
【0013】
電気機器による画像や音声を鑑賞していても、重要な生活音を聞き逃すことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を実施例ごとに詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1の通話装置の概要を示す説明図である。
図1に示すようにディスプレイ12には、任意の内容の音響信号を出力する音源装置としてDVD装置14が接続されており、ビデオなどの鑑賞ができるように構成されている。DVD装置14には通話装置16が接続されている。DVD装置14により再生される信号は、通話装置16を通じてヘッドホンあるいはイヤホン等の再生装置24に向け伝送される。
【0016】
通話装置16には、赤外線ラジエータ17とアンテナ18とが設けられている。赤外線ラジエータ17は、DVD装置14等の音源装置により再生される音響信号を赤外線信号に変換して出力する装置である。利用者25は、例えば、ディスプレイ12の正面に据え付けられた椅子26に座って再生装置24を装着し、DVD装置14により再生されるビデオなどを鑑賞する。再生装置24は、赤外線ラジエータ17から発信された赤外線ビームを受信して復調し、音を再生するように構成されている。
【0017】
このような状態で利用者25がビデオなどを鑑賞している時に、通話装置16は、電話機20やインタホン21、あるいは利用者25以外の他の人27が発する話声を受け入れるマイク22、の出力信号の割り込みを許容する。すなわち、DVD装置14において画像や音が再生され、これを再生装置24で受信している途中で、例えば、電話機20のベルが鳴った時には、通話装置16は、その信号をアンテナ18で受信して、優先的に電話機20の呼出し音を割り込ませ、再生装置24に送信する。
【0018】
また、インタホン21を来客が操作したような場合に、その音を優先的に割り込ませて再生装置24に送信する。マイク22で受け入れた音声もDVD装置14により再生される音声より優先して再生装置24に伝えられる。電話機20やインタホン21やマイク22の出力信号は、いずれも、電波を利用して無線で通話装置16に送られる。もちろん、有線伝送を利用しても構わない。
【0019】
図2は、上記のような機能を実現するための通話装置の具体的な構成を示すブロック図である。
図2に示すように通話装置16は、DVD装置14の再生する音響信号を受け入れて後続回路に転送するオーディオ出力回路31とこれに接続された割り込み制御回路33、割り込み音受信回路32、切り換え音発生回路34、赤外線ラジエータ17、アンテナ18などを備える。割り込み音指定回路38を備える。
【0020】
オーディオ出力回路31は、DVD装置14が出力する音響信号を受け入れて、例えば、レベル調整をして割り込み制御回路33に供給する機能を持つ。割り込み音受信回路32は、アンテナ18を通じて電話機20、インタホン21、あるいはマイク22の信号を受信する機能と、その信号を割り込み音信号42として割り込み制御回路33に向けて出力する機能を持つ。なお、割り込み音受信回路32は、割り込み音信号42のレベルの大小を判定する。このレベルが一定強度以上と判断すると、割り込み制御回路33に切り換え制御信号43を出力する。
【0021】
割り込み制御回路33は、割り込み音信号42のレベルが一定以上のときに割り込みを許容する機能を持つ。一定以上のレベルの信号のみを割り込ませるのは、雑音による割り込み発生を防ぐためである。割り込み音指定回路38は、例えば、マイクの音声のみ割り込みを認めるとか、インタホンの音のみ割り込みを認めるというように、割り込みを認める対象を選択するスイッチである。例えば、電話機20、インタホン21、あるいはマイク22から送信される電波の周波数が異なれば、ラジオチューナのようにして、選択できる。
【0022】
割り込み制御回路33は、切り換え制御信号43が入力すると、オーディオ出力回路31の出力信号を抑圧して、割り込み音受信回路32の出力信号を赤外線ラジエータに供給するよう動作する。
【0023】
切り換え音発生回路34は、切り換え制御信号43を検出し、オーディオ信号41から割り込み音信号42に出力が切り換わることを利用者に知らせるための、切り換え音を発生する機能を持つ。
【0024】
赤外線ラジエータ17は、割り込み制御回路33の出力する信号を赤外線信号に変調して送信する機能を持つ。再生装置24は、赤外線ラジエータ17の出力する赤外線を受信し、音響信号を復調してイヤホンやヘッドホンなどのレシーバなどを鳴らす機能を持つ。
【0025】
図2に示すインタホン21は、インタホンによるベル音をベル音送信機37を用いて電波に変えて送信する機能を持つ。電話機20は、電話機の着呼音を着呼音送信機36により電波に変えて通話装置に送信する。マイク音送信機35は、マイク22が受け入れた音声信号を電波に変換して通話装置に送信する機能を持つ。
【0026】
上記の装置は、インタホン21、電話機20、あるいはマイク22の出力を受け入れることにより割り込み音信号42を発生し、オーディオ信号41の出力を止めて再生装置24に送信する。この割り込み処理の際に利用者が割り込みが発生したことに気付くように、切り換え音発生回路34から、適当な他の音と区別できるような音を発生する。
【0027】
図3は、上記のような装置の具体的な動作を示すタイミングチャートである。
図3の横軸は、時間を示す。例えば、図3の信号S1は、時刻t1から時刻t2まで連続的に出力されるオーディオ信号を示す。また、信号S2は、マイク22から出力された音声信号を示す。この信号S2は、時刻t3からt4の間、時間T1だけ、通話装置に入力したとする。また、信号S3は、時刻t5から時刻t6までの間に発せられた電話機の着呼音である。この着呼音は例えば、T2時間鳴ったとする。
【0028】
信号S4は、時刻t7と時刻t8に発せられたインタホンのチャイムの音である。信号S5は、割り込み音を受信した時に、切り換え音発生回路34が発生する切り換え音の信号である。信号S6は、最終的に再生装置24によって受信される音響信号の構成を示す。
【0029】
図3に示すように、例えば、時刻t3からt4までの間、マイク22からの音声が通話装置に入力したとする。時刻t3でこの音声が検出され、ごく短時間、信号S5の切り換え音が発生する。この信号S5と信号S2とが信号S1に対する割り込み信号として処理される。従って、信号S5と信号S2が赤外線ラジエータ17から出力される間、信号S1の出力は停止される。
【0030】
同様に電話機20が着呼音を発生し、割り込み音受信回路32が信号S3を検出すると、切り換え音が再び生成され、信号S5と信号S3の割り込みが行われる。この間信号S1の出力は停止される。なお、この図3の例では、インタホンのチャイム音は明らかに割り込み音として認識できるから、信号S5を発生させず、無条件で信号S1に信号S4を割り込ませるようにしている。
【0031】
上記のように通話装置を構成すると、利用者がDVD装置などを利用して映画や音楽などを楽しんでいる時に電話機が鳴ったり、顧客がインタホンを操作したり、あるいは家族がマイク22を利用して声をかけたりした時、DVD装置の出力音が一時的に抑制されて、該当する音が割り込む。これによって、重要な情報を聞き逃すことがない。
【0032】
こうした通話装置は、ごく一般の人に広く利用することができる。しかしながら、特に高齢者などにとっては、割り込み音を比較的強い音になるよう制御し、様々な外部からの呼びかけに対し、対応しやすくすることができる。従って、介護用の装置などについて、この装置を広く利用することができる。なお、割り込みを認める信号の送受信には無線を使用したが、全て有線でも構わない。割り込みを認めるものは、任意に選定できる。
【0033】
以上説明したように、本発明の通話装置によれば、家族の呼び声、電話機の呼出し音、玄関先の呼出し用インタホンの音等の生活音は、テレビジョンやDVDの音響信号に割り込みをかけて優先的に耳に届く。このとき、割り込み音であることを示す識別音を含めるようにすれば、テレビジョンやDVDの音で無いことを利用者が容易に認識できる。これにより、例えば、耳の不自由な人のみならず、ヘッドホンを使用している利用者に、特定の情報のみを割り込ませて伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例1の通話装置の概要を示す説明図である。
【図2】同通話装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【図3】同通話装置の具体的な動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0035】
12 ディスプレイ
14 DVD装置
16 通話装置
18 アンテナ
20 電話機
21 インタホン
22 マイク
24 再生装置
25 利用者
31 オーディオ出力回路
32 割り込み音受信回路
33 割り込み制御回路
34 切り換え音発生回路
38 割り込み音指定回路
41 オーディオ信号
42 割り込み音信号
43 切り換え制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の内容の音響信号を出力する音源装置と前記音源装置の出力を再生する再生装置との間に挿入されるものであって、
所定の割り込み音を外部から受信する割り込み音受信回路と、
前記音源装置の出力と前記割り込み音受信回路の出力とを受け入れて、前記割り込み音受信回路の出力が有効なときは、当該割り込み音受信回路の出力を後続回路に向けて出力し、前記割り込み音受信回路の出力が無効なときは、前記音源装置の出力を前記再生装置側に出力するように、出力信号を選択する割り込み制御回路とを備えたことを特徴とする通話装置。
【請求項2】
請求項1記載の通話装置において、
前記音源装置は、音響信号を発信する赤外線ラジエータと、割り込み音を受信するアンテナとを備えたものであることを特徴とする通話装置。
【請求項3】
請求項1記載の通話装置において、
前記再生装置は、イヤホン又はヘッドホンであることを特徴とする通話装置。
【請求項4】
請求項1記載の通話装置において、
前記割り込み音は、マイク音送信機、着呼音送信機、ベル音送信機のいずれかから発信された音であることを特徴とする通話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−180027(P2006−180027A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−369054(P2004−369054)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000002255)昭和電線電纜株式会社 (71)
【出願人】(593074824)株式会社エルテル (12)
【Fターム(参考)】