説明

通貨滅菌装置

【課題】通貨に付着している菌の減少、紙幣のシワを改善する。
【解決手段】紙幣を上下から挟み込んで紙幣を搬送する搬送ベルト21,31と、該ベルトの上下方向から熱と圧力をかける熱圧力ローラ22,32と、紙幣を反転させるリバース導送路40と、リバース導送路に設けられた滅菌灯41から構成される紙幣滅菌部10と、硬貨を投入する硬貨投入口と、硬貨を1枚ずつ転動させる硬貨転動路と、オゾンを発生させるオゾン発生装置と、硬貨を出する硬貨受け口とから構成することで、紙幣については、プラチナ触媒作用、熱、紫外線による滅菌と熱と圧力によるしわ伸ばし効果、硬貨については、オゾンにより滅菌が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市場に流通している通貨に対して、その通貨に付着している様々な菌を減少させ、同時に紙幣については紙幣のシワを改善させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行の窓口や店舗の支払いカウンターなどに設置し、極めて簡単な操作および使用方法で通貨の滅菌を容易に行うことを目的に、硬貨の投入口と、この投入口に投入された硬貨を設置し、目の粗い網により形成された第一搬送ベルトと、この第一搬送ベルトの上に設置された硬貨を一層に整列させる整列手段と、この第一搬送ベルトに上下から滅菌光線を照射する一対の第一滅菌灯と、この第一搬送ベルトの前記第一滅菌灯より下流側に設けられた硬貨排出口とを備えた硬貨処理部を備え、紙幣の投入口と、この投入口に投下された紙幣を載置する第二搬送ベルトと、この第二搬送ベルトに上下から滅菌光線を照射する一対の第二滅菌灯と、この第二搬送ベルトの前記第二滅菌灯より下流側に設けられた紙幣排出口とを備えた紙幣処理部を備え、前記硬貨処理部および前記紙幣処理部が前記硬貨の投入口および前記紙幣の投入口が並んで配置されるように一つの基台に並列的に配置されたことを特徴とする発明がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に係る考案の場合、硬貨と紙幣とを滅菌光線を使用して滅菌しているところに特徴がある。しかしながら、滅菌光線のみで滅菌を行う場合、滅菌光線が紙幣や硬貨に充分な時間、照射されない場合には、滅菌の効果を得にくいという課題があった。
【0004】
また、搬送される紙幣がどのような状態にある場合であっても、その状態に合わせて、できるだけ早い搬送速度で、かつ、できるだけ低い殺菌温度で十分満足できるしわ伸ばしおよび殺菌効果を得ることを目的に、少なくとも紙幣を搬送するための紙幣搬送路と、該紙幣搬送中に紙幣を加熱するための加熱ローラと、該加熱ローラを取り巻くように圧接されて設けられ、該加熱ローラとの間で構成される加熱殺菌部に紙幣を狭持して搬送する耐熱ベルトと、前記加熱殺菌部の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段により得られた温度情報に応じて前記加熱殺菌部を加熱するための加熱手段を有する紙幣クリーニング機構において、前記紙幣搬送路に搬送される紙幣の寸法を検出する寸法検出手段、前記紙幣搬送路に搬送される紙幣の厚さを検出する厚さ検出手段、前記紙幣搬送路に搬送される紙幣のしわの程度を検出するしわ検出手段、前記紙幣搬送路に搬送される紙幣の汚れを検出する汚れ検出手段のうちの少なくとも1つを具備し、前記寸法検出手段、厚さ検出手段、しわ検出手段、汚れ検出手段によって検出された情報に基づいて前記加熱殺菌部における搬送速度および温度を決定することを特徴とする発明がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
上記特許文献2に係る発明の場合、紙幣寸法、紙幣厚さ、しわの程度、紙幣通過量、搬送速度を考慮して、殺菌温度を設定している。この方法を採用したならば、しわの状態が異なる紙幣で殺菌温度が変わることになる。すなわち、しわの程度が大きいならば、殺菌温度を高めて殺菌能力を高めると共に、しわを伸ばす能力を高めている。業務で煩雑な状態で使用することを考慮すると、1枚1枚殺菌温度を変えて搬送したならば、処理に時間が係ることになり現実的でないという課題があった。
【0006】
また、メダル洗浄の精度を高め、殺菌もすることを目的に、ゲーム機やスロット機に使用するメダルや硬貨を収容するホッパーと、該ホッパーの出口と連通し前記メダル等を一列に整列させた状態で流下搬送すると共に、該メダル等の表面を紫外線照射手段に露出するための開口部を有する蛇行したメダル搬送路と、搬送途中のメダル等の表面に紫外線を照射するように設けられた紫外線照射手段とを具備したメダル洗浄装置の発明がある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
上記特許文献3に係る発明の場合、メダルへの紫外線照射時間が0.3秒以上であり、かつ、光源とメダルとの距離が15mm以下であることが望ましいとの記載がある([0012]、及び[0013])。つまり、上記条件を具備するように蛇行する一行程を設計する必要がある([0019])。そのような構造にするためには、紫外線照射装置を長大化する必要があり、コンパクトに装置を設計したならば、高い殺菌能力を期待することが難しいという課題があった。
【0008】
【先行技術文献】

【特許出願】
【0009】
【特許文献1】登実3056235号公報
【特許文献2】特開2000−163629号公報
【特許文献3】特開2006−334196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明においては、上述した問題を解決すると共に、硬貨及び紙幣の滅菌能力が高く、なおかつ紙幣のしわを伸ばすことができるコンパクトな通貨滅菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
具体的には、紙幣を上下から挟み込んで紙幣を搬送する搬送ベルトと、そのベルトの上下方向から熱と圧力をかける熱圧力ローラと、紙幣を反転させるリバース導送路と、リバース導送路に設けられた一対の滅菌灯から構成される紙幣滅菌部と、硬貨を投入する硬貨投入口と、硬貨を1枚ずつ転動させる硬貨転動路と、オゾンを発生させるオゾン発生装置と、硬貨を出する硬貨受け口とから構成される硬貨滅菌部から構成される通貨滅菌装置である。
【0012】
さらに搬送ベルトにナノ化された白金成分が含有されていることを特徴とする。このナノ化された白金成分は、搬送ベルトに塗布するか、搬送ベルト成分に含まれるかすることで、搬送ベルトが加熱されたならば、白金の触媒作用により、搬送ベルトに狭持された紙幣の表面と裏面が滅菌されることになる。
【0013】
またさらに、紙幣滅菌部の搬送ベルトの前工程に、紙幣を上下から挟み込むローラに水分が供給される加水ローラ部を設けることで、紙幣の全体に水分が供給され、その後に搬送ローラにて圧力と熱を加えることで水分が蒸発し、滅菌としわ伸ばしをより確実に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、紙幣については、白金の触媒作用を利用した滅菌、熱による滅菌、紫外線による滅菌を行うため、より確実に滅菌を行うことができると共に、紙幣を上下より加熱しながらローラで圧力をかけるので、紙幣のしわを伸ばすことができる。更には、硬貨については、オゾン雰囲気下において硬貨が転動を繰り返すことで、オゾンの酸化作用により硬貨に滅菌処理をすることができる。また、本発明によれば、上下の空間を効率的に利用しているため、コンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の通貨滅菌装置の斜視図である。
【図2】本発明の通貨滅菌装置の紙幣滅菌部のA−A断面図である。
【図3】本発明の通貨滅菌装置の硬貨滅菌部のB−B断面図である。
【図4】本発明の紙幣滅菌部の制御関係を説明する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る通貨滅菌装置を、図1から図4を用いて説明する。図1の斜視図で示されるのは、本発明の通貨滅菌装置1である。この通過滅菌装置1のA−A断面図が図2である。この通過滅菌装置1は、紙幣を滅菌する紙幣滅菌部10と、硬貨を滅菌する硬貨滅菌部50とから構成される。紙幣滅菌部10は紙幣を投入するための紙幣投入口11と、紙幣を上下から圧力と熱をかけることで滅菌としわ伸ばしを行う第一圧力搬送ベルト20、紙幣を裏返すリバース導送路40、裏返しされた紙幣を再び上下から圧力と熱をかけることで滅菌としわ伸ばしを行う第二圧力搬送ベルト30、滅菌された紙幣が搬出される紙幣搬出口12を有する。
【0017】
第一圧力搬送ベルト20は、上下一対で構成された、搬送ベルト21と熱と圧力をかける圧力ローラ22とからなる。この搬送ベルト21は圧力ローラ21が回転することで駆動する仕組みになっている。
【0018】
紙幣投入口11から入れられた紙幣は、導入ローラ23により装置内に挟み込まれ、第一圧力ベルト20に搬送される。第一圧力ベルト20では、上下一対の圧力ローラ22に上下別々の搬送ベルト21が巻かれる構成になっている。この上下の搬送ベルト21の間に紙幣が挟み込まれ、搬送ベルト21の駆動と共に紙幣が動いていく構造となっている。その際、上下の圧力ローラ22の間に、搬送ベルト21に挟まれた紙幣が通過する。この圧力ローラ22が適度に搬送ベルト21を介して紙幣に圧力をかける。また、この圧力ローラ22には熱を供給する電熱線が配置されることにより、搬送ベルト21の表面が約120℃になるよう設定されている。これにより、紙幣に対する滅菌としわ伸ばしを同時に行うことができる。
【0019】
リバース導送路40は、第一搬送ベルト20から搬送された紙幣を裏返して第二搬送ベルト30に供給するために、90度横に寝かされたU字状の構造をしている。このリバース導送路40の途中には、横方向に細長のスリットが設けられている。そのスリット部分に相対するように滅菌灯41が配置されており、スリットを通過する紙幣に紫外線が照射される。
【0020】
第二搬送ベルト30は上述の第一搬送ベルト20と同様の仕組みで構成られている。この第二搬送ベルト30においても、上下から圧力と熱をかけることで滅菌としわ伸ばしが行われる。第二搬送ベルト30の終端に設けられた搬出ローラ33によって、紙幣が通過滅菌装置1から排出される。
【0021】
図3は通貨滅菌装置1における硬貨滅菌部50のB−B断面図である。硬貨滅菌部50は、硬貨を投入する硬貨投入口60と、硬貨を転動させる硬貨転動路70と、硬貨が転動する空間にオゾンを供給するオゾン発生部80と、硬貨転動路70を転動した硬貨が排出される硬貨排出口61から構成される。
【0022】
硬貨投入口60は、硬貨が1枚ずつ硬貨転動路70に落下するよう、漏斗状に構成されている。この硬貨投入口60は微振動することで硬貨の詰まりをなくすように工夫されている。硬貨転動路70は硬貨が重力の作用により転がりながら落下するよう、互い違いに構成されている。オゾン発生部80は、硬貨転動路70の空間にオゾンを供給し、硬貨転動路70を転動する硬貨がオゾンにより除菌される。また、効果滅菌部50の側面には、メンテナンス窓62が設けられており、硬貨が詰まったりした際には、このメンテナンス窓62を開けることで、硬貨滅菌部50の内部に触れることができる。図示しないが、このメンテナンス窓は紙幣滅菌部10の側面にも設けられる。
【0023】
図4は、紙幣滅菌部10の制御関係を説明する回路図である。紙幣滅菌部10の第一搬送ベルト20、第二搬送ベルト30には、搬送ベルト21・31の温度を測定する温度センサと、圧力ローラ22・32の回転数をセンシングする回転数センサが設けられている。この温度センサはヒータ温度制御回路に接続され、ヒータ温度制御回路にて、搬送ベルト21・31の表面温度が120度になるよう制御している。また、回線数センサは回転数制御回路に接続され、回転数制御回路にて、圧力ローラ22の回転異常を検知している。また、滅菌灯41は滅菌灯制御回路に接続され、滅菌灯制御回路にて、放射する紫外線の量を制御したり、異常を検知したりしている。
【0024】
本発明は上記の実施形態に限定されず、例えば、紙幣滅菌部10の第一搬送ベルトの前工程で、紙幣に加水するための加水ローラを設けることで、紙幣全体に水分を供給する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 通過滅菌装置
10 紙幣滅菌部
11 紙幣投入口
12 紙幣搬出口
20 第一搬送ベルト
21・31 搬送ベルト
22・32 圧力ローラ
23 導入ローラ
30 第二搬送ベルト
33 搬出ローラ
40 リバース導送路
41 滅菌灯
50 硬貨滅菌部
60 硬貨投入口
61 硬貨排出口
62 メンテナンス窓
70 硬貨転動路
80 オゾン発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通貨の滅菌を行う通貨滅菌装置において、
紙幣を上下から挟み込んで紙幣を搬送する搬送ベルトと、該ベルトの上下方向から熱と圧力をかける熱圧力ローラと、紙幣を反転させるリバース導入路と、該リバース導入路に設けられた滅菌灯から構成される、紙幣滅菌部と、
硬貨を投入する硬貨投入口と、硬貨を1枚ずつ転動させる硬貨転動路と、オゾンを発生させるオゾン発生装置と、硬貨を出する硬貨受け口とから構成される硬貨滅菌部からなる通貨滅菌装置。
【請求項2】
前記搬送ベルトにナノ化された白金成分が含有されていることを特徴とする、請求項1に記載の通貨滅菌装置。
【請求項3】
前記紙幣滅菌部の搬送ベルトの一部分に設けられた、紙幣を上下から挟み込むローラに水分が供給される加水ローラ部を含む、請求項1乃至2に記載の通貨滅菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−105481(P2013−105481A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262931(P2011−262931)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(511291898)株式会社ジャニスコーポレーション (1)
【Fターム(参考)】